(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127087
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20240912BHJP
F04C 23/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F04B39/00 102R
F04C23/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035963
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 元彦
(72)【発明者】
【氏名】加納 豊広
(72)【発明者】
【氏名】山下 勇人
(72)【発明者】
【氏名】澤田 佳克
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕太
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB05
3H003AC03
3H003BA02
3H003BB03
3H003CE02
3H129AA02
3H129AA15
3H129AB03
3H129BB25
3H129CC02
3H129CC07
3H129CC09
3H129CC30
(57)【要約】
【課題】防振機能を適切に発揮させることが可能な電動圧縮機を提供する。
【解決手段】圧縮機1は、外部ハウジングと、回転軸20と、圧縮部30と、電動モータ50と、防振部材60と、を備える。防振部材60は、板状または棒状に形成された複数のバネ部611、612を含んでいる。外部ハウジングおよび内部構造体STは、回転軸20の径方向Drにおいて外部ハウジングの内面と内部構造体STの外面とが離間した状態で、複数のバネ部611、612を介して互いに接続されている。複数のバネ部611、612は、バネ部611、612の一端側が外部ハウジングの内面に設定された第1固定部FP1に接続されている。また、複数のバネ部611、612は、バネ部611、612の他端側が内部構造体STのうち、回転軸20の軸方向Daxにおいて第1固定部FP1とは重なり合わない位置に設定された第2固定部FP2に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動圧縮機であって、
外殻を構成する外部ハウジング(12、14)と、
前記外部ハウジングの内側に収容される回転軸(20)と、
前記回転軸が回転することにより流体を圧縮する圧縮部(30)と、
前記圧縮部を駆動させる電動モータ(50)と、
前記外部ハウジングの内側において、前記圧縮部および前記電動モータを含む内部構造体(ST)と前記外部ハウジングとの間に介在して振動の伝達を抑制する防振部材(60)と、を備え、
前記防振部材は、板状または棒状に形成された複数のバネ部(611、612、623、633)を含んでおり、
前記外部ハウジングおよび前記内部構造体は、前記回転軸の径方向において前記外部ハウジングの内面と前記内部構造体の外面とが離間した状態で、複数の前記バネ部を介して互いに接続されており、
複数の前記バネ部は、前記バネ部の一端側が前記外部ハウジングの内面に設定された第1固定部(FP1)に接続され、前記バネ部の他端側が前記内部構造体のうち、前記回転軸の軸方向において前記第1固定部とは重なり合わない位置に設定された第2固定部(FP2)に接続されている、電動圧縮機。
【請求項2】
前記外部ハウジングおよび前記内部構造体を前記回転軸の周方向に均等に三つの領域(AR1、AR2、AR3)に分けたとき、当該三つの領域に対して前記第1固定部および前記第2固定部それぞれが少なくとも1つ設定されている、請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記圧縮部は、前記回転軸の軸方向において前記電動モータとは反対側に位置する圧縮側端部(36)に、圧縮後の流体を吐出する吐出穴(362)を有する吐出部(363)が設けられ、
前記外部ハウジングは、前記回転軸の軸方向において前記吐出部と重なり合う部位に、流体を前記外部ハウジングの外側に導出させる外部導出穴(143)が形成された導出部(144)が設けられており、
前記吐出部と前記導出部とは、シール部材(38)を介して前記回転軸の軸方向に接続されている、請求項1または2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記第2固定部は、前記圧縮側端部に設定されている、請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記シール部材は、前記吐出部および前記導出部の一方における他方と対向する対向部分に配設されたシールリング(381)を含んでいる、請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記シール部材は、前記吐出穴および前記外部導出穴の双方に挿通されたジョイントパイプ(382)、前記ジョイントパイプと前記吐出穴と間に配置される第1シールリング(383)、前記ジョイントパイプと前記外部導出穴と間に配置される第2シールリング(384)を含んでいる、請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項7】
前記ジョイントパイプは、前記吐出穴に挿通される部位の外径が前記吐出穴の内径よりも小さく、且つ、前記外部導出穴に挿通される部位の外径が前記外部導出穴の内径よりも小さくなっており、
前記シール部材は、前記吐出穴と前記ジョイントパイプとの隙間への前記第1シールリングのはみ出しを抑える第1バックアップリング(385)および前記外部導出穴と前記ジョイントパイプとの隙間への前記第2シールリングのはみ出しを抑える第2バックアップリング(386)を含んでいる、請求項6に記載の電動圧縮機。
【請求項8】
前記ジョイントパイプは、前記吐出穴とのクリアランスおよび前記外部導出穴とのクリアランスそれぞれが、前記内部構造体の振動による前記吐出部と前記導出部との相対的な変位量の最大値よりも大きくなるように設定されている、請求項7に記載の電動圧縮機。
【請求項9】
複数の前記バネ部(623、633)は、前記外部ハウジングおよび前記内部構造体の少なくとも一方で使用されるガスケット(GKT)と一体の部品として構成されている、請求項1または2に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮要素と電動要素とからなる内部構造体を上下一対の中吊りバネと吐出管によって、密閉容器の内側に支持する中吊り機構を備える電動圧縮機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らは、電動圧縮機の外殻となる外部ハウジングと内部構造体とが直に接触しないように両者の間に弾性ゴムを挟み込んで回転軸の軸方向に撓ませることで、内部構造体の振動が外部ハウジングへ伝わることを抑える防振構造を検討した。
【0005】
しかしながら、上記の防振構造の如く、外部ハウジングと内部構造体との間に弾性ゴムを挟み込んで回転軸の軸方向に撓ませる場合、弾性ゴムのバネ定数を所望の状態に設定することが難しく、防振機能を適切に発揮させることが困難となる。このことは、本発明者らの鋭意検討の末に見い出された。
【0006】
本開示は、防振機能を適切に発揮させることが可能な電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
電動圧縮機であって、
外殻を構成する外部ハウジング(12、14)と、
外部ハウジングの内側に収容される回転軸(20)と、
回転軸が回転することにより流体を圧縮する圧縮部(30)と、
圧縮部を駆動させる電動モータ(50)と、
外部ハウジングの内側において、圧縮部および電動モータを含む内部構造体(ST)と外部ハウジングとの間に介在して振動の伝達を抑制する防振部材(60)と、を備え、
防振部材は、板状または棒状に形成された複数のバネ部(611、612、623、633)を含んでおり、
外部ハウジングおよび内部構造体は、回転軸の径方向において外部ハウジングの内面と内部構造体の外面とが離間した状態で、複数のバネ部を介して互いに接続されており、
複数のバネ部は、バネ部の一端側が外部ハウジングの内面に設定された第1固定部(FP1)に接続され、バネ部の他端側が内部構造体のうち、回転軸の軸方向において第1固定部とは重なり合わない位置に設定された第2固定部(FP2)に接続されている。
【0008】
このように、回転軸の径方向において外部ハウジングの内面と内部構造体の外面とが離間した状態で、複数のバネ部を介して接続されていれば、内部構造体の振動がバネ部で減衰されることで、内部構造体の振動が外部ハウジングに伝わり難くなる。その結果、外部ハウジングからその周囲の空気への振動伝達、すなわち騒音の放射を抑制することができる。
【0009】
特に、本開示の電動圧縮機は、内部構造体の第2固定部が回転軸の軸方向において外部ハウジングの第1固定部と重なり合わない位置に設けられている。このようになっていれば、複数のバネ部を第1固定部および第2固定部に接続した際に、複数のバネ部が回転軸の軸方向において外部ハウジングの内面と内部構造体の外面とで挟まれて撓むことはないので、複数のバネ部のバネ定数を任意に設定することができる。したがって、本開示の電動圧縮機によれば、防振機能を適切に発揮させて、外部への振動伝達を抑制することができる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る電動圧縮機の模式的な軸方向の断面図である。
【
図4】防振バネのバネ部の変形例を示す断面図である。
【
図5】電動圧縮機の騒音特性を説明するための説明図である。
【
図6】第2実施形態に係る電動圧縮機の模式的な径方向の断面図である。
【
図7】第3実施形態に係る電動圧縮機の模式的な軸方向の断面図である。
【
図9】内部構造体が振動した際のジョイントパイプの変位を説明するための説明図である。
【
図10】第4実施形態に係る電動圧縮機の模式的な軸方向の断面図である。
【
図13】第5実施形態に係る電動圧縮機の模式的な軸方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態について、
図1~
図5を参照して説明する。本実施形態では、本開示の電動圧縮機(以下、圧縮機1と呼ぶ)を、車両用空調装置を構成する冷凍サイクル装置に適用した例について説明する。
【0014】
冷凍サイクル装置は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成する。冷凍サイクル装置は、圧縮機1に加えて、冷媒を放熱させる放熱器、放熱器を通過した冷媒を減圧させる減圧機器、減圧機器で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器を備えている。なお、冷媒には、圧縮機1の内部の各摺動部位を潤滑する潤滑油が混合されている。
【0015】
以下、
図1を参照して圧縮機1の詳細について説明する。
図1は、圧縮機1を回転軸20の軸心CLに沿って切断した断面を示す断面図である。なお、
図1中の上下を示す矢印は、圧縮機1を車両に搭載した状態における鉛直方向Dgを示している。また、
図1では、回転軸20の軸心CLに沿う方向を軸方向Daxとし、回転軸20の軸心CLに直交する方向を径方向Drとしている。これらは、
図1以外の図面においても同様である。
【0016】
図1に示すように、圧縮機1は、ハウジング10と、回転軸20と、圧縮部30と、電動モータ50とを備える。ハウジング10の内側には、回転軸20、圧縮部30、電動モータ50が収容されている。圧縮機1は、回転軸20の軸心CLが略水平方向に延びるとともに、圧縮部30と電動モータ50とが略水平方向に並ぶ姿勢で車両に設置される横置構造である。
【0017】
ハウジング10は、モータハウジング12、吐出ハウジング14、および内部ハウジング16を備える。モータハウジング12、吐出ハウジング14、および内部ハウジング16は、金属材料で構成される。モータハウジング12および吐出ハウジング14は、圧縮機1の外殻を構成するハウジングである。モータハウジング12および吐出ハウジング14は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金で構成される。本実施形態では、モータハウジング12および吐出ハウジング14が“外部ハウジング”を構成している。以下、モータハウジング12と吐出ハウジング14をまとめて外部ハウジングと呼ぶことがある。
【0018】
モータハウジング12は、内部ハウジング16を収容するものである。モータハウジング12は、回転軸20の軸方向Daxの一方側が開口する有底筒形状である。具体的には、モータハウジング12は、板状の第1底壁部121と、第1底壁部121の外周部分から筒状に延びる第1外周壁部122と、フランジ部123とを有する。モータハウジング12は、第1底壁部121、第1外周壁部122、およびフランジ部123が継ぎ目のない一体成形品として構成されている。
【0019】
フランジ部123は、モータハウジング12の開口側の端部に形成されている。フランジ部123は、回転軸20の軸心CLから離れるように回転軸20の径方向Drに突き出ている。
【0020】
図示しないが、モータハウジング12の第1底壁部121には、電動モータ50の電気配線等が接続される気密端子が設けられている。電動モータ50は、気密端子を介して図示しないインバータに電気的に接続されている。
【0021】
図示しないが、モータハウジング12には、冷媒の吸込口が形成されている。この吸込口には、蒸発器の冷媒出口側が接続されている。このため、ハウジング10における電動モータ50が配置される空間は、低圧、且つ、低温の雰囲気となっている。このようになっていることで、電動モータ50を冷却して、電動モータ50の効率向上および信頼性向上を図ることができる。
【0022】
吐出ハウジング14は、モータハウジング12とともに、圧縮部30および電動モータ50を収容する収容空間を形成するものである。吐出ハウジング14は、回転軸20の軸方向Daxの他方側が開口する有底筒形状である。具体的には、吐出ハウジング14は、板状の第2底壁部141と、第2底壁部141の外周部分から筒状に延びる第2外周壁部142とを有する。吐出ハウジング14は、第2底壁部141と第2外周壁部142とが継ぎ目のない一体成形品として構成されている。
【0023】
吐出ハウジング14は、吐出ハウジング14における軸方向Daxの他方側の開口縁がモータハウジング12のフランジ部123に突き合わされた状態で、モータハウジング12に締結ボルト15によって固定されている。モータハウジング12および吐出ハウジング14は圧力容器を構成している。図示しないが、モータハウジング12と吐出ハウジング14との間には、外部への冷媒漏れを防止するためにガスケットが配置されている。
【0024】
吐出ハウジング14は、回転軸20の軸方向Daxにおいて後述する吐出部363と重なり合う部位に、冷媒を外部ハウジングの外側に導出させる外部導出穴143が形成された導出部144が設けられている。具体的には、導出部144は、第2底壁部141の略中央部分に設けられている。導出部144は、第2底壁部141から圧縮部30に向かって突き出ている。外部導出穴143は、第2底壁部141および導出部144を貫通する貫通穴で構成されている。
【0025】
回転軸20は、ハウジング10の内側に収容されている。具体的には、回転軸20は、軸心CLがモータハウジング12の第1外周壁部122の中心軸と一致するように、モータハウジング12の内側に配置されている。
【0026】
回転軸20は、軸方向Daxの一方側の端部に、回転軸20の軸心CLから偏心した偏心軸部21が設けられている。偏心軸部21は、回転軸20の本体と一体に構成されている。偏心軸部21は、後述する旋回スクロール34の第1ボス部343に設けられた偏心軸受部344によって支持されている。
【0027】
回転軸20は、偏心軸部21に隣接して外径が拡大された径拡大部22が設けられている。この径拡大部22には、回転軸20の偏心回転を抑えるためのバランスウェイトが設けられている。
【0028】
図示しないが、回転軸20の内部には、偏心軸受部344、後述する第1軸受部411、第2軸受部17等に潤滑油を供給するオイル供給路が形成されている。このオイル供給路は、固定スクロール32および旋回スクロール34に形成された図示しない給油経路を介して、潤滑油が供給される。
【0029】
圧縮部30は、スクロール型の圧縮機構として構成されている。圧縮部30は、固定スクロール32、旋回スクロール34、および吐出プレート36を有する。旋回スクロール34、固定スクロール32、および吐出プレート36は、この順序で軸方向Daxに並んで配置されている。固定スクロール32、旋回スクロール34、吐出プレート36は、鉄鋼材料、アルミニウム合金等で構成されている。
【0030】
固定スクロール32は、円板状に形成された固定基板部と、固定基板部から軸方向Daxの他方側の旋回スクロール34に向かって突き出る渦巻き状の固定歯部と、を有する。
【0031】
旋回スクロール34は、円板状に形成された旋回基板部と、旋回基板部から軸方向Daxの一方側の固定スクロール32に向かって突き出る渦巻き状の旋回歯部と、を有する。
【0032】
旋回スクロール34は、旋回基板部における旋回歯部とは反対側に円筒形状の第1ボス部343が設けられている。第1ボス部343の内側には、偏心軸受部344が設けられている。偏心軸受部344は、滑り軸受で構成されている。なお、偏心軸受部344は、滑り軸受以外の軸受で構成されていてもよい。
【0033】
また、旋回スクロール34には、自転防止ピン35が連結されている。自転防止ピン35は、旋回スクロール34が自転することを防止する自転防止機構を構成する。旋回スクロール34は、回転軸20が回転すると、回転軸20の軸心CLを公転中心とする公転運動(すなわち、旋回運動)を行う。なお、自転防止機構は、自転防止ピン35以外のもの(例えば、オルダムリング)で構成されていてもよい。
【0034】
固定スクロール32および旋回スクロール34との間には、固定歯部と旋回歯部とが噛み合って複数箇所で接触することによって、三日月状の作動室31が複数箇所形成される。作動室31は、旋回スクロール34が旋回することによって外周側から中心側へ容積を減少させながら移動する。図示しないが、作動室31には、固定スクロール32の外周側に形成された冷媒吸引口320から吸引された冷媒が供給される。作動室31内の冷媒は、作動室31の容積が減少することによって圧縮される。なお、
図1等では、都合上、複数個の作動室31のうち1つにだけ符号を付している。
【0035】
固定基板部の中心部には、作動室31で圧縮された冷媒の出口となる冷媒出口穴323が形成されている。固定基板部のうち軸方向Daxの一方側の端面には、作動室31への冷媒の逆流を防止する逆止弁をなす図示しないリード弁と、リード弁の最大開度を規制するストッパ324とが設けられている。なお、リード弁およびストッパ324は、固定基板部に対してボルト325によって締結固定されている。
【0036】
吐出プレート36は、固定スクロール32に隣接して配置されている。吐出プレート36は、固定スクロール32との間に、冷媒出口穴323から流出した冷媒の吐出脈動を軽減するためのマフラ室361を形成する。吐出プレート36は、カップ形状に形成されている。
【0037】
吐出プレート36は、圧縮部30において、回転軸20の軸方向Daxにおいて電動モータ50とは反対側に位置する“圧縮側端部”を構成している。吐出プレート36には、圧縮後の冷媒を吐出する吐出穴362を有する吐出部363が設けられている。吐出部363は、吐出穴362と外部導出穴143とが連通するように、吐出プレート36のうち、回転軸20の軸方向Daxにおいて導出部144と対向する部位に設けられている。吐出部363は、導出部144に向かって突き出ている。
【0038】
導出部144と吐出部363とは、シール部材38を介して接続されている。シール部材38は、吐出部363における導出部144と対向する対向部分に配設されたシールリング381で構成されている。具体的には、シールリング381は、吐出部363における導出部144と対向する対向部分において、吐出穴362を囲むように形成された円環状の凹溝部364に配置されたOリングである。なお、シールリング381は、導出部144における吐出部363と対向する対向部分において、外部導出穴143を囲むように形成された円環状の溝に配置されたOリングで構成されていてもよい。
【0039】
固定スクロール32および吐出プレート36は、外径が略同じ寸法に設定されている。固定スクロール32および吐出プレート36は、その外径が、モータハウジング12の内径よりも小さくなっている。
【0040】
このように構成される圧縮部30は、固定スクロール32および吐出プレート36が、軸支持部材40および後述の内部ハウジング16に対して複数の取付ボルト37によって固定されている。
【0041】
軸支持部材40は、回転軸20を回転可能に支持する第1軸受部411を含んでいる。軸支持部材40は、圧縮部30と電動モータ50との間に配置されている。軸支持部材40は、固定スクロール32との間に、旋回スクロール34、自転防止ピン35、回転軸20の一部等を収容する空間を形成している。軸支持部材40は、鉄鋼材料、アルミニウム合金等で構成されている。
【0042】
軸支持部材40は、筒形状を有する。軸支持部材40は、軸方向Daxの一方側から他方側に向かって外径および内径が段階的に縮小されている。具体的には、軸支持部材40は、内径が最小となる小径部位41、外径が最大となる大径部位42、小径部位41と大径部位42を繋ぐ連結部位43を有する。小径部位41、大径部位42、および連結部位43は、一体に構成されている。
【0043】
軸支持部材40は、小径部位41の内周側に第1軸受部411が形成されている。第1軸受部411は、滑り軸受で構成されている。第1軸受部411は、円筒形状の鉄鋼部材、および、その内周面にコーティングされた樹脂層等によって構成されている。なお、第1軸受部411は、軸支持部材40と同じ材料で構成され、軸支持部材40と一体に構成されていてもよい。第1軸受部411は、滑り軸受以外の軸受で構成されていてもよい。
【0044】
軸支持部材40と旋回スクロール34との間には、円環形状に構成されたスラストプレート44が配置されている。スラストプレート44によって、軸支持部材40に対して旋回スクロール34が摺動可能になっている。
【0045】
軸支持部材40は、大径部位42の外径が、固定スクロール32および吐出プレート36と略同じ寸法に設定されている。軸支持部材40は、大径部位42の外径が、モータハウジング12の内径よりも小さくなっている。
【0046】
電動モータ50は、図示しないインバータからの給電により駆動されるインバータ駆動型のDCモータで構成されている。軸支持部材40に対して軸方向Daxの他方側に配置されている。電動モータ50は、圧縮部30を駆動するものであって、回転軸20と一体に回転するロータ52と、ハウジング10に固定されるステータ54を有する。電動モータ50は、ステータ54の内側にロータ52が配置されるインナーロータモータとして構成されている。
【0047】
ロータ52は、内側に回転軸20が圧入等によって固定された円筒形状の部材である。ロータ52の内部には、図示しない永久磁石が配置されている。また、ロータ52の側面には、旋回スクロール34等の偏心回転のアンバランスを相殺するためのバランスウェイト521、522が取り付けられている。
【0048】
ステータ54は、金属製の磁性材からなるステータコア541と、ステータコア541に巻き付けられたコイル542とを有する。ステータ54は、図示しないインバータから電力が供給されると、ロータ52を回転させる回転磁界を発生させる。ステータ54は、焼き嵌めまたは圧入によって内部ハウジング16の筒部161に固定されている。
【0049】
内部ハウジング16は、モータハウジング12の内側に収容されている。内部ハウジング16には、ステータ54が固定されている。内部ハウジング16は、ステータ54と同種の金属材料で構成されている。ステータ54が鉄鋼材料で構成される場合、内部ハウジング16は、ステータ54と同種の鉄鋼材料(例えば、鉄)で構成される。
【0050】
内部ハウジング16は、略カップ形状を有している。内部ハウジング16は、ステータ54が固定される円筒形状の筒部161と、筒部161における圧縮部30に近い側の一端部から回転軸20から離れる方向に突き出る締結部162を有する。また、内部ハウジング16は、一端部とは反対側に位置する他端部から回転軸20に近づくように延びて第2軸受部17を支持する支持部163を含んでいる。筒部161、締結部162、および支持部163は、一体成形品として構成されている。
【0051】
支持部163は、筒部161の他端部に連なる円環形状の底部163aと、底部163aの中心部分に設けられた円筒状の第2ボス部163bとを有する。第2ボス部163bは、一部が径方向Drにおいてステータ54と重なり合うように、軸方向Daxの他方側から一方側に向かって突き出ている。第2ボス部163bの内周側には、第2軸受部17が形成されている。第2軸受部17は、滑り軸受で構成されている。第2軸受部17は、円筒形状の鉄鋼部材、および、その内周面にコーティングされた樹脂層等によって構成されている。なお、第2軸受部17は、内部ハウジング16と同じ材料で構成され、軸支持部材40と一体に構成されていてもよい。第2軸受部17は、滑り軸受以外の軸受で構成されていてもよい。
【0052】
内部ハウジング16は、締結部162の外径が固定スクロール32、吐出プレート36、軸支持部材40等の外径と略同じ寸法に設定されている。具体的には、内部ハウジング16は、締結部162の全体が、軸方向Daxにおいて、軸支持部材40に対向している。締結部162は、取付ボルト37によって、圧縮部30および軸支持部材40に固定されている。
【0053】
圧縮部30、軸支持部材40、内部ハウジング16に固定された電動モータ50は、この順序で軸方向Daxに並んでいる。圧縮部30、軸支持部材40、電動モータ50、内部ハウジング16は、取付ボルト37によって互いに固定されている。本実施形態では、圧縮部30、軸支持部材40、電動モータ50、内部ハウジング16が“内部構造体ST”を構成している。
【0054】
内部構造体STは、その外面が、回転軸20の径方向Drにおいて、外部ハウジングの内面から離間した状態で、圧縮部30における電動モータ50とは反対側に位置する吐出プレート36が、外部ハウジングに対して防振部材60を介して接続されている。具体的には、内部構造体STは、吐出プレート36の吐出部363を除く部位が外部ハウジングから離間した状態で、モータハウジング12のフランジ部123に対して防振部材60を介して接続されている。
【0055】
防振部材60は、内部構造体STが片持ち支持される構造となるように、内部構造体STのうち電動モータ50側に接続されておらず、内部構造体STのうち圧縮部30側に接続されている。
【0056】
具体的には、
図2に示すように、防振部材60は、4つの防振バネ61A、61B、61C、61Dを備えている。4つの防振バネ61A、61B、61C、61Dは、回転軸20の周方向Drtに等間隔をあけて配設されている。本例の防振部材60は、防振バネ61Aと防振バネ61Cとが回転軸20の軸心CLを中心に対称となるように配置され、防振バネ61Bと防振バネ61Dとが回転軸20の軸心CLを中心に対称となるように配置されている。
【0057】
4つの防振バネ61A、61B、61C、61Dは、例えば、SWP、SUS301CSP等のバネ鋼からなる板バネで構成されている。本実施形態の4つの防振バネ61A、61B、61C、61Dは、形状、大きさ、材質が共通している。このため、以下では、4つの防振バネ61A、61B、61C、61Dについて、単に“防振バネ61”として説明することがある。
【0058】
防振バネ61は、略U字形状とされている。防振バネ61は、板状に形成された一対のバネ部611、612、一対のバネ部611、612同士を接続するバネ接続部613を有している。防振バネ61は、一対のバネ部611、612およびバネ接続部613が一体の成形品として構成されている。
【0059】
一対のバネ部611、612は、一端側が外部ハウジングの内面に設定された第1固定部FP1に接続され、他端側が内部構造体STに設定された第2固定部FP2に接続されている。本実施形態の一対のバネ部611、612それぞれは、一端側が第1固定部FP1に対してボルトBT1で固定され、他端側が第2固定部FP2に対してボルトBT2で固定されている。
【0060】
第1固定部FP1および第2固定部FP2は、外部ハウジングの締結時に、回転軸20の軸方向Daxの作用する締結力によって一対のバネ部611、612が撓まないように回転軸20の軸方向Daxにおいて重なり合わない位置に設定されている。具体的には、第1固定部FP1は、モータハウジング12のフランジ部123における吐出ハウジング14に対向する端面に設定されている。第2固定部FP2は、回転軸20の径方向Drにおいて、フランジ部123よりも回転軸20の軸心CLの近くに位置付けられた吐出プレート36における吐出ハウジング14に対向する端面に設定されている。本例の第2固定部FP2は、第1固定部FP1と同一平面上となるように吐出プレート36に設定されている。
【0061】
第1固定部FP1は、フランジ部123に8箇所設定されている。また、第2固定部FP2は、吐出プレート36に8箇所設定されている。複数の第2固定部FP2は、回転軸20の軸心CLを中心に対称となるように、回転軸20の周方向Drtにおいて一定の間隔をあけて配置されている。
【0062】
例えば、外部ハウジングと内部構造体STとを回転軸20の周方向Drtに均等に三つの領域AR1、AR2、AR3に分けたとする。このとき、当該三つの領域AR1、AR2、AR3に対して第1固定部FP1および第2固定部FP2それぞれが少なくとも1つ設定されている。これらの配置により、回転軸20の周方向Drtにおけるバネ定数を含むバネ特性のバラツキが抑制されている。
【0063】
一対のバネ部611、612は、
図3に示すように、その断面が矩形状となる板バネで構成されている。本例の一対のバネ部611、612は、所望のバネ定数が得られるように、例えば、2~4mm程度の厚みに設定されている。なお、一対のバネ部611、612は、板バネに限定されない。一対のバネ部611、612は、例えば、
図4に示すように、その断面が円形状となる棒バネで構成されていてもよい。
【0064】
一対のバネ部611、612は、バネ接続部613を介して互いに接続されている。
一対のバネ部611、612は、バネ接続部613を介して接続されることで互いの位置関係が規定されている。このため、バネ接続部613は、一対のバネ部611、612の位置を規定する位置規定部としての機能を果たしている。バネ接続部613は、内部構造体STと干渉しないように、回転軸20の軸方向Daxにおいてフランジ部123と重なり合う大きさとされている。
【0065】
ここで、
図5は、圧縮機1の騒音特性を示している。車両に搭載される圧縮機1は、通常、10~180[Hz]の周波数帯で使用されるが、この周波数帯の振動に起因する騒音は車室内で顕著となる傾向がある。また、車両に搭載される圧縮機1は、800[Hz]以上の周波数帯で生ずる振動が車室外で顕著となる傾向がある。
【0066】
これらを踏まえ、本実施形態の圧縮機1の防振バネ61は、10~180[Hz]の周波数帯および800[Hz]以上の周波数帯を避けた周波数帯で共振するようにバネ定数が設定されている。防振バネ61は、共振周波数が300~500[Hz]の周波数帯となるように、バネ定数が設定されていることが望ましい。例えば、圧縮機1の重量が10kgの場合、防振バネ61のバネ定数は、共振周波数が300~500[Hz]の周波数帯となるように、35.5~98.7[kN/mm]に設定される。このような範囲に、防振バネ61のバネ定数を設定すれば、圧縮機1の一次振動での共振を避けつつ、高い周波数での振動の抑制効果を得ることができる。
【0067】
なお、本発明者らは、外部ハウジングと内部構造体STとが直に接触しないように両者の間に弾性ゴムを挟み込んで回転軸20の軸方向Daxに撓ませることで、内部構造体STの振動が外部ハウジングへ伝わることを抑える防振構造を検討した。しかし、検討した防振構造において、弾性ゴムのバネ定数を35.5~98.7[kN/mm]に設定することが実際には難しく、防振機能を適切に発揮させることが困難であった。
【0068】
これに対して、本案の防振部材60は、防振バネ61が回転軸20の軸方向Daxにおいて外部ハウジングの内面と内部構造体STの外面とで挟まれて撓むことはない構造になっており、防振バネ61のバネ定数を任意に設定することができる。
【0069】
次に、圧縮機1の作動について説明する。圧縮機1は、図示しないインバータから電動モータ50のステータ54に電力が供給されると、ロータ52および回転軸20が回転するとともに、旋回スクロール34が回転軸20に対して公転運動する。これにより、圧縮部30が駆動されることで、蒸発器を通過した低温低圧の冷媒が吸込口からハウジング10の内側に吸い込まれる。
【0070】
具体的には、冷媒は、モータハウジング12と内部ハウジング16と間に形成される隙間空間164等に流れた後、固定スクロール32の外周側に形成された冷媒吸引口320を介して作動室31に吸入される。作動室31に供給された冷媒は、作動室31の容積の減少に伴って圧縮される。作動室31内の圧力がリード弁の開弁圧に達すると、作動室31で圧縮された冷媒が固定スクロール32の冷媒出口穴323からマフラ室361に吐出される。マフラ室361に吐出された冷媒は、吐出プレート36に設けられた吐出穴362および吐出ハウジング14に設けられた外部導出穴143を介して圧縮機1の外部に吐出される。
【0071】
ここで、電動モータ50は、ロータ52に設けられた永久磁石の磁界と、ステータ54に設けられたコイル542に流れる電流との相互作用により発生する電磁力によってステータ54に振動が生じる。また、圧縮部30は低温低圧の冷媒を作動室31で圧縮し高温高圧の冷媒にして吐き出す。この圧縮部30は、回転軸20の軸心CLに対して、アンバランスが極力ゼロになるように仕様を決めるが、実際のモノのでき栄えでは、完全に重心を合わしてアンバランスをゼロにすることが難しく、バラツキをもつことがある。このようなバラツキに起因して、回転軸20の軸心CLに対してアンバランスが生ずることで振動が発生する。さらに、圧縮部30は、作動室31の容積が減少する過程で、冷媒を圧縮する。その際、作動室31を形成する固定スクロール32と旋回スクロール34の歯側面の接触点が、各スクロール32、34の渦巻の精度もバラツキによって、滑らかに移動せず、微小に断続的な移動をするため、振動が生じる。
【0072】
このように内部構造体STは、圧縮機1の作動時に振動する。このような振動がモータハウジング12および吐出ハウジング14からなる外部ハウジングに伝わると、外部への放射される音や振動が大きくなってしまう。
【0073】
これに対して、本実施形態の圧縮機1は、防振部材60を介して、内部構造体STとモータハウジング12とを接続している。このため、防振部材60によって圧縮部30および電動モータ50で生ずる振動が外部ハウジングに伝達されることを抑制することができる。その結果、外部ハウジングから周辺の空気への振動伝達、すなわち騒音の放射を抑制して、静粛性を確保することが可能となる。
【0074】
加えて、防振部材60を構成する防振バネ61は、内部構造体STとの接続部位である第2固定部FP2が回転軸20の軸方向Daxにおいて外部ハウジングとの接続部位である第1固定部FP1と重なり合わない位置に設けられている。これによると、防振バネ61を構成するバネ部611、612を第1固定部FP1および第2固定部FP2に接続した際に、バネ部611、612が回転軸20の軸方向Daxにおいて外部ハウジングの内面と内部構造体STの外面とで挟まれて撓むことがない。このため、本案の構造では、バネ定数の設定に制約がなく、バネ部611、612のバネ定数を任意に設定することができる。
【0075】
したがって、本実施形態の圧縮機1によれば、防振バネ61のバネ定数を所望の値に設定可能となるので、防振機能を適切に発揮させて、外部への振動伝達を抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態の圧縮機1は、以下の特徴を備える。
【0077】
(1)第1固定部FP1および第2固定部FP2それぞれは、外部ハウジングおよび内部構造体STを回転軸20の周方向Drtに均等に分けた三つの領域AR1、AR2、AR3に対して、少なくとも1つ設定されている。これによると、外部ハウジングおよび内部構造体STが、回転軸20の周方向Drtの三つの領域AR1、AR2、AR3でバネ部611、612を介して接続され、各バネ部611、612のバネ定数のバラツキを抑えることができる。このため、内部構造体STの振動が外部ハウジングに伝わることを抑制することができる。
【0078】
(2)圧縮部30は、回転軸20の軸方向Daxにおいて電動モータ50とは反対側に位置する圧縮側端部に、圧縮後の流体を吐出する吐出穴362を有する吐出部363が設けられている。また、外部ハウジングは、回転軸20の軸方向Daxにおいて吐出部363と重なり合う部位に、冷媒を外部ハウジングの外側に導出させる外部導出穴143が形成された導出部144が設けられている。そして、吐出部363と導出部144とは、シール部材38を介して回転軸20の軸方向Daxに接続されている。
【0079】
このように、圧縮部30の吐出部363と、外部ハウジングの導出部144とがシール部材38を介して接続されていれば、圧縮部30で圧縮された冷媒が外部ハウジングと内部構造体STとの隙間に漏れることが抑制される。加えて、吐出部363および導出部144がシール部材38を介して接続されていれば、吐出部363および導出部144の接続部分を介して内部構造体STの振動が外部ハウジングに伝わることが抑制される。
【0080】
(3)第2固定部FP2は、圧縮側端部を構成する吐出プレート36に設定されている。これによると、バネ部611、612が圧縮側端部に接続される構造となり、内部構造体STの振動による吐出部363と導出部144との相対的な変位が抑えられる。このため、圧縮部30で圧縮された流体が外部ハウジングと内部構造体STとの隙間に漏れることが抑制される。
【0081】
(4)シール部材38は、吐出部363および導出部144の一方における他方と対向する対向部分に配設されたシールリング381を含んでいる。このように、圧縮部30の吐出部363と外部ハウジングの導出部144とが、シールリング381を介して接続されていれば、圧縮部30で圧縮された流体が外部ハウジングと内部構造体STとの隙間に漏れることが抑制される。
【0082】
ここで、シールリング381は、導出部144と吐出部363との相対変位が生じたとしても、Oリングのたわみ代が推奨値(例えば、8~30%)となるように、防振バネ61のバネ定数とともにOリングの線径が選定されていることが望ましい。
【0083】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の防振バネ61は、一対のバネ部611、612がバネ接続部613で接続されているものを例示したが、これに限定されない。防振バネ61は、一対のバネ部611、612、バネ接続部613が別体で構成されていてもよい。また、防振バネ61は、バネ接続部613が省略されていてもよい。このことは、以降の実施形態においても同様である。
【0084】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図6を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態で説明した圧縮機1と異なる部分について主に説明する。
【0085】
図6に示すように、本実施形態の防振部材60は、3つの防振バネ61A、61B、61Cを備えている。3つの防振バネ61A、61B、61Cは、回転軸20の周方向Drtに等間隔をあけて配設されている。本例の防振バネ61A、61B、61Cは、形状や材質について第1実施形態で説明したものと共通している。
【0086】
防振バネ61は、板状に形成された一対のバネ部611、612、一対のバネ部611、612同士を接続するバネ接続部613を有している。バネ部611、612は、一端側が外部ハウジングの第1固定部FP1に接続され、他端側が内部構造体STの第2固定部FP2に接続されている。
【0087】
第1固定部FP1は、フランジ部123に6箇所設定されている。また、第2固定部FP2は、吐出プレート36に6箇所設定されている。複数の第2固定部FP2は、回転軸20の軸心CLを中心に対称となるように所定の間隔をあけて配置されている。また、外部ハウジングと内部構造体STとを回転軸20の周方向Drtに均等に分けた三つの領域AR1、AR2、AR3に対して第1固定部FP1および第2固定部FP2それぞれが少なくとも1つ設定されている。これらの配置により、回転軸20の周方向Drtにおけるバネ定数を含むバネ特性のバラツキが抑制されている。
【0088】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の圧縮機1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0089】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の防振部材60は、3つ防振バネ61で構成されているものを例示したが、これに限定されない。防振部材60は、5つ以上の防振バネ61で構成されていてもよい。また、防振部材60は、複数の防振バネ61が一体の部品として構成されていてもよい。
【0090】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、
図7~
図9を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態で説明した圧縮機1と異なる部分について主に説明する。
【0091】
図7、
図8に示すように、シール部材38は、第1実施形態で説明したシールリング381の代わりに、ジョイントパイプ382、第1シールリング383、第2シールリング384、第1バックアップリング385、第2バックアップリング386を備える。
【0092】
ジョイントパイプ382は、吐出穴362および外部導出穴143の双方に挿通される円筒形状のパイプである。ジョイントパイプ382の内側には、圧縮部30から吐出された冷媒の流通路となる流路穴382aが形成されている。
【0093】
ジョイントパイプ382は、その外径が、吐出穴362および外部導出穴143との間に隙間が形成される程度の大きさとされている。具体的には、ジョイントパイプ382は、吐出穴362に挿通される部位の外径が吐出穴362の内径よりも小さく、且つ、外部導出穴143に挿通される部位の外径が外部導出穴143の内径よりも小さくなっている。
【0094】
本実施形態のジョイントパイプ382は、吐出穴362に挿通される第1挿通部382b、外部導出穴143に挿通される第2挿通部382c、第1挿通部382bおよび第2挿通部382cを繋ぐ中間部382dを有している。
【0095】
中間部382dは、吐出穴362および外部導出穴143の双方を跨ぐ部位である。中間部382dの外径は、第1挿通部382bの外径および第2挿通部382cの外径よりも大きくなっている。
【0096】
第1シールリング383は、ジョイントパイプ382と吐出穴362との間に配置されている。第1シールリング383は、吐出穴362における第1挿通部382bと対向する部位に形成された第1溝部362aに配置されたOリングである。第1溝部362aは、吐出穴362における第1挿通部382bが挿入される開口部分において内径が拡大された部位である。第1溝部362aには、ジョイントパイプ382と吐出穴362との隙間への第1シールリング383のはみ出しを抑える第1バックアップリング385が配置されている。第1バックアップリング385は、第1シールリング383と中間部382dとの間に配置されている。
【0097】
第2シールリング384は、ジョイントパイプ382と外部導出穴143との間に配置されている。第2シールリング384は、外部導出穴143における第2挿通部382cと対向する部位に形成された第2溝部143aに配置されたOリングである。第2溝部143aは、外部導出穴143における第2挿通部382cが挿入される開口部分において内径が拡大された部位である。第2溝部143aには、ジョイントパイプ382と外部導出穴143との隙間への第2シールリング384のはみ出しを抑える第2バックアップリング386が配置されている。第2バックアップリング386は、第2シールリング384と中間部382dとの間に配置されている。
【0098】
ここで、ジョイントパイプ382は、吐出穴362とのクリアランスおよび外部導出穴143とのクリアランスそれぞれが、内部構造体STの振動による吐出部363と導出部144との相対的な変位量の最大値ΔDPよりも大きくなるように設定されている。
【0099】
図8は、ジョイントパイプ382の中間部382dが、吐出穴362の中心および外部導出穴143の中心と同軸となる状態を示している。
図9は、内部構造体STの振動による吐出部363と導出部144との相対的な変位量の最大となった状態を示している。
図8における中間部382dと吐出穴362および外部導出穴143それぞれとのクリアランスの最大値Cmaxは、内部構造体STの振動による吐出部363と導出部144との相対的な変位量の最大値ΔDPよりも大きくなるように設定されている。なお、上記の“相対的な変位量の最大値ΔDP”は、例えば、内部構造体STが防振バネ61で接続される振動系の運動方程式から想定される内部構造体STの変位量に基づいて求めることができる。
【0100】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の圧縮機1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0101】
また、本実施形態の圧縮機1は、以下の特徴を備える。
【0102】
(1)シール部材38は、吐出穴362および外部導出穴143の双方に挿通されたジョイントパイプ382を含んでいる。また、シール部材38は、ジョイントパイプ382と吐出穴362と間に配置される第1シールリング383、ジョイントパイプ382と外部導出穴143と間に配置される第2シールリング384を含んでいる。このように、吐出部363と導出部144とが、ジョイントパイプ382、第1シールリング383、第2シールリング384を介して接続されていれば、圧縮部30で圧縮された冷媒が外部ハウジングと内部構造体STとの隙間に漏れることが抑制される。
【0103】
(2)本実施形態のジョイントパイプ382は、吐出穴362に挿通される部位の外径が吐出穴362の内径よりも小さく、且つ、外部導出穴143に挿通される部位の外径が外部導出穴143の内径よりも小さくなっている。シール部材38は、吐出穴362とジョイントパイプ382との隙間への第1シールリング383のはみ出しを抑える第1バックアップリング385を含んでいる。また、シール部材38は、外部導出穴143とジョイントパイプ382との隙間への第2シールリング384のはみ出しを抑える第2バックアップリング386を含んでいる。これよれば、高圧の冷媒による第1シールリング383、第2シールリング384の変形によるシール機能の低下を抑えることができるので、圧縮部30で圧縮された冷媒が外部ハウジングと内部構造体STとの隙間に漏れることが抑制される。
【0104】
(3)ジョイントパイプ382は、吐出穴362とのクリアランスおよび外部導出穴143とのクリアランスそれぞれが、内部構造体STの振動による吐出部363と導出部144との相対的な変位量の最大値ΔDPよりも大きくなるように設定されている。これによると、内部構造体STの振動によって、吐出部363と導出部144との相対的な変位量が大きくなったとしても、ジョイントパイプ382の変位量が抑えられる。このため、圧縮部30で圧縮された冷媒が外部ハウジングと内部構造体STとの隙間に漏れることを適切に抑えることができる。
【0105】
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態の如く、シール部材38は、第1バックアップリング385および第2バックアップリング386を含んでいることが望ましいが、そのようになっていなくてもよい。
【0106】
また、ジョイントパイプ382は、吐出穴362や外部導出穴143とのクリアランスが、吐出部363と導出部144との相対的な変位量の最大値ΔDPよりも大きくなるように設定されていることが望ましいが、そのようになっていなくてもよい。
【0107】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、
図10~
図12を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態で説明した圧縮機1と異なる部分について主に説明する。
【0108】
図10に示すように、本実施形態のモータハウジング12は、フランジ部123が省略されている。モータハウジング12は、第1外周壁部122が吐出ハウジング14の第2外周壁部142と略同等の外径および内径とされている。本実施形態の外部ハウジングは、モータハウジング12のフランジ部123が省略されていることで、回転軸20の径方向Drにおける体格が第1実施形態で説明したものよりも小型になっている。
【0109】
また、本実施形態の防振部材60は、
図11に示すように、単体の防振バネ61の代わりに、外部ハウジングで使用されるガスケットGKTと一体の部品として構成されている。防振部材60は、円環形状のプレート部材62によって構成されている。プレート部材62は、外径が、モータハウジング12の第1外周壁部122および吐出ハウジング14の第2外周壁部142の外径と略同等の大きさになっている。
【0110】
プレート部材62は、外周部分がモータハウジング12と吐出ハウジング14とで挟持されることで固定され、内周部分が吐出プレート36における吐出ハウジング14と対向する端面に固定されている。
【0111】
プレート部材62は、外部ハウジングで通常使用されるガスケットよりも厚みが大きくなっている。プレート部材62は、例えば、0.5~1.0mm程度の厚みを有している。なお、外部ハウジングで通常使用されるガスケットは、0.25mm程度の厚みを有している。これにより、プレート部材62は、外周部分と内周部分との間の中間部分がバネとして機能するように構成されている。
【0112】
具体的には、
図12に示すように、プレート部材62は、外部ハウジングのガスケットGKTとしての機能を果たすシール部621、プレート部材62を内部構造体STに固定する取付部622、板状に形成された複数のバネ部623を備える。
【0113】
シール部621は、プレート部材62のうちモータハウジング12と吐出ハウジング14とで挟持される外周部位である。シール部621は、第1外周壁部122の開口側の端面と第2外周壁部142の開口側の端面とで挟持される。
【0114】
取付部622は、プレート部材62のうち吐出プレート36に固定される内周部位である。取付部622は、吐出プレート36のうち吐出ハウジング14に対向する端面に対してボルトBTによって固定されている。取付部622は、その外周側が複数のバネ部623によってシール部621の内周側に接続されている。
【0115】
複数のバネ部623は、シール部621と取付部622とを接続する中間部位である。複数のバネ部623は、回転軸20の周方向Drtに一定の間隔をあけて放射状に設定されている。本実施形態のプレート部材62には、8つのバネ部623が設定されている。なお、バネ部623の数は、8つに限定されず、任意の数に設定することができる。
【0116】
このように構成されるプレート部材62は、円環形状の板材の中間部位に円弧形状の貫通穴を複数形成することによって得ることができる。また、プレート部材62は、第1実施形態の防振バネ61と同様に、10~180[Hz]の周波数帯および800[Hz]以上の周波数帯を避けた周波数帯で共振するようにバネ定数が設定されている。プレート部材62は、共振周波数が300~500[Hz]の周波数帯となるように、バネ定数が設定されていることが望ましい。このような範囲に、プレート部材62のバネ定数を設定すれば、圧縮機1の一次振動での共振を避けつつ、高い周波数での振動の抑制効果を得ることができる。
【0117】
なお、本実施形態では、モータハウジング12および吐出ハウジング14において互いに突き合わされる部位が、外部ハウジングにおいてバネ部623が固定される第1固定部FP1を構成している。また、吐出プレート36のうち吐出ハウジング14と対向する部位が、内部構造体STにおいてバネ部623が固定される第2固定部FP2を構成している。
【0118】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の圧縮機1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0119】
また、本実施形態の圧縮機1は、以下の特徴を備える。
【0120】
(1)防振部材60を構成する複数のバネ部623が、外部ハウジングで使用されるガスケットGKTと一体の部品として構成されている。このように、バネ部623とガスケットGKTとを一体の部品として構成すれば、部品点数を抑えた簡素な態様で防振構造を実現することができる。
【0121】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、
図13、
図14を参照して説明する。本実施形態では、第4実施形態で説明した圧縮機1と異なる部分について主に説明する。
【0122】
図13に示すように、防振部材60は、外部ハウジングおよび内部構造体STの双方で使用されるガスケットGKT1、GKT2と一体の部品として構成されている。防振部材60は、円環形状のプレート部材63によって構成されている。プレート部材63は、外径が、モータハウジング12の第1外周壁部122および吐出ハウジング14の第2外周壁部142の外径と略同等の大きさになっている。プレート部材63は、第4実施形態で説明したものと同様に、通常使用されるガスケットよりも厚みが大きくなっている。
【0123】
プレート部材63は、外周部分がモータハウジング12と吐出ハウジング14とで挟持されることで固定され、内周部分が吐出プレート36と固定スクロール32とで挟持されることで固定されている。
【0124】
図14に示すように、プレート部材63は、外部ハウジングのガスケットGKT1としての機能を果たす第1シール部631、内部構造体STのガスケットGKT2としての機能を果たす第2シール部632、板状に形成された複数のバネ部633を備える。
【0125】
第1シール部631は、プレート部材63のうちモータハウジング12と吐出ハウジング14とで挟持される外周部位である。第1シール部631は、第1外周壁部122の開口側の端面と第2外周壁部142の開口側の端面とで挟持される。
【0126】
第2シール部632は、固定スクロール32と吐出プレート36とで挟持される内周部位である。第2シール部632は、固定スクロール32および吐出プレート36における互いに対向する端面によって挟持される。第2シール部632は、その外周側が複数のバネ部633によって第1シール部631の内周側に接続されている。
【0127】
複数のバネ部633は、第1シール部631と第2シール部632とを接続する中間部位である。複数のバネ部633は、回転軸20の周方向Drtに一定の間隔をあけて放射状に設定されている。本実施形態のプレート部材63には、8つのバネ部633が設定されている。なお、バネ部633の数は、8つに限定されず、任意の数に設定することができる。
【0128】
このように構成されるプレート部材63は、円環形状の板材の中間部位に円弧形状の貫通穴を複数形成することによって得ることができる。また、プレート部材63は、第4実施形態で説明したものと同様にバネ定数が設定されている。なお、本実施形態では、モータハウジング12および吐出ハウジング14において互いに突き合わされる部位が、外部ハウジングにおいてバネ部633が固定される第1固定部FP1を構成している。また、吐出プレート36および固定スクロール32において互いに突き合わされる部位が、内部構造体STにおいてバネ部633が固定される第2固定部FP2を構成している。
【0129】
その他については、第4実施形態と同様である。本実施形態の圧縮機1は、第4実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0130】
また、本実施形態の圧縮機1は、以下の特徴を備える。
【0131】
(1)防振部材60を構成する複数のバネ部633が、外部ハウジングおよび内部構造体STの双方で使用されるガスケットGKT1、GKT2と一体の部品として構成されている。このように、バネ部623とガスケットGKT1、GKT2とを一体の部品として構成すれば、部品点数を抑えた簡素な態様で防振構造を実現することができる。
【0132】
(第4実施形態の変形例)
第4実施形態の防振部材60は、外部ハウジングおよび内部構造体STの双方で使用されるガスケットGKT1、GKT2と一体の部品として構成されているが、これに限定されない。防振部材60は、例えば、内部構造体STで使用されるガスケットGKT2と一体の部品として構成されていてもよい。
【0133】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0134】
第1実施形態の如く、バネ部611、612は、外部ハウジングおよび内部構造体STを回転軸20の周方向Drtに均等に分けた三つの領域AR1、AR2、AR3にそれぞれが少なくとも1つ設定されていることが望ましいが、そのようになっていなくてもよい。このことは、第1実施形態以外においても同様である。
【0135】
第1、第3実施形態の如く、吐出部363と導出部144は、シール部材38を介して接続されていることが望ましいが、そのようになっていなくてもよい。このことは、第1、第3実施形態以外においても同様である。
【0136】
第1実施形態の如く、バネ部611、612は、その端部が圧縮側端部を構成する吐出プレート36に固定されていることが望ましいが、これに限定されない。バネ部611、612は、例えば、内部構造体STにおける圧縮部30と電動モータ50との接続箇所に固定されていたり、内部構造体STにおける電動モータ50側の端部に固定されていたりしてもよい。
【0137】
上述の実施形態では、防振部材60を構成する防振バネ61が、外部ハウジングや内部構造体STに対してボルトBTによって固定される例を説明したが、これに限定されず、他の締結手段によって固定されていてもよい。第1固定部FP1と第2固定部FP2とが回転軸20の径方向Drにおいてずれた位置に配置されているものを例示したが、これに限定されない。第1固定部FP1と第2固定部FP2とが回転軸20の周方向Drtにおいてずれた位置に配置されていてもよい。
【0138】
内部ハウジング16は、略カップ形状にものに限定されず、例えば、円筒形状のもので構成されていてもよい。また、内部ハウジング16は、ステータ54と同種の金属材料で構成されていることが望ましいが、これに限定されず、例えば、ステータ54とは異種の金属材料で構成されていてもよい。内部ハウジング16は、その一部が軸方向Daxにおいてモータハウジング12に接していてもよい。
【0139】
第1軸受部411および第2軸受部17は、滑り軸受ではなく、例えば、転がり軸受で構成されていてもよい。また、第2軸受部17は、内部ハウジング16以外の要素に設けられていてもよい。
【0140】
圧縮機1の圧縮部30は、固定スクロール32および旋回スクロール34を有するスクロール型のものに限定されず、例えば、ピストン型、ベーン型のもので構成されていてもよい。圧縮部30は、その一部が軸方向Daxにおいて外部ハウジングに接していてもよい。
【0141】
上述の実施形態では、ハウジング10における電動モータ50が配置される空間が、低圧、且つ、低温の雰囲気となっているものを例示したが、圧縮機1は、このようなものに限定されない。例えば、圧縮機1は、圧縮部30から吐出された冷媒がハウジング10における電動モータ50が配置される空間に導入され、当該空間が高圧、且つ、高温の雰囲気となっていてもよい。このような構造とする場合、内部構造体STにおける冷媒の吸引部と外部ハウジングにおける冷媒の導入部とがOリングや接続パイプ等のシール部材38を介して接続される構造になっていることが望ましい。
【0142】
上述の実施形態では、車両用空調装置に適用される圧縮機1について説明したが、これに限定されず、圧縮機1は、他の空調装置、各種機器の温調装置等にも適用可能である。また、圧縮機1は、圧縮部30と電動モータ50とが略水平方向に並ぶ姿勢で設置される横置構造になっているものに限定されない。
【0143】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0144】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0145】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【符号の説明】
【0146】
1 圧縮機(電動圧縮機)
12 モータハウジング(外部ハウジング)
14 吐出ハウジング(外部ハウジング)
30 圧縮部
50 電動モータ
60 防振部材
611、612 バネ部
ST 内部構造体