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特開2024-127065繊維強化樹脂材料の製造方法及び製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127065
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】繊維強化樹脂材料の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/50 20060101AFI20240912BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B29C70/50
B29C70/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035928
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博紀
(72)【発明者】
【氏名】森脇 幹文
(72)【発明者】
【氏名】岩本 友之
(72)【発明者】
【氏名】山口 紘次朗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝治
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AJ08
4F205HA08
4F205HA33
4F205HA34
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB02
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK25
(57)【要約】
【課題】高強度の繊維強化樹脂材料を効率良く製造可能な繊維強化樹脂材料の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】強化繊維2の束に樹脂材料3を含浸させた繊維強化樹脂材料の製造方法であって、強化繊維2に樹脂材料3を含浸させた第1形態の帯状材料11に対し、搬送方向に延びる第1折り目11a,11bを形成する第1工程S11と、第1形態の帯状材料11を幅方向から押圧して第1折り目11a,11bに沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第2形態の帯状材料12を形成する第2工程S12とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維の束に樹脂材料を含浸させた繊維強化樹脂材料の製造方法であって、
強化繊維に樹脂材料を含浸させた第1形態の帯状材料に対し、搬送方向に延びる第1折り目を形成する第1工程と、
前記第1形態の帯状材料を幅方向から押圧して前記第1折り目に沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第2形態の帯状材料を形成する第2工程とを備える、繊維強化樹脂材料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の繊維強化樹脂材料の製造方法において、
前記第1工程の前に、前記搬送方向に沿って一方向に配列した強化繊維に樹脂材料を含浸させて帯状の前記第1形態の帯状材料を形成する準備工程を備える、繊維強化樹脂材料の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の繊維強化樹脂材料の製造方法において、
前記第2工程の後、前記第2形態の帯状材料に対し、前記第1工程とは異なる方向から前記搬送方向に延びる第2折り目を形成する第3工程と、
前記第2形態の帯状材料を前記第2工程とは異なる方向から押圧して前記第2折り目に沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第3形態の帯状材料を得る第4工程とを備える、繊維強化樹脂材料の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の繊維強化樹脂材料の製造方法において、
前記第1工程は、前記搬送方向に直交する第1軸を回転軸とする第1折り目形成ローラの、周方向に形成された第1折り目形成部を、前記第1形態の帯状材料に押圧させながら回転することで前記第1折り目を形成し、
前記第2工程は、前記第1軸と交差する方向に延びる第2軸を回転軸とする第1プレスローラを回転して前記第1形態の帯状材料を押圧し、前記第1軸が延びる方向に重畳させた前記第2形態の帯状材料を形成する、繊維強化樹脂材料の製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の繊維強化樹脂材料の製造方法において、
前記第1工程は、前記搬送方向に直交する第1軸を回転軸とする第1折り目形成ローラの、周方向に形成された第1折り目形成部を、前記第1形態の帯状材料に押圧させながら回転することで前記第1折り目を形成し、
前記第2工程は、前記第1軸と交差する方向に延びる第2軸を回転軸とする第1プレスローラを回転して前記第1形態の帯状材料を押圧し、前記第1軸が延びる方向に重畳させた前記第2形態の帯状材料を形成し、
前記第3工程は、前記第1軸と交差する方向に延びる第3軸を回転軸とする第2折り目形成ローラの、周方向に形成された第2折り目形成部を、前記第2形態の帯状材料に押圧させながら回転することで前記第2折り目を形成し、
前記第4工程は、前記第3軸と交差する方向に延びる第4軸を回転軸とする第2プレスローラを回転して前記第2形態の帯状材料を押圧し、前記第3軸が延びる方向にさらに重畳させた前記第3形態の帯状材料を形成する、繊維強化樹脂材料の製造方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の繊維強化樹脂材料の製造方法において、
前記折り目形成部は、前記搬送方向に沿って延びる凹条及び凸条であり、前記凹条及び前記凸条を有する一対の前記折り目形成ローラが、前記帯状材料を挟み込むとともに互いの前記凹条と前記凸条とを噛み合わせながら回転する、繊維強化樹脂材料の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の繊維強化樹脂材料の製造方法において、
一対の前記プレスローラによって、前記帯状材料を前記折り目の両側から挟み込んで押圧し、前記折り目に沿って折り畳む、繊維強化樹脂材料の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の繊維強化樹脂材料の製造方法において、
前記折り目形成ローラは、その回転軸の延びる方向に複数の前記凹条及び前記凸条を交互に有し、山型の折り目と谷型の折り目が連続する蛇腹状の帯状材料を形成する、繊維強化樹脂材料の製造方法。
【請求項9】
強化繊維の束に樹脂材料を含浸させた繊維強化樹脂材料の製造装置であって、
搬送方向に沿って一方向に配列した強化繊維に樹脂材料を含浸させて帯状にした第1形態の帯状材料を前記搬送方向へ搬送する搬送装置と、
前記搬送方向に沿って延びる第1折り目形成部を備え、前記第1形態の帯状材料へ前記第1折り目形成部を押圧する第1折り目形成部材と、
前記搬送方向において前記第1折り目形成部材よりも下流側に配置され、前記第1折り目形成部材とは異なる方向から前記第1形態の帯状材料を押圧することにより、前記搬送方向と交差する方向に重畳された第2形態の帯状材料を形成する第1プレス部材と、を備える繊維強化樹脂材料の製造装置。
【請求項10】
請求項9に記載の繊維強化樹脂材料の製造装置において、
前記搬送方向において前記第1プレス部材よりも下流側に配置され、前記搬送方向に沿って延びる第2折り目形成部を備え、前記第1折り目形成部材とは異なる方向から前記第2形態の帯状材料へ前記第2折り目形成部を押圧する第2折り目形成部材と、
前記搬送方向において前記第2折り目形成部材よりも下流側に配置され、前記第2折り目形成部材とは異なる方向から前記第2形態の帯状材料を押圧することにより、前記搬送方向と交差する方向に更に重畳された第3形態の帯状材料を形成する第2プレス部材と、を備える繊維強化樹脂材料の製造装置。
【請求項11】
請求項9に記載の繊維強化樹脂材料の製造装置において、
前記第1折り目形成部材は、前記搬送方向に直交する第1軸を回転軸とする第1折り目形成ローラであり、
前記第1折り目形成部は、前記第1折り目形成ローラの周方向に形成されるとともに、前記第1軸方向に交互に形成された凹条及び凸条であり、
前記第1折り目形成ローラは、前記第1形態の帯状材料に前記凹条及び前記凸条を押圧させて回転することにより、前記第1形態の帯状材料に前記第1折り目を形成し、
前記第1プレス部材は、前記第1軸と交差する方向に延びる第2軸を回転軸とする第1プレスローラであり、
前記第1プレスローラは、前記第1形態の帯状材料を押圧することにより前記第1折り目に沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第2形態の帯状材料を形成する、繊維強化樹脂材料の製造装置。
【請求項12】
請求項10に記載の繊維強化樹脂材料の製造装置において、
前記第1折り目形成部材は、前記搬送方向に直交する第1軸を回転軸とする第1折り目形成ローラであり、
前記第1折り目形成部は、前記第1折り目形成ローラの周方向に形成されるとともに、前記第1軸方向に交互に形成された凹条及び凸条であり、
前記第1折り目形成ローラは、前記第1形態の帯状材料に前記凹条及び前記凸条を押圧させて回転することにより、前記第1形態の帯状材料に前記第1折り目を形成し、
前記第1プレス部材は、前記第1軸と交差する方向に延びる第2軸を回転軸とする第1プレスローラであり、
前記第1プレスローラは、前記第1形態の帯状材料を押圧することにより前記第1折り目に沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて前記第1軸が延びる方向に重畳させた前記第2形態の帯状材料を形成し、
前記第2折り目形成部材は、前記第1軸と交差する方向に延びる第3軸を回転軸とする第2折り目形成ローラであり、
前記第2折り目形成部は、前記第2折り目形成ローラの周方向に形成されるとともに、前記第1軸方向に交互に形成された凹条及び凸条であり、
前記第2折り目形成ローラは、前記第2形態の帯状材料に前記凹条及び前記凸条を押圧させて回転することにより、前記第2形態の帯状材料に前記第2折り目を形成し、
前記第2プレス部材は、前記第3軸と交差する方向に延びる第4軸を回転軸とする第2プレスローラであり、
前記第2プレスローラは、前記第2形態の帯状材料を押圧することにより前記第2折り目に沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて前記第3軸が延びる方向に重畳させた第3形態の帯状材料を形成する、繊維強化樹脂材料の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、繊維強化樹脂材料の製造方法及び製造装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂材料は、軽量かつ高強度な材料として、様々な分野で活用されている。一般的に、繊維強化樹脂材料は、強化繊維の束を樹脂へ含浸させて生産されるが、繊維束の隙間に樹脂が充填されず空隙が残ると、材料としての特性が低下する。このような空隙を減らすために、従来、高圧で樹脂を含浸させる手法が用いられている。
【0003】
繊維強化樹脂材料の他の製造方法としては、例えば特許文献1に、強化繊維を搬送しながら含浸槽へ入れられた粉体状熱可塑性樹脂中を通過させ、一対の加熱ロールにより加熱・加圧することで樹脂と強化繊維とを一体化する製造方法が開示されている。また特許文献2には、織物のような強化繊維のウェブに接着剤が塗布された後、ウェブが切断され、積層して多層ウェブにされた後、型に挟み込まれて硬化及び成形される方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-57821号公報
【特許文献2】特許2007-38678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空隙を減らすために高圧で樹脂を含浸させる方法は、製造効率が悪いという課題がある。特許文献1の方法は、強化繊維と樹脂が単層であるため、高い強度が必要となる部材の生産には不向きである。特許文献2の方法は、帯状材料の切断、重畳及び硬化の多段階で構成されるため、製造効率が悪く、装置の大型化も招く。
【0006】
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高強度の繊維強化樹脂材料を効率良く製造可能な繊維強化樹脂材料の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術は、強化繊維の束に樹脂材料を含浸させた繊維強化樹脂材料の製造方法であって、強化繊維に樹脂材料を含浸させた第1形態の帯状材料に対し、搬送方向に延びる第1折り目を形成する第1工程と、前記第1形態の帯状材料を幅方向から押圧して前記第1折り目に沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第2形態の帯状材料を形成する第2工程とを備える構成とした。
【0008】
上記の構成によれば、簡易な一連の工程で帯状材料を折り畳み、重畳させることが可能であるため、製造効率良く高強度の繊維強化樹脂材料を形成できる。
【0009】
一実施形態では、前記第1工程の前に、前記搬送方向に沿って一方向に配列した強化繊維に樹脂材料を含浸させて帯状の前記第1形態の帯状材料を形成する準備工程を備えても良い。
【0010】
上記の構成によれば、帯状の第1形態の帯状材料の形成から重畳までを一連の工程で行うことで、より効率良く高強度の繊維強化樹脂材料を形成できる。
【0011】
一実施形態では、前記第2工程の後、前記第2形態の帯状材料に対し、前記第1工程とは異なる方向から前記搬送方向に延びる第2折り目を形成する第3工程と、前記第2形態の帯状材料を前記第2工程とは異なる方向から押圧して前記第2折り目に沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第3形態の帯状材料を得る第4工程とを備えても良い。
【0012】
上記の構成によれば、異なる方向から帯状材料を複数回重畳させることにより、より高強度の繊維強化樹脂材料を形成できる。
【0013】
一実施形態では、前記第1工程は、前記搬送方向に直交する第1軸を回転軸とする第1折り目形成ローラの、周方向に形成された第1折り目形成部を、前記第1形態の帯状材料に押圧させながら回転することで前記第1折り目を形成し、前記第2工程は、前記第1軸と交差する方向に延びる第2軸を回転軸とする第1プレスローラを回転して前記第1形態の帯状材料を押圧し、前記第1軸が延びる方向に重畳させた前記第2形態の帯状材料を形成しても良い。
【0014】
上記の構成によれば、回転する折り目形成ローラ及びプレスローラを用いて折り目の形成と重畳を行うことにより、帯状材料を搬送しながら第1工程から第2工程までを連続して行うことが容易となるため、さらに効率良く高強度の繊維強化樹脂材料を形成できる。
【0015】
一実施形態では、前記第1工程は、前記搬送方向に直交する第1軸を回転軸とする第1折り目形成ローラの、周方向に形成された第1折り目形成部を、前記第1形態の帯状材料に押圧させながら回転することで前記第1折り目を形成し、前記第2工程は、前記第1軸と交差する方向に延びる第2軸を回転軸とする第1プレスローラを回転して前記第1形態の帯状材料を押圧し、前記第1軸が延びる方向に重畳させた前記第2形態の帯状材料を形成し、前記第3工程は、前記第1軸と交差する方向に延びる第3軸を回転軸とする第2折り目形成ローラの、周方向に形成された第2折り目形成部を、前記第2形態の帯状材料に押圧させながら回転することで前記第2折り目を形成し、前記第4工程は、前記第3軸と交差する方向に延びる第4軸を回転軸とする第2プレスローラを回転して前記第2形態の帯状材料を押圧し、前記第3軸が延びる方向にさらに重畳させた前記第3形態の帯状材料を形成しても良い。
【0016】
上記の構成によれば、異なる方向に回転軸を有する折り目形成ローラ及びプレスローラをそれぞれ複数用い、帯状材料を搬送しながら第1工程から第4工程までを連続して行うことが容易となり、異なる方向から帯状材料を複数回重畳させることで、より高強度の繊維強化樹脂材料をより効率良く形成できる。
【0017】
一実施形態では、前記折り目形成部は、前記搬送方向に沿って延びる凹条及び凸条であり、前記凹条及び前記凸条を有する一対の前記折り目形成ローラが、前記帯状材料を挟み込むとともに互いの前記凹条と前記凸条とを噛み合わせながら回転する構成としても良い。
【0018】
上記の構成によれば、凹条及び凸条を有する一対の折り目形成ローラによって、帯状材料への折り目の形成が容易となる。
【0019】
一実施形態では、一対の前記プレスローラによって、前記帯状材料を前記折り目の両側から挟み込んで押圧し、前記折り目に沿って折り畳む構成としても良い。
【0020】
上記の構成によれば、一対のプレスローラにより、帯状材料の重畳がより容易となる。
【0021】
一実施形態では、前記折り目形成ローラは、その回転軸の延びる方向に複数の前記凹条及び前記凸条を交互に有し、山型の折り目と谷型の折り目が連続する蛇腹状の帯状材料を形成する構成としても良い。
【0022】
上記の構成によれば、複数の凹条及び凸条により帯状材料を蛇腹状に形成することで、一度の重畳工程で帯状材料を幾重にも重畳させ、より高強度の繊維強化樹脂材料をより効率良く形成できる。
【0023】
また、ここに開示された技術は、強化繊維の束に樹脂材料を含浸させた繊維強化樹脂材料の製造装置であって、搬送方向に沿って一方向に配列した強化繊維に樹脂材料を含浸させて帯状にした第1形態の帯状材料を前記搬送方向へ搬送する搬送装置と、前記搬送方向に沿って延びる第1折り目形成部を備え、前記第1形態の帯状材料へ前記第1折り目形成部を押圧する第1折り目形成部材と、前記搬送方向において前記第1折り目形成部材よりも下流側に配置され、前記第1折り目形成部材とは異なる方向から第1形態の帯状材料を押圧することにより、前記搬送方向と交差する方向に重畳された第2形態の帯状材料を形成する第1プレス部材と、を備える構成とした。
【0024】
上記の構成によれば、簡易な構成部材により一連の工程で帯状材料を折り畳み、重畳させることが可能であるため、製造効率良く高強度の繊維強化樹脂材料を形成できる。
【0025】
一実施形態では、前記搬送方向において前記第1プレス部材よりも下流側に配置され、前記搬送方向に沿って延びる第2折り目形成部を備え、前記第1折り目形成部材とは異なる方向から前記第2形態の帯状材料へ前記第2折り目形成部を押圧する第2折り目形成部材と、前記搬送方向において前記第2折り目形成部材よりも下流側に配置され、前記第2折り目形成部材とは異なる方向から前記第2形態の帯状材料を押圧することにより、前記搬送方向と交差する方向に更に重畳された第3形態の帯状材料を形成する第2プレス部材と、を備える構成としても良い。
【0026】
上記の構成によれば、異なる方向から帯状材料を2度重畳させることにより、より高強度の繊維強化樹脂材料を形成できる。
【0027】
一実施形態では、前記第1折り目形成部材は、前記搬送方向に直交する第1軸を回転軸とする第1折り目形成ローラであり、前記第1折り目形成部は、前記第1折り目形成ローラの周方向に形成されるとともに、前記第1軸方向に交互に形成された凹条及び凸条であり、前記第1折り目形成ローラは、前記第1形態の帯状材料に前記凹条及び前記凸条を押圧させて回転することにより、前記第1形態の帯状材料に前記第1折り目を形成し、前記第1プレス部材は、前記第1軸と交差する方向に延びる第2軸を回転軸とする第1プレスローラであり、前記第1プレスローラは、前記第1形態の帯状材料を押圧することにより前記第1折り目に沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第2形態の帯状材料を形成する構成としても良い。
【0028】
上記の構成によれば、回転する折り目形成ローラ及びプレスローラを用いて折り目の形成と重畳を行うことにより、第1工程から第2工程までを連続して行うことが容易となるため、さらに効率良く高強度の繊維強化樹脂材料を形成できる。
【0029】
一実施形態では、前記第1折り目形成部材は、前記搬送方向に直交する第1軸を回転軸とする第1折り目形成ローラであり、前記第1折り目形成部は、前記第1折り目形成ローラの周方向に形成されるとともに、前記第1軸方向に交互に形成された凹条及び凸条であり、前記第1折り目形成ローラは、前記第1形態の帯状材料に前記凹条及び前記凸条を押圧させて回転することにより、前記第1形態の帯状材料に前記第1折り目を形成し、前記第1プレス部材は、前記第1軸と交差する方向に延びる第2軸を回転軸とする第1プレスローラであり、前記第1プレスローラは、前記第1形態の帯状材料を押圧することにより前記第1折り目に沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて前記第1軸が延びる方向に重畳させた前記第2形態の帯状材料を形成し、前記第2折り目形成部材は、前記第1軸と交差する方向に延びる第3軸を回転軸とする第2折り目形成ローラであり、前記第2折り目形成部は、前記第2折り目形成ローラの周方向に形成されるとともに、前記第1軸方向に交互に形成された凹条及び凸条であり、前記第2折り目形成ローラは、前記第2形態の帯状材料に前記凹条及び前記凸条を押圧させて回転することにより、前記第2形態の帯状材料に前記第2折り目を形成し、前記第2プレス部材は、前記第3軸と交差する方向に延びる第4軸を回転軸とする第2プレスローラであり、前記第2プレスローラは、前記第2形態の帯状材料を押圧することにより前記第2折り目に沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて前記第3軸が延びる方向に重畳させた第3形態の帯状材料を形成する構成としても良い。
【0030】
上記の構成によれば、異なる方向に回転軸を有する折り目形成ローラ及びプレスローラをそれぞれ複数用い、折り目形成と重畳を複数回連続して行うことが容易となり、異なる方向から帯状材料を複数回重畳させることで、より高強度の繊維強化樹脂材料をより効率良く形成できる。
【0031】
以上説明したように、ここに開示された繊維強化樹脂材料の製造方法及び製造装置によると、高強度の繊維強化樹脂材料を効率良く製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】例示的な繊維強化樹脂材料の製造装置の概略平面図である。
図2】例示的な繊維強化樹脂材料の製造装置の概略正面図である。
図3】例示的な繊維強化樹脂材料の製造装置の概略斜視図である。
図4図1のIV-IV線端面図である。
図5図1のV-V線断面図である。
図6図1のVI-VI線端面図である。
図7図1のVII-VII線断面図である。
図8図1のVIII-VIII線端面図である。
図9】繊維強化樹脂材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、左右、上下、前後といった方向を示す用語を用いるが、これらの方向を示す用語は構成要素の配置や製造装置の駆動方向を限定するものではない。
【0034】
図1は、繊維強化樹脂材料の例示的な製造装置1の概略的な平面図、図2は正面図、図3は斜視図である。図中に示すX,Y及びZは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を示す。下記の実施形態において、X軸方向は左右方向を示し、Y軸方向は前後方向を示し、Z軸方向は上下方向を示す。これらの方向は実施形態によって変更可能であり、製造装置の駆動方向を限定するものではない。なお、下記の説明において上流側及び下流側とは、搬送方向における上流側及び下流側を示す。
【0035】
製造装置1は、強化繊維2の束に樹脂材料3を含浸させた繊維強化樹脂材料の製造装置である。製造装置1は、強化繊維2の束に樹脂材料3を含浸させた帯状材料を搬送方向に沿って蛇腹状に複数回折り畳む装置である。製造装置1は、搬送装置(図示省略)と、第1折り目形成部材30と、第1プレス部材40と、第2折り目形成部材50と、第2プレス部材60を備える。
【0036】
強化繊維2は、繊維強化樹脂材料として使用可能なものであれば特に限定されないが、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、又は、アクリル、竹若しくはヘンプを原料とする繊維を用いることができる。強化繊維2の太さは、例えば、1~350μmmのもの、好ましくは1~50μmmである。強化繊維2は何色であっても良い。また、強化繊維は、巻き取り可能であればその硬度は問わないが、例えば最小曲げ半径が1mm以上であることが好ましい。
【0037】
樹脂材料3は、繊維強化樹脂材料として使用可能なものであれば特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでもよい。熱硬化性樹脂のみ、熱可塑性樹脂のみ、又は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の両方を用いてもよい。樹脂材料には着色剤や他の添加剤を加えてもよい。
【0038】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、シアネート樹脂等を用いることができる。熱硬化性樹脂は、1種でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱硬化性樹脂は、粘度が100~10,000Pa・secであることが好ましい。
【0039】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、オレフィン系樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂は、1種でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱可塑性樹脂は、MFR(メルトフローレート)が5~60g/10minであることが好ましい。
【0040】
搬送装置は、搬送方向に沿って一方向に配列した強化繊維2に樹脂材料3を含浸させて帯状にした帯状材料を搬送方向へ搬送する。本実施形態において、搬送方向はX軸方向であり、図1から図3において、搬送装置は、紙面の左側から右側へ向かって連続的に帯状材料を搬送する。搬送装置は、図示を省略したが、帯状又はシート状の材料を所定の方向へ搬送する一般的な搬送装置を適用可能である。搬送装置は、例えば、搬送方向の最も下流側に配置され、帯状又はシート状の材料を巻き取りながら回転する巻取装置等を用いることができる。
【0041】
本実施形態において、搬送方向の最も上流側には、繊維巻出ロール4と樹脂巻出ロール5が配置されている。繊維巻出ロール4は、糸状の強化繊維2を一方向かつ所定の幅に配列した配列繊維10を下流側へ巻き出す。樹脂巻出ロール5は、シート状に形成され粘度を有する樹脂材料3を下流側へ巻き出す。
【0042】
繊維巻出ロール4及び樹脂巻出ロール5は、搬送装置によって駆動され、配列繊維10及び樹脂材料3を搬送方向へ巻き出す。本実施形態において、繊維巻出ロール4は、強化繊維2がY軸方向に複数配列された配列繊維10を略水平方向に巻き出す。樹脂巻出ロール5の下流側には、ガイド20が設置されている。ガイド20は、樹脂材料3が、配列繊維10に沿って搬送されるとともに、配列繊維10の上に重なるようにガイドする。
【0043】
製造装置1は、配列繊維10を搬送しながら、ガイド20によって、配列繊維10の上に粘度を有する状態の樹脂材料3を重ねる。配列繊維10に樹脂材料3を重ねることで、強化繊維2は樹脂材料3に含浸されて帯状材料となる。この状態の帯状材料を第1形態の帯状材料11と呼ぶ。
【0044】
樹脂材料3が熱可塑性樹脂の場合、樹脂材料3を溶融させて粘度を低く保ち、強化繊維2の間に隙間なく浸透させるために、第1形態の帯状材料11を加熱する加熱ローラを設けてもよい。また、強化繊維2が導電性の繊維であり、樹脂材料3が熱可塑性樹脂である場合、搬送中の強化繊維2へ通電させることにより、強化繊維2に付着した樹脂材料3を加熱溶融させ、強化繊維2の間に浸透させることも可能である。
【0045】
図4は、図1のIV-IV線端面図であり、第1形態の帯状材料11の断面を示す。図4に示すように、第1形態の帯状材料11において、複数本の強化繊維2はY軸方向に1列に配列され、樹脂材料3が含浸されることで一体となる。
【0046】
ガイド20の下流側には、第1折り目形成部材30が配置される。第1折り目形成部材30は、搬送方向に直交する第1軸30aを回転軸とする第1折り目形成ローラである。本実施形態において、第1軸30aはY軸方向に延び、互いに逆回転する一対の第1折り目形成ローラ30,30が第1形態の帯状材料11を挟んでZ軸方向に配置される。
【0047】
第1折り目形成ローラ30は、搬送方向に沿って延びる折り目形成部31,32,を備える。第1折り目形成ローラ30は、第1形態の帯状材料11へ折り目形成部31,32を押圧することにより、第1形態の帯状材料11に対して搬送方向に延びる第1折り目11a,11bを形成する。
【0048】
図5は、図1のV-V線断面図であり、一対の第1折り目形成ローラ30,30と、第1折り目11a,11bが形成された第1形態の帯状材料11を示す。図5に示すように、一対の第1折り目形成ローラ30,30は、それぞれ搬送方向に沿って周方向に延びる折り目形成部31,32を備える。具体的には、折り目形成部31,32は、凸条31及び凹条32である。凸条31及び凹条32は、Y軸方向に交互に複数形成される。本実施形態において、凸条31は、第1軸30aから離れる方向に突出し、周方向に亘って形成され、図5のように搬送方向から見ると、V字状及び反転したV字状の突起である。凹条は、第1軸30aに近づく方向に凹み、周方向に亘って形成され、図5のように搬送方向から見ると、反転したV字状及びV字状の溝である。一対の第1折り目形成ローラ30、30は、第1形態の帯状材料11が通過可能に間隔を開け、互いの凸条31と凹条32とが噛み合うように配置される。
【0049】
一対の第1折り目形成ローラ30,30は、第1形態の帯状材料11を上下両側から挟み込むことで、凸条31及び凹条32を第1形態の帯状材料11に押圧する。一対の第1折り目形成ローラ30、30が、第1形態の帯状材料11を挟み込むとともに互いの凸条31と凹条32とを噛み合わせながら回転することで、平面状であった第1形態の帯状材料11に山型の第1折り目11a及び谷型の第1折り目11bを形成する。山型の第1折り目11a及び谷型の第1折り目11bは、Y軸方向に交互に複数形成され、第1形態の帯状材料11は蛇腹状となる。図5において、第1形態の帯状材料11は一体に繋がっているが、第1折り目11a,11bにおいて、第1形態の帯状材料11が分離してもよい。
【0050】
第1折り目形成ローラ30の下流側には、第1プレス部材40が配置される。第1プレス部材40は、第1折り目形成ローラ30とは異なる方向から第1形態の帯状材料11を押圧することにより、搬送方向と交差する方向に重畳された第2形態の帯状材料12を形成する。第1プレス部材40は、第1軸30aと交差する方向に延びる第2軸40aを回転軸とする第1プレスローラである。第1プレスローラ40は、円柱状の部材である。本実施形態において、第2軸40aはY軸方向及び搬送方向に直交するZ軸方向に延び、互いに逆回転する一対の第1プレスローラ40,40が第1形態の帯状材料11を挟んでY軸方向に配置される。一対の第1プレスローラ40,40は、第2形態の帯状材料12が通過可能に間隔を開けて配置される。
【0051】
第1プレスローラ40は、第1折り目11a,11bの形成された蛇腹状の第1形態の帯状材料11を、その幅方向であるY軸方向両側から押圧する。第1プレスローラ40は、第1折り目11a,11bの両側から押圧することにより、第1形態の帯状材料11を第1折り目11a,11bに沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第2形態の帯状材料12を形成する。
【0052】
図6は、図1のVI-VI線端面図であり、第2形態の帯状材料の断面を示す。図6に示すように、Y軸方向に複数の第1折り目11a,11bを有する蛇腹状の第1形態の帯状材料11がY軸方向両側から押圧されて、Y軸方向に重畳された第2形態の帯状材料12が形成される。
【0053】
第1プレスローラ40の下流側には、第2折り目形成部材50が配置される。第1折り目形成部材50は、第1軸30aと交差する方向に延びる第3軸50aを回転軸とする第2折り目形成ローラである。本実施形態において、第2折り目形成ローラ50はZ軸方向に延びる第3軸50aを備える。互いに逆回転する一対の第2折り目形成ローラ50,50が、第2形態の帯状材料12を挟んでY軸方向に配置される。
【0054】
第2折り目形成ローラ50は、搬送方向に沿って延びる第2折り目形成部51,52を備える。第2折り目形成ローラ50は、第1折り目形成部31,32とは異なる方向から、第2形態の帯状材料12へ第2折り目形成部51,52を押圧することにより、第2形態の帯状材料12に対して搬送方向に延びる第2折り目12a,12bを形成する。
【0055】
図7は、図1のVII-VII線断面図であり、一対の第2折り目形成ローラ50,50と、第2折り目12a,12bが形成された第2形態の帯状材料12を示す。図7に示すように、第2折り目形成ローラ50は、搬送方向に沿って周方向に延びる折り目形成部51,52を備える。具体的には、折り目形成部51,52は、凸条51及び凹条52である。凸条51及び凹条52は、Z軸方向に交互に複数形成される。本実施形態において、凸条51は、第1軸50aから離れる方向に突出し、周方向に亘って形成され、図7のように搬送方向から見ると、V字状及び反転したV字状の突起である。凹条52は、第1軸50aに近づく方向に凹み、周方向に亘って形成され、図7のように搬送方向から見ると、反転したV字状及びV字状の溝である。一対の第2折り目形成ローラ50,50は、第2形態の帯状材料12が通過可能に間隔を開け、互いの凸条51と凹条52とが噛み合うように配置される。
【0056】
一対の第2折り目形成ローラ50、50は、第2形態の帯状材料12を前後両側から挟み込むことで、凸条51及び凹条52を第2形態の帯状材料12へ押圧する。一対の第2折り目形成ローラ50が、第2形態の帯状材料12を挟み込むとともに互いの凸条51と凹条52とを噛み合わせながら回転することで、平面状であった第2形態の帯状材料12に山型の第2折り目12a及び谷型の第2折り目12bを形成する。山型の第2折り目12a及び谷型の第2折り目12bは、Z軸方向に交互に複数形成され、第2形態の帯状材料12は蛇腹状となる。
【0057】
第2折り目形成ローラ50の下流側には、第2プレス部材60が配置される。第2プレス部材60は、第2折り目形成ローラ50とは異なる方向から第2形態の帯状材料12を押圧することにより、搬送方向と交差する方向に重畳された第3形態の帯状材料13を形成する。第2プレス部材60は、第3軸50aと交差する方向に延びる第4軸60aを回転軸とする第2プレスローラである。第2プレスローラ60は、円柱状の部材である。本実施形態において、第4軸60aはZ軸方向及び搬送方向に直交するY軸方向に延びる。互いに逆回転する一対の第2プレスローラ60,60が第2形態の帯状材料12を挟んでZ軸方向に配置される。一対の第2プレスローラ60,60は、第2形態の帯状材料12が通過可能に間隔を開けて配置される。
【0058】
第2プレスローラ60は、第2折り目12a,12bの形成された蛇腹状の第2形態の帯状材料12を、その幅方向であるZ軸方向両側から押圧する。第2プレスローラ60は、第2折り目12a,12bの両側から第2形態の帯状材料12を押圧することにより、第2折り目12a,12bに沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第3形態の帯状材料13を形成する。
【0059】
図8は、図1のVIII-VIII線端面図であり、第3形態の帯状材料の断面を示す。図8に示すように、Z軸方向に複数の第2折り目12a,12bを有する蛇腹状の第1形態の帯状材料11がZ軸方向両側から押圧されて、Z軸方向にさらに重畳された第3形態の帯状材料13が形成される。
【0060】
第2プレスローラ60の下流側には、図示しない巻取装置が配置される。巻取装置は、回転しながら第3形態の帯状材料13を巻き取る。
【0061】
本実施形態では、強化繊維2を、繊維巻出ロール4から配列繊維10として巻き出した後、複数回重畳しながら、第1形態の帯状材料11、第2形態の帯状材料12及び第3形態の帯状材料へと加工し、巻取装置によって巻き取るまで、切断することなく連続して加工することができる。
【0062】
本実施形態において、一対の折り目形成ローラ30,30,50,50が帯状材料を挟んで両側に配置され、それぞれが回転するように構成したが、この構成には限定されない。折り目形成ローラは必ずしも一対である必要はなく、帯状材料へ折り目形成部材を押圧して折り目を形成可能であれば1つでもよい。本実施形態において、一対のプレスローラ40,40,60,60が帯状材料を挟んで両側に配置され、それぞれが回転するように構成したが、プレスローラは必ずしも一対である必要はなく、帯状材料を押圧可能であれば1つでもよい。また、本実施形態において、第1折り目形成部材30、第1プレス部材40、第2折り目形成部材50、及び第2プレス部材60により、帯状材料を異なる方向へ2回重畳する構成としたが、折り目形成部材及びプレス部材の数は限定されない。折り目形成部材及びプレス部材をそれぞれ1つ備え、帯状材料を1回のみ重畳しても良く、折り目形成部材及びプレス部材をそれぞれ3つ以上備え、帯状材料を3回以上重畳しても良い。
【0063】
図9は、本開示の製造装置1による繊維強化樹脂材料の製造方法を示すフローチャートである。本開示の繊維強化樹脂材料の製造方法は、準備工程S10と、第1工程S11と、第2工程S12と、第3工程S13と、第4工程S14とを備える。
【0064】
準備工程S10は、搬送方向に沿って一方向に配列した強化繊維2に樹脂材料3を含浸させて帯状の第1形態の帯状材料11を形成する工程である。
【0065】
第1工程S11は、第1形態の帯状材料11に対し、搬送方向に延びる第1折り目11a,11bを形成する工程である。第1工程S11では、第1軸30aを回転軸とする第1折り目形成ローラ30が、周方向に形成された第1折り目形成部31,32を、第1形態の帯状材料11に押圧させながら回転する。
【0066】
第2工程S12は、第1形態の帯状材料11を幅方向から押圧して第1折り目11a,11bに沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第2形態の帯状材料12を形成する。第2工程S12では、第2軸40aを回転軸とする第1プレスローラ40が回転して第1形態の帯状材料11を押圧し、第1軸30aが延びる方向に重畳させた第2形態の帯状材料12を形成する。
【0067】
第3工程S13は、第2形態の帯状材料12に対し、第1工程S11とは異なる方向から搬送方向に延びる第2折り目12a,12bを形成する。第3工程S13では、第3軸50aを回転軸とする第2折り目形成ローラ50が、周方向に形成された折り目形成部51,52を、第2形態の帯状材料12に押圧させながら回転することで第2折り目12a,12bを形成する。
【0068】
第4工程S14は、第2形態の帯状材料12を第2工程S12とは異なる方向から押圧して第2折り目12a,12bに沿って折り畳み、重なり合う面を密着させて第3形態の帯状材料13を得る。第4工程では、第4軸60aを回転軸とする第2プレスローラ60が、回転して第2形態の帯状材料12を押圧し、第3軸50aが延びる方向にさらに重畳させた第3形態の帯状材料13を形成する。
【0069】
上記のように構成した繊維強化樹脂材料の製造方法及び製造装置によれば、簡易な一連の工程で帯状材料を折り畳み、重畳させることが可能であり、それを複数回繰り返すことで製造効率良く高強度の繊維強化樹脂材料を形成できる。また、強化繊維を切断することなく複数回重畳させることが可能となるため、この製造方法及び製造装置によって製造した繊維強化樹脂材料をリサイクルする場合、樹脂材料を溶融させると、強化繊維が容易に解け、長い強化繊維を回収することが可能となるため、リサイクル性が非常に高い。
【0070】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
ここに開示された技術は、繊維強化樹脂材料の製造方法及び製造装置として好適に利用される。
【符号の説明】
【0072】
1 製造装置
2 強化繊維
3 樹脂材料
4 繊維巻出ロール
5 樹脂巻出ロール
10 配列繊維
11 第1形態の帯状材料
11a,11b 第1折り目
12 第2形態の帯状材料
12a,12b 第2折り目
13 第3形態の帯状材料
20 ガイド
30 第1折り目形成ローラ(第1折り目形成部材)
30a 第1軸
31 凸条(第1折り目形成部)
32 凹条(第1折り目形成部)
40 第1プレスローラ(第1プレス部材)
40a 第2軸
50 第2折り目形成ローラ(第2折り目形成部材)
50a 第3軸
51 凸条(第2折り目形成部)
52 凹条(第2折り目形成部)
60 第2プレスローラ(第2プレス部材)
60a 第4軸
S10 準備工程
S11 第1工程
S12 第2工程
S13 第3工程
S14 第4工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9