(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127069
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6568 20140101AFI20240912BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240912BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240912BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240912BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20240912BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240912BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
B60K11/04 G
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035932
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 勉
(72)【発明者】
【氏名】白木 健一
(72)【発明者】
【氏名】多田 啓志
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA10
3D038AB01
3D038AC04
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB17
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC14
3D235DD35
3D235EE63
3D235FF43
3D235HH02
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】複数のバッテリモジュールの温度のばらつきを抑制しつつ、内部のレイアウト性を向上させたバッテリパックを提供する。
【解決手段】車両1に搭載されるバッテリパック7は、前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュール31の下方に配置された複数のバッテリ冷却部41を備える。各バッテリ冷却部41は、3つのバッテリモジュール31を冷却する冷媒ジャケット50と、供給配管60と、排出配管70と、を備える。冷媒ジャケット50、供給配管60、及び排出配管70は、上下方向が短い扁平形状を有する。供給配管60は、冷媒ジャケット50の下方に配置され、冷媒ジャケット50の前後方向における中央部50cに設けられた供給口51に接続され、排出配管70は、冷媒ジャケット50の下方に配置され、冷媒ジャケット50の中央部50cに設けられた排出口52に接続されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるバッテリパックであって、
バッテリケースと、
長手方向が前記車両の前後方向となるように前記バッテリケースに載置され、車幅方向に少なくとも2つ、且つ、前記前後方向に少なくとも2つ並べて配置された複数のバッテリモジュールと、
内部に冷媒が流通し、それぞれ前記前後方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールの下方に配置された複数のバッテリ冷却部と、
前記複数のバッテリモジュールよりも前記前後方向の一方側に配置され、前記複数のバッテリ冷却部に前記冷媒を分配する分配配管と、
前記複数のバッテリモジュールよりも前記前後方向の他方側に配置され、前記複数のバッテリ冷却部から排出された前記冷媒を集約する集約配管と、を備え、
各バッテリ冷却部は、
前記前後方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールを冷却する冷媒ジャケットと、
前記冷媒ジャケットと前記分配配管とに接続し、前記冷媒ジャケットへ前記冷媒を供給する供給配管と、
前記冷媒ジャケットと前記集約配管とに接続し、前記冷媒ジャケットから前記冷媒を排出する排出配管と、を備え、
前記冷媒ジャケット、前記供給配管、及び前記排出配管は、上下方向が短い扁平形状を有し、
前記供給配管は、前記冷媒ジャケットの下方に配置され、前記冷媒ジャケットの前記前後方向における中央部に設けられた供給口に接続され、
前記排出配管は、前記冷媒ジャケットの下方に配置され、前記冷媒ジャケットの前記中央部に設けられた排出口に接続されている、
バッテリパック。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリパックであって、
前記冷媒ジャケットは、
前記中央部に設けられた前記供給口から導入された前記冷媒を前端部まで流通させ、前記前端部で前記冷媒を折り返して前記前端部から前記中央部に設けられた前記排出口まで流通させる前側流路と、
前記中央部に設けられた前記供給口から導入された前記冷媒を後端部まで流通させ、前記後端部で前記冷媒を折り返して前記後端部から前記中央部に設けられた前記排出口まで流通させる後側流路と、を有する、
バッテリパック。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリパックであって、
前記バッテリモジュールは、前記前後方向に3つ並べて配置されており、
前記冷媒ジャケットの前記前側流路は、前記前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュールのうち最前列のバッテリモジュール及び中央のバッテリモジュールを冷却し、
前記冷媒ジャケットの前記後側流路は、前記前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュールのうち前記中央のバッテリモジュール及び最後列のバッテリモジュールを冷却する、
バッテリパック。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリパックであって、
前記冷媒ジャケットの前記供給口は、下方に開口しており、
前記供給配管の上面には、上方に開口し、前記冷媒ジャケットの前記供給口に接続された開口部が設けられている、
バッテリパック。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリパックであって、
前記冷媒ジャケットの前記排出口は、下方に開口しており、
前記排出配管の上面には、上方に開口し、前記冷媒ジャケットの前記排出口に接続された開口部が設けられている、
バッテリパック。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリパックであって、
前記冷媒ジャケットと前記供給配管との間には、隙間が形成されている、
バッテリパック。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリパックであって、
前記冷媒ジャケットと前記排出配管との間には、隙間が形成されている、
バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池(以下、バッテリとも称する)に関する研究開発が行われている。
【0003】
バッテリ式電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車などの車両には、大容量のバッテリが搭載される。このような車両に搭載されるバッテリは発熱量が大きいので、安全性や劣化防止の観点から、バッテリを冷却する冷却機構が設けられる。例えば、特許文献1には、複数の組電池の下方に伝熱媒体が流れる扁平管が配置され、複数の組電池を同時に冷却する伝熱装置が記載されている。
【0004】
特許文献1では、扁平管の長手方向の中間部に、伝熱媒体が流出入する入口部材及び出口部材が設けられている。扁平管の中央部から冷媒が流出入するので、複数の組電池の温度のばらつきを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、扁平管の中間部は隣り合う組電池の間に位置しており、隣り合う組電池の間のスペースにおいて入口部材及び出口部材に接続する流入パイプ及び流出パイプが上方から取り付けられる。このような構成によると、バッテリパックに搭載される各種部品(例えば複数の組電池や組電池間を接続する接続部材など)のレイアウトが、流入パイプ及び流出パイプにより制限されることがある。
【0007】
本発明は、複数のバッテリモジュールの温度のばらつきを抑制しつつ、内部のレイアウト性を向上させたバッテリパックを提供する。そして、延いてはエネルギー効率の改善に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
車両に搭載されるバッテリパックであって、
バッテリケースと、
長手方向が前記車両の前後方向となるように前記バッテリケースに載置され、車幅方向に少なくとも2つ、且つ、前記前後方向に少なくとも2つ並べて配置された複数のバッテリモジュールと、
内部に冷媒が流通し、それぞれ前記前後方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールの下方に配置された複数のバッテリ冷却部と、
前記複数のバッテリモジュールよりも前記前後方向の一方側に配置され、前記複数のバッテリ冷却部に前記冷媒を分配する分配配管と、
前記複数のバッテリモジュールよりも前記前後方向の他方側に配置され、前記複数のバッテリ冷却部から排出された前記冷媒を集約する集約配管と、を備え、
各バッテリ冷却部は、
前記前後方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールを冷却する冷媒ジャケットと、
前記冷媒ジャケットと前記分配配管とに接続し、前記冷媒ジャケットへ前記冷媒を供給する供給配管と、
前記冷媒ジャケットと前記集約配管とに接続し、前記冷媒ジャケットから前記冷媒を排出する排出配管と、を備え、
前記冷媒ジャケット、前記供給配管、及び前記排出配管は、上下方向が短い扁平形状を有し、
前記供給配管は、前記冷媒ジャケットの下方に配置され、前記冷媒ジャケットの前記前後方向における中央部に設けられた供給口に接続され、
前記排出配管は、前記冷媒ジャケットの下方に配置され、前記冷媒ジャケットの前記中央部に設けられた排出口に接続されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のバッテリモジュールの温度のばらつきを抑制しつつ、内部のレイアウト性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態のバッテリパック7が搭載された車両1の全体構造を示す概略側面図である。
【
図2】バッテリパック7の内部構造を示す斜視図である。
【
図4】バッテリ冷却機構40を下方から見た斜視図である。
【
図5】
図3のA-A断面の位置における、バッテリモジュール31及びその下方に配置されたバッテリ冷却部41を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のバッテリパックの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載する。図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。また、左右方向を車幅方向とも称する。
【0012】
(車両)
図1は、本発明の一実施形態のバッテリパック7が搭載された車両1を示す。車両1は、例えばバッテリ式電気自動車などの電動車両である。車両1は、フロアパネル2とダッシュパネル3とにより車室10とその前方のフロントルーム20とに区画形成されている。車室10には、前部座席11及び後部座席12が設けられている。
【0013】
後部座席12の後方におけるフロアパネル2の下方には、駆動ユニット6が設けられている。駆動ユニット6は、図示は省略するが、モータと、モータを制御するPCU(Power Control Unit)と、モータの動力を後輪5に伝達する動力伝達機構と、を備える。駆動ユニット6は、左右の後輪5を駆動する。車両1は、左右の後輪5を駆動輪とし、左右の前輪4を従動輪とする。
【0014】
車室10の下方には、本発明の一実施形態のバッテリパック7が配置されている。バッテリパック7は、車室10におけるフロアパネル2の下方に配置されている。バッテリパック7の詳細については後述する。
【0015】
フロントルーム20には、バッテリパック7などを冷却する冷却装置21が設けられている。冷却装置21は、車両1の最前面に設けられたラジエータを備える。冷却装置21とバッテリパック7とは、外側供給配管22及び外側排出配管23を介して接続されている。外側供給配管22又は外側排出配管23には、不図示の電動ポンプが設けられる。
【0016】
(バッテリパック)
続いて、バッテリパック7について、
図2~
図10を参照して説明する。バッテリパック7は、バッテリケース30と、複数のバッテリモジュール31と、バッテリ冷却機構40と、を備える。
【0017】
図2に示すように、バッテリケース30は、複数のバッテリモジュール31及びバッテリ冷却機構40を収容する。バッテリケース30は、複数のバッテリモジュール31及びバッテリ冷却機構40が載置されるケース本体300と、ケース本体300を上方から覆う不図示のカバーと、を有する。
【0018】
複数のバッテリモジュール31は、車両1の駆動源となる駆動ユニット6に供給する電力を蓄電する。複数のバッテリモジュール31は、長手方向が前後方向となるようにバッテリケース30に載置されている。本実施形態では、バッテリモジュール31は、車幅方向に8つ、且つ、前後方向に3つ並べて配置され、すなわち、合計24個のバッテリモジュール31が配置されている。以下では、最前列に位置する8つのバッテリモジュールを31Aとし、最後列に位置する8つのバッテリモジュールを31Cとし、バッテリモジュール31Aとバッテリモジュール31Cの間、すなわち中央に位置する8つのバッテリモジュールをバッテリモジュール31Bとして説明することがある。なお、バッテリモジュール31の数は任意であり、車幅方向に少なくとも2つ、且つ、前後方向に少なくとも2つ並べて配置されていればよい。
【0019】
バッテリモジュール31Aとバッテリモジュール31Bとの間、及びバッテリモジュール31Bとバッテリモジュール31Cとの間には、ケース本体300の左側壁から右側壁まで左右方向に延在するクロスメンバ(不図示)が設けられている。そして、クロスメンバの上部には、配線部品36が設けられている。配線部品36は、例えば、バッテリモジュール31間を接続するバスバーや不図示のバッテリECU(Electronic Control Unit)に接続されるECUコネクタユニットなどを含む。また、最後列のバッテリモジュール31Cの一部の上部には、ジャンクションボード37が配置されている。ジャンクションボード37は、各種配線が実装され、不図示の外部機器と電気的に接続する。
【0020】
図5に示すように、複数のバッテリモジュール31は、ケース本体300の底面に設けられたバッテリ支持ブラケット302により支持されている。バッテリ支持ブラケット302により、複数のバッテリモジュール31の下面とケース本体300の底面との間に後述するバッテリ冷却部41を配置可能なスペースが形成される。
【0021】
バッテリ冷却機構40は、複数のバッテリモジュール31を冷却する。
図3及び
図4に示すように、バッテリ冷却機構40は、複数のバッテリ冷却部41と、分配配管42と、集約配管43と、を備える。
【0022】
複数のバッテリ冷却部41は、内部に冷媒(例えば冷却水)が流通し、複数のバッテリモジュール31を冷却する。バッテリ冷却部41は8つ設けられており、車幅方向に並べて配置されている。各バッテリ冷却部41は、前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュール31、すなわちバッテリモジュール31A、31B、31Cの下方に配置されている(
図5参照)。
【0023】
図2~
図4に示すように、分配配管42は、複数のバッテリモジュール31よりも前方に配置され、複数のバッテリ冷却部41に冷媒を分配する。分配配管42は、外側供給配管22に接続される外側接続部421と、複数のバッテリ冷却部41にそれぞれ接続される複数の内側接続部422と、を有する。分配配管42には、外側接続部421から冷媒が導入され、内側接続部422から複数のバッテリ冷却部41へ冷媒が分配される。
【0024】
集約配管43は、複数のバッテリモジュール31よりも後方に配置され、複数のバッテリ冷却部41から排出された冷媒を集約する。集約配管43は、外側排出配管23に接続される外側接続部431と、複数のバッテリ冷却部41にそれぞれ接続される複数の内側接続部432と、を有する。集約配管43には、複数のバッテリ冷却部41から排出された冷媒が内側接続部432から導入され、外側接続部431から外側排出配管23へ冷媒が排出される。集約配管43から外側排出配管23へ排出された冷媒は、冷却装置21で冷却された後、外側供給配管22及び分配配管42を通って再び複数のバッテリ冷却部41に供給される。
【0025】
(バッテリ冷却部)
次に、各バッテリ冷却部41の詳細について説明する。各バッテリ冷却部41は、冷媒ジャケット50と、供給配管60と、排出配管70と、を備える。各バッテリ冷却部41は同一の構成を有する。
【0026】
冷媒ジャケット50は、上下方向が短い扁平形状を有する。冷媒ジャケット50は、前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュール31(すなわちバッテリモジュール31A、31B、31C)の下方に配置されており、3つのバッテリモジュール31を冷却する。より詳細には、
図5に示すように、冷媒ジャケット50は、伝熱部材91を介してバッテリモジュール31の下方に配置されている。冷媒ジャケット50は、3つのバッテリモジュール31の下面に沿って前後方向に延在しており、冷媒ジャケット50を流れる冷媒とバッテリモジュール31とが熱交換を行うことによりバッテリモジュール31が冷却される。
【0027】
図3~
図4及び
図7~
図10に示すように、冷媒ジャケット50は、前後方向における中央部50cに設けられた供給口51及び排出口52を有する。供給口51及び排出口52は、下方に開口している。また、供給口51及び排出口52は、左右方向且つ前後方向において互いに離隔して配置されている。供給口51は、供給配管60に接続しており、供給配管60から冷媒ジャケット50に冷媒を導入する冷媒入口である。排出口52は、排出配管70に接続しており、冷媒ジャケット50から排出配管70に冷媒を排出する冷媒出口である。
【0028】
また、冷媒ジャケット50の内部には、前後方向に延在する複数の流路53が形成されている。供給口51から冷媒ジャケット50に導入された冷媒は、複数の流路53を流通して排出口52から排出される。
【0029】
図4に示すように、供給配管60は、冷媒ジャケット50と分配配管42とに接続し、冷媒ジャケット50へ冷媒を供給する。供給配管60は、上下方向が短い扁平形状を有する。
図7及び
図8に示すように、供給配管60は、冷媒ジャケット50の下方に配置され、前述のとおり、冷媒ジャケット50の中央部50cに設けられた供給口51に接続されている。具体的には、供給配管60の上面には、上方に開口した開口部61が設けられており、開口部61が冷媒ジャケット50の供給口51に接続されている。また、供給配管60は、
図5に示すように、冷媒ジャケット50の下面に接続された配管支持ブラケット63により支持されている。図示は省略するが、配管支持ブラケット63は、複数設けられており、前後方向に延在する供給配管60を下方から支持する。
【0030】
図4に示すように、排出配管70は、冷媒ジャケット50と集約配管43とに接続し、冷媒ジャケット50から冷媒を排出する。排出配管70は、上下方向が短い扁平形状を有する。
図9及び
図10に示すように、排出配管70は、冷媒ジャケット50の下方に配置され、前述のとおり、冷媒ジャケット50の中央部50cに設けられた排出口52に接続されている。具体的には、排出配管70の上面には、上方に開口した開口部71が設けられており、開口部71が冷媒ジャケット50の排出口52に接続されている。また、図示は省略するが、供給配管60と同様に、排出配管70は冷媒ジャケット50の下面に接続された配管支持ブラケットにより支持されている。この配管支持ブラケットは、複数設けられ、前後方向に延在する排出配管70を下方から支持する。
【0031】
図3に示すように、供給配管60を流れる冷媒は、中央部50cに設けられた供給口51から冷媒ジャケット50に導入された後、冷媒ジャケット50の中央部50cから前端部50f及び後端部50rに向かって流れ、前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュール31を冷却する。冷媒は、中央部50cに設けられた排出口52から排出配管70へ排出される。供給口51及び排出口52が冷媒ジャケット50の中央部50cに設けられているので、前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュール31を均等に冷却でき、これらの温度のばらつきを抑制できる。
【0032】
また、供給配管60及び排出配管70は上下方向が短い扁平形状を有するので、バッテリモジュール31の下方の狭いスペースにも供給配管60及び排出配管70を配置することができる。このような構成により、供給配管60及び排出配管70はバッテリモジュール31や配線部品36等と干渉せず、バッテリパック7内部のレイアウト性を向上させることができる。さらに、供給配管60及び排出配管70がバッテリモジュール31の下方に配置されているので、仮に供給配管60及び排出配管70に損傷が発生して冷媒が漏れる場合であっても、バッテリモジュール31や配線部品36等に冷媒が飛散することを回避できる。
【0033】
さらに、前述のとおり、供給配管60と冷媒ジャケット50との接続は、供給配管60の上面に設けられた開口部61を冷媒ジャケット50の供給口51に接続することにより行われているので、冷媒ジャケット50と供給配管60との接続部の上下方向の高さを小さくできる。排出配管70についても同様に、排出配管70の上面に設けられた開口部71を冷媒ジャケット50の排出口52に接続しているので、冷媒ジャケット50と排出配管70との接続部の上下方向の高さを小さくできる。
【0034】
続いて、冷媒ジャケット50内の冷媒の流れについて、
図3及び
図7~
図10を参照して詳細を説明する。冷媒ジャケット50は、前側流路54と後側流路55とを有する。
【0035】
図3に示すように、前側流路54は、中央部50cに設けられた供給口51から導入された冷媒を前端部50fまで流通させ、前端部50fで冷媒を折り返して前端部50fから中央部50cに設けられた排出口52まで流通させる。詳細には、前側流路54は、上面視で略U字形状を有し、中央部50cの供給口51から前端部50fまで延在する上流側直線流路541と、中央部50cの排出口52から前端部50fまで延在する下流側直線流路542と、上流側直線流路541と下流側直線流路542とを接続して冷媒の流れを前方向から後方向に変える折り返し部543と、を有する。なお、
図6及び
図7では、上流側直線流路541と下流側直線流路542との境界を二点鎖線で示している。
【0036】
本実施形態では、前側流路54は、前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュール31A、31B、31Cのうち最前列のバッテリモジュール31A及び中央のバッテリモジュール31Bを冷却する。
【0037】
図3に示すように、後側流路55は、中央部50cに設けられた供給口51から導入された冷媒を後端部50rまで流通させ、後端部50rで冷媒を折り返して後端部50rから中央部50cに設けられた排出口52まで流通させる。詳細には、後側流路55は、上面視で略U字形状を有し、中央部50cの供給口51から後端部50rまで延在する上流側直線流路551と、中央部50cの排出口52から後端部50rまで延在する下流側直線流路552と、上流側直線流路551と下流側直線流路552とを接続して冷媒の流れを後方向から前方向に変える折り返し部553と、を有する。なお、
図9では、上流側直線流路551と下流側直線流路552との境界を二点鎖線で示している。
【0038】
本実施形態では、後側流路55は、前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュール31A、31B、31Cのうち中央のバッテリモジュール31B及び最後列のバッテリモジュール31Cを冷却する。
【0039】
このように、冷媒ジャケット50が上面視で略U字形状の前側流路54及び後側流路55を有するので、前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュール31A、31B、31Cを均等に冷却でき、これらの温度のばらつきを抑制できる。
【0040】
ここで、
図8に示すように、冷媒ジャケット50と供給配管60との間には、隙間G1が形成される。冷媒ジャケット50の供給口51の周囲には段差部58が設けられており、供給口51の周囲の段差部58と供給配管60の上面とが当接することで隙間G1が形成される。
【0041】
冷媒ジャケット50を流れる冷媒は、バッテリモジュール31と熱交換を行うので、冷媒ジャケット50内を流れる間に加温される。冷媒ジャケット50と供給配管60との間には隙間G1が形成されているので、供給配管60を流れる冷媒が冷媒ジャケット50を流れる冷媒と熱交換を行って加温されることを抑制できる。
【0042】
また、
図10に示すように、冷媒ジャケット50と排出配管70との間にも、隙間G2が形成される。冷媒ジャケット50の排出口52の周囲には段差部59が設けられており、排出口52の周囲の段差部59と排出配管70の上面とが当接することで隙間G2が形成される。
【0043】
排出配管70には、冷媒ジャケット50で加温された冷媒が流れる。冷媒ジャケット50と排出配管70との間には隙間G2が形成されているので、冷媒ジャケット50を流れる冷媒が排出配管70を流れる冷媒と熱交換を行って加温されることを抑制できる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0045】
例えば、前述した実施形態では、分配配管42をバッテリモジュール31よりも前方に配置し、集約配管43をバッテリモジュール31よりも後方に配置したがこれに限られず、分配配管42をバッテリモジュール31よりも後方に配置し、集約配管43をバッテリモジュール31よりも前方に配置してもよい。この場合、供給配管60は、冷媒ジャケット50の中央部50cよりも後方に配置され、排出配管70は、冷媒ジャケット50の中央部50cよりも前方に配置される。
【0046】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0047】
(1) 車両(車両1)に搭載されるバッテリパック(バッテリパック7)であって、
バッテリケース(バッテリケース30)と、
長手方向が前記車両の前後方向となるように前記バッテリケースに載置され、車幅方向に少なくとも2つ、且つ、前記前後方向に少なくとも2つ並べて配置された複数のバッテリモジュール(バッテリモジュール31)と、
内部に冷媒が流通し、それぞれ前記前後方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュール(バッテリモジュール31A、31B、31C)の下方に配置された複数のバッテリ冷却部(バッテリ冷却部41)と、
前記複数のバッテリモジュールよりも前記前後方向の一方側に配置され、前記複数のバッテリ冷却部に前記冷媒を分配する分配配管(分配配管42)と、
前記複数のバッテリモジュールよりも前記前後方向の他方側に配置され、前記複数のバッテリ冷却部から排出された前記冷媒を集約する集約配管(集約配管43)と、を備え、
各バッテリ冷却部は、
前記前後方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールを冷却する冷媒ジャケット(冷媒ジャケット50)と、
前記冷媒ジャケットと前記分配配管とに接続し、前記冷媒ジャケットへ前記冷媒を供給する供給配管(供給配管60)と、
前記冷媒ジャケットと前記集約配管とに接続し、前記冷媒ジャケットから前記冷媒を排出する排出配管(排出配管70)と、を備え、
前記冷媒ジャケット、前記供給配管、及び前記排出配管は、上下方向が短い扁平形状を有し、
前記供給配管は、前記冷媒ジャケットの下方に配置され、前記冷媒ジャケットの前記前後方向における中央部(中央部50c)に設けられた供給口(供給口51)に接続され、
前記排出配管は、前記冷媒ジャケットの下方に配置され、前記冷媒ジャケットの前記中央部に設けられた排出口(排出口52)に接続されている、
バッテリパック。
【0048】
(1)によれば、供給口及び排出口が冷媒ジャケットの中央部に設けられているので、前後方向に並べて配置された複数のバッテリモジュールを均等に冷却でき、これらの温度のばらつきを抑制できる。さらに、供給配管及び排出配管は、冷媒ジャケットの下方に配置されているので、バッテリモジュールやこれらを接続する接続部材等と干渉せず、バッテリパック内部のレイアウト性を向上させることができる。
【0049】
(2) (1)に記載のバッテリパックであって、
前記冷媒ジャケットは、
前記中央部に設けられた前記供給口から導入された前記冷媒を前端部(前端部50f)まで流通させ、前記前端部で前記冷媒を折り返して前記前端部から前記中央部に設けられた前記排出口まで流通させる前側流路(前側流路54)と、
前記中央部に設けられた前記供給口から導入された前記冷媒を後端部(後端部50r)まで流通させ、前記後端部で前記冷媒を折り返して前記後端部から前記中央部に設けられた前記排出口まで流通させる後側流路(後側流路55)と、を有する、
バッテリパック。
【0050】
(2)によれば、前後方向に並べて配置された複数のバッテリモジュールの温度のばらつきを抑制できる。
【0051】
(3) (2)に記載のバッテリパックであって、
前記バッテリモジュールは、前記前後方向に3つ並べて配置されており、
前記冷媒ジャケットの前記前側流路は、前記前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュールのうち最前列のバッテリモジュール(バッテリモジュール31A)及び中央のバッテリモジュール(バッテリモジュール31B)を冷却し、
前記冷媒ジャケットの前記後側流路は、前記前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュールのうち前記中央のバッテリモジュール及び最後列のバッテリモジュール(バッテリモジュール31C)を冷却する、
バッテリパック。
【0052】
(3)によれば、前後方向に並べて配置された3つのバッテリモジュールの温度のばらつきを抑制できる。
【0053】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記冷媒ジャケットの前記供給口は、下方に開口しており、
前記供給配管の上面には、上方に開口し、前記冷媒ジャケットの前記供給口に接続された開口部(開口部61)が設けられている、
バッテリパック。
【0054】
(4)によれば、冷媒ジャケットと供給配管との接続部の上下方向の高さを小さくできる。
【0055】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記冷媒ジャケットの前記排出口は、下方に開口しており、
前記排出配管の上面には、上方に開口し、前記冷媒ジャケットの前記排出口に接続された開口部(開口部71)が設けられている、
バッテリパック。
【0056】
(5)によれば、冷媒ジャケットと排出配管との接続部の上下方向の高さを小さくできる。
【0057】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記冷媒ジャケットと前記供給配管との間には、隙間(隙間G1)が形成されている、
バッテリパック。
【0058】
(6)によれば、供給配管を流れる冷媒と、バッテリモジュールと熱交換を行い加温された冷媒ジャケットを流れる冷媒とが熱交換することが抑制される。よって、冷媒ジャケットに導入される前に冷媒が加温されることを抑制できる。
【0059】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記冷媒ジャケットと前記排出配管との間には、隙間(隙間G2)が形成されている、
バッテリパック。
【0060】
(7)によれば、排出配管を流れる冷媒と、冷媒ジャケットを流れる冷媒とが熱交換することが抑制される。よって、冷媒ジャケットを流れる冷媒が排出配管を流れる冷媒と熱交換を行って加温されることを抑制できる。
【符号の説明】
【0061】
1 車両
7 バッテリパック
30 バッテリケース
31、31A、31B、31C バッテリモジュール
41 バッテリ冷却部
42 分配配管
43 集約配管
50 冷媒ジャケット
50c 中央部
50f 前端部
50r 後端部
51 供給口
52 排出口
54 前側流路
55 後側流路
60 供給配管
61 開口部
70 排出配管
71 開口部
G1 隙間
G2 隙間