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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127094
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】検体分析装置および検体分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G01N35/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】44
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035980
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(72)【発明者】
【氏名】三澤 浩太
(72)【発明者】
【氏名】中西 利志
(72)【発明者】
【氏名】生田 純也
(72)【発明者】
【氏名】水橋 徹
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 淳
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB09
2G058CB15
2G058CB16
2G058CB20
2G058CF06
2G058EA02
2G058EA05
2G058EA08
2G058ED02
2G058FA03
2G058GE04
(57)【要約】
【課題】複数の検体を分析する場合の検体分析装置における単位時間当たりの検体の処理件数を増加させる。
【解決手段】この検体分析装置100は、複数の検体容器1を収容したラック2を搬送するラック搬送部20と、検体容器1中の検体を攪拌する攪拌部12と、検体容器1から検体を吸引する吸引部11と、ラック搬送部20上のラック2、攪拌部12、および吸引部11による検体の吸引位置P6との間で検体容器1を搬送する容器搬送部13と、検体から調製された測定試料の測定を行う測定部16と、制御部91と、を備える。検体分析装置100は、制御部91の制御により、一の検体容器1の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器1に対して、吸引位置P6への移送、検体の吸引、およびラック2への返却、の少なくとも一つを実行するように構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体容器を収容したラックを搬送するラック搬送部と、
前記検体容器中の検体を攪拌する攪拌部と、
前記検体容器から検体を吸引する吸引部と、
前記ラック搬送部上の前記ラック、前記攪拌部、および前記吸引部による検体の吸引位置との間で前記検体容器を搬送する容器搬送部と、
前記吸引部により吸引された検体から調製された測定試料の測定を行う測定部と、
少なくとも前記攪拌部、前記吸引部および前記容器搬送部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部の制御により、一の前記検体容器の攪拌の開始から終了までの間に、他の前記検体容器に対して、前記吸引位置への移送、検体の吸引、および前記ラックへの返却、の少なくとも一つを実行するように構成されている、検体分析装置。
【請求項2】
前記容器搬送部は、
前記ラック搬送部の上方に配置可能であり、前記検体容器を把持して少なくとも上下方向に移動するハンド部と、
前記攪拌部による攪拌済みの前記検体容器を前記ハンド部から受け取り、前記検体容器を前記吸引位置に移送する容器移送部と、を備え、
前記攪拌部は、前記ラックから取り出された前記検体容器を前記ハンド部から受け取り、前記検体容器中の検体を攪拌する、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記制御部の制御により、前記一の検体容器の攪拌前に、前記攪拌部による攪拌済みの前記他の検体容器を前記ハンド部により前記攪拌部から前記容器移送部に移載するとともに、攪拌前の前記一の検体容器を前記ハンド部により前記ラックから前記攪拌部に移載するように構成されている、請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記制御部の制御により、前記吸引部による吸引済みの前記他の検体容器を前記ハンド部により前記容器移送部から前記ラックに返却するとともに、前記一の検体容器の攪拌後に、前記攪拌部による攪拌済みの前記一の検体容器を前記ハンド部により前記攪拌部から前記容器移送部に移載するように構成されている、請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記攪拌部は第1位置に移動するように構成され、前記容器移送部は上面視で前記第1位置と同一の第2位置に移動するように構成され、
前記ハンド部は、前記第1位置において、前記攪拌部に対する前記検体容器の挿入および取出しを実行し、前記第2位置において、前記容器移送部に対する前記検体容器の挿入および取出しを実行するように構成されている、請求項2~4のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記制御部の制御により、
前記第2位置において前記容器移送部に対して、前記ハンド部により前記検体容器の挿入および取出し行っている間、前記攪拌部を、上面視で前記第2位置から離隔した第3位置に配置し、
前記第1位置において前記攪拌部に対して、前記ハンド部により前記検体容器の挿入および取出しを行っている間、前記容器移送部を、上面視で前記第1位置から離隔した第4位置に配置するように構成されている、請求項5に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記第1位置と、前記第2位置と、前記ラックからの前記検体容器の取出位置とが、上下方向に配置され、
前記ハンド部は、水平方向に移動することなく、上下移動により、前記ラックに対する前記検体容器の取り出しおよび挿入と、前記第1位置に配置された前記攪拌部に対する前記検体容器の挿入および取出しと、前記第2位置に配置された前記容器移送部に対する前記検体容器の挿入および取出しと、を行うように構成されている、請求項6に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記攪拌部は、前記第1位置と前記第3位置とに、水平面内の第1方向に沿って直線移動するように構成され、
前記容器移送部は、前記第2位置と前記第4位置とに、上面視で前記第1方向と交差する第2方向に沿って直線移動するように構成され、
前記第1位置および前記第2位置は、上面視で前記容器移送部の移動経路と前記攪拌部の移動経路とが交差する位置である、請求項7に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記制御部の制御により、前記一の検体容器の攪拌の開始から終了までの間に、前記容器搬送部による前記他の検体容器の前記吸引位置への移送を行うように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記制御部の制御により、前記一の検体容器の攪拌の開始から終了までの間に、前記他の検体容器の前記吸引位置への移送を完了し、前記吸引位置に移送した前記他の検体容器から前記吸引部により検体の吸引を開始するように構成されている、請求項9に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記制御部の制御により、前記一の検体容器の攪拌の開始から終了までの間に、前記他の検体容器の前記吸引位置への移送、検体の吸引を完了し、前記容器搬送部により、吸引後の前記他の検体容器の前記ラックへの返却を開始するように構成されている、請求項10に記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記検体容器に設けられた識別情報を読み取る読取部をさらに備え、
前記容器搬送部は、前記読取部による読取位置に前記検体容器を搬送し、
前記制御部の制御により、前記一の検体容器の攪拌の開始から終了までの間に、前記容器搬送部による前記他の検体容器の前記読取位置への移動と、前記読取部による前記他の検体容器の前記識別情報の読み取りとを実行するように構成されている、請求項11に記載の検体分析装置。
【請求項13】
前記攪拌部の状態および前記容器移送部の状態を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記攪拌部の状態遷移に応じて前記記憶部に記憶された前記攪拌部の状態を更新し、前記容器移送部の状態遷移に応じて前記記憶部に記憶された前記容器移送部の状態を更新するとともに、前記記憶部に記憶された前記容器移送部の状態に応じて前記攪拌部の動作を制御し、前記記憶部に記憶された前記攪拌部の状態に応じて前記容器移送部の動作を制御する、請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項14】
前記攪拌部は、前記検体容器の下部を保持する保持部と、前記保持部を所定方向に往復移動させる駆動部と、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項15】
前記駆動部は、回転軸周りに、前記保持部を往復回転させるように構成され、
前記保持部は、前記回転軸周りの回転軌道の接線方向に前記検体容器の長手方向が沿う向きで前記検体容器を保持するように構成され、
前記攪拌部は、前記保持部に配置された前記検体容器を固定および固定解除する固定部をさらに含む、請求項14に記載の検体分析装置。
【請求項16】
前記駆動部は、水平方向の前記回転軸周りに、前記保持部を往復回転させるように構成され、
前記保持部は、往復回転の原点位置において上下方向に沿う向きで前記検体容器の下部を保持するように構成されている、請求項15に記載の検体分析装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記原点位置から90度よりも大きい所定角度まで前記保持部を回転させるように前記駆動部を制御し、
前記攪拌部は、前記所定角度に回転した状態の前記検体容器の上端部の下方となる位置に、前記検体容器から落下した付着物を受ける落下物受部をさらに含む、請求項16に記載の検体分析装置。
【請求項18】
前記攪拌部は、前記保持部が前記原点位置から前記所定角度まで到達したときに、前記保持部の回転を急停止させるように構成されている、請求項17に記載の検体分析装置。
【請求項19】
前記駆動部は、前記回転軸周りに回転可能なアームを介して前記保持部に接続され、
前記アームは、前記保持部に対して、回転方向に所定量だけ相対移動可能な状態で接続され、
前記所定角度まで回転した前記アームが停止すると、慣性によって前記保持部が前記所定量だけ移動して前記アームと衝突することで急停止する、請求項18に記載の検体分析装置。
【請求項20】
前記制御部は、攪拌の終了時に、前記保持部が前記所定角度から前記原点位置まで到達したときに、前記保持部の回転を急停止させる制御を行うように構成されている、請求項19に記載の検体分析装置。
【請求項21】
前記吸引部により吸引された検体と試薬とを受け入れ、検体と試薬とを反応させて前記測定試料を調製する複数の反応部をさらに備え、
前記複数の反応部には、互いに同じ種類の試薬が受け入れられ、
前記制御部は、前記検体容器から吸引した検体を、前記複数の反応部のいずれか1つに選択的に吐出させるように前記吸引部を制御する、請求項1~4のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項22】
前記制御部は、前記一の検体容器から吸引した検体を前記複数の反応部の1つに吐出させ、前記一の検体容器の次に前記吸引位置に移送された前記他の検体容器から吸引した検体を、前記複数の反応部の他の1つに吐出させるように前記吸引部を制御する、請求項21に記載の検体分析装置。
【請求項23】
一の前記検体容器に収容された検体から調製された測定試料の測定と、他の前記検体容器に収容された検体から調製された測定試料の測定とは、共通の前記測定部で実行されるように構成されている、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項24】
前記ラック搬送部上の前記ラックに収容された複数の通常検体を測定する第1モードと、前記複数の通常検体に割り込んで割り込み検体を測定する第2モードとで動作可能であり、
前記制御部の制御により、前記第2モードが設定されると、前記攪拌部および前記容器搬送部にある前記通常検体を前記ラックに返却するように構成されている、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項25】
検体容器に収容された検体を分析する検体分析装置による検体分析方法であって、
複数の前記検体容器を収容したラックから前記検体容器を取り出すステップと、
取り出された前記検体容器中の検体を攪拌するステップと、
攪拌済みの前記検体容器を吸引位置に移送するステップと、
前記吸引位置へ移送された前記検体容器から検体を吸引するステップと、
検体吸引済みの前記検体容器を、前記ラックに返却するステップと、
吸引された検体から調製された測定試料の測定を行うステップと、を備え、
一の前記検体容器の攪拌の開始から終了までの間に、他の前記検体容器に対して、前記吸引位置への移送、検体の吸引、および前記ラックへの返却、の少なくとも一つのステップを実行する、検体分析方法。
【請求項26】
前記取り出すステップ、前記攪拌するステップ、前記移送するステップ、前記吸引するステップ、および前記返却するステップは、前記複数の検体容器のそれぞれに対して実行され、前記一の検体容器に対する前記攪拌するステップの前に、前記他の検体容器に対する前記移送するステップが実行される、請求項25に記載の検体分析方法。
【請求項27】
第2位置と前記吸引位置との間で前記検体容器を移送する容器移送部を前記第2位置に配置した状態で、前記容器移送部に対する前記検体容器の挿入および取出しを行い、
前記検体容器を攪拌する攪拌部を、上面視で前記第2位置と同一の第1位置に配置した状態で、前記攪拌部に対する前記検体容器の挿入および取出しを行う、請求項25または26に記載の検体分析方法。
【請求項28】
前記容器移送部を前記第2位置に移動させ、前記攪拌部を前記第2位置から離隔した第3位置に移動させた状態で、前記容器移送部に対する前記検体容器の挿入および取出しを行い、
前記攪拌部を前記第1位置に移動させ、前記容器移送部を前記第1位置から離隔した第4位置に移動させた状態で、前記攪拌部に対する前記検体容器の挿入および取出しを行う、請求項27に記載の検体分析方法。
【請求項29】
前記第1位置と、前記第2位置と、前記ラックからの前記検体容器の取出位置とが、上下方向に配置され、
上方移動のみにより、前記ラックからの前記検体容器の取り出しおよび挿入と、前記第1位置に配置された前記攪拌部に対する前記検体容器の挿入および取出しと、前記第2位置に配置された前記容器移送部に対する前記検体容器の挿入および取出しと、を行う、請求項28に記載の検体分析方法。
【請求項30】
前記攪拌部を水平面内の第1方向に沿って直線移動させることにより、前記第1位置と前記第3位置とにそれぞれ配置させ、
前記容器移送部を上面視で前記第1方向と交差する第2方向に沿って直線移動させることにより、前記第2位置と前記第4位置とにそれぞれ配置させ、
前記第1位置および前記第2位置は、上面視で前記容器移送部の移動経路と前記攪拌部の移動経路とが交差する位置である、請求項29に記載の検体分析方法。
【請求項31】
前記取り出すステップ、前記攪拌するステップ、前記吸引位置に移送するステップ、前記吸引するステップ、および前記返却するステップは、複数の前記検体容器のそれぞれに対して実行され、
前記一の検体容器の攪拌の開始から終了までの間に、前記他の検体容器に対する前記吸引位置に移送するステップを実行する、請求項25または26に記載の検体分析方法。
【請求項32】
前記一の検体容器の攪拌の開始から終了までの間に、前記他の検体容器に対する前記吸引位置に移送するステップを完了させ、かつ、前記吸引位置に移送した前記他の検体容器に対する前記吸引するステップを開始する、請求項31に記載の検体分析方法。
【請求項33】
前記一の検体容器の攪拌の開始から終了までの間に、前記他の検体容器に対する前記吸引位置に移送するステップと、前記他の検体容器に対する前記吸引するステップとを完了させ、かつ、検体吸引済みの前記他の検体容器に対する前記返却するステップを開始する、請求項32に記載の検体分析方法。
【請求項34】
前記検体容器に設けられた識別情報を読み取る読取位置に前記検体容器を移送するステップと、
前記識別情報を読み取るステップと、をさらに備え、
前記一の検体容器の攪拌の開始から終了までの間に、前記他の検体容器に対する前記読取位置に移送するステップと、前記読み取るステップと、をさらに実行する、請求項33に記載の検体分析方法。
【請求項35】
前記攪拌部の状態および前記容器移送部の状態を記憶するステップと、
前記攪拌部の状態を、前記攪拌部の状態遷移に応じて更新するステップと、
前記容器移送部の状態を、前記容器移送部の状態遷移に応じて更新するステップと、をさらに備え、
前記攪拌部の動作は、前記容器移送部の状態に応じて制御され、
前記容器移送部の動作は、前記攪拌部の状態に応じて制御される、請求項27に記載の検体分析方法。
【請求項36】
前記攪拌するステップにおいて、保持部により前記検体容器の下部を保持した状態で、駆動部により前記保持部を所定方向に往復移動させる、請求項25または26に記載の検体分析方法。
【請求項37】
前記攪拌するステップにおいて、
前記保持部により、前記保持部から離隔した回転軸周りの回転軌道の接線方向に前記検体容器の長手方向が沿う向きで前記検体容器を保持し、
固定部により、前記保持部に配置された前記検体容器を前記保持部に固定し、
前記駆動部により、前記回転軸周りに、前記保持部を往復回転させる、請求項36に記載の検体分析方法。
【請求項38】
前記攪拌するステップにおいて、
前記駆動部により、水平方向の前記回転軸周りに、前記保持部を往復回転させ、
前記保持部に、往復回転の原点位置において上下方向に沿う向きで前記検体容器の下部を保持させる、請求項37に記載の検体分析方法。
【請求項39】
前記攪拌するステップにおいて、
前記駆動部により、前記原点位置から90度よりも大きい所定角度まで前記保持部を回転させ、
前記所定角度に回転した状態の前記検体容器の上端部の下方となる位置に配置された落下物受部により、前記検体容器から落下した付着物を受け入れる、請求項38に記載の検体分析方法。
【請求項40】
前記攪拌するステップにおいて、前記保持部が前記原点位置から前記所定角度まで到達したときに、前記保持部の回転を急停止させる、請求項39に記載の検体分析方法。
【請求項41】
前記駆動部は、前記回転軸周りに回転可能なアームを介して前記保持部に接続され、
前記アームは、前記保持部に対して、回転方向に所定量だけ相対移動可能な状態で接続され、
前記攪拌するステップにおいて、前記所定角度まで回転した前記アームが停止させることにより、慣性によって前記保持部を前記所定量だけ移動させて前記アームと衝突させることで急停止させる、請求項40に記載の検体分析方法。
【請求項42】
前記攪拌するステップにおいて、攪拌の終了時に、前記保持部が前記所定角度から前記原点位置まで到達したときに、前記保持部の回転を急停止させる、請求項41に記載の検体分析方法。
【請求項43】
前記検体容器から吸引した検体を、複数の反応部のいずれか1つに選択的に吐出し、検体が吐出された反応部において検体と試薬とを反応させて前記測定試料を調製するステップをさらに備え、
前記複数の反応部には、互いに同じ種類の試薬が受け入れられる、請求項25または26に記載の検体分析方法。
【請求項44】
前記一の検体容器から吸引した検体に対する前記測定試料を調製するステップでは、前記一の検体容器から吸引した検体を前記複数の反応部の1つに吐出し、
前記一の検体容器の次に前記吸引位置に移送された前記他の検体容器から吸引した検体に対する前記測定試料を調製するステップでは、前記他の検体容器から吸引した検体を前記複数の反応部の他の1つに吐出させる、請求項43に記載の検体分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器中の検体を攪拌し、攪拌された検体を容器中から吸引し、吸引した検体について分析を行う検体分析装置および検体分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の検体容器を収容したラックを搬送する検体搬送装置と、測定ユニットと、を備えた検体分析装置が開示されている。測定ユニットは、ハンド部と、検体容器移送部と、ピアサと、を含む。特許文献1では、検体搬送装置によりラックに収容された検体容器が検体容器取出位置に配置されると、ハンド部がラックから検体容器を把持して取り出し、検体容器を把持したまま振り子状に回動することにより、検体容器中の検体を攪拌する。攪拌終了後、ハンド部は、検体容器移送部に検体容器をセットする。検体容器移送部は、検体容器を吸引位置まで移送する。吸引位置において、ピアサが、検体容器中の検体を吸引する。検体吸引済みの検体容器は、検体容器移送部により検体セット位置まで移送され、ハンド部によって検体容器移送部から取り出された後、ラックの元の位置に戻される。その後、ラックに収容された次の検体容器が検体容器取出位置に配置されると、測定ユニットは次の検体容器に対して、上記した動作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-173251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、上記のように、ラックからの検体容器の取り出し、攪拌、吸引位置への移送、吸引、検体セット位置への移送、検体容器移送部からの検体容器の取り出し、検体容器のラックへの返却、という一連の動作を、検体容器毎に繰り返し行う。検体検査業務の効率を向上させるため、複数の検体を分析する場合の検体分析装置における単位時間当たりの検体の処理件数の更なる増加が望まれている。
【0005】
この発明は、複数の検体を分析する場合の検体分析装置における単位時間当たりの検体の処理件数を増加させることに向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による検体分析装置(100)は、図4および図21に示すように、複数の検体容器(1)を収容したラック(2)を搬送するラック搬送部(20)と、検体容器(1)中の検体を攪拌する攪拌部(12)と、検体容器(1)から検体を吸引する吸引部(11)と、ラック搬送部(20)上のラック(2)、攪拌部(12)、および吸引部(11)による検体の吸引位置(P6)との間で検体容器(1)を搬送する容器搬送部(13)と、吸引部(11)により吸引された検体から調製された測定試料の測定を行う測定部(16)と、少なくとも攪拌部(12)、吸引部(11)および容器搬送部(13)を制御する制御部(91)と、を備え、制御部(91)の制御により、一の検体容器(1)の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器(1)に対して、吸引位置(P6)への移送、検体の吸引、およびラック(2)への返却、の少なくとも一つを実行するように構成されている。
【0007】
本発明による検体分析装置(100)は、制御部(91)の制御により、一の検体容器(1)の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器(1)に対して、吸引位置(P6)への移送、検体の吸引、およびラック(2)への返却、の少なくとも一つを実行するように構成されている。これにより、攪拌部(12)による一の検体容器(1)の攪拌処理と、他の検体容器(1)に対する処理(吸引位置(P6)への移送、検体の吸引、ラック(2)への返却、の少なくとも一つ)とを、時間的に重複する並行処理として実行することができる。そのため、一の検体容器(1)に対する処理と、他の検体容器(1)に対する処理とを別々に、かつ順番に実行する場合と比較して、一の検体容器(1)の攪拌処理と、他の検体容器(1)に対する処理とを時間的に重複させる分だけ、複数の検体を分析する場合の検体分析装置(100)における単位時間当たりの検体の処理件数を増加することができる。
【0008】
本発明による検体分析方法は、図21に示すように、検体容器(1)に収容された検体を分析する検体分析装置(100)による検体分析方法であって、複数の検体容器(1)を収容したラック(2)から検体容器(1)を取り出すステップ(S1)と、取り出された検体容器(1)中の検体を攪拌するステップ(S3)と、攪拌済みの検体容器(1)を吸引位置(P6)に移送するステップ(S8)と、吸引位置(P6)へ移送された検体容器(1)から検体を吸引するステップ(S9)と、検体吸引済みの検体容器(1)を、ラック(2)に返却するステップ(S11)と、吸引された検体から調製された測定試料の測定を行うステップ(S13)と、を備え、一の検体容器(1)の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器(1)に対して、吸引位置(P6)への移送(ステップS8)、検体の吸引(ステップS9)、およびラック(2)への返却(ステップS13)、の少なくとも一つのステップを実行する。
【0009】
本発明による検体分析方法では、一の検体容器(1)の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器(1)に対して、吸引位置(P6)への移送、検体の吸引、およびラック(2)への返却、の少なくとも一つのステップを実行する。これにより、一の検体容器(1)の攪拌処理と、他の検体容器(1)に対する処理(吸引位置(P6)への移送、検体の吸引、ラック(2)への返却、の少なくとも一つ)とを、時間的に重複する並行処理として実行することができる。そのため、一の検体容器(1)に対する処理と、他の検体容器(1)に対する処理とを別々に、かつ順番に実行する場合と比較して、一の検体容器(1)の攪拌処理と、他の検体容器(1)に対する処理とを時間的に重複させる分だけ、複数の検体を分析する場合の検体分析装置(100)における単位時間当たりの検体の処理件数を増加することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の検体を分析する場合の検体分析装置における単位時間当たりの検体の処理件数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の検体分析装置の模式的な斜視図である。
図2】ラック搬送部を示した模式的な上面図である。
図3】検体ラックおよび検体容器を示した模式的な斜視図である。
図4】検体分析装置を示した模式図である。
図5】測定ユニットの内部を模式的に示した斜視図である。
図6】攪拌部および容器搬送部の配置を説明するための模式的な上面図である。
図7】容器移送部の側面視説明図である。
図8】攪拌部の斜視説明図である。
図9】保持部が所定角度に回動された状態の攪拌部の斜視説明図である。
図10】攪拌部の断面説明図である。
図11】保持部のみを示した斜視説明図である。
図12】検体容器の固定状態の保持部を示した断面説明図である。
図13】攪拌時の保持部の回転を説明するための説明図である。
図14】保持部が所定角度に回動された状態の説明図である。
図15】所定角度で停止したアームと保持部との相対移動を示した説明図である。
図16】攪拌を終了する際に保持部が準備位置にある状態を示した説明図である。
図17】原点位置で停止したアームと保持部との相対移動を示した説明図である。
図18】試料調製部を示した説明図である。
図19】各反応部と測定部との接続を示した説明図である。
図20】検体分析装置の制御に関わる構成を示したブロック図である。
図21】1本の検体容器に対する測定動作の流れを示したフロー図である。
図22】攪拌部制御による処理の流れを示したフロー図である。
図23】攪拌部の各状態を示した説明図である。
図24】容器移送部制御による処理の流れを示したフロー図である。
図25】容器移送部制御による処理の流れを示したフロー図である。
図26】容器移送部の各状態を示した説明図である。
図27】ハンド部制御による処理の流れを示したフロー図である。
図28】吸引部制御による処理の流れを示したフロー図である。
図29】読取部制御による処理の流れを示したフロー図である。
図30】検体分析装置の攪拌および吸引動作(1本目)のタイムチャートである。
図31】検体分析装置の攪拌および吸引動作(N+1本目)のタイムチャートである。
図32】時点t4における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図33】時点t6における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図34】時点t8における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図35】時点t14における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図36】時点t17における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図37】時点t20における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図38】時点t25における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図39】時点t28における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図40】時点t35における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図41】時点t40における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図42】時点t45における攪拌部および容器移送部の位置を示した説明図である。
図43】検体を吐出する反応部の選択を説明するための説明図である。
図44】検体分析装置の動作の第1変形例を示した説明図である。
図45】検体分析装置の動作の第2変形例を示した説明図である。
図46】検体分析装置の動作の第3変形例を示した説明図である。
図47】検体分析装置の動作の第4変形例を示した説明図である。
図48】検体分析装置の動作の第5変形例を示した説明図である。
図49】変形例の撹拌を行う検体分析装置を示した模式図である。
図50】把持・攪拌部を示した模式図である。
図51】第6変形例の検体分析装置を示した模式図である。
図52】第6変形例の検体分析装置の制御部による割り込み検体の測定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
まず、図1図20を参照して、検体分析装置100の全体構成について説明する。なお、本実施形態では、検体分析装置100が、血液検体を分析する装置であって、具体的には血球計数装置である例について説明する。
【0014】
検体分析装置100は、図1に示すように、1つの測定ユニット10と、測定ユニット10の前面側(Y1方向側)に配置されたラック搬送部20と、測定ユニット10およびラック搬送部20に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる分析部30とを備えている。また、分析部30はホストコンピュータ300(図4参照)に接続されている。
【0015】
以下、水平面内で直交する2つの方向をそれぞれX方向、Y方向とする。X方向の一方側および他方側をそれぞれX1方向、X2方向とする。Y方向の一方側および他方側をそれぞれY1方向、Y2方向とする。X方向およびY方向と直交する上下方向をZ方向とし、Z方向のうち上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。
【0016】
(ラック搬送部)
図1に示すように、ラック搬送部20は、複数の検体容器1を収容したラック2を搬送するように構成されている。ラック搬送部20は、図2に示すように、分析前ラック保持部21と、分析後ラック保持部22と、ラック2をX1方向およびX2方向に水平に直線移動する搬送路23と、情報読取部24と、分析後ラック保持部22内にラック2を移動するラック送出部25とを含んでいる。
【0017】
図3に示すように、ラック2は、概略で直方体形状を有している。ラック2は、上面から下方に延びる保持孔2aを複数有する。1つの保持孔2aに対して、1本の検体容器1が挿入されることにより、検体容器1が保持される。複数の保持孔2aは、ラック2の長手方向に沿って、間隔を隔てて直線状に設けられている。
【0018】
検体容器1は、円筒形状を有し、上端に開口を有するとともに底部が閉じた円筒状容器である。検体容器1の内部には被検者から採取された検体が収容される。検体は、全血の血液検体である。検体容器1の上端部には、開口を封止するキャップ1aが取り付けられている。キャップ1aは、一部または全部がゴムなどの柔軟な部材で構成されており、吸引管により穿刺(貫通)可能となっている。検体容器1の側面には、検体容器1を識別するための識別情報を示すバーコードラベル1bが貼付されている。バーコードラベル1bは、バーコード以外の2次元コードのラベルでもよい。
【0019】
図2に示すように、分析前ラック保持部21は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器1が収容された複数のラック2を保持することが可能に構成されている。分析前のラック2は、ユーザにより、分析前ラック保持部21に設置される。分析前ラック保持部21は、ラック送込部26を有し、ラック送込部26がY2方向に移動することによって、分析前ラック保持部21に保持されたラック2を1つずつ搬送路23上に押し出すように構成されている。
【0020】
搬送路23は、X方向に延びるとともに、分析前ラック保持部21と分析後ラック保持部22とに接続している。搬送路23は、分析前ラック保持部21から受け入れたラック2に保持された検体容器1を、測定ユニット10が検体を取り込む取出位置P0に搬送するように構成されている。また、搬送路23は、取出位置P0への搬送前に、情報読取部24が情報読取を行うラック読取位置P0aに各検体容器1を搬送するように構成されている。情報読取部24は、ラック読取位置P0aに搬送された各検体容器1のバーコードラベル1bを光学的に読み取るバーコードリーダである。搬送路23は、検体吸引済みの検体容器1を保持したラック2を、ラック送出部25まで搬送する。
【0021】
ラック送出部25は、搬送路23を挟んで分析後ラック保持部22に対向するように配置されており、Y1方向に水平に移動するように構成されている。また、ラック送出部25は、Y1方向に水平移動することによって、搬送路23上のラック2を分析後ラック保持部22側に押し出すように構成されている。
【0022】
分析後ラック保持部22は、分析が行われた後の検体を収容する検体容器1が収容された複数のラック2を保持することが可能に構成されている。分析後ラック保持部22は、ラック送出部25により搬送路23上から送り出されたラック2を受け入れて、貯留する。分析済みの検体容器1を保持したラック2は、ユーザによって分析後ラック保持部22から回収される。
【0023】
(測定ユニット)
図4に示すように、測定ユニット10は、吸引部11と、攪拌部12と、容器搬送部13と、読取部14と、試料調製部15と、測定部16と、制御部91とを含む。これらの吸引部11と、攪拌部12と、容器搬送部13と、読取部14と、試料調製部15と、測定部16と、制御部91とは、ユニットカバー18(図1参照)の内部に収容されている。
【0024】
吸引部11は、検体容器1から検体を吸引するように構成されている。吸引部11は、ユニットカバー18の内部の奥側(Y2方向側)にある吸引位置P6の上方に配置されている。吸引部11は、容器搬送部13によって吸引位置P6まで搬送された検体容器1から、検体を吸引する。吸引部11は、吸引した検体を、試料調製部15の後述する反応部(81a~81e、図6参照)に供給するように構成されている。
【0025】
攪拌部12は、検体容器1中の検体を攪拌するように構成されている。攪拌部12は、吸引部11による検体吸引の前処理として、検体の攪拌処理を行う。攪拌処理により、検体容器1中に沈殿した有形成分が検体の液体成分中に分散される。攪拌部12は、ユニットカバー18の内部の手前側(Y1方向側)に配置されている。攪拌部12は、容器搬送部13から受け渡された検体容器1に対して、攪拌処理を行うように構成されている。
【0026】
図1に示すように、ユニットカバー18は、ラック搬送部20よりも奥側(Y2方向側)の位置に配置されているが、ユニットカバー18のY1側の前面部が、ラック搬送部20の上方(Z1方向)の位置までY1側に突出している。攪拌部12は、ユニットカバー18内のY1側に突出している突出部18aに収容されており、上面視で、搬送路23と重なる位置(図4参照)に配置されている。
【0027】
容器搬送部13は、ラック搬送部20上のラック2、攪拌部12、および吸引部11による検体の吸引位置P6との間で検体容器1を搬送するように構成されている。容器搬送部13は、ハンド部13aと、容器移送部13bと、を備える。
【0028】
ハンド部13aは、ラック搬送部20の搬送路23の上方に配置可能であり、検体容器1を把持して上下方向に移動するように構成されている。ハンド部13aは、搬送路23上のラック2に保持された検体容器1のうち、取出位置P0に配置された検体容器1のラック2からの取り出しおよびラック2への挿入ができる。ハンド部13aは、把持した検体容器1の容器移送部13bへの挿入、および容器移送部13bからの検体容器1の取り出しができる。ハンド部13aは、把持した検体容器1の攪拌部12への挿入、および攪拌部12からの検体容器1の取り出しができる。これらの検体容器1の挿入および取り出しの動作の詳細は、後述する。
【0029】
容器移送部13bは、攪拌部12による攪拌済みの検体容器1をハンド部13aから受け取り、検体容器1を吸引位置P6に移送するように構成されている。また、攪拌部12は、ラック2から取り出された検体容器1をハンド部13aから受け取り、検体容器1中の検体を攪拌するように構成されている。これにより、ラック2からの検体容器1の取り出しと、容器移送部13bへの検体容器1の受け渡しと、攪拌部12への検体容器1の受け渡しとを、ハンド部13aによって実行できるので、それぞれの動作を別々の機構によって実行する場合と比べて、装置構成を簡素化できる。
【0030】
読取部14は、検体容器1に設けられたバーコードラベル1b(図3参照)から識別情報を読み取るように構成されている。読取部14は、容器移送部13bによる移動経路上の読取位置P5に隣接するように設けられている。読取部14は、光学式のバーコードリーダである。読取部14は、容器移送部13bによって読取位置P5に移送された検体容器1の識別情報を読み取るように構成されている。
【0031】
試料調製部15は、吸引部11により吸引した検体から検出用試料を調製する。試料調製部15は、吸引部11により吸引された検体と試薬とを反応させて測定試料を調製するように構成されている。試料調製部15により調製された測定試料が、測定部16に供給される。
【0032】
測定部16は、吸引部11により吸引された検体から調製された測定試料の測定を行うように構成されている。測定試料(すなわち、検体)中に含まれる検出対象成分の存在を示す情報を検出する。検出対象成分は、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板(PLT)などの有形成分を含む。また、検出対象成分は、血液中の血色素、具体的にはヘモグロビン(HGB)を含む。測定部16で得られた測定結果のデータは、通信部93(図20)を介して分析部30に送信される。
【0033】
制御部91は、攪拌部12、吸引部11および容器搬送部13を制御するように構成されている。本実施形態では、制御部91は、攪拌部12、吸引部11および容器搬送部13だけでなく、測定ユニット10に収容されている各部(測定部16、読取部14、試料調製部15など)の制御を行う。また、制御部91は、測定部16で得られた測定結果のデータを通信部93(図20)を介して分析部30に送信する。
【0034】
分析部30は、測定ユニット10から取得した測定結果のデータを分析することにより、測定項目毎の分析結果(赤血球数、血小板数、ヘモグロビン量、白血球数など)を取得するように構成されている。
【0035】
(測定ユニットの詳細構成)
次に、測定ユニット10の詳細な構成について説明する。
【0036】
図5に示すように、ハンド部13aは、ユニットカバー18内の突出部18aにおいて、X1方向側の隅部に配置されている。ハンド部13aは、ラック搬送部20の搬送路23の上方(図4参照)に配置されている。具体的には、ハンド部13aは、搬送路23の取出位置P0の直上位置に配置されている。
【0037】
ハンド部13aは、水平方向(Y方向)に対向する一対の把持片41aおよび41bと、一対の把持片41aおよび41bを開閉するように動作させるアクチュエータ42とを含む。アクチュエータ42は、エアシリンダである。アクチュエータ42は、電動モータでもよい。また、ハンド部13aは、一対の把持片41a、41bおよびアクチュエータ42を上下方向に移動させるハンド移動機構を含む。ハンド移動機構は、Z方向に延びるガイドレール43と、ハンド昇降モータ44と、一対のプーリ45a、45bと、環状のベルト46とを含む。一対の把持片41a、41bおよびアクチュエータ42が設けられた可動部41が、ガイドレール43に対して摺動可能に取り付けられている。ハンド昇降モータ44は、ステッピングモータである。ハンド昇降モータ44は、プーリ45aを回転駆動することにより、プーリ45aとプーリ45bとに掛け渡されたベルト46を循環駆動する。可動部41は、ベルト46の一部に連結されており、ベルト46の循環駆動に伴って、ガイドレール43に沿ってZ1方向およびZ2方向に移動される。ハンド移動機構は、ハンド部13a(可動部41)をZ方向にのみ移動させる直動機構である。
【0038】
ユニットカバー18内の突出部18aにおいて、ハンド部13aの直下の位置には、開口部18bが設けられている。ハンド部13aは、開口部18bを通って下方向(Z2方向)に移動することで、搬送路23上のラック2に保持された検体容器1(取出位置P0に配置された検体容器1)を一対の把持片41aおよび41bによって把持し、そのまま上方向(Z1方向)に移動することにより検体容器1をラック2から取り出す。ハンド部13aは、検体容器1を把持した状態で、開口部18bを通って下方向(Z2方向)に移動することで、把持した検体容器1をラック2に挿入し、一対の把持片41aおよび41bによる把持を解除しつつ上方向(Z1方向)に移動することにより、取り出した検体容器1をラック2に返却する。容器移送部13bおよび攪拌部12に対する検体容器1の受け渡しも、容器移送部13bおよび攪拌部12のそれぞれの高さ位置における、把持片41aおよび41bによる把持および把持の解除の動作によって行われる。
【0039】
ハンド部13aには、可動部41のZ方向の原点位置を検出する原点センサ47が設けられている。ハンド部13aがラック2に対して検体容器1を取り出しおよび挿入(返却)する位置、ハンド部13aが容器移送部13bに対して検体容器1を挿入および取り出す位置、ハンド部13aが攪拌部12に対して検体容器1を挿入および取り出す位置、などへのハンド部13aの位置制御は、原点位置から各位置までの距離に基づいて制御部91(図4参照)により行われる。
【0040】
図6に示すように、容器移送部13bは、ハンド部13aに対してY2方向に配置されている。容器移送部13bは、図7に示すように、容器保持部51と、保持部移動機構52と、を含む。容器保持部51は、検体容器1の外径に対応した円筒状部材であり、上端部が開口するとともに、底部が塞がれている。容器保持部51は、円筒状の容器保持部51の内部に検体容器1の底部を受け入れることにより、検体容器1を下側から保持する。保持部移動機構52は、容器保持部51をY1方向およびY2方向に直線移動させるように構成されている。保持部移動機構52は、容器保持部51をY方向にのみ移動させる直動機構である。保持部移動機構52は、容器保持部51の下面を支持する支持板53と、Y方向に延びるガイドレール54と、移送部用モータ55と、一対のプーリ56a、56bと、環状のベルト57とを含む。容器保持部51が設けられた支持板53が、ガイドレール54に対して摺動可能に取り付けられている。移送部用モータ55は、プーリ56aを回転駆動することにより、プーリ56aとプーリ56bとに掛け渡されたベルト57を循環駆動する。支持板53は、ベルト57の一部に連結されており、ベルト57の循環駆動に伴って、ガイドレール54に沿ってY1方向およびY2方向に移動される。
【0041】
これにより、容器移送部13bは、図7に示すように、容器保持部51をY方向に直線移動させる。容器移送部13bは、容器保持部51をY1方向およびY2方向に移動させることにより、容器保持部51に保持した検体容器1を移送する。具体的には、容器移送部13bは、容器保持部51に保持された検体容器1を、吸引位置P6と、第2位置P2と、第4位置P4と、読取位置P5と、に移動させるように構成されている。これらの各位置は、Y1方向側から、第2位置P2、読取位置P5、第4位置P4、吸引位置P6の順で並んでいる。
【0042】
第2位置P2は、ハンド部13aにより容器移送部13bに対する検体容器1の挿入および取出しを実行する位置である。すなわち、上面視で、第2位置P2は、搬送路23上のラック2からの検体容器1の取出位置P0(図5参照)と一致する。第2位置P2は、取出位置P0の上方(Z1側)の位置である。読取位置P5は、読取部14によって検体容器1からの識別情報の読取が行われる位置である。第4位置P4は、第1位置P1にある攪拌部12から水平方向(XY方向)に離隔した退避位置である。吸引位置P6は、容器保持部51に保持された検体容器1中の検体が、吸引部11により吸引される位置である。
【0043】
図7に示すように、容器移送部13bには、容器保持部51のY方向の原点位置を検出する原点センサ58が設けられている。第2位置P2、読取位置P5、第4位置P4、吸引位置P6の各位置への容器移送部13bの位置制御は、原点位置から各位置までの距離に基づいて制御部91(図4参照)により行われる。なお、以下では、容器移送部13bの容器保持部51を上記の各位置に移動させることを、単に容器移送部13bを移動させる、と表現する場合がある。容器移送部13bの位置は、容器保持部51による検体容器1の保持位置(円筒状の容器保持部51の中心位置)を基準とする。
【0044】
図6に示すように、読取部14は、容器保持部51に保持された検体容器1を周方向に回転させる回転部61を備える。回転部61は、一対の支持ローラ61a、61bを駆動ローラ62に向けて前進させ、一対の支持ローラ61a、61bと駆動ローラ62との間に検体容器1を挟み込む。この状態で、回転部61は、駆動ローラ62を回転させることによって、検体容器1を周方向(検体容器1の中心軸線周り)に回転させる。読取部14は、読取位置P5のX2側に配置されており、回転部61によって回転される検体容器1のバーコードラベル1b(図3参照)から識別情報を読み取る。これにより、バーコードラベル1bが周方向のどの位置にあっても、読取部14によって識別情報の読取が可能である。
【0045】
吸引位置P6の上方には、図5に示すように、吸引部11の吸引管71が配置されている。吸引部11は、Z方向に延びる吸引管71と、吸引管71を移動させる吸引管移動機構72と、定量部73(図18参照)とを備える。吸引管71は、先端が検体容器1のキャップ1aを貫通(穿刺)可能なように形成された管部材である。吸引管移動機構72は、吸引管71をZ方向およびX方向に移動させることが可能である。吸引部11は、吸引位置P6(図6参照)に配置された検体容器1の上方から、吸引管71を下方向へ移動させることにより、検体容器1のキャップ1a(図3参照)を吸引管71で貫通させて、検体容器1の内部に吸引管71の先端部を挿入させる。
【0046】
図6に示すように、吸引位置P6に対してX2方向に、試料調製部15の複数の反応部81a~81eが直線状に並んで設けられている。吸引部11は、吸引位置P6で検体を吸引した後、吸引管移動機構72によって吸引管71を複数の反応部81a~81eのいずれか1つまたは複数の位置へ移動させ、検体を吐出させる。これにより、吸引された検体が試料調製部15へ供給される。
【0047】
攪拌部12は、ハンド部13aに対してX2方向に配置されている。攪拌部12は、検体容器1を保持する保持部130を有し、保持部130をX1方向およびX2方向に移動可能である。攪拌部12は、第1位置P1と第3位置P3とに、水平面内の第1方向(X方向)に沿って直線移動するように構成されている。なお、攪拌部12の位置は、保持部130による検体容器1の保持位置(後述する保持部材131の保持孔131aの中心位置)を基準とする。
【0048】
第1位置P1は、ハンド部13aにより攪拌部12(保持部130)に対する検体容器1の挿入および取出しを実行する位置である。すなわち、上面視で、第1位置P1は、検体容器1の取出位置P0(図5参照)と一致する。上面視で、第1位置P1は、第2位置P2と一致する。第1位置P1と、第2位置P2と、取出位置P0とは、XY面内の位置が同一であり、Z方向の位置が互いに異なる。
【0049】
このように、攪拌部12は、第1位置P1と第3位置P3とに、水平面内の第1方向(X方向)に沿って直線移動するように構成され、容器移送部13bは、第2位置P2と第4位置P4とに、上面視で第1方向(X方向)と交差する第2方向(Y方向)に沿って直線移動するように構成されている。そして、第1位置P1および第2位置P2は、上面視で容器移送部13bの移動経路と攪拌部12の移動経路とが交差する位置である。これにより、攪拌部12および容器移送部13bがそれぞれ直線往復移動するだけで、検体容器1の受け渡しと、退避とを行うことができる。このため、攪拌部12および容器移送部13bを移動させるための構造を簡素化することができる。また、本実施形態のような単純な直線往復移動の場合、移動に関わる機構の剛性や精度を得やすく、動作速度を高く設定することができるので、動作の高速化による処理時間の短縮を図ることができる。
【0050】
したがって、本実施形態では、ハンド部13aは、第1位置P1において、攪拌部12に対する検体容器1の挿入および取出しを実行し、第2位置P2において、容器移送部13bに対する検体容器1の挿入および取出しを実行するように構成されている。これにより、ハンド部13aは、上面視で同一の位置(第1位置P1、第2位置P2)で、上下移動するだけで、攪拌部12に対する検体容器1の挿入および取出しと、容器移送部13bに対する検体容器1の挿入および取出しとを実行できる。このため、ハンド部13aの移動範囲を小さくできるので、ハンド部13aの構造を簡素化することができる。また、ハンド部13aの移動範囲を小さくすることにより、攪拌部12および容器移送部13bに対する検体容器1の挿入および取り出しに要する時間を短縮できる。
【0051】
また、ハンド部13aは、水平方向に移動することなく、上下移動により、ラック2に対する検体容器1の取り出しおよび挿入と、第1位置P1に配置された攪拌部12に対する検体容器1の挿入および取出しと、第2位置P2に配置された容器移送部13bに対する検体容器1の挿入および取出しと、を行うように構成されている。これにより、ハンド部13aが上下移動するだけで済むので、ハンド部13aを水平方向に移動させるための機構を設ける必要がなくなる。その結果、ハンド部13aの構造を効果的に簡素化することができる。
【0052】
第3位置P3は、攪拌部12が検体容器1に対する攪拌処理を実行する位置である。また、第3位置P3は、第2位置P2にある容器移送部13bから水平方向(XY方向)に離隔した退避位置でもある。すなわち、本実施形態では、攪拌部12の第1位置P1と容器移送部13bの第2位置P2とは、攪拌部12と容器移送部13bとが相互に干渉(つまり、接触)する位置に設定されている。そのため、攪拌部12は、制御部91の制御により、容器移送部13b(容器保持部51)が第2位置P2または読取位置P5にある間、第3位置P3に配置される。容器移送部13bは、制御部91の制御により、攪拌部12が第1位置P1にある間、第4位置P4または吸引位置P6に配置される。
【0053】
(攪拌部の詳細な構成)
図8は、攪拌部12を示した斜視説明図である。攪拌部12は、主として、ベース部110、スライド部120、および保持部130の3つの部分で構成されている。ベース部110上に、スライド部120がX方向に移動可能に設置されており、スライド部120上に、保持部130が回転可能に設けられている。図9は、保持部130を回転させた状態を示している。
【0054】
〈ベース部〉
図8に示すように、ベース部110は、攪拌部12の全体を支持する支持板であり、測定ユニット10のユニットカバー18(図5参照)に固定されている。攪拌部12は、ベース部110上に、直動機構111および落下物受部115を含む。落下物受部115については後述する。
【0055】
直動機構111は、スライド部120をX方向に直線移動させるように構成されている。直動機構111は、ベース部110上に設けられたX方向に延びるガイドレール112と、スライド駆動部113と、を含む。ガイドレール112上には、スライダブロック112a(図10参照)を介して、スライド部120が移動可能に取り付けられている。スライド駆動部113は、スライド部120に駆動力を付与することにより、スライド部120をガイドレール112に沿ってX方向に移動させる。スライド駆動部113は、エアシリンダであり、ベース部110に固定されたシリンダにより、スライド部120に連結されたロッドをX方向に進退させるように構成されている。直動機構111は、スライド部120をX方向に進退移動させることによって、スライド部120上に設けられた保持部130を第1位置P1(図6参照)と第3位置P3(図6参照)とに移動させる。
【0056】
図10に示すように、ベース部110には、スライド検知部114が設けられている。スライド検知部114は、スライド部120の位置を検知する。スライド検知部114は、透過型の光電センサであり、スライド部120に設けられた検知片を検知する。スライド部120には、X方向に間隔を隔てて設けられた検知片120cおよび120dが設けられている。検知片120cと検知片120dとの間隔は、第1位置P1と第3位置P3との間隔(距離)に等しい。スライド検知部114は、検知片120cによって遮光されることにより、第1位置P1にあるスライド部120を検知する。スライド検知部114は、検知片120dによって遮光されることにより、第3位置P3にあるスライド部120を検知する。検知片120cと検知片120dとの間には遮光する部材が設けられていない。そのため、スライド検知部114は、検知片120cおよび検知片120dのいずれにも遮光されていない状態では、スライド部120が第1位置P1および第3位置P3のいずれにも配置されていないことが検知される。これにより、直動機構111によるスライド部120のスライド移動が正常に実行されたか否かが分かる。制御部91(図4参照)は、スライド検知部114の検知信号に基づいて攪拌部12(保持部130)の第1位置P1および第3位置P3の移動制御を行う。
【0057】
〈スライド部〉
スライド部120は、保持部130と、保持部130を駆動する駆動部121とを支持する中間支持板である。図9に示すように、スライド部120は、スライダブロック112aが設けられた底面部120aと、底面部のY方向の両端からそれぞれ上方に立ち上がる一対の側板部120bと、を有する、一対の側板部120bは、保持部130を揺動可能に支持する回転軸125(図8参照)の一端と他端とを回転可能に支持している。回転軸125は、水平面内の所定方向(Y方向)に延びるとともに、保持部130のうち、X2側の端部付近を回転可能に支持している。
【0058】
図8に示すように、スライド部120上で、保持部130は、X1側の位置に配置されており、駆動部121は、保持部130のX2側に配置されている。スライド部120は、保持部130の底面部130aを下側から支持する支持部材120e(図9参照)を備える。
【0059】
駆動部121は、電動の回転モータ122と、伝達機構123とを有する。伝達機構123は、回転モータ122の出力軸に取り付けられたプーリ123aと、回転軸125に取り付けられたプーリ123bと、プーリ123aおよびプーリ123bに巻き掛けられた環状ベルト123cと、回転軸125を中心にプーリ123bと一体回転するように設けられたアーム124と、を有する。回転モータ122は、プーリ123aを回転させることにより、環状ベルト123cを介してプーリ123bを回転させる。アーム124の一端部が回転軸125を中心に回転可能に設けられている。アーム124の他端部には、保持部130の係合孔130e内に挿入された係合突起124aが設けられている。プーリ123bの回転に伴って、アーム124が回転軸125を中心に回転すると、係合孔130e内の係合突起124aが保持部130(つまり、係合孔130eの内周縁)と当接して保持部130を移動させる。その結果、保持部130は、回転軸125を中心に回転(図9参照)される。
【0060】
これにより、駆動部121は、図9に示すように、アーム124を回転方向の一方に駆動することにより、保持部130を反時計回り(R1方向)に回転させることが可能であり、アーム124を回転方向の他方に駆動することにより、R1方向に回転した保持部130を時計回り(R2方向)に回転させることが可能である。
【0061】
〈保持部〉
図11に示すように、保持部130は、保持部材131と、固定部132とを含む。保持部130は、底面部130a(図9参照)、一対の側面部130b、および前面部130cを備え、内側に保持部材131および固定部132が設けられている。保持部130の上部は開放されている。図8および図9に示したように、保持部130は、一対の側面部130bのX2側端部付近において、回転軸125に回転可能に取り付けられている。
【0062】
保持部材131は、保持部130のX1側の前面部130cに隣接するように設けられている。保持部材131は、上面から底部付近まで延びる保持孔131a(図10参照)を有する。保持孔131aは、検体容器1を挿入可能である。保持部130は、保持孔131a内に検体容器1を受け入れることにより、検体容器1の下部および周側面を保持するように構成されている。保持部材131の高さ(保持孔131aの深さ)は、検体容器1の高さよりも小さく、保持孔131a内に挿入された検体容器1の上部が保持孔131aから上方に露出する(図12参照)ようになっている。
【0063】
固定部132は、保持部130に配置された検体容器1を固定および固定解除するように構成されている。具体的には、固定部132は、ローラ形状の一対(2つ)の当接部材133aおよび133bと、当接部材133aおよび133bを支持する支持部134と、支持部134を固定位置および固定解除位置へX方向に移動させる固定駆動部135と、を有する。
【0064】
一対の当接部材133aおよび133bは、X方向に直線移動可能に構成された支持部134によって、保持部材131のX2側の位置に支持されている。一対の当接部材133aおよび133bは、保持部材131に支持された検体容器1の側面と、X方向に対向する位置に設けられている。図10に示すように、支持部134は、保持部130の底面部130a上に設けられた固定部レール136上を摺動するスライダブロック134aを有する。固定部レール136は、保持部130内で、X方向に延びている。固定駆動部135は、シリンダ部が保持部130に固定され、ロッド部が支持部134に連結されたエアシリンダである。
【0065】
固定駆動部135は、ロッド部をX1方向へ前進させることにより、支持部134、当接部材133aおよび133bを保持部材131(すなわち、検体容器1)に向けてX1方向に移動させる。図12に示すように、当接部材133aおよび133bは、X1方向移動により、検体容器1の側面と当接する固定位置に到達する。なお、保持部材131のX1側であって、当接部材133aおよび133bとX方向に向かい合う位置には、当接面130d(図10参照)が設けられている。固定駆動部135は、固定位置で、ロッド部を前進させる駆動力を維持することにより、検体容器1を当接面130dに対してX1方向へ押圧(付勢)する。当接面130dへの押圧によって、検体容器1が保持部130に固定される。検体容器1は、一対の当接部材133aおよび133bと、当接面130dとの、3点で接触して固定される。
【0066】
固定駆動部135は、ロッド部をX2方向へ後退させることにより、支持部134、当接部材133aおよび133bをX2方向に移動させ、当接部材133aおよび133bを検体容器1から離隔した固定解除位置(図10に示した位置)へ退避させる。これにより、検体容器1の固定が解除される。固定解除された状態では、検体容器1を保持部材131の保持孔131a内に挿入すること、および保持孔131a内から検体容器1を取り出すことが可能である。
【0067】
なお、図11に示すように、支持部134には、脱落防止部134bが設けられている。脱落防止部134bは、一対の当接部材133aおよび133bよりも上方で、かつ、ややX1側となる位置に配置されている。このため、脱落防止部134bは、固定部132が検体容器1を固定した固定状態になったときに、固定された検体容器1の上方に配置され、検体容器1の上面(キャップ1a)とZ方向に対向する。これにより、万が一、攪拌部12の攪拌中に、固定状態の検体容器1が保持部材131から飛び出そうとした場合、脱落防止部134bが検体容器1のキャップ1aと当接することで、検体容器1の抜け止めを行うことができる。
【0068】
また、保持部130には、容器検知部137が設けられている。図10に示すように、容器検知部137は、透過型の光電センサであり、支持部134に設けられた検知片を検知する。支持部134には、X方向に間隔を隔てて設けられた検知片134cおよび134dが設けられている。容器検知部137は、固定駆動部135が後退状態で、検知片134cによって遮光されることにより、固定解除位置にある支持部134を検知する。検知片134cと検知片134dとの間には遮光する部材が設けられていない。図12に示したように、支持部134が固定位置にある場合、容器検知部137は検知片134cと検知片134dとの間の非遮光区間を検知する。このため、容器検知部137は、検知片134cおよび検知片134dのいずれにも遮光されていない状態では、検体容器1が保持部材131に保持されていて、固定部132が固定状態にあることを検知する。また、保持部材131に検体容器1が保持されていない状態で、支持部134を固定位置へ向けてX1方向へ移動させると、当接部材133aおよび133bが固定位置を通過してX1方向の移動限度まで到達する。このX1側の移動限度において、検知片134dが容器検知部137を遮光する。そのため、固定駆動部135が前進状態で、かつ、容器検知部137が遮光状態であることに基づいて、保持部材131に検体容器1が保持されていないことが検知される。制御部91(図4参照)は、容器検知部137の検知信号に基づいて、固定部132による検体容器1の固定および固定解除の制御を行う。また、制御部91(図4参照)は、容器検知部137の検知信号に基づいて、攪拌部12への検体容器1の有無、すなわち、ハンド部13aによる検体容器1の受け渡しの成否を判断する。
【0069】
〈攪拌部の構成および動作〉
以上のように、攪拌部12は、検体容器1の下部を保持する保持部130と、保持部130を所定方向に往復移動させる駆動部121と、を含む。攪拌部12は、駆動部121によって、保持部130を所定方向(R1方向およびR2方向)に往復移動させることにより、攪拌を行う。これにより、検体容器1を下側から安定して保持しつつ、往復移動により検体を振とう攪拌することができる。
【0070】
図13に示すように、駆動部121は、回転軸125周りに、保持部130を往復回転させる。また、保持部130は、回転軸125周りの回転軌道の接線方向に検体容器1の長手方向が沿う向きで検体容器1を保持するように構成されている。上記のように、保持部130は、保持部材131(図12参照)において、検体容器1の長手方向(つまり、中心軸線)がZ方向に沿う向きで検体容器1を保持する。保持部材131の軌道は、回転軸125を中心とし、回転軸125から保持部材131までの距離を半径としたXZ面内の回転軌道である。そのため、検体容器1は、回転軌道の接線方向TDに向いた状態のまま、R1方向およびR2方向に往復回転される。これにより、回転軌道の接線方向TDに検体容器1の長手方向が向くように保持した状態での往復回転により、検体容器1の底部と上端部(キャップ1a)との間で検体を移動させることで検体を効果的に攪拌できる。そして、回転軌道の接線方向TDに検体容器1を往復回転させる場合でも、固定部132(図12参照)によって、検体容器1を保持部130に保持しておくことができる。
【0071】
また、駆動部121は、水平方向(Y方向)の回転軸125周りに、保持部130を往復回転させるように構成されている。保持部130は、往復回転の原点位置Q0において上下方向に沿う向きで検体容器1の下部を保持するように構成されている。保持部130は、水平方向の回転軸125周りに回転するので、往復回転の際に、重力の作用を利用して、より効果的に検体を攪拌できる。
【0072】
制御部91は、原点位置Q0から90度よりも大きい所定角度Q1まで保持部130を回転させるように駆動部121を制御するように構成されている。図13に示すように、保持部130は、スライド部120の支持部材120eに支持されることにより、原点位置Q0において水平(検体容器1が垂直)に配置される。この原点位置Q0を回転角度の原点(0度)として、保持部130は、R1方向に所定角度Q1まで回転される。所定角度Q1は、約140度である。回転角度が所定角度Q1に到達すると保持部130の回転が停止され、その後逆方向(R2方向)に原点位置Q0まで保持部130が回転される。回転角度が原点位置Q0になるとR2方向の回転が停止される。
【0073】
攪拌時に、制御部91は、原点位置Q0から所定角度Q1までのR1方向回転と、所定角度Q1から原点位置Q0までのR2方向回転との往復回転を、所定回数、反復実行する。所定回数は、たとえば8回である。
【0074】
ここで、落下物受部115は、図14に示すように、所定角度Q1に回転した状態の検体容器1の上端部(キャップ1a)の下方(Z2方向)となる位置に配置されている。具体的には、落下物受部115は、ベース部110のX2側端部付近で、スライド部120の回転モータ122の上側となる位置に形成された取付台117の上に配置されている。落下物受部115は、相対的に広い底面と、底面の外周から立ち上がる周側面とを有する皿状形状を有し、ベース部110の取付台117に対して着脱可能に構成されている。これにより、落下物受部115は、検体容器1から落下した付着物を受けとる機能を有する。
【0075】
すなわち、所定角度Q1が90度よりも大きいので、保持部130が所定角度Q1に到達したときの検体容器1は、上端部のキャップ1aが検体容器1の底部よりも低い位置になるように、斜め下向きに傾斜した姿勢で停止される。このときのキャップ1aの下方に、落下物受部115が配置される。このため、回転停止時の慣性の作用によって、キャップ1aの上面に付着した付着物Eが、キャップ1aから落下物受部115へと落下する。
【0076】
これにより、攪拌動作を利用して、検体容器1に検体を収容する際に付着した付着物Eを、検体容器1から落下物受部115へふるい落とすことができる。付着物Eは、たとえば血液検体が凝固した血粉である。これにより、攪拌済みの検体容器1から検体を吸引する際に、微量の付着物Eが吸引管に付着したり、吸引される検体中に混入したりすることを抑制できる。本実施形態では、落下物受部115が着脱可能に構成されているので、定期メンテナンス時などに落下物受部115を取付台117から取り外し、落下物受部115が受け取った付着物Eを除去することができ、メンテナンス作業性に優れる。
【0077】
保持部130の回転位置を把握するため、攪拌部12には、保持部130が原点位置Q0にあることを検知するための原点位置検知部126(図10参照)と、保持部130が所定角度Q1に到達したことを検知するための終点位置検知部116(図8参照)と、が設けられている。
【0078】
図10に示すように、原点位置検知部126は、透過型の光電センサであり、スライド部120に設けられている。原点位置検知部126は、保持部130が原点位置Q0にあるときに、保持部130の側面部130bの一部として設けられた検出片130fによって遮光される。これにより、原点位置検知部126の遮光状態で保持部130が原点位置Q0にあることが検知される。保持部130が原点位置Q0からR1方向に回転すると、検出片130fが原点位置検知部126から離れる。そのため、原点位置検知部126の非遮光状態で、保持部130が原点位置Q0以外にあることが検知される。制御部91は、原点位置検知部126の検知結果に基づいて、保持部130を原点位置Q0で停止させる制御を行う。
【0079】
図8に示すように、終点位置検知部116は、反射型の光電センサであり、ベース部110の取付台117の上、つまり落下物受部115の付近に設けられている。図9に示すように、終点位置検知部116は、所定角度Q1における保持部130の到達位置に対して、Y2側に配置され、Y1方向に向けて検知光を出射する。終点位置検知部116は、保持部130が所定角度Q1まで回転されたときに、検知光の光路上に保持部130(厳密には、支持部134)が配置されることにより、保持部130からの反射光を検出する。これにより、終点位置検知部116が反射光を受光した状態(受光強度が閾値よりも高い状態)で、保持部130が所定角度Q1にあることが検知される。保持部130が所定角度Q1にない場合、検知光は反射されずにY1方向に直進する。終点位置検知部116が保持部130からの反射光を受光していない状態(受光強度が閾値よりも低い状態)で、保持部130が所定角度Q1以外にあることが検知される。制御部91は、終点位置検知部116の検知結果に基づいて、保持部130を所定角度Q1で停止させる制御を行う。
【0080】
ここで、攪拌部12は、保持部130が原点位置Q0から所定角度Q1まで到達したときに、保持部130の回転を急停止させるように構成されている。これにより、検体容器1内の検体を効果的に攪拌することができる。さらに、検体容器1に付着した付着物Eを、慣性によって検体容器1から効果的に落下させることができる。
【0081】
具体的には、攪拌動作において、制御部91は、図14に示したように保持部130が原点位置Q0から所定角度Q1まで到達したことが検知されたときに、アーム124の回転を停止させて、保持部130を所定角度Q1に停止させるように駆動部121を制御する。
【0082】
ここで、アーム124は、保持部130に対して、回転方向に所定量CL(図15参照)だけ相対移動可能な状態で接続されている。図15に示すように、保持部130に形成された係合孔130eの内周縁と、アーム124の係合突起124aとの間に所定量CLの隙間が形成されている。つまり、係合孔130eが係合突起124aの外形よりも大きく形成されている。係合孔130eは、保持部130の側面部130bに形成された長方形状の貫通孔(図11参照)である。係合突起124aは、係合孔130eの長手方向に沿った縦長の平板状の突起である。このため、アーム124に対して、保持部130が、所定量CLの隙間を有した状態で、係合している。
【0083】
保持部130を原点位置Q0から所定角度Q1までR1方向に回転させる場合、アーム124の係合突起124aが係合孔130eのR1側の内周縁130e1に当接し保持部130を押すことによって保持部130をR1方向に回転させる。保持部130が所定角度Q1に到達してアーム124の回転が停止されると、保持部130は、慣性によって所定量CLの隙間の分だけ回転を継続する。保持部130は、係合孔130eのR2側の内周縁130e2が係合突起124aと当接(衝突)することによって停止される。このように、所定角度Q1まで回転したアーム124が停止すると、慣性によって保持部130が所定量CLだけ移動してアーム124(係合突起124a)と衝突することで急停止する。
【0084】
これにより、単純に駆動部121の回転モータ122の回転を停止させることで保持部130を停止する構成と比べて、より大きな減速(負の加速度)を保持部130に与えることができるので、検体容器1に付着した付着物Eを効果的に除去することができる。また、アーム124と保持部130との連結部分(係合突起124aと係合孔130e)を利用して保持部130を急停止させる動作を実現できるので、アーム124および保持部130とは別に、所定角度Q1まで回転した保持部130を停止させるストッパをベース部110などに設ける場合と異なり、攪拌部12の部品点数を増大させることなく、保持部130を急停止させる構成を実現できる。
【0085】
また、制御部91は、攪拌の終了時に、保持部130が所定角度Q1から原点位置Q0まで到達したときに、保持部130の回転を急停止させる制御を行うように構成されている。
【0086】
ここでいう攪拌の終了時とは、原点位置Q0から所定角度Q1までのR1方向回転と、所定角度Q1から原点位置Q0までのR2方向回転との往復回転を、8回反復実行する際の、最終回(すなわち、8回目)における、所定角度Q1から原点位置Q0までのR2方向回転の終了時を指す。
【0087】
図16に示すように、最終回のR2方向回転において、制御部91は、所定角度Q1から、原点位置Q0の手前の準備位置Q2まで、低速でアーム124を回転させる。準備位置Q2は、原点位置Q0よりもR1方向側で、原点位置Q0と所定角度Q1との間の回転角度となる位置である。その後、制御部91は、準備位置Q2から原点位置Q0に向けて、高速でアーム124を回転させるとともに、保持部130が原点位置Q0に到達したことが検知されたときに、アーム124の回転を停止させて、保持部130を原点位置Q0に停止させるように駆動部121を制御する。準備位置Q2から原点位置Q0への移動時のアーム124の移動速度は、保持部130を自由落下させる場合の移動速度よりも大きい。つまり、準備位置Q2から原点位置Q0へ移動する際、アーム124の係合突起124aが、保持部130の係合孔130eのR1側の内周縁130e1から離れる。
【0088】
図17に示すように、原点位置Q0でアーム124が停止すると、保持部130は、慣性によって隙間DLの分だけ移動を継続し、保持部130の底面部130aが支持部材120eと当接(衝突)することによって停止される。原点位置Q0では、係合突起124aは、係合孔130eのR1側の内周縁130e1およびR2側の内周縁130e2のいずれからも離隔して非接触となる。このように、原点位置Q0まで回転したアーム124が停止すると、慣性によって保持部130が隙間DLの分だけ移動して支持部材120eと衝突することで急停止する。
【0089】
この結果、原点位置Q0において、保持部130に保持された検体容器1には、急停止によって概ね鉛直下向き(Z2方向)の慣性力が作用する。これにより、攪拌動作に伴って検体容器1のキャップ1aの内面に付着した検体の液滴を、慣性によって検体容器1内の底部側に落下させることができる。検体を吸引する際に、キャップ1aの内面に検体が付着していると、吸引管71を検体容器1内に挿入したときに、検体容器1の内側と外側との圧力差によってキャップ1aの内面に付着した検体の微小な液滴が外部に漏れる可能性がある。キャップ1aの内面に付着した検体の液滴を落下させておくことで、吸引管71の挿入時の微小な液滴の漏れを抑制できる。
【0090】
なお、制御部91は、1回目から7回目の往復回転、および、8回目の原点位置Q0から所定角度Q1までのR1方向回転については、いずれも、それぞれの方向への所定の高速回転で保持部130を移動させる。8回目の所定角度Q1から原点位置Q0へのR2方向回転についてのみ、制御部91は、上記の準備位置Q2への低速回転と、準備位置Q2から原点位置Q0への高速回転とを実行する制御を行う。R1方向回転、R2方向回転のそれぞれにおける回転モータ122の駆動制御は、たとえば台形駆動であって、目標速度(角速度)が、所定の高速レベルと、低速レベルとの2段階で設定され、攪拌動作の往復回数に応じて切り替えられる。停止状態から目標速度への加減速時間(特に減速時間)は適宜設定可能であるが、保持部130の急停止を効果的に行うためには、設定可能な範囲内で加減速時間を短く設定するのがよい。
【0091】
以上のようにして、攪拌部12が構成されている。
【0092】
(試料調製部)
図18に示すように、試料調製部15は、複数の反応部81a~81e(図6参照)と、各反応部81a~81eに流路で接続された試薬供給部82と、を含む。各反応部81a~81eは、上部が開放された容器である。
【0093】
複数の反応部81a~81eは、それぞれ、吸引部11により吸引された検体と試薬とを受け入れ、検体と試薬とを反応させて測定試料を調製する。なお、吸引部11は、上記した吸引管71に接続された定量部73を含む。定量部73は、吸引管71を介して所定量の検体を吸引するとともに、吐出する機能を有する。定量部73は、シリンジポンプからなる。これにより、検体容器1の内部に収容された検体が、吸引部11によって吸引され、反応部81a~81eのうち供給対象となるいずれか1つまたは複数に吐出される。図18では、複数の反応部81a~81eのうち、反応部81aと、反応部81aに接続された試薬供給部82の構成のみを示している。
【0094】
試薬供給部82は、所定量の試薬を収容した試薬容器3を保持する。試薬供給部82は、試薬容器ホルダ83と、ダイアフラムポンプからなる定量部84aと、吸引された試薬を定量部84aおよび反応部81aに移送する際の流路の開閉を行う電磁バルブ85aおよび85bとを含んでいる。また、試薬供給部82は、測定ユニット10の外部に配置された大容量試薬容器4から試薬(溶血剤など)を移送するための定量部84bと電磁バルブ85cおよび85dとを含んでいる。
【0095】
試薬容器ホルダ83は、複数設けられており、それぞれ試薬容器3を着脱可能に保持するように構成されている。これにより、試薬供給部82には、測定項目に応じた複数種類の試薬をそれぞれ収容した複数の試薬容器3が保持される。試薬容器3は、収容している試薬が消費されると、新しい試薬容器3と交換される。
【0096】
定量部84aは、制御部91の制御により、電磁バルブ85aを開放するとともに電磁バルブ85bを閉鎖することによって、流路を介して試薬容器3内の所定量の試薬を定量部84aの内部に吸引する。これにより、測定試料の調製に必要な所定量の試薬が定量される。また、定量部84aは、制御部91の制御により、電磁バルブ85aを閉鎖するとともに電磁バルブ85bを開放することによって、反応部81aに定量部84a内部で定量した試薬を移送することが可能である。
【0097】
なお、大容量試薬容器4と接続された定量部84b、電磁バルブ85cおよび電磁バルブ85dも定量部84a、電磁バルブ85aおよび電磁バルブ85bと同様であり、これら各部の動作が制御部91により制御されることによって、反応部81a~81e内に各種試薬が移送される。また、測定ユニット10の内部には、測定済み(調製済み)の試料を廃棄するための廃液チャンバ86が設けられており、電磁バルブ85eを介して各反応部81a~81eと接続されている。制御部91による電磁バルブ85eの開閉によって、測定済み(調製済み)試料の廃液チャンバ86への廃棄が行われる。
【0098】
図19に示すように、測定部16は、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法によりWBC検出(白血球の検出)を行う第1検出部16aを含んでいる。測定部16は、シースフローDC検出法によりRBC検出(赤血球の検出)およびPLT検出(血小板の検出)を行う第2検出部16bを含んでいる。測定部16は、SLS-ヘモグロビン法によりHGB検出(血液中の血色素の検出)を行う第3検出部16cを含んでいる。また、測定部16(第1検出部16a、第2検出部16bおよび第3検出部16c)で得られた検出信号は、検体の測定結果のデータとして、分析部30に送信される。
【0099】
複数の反応部81a~81eは、測定項目に応じて設けられている。各反応部81a~81eには、対応する試薬供給部82(図18参照)によって、測定項目に応じた種類の試薬(染色液など)が供給される。各反応部81a~81e内では、検体と試薬との混合および反応過程を経て測定項目に応じた測定試料が調製される。そして、調製された測定試料は、測定部16へと供給される。
【0100】
一例として、反応部81aおよび反応部81bは、WBC検出(白血球の検出)用の測定試料を調製する。反応部81aおよび反応部81bには、試薬として、溶血剤および染色液が供給される。溶血剤は、界面活性剤を含み、界面活性剤の作用により赤血球および血小板を溶解させる。染色液は、蛍光色素を含む。反応部81aおよび反応部81bは、測定部16のうち第1検出部16aに接続されている。第1検出部16aに供給された測定試料中の細胞が、フローサイトメトリー法により、散乱光および蛍光に対応した電気信号に変換される。この電気信号が分析部30においてスキャッタグラムに展開され、統計的分析処理が行われることにより、白血球数の計数値および分類が算出される。
【0101】
反応部81cは、RBC検出(赤血球の検出)およびPLT検出(血小板の検出)用の測定試料を調製する。反応部81cは、シースフローDC検出法によりRBC検出(赤血球の検出)およびPLT検出(血小板の検出)を行う第2検出部16bに接続されている。反応部81dは、SLS-ヘモグロビン法によりHGB検出(血液中の血色素の検出)を行う第3検出部16cに接続されている。反応部81eは、RET検出(網状赤血球の検出)用の測定試料およびPLT高感度検出(PLT-F検出)用の測定試料を調製する。反応部81eは、第1検出部16aに接続されている。なお、通常の測定オーダーでは、WBC検出、RBC検出、HGB検出およびPLT検出が行われ、反応部81aまたは反応部81bのいずれかと、反応部81cと、反応部81dとによってそれぞれ試料調製が行われる。反応部81eは、RETおよび/またはPLT-Fの測定項目が測定オーダーに含まれていた場合のみ利用される。
【0102】
(検体分析装置の制御に関する構成)
図20に示すように、検体分析装置100は、測定ユニット10に設けられた制御部91、記憶部92および通信部93を備える。
【0103】
制御部91は、CPUから構成されたプロセッサと、メモリとを含んで構成され、記憶部92に記憶された制御プログラムを実行することにより、測定ユニット10の各部およびラック搬送部20を制御する。記憶部92は、半導体記憶素子からなり、制御部91が実行するプログラム、識別情報および測定オーダーのデータ、測定部16により取得された測定結果のデータ(検出信号)、後述する攪拌部12の状態、後述する容器移送部13bの状態を記憶する。通信部93は、分析部30と通信を行うための通信インターフェースを含む。なお、制御部91および記憶部92をFPGAにより構成してもよい。
【0104】
分析部30は、CPUからなる制御部31と、ROM、RAMおよびソリッドステートドライブ(SSD)を含む記憶部32と、液晶ディスプレイからなる表示部33と、キーボードおよびマウスからなる入力部34と、通信インターフェースからなる通信部35と、から主として構成されている。
【0105】
分析部30は、通信部35により、測定ユニット10の通信部93およびホストコンピュータ300と通信可能に接続されている。分析部30は、ラック搬送部20の情報読取部24、および測定ユニット10の読取部14で読み取られた識別情報を、通信部93を介して取得する。分析部30は、識別情報に基づいて、ラック2に保持されたそれぞれの検体容器1を識別する。分析部30は、識別情報をホストコンピュータ300に照合することにより、容器移送部13bに保持された検体容器1中の検体の測定オーダーを取得する。
【0106】
分析部30は、取得した測定オーダーを、通信部35および通信部93を介して制御部91に送信する。送信された測定オーダーに応じて、制御部91が、測定ユニット10の各部およびラック搬送部20を制御する。制御部91は、測定オーダーで指定された測定項目に対応した測定試料を調製するように、吸引部11および試料調製部15を制御する。そして、制御部91は、調製された測定試料により、測定項目に対応した測定を行うように測定部16を制御する。
【0107】
制御部91は、測定部16により検体容器1中の検体を測定して得られた測定部16の検出信号を、通信部93を介して分析部30に送信する。分析部30は、取得した検出信号に基づいて、検体中の被検物質の含有量などを分析する。また、分析部30は、分析結果を、表示部33に表示したりホストコンピュータ300に送信したりする。
【0108】
(検体分析装置の測定動作)
次に、検体分析装置100が一の検体容器1に実行する測定動作の流れを、図21を用いて説明する。測定ユニット10およびラック搬送部20の動作は、制御部91により制御される。検体分析装置100の測定は、検体容器1に収容された検体を分析する検体分析装置100による本実施形態の検体分析方法を実行することにより行われる。
【0109】
図21に示すように、検体分析方法は、下記のステップを少なくとも備えている。
複数の検体容器1を収容したラック2から検体容器1を取り出すステップ(S1)
取り出された検体容器1中の検体を攪拌するステップ(S3)
攪拌済みの検体容器1を吸引位置P6に移送するステップ(S8)
吸引位置P6へ移送された検体容器1から検体を吸引するステップ(S9)
検体吸引済みの検体容器1を、ラック2に返却するステップ(S11)
吸引された検体から調製された測定試料の測定を行うステップ(S13)
測定試料の測定により取得した信号の分析を行うステップ(S14)
【0110】
本実施形態では、検体分析装置100は、制御部91の制御により、一の検体容器1の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器1に対して、吸引位置P6への移送(S8)、検体の吸引(S9)、およびラック2への返却(S11)を実行するように構成されている。
【0111】
これにより、攪拌部12による一の検体容器1の攪拌処理と、他の検体容器1に対する処理(吸引位置P6への移送、検体の吸引、ラック2への返却)とを、時間的に重複する並行処理として実行することができる。そのため、一の検体容器1に対する処理と、他の検体容器1に対する処理とを別々に、かつ順番に実行する場合と比較して、一の検体容器1の攪拌処理と、他の検体容器1に対する処理とを時間的に重複させる分だけ、複数の検体を分析する場合の検体分析装置100における単位時間当たりの検体の処理件数を増加することができる。検体容器1をラック2から取り出し、検体容器1を攪拌し、検体容器1から検体を吸引し、検体容器1をラック2に返却する一連の動作において、通常、検体容器1の攪拌に要する時間が最も長い。これは、検体容器1内の検体中の成分を均一に分布させ、分析精度を向上させるためである。例えば、従来の分析装置である多項目自動血球分析装置XN-1000(シスメックス株式会社製)では、上記した検体容器の取り出しから返却までの一連の動作に要する時間は約36秒であり、このうち、検体容器の撹拌に要する時間は約12秒である。すなわち、多項目自動血球分析装置XN-1000では、N+1本目の検体容器をラックから取り出すことができるのは、N本目の検体容器をラックから取り出してから約36秒後であり、1時間当たり、最大100検体の処理が可能である。これに対し、本実施形態の検体分析装置100では、一の検体容器1に対して、最も長い時間を要する攪拌処理を行っている間に、他の検体容器1に対して、吸引位置P6への移送、検体の吸引、およびラック2への返却を行う。これにより、各動作に多項目自動血球分析装置XN-1000と同等の時間を要する場合、N本目の検体容器1をラック2から取り出してから約18秒後に、N+1本目の検体容器1をラック2から取り出すことができるようになり、1時間当たり、最大200検体の処理が可能となる。
【0112】
以下、検体分析装置100が一の検体容器1に実行する測定動作の流れを具体的に説明する。まず、ステップS1において、ラック搬送部20が、ラック2に保持された複数の検体容器1のうちの1つを取出位置P0(図2参照)に搬送する。ハンド部13aは、ラック2に保持された複数の検体容器1のうち、取出位置P0に配置された検体容器1を取り出す。
【0113】
ステップS2において、ハンド部13aおよび攪拌部12は、ラック2から取り出した検体容器1をハンド部13aから攪拌部12に受け渡す。具体的には、ハンド部13a(図5参照)が検体容器1を把持して第1位置P1よりも上方まで上昇した後、攪拌部12が第1位置P1(図32参照)に移動する。第1位置P1において、保持部130の保持孔131aが、ハンド部13aにより把持された検体容器1の直下に位置付けられる。ハンド部13aが下方移動することにより、検体容器1が保持部130の保持孔131a内に挿入され、ハンド部13aが把持を解除して上方移動することにより検体容器1が攪拌部12の保持部130へと受け渡される。検体容器1を攪拌部12に受け渡した後、攪拌部12は、第1位置P1から第3位置P3(図33参照)へ移動する。
【0114】
ステップS3において、攪拌部12は、検体容器1中の検体を攪拌する。攪拌部12は、固定部132を固定位置(図12参照)まで移動させて検体容器1を保持部130に固定するとともに、固定状態を維持したまま、駆動部121により、保持部130を往復回転(図13図14参照)する。往復回転は、上記の通り、8回反復される。
【0115】
ステップS4において、攪拌部12は、第3位置P3から第1位置P1(図34参照)に移動する。
【0116】
ステップS5において、攪拌部12、ハンド部13a、および容器移送部13bは、攪拌終了後の検体容器1を、攪拌部12から容器移送部13bへ受け渡す。まず、攪拌部12は、固定部132を固定解除位置(図10参照)まで移動して検体容器1の固定を解除する。次に、ハンド部13aは、第1位置P1に移動した攪拌部12の保持部130から検体容器1を取り出す。検体容器1が保持部130から取り出されると、攪拌部12は、第1位置P1から第3位置P3へ移動する。
【0117】
攪拌部12が第3位置P3へ移動した後、容器移送部13bは、第2位置P2(図35参照)に移動する。第2位置P2において、容器移送部13bの容器保持部51が、ハンド部13aにより把持された検体容器1の直下に位置付けられる。ハンド部13aは、第2位置P2に移動した容器移送部13bの容器保持部51に検体容器1を挿入する。ハンド部13aは、検体容器1の把持を解除して上方移動することにより、検体容器1の容器移送部13bへと受け渡しが完了する。
【0118】
ステップS6において、容器移送部13bは、検体容器1を読取位置P5(図38参照)へ移動する。ステップS7において、読取部14は、読取位置P5へ移動された検体容器1のバーコードから識別情報を読み取る。
【0119】
ステップS8において、容器移送部13bは、検体容器1を吸引位置P6(図39参照)へ移動する。ステップS9において、吸引部11は、吸引位置P6へ移動した検体容器1から検体を吸引する。
【0120】
ステップS10において、容器移送部13bは、検体容器1を第2位置P2(図40参照)へ移動する。ステップS11において、ハンド部13a、容器移送部13b、およびラック搬送部20は、容器移送部13bの容器保持部51に保持された検体吸引済みの検体容器1を取り出して、取り出した検体容器1をラック2に返却する。具体的には、ハンド部13aは、第2位置P2の容器保持部51から検体容器1を取り出す。その後、容器移送部13bが容器保持部51を第2位置P2から第4位置P4に退避させるとともに、ラック搬送部20は、ラック2の元の保持位置を取出位置P0に配置するようにラック2を搬送する。ハンド部13aは、把持した検体容器1を、ラック2に返却する。
【0121】
ステップS12において、吸引部11および試料調製部15は、測定試料を調製する。具体的には、吸引部11は、検体容器1から吸引した検体(ステップS9)を、反応部81aおよび81bのいずれか一方に吐出する。なお、通常の測定オーダーでは、吸引部11は、反応部81cおよび81dにそれぞれ検体を吐出する。試料調製部15は、検体を収容したそれぞれの反応部に試薬を供給し、反応部内で検体と試薬とを混合することにより測定試料を調製する。
【0122】
ステップS13において、測定部16は、測定試料の測定を行う。具体的には、測定部16は、反応部81aまたは81bで調製された測定試料を第1検出部16aに供給して、フローサイトメトリー法による測定を行う。また測定部16は、、反応部81cで調製された測定試料と、反応部81dで調製された測定試料とを、それぞれ対応する第2検出部16bと第3検出部16cとに供給して、シースフローDC検出法による検出、SLS-ヘモグロビン法による検出を実行する。
【0123】
ステップS14において、制御部91は、ステップS13の測定によりそれぞれの検出部から得られた電気信号に基づく測定データを、分析部30に出力する。測定データを受信した分析部30は、測定データの分析処理を行う。分析処理の結果、測定オーダーで指定された各測定項目の分析結果が生成される。
【0124】
(制御部が実行する制御)
上記のとおり、本実施形態では、複数の検体容器の検体を連続して測定する場合、検体分析装置100は、一の検体容器1に対してステップS3の撹拌動作を実行している間に、他の検体容器1に対して、吸引位置P6への移送(S8)、検体の吸引(S9)、およびラック2への返却(S11)を実行する。以下、これを実現するために制御部91が実行する制御について、図22図29を用いて説明する。
【0125】
制御部91は、吸引部11に対する一連の制御(吸引部制御)、攪拌部12に対する一連の制御(攪拌部制御)、ハンド部13aに対する一連の制御(ハンド部制御)、容器移送部13bに対する一連の制御(容器移送部制御)、読取部14に対する一連の制御(読取部制御)、試料調製部に対する一連の制御(試料調製部制御)、測定部16に対する一連の制御(測定部制御)、およびラック搬送部20に対する一連の制御(ラック搬送部制御)を並行して実行する。
【0126】
吸引部制御は、各検体容器1について、吸引部11により、吸引位置P6に配置された検体容器1から検体を吸引し、吸引した検体を反応部81a~反応部81eに吐出するための制御である。攪拌部制御は、各検体容器1について、攪拌部12により、検体容器1を第1位置P1(ピックアップ位置)で受け取り、受け取った検体容器1を攪拌し、攪拌後の検体容器1を再び第1位置P1に移送するための制御である。容器移送部制御は、各検体容器1について、容器移送部13bにより、検体容器1をピックアップ位置P2で受け取り、受け取った検体容器1を読取位置P5および吸引位置P6に移送し、検体吸引後の検体容器1を再びピックアップ位置P2に移送するための制御である。ハンド部制御は、各検体容器1について、取出位置P0に配置された検体容器1をラック2から攪拌部12に移載(ピックアップ)し、第1位置P1に配置された検体容器1を攪拌部12から容器移送部13bに移載し、第2位置P2に配置された検体容器1を容器移送部13bからラック2に移載(返却)するための制御である。
【0127】
読取部制御は、各検体容器1について、読取位置P5に配置された検体容器1のバーコードから識別情報を読み取るための制御である。試料調製部制御は、反応部81a~反応部81eに収容された検体と試薬とを混合し、測定試料を調製するための制御である。測定部制御は、測定試料を第1検出部16a、第2検出部16b、および第3検出部16cに供給し、測定データを取得するための制御である。ラック搬送部制御は、分析前ラック保持部21に載置されたラック2を、吸引対象の検体容器1が取出位置P0に配置されるように搬送し、当該検体容器1が測定ユニット10内に取り込まれた後、吸引が完了した検体容器1を受け取るために当該検体容器1が保持されていた保持孔2aが再度取出位置P0に配置されるように搬送し、当該検体容器1がラック2に返却された後、分析後ラック保持部22に搬送するための制御である。
【0128】
以下、制御部91が並行して実行する上記の各制御のうち、攪拌部制御、容器移送部制御、ハンド部制御、吸引部制御、および読取部制御について更に説明する。図22は、攪拌部制御による処理の流れを示したフロー図である。図23は、攪拌部12の各状態を示した説明図である。図24および図25は、容器移送部制御による処理の流れを示したフロー図である。図26は、容器移送部13bの各状態を示した説明図である。図27は、ハンド部制御による処理の流れを示したフロー図である。図28は、吸引部制御による処理の流れを示したフロー図である。図29は、読取部制御による処理の流れを示したフロー図である。
【0129】
攪拌部12の状態は、図22に示す処理に応じて遷移する。攪拌部12の状態は、記憶部92に記憶されており、攪拌部12の状態が遷移すると、制御部91は、記憶部92に記憶された状態を遷移後の状態に更新する。図23に示すように、状態M0は、ラック搬送部20に設置されたラック2から検体容器1を取り出す要求を待っている状態である。状態M1は、ラック2から検体容器1を取り出し、攪拌部12に受け渡している状態である。状態M2は、検体容器1を攪拌部12により攪拌中の状態である。状態M3は、攪拌部12から容器移送部13bへの検体容器1の受け渡しを待っている状態である。状態M4は、攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を受け渡しており、かつ、ラック2から検体容器1を取り出す要求を待っている状態である。状態M5は、攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を受け渡しており、かつ、ラック2から検体容器1を取り出す要求がある状態である。
【0130】
図22に示すように、攪拌部12の状態は、初期状態においてM0である。また、攪拌部12は、初期状態において第3位置P3(攪拌位置)に位置する。制御部91は、ステップS1001において、ラック2から検体容器1を取り出す要求があるか否かを判定する。ラック2から検体容器1を取り出す要求は、測定が必要な検体を収容した検体容器1が取出位置P0に配置されると通知される。制御部91は、ラック2から検体容器1を取り出す要求があるまで待機し(ステップS1001:NO)、ラック2から検体容器1を取り出す要求があると(ステップS1001:YES)、処理をステップS1002に進める。制御部91は、ステップS1002において、攪拌部12の状態をM0からM1に遷移する。制御部91は、ステップS1003において、後述するハンド部制御のステップS3004の処理によりハンド部13aが第1位置P1(ピックアップ位置)より上方に移動したタイミングで、攪拌部12を第3位置P3(攪拌位置)から第1位置P1(ピックアップ位置)に移動させる。制御部91は、ステップS1004において、ラック2から攪拌部12への検体容器1の受渡し完了の通知(検体容器1のピックアップ完了の通知)があるか否かを判定する。検体容器1のピックアップ完了は、後述するハンド部制御のステップS3004の処理によりハンド部13aがラック2から取り出した検体容器1を攪拌部12に受け渡すと通知される。制御部91は、検体容器1のピックアップ完了の通知があるまで待機し(ステップS1004:NO)、検体容器1のピックアップ完了の通知があると(ステップS1004:YES)、処理をステップS1005に進める。
【0131】
制御部91は、ステップS1005において、攪拌部12を第1位置P1(ピックアップ位置)から第3位置P3(攪拌位置)に移動させる。制御部91は、ステップS1006において、攪拌部12の状態をM1からM2に遷移する。なお、ステップS1003およびステップS1005の処理は、図21のステップS2の動作に対応する。制御部91は、ステップS1007において、検体容器1中の検体を攪拌するように攪拌部12を制御する。ステップS1007の処理の開始から終了までには、約12秒を要する。なお、ステップS1007の処理は、図21のステップS3の動作に対応する。
【0132】
制御部91は、ステップS1008において、攪拌部12による検体容器1の撹拌完了の通知があるか否かを判定する。攪拌部12による検体容器1の撹拌完了は、攪拌部12による最終回の往復回転が完了すると通知される。制御部91は、攪拌部12による検体容器1の撹拌完了の通知があるまで待機し(ステップS1008:NO)、攪拌部12による検体容器1の撹拌完了の通知があると(ステップS1008:YES)、処理をステップS1010に進める。制御部91は、ステップS1010において、検体容器1の撹拌完了の直後、すなわち、攪拌部12による検体容器1の撹拌完了の通知があったタイミングで、容器移送部13bに検体容器1が保持されているか否かを判定する。具体的には、制御部91は、ステップS1010において、攪拌部12による検体容器1の撹拌完了の通知があったタイミングで、容器移送部13bの状態が後述するA0であるか否かを判定する。制御部91は、容器移送部13bの状態がA0であるか否かに応じて、攪拌部12の動作を制御する。
【0133】
攪拌部12による検体容器1の撹拌完了の通知があったタイミングで容器移送部13bに検体容器1が保持されている場合、すなわち、容器移送部13bの状態がA0ではない場合(ステップS1010:容器あり)、制御部91は、ステップS1011において、攪拌部12の状態をM2からM3に遷移する。制御部91は、ステップS1012において、容器移送部13bの検体容器1がラックに返却されるまで待機し(ステップS1012:NO)、容器移送部13bの検体容器1がラック2に返却されると、すなわち、容器移送部13bの状態がA0になると(ステップS1012:YES)、処理をステップS1013に進める。制御部91は、ステップS1013において、攪拌部12の状態をM3からM4に遷移し、処理をステップS1015に進める。
【0134】
一方、攪拌部12による検体容器1の撹拌完了の通知があったタイミングで容器移送部13bに検体容器1が保持されていない場合、すなわち、容器移送部13bの状態がA0である場合(ステップS1010:容器なし)、制御部91は、ステップS1014において、攪拌部12の状態をM2からM4に遷移し、待機することなく、処理をステップS1015に進める。制御部91は、ステップS1015において、攪拌部12を第3位置P3(攪拌位置)から第1位置P1(ピックアップ位置)に移動させる。なお、ステップS1015の処理は、図21のステップS4の動作に対応する。
【0135】
制御部91は、ステップS1016において、ラック2から検体容器1を取り出す要求があるか否かを判定する。本ステップにおけるラック2から検体容器1を取り出す要求は、測定ユニット10に取り込まれている検体容器1の次に測定が必要な検体を収容した検体容器1が取出位置P0に配置されると通知される。制御部91は、ラック2から検体容器1を取り出す要求があれば(ステップS1016:YES)、S1017において攪拌部12の状態をM4からM5に遷移し、ラック2から検体容器1を取り出す要求がなければ(ステップS1016:NO)、ステップS1017をスキップし、処理をステップS1018に進める。
【0136】
制御部91は、ステップS1018において、後述するハンド部制御のステップS3008の処理によりハンド部13aが検体容器1を攪拌部12から取り出した後、攪拌部12を第1位置P1(ピックアップ位置)から第3位置P3(攪拌位置)に移動させる。なお、ステップS1018の処理は、図21のステップS5の動作に対応する。制御部91は、ステップS1019において、攪拌部12から容器移送部13bへの検体容器1の受渡し完了の通知があるか否かを判定する。攪拌部12から容器移送部13bへの検体容器1の受渡し完了は、後述するハンド部制御のステップS3008の処理によりハンド部13aが攪拌部12から取り出した検体容器1を、容器移送部13bに受け渡すと通知される。制御部91は、攪拌部12から容器移送部13bへの検体容器1の受渡し完了の通知(検体容器1の移載完了の通知)があるまで待機し(ステップS1019:NO)、検体容器1の移載完了の通知があると(ステップS1019:YES)、処理をステップS1020に進める。
【0137】
制御部91は、ステップS1020において、攪拌部12の状態がM5であるかM4であるかを判定する。制御部91は、攪拌部12の状態がM5であれば(ステップS1020:M5)、処理をステップS1002に戻し、ステップS1002において攪拌部12の状態をM5からM1に遷移し、次に測定が必要な検体を収容した検体容器1に対する処理を実行する。制御部91は、攪拌部12の状態がM4であれば(ステップS1020:M4)、ステップS1021において、攪拌部12の状態をM4からM0に遷移し、処理をステップS1001に戻し、ラック2からの次の検体容器1の取出要求を待つ。
【0138】
次に、容器移送部制御について説明する。容器移送部13bの状態は、図24および図25に示す処理に応じて遷移する。容器移送部13bの状態は、記憶部92に記憶されており、容器移送部13bの状態が遷移すると、制御部91は、記憶部92に記憶された状態を遷移後の状態に更新する。図26に示すように、状態A0は、容器移送部13bに検体容器1が設置されていない状態である。状態A1は、容器移送部13bが第4位置P4(退避位置)で待機している状態である。状態A2は、容器移送部13bが第4位置P4(退避位置)から第5位置P5(読取位置)に移動中の状態である。状態A3は、読取部14が検体容器1のバーコードラベル1bから識別情報を読取中の状態である。状態A4は、容器移送部13bが読取位置P5から吸引位置P6に移動中の状態である。状態A5は、容器移送部13bが吸引位置P6で待機している状態である。状態A6は、吸引部11が検体容器1から検体を吸引中の状態である。状態A7は、容器移送部13bが吸引位置P6から第2位置P2(ピックアップ位置)への移動開始を待っている状態である。状態A8は、容器移送部13bが吸引位置P6から第2位置P2(ピックアップ位置)に移動中の状態である。状態A9は、ラック搬送部20に設置されたラック2に検体容器1を返却する要求を待っている状態である。状態A10は、ハンド部13aが容器移送部13bからラック2に検体容器1を返却中の状態である。
【0139】
図24に示すように、容器移送部13bの状態は、初期状態においてA0である。また、容器移送部13bは、初期状態において第4位置P4(退避位置)に位置する。制御部91は、ステップS2001において、攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を移載する要求があるか否かを判定する。攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を移載する要求は、攪拌部12による検体容器1の検体の撹拌が完了すると通知される。制御部91は、攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を移載する要求があるまで待機し(ステップS2001:NO)、攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を移載する要求があると(ステップS2001:YES)、処理をステップS2002に進める。制御部91は、ステップS2002において、容器移送部13bを第4位置P4(退避位置)から第2位置P2(ピックアップ位置)に移動させる。なお、ステップS2002の処理は、図21のステップS4の動作に対応する。また、ステップS2002の処理は、図22のステップS1018の処理の後に実行される。
【0140】
制御部91は、ステップS2003において、攪拌部12から容器移送部13bへの検体容器1の受渡し完了の通知(検体容器1の移載完了の通知)があるか否かを判定する。攪拌部12から容器移送部13bへの検体容器1の受渡し完了は、後述するハンド部制御のステップS3008の処理によりハンド部13aが検体容器1を攪拌部12から取り出し、容器移送部13bに受け渡すと通知される。この通知は、図22に示すステップS1019における通知と同じ通知である。
【0141】
制御部91は、攪拌部12から容器移送部13bへの検体容器1の受渡し完了の通知(検体容器1の移載完了の通知)があるまで待機し(ステップS2003:NO)、検体容器1の移載完了の通知があると(ステップS2003:YES)、ステップS2004において容器移送部13bの状態をA0からA1に遷移する。制御部91は、ステップS2005において、容器移送部13bを第2位置P2(ピックアップ位置)から第4位置P4(退避位置)に移動させる。なお、ステップS2005の処理は、図21のステップS6の動作に対応する。
【0142】
制御部91は、ステップS2006において、ラック2から次の検体容器1を取り出す要求があるか否かを判定する。ラック2から次の検体容器1を取り出す要求は、そのタイミングで容器移送部13bに設置されている検体容器1の検体の次に測定が必要な検体を収容した検体容器1が取出位置P0に配置され、かつ、攪拌部12の状態がM0であると通知される。制御部91は、ラック2から次の検体容器1を取り出す要求がなければ(ステップS2006:NO)、ステップS2007の処理をスキップし、処理をステップS2008に進める。制御部91は、ラック2から次の検体容器1を取り出す要求があれば(ステップS2006:YES)、ステップS2007において、ラック2から攪拌部12への次の検体容器1の受渡し完了の通知(次の検体容器1のピックアップ完了の通知)があるか否か、すなわち、攪拌部12の状態がM2であるか否かを判定する。検体容器1のピックアップ完了は、後述するハンド部制御のステップS3004の処理によりハンド部13aがラック2から取り出した次の検体容器1を攪拌部12に受け渡し、攪拌部12が第3位置P3(攪拌位置)に移動すると通知される。制御部91は、次の検体容器1のピックアップ完了の通知があるまで、すなわち、攪拌部12の状態がM2になるまで待機し(ステップS2007:NO)、次の検体容器1のピックアップ完了の通知があると、すなわち、攪拌部12の状態がM2になると(ステップS2007:YES)、処理をステップS2008に進める。このように、制御部91は、攪拌部12の状態がM2であるか否かに応じて、容器移送部13bの動作を制御する。ステップS2006~S2007の処理において、次の検体容器1のラック2から攪拌部12への受渡しが完了するまで、容器移送部13bは、第4位置P4(退避位置)で待機する。これにより、次の検体容器1の受け取りのために第1位置P1(ピックアップ位置)に移動した攪拌部12と、容器移送部13bと、が衝突することを回避できる。
【0143】
制御部91は、ステップS2008において、容器移送部13bの状態をA1からA2に遷移する。制御部91は、ステップS2009において、容器移送部13bを第4位置P4(退避位置)から読取位置P5に移動させる。なお、ステップS2009の処理は、図21のステップS6の動作に対応する。制御部91は、ステップS2010において、容器移送部13bの状態をA2からA3に遷移する。制御部91は、ステップS2011において、読取部14による検体容器1の識別情報の読取完了の通知があるか否かを判定する。読取部14による検体容器1の識別情報の読取完了は、後述する読取部制御のステップS5002の処理により読取部14が検体容器1のバーコードラベル1bからの識別情報の読み取りを完了すると通知される。制御部91は、読取部14による検体容器1の識別情報の読取完了の通知があるまで待機し(ステップS2011:NO)、読取部14による検体容器1の識別情報の読取完了の通知があると(ステップS2011:YES)、処理をステップS2012に進める。
【0144】
制御部91は、ステップS2012において、容器移送部13bの状態をA3からA4に遷移する。制御部91は、ステップS2013において、容器移送部13bを読取位置P5から吸引位置P6に移動させる。なお、ステップS2013の処理は、図21のステップS8の動作に対応する。制御部91は、ステップS2014において、容器移送部13bの状態をA4からA5に遷移する。
【0145】
制御部91は、ステップS2015において、吸引部11による検体容器1からの検体の吸引開始の通知があるか否かを判定する。吸引部11による検体容器1からの検体の吸引開始は、後述する吸引部制御のステップS4002の処理により吸引部11の吸引管71が検体容器1の上方から下降を開始すると通知される。制御部91は、吸引部11による検体容器1からの検体の吸引開始の通知があるまで待機し(ステップS2015:NO)、吸引部11による検体容器1からの検体の吸引開始の通知があると(ステップS2015:YES)、ステップS2016において、容器移送部13bの状態をA5からA6に遷移する。
【0146】
制御部91は、ステップS2017において、吸引部11による検体容器1からの検体の吸引完了の通知があるか否かを判定する。吸引部11による検体容器1からの検体の吸引完了は、後述する吸引部制御のステップS4002の処理により吸引部11の吸引管71が検体吸引後に上昇し、検体容器1の上方に位置付けられると通知される。制御部91は、吸引部11による検体容器1からの検体の吸引完了の通知があるまで待機し(ステップS2017:NO)、吸引部11による検体容器1からの検体の吸引完了の通知があると(ステップS2017:YES)、処理をステップS2018に進める。制御部91は、ステップS2018において、容器移送部13bの状態をA6からA7に遷移する。
【0147】
制御部91は、ステップS2019において、ラック2から次の検体容器1を取り出す要求があるか否かを判定する。ラック2から次の検体容器1を取り出す要求は、そのタイミングで容器移送部13bに設置されている検体容器1の検体の次に測定が必要な検体を収容した検体容器1が取出位置P0に配置され、かつ、攪拌部12の状態がM0であると通知される。制御部91は、ラック2から次の検体容器1を取り出す要求がなければ(ステップS2019:NO)、ステップS2020の処理をスキップし、処理をステップS2021に進める。制御部91は、ラック2から次の検体容器1を取り出す要求があれば(ステップS2019:YES)、ステップS2020において、ラック2から攪拌部12への次の検体容器1の受渡し完了の通知(次の検体容器1のピックアップ完了の通知)があるか否か、すなわち、攪拌部12の状態がM2であるか否かを判定する。検体容器1のピックアップ完了は、後述するハンド部制御のステップS3004の処理によりハンド部13aがラック2から取り出した次の検体容器1を攪拌部12に受け渡し、攪拌部12が第3位置P3(攪拌位置)に移動すると通知される。制御部91は、次の検体容器1のピックアップ完了の通知があるまで、すなわち、攪拌部12の状態がM2になるまで待機し待機し(ステップS2020:NO)、次の検体容器1のピックアップ完了の通知があると、すなわち、攪拌部12の状態がM2になると(ステップS2020:YES)、処理をステップS2021に進める。このように、制御部91は、攪拌部12の状態がM2であるか否かに応じて、容器移送部13bの動作を制御する。ステップS2014~S2020の処理において、ラック2から攪拌部12への次の検体容器1の受渡しが完了するまで、容器移送部13bは、吸引位置P6で待機する。これにより、次の検体容器1の受け取りのために第1位置P1(ピックアップ位置)に移動した攪拌部12と、容器移送部13bと、が衝突することを回避できる。
【0148】
制御部91は、ステップS2021において、容器移送部13bの状態をA7からA8に遷移する。制御部91は、ステップS2022において、容器移送部13bを吸引位置P6から第2位置P2(ピックアップ位置)に移動させる。なお、ステップS2022の処理は、図21のステップS10の動作に対応する。制御部91は、ステップS2023において、容器移送部13bの状態をA8からA9に遷移する。制御部91は、ステップS2024において、容器移送部13bにある検体容器1をラック2に返却する要求があるか否かを判定する。容器移送部13bにある検体容器1をラック2に返却する要求は、当該検体容器1が保持されていたラック2の保持孔2aが取出位置P0に配置されると通知される。制御部91は、容器移送部13bにある検体容器1をラック2に返却する要求があるまで待機し(ステップS2024:NO)、容器移送部13bにある検体容器1をラック2に返却する要求があると(ステップS2024:YES)、処理をステップS2025に進める。制御部91は、ステップS2025において、容器移送部13bの状態をA9からA10に遷移する。
【0149】
制御部91は、ステップS2026において、後述する吸引部制御のステップS3012の処理によりハンド部13aが容器移送部13bから検体容器1を取り出した後、容器移送部13bを第2位置P2(ピックアップ位置)から第4位置P4(退避位置)に移動させる。制御部91は、ステップS2027において、容器移送部13bにあった検体容器1のラック2への返却完了の通知があるか否かを判定する。容器移送部13bにあった検体容器1のラック2への返却完了は、後述する吸引部制御のステップS3012の処理によりハンド部13aによるラック2の保持孔2aへの検体容器1の受渡しが完了すると通知される。制御部91は、容器移送部13bにあった検体容器1のラック2への返却完了の通知があるまで待機し(ステップS2027:NO)、容器移送部13bにあった検体容器1のラック2への返却完了の通知があると(ステップS2027:YES)、処理をステップS2028に進める。制御部91は、ステップS2028において、容器移送部13bの状態をA10からA0に遷移し、処理をステップS2001に戻し、攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を移載する要求を待つ。
【0150】
ステップS2008の処理の開始からステップS2027の処理が肯定判定で終了するまでには、約12秒を要する。また、複数の検体を連続測定している場合には、ステップS1006の処理により撹拌部12の状態がM2に遷移したタイミングで、ステップS2007が肯定判定となる。従って、ステップS1007の撹拌処理の開始のタイミングと、ステップS2008の処理の開始のタイミングとは、同一である。前述のとおり、ステップS1007の撹拌処理の開始から終了までには約12秒を要するため、一の検体容器1の撹拌の開始から終了までの間に、先行する他の検体容器1に対して、吸引位置P6への移送(ステップS2013)、検体の吸引(ステップS2015~S2017/後述するステップS4002)、ラック2への返却(ステップS2026~S2027/後述するS3012)の処理が実行される。
【0151】
次にハンド部制御につて説明する。図27に示すように、制御部91は、ステップS3001において、ラック2から検体容器1を取り出す要求があるか否かを判定する。ラック2から検体容器1を取り出す要求は、測定が必要な検体を収容した検体容器1が取出位置P0に配置され、かつ、攪拌部12の状態がM0であると通知される。制御部91は、ラック2から検体容器1を取り出す要求があれば(ステップS3001:YES)、ステップS3002において、ハンド部13aがラック2から攪拌部12に検体容器1を移載するピックアップ動作以外の他の動作を実行中であるか否かを判断する。制御部91は、ハンド部13aが他の動作を実行中であれば(ステップS3002:YES)、当該他の動作が完了するまで待機し(ステップS3003:NO)、他の動作が完了すると(ステップS3003:YES)、処理をステップS3004に進める。制御部91は、ステップS3002において、ハンド部13aが他の動作を実行中でないと判断すると(ステップS3002:NO)、ステップS3003をスキップし、処理をステップS3004に進める。また制御部91は、ステップS3001においてラック2から検体容器1を取り出す要求がないと判断すると(ステップS3001:NO)、ステップS3002~S3003をスキップし、処理をステップS3004に進める。
【0152】
ステップS3004において、制御部91は、取出位置P0に配置された検体容器1をラック2から取り出し、第1位置P1(ピックアップ位置)の上方まで可動部41を上昇させ、攪拌部12が第1位置P1(ピックアップ位置)に移動した後に可動部41を下降させ、検体容器1を攪拌部12に受け渡す、ピックアップ処理を実行するよう、ハンド部13aを制御する。なお、ステップS3004の処理は、図21のステップS4の動作に対応する。
【0153】
制御部91は、ステップS3005において、攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を移載する要求があるか否かを判定する。攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を移載する要求は、攪拌部12による検体容器1の検体の撹拌が完了し、かつ、容器移送部13bの状態がA0であると通知される。制御部91は、攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を移載する要求があれば(ステップS3005:YES)、ステップS3006において、ハンド部13aが攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を移載する動作以外の他の動作を実行中であるか否かを判断する。制御部91は、ハンド部13aが他の動作を実行中であれば(ステップS3006:YES)、当該他の動作が完了するまで待機し(ステップS3007:NO)、他の動作が完了すると(ステップS3007:YES)、処理をステップS3008に進める。制御部91は、ステップS3006において、ハンド部13aが他の動作を実行中でないと判断すると(ステップS3006:NO)、ステップS3007をスキップし、処理をステップS3008に進める。また制御部91は、ステップS3005において攪拌部12から容器移送部13bに検体容器1を移載する要求がないと判断すると(ステップS3005:NO)、ステップS3006~S3007をスキップし、処理をステップS3008に進める。
【0154】
ステップS3008において、制御部91は、第1位置P1(ピックアップ位置)に移動した攪拌部12に保持された検体容器1を攪拌部12から取り出し、第1位置P1(ピックアップ位置)の上方まで可動部41を上昇させ、攪拌部12が第3位置(攪拌位置)に移動し、容器移送部13bが第2位置P2(ピックアップ位置)に移動した後に可動部41を下降させ、検体容器1を容器移送部13bに受け渡す、移載処理を実行するよう、ハンド部13aを制御する。なお、ステップS3008の処理は、図21のステップS5の動作に対応する。
【0155】
制御部91は、ステップS3009において、容器移送部13bにある検体容器1をラック2に返却する要求があるか否かを判定する。容器移送部13bにある検体容器1をラック2に返却する要求は、当該検体容器1が保持されていたラック2の保持孔2aが取出位置P0に配置され、かつ、容器移送部13bの状態がA9であると通知される。制御部91は、容器移送部13bにある検体容器1をラック2に返却する要求があれば(ステップS3009:YES)、ステップS3010において、ハンド部13aが容器移送部13bにある検体容器1をラック2に返却する返却動作以外の他の動作を実行中であるか否かを判断する。制御部91は、ハンド部13aが他の動作を実行中であれば(ステップS3010:YES)、当該他の動作が完了するまで待機し(ステップS3011:NO)、他の動作が完了すると(ステップS3011:YES)、処理をステップS3012に進める。制御部91は、ステップS3010において、ハンド部13aが他の動作を実行中でないと判断すると(ステップS3010:NO)、ステップS3011をスキップし、処理をステップS3012に進める。また制御部91は、ステップS3009において容器移送部13bにある検体容器1をラック2に返却する要求がないと判断すると(ステップS3009:NO)、ステップS3010~S3011をスキップし、処理をステップS3012に進める。
【0156】
ステップS3012において、制御部91は、第2位置P2(ピックアップ位置)に移動した容器移送部13bに保持された検体容器1を容器移送部13bから取り出し、第2位置P2(ピックアップ位置)の上方まで可動部41を上昇させ、容器移送部13bが第4位置P4(退避位置)に移動した後に可動部41を下降させ、検体容器1をラック2に受け渡す、返却処理を実行するよう、ハンド部13aを制御する。なお、ステップS3012の処理は、図21のステップS11の動作に対応する。
【0157】
次に吸引部制御につて説明する。図28に示すように、制御部91は、ステップS4001において、検体容器1から検体を吸引する要求があるか否かを判断する。検体容器1から検体を吸引する要求は、検体容器1を保持した容器移送部13bが吸引位置P6に移動すると通知される。制御部91は、検体容器1から検体を吸引する要求があれば(ステップS4001:YES)、ステップS4002において、吸引管71を下降させて検体容器1内に挿入し、検体を吸引管71内に吸引し、吸引管71を検体容器1の上方まで上昇させる。なお、ステップS4002の処理は、図21のステップS9の動作に対応する。制御部91は、検体容器1から検体を吸引する要求がなければ(ステップS4001:NO)、要求があるまで待機する。制御部91は、ステップS4003において、測定オーダに含まれる測定項目に応じて、吸引管71を検体容器1の上方から反応部81a~81eのいずれかの上方に移動させ、吸引管71を下降させ、吸引管71内の検体を吐出するよう、吸引部11を制御し、処理をステップS4001に戻す。なお、ステップS4003の処理は、図21のステップS12の動作に対応する。
【0158】
次に読取部制御につて説明する。図29に示すように、制御部91は、ステップS5001において、検体容器1からバーコードを読み取る要求があるか否かを判断する。検体容器1からバーコードを読み取る要求は、検体容器1を保持した容器移送部13bが読取位置P5に移動すると通知される。制御部91は、検体容器1からバーコードを読み取る要求があれば(ステップS5001:YES)、ステップS5002において、検体容器1からバーコードを読み取るよう、読取部14を制御し、処理をステップS5001に戻す。なお、ステップS5002の処理は、図21のステップS7の動作に対応する。制御部91は、ステップS5001において、検体容器1からバーコードを読み取る要求がなければ(ステップS5001:NO)、要求があるまで待機する。
【0159】
(タイミングチャート)
次に、複数の検体容器1を連続して処理する場合に、上記した吸引部制御、攪拌部制御、ハンド部制御、容器移送部制御、読取部制御、試料調製部制御、測定部制御、およびラック搬送部制御の並行処理により、ハンド部13a、攪拌部12a、容器移送部13b、および吸引部11がどのタイミングでどのように動作するかを説明する。
【0160】
図30は、測定ユニット10内に検体容器1が取り込まれていない状態で、1本目の検体容器1を取り込む場合の処理の流れを示している。図31は、測定ユニット10内に他の検体容器1が取り込まれている状態で、後続する一の検体容器1を取り込む場合の処理の流れを示している。つまり、図31は、2本目以降の検体容器1に対する処理の流れを示している。図30および図31では、図中の左から右に時間の流れを示し、図中の縦方向にハンド部13a、攪拌部12、容器移送部13bおよび吸引部11を並べて、各々の動作を別個に示している。
【0161】
図30では、まず、時点t1から時点t2の間、ハンド部13aにより、取出位置P0に配置された1本目の検体容器1がラック2から取り出され、攪拌部12に受け渡される。この際、攪拌部12が、ハンド部13aが検体容器1をラック2から取り出した後の時点t3で第3位置P3から第1位置P1に移動(移動(1))する。移動完了の時点t4(図32参照)から、時点t5までに、ハンド部13aから第1位置P1の保持部130に検体容器1が挿入される。攪拌部12は、時点t5から時点t6の間に、第1位置P1から第3位置P3に移動(移動(2))する。
【0162】
時点t6(図33参照)から時点t7の間、第3位置P3において、攪拌部12が攪拌動作を実行する。
【0163】
攪拌終了の時点t7から時点t8(図34参照)の間、攪拌部12は第3位置P3から第1位置P1に移動(移動(1))する。移動完了の時点t8の後、時点t9から時点t10の間、ハンド部13aにより、第1位置P1に配置された攪拌部12から攪拌済みの検体容器1が取り出され、容器移送部13bに受け渡される。すなわち、時点t8から時点t11の間にハンド部13aによって検体容器1が取り出されると、時点t11で、攪拌部12が第1位置P1から第3位置P3へ移動(移動(2))する。攪拌部12の移動完了の時点t12の後、時点t13で、容器移送部13bが第4位置P4から第2位置P2に移動(移動(3))する。移動完了の時点t14(図35参照)の後、ハンド部13aにより、攪拌済みの検体容器1が容器移送部13bの容器保持部51に挿入される。受け渡し完了の時点t10の後、時点t15から時点t16の間、容器移送部13bが第2位置P2から第4位置P4へ移動する。
【0164】
以上の時点t1~時点t16の動作については、1本目の検体容器1の処理であり、先に攪拌処理を実施すべき検体容器1が存在しないので、攪拌動作と並行して実行される動作はない。時点t16の後、図31の処理動作に続く。
【0165】
図31では、処理対象の検体容器1を「N本目」、「N+1本目」として一般化して示しているが、ここではN=1として、1本目、2本目の検体容器1と読み替えて説明する。
【0166】
容器移送部13bが第4位置P4に移動した後、時点t17(図36参照)から時点t18の間、ハンド部13aにより、取出位置P0に配置された後続(2本目)の一の検体容器1がラック2から取り出され、攪拌部12に受け渡される。つまり、2本目の検体容器1についてのステップS1が実行される。
【0167】
この際、攪拌部12が、ハンド部13aが検体容器1をラック2から取り出した後の時点t19で第3位置P3から第1位置P1に移動(移動(1))する。移動完了の時点t20(図37参照)から、時点t21までに、ハンド部13aから攪拌部12の保持部130に検体容器1が挿入される。攪拌部12は、時点t21から時点t22の間に、第1位置P1から第3位置P3に移動(移動(2))する。時点t17から時点t22の間、図37に示したように、容器移送部13bは第4位置P4で待機する。
【0168】
時点t22から時点t23の間、攪拌部12が攪拌動作を実行する。つまり、攪拌部12は、最初に取り込んだ他の検体容器1(1本目)が容器移送部13bに保持されている状態で、後続する一の検体容器1(2本目)に対して、攪拌動作を行う。
【0169】
図31において、一の検体容器1(2本目)に対する攪拌動作が実施される時点t22から時点t23の間に、他の検体容器1(1本目)について、以下の処理動作が並行して実行される。
・読取位置P5への移送(時点t24~時点t25)
・読取部14による情報読取(時点t25~時点t26)
・吸引位置P6への移送(時点t26~時点t27)
・吸引位置P6に配置された検体容器1からの検体吸引(時点t30~時点t31)
・検体吸引済みの検体容器1の第2位置P2への移送(時点t33~時点t34)
・検体吸引済みの検体容器1のラック2への返却(時点t35~時点t36)
【0170】
まず、時点t24で、他の検体容器1(1本目)を保持した容器移送部13bが、容器保持部51を第4位置P4から読取位置P5に移動(移動(5))する。移動完了の時点t25(図38参照)から時点t26の間、読取部14により、他の検体容器1の識別情報の読取動作が行われる。読取終了後の時点t26で、容器移送部13bが、容器保持部51を読取位置P5から吸引位置P6に移動(移動(6))する。
【0171】
移動完了後、時点t28(図39参照)から時点t29において、吸引部11が、吸引管71を吐出位置から吸引位置P6へ移動(移動(8))させる。続いて時点t29から時点t30において、吸引部11が、吸引管71を吸引位置P6の上方位置から下方向移動させ、吸引管71を検体容器1の内部へ挿入する。時点t30から時点t31にかけて、吸引部11は、吸引管71により、他の検体容器1(1本目)に収容された検体の吸引を行う。
【0172】
吸引終了後の時点t31から時点t32において、吸引部11が、検体容器1の上方へ吸引管71(図39参照)を上方移動させる。検体吸引後、吸引管71が検体容器1から抜き取られると、時点t33から時点t34において、容器移送部13bが容器保持部51を吸引位置P6から第2位置P2へ移動(移動(7))させる。
【0173】
移動完了後、時点t35(図40参照)から時点t36の間、ハンド部13aにより、第2位置P2に配置された容器移送部13bの容器保持部51から検体吸引済みの他の検体容器1(1本目)が取り出され、ラック2に返却される。つまり、ステップS11が実行される。時点t34から時点t35の間にハンド部13aによって容器保持部51から検体容器1が取り出されると、時点t37で、容器移送部13bが容器保持部51を第2位置P2から第4位置P4へ移動(移動(4))させる。容器保持部51の移動完了の時点t38の後、ハンド部13aにより、検体吸引済みの検体容器1(1本目)が、取出位置P0に配置されたラック2の保持位置に挿入される。
【0174】
以上が、攪拌部12における一の検体容器1(2本目)の攪拌動作中に実行される動作である。
【0175】
攪拌終了後、時点t23から時点t39において、攪拌部12は、第3位置P3から第1位置P1に移動(移動(1))する。続いて、時点t40(図41参照)から時点t41において、攪拌終了後の一の検体容器1(2本目)について、ハンド部13aにより、攪拌部12から容器移送部13bへの受け渡しが行われる。この時点t40から時点t41の動作は、図30の時点t9から時点t16の動作と同じである。つまり、時点t39から時点t42の間にハンド部13aによって検体容器1が取り出され、時点t42から時点t43において攪拌部12が第1位置P1から第3位置P3へ移動(移動(2))する。攪拌部12の移動完了後の時点t44から時点t45において、容器移送部13bが第4位置P4から第2位置P2に移動(移動(3))し、時点t45(図42参照)から時点t46の間に、ハンド部13aにより、取り出された検体容器1が容器移送部13bの容器保持部51に挿入される。受け渡し完了の時点t41の後、時点t46から時点t47の間、容器移送部13bが第2位置P2から第4位置P4へ移動する。
【0176】
なお、吸引部11は、時点t32から時点t48にかけて、吸引位置P6からいずれかの反応部(81a~81e)の吐出位置へ移動し、時点t48から時点t49の間、反応部(81a~81e)の内部へ吸引管71を下方移動させ、時点t49から、吸引した検体(1本目の検体容器1の検体)を吐出する動作を行う。
【0177】
3本目以降の検体容器1の処理は、図31に示した時点t17~時点t47までの繰り返しによって行われる。厳密には、時点t17から時点t28の間に、吸引部11が、吐出動作を完了させて次の検体吸引の準備を完了させる動作を行うが、ここでは図示を省略している。
【0178】
したがって、検体分析装置100は、制御部91の制御により、一の検体容器1(3本目)の攪拌前に、時点t40から時点t41において、攪拌部12による攪拌済みの他の検体容器1(2本目)をハンド部13aにより攪拌部12から容器移送部13bに移載するとともに、その後の時点t17から時点t18において、攪拌前の一の検体容器1(3本目)をハンド部13aによりラック2から攪拌部12に移載するように構成されている。これにより、攪拌済みの他の検体容器1を、ハンド部13aによって攪拌部12から容器移送部13bへ受け渡しつつ、攪拌前の一の検体容器1を、同じハンド部13aによってラック2から攪拌部12へ受け渡すことができる。たとえば他の検体容器1について、攪拌部12で攪拌した後に一度ラック2に戻して、次にラック2から容器移送部13bへ受け渡す場合と比べて、不必要な動作を行わずに済むので処理効率を向上させることができる。
【0179】
3本目と同様に、N+1本目の一の検体容器1が取り込まれた場合、N+1本目の一の検体容器1の攪拌処理(時点t22から時点t23)の間に、N本目の他の検体容器1について、読取位置P5への移送(時点t24~時点t25)、情報読取(時点t25~時点t26)、吸引位置P6への移送(時点t26~時点t27)、検体吸引(時点t30~時点t31)、第2位置P2への移送(時点t33~時点t34)、ラック2への返却(時点t35~時点t36)、の各動作が行われる。
【0180】
以上のように、本実施形態では、検体分析装置100は、制御部91の制御により、一の検体容器1の攪拌の開始(時点t22)から終了(時点t23)までの間に、容器搬送部13による他の検体容器1の吸引位置P6への移送(時点t26~時点t27)を行うように構成されている。これにより、一の検体容器1に対する攪拌中に、他の検体容器1の吸引位置P6への移送を並行して実行できるので、攪拌と吸引位置P6への移送とを別々に実行する場合よりも、処理効率を向上させることができる。
【0181】
また、検体分析装置100は、制御部91の制御により、一の検体容器1の攪拌の開始(時点t22)から終了(時点t23)までの間に、他の検体容器1の吸引位置P6への移送(時点t26~時点t27)を完了し、吸引位置P6に移送した他の検体容器1から吸引部11により検体の吸引を開始(時点t30)するように構成されている。これにより、一の検体容器1に対する攪拌中に、他の検体容器1に対する検体吸引を並行して実行できるので、攪拌と検体吸引とを別々に実行する場合よりも、処理効率を向上させることができる。
【0182】
また、検体分析装置100は、制御部91の制御により、一の検体容器1の攪拌の開始(時点t22)から終了(時点t23)までの間に、他の検体容器1の吸引位置P6への移送(時点t26~時点t27)、検体の吸引(時点t30~時点t31)を完了し、容器搬送部13により、吸引後の他の検体容器1のラック2への返却を開始(時点t35)するように構成されている。これにより、一の検体容器1に対する攪拌中に、他の検体容器1のラック2への返却を並行して実行できるので、攪拌とラック2への返却とを別々に実行する場合よりも、処理効率を向上させることができる。
【0183】
また、検体分析装置100は、制御部91の制御により、一の検体容器1の攪拌の開始(時点t22)から終了(時点t23)までの間に、容器搬送部13による他の検体容器1の読取位置P5への移動(時点t24~時点t25)と、読取部14による他の検体容器1の識別情報の読み取り(時点t25~時点t26)とを実行するように構成されている。これにより、一の検体容器1に対する攪拌中に、他の検体容器1の識別情報の読み取りを並行して実行できるので、攪拌と識別情報の読み取りとを別々に実行する場合よりも、処理効率を向上させることができる。
【0184】
また、検体分析装置100は、制御部91の制御により、吸引部11による吸引済みの他の検体容器1(N本目)をハンド部13aにより容器移送部13bからラック2に返却(時点t35~時点t36)するとともに、一の検体容器1(N+1本目)の攪拌後に、攪拌部12による攪拌済みの一の検体容器1をハンド部13aにより攪拌部12から容器移送部13bに移載する(時点t40~時点t41)ように構成されている。これにより、ハンド部13aによって、吸引済みの他の検体容器1(N本目)を容器移送部13bからラック2へ返却しつつ、空いた容器移送部13bに、攪拌済みの一の検体容器1(N+1本目)を攪拌部12から容器移送部13bへ受け渡す動作を行える。そのため、一の検体容器1(N+1本目)について、攪拌部12で攪拌した後に一度ラック2に戻して、次にラック2から容器移送部13bへ受け渡す場合と比べて、不必要な動作を行わずに済むので処理効率を向上させることができる。
【0185】
また、図42および図40に示したように、検体分析装置100は、制御部91の制御により、第2位置P2において容器移送部13bに対して、ハンド部13aにより検体容器1の挿入(時点t45~時点t46)および取出し(時点t34~時点t37)を行っている間、攪拌部12を、上面視で第2位置P2から離隔した第3位置P3に配置するように構成されている。そして、図37および図41に示したように、検体分析装置100は、制御部91の制御により、第1位置P1において攪拌部12に対して、ハンド部13aにより検体容器1の挿入(時点t20~時点t21)および取出し(時点t39~時点t42)を行っている間、容器移送部13bを、上面視で第1位置P1から離隔した第4位置P4に配置するように構成されている。これにより、容器移送部13bおよび攪拌部12に対する検体容器1の挿入および取り出しを、上面視で同一の位置(第1位置P1、第2位置P2)で実行する場合でも、容器移送部13bおよび攪拌部12の一方に対する作業中に、容器移送部13bおよび攪拌部12の他方が作業の妨げになることを抑制できる。なお、容器移送部13b(容器保持部51)は、第4位置P4よりも離れた位置に配置されていれば攪拌部12と干渉することはないので、攪拌部12が第1位置P1に配置されている間、第4位置P4よりも離れた吸引位置P6に配置されてもよい。
【0186】
次に、図31における処理時間の一例を説明する。本実施形態では、制御部91は、検体容器1の攪拌処理(時点t22から時点t23)を、12秒間で実行する。制御部91は、読取位置P5への移動および情報読取(時点t24から時点t26)と、吸引位置P6への移動(時点t26から時点t27)と、検体吸引(時点t30から時点t31)と、吸引位置P6から第2位置P2への移動(時点t33から時点t34)と、検体容器1のラック2への返却(時点t35~時点t36)とを、12秒間で実行する。制御部91は、時点t17~時点t47までを、18秒周期で反復実行する。
【0187】
そのため、仮に一連の動作を並列処理なしで反復する場合には、攪拌処理を12秒間実行した後、情報読取、検体吸引、ラック2への検体容器1の返却、という一連の動作をさらに12秒間実行することになる。これに対して、本実施形態では、一の検体容器1の攪拌処理と、他の検体容器1の情報読取、検体吸引、ラック2への検体容器1の返却とを同時並行で実行するので、単位時間当たりの検体の処理件数を増加することができる。
【0188】
一方、複数の検体容器1についての検体吸引の実行周期が18秒周期になるため、1検体当たりの試料調製および測定の周期も、18秒周期以内に収めることが重要となる。
【0189】
そこで、本実施形態(図19参照)では、反応部81aおよび反応部81bには、互いに同じ種類の試薬が受け入れられる。つまり、反応部81aと反応部81bとは、同一の測定項目の測定試料を調製するために用いられる。制御部91は、検体容器1から吸引した検体を、反応部81aと反応部81bとのいずれか1つに選択的に吐出させるように吸引部11を制御する。
【0190】
これにより、反応部81aと反応部81bとのうちの1つで測定試料の調製を行い、次の検体を受け入れる準備が整う前に、反応部81aと反応部81bとのうちの他の1つを用いて、次の検体を用いた測定試料の調製を行うことができる。したがって、一の検体容器1の攪拌処理と、他の検体容器1に対する処理とを並行処理として実行することで、一の検体容器1中の検体吸引と他の検体容器1中の検体吸引とを短い時間間隔で実行する場合に、複数の反応部81によって測定試料の調製も並列的に実行できるようにすることで、単位時間当たりの検体の処理件数を効果的に増加することができる。
【0191】
具体的には、制御部91は、図43に示すように、一の検体容器1(たとえば、奇数番目)から吸引した検体を反応部81aおよび81bの1つ(反応部81a)に吐出させ、一の検体容器1の次に吸引位置P6に移送された他の検体容器1(たとえば、偶数番目)から吸引した検体を、反応部81aおよび81bの他の1つ(反応部81b)に吐出させるように吸引部11を制御する。これにより、複数の検体を連続的に測定する場合に、検体容器1から検体吸引を行う度に反応部81aと反応部81bとを切り替えて使用することで、単位時間当たりの検体の処理件数を効果的に増加することができる。
【0192】
これにより、1つの反応部では1検体当たりの試料調製の周期を18秒周期以内に収められない場合でも、一方の反応部81aで次の試料調製の準備が完了する前に、他方の反応部81bを利用して次の検体の試料調製を行うことで、18秒周期以内に収めることが可能となっている。
【0193】
なお、図19に示したように、反応部81aと反応部81bとは、測定部16の同じ第1検出部16aに接続されている。そのため、一の検体容器1に収容された検体から調製された測定試料の測定と、他の検体容器1に収容された検体から調製された測定試料の測定とは、共通の測定部16(共通の第1検出部16a)で実行される。これにより、同一の測定項目の測定試料を調製するための反応部81a、81bを2系統設ける場合でも、測定を行う測定部16を(第1検出部16a)を2セット設置せずに済み、装置構成が複雑化することがない。
【0194】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0195】
たとえば、上記実施形態では、N+1本目の一の検体容器1の攪拌処理(時点t22から時点t23)の間に、N本目の他の検体容器1について、読取位置P5への移送(時点t24~時点t25)、情報読取(時点t25~時点t26)、吸引位置P6への移送(時点t26~時点t27)、検体吸引(時点t30~時点t31)、第2位置P2への移送(時点t33~時点t34)、ラック2への返却(時点t35~時点t36)、の各処理が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一の検体容器1の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器1に対して、吸引位置P6への移送、検体の吸引、およびラック2への返却、少なくとも一つを実行すればよい。その場合でも、一の検体容器1の攪拌中に他の検体容器1に対する動作を実行できる分だけ、検体容器1に対する処理の完了を早めることができるので、複数の検体を分析する場合の検体分析装置100における単位時間当たりの検体の処理件数を増加することができる。
【0196】
たとえば図44に示す第1変形例では、一の検体容器1(2本目)の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器1(1本目)に対して、検体の吸引、および、ラック2への返却が行われる例を示している。この第1変形例では、攪拌中に、他の検体容器1に対して、吸引位置P6への移送が行われない。
【0197】
図45に示す第2変形例では、一の検体容器1(2本目)の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器1(1本目)に対して、吸引位置P6への移送が行われる例を示している。この第2変形例では、攪拌中に、他の検体容器1に対して、検体の吸引、および、ラック2への返却が行われない。
【0198】
図46に示す第3変形例では、一の検体容器1(2本目)の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器1(1本目)に対して、ラック2への返却が行われる例を示している。この第2変形例では、攪拌中に、他の検体容器1に対して、吸引位置P6への移送、および検体の吸引が行われない。
【0199】
図47に示す第4変形例では、一の検体容器1(2本目)の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器1(1本目)に対して、吸引位置P6への移送および検体の吸引が行われる例を示している。この第4変形例では、攪拌中に、他の検体容器1に対して、ラック2への返却が行われない。
【0200】
図48に示す第5変形例では、一の検体容器1(2本目)の攪拌の開始から終了までの間に、他の検体容器1(1本目)に対して、検体の吸引が行われる例を示している。この第5変形例では、攪拌中に、他の検体容器1に対して、吸引位置P6への移送およびラック2への返却が行われない。
【0201】
また、上記実施形態では、攪拌部12に対する検体容器1の出し入れを行う第1位置P1と、容器移送部13bに対する検体容器1の出し入れを行う第2位置P2と、ラック2からの検体容器1の取出位置P0とが、上下方向に配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。第1位置P1と、第2位置P2と、取出位置P0とが、上下方向に配置されなくてもよく、第1位置P1と、第2位置P2と、取出位置P0とが、上面視で互いに異なる位置に配置されていてもよい。第1位置P1と第2位置P2とが上面視で同じ位置で、取出位置P0が第1位置P1および第2位置P2とは上面視で異なる位置であってもよい。また、第1位置P1および第2位置P2の一方が上面視で取出位置P0と同じ位置にあり、第1位置P1および第2位置P2の他方が上面視で取出位置P0と異なる位置にあってもよい。
【0202】
また、上記実施形態では、容器移送部13bがY方向に直線移動し、攪拌部12がX方向に直線移動する例を示したが、本発明はこれに限られない。容器移送部13bがY方向以外の方向に移動してもよいし、曲線状に移動してもよい。また、攪拌部12がX方向以外の方向に移動してもよいし、曲線状に移動してもよい。容器移送部13bと攪拌部12とは、互いに平行な方向に移動してもよい。この場合、ハンド部13aが、容器移送部13bと攪拌部12とに跨がって水平移動可能に構成してもよい。また、ハンド部13aとは別に、容器移送部13bと攪拌部12との間で検体容器1の受け渡しを行う機構を設けてもよい。
【0203】
また、上記実施形態では、ハンド部13aが、水平方向に移動することなく、上下移動によりラック2、攪拌部12および容器移送部13bの各々に対する、検体容器1の取り出しおよび挿入を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。ハンド部13aは、上下移動のみならず、水平移動するように構成されていてもよい。たとえば、攪拌部12が第3位置P3に固定されており、ハンド部13aが、上面視で取出位置P0と第3位置P3との間を水平移動してもよい。
【0204】
また、上記実施形態では、攪拌部12が、検体容器1の下部を保持する保持部130と、保持部130を所定方向に往復移動させる駆動部121と、を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。攪拌部12は、検体容器1の上部を吊り下げ保持して、水平方向の軸周りに、検体容器1を振り子状に回転する形態で、攪拌を行うように構成されてもよい。図49は、変形例の撹拌を行う検体分析装置を示した模式図である。図49に示すように、変形例の撹拌を行う検体分析装置100は、攪拌部12に代えて攪拌部312を備える。攪拌部312は、攪拌部12と同様に、保持部130を水平方向(X方向)に直線移動させる。攪拌部312は、把持・撹拌部145を備える。図50は、把持・撹拌部を示した模式図である。把持・撹拌部145は、検体容器1を把持する一対のハンド部144と、一対のハンド部144の開閉動作を行うための駆動源142と、一対のハンド部144を回転軸J周りに往復回転(矢印d参照)させる駆動源143と、を備える。
【0205】
また、上記実施形態では、駆動部121が、水平方向の回転軸125周りに、保持部130を往復回転させる例を示したが、本発明はこれに限られない。駆動部121は、水平方向以外の方向、たとえば鉛直方向の回転軸周りに、保持部130を回転させることによって、攪拌を行うように構成されてもよい。また、攪拌部12は、特定の回転軸周りに保持部130を回転させなくてもよい。たとえば、攪拌部12は、保持部130を直線軌道で往復移動させる直動機構を備え、保持部130を直線方向に往復移動させることによって、攪拌を行ってもよい。
【0206】
また、上記実施形態では、駆動部121が、原点位置Q0から90度よりも大きい所定角度Q1まで保持部130を回転させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定角度Q1は、90度以下であってもよい。所定角度Q1は、140度以外の他の角度でもよい。原点位置Q0を水平(0度)としたとき、所定角度Q1の上限は、たとえば270度である。所定角度Q1が270度よりも大きいと、検体容器1の上端部(キャップ1a)が上向きになり、付着物を落下させにくくなる。落下物受部115を設けない場合、所定角度Q1は、360度未満の任意の角度であってもよい。駆動部121は、往復回転ではなく、回転軸周りの一方向に向けて360度以上回転させてもよい。
【0207】
また、上記実施形態では、所定角度Q1に回転した状態の検体容器1の上端部の下方となる位置に、検体容器1から落下した付着物を受ける落下物受部115を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、落下物受部115を設けなくてもよい。
【0208】
また、上記実施形態では、攪拌部12は、保持部130が原点位置Q0から所定角度Q1まで到達したときに、保持部130の回転を急停止させるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。攪拌部12は、保持部130の回転をゆっくり停止させてもよい。
【0209】
また、上記実施形態では、攪拌部12のアーム124を、保持部130に対して、回転方向に所定量CLだけ相対移動可能な状態で接続し、アーム124の停止させた時に、慣性によって保持部130が所定量CLだけ移動してアーム124と衝突することで急停止する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アーム124と保持部130とを、相対移動しないように接続してもよい。保持部130を急停止させる場合、回転する部分(アーム124または保持部130)と衝突するストッパを、攪拌部12に別途設けてもよい。また、アーム124と一体で回転するプーリ123bにブレーキ装置を設けて、プーリ123bの回転を強制的に停止させることにより、保持部130を急停止させてもよい。回転モータ122の駆動制御のみにより、保持部130を急停止させてもよい。
【0210】
また、上記実施形態では、攪拌の終了時に、保持部130を急停止させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、攪拌の終了時に、原点位置Q0で保持部130を急停止させなくてもよい。
【0211】
また、上記実施形態では、互いに同じ種類の試薬が受け入れられる複数の反応部81a、81bを設けて、検体容器1から吸引した検体を、複数の反応部81a、81bのいずれか1つに選択的に吐出させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、同じ種類の試薬が受け入れられる反応部を1つだけ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。
【0212】
上記実施形態では、攪拌部12の保持部130を第1位置P1と第3位置P3とに移動させるスライド駆動部113が、エアシリンダである例を示したが、本発明はこれに限られない。スライド駆動部113は、電動モータであってもよい。この場合、ベルト-プーリ機構によってスライド駆動部113の駆動力を前後方向の駆動力に変換してスライド部120を移動させることができる。
【0213】
上記実施形態では、測定ユニット10が読取部14を備え、容器搬送部13が検体容器1を読取位置P5に配置することにより、検体容器1の識別情報を読み取っているが、測定ユニット10内における識別情報の読み取りを省略してもよい。すなわち、測定ユニット10が読取部14を備えなくてもよい。この場合、情報読取部24が読み取った識別情報を、検体容器1内の検体の識別に用いてもよい。
【0214】
上記実施形態では、制御部91が、測定ユニット10およびラック搬送部20の各部の動作を制御しているが、制御部31が、測定ユニット10およびラック搬送部20の一部の動作を制御してもよい。また、測定ユニット10が制御部91を備えず、制御部31が、測定ユニット10およびラック搬送部20の動作を制御してもよい。分析部30が制御部31を備えず、制御部91が、測定データの分析処理を行ってもよい。
【0215】
上記実施形態では、検体分析装置100に1つの測定ユニット10を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。検体分析装置100に複数の測定ユニット10を設けてもよい。たとえば、1つのラック搬送部20に対して、2つの測定ユニット10を並べて配置してもよい。
【0216】
上記実施形態では、ラック搬送部20によって搬送されるラック2に保持された複数の検体容器1(通常検体)に収容された検体を測定する例を示したが、本発明はこれに限られない。検体分析装置100は、ラック搬送部20によって搬送されるラック2に保持された複数の検体容器1(通常検体)に割り込んで、ユーザによって容器保持部51に設置された検体容器1(割り込み検体)に収容された検体を測定してもよい。
【0217】
図51は、第6変形例の検体分析装置を示した模式図である。本変形例の検体分析装置100において、容器移送部13bは、容器保持部51がユニットカバー18のY1側の前面部よりも手前側(Y1方向側)の容器設置位置P7まで移動可能となるように構成されている。これにより、ユーザは、検体容器1(割り込み検体)を、容器設置位置P7に移動した容器保持部51に設置することができる。本変形例の検体分析装置100は、ユニットカバー18のY1側の前面部に、通常検体の測定モードを割り込み検体の測定モードに切り替えるとともに、割り込み検体の測定を開始させるためのスイッチ95を備える。
【0218】
図52は、第6変形例の検体分析装置の制御部による割り込み検体の測定処理を示すフローチャートである。割り込み検体の測定処理は、ユーザが、スイッチ95を押下することにより開始する。割り込み検体の測定処理が開始すると、制御部91は、ステップS101において、容器移送部13bに検体容器1が有るか否かを判定する。容器移送部13bに検体容器1が有るか否かは、容器保持部51に保持された検体容器1を検知するセンサからの出力により判定してもよいし、ソフトウェアにより判定してもよい。ソフトウェアにより判定する場合、制御部91は、例えば、ステップS4~S11(図21)のいずれかの動作が実行中であるか否かにより判定してもよい。制御部91は、ステップS4~S11のいずれかの動作が実行中である場合、容器移送部13bに検体容器1が有ると判定し、ステップS4~S11のいずれの動作も実行中ではない場合、容器移送部13bに検体容器1が無いと判定する。
【0219】
制御部91は、ステップS101において容器移送部13bに検体容器1が有ると判定した場合(ステップS101:YES)、ステップS102において、検体吸引中であるか否かを判定する。検体吸引中であるか否かは、例えば、ステップS9(図21)の動作が実行中であるか否かにより判定してもよい。制御部91は、ステップS9の動作が実行中である場合、検体吸引中であると判定し、ステップS9の動作が実行中ではない場合、検体吸引中ではないと判定する。制御部91は、ステップS102において検体吸引中であると判定した場合(ステップS102:YES)、ステップS103において、検体吸引の完了まで待機する。制御部91は、ステップS102において検体吸引中ではないと判定した場合(ステップS102:NO)、又は、ステップS103の実行後、ステップS104において、容器移送部13bの検体容器1を、元のラック2の元の保持孔2aに返却する。この処理により、容器保持部51に保持された検体容器1が第2位置P2に配置され、ハンド部13aにより、当該検体容器1を取り出した位置に搬送されたラック2に当該検体容器1が返却される。
【0220】
制御部91は、ステップS101において容器移送部13bに検体容器が無いと判定した場合(ステップS101:NO)、又は、ステップS104の実行後、ステップS105において、攪拌部12に検体容器1が有るか否かを判定する。攪拌部12に検体容器1が有るか否かは、保持部130に保持された検体容器1を検知するセンサ(容器検知部137)からの出力により判定してもよいし、ソフトウェアにより判定してもよい。ソフトウェアにより判定する場合、制御部91は、例えば、ステップS1~S3(図21)のいずれかの動作が実行中であるか否かにより判定してもよい。制御部91は、ステップS1~S3のいずれかの動作が実行中である場合、攪拌部12に検体容器1が有ると判定し、ステップS1~S3のいずれの処理も実行中ではない場合、攪拌部12に検体容器1が無いと判定する。
【0221】
制御部91は、ステップS105において攪拌部12に検体容器が有ると判定した場合(ステップS105:YES)、ステップS106において、所定回数の撹拌が完了する前であっても、攪拌部12による検体容器1の攪拌を停止する。この処理により、攪拌部12は、保持部130に保持された検体容器1が第3位置P3に配置された状態で停止する。制御部91は、ステップS107において、攪拌部12の検体容器1を、元のラック2の元の保持孔2aに返却する。この処理により、保持部130に保持された検体容器1が第1位置P1に配置され、ハンド部13aにより、当該検体容器1を取り出した位置に搬送されたラック2に当該検体容器1が返却される。なお、ステップS107の処理は、ステップS108が実行された後に実行されてもよい。
【0222】
制御部91は、ステップS105において攪拌部12に検体容器1が無いと判定した場合(ステップS105:NO)、又は、ステップS107の実行後、ステップS108において、容器保持部51が容器設置位置P7に移動するように容器移送部13bを制御する。次に、ステップS109の処理は、ユーザが、容器設置位置P7に配置された容器保持部51に攪拌した割り込み検体を設置し、スイッチ95を押下することにより開始する。制御部91は、ステップS109において、割り込み検体の測定モードによる測定処理を実行する。具体的には、制御部91は、ステップS109において、容器移送部13bにより、容器保持部51に設置された割り込み検体を容器設置位置P7から読取位置P5へ移動させ、その後、ステップS7~S14(図21)の動作を実行するよう、吸引部11,ハンド部13a、容器移送部13b、読取部14,試料調製部15,および測定部16を制御する。
【0223】
このように、第6変形例では、検体分析装置100は、ラック搬送部20上のラック2に収容された複数の通常検体を測定する第1モードと、複数の通常検体に割り込んで割り込み検体を測定する第2モードとで動作可能である。制御部91は、第2モードが設定されると、攪拌部12および容器搬送部13にある通常検体をラック2に返却する制御を行うように構成されている。すなわち、割り込み検体を測定するとき、ユニットカバー18内に取り込まれた検体容器1を元のラック2の元の保持孔2aに返却する。これにより、第6変形例の検体分析装置は、複数の通常検体を測定中であっても、割り込み検体の測定を迅速に行うことができる。
【0224】
上記実施形態では、検体分析装置100が、血球計数装置である例を示したが、検体分析装置100は、免疫測定装置、生化学測定装置、血液凝固測定装置、または尿分析装置等の他の種類の分析装置であってもよい。そのため、本発明における検体は、血液検体に限らず、尿、組織液、その他の体液(脳髄液、 腹水、 胸水、滑液、 腹膜透析排液等)などであってもよい。
【符号の説明】
【0225】
1:検体容器、2:ラック、11:吸引部、12:攪拌部、13:容器搬送部、13a:ハンド部、13b:容器移送部、14:読取部、16:測定部、20:ラック搬送部、30:分析部、31:制御部、81a~81e:反応部、91:制御部、100:検体分析装置、115:落下物受部、121:駆動部、124:アーム、125:回転軸、130:保持部、132:固定部、CL:所定量、P1:第1位置、P2:第2位置、P3:第3位置、P4:第4位置、P5:読取位置、P6:吸引位置、Q0:原点位置、Q1:所定角度、TD:接線方向
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