(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127115
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23B 60/02 20060101AFI20240912BHJP
F24B 1/197 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
F23B60/02
F24B1/197
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036017
(22)【出願日】2023-03-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】519026283
【氏名又は名称】株式会社AIDテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100192496
【弁理士】
【氏名又は名称】西平 守秀
(72)【発明者】
【氏名】安里 興栄
(72)【発明者】
【氏名】金城 正勝
【テーマコード(参考)】
3K046
【Fターム(参考)】
3K046AA05
3K046AA11
3K046AA17
3K046AC01
3K046AD01
3K046BA02
3K046BA04
3K046BA05
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でありながら、固形燃料の燃焼過程で固形燃料をその形状に応じて適宜支持しながら複数段階で時間をかけて燃焼させて完全燃焼させることができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】本実施形態の燃料装置1の燃料支持部20は、水平方向に沿って互いに離間して並設される複数の第1の支持面部22と、第1の空気路A1の流れ方向から視て複数の第1の支持面部22の間、かつ第1の空気路A1の流れ方向に沿って複数の第1の支持面部22よりもその下側に配設される少なくとも1つの第2の支持面部24と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力方向に沿って延在して配設される第1の空気路と、
前記第1の空気路に外部からの空気を供給する第2の空気路と、
前記第1の空気路の内部に配設され、前記第1の空気路の流れ方向に対し交差する第1の方向に沿って延設され、固形燃料をその上側で支持する燃料支持部と、を含み、
前記燃料支持部は、
前記第1の方向に沿って互いに離間して並設される複数の第1の支持面部と、
前記第1の空気路の前記流れ方向から視て前記複数の第1の支持面部の間、かつ前記第1の空気路の前記流れ方向に沿って前記複数の第1の支持面部よりもその下側に配設される少なくとも1つの第2の支持面部と、を有する、
燃焼装置。
【請求項2】
前記複数の第1の支持面部および前記複数の第2の支持面部のそれぞれは、長板状に延在して形成され、その表面およびその裏面を貫通する複数の通気穴が形成される、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記複数の第1の支持面部の前記通気穴は、前記複数の第2の支持面部の前記通気穴よりも大きく形成される、
請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記燃料支持部は、前記第1の空気路の前記流れ方向から視て隣接する前記第1の支持面部および前記第2の支持面部のそれぞれ同士を連結する複数の連結部をさらに有する、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記複数の連結部のそれぞれは、長板状に延在して形成され、複数の通気穴が形成される、
請求項4に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記複数の連結部のそれぞれは、前記第1の空気路の流れ方向で重力方向上側から重力方向下側に視て少なくともその一部が外方に臨むように傾斜して配設される、
請求項5に記載の燃焼装置。
【請求項7】
隣接する前記複数の第1の支持面部の離間距離は、燃焼前の初期状態の前記固形燃料がその間を通過不可能に設定される、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項8】
平板部材がその延在方向に沿って波状に形成され、
その複数の山部の上面部のそれぞれが前記第1の支持面部とされ、
その複数の谷部の上面部のそれぞれが前記第2の支持面部とされ、
隣接する前記山部および前記谷部を連結する部分のそれぞれが前記連結部とされ、
前記複数の第1の支持面部と、前記複数の第2の支持面部と、前記複数の連結部と、が前記平板部材によって一体に形成される、
請求項4に記載の燃焼装置。
【請求項9】
重力方向に沿って延在して配設される第1の空気路と、
前記第1の空気路に外部からの空気を供給する第2の空気路と、
前記第1の空気路の内部に配設され、固形燃料をその上側で支持する燃料支持部と、を含み、
前記燃料支持部は、前記第1の空気路の流れ方向に対し交差する第1の方向に沿ってそれぞれ延在する複数の網状体を有し、
前記複数の網状体は、網本体部を含み、
前記複数の網状体の網本体部のそれぞれは、前記第1の空気路の前記流れ方向に沿って離間して配設され、
前記複数の網状体の網本体部のそれぞれの網目の大きさは、前記第1の空気路の前記流れ方向においてその下流側に配置されるものほど順に小さく設定される、
燃焼装置。
【請求項10】
前記複数の網状体のうち最上位に配置される前記網状体の網目の大きさは、燃焼前の初期状態の前記固形燃料がその網の間を通過不可能に設定される、
請求項9に記載の燃焼装置。
【請求項11】
前記固形燃料は、球状に形成される、
請求項7または10に記載の燃焼装置。
【請求項12】
前記第1の空気路および前記第2の空気路は、前記第1の方向に沿って隣接または近接して配置される、
請求項1または9に記載の燃焼装置。
【請求項13】
前記第1の空気路および前記第2の空気路は、筒状に形成され、
前記第1の空気路の径は、前記第2の空気路よりも小さく形成され、
前記第1の空気路は、前記第2の空気路の内側に配設される、
請求項1または9に記載の燃焼装置。
【請求項14】
前記固形燃料を前記燃料支持部に向けて投下する投下装置をさらに含み、
前記投下装置は、前記固形燃料が完全燃焼する時間よりも短いインターバルで前記固形燃料を次々に投下して燃料補充する、
請求項1または9に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラーまたはコンロなどに適用または搭載される燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭などの固形燃料を燃焼して熱エネルギーを発生させる従来の燃料装置として、その固形燃料を支持する支持装置を有するものが知られる(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の支持装置は、複数の部材を有して構成され、その部材の少なくとも一部が、所定の方向(以下、「第1の方向」ともいう)から視てU字状、V字状、W字状、鋸刃状または波形状に形成される。
【0004】
また、その複数の部材は、前述の第1の方向に対して直交する第2の方向から視たときに直線状に形成される。また、その複数の部材は、第1の方向から視るときにその部材のそれぞれの、前述のU字状、V字状、W字状、鋸刃状または波形状の形状が略重畳して前述の第1の方向に互いに離間して配置される。また、支持装置は、第1の方向および第2の方向に対して直交する第3の方向の一方側を上側とし、その複数の部材の上に固形燃料が載置される。
【0005】
そのように構成されることで、モータなどの駆動力により作動する燃料搬送装置を用いることなく、固形燃料を少しずつ燃焼させることが可能になるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載の支持装置は、その部材を前述の第1の方向から視てU字状、V字状、W字状、鋸刃状または波形状に形成させる必要があり、簡素化の余地があった。また、前記特許文献1に記載の支持装置は、固形燃料の燃焼過程で固形燃料をその形状に応じて適宜支持しながら複数段階で時間をかけて燃焼させて完全燃焼させる点で、改善の余地があったといえる。
【0008】
本発明の目的は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造でありながら、固形燃料の燃焼過程で固形燃料をその形状に応じて適宜支持しながら複数段階で時間をかけて燃焼させて完全燃焼させることができる燃焼装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前述した目的は、後記の構成により達成される。
[1]
重力方向に沿って延在して配設される第1の空気路と、
前記第1の空気路に外部からの空気を供給する第2の空気路と、
前記第1の空気路の内部に配設され、前記第1の空気路の流れ方向に対し交差する第1の方向に沿って延設され、固形燃料をその上側で支持する燃料支持部と、を含み、
前記燃料支持部は、
前記第1の方向に沿って互いに離間して並設される複数の第1の支持面部と、
前記第1の空気路の前記流れ方向から視て前記複数の第1の支持面部の間、かつ前記第1の空気路の前記流れ方向に沿って前記複数の第1の支持面部よりもその下側に配設される少なくとも1つの第2の支持面部と、を有する、
燃焼装置。
[2]
前記複数の第1の支持面部および前記複数の第2の支持面部のそれぞれは、長板状に延在して形成され、その表面およびその裏面を貫通する複数の通気穴が形成される、
[1]に記載の燃焼装置。
[3]
前記複数の第1の支持面部の前記通気穴は、前記複数の第2の支持面部の前記通気穴よりも大きく形成される、
請求項2に記載の燃焼装置。
[4]
前記燃料支持部は、前記第1の空気路の前記流れ方向から視て隣接する前記第1の支持面部および前記第2の支持面部のそれぞれ同士を連結する複数の連結部をさらに有する、
[1]に記載の燃焼装置。
[5]
前記複数の連結部のそれぞれは、長板状に延在して形成され、複数の通気穴が形成される、
[4]に記載の燃焼装置。
[6]
前記複数の連結部のそれぞれは、前記第1の空気路の流れ方向で重力方向上側から重力方向下側に視て少なくともその一部が外方に臨むように傾斜して配設される、
[5]に記載の燃焼装置。
[7]
隣接する前記複数の第1の支持面部の離間距離は、燃焼前の初期状態の前記固形燃料がその間を通過不可能に設定される、
[1]に記載の燃焼装置。
[8]
平板部材がその延在方向に沿って波状に形成され、
その複数の山部の上面部のそれぞれが前記第1の支持面部とされ、
その複数の谷部の上面部のそれぞれが前記第2の支持面部とされ、
隣接する前記山部および前記谷部を連結する部分のそれぞれが前記連結部とされ、
前記複数の第1の支持面部と、前記複数の第2の支持面部と、前記複数の連結部と、が前記平板部材によって一体に形成される、
[4]に記載の燃焼装置。
[9]
重力方向に沿って延在して配設される第1の空気路と、
前記第1の空気路に外部からの空気を供給する第2の空気路と、
前記第1の空気路の内部に配設され、固形燃料をその上側で支持する燃料支持部と、を含み、
前記燃料支持部は、前記第1の空気路の流れ方向に対し交差する第1の方向に沿ってそれぞれ延在する複数の網状体を有し、
前記複数の網状体は、網本体部を含み、
前記複数の網状体の網本体部のそれぞれは、前記第1の空気路の前記流れ方向に沿って離間して配設され、
前記複数の網状体の網本体部のそれぞれの網目の大きさは、前記第1の空気路の前記流れ方向においてその下流側に配置されるものほど順に小さく設定される、
燃焼装置。
[10]
前記複数の網状体のうち最上位に配置される前記網状体の網目の大きさは、燃焼前の初期状態の前記固形燃料がその網の間を通過不可能に設定される、
[9]に記載の燃焼装置。
[11]
前記固形燃料は、球状に形成される、
[7]または[10]に記載の燃焼装置。
[12]
前記第1の空気路および前記第2の空気路は、前記第1の方向に沿って隣接または近接して配置される、
[1]または[9]に記載の燃焼装置。
[13]
前記第1の空気路および前記第2の空気路は、筒状に形成され、
前記第1の空気路の径は、前記第2の空気路よりも小さく形成され、
前記第1の空気路は、前記第2の空気路の内側に配設される、
[1]または[9]に記載の燃焼装置。
[14]
前記固形燃料を前記燃料支持部に向けて投下する投下装置をさらに含み、
前記投下装置は、前記固形燃料が完全燃焼する時間よりも短いインターバルで前記固形燃料を次々に投下して燃料補充する、
[1]または[9]に記載の燃焼装置。
【0010】
前記[1]の構成によれば、燃料支持部において、複数の第1の支持面部、およびその間隙にかつその下方に配置される複数の第2の支持面部が設けられるため、固形燃料はまずは第1の支持面部に載置された状態で燃焼する。そして、燃焼が進行するに従って固形燃料は縮小し、その間隙で落下して次に第2の支持面部によって支持されて燃焼する。これにより、固形燃料の燃焼過程で固形燃料をその形状に応じて適宜支持することができる。従って、固形燃料を複数段階で時間をかけながら燃焼させて、その結果、固形燃料を完全燃焼させることができ、エネルギーの損失を抑制することができる。固形燃料からエネルギーを効率良くかつ十分に発生させることができる。
前記[2]の構成によれば、第1の支持面部および第2の支持面部のそれぞれには通気穴が形成されるため、その上面のそれぞれで支持される固形燃料に適切に空気を供給して効率的な燃焼を図ることができる。
前記[3]の構成によれば、第1の支持面部の通気穴は、第2の支持面部よりも大きく形成される。これにより、第1の支持面部で支持される状態、つまり、初期の燃焼過程では比較的大量の空気が供給される。そして、固形燃料は、燃焼が進行して縮小し間隙から落下して第2の支持面部によって支持され、このときの固形燃料の状態では、比較的小量の空気が供給され、その供給量が制限される。従って、燃焼過程の所要時間をさらに延長させてより効率的な完全燃焼を図ることができる。
前記[4]の構成のように、第1の支持面部および第2の支持面部を連結する連結部を設けるとよい。この場合、一体的に形成して簡易な構造とすることができる。また、固形燃料がその燃焼過程で第1の支持面部および第2の支持面部の間隙から零れ出ることを防止して、第1の支持面部より確実に第2の支持面部へ案内することができる。
前記[5]の構成によれば、連結部にも複数の通気穴が形成される。これにより、その燃焼過程で固形燃料にさらに適度な空気を供給してより効率的な完全燃焼または効率的な燃焼を図ることができる。
前記[6]の構成によれば、所定の1つの第2の支持面部、およびこの第2の支持面部に連結する一対の連結部により略V字状の溝空間が形成されることになる。これにより、固形燃料の燃焼過程でその固形燃料が徐々(経時的)に縮小して第1の支持面部から第2の支持面部に向けて落下する際、その固形燃料はその形状に応じてその第2の支持面部に適切に案内されたり、あるいはその一対の連結部によって挟持されたりする。このようにして、固形燃料の燃焼の効率化を図ることができる。
前記[7]の構成によれば、燃焼初期の段階で固形燃料は少なくとも隣接する第1の支持面部によって支持されて燃焼し、燃焼が進行すると固形燃料は縮小して第2の支持面部に向けて落下し、その次は第2の支持面部によって支持されて燃焼する。これにより、固形燃料の燃焼過程で固形燃料をその形状に応じて適宜支持しながら複数段階で時間をかけて燃焼させてより確実に完全燃焼させることができる。
前記[8]の構成によれば、第1支持面部、第2の支持面部、および連結部を平板部材によって一体にたとえばプレス加工などによって成型することができる。これにより、簡易な構造でありながらも、燃焼効率を高めることができる。
前記[9]の構成によれば、燃料支持部において、複数の網状体の網本体部のそれぞれの網目の大きさは、第1の空気路の流れ方向においてその下流側に配置されるものほど順に小さく設定されるため、固形燃料はまずは最上位の網状体に載置された状態で燃焼する。そして、燃焼が進行するに従って固形燃料は縮小し、その網の間隙から落下して次にその1つ下位の網状体によって支持されて燃焼する。これにより、燃料支持部は固形燃料の燃焼過程で固形燃料をその形状に応じて適宜支持する。従って、固形燃料を複数段階で時間をかけながら燃焼させて、その結果、固形燃料を完全燃焼させることができ、エネルギーの損失を抑制することができる。固形燃料からエネルギーを効率良くかつ十分に発生させることができる。
前記[10]の構成によれば、燃焼初期の段階で固形燃料は最上位の網状体によって支持されて燃焼し、燃焼が進行すると固形燃料は縮小してその下位の網状体に向けてその最上位の網の間隙から落下し、その次はその下位の網状体よって支持されて燃焼する。これにより、固形燃料の燃焼過程で固形燃料をその形状に応じて適宜支持しながら複数段階で時間をかけて燃焼させてより確実に完全燃焼させることができる。
前記[11]の構成によれば、固形燃料は球状に形成されるとよい。この場合、燃焼過程でその表面部分で一様に形状が小さくなり(縮径して)、より一層、燃焼効率を高めることができる。
前記[12]の構成によれば、第1の空気路および第2の空気路は、第1の方向に沿って隣接または近接して配置される。ここで、第1の空気路には燃料支持部が配置されており、その燃料支持部で固形燃料が燃焼することで第1の空気路の構造体は温度上昇される。そして、第1の空気路に隣接または近接する第2の空気路はその温度上昇に伴って、その熱エネルギーが第1の空気路の構造体から第2の空気路の構造体に伝導する。その結果、第2の空気路を通過する空気は暖められる。第2の空気路はその温められた空気を第1の空気路に供給し、最終的に固形燃料はその温められた空気で燃焼するため、エネルギーの損失を抑制してより一層効率的な燃焼を図ることができる。
前記[13]の構成によれば、第2の空気路の内側に第1の空気路が配置される。これにより、第2の空気路に供給される第1の空気路の空気を効率的に暖めて、エネルギーの損失をより一層抑制することができる。
前記[14]の構成によれば、燃料支持部に載置された固形燃料が完全燃焼する前に、新規(燃焼前の初期の状態)の固形燃料が供給される。これにより、より一層効率的な燃焼を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構造でありながら、固形燃料の燃焼過程で固形燃料をその形状に応じて適宜支持しながら複数段階で時間をかけて燃焼させて完全燃焼させることができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細はさらに明確化されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る第1実施形態のコンロの基本構造の一例を説明する斜視図
【
図2】
図1に示すコンロの構造の一例を説明する分解斜視図
【
図3】
図1に示す燃料支持部の構造の一例を説明する斜視図
【
図4】
図1に示す燃料支持部の構造の一例を説明する上面図
【
図5】
図1に示す燃料支持部の構造の一例を説明する側面図
【
図6】本発明に係る第2実施形態のコンロの基本構造の一例を説明する断面図
【
図7】
図6に示すコンロの概略構成の一例を説明する上面図
【
図8】
図6に示す燃料支持部の構造の一例を説明する断面模式図
【
図9】
図8に示す燃料支持部の第1の網状体の構造の一例を説明する上面模式図
【
図10】
図9に示す第1の網状体の構造の一例を説明する側断面図
【
図11】
図8に示す燃料支持部の第2の網状体の構造の一例を説明する上面模式図
【
図12】
図11に示す第1の網状体の構造の一例を説明する側断面図
【
図13】
図8に示す燃料支持部の第3の網状体の構造の一例を説明する上面模式図
【
図14】
図13に示す第3の網状体の構造の一例を説明する側断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を適宜参照しながら、本発明に係る燃焼装置を具体的に開示する1つまたは複数の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。たとえばすでによく知られた事項の詳細説明または実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。また、添付図面のそれぞれは符号の向きに従って視るものとする。
【0016】
また、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0017】
たとえば、以下の実施形態では燃焼装置が搭載されるものの一例としてバーベキューコンロに本発明を適用する場合についてこれに限定されない。固形燃料を燃焼させるものであればよく、たとえば一般的なコンロ(焜炉)、ボイラー、焼却炉、医療用焼却炉、ストーブ(薪ストーブを含む)、加温器、または蒸気発生装置などの固形燃料に対する燃焼機能を有する装置についても本発明を適用することが可能である。
【0018】
<・用語集>
後記に説明する用語は、以下に定義された意味を有するものとする。
【0019】
「含む(または含んでいる)」の用語は、特許専門用語において標準であるその定義を意味し、「備える」、「有する」または「含有する」と略同義であるオープンエンド型の用語である。「含む」、「備える」、「有する」および「含有する」、ならびにこれらの変形は、一般的に使用されるオープンエンド型の用語であるが、本発明は、「本質的に~からなる」などの、より狭義の用語を使用して適切に記載することも可能である。これは、本発明のレスピレータがその意図される機能を果たす際の性能に対して悪影響を及ぼすであろう、物体または要素のみを除外するという点で、オープンエンド型の用語に準ずる用語である。
【0020】
「縮小する」または「小さくなる」の用語は、その対象物がその形状をそのまま小さくなる状態だけではなく、分離したり散けたりしたりするなどして複数個となって元の形状よりも小さくなることも含んで意味するものとする。
【0021】
<第1実施形態>
図1~
図5、および
図15に基づいて、本発明に係る第1実施形態について説明する。
【0022】
[・本実施形態で使用される固形燃料について]
図15を参照しながら、本実施形態で使用される固形燃料SFの一例について説明する。
図15は、固形燃料の一例を説明する写真である。
【0023】
図15に示すように、本実施形態で使用される固形燃料SFは、球状に形成される(
図6または
図15参照)。その原材料は雑草(たとえばギンネム(マメ科ネムノキ亜科の落葉低木)、ヒマワリなどの草木)などからなる植物性炭化物である。固形燃料SFは、その植物性炭化物を(微細)粉末状にし、その粉末に対し粘着剤を適宜混合して成型するものである。
なお、粘着剤としては自然由来が好ましく、たとえば穀物のデンプンなどが例示される。また、前述のような固形燃料に限定されない。固形燃料として炭または薪などの燃料にも本発明を適用することは可能である。
【0024】
[・コンロの基本構成について]
図1および
図2を参照しながら、本実施形態に係るバーベキューコンロ1(以下「コンロ」ともいう:燃焼装置の一例)の基本構成の一例について説明する。
図1は、本実施形態のコンロ1の基本構造の一例を説明する斜視図である。
図2は、
図1に示すコンロ1の構造の一例を説明する分解斜視図である。
【0025】
図1および
図2に示すように、本実施形態のコンロ1は、図中上から順に列挙すると、対象物支持部10と、燃料支持部60(後述参照)と、第1の筐体30と、第2の筐体40と、支持容器50と、投下装置(不図示)と、を含んで構成される。
【0026】
対象物支持部10は、たとえば、燃焼対象物として肉または野菜などの食材が載置される。対象物支持部10は、一対の円弧状枠部11と、複数のロッド部12と、を有する。
【0027】
一対の円弧状枠部11は、金属製の棒部材は円弧状に湾曲加工してそれぞれ形成され、その凹部が互いに対向して離間配置される。複数のロッド部12は、その一対の円弧状枠部11の間隙においてその円弧状枠部11を橋架して配設される。また、複数のロッド部12は、互いに並行して配設され、その端部は円弧状枠部11に溶着して固定される。
【0028】
第1の筐体30は、金属製の円錐部材であり、上端部および下端部はともに開口して形成される。
【0029】
第1の筐体30の上周縁部31は、第1の筐体30の下周縁部33よりも大径に形成される。つまり、第1の筐体30は、上側に行くに従って拡径して形成される。第1の筐体30の上周縁部31には径方向外方に延出される第1の鍔部32が配設される。第1の筐体30の下周縁部33には、径方向内方に延出される第2の鍔部34が配設される。後述する燃料支持部20は、その第2の鍔部34の内端面に係合して支持される。
【0030】
また、本実施形態では、第1の筐体30の内周面で区画される空間が、第1の空気路A1とされる。第1の空気路A1は、重力方向(鉛直方向:図中上下方向)に沿って延在して配設される。
【0031】
第2の筐体40は、金属製のお椀状部材からなり有底に形成される。
【0032】
第2の筐体40の上周縁部41には、径方向外方に延出される第3の鍔部42が配設される。第2の筐体40の第3の鍔部42の外周縁には、断面視で略逆U字状の係合湾曲部43が設けられる。結合湾曲部の内側には係合溝44が形成されることになり、その係合溝44が後述する支持容器50の上周縁に係合する(
図6参照)。
【0033】
第2の筐体40の側周壁の内周面には、3つの係止片47が設けられる。3つの係止片47は、周方向に沿って略等間隔に離間配置される。
【0034】
係止片47のそれぞれは、略U字状に形成され、一対の爪部48と、湾曲連結部49と、を有する。湾曲連結部49は一対の爪部48の基端部同士を連結する。一対の爪部48のうち径方向外方の爪部48は、前述の側周壁の内周面にリペット止めなどによって固着され、その径方向内方の爪部48は、その先端が自由端とされる。
【0035】
第2の筐体40は、第1の筐体30に挿入されて取り付けられる際、第1の筐体30の第1の鍔部32の内端面および側周壁の外周面との境界周縁に係合して第1の筐体30を支持する。
【0036】
その支持状態で、第1の筐体30および第2の筐体40は、それぞれの上周縁部31,41が略同じ高さに配置される。また、係止片47の支持により、第1の筐体30の上周縁部31および第2の筐体40の上周縁部31で画成される間隙が開口して設けられることになる。この間隙が外部からの空気を取り込む吸気口として機能する。
【0037】
この間隙から取り込まれる空気は、第1の筐体30の周壁部および第2の筐体40の周壁部の間を通過し、第2の筐体40の底壁に衝突する。そして、その衝突に伴って空気は第2の筐体40の底壁で跳ね返って逆流し、結果的に第1の筐体30の下周縁部33の開口に突入する。つまり、外部から取り込まれる空気は、第2の空気路A2を経て第1の空気路A1に入り込む。第2の空気路A2は、第1の空気路A1に外部からの空気を供給する機能を有する。
【0038】
そのようして、本実施形態では、第1の空気路A1および第2の空気路A2は筒状に形成される。第1の空気路A1の径は、第2の空気路A2よりも小さく形成される。そして、第1の空気路A1は、第2の空気路A2の内側に配設される。換言すれば、本実施形態では、第1の空気路A1および第2の空気路A2は、水平方向(第1の方向の一例)に沿って隣接または近接して配置される。
【0039】
支持容器50は、金属製のバケツ状部材(たとえばペール缶など)からなり有底に形成される。また、支持容器50は、対象物支持部10と、燃料支持部20と、第1の筐体30と、第2の筐体40と、の組立体を全体的に収容して支持する。また、支持容器50は、この組立体を収容する際、第2の筐体40および支持容器50の底壁の間には十分な収納空間が形成される。この収納空間には、コンロ1の使用前において固形燃料SFなどを収容することが可能である(
図6参照)。
なお、支持容器50の周壁部には取っ手51が取り付けられ、使用者が持ち運び容易とされる。
【0040】
投下装置(不図示)は、固形燃料SFを燃料支持部20に向けて投下するための装置である。投下装置は、制御部(不図示)と、駆動部(不図示)と、を含んで構成される。
【0041】
制御部は、たとえば複数の半導体から構成されるマイコンでありタイマ回路(不図示)を有する。制御部は、そのタイマに従って所定の時刻に駆動部に指示し駆動部を駆動制御する。
【0042】
駆動部は、たとえばアームなどのアクチュエータを有し、所定のタンクなどに備蓄される固形燃料SFを所定量で燃料支持部20に向けて投下することが可能に構成される。そのように構成されることで、投下装置は、固形燃料SFが完全燃焼する時間よりも短いインターバルで固形燃料SFを次々に投下して燃料補充することが可能となる。
【0043】
[・燃料支持部の構成について]
図3~
図5を参照しながら、本実施形態の燃料支持部20の構成の一例について説明する。
図3は、
図1に示す燃料支持部20の構造の一例を説明する斜視図である。
図4は、
図1に示す燃料支持部20の構造の一例を説明する上面図である。
図5は、
図1に示す燃料支持部20の構造の一例を説明する側面図である。
【0044】
図3~
図5に示すように、燃料支持部20は、金属製の平板部材がその延在方向に沿って波状に形成される。それにより、燃料支持部20は、複数の山部21と、複数の谷部23と、隣接する山部21および谷部23を連結する部分25と、を有して形成される。
【0045】
本実施形態では、その複数の山部21の上面部のそれぞれが第1の支持面部22とされる。その複数の谷部23の上面部のそれぞれが第2の支持面部24とされる。また、前述の、隣接する山部21および谷部23を連結する部分25は、第1の空気路A1の流れ方向から視て隣接する第1の支持面部22および第2の支持面部24のそれぞれ同士を連結する連結部26とされる。複数の第1の支持面部22と、複数の第2の支持面部24と、複数の連結部26と、が前述の平板部材によってたとえばプレス加工などによって一体に形成される。
【0046】
つまり、複数の第1の支持面部22のそれぞれは、長板状に延在して形成されており、水平方向(第1の方向の一例)に沿って互いに離間して並設される。複数の第2の支持面部24のそれぞれは、長板状に延在して形成されており、前述の第1の空気路A1の流れ方向(換言すれば、重力方向(鉛直方向))から視て複数の第1の支持面部22の間、かつ前述の第1の空気路A1の流れ方向に沿って複数の第1の支持面部22よりもその下側に配設される。連結部26も同様に、長板状に延在して形成される。
【0047】
そして、複数の連結部26のそれぞれは、第1の空気路A1の流れ方向で重力方向上側から重力方向下側に視て外方に臨むように傾斜して配設される。すなわち、複数の連結部26は傾斜面を有して形成される。また、隣接する複数の第1の支持面部22の離間距離は、燃焼前の初期状態の固形燃料SFがその間を通過不可能に設定される。
なお、第1の支持面部22のそれぞれは、第1の空気路A1の流れ方向(重力方向:鉛直方向)から視て互いに略同じ高さに配設される。第2の支持面部24のそれぞれも同様に重力方向から視て互いに略同じ高さに配設される。
【0048】
第1の支持面部22、第2の支持面部24および連結部26のそれぞれには、その表面およびその裏面を貫通する複数の通気穴H1,H2,H3が形成される。第1の支持面部22の通気穴H1のそれぞれは互いに略同じ大きさに形成される。第2の支持面部24の通気穴H2のそれぞれも同様に互いに略同じ大きさに形成される。連結部26の通気穴H3のそれぞれも同様に互いに略同じ大きさに形成される。
【0049】
また、第1の支持面部22の通気穴H1のそれぞれは、その開口面積において複数の第2の支持面部24の通気穴H2よりも大きく形成される。また、連結部26の通気穴H3のそれぞれは、その大きさで第1の支持面部22の通気穴H1よりも小さく、かつ第2の支持面部24の通気穴H2よりも大きく形成される。
【0050】
[・本実施形態の特徴および利点について]
以上説明したように本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、重力方向に沿って延在して配設される第1の空気路A1と、第1の空気路A1に外部からの空気を供給する第2の空気路A2と、第1の空気路A1の内部に配設され、第1の空気路A1の流れ方向に対し交差する水平方向(第1の方向の一例)に沿って延設され、固形燃料SFをその上側で支持する燃料支持部20と、を含む。燃料支持部20は、水平方向に沿って互いに離間して並設される複数の第1の支持面部22と、第1の空気路A1の流れ方向から視て複数の第1の支持面部22の間、かつ第1の空気路A1の流れ方向に沿って複数の第1の支持面部22よりもその下側に配設される少なくとも1つの第2の支持面部24と、を有する。
【0051】
このため、燃料支持部20において、複数の第1の支持面部22、およびその間隙にかつその下方に配置される複数の第2の支持面部24が設けられるため、固形燃料SFはまずは第1の支持面部22に載置された状態で燃焼する。そして、燃焼が進行するに従って固形燃料SFは縮小し、その間隙で落下して次に第2の支持面部24によって支持されて燃焼する。これにより、固形燃料SFの燃焼過程で固形燃料SFをその形状に応じて適宜支持することができる。従って、固形燃料SFを複数段階で時間をかけながら燃焼させて、その結果、固形燃料SFを完全燃焼させることができ、エネルギーの損失を抑制することができる。固形燃料SFからエネルギーを効率良くかつ十分に発生させることができる。
【0052】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、複数の第1の支持面部22および複数の第2の支持面部24のそれぞれは、長板状に延在して形成され、その表面およびその裏面を貫通する複数の通気穴H1,H2が形成される。
【0053】
このため、第1の支持面部22および第2の支持面部24のそれぞれには通気穴H1,H2が形成されるため、その上面のそれぞれで支持される固形燃料SFに適切に空気を供給して効率的な燃焼を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、複数の第1の支持面部22の通気穴H1は、複数の第2の支持面部24の通気穴H2よりも大きく形成される。
【0055】
このため、第1の支持面部22の通気穴H1は、第2の支持面部24よりも大きく形成される。これにより、第1の支持面部22で支持される状態、つまり、初期の燃焼過程では比較的大量の空気が供給される。そして、固形燃料SFは、燃焼が進行して縮小し間隙から落下して第2の支持面部24によって支持され、このときの固形燃料SFの状態では、比較的小量の空気が供給され、その供給量が制限される。従って、燃焼過程の所要時間をさらに延長させてより効率的な完全燃焼を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、燃料支持部20は、第1の空気路A1の流れ方向から視て隣接する第1の支持面部22および第2の支持面部24のそれぞれ同士を連結する複数の連結部26をさらに有する。
【0057】
すなわち、第1の支持面部22および第2の支持面部24を連結する連結部26を設けるとよい。この場合、燃料支持部20を一体的に形成して簡易な構造とすることができる。また、固形燃料SFがその燃焼過程で第1の支持面部22および第2の支持面部24の間隙から零れ出ることを防止して、第1の支持面部22より確実に第2の支持面部24へ案内することができる。
【0058】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、複数の連結部26のそれぞれは、長板状に延在して形成され、複数の通気穴H3が形成される。
【0059】
このため、連結部26にも複数の通気穴H3が形成される。これにより、その燃焼過程で固形燃料SFにさらに適度な空気を供給してより効率的な完全燃焼または効率的な燃焼を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、複数の連結部26のそれぞれは、第1の空気路A1の流れ方向で重力方向上側から重力方向下側に視て少なくともその一部が外方に臨むように傾斜して配設される。
【0061】
このため、所定の1つの第2の支持面部24、およびこの第2の支持面部24に連結する一対の連結部26により略V字状の溝空間が形成されることになる。これにより、固形燃料SFの燃焼過程でその固形燃料SFが徐々(経時的)に縮小して第1の支持面部22から第2の支持面部24に向けて落下する際、その固形燃料SFはその形状に応じてその第2の支持面部24に適切に案内されたり、あるいはその一対の連結部26によって挟持されたりする。このようにして、固形燃料SFの燃焼の効率化を図ることができる。
【0062】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、隣接する複数の第1の支持面部22の離間距離は、燃焼前の初期状態の固形燃料SFがその間を通過不可能に設定される。
【0063】
このため、燃焼初期の段階で固形燃料SFは少なくとも隣接する第1の支持面部22によって支持されて燃焼し、燃焼が進行すると固形燃料SFは縮小して第2の支持面部24に向けて落下し、その次は第2の支持面部24によって支持されて燃焼する。これにより、固形燃料SFの燃焼過程で固形燃料SFをその形状に応じて適宜支持しながら複数段階で時間をかけて燃焼させてより確実に完全燃焼させることができる。
【0064】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、平板部材がその延在方向に沿って波状に形成され、その複数の山部21の上面部のそれぞれが第1の支持面部22とされ、その複数の谷部23の上面部のそれぞれが第2の支持面部24とされ、隣接する山部21および谷部23を連結する部分25のそれぞれが連結部26とされ、複数の第1の支持面部22と、複数の第2の支持面部24と、複数の連結部26と、が平板部材によって一体に形成される。
【0065】
このため、第1の支持面部22、第2の支持面部24、および連結部26を平板部材によって一体にたとえばプレス加工などによって成型することができる。これにより、簡易な構造でありながらも、燃焼効率を高めることができる。
【0066】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、固形燃料SFは、球状に形成される。
【0067】
すなわち、固形燃料SFは球状に形成されるとよい。この場合、燃焼過程でその表面部分で一様に形状が小さくなり(縮径して)、より一層、燃焼効率を高めることができる。
【0068】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、第1の空気路A1および第2の空気路A2は、第1の方向に沿って隣接または近接して配置される。
【0069】
すなわち、第1の空気路A1および第2の空気路A2は、第1の方向に沿って隣接または近接して配置される。ここで、第1の空気路A1には燃料支持部20が配置されており、その燃料支持部20で固形燃料SFが燃焼することで第1の空気路A1の構造体は温度上昇される。そして、第1の空気路A1に隣接または近接する第2の空気路A2はその温度上昇に伴って、その熱エネルギーが第1の空気路A1の構造体から第2の空気路A2の構造体に伝導する。その結果、第2の空気路A2を通過する空気は暖められる。第2の空気路A2はその温められた空気を第1の空気路A1に供給し、最終的に固形燃料SFはその温められた空気で燃焼するため、エネルギーの損失をより抑制してより一層効率的な燃焼を図ることができる。
【0070】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、第1の空気路A1および第2の空気路A2は、筒状に形成され、第1の空気路A1の径は、第2の空気路A2よりも小さく形成され、第1の空気路A1は、第2の空気路A2の内側に配設される。
【0071】
このため、第2の空気路A2の内側に第1の空気路A1が配置される。これにより、第2の空気路A2に供給される第1の空気路A1の空気を効率的に暖めて、エネルギーの損失をより一層抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、固形燃料SFを燃料支持部20に向けて投下する投下装置をさらに含み、投下装置は、固形燃料SFが完全燃焼する時間よりも短いインターバルで固形燃料SFを次々に投下して燃料補充する。
【0073】
このため、燃料支持部20に載置された固形燃料SFが完全燃焼する前に、新規(燃焼前の初期の状態)の固形燃料SFが供給される。これにより、より一層効率的な燃焼を図ることができる。
【0074】
<第2実施形態>
図6~
図14に基づいて、本発明に係る第2実施形態について説明する。
なお、前述の第1実施形態と同一または同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
【0075】
[・コンロの基本構成について]
図6~
図8を参照しながら、本実施形態に係るコンロ2の基本構成の一例について説明する。
図6は、本発明に係る第2実施形態のコンロ2の基本構造の一例を説明する断面図である。
図7は、
図6に示すコンロ2の概略構成の一例を説明する上面図である。
図8は、
図6に示す燃料支持部60の構造の一例を説明する断面模式図である。
なお、
図6および
図7では、説明の便宜上、対象物支持部(10:
図1または
図2参照)の図示を省略している。
【0076】
図6~
図8に示すように、本実施形態の燃料支持部60は、第1の空気路A1の流れ方向(重力方向:鉛直方向)に対し交差する方向(第1の方向の一例)、すなわち水平方向に沿ってそれぞれ延在する複数(本実施形態では3つ)の網状体61A,61B,61Cを有して構成される。
【0077】
3つの網状体61A,61B,61Cのそれぞれは、円環状枠部62A,62B,62Cと、円環状枠部62A,62B,62Cの内側に延設される網本体部63A,63B,63Cと、を含んで構成される。3つの網状体61A,61B,61Cは、第1の空気路A1の流れ方向に沿って一体的に重ねられ円環状枠部62A,62B,62C同士で当接された状態で第1の筐体30の内側に配置される(
図8参照)。最下位に位置する網状体61Aの円環状枠部62Aが第1の筐体30の第2の鍔部34の内端面に当接することにより、3つの網状体61A,61B,61Cは一体的に第1の筐体30に支持される。燃焼初期の際には、最上位の網状体61Aの網本体部63Aの上面に固形燃料SFが載置され、燃焼されることになる。
なお、以下、最上位の網状体61Aを「第1の網状体」、中間位の網状体61Bを「第2の網状体」、最下位の網状体61Cを「第3の網状体」とも呼ぶ。
【0078】
また、網状体61A,61B,61Cのそれぞれの円環状枠部62A,62B,62Cの高さ寸法は、その網本体部63A,63B,63Cよりも高く設定される。そのため、第1の網状体61Aの網本体部63A、第2の網状体61Bの網本体部63B、および第3の網状体61Cの網本体部63Cのそれぞれは、第1の空気路A1の流れ方向に沿って互いに略等間隔に離間して配置されることになる(
図6、
図8参照)。
【0079】
[・燃料支持部の構成について]
図9~
図14を参照しながら、本実施形態の燃料支持部60の構成の一例について説明する。
図9は、
図8に示す燃料支持部60の第1の網状体61Aの構造の一例を説明する上面模式図である。
図10は、
図9に示す第1の網状体61Aの構造の一例を説明する側断面図である。
図11は、
図8に示す燃料支持部60の第2の網状体61Bの構造の一例を説明する上面模式図である。
図12は、
図11に示す第1の網状体61Aの構造の一例を説明する側断面図である。
図13は、
図8に示す燃料支持部60の第3の網状体61Cの構造の一例を説明する上面模式図である。
図14は、
図13に示す第3の網状体61Cの構造の一例を説明する側断面図である。
【0080】
図9~
図14に示すように、第1の網状体61A、第2の網状体61Bおよび第3の網状体61Cのそれぞれは、前述のように、円環状枠部62A,62B,62Cと、網本体部63A,63B,63Cと、を含んで構成される。
【0081】
網本体部63A,63B,63Cは、複数の金属製のロッド部64A,64B,64Cが水平方向において略同じ方向に向けて延在しかつ並設されて構成される。その複数のロッド部64A,64B,64Cは、その両端部で円環状枠部62A,62B,62Cに連結して固定される。
【0082】
また、本実施形態では、第1の網状体61A、第2の網状体61Bおよび第3の網状体61Cのそれぞれの網本体部63A,63B,63Cの網目の大きさ(換言すれば、それぞれの複数のロッド部64A,64B,64Cの間の幅寸法(それぞれの離間距離))は、第1の空気路A1の流れ方向(重力方向:延長方向)においてその下位(下流側)に配置されるものほど順に小さく設定される。
【0083】
つまり、本実施形態では、第1の網状体61Aの網目の大きさがその3つの中で最も大きく設定され、その次に続く大きさで第2の網状体61Bの網目の大きさが設定される。第3の網状体61Cの網目の大きさが最も小さく設定される。また、このとき、第1の網状体61Aの網目の大きさは、燃焼前の初期状態の固形燃料SFがその網の間を通過不可能に設定される。
【0084】
[・本実施形態の特徴および利点について]
以上説明したように本実施形態のコンロ2(燃料装置の一例)によれば、重力方向に沿って延在して配設される第1の空気路A1と、第1の空気路A1に外部からの空気を供給する第2の空気路A2と、第1の空気路A1の内部に配設され、固形燃料SFをその上側で支持する燃料支持部60と、を含む。燃料支持部60は、第1の空気路A1の流れ方向に対し交差する第1の方向に沿ってそれぞれ延在する複数の網状体61A,61B,61Cを有する。複数の網状体61A,61B,61Cは、網本体部63A,63B,63Cを含む。複数の網状体61A,61B,61Cの網本体部63A,63B,63Cのそれぞれは、第1の空気路A1の流れ方向に沿って離間して配設される。複数の網状体61A,61B,61Cの網本体部63A,63B,63Cのそれぞれの網目の大きさは、第1の空気路A1の流れ方向においてその下流側に配置されるものほど順に小さく設定される。
【0085】
このため、複数の網状体61A,61B,61Cの網本体部63A,63B,63Cのそれぞれの網目の大きさは、第1の空気路A1の流れ方向においてその下流側に配置されるものほど順に小さく設定されるため、固形燃料SFはまずは最上位の網状体61Aに載置された状態で燃焼する。そして、燃焼が進行するに従って固形燃料SFは縮小し、その網の間隙から落下して次にその1つ下位の網状体61B,61Cによって支持されて燃焼する。これにより、燃料支持部60は固形燃料SFの燃焼過程で固形燃料SFをその形状に応じて適宜支持する。従って、固形燃料SFを複数段階で時間をかけながら燃焼させて、その結果、固形燃料SFを完全燃焼させることができ、エネルギーの損失を抑制することができる。固形燃料SFからエネルギーを効率良くかつ十分に発生させることができる。
【0086】
また、本実施形態のコンロ1(燃料装置の一例)によれば、複数の網状体61A,61B,61Cのうち最上位に配置される網状体61Aの網目の大きさは、燃焼前の初期状態の固形燃料SFがその網の間を通過不可能に設定される。
【0087】
このため、燃焼初期の段階で固形燃料SFは最上位の網状体61Aによって支持されて燃焼し、燃焼が進行すると固形燃料SFは縮小してその下位の網状体61B,61Cに向けてその最上位の網の間隙から落下し、その次はその下位の網状体61B,61Cよって支持されて燃焼する。これにより、固形燃料SFの燃焼過程で固形燃料SFをその形状に応じて適宜支持しながら複数段階で時間をかけて燃焼させてより確実に完全燃焼させることができる。
【0088】
<さいごに>
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれら実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良などが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、簡易な構造でありながら、固形燃料の燃焼過程で固形燃料をその形状に応じて適宜支持しながら複数段階で時間をかけて燃焼させて完全燃焼させることができる燃焼装置として有用である。
【符号の説明】
【0090】
1 :コンロ(バーベキューコンロ)
2 :コンロ
10 :対象物支持部
11 :円弧状枠部
12 :ロッド部
20 :燃料支持部
21 :山部
22 :第1の支持面部
23 :谷部
24 :第2の支持面部
25 :連結する部分
26 :連結部
30 :第1の筐体
31 :上周縁部
32 :第1の鍔部
33 :下周縁部
34 :第2の鍔部
40 :第2の筐体
41 :上周縁部
42 :第3の鍔部
43 :係合湾曲部
44 :係合溝
47 :係止片
48 :爪部
49 :湾曲連結部
50 :支持容器
51 :取っ手
60 :燃料支持部
61A :第1の網状体
61B :第2の網状体
61C :第3の網状体
62A :円環状枠部
62B :円環状枠部
62C :円環状枠部
63A :網本体部
63B :網本体部
63C :網本体部
64A :ロッド部
64B :ロッド部
64C :ロッド部
A1 :第1の空気路
A2 :第2の空気路
H1 :通気穴
H2 :通気穴
H3 :通気穴
SF :固形燃料
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状に形成される固形燃料を燃焼させるための燃焼装置であって、
重力方向に沿って延在して配設される第1の空気路と、
前記第1の空気路に外部からの空気を供給する第2の空気路と、
前記第1の空気路の内部に配設され、前記第1の空気路の流れ方向に対し交差する第1の方向に沿って延設され、前記固形燃料をその上側で支持する燃料支持部と、を含み、
前記燃料支持部は、前記第1の方向に沿って互いに離間して並設される複数の第1の支持面部と、前記第1の空気路の前記流れ方向から視て前記複数の第1の支持面部の間、かつ前記第1の空気路の前記流れ方向に沿って前記複数の第1の支持面部よりもその下側に配設される複数の第2の支持面部と、前記第1の空気路の前記流れ方向から視て隣接する前記第1の支持面部および前記第2の支持面部のそれぞれ同士を連結する複数の連結部と、を有し、
前記複数の第1の支持面部、前記複数の第2の支持面部および複数の連結部のそれぞれは、長板状に延在して形成され、その表面およびその裏面を貫通する複数の通気穴が形成され、
前記複数の第1の支持面部の前記通気穴は、前記複数の第2の支持面部の前記通気穴よりも大きく形成され、
平板部材がその延在方向に沿って波状に形成され、その複数の山部の上面部のそれぞれが前記第1の支持面部とされ、その複数の谷部の上面部のそれぞれが前記第2の支持面部とされ、隣接する前記山部および前記谷部を連結する部分のそれぞれが前記連結部とされることにより、前記複数の第1の支持面部と、前記複数の第2の支持面部と、前記複数の連結部と、が前記平板部材によって一体に形成され、かつ、
前記複数の連結部のそれぞれは、前記第1の空気路の流れ方向で重力方向上側から重力方向下側に視てその表面が外方に臨むように傾斜して形成され、
隣接する前記複数の第1の支持面部の離間距離は、燃焼前の初期状態の前記固形燃料がその間を通過不可能に設定されており、
これにより、前記複数の第1の支持面部、前記複数の第2の支持面部および複数の連結部によりV字状の溝空間が複数形成されて、前記固形燃料の燃焼過程で当該固形燃料が経時的に縮小して前記第1の支持面部から前記第2の支持面部に向けて落下する際には当該固形燃料はその形状に応じて前記第2の支持面部に案内されたり、あるいはその一対の前記連結部によって挟持されたりする、
燃焼装置。
【請求項2】
前記連結部の前記通気穴のそれぞれは、その大きさで前記第1の支持面部の前記通気穴よりも小さく、かつ前記第2の支持面部の前記通気穴よりも大きく形成される、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記第1の支持面部のそれぞれの表面は、凸曲面に形成され、
前記第2の支持面部のそれぞれの表面は、凹曲面に形成され、
前記連結面部のそれぞれの表面は、平坦面に形成される、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記第1の空気路および前記第2の空気路は、前記第1の方向に沿って隣接または近接 して配置される、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記第1の空気路および前記第2の空気路は、筒状に形成され、
前記第1の空気路の径は、前記第2の空気路よりも小さく形成され、
前記第1の空気路は、前記第2の空気路の内側に配設される、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記固形燃料を前記燃料支持部に向けて投下する投下装置をさらに含み、
前記投下装置は、前記固形燃料が完全燃焼する時間よりも短いインターバルで前記固形燃料を次々に投下して燃料補充する、
請求項1に記載の燃焼装置。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状に形成される固形燃料を燃焼させるための燃焼装置であって、
重力方向に沿って延在して配設される第1の空気路と、
前記第1の空気路に外部からの空気を供給する第2の空気路と、
前記第1の空気路の内部に配設され、前記第1の空気路の流れ方向に対し交差する第1の方向に沿って延設され、前記固形燃料をその上側で支持する燃料支持部と、を含み、
前記燃料支持部は、前記第1の方向に沿って互いに離間して並設される複数の第1の支持面部と、前記第1の空気路の前記流れ方向から視て前記複数の第1の支持面部の間、かつ前記第1の空気路の前記流れ方向に沿って前記複数の第1の支持面部よりもその下側に配設される複数の第2の支持面部と、前記第1の空気路の前記流れ方向から視て隣接する前記第1の支持面部および前記第2の支持面部のそれぞれ同士を連結する複数の連結部と、を有し、
前記複数の第1の支持面部、前記複数の第2の支持面部および複数の連結部のそれぞれは、長板状に延在して形成され、その表面およびその裏面を貫通する複数の通気穴が形成され、
前記複数の第1の支持面部の前記通気穴は、前記複数の第2の支持面部の前記通気穴よりも大きく形成され、
平板部材がその延在方向に沿って波状に形成され、その複数の山部の上面部のそれぞれが前記第1の支持面部とされ、その複数の谷部の上面部のそれぞれが前記第2の支持面部とされ、隣接する前記山部および前記谷部を連結する部分のそれぞれが前記連結部とされることにより、前記複数の第1の支持面部と、前記複数の第2の支持面部と、前記複数の連結部と、が前記平板部材によって一体に形成され、かつ、
前記複数の連結部のそれぞれは、前記第1の空気路の流れ方向で重力方向上側から重力方向下側に視てその表面が外方に臨むように傾斜して形成され、
隣接する前記複数の第1の支持面部の離間距離は、燃焼前の初期状態の前記固形燃料がその間を通過不可能に設定されており、
これにより、前記複数の第1の支持面部、前記複数の第2の支持面部および複数の連結部によりV字状の溝空間が複数形成されて、前記固形燃料の燃焼過程で当該固形燃料が経時的に縮小して前記第1の支持面部から前記第2の支持面部に向けて落下する際には当該固形燃料はその形状に応じて前記第2の支持面部に案内されたり、あるいはその一対の前記連結部によって挟持されたりする、
燃焼装置。
【請求項2】
前記連結部の前記通気穴のそれぞれは、その大きさで前記第1の支持面部の前記通気穴よりも小さく、かつ前記第2の支持面部の前記通気穴よりも大きく形成される、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記第1の支持面部のそれぞれの表面は、凸曲面に形成され、
前記第2の支持面部のそれぞれの表面は、凹曲面に形成され、
前記連結部のそれぞれの表面は、平坦面に形成される、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記第1の空気路および前記第2の空気路は、前記第1の方向に沿って隣接または近接して配置される、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記第1の空気路および前記第2の空気路は、筒状に形成され、
前記第1の空気路の径は、前記第2の空気路よりも小さく形成され、
前記第1の空気路は、前記第2の空気路の内側に配設される、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記固形燃料を前記燃料支持部に向けて投下する投下装置をさらに含み、
前記投下装置は、前記固形燃料が完全燃焼する時間よりも短いインターバルで前記固形燃料を次々に投下して燃料補充する、
請求項1に記載の燃焼装置。