(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127047
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電子制御式機械時計
(51)【国際特許分類】
G04C 10/00 20060101AFI20240912BHJP
G04B 1/10 20060101ALI20240912BHJP
G04B 17/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G04C10/00 C
G04B1/10
G04B17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035891
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 豊
【テーマコード(参考)】
2F101
【Fターム(参考)】
2F101DJ01
2F101DJ06
2F101DK01
(57)【要約】
【課題】持続時間を長くでき、かつ、ムーブメントの大型化を抑制できる電子制御式機械時計の提供。
【解決手段】電子制御式機械時計は、ゼンマイと、輪列と、時刻を表示する指針と、輪列の回転周期を制御する調速機と、調速機を制御する制御手段と、ゼンマイの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、発電機の電気エネルギーを蓄電し、制御手段に電気エネルギーを供給する第1蓄電装置と、第1蓄電装置にスイッチを介して並列に接続され、電気エネルギーを蓄電可能な第2蓄電装置と、ゼンマイに蓄積される機械的エネルギー量を検出する検出手段とを備える。制御手段は、スイッチがオフ状態の場合に機械的エネルギー量が第1設定値を超えたことが検出されると、スイッチをオフ状態からオン状態に制御し、スイッチがオン状態の場合に機械的エネルギー量が第2設定値を下回ったことが検出されると、スイッチをオン状態からオフ状態に制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼンマイと、
前記ゼンマイの機械的エネルギーを伝達する輪列と、
前記輪列によって駆動されて時刻を表示する指針と、
前記輪列の回転周期を制御する調速機と、
前記調速機を制御する制御手段と、
前記ゼンマイの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、
前記発電機の電気エネルギーを蓄電し、前記制御手段に電気エネルギーを供給する第1蓄電装置と、
前記第1蓄電装置にスイッチを介して並列に接続され、電気エネルギーを蓄電可能な第2蓄電装置と、
前記ゼンマイに蓄積される機械的エネルギー量を検出する検出手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記スイッチがオフ状態の場合に、前記検出手段で前記機械的エネルギー量が第1設定値を超えたことが検出されると、前記スイッチをオフ状態からオン状態に制御し、
前記スイッチがオン状態の場合に、前記検出手段で前記機械的エネルギー量が第2設定値を下回ったことが検出されると、前記スイッチをオン状態からオフ状態に制御する
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御式機械時計において、
前記第1設定値は、前記第2設定値より大きい
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項3】
請求項1に記載の電子制御式機械時計において、
前記発電機は、ローターを備え、
前記第2設定値は、前記ローターの回転速度が基準速度以下となる値である
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項4】
請求項1に記載の電子制御式機械時計において、
前記第2蓄電装置に蓄電される蓄電量は、前記第1蓄電装置に蓄電される蓄電量より大きい
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項5】
請求項1に記載の電子制御式機械時計において、
クロック信号を出力する発振手段と、
前記発振手段の停止を検出する発振停止検出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記発振停止検出手段で前記発振手段の停止を検出している場合は、前記スイッチをオフ状態に維持する
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項6】
請求項1に記載の電子制御式機械時計において、
前記第2蓄電装置の電圧を検出する電圧検出手段を備え、
前記制御手段は、前記電圧検出手段で前記第2蓄電装置の電圧が所定値以下であることを検出している場合は、前記機械的エネルギー量が前記第1設定値を超えたことが検出されても前記スイッチをオフ状態に維持する
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項7】
請求項1に記載の電子制御式機械時計において、
前記発電機は、前記輪列に接続されたローターを備え、
前記検出手段は、前記ローターの回転速度に基づいて前記機械的エネルギー量を検出する
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【請求項8】
ゼンマイと、
前記ゼンマイの機械的エネルギーを伝達する輪列と、
前記輪列によって駆動されて時刻を表示する指針と、
前記輪列の回転周期を制御する調速機と、
前記調速機を制御する制御手段と、
前記ゼンマイの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、
前記発電機の電気エネルギーを蓄電し、前記制御手段に電気エネルギーを供給する第1蓄電装置と、
前記第1蓄電装置に並列に接続され、電気エネルギーを蓄電可能な第2蓄電装置と、
前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間に配置され、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との接続状態を切り替えるスイッチと、を備え、
前記スイッチは、
前記ゼンマイの巻き上げ量が所定値を超えるとオフ状態からオン状態に切り替わり、前記第2蓄電装置を前記第1蓄電装置に接続し、
前記ゼンマイの巻き上げ量が所定値を下回るとオン状態からオフ状態に切り替わり、前記第2蓄電装置を前記第1蓄電装置から切断する
ことを特徴とする電子制御式機械時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御式機械時計に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼンマイが開放する時の機械的エネルギーによって発電機を駆動して発生させた電気エネルギーを蓄電装置に蓄え、この蓄電装置から供給された電気エネルギーにより回転制御装置を駆動して発電機の回転周期を制御することにより、輪列で運針される指針を正確に駆動して正確に時刻を表示する電子制御式機械時計が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の電子制御式機械時計では、ソーラー発電装置等の付加発電機および第2蓄電装置を備える付加電源装置を設け、蓄電装置の電圧が低下した場合に付加電源装置から電気エネルギーを供給することで、持続時間を延長することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電子制御式機械時計では、機械的エネルギーで発電する発電機とは別に、付加発電機等を備える付加電源装置を設けるため、時計のムーブメントが大型化するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電子制御式機械時計は、ゼンマイと、前記ゼンマイの機械的エネルギーを伝達する輪列と、前記輪列によって駆動されて時刻を表示する指針と、前記輪列の回転周期を制御する調速機と、前記調速機を制御する制御手段と、前記ゼンマイの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、前記発電機の電気エネルギーを蓄電し、前記制御手段に電気エネルギーを供給する第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置にスイッチを介して並列に接続され、電気エネルギーを蓄電可能な第2蓄電装置と、前記ゼンマイに蓄積される機械的エネルギー量を検出する検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記スイッチがオフ状態の場合に、前記検出手段で前記機械的エネルギー量が第1設定値を超えたことが検出されると、前記スイッチをオフ状態からオン状態に制御し、前記スイッチがオン状態の場合に、前記検出手段で前記機械的エネルギー量が第2設定値を下回ったことが検出されると、前記スイッチをオン状態からオフ状態に制御することを特徴とする。
【0007】
本開示の電子制御式機械時計は、ゼンマイと、前記ゼンマイの機械的エネルギーを伝達する輪列と、前記輪列によって駆動されて時刻を表示する指針と、前記輪列の回転周期を制御する調速機と、前記調速機を制御する制御手段と、前記ゼンマイの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、前記発電機の電気エネルギーを蓄電し、前記制御手段に電気エネルギーを供給する第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置に並列に接続され、電気エネルギーを蓄電可能な第2蓄電装置と、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間に配置され、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との接続状態を切り替えるスイッチと、を備え、前記スイッチは、前記ゼンマイの巻き上げ量が所定値を超えるとオフ状態からオン状態に切り替わり、前記第2蓄電装置を前記第1蓄電装置に接続し、前記ゼンマイの巻き上げ量が所定値を下回るとオン状態からオフ状態に切り替わり、前記第2蓄電装置を前記第1蓄電装置から切断することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の電子制御式機械時計を示す正面図である。
【
図2】実施形態の電子制御式機械時計の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態の時計の要部の概略構成を示す回路図である。
【
図4】実施形態のスイッチ回路を示す回路図である。
【
図5】実施形態のスイッチ回路の動作を説明する図である。
【
図6】実施形態のスイッチ回路の動作を説明する図である。
【
図7】ローターの回転速度とIC印加電圧のタイミングチャートである。
【
図8】ゼンマイの出力トルクと、電源回路電圧の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の電子制御式機械時計1を図面に基づいて説明する。
図1は、電子制御式機械時計1を示す正面図である。なお、以下の説明では、電子制御式機械時計1を時計1と略して説明する。
図1に示すように、時計1は、ユーザーの手首に装着される腕時計であり、円筒状の外装ケース2を備え、外装ケース2の内周側に、文字板3が配置されている。外装ケース2の二つの開口のうち、表面側の開口は、カバーガラスで塞がれており、裏面側の開口は裏蓋で塞がれている。
【0010】
時計1は、外装ケース2内に収容された図示略のムーブメントと、時刻情報を表示する指針4とを備えている。指針4は、時針4A、分針4B、秒針4Cで構成される。文字板3には、カレンダー小窓3Aが設けられており、カレンダー小窓3Aから、日車6が視認可能となっている。また、文字板3には、時刻を指示するためのアワーマーク3Bや、パワーリザーブ針5で持続時間を指示する扇形のサブダイヤル3Cが設けられている。
【0011】
外装ケース2の側面には、りゅうず7が設けられている。りゅうず7は、時計1の中心に向かって押し込まれた0段位置から1段位置および2段位置に引き出されて移動することができる。
りゅうず7を1段位置に引いて回転すると、日車6を移動して日付を合わせることができる。りゅうず7を2段位置に引くと秒針4Cが停止し、2段位置でりゅうず7を回転すると、時針4A、分針4Bが移動して時刻を合わせることができる。りゅうず7による日車6や時針4A、分針4Bの修正方法は、従来の時計と同様であるため説明を省略する。
【0012】
また、りゅうず7を0段位置で回転すると、後述するゼンマイ40を巻き上げることができる。そして、ゼンマイ40の巻き上げに連動して、パワーリザーブ針5が移動する。本実施形態の時計1は、ゼンマイ40をフルに巻き上げた場合に、約72時間の持続時間を確保できる。
【0013】
[時計の概略構成]
図2は、時計1の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、時計1は、制御手段であるIC10と、機械的エネルギー源としてのゼンマイ40と、ゼンマイ40のトルクを伝達するエネルギー伝達装置としての増速輪列50と、増速輪列50に連結されて時刻表示を行う表示部60と、前記増速輪列50を介して伝達されるトルクで駆動される発電機70と、水晶振動子80と、整流回路90と、電源回路30とを備えている。発電機70は、後述するように増速輪列50の回転速度を調速する調速機を兼用している。
【0014】
IC10は、発振回路11と、分周回路12と、回転検出回路13と、制動制御回路14と、電源電圧検出回路15と、発振停止検出回路16とを備える。各回路の詳細は後述する。
【0015】
ゼンマイ40は、図示を省略する巻き上げ輪列を介してりゅうず7によって巻き上げられる。
増速輪列50は、ゼンマイ40に蓄積される機械的エネルギーで回転する複数の歯車を備えて構成され、これらの歯車の軸に取り付けられた時針4A、分針4B、秒針4Cを運針する。また、増速輪列50は、発電機70のローター71のカナに噛合しており、ローター71を回転する。
なお、図示は省略するが、ゼンマイ40を巻き上げる巻き上げ輪列と、増速輪列50とに連動するパワーリザーブ輪列が設けられ、このパワーリザーブ輪列には、パワーリザーブ針5が取り付けられている。
表示部60は、
図1に示す指針4や日車6を備えて構成され、時刻を表示する。
【0016】
[電源回路]
電源回路30は、第1蓄電装置31と、第2蓄電装置32と、スイッチ回路33とを備えている。
第1蓄電装置31は、
図3にも示すように、コンデンサーで構成され、発電機70で発電された電荷を蓄え、電圧を平滑化してIC10に供給する。
第2蓄電装置32は、リチウムイオン電池、全固体電池等の充電可能な二次電池で構成され、第1蓄電装置31よりも大きな容量とされている。なお、第2蓄電装置32は、二次電池に限定されず、大容量のコンデンサーでもよい。
第1蓄電装置31は、整流回路90に直接接続され、第2蓄電装置32は、整流回路90にスイッチ回路33を介して接続されている。このため、スイッチ回路33がオン状態に制御されると、第2蓄電装置32は第1蓄電装置31に並列に接続される。すなわち、スイッチ回路33がオン状態に制御されると、IC10のVDD端子に導通される第1の電源ライン21と、IC10のVSS端子に導通される第2の電源ライン22に対して、第1蓄電装置31および第2蓄電装置32は並列に接続される。また、スイッチ回路33がオフ状態に制御されると、第2蓄電装置32は第1の電源ライン21から切り離され、第1蓄電装置31のみが第1の電源ライン21および第2の電源ライン22に接続される。したがって、スイッチ回路33は、第1蓄電装置31に第2蓄電装置32を並列に接続するスイッチである。
なお、本実施形態では、第2の電源ライン22がグランド電位VSSとされ、IC10には電圧VDDが印加される。
また、本実施形態では、スイッチ回路33は電源ライン21と第2蓄電装置32の間に記載されているが、電源ライン22と第2蓄電装置32の間にあっても良い。
【0017】
図4は、本実施形態のスイッチ回路33の一例である。
図4に示すスイッチ回路33は、第1の電源ライン21と第2蓄電装置32とを接続するアナログスイッチで構成されている。スイッチ回路33は、Nチャネルトランジスター331と、Pチャネルトランジスター332と、インバーター333とを備える。このため、スイッチ回路33に入力される制御信号がHレベルの場合、Nチャネルトランジスター331およびPチャネルトランジスター332はオン状態に制御され、制御信号がLレベルの場合は、Nチャネルトランジスター331およびPチャネルトランジスター332はオフ状態に制御される。
第2蓄電装置32の電圧VB、発電機70の発電電圧VGはそれぞれ可変するが、例えば、第2蓄電装置32の電圧VBがPチャネルトランジスター332の閾値電圧近傍まで低下すると、Pチャネルトランジスター332のゲート-ソース間の電圧VGSが小さくなり、ON抵抗が大きくなり、電流を流しにくくなる。一方、Nチャネルトランジスター331の電圧VGSは大きくなり、ON抵抗は小さくなり、電流を流し易くする。
逆に、第2蓄電装置32の電圧VBが高くなると、Pチャネルトランジスター332の電圧VGSは大きくなり、ON抵抗が小さくなり電流を流し易くする。一方、Nチャネルトランジスター331の電圧VGSは小さくなり、ON抵抗が大きくなり、電流が流れにくくなる。
以上のように、入出力の電圧が変動するような場合、トランジスターを単体で使用する場合と比較して、アナログスイッチ回路であるスイッチ回路33を用いれば、オン抵抗低減と入出力特性の線形性を改善できる。
【0018】
また、
図5に示すように、スイッチ回路33がオフ状態において、第1蓄電装置31の電圧VCがIC停止電圧Vstop以上に維持されてIC10が動作中であっても、第2蓄電装置32の電圧VBが所定値、例えば、IC10の停止電圧Vstop以下に低下している場合、スイッチ回路33をオンにすると、
図6の矢印で示すように、第1蓄電装置31に蓄えた電荷が第2蓄電装置32側に放電し、第1蓄電装置31の電圧VCおよび第2蓄電装置32の電圧VBがIC10の停止電圧Vstop未満に低下する場合がある。
そのため、IC10はスイッチ回路33の第2蓄電装置32側の電圧VBを検出する電源電圧検出回路15を備えており、スイッチ回路33をオンする前に、第2蓄電装置32の電圧VBを測定し、電圧VBが所定値以下、例えばIC10の停止電圧Vstop以下の場合には、後述するように、ローター71の回転速度が所定の第1回転速度v1を上回っていても、スイッチ回路33をオフ状態に維持する。
【0019】
第1蓄電装置31および第2蓄電装置32が共に電圧が低く、IC10の動作が停止している時は、回転検出回路13、電源電圧検出回路15等は動作を停止しており、それらの回路から正しい制御信号が出力されるかは保証されない。
そのため、第2蓄電装置32の電圧VBが低い状態で、かつスイッチ回路33がオン状態の場合に、ゼンマイ40が巻かれて発電機70が動き始めても、容量の大きな第2蓄電装置32に電荷が流れ込み、IC10が起動できる電圧になるまで非常に長く時間がかかることになる。そこで、発振回路11の発振停止と発振開始に同期した発振停止検出回路16を用いてスイッチ回路33を制御することで、IC10が発振を停止している時はスイッチ回路33をオフすることで、第1蓄電装置31だけに確実に電荷を溜め、IC10が正常に起動するだけの電圧を速く確保することができる。
【0020】
[発電機]
図3に示すように、発電機70は、ローター71と、ローター71の回転に伴い誘起電圧VGを発生するコイル72とを備え、電気エネルギーを供給する。ローター71は、増速輪列50を介してゼンマイ40によって駆動される。ローター71は、2極に着磁され、発電機70は、ローター71が回転することで磁束が変化し、コイル72に誘起電圧VGを発生させて発電する。
発電機70のコイル72の出力端子MG1、MG2には、制動制御回路14で制御されるブレーキ回路73と、整流回路90とが接続されている。このため、発電機70から供給された電気エネルギーは、整流回路90を介して、電源回路30に充電される。この際、スイッチ回路33がオフ状態であれば、第1蓄電装置31のみが充電され、スイッチ回路33がオン状態であれば、並列に接続された第1蓄電装置31および第2蓄電装置32が充電される。
【0021】
[ブレーキ回路]
ブレーキ回路73は、発電機70を調速機として機能させるために、ローター71の回転にブレーキを掛けるものである。ブレーキ回路73は、発電機70で発電された交流信号が出力される出力端子MG1に接続された第1チョッピングトランジスター731と、交流信号が出力される出力端子MG2に接続された第2チョッピングトランジスター732とを有する。そして、各チョッピングトランジスター731、732をオンすることにより、出力端子MG1、MG2を短絡させて閉ループ状態にし、発電機70にショートブレーキを掛けるようになっている。
これらの各チョッピングトランジスター731、732は、第1の電源ライン21側に接続されている。
【0022】
各チョッピングトランジスター731、732は、Pチャネル型の電界効果型トランジスターで構成されている。これらの各チョッピングトランジスター731、732のゲートには、制動制御回路14から制動制御信号が入力される。このため、各チョッピングトランジスター731、732は、制動制御信号がLレベルとなっている間はオン状態に維持される。一方、制動制御信号がHレベルとなっている間は、各チョッピングトランジスター731、732はオフ状態に維持され、発電機70にはブレーキが加わらない。すなわち、制動制御信号のレベルによって、各チョッピングトランジスター731、732のオン、オフが制御され、発電機70をチョッピング制御することができる。
【0023】
ここで、制動制御信号は、例えば128Hzの信号であり、ゼンマイ40から供給される機械的エネルギーに応じてデューティー比を変えることで、発電機70のブレーキ力を調整する。すなわち、制動制御信号の1周期においてLレベルの期間が長くなると、各チョッピングトランジスター731、732がオン状態に維持されてショートブレーキが加えられる期間も長くなり、ブレーキ力が増加する。一方、制動制御信号の1周期においてLレベルの期間が短くなると、ブレーキ力が低下する。したがって、制動制御信号のデューティー比によって、ブレーキ力を調整できる。
【0024】
[整流回路]
整流回路90は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスター整流等からなり、発電機70からの交流出力を昇圧、整流して、電源回路30に充電供給するものである。
本実施形態の整流回路90は、第1整流用スイッチ91と、第2整流用スイッチ92と、ダイオード95と、ダイオード96と、昇圧用コンデンサー97とを備えている。
第1整流用スイッチ91は、ブレーキ回路73の第1チョッピングトランジスター731と並列に接続され、かつ、出力端子MG2にゲートが接続された第1整流用トランジスターで構成されている。
同様に、第2整流用スイッチ92は、第2チョッピングトランジスター732と並列に接続され、かつ、出力端子MG1にゲートが接続された第2整流用トランジスターで構成されている。これらの各整流用トランジスターも、Pchの電界効果型トランジスターで構成されている。
ダイオード95、96は、一方向に電流を流す一方向性素子であればよく、その種類は問わない。特に、電子制御式機械時計として構成される時計1では、発電機70の起電圧が小さいため、ダイオード95、96としては降下電圧や逆リーク電流が小さいショットキーバリアダイオードやシリコンダイオードを用いることが好ましい。
【0025】
なお、本実施形態では、第1チョッピングトランジスター731、第2チョッピングトランジスター732、第1整流用スイッチ91、第2整流用スイッチ92、ダイオード95、ダイオード96、スイッチ回路33は、IC10の内部に構成されている。発電機70のローター71およびコイル72と、昇圧用コンデンサー97と、第1蓄電装置31と、第2蓄電装置32は、IC10の外部に設けられている。このように、整流回路90の一部をIC10の内部に構成することで、時計1の回路基板に実装する素子を少なくでき、コストを低減できる効果がある。
なお、各チョッピングトランジスター731、732の能力、つまりサイズは、発電機70におけるチョッピング時の電流に基づいて設定すればよい。
【0026】
このような整流回路90は、昇圧用コンデンサー97を備えているため、充電の過程で昇圧用コンデンサー97に充電された電荷も利用して、電源回路30の第1蓄電装置31や第2蓄電装置32を充電する。このため、IC10に印加できる電圧も大きくなり、IC10の安定的な動作が実現できる。なお、本実施形態では、整流回路90は、2段昇圧整流回路であるが、ダイオード、コンデンサーを使用し、3段昇圧、4段昇圧など、昇圧段数を増やし、電源回路30の電圧を高くすることもできる。
【0027】
[IC]
IC10は、
図2に示すように、発振回路11と、分周回路12と、回転検出回路13と、制動制御回路14と、電源電圧検出回路15と、発振停止検出回路16とを備える。なお、ICは、Integrated Circuitの略語である。
【0028】
発振回路11は、水晶振動子80とともに水晶発振回路100を構成する。そして、水晶発振回路100は、電源回路30のIC印加電圧VDDが発振停止電圧を下回ると発振停止し、IC印加電圧VDDが発振開始電圧を超えると発振を開始する。
なお、発振開始電圧は、発振停止電圧と同じ電圧でもよいが、発振開始後、安定して発振を継続できるように、発振停止電圧よりも高い電圧に設定することが好ましい。また、水晶発振回路100が発振を開始するには、発振回路11が作動していること、つまりIC10が作動している必要があるため、発振開始電圧は、IC10の動作開始電圧以上であればよく、本実施形態では、発振開始電圧と、IC10の動作開始電圧は同じ電圧とさされている。
発振停止電圧は、IC10の停止前に発振回路11により発振を停止するため、IC10の停止電圧Vstopよりも高い電圧に設定される。
発振回路11は、水晶振動子80の発振で発生する所定周波数の発振信号を分周回路12に出力する。本実施形態では、発振回路11は、32768Hzの発振信号を発生する。したがって、水晶振動子80および発振回路11を備える水晶発振回路100は、32768Hzのクロック信号を出力する発振手段である。
【0029】
分周回路12は、発振回路11の出力を分周して、複数の周波数のクロック信号を作成し、制動制御回路14や電源電圧検出回路15に必要なクロック信号を出力する。分周回路12から制動制御回路14に出力されるクロック信号は、発電機70のローター71の回転制御の基準となる基準信号である。本実施形態では、発電機70のローター71の基準速度v0が8Hzであるため、分周回路12は、8Hzの基準信号を作成して制動制御回路14に出力する。また、分周回路12から電源電圧検出回路15に出力されるクロック信号は、電源電圧検出回路15の作動周期に応じた周波数のクロック信号である。
【0030】
回転検出回路13は、発電機70に接続された図示略の波形整形回路とモノマルチバイブレーターとで構成され、発電機70に発生する誘起電圧波形からローター71の回転周波数つまり回転速度を表す回転検出信号を制動制御回路14に出力する。
発電機70のローター71は、増速輪列50を介してゼンマイ40の機械的エネルギーで回転するため、ローター71の回転速度によって、ゼンマイ40の機械的エネルギーを判定することができる。このため、回転検出回路13は、ローター71の回転速度の検出値に応じてゼンマイ40の機械的エネルギー量を判定し、その機械的エネルギー量に応じてスイッチ回路33の開閉を制御する制御信号を出力する。なお、スイッチ回路33の制御に用いるゼンマイ40の機械的エネルギーを判定する物理量は、ローター71の回転速度に限らず、調速機を兼用する発電機70のブレーキ量、発電電流値、発電電圧値でもよく、機械的エネルギーの大小を判定できる物理量であればよい。
【0031】
制動制御回路14は、回転検出回路13から出力される回転検出信号と、分周回路12から出力される基準信号とを比較し、発電機70の調速を行うための制動制御信号を発電機70のブレーキ回路73に出力する。
なお、本実施形態では、基準信号は、通常運針時のローター71の基準回転速度に合わせた信号である。したがって、制動制御回路14は、ローター71の回転速度に応じた回転検出信号と基準信号との差に応じて制動制御信号を出力することで、ブレーキ回路73によるブレーキ力を調整し、ローター71の回転を制御する。
【0032】
電源電圧検出回路15は、分周回路12から出力されるクロック信号に基づいて、所定の周期で電源回路30の第2蓄電装置32の電圧VBを検出する電圧検出手段である。そして、電源電圧検出回路15は、第2蓄電装置32の電圧VBが、所定の電圧、例えば、IC停止電圧Vstopより低い場合は、ゼンマイ40の機械的エネルギー量によらずスイッチ回路33をオフ状態に切り替えるLレベルの制御信号を出力する。
一方、電源電圧検出回路15は、第2蓄電装置32の電圧VBが、所定の電圧以上の場合は、ゼンマイ40の機械的エネルギー量に応じて、スイッチ回路33の切替が可能となるHレベルの制御信号を出力する。
【0033】
発振停止検出回路16は、発振回路11から出力されるクロック信号をモニターすることで、水晶発振回路100の発振停止を検出する発振停止検出手段である。発振停止検出回路16は、水晶発振回路100の発振停止を検出すると、ゼンマイ40の機械的エネルギー量によらずスイッチ回路33をオフ状態に切り替えるLレベルの制御信号を出力する。
また、発振停止検出回路16は、IC10が停止している状態から、電源回路30の第1蓄電装置31が充電され、水晶発振回路100が発振開始すると、ゼンマイ40の機械的エネルギー量に応じて、スイッチ回路33の切替が可能となるHレベルの制御信号を出力する。
【0034】
電源回路30のスイッチ回路33は、
図3および
図4に示すように、回転検出回路13、電源電圧検出回路15、発振停止検出回路16によってオン状態およびオフ状態に切り替え制御される。ここで、電源電圧検出回路15および発振停止検出回路16は、スイッチ回路33をオフ状態に維持する制御を実行し、回転検出回路13は、電源電圧検出回路15および発振停止検出回路16でスイッチ回路33がオフ状態に維持されていない場合に、スイッチ回路33のオン状態およびオフ状態を切り替える制御を実行する。
このため、回転検出回路13、電源電圧検出回路15、発振停止検出回路16から出力される制御信号はAND回路を介してスイッチ回路33に入力される。そして、電源電圧検出回路15または発振停止検出回路16からLレベルの制御信号が出力されている間は、スイッチ回路33はオフ状態に維持される。また、電源電圧検出回路15および発振停止検出回路16の両回路からHレベルの制御信号が出力されている間は、スイッチ回路33は、回転検出回路13から出力される制御信号によってオン状態およびオフ状態が切り替えられる。
【0035】
[電源回路の制御]
次に、IC10による電源回路30の制御、具体的にはスイッチ回路33のオン・オフ制御について、
図7のタイミングチャートを参照して説明する。なお、
図7に示すローター回転速度は、ゼンマイ40の機械的エネルギーを表すものであり、ショートブレーキが加えられていない非制動時のローター71の回転速度の変化を示している。
ゼンマイ40が巻き解けた状態であり、IC10も停止している状態からゼンマイ40が巻かれ始めると、ゼンマイ40に蓄積される機械的エネルギーでローター71が回転し始めて回転速度も上昇する。なお、IC10の停止に伴い、水晶発振回路100も停止しているため、発振停止検出回路16からLレベルの制御信号が出力され、スイッチ回路33はオフ状態に制御されている。
ローター71の回転速度が上昇するに伴って、発電機70で発電された電荷が整流回路90を介して第1蓄電装置31に充電され、IC印加電圧VDDが上昇する。第1蓄電装置31は、容量が小さいコンデンサーであるため、IC印加電圧VDDも比較的早く上昇する。
IC印加電圧VDDがIC10の動作開始電圧つまり発振開始電圧を超えると、IC10は発振回路11により水晶振動子80を発振させ、ローター71の回転制御を開始する。この回転制御により、実際のローター71は、基準速度v0を維持するように制御される。発振停止検出回路16は、水晶振動子80の発振を検出すると、Hレベルの制御信号をスイッチ回路33に出力する。また、電源電圧検出回路15も動作し、第2蓄電装置32の電圧VBに応じた制御信号を出力する。ここでは、電源電圧検出回路15からHレベルの制御信号が出力されるものとする。すなわち、第2蓄電装置32は、スイッチ回路33によって無駄な放電が防止され、所定の電圧未満に低下することが殆ど無いため、通常は、電源電圧検出回路15からHレベルの制御信号が出力される。
【0036】
IC10が回転制御を開始すると、回転検出回路13は、非制動時のローター71の回転速度が第1回転速度v1を上回ったか否かを検出する。第1回転速度v1は、ローター71の基準速度v0よりも速い速度、例えば、9Hzであり、基準速度v0の110~120%程度の速度に設定すればよい。
第1回転速度v1は、スイッチ回路33をオフ状態からオン状態に制御する条件である機械的エネルギー量の第1設定値である。
このため、回転検出回路13は、ゼンマイ40の巻き上げに伴い、ローター71の回転速度が上昇し、所定の第1回転速度v1を上回ったことを検出すると、スイッチ回路33をオンするために、Hレベルの制御信号をスイッチ回路33に出力する。この際、電源電圧検出回路15で検出される第2蓄電装置32の電圧VBがIC停止電圧Vstop以上であり、かつ、発振停止検出回路16で発振停止を検出してない場合は、電源電圧検出回路15および発振停止検出回路16からスイッチ回路33をオフ状態にするLレベル信号は出力されない。このため、回転検出回路13からの制御信号によりスイッチ回路33はオフ状態からオン状態に切り替えられる。
【0037】
スイッチ回路33がオン状態になると、第1蓄電装置31および第2蓄電装置32が並列に接続される。第2蓄電装置32は、第1蓄電装置31よりも容量が大きいため、IC印加電圧VDDは第2蓄電装置32の電圧レベルとなる。例えば、第2蓄電装置32の電圧VBの値がVB1であった場合、IC印加電圧VDDもVB1に上昇する。このため、IC10は第2蓄電装置32に蓄えられた電気エネルギーで駆動する。
スイッチ回路33がオン状態になると、第1蓄電装置31は第1蓄電装置31よりも高い電圧レベルの第2蓄電装置32で充電される。また、IC10が第2蓄電装置32の電気エネルギーで駆動されるため、第2蓄電装置32の電圧は徐々に低下する。
さらに、ゼンマイ40を巻き上げることで機械的エネルギーが増大し、ローター71の回転速度が上昇すると、発電機70の発電電圧VGが第2蓄電装置32の電圧VB以上となるため、発電機70は第2蓄電装置32を充電し、第2蓄電装置32の電圧VBが徐々に上昇する。
【0038】
ゼンマイ40の巻き上げが終わり、ゼンマイ40が解き始めると、非制動時のローター71の回転速度は徐々に低下する。ただし、発電電圧VGが第2蓄電装置32の電圧VBを上回っている間は、発電機70は第2蓄電装置32を充電するので、第2蓄電装置32の電圧VBは上昇する。
図7では、発電電圧VGが第2蓄電装置32の電圧VBを下回るまで、第2蓄電装置32の電圧は上昇して電圧VB2に到達している。
発電電圧VGが第2蓄電装置32の電圧VBを下回ると、第2蓄電装置32に蓄えられた電気エネルギーでIC10を駆動するため、第2蓄電装置32に蓄えられた電気エネルギーは減少し、第2蓄電装置32の電圧VBも低下する。
【0039】
ローター71の回転速度が低下し、所定の第2回転速度v2を下回ると、回転検出回路13は、Lレベルの制御信号を出力してスイッチ回路33をオフ状態に切り替える。なお、第2回転速度v2は、基準速度v0よりも低速に設定され、例えば、7Hzであり、基準速度v0の80~90%程度の速度に設定すればよい。第2回転速度v2は、スイッチ回路33をオン状態からオフ状態に制御する条件である機械的エネルギー量の第2設定値である。このため、第1設定値である第1回転速度v1は、第2設定値である第2回転速度v2よりも大きな値に設定されている。
スイッチ回路33がオフ状態になると、第2蓄電装置32は、第1蓄電装置31やIC10から切り離されるため、スイッチ回路33をオフする直前の電圧を維持する。
そして、IC10は、第1蓄電装置31に蓄えられた電気エネルギーで駆動する。第1蓄電装置31は、容量が小さいコンデンサーであり、ゼンマイ40の機械的エネルギーが低下して発電機70での発電量が小さい状態では、IC印加電圧VDDは急激に低下する。このため、第1蓄電装置31の電圧レベル、つまりIC印加電圧VDDが発振停止電圧を下回ると、水晶発振回路100の発振は停止され、発振停止検出回路16は、Lレベルの制御信号を出力する。また、電源電圧検出回路15も動作を停止する。さらに、第1蓄電装置31の電圧レベルがIC停止電圧Vstopを下回ると、IC10は停止する。
その後、ゼンマイ40が巻き上げられると、IC10は、前述した動作を繰り返す。
【0040】
図8は、第2蓄電装置32およびスイッチ回路33を備えていない比較例における電源回路の電圧VDD0と、本実施形態における電源回路30の電圧VDDと、ゼンマイ40の出力トルクTとについて、それぞれ時間との関係を示すグラフである。
図8に示すように、電源回路として第1蓄電装置31のみを設けた比較例では、電源回路の電圧VDD0は、第1蓄電装置31の容量が小さいため、発電機70の発電電圧に比例する。このため、ゼンマイ40の出力トルクTの低下に伴い発電機70の発電電圧が低下すると、電源回路の電圧VDD0も低下し、電圧VDD0がIC停止電圧Vstopに低下して調速不能となる時間t0までが時計の時刻精度を維持できる持続時間となる。
一方、本実施形態の電源回路30は、第1蓄電装置31に加えて容量の大きな第2蓄電装置32を備えているので、前述したように、ゼンマイ40の出力トルクTが低下する巻き解け末期でも、電源回路30の電圧VDDをIC停止電圧Vstop以上に維持できる。このため、ゼンマイ40の巻き解け末期でも、電源回路30の電圧VDDの低下でIC10が停止することがなく、ローター71が基準速度v0以上で回転を続ける限りは正確に調速できる。したがって、ゼンマイ40の出力トルクTの低下によりローター71の回転速度が基準速度v0以下に低下し、調速制御に関係なく時刻が遅れ始める時間t1までが、時計1の時刻精度を維持できる持続時間となり、この持続時間t1は、持続時間t0よりも長くできる。なお、時間t2において、ローター71が第2回転速度v2を下回り、スイッチ回路33がオフ状態になるため、前述のようにIC印加電圧VDDは急激に低下する。
【0041】
[実施形態の効果]
本実施形態の電子制御式機械時計1は、第1蓄電装置31と、第1蓄電装置31にスイッチ回路33を介して並列に接続される第1蓄電装置31よりも容量の大きな第2蓄電装置32とを備えた電源回路30を設けているので、ゼンマイ40の出力トルクTに余剰があるときは、発電した電力を第2蓄電装置32に蓄えておくことができる。このため、ゼンマイ40の出力トルクTが低下した時に、第2蓄電装置32に蓄えた電力により、IC10に印加する電圧をIC停止電圧Vstop以上に維持できるため、IC10を動作し続けることができる。したがって、ゼンマイ40の巻き解け末期で出力トルクTが低下した時でも、IC10が早期に停止することを防止できるため、第1蓄電装置31のみで電源回路を構成した場合に比べて、正確に調速できる持続時間を長くできる。
また、ローター71の回転速度が第2回転速度v2を下回ると、回転検出回路13はスイッチ回路33をオフ状態に切り替えるため、第2蓄電装置32からの放電を防ぐことができる。このため、再度、ゼンマイ40を巻き上げて、ローター71の回転速度が第1回転速度v1を上回ってスイッチ回路33をオン状態に切り替えた際に、IC印加電圧VDDがIC停止電圧Vstopを下回ってしまうことを防止できる。
【0042】
電源回路30に追加するのは、第2蓄電装置32およびスイッチ回路33のみであり、調速機を兼用する既存の発電機70を使用するため、新たな発電機を設ける必要もないため、ムーブメントの大型化を防ぎ、デザインの自由度を向上できる。
また、スイッチ回路33を設け、ゼンマイ40の出力トルクTが余剰にあるときに第2蓄電装置32を充電可能に構成しているので、電源回路30の電圧降下を防ぎ、持続時間を延ばす効果を長続きさせることができる。
さらに、第1蓄電装置31は容量が小さいコンデンサーであるため、ゼンマイ40の巻始め等、スイッチ回路33がオフ状態である場合は、IC印加電圧VDDを素早く上昇することができ、IC10の動作開始電圧を超えてIC10の動作を開始するまでの時間も短くできる。
【0043】
回転検出回路13は、ローター71の回転速度が第1回転速度v1を超えるとスイッチ回路33をオン状態に切り替え、ローター71の回転速度が第1回転速度v1よりも低速である第2回転速度v2を下回るとオフ状態に切り替えているので、スイッチ回路33のオン、オフ制御の閾値にヒステリシスを持たせることができ、スイッチ回路33をオンする設定値である第1回転速度v1を大きな値に設定できる。このため、ゼンマイ40が確実に巻き上がっている状態でスイッチ回路33をオンすることができ、ゼンマイ40のトルクが低いために調速制御に関係無く指針4の指示時刻がずれる状態での第2蓄電装置32の無駄な放電を防止できる。
また、スイッチ回路33をオフ状態に切り替える設定値である第2回転速度v2は小さな値にできるため、確実にゼンマイ40が解けている状態でスイッチ回路33をオフすることができる。このため、IC10で調速制御すれば正しい時刻を指示できる状態であるが、時計1の姿勢などによって一時的にローター71の回転速度が基準速度v0以下に低下した場合に、第2蓄電装置32からの電気エネルギー供給を停止してしまうことを防止でき、その分、持続時間を延ばすことができる。
【0044】
電源電圧検出回路15は、第2蓄電装置32の電圧が、例えばIC停止電圧Vstop以下に著しく低下している場合は、スイッチ回路33をオフ状態に維持するため、第1蓄電装置31に蓄えられた電荷がスイッチ回路33を介して第2蓄電装置32に放電し、IC印加電圧VDDがIC10のIC停止電圧Vstopを下回ってIC10が停止することを防止できる。このため、第2蓄電装置32の電圧が所定の電圧より低い場合には、ゼンマイ40の機械的エネルギーが所定の値を上回っていてもスイッチ回路33をオン状態に切り替えないようにして、電圧降下によるIC10の動作停止を防ぎ、調速不能とならないようにすることができる。
【0045】
水晶発振回路100が発振停止しているような電圧が低い時は、回転検出回路13、電源電圧検出回路15等も動作を停止しており、スイッチ回路33に出力される制御信号は保証されない。そのため、第2蓄電装置32の電圧VBが低い状態で、かつスイッチ回路33がオン状態になっていると、ゼンマイ40が巻かれて発電機70が動き始めても、容量の大きな第2蓄電装置32に電荷が流れ込み、IC10が起動できる電圧になるまで非常に長く時間がかかる。
本実施形態では、発振停止と開始に同期した発振停止検出回路16を用いてスイッチ回路33を制御することにより、IC10が発振を停止している時はスイッチ回路33をオフ状態に維持することで、スイッチ回路33を介していない第1蓄電装置31だけに確実に電荷を溜め、IC10が正常に起動するだけの電圧を速く確保することができる。
【0046】
電子制御式機械時計1は、IC10によりローター71の回転速度を検出し、その回転速度に応じたブレーキ制御を行うことで調速している。
そのため、ローター71の回転速度を検出することで、同時にIC10の機械的エネルギーを測定することになり、専用の測定回路を設ける必要が無く、回路構成を簡素化できる。
【0047】
[変形例]
なお、本開示は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。
スイッチは、前記実施形態のスイッチ回路33に限定されない。例えば、
図9~
図11に示すように、ゼンマイ40の巻き上げおよび巻き解けに連動するメカスイッチ35を用いてもよい。メカスイッチ35は、IC10の第1の電源ライン21に接続された第1電極351と、第2蓄電装置32の第1の電源ライン21に接続された第2電極352と、第1電極351、第2電極352に導通可能な導通バネ353とを備えている。導通バネ353は、パワーリザーブ針5を運針するパワーリザーブ輪列の歯車55に取り付けられている。
【0048】
第1電極351および第2電極352は、
図9および
図10に示すように、平面視で円弧状に形成され、かつ、互いに離間して回路基板20上に形成されている。
導通バネ353は、第1電極351に接触可能な第1導通部3531と、第2電極352に接触可能な第2導通部3532とを備えている。
ここで、パワーリザーブ輪列の歯車55は、ゼンマイ40を巻き上げると、
図9において時計回り方向に回転し、導通バネ353も歯車55と一体で時計回り方向に回転する。一方、パワーリザーブ輪列の歯車55は、ゼンマイ40が巻き解けると、
図9において反時計回り方向に回転し、導通バネ353も歯車55と一体で反時計回り方向に回転する。
導通バネ353は、ゼンマイ40のフル巻状態では、
図9に示すように、第1導通部3531が第1電極351の時計回り方向の端部に接触し、第2導通部3532が第2電極352の時計回り方向の端部に接触し、第2蓄電装置32のVDD端子と、IC10のVDD端子とを導通する。このため、メカスイッチ35はオン状態とされている。
【0049】
ゼンマイ40が巻き解け始めると、歯車55および導通バネ353は、
図9の矢印方向つまり反時計回りに回転し、導通バネ353は、第1電極351および第2電極352の導通状態を維持し、メカスイッチ35はオン状態を維持する。
一方、ゼンマイ40の巻き解け末期つまりゼンマイ40の巻き上げ量が所定値を下回った場合は、
図11に示すように、第1導通部3531は、第1電極351から外れた位置に移動するため、メカスイッチ35はオフ状態に切り替わる。
このようなメカスイッチ35を用いた場合も、ゼンマイ40の巻き上げ量に連動してメカスイッチ35がオン状態またはオフ状態に切り替わるため、前記スイッチ回路33と同様の機能を実現できる。
【0050】
第2蓄電装置32は、電子制御式機械時計1の工場出荷時に充電され、その後の通常使用では、スイッチ回路33の制御によって無駄な放電を防止しているので、第2蓄電装置32の電圧VBがIC停止電圧Vstop以下に低下する可能性は低い。ただし、第2蓄電装置32の電圧VBがIC停止電圧Vstop以下に低下した場合は、電源電圧検出回路15によってスイッチ回路33がオフ状態に維持されるため、第2蓄電装置32を充電することができなくなる。このため、電子制御式機械時計1に、スイッチ回路33を強制的にオン状態に設定して第2蓄電装置32を充電する充電モードを設定してもよい。
【0051】
前記実施形態では、第1設定値である第1回転速度v1は、第2設定値である第2回転速度v2よりも大きな値に設定していたが、第1設定値および第2設定値を同じ値に設定してもよい。
また、第2設定値である第2回転速度v2を、ローター71の基準速度v0よりも小さい値に設定していたが、基準速度v0と同じ値に設定してもよい。
さらに、前記実施形態では、制御手段であるIC10は、電源電圧検出回路15および発振停止検出回路16を備えていたが、これらの回路を備えずに、回転検出回路13のみでスイッチ回路33のオン、オフ制御を行ってもよい。
【0052】
前記実施形態では、ゼンマイ40からの機械的エネルギーで調速機を兼用する発電機70のローター71を回転し、ローター71の回転速度を調速制御することで、各指針4の運針速度を制御する電子制御式機械時計1に適用していたが、これに限定されない。例えば、ゼンマイ40からの機械的エネルギーを伝達する輪列を、ガンギ車、アンクル、テンプを用いて調速する際に、テンプの振動を検出してテンプの動作を調速する電子制御式機械時計に適用してもよい。
【0053】
[まとめ]
本開示の電子制御式機械時計は、ゼンマイと、前記ゼンマイの機械的エネルギーを伝達する輪列と、前記輪列によって駆動されて時刻を表示する指針と、前記輪列の回転周期を制御する調速機と、前記調速機を制御する制御手段と、前記ゼンマイの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、前記発電機の電気エネルギーを蓄電し、前記制御手段に電気エネルギーを供給する第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置にスイッチを介して並列に接続され、電気エネルギーを蓄電可能な第2蓄電装置と、前記ゼンマイに蓄積される機械的エネルギー量を検出する検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記スイッチがオフ状態の場合に、前記検出手段で前記機械的エネルギー量が第1設定値を超えたことが検出されると、前記スイッチをオフ状態からオン状態に制御し、前記スイッチがオン状態の場合に、前記検出手段で前記機械的エネルギー量が第2設定値を下回ったことが検出されると、前記スイッチをオン状態からオフ状態に制御することを特徴とする。
本開示の電子制御式機械時計によれば、ゼンマイに蓄積される機械的エネルギーが第1設定値を超えた場合に、スイッチをオン状態に制御して第2蓄電装置を第1蓄電装置に並列に接続するため、ゼンマイの機械的エネルギーに余剰があるときに発電機で発電した電力を第2蓄電装置に蓄えることができる。このため、ゼンマイの巻き解け末期でゼンマイに蓄積される機械的エネルギーが低下して発電電力が低下しても、第1蓄電装置に加えて第2蓄電装置を設けることによって制御手段を動作し続けることができ、第1蓄電装置のみを設けた場合に比べて、指針を正確に調速できる持続時間を延長できる。
また、ゼンマイに蓄積される機械的エネルギーが第2設定値を下回った場合に、スイッチをオフ状態に制御するため、第2蓄電装置からの放電を防止でき、第2蓄電装置の電圧を高いレベルに維持できる。このため、再度、ゼンマイを巻き上げて、機械的エネルギーが第1設定値を超えてスイッチをオン状態に切り替えた際に、第1蓄電装置および第2蓄電装置の電圧が大幅に低下して制御手段が停止することを防止できる。
さらに、第1蓄電装置に加えて、第2蓄電装置およびスイッチを追加すれば良く、付加電源用の新たな発電機を設ける必要がないため、ムーブメントの大型化を防ぎ、デザインの自由度を向上できる。
【0054】
本開示の電子制御式機械時計において、前記第1設定値は、前記第2設定値より大きいことが好ましい。
第1設定値を第2設定値よりも大きな値に設定しているので、スイッチのオン、オフ制御の閾値にヒステリシスを持たせることができ、スイッチをオンする第1設定値を大きな値に設定できる。このため、ゼンマイが確実に巻き上がっている状態でスイッチをオンすることができ、ゼンマイのトルクが低いために調速制御に関係無く指針の指示時刻がずれる状態での第2蓄電装置の無駄な放電を防止できる。
また、スイッチをオフ状態に切り替える第2設定値を小さな値にできるため、ゼンマイが確実に解けている状態でスイッチをオフすることができる。このため、制御手段で調速制御すれば正しい時刻を指示できる状態で第2蓄電装置からの電気エネルギー供給を停止してしまうことを防止でき、その分、持続時間を延ばすことができる。
【0055】
本開示の電子制御式機械時計において、前記発電機は、ローターを備え、前記第2設定値は、前記ローターの回転速度が基準速度以下となる値であることが好ましい。
第2設定値をローターの基準速度に設定した場合は、電子制御式機械時計の姿勢などによって、ローターの回転速度が一時的に基準速度以下に低下した場合にスイッチをオフに制御し、そのために調速制御が終了する可能性がある。
これに対し、ローターの回転速度が基準速度以下となる値を第2設定値とすれば、機械的エネルギーが確実に低下した場合にスイッチをオフに制御でき、持続時間を延ばすことができる。
【0056】
本開示の電子制御式機械時計において、前記第2蓄電装置に蓄電される蓄電量は、前記第1蓄電装置に蓄電される蓄電量より大きいことが好ましい。
第2蓄電装置に蓄電される蓄電量、つまり第2蓄電装置の容量を、第1蓄電装置よりも大きくしているので、容量が大きな第2蓄電装置を用いることによって持続時間を長くすることができる。また、第1蓄電装置は容量が小さなコンデンサー等で構成できるため、スイッチをオフして第1蓄電装置のみを発電機で充電することができるので、ゼンマイを巻き上げ始めた際に第1蓄電装置の電圧を、制御手段を駆動可能なレベルに迅速に高めることができ、制御手段を作動するまでの時間を短くできる。
【0057】
本開示の電子制御式機械時計において、クロック信号を出力する発振手段と、前記発振手段の停止を検出する発振停止検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記発振停止検出手段で前記発振手段の停止を検出している場合は、前記スイッチをオフ状態に維持することが好ましい。
発振手段が発振を停止している間はスイッチをオフ状態に維持しているので、第1蓄電装置のみを発電機で充電できるので、ゼンマイを巻き上げ始めた際に第1蓄電装置の電圧を、制御手段を駆動可能なレベルに迅速に高めることができ、制御手段を作動するまでの時間を短くできる。
【0058】
本開示の電子制御式機械時計において、前記第2蓄電装置の電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記制御手段は、前記電圧検出手段で前記第2蓄電装置の電圧が所定値以下であることを検出している場合は、前記機械的エネルギー量が前記第1設定値を超えたことが検出されても前記スイッチをオフ状態に維持することが好ましい。
本開示の電子制御式機械時計によれば、第2蓄電装置の電圧が所定値以下に低下した場合はスイッチをオフ状態に維持するため、スイッチをオンすることで第1蓄電装置の電荷が第2蓄電装置に放電して電圧降下によって制御手段の動作が停止することを防止できる。
【0059】
本開示の電子制御式機械時計において、前記発電機は、前記輪列に接続されたローターを備え、前記検出手段は、前記ローターの回転速度に基づいて前記機械的エネルギー量を検出することが好ましい。
本開示の電子制御式機械時計によれば、調速制御用に検出するローターの回転速度を、機械的エネルギー量の検出にも利用しているので、機械的エネルギー量を検出するための専用の検出回路を設ける必要が無く、回路構成を簡素化できる。
【0060】
本開示の電子制御式機械時計は、ゼンマイと、前記ゼンマイの機械的エネルギーを伝達する輪列と、前記輪列によって駆動されて時刻を表示する指針と、前記輪列の回転周期を制御する調速機と、前記調速機を制御する制御手段と、前記ゼンマイの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、前記発電機の電気エネルギーを蓄電し、前記制御手段に電気エネルギーを供給する第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置に並列に接続され、電気エネルギーを蓄電可能な第2蓄電装置と、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との間に配置され、前記第1蓄電装置と前記第2蓄電装置との接続状態を切り替えるスイッチと、を備え、前記スイッチは、前記ゼンマイの巻き上げ量が所定値を超えるとオフ状態からオン状態に切り替わり、前記第2蓄電装置を前記第1蓄電装置に接続し、前記ゼンマイの巻き上げ量が所定値を下回るとオン状態からオフ状態に切り替わり、前記第2蓄電装置を前記第1蓄電装置から切断することを特徴とする。
本開示の電子制御式機械時計によれば、ゼンマイの巻き上げ量が所定値を超えると、オフ状態からオン状態に切り替わり、ゼンマイの巻き上げ量が所定値を下回ると、オン状態からオフ状態に切り替わるスイッチを用いているので、ゼンマイの機械的エネルギーに余剰があるときに発電機で発電した電力を第2蓄電装置に蓄えることができる。このため、ゼンマイの巻き解け末期でゼンマイに蓄積される機械的エネルギーが低下して発電電力が低下しても、第1蓄電装置に加えて第2蓄電装置を設けることによって制御手段を動作し続けることができ、第1蓄電装置のみを設けた場合に比べて、指針を正確に調速できる持続時間を延長できる。
また、ゼンマイの巻き上げ量が所定値を下回った場合に、スイッチをオフ状態に制御するため、第2蓄電装置からの放電を防止でき、第2蓄電装置の電圧を高いレベルに維持できる。このため、再度、ゼンマイを巻き上げて、スイッチがオン状態に切り替わった際に、第1蓄電装置および第2蓄電装置の電圧が大幅に低下して制御手段が停止することを防止できる。
さらに、第1蓄電装置に加えて、第2蓄電装置およびスイッチを追加すれば良く、付加電源用の新たな発電機を設ける必要がないため、ムーブメントの大型化を防ぎ、デザインの自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0061】
1…電子制御式機械時計、4…指針、5…パワーリザーブ針、10…IC、11…発振回路、12…分周回路、13…回転検出回路、14…制動制御回路、15…電源電圧検出回路、16…発振停止検出回路、20…回路基板、21…第1の電源ライン、22…第2の電源ライン、30…電源回路、31…第1蓄電装置、32…第2蓄電装置、33…スイッチ回路、35…メカスイッチ、40…ゼンマイ、50…増速輪列、55…歯車、60…表示部、70…発電機、71…ローター、72…コイル、73…ブレーキ回路、80…水晶振動子、90…整流回路、100…水晶発振回路、351…第1電極、352…第2電極、353…導通バネ、3531…第1導通部、3532…第2導通部。