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特開2024-127091社会参加支援装置、及び社会参加支援方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127091
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】社会参加支援装置、及び社会参加支援方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20240912BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035974
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】野山 駿介
(72)【発明者】
【氏名】垂水 信二
(72)【発明者】
【氏名】大崎 高伸
(72)【発明者】
【氏名】伴 秀行
(72)【発明者】
【氏名】小林 薫樹
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 裕司
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】市民の社会参加を促す。
【解決手段】所定期間において複数のユーザがそれぞれ行った社会活動を示す複数の項目の情報と、複数のユーザそれぞれの生物学的な属性値の情報とを記憶する記憶装置、及び、記憶されている項目の情報及び生物学的な属性値の情報に基づき、ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報から当該ユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデルを作成するモデル作成処理と、指定されたユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報を数値モデルに入力することにより、指定されたユーザの生物学的な属性値を推定する属性値推定処理と、推定した生物学的な属性値を出力する出力処理とを実行する制御装置を備える、社会参加支援装置10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間において複数のユーザがそれぞれ行った社会活動を示す複数の項目の情報と、前記複数のユーザそれぞれの生物学的な属性値の情報とを記憶する記憶装置、及び、
前記記憶されている項目の情報及び生物学的な属性値の情報に基づき、ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報から当該ユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデルを作成するモデル作成処理と、
指定されたユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報を前記数値モデルに入力することにより、前記指定されたユーザの生物学的な属性値を推定する属性値推定処理と、
前記推定した生物学的な属性値を出力する出力処理とを実行する制御装置
を備える、社会参加支援装置。
【請求項2】
前記制御装置が、前記モデル作成処理において、前記複数のユーザの前記複数の項目に対応する各変数の合成変数を作成し、作成した合成変数と、前記複数のユーザの生物学的な属性値の平均値と、前記複数のユーザの生物学的な属性値の標準偏差とに基づき、数値モデルを作成する、
請求項1に記載の社会参加支援装置。
【請求項3】
前記記憶装置は、前記所定期間のうち複数の各期間においての、複数のユーザがそれぞれ行った社会活動を示す複数の項目の情報と、前記複数のユーザそれぞれの生物学的な属性値の情報とを記憶し、
前記制御装置は、
前記モデル作成処理において、前記記憶されている項目の情報及び生物学的な属性値の情報に基づき、ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報から当該ユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデルを、前記複数の各期間について作成し、
前記属性値推定処理において、期間の情報と、当該期間において前記指定されたユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報とを、当該期間に対応する数値モデルに入力することにより、前記指定されたユーザの生物学的な属性値を推定する、
請求項1に記載の社会参加支援装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、複数のユーザがそれぞれ行った社会活動を示す複数の項目の情報と、複数のユーザそれぞれの生物学的な属性値の情報とを、前記ユーザが属するカテゴリごとに記憶し、
前記制御装置は、
前記モデル作成処理において、前記記憶されている項目の情報及び生物学的な属性値の情報に基づき、ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報から当該ユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデルを、前記カテゴリごとに作成し、
前記属性値推定処理において、前記指定されたユーザが属するカテゴリの情報と、前記指定されたユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報とを、当該カテゴリに対応する数値モデルに入力することにより、前記指定されたユーザの生物学的な属性値を推定する、
請求項1に記載の社会参加支援装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、複数のユーザがそれぞれ行った各社会活動を示す複数の項目の情報と、前記複数のユーザそれぞれの生物学的な属性値の情報とを、前記ユーザの男女別に記憶し、
前記制御装置は、
前記モデル作成処理において、前記記憶されている項目の情報及び生物学的な属性値の情報に基づき、ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報から当該ユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデルを、男女別に作成し、
前記属性値推定処理において、前記指定されたユーザの性別の情報と、前記指定されたユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報とを、当該性別に対応する数値モデルに入力することにより、前記指定されたユーザの生物学的な属性値を推定する、
請求項4に記載の社会参加支援装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記モデル作成処理において、
前記所定期間についての数値モデルである第1数値モデルと、前記複数の各期間についての数値モデルである第2数値モデルとを作成し、
前記第1数値モデルにより算出される生物学的な属性値と、前記第2数値モデルにより算出される各期間の生物学的な属性値との相関関係を特定することにより、期間の情報と、当該期間においてユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報とから、当該期間における当該ユーザの生物学的な属性値を推定する新たな数値モデルを作成し、
前記属性値推定処理において、期間の情報と、当該期間において前記指定されたユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報とを、前記新たな数値モデルに入力することにより、前記指定されたユーザの生物学的な属性値を推定する、
請求項3に記載の社会参加支援装置。
【請求項7】
前記記憶装置は、前記所定期間において前記複数のユーザがそれぞれ外出した回数、前記複数のユーザそれぞれの外出先の数、及び前記複数のユーザそれぞれの歩数の各項目の情報と、前記複数のユーザそれぞれの年齢の情報とを記憶し、
前記制御装置は、
前記モデル作成処理において、前記記憶されている外出した回数、外出先の数、及び歩数に基づき、ユーザが外出した回数、外出先の数、及び歩数から当該ユーザの年齢を推定する数値モデルを作成し、
前記属性値推定処理において、指定されたユーザが外出した回数、外出先の数、及び歩数の情報を前記数値モデルに入力することにより、前記指定されたユーザの年齢を推定する、
請求項1に記載の社会参加支援装置。
【請求項8】
前記記憶装置は、各ユーザの現在又は過去の健康状態の情報を記憶し、
前記制御装置は、
前記属性値推定処理により出力された各ユーザの生物学的な属性値と、前記健康状態の情報とに基づき、ユーザの生物学的な属性値から当該ユーザの将来の健康状態を推定する第3の数値モデルを作成し、
前記指定されたユーザの生物学的な属性値を前記第3の数値モデルに入力することにより、前記指定されたユーザの将来の健康状態を推定する、
請求項1に記載の社会参加支援装置。
【請求項9】
情報処理装置が、
所定期間において複数のユーザがそれぞれ行った社会活動を示す複数の項目の情報と、前記複数のユーザそれぞれの生物学的な属性値の情報とを記憶し、
前記記憶されている項目の情報及び生物学的な属性値の情報に基づき、ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報から当該ユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデルを作成し、
指定されたユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報を前記数値モデルに入力することにより、前記指定されたユーザの生物学的な属性値を推定し、
前記推定した生物学的な属性値を出力する、
社会参加支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、社会参加支援装置、及び社会参加支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の市民の健康意識の高まりと相まって、自身の健康状態を知るための技術が開発されている。例えば、特許文献1には、歩数計などの加速度センサから得られる身体活動量(歩数及び活動強度)から活動年齢を算出する活動量計が記載されている。特許文献2には、活動量計、体組成計、又は血糖若しくは血圧計で測定される測定値から健康状態を年齢に換算した指標である健康年齢を算出する健康状態判断装置が記載されている。特許文献3には、歩行評価値、体力評価値、及び認知評価値から健康状態に対する評価年齢を算出する健康状態診断システムが公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-179231号公報
【特許文献2】特開2010-26855号公報
【特許文献3】特開2020-17153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、健康状態を知る目的の一つは、健康状態を自身の属性(例えば、年齢)に応じて良好に保ちつつ、継続的な社会参加をしていくことにある。
【0005】
このような観点から考えた場合、例えば特許文献1、2では、生物学的要素に基づいて健康状態を把握するものであるものの、それが市民の社会参加に具体的にどのようにつながるかといった観点が十分とはいえない。また、特許文献3では、歩行の情報を処理する点では社会参加とは関連するものの、必ずしもその内容は明らかではない。例えば、歩数は年齢と必ずしも相関するわけではない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、市民の社会参加を促すことが可能な社会参加支援装置、及び社会参加支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つは、所定期間において複数のユーザがそれぞれ行った社会活動を示す複数の項目の情報と、前記複数のユーザそれぞれの生物学的な属性値の情報とを記憶する記憶装置、及び、前記記憶されている項目の情報及び生物学的な属性値の情報に基づき、ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報から当該ユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデルを作成するモデル作成処理と、指定されたユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報を前記数値モデルに入力することにより、前記指定されたユーザの生物学的な属性値を推定する属性値推定処理と、前記推定した生物学的な属性値を出力する出力処理とを実行する制御装置を備える、社会参加支援装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、市民の社会参加を促すことができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る社会参加支援システムの構成の一例を示す図である。
図2】社会参加支援装置が有するハードウェア及び社会参加支援装置が備える機能部の一例を説明する図である。
図3】社会参加情報における基本情報の一例を示す図である。
図4】社会参加情報における移動情報の一例を示す図である。
図5】社会参加情報における滞在情報の一例を示す図である。
図6】社会参加支援処理の概要を説明するフロー図である。
図7】社会参加年齢推定式作成処理の一例を説明するフロー図である。
図8】社会参加整形データの一例を示す図である。
図9】ユニーク滞在箇所数処理の一例を説明するフロー図である。
図10】算出されるスコア式、社会参加年齢推定式BA、及び補正項Zの一例を示す図である。
図11】入力変数設定画面の一例を説明するフロー図である。
図12】社会参加年齢推定処理の一例を示す図である。
図13】社会参加年齢推定結果データの一例を示す図である。
図14】社会参加年齢推定結果画面の一例を示す図である。
図15】推移画面の一例を示す図である。
図16】第2実施形態に係る社会参加年齢推定式作成処理の一例を説明するフロー図である。
図17】期間毎整形データの一例を示す図である。
図18】各集計期間について算出されるスコア式、社会参加年齢推定式BAu、及び補正項Zuの例を示す図である。
図19】第2実施形態に係る社会参加年齢推定処理の一例を説明するフロー図である。
図20】第2実施形態に係る社会参加年齢推定結果データの一例を示す図である。
図21】第3実施形態に係る社会参加年齢推定式の一例を示す図である。
図22】第4実施形態に係る社会参加支援装置が備えるハードウェア及び社会参加支援装置が備える機能の一例を説明する図である。
図23】第4実施形態に係る社会参加年齢推定式作成処理の一例を説明するフロー図である。
図24】補正式作成用データの一例を示す図である。
図25】算出される補正式の一例を示す図である。
図26】第4実施形態に係る社会参加年齢推定処理の一例を説明するフロー図である。
図27】第4実施形態に係る社会参加年齢推定結果データの一例を示す図である。
図28】第5実施形態に係る社会参加支援装置が備えるハードウェア及び社会参加支援装置が備える機能の一例を説明する図である。
図29】第5実施形態に係る社会参加支援処理の一例を説明するフロー図である。
図30】介護リスク算出処理の詳細を説明するフロー図である。
図31】取得される社会参加年齢推定結果データ及び介護認定結果データの一例を示す図である。
図32】介護リスク推定式の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る社会参加支援システム1の構成の一例を示す図である。社会参加支援システム1は、データベース30が接続された社会参加支援装置10、及び1又は複数のユーザ端末20を含んで構成される。
【0011】
ユーザ端末20は、社会参加を行っている各ユーザが保持する情報処理装置である。ユーザ端末20は、GPS(Global Positioning System)等の位置取得装置及びユーザ端
末20を保持するユーザの歩数を計測する歩数計を備えており、ユーザ端末20の現在位置及び歩数の情報を所定のタイミングで社会参加支援装置10に送信する。
【0012】
社会参加支援装置10は、各ユーザ端末20から受信した情報に基づき、ユーザの社会参加の程度から推定される(換算される)年齢(以下、社会参加年齢という。詳細は後述。)を算出するための式(以下、社会参加年齢推定式という)を作成する。そして、社会参加支援装置10は、ユーザ端末20から所定の指示を受信した場合に、そのユーザの社会参加年齢を社会参加年齢推定式に基づき算出し、算出した社会参加年齢の情報をユーザ端末20に送信する。
【0013】
なお、社会参加支援装置10及び各ユーザ端末20の間は、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、又は専用線等の有線又は無線の
通信ネットワーク5によって通信可能に接続される。
【0014】
次に、図2は、社会参加支援装置10が有するハードウェア及び社会参加支援装置10が備える機能部の一例を説明する図である。
【0015】
まず、社会参加支援装置10は、CPU(Central Processing Unit)等の制御装置1
04と、RAM(Random Access Memory)、又はROM(Read Only Memory)等のメモリ105と、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置106と、キーボード、マウス、又はタッチパネル等の入力装置102と、ディスプレイ又はタッチパネル等の出力装置103と、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Interface)モジュール、又はシリアル通信モジュ
ール等で構成される通信装置107とを備える。
【0016】
次に、社会参加支援装置10は、モデル作成部111、社会参加年齢推定部112(属性値推定部)、及び実年齢差計算部113の各機能部を備える。
【0017】
モデル作成部111は、後述する社会参加情報200における、ユーザが行った社会活動を示す各項目(以下、社会参加パラメータという)の情報及びユーザの生物学的な属性値の情報に基づき、ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報からそのユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデルを作成する。
【0018】
社会参加情報200は、所定期間において各ユーザが行った各社会活動を示す複数の項目の情報と、各ユーザの生物学的な属性値の情報とを含む。
【0019】
本実施形態では、上記項目とは、所定期間においてユーザが外出した回数、ユーザの外出先の数、及びユーザの歩数を含む。なお、社会参加情報200の詳細は後述する。
【0020】
また、本実施形態では、生物学的な属性値とは、社会参加の観点から算出されるユーザの年齢(社会参加年齢)であるものとする。
【0021】
また、本実施形態では、数値モデルは、上記したように、社会参加年齢を算出する社会参加年齢推定式であるものとする(詳細は後述する)。
【0022】
モデル作成部111は、複数のユーザの複数の項目のそれぞれを表す各変数の合成変数(第1主成分)を作成し、作成した合成変数と、複数のユーザの生物学的な属性値(年齢
)の平均値と、複数のユーザの生物学的な属性値(年齢)の標準偏差とに基づき、社会参加年齢推定式を作成する。
【0023】
具体的には、モデル作成部111は、データ整形部114、入力変数設定部115、及び社会参加年齢推定式作成部116を備える。
【0024】
データ整形部114は、社会参加情報200のデータを、社会参加パラメータの第1主成分を作成するためのデータ(以下、整形データという)を作成する。
【0025】
入力変数設定部115は、社会参加年齢推定式に入力する項目(社会参加パラメータ)に対応する変数(以下、入力変数という)を設定する。
【0026】
社会参加年齢推定式作成部116は、データ整形部114が作成した整形データのうち入力変数設定部115で設定された入力変数のデータに基づいて第1主成分を作成する。そして、社会参加年齢推定式作成部116は、作成した第1主成分に基づいて、社会参加年齢推定式を作成する。
【0027】
次に、社会参加年齢推定部112は、指定されたユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報を社会参加年齢推定式に入力することにより、指定されたユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)を算出する。
【0028】
実年齢差計算部113は、社会参加年齢推定部112で算出した社会参加年齢と、ユーザの実年齢との差(以下、実年齢差という)を算出する。
【0029】
次に、社会参加支援装置10は、データベース30と接続している。データベース30は、社会参加情報記憶部311、社会参加年齢推定式記憶部312、及び推定結果記憶部313を有する。
【0030】
社会参加情報記憶部311は、社会参加情報200を記憶する。社会参加情報200は、基本情報210、移動情報220、及び滞在情報230を含む。これらの情報の詳細は後述する。
【0031】
社会参加年齢推定式記憶部312は、モデル作成部111で作成した社会参加年齢推定式300を記憶する。
【0032】
推定結果記憶部313は、社会参加年齢推定部112で推定した各ユーザの社会参加年齢及び実年齢差等の情報(社会参加年齢推定結果データ400)を記憶する。
【0033】
(社会参加情報)
ここで、図3-5は、社会参加情報200の一例を示す図である。
【0034】
(社会参加情報-基本情報)
まず、図3は、社会参加情報200における基本情報210の一例を示す図である。基本情報210は、各ユーザについて、ユーザのID(個人ID211)、ユーザの性別212、ユーザの年齢213、及びユーザの自宅位置214の各情報を有する。自宅位置214は、本実施形態では緯度及び経度で表されるものとするが、その他の任意の情報を用いて表されてもよい。
【0035】
(社会参加情報-移動情報)
図4は、社会参加情報200における移動情報220の一例を示す図である。移動情報
220は、各ユーザについて、ユーザのID(個人ID221)、データの記録日222、データの記録月223、その日のユーザの歩数224、その日にユーザが外出したか否かを示す情報(外出225)、その日のユーザの移動距離226、及びその日のユーザの移動時間227の各情報を有する。
【0036】
(社会参加情報-滞在情報)
図5は、社会参加情報200における滞在情報230の一例を示す図である。滞在情報230は、各ユーザについて、ユーザのID(個人ID231)、ユーザの滞在位置の緯度及び経度232、ユーザがその滞在位置での滞在を開始した日時(開始日時233)、ユーザがその滞在位置での滞在を終了した日時(終了日時234)、その滞在位置の識別子である滞在地点コード235、及びその滞在位置のユーザの自宅からの距離236の各情報を有する。滞在位置は、本実施形態では緯度及び経度で表されるものとするが、その他の任意の情報を用いて表されてもよい。
【0037】
滞在地点コードは、本実施形態では、予め設定された複数のエリア(緯度及び経度で表される)の識別子であり、ユーザの滞在位置を示す。滞在地点コードは、例えば、市町村ごと、又は施設ごとに設定される。
【0038】
以上に説明した、社会参加支援システム1における各情報処理装置の機能部の機能は、制御装置104が、メモリ105又は記憶装置106からプログラムを読み出すことにより実現される。また各プログラムは、例えば、可搬性の又は固定された記録媒体に記録して配布することができる。なお、これらのプログラムは、その全部または一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、これらのプログラムの全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI (Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい。
次に、社会参加支援システム1で行われる処理について説明する。
【0039】
図6は、社会参加支援システム1で行われる処理(社会参加支援処理)の概要を説明するフロー図である。まず、社会参加支援装置10は、ユーザ端末20から、社会参加に関するデータを収集するデータ収集処理s1を実行する。
【0040】
例えば、各ユーザ端末20は、GPSから取得した位置情報、及び歩数計から取得した歩数情報、及びユーザの属性情報を、所定のタイミング(例えば、所定の時刻、所定の時間間隔、又はユーザから指定されたタイミング)で、社会参加支援装置10に送信する。社会参加支援装置10は、受信した各情報を、社会参加情報200(基本情報210、移動情報220、滞在情報230)に変換して記憶し蓄積する。
【0041】
その後、社会参加支援装置10は、データ収集処理s1で収集したデータに基づき社会参加年齢推定式を作成する処理である社会参加年齢推定式作成処理s2を実行する。
【0042】
その後、社会参加支援装置10は、ユーザ端末20から所定の指示を受信すると、社会参加年齢推定式作成処理s2で作成した社会参加年齢推定式に基づき、そのユーザの社会参加年齢を算出する社会参加年齢推定処理s3を実行する。
【0043】
社会参加支援装置10は、社会参加年齢推定処理s3で算出した社会参加年齢に関する情報を出力する結果表示処理s4を実行する。
以上の処理が随時繰り返される。以下、各処理の詳細を説明する。
【0044】
<社会参加年齢推定式作成処理>
図7は、社会参加年齢推定式作成処理s2の一例を説明するフロー図である。まず、データ整形部114は、各ユーザの社会参加情報200(基本情報210、移動情報220、滞在情報230)を取得する(s201)。
【0045】
データ整形部114は、s201で取得した社会参加情報200に基づき、社会参加情報200の全期間における各ユーザの社会参加情報200を集計したデータ(以下、整形データという)を作成し、作成した整形データを社会参加整形データ800に記録する(s202)。
【0046】
(社会参加整形データ)
図8は、社会参加整形データ800の一例を示す図である。社会参加整形データ800は、各ユーザについて、ユーザのID(個人ID801)、データの年度802、ユーザの性別803、ユーザのその年度での年齢804、ユーザのその年度での平均歩数805、ユーザのその年度での平均外出日数806、ユーザのその年度でのユニークな滞在箇所数(以下、ユニーク滞在箇所数という)の平均数807、ユーザのその年度での平均移動距離808、ユーザのその年度での平均移動時間809、及び、ユーザのその年度の各月の最大移動距離の平均(平均最大移動距離810)の各情報を有する。
【0047】
ここで、図9は、社会参加年齢推定式作成処理s2のs202の処理において行われるユニーク滞在箇所数を算出するためのユニーク滞在箇所数算出処理の一例を説明するフロー図である。
【0048】
まず、データ整形部114は、社会参加情報200の滞在情報230から、あるユーザの緯度及び経度232、開始日時233、及び終了日時234の時系列データを取得する(s2021)。
【0049】
データ整形部114は、s2021で取得した時系列データに基づき、ユーザが滞在した各エリアの滞在箇所コードとその時間帯を特定する(s2022)。
【0050】
そして、データ整形部114は、s2021で取得した滞在箇所コードのうち、重複する滞在箇所を除いたユニークなエリア(滞在箇所)を算出する(s2023)。以上でユニーク滞在箇所数算出処理は終了する。
【0051】
次に、図7に示すように、入力変数設定部115は、社会参加パラメータ(入力変数)を設定する(s203)。例えば、入力変数設定部115は、後述する入力変数設定画面1100を表示し、管理者から、作成される社会参加年齢推定式の入力値となる社会参加パラメータ(入力変数)の入力を受け付ける。
【0052】
続いて、データ整形部114は、s203で設定した社会参加パラメータに係る整形データ(社会参加整形データ800の平均歩数805、外出日数806、平均滞在箇所数807、平均移動距離808、平均移動時間809、及び平均最大移動距離810)を標準化する。
【0053】
そして、社会参加年齢推定式作成部116は、標準化した入力変数について主成分分析を行うことで、社会参加の程度を最も決定づける、社会参加パラメータの合成パラメータ(第1主成分)を決定する(s205)。例えば、社会参加年齢推定式作成部116は、各入力変数Xj及びその重み係数wjに係るスコア式PCS(式(1))
【0054】
PCS=(w1X1+・・・+wjXj+・・・+wnXn)/標準偏差SD ・・・(
1)
【0055】
において、スコアPCSの分散が最大となり平均値が0となるような重み係数wj及び標準偏差SDを決定する(w1^2+w2^2+・・・+wn^2=1)。
【0056】
一方、社会参加年齢推定式作成部116は、社会参加整形データ800に基づき、全ユーザの平均年齢及び標準偏差を算出する(s206)。
【0057】
社会参加年齢推定式作成部116は、s205で算出した第1主成分とs206で算出した平均年齢及び標準偏差とに基づき、社会参加年齢を算出するための社会参加年齢推定式BA(式(2))を作成する。
【0058】
BA=PCS×(年齢の標準偏差)+(年齢の平均値) ・・・(2)
【0059】
社会参加年齢推定式作成部116は、s206で作成した式(2)により算出される各ユーザiの社会参加年齢BAiと、各ユーザiの年齢との間の回帰分析を行うことにより、年齢に関する回帰係数aを算出する(s208)。
【0060】
そして、社会参加年齢推定式作成部116は、s206で算出した年齢の平均値とs208で算出した回帰係数aとに基づき、ユーザiの社会参加年齢の算出に関する補正項Zi(式(3))を算出する(s209)。この補正項は、ユーザiの年齢が全ユーザの年齢分布の端部にある場合における数値の補正を実現するものである。
【0061】
Zi=(ユーザiの年齢-年齢の平均値)×(1-a) ・・・(3)
【0062】
以上で社会参加年齢推定式作成処理s2は終了する。
なお、図10に、算出されるスコア式、社会参加年齢推定式BA、及び補正項Zの一例を示す。
【0063】
(入力変数設定画面)
図11は、入力変数設定画面1100の一例を示す図である。入力変数設定画面1100は、各社会参加パラメータの表示欄1101と、その社会参加パラメータの値と年齢との間の相関係数の値の表示欄1102と、その社会参加パラメータを入力変数として設定するための管理者からの入力を受け付ける設定欄1103とを備える。
【0064】
<社会参加年齢推定処理>
図12は、社会参加年齢推定処理s3の一例を説明するフロー図である。社会参加年齢推定処理s3は、例えば、社会参加支援装置10が、あるユーザ(以下、対象ユーザという)のユーザ端末20から、社会参加年齢の算出の指示を受信したことを契機に開始される。
【0065】
社会参加年齢推定部112は、対象ユーザxの社会参加情報200(基本情報210、移動情報220、滞在情報230)を取得する(s301)。
【0066】
社会参加年齢推定部112は、s301で取得した社会参加情報200に基づき、対象ユーザxの移動情報220及び滞在情報230を所定の集計期間ごとに(ここでは月ごととする)集計したデータ(以下、ユーザ整形データという)を作成する(s302)。
【0067】
次に、社会参加年齢推定部112は、s302で作成したユーザ整形データを、社会参加年齢推定式作成処理s2で作成した社会参加年齢推定式(式(1))に入力することに
より、対象ユーザxの各集計期間tでの社会参加年齢BAx,tを算出する(s303)。
【0068】
また、社会参加年齢推定部112は、s302で作成したユーザ整形データから、対象ユーザxの各集計期間tでの年齢を抽出し、抽出した各年齢を、社会参加年齢推定式作成処理s2で作成した補正式(式(2))に入力することにより、対象ユーザxの各集計期間における補正項Zx,tの値を算出する(s304)。
【0069】
社会参加年齢推定部112は、s303で算出した社会参加年齢BAx,tに、s304で算出した補正項Zx,tを加算することで、補正された社会参加年齢BA2x,tを算出する(s305)。
【0070】
そして、社会参加年齢推定部112は、算出した社会参加年齢BA2x,tから、各集計期間tにける対象ユーザxの実年齢を減算した年齢差Dx、tを算出する(s306)。社会参加年齢推定部112は、s305、s306で算出した社会参加年齢BA2x,tと年齢差Dx、tを、社会参加年齢推定結果データ400に登録する。以上で社会参加年齢推定処理s3は終了する。
【0071】
(社会参加年齢推定結果データ)
図13は、社会参加年齢推定結果データ400の一例を示す図である。この社会参加年齢推定結果データ1300は、各対象ユーザについて、対象ユーザの識別子(個人ID1301)、集計期間(年月1302)、対象ユーザの性別1303、対象ユーザのその集計期間での年齢1304、対象ユーザのその集計期間での平均歩数1305、対象ユーザのその集計期間での平均外出日数1306、対象ユーザのその集計期間でのユニークな滞在箇所平均数1307、対象ユーザのその集計期間での社会参加年齢1308、及び、対象ユーザのその集計期間での年齢差1309(実年齢との差)の各情報を有する。
【0072】
(社会参加年齢推定結果画面)
次に、図14は、結果表示処理s3で表示される画面(社会参加年齢推定結果画面1400)の一例を示す図である。社会参加年齢推定結果画面1400は、例えば、社会参加支援装置10が、対象ユーザのユーザ端末20から、集計期間から指定された年月における社会参加年齢の表示の指示を受信した場合に表示される。
【0073】
社会参加年齢推定結果画面1400には、指定された年月が表示される対象年月表示欄1401と、対象ユーザの指定された年月における社会参加年齢が表示される補正社会参加年齢表示欄1402と、その社会参加年齢と、対象ユーザの指定された年月における実年齢との差が表示される年齢差表示欄1403と、指定された入力変数及びその値(指定された年月における集計値)の一覧が表示される入力変数表示欄1404とを備える。
【0074】
また、社会参加年齢推定結果画面1400には、対象ユーザの各集計期間における各データの推移を表示する推移画面1500を表示させるための推移画面表示欄1405が設けられる。
【0075】
(推移画面)
図15は、推移画面1500の一例を示す図である。推移画面1500は、対象ユーザの各集計期間における社会参加年齢の推移を表した第1グラフ1501と、対象ユーザの各集計期間における各入力変数の値の推移を表した第2グラフ1502、1503とを備える。
【0076】
以上のように、本実施形態の社会参加支援装置10は、社会参加情報200における、
所定期間において複数のユーザがそれぞれ行った社会活動を示す複数の項目(社会参加パラメータの項目)の情報及びそのユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)の情報に基づき、ユーザの社会参加パラメータの情報からそのユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデル(社会参加年齢推定式300)を作成し、対象ユーザが行った社会活動に関する社会参加パラメータの項目の情報を数値モデル(社会参加年齢推定式300)に入力することにより、対象ユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)を推定し、推定した生物学的な属性値を出力する。
【0077】
このように、本実施形態の社会参加支援装置10は、ユーザが行った社会参加活動の情報を用いて、ユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデルを作成することで、対象ユーザの生物学的な属性値を推定する。これにより、ユーザは、社会参加の観点から自身がどのような生物学的属性を有するか(何歳に換算されるか)を容易に知ることができ、また、その観点から社会参加の判断をすることができる。
【0078】
以上のように、本実施形態の社会参加支援装置10によれば、市民の社会参加を促すことができる。
【0079】
また、本実施形態の社会参加支援装置10は、社会参加年齢推定式作成処理s2において、社会参加パラメータの各変数の合成変数(第1主成分)を作成し、作成した第1主成分と、各ユーザの生物学的な属性値(年齢)の平均値と、各ユーザの年齢の標準偏差とに基づき、社会参加年齢推定式を作成する。
【0080】
このように、複数の社会参加パラメータに基づく第1主成分を求め、これと年齢の統計値を組み合わせることで、ユーザの社会参加の特徴を生物学的な属性値(社会参加年齢)に的確に換算することができる。
【0081】
また、本実施形態の社会参加支援装置10は、社会参加年齢推定式作成処理s2において、ユーザが外出した回数、外出先の数、及び歩数からユーザの社会参加年齢を推定する社会参加年齢推定式を作成する。
【0082】
年齢との相関が高く社会参加状況を的確に表現していると考えられるこのような要素を用いて社会参加年齢推定式を作成することで、的確な社会参加年齢を算出可能な社会参加年齢推定式を作成することができる。
【0083】
[第2実施形態]
第2実施形態の社会参加支援システム1では、社会参加支援装置10は、社会参加年齢推定式を所定の期間ごとに作成する。ここでは、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0084】
第2実施形態における社会参加支援システムの構成は、第1実施形態と同様である。
一方、第2実施形態における社会参加支援装置10のモデル作成部111は、以下の処理を行う。すなわち、モデル作成部111は、社会参加情報200における、社会参加パラメータの各項目の情報及びユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)の情報に基づき、ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報からそのユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデル(社会参加年齢推定式)を、複数の各期間について作成する。本実施形態では、この期間とは、月別の各期間であるものとする(1月の社会参加年齢推定式、2月の社会参加年齢推定式、・・・・)。
【0085】
また、第2実施形態における社会参加支援装置10の社会参加年齢推定式作成部116は、以下の処理を行う。すなわち、社会参加年齢推定式作成部116は、期間の情報と、
その期間において対象ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報とを、上記期間に対応する社会参加年齢推定式に入力することにより、対象ユーザの社会参加年齢を算出する。
【0086】
次に、第2実施形態の社会参加支援処理について説明する。
第2実施形態の社会参加支援処理のうち、データ収集処理s1は第1実施形態と同様である。以下、第2実施形態における社会参加年齢推定式作成処理s2及び社会参加年齢推定処理s3について説明する。
【0087】
<社会参加年齢推定式作成処理>
図16は、第2実施形態に係る社会参加年齢推定式作成処理s2の一例を説明するフロー図である。まず、データ整形部114は、第1実施形態のs201と同様に、各ユーザの社会参加情報200(基本情報210、移動情報220、滞在情報230)を取得する(s221)。
【0088】
データ整形部114は、s221で取得した社会参加情報200に基づき、社会参加情報200の全期間における各ユーザの社会参加情報200を所定期間ごとに集計したデータ(以下、期間毎整形データという)を作成する(s222)。
【0089】
(期間毎整形データ)
図17は、期間毎整形データの一例を示す図である。期間毎整形データ1700は、各ユーザについて、その個人ID1701、集計期間(年月1702)、ユーザの性別1703、ユーザのその集計期間での年齢1704、ユーザのその集計期間での平均歩数1705、ユーザのその集計期間での平均外出日数1706、ユーザのその集計期間でのユニークな滞在箇所平均数1707、ユーザのその集計期間での平均移動距離1708、ユーザのその集計期間での平均移動時間1709、及び、ユーザのその集計期間の最大移動距離の平均(平均最大移動距離1710)の各情報を有する。
【0090】
次に、図16に示すように、入力変数設定部115は、第1実施形態のs203と同様に、各入力変数を設定する(s223)。
【0091】
続いて、社会参加年齢推定式作成部116は、集計期間の一つを選択する(s224)。
【0092】
データ整形部114は、s224で選択した集計期間(以下、選択集計期間という)について、第1実施形態と同様に、s222で作成した期間毎整形データ1700のデータ(平均歩数1705、外出日数1706、平均滞在箇所数1707、平均移動距離1708、平均移動時間1709、及び平均最大移動距離1710)を標準化する(s225)。
【0093】
そして、社会参加年齢推定式作成部116は、選択集計期間について、第1実施形態のs225と同様に、第1主成分を決定する。例えば、社会参加年齢推定式作成部116は、選択集計期間uについての、各入力変数Xj,u及びその重み係数wj,uに係るスコア式(4)
【0094】
PCSu=(w1,u×X1,u+・・・+wj,u×Xj,u+・・・+wn,u×Xn,u)/標準偏差SDu ・・・(4)
【0095】
において、スコアPCSuの分散が最大となり平均値が0となるような重み係数wj,u及び標準偏差SDを決定する(w1,u^2+w2,u^2+・・・+wn,u^2=1
)。
【0096】
一方、社会参加年齢推定式作成部116は、第1実施形態のs205と同様に、全ユーザの選択集計期間における平均年齢及び標準偏差を算出する(s226)。
【0097】
社会参加年齢推定式作成部116は、s225で算出した第1主成分及びs226で算出した平均年齢及び標準偏差に基づき、選択集計期間uにおける社会参加年齢を算出するための社会参加年齢推定式BAu(式(5))を作成する(s227)。
【0098】
BAu=PCSi,u×(選択集計期間uにおける年齢の標準偏差)+(選択集計期間uにおける年齢の平均値) ・・・(5)
【0099】
社会参加年齢推定式作成部116は、s227で作成した式(5)により算出される各ユーザiの選択集計期間uにおける社会参加年齢BAi,uと各ユーザの選択集計期間における年齢との間の回帰分析を行うことにより、選択集計期間uにおける、年齢に関する回帰係数auを算出する(s228)。
【0100】
そして、社会参加年齢推定式作成部116は、s226で算出した年齢の平均値とs228で算出した回帰係数aとに基づき、集計期間uにおける社会参加年齢の算出に関する補正項Zu(式(6))を算出する(s229)。
【0101】
Zu=(集計期間uにおける年齢-年齢の平均値)×(1-au) ・・・(6)
【0102】
社会参加年齢推定式作成部116は、以上のs224~s229までの処理を全ての集計期間について繰り返し(s230)、その後以上で社会参加年齢推定式作成処理s2は終了する。
なお、図18に、各集計期間について算出されるスコア式、社会参加年齢推定式BAu、及び補正項Zuの例を示す。
【0103】
<社会参加年齢推定処理>
次に、図19は、第2実施形態に係る社会参加年齢推定処理s3の一例を説明するフロー図である。
社会参加年齢推定部112は、第1実施形態のs301と同様に、対象ユーザxの社会参加情報200(基本情報210、移動情報220、滞在情報230)を取得する(s321)。
【0104】
社会参加年齢推定部112は、第1実施形態のs302と同様に、s331で取得した社会参加情報200に基づき、対象ユーザxの移動情報220及び滞在情報230を所定の集計期間ごとに(ここでは月別とする)集計したユーザ整形データを作成する(s322)。
【0105】
次に、社会参加年齢推定部112は、第1実施形態のs303と同様に、s322で作成したユーザ整形データを、社会参加年齢推定式作成処理s2で作成した社会参加年齢推定式BAu(式(5))に入力することにより、対象ユーザxの各集計期間tの社会参加年齢BAx,tを算出する(s323)。
【0106】
また、社会参加年齢推定部112は、第1実施形態のs304と同様に、s322で作成したユーザ整形データから、対象ユーザxの各集計期間tでの年齢を抽出し、抽出した各年齢を、社会参加年齢推定式作成処理s2で作成した補正項Zu(式(6))に適用することにより、対象ユーザxの各集計期間における補正項Zx,tの値を算出する(s3
24)。
【0107】
社会参加年齢推定部112は、第1実施形態のs305と同様に、s324で算出した社会参加年齢BAx,tに、補正項Zx,tを加算することで、補正された社会参加年齢BA2x,tを算出する(s325)。社会参加年齢推定部112は、s325で算出した社会参加年齢BA2x,tを、社会参加年齢推定結果データ400に登録する。なお、社会参加年齢推定部112は、算出した社会参加年齢BA2x,tから、各集計期間tにける対象ユーザxの実年齢を減算した年齢差Dx、tを算出してもよい。
【0108】
(社会参加年齢推定結果データ)
図20は、第2実施形態に係る社会参加年齢推定結果データ400の一例を示す図である。この社会参加年齢推定結果データ2000における社会参加年齢BAx,tは、第1実施形態の社会参加年齢推定結果データ1300における社会参加年齢BAx,tと比べると、集計期間ごとに特徴づけられる各ユーザの社会活動の変化に応じて、異なった値となる。
【0109】
なお、第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、社会参加年齢推定結果画面及び推移画面が表示される。
【0110】
以上のように、本実施形態の社会参加支援装置10は、社会参加情報200として、所定期間のうち複数の各集計期間においての、各ユーザの複数の社会参加パラメータの情報と、各ユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)の情報とを記憶し、この社会参加情報200に基づき社会参加年齢推定式を各集計期間について作成し、期間の情報と、その期間での対象ユーザの社会参加パラメータとを、その期間に対応する社会参加年齢推定式に入力することにより、対象ユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)を推定する。
【0111】
市民の社会参加のパターンは、気温、天候、又は社会情勢などの、タイミング(期間)に応じて変化する外的環境に影響されると考えられる。そこで、本実施形態の社会参加支援装置10のように、社会参加年齢推定式をこのような期間ごとに作成することで、ユーザないし社会の実態を反映した社会参加年齢を算出することができる。
【0112】
[第3実施形態]
第3実施形態の社会参加支援システム1では、社会参加支援装置10は、社会参加年齢推定式を、ユーザが属する所定のカテゴリごとに作成する。ここでは、第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0113】
第3実施形態における社会参加支援システム1の構成は、第1実施形態と同様である。社会参加支援装置10の機能は以下の通りである。
【0114】
まず、第3実施形態におけるモデル作成部111は、社会参加情報200における、社会参加パラメータの項目の情報及びユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)の情報に基づき、ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報からそのユーザの生物学的な属性値を推定する数値モデル(社会参加年齢推定式)を、カテゴリごとに作成する。本実施形態では、このカテゴリとは、社会参加情報200に登録されている性別(男女別)であるものとする(男性に係る社会参加年齢推定式、女性に係る社会参加年齢推定式をそれぞれ作成する)が、特にカテゴリとして設定できる情報を限定する趣旨ではない。カテゴリは、例えば、ユーザが住む地域、職業等でもよい。
【0115】
また、第3実施形態における社会参加年齢推定式作成部116は、対象ユーザが属するカテゴリの情報(男性又は女性)と、対象ユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情
報とを、そのカテゴリに対応する社会参加年齢推定式に入力することにより、対象ユーザの社会参加年齢を算出する。
【0116】
次に、第3実施形態の社会参加支援システム1で行われる処理について説明する。
第3実施形態の社会参加支援処理のうち、データ収集処理s1は第1実施形態と同様である。以下、第2実施形態における社会参加年齢推定式作成処理s2及び社会参加年齢推定処理s3について説明する。
【0117】
<社会参加年齢推定式作成処理>
第3実施形態では、社会参加支援装置10は、社会参加年齢推定式作成処理s2において、男女別の社会参加年齢推定式を作成する。例えば、社会参加年齢推定式作成部116は、男女別のスコア式PCSM(式(7))
【0118】
PCSM=(w1,M×X1,M+・・・+wj,M×Xj,M+・・・+wn,M×Xn,M)/標準偏差SDM ・・・(7)
【0119】
を作成する(M:男性又は女性)。同様に、社会参加年齢推定式作成部116は、男女別の社会参加年齢推定式BAM(式(8))を作成する。
【0120】
BAM=PCSM×(男性母集団における年齢の標準偏差)+(男性母集団における年齢の平均値) ・・・(8)
【0121】
さらに、社会参加年齢推定式作成部116は、男女別の補正項ZM(式(9))を算出する。
【0122】
ZM=(年齢-男性母集団における年齢の平均値)×(1-aM) ・・・(9)
【0123】
ここでは、各式(7)-(9)は全期間を対象としているが、第2実施形態と組み合わせることで、男女別かつ月別の式としてもよい。なお、図21は、第3実施形態に係る社会参加年齢推定式の一例を示す図である。
【0124】
その後、社会参加年齢推定処理s3において社会参加支援装置10は、対象ユーザの性別の入力を受け付けることで、その対象ユーザの性別に応じた社会参加年齢を算出する。
【0125】
以上のように、本実施形態の社会参加支援装置10は、社会参加情報200として、各ユーザの複数の社会参加パラメータと、各ユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)の情報とを、各ユーザが属するカテゴリ(男女別等)ごとに記憶し、この社会参加情報200に基づき社会参加年齢推定式を各カテゴリについて作成し、対象ユーザのカテゴリ(男女別等)の情報と、対象ユーザの社会参加パラメータとを、そのカテゴリに対応する社会参加年齢推定式に入力することにより、対象ユーザの生物学的な属性値(年齢)を推定する。
【0126】
市民の社会参加のパターンは、その市民が属するカテゴリによって異なると考えられる。そこで、本実施形態の社会参加支援装置10のように、社会参加年齢推定式をユーザのカテゴリごとに作成することで、ユーザの実態を反映した社会参加年齢を算出することができる。特に、男女では社会参加の態様が大きく異なると考えられるため、男女別の社会参加年齢推定式を用いることで、ユーザの実態をよりよく反映した社会参加年齢を算出することができる。
【0127】
[第4実施形態]
第2実施形態において社会参加支援装置10は、各集計期間uごとに社会参加年齢推定式BAuを作成した。しかしながら、集計期間が多くなると、社会参加年齢推定式BAuが社会参加支援装置10において占めるリソースが多くなる。
【0128】
そこで、第4実施形態の社会参加支援装置10は、集計期間ごとに作成された社会参加年齢推定式BAuを一つの式に集約する。ここでは、第1、2実施形態と異なる部分を説明する。
【0129】
図22は、第4実施形態に係る社会参加支援装置10が備えるハードウェア及び社会参加支援装置10が備える機能の一例を説明する図である。社会参加支援装置10は、第1、2実施形態と同様のハードウェア構成を有する。また、社会参加支援装置10は、第1、2実施形態と同様のデータ整形部114、入力変数設定部115、社会参加年齢推定式作成部116、社会参加年齢推定部112、及び実年齢差計算部113を備える他、新たに補正式作成部117を備える。
【0130】
また、社会参加支援装置10は、第1、2実施形態と同様の社会参加情報記憶部311、社会参加年齢推定式記憶部312、及び推定結果記憶部313の他、補正式記憶部314を備える。
【0131】
補正式作成部117は、所定期間(ここでは、社会参加情報200のデータの期間)についての数値モデルである第1数値モデル(すなわち、第1実施形態の手法で作成した社会参加年齢推定式)と、所定期間における複数の各期間についての数値モデルである第2数値モデル(すなわち、第2実施形態の手法で作成した社会参加年齢推定式)とを作成する。
【0132】
そして、補正式作成部117は、第1数値モデルにより算出される社会参加年齢と、第2数値モデルにより算出される各期間の社会参加年齢との相関関係を特定することにより、期間の情報と、その期間においてユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報とから、その期間においてユーザの生物学的な属性値を推定する新たな数値モデル(新たな社会参加年齢推定式。以下、補正式500ともいう。)を作成する。
【0133】
社会参加年齢推定部112は、期間の情報と、当該期間において指定されたユーザが行った社会活動を示す複数の項目の情報とを、新たな社会参加年齢推定式に入力することにより、指定されたユーザの社会参加年齢を算出する。
【0134】
補正式記憶部314は、上記の補正式500を記憶する。
【0135】
次に、第4実施形態の社会参加支援システムで行われる処理について説明する。
第4実施形態の社会参加支援処理のうち、データ収集処理s1は第1、2実施形態と同様である。以下、第4実施形態における社会参加年齢推定式作成処理s2及び社会参加年齢推定処理s3について説明する。
<社会参加年齢推定式作成処理>
図23は、第4実施形態に係る社会参加年齢推定式作成処理s2の一例を説明するフロー図である。
【0136】
データ整形部114は、第1、2実施形態のs201、s221と同様に、各ユーザの社会参加情報200(基本情報210、移動情報220、滞在情報230)を取得する(s241)。
【0137】
データ整形部114は、第1、2実施形態のs202、s222と同様に、s241で
取得した社会参加情報200に基づき、社会参加情報200の全期間における各ユーザの社会参加情報200を集計したデータ(整形データ)を作成する(s242)。
【0138】
入力変数設定部115は、全ての社会参加パラメータを入力変数として、第1、2実施形態と同様に、各入力変数のデータを標準化する。そして、社会参加年齢推定式作成部116は、第1実施形態のs205~s209と同様の処理により、ユーザiの社会参加年齢を算出するための社会参加年齢推定式BAと、ユーザiの社会参加年齢に関する補正項Zとを作成する。そして、社会参加年齢推定式作成部116は、作成した社会参加年齢推定式BA及び補正項Zに基づく社会参加年齢推定式BA2(第1数値モデル)に対して、各ユーザに係る入力変数を入力することにより、各ユーザの社会参加年齢を算出する(s243)。このようにして、第1数値モデルを用いた社会参加年齢の算出を行う。
【0139】
また、社会参加年齢推定式作成部116は、全ての社会参加パラメータを入力変数として、第2実施形態のs224~s230と同様の処理により、ユーザiの各集計期間uでの社会参加年齢を算出する社会参加年齢推定式BAuと、ユーザiの社会参加年齢に関する補正項Zuとを作成する。そして、社会参加年齢推定式作成部116は、作成した社会参加年齢推定式BAu及び補正項Zuに基づく社会参加年齢推定式BA2u(第2数値モデル)に対して、各ユーザに係る各集計期間での入力変数を入力することにより、各集計期間での、各ユーザの社会参加年齢を算出する(s243)。このようにして、第2数値モデルを用いた社会参加年齢の算出を行う。
【0140】
次に、補正式作成部117は、s243、s244の処理結果に基づき、補正式500を作成するための補正式作成用データを作成する(s245)。
【0141】
(補正式作成用データ)
図24は、補正式作成用データ2400の一例を示す図である。補正式作成用データ2400は、各ユーザの個人ID2401、集計期間(月2402)、各ユーザの性別2403、各集計期間における各ユーザの年齢2404、s243により算出された各ユーザの社会参加年齢2405、及び、s244により算出された各ユーザの各集計期間における社会参加年齢2406、の各データ項目を有する。
【0142】
次に、図23に示すように補正式作成部117は、s245で作成した補正式作成用データ2400に基づき、補正式を作成する(s246)。例えば、補正式作成部117は、説明変数を、s243により算出された各ユーザの社会参加年齢2405、集計期間(ダミーデータ)、及び実年齢とし、目的変数を、s344により算出された各ユーザの各集計期間の社会参加年齢2406とした重回帰分析を行う。このようにして、社会参加年齢に影響を与える各因子(ここでは、ユーザの社会参加年齢、ユーザの実年齢、各集計期間)のその影響の大きさを算出する。
例えば、補正式作成部117は、以下のような、期間Hについての補正式BAH(式(10))を作成する。
【0143】
BAH = b0 + (BA+Z)×b1 + 年齢×b2+ 02月×b3 + 03月×b4 + 04月×b5 + 05月×b6 + 06月×b7+ 07月×b8
+ 08月×b9 + 09月×b10 + 10月×b11 + 11月×b12 + 12月×b13 ・・・式(10)
【0144】
ここで、(BA+Z)は、第1数値モデルによる社会参加年齢BA、02月~12月は各月のダミー変数、b0は切片、b1~b13は回帰係数である。以上で社会参加年齢推定式作成処理s2は終了する。
なお、図25に、算出される補正式500の一例を示す。
【0145】
<社会参加年齢推定処理>
次に、図26は、第4実施形態に係る社会参加年齢推定処理s4の一例を説明するフロー図である。
社会参加年齢推定部112は、第1実施形態のs301と同様に、対象ユーザxの社会参加情報200(基本情報210、移動情報220、滞在情報230)を取得する(s341)。
【0146】
社会参加年齢推定部112は、第2実施形態のs322と同様に、s341で取得した社会参加情報200に基づき、対象ユーザxの移動情報220及び滞在情報230を所定の集計期間ごとに(ここでは月別とする)集計したデータ(ユーザ整形データ)を作成する(s342)。
【0147】
社会参加年齢推定部112は、第1実施形態のs303と同様に、s342で作成したユーザ整形データを、社会参加年齢推定式作成処理s2で作成した第1数値モデルに入力することにより、対象ユーザxの各集計期間tの社会参加年齢BAx,tを算出する(s343)。
【0148】
また、社会参加年齢推定部112は、第1実施形態のs304と同様に、s342で作成したユーザ整形データから対象ユーザxの各集計期間tでの年齢を抽出し、抽出した各年齢を、社会参加年齢推定式作成処理s2で作成した第2モデルに入力することにより、対象ユーザxの各集計期間における補正項Zx,tの値を算出する(s344)。
【0149】
社会参加年齢推定部112は、第1実施形態のs305と同様に、s343で算出した社会参加年齢BAx,tに、s344で算出した補正項Zx,tを加算することで、補正した社会参加年齢BA2x,tを算出する(s345)。
【0150】
そして、社会参加年齢推定部112は、s345で算出した社会参加年齢BA2x,tと、対象ユーザxの社会参加年齢の算出対象となる期間H(ここでは月)と、対象ユーザxの実年齢を、社会参加年齢推定式作成処理s2で作成した補正式500に入力することにより、対象ユーザxの、算出対象の月Hにおける社会参加年齢BAHを算出する(s346)。なお、社会参加年齢推定部112は、算出した社会参加年齢BAHを、社会参加年齢推定結果データ400に登録する。また、社会参加年齢推定部112は、算出した社会参加年齢BAHから、各集計期間tにける対象ユーザxの実年齢を減算した年齢差Dx、tを算出してもよい。
【0151】
(社会参加年齢推定結果データ)
図27は、第4実施形態に係る社会参加年齢推定結果データ400の一例を示す図である。社会参加支援装置10は、多数の第2数値モデルを管理することなく、補正式500のみで、第2実施形態と同様の結果を示す社会参加年齢推定結果データ2700を作成することができる。
【0152】
以上のように、本実施形態の社会参加支援装置10は、所定期間についての第1数値モデルにより算出される社会参加年齢と、各集計期間についての各第2数値モデルにより算出される各期間の社会参加年齢との相関関係を特定することにより、集計期間の情報と、集計期間におけるユーザの複数の社会参加パラメータの情報とから、集計期間における対象ユーザの属性値(社会参加年齢)を推定する新たな社会参加年齢推定式を作成し、集計期間の情報と、その集計期間における対象ユーザの複数の社会参加パラメータの情報とを、上記新たな社会参加年齢推定式に入力することにより、対象ユーザの生物学的な属性値(年齢)を推定する。
【0153】
これにより、多数の第2数値モデルにより表されている各集計期間の社会参加パラメータと生物学的な属性値(年齢)との関係を、一つのモデル(式)として表すことができる
ようになる。これにより、数値モデルの管理に必要なリソースを大幅に低減することができる。
【0154】
<第5実施形態>
社会参加を積極的に行うことで、将来の健康状態が改善される可能性があると思われる。そこで、このような観点から、第5実施形態に係る社会参加支援装置10は、第1実施形態~第4実施形態で算出した社会参加年齢に基づき、将来の介護リスクを提示する。以下、第1実施形態~第4実施形態と異なる点を説明する。
【0155】
図28は、第5実施形態に係る社会参加支援装置10が備えるハードウェア及び社会参加支援装置10が備える機能の一例を説明する図である。
【0156】
社会参加支援装置10は、介護リスク推定部118を備える。
介護リスク推定部118は、社会参加年齢推定処理s3により出力された各ユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)と、後述する介護認定結果データ3150とに基づき、ユーザの年齢からそのユーザの将来の健康状態(ここでは、介護リスクとする)を推定する第3の数値モデル(以下、介護リスク推定式という)を作成する。そして、介護リスク推定部118は、対象ユーザの年齢を介護リスク推定式に入力することにより、対象ユーザの将来の健康状態(介護リスク)を推定する。
【0157】
また、社会参加支援装置10は、介護認定結果記憶部315を備える。介護認定結果記憶部315は、各ユーザの現在又は過去の健康状態の情報(ここでは、各ユーザの介護認定の履歴の情報)を蓄積した情報である介護認定結果データ600を記憶している。
【0158】
次に、第5実施形態の社会参加支援システム1で行われる処理について説明する。
図29は、第5実施形態に係る社会参加処理支援処理の一例を説明するフロー図である。社会参加処理支援処理のうち、データ収集処理s1、社会参加年齢推定式作成処理s2、及び社会参加年齢推定処理s3については、第1-4実施形態のいずれかと同様でよい。
【0159】
続いて、社会参加支援装置10は、社会参加年齢推定処理s3で算出した各ユーザの社会参加年齢と、介護リスク推定式とに基づき、対象ユーザの介護リスクを算出する介護リスク算出処理s6を実行する。
【0160】
その後、社会参加支援装置10は、第1-4実施形態と同様の結果表示処理s4を行う。その際、社会参加支援装置10は、介護リスク算出処理s6で算出した介護リスクを画面に表示する。以上で社会参加処理支援処理は終了する。
【0161】
<介護リスク算出処理>
図30は、介護リスク算出処理s6の詳細を説明するフロー図である。
介護リスク推定部118は、社会参加年齢推定処理s3で作成した社会参加年齢推定結果データ400及び介護認定結果データ600を取得する(s601)。なお、図31に、取得される社会参加年齢推定結果データ400及び介護認定結果データ600の一例を示す。
【0162】
次に、図30に示すように、介護リスク推定部118は、s601で取得したデータに基づき、社会参加年齢と介護認定のリスクとの相関関係を特定することで、介護リスク推
定式を作成する(s602)。
【0163】
例えば、介護リスク推定部118は、ロジスティック回帰分析を行うことにより、ユーザの社会参加年齢からそのユーザの将来の介護認定の確率を算出する介護リスク推定式を作成する。なお、介護リスク推定部118は、ロジスティック回帰以外にも、ユーザの社会参加年齢と、介護認定の確率(又は要不要)との相関関係を推定する任意の手法を用いて介護リスク推定式を算出してもよい。なお、図32に、介護リスク推定式の一例を示す。
【0164】
その後、介護リスク推定部118は、対象ユーザの社会参加年齢の指定を受け付け、指定された社会参加年齢を介護リスク推定式に入力することにより、対象ユーザの介護リスクを算出する(s603)。以上で介護リスク算出処理s6は終了する。
【0165】
以上のように、本実施形態の社会参加支援装置10は、社会参加年齢推定処理s3により出力された各ユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)と、介護認定結果データ600(各ユーザの現在又は過去の介護認定の情報)とに基づき、ユーザの生物学的な属性値(社会参加年齢)からそのユーザの将来の健康状態(介護リスク)を推定する介護リスク推定式を作成し、対象ユーザの生物学的な属性値を介護リスク推定式に入力することにより、対象ユーザの将来の健康状態(介護リスク)を推定する。
【0166】
このように、社会参加年齢を用いてユーザの将来の健康状態(介護リスク)を推定することで、ユーザの積極的な社会参加を促すことができる。
【0167】
本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0168】
例えば、各実施形態の各装置が備えるハードウェアの一部は、他の装置に設けてもよい。また、各装置の各プログラム(機能部)は他の装置に設けてもよいし、あるプログラムを複数のプログラムからなるものとしてもよいし、複数のプログラムを一つのプログラムに統合してもよい。
【0169】
また、各実施形態では、社会参加年齢を算出する数値モデルとして式(1)-(9)に示したような換算式を用いたが、その他のモデル(式)が用いられてもよい。例えば、機械学習による学習済みモデルを作成するようにしてもよい。
【0170】
また、各実施形態で説明した社会参加情報200の社会参加パラメータの項目は一例であり、例えば歩行速度、一日の最大移動距離、外出の目的地の種類等、社会活動に関連したその他の任意の項目を設けてもよい。
【0171】
また、各実施形態で説明した、生物学的な属性値としての社会参加年齢は一例であり、他の属性値(年代等)を求める数値モデルを作成するようにしてもよい。
【0172】
また、第2実施形態では、月別の社会参加年齢推定式を作成する場合を説明したが、季節等の他の期間を採用してもよい。また、第3実施形態では、カテゴリとして男女別の場合を説明したが、居住地域、人種等の他のカテゴリを用いてもよい。
【0173】
また、第5実施形態で説明した健康状態の情報としての介護認定(介護リスク)は一例であり、その他の以外の健康状態の情報が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0174】
1 社会参加支援システム、10 社会参加支援装置、111 モデル作成部、112 社会参加年齢推定部、113 実年齢差計算部
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