(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127093
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ドロンカップ型熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20240912BHJP
F28F 9/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F28F3/08 301
F28F9/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035977
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(72)【発明者】
【氏名】洲脇 隆志
(57)【要約】
【課題】 ドロンカップ型熱交換器における部品種類を削減し、その製造費を低減すること。
【解決手段】 アウタープレート1とインナープレート2からなるエレメント3を有し、それらが積層されたドロンカップ型熱交換器において、アウタープレート1の開口を上向きにしてエレメント3を積層したとき、その積層方向の最上端のインナープレート2に隣接してアウタープレート1が配置され、また、最下端のアウタープレート1に隣接してアウタープレート1が、一方のアウタープレート1の第1バーリング1cが形成された連通孔1bが、他方のアウタープレート1の第1バーリング1cが形成されていない連通孔1bに互いに嵌合するように配置され、それらの最上端または最下端に隣接するアウタープレート1には、それぞれ、その内面に対向して外周が同一形状の端プレート4Aが嵌合される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、細長い偏平な平面の内面側が対向し、その外周縁(1a)が前記対向の方向にカップ状に立上げられたアウタープレート(1)と、インナープレート(2)とを具備し、インナープレート(2)の開口の外周縁(2a)がアウタープレート(1)の開口の外周縁(1a)の内側に嵌合してエレメント(3)を構成し、
前記各プレートの外形は、長手方向及び幅方向において、その一方側と他方側とがそれぞれ対称に形成され、
前記両プレートには、その平面の長手方向に離間して一対の膨出部(1d、2d)が外面側に突出し、各膨出部(1d、2d)に連通孔(1b、2b)が形成され、
複数のエレメント(3)が、前記膨出部(1d、2d)で積層され、積層方向の一枚おきにアウタープレート(1)とインナープレート(2)とが交互に配置されたドロンカップ型熱交換器において、
アウタープレート(1)の一方の連通孔(1b)の孔縁のみに、前記平面の外面側に立ち上がる第1バーリング(1c)が形成され、他方の連通孔(1b)の孔縁には、それが存在せず、
インナープレート(2)の一方の連通孔(2b)の孔縁のみに、前記平面の外面側に立ち上がる第2バーリング(2c)が形成され、他方の連通孔(2b)の孔縁には、それが存在せず、
前記一方の連通孔(1b)の第1バーリング部(1c)が、前記他方の連通孔(2b)に嵌合され、
前記一方の連通孔(2b)の第2バーリング部(2c)が、前記他方の連通孔(1b)に嵌合され、
アウタープレート(1)の開口を上向きにしてエレメント(3)を積層したとき、その積層方向の最上端のインナープレート(2)に隣接してアウタープレート(1)が配置され、
また、最下端のアウタープレート(1)に隣接してアウタープレート(1)が、一方のアウタープレート(1)の第1バーリング(1c)が形成された連通孔(1b)が、他方のアウタープレート(1)の第1バーリング(1c)が形成されていない連通孔(1b)に互いに嵌合するように配置され、
それらの最上端または最下端に隣接するアウタープレート(1)には、それぞれ、その内面に対向して外周が同一形状の端プレート(4A)が嵌合されたことを特徴とするドロンカップ型熱交換器。
【請求項2】
それぞれ、細長い偏平な平面の内面側が対向し、その外周縁(1a)が前記対向の方向にカップ状に立上げられたアウタープレート(1)と、インナープレート(2)とを具備し、インナープレート(2)の開口の外周縁(2a)がアウタープレート(1)の開口の外周縁(1a)の内側に嵌合してエレメント(3)を構成し、
前記各プレートの外形は、長手方向及び幅方向において、一方側と他方側とがそれぞれ対称に形成され、
前記両プレートには、その平面の長手方向に離間して一対の膨出部(1d、2d)が外面側に突出し、各膨出部(1d、2d)に連通孔(1b、2b)が形成され、
複数のエレメント(3)が、前記膨出部(1d、2d)で積層され、積層方向の一枚おきにアウタープレート(1)とインナープレート(2)とが交互に配置されたドロンカップ型熱交換器において、
アウタープレート(1)の一方の連通孔(1b)の孔縁のみに、前記平面の外面側に立ち上がる第1バーリング(1c)が形成され、他方の連通孔(1b)の孔縁には、それが存在せず、
インナープレート(2)の一方の連通孔(2b)の孔縁のみに、前記平面の外面側に立ち上がる第2バーリング(2c)が形成され、他方の連通孔(2b)の孔縁には、それが存在せず、
前記一方の連通孔(1b)の第1バーリング部(1c)が、前記他方の連通孔(2b)に嵌合され、
前記一方の連通孔(2b)の第2バーリング部(2c)が、前記他方の連通孔(1b)に嵌合され、
インナープレート(2)の開口を上向きにしてエレメント(3)を積層したとき、その積層方向の最上端のアウタープレート(1)に隣接してインナープレート(2)が配置され、
また、最下端のインナープレート(2)に隣接してインナープレート(2)が、一方のインナープレート(2)の第2バーリング(2c)が形成された連通孔(2b)が、他方のインナープレート(2)の第2バーリング(2c)が形成されていない連通孔(2b)に互いに嵌合するように配置され、
それらの最上端または最下端に隣接するインナープレート(2)には、それぞれ、その内面に対向して外周が同一形状の端プレート(4B)が嵌合されたことを特徴とするドロンカップ型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドロンカップ型熱交換器におけるカッププレートの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドロンカップ型熱交換器として、
図7~
図9のものが知られている。
図7は従来のドロンカップ型熱交換器の要部断面図、
図8は同分解断面図、
図9は同分解斜視図である。
このドロンカップ型熱交換器は、
図7、
図8、
図9に示す如く、それぞれ細長いカップ状に形成されたアウタープレ-ト9と、インナープレート10とが組み合わされたエレメント11が複数積層されることによって形成されている。
【0003】
アウタープレート9においては、その長手方向の両端部に膨出部9dが外面側に突出し、各膨出部9dに連通孔9bが穿設されており、各連通孔9bの一部に、バーリング9cが外面側に形成されている。
インナープレート10においても同様に、その長手方向の両端部に膨出部10dが外面側に突出し、各膨出部10dに連通孔10bが穿設されている。
ただし、その連通孔10bには、バーリング部は存在しない。
【0004】
複数のエレメント11が積層されるとき、隣接するエレメント11のアウタープレート9の膨出部9dの外面とインナープレート10の膨出部10dの外面とが対向して積層され、アウタープレート9のバーリング部9cが、インナープレート10の連通孔10bに嵌合する。
積層方向の最上端にはアウタープレート9のみが配置され、最下端にはインナープレート10のみが配置される。
最上端のアウタープレート9の上側には、上端プレート12が篏合される。
また、最下端のインナープレート10の下側には、下端プレート13が篏合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のドロンカップ型熱交換器では、
図7、
図8、
図9に示す如く、上端プレート12は、アウタープレート9と篏合するように平板状に形成され、下端プレート13は、インナープレート10に篏合するように皿状に形成されているので、上端プレート12と下端プレート13とを同一形状にすることはできない。
そのため、アウタープレート9、インナープレート10、上端プレート12、及び下端プレート13の4種の互いに形状の異なるプレートが必要となり、熱交換器の部品種類が多くなり、製造費がかかる欠点があった。
そこで、本発明は、部品種類を削減し、ドロンカップ型熱交換器の製造費を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、
それぞれ、細長い偏平な平面の内面側が対向し、その外周縁1aが前記対向の方向にカップ状に立上げられたアウタープレート1と、インナープレート2とを具備し、インナープレート2の開口の外周縁2aがアウタープレート1の開口の外周縁1aの内側に嵌合してエレメント3を構成し、
前記各プレートの外形は、長手方向及び幅方向において、その一方側と他方側とがそれぞれ対称に形成され、
前記両プレートには、その平面の長手方向に離間して一対の膨出部1d、2dが外面側に突出し、各膨出部1d、2dに連通孔1b、2bが形成され、
複数のエレメント3が、前記膨出部1d、2dで積層され、積層方向の一枚おきにアウタープレート1とインナープレート2とが交互に配置されたドロンカップ型熱交換器において、
アウタープレート1の一方の連通孔1bの孔縁のみに、前記平面の外面側に立ち上がる第1バーリング1cが形成され、他方の連通孔1bの孔縁には、それが存在せず、
インナープレート2の一方の連通孔2bの孔縁のみに、前記平面の外面側に立ち上がる第2バーリング2cが形成され、他方の連通孔2bの孔縁には、それが存在せず、
前記一方の連通孔1bの第1バーリング部1cが、前記他方の連通孔2bに嵌合され、
前記一方の連通孔2bの第2バーリング部2cが、前記他方の連通孔1bに嵌合され、
アウタープレート1の開口を上向きにしてエレメント3を積層したとき、その積層方向の最上端のインナープレート2に隣接してアウタープレート1が配置され、
また、最下端のアウタープレート1に隣接してアウタープレート1が、一方のアウタープレート1の第1バーリング1cが形成された連通孔1bが、他方のアウタープレート1の第1バーリング1cが形成されていない連通孔1bに互いに篏合するように配置され、
それらの最上端または最下端に隣接するアウタープレート1には、それぞれ、その内面に対向して外周が同一形状の端プレート4Aが篏合されたことを特徴とするドロンカップ型熱交換器である。
【0007】
上記課題を解決するための第2の発明は、
それぞれ、細長い偏平な平面の内面側が対向し、その外周縁1aが前記対向の方向にカップ状に立上げられたアウタープレート1と、インナープレート2とを具備し、インナープレート2の開口の外周縁2aがアウタープレート1の開口の外周縁1aの内側に嵌合してエレメント3を構成し、
前記各プレートの外形は、長手方向及び幅方向において、一方側と他方側とがそれぞれ対称に形成され、
前記両プレートには、その平面の長手方向に離間して一対の膨出部1d、2dが外面側に突出し、各膨出部1d、2dに連通孔1b、2bが形成され、
複数のエレメント3が、前記膨出部1d、2dで積層され、積層方向の一枚おきにアウタープレート1とインナープレート2とが交互に配置されたドロンカップ型熱交換器において、
アウタープレート1の一方の連通孔1bの孔縁のみに、前記平面の外面側に立ち上がる第1バーリング1cが形成され、他方の連通孔1bの孔縁には、それが存在せず、
インナープレート2の一方の連通孔2bの孔縁のみに、前記平面の外面側に立ち上がる第2バーリング2cが形成され、他方の連通孔2bの孔縁には、それが存在せず、
前記一方の連通孔1bの第1バーリング部1cが、前記他方の連通孔2bに嵌合され、
前記一方の連通孔2bの第2バーリング部2cが、前記他方の連通孔1bに嵌合され、
インナープレート2の開口を上向きにしてエレメント3を積層したとき、その積層方向の最上端のアウタープレート1に隣接してインナープレート2が配置され、
また、最下端のインナープレート2に隣接してインナープレート2が、一方のインナープレート2の第2バーリング2cが形成された連通孔2bが、他方のインナープレート2の第2バーリング2cが形成されていない連通孔2bに互いに嵌合するように配置され、
それらの最上端または最下端に隣接するインナープレート2には、それぞれ、その内面に対向して外周が同一形状の端プレート4Bが嵌合されたことを特徴とするドロンカップ型熱交換器である。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明において、積層されたアウタープレート1とインナープレート2の最上端、最下端はともにアウタープレート1となっているので、それらのアウタープレート1に篏合する端プレートを1種類の端プレート4Aで共用することが可能となり、部品種類が削減されることにより、ドロンカップ型熱交換器の製造費が低減される。
【0009】
第2の発明において、積層されたアウタープレート1とインナープレート2の最上端、最下端はともにインナープレート2となっているので、それらのインナープレート2に篏合する端プレートを1種類の端プレート4Bで共用することが可能となり、部品種類が削減されることにより、ドロンカップ型熱交換器の製造費が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のドロンカップ型熱交換器の第1の実施例の断面図。
【
図5】同第1の実施例のさらに他の例を示す分解断面図。
【
図6】本発明のドロンカップ型熱交換器の第2の実施例の分解断面図。
【
図7】従来のドロンカップ型熱交換器の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面に基づいて本発明の各実施の形態につき、説明する。
【実施例0012】
図1~
図3は、本発明の実施例1を示す。
このドロンカップ型熱交換器は、それぞれ細長いカップ状に形成されたアウタープレ-ト1と、インナープレート2とが組み合わされたエレメント3が複数積層されることによって形成されている。
【0013】
各プレート1、2は、細長い偏平な平面を有し、外周縁1a、2aがカップ状に立上げられている。
また、各平面の長手方向に離間して、それぞれ一対の膨出部1d、2dが外面側に突出し、各膨出部1d、2dに連通孔1b、2bが形成されている。
なお、各プレート1、2の外形は、長手方向及び幅方向において、その一方側と他方側とがそれぞれ対称に形成されている。
そして、各プレート1、2の外周縁1a、2aが互いに篏合することによって、エレメント3が形成されている。
【0014】
この例のアウタープレート1には、
図1、
図2に示す如く、その一方の連通孔1bの孔縁のみに、アウタープレート1の平面の外面側に立ち上がる第1バーリング1cが形成されている。第1バーリング1cは、他方の連通孔1bの孔縁には存在しない。
また、インナープレート2には、その一方の連通孔2bの孔縁のみに、インナープレート2の平面の外面側に立ち上がる第2バーリング2cが形成されている。第2バーリング2cは、他方の連通孔2bの孔縁には存在しない。
なお、第1バーリング1cおよび第2バーリング2cは、連通孔1b、2bの孔縁の半分に形成されている。
【0015】
この例では、複数のエレメント3は、アウタープレート1の開口が上向きになるように配置されて積層されており、アウタープレート1の膨出部1dの連通孔1bの位置と、隣接するエレメント3のインナープレート2の膨出部2dの連通孔2bに位置とが、整合した状態で積層されている。
この時、前記一方の連通孔1bの第1バーリング部1cは、前記他方の連通孔2bに嵌合され、前記一方の連通孔2bの第2バーリング部2cが、前記他方の連通孔1bに嵌合されている。
【0016】
また、
図1~
図3に示す如く、アウタープレート1の開口を上向きにしてエレメント3が積層されており、その積層方向の最上端のインナープレート2に隣接してアウタープレート1が配置されている。
また、最下端のアウタープレート1に隣接してアウタープレート1が、一方のアウタープレート1の第1バーリング1cが形成された連通孔1bが、他方のアウタープレート1の第1バーリング1cが形成されていない連通孔1bに互いに篏合するように配置されている。
そして、それらの最上端または最下端に隣接するアウタープレート1には、それぞれ、その内面に対向して外周が同一形状の端プレート4Aが篏合されている。
なお、実施例1では、端プレート4Aは平板状に形成されている。
【0017】
この構造により、上下両端に配置される端プレート4Aが共用化され、従来の熱交換器より部品種類が減るので、ドロンカップ型熱交換器の製造費が低減される。
【0018】
図4は、実施例1の他の例である。
この例が、実施例1と異なる点は、インナープレート2の第2バーリング2cの形成位置である。この例のインナープレート2の第2バーリング2cは、前記一方の連通孔2bの孔縁のインナープレート2の長手方向の外側ではなく内側の半分に形成されている。
【0019】
図5は、実施例1のさらに他の例である。
この例が、実施例1と異なる点は、アウタープレート1の第1バーリング1cの形成位置である。この例のアウタープレート1の第1バーリング1cは、前記一方の連通孔1bの孔縁のアウタープレート1の長手方向の外側ではなく内側の半分に形成されている。
なお、実施例1、実施例2では、各プレート1、2のバーリング1c、2cは、連通孔1b、2bの孔縁の半周に形成されているが、これに限らず、孔縁の全周にわたって形成してもよい。