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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127052
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】車両充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240912BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240912BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240912BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240912BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20240912BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20240912BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20240912BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H02J7/02 V
H02J7/00 P
H02J7/02 F
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/62
B60L53/66
B60L53/30
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035896
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CC02
5G503EA01
5G503FA03
5G503GD03
5G503GD06
5H030AS08
5H030AS18
5H030DD21
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF52
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125DD02
(57)【要約】
【課題】 充電コネクタに流せる電流の情報を、利用者が充電前に入手できる車両充電システムを提供する。
【解決手段】 車両Mに接続する充電コネクタ21を3台備えた充電装置3が2台設置されて構成され、充電装置3は車両Mに対して供給可能な電流は上限値が一律に設定されており、各充電装置3は一部の充電コネクタ21による車両充電が行われている場合に、充電制御装置CPU26が未使用の充電コネクタ21が車両Mに供給可能な電流値を予測し、予測された充電コネクタ21毎の電流値の情報が表示部6に表示される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に接続する充電コネクタを複数備えた充電装置が複数設置された車両充電システムであって、
前記充電装置が車両に対して供給可能な電流の上限値は一律に設定されており、
各前記充電装置は、一部の前記充電コネクタによる車両充電が行われている場合に、未使用の前記充電コネクタから車両に供給可能な電流値を予測する予測部と、
前記予測部が予測した供給可能な電流値の情報を前記充電コネクタ毎に表示する電流情報表示部とを有することを特徴とする車両充電システム。
【請求項2】
前記予測部は、前記車両に供給可能な電流値の情報を複数の段階に分類して予測し、
前記電流情報表示部は、分類した情報を表示することを特徴とする請求項1記載の車両充電システム。
【請求項3】
前記電流情報表示部は、対応する前記充電コネクタ及び前記充電コネクタを保持するコネクタ保持部のうちの何れか一方に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両充電システム。
【請求項4】
充電のための駐車区画毎に使用する前記充電コネクタは固定されており、
前記電流情報表示部は、駐車区画毎に設置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両充電システム。
【請求項5】
車両に接続する充電コネクタを複数備えた充電装置が複数設置された車両充電システムであって、
前記充電装置が車両に対して供給可能な電流の上限値は一律に設定されており、
各前記充電装置は、一部の前記充電コネクタによる車両充電が行われている場合に、未使用の前記充電コネクタから車両に対して供給可能な電流値を予測する予測部を有すると共に、
車両充電のための駐車場の入口に、前記予測部が予測した前記電流値の情報を表示するモニタが配置され、
前記モニタに個々の前記充電コネクタが供給可能な電流値の情報が一覧表示されることを特徴とする車両充電システム。
【請求項6】
前記予測部は、前記車両に供給可能な電流値の情報を複数の段階に分類して予測し、
前記モニタは、分類した情報を表示することを特徴とする請求項5記載の車両充電システム。
【請求項7】
個々の前記充電コネクタの使用回数を記憶する使用回数記憶部と、
前記電流情報表示部の表示を変更制御する変更制御部とを有し、
前記変更制御部は、同一の前記充電装置において、前記電流情報表示部が表示する前記電流値の情報が同一の前記充電コネクタが複数ある場合に、当該充電コネクタの使用回数を比較して、使用回数の最も多い前記充電コネクタの前記電流情報表示部の表示を、予測した電流値の情報より少ない電流値の情報の表示に変更させることを特徴とする請求項2又は6記載の車両充電システム。
【請求項8】
リレーをオン/オフして前記充電コネクタに供給する電流を制御する出力回路が、前記充電コネクタ毎に設けられており、
前記出力回路の前記リレーの動作回数を記憶する動作回数記憶部と、
前記電流情報表示部の表示を変更制御する変更制御部とを有し、
前記変更制御部は、同一の前記充電装置において、前記電流情報表示部が表示する前記電流値の情報が同一の前記充電コネクタが複数ある場合に、当該充電コネクタに供給する電流をオン/オフする前記リレーの動作回数を比較して、動作回数の最も多い前記出力回路を具備する前記充電コネクタの前記電流情報表示部の表示を、予測した電流値の情報より少ない電流値の情報の表示に変更させることを特徴とする請求項2又は6記載の車両充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両充電システムに関し、特に複数の車両の同時充電が可能な車両充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の蓄電池を搭載した車両を充電するために、車両を充電する充電コネクタを複数備えた充電装置がある(例えば、特許文献1参照)。このように充電装置に複数の充電コネクタを備えることで、同時に複数の車両の充電が可能であるため、増加する電動車両に対応して充電スタンドでの待ち時間を削減できた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-225971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記充電コネクタを複数備えた従来の充電装置は、同時に複数の車両充電が可能であるため、充電渋滞の解消に有効であったが、高速道路のパーキングエリア等の充電スタンドでは、このような充電装置を設置しても、1台では充電待ち車両の解消には至らないため、このような充電装置を複数設置して多数の車両の同時充電を可能としている。
【0005】
ところが、このような充電装置を複数備えたシステムでは、次のような新たな問題が発生した。複数の充電装置を備えたシステムでは、個々の充電装置は同一の電流容量で構成され、分電盤等から供給される電流の最大値は同一に設定されているが、個々の充電装置に均等に車両が接続される訳ではないし、車両が要求する充電電流も車両毎に異なる。
そのため、空いている充電コネクタに車両を接続して充電を開始しても、車両に供給できる電流(電力)は充電装置毎に異なるものとなった。また、複数車両の充電を制御する方式には、充電開始順に優先制御する先行優先方式、充電開始順に関係無く均等に充電する均等割り振り方式等があるが、何れの場合も同時に充電する車両の数により個々の車両の充電電流は変化した。
【0006】
このように充電電流は変化するため、車両に供給可能な電流は接続して充電を開始しなければわからなかった。例えば、既に供給能力の上限に近い電流が車両充電に使用されている充電装置の場合は、空き充電コネクタに車両を接続した場合、充電開始時に供給される電流は他の充電装置に接続した場合に比べ少なくなった。そのため、充電時間が長くなり、利用者は不平等感を感じる場合があった。
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、充電コネクタに流せる電流の情報を、利用者が充電前に入手できる車両充電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為に、本発明に係る蓄電池システムは、車両に接続する充電コネクタを複数備えた充電装置が複数設置された車両充電システムであって、充電装置が車両に対して供給可能な電流の上限値は一律に設定されており、各充電装置は、一部の充電コネクタによる車両充電が行われている場合に、未使用の充電コネクタから車両に供給可能な電流値を予測する予測部と、予測部が予測した供給可能な電流値の情報を充電コネクタ毎に表示する電流情報表示部とを有することを特徴とする。
この構成によれば、未使用の充電コネクタに供給される電流値の情報を、充電前に電流情報表示部を見ることで得ることができるため、利用者は充電電流の大きい充電コネクタを選択することが可能となり利便性が良い。
【0009】
本発明の別の態様は、上記構成において、予測部は車両に供給可能な電流値の情報を複数の段階に分類して予測し、電流情報表示部は分類した情報を表示することを特徴とする。
この構成によれば、供給可能な電流値の情報を複数に分類して、分類した情報を表示するため、数字で表示されるより分かり易く、利用者は充電電流の状況を把握し易い。
【0010】
本発明の別の態様は、上記構成において、電流情報表示部は、対応する充電コネクタ及び充電コネクタを保持するコネクタ保持部のうちの何れか一方に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、充電コネクタを操作する際に視覚に入るため、利用者は電流値の情報を得やすい。
【0011】
本発明の別の態様は、上記構成において、充電のための駐車区画毎に使用する充電コネクタは固定されており、電流情報表示部は駐車区画毎に設置されていることを特徴とする。
この構成によれば、充電のために駐車する駐車区画において充電電流値の情報を認識できるため、駐車する段階で把握でき充電装置まで見に行く必要がなく利便性が良い。
【0012】
本発明係る蓄電池システムの別の態様は、車両に接続する充電コネクタを複数備えた充電装置が複数設置された車両充電システムであって、充電装置が車両に対して供給可能な電流の上限値は一律に設定されており、各充電装置は、一部の充電コネクタによる車両充電が行われている場合に、未使用の充電コネクタから車両に対して供給可能な電流値を予測する予測部を有すると共に、車両充電のための駐車場の入口に、予測部が予測した電流値の情報を表示するモニタが配置され、モニタに個々の充電コネクタが供給可能な電流値の情報が一覧表示されることを特徴とする。
この構成によれば、個々の充電コネクタの充電電流値の情報が駐車場の入口で一覧表示されるため、駐車すべき駐車区画を容易に選択でき、利便性が良い。
【0013】
本発明の別の態様は、上記構成において、予測部は車両に供給可能な電流値の情報を複数の段階に分類して予測し、モニタは分類した情報を表示することを特徴とする。
この構成によれば、供給可能な電流値の情報を複数に分類して、分類した情報を表示するため、数字で表示されるより分かり易く、利用者は充電電流の状況を把握し易い。
【0014】
本発明の別の態様は、上記構成において、個々の充電コネクタの使用回数を記憶する使用回数記憶部と、電流情報表示部の表示を変更制御する変更制御部とを有し、変更制御部は、同一の充電装置において電流情報表示部が表示する電流値の情報が同一の充電コネクタが複数ある場合に、当該充電コネクタの使用回数を比較して、使用回数の最も多い充電コネクタの電流情報表示部の表示を、予測した電流値の情報より少ない電流値の情報の表示に変更させることを特徴とする。
この構成によれば、使用頻度の高い充電コネクタに対しては、使用を制限する制御が成されるため、充電コネクタの均等な利用を促すことができ、特定の充電コネクタの短期劣化を防ぐことができる。
【0015】
本発明の別の態様は、上記構成において、リレーをオン/オフして充電コネクタに供給する電流を制御する出力回路が、前記充電コネクタ毎に設けられており、出力回路のリレーの動作回数を記憶する動作回数記憶部と、電流情報表示部の表示を変更制御する変更制御部とを有し、変更制御部は、同一の充電装置において、電流情報表示部が表示する電流値の情報が同一の充電コネクタが複数ある場合に、当該充電コネクタに供給する電流をオン/オフするリレーの動作回数を比較して、動作回数の最も多い出力回路を具備する充電コネクタの電流情報表示部の表示を、予測した電流値の情報より少ない電流値の情報の表示に変更させることを特徴とする。
この構成によれば、リレーの動作回数の多い充電コネクタに対しては、使用を制限する制御が成されるため、リレーの動作回数の均一化を促すことができ、特定の出力回路の短期劣化を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、未使用の充電コネクタに供給される電流値の情報を、充電前に電流情報表示部を見ることで得ることができるため、利用者は充電電流の大きい充電コネクタを選択することが可能となり利便性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る車両充電システムの一例を示し、受電設備を含む全体の構成図である。
図2】車両充電システムの制御系の機能ブロック図である。
図3】充電装置の外観図である。
図4】電流情報表示部の設置例を示す説明図である。
図5】予測電流の算出例を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る車両充電システムの一例を示し、受電設備を含む全体の構成を示している。
車両充電システム1は、車両Mに接続する充電コネクタ21(図2に示す)を備えた充電器2を複数備えた充電装置3を複数備え、更に個々の充電装置3の情報を管理する管理サーバ4、充電電流値の情報を一括表示するモニタ5を備えている。また、6は充電器2が充電する予測電流を表示する表示部(電流情報表示部)である。
【0019】
尚、ここでは3台の充電器2(第1充電器2a、第2充電器2b、第3充電器2c)を備えた充電装置3を2台(第1充電装置3a、第2充電装置3b)備えた構成を示しているが、充電装置3は複数台あれば良く3台でも良いしそれ以上でも良い。また充電装置3が具備する充電器2の数においても複数であれば良い。
【0020】
充電装置3には、高圧受電設備Wの電灯負荷に電力を供給する降圧変圧器11の出力が電灯盤12を介して供給される。充電装置3には配線用遮断器(MCB)31が設けられ、電流の上限値が規定されている。MCB31の出力が充電コネクタ21毎に分岐されて漏電遮断器(ELB)32を介して各充電器2に供給される。
【0021】
管理サーバ4はクラウド上に配置されて、通信ネットワークNを介して個々の充電装置3及びモニタ5と無線或いは有線で接続されている。
【0022】
図2は、車両充電システム1を構成する制御系のブロック図である。図2に示すように、車両充電システム1を制御する機器は、充電器2、管理サーバ4に加えて充電装置3に設けられている充電制御装置7により構成されている。
充電器2は、充電コネクタ21、充電コネクタ21を介して車両Mに供給される充電電流、電圧、充電した電力量等を計測する充電計測部22、充電計測部22が計測したデータを保管するメモリ23、車両Mに供給する電流をオン/オフするリレー24aを具備して充電電流を制御する出力回路24、充電器2を制御する充電器CPU26、充電制御装置7と通信する通信部25等を備えている。
【0023】
充電器CPU24はまた、充電コネクタ21の使用情報、出力回路24のリレー24aの動作情報を充電制御装置7に通知する。動作情報とはリレー24aがオン動作或いはオフ動作する情報であり、この情報を受信した充電制御装置CPU72は、リレー24aの動作情報を管理サーバ4に送信する。
【0024】
管理サーバ4は、充電コネクタ21の使用回数、出力回路24のリレー24aの動作回数を記憶するメモリ(使用回数記憶部、動作回数記憶部)41、管理サーバ4を制御するサーバCPU42、充電装置3及びモニタ5と通信する通信部43等を備えている。
サーバCPU42は、各充電装置3から充電コネクタ21の使用情報及び出力回路24のリレー24aの動作情報を入手し、充電コネクタ21の使用回数報及びリレー24aの動作回数情報をメモリ41に保存する。
またサーバCPU42は、充電コネクタ21の使用回数情報及びリレー24aの動作回数情報を基に、充電コネクタ21の予測電流の表示を変更する変更制御部として動作する。
【0025】
充電制御装置7は、充電装置3内の各充電器2が車両Mに供給している電流、電力量のデータを記憶するメモリ71、充電制御装置7を制御する充電制御装置CPU72、充電器2と通信する第1通信部73、管理サーバ4と通信する第2通信部74等を備え、個々の充電器2に供給する電流を制御する。
【0026】
充電制御装置CPU72は、空き充電コネクタ21が使用される場合に供給可能な電流の予測値を算出する予測部でもあり、充電装置3に設定されている電流の上限値を超えないよう充電電流を監視し、空き充電コネクタ21が車両Mに接続された場合に供給可能な電流の予測値を算出する。予測した電流値の情報は、制限あり/無しの2段階に分類されて出力される。
具体的に、制限の無い状態で充電電流を出力できる充電器2に対しては、制限無し信号が出力され、充電電流が制限された電流となる充電器2に対しては、制限有り信号が出力される。また、充電に使用中の充電器2に対しては充電中の信号を出力する。この予測電流値の情報はメモリ71に記憶される。
【0027】
図3は、充電装置3の外観図である。充電装置3は筐体の前面に3つのコネクタ保持部21bが並べて配置され、それぞれ充電コネクタ21を保持している。そして、コネクタ保持部21bの上部近傍にそれぞれに対応する表示部6が設けられている。尚、表示部6は、筐体では無く充電コネクタ21自体に設けても良い。
また筐体の内部には、充電コネクタ21毎に充電器2が設置されているし、充電制御装置7が組み込まれている。充電コネクタ21はケーブル21aを介して充電器2に接続されている。
【0028】
図4は、モニタ5が表示する予測電流値の情報の表示説明図である。モニタ5は液晶表示する画面で形成され、図4に示すように駐車場全体の状況を表示し、個々の駐車区画Pに合わせて予測電流を表示する表示部6が配置されている。モニタ5は、車両Mが駐車する駐車場の入口に設置され、車両充電のために駐車場に来た利用者は、入口でこのモニタ5を見ることで駐車区画P毎の充電コネクタ21の状況を把握できる。
ここでは、駐車区画P毎に使用する充電コネクタ21(充電器2)が決められており、充電制御装置7が算出した予測値である制限有り信号、制限無し信号に従って表示が実施される。
具体的に、表示部6は色で判別可能に表示され、制限無しの信号を受けた場合は例えば緑色、制限有りの信号を受けた場合は例えば黄色、充電中の場合は例えば青色で表示される。
【0029】
上記の如く構成された車両充電システム1の表示部6及びモニタ5の具体的表示は以下のようである。但し、充電コネクタ21を車両Mに接続した順に優先充電する先行優先モードで充電が行われ、充電装置3の電流総容量を60A(アンペア)、1台の車両Mに供給される最大電流値を30Aとして説明する。尚、充電電圧は、例えば200V(ボルト)であり一定電圧である。
【0030】
図1に示す使用状況を例に説明する。図1では第1充電装置3aに2台の車両Mが接続されて、第2充電装置3bに車両Mは接続されていない。
図5は、この場合の予測電流値の算出例と表示部6の表示色を示している。図5に示すように、第1充電装置3aの第1充電器2a、第2充電器2bは充電中であり、それぞれ30Aを供給し、第3充電器2cに車両Mが接続されていないため、0Aであることを示している。一方、第2充電装置3bには車両Mが接続されていないため、いずれも供給電流は0Aである。
【0031】
この状態で、充電制御装置7の充電制御装置CPU72は、以下のように予測電流を算出する。第1充電装置3aの場合、第1充電器2aで充電中の車両M(M1とする)が第2充電器2bで充電中の車両M(M2とする)より先に接続されたとすると、先行優先モードで充電が行われる場合、車両M1の充電が優先される制御が実施される事になる。そのため、第1充電装置3aの第3充電器2cに3台目の車両Mが接続された場合の予測値としては、第2充電器2と同等或いはそれ以下の電流となる。
第2充電器2bと同等の電流を割り当てる設定であるとすると、30Aを2等分して15Aが算出され、15Aが第3充電器2cに供給される電流となる。図5はこの結果を示し、第1充電装置3aの各表示部6は、第1充電器2a及び第2充電器2bは「青」色の表示、第3充電器2cは「黄色」の表示となる。
【0032】
一方、第2充電装置3bの場合は、何れの充電器2も車両Mが接続されていないため、3つの充電器2の予測値は何れも上限の30Aとなることを示している。
但し、ここで、管理サーバ4が充電コネクタ21の使用回数、或いは充電器2のリレー2aの動作回数基づく表示変更を実施する。この変更は、2段階表示の場合は未使用の充電装置3の表示に対して実施される。尚、この情報は各充電装置3から通知され、予め選択された何れか一方の情報が使われて制御が実施される。
【0033】
ここでは、充電コネクタ21の使用回数が選択された場合を中心に説明する。図1では第2充電装置3bが未使用であるため、この中で最も使用頻度の高い(使用回数の多い)充電コネクタが第3充電器2cの充電コネクタ21である場合、第3充電器2cの表示を1段階下げる制御を実施する。結果、図5に示すように、第2充電装置3bの各表示部6は、第1充電器2a及び第2充電器2bは「緑」色の表示、第3充電器2cは「黄色」の表示となる。
【0034】
図1に示す各充電器2の表示部6の表示はこの結果に基づいており、第1充電装置3aの第1充電器2a及び第2充電器2bは青色、第3充電器2cは黄色、第2充電装置3bの第1充電器2a、第2充電器2bは緑色、第3充電器2cは黄色の表示となる。
【0035】
尚、ここでは、電流値の表示を3種類(予測電流値の表示は2段階)としているため、使用回数による表示変更を未使用の充電装置3に限定しているが、予測電流値の表示は3段階或いは4段階で行っても良く、3段階以上で表示する場合は一部の充電器2が車両充電中の充電装置3においても、未使用の充電器2の予測電流値が同一表示で制限された場合には、使用頻度を加味して、一方を更に1段低い予測電流値の表示としても良い。
そして、充電器2のリレー24aの動作回数が選択された場合も同様であり、未使用の充電器2の予測電流値が制限された同一表示の場合には、リレー24aの動作回数を加味して、動作回数の多い一方の充電コネクタ2の表示部6の表示を更に1段低い予測電流値の表示とする制御が行われる。
【0036】
このように、未使用の充電コネクタ21に供給される電流値の情報を、充電前に表示部6を見ることで得ることができるため、利用者は充電電流の大きい充電コネクタ21を選択することが可能となり利便性が良い。
また、供給可能な電流値の情報が2段階に分類して表示されるため、数字で表示されるより分かり易く、利用者は充電電流の状況を把握し易い。
更に、充電コネクタ21を保持するコネクタ保持部21bの上部に表示部6を配置することで、充電コネクタ21を操作する際に視覚に入り、状況を認識し易い。
また、充電のための駐車場の入口に配置したモニタ5に個々の充電コネクタ21の充電電流値の情報が一覧表示されるため、駐車すべき駐車区画を容易に選択でき、利便性が良い。
加えて、充電コネクタ21の使用回数を加味して表示部6の表示が変更される場合は、使用頻度の高い充電コネクタ21に対して使用を制限する制御が成される。よって、充電コネクタ21の均等な利用を促すことができ、特定の充電コネクタ21の短期劣化を防ぐことができる。
また、充電コネクタ21の使用頻度では無く、充電器2のリレー24aの動作回数が表示部6の表示に加味された場合は、リレー24aの動作回数の多い充電器2の使用を制限する制御が成される。よって、出力回路24の均等な利用を促すことができ、特定の出力回路24の短期劣化を防ぐことができる。
【0037】
尚、上記実施形態では、表示部6を充電装置3と充電のための駐車場の入口に設置したモニタ5の双方に配置しているが、何れか一方のみでも良い。
また、個々の駐車区画にポールを立てて、そのポールに表示部6を設けても良い。この場合、充電のために駐車する駐車区画において充電電流値の情報を認識できるため、駐車する段階で把握でき充電装置3まで見に行く必要がなく利便性が良い。
更に、管理サーバ4をクラウド上に配置して、未使用の充電装置3の表示に対して充電コネクタ21の使用回数に基づく表示変更の制御を実施しているが、この制御は各充電装置3が実施しても良い。
また、充電コネクタ21の使用回数を加味する制御と充電器2のリレー24aの動作回数を加味する制御の双方の機能を備えて、一方を選択する構成としているが、一方の機能のみ備えるだけでも良い。
【符号の説明】
【0038】
1・・車両充電システム、2・・充電器、3・・充電装置、4・・管理サーバ、5・・モニタ、6・・表示部(電流情報表示部)、7・・充電制御装置、21・・充電コネクタ、21b・・コネクタ保持部、24・・出力回路、24a・・リレー、26・・充電制御装置CPU(予測部)、41・・メモリ(使用回数記憶部、動作回数記憶部)、42・・サーバCPU(変更制御部)、M・・車両。
図1
図2
図3
図4
図5