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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127130
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】易分離キャップ部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/22 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B65D51/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036048
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】砂川 デニゼ恵美
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB05
3E084DC03
3E084FC04
3E084GB01
3E084JA18
3E084LB02
(57)【要約】
【課題】容器本体から取り外す際の操作性に優れること。
【解決手段】本発明に係る本体キャップ10は、口首部31の外周部分に固着される固着スカート部11の筒状部11Bに、口首部31の外周面に設けられた被係着凸部31aに係合する、線状係着凸部11cが形成されている。筒状部11Bの端縁部には、薄板状の治具5を軸方向に沿って差し込み可能な差込部16が形成されており、筒状部11Bの軸方向の前記一方の端縁部から他方の端縁部に向かって延びる切込み溝17が、線状係着凸部11cと交差するように形成されており、切込み溝17と差込部16とは、筒状部11Bの周方向に隣り合う位置に形成されている。差込部16に治具5を差し込み、切込み溝17を破断し、筒状部11Bの一部を本体キャップ10から引き離すことで、線状係着凸部11cの被係着凸部31aへの係着を解除し、固着された本体キャップ10を容器本体30から分離可能とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口首部に固着される本体キャップと、該本体キャップに着脱可能に装着される蓋キャップとからなり、前記本体キャップを前記容器本体の口首部から分離可能とする易分離キャップ部材であって、
前記本体キャップは、前記容器本体の口首部の外周部分に固着される固着スカート部と、該固着スカート部の肩板部から上方に突出して設けられた、前記蓋キャップが装着される装着筒壁部とを含んで構成されており、
前記固着スカート部の筒状部には、内側面に周方向に延設して、前記容器本体の口首部の外周面に設けられた被係着凸部に係合する、線状係着凸部が形成されており、
前記筒状部の軸方向の一方の端縁部に、薄板状の治具を該軸方向に沿って差し込み可能な差込部が、該筒状部の周方向に沿って形成されており、
前記筒状部には、該筒状部の軸方向の前記一方の端縁部から他方の端縁部に向かって延びる切込み溝が、前記線状係着凸部又はこれの延長線と交差するように形成されており、
前記切込み溝と前記差込部とは、前記筒状部の周方向に隣り合う位置に形成されており、
前記差込部に治具を差し込み、前記切込み溝を破断し、前記筒状部の一部を前記本体キャップから引き離すことで、前記線状係着凸部の前記被係着凸部への係着を解除し、固着された前記本体キャップを前記容器本体の口首部から分離可能とする、易分離キャップ部材。
【請求項2】
前記固着スカート部の筒状部には、前記線状係着凸部よりも前記肩板部側の領域に、薄肉易破断線が周方向に延設して形成されており、
前記切込み溝が、前記薄肉易破断線の一端部にするように形成されている、請求項1に記載の易分離キャップ部材。
【請求項3】
前記切込み溝が、前記筒状部の軸方向の両端縁間に連続している、請求項1に記載の易分離キャップ部材。
【請求項4】
前記差込部が、前記肩板部に形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載の易分離キャップ部材。
【請求項5】
前記差込部が、前記2本の切込み溝間で連続したスリット状の開口からなるか、又は前記2本の切込み溝間で間欠的に形成された複数の開口からなる、請求項1~4の何れか1項に記載の易分離キャップ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口首部に固着される本体キャップと、本体キャップに着脱可能に装着される蓋キャップとからなり、本体キャップを容器本体の口首部から分離可能とする易分離キャップ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤、柔軟剤、漂白剤、糊剤等の内容液を収容する容器として、これらの内容液を注出する注出口を有する本体キャップが、該容器の口首部に取り付けられたものが知られている。
近年、リサイクルによる省資源化の観点から、樹脂製の本体キャップを容器の口首部から取り外し、容器と本体キャップとを別々に廃棄(分別廃棄)することが要求されている。この種の本体キャップには、その内周面に、容器の口首部に形成された環状凸リブ等の被係着凸部に係着することが可能な、線状凸リブからなる線状係着凸部が設けられていることがある。斯かる本体キャップは、容器の口首部から容易に離脱できないようにする点で有効であるが、当該離脱が困難に構成されているため、容器から取り外し難いものであった。
【0003】
前記の取り外しに関し、本体キャップに様々な工夫が施されたものが提案されている。 例えば特許文献1には、筒部の外周かつ下端部に達して形成された破断し易い弱化部と、該弱化部の範囲内に突出して形成された、前記筒部に一体につながる把持部と、前記弱化部の上端部と、前記把持部間に形成された、上下方向の巾が硬貨の巾よりも大きく形成された弱化部の残余部とを有する、蓋が開示されている。この蓋は、弱化部を破断して形成された把持部を把持し、該弱化部を周方向に破断することで、筒部と容器の口部との圧接を緩ませ、該蓋を前記口部から取り外すことができる。
また、特許文献2~5に記載の合成樹脂製注出キャップは、キャップ本体の組付き筒の下端縁と、容器本体における前記壜口筒のネックリングとの間に、硬貨の周端部が侵入可能な間隙が形成されている。
【0004】
また、特許文献6には、容器の口部の内周面に嵌合可能な内筒と、該内筒を取り囲み且つ垂下して前記口部の外周面と嵌合可能な外筒とを有し、該外筒がその周方向に沿って帯状に分離可能な注出具が開示されている。この注出具は、帯状部分の延在方向の一端部を把持して、該帯状部分を周方向に沿って外筒から分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-20854号公報
【特許文献2】特開2002-249151号公報
【特許文献3】特開2002-249154号公報
【特許文献4】特開2002-370765号公報
【特許文献5】特開2003-12017号公報
【特許文献6】特開2009-269617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~5に記載の蓋又は注出キャップは、硬貨のように薄板状の治具を用いて、容器の口首部から本体キャップを取り外し可能となっている。しかしながら、特許文献1に記載の蓋は、前記把持部を把持するための隙間が小さく、指で摘みにくいことがあった。特許文献2~5に記載の注出キャップは、前記組付き筒の下端縁と前記壜口筒のネックリングとの隙間をこじ開ける際に、該組付き筒の下端縁と前記ネックリングとの係合状態を、キャップ本体の全周に亘って解除するための力を要する。また特許文献6の注出具は、前記外筒からの前記帯状部分の分離を開始する際、該外筒と帯状部分との間の破断に力を要する。
このように、特許文献1~6に記載の蓋、注出キャップ、及び注出具は、容器から本体キャップを外す際の操作が困難であった。
【0007】
本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る、易分離キャップ部材を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、容器本体の口首部に固着される本体キャップと、該本体キャップに着脱可能に装着される蓋キャップとからなり、前記本体キャップを前記容器本体の口首部から分離可能とする易分離キャップ部材に関する。
一実施形態において、前記本体キャップは、前記容器本体の口首部の外周部分に固着される固着スカート部と、該固着スカート部の肩板部から上方に突出して設けられた、前記蓋キャップが装着される装着筒壁部とを含んで構成されていることが好ましい。
一実施形態において、前記固着スカート部の筒状部には、内側面に周方向に延設して、前記容器本体の口首部の外周面に設けられた被係着凸部に係合する、線状係着凸部が形成されていることが好ましい。
一実施形態において、前記筒状部の軸方向の一方の端縁部に、薄板状の治具を該軸方向に沿って差し込み可能な差込部が、該筒状部の周方向に沿って形成されていることが好ましい。
一実施形態において、前記筒状部には、該筒状部の軸方向の前記一方の端縁部から他方の端縁部に向かって延びる切込み溝が、前記線状係着凸部又はこれの延長線と交差するように形成されていることが好ましい。
一実施形態において、前記切込み溝と前記差込部とは、前記筒状部の周方向に隣り合う位置に形成されていることが好ましい。
一実施形態において、前記差込部に治具を差し込み、前記切込み溝を破断し、前記筒状部の一部を前記本体キャップから引き離すことで、前記線状係着凸部の前記被係着凸部への係着を解除し、固着された前記本体キャップを前記容器本体の口首部から分離可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の易分離キャップ部材によれば、容器本体から取り外す際の操作性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、本発明の易分離キャップ部材の一実施形態を模式的に示す断面図であって、差込部の位置と本体キャップの中心軸とを通る直線で切断したときの断面図であり、図1(b)は図1(a)のA部の拡大断面図である。
図2図2(a)は、図1に示す易分離キャップ部材を、薄肉易破断線の位置と本体キャップの中心軸とを通る直線で切断したときの断面図であり、図2(b)は図2(a)のB部の拡大断面図である。
図3図3は、図1に示す本体キャップの斜視図である。
図4図4は、図3の本体キャップの平面図である。
図5図5は、差込部の実施形態を示す斜視図である。図5(a)は、図3のC部における拡大図であり、図5(b)は、図3のC部における変形例を示す拡大図である。
図6図6(a)及び(b)は、図3の本体キャップを、薄板状の治具を用いて容器本体から分離する方法を説明する図である。
図7図7は、本発明の易分離キャップ部材の別の実施形態を模式的に示した図3相当図である。
図8図8(a)及び(b)は、図7の本体キャップを、薄板状の治具を用いて容器本体から分離する方法を説明する図6相当図である。
図9図9は、本発明の本体キャップのさらに別の実施形態を示す図3相当図である。
図10図10(a)は、図9に示す易分離キャップ部材の図1(a)相当図であり、図10(b)は、図10(a)に示す部分Dの拡大断面図である。
図11図11は、図9に示す本体キャップの図4相当図である。
図12図12(a)及び(b)は、図9の本体キャップを、薄板状の治具を用いて容器本体から分離する方法を説明する図6相当図である。
図13図13は、図12(a)に示す本体キャップの図1相当図である。
図14図14は、本発明の易分離キャップ部材のさらに別の実施形態を模式的に示した図3相当図である。
図15図15(a)及び(b)は、図14に示す本体キャップを、薄板状の治具を用いて容器本体から分離する方法を説明する図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の易分離キャップ部材を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1図6に本発明の易分離キャップ部材の一実施形態を示す。図1図6に示す実施形態の易分離キャップ部材1(以下、単に「キャップ部材1」ともいう。)は、内部に内容液が収容された容器に取り付けられ、その内容液を容器の外部に注出させる部材である。より詳細には、内容液を収容する容器本体30の口首部31に取り付けられる。口首部31は、注出路を内部に有する筒状の部分であり、容器本体30の上端部に設けられている。当該注出路は、容器本体30内部と連通している。口首部31は、その外周面に被係着凸部31aが形成されている。被係着凸部31aは、口首部31の周方向に環状に突出して設けられた環状凸リブであり、後述する線状係着凸部11cと係合させることができる。
【0012】
キャップ部材1は、口首部31に固着される本体キャップ10Aと、本体キャップ10Aに着脱可能に装着される蓋キャップ20とを含んで構成されている。本実施形態の蓋キャップ20は、内容液を計量するための計量キャップである。計量キャップを備えるキャップ部材1を用いると、容器本体30に収容された液体洗剤などの内容液を、後述する注出ノズルを介して蓋キャップ20に注入して計量することができる。計量後の内容液は、通常、洗濯機等の別の場所に排出される。
【0013】
本明細書において、上方は、容器本体30の口首部31を鉛直方向の上方に向けた状態における該鉛直方向の上方に向かう方向であり、下方は、当該状態における該鉛直方向の下方に向かう方向である。斯かる状態において、本体キャップ10Aの軸方向Zは、容器本体30の高さ方向及び鉛直方向と一致する。
本明細書において、本体キャップ10Aの軸方向Zにおいて、後述する注出ノズル15の先端側を上側、その反対側(注出ノズル15の反対側)を下側と称する。
また、本体キャップ10Aの周方向を、単に「周方向」ともいい、本体キャップ10Aの軸方向を、単に「軸方向」ともいう。
【0014】
本体キャップ10Aは、固着スカート部11と、内容液の流路となる注出ノズル15とを含んで構成されている。固着スカート部11は、容器本体30の口首部31の外周部分に固着される部分であり、本体キャップ10Aの下端部において径方向外方に張り出した部分である。固着スカート部11は、環状の肩板部11Aと、肩板部11Aの外周縁から垂下して形成される筒状部11Bとを含んで構成される。
【0015】
筒状部11Bは、肩板部11Aの外周縁から直接垂下する筒状の上筒部11fと、該上筒部11fよりも径方向外側に張り出した筒状の段差部11eとを有している。段差部11eは、筒状部11Bの下端部分となっている。
筒状部11Bは、段差部11eの内側面に周方向に延設された線状係着凸部11cを具備している。線状係着凸部11cは線状凸リブとなっており、口首部31に形成された環状凸リブである被係着凸部31aに係合させることができる。すなわち、本体キャップ10Aを容器本体30の口首部31に取り付ける(固着)ことが可能である。本実施形態の本体キャップ10Aは、固着スカート部11と後述する内筒壁13との間に口首部31を押し込むこと(打栓式)によって、容器本体30の口首部31に篏合される。すなわち、線状係着凸部11cは、本体キャップ10Aの打込みによって口首部31の基端側の環状凸リブ(被係着凸部31a)に係着される。これにより、本体キャップ10Aが容器本体30から脱離することを効果的に防止する。斯かる効果を、以下、「脱離防止効果」ともいう。
【0016】
本体キャップ10Aは、肩板部11Aから上方に突出して設けられた装着筒壁部12が形成されている。装着筒壁部12は、固着スカート部11と同心状に設けられており、該装着筒壁部12の外周面には、雄ネジからなる被係合部12aが形成されている。この被係合部12aと、雌ネジからなる係合部(図示せず)を内周面に有する蓋キャップ20とを螺合させることで、蓋キャップ20が着脱可能に本体キャップ10Aに装着される。
【0017】
本実施形態の本体キャップ10Aは、装着筒壁部12から下方に連設された内筒壁13を備えている。内筒壁13は、固着スカート部11の径方向内側に形成された筒状部分であり、装着筒壁部12の内部と内筒壁13の内部とが連通している。本体キャップ10Aが口首部31に装着された状態において、内筒壁13の外周面が、該口首部31の内周面に沿って配置され、内筒壁13の外周面と口首部31の内周面とが液密に密着する。
また、内筒壁13は、水平方向に対して斜めに傾斜した底面壁14を有している。本実施形態の底面壁14には、平面視における略中央に流通開口部14bが形成されており、さらに傾斜した底面壁14における低い位置に、液戻し開口部14aが形成されている。
【0018】
注出ノズル15は、内容液の流出経路としての役割を担う部材である。本実施形態の本体キャップ10Aは、内筒壁13の内側に、内容液を注出する注出ノズル15を有している。注出ノズル15は、筒状の形状を有しており、その周方向の一部に、該注出ノズル15の高さ方向Zに沿って形成された切り欠け部15Aを有している。注出ノズル15の下端には、流通開口部14bが配置されており、該注出ノズル15の内側の空間が、流通開口部14bを介して容器本体30の内部と連通している。注出ノズル15は、内筒壁13を越え、さらに装着筒壁部12から上方に突出しており、該内筒壁13の底面壁14に立設されている。注出ノズル15は、流通開口部14bの周縁を囲むように形成されている。
本実施形態の注出ノズル15は、計量キャップである蓋キャップ20に内容液を注出するのに用いられる。
説明容易の観点から、図3図6では、注出ノズル15の図示を省略している。
【0019】
切り欠け部15Aは、注出ノズル15の高さ方向(軸方向Z)に対して傾斜した形状となっている。本実施形態の切り欠け部15Aは、その基端部分(下側部分)の周方向における位置が、液戻し開口部14aの周方向の位置と一致しており、該切り欠け部15Aの基端部分が底面壁14まで達するとともに、該基端部分の径方向外方に位置する液戻し開口部14aと連続している。本実施形態の本体キャップ10Aは、内容液の注出時に、切り欠け部15Aを介して容器本体30内の空気置換が促進されるので、内容液を容易に注出することができる。切り欠け部15Aの傾斜した形状部分は、U字状及びV字状等の形状とすることができる。
本実施形態の本体キャップ10Aは、これが容器本体30の口首部31に固着された状態で、注出ノズル15の先端が下方を向くように傾けられることで、内容液を容器本体30の外に注出する。
【0020】
内筒壁13と注出ノズル15との間は凹部となっており、該凹部の底部が底面壁14により形成されている。蓋キャップ20を本体キャップ10Aに固着するとき、斯かる凹部に、蓋キャップ20が具備する筒部(図示せず)が挿入配置される。蓋キャップ20の筒部は、その外周面又は内周面に目盛り等が表示され、適量の内容物を計量できるようになされている。
また、底面壁14には液戻し開口部14aが形成されており、該開口部14aを介して前記凹部に流入した内容液を効率的に容器本体30内に回収することができる。例えば、注出後に排出しなかった余剰の内容液や、詰め替え時に注入された内容液を容器本体30の内部に回収できる。
【0021】
本実施形態の本体キャップ10Aは、図3及び図4に示すように、固着スカート部11の筒状部11Bに切込み溝17が形成されている。切込み溝17は、筒状部11Bの軸方向の一方の端縁部から他方の端縁部に向かって延びており、線状係着凸部11cと交差するように形成されている。本実施形態では、2本の切込み溝17a,17bが、筒状部11Bに形成されており、一方の切込み溝17a(以下、「第1切込み溝」ともいう)が、肩板部11Aと接続する筒状部11Bの上方端縁部から下方端縁部まで延び、線状係着凸部11cと交差するように形成されている。本実施形態の第1切込み溝17aは、周方向に延在する線状係着凸部11cを縦断している。
また、他方の切込み溝17b(以下、「第2切込み溝」ともいう)は、第1切込み溝17aと周方向に間隔を空けた状態で、肩板部11Aと接続する筒状部11Bの上方端縁部から段差部11eの上端まで形成されている。すなわち第2切込み溝17bは、筒状部11Bの軸方向において、段差部11eの内側面に延設された線状係着凸部11cまで達していない。
斯かる形態に代えて、切込み溝17a,17bは、筒状部11Bの軸方向の一方の端縁部から線状係着凸部11cの延長線と交差するように形成されていてもよい。例えば、第1切込み溝17aは、筒状部11Bの軸方向Zの上方端縁部から、線状係着凸部11cの延長線を縦断するように形成されていてもよい。
【0022】
本明細書において、「第1切込み溝17aが線状係着凸部11c又はこれの延長線と交差するように形成されている」とは、第1切込み溝17a又は第1切込み溝17aの延長線が、線状係着凸部11c又はこれの延長線と交差するように形成された形態が含まれる。
切込み溝17a,17bは、図4に示すように、その断面形状が、U字状やコの字状、V字状等の凹部形状となっている。
説明容易の観点から、図4では、注出ノズル15、底面壁14、流通開口部14b及び液戻し開口部14aの図示を省略している。
【0023】
本体キャップ10Aの周方向における2本の切込み溝17a,17b間の角度範囲θ1(図4参照)は、好ましくは20°以上90°以下、より好ましくは25°以上50°以下である。
本明細書において「角度範囲」は、本体キャップ10Aの中心軸を中心とする、該本体キャップ10Aの周方向の角度範囲である。
【0024】
本実施形態の本体キャップ10Aは、図1(a)及び(b)、並びに図3に示すように、筒状部11Bの軸方向Zの一方の端縁部に、薄板状の治具5を軸方向Zに沿って差し込み可能な差込部16が、筒状部11Bの周方向に沿って形成されている。
ここで、薄板状の治具5は、好ましくは身近にある硬貨(コイン)であるが、これに限られず、例えばヘラ等の薄板部分を有する治具であってもよい。
本実施形態の差込部16は、環状の肩板部11Aの上面部分において、第1及び第2切込み溝17a,17b間を結ぶように直線状に並んだ複数の開口16aにより形成されている。
このように、差込部16が肩板部11Aに形成されていることにより、差込部16を容易に視認できるとともに、重力方向に薄板状の治具5を差込部16に差し込めるので、差し込み操作を容易に行うことができる。
また、本実施形態の差込部16は、図1(a)及び(b)に示すように、口首部31の上端の周縁部分よりも径方向外方に位置している。これにより、治具5と口首部31の上端との干渉を抑制して、当該治具5の差し込み操作がより容易となる。また、本体キャップ10Aと口首部31との間に治具5を差し込めるので、口首部31からの本体キャップ10の取り外しをより円滑に行うことができる。
【0025】
差込部16は、治具5が差し込み可能な形態とすることができる。例えば図5(a)~(c)に示すように、2本の切込み溝17a,17b間で間欠的に形成された複数の開口からなるものであってもよく、2本の切込み溝17a,17b間で連続したスリット状の開口からなるものであってもよい。
本実施形態の差込部16Aは、図5(a)に示すように、2本の切込み溝17a,17b間において、5つの開口16aが等間隔かつ直線状に配列されている。これら複数の開口16aは、本体キャップ10の平面視において2本の切込み溝17a,17b間を掛け渡すように直線状に並んでおり、肩板部11Aの周方向に概ね沿っている。この差込部16Aを形成する開口16aは、肩板部11Aを軸方向に貫通する開口である〔図2(a)参照〕。本実施形態の差込部16Aにおいて当該開口16aどうし間の部分16bを、架橋部16bともいう。このように差込部16Aが複数の開口16aによって形成されることにより、薄板状の治具5を差し込んで切込み溝17a,17bを容易に破断させる一方で、開口16aどうしの間の架橋部16bにより、筒状部11B、特に該切込み溝17a,17bの意図しない破断を抑制する。
【0026】
上記の効果をより確実に奏させる観点から、本実施形態の差込部16Aにおける開口16aは、以下の寸法を具備することが好ましい。
差込部16Aの全長L1に対する、複数の開口16aの配列方向に沿う開口部分の長さL2〔図5(a)参照〕の総和の割合が、好ましくは30%以上90%以下、より好ましくは60%以上80%以下である。差込部16Aの全長L1は、第1及び第2切込み溝17a,17b間の長さであって、複数の開口16aが並ぶ方向に沿う長さである。
開口16aの幅W〔図1(a)参照〕は、好ましくは0.8mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、また好ましくは3.5mm以下、より好ましくは3.0mm以下であり、また好ましくは0.8mm以上3.5mm以下、より好ましくは2.0mm以上3.0mm以下となっている。開口16aの幅Wは、本体キャップ10Aの径方向における開口16aの長さである〔図1(a)参照〕。
【0027】
また、図5(a)に示す形態に代えて、差込部16は、2本の切込み溝17a,17b間で連続したスリット状の溝からなってもよい。例えば、図5(b)及び(c)に示すように、差込部16Bは、肩板部11Aの上面部分において、切込み溝17a,17b間を結ぶように直線状に形成された、断面形状が矩形状の溝又は貫通孔であってもよい。差込部16Bが溝である場合〔図5(b)参照〕、当該差込部16Bは、肩板部11Aを貫通しないので、肩板部11Aがより破断し難い。これにより筒状部11B、特に該切込み溝17a,17bの意図しない破断を抑制する。また差込部16Cが貫通孔である場合〔図5(c)参照〕、当該差込部16Cは、肩板部11Aを貫通するので、筒状部11B、特に該切込み溝17a,17bをより破断し易い。
斯かる差込部16B,16Cを形成する溝又は貫通孔の幅(本体キャップ10A径方向の長さ)は、いずれも差込部16Aをなす開口16aの幅Wと同様とすることができる。
【0028】
本実施形態の本体キャップ10は、切込み溝17a,17bの上端部分と連続し且つ肩板部11Aを部分的に切り欠いた周縁切欠部18が形成されている(図3参照)。当該切欠部18は、差込部16Aを延在方向に延長させたときの延長線上に位置し、肩板部11Aの外周縁部の一部を切り欠いている。このように、差込部16Aの両側に切欠部を有することで、該差込部16Aへの治具5の差し込みをより容易に行うことができる。
【0029】
本実施形態の本体キャップ10Aは、図3に示すように、切込み溝17a,17bと差込部16とが、筒状部11Bの周方向に隣り合う位置に形成されている。具体的には、切込み溝17a,17bは、筒状部11Bの上方端縁部において、肩板部11Aの上面部分に形成された差込部16Aの開口16a近傍に位置している。これにより、差込部16Aに差し込まれた状態の治具5を、本体キャップ10Aの径方向外方に倒すと、後述する梃子の原理によって生じる差込部16Aを押し広げようとする力が、切込み溝17a,17bに伝搬し、当該切込み溝17a,17bが破断する。
【0030】
本実施形態の本体キャップ10Aは、図6(a)に示すように、差込部16Aに治具5を差し込み、図6(b)に示すように、切込み溝17a,17bに沿って筒状部11Bを破断することで、筒状部11Bの一部を本体キャップ10Aから引き離すことができる。これにより、該引き離した部分で、線状係着凸部11cの被係着凸部31aへの係着が解除され、固着された本体キャップ10Aを容器本体30の口首部31から分離することができる。
より具体的には、薄板状の治具5を差込部16Aに押し当てることによって、差込部16Aに形成された全ての架橋部16bを破断しながら、治具5を差込部16Aに差し込む。次いで、差込部16Aを治具5により破断することで形成した開口の縁を作用点とし、筒状部11Bの差込部16Aと切込み溝17a,17bとによって囲まれた領域(以下、「易破断部F」ともいう)と対向する口首部31の外面部分を力点とする梃子の原理によって、差込部16Aを本体キャップ10Aの径方向外方に押し広げる。この差込部16Aを該径方向外方に押し広げようとする力が、切込み溝17a,17bに伝搬し、切込み溝17a,17bに沿って筒状部11Bを破断する。次いで、筒状部11Bの易破断部Fを本体キャップ10Aから引き離すことで、該易破断部Fの内側に形成されている線状係着凸部11cと被係着凸部31aとの係着が解除され、本体キャップ10Aと口首部31との圧接を緩める。そして、固着された本体キャップ10Aを、容器本体30の口首部31から分離することができる。
【0031】
上述の通り、本実施形態の易分離キャップ部材1は、薄板状の治具5を差込部16Aに、容易に押し込めるようになっている。また、口首部31の被係着凸部31aに係合する線状係着凸部11c又はこれの延長線と交差するように形成された切込み溝17a,17bと、差込部16Aとは隣り合う位置に形成されている。これにより、例えば硬貨等の身近なものを治具5として差込部16に差し込むことで、容器本体30の口首部31から、差込部16と切込み溝17a,17bとによって囲まれた本体キャップ10Aの一部(易破断部F)を、梃子の原理を用いて、小さな力で容易に切り離せるようになされている。そして、上述のように本体キャップ10Aと口首部31との係合とが、易破断部Fにおいて解除されることで、本体キャップ10Aと口首部31との圧接を容易に緩ませられるので、容器本体30から本体キャップ10Aを小さな力で分離することが可能になる。
すなわち、本実施形態の易分離キャップ部材1は、容器本体30から取り外す際の操作性に優れる。
【0032】
本実施形態の固着スカート部11の筒状部11Bには、線状係着凸部11cよりも肩板部11A側の領域に、薄肉易破断線44が周方向に延設して形成されている(図6参照)。この場合、少なくとも一方の切込み溝17が、薄肉易破断線44の一端部に接続するように形成されていることが好ましい。
本実施形態の筒状部11Bは、第2切込み溝17bの下端が、薄肉易破断線44の一端44aと接続し、該切込み溝17bと薄肉易破断線44とでL字状をなしている(図3参照)。前記「接続」は、第2切込み溝17bの下端と、薄肉易破断線44の一端44aとが互いに重なって位置していることを意味する。本実施形態の筒状部11Bは、薄肉易破断線44よりも軸方向Zの下方の帯状部分、すなわち内側に線状係着凸部11cが形成された下端側の帯状部分(以下、「破断ベルト41」ともいう)が、易破断部Fの下端部分と周方向に連続している(図6参照)。本実施形態の破断ベルト41は、段差部11eのうち、薄肉易破断線44と周方向に重なる部分である。
本実施形態では、治具5を利用した梃子の原理により切込み溝17a,17bに沿って筒状部を破断することで、易破断部Fを本体キャップ10Aから引き離すと、第2切込み溝17bと接続する薄肉易破断線44が破断し、易破断部Fと連続する破断ベルト41も本体キャップ10Aから引き離すことができる〔図6(b)参照〕。これにより、易破断部Fの内側に形成された線状係着凸部11cと併せて、破断ベルト41の内側に形成された線状係着凸部11cも同様に、被係着凸部31aへの係着が解除される。その結果、本体キャップ10Aと口首部31との圧接をより一層緩めることができ、容器本体30から本体キャップ10Aをより小さな力で分離することが可能になる。
【0033】
本実施形態の薄肉易破断線44は、図1図3に示すように、筒状部11Bの外側面に形成されている。より具体的には、筒状部11Bの外側面であって、上筒部11fと段差部11eとの境界近傍に、周方向に沿って形成されている。薄肉易破断線44は、第2切込み溝17bの下端と接続する位置を始端として、周方向に延設して形成されている(図3及び図4参照)。薄肉易破断線44は周方向に沿った線状の溝であり、その断面形状が、U字状やコの字状、V字状等の凹部形状となっている〔図2(b)参照)。
【0034】
薄肉易破断線44は、本体キャップ10Aの周方向における任意の角度範囲で形成することができる。例えば、薄肉易破断線44が、易破断部Fを除く本体キャップ10Aの全周に連続して形成されていてもよい。
筒状部11Bの破断容易性の観点から、周方向において薄肉易破断線44が形成される角度範囲θ2(図4参照)は、好ましくは90°以上350°以下、より好ましくは270°以上300°以下である。
【0035】
また上述したように、本実施形態では、第2切込み溝17bと薄肉易破断線44とでL字状をなしている。この場合、切込み溝17a,17bの破断に加え、第2切込み溝17bに接続する薄肉易破断線44の引裂き破断も連続的に行うことができる。したがって、このような一連の破断作業を、極めてスムーズに行うことが可能である。
【0036】
以下に、本発明のキャップ部材1に係る本体キャップの別の実施形態について説明する。以下では、別の実施形態について、図1図6に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、図1図6に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
【0037】
上述した実施形態に係る本体キャップ10Aでは、第2切込み溝17bが、筒状部11Bの軸方向において、段差部11eの内側面に延設された線状係着凸部11cまで達していないものであったが、切込み溝の形態はこれに限られない。また、上述した実施形態では、第2切込み溝17bの下端と接続する位置を始端として、薄肉易破断線44が周方向に延設して形成されていたが、筒状部11Bは薄肉易破断線44が形成されていなくともよい。図7に示す本体キャップ10Bは、切込み溝17a,17bが、筒状部11Bの軸方向Zの両端縁間に連続している。また、本実施形態の筒状部11Bには、薄肉易破断線44が形成されていない。
【0038】
図7に示す実施形態では、第1切込み溝17aと、第2切込み溝171bとの両方が、筒状部11Bの上方端縁部から下方端縁部まで延び、線状係着凸部11cと交差するように形成されている。
切込み溝17a,171bは、斯かる形態に代えて、筒状部11Bの上方端縁部から線状係着凸部11cの延長線と交差するように形成されていてもよい。例えば、切込み溝17a,171bは、筒状部11Bの軸方向Zの上方端縁部から、線状係着凸部11cの延長線を縦断するように形成されていてもよい。
【0039】
本実施形態の本体キャップ10Bは、図8に示すように、治具5を利用した梃子の原理によって、切込み溝17a,171bに沿って筒状部11Bを破断することができる。この際、切込み溝17a,171bに沿って、筒状部11Bを軸方向Z全長に連続して破断するので、易破断部Fのみを本体キャップ10Aから完全に分離することができる。この易破断部Fを分離した筒状部11Bは、径方向外方に撓ませることで、口首部31から分離できる。このように、実施形態の本体キャップ10Bも、容器本体30から取り外す際の操作性に優れる。
また、本体キャップ10Bによれば、薄肉易破断線44を形成する必要が無いため、本体キャップ10Bを成型するための金型の構造を、簡便にすることができ、製造コストを低減することが可能になる。
【0040】
図1図8に示す各本体キャップは、差込部16が肩板部11Aに形成されていたが、差込部16は、筒状部11Bの軸方向の一方の端縁部である下方端縁部に形成されていてもよい。
図9に示す本体キャップ10Cは、筒状部11Bの下方端縁部に、薄板状の治具5を軸方向Zに沿って差し込み可能な差込部161が、筒状部11Bの周方向に沿って形成されている。本実施形態の差込部161は、前記下方端縁部において、切込み溝172a,172b間を結ぶように直線状に形成され(図9参照)、且つ軸方向Z内方に向かって凹状に切り欠かれた開口である〔図10(a)及び(b)参照〕。差込部161は、その開口に治具5を挿入した後、該治具5を軸方向Zに沿って差し込めるようになっている(図12参照)。治具5を挿入した後に、治具5を軸方向Zに沿って差し込み易くする観点と、脱離防止効果をより確実に得る観点から、差込部161の前記開口の高さHは〔図10(b)参照〕、好ましくは0.8mm以上3.4mm以下、また好ましくは1.8mm以上2.4mm以下となっている。
なお、図10(a)の断面図は、図11に示すII―II線断面図に相当する。
【0041】
本体キャップCは、図9及び図11に示すように、固着スカート部11の筒状部11Bに切込み溝172が形成されている。切込み溝172は、筒状部11Bの軸方向Zの下方端縁部から上方に向かって延びており、線状係着凸部11cと交差するように形成されている。本実施形態では、2本の切込み溝172a,172bが、線状係着凸部11cを縦断するように、筒状部11Bに形成されている。第1切込み溝172aは、筒状部11Bの下方端縁部から上筒部11fの軸方向Z上方まで延び、第2切込み溝172bは、一方の切込み溝172a(第1切込み溝172a)と周方向に間隔を空けた状態で、該下方端縁部から上筒部11fの軸方向Z中央まで延びている。すなわち第1切込み溝17a及び第2切込み溝172bそれぞれは、筒状部11Bの上方端縁部まで達していない。
斯かる形態に代えて、切込み溝172は、筒状部11Bの軸方向Zの一方の端縁部(下方の端縁部)から線状係着凸部11cの延長線と交差するように形成されていてもよい。例えば、切込み溝172a,172bは、筒状部11Bの軸方向Zの下方端縁部から、線状係着凸部11cの延長線を縦断するように形成されていてもよい。この切込み溝172a,172bは、その断面形状が、U字状やコの字状、V字状等の凹部形状となっている。
【0042】
本実施形態の固着スカート部11の筒状部11Bには、線状係着凸部11cよりも肩板部11A側の領域に、薄肉易破断線441が周方向に延設して形成されている。この場合、少なくとも一方の切込み溝172が、薄肉易破断線441の一端部に接続するように形成されていることが好ましい。
本実施形態の筒状部11Bは、第1切込み溝172aの上端が、薄肉易破断線441の一端441aと接続し、第1切込み溝172aと薄肉易破断線441とでL字状をなしている(図11参照)。前記「接続」は、第1切込み溝172aの上端と、薄肉易破断線441の一端441aとが互いに重なって位置していることを意味する。そして、本実施形態の筒状部11Bは、薄肉易破断線441よりも軸方向Zの下方の帯状部分、すなわち内側に線状係着凸部11cが形成された帯状部分(以下、「破断ベルト411」ともいう)が、差込部161と切込み溝172a,172bとによって囲まれた本体キャップ10Cの一部(易破断部F1)を含んでいる(図12参照)。本実施形態の破断ベルト411は、薄肉易破断線441よりも軸方向Zの下方に位置する上筒部11fの一部と段差部11eとを含む。
【0043】
本実施形態では、図12(a)に示すように、差込部161に治具5を挿入した後、該治具5を軸方向Zに沿って差し込むことで、図12(b)に示すように、易破断部F1における線状係着凸部11cと被係着凸部31aとの隙間をこじ開けて、線状係着凸部11cと被係着凸部31aとの係着を解除する。前記係着を解除する際、切込み溝172a,172bには、線状係着凸部11cと被係着凸部31aとの隙間をこじ開けるために加えられた力によって、応力が集中して破断するため、第1切込み溝172aとL字状に接続している薄肉易破断線441も連続的に破断する。これにより、一連の破断作業を、極めてスムーズに行うことが可能である。
【0044】
本実施形態の薄肉易破断線441は、図9図11に示すように、筒状部11Bの外側面に形成されている。より具体的には、筒状部11Bの上端部の外側面に、周方向に沿って形成されている。薄肉易破断線441は、第1切込み溝172aの上端と接続する位置を始端として、周方向に延設して形成されている(図9及び図11参照)。薄肉易破断線441は周方向に沿った線状の溝であり、その断面形状が、U字状やコの字状、V字状等の凹部形状となっている(図10参照)。
説明容易の観点から、図12では、注出ノズル15、底面壁14、流通開口部14b及び液戻し開口部14aの図示を省略している。
【0045】
本実施形態の薄肉易破断線441は、本体キャップ10Cの周方向における任意の角度範囲で形成することができる。例えば、薄肉易破断線441が本体キャップ10Cの全周に連続して形成されていてもよい。
筒状部11Bの破断容易性の観点から、周方向において薄肉易破断線441が形成される角度範囲θ3(図11参照)は、好ましくは90°以上350°以下、より好ましくは270°以上300°以下である。
【0046】
本実施形態の本体キャップ10Cは、差込部161と切込み溝172a,172bとによって囲まれた本体キャップ10Cの一部(易破断部F1)を、治具5でこじ開けることにより、容易に切込み溝172a,172bと薄肉易破断線441とが連続的に破断する。これにより、薄肉易破断線441よりも軸方向Zの下方に位置し、且つ線状係着凸部11cが内側に形成された破断ベルト411を、本体キャップ10Cから容易に引き離すことが可能になる。その結果、易破断部F1を含む破断ベルト411の全体が、本体キャップ10Cから引き離されるため、破断ベルト411の内側に形成されている線状係着凸部11cの被係着凸部31aへの係着が解除される。本実施形態の破断ベルト411は、図6に示す破断ベルト41よりも幅広いので、本体キャップ10Cと口首部31との圧接をより緩ませやすく、固着された本体キャップ10Cを、該口首部31から容易に分離することができる。
したがって、本実施形態の本体キャップ10Cもまた、容器本体30から取り外す際の操作性に優れる。
また、本体キャップ10Cによれば、差込部161を形成する開口が、筒状部11Bの下方端縁部に形成されている。これにより、軸方向Z上方において本体キャップCと口首部31との液密性をより確実に確保できるので、容器本体30に収容された液体が、意図せず漏出するのを回避できる。
【0047】
図14図15に示す本体キャップ10Dは、図9図13に示した本体キャップ10Cの構成の一部を変更したものである。
図9図13に示す本体キャップ10Cは、第1切込み溝172a及び第2切込み溝173bそれぞれが、筒状部11Bの軸方向Z全長に連続するものではなかったが、斯かる形態に限られない。これに対し、図14に示す本体キャップ10Dは、切込み溝173a,173bの両方が、筒状部11Bの軸方向Zの両端縁間に連続している。また、本実施形態の筒状部11Bには、薄肉易破断線441が形成されていない。
【0048】
本実施形態の筒状部11Bは、図14に示すように、第1切込み溝173aと、第2切込み溝173bとの両方が、筒状部11Bの下方端縁部から上方端縁部まで延び、線状係着凸部11cと交差するように形成されている。
切込み溝173a,173bは、斯かる形態に代えて、筒状部11Bの下方端縁部から線状係着凸部11cの延長線と交差するように形成されていてもよい。例えば、切込み溝173a,173bは、筒状部11Bの軸方向Zの下方端縁部から、線状係着凸部11cの延長線を縦断するように形成されていてもよい。
【0049】
本実施形態の本体キャップ10Dも、差込部16に治具5を差し込んで、易破断部F1を分離可能になされている。具体的には、図15(a)及び(b)に示すように、易破断部F1のみを、治具5でこじ開けるだけの簡便な操作により、前記易破断部F1の内側に形成された線状係着凸部11cと被係着凸部31aとの係着を解除できるため、本体キャップ10Dと口首部31との圧接を緩め、口首部31に固着された本体キャップ10Dを、容器本体30から容易に分離することができる。
すなわち、本実施形態の本体キャップ10Dもまた、容器本体30から取り外す際の操作性に優れる。
また、本体キャップ10Dによれば、本体キャップ10Cと同様に、差込部161を形成する開口が、筒状部11Bの下方端縁部に形成されている。これにより、本体キャップDと容器本体30との液密性を確実に確保できるため、容器本体30に収容された液体が、意図せず漏出するのを回避できる。
さらに、本体キャップ10Dによれば、薄肉易破断線441を形成する必要が無いため、本体キャップ10Dを成型するための金型の構造を、簡便にすることができ、製造コストを低減することが可能になる。
【0050】
上述した各実施形態のキャップ部材は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂や、ポリ乳酸等のバイオプラスチックを用いた金型成形品であり、好ましくは射出成形方法によって形成されている。
【0051】
本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。また、上述した実施形態の各構成を組み合わせてもよい。
例えば、上述した各実施形態の本体キャップは、固着スカート部11と内筒壁13との間に口首部31を押し込む打栓式によって該口首部31に取り付けられるものであったが、口首部31への取り付け形態はこれに限定されない。例えば、上筒部11fの内周面に形成された雌ネジ突条(図示せず)と、口首部31の外周面に設けられた雄ネジ突条(図示せず)との螺合によって、該口首部31に取り付けられるものであってもよい。
【0052】
また、上述した実施形態の切込み溝は、軸方向Zに沿って直線状に形成されていたが、これに限られず、例えば軸方向に対して斜めに形成されていてもよいし、曲線状に形成されていてもよい。
また、図1図6、及び図9~13に示す各実施形態の本体キャップは、薄肉易破断線が、切込み溝の端部と接続する位置を始端として、反時計回りX1に延設されていたが、時計回りX2に延設されていてもよい。
さらに、前記薄肉易破断線は、筒状部11Bの外側面に形成されていたが、筒状部11Bの内側面に形成されていてもよい。この場合、薄肉易破断線が外から見えなくなるため、良好な外観を得ることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 易分離キャップ部材
10A,10B,10C,10D 本体キャップ
11 固着スカート部
11A 肩板部
11B 筒状部
11b 雌ネジ突条
11c 線状係着凸部
11d 係止リブ
11e 段差部
11f 上筒部
12 装着筒壁部
12a 被係合部
13 内筒壁
14 底面壁
14a 液戻し開口部
15 注出ノズル
15A 切り欠け部
16,16A,16B,16C,161 差込部
17 切込み溝
17a,171a,172a,173a 第1切込み溝(切込み溝)
17b,171b,172b,173b 第2切込み溝(切込み溝)
20 蓋キャップ
30 容器本体
31 口首部
31a 被係着凸部
40 延出帯状部分
41,411 破断ベルト
44,441 薄肉易破断線
F,F1 易破断部
X1 反時計方向
X2 時計方向
Z 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15