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特開2024-127078低周波治療器、制御方法、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127078
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】低周波治療器、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240912BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035943
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲也
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB36
4C053JJ01
4C053JJ02
4C053JJ04
(57)【要約】
【課題】操作感の向上を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係る低周波治療器100は、パッド部10と、ユーザからの操作を受け付ける操作部30と、プロセッサ21と、を備える。プロセッサ21は、パッド部10から、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流60を供給させる制御を行う。また、プロセッサ21は、パッド部10から、治療用の電気的刺激とは異なる、操作部30への操作の受け付けを通知する電気的刺激を与える通知用パルス電流71を供給させる制御を行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触対象にパルス電流を供給可能なパッド部と、
ユーザからの操作を受け付ける操作部と、
前記パッド部から、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流と、前記治療用の電気的刺激とは異なる、前記操作の受け付けを通知する電気的刺激を与える通知用パルス電流と、を供給させる制御を行う制御部と、
を備える低周波治療器。
【請求項2】
請求項1に記載の低周波治療器であって、
前記操作部は、前記パッド部と一体的に構成されている、
低周波治療器。
【請求項3】
請求項1に記載の低周波治療器であって、
人体の背面部に装着される、
低周波治療器。
【請求項4】
請求項1に記載の低周波治療器であって、
前記制御部は、前記操作の受け付けに応じて即時、前記通知用パルス電流を供給させる、
低周波治療器。
【請求項5】
請求項1に記載の低周波治療器であって、
前記制御部は、受け付けた前記操作の種類に応じて異なる前記通知用パルス電流を供給させる、
低周波治療器。
【請求項6】
請求項5に記載の低周波治療器であって、
前記制御部は、
前記低周波パルス電流の刺激強度の増加を指示する操作を受け付けた場合は、刺激強度が時間的に増加する前記通知用パルス電流を供給させ、
前記低周波パルス電流の刺激強度の減少を指示する操作を受け付けた場合は、刺激強度が時間的に減少する前記通知用パルス電流を供給させる、
低周波治療器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の低周波治療器であって、
前記操作部は、供給される前記低周波パルス電流の刺激強度及び種類の少なくともいずれかを切り替える切替操作を受け付け可能であり、
前記制御部は、受け付けた前記切替操作に応じて前記低周波パルス電流の刺激強度及び種類の少なくともいずれかを切り替えるとともに、切り替え後の前記低周波パルス電流の刺激強度及び種類の少なくともいずれかに応じて異なる前記通知用パルス電流を供給させる、
低周波治療器。
【請求項8】
接触対象にパルス電流を供給可能なパッド部と、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、プロセッサと、を備える低周波治療器の制御方法であって、
前記プロセッサが、
前記パッド部から、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流と、前記治療用の電気的刺激とは異なる、前記操作の受け付けを通知する電気的刺激を与える通知用パルス電流と、を供給させる制御を行う、
制御方法。
【請求項9】
接触対象にパルス電流を供給可能なパッド部と、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、プロセッサと、を備える低周波治療器の制御プログラムであって、
前記プロセッサに、
前記パッド部から、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流と、前記治療用の電気的刺激とは異なる、前記操作の受け付けを通知する電気的刺激を与える通知用パルス電流と、を供給させる制御を行う、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低周波治療器、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電層を有するパッドをユーザの身体に取り付けて、身体に低周波パルス電流を供給することで、ユーザの肩こりをほぐす等の治療を行う低周波治療器が知られている。
【0003】
特許文献1には、治療が終了したことなどがスピーカから患者に知らされるように構成された周波治療器が記載されている。特許文献2には、変調波の出力の開始から所定経過時間する毎に、音声又は表示により出力増加を促す報知を行うように構成された電子治療器が記載されている。
【0004】
特許文献3には、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流をパッド部から供給させ、治療の進行に関する通知を行う低周波治療器が記載されている。特許文献4には、電気刺激デバイスの充電レベル、タイマモジュールのステータス、警告状態等の動作状態に関する通知信号を提供する電気刺激デバイスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-170873号公報
【特許文献2】特開2011-015723号公報
【特許文献3】特開2022-018442号公報
【特許文献4】特表2015-536748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低周波治療器等の機器において、ユーザが行った操作の受け付けをユーザに通知する操作フィードバックは、機器の操作感を向上させるために重要である。ここで、人体に装着して用いられる低周波治療器の本体に、その操作を行うための操作部が設けられる一体型の構成を想定する。このような構成においては、例えば低周波治療器の本体にディスプレイを設け、画面表示によって操作フィードバックを行っても、それをユーザが視認することが困難な場合がある。特にユーザの背面部等に装着して用いる低周波治療器においては、ユーザは背面部等に装着したディスプレイを視認することは困難である。
【0007】
また、スピーカによる音声で操作フィードバックを行う構成も考えられる。しかし、例えば職場等の、自宅以外の外出先でも低周波治療器による治療を行う場合、音声による通知は、ユーザが抵抗感を感じる(周囲が気になる)場合がある。特にユーザの背面部等に装着して用いる低周波治療器においては、低周波治療器がユーザの耳から離れており、また低周波治療器が衣服等により覆われている場合が多いため、ユーザに聞こえるように音声の出力を大きくする必要があり、ユーザが強い抵抗感を感じる場合がある。また、低周波治療器の本体にスピーカを設けることにより、装置の大型化や高コスト化にも繋がる。
【0008】
また、バイブレータによる振動で操作フィードバックを行う構成も考えられる。しかし、低周波治療器においては電極をユーザの身体の適切な位置に接触させておくことが重要であり、振動により、電極が適切な位置からずれたり、電極が外れたりする場合がある。特にユーザの背面部等に装着して用いる低周波治療器においては、ユーザの背面部等はユーザが振動を感じにくい部位であるため、ユーザが感じ取れるように振動の強度を高くする必要があり、電極が位置ずれしたり外れたりしやすくなる。また、低周波治療器の本体にバイブレータを設けることにより、装置の大型化や高コスト化にも繋がる。
【0009】
また、低周波治療器をスマートフォン等の情報端末と無線接続し、情報端末の画面表示によって操作フィードバックを行う構成も考えられる。しかし、無線通信を行う場合、通信遅延による通知の遅れや、通信電波の干渉による低周波治療への影響が問題になり得る。また、低周波治療器の本体に無線通信モジュールを設けることにより、装置の大型化や高コスト化にも繋がる。
【0010】
このように、特にユーザから視認しにくい部位に装着する一体型の低周波治療器においては、外出先でも抵抗感なく操作できたり、位置ずれ等を防止したりしつつ操作フィードバックを行うことが困難であり、操作感の向上に課題があった。また、このような課題を解決するための手段は、特許文献1~4にも開示されていない。
【0011】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、操作感の向上を図ることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0013】
(1)
接触対象にパルス電流を供給可能なパッド部と、
ユーザからの操作を受け付ける操作部と、
前記パッド部から、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流と、前記治療用の電気的刺激とは異なる、前記操作の受け付けを通知する電気的刺激を与える通知用パルス電流と、を供給させる制御を行う制御部と、
を備える低周波治療器。
【0014】
(1)によれば、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流に加えて、ユーザからの操作の受け付けを通知する電気的刺激を与える通知用パルス電流をユーザに供給するため、ユーザは、低周波治療器を視認することが困難であっても、治療用の低周波パルス電流と区別して通知用パルス電流を知覚し、自身が行った操作が低周波治療器によって受け付けられたことを明確に認識することができる。このため、低周波治療器の操作感の向上を図ることができる。
【0015】
(2)
(1)に記載の低周波治療器であって、
前記操作部は、前記パッド部と一体的に構成されている、
低周波治療器。
【0016】
(2)によれば、操作部がパッド部と一体的に構成されており操作部を視認することが困難な場合がある低周波治療器において、自身が行った操作が低周波治療器によって受け付けられたことを明確に認識することができる。
【0017】
(3)
(2)に記載の低周波治療器であって、
人体の背面部に装着される、
低周波治療器。
【0018】
(3)によれば、人体の背面部に操作部が位置し、操作部を視認することが困難な低周波治療器において、自身が行った操作が低周波治療器によって受け付けられたことを明確に認識することができる。
【0019】
(4)
(1)から(3)のいずれかに記載の低周波治療器であって、
前記制御部は、前記操作の受け付けに応じて即時、前記通知用パルス電流を供給させる、
低周波治療器。
【0020】
(4)によれば、通知用パルス電流が、ユーザが行った操作の受け付けを示していることを、ユーザが直感的に認識することができる。
【0021】
(5)
(1)から(4)のいずれかに記載の低周波治療器であって、
前記制御部は、受け付けた前記操作の種類に応じて異なる前記通知用パルス電流を供給させる、
低周波治療器。
【0022】
(5)によれば、ユーザが、自分が意図した操作が受け付けられたか否かを容易に認識することができる。
【0023】
(6)
(5)に記載の低周波治療器であって、
前記制御部は、
前記低周波パルス電流の刺激強度の増加を指示する操作を受け付けた場合は、刺激強度が時間的に増加する前記通知用パルス電流を供給させ、
前記低周波パルス電流の刺激強度の減少を指示する操作を受け付けた場合は、刺激強度が時間的に減少する前記通知用パルス電流を供給させる、
低周波治療器。
【0024】
(6)によれば、低周波パルス電流の刺激強度の増加を指示する操作が受け付けられた場合と、低周波パルス電流の刺激強度の減少を指示する操作が受け付けられた場合と、をユーザが直感的に区別して認識することができる。
【0025】
(7)
(1)から(6)のいずれか1つに記載の低周波治療器であって、
前記操作部は、供給される前記低周波パルス電流の刺激強度及び種類の少なくともいずれかを切り替える切替操作を受け付け可能であり、
前記制御部は、受け付けた前記切替操作に応じて前記低周波パルス電流の刺激強度及び種類の少なくともいずれかを切り替えるとともに、切り替え後の前記低周波パルス電流の刺激強度及び種類の少なくともいずれかに応じて異なる前記通知用パルス電流を供給させる、
低周波治療器。
【0026】
(7)によれば、ユーザが、自身の切替操作による切り替え後の低周波パルス電流の刺激強度や種類を容易に認識することができる。
【0027】
(8)
接触対象にパルス電流を供給可能なパッド部と、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、プロセッサと、を備える低周波治療器の制御方法であって、
前記プロセッサが、
前記パッド部から、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流と、前記治療用の電気的刺激とは異なる、前記操作の受け付けを通知する電気的刺激を与える通知用パルス電流と、を供給させる制御を行う、
制御方法。
【0028】
(8)によれば、(1)と同様に、低周波治療器の操作感の向上を図ることができる。
【0029】
(9)
接触対象にパルス電流を供給可能なパッド部と、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、プロセッサと、を備える低周波治療器の制御プログラムであって、
前記プロセッサに、
前記パッド部から、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流と、前記治療用の電気的刺激とは異なる、前記操作の受け付けを通知する電気的刺激を与える通知用パルス電流と、を供給させる制御を行う、
処理を実行させるための制御プログラム。
【0030】
(9)によれば、(1)と同様に、低周波治療器の操作感の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、操作感の向上を図ることができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】低周波治療器100の概略構成を示す平面図である。
図2】低周波治療器100がユーザの身体50に装着された状態の一例を示す模式図である。
図3】本体部20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】本体部20がパッド部10に印加するパルス電圧の一例を示す図である。
図5】低周波治療器100が供給する低周波パルス電流及び通知用パルス電流の一例を示す図である。
図6】操作の種類に応じた通知用パルス電流の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0034】
<適用例>
図1は、低周波治療器100の概略構成を示す平面図である。
【0035】
低周波治療器100は、コードレスタイプの低周波治療器であり、ユーザに対して低周波パルス電流を供給して電気的な刺激を与えることにより、治療等を行うための装置である。低周波パルス電流の周波数は、特に限定されるものではないが、例えば1~1200[Hz]程度である。低周波治療器100は、人体(ユーザの身体)に装着されて電力が供給される装着部を構成するパッド部10と、パッド部10と連結され且つパッド部10へ供給する電力を制御する本体部20と、を備える。
【0036】
パッド部10は、ユーザの身体に取り付け可能である。パッド部10は、ユーザに低周波パルス電流を供給する導電層(図示省略)を備えており、本体部20から供給される電力により、取り付け先(接触対象)であるユーザの身体に対して、パルス電流を供給可能である。パッド部10は、例えば、軟質合成樹脂製の基材の表面に、印刷により導体であるカーボン層を積層したものであり、このカーボン層が導電層となる。
【0037】
パッド部10には、図示省略のホルダが一定的に設けられ、このホルダに本体部20が固定されることで、パッド部10と本体部20が連結されている。パッド部10は交換可能である(消耗品である)ことが好ましいため、本体部20は上記ホルダに着脱可能に構成されていることが好ましい。
【0038】
本体部20は、例えば箱状の筐体を有しており、この筐体の表面(人体に装着された状態で人体側と反対側を向く面)には、操作部30が設けられている。操作部30は、例えば、ユーザからの操作入力を受け付ける入力デバイスを含む。入力デバイスは、例えばキー等により実現することができる。
【0039】
図1の例では、操作部30に含まれる入力デバイスとして、低周波治療器100の電源のオン・オフを行うための電源キー31と、低周波治療器100によって身体に与えられる刺激の強さを調整するための第1キー32及び第2キー33と、が示されている。以下では、第1キー32及び第2キー33を総称して、刺激調整キーとも記載する。
【0040】
図1において説明したように、操作部30は、パッド部10と一体的に構成されている。操作部30とパッド部10とが一体的に構成されているとは、例えば、操作部30とパッド部10がケーブル等で接続された別々の構成ではなく、互いに固定された、一体の装置として構成されていることである。
【0041】
図2は、低周波治療器100がユーザの身体50に装着された状態の一例を示す模式図である。図2に示すように、パッド部10は、例えば、ユーザの身体50の腰部51に装着される。腰部51は、人体の背面部の一例である。パッド部10は、腰部51を広範囲でカバーできるように、ユーザの左右方向に延びる帯状となっている。図2は、低周波治療器100を腰部51に装着して使用する際に推奨される装着状態を示している。
【0042】
低周波治療器100は、身体50の背面部(腰部51)に装着されるため、ユーザは例えば手の指によって操作部30を操作可能であるが、ユーザは操作部30を視認することは困難である。
【0043】
<本体部20のハードウェア構成>
図3は、本体部20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本体部20は、プロセッサ21と、メモリ22と、電源部23と、パッド駆動部24と、操作部30と、を含む。
【0044】
プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサである。プロセッサ21は、メモリ22に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、低周波治療器100の各部の動作を制御する。なお、プロセッサ21は、複数のプロセッサの組み合わせであってもよい。プロセッサ21は、本発明の制御部の一例である。
【0045】
メモリ22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、又はフラッシュメモリ等によって実現される。メモリ22は、プロセッサ21によって実行されるプログラム、又はプロセッサ21によって用いられるデータ等を記憶する。
【0046】
電源部23は、低周波治療器100の各構成要素に電力を供給する。電源としては、例えば、乾電池、又は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池が用いられ、電池電圧を安定化して各構成要素に供給する駆動電圧を生成する。電源部23は、電池に限らず、家庭用電源等から供給される電力を用いて、低周波治療器100の各構成要素に電力を供給するものであってもよい。この場合には、家庭用電源等の外部電源と本体部20とがケーブル等によって接続される構成としてもよい。
【0047】
パッド駆動部24は、パッド部10にパルス電圧を印加することで、パッド部10によるユーザへのパルス電流の供給を制御する。パッド駆動部24は、プロセッサ21によって制御される。
【0048】
プロセッサ21は、パッド部10から、治療用の電気的刺激を与えるための低周波パルス電流を供給させる制御を行う。また、プロセッサ21は、操作部30に対するユーザ操作があった場合に、低周波パルス電流による治療用の電気的刺激とは異なる皮膚もしくは筋肉への刺激により、操作の受け付けを通知するための電気的刺激を与える通知用パルス電流を供給させる制御を行う。
【0049】
この通知用パルス電流は、治療用の電気的刺激とは異なる電気的刺激を与えるパルス電流である。具体的には、通知用パルス電流は、低周波パルス電流に対して、パルス幅、振幅、及び周期の少なくともいずれかが異なるパルス電流である。
【0050】
例えば、通知用パルス電流は、低周波パルス電流のパルス幅より狭いパルス幅を有するパルス電流である。これにより、比較的パルス幅が広い治療用の低周波パルス電流に対して通知用パルス電流を区別して知覚することが容易になる。ただし、通知用パルス電流は、低周波パルス電流のパルス幅より広いパルス幅を有するパルス電流であってもよい。この場合も、ユーザは、治療用の低周波パルス電流に対して通知用パルス電流を区別して知覚することができる。
【0051】
また、通知用パルス電流は、低周波パルス電流の振幅より小さい振幅を有するパルス電流であってもよい。これにより、ユーザに過度の負担を与えることを抑制しつつ、低周波パルス電流に対して通知用パルス電流を区別して知覚することが容易になる。ただし、通知用パルス電流は、低周波パルス電流の振幅より大きい振幅を有するパルス電流であってもよい。この場合も、ユーザは、治療用の低周波パルス電流に対して通知用パルス電流を区別して知覚することができる。
【0052】
また、通知用パルス電流は、低周波パルス電流の周期より短い周期を有する(すなわち高周波の)パルス電流であってもよい。これにより、比較的周期が長い治療用の低周波パルス電流に対して通知用パルス電流を区別して知覚することが容易になる。ただし、通知用パルス電流は、低周波パルス電流の周期より短い周期を有するパルス電流であってもよい。この場合も、ユーザは、治療用の低周波パルス電流に対して通知用パルス電流を区別して知覚することができる。
【0053】
このように、低周波治療器100は、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流に加えて、ユーザからの操作の受け付けを通知する電気的刺激を与える通知用パルス電流をユーザに供給する。これにより、ユーザは、低周波治療器100の本体部20を視認することが困難であっても、治療用の低周波パルス電流と区別して通知用パルス電流を知覚し、自身が行った操作が低周波治療器100によって受け付けられたことを明確に認識することができる。
【0054】
また、スピーカによる音声で操作フィードバックを行う構成と異なり、例えば職場等の、自宅以外の外出先でも低周波治療器100による治療を行う場合であっても、ユーザは抵抗感を感じずに(周囲を気にすることなく)低周波治療器100の操作を行うことができる。また、低周波治療器100にはスピーカを設けなくてもよいため、装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0055】
また、バイブレータによる振動で操作フィードバックを行う構成と異なり、操作フィードバックに伴う直接的な振動が発生しないため、パッド部10の位置ずれや外れを抑制することができる。また、低周波治療器100にはバイブレータを設けなくてもよいため、装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0056】
また、低周波治療器100と無線接続した情報端末の画面表示によって操作フィードバックを行う構成と異なり、通信遅延による通知の遅れや、通信電波の干渉による低周波治療への影響を防止することができる。また、低周波治療器100には無線通信モジュールを設けなくてもよいため、装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0057】
<本体部20がパッド部10に印加するパルス電圧>
図4は、本体部20がパッド部10に印加するパルス電圧の一例を示す図である。図4に示すパルス電圧波形40は、本体部20のパッド駆動部24がパッド部10に印加するパルス電圧の波形の一例である。
【0058】
パルス電圧波形40のパラメータは、振幅(電圧)Vと、パルス幅Wと、パルス周期T(パルス周波数F=1/T)と、を含む。本体部20は、これらのパラメータのうち少なくとも1つのパラメータを変更することにより、ユーザに対する治療内容を変更できる。
【0059】
具体的には、本体部20は、電源電圧を所定の電圧に昇圧し、昇圧した電圧を、設定された振幅に対応する電圧に調整する。例えば、本体部20は、ユーザからの指示に従って所定数のレベル(10段階のレベル)でパルス電圧の振幅Vを調整できる。本体部20は、あるレベルの設定入力をユーザから受け付けると、そのレベルに対応する振幅Vに基づいて、治療モードに応じた治療波形(パルス波形)を生成し、当該治療波形をパッド部10に出力する。
【0060】
低周波治療器100には、複数の治療モードが予め用意されている。例えば、治療モードとしては、「もみ」、「たたき」、「押し」、「スイープ」モード等が挙げられる。本体部20は、パッド部10に印加するパルス電圧の波形を変化させることにより、各種のモードに対応する電気刺激をパッド部10からユーザに与える。
【0061】
また、本体部20は、治療用の電気的刺激を与える低周波パルス電流に加えて、操作の受け付けを通知する電気的刺激を与える通知用パルス電流をパッド部10から供給させる制御を行う。例えば、本体部20は、低周波パルス電流を生成するためのパルス電圧と、通知用パルス電流を生成するためのパルス電圧と、をパッド部10に印加する。これらの各パルス電圧は、それぞれ予め定められた波形に基づいて生成される。
【0062】
<低周波治療器100が供給する低周波パルス電流及び通知用パルス電流>
図5は、低周波治療器100が供給する低周波パルス電流及び通知用パルス電流の一例を示す図である。図5において、横軸は時間を示し、縦方向はパルス電流の振幅(電圧)を示す。
【0063】
低周波治療器100は、例えば図5に示す低周波パルス電流60をパッド部10からユーザに供給させる。低周波パルス電流60は、治療用の電気的刺激を与えるパルス電流である。また、低周波パルス電流60は、ユーザからの切替操作がない限り、同一の振幅、パルス幅、及び周期で繰り返すパルス電流である。
【0064】
また、タイミングt1において、操作部30に対して、低周波パルス電流60の刺激強度を一段階減少させる強度減少操作(例えば第2キー33の押下)が行われたとする。この場合、低周波治療器100は、タイミングt1以降の低周波パルス電流60の刺激強度を減少させる(この例では振幅を小さくする)とともに、タイミングt1において即時、通知用パルス電流71をパッド部10からユーザに供給させる。ある時点において即時パルス電流を供給させるとは、例えば、その時点から、時間経過を待つ処理を行わずにパルス電流を供給させることである。又は、ある時点において即時パルス電流を供給させるとは、その時点から、ユーザによってほぼ知覚されない程度に短い時間(例えば100ms以下の時間)の経過を待つ処理を行ってパルス電流を供給させることである。
【0065】
低周波パルス電流60の刺激強度は、例えば、低周波パルス電流60の振幅、パルス幅、周期の少なくともいずれかにより変化するユーザへの刺激の強さである。低周波パルス電流60の振幅が大きいほど、低周波パルス電流60の刺激強度は高くなる。低周波パルス電流60のパルス幅が長いほど、低周波パルス電流60の刺激強度は高くなる。低周波パルス電流60の周期が短いほど、低周波パルス電流60の刺激強度は高くなる。ここでは、低周波パルス電流60の刺激強度が低周波パルス電流60の振幅の大きさである場合について説明する。
【0066】
通知用パルス電流71は、低周波パルス電流60による治療用の電気的刺激とは異なる、操作の受け付けを通知する電気的刺激を与えるパルス電流である。図5の例では、通知用パルス電流71は、低周波パルス電流60と比べて、振幅が小さく、パルス幅が狭く、周期が短いパルス電流である。また、通知用パルス電流71は、短時間(例えば低周波パルス電流60の周期より短い期間)に2回繰り返すパルス電流である。
【0067】
一例としては、本体部20が、パッド部10に対する電圧の印加を、0.5秒だけオンにし、続いて0.5秒だけオフにし、続いて0.5秒だけオンにすることで、パッド部10から通知用パルス電流71を供給することができる。
【0068】
このように、低周波パルス電流60に加えて、低周波パルス電流60とは異なる電気的刺激を与える通知用パルス電流71を供給することで、ユーザは、通知用パルス電流71を、低周波パルス電流60とは異なる電気的刺激として知覚することができる。
【0069】
<操作の種類に応じた通知用パルス電流>
図6は、操作の種類に応じた通知用パルス電流の一例を示す図である。プロセッサ21は、操作部30によりユーザから受け付けた操作の種類に応じて異なる通知用パルス電流をパッド部10から供給させる制御を行ってもよい。
【0070】
図6に示す例では、図5の例と同様に、タイミングt1において、操作部30に対して、低周波パルス電流60の刺激強度を一段階減少させる強度減少操作が行われたとする。また、図6に示す例では、タイミングt2において、操作部30に対して、低周波パルス電流60の刺激強度を一段階増加させる強度増加操作が行われたとする。
【0071】
プロセッサ21は、強度減少操作が行われたタイミングt1以降の低周波パルス電流60の刺激強度を減少させる(この例では振幅を小さくする)とともに、タイミングt1において即時、通知用パルス電流72をパッド部10からユーザに供給させる。通知用パルス電流72は、図5に示した通知用パルス電流71と同様に短時間に2回繰り返すパルス電流であるが、1回目よりも2回目の方が振幅が小さいパルス電流である。
【0072】
また、プロセッサ21は、強度増加操作が行われたタイミングt2以降の低周波パルス電流60の刺激強度を増加させる(この例では振幅を大きくする)とともに、タイミングt2において即時、通知用パルス電流73をパッド部10からユーザに供給させる。通知用パルス電流73は、図5に示した通知用パルス電流71と同様に短時間に2回繰り返すパルス電流であるが、1回目よりも2回目の方が振幅が大きいパルス電流である。
【0073】
図6において説明したように、プロセッサ21は、低周波パルス電流60の刺激強度を減少させる(振幅を小さくさせる)強度減少操作を受け付けた場合は刺激強度が時間的に減少(単調減少)する通知用パルス電流72を供給する。これにより、ユーザは、強度減少操作が受け付けられたことを直感的に認識することができる。また、ユーザは、強度増加操作等の他の操作を行うつもりで誤って強度減少操作を行ってしまった場合に、自身が誤って強度減少操作を行ったことを直感的に認識することができる。
【0074】
また、プロセッサ21は低周波パルス電流60の刺激強度を増加させる強度増加操作を受け付けた場合は刺激強度が増加する通知用パルス電流73を供給する。これにより、ユーザは、強度増加操作が受け付けられたことを直感的に認識することができる。また、ユーザは、強度減少操作等の他の操作を行うつもりで誤って強度増加操作を行ってしまった場合に、自身が誤って強度増加操作を行ったことを直感的に認識することができる。
【0075】
<低周波パルス電流60の刺激強度がパルス幅である場合の通知用パルス電流72,73>
低周波パルス電流60の刺激強度が低周波パルス電流60の振幅の大きさである場合について説明したが、低周波パルス電流60の刺激強度が低周波パルス電流60のパルス幅の長さであってもよい。この場合、強度増加操作(例えば第1キー32の押下)は低周波パルス電流60のパルス幅を長くする操作であり、強度減少操作(例えば第2キー33の押下)は低周波パルス電流60のパルス幅を短くする操作である。
【0076】
この場合、強度増加操作に応じた通知用パルス電流72は、例えば通知用パルス電流71と同様に短時間に2回繰り返すパルス電流であり、1回目よりも2回目の方がパルス幅が長いパルス電流としてもよい。強度減少操作に応じた通知用パルス電流72は、例えば通知用パルス電流71と同様に短時間に2回繰り返すパルス電流であり、1回目よりも2回目の方がパルス幅が短いパルス電流としてもよい。
【0077】
<低周波パルス電流60の刺激強度が周期である場合の通知用パルス電流72,73>
低周波パルス電流60の刺激強度は低周波パルス電流60の周期の短さであってもよい。この場合、強度増加操作(例えば第1キー32の押下)は低周波パルス電流60の周期を短くする操作であり、強度減少操作(例えば第2キー33の押下)は低周波パルス電流60の周期を長くする操作である。
【0078】
この場合、強度増加操作に応じた通知用パルス電流72は、例えば短時間に3回繰り返すパルス電流であり、1回目と2回目のパルス間隔より、2回目と3回目のパルス間隔の方が短いパルス電流としてもよい。強度減少操作に応じた通知用パルス電流72は、例えば1回目と2回目のパルス間隔より、2回目と3回目のパルス間隔の方が長いパルス電流としてもよい。
【0079】
<各パルス電流の生成方法の変形例>
本体部20が、低周波パルス電流を生成するためのパルス電圧と、通知用パルス電流を生成するためのパルス電圧と、をパッド部10に印加する構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、本体部20は、低周波パルス電流の波形と、通知用パルス電流の波形と、を合成した波形に基づくパルス電圧をパッド部10に印加してもよい。
【0080】
<通知用パルスの変形例>
通知用パルス電流の具体例として、低周波パルス電流のパルス幅よりも短いパルス幅、低周波パルス電流の周期よりも短い周期、及び、低周波パルス電流よりも小さい振幅を有し主に2回繰り返すパルス電流について説明したが、通知用パルス電流はこれに限らず、低周波パルス電流として区別して知覚可能な、各種のパルス電流としてもよい。
【0081】
例えば、通知用パルス電流は、繰り返さずに1回のみ供給されるパルス電流であってもよいし、3回以上繰り返すパルス電流であってもよい。また、通知用パルス電流は、振幅、パルス幅、及び周期の少なくともいずれかが変化しながら繰り返すパルス電流であってもよい。例えば、通知用パルス電流は、ユーザに印象が残るような、特定のリズムを有するパルス電流であってもよい。
【0082】
<操作フィードバックの変形例>
操作部30に対する操作の種別(強度増加操作や強度減少操作)に応じて異なる通知用パルス電流を供給する構成について説明したが、プロセッサ21は、例えば強度増加操作や強度減少操作に応じて、切り替え後の低周波パルス電流の刺激強度に応じて異なる通知用パルス電流を供給する構成としてもよい。
【0083】
<操作部30に対する操作の変形例>
通知用パルス電流の供給契機となる操作として、強度増加操作及び強度減少操作について説明したが、通知用パルス電流の供給契機となる操作はこれに限らない。例えば、プロセッサ21は、電源キー31による電源のオン・オフ操作が行われた場合にも、通知用パルス電流の供給を行ってもよい。
【0084】
また、操作部30は、電源キー31、第1キー32、及び第2キー33の押下以外の操作を受け付けるものであってもよい。例えば、パッド部10は、治療用の電気的刺激を与える複数種類の低周波パルス電流を供給可能であり、操作部30は、パッド部10が供給する低周波パルス電流の種類の切り替えを指示する操作を受け付け可能であってもよい。この場合、プロセッサ21は、パッド部10が供給する低周波パルス電流の種類の切り替えを指示する操作を受け付けるごとに、パッド部10が供給する低周波パルス電流の種類の切り替えるとともに、パッド部10から通知用パルス電流を供給させる。このとき、プロセッサ21は、切り替え後の低周波パルス電流の種類に応じて異なる通知用パルス電流を供給させてもよい。
【0085】
<ユーザへ情報を出力する出力デバイス等を備える構成>
低周波治療器100は、ユーザへ情報を出力する出力デバイス等を備えていてもよい。出力デバイスは、例えばディスプレイ又はスピーカ等により実現することができる。また、タッチパネル等によって入力デバイス及び出力デバイスの両方を実現してもよい。例えば、入力デバイスとしてのキーを、ディスプレイと一体化されたタッチパネルに表示されるソフトウェアキーによって実現してもよい。
【0086】
<装着状態に応じた操作フィードバック>
プロセッサ21は、操作部30に対するユーザからの操作を受け付けた場合に、低周波治療器100がユーザに装着された状態であるか否かを判定してもよい。低周波治療器100がユーザに装着された状態であるか否かの判定は、例えばパッド部10に設けられた接触センサ等によって行うことができる。
【0087】
低周波治療器100がユーザに装着されていない状態でユーザが操作部30に対する操作を行う状況とは、例えば、ユーザが低周波治療器100を装着する前に、電源オンや事前の設定等を行う状況である。このような状況では、ユーザが操作部30を視認できる状態である可能性が高い。また、このような状況は、例えばユーザが自宅で低周波治療器100を装着する直前の状況等、周囲を気にしなくてもよい状況である可能性が高い。
【0088】
プロセッサ21は、低周波治療器100がユーザに装着された状態である場合は操作フィードバックを通知用パルス電流の供給によって行い、低周波治療器100がユーザに装着された状態でない場合はディスプレイ又はスピーカ等の出力デバイスによって行う。
【0089】
これにより、低周波治療器100がユーザに装着された状態でない場合、すなわち通知用パルス電流による電気的刺激が正しくユーザに伝わらない状況においては、画面表示や音声出力など、低周波治療器100がユーザに装着されていなくてもユーザに伝わるように操作フィードバックを行うことができる。また、低周波治療器100がユーザに装着された状態で通知用パルス電流が供給されることによる、意図しない電気的刺激がユーザに加わることを防止することができる。
【0090】
<制御プログラム>
低周波治療器100の制御プログラムは、プログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non-transitory)記憶媒体に記憶される。このような「コンピュータ読取可能な記憶媒体」は、例えば、CD-ROM(Compact Disc-ROM)等の光学媒体や、USB(Universal Serial Bus)メモリ又はメモリカード等の磁気記憶媒体等を含む。また、このようなプログラムを、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【符号の説明】
【0091】
10 パッド部
20 本体部
21 プロセッサ
22 メモリ
23 電源部
24 パッド駆動部
30 操作部
31 電源キー
32 第1キー
33 第2キー
40 パルス電圧波形
50 身体
51 腰部
60 低周波パルス電流
71~73 通知用パルス電流
100 低周波治療器
t1,t2 タイミング
図1
図2
図3
図4
図5
図6