(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127088
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】浴槽用椅子
(51)【国際特許分類】
A47K 3/12 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A47K3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035964
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】523039754
【氏名又は名称】株式会社メイセイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 僚也
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132DA08
(57)【要約】
【課題】構成が簡単で座りやすい浴槽用椅子を提供する。
【解決手段】浴槽用椅子1は、筒状部2と、筒状部2の一端を閉塞する天板部3とからなり、天板部3は、一方向に延びた小山部3aと、小山部3aよりも断面の輪郭が大きく小山部3aに対して平行に延びた大山部3bと、小山部3aと大山部3bとの間で小山部3a及び大山部3bに対して平行に延びた谷部3cとを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部と、前記筒状部の一端を閉塞する天板部とからなり、
前記天板部は、一方向に延びた小山部と、前記小山部よりも断面の輪郭が大きく前記小山部に対して平行に延びた大山部と、前記小山部と前記大山部との間で前記小山部及び前記大山部に対して平行に延びた谷部とを有することを特徴とする浴槽用椅子。
【請求項2】
前記筒状部における前記天板部と反対側の端縁部に滑止部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽用椅子。
【請求項3】
前記天板部の高さが前記一方向において同じであることを特徴とする請求項1に記載の浴槽用椅子。
【請求項4】
前記天板部の高さが前記一方向において中央部分が他の部分よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の浴槽用椅子。
【請求項5】
前記筒状部は角筒形状であり、
前記筒状部を構成する4つの側壁のうち、前記大山部側に位置する側壁の端縁部、前記大山部を挟む2つの側壁の端縁部の少なくとも1つに切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の浴槽用椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽用椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽内で使用するための浴槽用椅子が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来の浴槽用椅子は、座面が平坦で座りにくく、構成が複雑であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、構成が簡単で座りやすい浴槽用椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、
筒状部と、前記筒状部の一端を閉塞する天板部とからなり、
前記天板部は、一方向に延びた小山部と、前記小山部よりも断面の輪郭が大きく前記小山部に対して平行に延びた大山部と、前記小山部と前記大山部との間で前記小山部及び前記大山部に対して平行に延びた谷部とを有することを特徴とする浴槽用椅子を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、構成が簡単で座りやすい浴槽用椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1(a)は本発明の実施形態に係る浴槽用椅子の正面図、
図1(b)は浴槽用椅子の背面図、
図1(c)は浴槽用椅子の上面図、
図1(d)は浴槽用椅子の底面図である。
【
図2】
図2(a)は浴槽用椅子の側面図、
図2(b)は浴槽用椅子の
図2(a)と反対側の側面図、
図2(c)は
図2(a)の2A-2A断面図、
図2(d)は
図2(b)の2B-2B断面図である。
【
図3】
図3(a)は
図1(b)の1B-1B断面図、
図3(b)は
図1(a)の1A-1A断面図、
図3(c)は浴槽用椅子の斜視図、
図3(d)は浴槽用椅子における筒状部の端縁部の拡大断面図である。
【
図4】
図4(a)は浴槽内で浴槽用椅子を使用した様子を示す図、
図4(b)は浴槽内で浴槽用椅子を前後逆向きで使用した様子を示す図、
図4(c)は浴槽用椅子を洗面器としてお湯を入れて使用する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る浴槽用椅子を添付図面に基づいて説明する。
図1(a)~
図3(d)に示す本発明の実施形態に係る浴槽用椅子1は、半身浴等のために浴槽内で使用可能な椅子であり、筒状部2と、筒状部2の一端を閉塞する天板部3とからなる。
【0010】
筒状部2は、プラスチック製であって、
図1(d)に示すように、断面が丸みを帯びた正方形の角筒状部材からなる。筒状部2は、対向する側壁同士の間隔、詳しくは側壁2aと側壁2cの間隔及び側壁2bと側壁2dの間隔が天板部3へ向かうにしたがって小さくなっており、
図1(a)及び
図2(a)に示すように側方から見て台形状をしている。筒状部2の角部分、即ち側壁同士の接続部分は、
図1(c)に示すように角張らないように湾曲して丸みを帯びた形状になっている。
【0011】
筒状部2において天板部3と反対側の端縁部4には、
図3(d)に示すように径方向外側へ突出したフランジ2eが端縁部4を一周するように一体的に設けられている。フランジ2eは、断面が半円形状をしており、フランジ2e全体を覆うように滑止部材5が取り付けられている。滑止部材5は、ゴム製の細長い円環状部材からなり、内径側には周方向へ延びたU字状の溝部5aが形成されている。この溝部5aに筒状部2のフランジ2eが嵌め込まれることにより、フランジ2eに対する滑止部材5の取り付けがなされている。
【0012】
斯かる滑止部材5を筒状部2の端縁部4に取り付けたことにより、使用者が浴槽用椅子1を浴槽内で使用する際に、浴槽の底面で浴槽用椅子1が滑ること、筒状部2の端縁部4が浴槽に接触して傷付けてしまうことを防止できる。また、浴槽用椅子1を後述するように浴室の洗い場で椅子として使用する際には、筒状部2の端縁部4が洗い場の床面に接触して傷付けてしまうこと、音を発生させてしまうことを防止できる。
【0013】
天板部3は、筒状部2と同じプラスチック製であって、筒状部2に一体的に備えられている。
図2(a)に示すように天板部3は、
図2(a)紙面垂直方向へ平行に延びた大きさの異なる2つの山部である小山部3a及び大山部3bと、小山部3aと大山部3bとの間に設けられた谷部3cとから構成されている。
【0014】
小山部3aは、半円柱形状をしており、天板部3において側壁2a側の端部に設けられている。大山部3bは、断面の輪郭が小山部3aよりも径の大きな半円柱形状をしており、小山部3aに対向するように天板部3の側壁2c側の端部に設けられている。小山部3a及び大山部3bの長手方向(
図2(a)紙面垂直方向)における両端部分は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように角張らないように湾曲して丸みを帯びた形状になっている。
【0015】
谷部3cは、小山部3a及び大山部3bと同じ方向へ延びた底の浅い緩やかなU字状の溝からなり、天板部3において小山部3aの稜線と大山部3bの稜線に連なるように小山部3a及び大山部3bに対して一体的に設けられている(
図2(a)及び
図2(b)を参照)。
【0016】
斯かる小山部3a、大山部3b及び谷部3cによって天板部3を構成したことにより、使用者が天板部3に腰かけた際に、使用者の臀部が小山部3aと大山部3bとの間に収まり、天板部3は使用者の臀部の形状にフィットすることができる。そしてこれにより、天板部3で使用者の臀部を適切に支持することができ、かつ使用者の快適な座り心地を実現することができる。
【0017】
図3(a)に示すように、天板部3は中実で筒状部2よりも肉厚になっており、天板部3の内側面は平面になっている。この構造により、天板部3を頑丈にすることができ、使用者が天板部3に腰かけた際に天板部3が使用者の荷重により変形してしまうことを防ぐことができる。
【0018】
なお、天板部3は中空としてもよい、即ち天板部3の内側面が小山部3a及び大山部3bの内側部分において谷部、谷部3cの内側部分において緩やかな山部となるようにしてもよい。この構造により、浴槽用椅子1の軽量化を図ることができる。また、浴槽用椅子1を後述するように洗面器としてお湯を入れて使用する際に、容量を十分に確保することができる。
【0019】
天板部3は、
図2(c)及び
図2(d)に示すように、表面の高さHが小山部3a、大山部3b及び谷部3cの長手方向(
図2(c)及び
図2(d)の左右方向、以下「長手方向」と称する)において同じになっている。そしてこのことは長手方向に直交する方向(
図2(c)及び
図2(d)の紙面垂直方向)における天板部3のいずれの位置においても満足されている。この構造により、例えば浴槽用椅子1が浴室内の洗い場の床面に置かれた際に、天板部3に付着したお湯は長手方向外側へ流れ落ちることとなる。したがって、天板部3にお湯が溜まることがないため、天板部3に水垢、ぬめり、カビ等が生じることを抑制することができる。
【0020】
なお、天板部3の表面の高さHは、天板部3の長手方向における中央部分が他の部分よりも高くなるようにしてもよい。詳しくは、長手方向において天板部3の中央部分を緩やかな山形状とすることにより、天板部3に付着したお湯が長手方向外側へより効果的に流れ落ちることとなる。
【0021】
以上に述べた構成の浴槽用椅子1の使用について述べる。
図4(a)に示すように、使用者は浴槽用椅子1を浴槽内に配置し、大山部3bが使用者の背中側に位置するように浴槽用椅子1に腰かけることで、安定した楽な姿勢で腰の負担を軽減しつつ快適な座り心地を浴槽内で得ることができる。また、使用者は、
図4(b)に示すように小山部3aが使用者の背中側に位置するように浴槽用椅子1に腰かけることもでき、
図4(a)の場合と同様に快適な座り心地を浴槽内で得ることができる。したがって、使用者は座り心地の好みに応じて
図4(a)と
図4(b)の座り方を適宜選択することもできる。
【0022】
使用者は、浴槽用椅子1を、前述のような浴槽内での使用に限られず、浴室の洗い場において椅子として使用することもできる。洗い場で浴槽用椅子1を使用することにより、使用者は臀部を天板部3で安定して支持されるため、前方へ体重をかけてもバランスを崩しにくく、楽な体勢を保ちながら髪や体を洗うことができる。
【0023】
さらに使用者は、浴槽用椅子1を、上下方向の向きを反転させることにより、浴室の洗い場等において洗面器として使用することもできる。
【0024】
浴槽用椅子1は、先に述べたように筒状部2の側壁2a~2d同士の接続部分や小山部3a及び大山部3bの長手方向における両端部分が丸みを帯びた形状になっており、浴槽用椅子1全体として角張った箇所がない。このため、使用者は浴槽用椅子1を安全に取り扱いやすく、特に浴槽用椅子1を洗面器として使用する際に筒状部2を持ちやすい。また、使用者は浴槽用椅子1の外側面も内側面も洗いやすい。
【0025】
浴槽用椅子1において、筒状部2と天板部3の接続部分、小山部3aと谷部3cと大山部3bの接続部分、及び筒状部2の側壁2a~2d同士の接続部分は、いずれも継ぎ目がなく滑らかな曲面となっている。このため、これらの接続部分においてカビ等が発生しにくい。また、使用者は浴槽用椅子1を洗いやすく手入れもしやすい。
【0026】
浴槽用椅子1の筒状部2及び天板部3を構成するプラスチックには、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、アクリル樹脂等を用いることができる。特に、ポリプロピレンは浴槽用椅子1を丈夫で軽量かつ安価に製造できるため好ましい。なお、当該プラスチックには抗菌、防カビ加工を施すことがさらに好ましい。
【0027】
浴槽用椅子1は、上述した構成に限られるものでなく、筒状部2の端縁部4に例えば半円状、V字状、U字状、矩形状等の切欠部を少なくとも1つ備える構成としてもよい。この構成により、浴槽内に浴槽用椅子1が置かれた際に、お湯が切欠部から浴槽用椅子1内外へ流動できるため、浴槽用椅子1が浴槽の底面に張り付いてしまうことを防止できる。また、洗い場に浴槽用椅子1が置かれた際に、空気が切欠部から浴槽用椅子1の内部へ流通できるため、浴槽用椅子1の内部の湿気を外部に逃がすことができ、カビ等の発生を防ぐことができる。
【0028】
特に、切欠部は側壁2cに2つ並んで設けたり、側壁2b、2dに対向するように1つずつ設けることが好ましい。この構成により、浴槽用椅子1を洗面器として使用する際に、切欠部からお湯が流出することがなく、容量を十分に確保することができる。
【0029】
以上に述べた実施形態によれば、洗面器としても洗い場用の椅子としても使用可能であり、構成が簡単で安価かつ座りやすい浴槽用椅子を実現することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 浴槽用椅子
2 筒状部
2a~2d 筒状部の側壁
2e フランジ
3 天板部
3a 小山部
3b 大山部
3c 谷部
4 筒状部の端縁部
5 滑止部材
5a 溝部