(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127057
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】運用管理方法、運用管理端末、及び運用管理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20240912BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
G06F11/34 123
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035916
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 英史
【テーマコード(参考)】
5B042
5L049
【Fターム(参考)】
5B042MA08
5B042MC29
5B042MC32
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】マネージドサービスにおける運用委託対象の機器の稼働時間の精査を効率化する。
【解決手段】運用管理システムSは、ATM5が出力したエラーメッセージを蓄積したATM障害情報211,411と、エラーメッセージに係るATM5の稼働停止が、運用管理者の責任でない稼働、運用管理者の責任である休止、及び運用管理者の責任であるか否かを運用管理者と委託者とが審議する必要がある休止(審議)、の何れに該当するかの対応付けを示すエラーコード判定テーブル212,412を有する。運用管理システムSは、エラーメッセージに係る稼働停止が、稼働、休止、及び休止(審議)の何れに該当するかの判定結果に応じて、ATM5の稼働時間、休止時間を算出して表示する。また休止(審議)に該当する稼働停止時間を識別表示する。ユーザ指示に応じて、休止(審議)に該当する稼働停止に係る稼働停止時間を、休止時間から減算して稼働時間に加算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
委託者からの委託を受けて運用管理者が行う機器の運用管理を支援する運用管理システムが行う運用管理方法であって、
前記運用管理システムは、
前記機器が稼働を停止した際に出力したエラーメッセージを蓄積した機器障害情報と、
前記エラーメッセージに係る前記機器の稼働停止が、前記運用管理者の責任でない稼働、前記運用管理者の責任である休止、及び前記運用管理者の責任であるか否かを前記運用管理者と前記委託者とが審議する必要がある休止(審議)、の何れに該当するかの対応付けを示す判定テーブルと、
を格納する記憶部と、
メモリと協働するプロセッサと、を有し、
前記プロセッサが、
前記判定テーブルを参照し、前記エラーメッセージに係る前記稼働停止が、前記稼働、前記休止、及び前記休止(審議)の何れに該当するかを判定し、
前記稼働停止が前記稼働に該当する場合に、前記機器が稼働した合計時間を表す稼働時間に、前記稼働に該当する前記稼働停止に係る稼働停止時間を加算し、
前記稼働停止が前記休止又は前記休止(審議)に該当する場合に、前記機器が稼働を停止した合計時間を表す休止時間に、前記休止又は前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記稼働停止時間を加算し、
前記稼働時間及び前記休止時間を表示画面に表示し、
前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記エラーメッセージ及び該稼働停止に係る前記稼働停止時間を前記表示画面に識別表示し、
ユーザ指示に応じて、前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記稼働停止時間を、前記休止時間から減算して前記稼働時間に加算する
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の運用管理方法であって、
前記プロセッサが、
ユーザ指示に応じて、前記休止(審議)に該当すると判定された前記稼働停止に係る前記エラーメッセージに前記判定テーブルにおいて対応付けられている前記休止(審議)を前記稼働に変更する
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の運用管理方法であって、
前記プロセッサが、
ユーザ指示に応じて、前記休止に該当する前記稼働停止に係る前記稼働停止時間を、前記休止時間から減算して前記稼働時間に加算する
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の運用管理方法であって、
前記プロセッサが、
ユーザ指示に応じて、前記休止に該当すると判定された前記稼働停止に係る前記エラーメッセージに前記判定テーブルにおいて対応付けられている前記休止を前記稼働に変更する
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の運用管理方法であって、
前記プロセッサが、
ユーザ指示に応じて、前記稼働に該当する前記稼働停止に係る前記稼働停止時間を、前記稼働時間から減算して前記休止時間に加算する
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の運用管理方法であって、
前記プロセッサが、
ユーザ指示に応じて、前記稼働に該当すると判定された前記稼働停止に係る前記エラーメッセージに前記判定テーブルにおいて対応付けられている前記稼働を前記休止に変更する
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の運用管理方法であって、
前記記憶部は、
前記機器が前記エラーメッセージを出力した際に行われた該エラーメッセージに係る前記稼働停止の調査結果を示す追加エラーメッセージを蓄積した追加障害情報を格納し、
前記プロセッサが、
前記判定テーブルを参照し、前記エラーメッセージと前記追加エラーメッセージとに基づいて、該エラーメッセージに係る前記稼働停止が、前記稼働、前記休止、及び前記休止(審議)の何れに該当するかを判定する
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の運用管理方法であって、
前記プロセッサが、
前記エラーメッセージとタイムスタンプが一致する前記追加エラーメッセージが存在し、かつ、該エラーメッセージに係る前記稼働停止が前記休止(審議)に該当する場合に、該エラーメッセージと該追加エラーメッセージとに基づいて新たなエラーメッセージを作成し、
前記新たなエラーメッセージに前記稼働を対応付けたレコードを前記判定テーブルに追加する
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項9】
請求項1に記載の運用管理方法であって、
前記記憶部は、
前記機器と基幹業務に係るデータ送受信を行う基幹系サーバから受信した該データ送受信に係るサーバエラーメッセージを蓄積したサーバ障害情報を格納し、
前記プロセッサが、
前記判定テーブルを参照し、前記エラーメッセージと前記サーバエラーメッセージとに基づいて、該エラーメッセージに係る前記稼働停止が、前記稼働、前記休止、及び前記休止(審議)の何れに該当するかを判定する
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の運用管理方法であって、
前記プロセッサが、
前記エラーメッセージとタイムスタンプが一致する前記サーバエラーメッセージが存在し、かつ、該エラーメッセージに係る前記稼働停止が前記休止(審議)に該当する場合に、該エラーメッセージと該サーバエラーメッセージとに基づいて新たなエラーメッセージを作成し、
前記新たなエラーメッセージに前記稼働を対応付けたレコードを前記判定テーブルに追加する
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の運用管理方法であって、
前記機器は、ATM(Automatic Teller Machine)である
ことを特徴とする運用管理方法。
【請求項12】
委託者からの委託を受けて運用管理者が行う機器の運用管理を支援する運用管理端末であって、
前記運用管理端末は、
前記機器が稼働を停止した際に出力したエラーメッセージを蓄積した機器障害情報と、
前記エラーメッセージに係る前記機器の稼働停止が、前記運用管理者の責任でない稼働、前記運用管理者の責任である休止、及び前記運用管理者の責任であるか否かを前記運用管理者と前記委託者とが審議する必要がある休止(審議)、の何れに該当するかの対応付けを示す判定テーブルと、
を格納する記憶部と、
メモリと協働するプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
前記判定テーブルを参照し、前記エラーメッセージに係る前記稼働停止が、前記稼働、前記休止、及び前記休止(審議)の何れに該当するかを判定し、
前記稼働停止が前記稼働に該当する場合に、前記機器が稼働した合計時間を表す稼働時間に、前記稼働に該当する前記稼働停止に係る稼働停止時間を加算し、
前記稼働停止が前記休止又は前記休止(審議)に該当する場合に、前記機器が稼働を停止した合計時間を表す休止時間に、前記休止又は前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記稼働停止時間を加算し、
前記稼働時間及び前記休止時間を表示画面に表示し、
前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記エラーメッセージ及び該稼働停止に係る前記稼働停止時間を前記表示画面に識別表示し、
ユーザ指示に応じて、前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記稼働停止時間を、前記休止時間から減算して前記稼働時間に加算する
ことを特徴とする運用管理端末。
【請求項13】
委託者からの委託を受けて運用管理者が行う機器の運用管理を支援する運用管理システムであって、
前記運用管理システムは、
前記機器が稼働を停止した際に出力したエラーメッセージを蓄積した機器障害情報と、
前記エラーメッセージに係る前記機器の稼働停止が、前記運用管理者の責任でない稼働、前記運用管理者の責任である休止、及び前記運用管理者の責任であるか否かを前記運用管理者と前記委託者とが審議する必要がある休止(審議)、の何れに該当するかの対応付けを示す判定テーブルと、
を格納する記憶部と、
メモリと協働するプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
前記判定テーブルを参照し、前記エラーメッセージに係る前記稼働停止が、前記稼働、前記休止、及び前記休止(審議)の何れに該当するかを判定し、
前記稼働停止が前記稼働に該当する場合に、前記機器が稼働した合計時間を表す稼働時間に、前記稼働に該当する前記稼働停止に係る稼働停止時間を加算し、
前記稼働停止が前記休止又は前記休止(審議)に該当する場合に、前記機器が稼働を停止した合計時間を表す休止時間に、前記休止又は前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記稼働停止時間を加算し、
前記稼働時間及び前記休止時間を表示画面に表示し、
前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記エラーメッセージ及び該稼働停止に係る前記稼働停止時間を前記表示画面に識別表示し、
ユーザ指示に応じて、前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記稼働停止時間を、前記休止時間から減算して前記稼働時間に加算する
ことを特徴とする運用管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運用管理方法、運用管理端末、及び運用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、銀行等の金融機関では、ネットワークを介して、ATM(Automatic Teller Machine)とATMを運用管理するための監視サーバとが接続された運用管理システムを用いて、ATMの運用管理が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、金融機関においても、ATM(Automatic Teller Machine)の運用管理や保守、障害時の対応といった業務をアウトソーシング(委託)するマネージドサービスが採用されるようになっている。金融機関におけるマネージドサービスには、例えば受託側の運用管理会社がATMの運用管理を行い、その対価として委託側の金融機関から受託側の運用管理会社に委託料金が支払われる仕組みのものがある。
【0005】
かかる仕組みにおいて、委託側の金融機関から受託側の運用管理会社に実際に支払われる委託料金は、ATMの稼働率に応じて減額される。稼働率は、委託側の金融機関が受託側の運用管理会社にATMの運用管理を委託したATMの総営業時間に対する、ATMに障害が発生して稼働停止となった休止時間を総営業時間から減算した稼働時間の比率として算出される。
【0006】
この際、稼働停止には、運用管理会社が責任を負うべきものもあれば、運用管理会社が責任を負わないものもある。このため運用管理会社が責任を負うべき稼働停止か否かを委託側の金融機関と受託側の運用管理会社で話し合われる。そして、運用管理会社が責任を負わない稼働停止に係る休止時間が稼働時間に加算され、運用管理会社が責任を負う稼働停止に係る休止時間が稼働時間から減算される。マネージドサービスの委託料を決定する稼働時間の計算を手作業で行うため、稼働時間の精査及び交渉に多大な労力と時間がかかり、実際に支払うべき委託料金の金額確定が遅くなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明の目的は上述の問題を考慮して、マネージドサービスにおける運用委託対象の機器の稼働時間の精査及び交渉を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の一態様では、委託者からの委託を受けて運用管理者が行う機器の運用管理を支援する運用管理システムが行う運用管理方法であって、前記運用管理システムは、前記機器が稼働を停止した際に出力したエラーメッセージを蓄積した機器障害情報と、前記エラーメッセージに係る前記機器の稼働停止が、前記運用管理者の責任でない稼働、前記運用管理者の責任である休止、及び前記運用管理者の責任であるか否かを前記運用管理者と前記委託者とが審議する必要がある休止(審議)、の何れに該当するかの対応付けを示す判定テーブルと、を格納する記憶部と、メモリと協働するプロセッサと、を有し、前記プロセッサが、前記判定テーブルを参照し、前記エラーメッセージに係る前記稼働停止が、前記稼働、前記休止、及び前記休止(審議)の何れに該当するかを判定し、前記稼働停止が前記稼働に該当する場合に、前記機器が稼働した合計時間を表す稼働時間に、前記稼働に該当する前記稼働停止に係る稼働停止時間を加算し、前記稼働停止が前記休止又は前記休止(審議)に該当する場合に、前記機器が稼働を停止した合計時間を表す休止時間に、前記休止又は前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る稼働停止時間を加算し、前記稼働時間及び前記休止時間を表示画面に表示し、前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記エラーメッセージ及び該稼働停止に係る前記稼働停止時間を前記表示画面に識別表示し、ユーザ指示に応じて、前記休止(審議)に該当する前記稼働停止に係る前記稼働停止時間を、前記休止時間から減算して前記稼働時間に加算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マネージドサービスにおける運用委託対象の機器の稼働時間の精査及び交渉を効率化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る全体システムの構成の一例を示す図。
【
図2】実施形態1に係るATM障害情報の構成の一例を示す図。
【
図3】実施形態1に係るエラーコード判定テーブルの構成の一例を示す図。
【
図4】実施形態1に係るユーザ端末の構成の一例を示す図。
【
図5】実施形態1に係る画面表示処理の一例を示すフローチャート。
【
図6】実施形態1に係るボタン押下検知時処理の一例を示すフローチャート。
【
図7】実施形態1に係るユーザ端末の表示部に表示される表示画面の一例を示す図。
【
図8】実施形態1に係るユーザ端末の表示部に表示される表示画面の一例を示す図。
【
図9】実施形態1に係るユーザ端末の表示部に表示される表示画面の一例を示す図。
【
図10】実施形態1に係るユーザ端末の表示部に表示される一覧表示画面の一例を示す図。
【
図11】実施形態2に係る監視サーバの構成の一例を示す図。
【
図12】実施形態2に係る上位障害情報の構成の一例を示す図。
【
図13】実施形態2に係るユーザ端末の構成の一例を示す図。
【
図14】実施形態2に係るエラーコード判定テーブル更新処理の一例を示すフローチャート。
【
図15】実施形態2に係るエラーコード判定テーブルの更新の一例を示す図。
【
図16】実施形態3に係るサーバ障害情報の構成の一例を示す図。
【
図17】実施形態3に係るエラーコード判定テーブルの更新の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本願開示に係る一実施形態を説明する。実施形態は、図面も含めて本願を説明するための例示である。実施形態では、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がされている。特に限定しない限り、実施形態の構成要素は単数でも複数でもよい。また、ある実施形態と他の実施形態を組み合わせた形態も、本願開示に係る実施形態に含まれる。
【0012】
以下の説明では、同一又は類似の構成要素には、同一の符号を付与し、後出の実施形態及び実施例では、説明を省略する、又は差分を中心とした説明のみを行う場合がある。また、同一又は類似の構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0013】
以下の説明では、テーブル形式で各種情報を説明するが、各種情報はテーブル以外のデータ構造で表現されていてもよい。「XXテーブル」は、データ構造に依存しないため、「XX情報」と呼ぶことができる。各種情報の内容を説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらは互換可能である。
【0014】
実施形態において、プログラムが行う処理について説明する場合がある。コンピュータは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit))により、主記憶装置のメモリ等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。プロセッサがプログラムを実行することで、処理を行う機能部が実現される。
【0015】
同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であればよく、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。専用回路は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。
【0016】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読取り可能な非一時的な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源(ストレージ)を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施形態において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0017】
以下の実施形態では、委託者からの委託を受けて運用管理者が行う機器の一例としてATM(Automatic Teller Machine)を例に説明する。しかし機器は、ATMに限らず、サーバや端末といったコンピュータ、ストレージ装置といった情報処理機器、あるいはIoT(Internet of Things)機器等の通信可能な各種機器でもよい。
【0018】
[実施形態1]
(実施形態1に係る全体システム1の構成)
図1は、実施形態1に係る全体システム1の構成の一例を示す図である。全体システム1は、複数のATM5、これらのATM5を遠隔で監視し運用管理する監視サーバ20、ユーザ端末4、及び銀行の勘定系のホスト32を含んで構成される。
【0019】
監視サーバ20は、運用センタ2に設置されている、ATM5の運用管理会社(運用管理者)のサーバである。ATM5の運用管理会社は、銀行等の金融機関からATM5の運用管理を委託されている。
【0020】
ホスト32は、基幹系サーバ31と共に銀行センタ3に設置されている、ATM5の使用者である銀行等の金融機関のホストコンピュータである。ホスト32は、基幹系サーバ31及びネットワークを介してATM5と通信する。ATM5は、銀行の各支店や出張所に設置されている。
【0021】
ATM5は、通常の銀行業務(基幹業務)において基幹系サーバ31と勘定系電文のデータ送受信を行う。基幹系サーバ31は、勘定系電文の送受信にエラーが発生した場合に、エラーを通知するエラーメッセージ(送受信エラーメッセージ)を監視サーバ20に送信する。
【0022】
監視サーバ20は、ストレージ(記憶部)21、プロセッサ22、及び通信部23を有する。監視サーバ20は、通信部23を介してATM5、基幹系サーバ31、及びユーザ端末4と通信を行う。監視サーバ20とATM5の間の通信、及び監視サーバ20と基幹系サーバ31の間の通信は、専用線網又は仮想閉域網を介した通信である。
【0023】
ストレージ21は、プログラム及びデータの格納領域を提供し、ATM障害情報211(
図2)及びエラーコード判定テーブル212(
図3)を格納する。
【0024】
ユーザ端末4は、運用管理端末であり、ユーザが使用するモバイル型のタブレットPC(Personal Computer)、ノートPC等のコンピュータである。
【0025】
運用管理システムSは、監視サーバ20とユーザ端末4とを含んで構成される。
【0026】
(ATM障害情報211の構成)
図2は、実施形態1に係るATM障害情報211の構成の一例を示す図である。なお後述のATM障害情報411(
図4)の構成は、ATM障害情報211と同様である。
【0027】
ATM障害情報211は、機器障害情報の一例であり、ATMID2111、ATMエラーID2112、タイムスタンプ2113、及びATMエラーメッセージ2114の列を有する。
【0028】
ATMID2111は、ATM5を識別するIDである。ATMエラーID2112は、同一の障害を要因として出力される一連のATMエラーメッセージ2114を紐付けて識別するIDである。タイムスタンプ2113は、各ATMエラーメッセージ2114がATM5によって出力された日時である。ATMエラーメッセージ2114は、ATM5で発生した障害の内容を示すメッセージである。
【0029】
ATM障害情報211の第1行目は、ATMID2111“001”のATM5が、タイムスタンプ2113“202209070626”(2022年9月7日6時26分)に、“ジャーナル詰まりERROR”のATMエラーメッセージ2114を出力したことを示す。また第2行目は、同じATM5が、タイムスタンプ2113“202209071014”(2022年9月7日10時14分)に“再立ち上げ”(ATM5の再起動)のATMエラーメッセージ2114を出力したことを示す。
【0030】
また第3行目は、同じATM5において、タイムスタンプ2113“202209071015”(2022年9月7日10時15分)に、“ONLINE”(全体システム1へのATM5の接続)のATMエラーメッセージ2114が出力されたことを示す。これら3つのATM障害情報211のレコードは、ATMエラーID2112“#1”によって、同一の障害を要因として、エラー発生から復旧までの時間に出力された一連のエラーメッセージとして紐付けられている。ATMエラーID2112“#1”のATMエラーメッセージ2114“ジャーナル詰まりERROR”から“ONLINE”までの時間が、該当のエラーによるATM5の稼働停止時間となる。
【0031】
(エラーコード判定テーブル212の構成)
図3は、実施形態1に係るエラーコード判定テーブル212の構成の一例を示す図である。なお後述のエラーコード判定テーブル412(
図4)の構成は、エラーコード判定テーブル212と同様である。
【0032】
エラーコード判定テーブル212は、ATMエラーメッセージ2121及び判定結果2122の列を有する。
【0033】
ATMエラーメッセージ2121は、ATMエラーメッセージ2114(
図2)と同様である。判定結果2122は、ATM5の稼働状況の精査の結果を示し、各ATMエラーメッセージ2121が示す障害でATM5が稼働を停止した休止時間を、ATM5の“休止”、“休止(審議)”、“稼働”の何れとして取り扱うかのルールを示すラベルである。
【0034】
“休止”は、ATM5の運用管理会社が責任を負うべき障害又は事象を要因とするATM5の稼働停止である。よって、ATMの稼働率を算出する際に、ATM5の総稼働時間から休止時間が減算される。
【0035】
“休止(審議)”は、ATM5の運用管理会社が責任を負うべきか否かが明確でなく審議を要する障害又は事象を要因とするATM5の稼働停止である。よって、ATMの稼働率を算出する際に、ATM5の総稼働時間から休止時間が減算されるか否かが、ATM5の運用管理の受託側の運用管理会社と委託側の金融機関とで協議される。
【0036】
“稼働”は、ATM5の運用管理会社が責任を負わない障害又は事象を要因とするATM5の稼働停止である。よって、ATMの稼働率を算出する際に、ATM5の総稼働時間から休止時間が減算されず、総稼働時間に含められる。
【0037】
図1の説明に戻る。プロセッサ22は、監視サーバ20が有するメモリ(不図示)と協働してプログラムを実行することでATM障害情報管理部221を実現する。ATM障害情報管理部221は、各ATM5での障害発生時に各ATM5から送信された障害に係るエラーメッセージを受信する。ATM障害情報管理部221は、受信した障害通知をATM障害情報211としてストレージ21に格納する。
【0038】
またATM障害情報管理部221は、ユーザ端末4からの要求に応じて、ATM障害情報211及びエラーコード判定テーブル212をストレージ21から読み出し、要求元のユーザ端末4に送信する。
【0039】
(実施形態1に係るユーザ端末4の構成)
図4は、実施形態1に係るユーザ端末4の構成の一例を示す図である。ユーザ端末4は、ストレージ(記憶部)41、プロセッサ42、通信部43、及び表示部44を有する。
【0040】
ユーザ端末4は、通信部43を介して監視サーバ20と通信を行う。ユーザ端末4と監視サーバ20の間の情報の授受は、通信部43を介した通信公衆網、仮想閉域網、又は専用線網を介した有線又は無線の通信によってなされてもよい。またはユーザ端末4と監視サーバ20の間の情報の授受は、SDカード等の半導体の記憶媒体と媒体読み書き装置を用いてなされてもよい。
【0041】
ストレージ41は、プログラム及びデータの格納領域を提供し、ATM障害情報411及びエラーコード判定テーブル412を格納する。ATM障害情報411は、ユーザ端末4を操作するユーザの指示に応じて監視サーバ20から取得された、ATM障害情報211(
図2)のコピーである。エラーコード判定テーブル412は、ユーザ端末4を操作するユーザの指示に応じて監視サーバ20からATM障害情報211と共に取得された、エラーコード判定テーブル412(
図2)のコピーである。
【0042】
プロセッサ42は、ユーザ端末4が有するメモリ(不図示)と協働してプログラムを実行することで画面表示処理部421、加減算処理部422、及びテーブル更新部423を実現する。画面表示処理部421、加減算処理部422、及びテーブル更新部423の処理の詳細は、
図5及び
図6を参照して後述する。
【0043】
(実施形態1に係る画面表示処理)
図5は、実施形態1に係る画面表示処理の一例を示すフローチャートである。
図7~
図9は、実施形態1に係るユーザ端末4の表示部44に表示される表示画面44D1の一例を示す図である。画面表示処理は、月次等の所定タイミングでユーザ指示で実行される。
【0044】
画面表示処理は、ユーザ端末4を操作するユーザの指示(例えばタブ44a1,44a2の選択又は切り替えによるATM5の指定)を契機として、画面表示処理部421(
図4)によって実行される。
【0045】
先ずステップS11では、ユーザ端末4の画面表示処理部421は、ユーザの指示に応じて、監視サーバ20からATM障害情報211を取得する。ユーザの指示は、運用管理会社とATM5の運用管理の委託契約を締結している金融機関の指定を含む。画面表示処理部421は、ユーザによりユーザ端末4から指定が入力された金融機関から運用管理を委託されているATM5に係るATM障害情報211を監視サーバ20から取得し、ATM障害情報411としてストレージ41に格納する。
【0046】
次にステップS12では、画面表示処理部421は、ステップS11で取得してストレージ41に格納したATM障害情報411のうち、未読み込みのレコードを1件読み込む。
【0047】
次にステップS13では、画面表示処理部421は、ステップS12で読み込んだATM障害情報411のレコードのATMエラーメッセージ2114が、エラーコード判定テーブル412において“稼働”に該当するかを判定する。画面表示処理部421は、“稼働”に該当する場合(ステップS13YES)にステップS14に処理を移し、判定結果が“休止(審議)”又は“休止”である場合(ステップS13NO)にステップS16に処理を移す。
【0048】
ステップS14では、画面表示処理部421は、表示画面44D1(
図7~
図9)において、ATM障害情報411の該当の“稼働”のレコードについて“稼働”の識別表示を行うことを決定する。
【0049】
“稼働”の識別表示とは、
図7~
図9に示すように、“稼働”に該当するATM障害情報411のレコードが示す稼働停止が、停止ではなく稼働に分類されていることをユーザに報知する態様のレコード表示(例えば緑色表示)である(表示44g1)。
【0050】
また“稼働”の識別表示が表示されている状態では、該当のレコードが示すATM5の稼働停止時間44g2が、該当のATM5が正常に稼働した合計時間を表す稼働時間44dに加算されている。“稼働”の識別表示は、該当の稼働停止時間44g2と、減算ボタン44g3と、更新ボタン44g4と、の各表示を含む。減算ボタン44g3は、該当の稼働停止時間44g2を稼働時間44dから減算し該当のATM5が稼働停止した合計時間を表す休止時間44fに加算する実行指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)要素である。更新ボタン44g4は、減算ボタン44g3の押下後のエラーコード判定テーブル412(
図3)の更新操作を受け付けるGUI要素である。
【0051】
次にステップS15では、画面表示処理部421は、ステップS14で“稼働”に該当すると判定したATM障害情報411のレコードが示す該当のATM5の稼働停止時間44g2を、該当のATM5の稼働時間44dに加算する。
【0052】
次にステップS16では、画面表示処理部421は、ステップS12で読み込んだATM障害情報411のレコードのATMエラーメッセージ2114が、エラーコード判定テーブル412の“休止(審議)”に該当するかを判定する。画面表示処理部421は、“休止(審議)”に該当する場合(ステップS16YES)にステップS17に処理を移し、“休止”に該当する場合(ステップS16NO)にステップS18に処理を移す。
【0053】
ステップS17では、画面表示処理部421は、表示画面44D1(
図7~
図9)において、ATM障害情報411の該当の“休止(審議)”のレコードについて“休止(審議)”の識別表示を行うことを決定する。
【0054】
“休止(審議)”の識別表示とは、“休止(審議)”に該当するATM障害情報411のレコードが示す稼働停止を、正常稼働及び休止の何れに分類するかの判断をユーザに促す態様のレコード表示(例えば黄色に着色)である(表示44h1)。
【0055】
また“休止(審議)”の識別表示が表示されている状態では、該当のレコードが示すATM5の稼働停止時間44h2が休止時間44fに加算されている。“休止(審議)”の識別表示は、該当の稼働停止時間44h2と、加算ボタン44h3と、更新ボタン44h4と、の各表示を含む。加算ボタン44h3は、該当の稼働停止時間44h2を休止時間44fから減算し稼働時間44dに加算する実行指示を受け付けるGUI要素である。更新ボタン44h4は、加算ボタン44h3の押下後のエラーコード判定テーブル412(
図3)の更新操作を受け付けるGUI要素である。
【0056】
一方ステップS18では、画面表示処理部421は、表示画面44D1(
図7~
図9)において、ATM障害情報411の該当の“休止”のレコードについて“休止”の識別表示を行うことを決定する。
【0057】
“休止”の識別表示とは、“休止”に該当するATM障害情報411のレコードが示す稼働停止が休止に分類されていることのユーザに報知する態様のレコード表示(例えば赤色に着色)である(表示44i1)。
【0058】
また“休止”の識別表示が表示されている状態では、該当のレコードが示すATM5の稼働停止時間44i2が休止時間44fに加算されている。“休止”の識別表示は、該当の稼働停止時間44i2と、加算ボタン44i3と、更新ボタン44i4と、の各方時を含む。加算ボタン44i3は、該当の稼働停止時間44i2を休止時間44fから減算し稼働時間44dに加算する実行指示を受け付けるGUI要素である。更新ボタン44i4は、加算ボタン44i3の押下後のエラーコード判定テーブル412(
図3)の更新操作を受け付けるGUI要素である。
【0059】
画面表示処理部421は、ステップS17又はS18が終了すると、ステップS19に処理を移す。
【0060】
ステップS19では、画面表示処理部421は、ステップS14で“休止(審議)”又は“休止”に該当すると判定したATM障害情報411のレコードが示すATM5の稼働停止時間44h2,44i2を、休止時間44fに加算する。
【0061】
次にステップS20では、画面表示処理部421は、ATM障害情報411の全てのレコードを読み込んだかを判定する。画面表示処理部421は、全てのレコードを読み込んだ場合(ステップS20YES)にステップS21に処理を移し、未読み込みのレコードが存在する場合(ステップS20NO)にステップS12に処理を移す。
【0062】
ステップS21では、画面表示処理部421は、ステップS14、S17、及びS18で決定した各識別表示に従って、ATM障害情報411の各レコードの情報等を表示画面44D1に表示する。また画面表示処理部421は、稼働時間44d、稼働率44e、及び休止時間44fを表示画面44D1に表示する。
【0063】
(実施形態1に係るボタン押下検知時処理)
図6は、実施形態1に係るボタン押下検知時処理の一例を示すフローチャートである。
図6の説明の際には、
図7~
図9も参照する。加減算処理は、ユーザ端末4を操作するユーザの指示(加算ボタン44h3,44i3、減算ボタン44g3の押下)を契機として、加減算処理部422(
図4)によって実行される。
【0064】
先ずステップS31では、加減算処理部422は、加算ボタン44h3,44i3の何れかの押下を検知したかを判定する。加減算処理部422は、加算ボタン44h3,44i3の何れかの押下を検知した場合(ステップS31YES)にステップS32に処理を移し、加算ボタン44h3,44i3の何れの押下も検知しない場合(ステップS31NO)にステップS34に処理を移す。
【0065】
ステップS32では、加減算処理部422は、該当のATM障害情報411の稼働停止時間44h2,44i2を休止時間44fから減算し稼働時間44dに加算する加算処理を行う。次にステップS32では、加減算処理部422は、ステップS31で押下を検知した加算ボタン44h3,44i3を減算ボタン44g3に変更する。また加減算処理部422は、稼働停止時間44h2,44i2が稼働時間44dに加算されたことに伴い、表示44h1,44i1を、稼働を表す表示44g1に変更する。加減算処理部422は、ステップS33が終了すると、ステップS39に処理を移す。
【0066】
ステップS31~S33によって、例えば
図7で表示44h1の態様で表示されていたATM障害情報411のレコードは、
図8に示す表示44g1の態様で表示されるように変化している。また
図7で表示44h1の態様で表示されていたATM障害情報411のレコードの稼働停止時間44h2の値が休止時間44fに加算されていた。しかし
図8に示すように休止時間44fから減算(43-4=39秒)されて稼働時間44dに加算(43,157+4=43,161秒)されている。また
図7で表示44h1の態様で表示されていたATM障害情報411のレコードに対応して加算ボタン44h3が表示されていたが、
図8に示すように減算ボタン44g3の表示に変更されている。なお総営業時間44cは、稼働時間44dと休止時間44fの合計であり、ステップS31~S33の処理後も不変である。
【0067】
ステップS34では、加減算処理部422は、減算ボタン44g3の押下を検知したかを判定する。加減算処理部422は、減算ボタン44g3の押下を検知した場合(ステップS34YES)にステップS35に処理を移し、減算ボタン44g3の押下を検知しない場合(ステップS34NO)にステップS38に処理を移す。
【0068】
ステップS35では、加減算処理部422は、該当のATM障害情報411の稼働停止時間44g2を稼働時間44dから減算し休止時間44fに加算する減算処理を行う。次にステップS36では、加減算処理部422は、ステップS34で押下を検知した減算ボタン44g3を加算ボタンに変更する。また加減算処理部422は、稼働停止時間44g2が休止時間44fに加算されたことに伴い、表示44g1を、休止を表す表示44i1に変更する。加減算処理部422は、ステップS36が終了すると、ステップS40に処理を移す。
【0069】
ステップS34~S36によって、例えば
図7で表示44g1の態様で表示されているATM障害情報411のレコードは、表示44i1の態様で表示されるように変化する(不図示)。また
図7で表示44g1の態様で表示されているATM障害情報411のレコードの稼働停止時間44g2の値は稼働時間44dに加算されているが、稼働時間44dから減算されて休止時間44fに加算される。また
図7で表示44g1の態様で表示されているATM障害情報411のレコードに対応して表示されている減算ボタン44g3は、加算ボタンの表示に変更される(不図示)。なお総営業時間44cは、ステップS34~S36の処理後も不変である。
【0070】
ステップS37では、加減算処理部422は、更新ボタン44g4,44h4,44i4の何れかの押下を検知したかを判定する。加減算処理部422は、更新ボタン44g4,44h4,44i4の何れかの押下を検知した場合(ステップS37YES)にステップS38に処理を移す。一方加減算処理部422は、更新ボタン44g4,44h4,44i4の何れの押下も検知しない場合(ステップS37NO)にステップS39に処理を移す。
【0071】
ステップS38では、テーブル更新部423は、該当のATM障害情報411がエラーコード判定テーブル412において該当する判定結果2122を更新するテーブル更新処理を行う。具体的には、テーブル更新部423は、加算ボタン44h3の押下後に更新ボタン44h4が押下されたことを検知すると、エラーコード判定テーブル412において該当する判定結果2122を、“休止(審議)”から“稼働”へ更新する。同様にテーブル更新部423は、加算ボタン44i3の押下後に更新ボタン44i4が押下されたことを検知すると、エラーコード判定テーブル412において該当する判定結果2122を、“休止”から“稼働”へ更新する。
【0072】
一方テーブル更新部423は、加算ボタン44h3の押下前に更新ボタン44h4が押下されたことを検知すると、エラーコード判定テーブル412において該当する判定結果2122を、“休止(審議)”から“休止”へ更新する。
【0073】
さらにテーブル更新部423は、減算ボタン44g3の押下後に更新ボタン44g4が押下されたことを検知すると、エラーコード判定テーブル412において該当する判定結果2122を、“稼働”から“休止”へ更新する。
【0074】
次にステップS39では、加減算処理部422は、本加減算処理を終了するかを判定する。加減算処理部422は、本加減算処理を終了する場合に(ステップS39YES)にステップS40に処理を移し、終了しない場合に(ステップS39NO)にステップS31に処理を戻す。
【0075】
ステップS40では、加減算処理部422は、ステップS38によってエラーコード判定テーブル412の更新があった場合に、更新後のエラーコード判定テーブル412を監視サーバ20にアップロードする。監視サーバ20は、受信した更新後のエラーコード判定テーブル412で、該当の金融機関のエラーコード判定テーブル212を更新する。
【0076】
(実施形態1に係るユーザ端末の一覧表示画面44D2)
図10は、実施形態1に係るユーザ端末4の表示部44に表示される一覧表示画面44D2の一例を示す図である。表示画面44D1(
図7~
図9)には、一覧表示ボタン44jが設けられている。ユーザによって一覧表示ボタン44jが押下されると、ユーザ端末4のプロセッサ42は、一覧表示画面44D2をユーザ端末4の表示部44に表示する。一覧表示画面44D2は、一覧表示ボタン44jの押下時に表示画面44D1に表示されているATM5毎の総営業時間44c、稼働時間44d、稼働率44e、及び休止時間44fと、支払い割合と、支払金額とをATM5毎に一覧表示する。支払い割合は、稼働率44eを端数処理した数値である。支払金額は、満額の委託料金に乗じて算出された、金融機関から運用管理会社に実際に支払われる金額である。
【0077】
(実施形態1の効果)
上述の実施形態1では、エラーコード判定テーブル412に基づいてATMエラーメッセージに係る稼働停止が、稼働、休止、及び休止(審議)の何れに該当するかを判定する。そして、稼働停止が稼働に該当する場合に、ATM5が稼働した合計時間を表す稼働時間に、稼働に該当する稼働停止時間を加算し、休止又は休止(審議)に該当する場合に、ATM5が稼働を停止した合計時間を表す休止時間に、休止又は休止(審議)に該当する稼働停止時間を加算する。また休止(審議)に該当する稼働停止時間を識別表示する。そしてユーザ指示に応じて、休止(審議)に該当する稼働停止時間を、休止時間から減算して稼働時間に加算する。
【0078】
よって実施形態1によれば、運用委託者と運用受託者とで、膨大なデータ量であっても、ATM5の稼働停止時間を稼動時間及び休止時間の何れに含めるかの精査及び交渉を、GUI操作で効率的に行うことができる。すなわちマネージドサービスにおける運用委託対象の機器の稼働時間及び休止時間の精査と交渉を効率化できる。
【0079】
また上述の実施形態1では、ユーザ指示に応じて、エラーコード判定テーブルにおいてエラーメッセージに対応付けられている判定結果のラベルを変更する。よって今回のATM5の稼動時間及び休止時間の精査及び交渉の結果を、次回以降の精査及び交渉において自動的に反映させることができるので、同様の判断を繰り返し行う無駄を省いて、運用委託対象の機器の稼働時間及び休止時間の精査と交渉を効率化できる。
【0080】
[実施形態2]
実施形態1では、監視サーバ20が収集できる障害情報は、ATM5から収集されるATM障害情報211,411のみである。このため実施形態1では、ユーザ端末4側においてATM障害情報211,411のうちの“休止(審議)”のエラーメッセージが実際は“稼働”及び“休止”の何れであるかの判断の根拠が乏しい。よって実施形態1では、人為的な判断によって稼働時間及び休止時間が誤って算定される場合がある。
【0081】
これに対して実施形態2では、ATM5に追加された障害検知機能によって収集された追加の障害情報(追加障害情報)を監視サーバ20側で収集する。そしてユーザ端末4側では、エラーコード判定テーブル212,412と追加障害情報に基づいて、ATM障害情報211,411のうちの“休止(審議)”のエラーメッセージが“稼働”及び“休止”の何れであるかの判定を行う。
【0082】
以下の実施形態2の説明では、実施形態1との差分を中心に説明し、実施形態1と同様の構成及び処理の説明は適宜省略する。
【0083】
以下では、追加の障害検知機能は、ATM5においてエラーメッセージ“回線エラー(上位接続無し)”のエラーが検知された際に、ATM5から上位の基幹系サーバ31及びホスト32側へエラー探知コマンドを送信し、上位側の状態を調査する。しかし追加の障害検知機能は、このようなATM5の外部の障害を調査する機能に限られない。例えばATM5において紙幣ジャムのエラーが検知された際に、エンドユーザが誤って折れ曲がった紙幣を投入したあるいはクリップが付いた紙幣を投入した異常を検知できるセンサを有する機能といったATM内部の障害を調査する機能でもよい。
【0084】
なお、追加の障害検知機能によって収集された追加障害情報は、ATM5に対して上位側のエラー等の運用管理会社以外の責任となる障害の検知に基づく。このため、追加障害情報によるATM5の稼働停止は、運用管理会社の責任ではないことが前提である。
【0085】
(実施形態2に係る監視サーバ20Bの構成)
図11は、実施形態2に係る監視サーバ20Bの構成の一例を示す図である。監視サーバ20Bは、実施形態1に係る監視サーバ20と比較して、ストレージ21は、上位障害情報213をさらに格納する。またプロセッサ22は、上位障害情報管理部222をさらに有する。
【0086】
(実施形態2に係る上位障害情報213の構成)
図12は、実施形態2に係る上位障害情報213,413の構成の一例を示す図である。上位障害情報213は、上位エラーID2131、タイムスタンプ2132、及び上位エラーメッセージ2133の列を有する。
【0087】
上位エラーID2131は、上位障害情報213の各レコードの識別情報である。タイムスタンプ2132は、ATM5においてエラーメッセージ“回線エラー(上位接続無し)”のエラーが検知された際のタイムスタンプである。
【0088】
上位エラーメッセージ2133は、回線エラー(上位接続なし)のエラーメッセージの障害がATM5で発生した際にATM5から上位側に送信されたエラー探知コマンドに応じて上位側から返却された上位側の追加のエラーメッセージである。上位エラーメッセージ2133は、エラー探知コマンドによって、例えば上位側の基幹系サーバ31(
図1)の不具合で接続できないことが判明した場合は、“上位サーバ不具合”という調査結果を示す追加エラーメッセージとなる。また上位エラーメッセージ2133は、エラー探知コマンドによって、例えば回線、ルーター等のネットワーク機器の不具合で接続できないことが判明した場合は、“回線・機器エラー”という調査結果を示す追加エラーメッセージとなる。
【0089】
(実施形態2に係るユーザ端末4Bの構成)
図13は、実施形態2に係るユーザ端末4Bの構成の一例を示す図である。ユーザ端末4Bは、実施形態1に係るユーザ端末4と比較して、ストレージ41は、上位障害情報413をさらに格納する。またプロセッサ42は、テーブル更新部423に代えてテーブル更新部423Bを有する。
【0090】
画面表示処理部421は、実施形態1に係る画面表示処理(
図5)と同様の処理を実行する。上位障害情報413は、画面表示処理のステップS11(
図5)でATM障害情報211と共に監視サーバ20から取得された上位障害情報213のコピーである。
【0091】
(実施形態2に係るエラーコード判定テーブル更新処理)
図14は、実施形態2に係るエラーコード判定テーブル更新処理の一例を示すフローチャートである。エラーコード判定テーブル更新処理は、例えばテーブル更新部423Bによって、画面表示処理(
図5)の実行以前に(あるいは任意のタイミングで)実行される。すなわち実施形態2では、画面表示処理部421は、エラーコード判定テーブル更新処理によって更新されたエラーコード判定テーブル412に基づいて画面表示処理が実行される。
【0092】
ステップS41では、テーブル更新部423Bは、タイムスタンプが一致する(または所定範囲内で近い)レコードがATM障害情報411と上位障害情報413に存在するかを判定する。テーブル更新部423Bは、タイムスタンプが一致するレコードがATM障害情報411と上位障害情報413に存在する場合(ステップS41YES)にステップS41に処理を移し、存在しない場合(ステップS41NO)にステップS42に処理を移す。
【0093】
ステップS42では、テーブル更新部423Bは、ATM障害情報411のレコードとタイムスタンプが一致する上位障害情報413のレコードに基づいて、エラーコード判定テーブル412に新規レコードを追加する。
【0094】
なおテーブル更新部423Bは、ステップS42の終了後、エラーコード判定テーブル412の更新に伴うエラーコード判定テーブル212の更新を適時に行う。
【0095】
(実施形態2に係るエラーコード判定テーブル412の更新例)
図15を参照してステップS42のエラーコード判定テーブル412の更新の具体例を説明する。
図15は、実施形態2に係るエラーコード判定テーブル412の更新の一例を示す図である。
【0096】
例えばATM障害情報411のATMエラーメッセージ2121“回線エラー(上位接続なし)”とタイムスタンプが一致するエラーメッセージ“上位サーバ不具合”が上位障害情報413に存在するとする。エラーコード判定テーブル412の更新前では、
図16のエラーコード判定テーブル412の行L11に示すように、ATMエラーメッセージ2121“回線エラー(上位接続なし)”に対して判定結果2122“休止(審議)”が対応付けられている。
【0097】
そしてエラーコード判定テーブル412の更新によって、行L12に示すように、ATMエラーメッセージ2121“回線エラー(上位接続なし)”が“回線エラー(上位サーバ不具合)”と詳細化される。そして“回線エラー(上位サーバ不具合)”は、ATM5の運用管理者の責任ではない上位サーバの不具合に起因する。よって、ATMエラーメッセージ2121“回線エラー(上位接続なし)”に判定結果2122“稼働”が対応付けられるようにエラーコード判定テーブル412に新規レコードが追加される。
【0098】
エラーコード判定テーブル412の行L13に示すATMエラーメッセージ2121“回線エラー(機器・回線エラー)”も同様である。
【0099】
なお、
図15の行L14及びL15は、ATM5においてATM5内部の障害を追加調査する機能が追加された場合のエラーコード判定テーブル412の更新例を示す。行L14に示すように、エラーコード判定テーブル412の更新前では、ATMエラーメッセージ2121“紙幣ジャム”に対して判定結果2122“休止”が対応付けられている。
【0100】
そしてエラーコード判定テーブル412の更新によって、行L15に示すように、ATMエラーメッセージ2121“紙幣ジャム”が“紙幣ジャム(エンドユーザ起因)”と詳細化される。そして“紙幣ジャム(エンドユーザ起因)”は、ATM5の運用管理者の責任ではない不具合である。よって、ATMエラーメッセージ2121“紙幣ジャム(エンドユーザ起因)”に判定結果2122“稼働”が対応付けられるようにエラーコード判定テーブル412に新規レコードが追加される。
【0101】
(実施形態2の効果)
上述の実施形態2では、エラーコード判定テーブルと追加の上位障害情報に基づいて、ATM障害情報に係るATM5の稼働停止時間が稼働、休止、及び休止(審議)の何れに該当するかを判定する。よって上位障害情報を根拠として稼働停止時間を稼働停止時間及び休止時間の何れに含めるかを判断するので、稼働時間及び休止時間の精査結果の妥当性を高め、交渉をスムーズに行うことができる。
【0102】
また上述の実施形態2では、上位障害情報に基づいて、エラーコード判定テーブルに休止(審議)のラベル付けされた新規レコードを追加するので、新たな障害に対応してエラーコード判定テーブルを自動更新することができる。
【0103】
[実施形態3]
実施形態2では、上位のホスト32側の障害を検知する障害検知機能が収集した上位障害情報213,413に基づいて詳細化されたエラーコード判定テーブル212,412のATMエラーメッセージ2121に“稼働”が対応付けられる。このように、追加障害情報を根拠として、エラーコード判定テーブル212,412の判定結果2122“休止(審議)”を“稼働”に変更することで、稼働時間及び休止時間の算定に妥当性を持たせている。
【0104】
これに対して実施形態3では、上位障害情報213,413に代えて、銀行センタ3の基幹系サーバ31から監視サーバ20Bへ送信される勘定系電文の障害情報(サーバ障害情報)を用いて、実施形態2と同様の効果を奏する。
【0105】
すなわち実施形態2の上位障害情報213(
図12)に代えて、サーバ障害情報213C(
図16)を用い、エラーコード判定テーブル更新処理(
図14)を実行することで、
図17に示すようにエラーコード判定テーブル412を更新する。このように新たなエラーに対して自動でエラーコード判定テーブル412を更新できる。
【0106】
(実施形態3に係るサーバ障害情報213C,413C)
図16は、実施形態3に係るサーバ障害情報213C,413Cの構成の一例を示す図である。監視サーバ20Bは、上位障害情報213(
図12)に代えてサーバ障害情報213Cをストレージ21に格納する。ユーザ端末4Bは、上位障害情報413(
図12)に代えてサーバ障害情報413Cをストレージ41に格納する。
【0107】
サーバ障害情報213C,413Cは、サーバエラーID2134、タイムスタンプ2135、及びサーバエラーメッセージ2136の列を有する。サーバエラーID2134は、サーバ障害情報213C,413Cの各レコードの識別情報である。タイムスタンプ2135は、ATM5においてサーバエラーメッセージのエラーが検知された際のタイムスタンプである。サーバエラーメッセージ2136は、勘定系電文の送受信にエラーが発生した場合に、基幹系サーバ31によって送信されたエラー内容を通知する電文エラーメッセージである。
【0108】
(実施形態3に係るエラーコード判定テーブル412の更新例)
図18は、実施形態3に係るエラーコード判定テーブル412の更新の一例を示す図である。実施形態2と同様に、ATM障害情報211とサーバ障害情報213Cを用い、エラーコード判定テーブル更新処理(
図14)を実行することで、
図17に示すようにエラーコード判定テーブル412を更新することができる。
【0109】
例えばATM障害情報411のATMエラーメッセージ2121“回線エラー(上位接続なし)”とタイムスタンプが一致するもしくは所定範囲内で近いエラーメッセージ“ルーター故障”がサーバ障害情報413Cに存在するとする。エラーコード判定テーブル412の更新前では、
図18のエラーコード判定テーブル412の行L21に示すように、ATMエラーメッセージ2121“回線エラー(上位接続なし)”に対して判定結果2122“休止(審議)”が対応付けられている。
【0110】
そしてエラーコード判定テーブル412の更新によって、行L22に示すように、ATMエラーメッセージ2121“回線エラー(上位接続なし)”が“回線エラー(ルーター故障)”と詳細化される。そして“回線エラー(ルーター故障)”は、ATM5の運用管理者の責任ではないネットワークの不具合である。よって、ATMエラーメッセージ2121“回線エラー(ルーター故障)”に判定結果2122“稼働”が対応付けられるようにエラーコード判定テーブル412に新規レコードが追加される。
【0111】
エラーコード判定テーブル412の行L23に示すATMエラーメッセージ2121“回線エラー(基幹系エラー)”も同様である。
【0112】
[その他の実施形態]
(1)運用管理システムSの構成について
上述の実施形態1~3では、運用管理システムSにおいて、ユーザ端末4,4Bが、画面表示処理(
図5)、ボタン押下検知時処理(
図6)、及びエラーコード判定テーブル更新処理(
図14)を実行するとした。しかし監視サーバ20,20Bが、画面表示処理、ボタン押下検知時処理、及びエラーコード判定テーブル更新処理を実行し、監視サーバ20,20Bに接続された表示装置に
図7~
図9に例示するGUIを表示するとしてもよい。すなわち運用管理システムSにおける監視サーバ20,20Bとユーザ端末4,4Bの処理機能の配置の統合及び分散は、適宜変更可能である。
【0113】
(2)“稼働”、“休止”、及び“休止(審議)”の該当判定について
上述の実施形態2及び3では、エラーコード判定テーブル更新処理(
図14)によって更新したエラーコード判定テーブル412に基づいて、ATMエラーメッセージ2121(
図3)が“稼働”、“休止”、及び“休止(審議)”の何れに該当するかを判定した。しかしこれに限らず、画面表示処理(
図5)において、更新前のエラーコード判定テーブル412に基づいて、“稼働”、“休止”、及び“休止(審議)”の何れに該当するかの判定(ステップS13,S16)を行ってもよい。すなわちATM障害情報411のレコードとタイムスタンプが一致する上位障害情報413(サーバ障害情報413C)のレコードが存在する場合に、該当のATM障害情報411のATMエラーメッセージ2121が“稼働”に該当と判定してもよい。これにより新たなエラーに自動で対応して稼働時間及び休止時間の精査を適切に行うことができる。
【0114】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。例えば、上述の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また矛盾しない限りにおいて、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成で置き換えたり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えたりすることも可能である。また各実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換、統合、及び分割をすることが可能である。また実施形態で示した各処理は、処理効率又は実装効率に基づいて適宜分散又は統合してもよい。
【符号の説明】
【0115】
S:運用管理システム、4,4B:ユーザ端末、20,20B:監視サーバ、22,42:プロセッサ、44D1:表示画面、44d:稼働時間、44f:休止時間、211,411:ATM障害情報、212,412:エラーコード判定テーブル、213:上位障害情報、213C:サーバ障害情報。