(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127084
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】車載器及び管理システム
(51)【国際特許分類】
B60N 5/00 20060101AFI20240912BHJP
G07C 9/00 20200101ALI20240912BHJP
B60W 40/08 20120101ALN20240912BHJP
B60W 50/14 20200101ALN20240912BHJP
【FI】
B60N5/00
G07C9/00
B60W40/08
B60W50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035959
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 純
【テーマコード(参考)】
3B088
3D241
3E138
【Fターム(参考)】
3B088QA03
3B088QA06
3D241DD01Z
3E138AA01
3E138BA08
3E138BA11
3E138CB04
3E138CC10
3E138JC30
(57)【要約】
【課題】車内に残された搭乗者が確認されないまま運行が終了されることを防止できる車載器及び管理システムを提供する。
【解決手段】車両30に搭載され、車両の運行データを収集する車載器10であって、乗務員による入庫操作を受け付け可能な操作部12と、乗車人数及び降車人数をそれぞれカウントして記録する計数部13と、入庫操作に応じて、入庫処理を行う入庫処理部14と、入庫操作を受け付けた場合において、乗車人数と降車人数とが一致しないときは、入庫処理部による入庫処理を停止させる制御部15と、車両外の管理装置20から、入庫処理の停止を解除させる旨の解除通知を受信する通信部16と、を備え、制御部15は、管理装置20から解除通知を受信した場合に、入庫処理の停止を解除する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両の運行データを収集する車載器であって、
乗務員による入庫操作を受け付け可能な操作部と、
乗車人数及び降車人数をそれぞれカウントして記録する計数部と、
前記入庫操作に応じて、入庫処理を行う入庫処理部と、
前記入庫操作を受け付けた場合において、前記乗車人数と前記降車人数とが一致しないときは、前記入庫処理部による前記入庫処理を停止させる制御部と、
前記車両外の管理装置から、前記入庫処理の停止を解除させる旨の解除通知を受信する受信部と、を備え、
前記制御部は、前記管理装置から前記解除通知を受信した場合に、前記入庫処理の停止を解除する、
車載器。
【請求項2】
前記制御部は、前記入庫操作を受け付けた場合において、前記乗車人数と前記降車人数とが一致しないときは、前記管理装置に通知を行う、
請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記制御部は、前記入庫操作を受け付けた場合において、前記乗車人数と前記降車人数とが一致しないときは、警報を発生させる、
請求項1に記載の車載器。
【請求項4】
乗車リスト及び降車リストを記憶する記憶部を備え、
前記計数部は、各搭乗者の識別情報が記憶されたICチップから前記識別情報を読み取り、前記乗車リスト及び降車リストのそれぞれに登録し、
前記制御部は、前記入庫操作を受け付けた時点における、前記乗車リスト及び前記降車リストに含まれる前記識別情報に差異がある場合に、前記入庫処理を停止させる、
請求項1に記載の車載器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の車載器と、
前記車載器と通信可能な管理装置と、を備え、
前記管理装置は、前記解除通知を前記車載器に送信する機能を有する、
管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器及び管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の搭乗者が車内に置き去りにされる問題が発生している。特に園児を送迎する送迎バス等において、車内に園児等が置き去られ、危険な状態に陥る事件が発生しており、社会的な問題となっている。このような事件を防止するための安全対策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運行データを記録する車載器が、送迎バス等の車両に設置されている。一般的に、車両の乗務員が、運行開始時の出庫操作、運行終了時の入庫操作を任意のタイミングで実施するため、乗務員は、車両の出庫及び入庫を任意のタイミングで可能である。すなわち、車載器は乗降時の人数をカウントする機能を有しておらず、搭乗者の状況を把握することができないため、搭乗者を車内へ取り残したまま運行を終了してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、車内に残された搭乗者が確認されないまま運行が終了されることを防止できる車載器及び管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載器は、下記を特徴としている。
車両に搭載され、前記車両の運行データを収集する車載器であって、
乗務員による入庫操作を受け付け可能な操作部と、
乗車人数及び降車人数をそれぞれカウントして記録する計数部と、
前記入庫操作に応じて、入庫処理を行う入庫処理部と、
前記入庫操作を受け付けた場合において、前記乗車人数と前記降車人数とが一致しないときは、前記入庫処理部による前記入庫処理を停止させる制御部と、
前記車両外の管理装置から、前記入庫処理の停止を解除させる旨の解除通知を受信する受信部と、を備え、
前記制御部は、前記管理装置から前記解除通知を受信した場合に、前記入庫処理の停止を解除する、
車載器。
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る管理システムは、下記を特徴としている。
上記の車載器と、
前記車載器と通信可能な管理装置と、を備え、
前記管理装置は、前記解除通知を前記車載器に送信する機能を有する、
管理システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車内に残された搭乗者が確認されないまま運行が終了されることを防止できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態の車載器及び管理システムの概念図である。
【
図2】
図2は、車載器の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、乗車時において車載器が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、降車時において車載器が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、車両の入庫時において管理システムが実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車載器及び管理システムについて説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の管理システム1は、車載器10と管理装置20と、を備える。車載器10は送迎バス等の車両30に搭載され、車両30の運行データを収集する装置であり、例えばデジタルタコグラフである。管理装置20は、例えば、車両30を運営する運行会社の事務所に設置されたパーソナルコンピューターであり、基地局、ネットワーク網等を介して車載器10と通信可能である。
【0013】
図1の左側「乗車中」の記載のように、運行会社から出庫した車両30には、所定の場所で人Hが乗車し、
図1の右側「降車中」の記載のように、所定の場所で人Hが降車する。例えば車両30が園児を送迎する送迎バスの場合、車両30が所定の待機場所(バス停)で停車し、園児が乗車する。車両30が幼稚園に到着すると、園児が降車する。
【0014】
昨今、車両30からの降車時に車両30内に人が残っているにもかかわらず、乗務員が人の存在に気付かず、車両30から離れてしまい、人を置き去りにしてしまう問題が発生している。特に園児を送迎する送迎バス等において、車内に園児等が置き去られ、危険な状態に陥る事件が発生しており、社会的な問題となっている。このような事件を防止するための安全対策が求められている。
【0015】
安全対策への高度化要求への高まりに対応し、本実施形態の管理システム1の車載器10は、車両30に乗車した人Hの乗車人数、及び車両30から降車した人Hの降車人数をカウントするとともに、乗車した人の乗車リスト及び降車した人の降車リストを作成する。車載器10は、人Hの降車後に二つのリストを比較し、両者に差異があるか否かを確認する。両リストが一致して差異がない場合、乗車した人Hが全員問題なく降車している。そこで、車両30の乗務員は、所定のボタンを押下する等により、車載器10に対する入庫処理の入力を行い、車両30を車庫等の所定箇所に駐車する。入庫処理は、車両30の乗務員が運行業務を完了したことを車載器10に記録する処理である。本実施形態における入庫処理は、車両30に人Hが残っている可能性がある場合には実行が停止され、車両30から人Hが問題なく降車し、車両30を車庫に戻せる状態となった場合に、車載器10によって実行される。
【0016】
一方、
図1で示したように、乗車リストがAさん、Bさん、Cさんの三名を含むのに、降車リストがAさん、Cさんの2名のみを含み、両リストが不一致で差異がある場合、一名(Bさん)が車両30内に取り残されている可能性がある。このような場合、車載器10は、入庫処理を停止し、両リストが不一致である旨を管理装置20に通知するとともに、警報を発して車両30の乗務員に注意喚起する。乗務員は、改めて車両30内部を点検し、車両30に人が残っていないことを確認する。その後乗務員は、管理装置20の通知を確認した運営会社の管理者に対して、電話等で点検結果を報告する。乗務員からの報告を受けて、車両30に人が残っていないことを確認した管理者が、管理装置20に対して所定の入力を行うことにより、管理装置20は、入庫処理の停止を解除する旨の指示を車載器10に送信する。車載器10は、入庫処理の停止を解除する旨の指示が入力されたことに対応して、入庫処理の停止を解除し、入庫処理を実行する。
【0017】
このような処理により、乗務員と管理者がダブルチェックで安全確認をすることができるため、乗車した人(搭乗者)Hを車両30内に残したまま、運行が終了してしまうことを抑制することができる。なお、乗車リストと降車リストとが不一致の場合に入庫処理を制限し、管理装置20からの解除通知によって入庫処理の停止が解除されるならば、管理装置20への通知、乗務員への警告は必須ではない。以下、本処理の詳細について説明する。
【0018】
図2に示すように、車載器10は、読取部11、操作部12、計数部13、入庫処理部14、制御部15、通信部16、記憶部17、警報部18と、を備える。読取部11は、人Hが所持するICチップ3の情報を読み取るリーダ装置であり、車載器10と一体でもよいし、車載器10と別体の装置でもよい。ICチップ3は、個人の識別情報を記録したカードに埋め込まれたタグでもよいし、人Hが所持するスマートフォン等の電子機器に搭載され、個人の識別情報を記録した記録媒体であってもよく、その形態は問わない。読取部11がICチップ3の識別情報を読み取ることにより、車載器10は、少なくとも何名車両30に乗車したのか、何名車両30から降車したのかを把握することができる。また、車載器10は、車両30に誰が乗車し、誰が降車したのかを把握することもできる。
【0019】
操作部12は、乗務員による出庫操作及び入庫操作を含む各種の操作を受け付け可能なボタン等の入力装置である。計数部13は、読取部11が読み込んだICチップ3の情報に基づき、乗車人数及び降車人数をそれぞれカウントして記録する。入庫処理部14は、乗務員による操作部12の入庫操作に応じて入庫処理を行う。
【0020】
制御部15は、車載器10の各部を制御して、車載器10の機能を実行させるための演算装置(コンピュータ)である。特に制御部15は、操作部12の入庫操作を受け付けた場合において、計数部13がカウントした乗車人数と降車人数とが一致しないときは、入庫処理部14による入庫処理を停止させる処理を行う。さらに制御部15は、車両外の管理装置20から解除通知を受信した場合に、入庫処理の停止を解除することもできる。
【0021】
通信部16は、車両内外の装置と情報のやり取りを行う部分であり、特に基地局、ネットワーク網等を介して、車両外の管理装置20と通信を行う。通信部16は、管理装置20から、入庫処理の停止を解除させる旨の解除通知を受信する受信部の一例である。さらに通信部16は、入庫操作を受け付けた場合において、記乗車人数と降車人数とが一致しないときは、制御部15の指示により管理装置20に通知を行う送信部の一例でもある。
【0022】
記憶部17は、車載器10の機能実行のため、制御部15が読み出して実行可能なプログラムを記憶するとともに、車載器10が生成した各種のデータ等を記憶する。特に記憶部17は、
図1の乗車リスト及び降車リストを記憶する。
【0023】
警報部18は、入庫操作を受け付けた場合において、乗車人数と降車人数とが一致しないとき、制御部15の指示に応じて警報を発生させるスピーカである。警報部18は、入庫操作を受け付けた場合において、乗車人数と降車人数とが一致しないとき、制御部15の指示に応じて、発光により警報を発生させる警告灯であってもよい。
【0024】
次に
図3のフローチャートを用いて、人Hの乗車時に車載器10が実行する処理を説明する。まず、乗務員は、操作部12を操作して車両30の出庫操作を行い(ステップS1)、車載器10が出庫処理を実行する(ステップS2)。出庫処理は、車両30が出庫したことを車載器10に記録する処理である。
【0025】
次に乗務員は、人Hの乗車前の任意のタイミングで、乗車作業の開始操作を実行する(ステップS3)。乗務員は、例えば操作部12の乗車開始ボタンを押下して、車載器10の作業状態を「乗車」に設定する。
【0026】
乗車開始後、搭乗者(人H)が料金の支払い等のために、自身が所持するICチップ3を読取部11にタッチすると(ステップS4でYes)、ICチップ3の情報(個人の識別情報)が読取部11に読み取られ、記憶部17に記憶される(ステップS5)。この際、計数部13が乗車人数をカウントするとともに、各搭乗者の識別情報が記憶されたICチップ3から識別情報を読み取り、記憶部17に記憶された乗車リストに登録する。
【0027】
ICチップ3の読取部11へのタッチが終了すると(ステップS6でNo)、乗車作業の終了操作を実行する(ステップS7)。乗務員は、例えば操作部12の乗車終了ボタンを押下して、車載器10の作業状態を「乗車完了」に設定する。
【0028】
次に
図4のフローチャートを用いて、人Hの降車時に車載器10が実行する処理を説明する。まず、乗務員は、人Hの降車前の任意のタイミングで、降車作業の開始操作を実行する(ステップS11)。乗務員は、例えば操作部12の降車開始ボタンを押下して、車載器10の作業状態を「降車」に設定する。
【0029】
降車開始後、搭乗者(人H)が料金の精算等のために、自身が所持するICチップ3を読取部11にタッチすると(ステップS12でYes)、ICチップ3の情報(個人の識別情報)が読取部11に読み取られ、記憶部17に記憶される(ステップS13)。この際、計数部13が降車人数をカウントするとともに、各搭乗者の識別情報が記憶されたICチップ3から識別情報を読み取り、記憶部17に記憶された降車リストに登録する。
【0030】
ICチップ3の読取部11へのタッチが終了すると(ステップS14でNo)、降車作業の終了操作を実行する(ステップS15)。乗務員は、例えば操作部12の降車終了ボタンを押下して、車載器10の作業状態を「降車完了」に設定する。
【0031】
次に
図5のフローチャートを用いて、車両30の入庫時において管理システム1が実行する処理を説明する。まず、乗務員は、操作部12を操作して車両30の入庫操作を行う(ステップS21)。入庫操作に応じて、入庫処理部14が入庫処理を開始する(ステップS22)。一方、制御部15は、入庫操作を受け付けると、記憶部17に記憶された乗車リスト及び降車リストを参照して、乗車人数と降車人数とが一致するか否か、すなわち、乗車リスト及び降車リストに含まれる識別情報に差異があるか否か、を判定する(ステップS23)。
【0032】
乗車人数と降車人数とが一致する場合は(ステップS23でYes)、特に問題がないため、入庫処理部14は入庫処理を完了し、処理を終了する(ステップS24)。
【0033】
一方、乗車人数と降車人数とが一致しない場合(ステップS23でNo)、人が車両30内に取り残されている可能性がある。よって、制御部15は、入庫処理部14による入庫処理を停止させる(ステップS25)。
【0034】
さらに制御部15は、ネットワーク網等を介して、管理装置20に乗車人数と降車人数とが一致しない旨の通知を行うとともに、警報部18に警報を発生する旨の指示を出す。警報部18は指示を受けて、車内警報を発生する(ステップS26)。
【0035】
警報を受けた乗務員は車内を確認し、電話、メール等を用いて確認結果を事務所に報告する(ステップS27)。乗務員から事務所への確認結果の報告は、車載器10への入力により行ってもよい。確認者は事務所にて確認結果を受領すると(ステップS28)、管理装置20を操作し、入庫処理の停止を解除する旨の解除通知を車載器10に送信する(ステップS29)。
【0036】
通信部16が、解除通知を受信すると、制御部15は入庫処理の停止を解除する。これにより、車載器10は入庫処理を実行する(ステップS30)。
【0037】
本実施形態の車載器10によれば、乗車人数と降車人数とが不一致の場合には、入庫処理が停止され(ステップS25)、管理装置20から解除通知を受信しない限り、入庫処理が行われない。このため、乗車人数よりも降車人数が少なく車両30内に搭乗者が残っている可能性がある場合など、乗降者数が不一致の場合には、入庫処理が行われず、車載器10が管理装置20から解除通知を受信するまで、乗務員は、業務を終了できない。よって、乗降車人数が不一致の場合に、車内に残された搭乗者が確認されないまま運行が終了されることを防止できる。
【0038】
また、乗降者人数が不一致の場合には、乗務員が、車内を確認し、例えば電話などで確認結果を管理者に報告し、確認結果の報告を受けた管理者の操作により、管理装置20から解除通知を送信することができる(ステップS29)。このように、乗務員と管理者のダブルチェックで安全確認をすることができるので、搭乗者を車内へ残したまま運行が終了されることを効果的に抑制できる。
【0039】
また、制御部15は、入庫操作を受け付けた場合において、乗車人数と降車人数とが一致しないときは、管理装置20に通知を行うことができる。これにより、乗車人数と降車人数とが一致しない旨が管理装置20に通知されるので、管理者が、乗車人数と降車人数とが一致しないことを把握できる。
【0040】
さらに制御部15は、入庫操作を受け付けた場合において、乗車人数と降車人数とが一致しないときは、警報部18に警報を発生させることができる。車載器10から警報が発せられることにより、車内への注意喚起を行うことができる。
【0041】
また、記憶部17が乗車リスト及び降車リストを記憶しており、制御部15は、入庫操作を受け付けた時点における、乗車リスト及び降車リストに含まれる識別情報に差異がある場合に、入庫処理を停止させる。これにより、乗車リストと降車リストとの対比により、降車していない人物を特定できる。
【0042】
また、実施形態の管理システム1において、管理装置20は、解除通知を車載器10に送信する機能を有している。これにより、入庫処理の停止を管理装置20から解除できるため、安全確認を担保するとともに、システムの利便性を向上させることができる。
【0043】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0044】
例えば、車内に、車載器10に接続されたカメラを取り付けておき、乗車人数と降車人数とが一致しない場合に、このカメラで車内を撮影し、車載器10から管理装置20に撮影画像を送信してもよい。車内の撮影画像を管理者が確認することで、さらに確実に、車内に人が取り残される事態を抑制可能となる。
【0045】
ここで、上述した本発明に係る車載器及び管理システムの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
【0046】
[1]車両(車両30)に搭載され、前記車両の運行データを収集する車載器(10)であって、
乗務員による入庫操作を受け付け可能な操作部(12)と、
乗車人数及び降車人数をそれぞれカウントして記録する計数部(13)と、
前記入庫操作に応じて、入庫処理を行う入庫処理部(14)と、
前記入庫操作を受け付けた場合において、前記乗車人数と前記降車人数とが一致しないときは、前記入庫処理部による前記入庫処理を停止させる制御部(15)と、
前記車両外の管理装置(20)から、前記入庫処理の停止を解除させる旨の解除通知を受信する受信部(通信部16)と、を備え、
前記制御部は、前記管理装置から前記解除通知を受信した場合に、前記入庫処理の停止を解除する、
車載器。
【0047】
上記[1]の構成の車載器によれば、乗車人数と降車人数とが不一致の場合には、入庫処理が停止され、管理装置から解除通知を受信しない限り、入庫処理が行われない。このため、車両内に搭乗者が残っている可能性がある場合など、乗降者数が不一致の場合には、入庫処理が行われず、車載器が管理装置から解除通知を受信するまで、乗務員は、業務を終了できない。よって、乗降車人数が不一致の場合に、車内に残された搭乗者が確認されないまま運行が終了されることを防止できる。また、乗降者人数が不一致の場合には、乗務員が、車内を確認し、例えば電話などで確認結果を管理者に報告し、確認結果の報告を受けた管理者の操作により、管理装置から解除通知を送信することができる。このように、乗務員と管理者のダブルチェックで安全確認をすることができるので、搭乗者を車内へ残したまま運行が終了されることを効果的に抑制できる。
【0048】
[2]前記制御部は、前記入庫操作を受け付けた場合において、前記乗車人数と前記降車人数とが一致しないときは、前記管理装置に通知を行う、
[1]に記載の車載器。
【0049】
上記[2]の構成の車載器によれば、管理装置に通知されるので、管理者が、乗車人数と降車人数とが一致しないことを把握できる。
【0050】
[3]前記制御部は、前記入庫操作を受け付けた場合において、前記乗車人数と前記降車人数とが一致しないときは、警報を発生させる、
[1]又は[2]に記載の車載器。
【0051】
上記[3]の構成の車載器によれば、車載器から警報が発せられることにより、車内への注意喚起を行うことができる。
【0052】
[4]乗車リスト及び降車リストを記憶する記憶部(17)を備え、
前記計数部は、各搭乗者の識別情報が記憶されたICチップから前記識別情報を読み取り、前記乗車リスト及び降車リストのそれぞれに登録し、
前記制御部は、前記入庫操作を受け付けた時点における、前記乗車リスト及び前記降車リストに含まれる前記識別情報に差異がある場合に、前記入庫処理を停止させる、
[1]から[3]のいずれか一に記載の車載器。
【0053】
上記[4]の構成の車載器によれば、乗車リストと降車リストとの対比により、降車していない人物を特定できる。
【0054】
[5][1]から[4]のいずれか一に記載の車載器(10)と、
前記車載器と通信可能な管理装置(20)と、を備え、
前記管理装置は、前記解除通知を前記車載器に送信する機能を有する、
管理システム(1)。
【0055】
上記[5]の構成の管理システムによれば、入庫処理の停止を管理装置から解除できるため、安全確認を担保するとともに、システムの利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 管理システム
3 ICチップ
10 車載器
11 読取部
12 操作部
13 計数部
14 入庫処理部
15 制御部
16 通信部(受信部、送信部)
17 記憶部
18 警報部
20 管理装置
30 車両
H 人(搭乗者)