(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127107
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】開閉支持装置並びにこの開閉支持装置を用いた事務機器
(51)【国際特許分類】
G03B 27/62 20060101AFI20240912BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20240912BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G03B27/62
F16C11/04 F
F16C11/10 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036000
(22)【出願日】2023-03-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 覚司
【テーマコード(参考)】
2H012
3J105
【Fターム(参考)】
2H012CB12
3J105AA04
3J105AA12
3J105AB02
3J105AB13
3J105AB24
3J105AC06
3J105BC02
3J105BC13
3J105DA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業員による原稿委圧着板の高さ調整を要さず、組立工数を削減することができる開閉支持装置を提供する。
【解決手段】取付部材11と、支持部材12と、リフト部材14と、支持部材とリフト部材との間に、第1リフトシャフトを介して支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支される調整部材13と、リフト部材と調整部材との間に第1リフトシャフトを挟んで一方の側に設けた加圧手段15及び他方の側に設けられた増圧手段16と、取付部材の両側板の間に設けられた受圧部材とリフト部材の両側板の間に設けられた第2リフトシャフトとの間に設けられた支持部材の回転制御手段と、を有し、加圧手段は、原稿圧着板をコンタクトガラス上へ閉じる際にリフト部材を下方へ加圧し、増圧手段は、加圧手段の加圧力を増圧させるように成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板とこの底板から立ち上げた両側板を有し、事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、
上板とこの上板から垂設した両側板とこの両側板から内側に向けて設けた抱持片を有し、前記両側板を前記取付部材の前記両側板へメインシャフトを介して回転可能に軸支される支持部材と、
上板とこの上板から垂設した両側板とこの両側板から外側に向けて設けられた前記原稿圧着板の取付板とを有し、前記支持部材の両側板の自由端側に設けた内径の大きな遊挿孔に緩く挿通された第1リフトシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支されるリフト部材と、
上板とこの上板から垂設した両側板とを有し、前記支持部材と前記リフト部材との間に、前記第1リフトシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支される調整部材と、
前記リフト部材と前記調整部材との間に前記第1リフトシャフトを挟んで一方の側に設けた加圧手段及び他方の側に設けられた増圧手段と、
前記取付部材の前記両側板の間に設けられた受圧部材と前記リフト部材の前記両側板の間に設けられた第2リフトシャフトとの間に設けられた前記支持部材の回転制御手段と、を有し、
前記加圧手段は、前記原稿圧着板をコンタクトガラス上へ閉じる際に前記リフト部材を下方へ加圧し、
前記増圧手段は、前記加圧手段の加圧力を増圧させるように成したことを特徴とする、開閉支持装置。
【請求項2】
前記回転制御手段は、前記支持部材内に設けられ、前記取付部材の両側板の間に設けられたところの前記受圧部材に接して設けられた第1ばね受け部と、前記リフト部材の両側板の間に設けられたところの前記第2リフトシャフトに接して設けられた第2ばね受け部と、前記第1ばね受け部と前記第2ばね受け部の間に弾設された第1弾性部材を有することを特徴とする、請求項1に記載の開閉支持装置。
【請求項3】
前記加圧手段は、前記リフト部材と前記調整部材との間に前記リフト部材を前記支持部材側へ加圧させる第2弾性部材とを有し、前記増圧手段は、前記リフト部材と前記調整部材との間に前記リフト部材を前記支持部材側へ加圧させる第3弾性部材とを有することを特徴とする、請求項1に記載の開閉支持装置。
【請求項4】
前記増圧手段は、前記リフト部材に取り付けられる第1支持部と、前記調整部材に取り付けられる第2支持部とを有し、前記第3弾性部材は、前記第1支持部と第2支持部との間に弾設されることを特徴とする、請求項1に記載の開閉支持装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の開閉支持装置を用いたことを特徴とする、事務機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機並びに印刷機やファクシミリ、スキャナーなどの事務機器の装置本体に対して原稿圧着板などの蓋体を開閉可能に取り付ける際に用いて好適な開閉支持装置並びにこの開閉支持装置を用いた事務機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉支持装置は、上記事務機器の装置本体の上面後部に取り付けられ、自動原稿送り装置(ADF:AUTO DOCUMENT FEEDER)を備える原稿圧着板を装置本体に対して開閉可能に軸支している。つまり、開閉支持装置は、一種のヒンジ機構であり、コンタクトガラス面上に原稿を載置した後、原稿圧着板を開閉させることにより、装置本体に対し原稿圧着板が離間している状態(以下、開成状態という)から、原稿圧着板がコンタクトガラスに対して閉じられた状態(圧着された状態、以下、閉成状態という)にすることができる。
【0003】
このような開閉支持装置にあっては、開閉支持装置に取り付けられた原稿圧着板の重量と、原稿圧着板を開成方向へ付勢する後述の回転制御手段に用いる第1弾性部材の弾力との不釣り合いによって、原稿圧着板の閉成状態において原稿圧着板の後部側とコンタクトガラスとの間に隙間が生じ、原稿圧着板がコンタクトガラスに対し平行に閉じられない場合を生じた。
【0004】
そうすると、コンタクトガラス面上に原稿が均一に圧着されないことから、複写ボケが生ずるという不具合があった。そこで、従来は例えば下記特許文献1に記載されたように、開閉支持装置のリフト部材から支持部材に向けて高さ調整ネジを設けている。この高さ調整ネジを左右へ回すことにより、支持部材とリフト部材との間の設置角度を調整して、原稿圧着板とコンタクトガラスとの間隙を埋め、原稿圧着板がコンタクトガラス面に対し平行に閉じられるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この高さ調整作業は、事務機器の組み立て現場、或は事務機器の設置後において手作業によっているため、調整に時間と人手を要するという問題があった。本発明は、このような問題を解決することを課題とし、組立現場の作業員や設置後の操作者による原稿圧着板の高さ調整を要さず、開閉支持装置が自動的に原稿圧着板の高さ調整を行うことのできるように成した開閉支持装置並びにこの開閉支持装置を用いた事務機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明は、底板とこの底板から立ち上げた両側板を有し、事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、上板とこの上板から垂設した両側板とこの両側板から内側に向けて設けた抱持片を有し、前記両側板を前記取付部材の前記両側板へメインシャフトを介して回転可能に軸支される支持部材と、上板とこの上板から垂設した両側板とこの両側板から外側に向けて設けられた前記原稿圧着板の取付板とを有し、前記支持部材の両側板の自由端側に設けた内径の大きな遊挿孔に緩く挿通された第1リフトシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支されるリフト部材と、上板とこの上板から垂設した両側板とを有し、前記支持部材と前記リフト部材との間に、前記第1リフトシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支される調整部材と、前記リフト部材と前記調整部材との間に前記第1リフトシャフトを挟んで一方の側に設けた加圧手段及び他方の側に設けられた増圧手段と、前記取付部材の前記両側板の間に設けられた受圧部材と前記リフト部材の前記両側板の間に設けられた第2リフトシャフトとの間に設けられた前記支持部材の回転制御手段と、を有し、前記加圧手段は、前記原稿圧着板をコンタクトガラス上へ閉じる際に前記リフト部材を下方へ加圧し、前記増圧手段は、前記加圧手段の加圧力を増圧させるように成したことを特徴とする。
【0008】
次に、請求項2に記載の発明は、前記回転制御手段は、前記支持部材内に設けられ、前記取付部材の両側板の間に設けられたところの前記受圧部材に接して設けられた第1ばね受け部と、前記リフト部材の両側板の間に設けられたところの前記第2リフトシャフトに接して設けられた第2ばね受け部と、前記第1ばね受け部と前記第2ばね受け部の間に弾設された第1弾性部材を有することを特徴とする。
【0009】
次に、請求項3に記載の発明は、前記加圧手段が、前記リフト部材と前記調整部材との間に前記リフト部材を前記支持部材側へ加圧させる第2弾性部材とを有し、前記増圧手段は、前記リフト部材と前記調整部材との間に前記リフト部材を前記支持部材側へ加圧させる第3弾性部材とを有することを特徴とする。
【0010】
次に、請求項4に記載の発明は、前記増圧手段が、前記リフト部材に取り付けられる第1支持部と、前記調整部材に取り付けられる第2支持部とを有し、前記第3弾性部材は、前記第1支持部と第2支持部との間に弾設されることを特徴とする。
【0011】
そして、請求項5に記載の発明は、事務機器が上記いずれかに記載の開閉支持装置を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、原稿圧着板を取り付けるリフト部材が原稿圧着板の閉成時に加圧手段及び増圧手段によってコンタクトガラス側へ降下させられるので、原稿圧着板とコンタクトガラス面との間のとくに取付部材側に間隙が生じるのを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例における開閉支持装置を用いた事務機器を示す斜視図である。
【
図2】実施例における開閉支持装置の閉成状態を示す斜視図である。
【
図3】実施例における開閉支持装置の閉成状態を示す正面図である。
【
図4】実施例における開閉支持装置の分解斜視図である。
【
図5】実施例における第2ばね受け部を示し、(a)はその左側内面から見た斜視図、(b)はその右側内面から見た斜視図である。
【
図6】実施例における開閉支持装置の調整部材を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)は左側面図、(d)はその右側面図である。
【
図7】実施例における開閉支持装置のリフト部材を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその左側面図、(d)はその右側面図である。
【
図8】
図2に示す開閉支持装置の閉成状態を示す斜視図のA-A断面図である。
【
図9】実施例における開閉支持装置の閉成状態における高さ調整を説明する説明図であり、(a)は調整前を示し、(b)は調整後を示している。
【
図10】実施例における開閉支持装置の開成状態における高さ調整を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の好適な実施の形態に係る開閉支持装置10、10A、並びにこの開閉支持装置10、10Aを備えた事務機器1について、図面を参照しながら説明する。
また、本実施例では、方向を以下のように定義する。開閉支持装置10、10Aの法線方向を上下(Z1Z2)方向とし、開閉支持装置10、10Aの長手方向を前後(Y1Y2)方向と定義し、開閉支持装置10、10Aの短手方向を左右(X1X2)方向とする。上下方向、左右方向及び前後方向は互いに直交する。尚、本実施例における方向の定義は一例である。
また、図面において、左右方向の一方の加圧手段15及び増圧手段16を示しているが、左右一対であり、同じ構成であるので、他方の図示を省略してある。
【実施例0015】
図1は、実施例における開閉支持装置を用いた事務機器を示す斜視図である。
図1において、事務機器1は、略立方体状の装置本体2と、装置本体2の上面2aのコンタクトガラス4と、利用者の操作を受け付ける操作部5と、装置本体2の上面2aを開閉する原稿圧着板3と、を有する。開閉体或は蓋体としての原稿圧着板3は、ADF3aを備えており、開閉支持装置(ヒンジ)10、10Aを介して装置本体2に回動可能に連結され、装置本体2に対して開閉可能である。
【0016】
開閉支持装置10、10Aのうち、原稿圧着板3のADFを取り付けた側の開閉支持装置10は、重量があることから弾性部材を用いており、開閉支持装置10A側は、
図1では同じ構成のものを示してあるが、開閉支持装置10A側は、原稿圧着板3の重量が軽いため、弾性手段を省略したりするので、その構成は開閉支持装置10Aの構成とは異なる場合が通常である。そこで、以下の説明では原稿圧着板3の重量のある側に用いる開閉支持装置10について説明し、他方の開閉支持装置10Aについては説明を省略する。尚、開閉支持装置10、10Aの構成が同様な場合もある。
【0017】
図2は実施例における開閉支持装置10の閉成状態を示す斜視図であり、
図3は実施例における開閉支持装置10の開成状態を示す正面図である。
図2及び
図3において、開閉支持装置10は、取付部材11と、支持部材12と、調整部材13と、リフト部材14と、加圧手段15と、増圧手段16と、第2弾性部材15dと、第3弾性部材16dを有しており、支持部材12はメインシャフト17を介して取付部材11に回転可能に軸支され、調整部材13及びリフト部材14は第1リフトシャフト18を介して支持部材12へ回転可能に軸支される。
【0018】
支持部材12、調整部材13、リフト部材14は、この順番で取付部材11に対して配置され、調整部材13とリフト部材14とは加圧手段15及び増圧手段16によっても連結され、調整部材13とリフト部材14との間には第2弾性部材15d及び第3弾性部材16dが弾設されている。
【0019】
図4は実施例における開閉支持装置の分解斜視図である。
図4において、取付部材11は、装置本体2に取り付けられる略矩形状の底板11aと、底板11aの両側端部からそれぞれ底板11aに対して直交する上方向(略直交する上方向も含む)に立ち上げた両側板11b、11bと、底板11aの一端部(後端部)から底板11aに対して直交する上方向(略直交する方向も含む)に立ち上げた略矩形状の後板11dと、両側板11b、11bの前端部に形成された湾曲凹部11e、11eと、高さ調節板11jとを有する。
【0020】
底板11aは、ネジ等で装置本体2に取り付けるための取付孔11c1、11c2が設けられている。両側板11b、11bは、上部側に、メインシャフト17が挿通される第1挿通孔11h、11hが設けられる。尚、本実施例では、メインシャフト17をシャフト状のものとして説明するが、それに限定されず、取付部材11の両側板11b、11bに個々に設けられる独立した短ピン状のものや、その他の構成のものでもよい。また、メインシャフト17の固定具としてフランジ17aを有する軸受17bやワッシャ17cを用いるが、これらは例示であり、適宜設計変更してもよい。
【0021】
両側板11b、11bは、第1挿通孔11h、11hより底板11a側(下方)で、かつ、前方に偏した位置に、受圧部材19が挿通される第2挿通孔11i、11iが設けられる。受圧部材19は、ワッシャ19a及びEリング19bを介して、第2挿通孔11i、11iに挿通さてもよい。尚、本実施例では、受圧部材19をシャフト状のものとして説明するが、それに限定されず、取付部材11の両側板11b、11bの間に設けたその他の形状のものでもよい。
【0022】
原稿圧着板3がADF3aを備えている場合、左右の開閉支持装置10、10Aにおいて、コンタクトガラス4の表面に対する取付高さが異なると、ADF3aから給紙された原稿が紙詰まりして原稿排紙トレイに給紙されない場合がある。このため、原稿圧着板3の左右方向の平面がコンタクトガラス4の表面と平行となるように、高さ調節板11jを図示しない取付ネジN1の頭部46bと底板11aの表面との間の隙間に配置している。高さ調節板11jは二股の楔形状に形成された爪11kが隙間に差し込まれ、深く差し込むと開閉支持装置10、10Aが低くなる。差込深さは、前後方向に沿って配置される高さ調節ネジ11lを前面側からドライバー等の治具で回すことにより、高さ調節板11jを前後方向にスライド移動させて調節する。
【0023】
高さ調節板11jは、上下方向に起立するネジ受板部11mにU字溝11nが形成されている。また、後板11dには、U字溝11nに対応してネジ孔11oが形成されている。高さ調節ネジ11lの凹溝がU字溝11nに嵌合し、ネジ軸部11pがネジ孔11oにネジ込まれている。
【0024】
支持部材(以下、ケース部材ともいう)12は、略矩形状の上板12aと、上板12aの両側端部からそれぞれ上板12aに対して直交する下方向(略直交する下方向も含む)に垂設された両側板12b、12bと、両側板12b、12bの下端部を互いに対向する側に90°折り曲げてなる抱持片12c、12cとを有する。支持部材12は、略筒状に形成されており、支持部材12内に収容空間12hを有する。
【0025】
両側板12b、12bは、後端部に、メインシャフト17が挿通される第1挿通孔12f、12fが設けられる。メインシャフト17は、両側板12b、12bの第1挿通孔12f、12fと取付部材11の第1挿通孔11h、11hとが軸合わせた状態で、これらの孔に挿通される。このように、取付部材11は、メインシャフト17を介して支持部材12を回転可能に支持する。支持部材12は、取付部材11により回転可能に支持される。
【0026】
また、両側板12b、12bは、前端部の上板12a側に第1リフトシャフト18が挿通される第2挿通孔12g、12gが設けられ、前端部の抱持片12c、12c側に第2リフトシャフト20が入り込む切り欠き部12j、12jが設けられる。また、両側板12b、12bは、第2挿通孔12g、12gの後方に、調整部材13と当接する略半月形状の凸部12i、12iが設けられている。両側板12b、12bに凸部12i、12iを設けることにより、支持部材12の第1リフトシャフト18の軸方向(スラスト方向)
におけるガタつきを抑制することができる。
【0027】
ここで、支持部材12の収容空間12h内には回転制御手段Fが設けられている。この回転制御手段Fは、とくに
図4と
図5に示すように、前記支持部材12内に設けられ、取付部材11の両側板11b、11bの間に設けられた受圧部材19に接して設けられた第1ばね受け部41と、リフト部材14の両側板14bの間に設けられた第2リフトシャフト20に接して設けられた第2ばね受け部45と、第1ばね受け部41と第2ばね受け部45の間に弾設された第1弾性部材42を有する。また、回転制御手段Fは、取付部材11の両側板11b、11bの間に設けられた受圧部材19とリフト部材14の両側板14bの間に設けられた第2リフトシャフト20との間に回転制御手段Fが設けられている。本実施例では、さらに弾性部材42の弾力を調整する、バネシート板43とバネ力調節カム板44とばね力調節ネジ46から成る弾力調節手段が設けられている。このように、第1リフトシャフト18はリフト部材14に取り付けられ、受圧部材19は、取付部材11に取り付けられる。開閉支持装置が閉状態から開状態になる場合、第2リフトシャフト20は第2ばね受け部45を押圧し、受圧部材19は第1ばね受け部41により受圧する。
【0028】
第1ばね受け部41は、概略直方体形状に形成された本体には、中央に開口41aを有する有底の第1ばね受け穴41bが形成されている。第1ばね受け穴41bには、第1弾性部材42の一端部が装入される。
【0029】
第1弾性部材42は、小径弾性部材42aと大径弾性部材42bとから成り、第1ばね受け部41及び第2ばね受け部45との間に配置される。つまり、第1ばね受け部41及び第2ばね受け部45の間には、第1弾性部材42が弾設される。また、小径弾性部材42aは大径弾性部材42bの径内に挿入配置される。本実施例では、第1弾性部材42は小径弾性部材42aと大径弾性部材42bとからなると説明したが、それに限定されず、第1弾性部材42は1個でも2個以上でもよく、例えば2個並列、或は重合して設けられてもよい。
【0030】
ばねシート板43は、概略方形の平板形状に形成された本体板部43aと、本体板部43aの前端縁から前方に延びるネジ保持片43bとを有する。ネジ保持片43bには、ばね力調節ネジ46のネジ部46aが挿通され、頭部46bと係合するネジ挿通孔43cが形成されている。ばね力調節カム板44は、略矩形平板形状の本体板部44aと、本体板部44aの前端縁から前方に延びるネジ螺合片44bと、回転制御手段Fの付勢力に沿って高さが変化するカム軌跡を有するカム面に形成されている左摺動面44L2と右摺動面44R2とを有する。第2ばね受け部45は、概略直方体形状に形成された本体45aと、U字形状のU溝部45bと、上壁部45eと、上壁部45eに形成された開口45dと、開口45dの左右に左ガイド片45L及び右ガイド片45Rを有する。
【0031】
図5(a)は実施例における第2ばね受け部を左側内面から見た斜視図、
図5(b)は実施例における第2ばね受け部を右側内面から見た斜視図である。
図5において、第2ばね受け穴45cは、第2ばね受け部45の左右方向中央を通り、Z1Z2軸方向を中心として、左右対称に形成されている。第2ばね受け穴45c内には、内周側壁に左カム部51L、右カム部51Rが前後方向に沿って形成されている。左カム部51Lの左カム面52Lと右カム部51Rの右カム面52Rは、後側から前側に向うに従って下方に広がる傾斜角θの傾斜面に形成されている。
【0032】
ばね力調節カム板44が第2ばね受け部45の第2ばね受け穴45c内に収容された状態で、ネジ螺合片44bは開口45dに差し込まれる。ネジ螺合片44bは,左ガイド片45Lと右ガイド片45Rとにガイドされ、前後方向および上下方向に移動可能となっている。ネジ螺合片44bのネジ孔44cはU溝部45bに臨む。第2ばね受け部45の第2ばね受け穴45cの内周壁面45f、45gは、ばねシート板43の本体板部43aの外形状(左右方向の側辺の外形状を除く)に合致した形状に形成され、ばねシート板43の前後方向移動を規制すると共に、上下方向移動をガイドする。ネジ保持片43bは、開口45dの前端内周壁面45f、45gに当接するように差し込まれる。ばね力調節ネジ46は、第2ばね受け部45のU溝部45bからネジ保持片43bのネジ挿通孔43cを通してばね力調整カム板のネジ螺合片44bに形成したネジ孔44cに螺合する。ネジ挿通孔43cに係合するばね力調節ネジ46の頭部46bがU溝部45b内に上下方向移動可能に位置する。
【0033】
ばね力調節ネジ46をネジ孔44cに対してネジ込み方向に回すと、ばね力調節カム板44が下方(ばね力調節ネジ46の頭部46b側)に向って移動する。その際、ばね力調節カム板44が、左カム板部44L1の左摺動面44Lと右カム板部44R1の右摺動面44Rが第2ばね受け部45の左カム部51Lの左カム面52Lおよび右カム部51Lの右カム面52Rにそれぞれ摺動しながらカム軌跡に沿って後方(第1ばね受部側)に移動するのにしたがって、ばねシート板43も一体に移動することで、小径弾性部材42aと大径弾性部材42bを縮めてばね力を調節する。
【0034】
図6は実施例における開閉支持装置の調整部材を示し、(a)はその平面図、(b)はその右側面図、(c)はその左側面図、(d)はその正面図である。
図6において、調整部材13は、略矩形状の上板13aと、上板13aの左右側端部からそれぞれ上板13aに対して直交する下方向に垂設された両側板13b、13bと、両側板13b、13bの後方の下端の一部を外側へ折り曲げて延設された取付板13c、13cとを有する。
【0035】
上板13aは、前端部に凹部13jが設けられており、凹部13jのスペース内に後述する第1支持部16aが配置される。
【0036】
両側板13b、13bは、上板13aの前端部から前方向に所定の長さで延出しており、延出した前端部の上板13a側の箇所に第1リフトシャフト18が挿通される第1挿通孔13e、13eが設けられるとともに、第1挿通孔13e、13eの下方にシャフト状の第2リフトシャフト20が挿通される第2挿通孔13f、13fが設けられる。両側板13b、13bの第2挿通孔13f、13fに第2リフトシャフト20が挿通されて固定される。尚、この第2リフトシャフト20は、シャフト形状であることを問わない。両側板13b、13bのいずれか一方の側板には、前方下端部に後述する取付部材16cが挿通されるL字状孔13kが設けられており、他方の側板には、L字状孔13kと対向する箇所に凹部13lが設けられると共にその下方に取付部をネジ13n着するための第1取付孔13mが設けられている。
【0037】
第1リフトシャフト18は、支持部材12の第2挿通孔12g、12gと調整部材13の第1挿通孔13f、13fとが軸合わせた状態で、これらの孔に挿通される。このように、調整部材13は、第1リフトシャフト18を介して支持部材12により回転可能に支持される。このように、調整部材13は支持部材12の回転方向とは逆方向へ回転するように軸支される。
【0038】
また、両側板13b、13bは、第1挿通孔13e、13e及び第2挿通孔13f、13fの後方に、リフト部材14と当接する略半月形状の凸部13g、13gが設けられている。両側板13b、13bに凸部13g、13gを設けることにより、調整部材13の第1リフトシャフト18の軸方向(スラスト方向)におけるガタつきを抑制することができる。また、両側板13b、13bは、その下端が後方に行くにしたがって上板13aに近づくように上方傾斜する傾斜部13h、13hが設けられており、傾斜部13h、13hと取付板13c、13cとの間には逆U字状の湾曲凹部13i、13iが設けられている。取付板13c、13cは、略矩形状であり、第2取付孔13d、13dが設けられている。
【0039】
図7は実施例における開閉支持装置のリフト部材を示し、(a)はその平面図、(b)はその右側面図、(c)はその左側面図、(d)はその正面図である。
図7において、リフト部材(以下、ブラケット部材ともいう)14は、略矩形状の上板14aと、上板14aの左右側端部からそれぞれ上板14aに対して直交する下方向に垂設された両側板14b、14bと、両側板14b、14bの下端から外側へ折り曲げて延設された取付板14d、14dとを有する。
【0040】
上板は、前端部に後述する第1支持部16aをネジ着するための第1取付孔14gが設けられている。
【0041】
両側板14b、14bは、前端部の上板14a側の箇所に第1リフトシャフト18が緩く挿通(遊挿)される遊挿孔14e、14eが設けられていると共に、遊挿孔14e、14eの下方に設けられたシャフト状の第2リフトシャフト20が挿通される挿通孔14f、14fが設けられている。両側板14b、14bの挿通孔14f、14fに第2リフトシャフト20が挿通されて固定される。
【0042】
遊挿孔14e、14eは、調整部材13の第1挿通孔13e、13eの孔径よりも大きく、調整部材13の第1挿通孔13e、13eを挿通した第1リフトシャフトを遊挿孔の径方向に移動可能なバカ孔である。尚、本実施例では、遊挿孔14e、14eを略楕円形状のものとして説明するが、それに限定されず、調整部材13の第1挿通孔13e、13eの孔径よりも大きいものであればその他の形状でもよい。
【0043】
第1リフトシャフト18は、リフト部材14の両側板14b、14bの遊挿孔14e、14eに遊挿され、調整部材13の第1挿通孔13e、13e及び支持部材12の第2挿通孔12g、12gに挿通される。第1リフトシャフト18は、ワッシャ18a及びEリング18bを介して、遊挿孔14e、14eに遊挿されている。Eリング18bは、遊挿孔の開口縁と当接して開口を塞ぐことで第1リフトシャフトの脱落を防止する。また、第2リフトシャフト20は、ワッシャ20a及びEリング20bを介して、挿通孔14f、14fに挿通されている。
【0044】
取付板14d、14dは、略矩形状であり、ガイドシャフト15aが挿通される第2取付孔15hと、原稿圧着板に取り付けるための第3取付孔15iが設けられている。開閉支持装置10と原稿圧着板3は、例えば、小ネジ等とリフト部材の第3取付孔14i及び原稿圧着板3の後部のネジ孔とを螺合させることで、固定されている。このように、リフト部材14は支持部材12の回転方向とは逆方向へ回転するように軸支される。
【0045】
次に、加圧手段15及び、増圧手段16について
図1から
図8を参照しながら説明する。
図8は
図2に示す開閉支持装置の閉成状態を示す斜視図のA-A断面図である。加圧手段15は、リフト部材14と調整部材13との間であって第1リフトシャフト18の後方に設けられている。また、加圧手段15は、一端部に雄ネジ部15bを有し他端部にネジ頭を有するガイドシャフト15aと、ガイドシャフト15aを挿通させた第2弾性部材(圧縮コイルスプリング)15dと、雌ネジ部15cから成り、ガイドシャフト15aは、雄ネジ部15b側をリフト部材14の取付孔14h、第2弾性部材15d、調整部材13の取付板13c、13cの順番で挿通させ、調整部材13の取付板13c、13cに用意した雌ネジ部15cにネジ着させて固定することで、調整部材13とリフト部材14とを連結する。また、本実施例では、リフト部材14の取付板14d、14dは調整部材13の取付板13c、13cよりも下方に配置されるとして説明するが、それに限定されず、取付板13c、13c及び取付板14d、14dの位置や形状は適宜変更可能である。
【0046】
このように、開閉支持装置10の左右側端部において、調整部材13とリフト部材14の間に第2弾性部材15dが弾設される。弾設された第2弾性部材15dの調整部材13側は、取付板14d、14dにネジ着されているため固定端となる。したがって、弾設された第2弾性部材15dは、圧縮される場合、リフト部材を下方向に付勢する。尚、ガイドシャフト15aは例示であり、第2弾性部材15dのばね荷重を調整できるように適宜設計変更してもよい。
【0047】
増圧手段16は、リフト部材14と調整部材13との間であって第1リフトシャフト18の前方に設けられている。また、増圧手段16は、4本の圧縮コイルスプリングから成る第3弾性部材16dと、リフト部材の上板の先端部下(内)側にネジ16e着されると共に第3弾性部材16dの一端を支持する第1支持部16aと、調整部材13の両側板13b、13b間を架け渡して取り付けられるL字状断面を有する取付部材16cと、取付部材16cにネジ16f着されると共に第3弾性部材16dの他端を支持する第2支持部16bから成り、リフト部材に取り付けられた第1支持部16a及び取付部材16cを介して調整部材13に取り付けられた第2支持部16bによって第3弾性部材16dが支持されることで、調整部材13とリフト部材14とを連結する。尚、本実施例では、第3弾性部材16dを4本から成るものとして説明するが、それに限定されず、3本以下又は5本以上からなるものとしてもよい。また、本実施例における第1支持部16a、取付部材16c、第2支持部16bの位置や形状は例示であり、適宜変更可能である。このように、リフト部材14と調整部材13との間に第1リフトシャフト18を挟んで一方の側に加圧手段15が設けられ、他方の側に増圧手段16が設けられている。
【0048】
取付部材16cは、調整部材13の一方の側板の凹部13j及び他方の側板のL字状孔13kに挿通され、凹部13jが設けられた側板の下端部に設けられた第1取付孔13mにネジ13n着される。このように、開閉支持装置10の前端部において、調整部材13とリフト部材14の間に第3弾性部材16dが弾設される。弾設された第3弾性部材16dは、その調整部材13側が取付部材16cを介して調整部材13にネジ着されているため固定端となる。したがって、弾設された第3弾性部材16dは、圧縮される場合、受圧部材19を支点軸にしてリフト部材を上方向、すなわち時計方向に付勢する。
【0049】
次に、本実施例における開閉支持装置10の動作について、
図1から
図10を参照しながら説明する。まず、開閉支持装置10の閉成時の動作について説明する。本実施例では、閉成状態において、受圧部材19を支点軸にして、増圧手段16の第3弾性部材16dがリフト部材を上方向に付勢することで、加圧手段15の第2弾性部材15dがリフト部材を下方向に更に付勢する付勢力が発生する。すなわち、リフト部材は、常に、受圧部材19を支点軸にして、第2弾性部材15d及び第3弾性部材16dにより時計方向に付勢されることで、開閉支持装置10が加圧手段15のみを有する場合よりも、第2弾性部材15dがより大きく圧縮され、その結果リフト部材14を下方向に付勢する付勢力が増大する。
【0050】
図10は実施例における開閉支持装置の閉成状態における高さ調整を説明する図である。
図10(a)はリフト部材が第2弾性部材15d及び第3弾性部材16dにより付勢されていない状態を示し、
図10(b)はリフト部材が第2弾性部材15d及び第3弾性部材16dにより付勢されている状態を示す。
【0051】
本実施例における開閉支持装置10は、リフト部材が、常に、受圧部材19を支点軸にして、第2弾性部材15d及び第3弾性部材16dにより時計方向に付勢されることで、
図10(a)に示す第2弾性部材15d及び第3弾性部材16dにより付勢されていない場合よりも、リフト部材が下方向(装置本体2側)にα移動する(
図9(b))。
【0052】
このように、本実施例での開閉支持装置10では、閉成状態において、原稿圧着板3の重量(自重)に加えて、増圧手段16によって、加圧手段15により原稿圧着板3が取り付けられるリフト部材が下方(装置本体2側)に移動するように加えられる圧力を増大させることにより、原稿圧着板3の後部がコンタクトガラス4の後部側、即ち、開閉支持装置10側へ押し付けられることになる。したがって、原稿圧着板3は閉成時にその後部側から閉じられるので、原稿圧着板3とコンタクトガラス4の後部側に隙間ができることを防止することができるものであり、この作業を自動的できることになる。また、本実施例では、ADFの自重により生じる原稿圧着板の撓みや第1弾性部材の弾力性の劣化等の経時的変化(例えば事務機器が置かれた環境や原稿圧着板の開閉頻度等に起因する変化)の影響を受けない。また、本実施例では、開閉支持装置10が原稿圧着板3に取り付けられた場合であっても、加圧手段15と増圧手段16が、外(装置本体2)側から視認でき、作業員によるメンテナンスを容易に行うことができる。
【0053】
次に、開閉支持装置10の開成時の動作について説明する。
図10は実施例における開閉支持装置10の開成状態における高さ調整を説明する図である。
図10において、開成状態では、原稿圧着板3の重量(自重)により、第1リフトシャフト18がリフト部材14に設けられた遊挿孔14e、14e内を下方(装置本体2側)へ移動し、遊挿孔の内周面と第1リフトシャフトとが当接することで、リフト部材の回転が拘束され、開成角度を保持することができる。また、原稿圧着板3の回転トルクが減殺されるため、リフト部材14の取付板14d、14dと調整部材13の取付板13c、13cとの間の間隙が広がることになる。
本発明は、以上のように構成したので、原稿圧着板を閉じた際に、当該原稿圧着板とコンタクトガラス面との間に隙間が生じること自動的に防止でき、作業員による調整手間を省略できる開閉支持装置並びにこの開閉支持装置を用いた事務機器を提供できたものである。
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明は、底板とこの底板から立ち上げた両側板を有し、事務機器の装置本体側に取り付けられる取付部材と、上板とこの上板から垂設した両側板とこの両側板から内側に向けて設けた抱持片を有し、前記両側板を前記取付部材の前記両側板へメインシャフトを介して回転可能に軸支される支持部材と、上板とこの上板から垂設した両側板とこの両側板から外側に向けて設けられた原稿圧着板の取付板とを有し、前記支持部材の両側板の自由端側に設けた内径の大きな遊挿孔に緩く挿通された第1リフトシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支されるリフト部材と、上板とこの上板から垂設した両側板とを有し、前記支持部材と前記リフト部材との間に、前記第1リフトシャフトを介して前記支持部材とは逆方向へ回転可能に軸支される調整部材と、前記リフト部材と前記調整部材との間に前記第1リフトシャフトを挟んで一方の側に設けた加圧手段及び他方の側に設けられた増圧手段と、前記取付部材の前記両側板の間に設けられた受圧部材と前記リフト部材の前記両側板の間に設けられた第2リフトシャフトとの間に設けられた前記支持部材の回転制御手段と、を有し、前記加圧手段は、前記原稿圧着板をコンタクトガラス上へ閉じる際に前記リフト部材を下方へ加圧し、前記増圧手段は、前記加圧手段の加圧力を増圧させるように成したことを特徴とする。