(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127058
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240912BHJP
G05B 13/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
G05B13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035917
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】熊崎 将司
【テーマコード(参考)】
3C223
5H004
【Fターム(参考)】
3C223AA15
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223EB02
3C223FF04
3C223FF22
3C223FF26
3C223GG01
5H004GA29
5H004GB11
5H004HA01
5H004HB01
5H004KD62
(57)【要約】
【課題】複数の入力情報の一つに異常が生じていた場合であっても正しく目標駆動出力を算出可能な電子制御装置を提供すること。
【解決手段】電子制御装置は、複数のセンサとアクチュエータと接続されている。電子制御装置は、複数のセンサのそれぞれから入力情報を取得し、入力情報に異常があるか否かを判定する(S10、S11)。電子制御装置は、入力情報に異常があると判定しなかった場合、複数の入力情報から駆動対象装置への目標駆動出力を算出する(S12)。一方、電子制御装置は、入力情報に異常があると判定した場合、推論モデルを用いて目標駆動出力を算出する(S15)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動対象装置を駆動制御する電子制御装置であって、
複数の入力情報を取得する取得部(S10)と
複数の前記入力情報の少なくとも一つに異常があるか否かを判定する判定部(S11)と、
前記判定部にて異常があると判定されなかった場合、複数の前記入力情報から前記駆動対象装置への目標駆動出力を算出する第1算出部(S12)と、
前記判定部にて異常があると判定された場合、推論モデルを用いて前記目標駆動出力を算出する第2算出部(S15)と、を備えた電子制御装置。
【請求項2】
前記判定部にて異常があると判定されなかった場合に前記推論モデルを作成する作成部(S14)をさらに備えた請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記作成部は、前記判定部にて異常があると判定されなかった前記入力情報の少なくとも一つを用いて前記推論モデルを作成する請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記取得部は、複数の前記入力情報に加えて、前記入力情報とは異なり前記目標駆動出力に相関する相関情報を取得するものであり、
前記作成部は、前記相関情報を用いて前記推論モデルを作成する請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記作成部は、機械学習によって前記推論モデルを作成する請求項3または4に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記駆動対象装置として電動ウォータポンプを駆動制御する請求項1または2に記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子制御装置の一例として、電動ウォータポンプを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子制御装置は、複数の入力情報から目標駆動出力を算出する。しかしながら、電子制御装置は、一つの入力情報に異常が生じていた場合、正しく目標駆動出力を算出することができない。
【0005】
開示される一つの目的は、複数の入力情報の一つに異常が生じていた場合であっても正しく目標駆動出力を算出可能な電子制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された電子制御装置は、
駆動対象装置を駆動制御する電子制御装置であって、
複数の入力情報を取得する取得部(S10)と
複数の入力情報の少なくとも一つに異常があるか否かを判定する判定部(S11)と、
判定部にて異常があると判定されなかった場合、複数の入力情報から駆動対象装置への目標駆動出力を算出する第1算出部(S12)と、
判定部にて異常があると判定された場合、推論モデルを用いて目標駆動出力を算出する第2算出部(S15)と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このように、電子制御装置は、判定部にて異常があると判定されなかった場合、複数の入力情報から目標駆動出力を算出する。しかしながら、電子制御装置は、判定部にて異常があると判定された場合、推論モデルを用いて目標駆動出力を算出する。このため、電子制御装置は、複数の入力情報の少なくとも一つに異常が生じていても正しく目標駆動出力を算出できる。
【0008】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】電子制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
【
図3】電子制御装置の推論モデル作成処理を示すフローチャートである。
【
図5】変形例における電子制御装置の推論モデル作成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。本実施形態では、一例として、車両に搭載された駆動対象装置を駆動制御する電子制御装置100を採用する。また、本実施形態では、駆動対象装置の一例として電動ウォータポンプを採用する。しかしながら、本開示は、上記構成に限定されない。
【0011】
図1に示すように、電子制御装置100は、複数のセンサ200、アクチュエータ300と接続されている。電子制御装置100は、センサ200として、インバータのコイル温度を検出するコイル温度センサ、インバータのスイッチング素子の素子温度を検出する素子温度センサ、インバータを冷却する冷却水の冷却水温度を検出する冷却水温度センサが接続されている。なお、素子温度は、スイッチング素子の雰囲気温度であってもよい。
【0012】
電子制御装置100は、各センサ200の検出信号が入力される。各検出信号は、電動ウォータポンプへの目標駆動出力を算出するための情報である。以下では、検出信号を入力情報と称する。また、各検出信号は、車両の走行状態などによって変化する。このため、検出信号は、車両情報ともいえる。目標駆動出力は、電動ウォータポンプを駆動制御するための制御信号である。目標駆動出力は、目標駆動Duty[%]ともいえる。なお、電子制御装置100は、電動ウォータポンプへの目標駆動出力を算出するための情報である入力情報以外の信号(情報)が、複数のセンサ200やアクチュエータ300から入力されてもよい。つまり、本実施形態における入力情報は、電子制御装置100に入力される情報のうち、正常時に目標駆動出力の算出に用いる情報である。
【0013】
なお、電子制御装置100は、入力情報が各センサ200からの直接的に入力されていてもよいし、他の装置を介して間接的に入力されてもよい。電子制御装置100は、四つ以上の入力情報から目標駆動出力を算出してもよい。また、電子制御装置100は、二つの入力情報から目標駆動出力を算出してもよい。
【0014】
アクチュエータ300は、電動ウォータポンプに設けられたモータである。電動ウォータポンプは、モータの他に、モータのロータとともに回転するインペラなどを備えている。電子制御装置100は、電動ウォータポンプのアクチュエータ300を駆動制御する。電動ウォータポンプは、駆動制御されることで、冷却配管内において冷却水を循環させる。また、電動ウォータポンプは、駆動制御されることで、冷却水の流量を調整可能である。冷却配管は、たとえば、回転電機に電力を供給するインバータなどを冷却可能な位置に配置されている。
【0015】
電子制御装置100は、各センサ200やアクチュエータ300以外に、電子制御装置100とは異なる他の電子制御装置などと接続されていてもよい。この場合、電子制御装置100は、他の電子制御装置から各入力情報が異常であることを示す異常信号を受信してもよい。
【0016】
電子制御装置100は、マイコン10を備えている。マイコン10は、CPUなどの演算部20と、インタフェース回路などのプラットフォーム30と、揮発性メモリや不揮発性メモリなどの記憶部40とを備えている。
【0017】
演算部20は、記憶部40に記憶されたプログラムを実行する。演算部20は、プログラムを実行することで各種演算処理を行う。演算部20は、たとえば、三つの入力情報を用いて目標駆動出力を算出する。
【0018】
プラットフォーム30は、各センサ200とアクチュエータ300とが接続されている。プラットフォーム30は、各センサ200からの入力情報を演算部20に出力する。プラットフォーム30は、演算部20からの目標駆動出力をアクチュエータ300に出力する。
【0019】
記憶部40は、演算部20が実行するプログラムや推論モデルなどが記憶されている。推論モデルは、一部の入力情報を用いて、目標駆動出力を算出するためのモデルある。演算部20は、三つの入力情報を用いることなく、推論モデルと一部の入力情報を用いることで目標駆動出力を得ることができる。
【0020】
ここで、
図2~
図4を用いて、電子制御装置100の処理動作に関して説明する。
図2のフローチャートは、主にマイコン10が実行する処理である。マイコン10は、たとえば、イグニッションスイッチがオンすると
図2のフローチャートをスタートする。
【0021】
ステップS10では、各入力情報を取得する(取得部)。演算部20は、プラットフォーム30を介して各入力情報を取得する。
【0022】
ステップS11では、入力情報に異常があるか否かを判定する(判定部)。演算部20は、各入力情報が示す値や他の電子制御装置からの異常信号などに基づいて、三つの入力情報の少なくとも一つに異常があるか否かを判定する。演算部20は、異常があると判定しないとステップS12へ進み、異常があると判定するとステップS15へ進む。なお、本実施形態では、全ての入力情報に異常があると判定した場合は
図2のフローチャートを終了する。つまり、演算部20は、異常があると判定した場合であっても、正常な入力情報がある場合に限ってステップS15へ進む。演算部20は、どの入力情報が異常であるかを把握できる。
【0023】
ステップS12では、入力情報から目標駆動出力を算出する(第1算出部)。演算部20は、入力情報に異常があると判定しなかった場合、すなわち、三つの入力情報が正常と判定した場合、三つの入力情報から目標駆動出力を算出する。
【0024】
ステップS13では、電動ウォータポンプを駆動する。演算部20は、ステップS12で算出した目標駆動出力を、プラットフォーム30を介して電動ウォータポンプに出力する。これによって、演算部20は、電動ウォータポンプを駆動する。
【0025】
ステップS14では、推論モデルを作成する(作成部)。演算部20は、異常があると判定しなかった場合、推論モデルを作成する。つまり、演算部20は、入力情報に異常があると判定しなかった場合に、正常な入力情報を用いて推論モデルを作成する。なお、演算部20は、推論モデルを作成する際、少なくとも一つの正常な入力情報を用いていればよい。
【0026】
これによって、演算部20は、車両の走行状態などによって変化する入力情報の正常値を用いて推論モデルを作成できる。このため、演算部20は、車両の走行状態に適した正確な目標駆動出力を算出可能な推論モデルを作成できる。
【0027】
ステップS15では、推論モデルと入力情報から目標駆動出力を算出する(第2算出部)。演算部20は、入力情報に異常があると判定した場合、正常な入力情報と推論モデルを用いて目標駆動出力を算出する。つまり、演算部20は、異常である入力情報を用いることなく、目標駆動出力を算出する。演算部20は、上記のような推論モデルを用いて目標駆動出力を算出するため、適切に電動ウォータポンプを駆動制御できる。
【0028】
ステップS16では、電動ウォータポンプを駆動する。演算部20は、推論モデルを用いて算出した目標駆動出力を、プラットフォーム30を介して電動ウォータポンプに出力する。これによって、演算部20は、電動ウォータポンプを駆動する。
【0029】
ここで、
図3、
図4を用いて、推論モデルの作成処理に関して説明する。マイコン10は、ステップS14に進むと、
図3のフローチャートをスタートする。
【0030】
ステップS20では、複数の入力情報から一つを選択する。ここでは、演算部20は、三つの入力情報から一つを選択する。これは、残りの二つの入力情報から推論モデルを作成するためである。
【0031】
ステップS21では、残りの入力情報を入力データとして設定する。演算部20は、ステップS20で選択した入力情報以外の二つの入力情報の時系列データを保存する。演算部20は、その時系列データを入力データとして設定する。
図4は、一例として、ステップS20で素子温度を選択した場合の入力データを示している。
【0032】
本実施形態では、ステップS27に示すように、全ての入力情報を選択するまでステップS20~S26を繰り返し実行する。このため、演算部20は、上記入力データに加えて、ステップS20でコイル温度を選択した場合の入力データ、冷却水温度を選択した場合の入力データを設定することになる。なお、入力データ数は、入力情報の数に応じて異なる。
【0033】
ステップS22では、入力データを学習用データとテスト用データに分割する。このとき、演算部20は、極端にデータ数に偏りがないようにランダムに分割する。また、演算部20は、複数の学習用データと複数のテスト用データとに分割する。なお、ステップS22~S26は、各入力データを対象として実行される。
【0034】
ステップS23では、学習用データを機械学習モデルに入力して推論モデルを作成する。演算部20は、学習用データを予め決められた教師有り機械学習モデルに入力し、推論モデルを作成する。つまり、演算部20は、学習用データにおける各入力情報の値と各目標駆動出力を機械学習モデルに入力して推論モデルを作成する。演算部20は、ステップS21で設定した入力モデルごとに推論モデルを生成する。よって、演算部20は、コイル温度と素子温度から目標駆動出力を算出する推論モデル、素子温度と冷却水温度から目標駆動出力を算出する推論モデル、冷却水温度とコイル温度から目標駆動出力を算出する推論モデルを生成する。
【0035】
このため、演算部20は、たとえば、コイル温度に異常が生じている場合、ステップS15において、二つ目の推論モデルを用いて目標駆動出力を算出することになる。つまり、演算部20は、素子温度と冷却水温度と二つ目の推論モデルから目標駆動出力を算出する。
【0036】
このように、演算部20は、機械学習によって推論モデルを作成する。演算部20は、目標駆動出力を算出するための入力情報で推論モデルを作成する。このため、演算部20は、入力情報間で補完しあうことができるので、高い精度の推論モデルが作成できる。
【0037】
また、演算部20は、環境の違いによる適合に要する時間を短くできる。また、演算部20は、機械学習を使用して相関分析をする時に相関の小さい入力情報を除くことができるため、入力情報を予め選定する必要がない。よって、演算部20は、入力情報の選定時間を短くできる。
【0038】
なお、使用する機械学習のモデルは、用途に応じて使い分けると好ましい。たとえば、目標駆動出力の値[%]を求めたい場合は、線形回帰などの回帰モデルを使う。また、目標駆動出力を段階で分類したい場合は、k近傍法などの分類モデルを使う。
【0039】
ステップS24では、推論モデルとテスト用データとから目標駆動出力を算出する。演算部20は、推論モデルを評価するための目標駆動出力を算出する。そのために、演算部20は、推論モデルの作成に用いていない複数のテスト用データを推論モデルに入力して、目標駆動出力を算出する。よって、演算部20は、各テスト用データに対応する複数の目標駆動出力を算出することになる。
【0040】
ステップS25では、推論モデルの更新が必要か否かを判定する。演算部20は、推論モデルの更新が必要と判定した場合にステップS26へ進み、更新が不要と判定した場合にステップS27へ進む。
【0041】
演算部20は、複数のテスト用データで算出した複数の目標駆動出力から、ステップS23で作成した推論モデルの精度を評価する。そして、演算部20は、評価結果から推論モデルの更新が必要か否かを判定する。
【0042】
演算部20は、たとえば、ステップS24で得られた複数の目標駆動出力の最大誤差に応じて、更新が必要であるか否かを判定してもよい。この場合、演算部20は、ステップS24で得られた複数の目標駆動出力の最大誤差を算出する。そして、演算部20は、最大誤差が予め決められた閾値(評価値)以下の場合、ステップS23で作成した推論モデルの方が現状の推論モデルよりも精度が向上しており、推論モデルの更新が必要と判定する。一方、演算部20は、最大誤差が予め決められた閾値を超えている場合、ステップS23で作成した推論モデルの方が現状の推論モデルよりも精度が低下しており、推論モデルの更新が不要と判定する。
【0043】
なお、演算部20は、複数の目標駆動出力の平均値に応じて更新が必要であるか否かを判定してもよい。この場合、演算部20は、複数の目標駆動出力の平均値を算出する。そして、演算部20は、平均値が評価値以下の場合に更新が必要と判定し、平均値が評価値を超えている場合に更新が不要と判定する。
【0044】
ステップS26では、推論モデルを更新する。演算部20は、記憶部40に記憶されている推論モデルを、ステップS23で作成した推論モデルに更新する。
【0045】
ステップS27では、全ての入力情報を選択したか否かを判定する。演算部20は、ステップS20で全ての入力情報を選択したと判定すると
図3のフローチャートを終了し、選択してないと判定するとステップS20へ戻る。
【0046】
<効果>
このように、電子制御装置100は、入力情報にて異常があると判定しなかった場合、複数の入力情報から目標駆動出力を算出する。しかしながら、電子制御装置100は、入力情報に異常があると判定した場合、推論モデルを用いて目標駆動出力を算出する。このため、電子制御装置100は、複数の入力情報の一つに異常が生じていても正しく目標駆動出力を算出できる。
【0047】
なお、電動ウォータポンプの制御装置は、たとえば、一つの入力情報に異常が生じていた場合、電動ウォータポンプを全開駆動することも考えられる。しかしながら、電子制御装置100は、一つの入力情報に異常が生じていた場合であっても、全開駆動する必要がない。よって、電子制御装置100は、エネルギー効率を向上できる。
【0048】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0049】
(変形例)
図5を用いて、電子制御装置100の変形例に関して説明する。変形例は、主に、推論モデルの作成処理が上記実施形態と異なる。
【0050】
電子制御装置100は、センサ200として、燃料電池の雰囲気温度を検出する電池温度センサ、車両の車輪速を検出する車輪速センサ、エンジンの吸気温度を検出する吸気温度センサが接続されていてもよい。雰囲気温度、車輪速、吸気温度を示す検出信号は、入力情報とは異なり目標駆動出力を算出するための入力情報ではない。しかしながら、雰囲気温度、車輪速、吸気温度を示す検出信号は、目標駆動出力に相関する情報であり相関情報に相当する。つまり、電子制御装置100は、目標駆動出力を算出するための入力情報に加えて、目標駆動出力に相関する相関情報が入力される。
【0051】
ここでは、三つの相関情報が入力される電子制御装置100を採用している。しかしながら、電子制御装置100は、複数の相関情報が入力されるものであればよい。
【0052】
電子制御装置100は、推論モデルを作成する場合、
図5のフローチャートをスタートする。ステップS20aでは、複数の相関情報を取得する。ここでは、演算部20は、プラットフォーム30を介して三つの相関情報を取得する。ステップS21aでは、相関情報を入力データとして設定する。演算部20は、ステップS20aで取得した相関情報の時系列データを保存する。演算部20は、その時系列データを入力データとして設定する。つまり、電子制御装置100は、相関情報を用いて推論モデルを作成する。また、演算部20は、相関情報と目標駆動出力の相関を機械学習で分析すると、相関情報から目標駆動出力を算出する推論モデルが作成できるといえる。
【0053】
変形例の電子制御装置100は、上記実施形態と同様、複数の入力情報の一つに異常が生じていても正しく目標駆動出力を算出できる。また、変形例の電子制御装置100は、全ての入力情報に異常が生じていたとしても正しく目標駆動出力を算出できる。
【0054】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0055】
10…マイコン、20…演算部、30…プラットフォーム、40…記憶部、100…電子制御装置、200…センサ、300…アクチュエータ