(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127086
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/739 20060101AFI20240912BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240912BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20240912BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20240912BHJP
H01L 29/47 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L29/78 655G
H01L29/78 657D
H01L29/78 652Q
H01L29/78 653A
H01L29/86 301F
H01L29/91 K
H01L29/48 F
H01L29/78 652M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035962
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 寛人
(72)【発明者】
【氏名】村川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】住友 正清
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104CC01
4M104CC03
4M104GG02
4M104GG03
4M104GG09
4M104GG18
(57)【要約】
【課題】短絡耐量が低下することを抑制する。
【解決手段】IGBT領域11は、FWD領域側に位置する第1領域11aと、第1領域11aを挟んでFWD領域と反対側に位置する第2領域11bと、を有し、第1領域11aは、第2領域11bよりもエミッタ領域36が疎となる状態で形成されていると共に、第2領域11bよりもコンタクト領域37が疎となる状態で形成されており、FWD領域12のうちのIGBT領域11側の端部から、第1領域11aを含む第2領域11bよりもコンタクト領域37が疎となる領域は、半導体基板の厚さの2.2倍以内とされている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IGBT素子を有するIGBT領域(11)と、FWD素子を有するFWD領域(12)とが共通の半導体基板(30)に形成されている半導体装置であって、
前記IGBT領域と前記FWD領域とを有し、第1導電型のドリフト層(31)と、前記ドリフト層上に形成された第2導電型のベース層(32)と、前記IGBT領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第2導電型のコレクタ層(41)と、前記FWD領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第1導電型のカソード層(42)と、を含み、前記ベース層側の面を一面(30a)とし、前記コレクタ層および前記カソード層側の面を他面(30b)とする前記半導体基板と、
前記IGBT領域に形成され、前記ベース層を貫通して前記ドリフト層に達すると共に前記半導体基板の面方向における一方向を長手方向として延設されたトレンチ(33)の壁面に形成されたゲート絶縁膜(34)と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極(35)とを有する複数のトレンチゲート構造と、
前記IGBT領域におけるベース層の表層部に前記トレンチに接する状態で形成された第1導電型のエミッタ領域(36)と、
前記IGBT領域におけるベース層の表層部のうちの前記エミッタ領域と異なる部分に形成され、前記ベース層よりも高不純物濃度とされた第2導電型のコンタクト領域(37)と、
前記半導体基板の一面側に配置され、前記エミッタ領域および前記コンタクト領域と電気的に接続される第1電極(39)と、
前記半導体基板の他面側に配置され、前記コレクタ層および前記カソード層と電気的に接続される第2電極(43)と、を備え、
前記IGBT領域は、前記FWD領域側に位置する第1領域(11a)と、前記第1領域を挟んで前記FWD領域と反対側に位置する第2領域(11b)と、を有し、
前記第1領域は、前記第2領域よりも前記エミッタ領域が疎となる状態で形成されていると共に、前記第2領域よりも前記コンタクト領域が疎となる状態で形成されており、
前記FWD領域のうちの前記IGBT領域側の端部から、前記第1領域を含む前記第2領域よりも前記コンタクト領域が疎となる領域は、前記半導体基板の厚さの2.2倍以内とされている半導体装置。
【請求項2】
前記FWD領域のうちの前記IGBT領域側の端部は、前記第1領域と前記FWD領域との境界部である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記エミッタ領域は、前記トレンチの長手方向に沿って複数形成され、
それぞれの前記エミッタ領域は、前記トレンチの長手方向に沿った幅が等しくされている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1領域は、前記IGBT領域の全体に占める割合が63.0%以下とされている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記エミッタ領域は、前記トレンチの長手方向に沿って複数形成され、
前記第1領域における前記エミッタ領域の前記トレンチの長手方向に沿った間隔(a1)は、前記第2領域における前記エミッタ領域の前記トレンチの長手方向に沿った間隔(a2)に対して2以上の整数倍とされ、
前記第1領域のエミッタ領域は、前記第2領域のエミッタ領域を通り、前記トレンチの配列方向に沿って延びる仮想直線上に形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(以下、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistorの略)という)素子が形成されたIGBT領域と還流ダイオード(以下、FWD(Free Wheeling Diodeの略)という)素子が形成されたFWD領域とを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、インバータ等のスイッチング素子として、IGBT素子およびFWD素子が共通の半導体基板に形成されたRC-IGBT(逆導通IGBT(Reverse-Conducting IGBTの略))を有する半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、この半導体装置では、n-型のドリフト層を構成する半導体基板の表層部にベース層が形成され、ベース層を貫通するようにトレンチゲート構造が形成されている。また、半導体基板のうちのベース層側の面を一面とし、半導体基板のうちの一面と反対側の面を他面とすると、半導体基板の他面側には、p型のコレクタ層およびn型のカソード層が形成されている。そして、この半導体装置では、半導体基板の他面側にコレクタ層が形成されている領域がIGBT領域および境界領域とされ、カソード層が形成されている領域がFWD領域とされている。なお、境界領域は、IGBT領域とFWD領域との間に形成されている。
【0004】
そして、IGBT領域では、ベース層の表層部に、ドリフト層よりも高不純物濃度とされたn+型のエミッタ領域、およびベース層よりも高不純物濃度とされたp+型のコンタクト領域が形成されている。境界領域では、ベース層の表層部に、IGBT領域と同様のコンタクト領域が形成されている。但し、境界領域のコンタクト領域は、IGBT領域よりもコンタクト領域が疎となるように形成されている。また、この半導体装置では、境界領域にエミッタ領域は形成されていない。
【0005】
そして、半導体基板の一面側には、エミッタ領域およびコンタクト領域と電気的に接続される上部電極が形成され、半導体基板の他面側には、コレクタ層およびカソード層と電気的に接続される下部電極が形成されている。
【0006】
このような半導体装置では、境界領域が形成されていない場合と比較して、IGBT素子をオフ状態からオン状態に切り替えたときのリカバリ時に、高濃度のコンタクト領域からカソード層に向かうホールの注入量を少なくできる。したがって、最大逆方向電流Irrを低減でき、リカバリ損失Errが大きくなることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような半導体装置では、エミッタ領域が形成されていない境界領域を備えているため、境界領域を大きくし過ぎると、IGBT素子がオン状態である際の最大電流密度が高くなり、短絡耐量の低下を招く可能性がある。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、短絡耐量が低下することを抑制できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1では、IGBT素子を有するIGBT領域(11)と、FWD素子を有するFWD領域(12)とが共通の半導体基板(30)に形成されている半導体装置であって、IGBT領域とFWD領域とを有し、第1導電型のドリフト層(31)と、ドリフト層上に形成された第2導電型のベース層(32)と、IGBT領域において、ドリフト層のうちのベース層側と反対側に形成された第2導電型のコレクタ層(41)と、FWD領域において、ドリフト層のうちのベース層側と反対側に形成された第1導電型のカソード層(42)と、を含み、ベース層側の面を一面(30a)とし、コレクタ層およびカソード層側の面を他面(30b)とする半導体基板と、IGBT領域に形成され、ベース層を貫通してドリフト層に達すると共に半導体基板の面方向における一方向を長手方向として延設されたトレンチ(33)の壁面に形成されたゲート絶縁膜(34)と、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極(35)とを有する複数のトレンチゲート構造と、IGBT領域におけるベース層の表層部にトレンチに接する状態で形成された第1導電型のエミッタ領域(36)と、IGBT領域におけるベース層の表層部のうちのエミッタ領域と異なる部分に形成され、ベース層よりも高不純物濃度とされた第2導電型のコンタクト領域(37)と、半導体基板の一面側に配置され、エミッタ領域およびコンタクト領域と電気的に接続される第1電極(39)と、半導体基板の他面側に配置され、コレクタ層およびカソード層と電気的に接続される第2電極(43)と、を備え、IGBT領域は、FWD領域側に位置する第1領域(11a)と、第1領域を挟んでFWD領域と反対側に位置する第2領域(11b)と、を有し、第1領域は、第2領域よりもエミッタ領域が疎となる状態で形成されていると共に、第2領域よりもコンタクト領域が疎となる状態で形成されており、FWD領域のうちのIGBT領域側の端部から、第1領域を含む第2領域よりもコンタクト領域が疎となる領域は、半導体基板の厚さの2.2倍以内とされている。
【0011】
これによれば、第1領域を含む第2領域よりもコンタクト領域が疎となる領域は、FWD領域の端部から半導体基板の厚さの2.2倍以内とされている。そして、第1領域は、エミッタ領域が形成されており、IGBT素子としても機能する。このため、この半導体装置では、リカバリ損失Errおよびスイッチングオン損失Eonを低減しつつ、第1領域がエミッタ領域が形成されていない境界領域とされている場合と比較して、最大電流密度が高くなることを抑制できる。したがって、この半導体装置では、リカバリ損失Errおよびスイッチングオン損失Eonを低減しつつ、短絡耐量が低下することを抑制できる。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態における半導体装置の平面図である。
【
図2】
図1中のII-II線に沿った断面図である。
【
図3】
図1中のIII-III線に沿った断面図である。
【
図5】半導体基板の厚さに対する第1領域の幅と、IGBT素子のスイッチングオン損失との関係を示す図である。
【
図6】IGBT領域全体に占める第1領域の割合と、最大電流密度の比との関係を示す図である。
【
図7】他の実施形態における半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の半導体装置は、例えば、インバータ等の電源回路に使用されるパワースイッチング素子として利用されると好適である。まず、本実施形態の半導体装置の構成について、
図1~
図4を参照しつつ説明する。なお、
図4は、後述する半導体基板30の一面30a側の平面図である。また、
図2は、
図1中のII-II線に沿った断面図であると共に、
図4中のII-II線に沿った断面図である。
図3は、
図1中のIII-III線に沿った断面図であると共に
図4中のIII-III線に沿った断面図である。また、
図4は、断面図ではないが、理解をし易くするため、後述のゲート絶縁膜34およびゲート電極35にハッチングを施してある。
【0016】
半導体装置は、
図1に示されるように、セル領域10と、このセル領域10を囲む外周領域20とを備えている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、2つのセル領域10が形成されている。外周領域20には、セル領域10に形成された後述のゲート電極35や、図示しない温度センス等と接続されるパッド21が形成されている。
【0017】
各セル領域10は、
図1および
図2に示されるように、IGBT素子として機能するIGBT領域11と、IGBT領域11に隣接し、FWD素子として機能するFWD領域12とを有している。つまり、本実施形態の半導体装置は、後述する共通の半導体基板30内にIGBT領域11とFWD領域12とが形成されたRC-IGBTとされている。本実施形態では、各セル領域10に、IGBT領域11が5個形成されていると共にFWD領域12が4個形成されている。そして、IGBT領域11およびFWD領域12は、それぞれ一方向を長手方向とする平面矩形状とされ、長手方向と交差する方向に沿って交互に配列されている。なお、本実施形態のIGBT領域11およびFWD領域12は、配列方向の両端部にIGBT領域11が位置するように形成されている。そして、各IGBT領域11は、IGBT素子をオン状態とした際の電流能力の向上を図るため、各FWD領域12よりも面積が大きくされている。
【0018】
また、具体的には後述するが、本実施形態では、半導体基板30の他面30bに位置するコレクタ層41上の部分がIGBT領域11とされ、半導体基板30の他面30bに位置するカソード層42上の部分がFWD領域12とされている。そして、IGBT領域11は、
図2および
図3に示されるように、FWD領域12側の部分が第1領域11aとされ、第1領域11aを挟んでFWD領域12と反対側に位置する領域が第2領域11bとされている。なお、本実施形態では、第1領域11aとFWD領域12は、隣合って形成されている。
【0019】
半導体装置は、シリコン等で構成され、一面30aおよび一面30aと反対側の他面30bを有する半導体基板30を用いて構成されている。具体的には、半導体基板30は、n-型のドリフト層31を有し、ドリフト層31上にp型のベース層32が形成されている。なお、本実施形態では、半導体基板30の一面30aは、ベース層32側の面で構成され、他面30bは、後述するコレクタ層41およびカソード層42側の面で構成される。
【0020】
半導体基板30には、一面30a側からベース層32を貫通してドリフト層31に達するように複数のトレンチ33が形成されている。これにより、ベース層32は、トレンチ33によって複数個に分離されている。本実施形態では、複数のトレンチ33は、IGBT領域11およびFWD領域12にそれぞれ形成されている。また、本実施形態では、複数のトレンチ33は、IGBT領域11およびFWD領域12の配列方向と交差する方向(すなわち、
図1中の紙面左右方向)を長手方向としてストライプ状に形成されている。なお、隣合うトレンチ33同士の間隔(すなわち、ピッチ間隔)は、例えば、2μm程度とされる。以下、トレンチ33の長手方向に沿った方向を第1方向とし、第1方向と直交する方向であって、半導体基板30の面方向に沿った方向を第2方向として説明する。なお、
図2および
図3では、紙面奥行き方向が第1方向となり、紙面左右方向が第2方向となる。また、第2方向は、トレンチ33の配列方向ともいえる。
【0021】
各トレンチ33は、各トレンチ33の壁面を覆うように形成されたゲート絶縁膜34と、このゲート絶縁膜34の上に形成されたポリシリコン等により構成されるゲート電極35とにより埋め込まれている。これにより、トレンチゲート構造が構成されている。なお、IGBT領域11のトレンチ33に配置されたゲート電極35は、図示しないゲート配線を介して外周領域20に形成されたパッド21と接続され、このパッド21は、図示しない抵抗等を介して駆動回路と接続される。そして、このゲート電極35には、所定のゲート電圧が印加される。FWD領域12のトレンチ33に配置されたゲート電極35は、後述する上部電極39(すなわち、エミッタ)と電気的に接続され、所定電位に維持される。
【0022】
IGBT領域11におけるベース層32の表層部には、
図2~
図4に示されるように、エミッタ領域36およびコンタクト領域37が形成されている。エミッタ領域36は、ドリフト層31よりも高不純物濃度で構成されたn
+型とされており、トレンチ33と接するように形成されている。コンタクト領域37は、ベース層32よりも高不純物濃度で構成されたp
+型とされている。
【0023】
ここで、本実施形態のIGBT領域11におけるエミッタ領域36およびコンタクト領域37の形状について、
図4を参照しつつ具体的に説明する。
【0024】
まず、エミッタ領域36は、各トレンチ33の間において、第1方向に沿って複数個点在させられていると共に、第2方向において隣合う各トレンチ33と接するように形成されている。また、本実施形態のようなIGBT素子を有する半導体装置では、エミッタ領域36の第1方向に沿った長さを幅とすると、スイッチング耐量がエミッタ領域36の最も大きい幅に律速する。このため、エミッタ領域36の幅がばらついているとスイッチング耐量がばらつく要因となる。したがって、本実施形態では、それぞれのエミッタ領域36の幅は等しくされている。
【0025】
そして、第1領域11aでは、第2領域11bよりもエミッタ領域36が疎となるように形成されている。なお、第1領域11aのエミッタ領域36が第2領域11bのエミッタ領域36より疎とは、第1領域11aの一面30aに対するエミッタ領域36の比率が第2領域11bの一面30aに対するエミッタ領域36の比率よりも小さいことである。以下、第2領域11bにおける第1方向において隣合うエミッタ領域36の間隔を間隔a2とし、第1領域11aにおける第1方向において隣合うエミッタ領域36の間隔a1とする。そして、本実施形態では、第1領域11aが第2領域11bよりもエミッタ領域36が疎となるように、間隔a1が間隔a2より広くされている。つまり、第1領域11aでは、第2領域11bに対してエミッタ領域36が間引かれて形成されている。但し、本実施形態では、第1領域11aのエミッタ領域36は、第2方向において第2領域11bのエミッタ領域36と繋げると直線状となるように形成されている。言い換えると、第1領域11aのエミッタ領域36は、第2領域11bのエミッタ領域36を通り、第2方向に沿って延びる仮想直線上に形成されているともいえる。
【0026】
また、本実施形態では、間隔a1が間隔a2の2倍とされているが、間隔a2と間隔a1との比率は特に限定されない。但し、エミッタ領域36は、半導体基板30の一面30aにマスク等を配置した後、n型不純物をイオン注入して拡散することで形成される。この場合、第1領域11aのエミッタ領域36と第2領域11bのエミッタ領域36とを第2方向に繋げると直線状となり、かつ、間隔a1が間隔a2の2以上の整数倍となっていないと、マスクの加工等が複雑となって製造工程が複雑化する。このため、間隔a1は、間隔a2に対して2以上の整数倍とされることが好ましい。
【0027】
コンタクト領域37は、エミッタ領域36が形成されていない部分に形成されており、ラッチアップを抑制できるように、エミッタ領域36の周りに形成されている。具体的には、第2領域11bでは、第1方向に沿ってエミッタ領域36とコンタクト領域37とが交互に配列されるようにコンタクト領域37が形成されている。一方、第1領域11aでは、上記のように、第2領域11bに対してエミッタ領域36が間引かれた状態となっている。そして、第1領域11aにおけるエミッタ領域36が間引かれた部分では、ベース層32が半導体基板30の一面30a側まで形成されている。このため、第1領域11aでは、第1方向に沿って、コンタクト領域37、エミッタ領域36、コンタクト領域37、ベース層32が順に配列されている。なお、ベース層32は、後述する上部電極39とショットキー接続される。
【0028】
また、第1領域11aでは、第2領域11bよりもコンタクト領域37が疎となるように形成されている。なお、第1領域11aのコンタクト領域37が第2領域11bのコンタクト領域37より疎とは、第1領域11aの一面30aに対するコンタクト領域37の比率が第2領域11bの一面30aに対するコンタクト領域37の比率よりも小さいことである。以下、第2領域11bにおける第1方向において隣合うコンタクト領域37の間隔を間隔b2とし、第1領域11aにおける第1方向において隣合うコンタクト領域37の間隔であって、ベース層32を挟む部分の間隔を間隔b1とする。なお、第2領域11bにおけるコンタクト領域37の間隔b2は、エミッタ領域36の幅でもある。
【0029】
そして、本実施形態では、第1領域11aが第2領域11bよりもコンタクト領域37が疎となるように、間隔b1が間隔b2より広くされている。つまり、コンタクト領域37における第1方向に沿った長さを幅とすると、コンタクト領域37は、第1領域11aにおけるコンタクト領域37の幅が、第2領域11bにおけるコンタクト領域37の幅より狭くされている。
【0030】
また、本実施形態では、第1領域11aのうちのFWD領域12との境界部、および第1領域11aと第2領域11bの境界部では、エミッタ領域36は、隣合うトレンチ33の間で終端するように形成されている。そして、この部分では、コンタクト領域37は、ラッチアップを抑制できるように、エミッタ領域36を囲むように形成されている。
【0031】
以上が本実施形態におけるIGBT領域11のエミッタ領域36およびコンタクト領域37の形状である。
【0032】
FWD領域12では、ベース層32はアノードの一部として機能するアノード層を構成する。FWD領域12におけるベース層32には、IGBT領域11のようなエミッタ領域36は形成されていないが、第1領域11aと同様のコンタクト領域37が形成されている。そして、FWD領域12における第1方向に沿って隣合うコンタクト領域37の間の部分は、ベース層32が半導体基板30の一面30a側まで形成されている。
【0033】
半導体基板30の一面30a上には、
図2および
図3に示されるように、BPSG(Boro Phospho Silicate Glassの略)等で構成される層間絶縁膜38が形成されている。そして、層間絶縁膜38には、IGBT領域11における第1領域11aにおいては、エミッタ領域36、コンタクト領域37、およびベース層32を露出させるコンタクトホール38aが形成されている。層間絶縁膜38には、IGBT領域11における第2領域11bにおいては、エミッタ領域36およびコンタクト領域37を露出させるコンタクトホール38bが形成されている。層間絶縁膜38には、FWD領域12においては、コンタクト領域37、ベース層32、およびゲート電極35を露出させるコンタクトホール38cが形成されている。
【0034】
層間絶縁膜38上には上部電極39が形成されている。上部電極39は、IGBT領域11の第1領域11aにおいて、コンタクトホール38aを通じて、エミッタ領域36、コンタクト領域37、ベース層32と電気的に接続されている。上部電極39は、IGBT領域11の第2領域11bにおいて、コンタクトホール38bを通じて、エミッタ領域36およびコンタクト領域37と電気的に接続されている。上部電極39は、FWD領域12において、コンタクトホール38cを通じて、コンタクト領域37、ベース層32、およびゲート電極35と電気的に接続されている。そして、上部電極39は、IGBT領域11においてはエミッタ電極として機能し、FWD領域12においてアノード電極として機能する。
【0035】
なお、上部電極39は、エミッタ領域36およびコンタクト領域37とはオーミック接続され、ベース層32とはショットキー接続されている。このため、IGBT領域11では、第1領域11aの方が第2領域11bよりもオーミック接続される部分が少ない構造となっている。また、本実施形態では、上部電極39が第1電極に相当する。
【0036】
ドリフト層31のうちのベース層32側と反対側(すなわち、半導体基板30の他面30b側)には、n型のフィールドストップ層(以下では、単にFS層という)40が形成されている。このFS層40は、必ずしも必要なものではないが、空乏層の広がりを防ぐことで耐圧と定常損失の性能向上を図ると共に、半導体基板30の他面30b側から注入される正孔の注入量を制御するために備えてある。
【0037】
FS層40を挟んでドリフト層31と反対側(すなわち、半導体基板30の他面30b側)には、p型のコレクタ層41およびn型のカソード層42が形成されている。そして、IGBT領域11とFWD領域12とは、半導体基板30の他面30b側に形成される層がコレクタ層41であるかカソード層42であるかによって区画されている。
【0038】
半導体基板30の他面30b上には、下部電極43が形成されている。そして、下部電極43は、IGBT領域11においてはコレクタ電極として機能し、FWD領域12においてはカソード電極として機能する。なお、本実施形態では、下部電極43が第2電極に相当する。
【0039】
このように構成されていることにより、IGBT領域11においては、ベース層32をベース、エミッタ領域36をエミッタ、コレクタ層41をコレクタとするIGBT素子が構成される。また、FWD領域12においては、ベース層32およびコンタクト領域37をアノードとし、ドリフト層31、カソード層42をカソードとしてpn接合されたFWD素子が構成される。
【0040】
以上が本実施形態における半導体装置の構成である。なお、本実施形態では、n型が第1導電型に相当し、p型が第2導電型に相当する。次に、上記のように構成されたIGBT素子およびFWD素子を有する半導体装置の作動について説明しつつ、さらに半導体装置の詳細な構成について説明する。
【0041】
上記のような半導体装置におけるIGBT素子は、ゲート電極35に印加されるゲート電圧が制御されることにより、エミッタ-コレクタ間に電流を流したり、流れている電流を遮断したりするスイッチング動作を行う。つまり、IGBT素子は、ゲート電極35に印加されるゲート電圧が制御されることでオン状態とオフ状態とが切り替えられる。また、半導体装置におけるFWD素子は、IGBT素子のスイッチング動作に伴ってダイオード動作を行うことにより、スイッチング時のサージ発生を抑制する。
【0042】
この際、本実施形態の半導体装置では、第1領域11aのコンタクト領域37が第2領域11bのコンタクト領域37よりも疎に形成されている。このため、IGBT領域11が第2領域11bのみで形成されている場合と比較して、IGBT素子をオフ状態からオン状態に切り替えた際のリカバリ時において、IGBT領域11のコンタクト領域37からカソード層42に向かうホールの注入量を少なくできる。したがって、カソード層42側のキャリア密度が高くなることでテール電流が増加することを抑制でき、リカバリ損失Errを低減できる。
【0043】
そして、IGBT素子のスイッチングオン損失Eonがリカバリ損失Errに依存するため、コンタクト領域37が疎に形成されている第1領域11aを広くすればスイッチングオン損失Eonも低減できると考えられる。このため、本発明者らは、第1領域11aにおける第2方向に沿った長さ(以下では、第1領域11aの幅ともいう)について鋭意検討を行い、
図5に示される結果を得た。なお、
図2および
図3では、紙面左右方向の長さが第1領域11aの幅となる。また、
図5は、IGBT領域11が第2領域11bのみで形成されている場合のスイッチングオン損失Eonを0%(すなわち、基準)として示している。
【0044】
図5に示されるように、第1領域11aの幅を広くすると、IGBT素子のスイッチングオン損失Eonを低減できることが確認される。しかしながら、スイッチングオン損失Eonは、半導体基板30の厚さに対する第1領域11aの幅が2.2倍以上になると変化しないことが確認される。そして、後述するように、第1領域11aの幅を広くするほど電流密度が小さい部分が増加するため、最大電流密度が増加する。したがって、第1領域11aは、FWD領域12の端部から半導体基板30の厚さの2.2倍以内とされることが好ましい。つまり、第1領域11aを含む第2領域11bよりもコンタクト領域37が疎となる領域は、FWD領域12の端部から半導体基板30の厚さの2.2倍以内とされることが好ましい。したがって、本実施形態では、第1領域11aは、FWD領域12の端部から半導体基板30の厚さの2.2倍以内とされている。なお、本実施形態におけるFWD領域12の端部は、FWD領域12と第1領域11aとの境界部となる。
【0045】
また、第1領域11aは、エミッタ領域36が形成されたIGBT素子とされている。このため、本実施形態の半導体装置では、第1領域11aの代わりにエミッタ領域36が形成されていない境界領域が配置されている場合と比較して、電流能力の向上を図ることができる。
【0046】
但し、第1領域11aは、第2領域11bよりもエミッタ領域36が疎となるように形成されており、第2領域11bよりも電流密度が低くなる。このため、第1領域11aの幅を広くするほど第2領域11bの幅が狭くなり、IGBT領域11の最大電流密度が増加する。本発明者らの検討によれば、間隔a1を間隔a2の2倍とした場合、
図6に示される結果が得られた。なお、
図6は、IGBT領域11が第2領域11bのみで形成されている場合におけるIGBT領域11の最大電流密度を1としている。
【0047】
図6に示されるように、最大電流密度は、IGBT領域11の全体に占める第1領域11aの割合が大きくなるほど大きくなる。そして、現状では、短絡耐量等を考慮すると、IGBT領域11が第2領域11bのみで形成されている場合と比較して、最大電流密度が2倍以下となるようにすることが好ましいと考えられている。したがって、IGBT領域11における第1領域11aの割合は、63.0%以下とされることが好ましく、本実施形態では、IGBT領域11における第1領域11aの割合が63.0%以下とされている。
【0048】
以上説明した本実施形態によれば、第1領域11aを含む第2領域11bよりもコンタクト領域37が疎となる領域は、FWD領域12の端部から半導体基板30の厚さの2.2倍以内とされている。そして、第1領域11aは、エミッタ領域36が形成されており、IGBT素子としても機能する。このため、本実施形態の半導体装置では、リカバリ損失Errおよびスイッチングオン損失Eonを低減しつつ、第1領域11aがエミッタ領域36が形成されていない境界領域とされている場合と比較して、最大電流密度が高くなることを抑制できる。したがって、本実施形態の半導体装置では、リカバリ損失Errおよびスイッチングオン損失Eonを低減しつつ、短絡耐量が低下することを抑制できる。
【0049】
(1)本実施形態では、第1領域11aとFWD領域12とが隣合って形成されている。つまり、FWD領域12の端部は、第1領域11aとFWD領域12との境界部とされている。このため、FWD領域12と第1領域11aとの間にエミッタ領域36が形成されていない境界領域が形成されている場合と比較して、電流能力を向上できる。したがって、さらに最大電流密度が高くなることを抑制できる。
【0050】
(2)本実施形態では、エミッタ領域36は、第1方向に沿った幅が等しくされている。このため、スイッチング耐量がばらつくことを抑制できる。
【0051】
(3)本実施形態では、第1領域11aは、IGBT領域11の全体に示す割合が63.0%以下とされている。このため、IGBT領域11が第2領域11bのみで形成されている場合と比較して最大電流密度を2倍以下にすることができ、現状の要求に対応することができる。
【0052】
(4)本実施形態では、間隔a1が間隔a2の2以上の整数倍とされ、かつ、第2領域11bのエミッタ領域36を通り、第2方向に沿って延びる仮想直線上に第1領域11aのエミッタ領域36が位置するように形成されている。このため、エミッタ領域36を形成する際のマスクの加工等が複雑になることを抑制でき、製造工程が増加することを抑制できる。
【0053】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0054】
例えば、上記第1実施形態において、各エミッタ領域36の幅が同じとされていなくてもよい。上記第1実施形態において、第1領域11aは、IGBT領域11の全体に占める割合が63.0%以上とされていてもよい。上記第1実施形態において、間隔a1が間隔a2の整数倍とされていなくてもよい。これらのような構成としても、第1領域11aを含む第2領域11bよりもコンタクト領域37が疎となる領域がFWD領域12の端部から半導体基板30の厚さの2.2倍以内とされることにより、上記第1実施形態と同様に短絡耐量が低下すること抑制できる。
【0055】
また、上記第1実施形態では、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とした例について説明したが、第1導電型をp型とし、第2導電型をn型とすることもできる。
【0056】
そして、上記第1実施形態において、セル領域10は、1つとされていてもよいし、3つ以上の複数とされていてもよい。また、各セル領域10に形成されるIGBT領域11とFWD領域12との数は、適宜変更可能である。
【0057】
さらに、上記第1実施形態において、第1領域11aと第2領域11bとの境界部は、トレンチ33と一致してもよい。すなわち、第2領域11bにおける最も第1領域11a側のエミッタ領域36は、隣合うトレンチ33の間で終端するのではなく、トレンチ33と接するように形成されていてもよい。同様に、第1領域11aにおける最もFWD12側のエミッタ領域36は、隣合うトレンチ33の間で終端するのではなく、トレンチ33と接するように形成されていてもよい。
【0058】
そして、上記第1実施形態において、
図7に示されるように、第1領域11aとFWD領域12との間に、エミッタ領域36が形成されていない境界領域13が形成されていてもよい。つまり、上記第1実施形態における第1領域11aのFWD領域12側の部分を境界領域13としてもよい。このような構成としても、第1領域11aを含む第2領域11bよりもコンタクト領域37が疎となる領域がFWD領域12の端部から半導体基板30の厚さの2.2倍以内となり、この領域に第1領域11aが含まれる。このため、リカバリ損失Errおよびスイッチングオン損失Eonを低減しつつ、短絡耐量が低下することを抑制できる。
【0059】
[本発明の開示]
【0060】
[第1の観点]
IGBT素子を有するIGBT領域(11)と、FWD素子を有するFWD領域(12)とが共通の半導体基板(30)に形成されている半導体装置であって、
前記IGBT領域と前記FWD領域とを有し、第1導電型のドリフト層(31)と、前記ドリフト層上に形成された第2導電型のベース層(32)と、前記IGBT領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第2導電型のコレクタ層(41)と、前記FWD領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第1導電型のカソード層(42)と、を含み、前記ベース層側の面を一面(30a)とし、前記コレクタ層および前記カソード層側の面を他面(30b)とする前記半導体基板と、
前記IGBT領域に形成され、前記ベース層を貫通して前記ドリフト層に達すると共に前記半導体基板の面方向における一方向を長手方向として延設されたトレンチ(33)の壁面に形成されたゲート絶縁膜(34)と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極(35)とを有する複数のトレンチゲート構造と、
前記IGBT領域におけるベース層の表層部に前記トレンチに接する状態で形成された第1導電型のエミッタ領域(36)と、
前記IGBT領域におけるベース層の表層部のうちの前記エミッタ領域と異なる部分に形成され、前記ベース層よりも高不純物濃度とされた第2導電型のコンタクト領域(37)と、
前記半導体基板の一面側に配置され、前記エミッタ領域および前記コンタクト領域と電気的に接続される第1電極(39)と、
前記半導体基板の他面側に配置され、前記コレクタ層および前記カソード層と電気的に接続される第2電極(43)と、を備え、
前記IGBT領域は、前記FWD領域側に位置する第1領域(11a)と、前記第1領域を挟んで前記FWD領域と反対側に位置する第2領域(11b)と、を有し、
前記第1領域は、前記第2領域よりも前記エミッタ領域が疎となる状態で形成されていると共に、前記第2領域よりも前記コンタクト領域が疎となる状態で形成されており、
前記FWD領域のうちの前記IGBT領域側の端部から、前記第1領域を含む前記第2領域よりも前記コンタクト領域が疎となる領域は、前記半導体基板の厚さの2.2倍以内とされている半導体装置。
【0061】
[第2の観点]
前記FWD領域のうちの前記IGBT領域側の端部は、前記第1領域と前記FWD領域との境界部である第1の観点に記載の半導体装置。
【0062】
[第3の観点]
前記エミッタ領域は、前記トレンチの長手方向に沿って複数形成され、
それぞれの前記エミッタ領域は、前記トレンチの長手方向に沿った幅が等しくされている第1または第2の観点に記載の半導体装置。
【0063】
[第4の観点]
前記第1領域は、前記IGBT領域の全体に占める割合が63.0%以下とされている第1ないし第3の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0064】
[第5の観点]
前記エミッタ領域は、前記トレンチの長手方向に沿って複数形成され、
前記第1領域における前記エミッタ領域の前記トレンチの長手方向に沿った間隔(a1)は、前記第2領域における前記エミッタ領域の前記トレンチの長手方向に沿った間隔(a2)に対して2以上の整数倍とされ、
前記第1領域のエミッタ領域は、前記第2領域のエミッタ領域を通り、前記トレンチの配列方向に沿って延びる仮想直線上に形成されている第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0065】
11 IGBT領域
11a 第1領域
11b 第2領域
12 FWD領域
30 半導体基板
30a 一面
30b 他面
31 ドリフト層
32 ベース層
33 トレンチ
34 ゲート絶縁膜
35 ゲート電極
36 エミッタ領域
37 コンタクト領域
39 上部電極(第1電極)
41 コレクタ層
42 カソード層
43 下部電極(第2電極)