(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127075
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】測定装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61B5/022 A
A61B5/022 500Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035939
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】中脇 望
(72)【発明者】
【氏名】久保 誠雄
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰士
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 一騎
(72)【発明者】
【氏名】樋口 裕哉
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB01
4C017AC03
4C017CC08
4C017FF05
(57)【要約】
【課題】生体データの測定におけるユーザビリティを向上させることが可能な測定装置、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係る測定装置は、生体データを取得するセンサを用いた測定を行う制御部30と、不揮発メモリ14aと、を備える。そして、制御部30は、測定の指示を受け付けると、測定と不揮発メモリ14aのデータ消去とを開始し、データ消去が完了すると、測定において得られる生体データを不揮発メモリ14aに書き込む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体データを取得するセンサを用いた測定を行う制御部と、メモリと、を備え、
前記制御部は、
前記測定の指示を受け付けると前記測定と前記メモリのデータ消去とを開始し、
前記データ消去が完了すると、前記測定において得られる生体データを前記メモリに書き込む、
測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記メモリはフラッシュメモリである、
測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記生体データは、脈波データである、
測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記脈波データに基づく血圧測定結果の出力を行う、
測定装置。
【請求項5】
請求項3に記載の測定装置であって、
被測定部位を取り巻いて装着され前記被測定部位への圧迫圧力を変更可能に構成された帯状体と、前記帯状体と前記被測定部位の間に配置される前記センサと、を有するカフを備え、
前記測定は、前記圧迫圧力を増加させる加圧工程と、前記加圧工程の後に前記圧迫圧力を減少させる減圧工程と、を含む、
測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記加圧工程において得られる生体データを前記メモリに書き込まず、前記減圧工程において得られる生体データを前記メモリに書き込む、
測定装置。
【請求項7】
請求項5に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記加圧工程のうち前記データ消去の完了前において得られる生体データを前記メモリに書き込まず、前記加圧工程のうち前記データ消去の完了後において得られる生体データと、前記減圧工程において得られる生体データと、を前記メモリに書き込む、
測定装置。
【請求項8】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記制御部は、
前記データ消去が完了するまでは、前記測定において得られる生体データをバッファリングし、
前記データ消去が完了すると、バッファリングした前記生体データを前記メモリに書き込む、
測定装置。
【請求項9】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記メモリに書き込んだ前記生体データを情報端末へ送信する、
測定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の測定装置であって、
前記制御部は、
前記測定を行う第1プロセッサと、
前記情報端末と無線通信を行う第2プロセッサと、
を含み、
前記メモリは、前記第2プロセッサに接続されており、
前記第1プロセッサは、前記生体データを前記第2プロセッサへ送信して前記メモリに書き込ませ、
前記第2プロセッサは、前記メモリに書き込んだ前記生体データを前記情報端末へ送信する、
測定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、
前記第2プロセッサに対して、前記メモリにおける書込先のアドレスを指定して前記生体データを前記メモリに書き込ませ、
前記第2プロセッサに対して、前記メモリにおける読出元のアドレスを指定して前記生体データを前記メモリから読み出して前記情報端末へ送信させる、
測定装置。
【請求項12】
請求項10に記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、
前記第2プロセッサに対して、前記メモリにおける消去対象のアドレスを指定して前記生体データを前記メモリから消去させる、
測定装置。
【請求項13】
請求項11に記載の測定装置であって、
前記メモリは、前記生体データのために割り当てられた領域を有し、
前記書込先のアドレス及び前記読出元のアドレスは前記領域におけるアドレスである、
測定装置。
【請求項14】
請求項10に記載の測定装置であって、
前記メモリは、前記第1プロセッサからはアクセス不可である、
測定装置。
【請求項15】
生体データを取得するセンサを用いた測定を行う制御部と、メモリと、を備える測定装置の制御方法であって、
前記制御部が、
前記測定の指示を受け付けると前記測定と前記メモリのデータ消去とを開始し、
前記データ消去が完了すると、前記測定において得られる生体データを前記メモリに書き込む、
制御方法。
【請求項16】
生体データを取得するセンサを用いた測定を行う制御部と、メモリと、を備える測定装置の制御プログラムであって、
前記制御部が、
前記測定の指示を受け付けると前記測定と前記メモリのデータ消去とを開始し、
前記データ消去が完了すると、前記測定において得られる生体データを前記メモリに書き込む、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))通信機能を搭載した健康機器(血圧計など)がある。この健康機器では、測定データをBLE通信で例えば外部機器に送信し、外部機器で健康機器の測定データを取得・管理することが可能である。その場合、健康機器は、測定データを例えば健康機器内のメモリに保存して、その保存データをまとめて外部機器に送信する。健康機器が測定データを保存する場合、健康機器はデータの測定完了後に測定結果を保存する場合もあれば、容量の大きいデータのときにはデータを測定しながら逐次保存したりする場合もある。容量の大きいデータを保存する場合、例えば大容量且つ比較的安価なフラッシュメモリが用いられることがある。
【0003】
例えば、血圧算定手段により検出した脈波と脈波から算出した血圧値を測定年月日時刻と関連付けて記憶手段に記憶し、その記憶データを出力端子から外部に出力可能であるとともに、脈波の信号レベルを時系列グラフで表示することが可能な血圧計が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、フラッシュメモリを使用する場合、例えば測定データをメモリに書き込む際にメモリデータの消去処理が必要であり、またセクタ単位などのまとまった単位で消去する仕様のものが多いために、データの消去に時間がかかるという課題がある。
【0006】
データ測定時におけるメモリデータの消去の仕方としては、例えば測定開始操作がされたときに先ずメモリデータを消去し、その消去後にデータの測定を開始する仕方がある。しかし、この場合、消去するデータサイズが大きいと消去に時間がかかりデータ測定の開始が遅くなる。
【0007】
また、メモリデータの消去の仕方としては、例えばデータの測定完了後に1測定回分のメモリ領域を消去する仕方がある。しかし、この場合、測定開始時の消去は不要になるが、メモリ内に消去済み領域を常に確保しなければならず、記憶可能なデータ件数が減少する。また、ボタン操作ミスなどにより測定が複数回連続して実行された場合に、消去処理により2回目の開始が遅延してユーザビリティが悪化する。したがって、健康機器等で測定したデータをメモリに保存する際のメモリデータの消去或いはメモリへの保存の仕方に関してはさらなる改善の余地がある。
【0008】
特許文献1の血圧計によれば、血圧算定手段がどのような脈波を検出し、検出した脈波のどのような特徴点を用いて血圧値を算定したかを明示できるので、血圧値の算定が正常に行われたかを被検者自身で確認可能である。しかしながら、特許文献1には、測定された生体情報をメモリに保存する際のメモリデータの消去及びメモリへの保存については記載されていない。
【0009】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、生体データの測定におけるユーザビリティを向上させることが可能な測定装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0011】
(1)
生体データを取得するセンサを用いた測定を行う制御部と、メモリと、を備え、
前記制御部は、
前記測定の指示を受け付けると前記測定と前記メモリのデータ消去とを開始し、
前記データ消去が完了すると、前記測定において得られる生体データを前記メモリに書き込む、
測定装置。
【0012】
(1)によれば、生体データに基づく測定をメモリのデータ消去と並行して実行することで、データ消去の完了を待たずに測定を開始することができる。このため、測定の指示から測定開始までの時間を短くし、ユーザの待ち時間を減らすことができる。これにより、大容量の生体データをメモリに保存しつつ、大容量の生体データを保存処理することに伴うユーザビリティの悪化を抑制することができる。
【0013】
(2)
(1)に記載の測定装置であって、
前記メモリはフラッシュメモリである、
測定装置。
【0014】
(2)によれば、フラッシュメモリのデータ消去が完了するまで待つユーザの待ち時間を減らすことができる。
【0015】
(3)
(1)又は(2)に記載の測定装置であって、
前記生体データは、脈波データである、
測定装置。
【0016】
(3)のように、測定装置で測定される生体データとしては、例えば脈波データが好ましい。なお、脈波は、血管に加わる圧力の変化を測定して得られる圧脈波であってもよいし、血管における血液量の変化を測定して得られる容積脈波であってもよい。
【0017】
(4)
(3)に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記脈波データに基づく血圧測定結果の出力を行う、
測定装置。
【0018】
(4)によれば、血圧測定結果を例えば測定装置の表示部に表示することが可能である。
【0019】
(5)
(3)又は(4)に記載の測定装置であって、
被測定部位を取り巻いて装着され前記被測定部位への圧迫圧力を変更可能に構成された帯状体と、前記帯状体と前記被測定部位の間に配置される前記センサと、を有するカフを備え、
前記測定は、前記圧迫圧力を増加させる加圧工程と、前記加圧工程の後に前記圧迫圧力を減少させる減圧工程と、を含む、
測定装置。
【0020】
脈波データの測定は、最初に加圧工程を含み、その間のセンシングデータは比較的重要でないため、メモリ消去を行いつつ測定を開始して測定の最初の方のセンシングデータを取りこぼしても、解析等への影響は少ない。このため、(5)のように、測定装置で測定される生体データとしてはカフを用いて測定する脈波データが好ましい。
【0021】
(6)
(5)に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記加圧工程において得られる生体データを前記メモリに書き込まず、前記減圧工程において得られる生体データを前記メモリに書き込む、
測定装置。
【0022】
(6)によれば、加圧工程とともにメモリ消去が行われるため、減圧工程の開始時におけるユーザの待ち時間を減らすことができる。
【0023】
(7)
(5)に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記加圧工程のうち前記データ消去の完了前において得られる生体データを前記メモリに書き込まず、前記加圧工程のうち前記データ消去の完了後において得られる生体データと、前記減圧工程において得られる生体データと、を前記メモリに書き込む、
測定装置。
【0024】
(7)によれば、加圧工程とともにメモリ消去が行われるため、減圧工程の開始時におけるユーザの待ち時間を減らすことができる。また、加圧工程のうちデータ消去の完了後において得られる生体データもメモリに書き込むことができる。
【0025】
(8)
(1)~(5)のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記制御部は、
前記データ消去が完了するまでは、前記測定において得られる生体データをバッファリングし、
前記データ消去が完了すると、バッファリングした前記生体データを前記メモリに書き込む、
測定装置。
【0026】
(8)によれば、データ消去が完了するまでに得られる生体データについてもバッファリングしておくことで、この生体データについてもデータ消去の完了後にメモリに書き込むことができる。
【0027】
(9)
(1)から(8)のいずれかに記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記メモリに書き込んだ前記生体データを情報端末へ送信する、
測定装置。
【0028】
(9)によれば、測定装置で測定した生体データを例えばスマホやクラウドサーバ等の情報端末において受信し、受信した生体データを情報端末で解析することが可能である。
【0029】
(10)
(9)に記載の測定装置であって、
前記制御部は、
前記測定を行う第1プロセッサと、
前記情報端末と無線通信を行う第2プロセッサと、
を含み、
前記メモリは、前記第2プロセッサに接続されており、
前記第1プロセッサは、前記生体データを前記第2プロセッサへ送信して前記メモリに書き込ませ、
前記第2プロセッサは、前記メモリに書き込んだ前記生体データを前記情報端末へ送信する、
測定装置。
【0030】
生体データに基づく測定をメモリのデータ消去と並行して実行する構成においては、これらの処理を1つのプロセッサで行おうとすると処理負荷が大きくなり、測定等の処理の遅延が発生する。そこで、(10)のように、測定を行う第1プロセッサとは別に、メモリの消去やメモリへの書き込みや無線通信を行う第2プロセッサを設けたことにより、メモリの消去対象を消去したり、脈波データをメモリへ書き込んだり情報端末へ送信したり、するための処理負荷を第2プロセッサに分散し、第1プロセッサの処理負荷を低減することができる。これにより、第1プロセッサによる測定等の処理の遅延を抑制することができる。
【0031】
(11)
(10)に記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、
前記第2プロセッサに対して、前記メモリにおける書込先のアドレスを指定して前記生体データを前記メモリに書き込ませ、
前記第2プロセッサに対して、前記メモリにおける読出元のアドレスを指定して前記生体データを前記メモリから読み出して前記情報端末へ送信させる、
測定装置。
【0032】
(11)によれば、第1プロセッサが、第2プロセッサに接続されたメモリのアドレスを指定して、生体データの書き込み、読み出し及び送信を、第2プロセッサに指示する構成としたため、第1プロセッサと第2プロセッサとの間のインタフェース(例えばUART:Universal Asynchronous Receiver Transmitter等)でフロー制御が不要となり、情報端末への生体データの転送速度を向上させることができる。また、第2プロセッサは、メモリにおける指定されたアドレスへの情報の書き込み、指定されたアドレスからの情報の読み出し及び送信を行えばよいため、第2プロセッサについては簡易な構成とすることができる。また、第1プロセッサは、第2プロセッサへの指示により、メモリへの生体データの書き込み、メモリからの生体データの読み出し、読み出した生体データの送信を柔軟に行うことができる。ただし、生体データ等の書き込み処理、読み出し処理、送信処理等の負荷の大きい処理を第1プロセッサ自身で行わなくてもよいため、上記(7)のように第1プロセッサの処理負荷を軽減することができる。
【0033】
(12)
(10)又は(11)に記載の測定装置であって、
前記第1プロセッサは、
前記第2プロセッサに対して、前記メモリにおける消去対象のアドレスを指定して前記生体データを前記メモリから消去させる、
測定装置。
【0034】
(12)によれば、第1プロセッサが、第2プロセッサに接続されたメモリのアドレスを指定して、消去対象の消去を第2プロセッサに指示する構成としたため、第1プロセッサと第2プロセッサとの間のインタフェースでフロー制御が不要となり、情報端末への生体データの転送速度を向上させることができる。また、第2プロセッサは、メモリにおける指定されたアドレスの消去対象の消去を行えばよいため、第2プロセッサについては簡易な構成とすることができる。また、第1プロセッサは、第2プロセッサへの指示により、メモリの消去対象の消去を柔軟に行うことができる。ただし、消去対象の消去処理等の負荷の大きい処理を第1プロセッサ自身で行わなくてもよいため、上記(7)のように第1プロセッサの処理負荷を軽減することができる。
【0035】
(13)
(11)又は(12)に記載の測定装置であって、
前記メモリは、前記生体データのために割り当てられた領域を有し、
前記書込先のアドレス及び前記読出元のアドレスは前記領域におけるアドレスである、
測定装置。
【0036】
(13)によれば、生体データ以外の情報は書き込まれない領域をメモリに設けることにより、第1プロセッサから第2プロセッサへの指示による生体データの書き込みと、第2プロセッサによる他の情報の書き込みと、の干渉を抑制することができる。
【0037】
(14)
(10)から(13)のいずれかに記載の測定装置であって、
前記メモリは、前記第1プロセッサからはアクセス不可である、
測定装置。
【0038】
(14)によれば、第1プロセッサと第2プロセッサで1つのメモリを共用する構成と比べて、アクセス処理が分散し高速化を図ることができる。
【0039】
(15)
生体データを取得するセンサを用いた測定を行う制御部と、メモリと、を備える測定装置の制御方法であって、
前記制御部が、
前記測定の指示を受け付けると前記測定と前記メモリのデータ消去とを開始し、
前記データ消去が完了すると、前記測定において得られる生体データを前記メモリに書き込む、
制御方法。
【0040】
(15)によれば、生体データに基づく測定をメモリのデータ消去と並行して実行することで、データ消去の完了を待たずに測定を開始することができる。このため、測定の指示から測定開始までの時間を短くし、ユーザの待ち時間を減らすことができる。これにより、大容量の生体データをメモリに保存しつつ、大容量の生体データを保存処理することに伴うユーザビリティの悪化を抑制することができる。
【0041】
(16)
生体データを取得するセンサを用いた測定を行う制御部と、メモリと、を備える測定装置の制御プログラムであって、
前記制御部が、
前記測定の指示を受け付けると前記測定と前記メモリのデータ消去とを開始し、
前記データ消去が完了すると、前記測定において得られる生体データを前記メモリに書き込む、
処理を実行させるための制御プログラム。
【0042】
(16)によれば、生体データに基づく測定をメモリのデータ消去と並行して実行することで、データ消去の完了を待たずに測定を開始することができる。このため、測定の指示から測定開始までの時間を短くし、ユーザの待ち時間を減らすことができる。これにより、大容量の生体データをメモリに保存しつつ、大容量の生体データを保存処理することに伴うユーザビリティの悪化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、生体データの測定におけるユーザビリティを向上させることが可能な測定装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の測定装置と、当該測定装置と無線通信を行う情報端末と、を含む情報管理システムを示す図である。
【
図2】測定装置の一例である血圧計を示す図である。
【
図3】情報端末がネットワーク接続される一例を示す図である。
【
図6】測定装置におけるメインMCUと通信ICと不揮発メモリの動作を示すシーケンス図である。
【
図7】測定装置で測定される生体データの一例を示す図である。
【
図8】血圧計で測定された圧脈波データの第1の流れの例を示す図である。
【
図9】血圧計で測定された圧脈波データの第2の流れの例を示す図である。
【
図10】血圧計で測定された圧脈波データの第3の流れの例を示す図である。
【
図11】血圧計で測定された圧脈波データの第4の流れの例を示す図である。
【
図12】血圧計で測定された圧脈波データの第5の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0046】
§1 適用例
<本発明を適用した情報管理システム100>
図1は、本発明の測定装置1と、当該測定装置1と無線通信を行う情報端末5と、を含む情報管理システム100である。
【0047】
測定装置1は、体重、体組成、血圧、脈拍、心拍、体温、血糖、又は血中酸素飽和度等の生体データを測定する生体データ測定装置を含む。測定装置1には、測定対象量を測定するための測定用センサが含まれる。測定用センサの測定対象量には、測定装置1に応じて、体重、体脂肪率、血圧値、脈拍数、心拍数、体温、血糖値、又は血中酸素飽和度等の生体データが含まれる。また、測定装置1は、非ウェアラブルな測定装置である。非ウェアラブルな測定装置とは、ウェアラブルでない測定装置である。ウェアラブルな測定装置とは、ユーザの身体への装着により携帯される測定装置(例えば活動量計)である。例えば、測定装置1(非ウェアラブルな測定装置)は、地面や台の上に設置された状態で使用される、体重計、体組成計、体重体組成計、血圧計などの測定装置である。測定装置1は、測定した生体データをユーザの測定生体データとして、無線通信により情報端末5に送信する。
【0048】
情報端末5は、測定装置1から受信した測定生体データを情報端末5内のデータ記憶部に記憶する。また、情報端末5は、測定装置1以外の外部機器とも無線通信を行うことが可能であり、外部機器から取得した情報を情報端末5内のデータ記憶部に記憶する。情報端末5は、測定装置1及びその他の外部機器から取得した種々の情報を分析する情報処理装置である。情報端末5は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、及びデスクトップパソコン、ウェアラブル端末等のディスプレイを有する端末である。情報端末5は、特定の測定装置1から測定生体データを取得するように設定されていてもよい。測定生体データを取得する特定の測定装置1は、情報端末5のデータ記憶部に予め登録されていてもよい。
【0049】
図2は、測定装置1の一例である血圧計1Aを示す図である。血圧計1Aは、生体データ測定装置の一例であり、ユーザの血圧(圧脈波データ)を測定し、その測定結果をユーザに出力する。また、血圧計1Aは、測定結果をユーザの測定生体データとして無線通信により情報端末5に送信する。例えば、血圧計1Aは、本体部21と、ユーザの被測定部位(例えば、上腕)に巻付け可能なカフ22と、本体部21とカフ22を接続するエアチューブ23とを備える。カフ22は、上腕を取り巻いて装着され上腕への圧迫圧力を変更可能に構成された帯状体22aと、帯状体22aと上腕の間に配置されるセンサ22bとを有する。血圧計1Aの測定には、圧迫圧力を増加させる加圧工程と、加圧工程の後に圧迫圧力を減少させる減圧工程と、が含まれる。なお、
図2の例ではカフ22と本体部21が別体となっているが、カフ22が本体部21と一体化されていてもよい。
【0050】
図3は、情報端末5がネットワーク接続される一例を示す図である。
図3に示すように、情報端末5は、インターネット等の広域ネットワークNを介してクラウドサーバ90に接続されてもよい。情報端末5は、自己が記憶する測定生体データを、広域ネットワークNを介してクラウドサーバ90に送信し、クラウドサーバ90においてデータベースとしてユーザの測定生体データを管理するようにしてもよい。また、情報端末5は、クラウドサーバ90において管理される測定生体データを広域ネットワークNを介して取得し、取得した測定生体データを利用するようにしてもよい。
【0051】
§2 構成例
<測定装置1の構成>
図4は、測定装置1の構成を示すブロック図である。測定装置1は、種々の情報を表示可能な表示部11と、ユーザが操作可能な操作部12と、生体データ等を測定する測定部13と、外部機器と通信を行う通信IC(Integrated Circuit)14と、通信IC14に接続された不揮発メモリ14aと、通信用のアンテナ14bと、を備える。また、測定装置1は、情報を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)16と、装置全体の動作を制御するメインMCU(Micro Controller Unit)18と、メインMCU18に接続された不揮発メモリ18aと、を備える。メインMCU18は、本発明の第1プロセッサの一例である。通信IC14は、本発明の第2プロセッサの一例である。メインMCU18と通信IC14を合わせたものは、本発明の制御部30の一例である。メインMCU18と通信IC14との間の通信インタフェースには、例えばUART等のインタフェースが用いられる。
【0052】
表示部11は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。操作部12は、ボタンやタッチパネルのようなユーザ操作を受け付けるユーザインタフェースである。ボタンは、測定装置1に物理的に設けられたボタンや表示部11に表示された仮想的なボタンを含む。
【0053】
測定部13は、体重、体組成、血圧、脈拍、心拍、体温、血糖、血中酸素飽和度等の生体データを測定するセンサを備える。何を測定するかは、測定装置1の測定対象により異なる。
【0054】
不揮発メモリ14aは、所定の機能を実現するために必要なパラメータ、制御プログラム、及び測定部13で測定された生体データを記憶する記録媒体である。不揮発メモリ14aは、例えば、フラッシュメモリで構成されている。不揮発メモリ14aには、生体データを記憶するために割り当てられた生体データ領域が設けられている。不揮発メモリ14aに記憶された生体データは通信IC14によって管理される。
【0055】
通信IC14は、制御プログラムを実行することで所定の機能を実現する。例えば、通信IC14は、不揮発メモリ14aに記憶される通信プログラムを実行することにより近距離無線通信を行うことが可能である。通信IC14は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))規格にしたがい通信を行う。通信IC14は、無線通信を行うためのアドバタイズ信号をブロードキャスト通信により不特定多数の外部機器に周期的な期間において送信する。通信IC14は、アドバタイズ信号に、例えば、測定装置1の名前や属性情報を含めて発信する。通信IC14が行うBLE通信は、例えば、2.4GHz周波数を利用する通信である。
【0056】
また、通信IC14は、不揮発メモリ18aに記憶される例えば消去プログラムを実行することにより、不揮発メモリ14aに書き込まれている消去対象(例えば、生体データ)を消去することが可能である。通信IC14は、メインMCU18から通信ICへ送信される消去指示信号にしたがって生体データを不揮発メモリ14aから消去する。
【0057】
また、通信IC14は、不揮発メモリ14aに記憶される例えば管理プログラムを実行することにより生体データを管理することが可能である。生体データは、測定部13で測定されるユーザの生体データである。
【0058】
例えば、通信IC14は、測定された生体データを不揮発メモリ14aに書き込む書き込み処理を行う。また、通信IC14は、不揮発メモリ14aから生体データを読み出す読み出し処理を行う。通信IC14は、メインMCU18から通信ICへ送信される書込指示信号にしたがって生体データを不揮発メモリ14aに書き込み、読出指示信号にしたがって生体データを不揮発メモリ14aから読み出す。通信IC14は、不揮発メモリ14aの生体データ領域に対して、生体データの書き込み処理及び読み出し処理を行う。生体データ領域には、メインMCU18からの書込指示信号にしたがって書き込まれる生体データ以外の情報は書き込まれない。生体データ領域は、不揮発メモリ14aに設けられる領域の中のメインMCU18が使用することが可能な専用領域である。
【0059】
また、通信IC14は、不揮発メモリ14aから読み出した生体データを、アンテナ14bを用いて無線通信により、例えば情報端末5に送信する送信処理を行う。通信IC14は、メインMCU18から通信IC14へ送信される送信指示信号にしたがって生体データの送信処理を行う。
【0060】
RAM16は、例えば、DRAM(Dynamic RAM)やSRAM(Static RAM)等の半導体デバイスで構成され、情報を一時的に記憶するとともに、メインMCU18の作業エリアとしても動作する。
【0061】
不揮発メモリ18aは、所定の機能を実現するために必要なパラメータ、制御プログラム、及び通信IC14に接続された不揮発メモリ14aにおける生体データ領域のアドレス情報等を記憶する記録媒体である。不揮発メモリ18aは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)で構成されている。なお、本例では、不揮発メモリ14aが通信IC14から独立した構成となっているが、例えば、不揮発メモリ14aは通信IC14と1つのモジュールになっていてもよい。
【0062】
メインMCU18は、制御プログラムを実行することで所定の機能を実現する。例えば、メインMCU18は、不揮発メモリ18aに記憶される測定プログラムを実行することにより、測定部13で取得された生体データに基づく測定を行うことが可能である。
【0063】
また、メインMCU18は、不揮発メモリ18aに記憶される例えば消去指示プログラムを実行することにより、不揮発メモリ14aに書き込まれている生体データを消去指示することが可能である。例えば、メインMCU18は、不揮発メモリ14aにおける生体データ領域のアドレスを指定して、消去対象(例えば、生体データ)を不揮発メモリ14aから消去させるための消去指示信号を通信IC14へ送信する。メインMCU18は、例えば、測定ボタンの押下によるデータ測定の指示を受け付けると、生体データの測定を開始するとともに、通信IC14への不揮発メモリ14aのデータ消去の指示を開始する。
【0064】
メインMCU18は、通信IC14におけるデータ消去が完了するまでは、測定において得られる生体データをバッファリングする。メインMCU18は、通信IC14におけるデータ消去が完了したら、バッファリングしておいた生体データを通信IC14へ送信し、不揮発メモリ14aに書き込ませる。測定とは、測定対象の生体データが例えば圧脈波データである場合、被測定部位への圧迫圧力を増加させて加圧し、その後に圧迫圧力を減圧しながら得られた圧脈波データに基づいて測定値(例えば血圧値)を算出することである。データ消去とは、例えば一定のデータ単位(1セクタ(例えば4KB))の消去である。バッファリングとは、不揮発メモリ14aと異なるメモリに、測定において得られる生体データを一時的に記憶させることである。異なるメモリとは、例えばメインMCU18におけるRAM16等の揮発メモリであってもよいし、不揮発メモリ18a等の不揮発メモリであってもよい。
【0065】
また、メインMCU18は、不揮発メモリ18aに記憶される例えば管理指示プログラムを実行することにより、測定された生体データを管理指示することが可能である。例えば、メインMCU18は、不揮発メモリ14aの生体データ領域における書込先のアドレスを指定して生体データを不揮発メモリ14aに書き込ませる書込指示信号を通信IC14へ送信する。メインMCU18は、測定部13により測定されて、RAM16にバッファリングされている生体データを書込指示信号と共に、通信IC14へ送信する。メインMCU18は、時系列データである生体データを一定時間ごとに区切った生体データを順次通信IC14に送る。例えば、メインMCU18は、生体データを32msec毎に18バイトで通信ICへ送信する。
【0066】
また、メインMCU18は、不揮発メモリ14aの生体データ領域における読出元のアドレスを指定して生体データを不揮発メモリ14aから読み出させる読出指示信号を通信IC14へ送信する。なお、書き込みや読み出しのアドレス指定は、例えば、不揮発メモリ14aの生体データ領域における書き込みや読み出しの開始アドレスの指定及び書き込み情報や読み出し情報のサイズの指定であってもよいし、書き込みや読み出しの開始アドレス及び終了アドレスの指定であってもよい。
【0067】
また、メインMCU18は、不揮発メモリ18aに記憶される例えば送信指示プログラムを実行することにより、通信IC14の送信処理を指示することが可能である。例えば、メインMCU18は、無線通信(BLE通信)のためのアドバタイズ信号を周期的な期間で送信させる送信指示信号、及び不揮発メモリ14aから読み出した生体データを情報端末5等の外部機器に送信させる送信指示信号を通信IC14へ送信する。
【0068】
メインMCU18は、測定した生体データを不揮発メモリ14aに書き込む場合、生体データを読み出す場合、及び生体データを外部機器へ送信する場合、通信IC14に対して不揮発メモリ14aのアドレス指定を含む指示信号を送信する処理のみを行う。不揮発メモリ14aへの生体データの書き込み処理、生体データの読み出し処理、及び外部機器への送信処理は、メインMCU18から指示を受けた通信IC14が実行する。すなわち、メインMCU18は、不揮発メモリ14aに対して通信IC14を介して間接的にアクセスすることは可能であるが、直接的にはアクセスできないように構成されている。
【0069】
また、メインMCU18は、生体データのセンシングの前に、不揮発メモリ14aへの生体データの保存の開始を指示する保存開始の指示信号を、通信IC14に送信する。また、メインMCU18は、生体データのセンシングの後に、不揮発メモリ14aへの生体データの保存の終了を指示する保存終了の指示信号を、通信IC14に送信する。また、メインMCU18は、生体データのセンシングの終了後に、不揮発メモリ14aへの生体データの書き込みに関する結果情報を、通信IC14から受信する。結果情報は、保存終了の指示に対する通信IC14からメインMCU18への応答信号に含めて送信される。結果情報は、通信IC14がメインMCU18から受信した生体データの受信数を示す情報、及び通信IC14が不揮発メモリ14aへの書き込みに失敗した生体データの失敗数を示す情報を含む。なお、結果情報は、不揮発メモリ14aへの書き込みに成功した生体データの成功数を示す情報であってもよい。
【0070】
また、メインMCU18は、不揮発メモリ18aに記憶される例えば情報出力プログラムを実行することにより、測定した生体データに基づく生体測定結果、例えば、圧脈波データに基づく血圧測定結果を出力する。メインMCU18は、血圧測定結果を、例えば、測定装置1の表示部11に画面表示させる。また、メインMCU18は、血圧測定結果を測定装置1から音声出力してもよいし、情報端末5へ無線送信してもよい。
【0071】
<情報端末5の構成>
図5は、情報端末5の構成を示すブロック図である。情報端末5は、種々の情報を表示可能な表示部51と、ユーザが操作可能な操作部52と、位置を検出するためのGPS(Global Positioning System)センサ53と、外部機器と通信を行う第1無線通信部54及び第2無線通信部55と、を備える。また、情報端末5は、情報を一時的に記憶するRAM56と、情報やプログラムを記憶するデータ記憶部57と、端末全体の動作を制御するコントローラ58と、を備える。
【0072】
表示部51は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。操作部52は、ボタンやタッチパネルのようなユーザ操作を受け付けるユーザインタフェースである。ボタンは、情報端末5に物理的に設けられたボタンや表示部51に表示された仮想的なボタンを含む。GPSセンサ53は、情報端末5の現在位置を検出するためのセンサである。
【0073】
第1無線通信部54は、セルラ通信を行う通信部、例えば、4G、5G、LTE(Long Term Evolution:登録商標)等の規格にしたがい通信を行うことが可能な回路(モジュール)である。また、第1無線通信部54は、無線LAN通信を行う通信部、例えば、Wi-Fi(登録商標)等の規格にしたがい通信を行うことが可能な回路である。第2無線通信部55は、近距離無線通信を行う通信部、例えば、BLE規格にしたがい通信を行うための回路(モジュール)である。
【0074】
第2無線通信部55は、例えば、測定装置1の通信IC14とBLE通信を行うことにより、測定装置1で測定されたユーザの生体データを取得する。第2無線通信部55は、スキャンすることで、測定装置1の通信IC14から送信されるアドバタイズ信号を受信する。第2無線通信部55は、受信したアドバタイズ信号から測定装置1を認識し、通信接続したい場合に接続要求を測定装置1に対して送信する。なお、測定装置1は、アドバタイズ信号を発信した後に、所定時間、接続要求を待ち、所定時間内に接続要求を受信するとアドバタイズ信号の発信を停止し、接続要求相手との1対1の接続通信に切り替える。
【0075】
RAM56は、例えば、DRAMやSRAM等の半導体デバイスで構成され、情報を一時的に記憶するとともに、コントローラ58の作業エリアとして動作する。
【0076】
データ記憶部57は、所定の機能を実現するために必要なパラメータ、制御プログラム、及び測定装置1から取得した測定生体データ等を記憶する記録媒体である。データ記憶部57は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)や半導体記憶装置(SSD)で構成される。
【0077】
コントローラ58は、制御プログラムを実行することで所定の機能を実現する。なお、本実施形態では、データ記憶部57に制御プログラムとして、例えば、情報端末用の管理アプリケーションソフトが予めインストールされており、コントローラ58はこの管理アプリケーションソフトを実行することにより所定の機能を実現する。例えば、コントローラ58は、情報端末用の管理アプリケーションソフトが立ち上げられると、スキャンすることでアドバタイズ信号を受信するように第2無線通信部55を制御する。コントローラ58は、測定装置1からのアドバタイズ信号が受信されると、測定装置1に接続要求を送信し、測定装置1から測定生体データを取得するように第2無線通信部55を制御する。
【0078】
§3 動作例
<測定装置1の動作例>
次に、
図6を参照して、測定装置1の動作例を説明する。
図6は、測定装置1におけるメインMCU18と通信IC14と不揮発メモリ14aの動作を示すシーケンス図である。なお、本例では、測定装置1を血圧計1Aとし、血圧計1Aによって測定される生体データを圧脈波データとして以下に説明する。
【0079】
ユーザの上腕に血圧計1Aのカフ22が取り付けられて、測定を開始するスイッチが押下されたとする。
【0080】
まず、メインMCU18が、測定開始スイッチの押下を受け付ける(ステップS11)。次に、メインMCU18が、測定開始スイッチの押下に応じて、不揮発メモリ14aにおける生体データ領域のデータを消去させる消去指示信号を通信IC14へ送信する(ステップS12)。消去指示信号には、データを消去する不揮発メモリ14aのアドレスとそのデータ単位(一例としては1セクタ(4KB))が含まれる。また、メインMCU18が、測定開始スイッチの押下に応じて、血圧計1Aによる圧脈波データの測定を開始する(ステップS13)。メインMCU18は、先ず、カフ22を加圧して圧脈波データをセンシングするとともに、センシングした圧脈波データをRAM16にバッファリングする。なお、血圧計1Aの測定は、圧迫圧力を増加させる加圧工程と、加圧工程の後に圧迫圧力を減少させる減圧工程とを含む。メインMCU18は、加圧工程、次に減圧工程の順において圧脈波データの測定を行う。
【0081】
次に、通信IC14が、ステップS12で受信した消去指示信号に応じて、指示された領域における1セクタのデータを消去する処理を行う(ステップS14)。1セクタの消去処理とは、例えば、通信IC14側から見た場合、まず通信IC14が、1セクタの消去指示を不揮発メモリ14aへ送信し、その消去指示に応じたことを示す応答(1セクタを消去したという応答)を不揮発メモリ14aから受信する。次に、通信IC14が、消去した1セクタを読み出す読出要求を不揮発メモリ14aへ送信し、その読出要求に応じた応答(1セクタの読出しデータ)を不揮発メモリ14aから受信した後に、ベリファイにより終了する。次に、通信IC14が、消去処理が完了したことを通知する応答信号をメインMCU18へ送信する(ステップS15)。消去完了の応答信号には、例えば消去処理が完了したことを示す結果コード、消去したデータの不揮発メモリ14aにおけるアドレス及びデータ単位が含まれる。
【0082】
次に、メインMCU18が、ステップS15で消去完了の応答信号を受信すると、測定した圧脈波データを不揮発メモリ14aの生体データ領域に書き込ませるための書込指示信号を通信IC14へ送信する(ステップS16)。書込指示信号には、圧脈波データを書き込む不揮発メモリ14aのアドレスとそのデータサイズ、及び書き込む圧脈波データが含まれる。圧脈波データは、測定部13によって測定される圧脈波データを例えば一定時間ごとに区切って送信される。また、書き込む圧脈波データは、加圧工程においてセンシングされた圧脈波データから送信される。すなわち、圧脈波データは、上記ステップS13から、RAM16にバッファリングしたデータから順次送信される。
【0083】
ただし、通信IC14への送信が開始されるまでに測定された圧脈波データであって、例えばバッファリングしきれずにRAM16のバッファ領域から溢れた圧脈波データは、不揮発メモリ14aに書き込まれずに破棄される。
【0084】
次に、通信IC14が、ステップS16で受信した書込指示信号に応じて、メインMCU18から送信されてきた圧脈波データを、不揮発メモリ14aの生体データ領域における指定されたアドレスに書き込む書込処理を行う(ステップS17)。書込処理とは、例えば、通信IC14側から見た場合、まず通信IC14が、メインMCU18から送信されてくる圧脈波データの書込指示を不揮発メモリ14aへ送信し、その書込指示に応じたことを示す応答(圧脈波データを書き込んだという応答)を不揮発メモリ14aから受信する。次に、通信IC14が、書き込んだ圧脈波データを読み出す読出要求を不揮発メモリ14aへ送信し、その読出要求に応じた応答(読み出した圧脈波データ)を不揮発メモリ14aから受信した後に、ベリファイにより終了する。次に、通信IC14が、圧脈波データの書込処理が完了したことを通知する応答信号をメインMCU18へ送信する(ステップS18)。書込完了の応答信号には、例えば書込処理が完了したことを示す結果コード、書き込んだデータの不揮発メモリ14aにおけるアドレス及びデータサイズが含まれている。
【0085】
次に、メインMCU18が、ステップS18で書込完了の応答信号を受信すると、測定した次の圧脈波データを不揮発メモリ14aの生体データ領域に書き込ませるための書込指示信号を通信IC14へ送信する(ステップS19)。次の圧脈波データとは、上述したように、加圧工程、次に減圧工程の順で測定する圧脈波データにおける次の圧脈波データである。ステップS19におけるその他の処理は、ステップS16における書込指示の処理と同様である。
【0086】
次に、通信IC14が、ステップS19で受信した書込指示信号に応じて、メインMCU18から送信されてきた次の圧脈波データを、不揮発メモリ14aの生体データ領域における指定されたアドレスに書き込む書込処理を行う(ステップS20)。ステップS20における処理は、書き込む圧脈波データが次の圧脈波データである以外はステップS17における書き込みの処理と同様である。次に、通信IC14が、次の圧脈波データの書込処理が完了したことを通知する応答信号をメインMCU18へ送信する(ステップS21)。
【0087】
同様にして、メインMCU18と通信IC14と不揮発メモリ14aとの間で書込指示の処理、書き込みの処理、及び書込完了の応答処理が繰り返して実行される。また、書込指示の処理、書き込みの処理、及び書込完了の応答処理が繰り返されている間に、メインMCU18が、圧脈波データの測定を継続し、加圧工程が終了した後に減圧工程を行う。
【0088】
次に、メインMCU18が、書込指示を行った圧脈波データの書き込みデータ量と、ステップS14で消去した不揮発メモリ14aの領域(1セクタ(4KB))とを比較して、不揮発メモリ14aの空き領域が足りなくなった(4KBに近いデータ量を書き込んだ)と判定した場合に、不揮発メモリ14aの生体データ領域における次の1セクタを消去させる消去指示信号を通信IC14へ送信する(ステップS22)。
【0089】
次に、通信IC14が、ステップS22で受信した消去指示信号に応じて、指示された領域における次の1セクタのデータを消去する処理を行う(ステップS23)。ステップS23における処理は、消去する領域が次の1セクタである以外はステップS14における消去の処理と同様である。次に、通信IC14が、消去処理が完了したことを通知する応答信号をメインMCU18へ送信する(ステップS24)。このとき、例えばステップS22からステップS24のメモリ消去の処理の最中に、圧脈波データの測定が加圧工程の測定から減圧工程の測定に移行した場合には、メモリ消去の処理が終了するまで減圧工程の測定を開始せずに待機状態としてもよい。
【0090】
次に、例えば上記ステップS19からステップS21で説明した場合と同様に、書込指示の処理、書き込みの処理、及び書込完了の応答処理を、ステップS25からステップS27、ステップS28からステップS30、…のように、本圧脈波データの測定が終了するまで繰り返す。
【0091】
そして、メインMCU18が、減圧工程における圧脈波データの測定が完了すると、本測定を終了する(ステップS31)。
【0092】
なお、上述した圧脈波データの測定では、メモリ消去の処理(例えば、ステップS12,S14,S15、ステップS22~S24等)において、1セクタごとにメモリ消去を行ったが、これに限定されない。例えば、メモリ消去の処理は、必要なサイズのメモリ消去を最初のステップS12,S14,S15で行ってもよい。
【0093】
また、上述した圧脈波データの測定では、加圧工程及び減圧工程のセンシングデータをバッファリングし、不揮発メモリ14aに保存する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、加圧工程のセンシングデータは、バッファリング及び不揮発メモリ14aへの保存を行わないで破棄してもよい。この点については、後述の
図11,
図12において説明する。
【0094】
また、上述した圧脈波データの測定では、センシングデータをバッファリングし、不揮発メモリ14aに保存する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、不揮発メモリ14aへのデータの書き込みが可能な状態である場合には、センシングデータをバッファリングせず逐次、不揮発メモリ14aに書き込むようにしてもよいし、あるいは、センシングデータを常時バッファリングしつつ、バッファリングしたセンシングデータを直ちにバッファから読み出して、不揮発メモリ14aに書き込むようにしてもよい。
【0095】
また、上述した圧脈波データの測定において、ステップS12における消去指示の前に、不揮発メモリ14aへのセンシングデータの保存を開始するための保存開始処理を行うようにしてもよい。また、ステップS31における測定処理の後に、不揮発メモリ14aへのセンシングデータの保存を終了するための保存終了処理を行うようにしてもよい。
【0096】
不揮発メモリ14aに書き込んだ圧脈波データを血圧計1Aから外部の情報端末5へ送信するための送信処理は、例えば、上述した圧脈波データの測定が終了した後に行われる。その場合、メインMCU18が、圧脈波データを送信させるための送信指示信号を通信ICへ送信する。送信指示信号には、送信させる圧脈波データの不揮発メモリ14aにおけるアドレス及びそのサイズの指定が含まれる。次に、通信IC14が、メインMCU18から受信した送信指示信号にしたがって、不揮発メモリ14aから圧脈波データを読み出し、読み出した圧脈波データを無線通信により情報端末5へ送信する。通信IC14は、圧脈波データと共に圧脈波データの書き込みに関する結果情報を情報端末5へ送信する。結果情報には、例えば、通信IC14がメインMCU18から受信した圧脈波データの受信数、及び不揮発メモリ14aへの書き込みに失敗した圧脈波データの失敗数が含まれてもよい。
【0097】
§4 測定データ例
<測定装置1の測定データ>
図7は、測定装置1で測定される生体データの一例を示す図である。本例では、血圧計1Aによって測定される圧脈波データの一例を示す。
図7に示すように、圧脈波データ40は、略一定の周期性を有した連続する伝導波40aとして測定される。測定された圧脈波データ40は、メインMCU18から通信ICへ送信される。メインMCU18は、測定された圧脈波データ40を一定時間ごとに区切って順次、通信IC14へ送信する。
【0098】
§5 測定データの流れ
<測定データの第1の流れの例>
図8は、血圧計1Aで測定された圧脈波データの第1の流れの例を示す図である。
図8に示すように、第1の流れの例では、測定の加圧工程61及び減圧工程62において、カフ22のセンサ22bによりセンシングデータ63a,63b,63c,…,64a,64b,64c…が取得される。また、制御部30により、不揮発メモリ14aの生体データ領域を消去する消去処理65が開始されると、加圧工程61の測定が開始される。
【0099】
この消去処理65が開始されるため、消去処理65の期間において加圧工程61で取得されたセンシングデータ63a,63b,63c…は、この消去処理65が完了するまで、制御部30により、RAM16のバッファ16aに順次バッファリングされる。そして、バッファリングされたセンシングデータ63a,63b,63c…は、不揮発メモリ14aの消去処理65が完了すると、制御部30により、不揮発メモリ14aに順次書き込まれる。
【0100】
第1の流れの例では、消去処理65に並行して、加圧工程61において取得されるセンシングデータ63a,63b,63c…が、バッファ16aから溢れることなく全てバッファリングされ、バッファリングされたデータが破棄されることなく不揮発メモリ14aに順次書き込まれる。また、第1の流れの例では、減圧工程62において取得されたセンシングデータ64a,64b,64c…も破棄されることなく全て不揮発メモリ14aに順次書き込まれる。センシングデータ64a,64b,64c…は、バッファ16aにバッファリングされると直ぐに読み出されて不揮発メモリ14aに書き込まれる。
【0101】
なお、本例では、不揮発メモリ14aの消去処理65が加圧工程61の開始とともに一度だけ行われる構成になっているが、例えば、消去した不揮発メモリ14aの空き領域が足りなくなった場合には減圧工程62の途中においても消去処理65が行われるようにしてもよい。
【0102】
<測定データの第2の流れの例>
図9は、血圧計1Aで測定された圧脈波データの第2の流れの例を示す図である。第2の流れの例は、取得されたセンシングデータがRAM16のバッファ16aに入りきらず、一部のセンシングデータが破棄される場合の例である。
図9に示すように、第2の流れの例では、上記第1の流れの例と同様に、測定の加圧工程61及び減圧工程62において、カフ22のセンサ22bによりセンシングデータ63a,63b,63c,…,64a,64b,64c…が取得される。また、上記第1の流れの例と同様に、不揮発メモリ14aの消去処理65が開始されると、加圧工程61の測定が開始されるとともに、加圧工程61において取得されたセンシングデータ63a,63b,63c…がバッファ16aに順次バッファリングされる。
【0103】
ところが、第2の流れの例では、不揮発メモリ14aの消去処理65と並行して取得されていた加圧工程61におけるセンシングデータ63a,63b,63c…が、RAM16のバッファ16aに入りきらず、一部のセンシングデータ63d,63eがバッファ16aから溢れてバッファリングされない。このため、加圧工程61で取得されたセンシングデータ63d,63eは、不揮発メモリ14aに書き込まれず、破棄される。なお、加圧工程61で取得されたセンシングデータ63d,63e以外のセンシングデータは、溢れることなくバッファ16aにバッファリングされるとともに、不揮発メモリ14aに順次書き込まれる。また、減圧工程62で取得されたセンシングデータ64a,64b,64c…は、上記第1の流れの例と同様に、溢れることなくバッファ16aにバッファリングされるとともに、不揮発メモリ14aに順次書き込まれる。
【0104】
<測定データの第3の流れの例>
図10は、血圧計1Aで測定された圧脈波データの第3の流れの例を示す図である。第3の流れの例は、測定の加圧工程においてセンシングデータを取得しない場合の例である。
図10に示すように、第3の流れの例では、測定の減圧工程62においてセンサ22bによりセンシングデータ64a,64b,64c…が取得される。また、加圧工程61が開始されると、不揮発メモリ14aの生体データ領域を消去する消去処理65が開始される。
【0105】
なお、第3の流れの例では、第1、第2の流れの例よりも消去処理65に時間がかかっており、その消去処理65の期間が減圧工程62の最初の期間の一部と並行して行われるものとする。このため、減圧工程62で取得されたセンシングデータのうち消去処理65の期間と並行して取得されたセンシングデータは、この消去処理65が完了するまでの間、バッファ16aにバッファリングされる。これにより、第3の流れの例では、
図10に示すように、一部のセンシングデータ64a,64b,64c,64dが、バッファ16aから直ぐに読みだされずに、バッファリングされた期間だけ遅延して、不揮発メモリ14aに順次書き込まれる。なお、センシングデータ64e以降のデータは、バッファ16aにバッファリングされると直ぐに読み出されて不揮発メモリ14aに書き込まれる。
【0106】
以上説明したように、測定装置1は、測定の指示を受け付けると、生体データの測定と不揮発メモリ14aのデータ消去とを開始し、不揮発メモリ14aのデータ消去が完了するまでは、測定において得られる生体データを例えばRAM16にバッファリングし、不揮発メモリ14aのデータ消去が完了すると、RAM16にバッファリングした生体データを不揮発メモリ14aに書き込む。この構成によれば、生体データに基づく測定を不揮発メモリ14aのデータ消去と並行して実行することで、不揮発メモリ14aのデータ消去の完了を待たずに測定を開始することができる。このため、測定の指示を受け付けてから測定を開始するまでの時間を短くすることができ、ユーザの待ち時間を短くすることができる。これにより、大容量の生体データを不揮発メモリ14aに保存しつつ、その大容量の生体データを保存するための消去済み領域を生体データの測定前に確保しなければならないというユーザビリティの悪化を抑制することができる。
【0107】
また、測定装置1は、血圧計1Aであって、カフ22の圧迫圧力を増加させる加圧工程と、加圧工程の後にカフ22の圧迫圧力を減少させる減圧工程と、を含む。血圧計1Aによる圧脈波データの測定では、最初に加圧工程が実行され、その加圧工程間のセンシングデータは、その後に実行される減圧工程間のセンシングデータと比較すると重要性がそれほど高くない。このため、不揮発メモリ14aのデータ消去を行いつつ測定を開始して、バッファにセンシングデータが保存しきれないために測定の最初の方のセンシングデータを取りこぼしても、加圧工程のセンシングデータが取りこぼされるので、データ解析等への影響は少ない。したがって、測定装置1は、血圧計1Aによる圧脈波データの測定に適している。ただし、圧脈波データの測定アルゴリズムによっては、加圧工程間のセンシングデータも重要になるため、その場合は加圧工程間のセンシングデータについても可能な限りバッファリングして不揮発メモリ14aに保存することが好ましい。
【0108】
また、測定装置1は、メインMCU18が生体データを通信IC14へ送信して不揮発メモリ14aに書き込ませ、通信IC14が不揮発メモリ14aに書き込んだ生体データを情報端末5へ送信する。生体データに基づく測定を不揮発メモリ14aのデータ消去と並行して実行する構成においては、これらの処理を1つのプロセッサで行おうとすると処理負荷が大きくなり、測定等の処理の遅延が発生する。そこで、測定を行うメインMCU18とは別に、不揮発メモリ14aの消去や不揮発メモリへの書き込みや無線通信を行う通信IC14を設けることにより、不揮発メモリ14aのデータを消去したり、圧脈波データを不揮発メモリ14aへ書き込んだり情報端末5へ送信したり、するための処理負荷を通信IC14に分散し、メインMCU18の処理負荷を軽減することができる。これにより、メインMCU18による測定等の処理の遅延を抑制することができる。
【0109】
また、測定装置1のメインMCU18は、通信IC14に対して、不揮発メモリ14aの生体データ領域における書込先のアドレスを指定して生体データを不揮発メモリ14aに書き込ませ、不揮発メモリ14aの生体データ領域における読出元のアドレスを指定して生体データを不揮発メモリ14aから読み出させ、不揮発メモリ14aから読み出させた生体データを情報端末5等の外部機器へ無線通信により送信させる。この構成によれば、メインMCU18が、通信IC14に接続された不揮発メモリ14aのアドレスを指定して、データの消去や、生体データの書き込み、読み出し及び送信を、通信IC14に指示する構成としたため、メインMCU18と通信IC14との間のインタフェースでフロー制御が不要となり、情報端末5への生体データの転送速度を向上させることができる。また、通信IC14は、不揮発メモリ14aにおける指定されたアドレスのデータ消去、不揮発メモリ14aにおける指定されたアドレスへの情報の書き込み、不揮発メモリ14aにおける指定されたアドレスからの情報の読み出し及び送信を行えばよいため、通信IC14については簡易な構成とすることができる。また、メインMCU18は、通信IC14への指示により、不揮発メモリ14aのデータ消去、不揮発メモリ14aへの生体データの書き込み、不揮発メモリ14aからの生体データの読み出し、読み出した生体データの送信を柔軟に行うことができる。ただし、生体データ等の消去処理、書き込み処理、読み出し処理、送信処理等の負荷の大きい処理をメインMCU18自身で行わなくてもよいため、上記のようにメインMCU18の処理負荷を軽減することができる。
【0110】
また、測定装置1は、不揮発メモリ14aに生体データを記憶するために割り当てられた生体データ領域を有している。そして、生体データ領域に記憶された生体データは通信IC14によって管理され、メインMCU18からはアクセスできないように構成されている。この構成によれば、生体データ領域には生体データ以外の情報は書き込まれないため、メインMCU18から通信IC14への指示による生体データの書き込みと、通信IC14による他の情報の書き込みと、の干渉を抑制することができる。また、メインMCU18と通信IC14で1つの不揮発メモリを共用する構成と比べて、アクセス処理が分散し高速化を図ることができる。
【0111】
§5 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、上記の説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0112】
上記実施形態では、メインMCU18が測定した生体データを不揮発メモリ14aへ書き込ませる場合及び不揮発メモリ14aから読み出す場合、不揮発メモリ14aにおける書込先及び読出元のアドレスを指定して、測定した生体データを通信IC14に送信しているが、これに限定されない。例えば、メインMCU18は、不揮発メモリ14aにおける生体データの書込先及び読出元のアドレスを指定しないで通信IC14に送信してもよい。
【0113】
上記実施形態では、メインMCU18が生体データを通信IC14へ送信し、その生体データを不揮発メモリ14aへ書き込ませる場合、生体データを送信するごとに通信IC14から書込完了の応答信号(送達確認)を受信しているが、これに限定されない。例えば、メインMCU18は、生体データを順次、送達確認せずに(例えば、ストリーミング方式で)通信IC14へ送信して、書き込ませるようにしてもよい。これにより、メインMCU18から通信IC14への生体データの転送速度を向上させることができる。また、センシング中におけるメインMCU18の処理負荷を軽減することができる。
【0114】
上記実施形態では、生体データが脈波データであり、脈波データとして圧脈波データを取得する構成について説明したが、測定装置1が脈波データとして容積脈波データを測定する構成としてもよい。
【0115】
上記実施形態では、通信IC14(第2プロセッサ)に接続されたメモリとして不揮発メモリ14aについて説明したが、通信IC14(第2プロセッサ)に接続されたメモリは、不揮発メモリ14aに限らず揮発メモリ等であってもよい。
【0116】
上記実施形態では、通信IC14に接続された不揮発メモリ14aに脈波データを保存する構成について説明したが、脈波データの保存先は、不揮発メモリ14aに限らず、例えばメインMCU18に接続された不揮発メモリ18aであってもよい。
【0117】
上述した圧脈波データの測定では、加圧工程及び減圧工程のセンシングデータをバッファリングし、不揮発メモリ14aに保存する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、
図11,
図12に示すように、制御部30は、上記のバッファリングを行わずにセンシングデータを不揮発メモリ14aに保存してもよい。
【0118】
図11は、血圧計1Aで測定された圧脈波データの第4の流れの例を示す図である。
図11に示すように、第4の流れの例では、測定の加圧工程61及び減圧工程62において、カフ22のセンサ22bによりセンシングデータ63a,63b,63c,…,64a,64b,64c…が取得される。また、制御部30により、不揮発メモリ14aの生体データ領域を消去する消去処理65が開始されると、加圧工程61の測定が開始される。
【0119】
この消去処理65が開始されるため、消去処理65の期間において加圧工程61で取得されたセンシングデータ63a,63b,63c…は、制御部30により破棄される。そして、消去処理65の期間の後において加圧工程61で取得されたセンシングデータは、制御部30により、不揮発メモリ14aに順次書き込まれる。
【0120】
すなわち、第4の流れの例では、消去処理65の期間において加圧工程61で取得されたセンシングデータ63a,63b,63c…は破棄され、消去処理65の期間の後において加圧工程61で取得されたセンシングデータと、減圧工程62で取得されたセンシングデータ64a,64b,64c,64dと、が破棄されることなく不揮発メモリ14aに順次書き込まれる。このように、制御部30は、消去処理65の期間において取得されたセンシングデータ63a,63b,63c…を破棄し、消去処理65の完了後において取得されたセンシングデータを不揮発メモリ14aに保存するようにしてもよい。なお、
図11の例では、消去処理65の期間中もセンサ22bによりセンシングデータ63a,63b,63c,…が取得されているが、消去処理65の期間においてはセンサ22bを動作させないようにしてもよい。
【0121】
図12は、血圧計1Aで測定された圧脈波データの第5の流れの例を示す図である。
図12に示すように、第5の流れの例では、測定の加圧工程61及び減圧工程62において、カフ22のセンサ22bによりセンシングデータ63a,63b,63c,…,64a,64b,64c…が取得される。また、制御部30により、不揮発メモリ14aの生体データ領域を消去する消去処理65が開始されると、加圧工程61の測定が開始される。
【0122】
加圧工程61で取得されたセンシングデータ63a,63b,63c…は、制御部30により破棄される。そして、減圧工程62で取得されたセンシングデータ64a,64b,64c,64dは、制御部30により、不揮発メモリ14aに順次書き込まれる。このように、制御部30は、加圧工程61で取得されたセンシングデータ63a,63b,63c…を破棄し、減圧工程62で取得されたセンシングデータ64a,64b,64c,64dを不揮発メモリ14aに保存するようにしてもよい。なお、
図12の例では、加圧工程61の期間中もセンサ22bによりセンシングデータ63a,63b,63c,…が取得されているが、加圧工程61の期間においてはセンサ22bを動作させないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 測定装置
1A 血圧計
5 情報端末
13 測定部
14 通信IC(第2プロセッサ)
14a,18a 不揮発メモリ
16 RAM
18 メインMCU(第1プロセッサ)
22 カフ
22a 帯状体
22b センサ
30 制御部
40 圧脈波データ
100 情報管理システム