(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127159
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A63F7/02 332B
A63F7/02 326Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036118
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝巳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 徹也
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088AA41
2C088BA13
2C088BA14
2C088CA13
2C088CA31
2C088EA10
(57)【要約】
【課題】制御に関する不具合の虞を抑制可能な遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、獲得球数や消費球数を記憶する獲得球数記憶エリア174及び消費球数記憶エリア173と、獲得球数記憶エリア174及び消費球数記憶エリア173が記憶する獲得球数や消費球数に基づいて、当該パチンコ遊技機1の性能値を算出する枠制御用マイコン151と、枠制御用マイコン151が算出した性能値を記憶する出玉率記憶エリア176、ベース値記憶エリア177、差玉数記憶エリア175、主制御ベース値記憶エリア178、役物比率記憶エリア179、連続役物比率記憶エリア180、分間獲得球数記憶エリア181等とを備えている。そして、枠制御用マイコン151は、所定間隔毎の算出タイミングで、性能値を算出する。
【選択図】
図36
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に応じて変化する抽出値を記憶する抽出値記憶手段と、前記抽出値記憶手段が記憶する前記抽出値に基づいて、当該遊技機の性能値を算出する性能値算出手段と、前記性能値算出手段が算出した前記性能値を記憶する性能値記憶手段とを備えている遊技機であって、
前記性能値算出手段は、所定の時間間隔毎に前記性能値を算出する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記性能値を示す信号を機外部に定期的に出力する外部出力手段を備え、
前記性能値算出手段は、前記外部出力手段による前記信号の出力間隔毎に前記性能値を算出する請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遊技球が流下可能な遊技領域と、前記遊技領域に設けられて遊技球が入球可能な複数の入賞口と、前記入賞口への遊技球の入球に応じて賞球の付与を決定する賞球付与手段と、遊技球を前記遊技領域に打ち出すための操作対象となる遊技操作手段とを備えると共に、
前記抽出値で示す遊技球数として、前記遊技領域に打ち出された遊技球数である第1球数と、前記賞球付与手段により賞球として付与されることが決定された遊技球数である第2球数とを計数する抽出値計数手段を備え、
前記性能値算出手段は、前記抽出値記憶手段に記憶されている前記第1球数及び前記第2球数に基づいて複数種類の性能値を算出する請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記性能値を機外部に出力する外部出力手段を備え、
前記性能値算出手段は、前記性能値として、前記第1球数に対する前記第2球数の割合に関する値、前記第1球数及び前記第2球数の差分に関する値、全入賞口への入球により生じた前記第2球数に対する所定の入賞口への入球により生じた前記第2球数の割合に関する値、単位時間あたりに生じる前記第2球数に関する値、のうち何れかを算出する請求項1~3の何れか一項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機としては例えば、遊技球を用いて遊技を行うパチンコ遊技機が知られている。このパチンコ遊技機は、機内部に配置されている遊技盤の前面側に遊技領域が形成されており、その遊技領域を機前面の窓を通じて視認することができる。遊技領域には、複数種類の入球口が設けられている。このため、遊技者のハンドル操作等によって打ち出された遊技球は、遊技領域を流下する過程で、何れかの入球口に入球したり、或いは入球せずに遊技領域の下端まで流下してアウト口から排出されたりする。そして、遊技球が入球口に入球した場合、その入球口に応じた賞球等の特典が遊技者に付与される。このように、パチンコ遊技機で遊技を行う場合、遊技球が入球口に入球することに応じて利益を得ることができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パチンコ遊技機では例えば、遊技者による遊技に関する各種のデータを取得して多角的な検証・情報管理を実現しようとする試みがなされており、これに応じた制御内容の変更等が生じている。しかしながら、そのような制御内容の変更等に伴い、不具合も懸念されており、対策はなされているものの未だ万全ではなく、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、従来における問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、制御に関する不具合の虞を抑制可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明に係る遊技機は、遊技に応じて変化する抽出値を記憶する抽出値記憶手段と、前記抽出値記憶手段が記憶する前記抽出値に基づいて、当該遊技機の性能値を算出する性能値算出手段と、前記性能値算出手段が算出した前記性能値を記憶する性能値記憶手段とを備えている遊技機であって、前記性能値算出手段は、所定の時間間隔毎に前記性能値を算出することを特徴とする。
【0007】
これによれば、遊技に応じて変化する抽出値に基づく性能値の算出を、抽出値の変化のタイミングに関わらず、所定の時間間隔毎に実行することで、性能値算出手段の処理負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る遊技機によれば、制御に関する不具合の虞を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態におけるパチンコ遊技機の正面図である。
【
図3】球循環機構から球送り部を取り除いた状態の概略構成図である。
【
図5A】主制御基板及び周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5B】サブ制御基板及び周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】(a)は、枠制御用マイコンのRAMの球数情報記憶部に関する説明図であり、(b)は、遊技時間の経過と差玉数の変化との関係の一例を示す曲線グラフである。
【
図7】性能表示モニタによる表示の種類及び内容の一覧表である。
【
図9】(a)は、第1特図用の大当たり種別判定テーブルの説明図であり、(b)は、第2特図用の大当たり種別判定テーブルの説明図である。
【
図10】小当たり種別判定テーブルの説明図である。
【
図11】(a)は、普通図柄当否判定テーブルの説明図であり、(b)は、普図当たり種別判定テーブルの説明図である。
【
図12】メイン側主制御処理のフローチャートである。
【
図13】メイン側タイマ割込処理のフローチャートである。
【
図14】図柄用センサ検出処理のフローチャートである。
【
図16】特別図柄待機処理のフローチャートである。
【
図17】特図大当たり判定処理のフローチャートである。
【
図18】特図変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図20】特別図柄関連処理のフローチャートである。
【
図21】遊技状態管理処理のフローチャートである。
【
図22】特別電動役物処理(1種大当たり、V当たり)のフローチャートである。
【
図23】特別電動役物処理(小当たり)のフローチャートである。
【
図24】遊技状態移行処理のフローチャートである。
【
図25】サブ側主制御処理のフローチャートである。
【
図26】(a)は、1msタイマ割込処理のフローチャートであり、(b)は、10msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図27】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図28】変動演出開始処理のフローチャートである。
【
図29】枠制御用マイコンのバージョンに関する記憶情報の説明図である。
【
図30】発射阻止事由と、関連する制御基板、消灯する報知部、発射阻止状態との関係を示す説明図である。
【
図31】発射モニタを構成する第1~第3報知部を点灯・消灯する電気回路の構成図である。
【
図32】(a)は、発射阻止状態で全停止状態となる場合の球送りソレノイド及び発射モータの動作に関するタイムチャートであり、(b)は、発射阻止状態で空打ち状態となる場合の球送りソレノイド及び発射モータの動作に関するタイムチャートである。
【
図34】枠制御側割込処理のフローチャートである。
【
図35】一次主枠判定処理のフローチャートである。
【
図36】遊技球数管理処理のフローチャートである。
【
図39】発射許可判定処理のフローチャートである。
【
図40】第2実施形態のパチンコ遊技機における枠制御用マイコンのバージョンに関する記憶情報の説明図である。
【
図41】第3実施形態のパチンコ遊技機に関し、(a)は、主制御の状況及び発射可否の関係とその優先順位を示してあり、(b)は、枠制御の状況及び発射可否の関係とその優先順位を示してある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る遊技機について図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、遊技機として、遊技球を用いて遊技を行うパチンコ遊技機を例に挙げる。なお、パチンコ遊技機の各部について方向や位置関係を説明する場合は、このパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た状態での「左」「右」及び「上」「下」を基準とする。また、遊技者から見て近い側(手前側)を「前」とし、遠い側(奥側)を「後」とする。
【0011】
[第1実施形態]
[パチンコ遊技機1の主要構成]
図1に示すように、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1は、遊技機枠を備える。遊技機枠は、後述する遊技盤2(
図2参照)を保持する内枠(枠体)16と、この内枠16の前面を覆う扉状の前面枠18とを少なくとも含むように構成され、矩形枠状の外枠Wを介して遊技店内の設置島(図示せず)に設置される。前面枠18は、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bと、トップランプ23cとを備え、これらで囲まれる内側に窓18aが形成されている。窓18aは、遊技盤2の盤面(前面)で形成される遊技領域3を視認可能とする開口であり、この窓18aを塞ぐように透明窓板18bが設けられている。また、前面枠18の左右の上端部(トップランプ23cを挟む左右両側)には、各種の音(音楽、効果音、報知音等)を演出内容に応じて出力する音出力手段としてのスピーカ8が夫々設けられている。
【0012】
前面枠18(左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、トップランプ23c等)は透光性を有し、その内側には複数のLED(図示せず)が配置されている。各LEDは複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、発光色を変化させる。
なお、トップランプ23cの構成としては例えば、LEDの他に回転リフレクタを有する回転灯(図示せず)を採用可能である。回転リフレクタは、可動体モータ23d(
図5B参照)の駆動に応じてLEDの周囲で回転し、その光の反射方向を変化させる。
【0013】
本実施形態のパチンコ遊技機1は、機内部に封入された遊技球を循環させて使用するための構成(後述する球循環機構30、
図3参照)を有する。そして、遊技者による「持ち球数」等を電磁的に記憶・管理するようになっており、遊技球の物理的な払い出しを行わない。このような遊技機は一般に、「管理遊技機」等と呼称される(「スマートパチンコ」とも言う)。つまり、パチンコ遊技機1は、遊技者による球貸し操作が行われると、その遊技者に貸し出す分の遊技球数をデータ上で持ち球数に加算し、記憶する。遊技球が遊技に使われる(発射される)と、その分の遊技球数を持ち球数から減算し、記憶する。また、遊技者による遊技に伴って賞球が付与される場合も同様に、その賞球分の遊技球数をデータ上で持ち球数に加算し、記憶する。この持ち球数のカウント値が0個の場合は、遊技者が遊技に用いる遊技球を所有していない状態であり、遊技者は遊技を行うことができない(後述する「発射阻止状態」に移行する)。このようにパチンコ遊技機1は、遊技者が直接的に遊技球を取り扱う必要がないため、遊技球を出し入れ可能に貯留する球受け皿を備えておらず、その代わりに、操作台25(
図1)が前面枠18の下部に位置するように配置されている。
【0014】
前面枠18の右側部には、内枠16および前面枠18を施錠する施錠装置(不図示)を操作するための鍵挿入部262が設けられている。この鍵挿入部262に所定の鍵263を挿入して所定方向、例えば、右方向に回せば、施錠装置のロック状態が解除されて前面枠18のみが開く。一方、鍵挿入部262に鍵263を挿入して所定方向に対して反対側方向、例えば、左方向に回せば、施錠装置のロック状態が解除されて内枠16および前面枠18が一体的に開く。
【0015】
前面枠18の下部には、操作台25が、前方に張り出した形状、つまり遊技者側に接近するように設けられている。この操作台25には、ハンドル4と、演出ボタン5と、演出レバー6と、遊技球数表示器26と、計数ボタン18dとが設けられている。
【0016】
ハンドル4(遊技操作手段)は、操作台25の右側部(前面枠18のうち右下)、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(
図5A)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、後述する発射槌90a(発射モータ91)による遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、ハンドル4を操作したまま遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。
【0017】
演出ボタン5(演出操作手段)は、操作台25の上面に設けられている。演出ボタン5は、例えばプッシュオン式のボタンスイッチを採用することができる。演出ボタン5には、演出ボタン振動モータ5b(
図5B)と、演出ボタンランプ5c(
図5B)とが内蔵されている。演出ボタン振動モータ5bは、演出ボタン5を振動させるものであり、演出ボタン5の押下操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ5cはLEDである。演出ボタンランプ5cは、演出ボタン5の押下操作が有効な期間に演出ボタン5が押下操作されたときに点灯または点滅する。演出ボタン5の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ5cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。演出ボタン5には、押下操作された演出ボタン5を押下操作前の位置に復帰させるためのバネ等の弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン5は、押下操作状態が解除されると、弾性部材の復元力によって押下操作前の状態に復帰する。
なお、演出ボタン5の押下操作を利用した演出(ボタン演出)が行われることがある。ボタン演出では、演出ボタン5の操作が有効な期間を設定し、その期間に遊技者が演出ボタン5を押下操作すると、特定の演出(操作時演出)が行われる。
【0018】
演出レバー6(演出操作手段)は、操作台25の左下部、つまり、前面枠18のうち下側の左端寄りに設けられている。演出レバー6は、左手で把持できる形状とされており、右回転または左回転の回転操作の他、上下左右の4方向に傾倒操作可能としている。更に、演出レバー6の天面部には、プッシュ式の押しボタン(レバーボタン)が設けられている。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6c(
図5B)が設けられている。演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。
なお、演出レバー6の回転操作または傾倒操作を利用した演出(レバー演出)が行われることがある。レバー演出では、演出レバー6の回転操作または傾倒操作が有効な期間を設定し、その期間に遊技者が演出レバー6を回転操作または傾倒操作すると、特定の演出(操作時演出)が行われる。
【0019】
このように、パチンコ遊技機1は、遊技者による操作(演出操作)の対象となる演出操作手段として、演出ボタン5及び演出レバー6を備えている。
【0020】
遊技球数表示器26は、操作台25の上面(演出ボタン5の右方)に、表示面が水平またはやや前下がりの角度となるように設けられている。つまり、遊技球数表示器26の表示面は、遊技者の顔が位置する側(前上方)を向いており、遊技者が視線を下げた際に見易くなっている。この遊技球数表示器26には、遊技者が所有する遊技球数に相当する前述した「持ち球数」と、パチンコ遊技機1での遊技による獲得球数から消費球数を減算した遊技球数(「差玉数」)に関する球数とが表示される。
持ち球数は、球貸し操作に応じて後述する貸出ユニット76(専用ユニット)に対する球貸し操作に応じて貸し出された遊技球(貸球)の球数を加算し、ハンドル4の操作によって発射された遊技球(発射球)の球数をその発生毎に減算し、遊技に応じて付与された分の遊技球数(賞球)をその発生毎に加算することで算出計数される球数である。また後述するように、持ち球数は、遊技者が計数ボタン18dを操作することに応じて、貸出ユニット76の記憶媒体へと移動する。一方で、差玉数は、パチンコ遊技機1における稼働開始から稼働終了までの間に行われる遊技による獲得球数(セーフ)の総数および消費球数(アウト)の総数の関係で、「獲得球数-消費球数」の計算式により算出される球数である。
【0021】
なお、パチンコ遊技機1と持ち球数に関する通信を行う貸出ユニット76は、
図1に示すように、遊技店内でパチンコ遊技機1の左側方に隣接配置され、紙幣を投入する投入口231や、ICカード等の記憶媒体を挿脱する挿脱口232を備えていると共に、遊技者が操作可能な球貸ボタン251、返却ボタン252、及び再プレイボタン253と、残金額や計数済みの持ち球数を表示するユニット表示器254を備えている。この貸出ユニット76の内部には、貸出基板(SC基板、貸出制御基板)77(
図5A参照)が配置されている。貸出基板77は、パチンコ遊技機1の後述する枠制御基板150と電気的に接続されている。
貸出基板77は、持ち球数に関する持ち球情報や、遊技の結果に関する遊技情報や、不正行為が行われた可能性のある状態その他の異常状態等に関するセキュリティ情報等を、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)との間で通信したり、遊技店の管理装置(ホールコンピュータ)に出力したりする制御を実行する制御手段としてのCPUを備えている。また、貸出基板77は、この制御手段が実行するプログラム等を記憶するROM等を備えている。更に、貸出基板77は、前述した持ち球情報、遊技情報、セキュリティ情報等を記憶するRAMを備えている。
この貸出基板77は、投入口231に投入された紙幣を識別して、対応する金額情報をRAMに記憶すると共に、ユニット表示器254に表示する。
また、貸出基板77は、球貸ボタン251が操作されたことに応じて、RAMに記憶している金額情報を減算し、その金額の減算に合わせてユニット表示器254の表示金額を変更する。また、その減額分に対応する遊技球数の貸球を示す貸球信号をパチンコ遊技機1(枠制御基板150)に向けて出力する。この貸球信号を受けたパチンコ遊技機1(枠制御基板150)では、貸球信号に対応する貸球が遊技者の持ち球に加算される。
また、貸出基板77は、遊技者が計数した持ち球数を管理する。具体的には、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)で記憶された持ち球のうち、遊技者による後述する計数ボタン18dの計数操作に応じた遊技球数(計数済みの持ち球数)が、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)から貸出基板77に伝達される。この計数済みの持ち球数を貸出基板77で管理し、ユニット表示器254に表示する。なお、貸出基板77は、計数済みの持ち球数を、貸出ユニット76の内部に保持している記憶媒体(ICカード等)に記憶するか、或いは、この記憶媒体に関連付けてインターネット上の所定の外部サーバに記憶させるようになっている。そして、貸出基板77は、再プレイボタン253が操作された場合、その操作に対応する遊技球数分の持ち球を示す信号をパチンコ遊技機1(枠制御基板150)に出力し、パチンコ遊技機1で使用できる持ち球に変更する。この場合には、貸出基板77側で管理する持ち球数を減算し、その減算分の持ち球数を示す信号を出力する。この信号を入力したパチンコ遊技機1(枠制御基板150)は、その信号に対応する遊技球数分の持ち球を加算する。
また、貸出基板77は、返却ボタン252が操作されたことに応じて、貸出ユニット76の内部に保持している記憶媒体の一部を挿脱口232から露出させて持ち出し可能とする。遊技者が投入金額の全てを使い切らずに遊技を終了する場合は、この記憶媒体を遊技店内の交換機に挿入することで残金が返却される。また、遊技者がパチンコ遊技機1での計数操作によって計数した分の持ち球は、この記憶媒体と共に移動させることができる。
【0022】
計数ボタン18dは、操作台25の上面のうちハンドル4から離間する側(具体的には左側部であり、貸出ユニット76との隣接側)に設けられている。この計数ボタン18dは、パチンコ遊技機1(後述する枠制御基板150)で記憶する遊技者の持ち球(データ)の一部または全部を計数する(計数してその分を機外に移動させる)際、遊技者によって操作される。パチンコ遊技機1(枠制御基板150)は、この計数ボタン18dが操作されると、その時点で記憶している持ち球から、操作態様に応じた分を減算する。この場合に、持ち球の減算分が貸出ユニット76の貸出基板77に通知される。このように、計数ボタン18dを操作することにより、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)から貸出基板77へと遊技者の持ち球が移動する。
なお、パチンコ遊技機1(枠制御基板150)は、計数ボタン18dの短押し操作(例えば1000ms未満の押下操作)が計数センサ18e(
図5A参照)により検出されたことに応じて、1個の持ち球を貸出基板77側に移動させる。一方、計数ボタン18dの長押し(例えば1000msの押下操作)が計数センサ18eにより検出された場合には、125個の持ち球を貸出基板77側に移動させる。
【0023】
(遊技盤2)
図2に示すように、遊技盤2は、その盤面(前面)が遊技者の顔と略正対する位置となるように内枠16の上部に保持されている。この遊技盤2は、前面枠18の前述した透明窓板18bにより、前方から透視可能に覆われている。この遊技盤2の盤面の外周側には、遊技球が流下(転動)する領域である遊技領域3を内周側に区画形成する環状の遊技領域形成手段(レール部材17等)が配置されている。なお、遊技盤2の盤面左側部ではレール部材17が左右2列となっており、その内側に形成される発射球誘導通路17aを発射球が上昇移動して遊技領域3に至るようになっている。この場合に発射球は、左側(外側)のレール部材17に案内されて遊技領域3の上部領域に到達する。
【0024】
また、図示省略するが、遊技盤2の盤面のうち遊技領域3の範囲には複数の遊技釘が打ち込まれている。このため、遊技領域3を流下する遊技球は遊技釘に接触してその挙動が変化する。遊技球は、遊技領域3を流下する過程で後述する入球口(入賞口)に入球するか、または入球せず遊技領域3を下端まで流下してアウト口19から遊技領域3外(内枠16側)へと排出される。アウト口19は遊技領域3に複数設けられており、その一つが遊技領域3の下端に位置している。
【0025】
ここで、遊技盤2の盤面の中央側に、大型のセンター装飾体20が配置されて、レール部材17等の遊技領域形成手段から内側に離間している。このセンター装飾体20は環状あるいは枠状であり、遊技盤2の略中央に形成されている大型の開口(図示せず)の縁に沿って取り付けられている。そして、遊技盤2の背後に位置する演出表示装置7(演出表示手段)の画面(前面、例えば液晶パネル)の略全体が、センター装飾体20の内側開口を通じて盤面前側に露出し、パチンコ遊技機1の正面視では、センター装飾体20が演出表示装置7の画面の周囲を装飾するように位置している。センター装飾体20は透光性を有し、その背後に設けられる複数のLEDが演出内容に応じて点灯・点滅する際、その光を前方に向けて透過させる。
なお、遊技盤2には、前述したセンター装飾体20内を含む複数箇所に発光手段(LED)が設けられており、その発光により遊技盤2を装飾するように構成されている。このように遊技盤2に設けられる装飾用の発光手段のことを、以下では「盤ランプ2a」と称することとする(
図5B参照)。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、更に発光色を変化させる。
【0026】
センター装飾体20は、遊技盤2の盤面より前側に環状(枠状)に突出しているので、遊技領域3を流下する遊技球がセンター装飾体20の内周側(画面の前方空間)に移動することが防止される。そしてこのセンター装飾体20により、遊技領域3がその上部で左右に分岐するように区画されている。すなわち、遊技領域3は、センター装飾体20の左側を流下する遊技球の経路である左遊技領域(第1の球流下領域)3Lと、センター装飾体20の右側を流下する遊技球の経路である右遊技領域(第2の球流下領域)3Rとを含む領域である。ここで、ハンドル4を操作して比較的強い発射強度で遊技球を発射した場合、その遊技球は遊技領域3の上縁に沿って飛翔し、右遊技領域3Rの上部に設けられる緩衝部21と接触(衝突)する。緩衝部21はゴム等の弾性部材により形成されているので、緩衝部21は遊技球との接触(衝突)で破損することなく当該遊技球の衝撃を緩和するように機能し、当該遊技球を速やかに右遊技領域3Rの下流側へと流下させる。
なお、遊技盤2の盤面右側部には、右遊技領域3Rの前側を覆う透明なカバーが設けられて、このカバーと盤面との間に遊技球の流路が形成されているが、
図2では省略している。
【0027】
遊技盤2には、
図2に示すように、第1始動入賞装置10と、一般入賞部材11と、第2始動入賞装置12と、ゲート13と、第1大入賞装置14と、第2大入賞装置15とが配置されている。これらの構成は、遊技領域3を流下する遊技球が入球可能な入球口(後述)を有している。また、第2始動入賞装置12、第1大入賞装置14及び第2大入賞装置15は、その入球口(第2始動口12a、第1大入賞口14a、第2大入賞口15a)への遊技球の入球し易さを変化させることが可能な可変入球手段として機能する。
以下の説明では、遊技領域3に存在する複数の入球口のうち、遊技球の入球に対して賞球を付与可能な入球口として定められているものを「入賞口」と称することがある。なお、入賞口への遊技球の入球のことを「入賞」と表現してもよい。また、入球口(入賞口)の一種である「始動口」とは、遊技球の入球が後述する特別図柄の変動表示の契機となる入賞口のことである(契機口と称してもよい)。この始動口への入球のことを「始動入球(始動入賞)」と表現することができる。
【0028】
第1始動入賞装置10は、センター装飾体20の下方領域の中央部に、遊技盤2の盤面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。この第1始動入賞装置10は、第1始動口10a及び第1始動口センサ10bを有する入賞装置(入賞部)である。第1始動口10aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。第1始動口センサ10b(
図5A参照)は、第1始動口10aに入球(始動入球)した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、第1始動口10aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞路(図示せず)の途中に配置されている。第1始動入賞装置10は、第1始動口10aを常に入球可能な状態に維持するように構成されており、第1始動口10aへの入球し易さや開口寸法を変化させる部材は備えていない。
【0029】
一般入賞部材11は、センター装飾体20の下方領域のうち左寄りの位置に、遊技盤2の盤面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。この一般入賞部材11は、一般入賞口11a及び一般入賞口センサ11bを有する入賞装置(入賞部)である。一般入賞口11aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。一般入賞口センサ11b(
図5A参照)は、一般入賞口11aに入球した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、一般入賞口11aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞路(図示せず)の途中に配置されている。一般入賞部材11は、一般入賞口11aを常に入球可能な状態に維持するように構成されており、一般入賞口11aへの入球し易さや開口寸法を変化させるような部材は備えていない。
【0030】
ゲート13(作動口)は、センター装飾体20の右方領域に、遊技盤2の盤面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。このゲート13には、通過する遊技球を検出するゲートセンサ13a(
図5A参照)が配置されている。なお、ゲート13は、遊技球が遊技領域3内で上下方向(上から下)に通過(入球)可能に構成されている。
【0031】
第2始動入賞装置12は、センター装飾体20の右方であってゲート13のやや下側に配置されている。この第2始動入賞装置12は、第2始動口12a、普通作動部材(作動部材)12b、第2始動口センサ12c(
図5A参照)及び普電ソレノイド12d(
図5A参照)を有する入賞装置(入賞部)であり、遊技盤2の盤面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。第2始動口12aは、遊技領域3内で左上方に向けて開口している。第2始動口センサ12cは、第2始動口12aに入球(始動入球)した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、第2始動口12aに配置されている。普通作動部材12bは、傾斜面状の上面を有する板状部材であり、後側の通常姿勢(第1姿勢、入球阻止姿勢)と前側の補助姿勢(第2姿勢、入球許容姿勢)との間で前後にスライド可能に構成されている。普電ソレノイド12dは、普通作動部材12bと連結されており、消磁状態(非作動状態)において普通作動部材12bを通常姿勢に維持すると共に、励磁状態(作動状態)において普通作動部材12bを補助状態に維持する。そして、通常姿勢の普通作動部材12bは、遊技盤2の盤面よりも後側に位置して上方(ゲート13側)からの遊技球を受けることなく下方へ通過させる。一方で、補助姿勢の普通作動部材12bは、遊技盤2の盤面よりも前側に位置して上方(ゲート13側)からの遊技球を受け、上面を傾斜に沿って転動させる状態となることで第2始動口12aへの入球(始動入球)を補助する。すなわち、第2始動入賞装置12に設けられる第2始動口12aは、遊技球の入球し易さが普通作動部材12bの姿勢に応じて変動する入球口(可変入球口、可変始動口)である。
この第2始動口12aについて、実際には開口寸法が変化しているわけではないが、便宜上、普通作動部材12bが通常姿勢となっていて遊技球が入球し得ない状態を「閉鎖状態」と表現し、当該閉鎖状態に変化することを「閉鎖する」と表現してもよい。また、普通作動部材12bが補助姿勢となっていて遊技球が入球し得る状態を「開放状態」と表現し、当該開放状態に変化することを「開放する」と表現してもよい。
【0032】
第1大入賞装置14は、右遊技領域3Rの下部(第2始動入賞装置12に対して下方)に、遊技盤2の盤面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。この第1大入賞装置14は、第1大入賞口14a(特別入賞口、特別入球口)、第1特別作動部材14b、第1大入賞口センサ14c(
図5A参照)及び第1特電ソレノイド14d(
図5A参照)を有する入賞装置(入賞部)である。第1大入賞口14aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。第1大入賞口センサ14cは、第1大入賞口14aに入球した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、第1大入賞口14aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞路(図示せず)の途中に配置されている。第1特別作動部材14bは、傾斜面状の上面を有する板状部材であり、前側の入球阻止姿勢(第1姿勢)と後側の入球許容姿勢(第2姿勢)との間で前後にスライド可能に構成されている。第1特電ソレノイド14dは、第1特別作動部材14bと連結されており、消磁状態(非作動状態)において第1特別作動部材14bを入球阻止姿勢に維持すると共に、励磁状態(作動状態)において第1特別作動部材14bを入球許容姿勢に維持する。そして、入球阻止姿勢の第1特別作動部材14bは、遊技盤2の盤面よりも前側に位置して第1大入賞口14aを閉鎖することで第1大入賞口14aへの遊技球の入球を阻止し、遊技球を傾斜上の上面によって下流側(左下方)へと流下させる。一方で、入球許容姿勢の第1特別作動部材14bは、遊技盤2の盤面よりも後側に位置して第1大入賞口14aを開放し、第1大入賞口14aへの遊技球の入球を許容する。すなわち、第1大入賞装置14に設けられる第1大入賞口14aは、その開口寸法が変動する(遊技球の入球し易さが姿勢に応じて変動する)入賞口(可変入球口)である。
この第1大入賞口14aについて、以下の説明では、第1特別作動部材14bが入球阻止姿勢となっていて遊技球が入球し得ない状態を「閉鎖状態」と表現し、当該閉鎖状態に変化することを「閉鎖する」と表現することがある。また、第1特別作動部材14bが入球許容姿勢となっていて遊技球が入球し得る状態を「開放状態」と表現し、当該開放状態に変化することを「開放する」と表現することがある。
【0033】
第2大入賞装置15は、右遊技領域3Rの上部(第2始動入賞装置12に対して上方)に、遊技盤2の盤面から前側(透明窓板18b側)に突出するように設けられている。この第2大入賞装置15は、第2大入賞口15a(特別入賞口、特別入球口)、第2特別作動部材15b、第2大入賞口センサ15c(
図5A参照)及び第2特電ソレノイド15d(
図5A参照)を有する入賞装置(入賞部)である。第2大入賞口15aは、遊技領域3内で上方に向けて開口している。第2大入賞口センサ15cは、第2大入賞口15aに入球した遊技球を検出するセンサ(検出手段)であり、第2大入賞口15aに入球した遊技球を遊技盤2の後面側に導く入賞路(図示せず)の途中に配置されている。第2特別作動部材15bは、傾斜面状の上面を有する板状部材であり、前側の入球阻止姿勢(第1姿勢)と後側の入球許容姿勢(第2姿勢)との間で前後にスライド可能に構成されている。第2特電ソレノイド15dは、第2特別作動部材15bと連結されており、消磁状態(非作動状態)において第2特別作動部材15bを入球阻止姿勢に維持すると共に、励磁状態(作動状態)において第2特別作動部材15bを入球許容状態に維持する。そして、入球阻止姿勢の第2特別作動部材15bは、遊技盤2の盤面よりも前側に位置して第2大入賞口15aを閉鎖することで第2大入賞口15aへの遊技球の入球を阻止し、遊技球を傾斜上の上面によって下流側(左下方)へと流下させる。一方で、入球許容姿勢の第2特別作動部材15bは、遊技盤2の盤面よりも後側に位置して第2大入賞口15aを開放し、第2大入賞口15aへの遊技球の入球を許容する。すなわち、第2大入賞装置15に設けられる第2大入賞口15aは、その開口寸法が変動する(遊技球の入球し易さが姿勢に応じて変動する)入賞口(可変入球口)である。
この第2大入賞口15aについて、以下の説明では、第2特別作動部材15bが入球阻止姿勢となっていて遊技球が入球し得ない状態を「閉鎖状態」と表現し、当該閉鎖状態に変化することを「閉鎖する」と表現することがある。また、第2特別作動部材15bが入球許容姿勢となっていて遊技球が入球し得る状態を「開放状態」と表現し、当該開放状態に変化することを「開放する」と表現することがある。
【0034】
また、第2大入賞装置15の内部の入賞路には、第2大入賞口15aに入球した遊技球が通過(入球)可能な特定領域が形成されており、第2大入賞口15aに入球した遊技球は特定領域を介して遊技盤2の後面側に排出されるようになっている。そして、入賞路には、前述した第2大入賞口センサ15cの他に、特定領域を通過(入球)する遊技球を検出する特定領域センサ55a(
図5A)が設けられている。本実施形態では、後述の小当たり状態中の特定領域への遊技球の通過が、後述のV当たり状態への移行(後述の2種大当たり状態への発展)の契機となっている。
【0035】
ところで、パチンコ遊技機1は、前述したハンドル4の操作に応じて遊技球の発射強度を調節することが可能であるので、発射強度の調節によって遊技球を左遊技領域3Lと右遊技領域3Rとに打ち分けることができる。本実施形態では、前述の盤面構成により、左遊技領域3Lに向かって発射(以下「左打ち」という)した遊技球が、左遊技領域3Lに設けられる入球口(第1始動口10a、一般入賞口11a)に入球する可能性がある。一方、右遊技領域3Rに向かって発射(以下「右打ち」という)した遊技球は、右遊技領域3Rに設けられる入球口(ゲート13、第2始動口12a、第1大入賞口14a、第2大入賞口15a)に入球する可能性がある。
【0036】
この他、
図2に示すように、遊技盤2の下端部(遊技領域3の下方)には、各種の遊技情報を表示する遊技情報表示手段である表示器類50(後述)が設けられている。
【0037】
(球循環機構30)
次に、内枠16のうち遊技盤2を保持する範囲よりも下側範囲に備えられる球循環機構30について、
図3及び
図4を参照しつつ説明する。球循環機構30は、機内部で所定個数(例えば45個)の遊技球(循環球)を循環させるための機構であり、
図3に示すように、集合部31と、回収部32と、球揚送部34と、発射待機部35と、球送り部36と、返戻部38と、実射センサ37(減算センサ、減算検出手段)と、循環球受け皿39とを備えており、回収部32には回収センサ33、返戻部38にはファール球センサ38aが配置されている。
【0038】
集合部31は、上方(遊技盤2の後面)から落下してくる遊技球を受け入れるよう、上方に開口する凹溝状に形成されている。集合部31の底面は、左右方向の両端側から中央側に向けて下方傾斜しており、その下流端となる中央側が下方に向けて開口している。集合部31は、遊技領域3に設けられる複数の入賞口(前述)の何れかに入球して遊技領域3外(遊技盤2の後面側)に排出された遊技球と、アウト口19を介して遊技領域3外(遊技盤2の後面側)に排出された遊技球とを底面上で集合させ、その底面の開口から落下させることで、回収部32へと導く。
【0039】
回収部32は、遊技球が一列で流下可能な回収通路R1を内部に形成しており、この回収通路R1の上流端部は前述した集合部31の底面の開口に接続している。回収通路R1の途中には回収センサ33が配置されており、回収通路R1を通過する遊技球が回収センサ33によって1個ずつ検出されるようになっている。すなわち、遊技領域3を流下する遊技球は、入賞口(前述)に入球するかアウト口19から排出されるかに関わらず、集合部31で集合し、回収部32の回収通路R1に流入して一列となり、回収センサ33によって1個ずつ検出される。なお、球循環機構30で遊技球が正常に循環されている場合、遊技者によるハンドル4の操作に伴う遊技球の発射回数(実射回数、後述する実射センサ37による検出数)が、その後に回収センサ33で検出される遊技球数と一致することになる。この回収部32の下流端部は、縦長箱状の球揚送部34の下部に接続している。これにより、回収通路R1を通過した遊技球は、球揚送部34の下部に流入する。
【0040】
球揚送部34は、上下方向に延在する揚送通路R2を内部に形成しており、この揚送通路R2の下端部は前述した回収部32の回収通路R1に接続している。また、球揚送部34には、揚送通路R2に沿うように、上下に延在する円柱状の揚送軸34aが回転可能に収容されている。揚送軸34aは、外周面に螺旋状の球保持片34bが形成され、揚送モータ34c(
図5A参照)の正逆回転に応じて正逆回転する。ここで、揚送モータ34cの正回転に伴い、揚送軸34aの下端側で球保持片34bに保持された遊技球が揚送通路R2を上昇移動するように構成されている。この球揚送部34は、上端部が発射待機部35に接続しており、揚送通路R2の上端部が発射待機部35内に連通している。つまり、揚送軸34aの正回転によって揚送通路R2内を上昇移動した遊技球は、発射待機部35の内部に導かれる。一方、球循環機構30からの球抜きを行う場合には、遊技店員等が後述する所定の操作を行って揚送モータ34cを逆回転させることで、揚送通路R2内の遊技球が下降移動し、排球口34dから後述する循環球受け皿39に排出される。
【0041】
循環球受け皿39は、球抜き操作によって球循環機構30の排球口34dから排出される遊技球(循環球)を全て収容可能に構成されている。この循環球受け皿39は、球循環機構30に対して容易に着脱可能となっているので、球抜きされた遊技球を一度に持ち運ぶのに便利である。なお、球循環機構30内に遊技球を戻す場合は、必要数の遊技球を収容した循環球受け皿39の先細り状の端部(供給口)を遊技領域3下端部のアウト口19に近づけて遊技球を流し込むようにする。
【0042】
発射待機部35は、右端部から左端部に向けて下方傾斜する発射待機通路R3を内側に形成しており、その上流側が右方に向けて開口して、この開口に前述した揚送通路R2が接続している。また、発射待機通路R3の下流側は前方に向けて開口しており、この開口に、後述する球送り部36の内部通路R4の上流端部が接続している。
【0043】
球送り部36は、
図3に示すように発射待機部35の左部を前側から覆うように配置された箱状部材(
図4参照)であり、その内部に内部通路R4が形成されていると共に、球送り部材36c及び球送りソレノイド36bが取り付けられている。内部通路R4は、遊技球が一列で通過する通路幅で形成されており、その上流端部(右端部)が前述した発射待機通路R3に連通していると共に、下流端部(左端部)に対向して球送り部材36cが配置されている。また、この内部通路R4の下流端部の下方に、前後方向に貫通する(球送り部36からの遊技球の)出口36aが形成されている。球送り部材36cは、
図4に示すように、正面視での左端部を軸として、遊技球を1個保持可能な右端側(コ字状の部分)が上下に揺動可能に構成されている。この球送り部材36cは、揺動上端位置にある時に、内部通路R4の下流端部からの遊技球を受け取ることが可能であり、その受け取った遊技球を、揺動下端位置への移動によって球送り部36の出口36aに送り出すことが可能である。
【0044】
また、球循環機構30には、球送り部36によって覆われる範囲に、発射槌90aや発射レール29が設けられている。発射槌90aは、発射モータ91の駆動に伴う発射動作により、球送り部36の球送り部材36cが打球位置29aに1個ずつ供給する遊技球を遊技領域3に向けて発射するように構成されている。なお、打球位置29aは、発射槌90aによる打撃対象となる遊技球の停止位置であり、左上がりに設けられた発射レール29(
図3参照)上の右下端部(下流端部)に設けられている。打球位置29aの遊技球は、発射槌90aによる打撃を受けて発射レール29上を摺動し、その延長方向(左上方)へと飛翔して遊技盤2の発射球誘導通路17a(
図3参照)へと進入し、その先で遊技領域3へと流入する。
このような構成により、発射待機部35の発射待機通路R3を流れた遊技球は一列で球送り部36の内部通路R4に流入し、球送りソレノイド36b(
図4、
図5A参照)の駆動に伴う球送り部材36cの動作により、球送り部36の出口36aから1個ずつ打球位置29aに供給され、発射モータ91の駆動に伴う発射槌90aの動作により、発射レール29から発射球誘導通路17aを介して遊技領域3へと移動する。
【0045】
発射レール29からの遊技球の移動先側(本実施形態では、発射球誘導通路17aの入口近傍)に、実射センサ37が配置されている。この実射センサ37は、打球位置から遊技領域3に向けて移動する遊技球(すなわち、実際に発射された遊技球)を検出するように設けられている。ここで、パチンコ遊技機1では、実射センサ37による1回の検出を1個の消費球数の発生に相当するものとして判断するように制御を行う。つまり、実射センサ37による1回の検出が発生すると、パチンコ遊技機1(後述する枠制御基板150)において記憶する持ち球数のカウント値が1個分減算される。
【0046】
図3に示すように、発射レール29と遊技盤2(発射球誘導通路17a)とは離間しており、そのスペースの下側に返戻部38が設けられている。この返戻部38は、発射槌90aに発射され飛翔したものの遊技領域3まで到達できなかった遊技球を球揚送部34に誘導するためのファール球通路R5を形成している。ファール球通路R5は、発射レール29及び遊技盤2(発射球誘導通路17a)の間から下方に向けて延び、そこから僅かに後方へ延びて、更に右下方に向けて延びた先で、揚送通路R2に接続している。このファール球通路R5の途中位置には、ファール球通路R5を通過する遊技球(ファール球)を検出するファール球センサ38aが設けられている。なお、ファール球(ファール球センサ38aによる検出)が発生すると、パチンコ遊技機1(後述する枠制御基板150)において記憶する持ち球数のカウント値が1個分加算される(持ち球が1個戻される)。
【0047】
[パチンコ遊技機1の主な電気的構成]
次に、
図5A及び
図5Bを参照し、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について説明する。パチンコ遊技機1には、複数の制御基板や装置等が設けられている。制御基板には、主制御基板60(第1制御手段、遊技制御基板)、電源基板70、枠制御基板150(枠側制御手段、外部出力手段、球数制御基板、所定の制御基板)、発射制御回路75、音声制御基板78、ランプ制御基板79、サブ制御基板100(第2制御手段、演出制御手段)、画像制御基板200等がある。ここで、遊技盤2に取り付けられた主制御基板60(第1制御基板)及びサブ制御基板100(第2制御基板)と、内枠16に取り付けられた枠制御基板150(枠側制御基板)とがあり、主制御基板60がサブ制御基板100及び枠制御基板150と電気的に接続するように構成されている。
これらの各制御基板は、透明な合成樹脂製の基板ケースに収容された状態でパチンコ遊技機1の後面側に配置される。但し、主制御基板60、音声制御基板78、ランプ制御基板79、サブ制御基板100、画像制御基板200については、遊技盤2の後面側に設置される一方、電源基板70、枠制御基板150、発射制御回路75については、内枠16の後面側に設置されているという違いがある。この構成により、内枠16の後面側に設置される電源基板70、枠制御基板150、発射制御回路75は、パチンコ遊技機1の遊技盤2を交換する場合にも、新たな遊技盤2との組み合わせによる流用が可能となる。
【0048】
(主制御基板60)
主制御基板60は、その基板ケースが図示しない封印シールによって封印された状態で、遊技盤2の後面側に設置されている。封印シートには、主制御基板60の管理番号等といった固有の識別番号(以下「チップ番号」と称する)を記憶するICチップとそのアンテナ回路が埋設されている。従って、遊技店の店員等の点検作業者は、リーダ装置を使って当該封印シールのICチップから識別情報を読み取り、点検を行うことが可能である。
【0049】
図5Aに示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM(RWM)64と、入出力回路65とを備えている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、普図当たり乱数、普図当たり種別乱数等、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生する。CPU62は、入球の検出、特図当たり判定、普図当たり判定、各種乱数の更新等を実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム等が記憶されている。例えば、後述する当否判定テーブルT1、大当たり種別判定テーブルT2,T3、小当たり種別判定テーブルT4、リーチ判定テーブルT5,T6、特図変動パターン選択テーブルT7,T8、普図当たり種別判定テーブルT10等の各種のテーブルは、このROM63に記憶されている。RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。
【0050】
ROM63には、内枠16(遊技機枠)の枠制御基板150(枠制御用マイコン151)と遊技盤2側の主制御基板60との組み合わせに関する各判定(後述する主枠判定)で用いられる「比較情報(主比較情報)」が記憶されている。以下、ROM63における比較情報の記憶領域を「主比較情報記憶部63a」と称する(
図5A参照)。この比較情報は、適宜のタイミングで後述する枠制御基板150に通知される。
この他、ROM63には、パチンコ遊技機1に固有の識別情報である「遊技機設置情報」が記憶されている。遊技機設置情報は、例えば、主制御基板60、遊技盤2或いはパチンコ遊技機1についての管理番号等の情報(前述したICチップの記憶データに含まれる識別情報)等を含んでいる。遊技制御用マイコン61は、電源投入時の初期設定が終了するタイミングで、ROM63から遊技機設置情報を読み出し、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)等に向けて出力する。このため、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)は、遊技機設置情報の入力により、遊技制御用マイコン61の電源投入時処理の完了を特定できると共に、固有情報の確認を行うことができる。
【0051】
また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、ベース値記憶部64cとが設けられている。
【0052】
第1特図保留記憶部64aは、第1乃至第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第1特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第1始動口10aに入球したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数等の値(始動入賞情報)が記憶される。例えば第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示しているときに遊技球が第1始動口10aに入球すると、その入球に基づく第1特図の変動表示の実行はその時点では待機状態とされる。この場合、当該入球を契機として取得された始動入賞情報が第1特図保留記憶部64aに記憶され、その後に変動開始が可能となった時に、その始動入賞情報に基づく第1特図の変動表示が開始される。すなわち、第1始動口10aへの入球を契機として始動入賞情報が取得されたタイミングで特図変動表示を開始できない場合、その始動入賞情報に基づく第1特図の変動表示の実行は、変動開始条件(始動条件)が成立するまで保留(作動保留)される。
【0053】
第2特図保留記憶部64bは、第1乃至第2記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第2特図保留数は最大2個である。各記憶領域には、遊技球が第2始動口12aに入球したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、リーチ乱数及び変動パターン乱数等の値(始動入賞情報)が記憶される。例えば第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示しているときに遊技球が第2始動口12aに入球すると、その入球に基づく第2特図の変動表示の実行はその時点では待機状態とされる。この場合、当該入球を契機として取得された始動入賞情報が第2特図保留記憶部64bに記憶され、その後に変動開始が可能となった時に、その始動入賞情報に基づく第2特図の変動表示が開始される。すなわち、第2始動口12aへの入球を契機として始動入賞情報が取得されたタイミングで特図変動表示を開始できない場合、その始動入賞情報に基づく第2特図の変動表示の実行は、変動開始条件(始動条件)が成立するまで保留(作動保留)される。
このように、本実施形態では、第2特図保留数が最大2個であり、第1特図保留数(最大4個)よりも少なくなっている。すなわち、第2特図保留記憶部64bにより記憶可能な始動入賞情報の数(第2特図保留数の最大数、記憶領域の数)が、第1特図保留記憶部64aにより記憶可能な始動入賞情報の数(第1特図保留数の最大数、記憶領域の数)よりも少なく設定されている。なお、第2特図保留数を最大4個(第1特図保留数の最大数と同数)としてもよいし、最大1個としてもよい。また、第2特図保留記憶部64bによる第2特図の保留機能をなくし、特図変動表示中や大当たり遊技状態中ではない期間に第2始動口12aへの入球が発生した場合にのみ第2特図の始動入賞情報を取得して特図当たり判定を行ってもよい。
【0054】
大当たり乱数等の始動入賞情報は、作動保留の発生順、つまり、遊技制御用マイコン61による取得順に第1特図保留記憶部64a及び第2特図保留記憶部64bの各第1記憶領域から順番に記憶される。このため例えば、第1特図保留記憶部64aにおいて始動入賞情報が第1乃至第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されている始動入賞情報が時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報が時間的に最も古い情報である。また例えば、第2特図保留記憶部64bにおいて始動入賞情報が第1乃至第2記憶領域まで記憶されている場合は、第2記憶領域に記憶されている始動入賞情報が時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報が時間的に最も古い情報である。各記憶領域に記憶されている始動入賞情報は、特別図柄の変動表示が1回終了する毎に、記憶の順番が古い方の記憶領域に1つずつシフトする。例えば、第2記憶領域に記憶されていた大当たり乱数等は第1記憶領域にシフトする。また、第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報に基づく特図当たり判定等の判定(抽選)は、特別図柄表示器による特別図柄の当該変動表示が終了し、次の変動表示の開始タイミングが到来した際(変動表示の始動条件が成立した際)に実行される。
【0055】
なお、パチンコ遊技機1では、前述したように第2特図保留数の消化が第1特図保留数の消化に優先して実行される。つまり、第1特図保留数と第2特図保留数とが何れも複数存在する場合、先ず第2特図保留数が順に消化され、次に第1特図保留数が順に消化される。例えば、第1特図保留記憶部64aの第1記憶領域と、第2特図保留記憶部64bの第1記憶領域とに始動入賞情報が記憶されている状態で、特図の変動表示の開始タイミングが到来した場合は、第2特図保留記憶部64bの第1記憶領域に記憶されている始動入賞情報が実行エリア(実行対象領域)にシフトし、この始動入賞情報に基づく特図当たり判定等の判定が実行される。一方でこの時、第1特図保留記憶部64aでは第1記憶領域の始動入賞情報はシフトされず、その後に第2特図保留数が0の状態での特図の変動表示の開始タイミング到来時になると実行エリア(実行対象領域)にシフトして、この始動入賞情報に基づく特図当たり判定等の判定が実行される。
【0056】
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1は、普通図柄表示器53での普図変動表示中に遊技球がゲート13を通過したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した情報(作動入球情報)を保留記憶するための記憶部(記憶領域)を備えていない。すなわち、普通図柄表示器53で普通図柄を変動表示しておらず、かつ補助遊技をしていない(普通作動部材12bを作動していない)状態で(後述するゲート入球フラグがOFFの時に)遊技球がゲート13を通過した場合にのみ、普図当たり乱数(普通図柄が当たりか否かを判定(抽選)するための乱数)や普図当たり種別乱数(普図当たりの種類を決定するための乱数)等の値(作動入球情報)が取得され、その取得された乱数値(作動入球情報)を契機とする普図当たり判定が実行されて、その普図当たり判定の結果に基づく内容の普図変動表示が普通図柄表示器53で実行される。
【0057】
ベース値記憶部64cは、遊技制御用マイコン61において算出されるベース値を記憶するための記憶領域である。なお、ベース値とは、非時短遊技状態(通常遊技状態)中の出玉率のことであり、非時短遊技状態中の獲得球数÷非時短遊技状態中の消費球数×100の計算式で算出される。ここで、遊技制御用マイコン61は、遊技領域3に設けられる各入賞口への入賞に対して付与された賞球数の合計により、獲得球数を算出する。また、遊技領域3に設けられる各入賞口への入賞球数と、複数のアウト口19による排出球数とに基づいて、消費球数を算出する。これに対し、後述する回収センサ33や実射センサ37による検出に応じて消費球数を計数するようにしてもよい。なお、本実施形態では回収センサ33や実射センサ37が枠制御基板150に接続されているので、これらのうち何れかのセンサの検出に応じて消費球数を計数する場合は、そのセンサを遊技制御用マイコン61に接続するか、そのセンサの検出を枠制御基板150に通知させるようにする。
ここで、本実施形態では、主制御基板60のベース値記憶部64cに記憶されているベース値を含むベース値コマンドを枠制御基板150に送信することにより、遊技制御用マイコン61が算出したベース値を、枠制御基板150に設けられる性能表示モニタ183において表示可能に構成されている。
【0058】
また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。
表示器類50は、
図5Aに示すように、第1特別図柄(第1特図または特
図1ともいう)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図または特
図2ともいう)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。更に、表示器類50は、第1特別図柄表示器51での第1特図の作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器51aと、第2特別図柄表示器52での第2特図の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器52aとを備える。なお、本実施形態では、普通図柄表示器53での普通図柄の作動保留を記憶する記憶部が設けられていない(普図変動表示が行われていない状態に限り、ゲート13への遊技球の通過を契機として作動入球情報を取得し、普図当たり判定用に記憶する)ため、当該普通図柄の作動保留の記憶数を表示する表示器も備えていない。これに対し、普通図柄の作動保留を記憶する記憶部(普図保留記憶部)と、その記憶数を表示する表示器(普図保留表示器)とを備えるようにしてもよい。
以下、第1特図及び第2特図に共通の事項を説明する際に、単に特別図柄または特図という場合がある。また、第1特別図柄表示器51及び第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という場合がある。
【0059】
普通図柄表示器53は、例えば2個のLEDから構成されている。点灯したLED及び消灯したLEDが普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート13(ゲートセンサ13a)を通過すると、所定の入球口(本実施形態では第2始動口12a)を開放するか否かの判定(普図当たり判定)が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普図当たり判定の結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、第2始動入賞装置12の普通作動部材12bが入球許容姿勢となることで、第2始動口12aが開放して普図当たり状態(後述する補助遊技)が発生する。
【0060】
各特別図柄表示器51,52は、それぞれ複数のLEDにより構成されている。各特別図柄表示器51,52を構成する各LEDは、それぞれ所定の点灯パターンにて点灯し、点灯しているLED及び消灯しているLEDの組み合わせが特別図柄を表しており、点灯するLED及び消灯しているLEDの組み合わせが変化している状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。
【0061】
遊技球が第1始動口10aに入球すると、当たり(大当たり)か否かを判定する特図当たり判定(内部判定、大当たり判定、小当たり判定等と称することもある)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特図の変動表示を開始してから所定の変動時間の経過後に、特図当たり判定の結果に対応する第1特図を確定表示する。第1特別図柄表示器51での新たな第1特図の変動表示の開始が禁止されているとき(第1特別図柄表示器51が第1特図を変動表示しているときや、大当たり遊技状態が発生しているとき)に、遊技球が第1始動口10aに入球した場合は、その入球を契機とする第1特別図柄表示器51での第1特図の変動表示が保留(作動保留)され、その作動保留の数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留数を第1特図保留数という。
【0062】
また、遊技球が第2始動口12aに入球すると、当たり(大当たり)か否かを判定する特図当たり判定(内部判定、大当たり判定、小当たり判定等とも称する)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特図の変動表示を開始してから所定の変動時間の経過後に、特図当たり判定の結果に対応する第2特図を確定表示する。第2特別図柄表示器52での新たな第2特図の変動表示の開始が禁止されているとき(第2特別図柄表示器52が第2特図を変動表示しているときや、大当たり遊技状態が発生しているとき)に、遊技球が第2始動口12aに入球した場合は、その入球を契機とする第2特別図柄表示器52での第2特図の変動表示が保留(作動保留)され、その作動保留の数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留数を第2特図保留数という。また、第1特図保留数及び第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。
【0063】
以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを1回の特図変動(または特別図柄の1回の変動)という。また、特図変動の実行によって特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留の消化という。パチンコ遊技機1では、特別図柄表示器の作動保留がその発生タイミングの時系列順に特別図柄の変動表示に用いられ、特図保留数が消化される。但し、第2特図保留数の消化が第1特図保留数の消化に優先して実行される(第2特図の変動表示が第1特図の変動表示よりも優先的に実行される)。なお、特別図柄表示器において特別図柄の変動表示が終了してから特図保留数の消化によって次の特別図柄の変動表示が開始されるまでの間に、所定の変動インターバル(特別図柄の停止時間)が設けられている。
【0064】
更に、主制御基板60には、第1始動口センサ10b、一般入賞口センサ11b、第2始動口センサ12c、第1大入賞口センサ14c、第2大入賞口センサ15c、ゲートセンサ13a、特定領域センサ55a、複数のアウト口センサ19a等の遊技球検出用のセンサが、中継基板74を介して電気的に接続されている。
【0065】
第1始動口センサ10bは、第1始動口10aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ11bは、一般入賞口11aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ12cは、第2始動口12aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。第1大入賞口センサ14cは、第1大入賞口14aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。第2大入賞口センサ15cは、第2大入賞口15aに入球した遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ13aは、ゲート13に入球した(通過している)遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。アウト口センサ19aは、アウト口19から排出される遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。これらのセンサのうち、入賞口に対応するセンサによって遊技球が検出されると、センサ毎に予め定めた個数の賞球の付与条件がそれぞれ成立する。
【0066】
ここで、本実施形態では、第1始動口センサ10bによる1回の検出(第1始動口10aへの入球1個)に対する賞球が「2個」と定められており、第2始動口センサ12cによる1回の検出(第2始動口12aへの入球1個)に対する賞球が「1個」と定められており、第1大入賞口センサ14cによる1回の検出(第1大入賞口14aへの入球1個)に対する賞球が「15個」と定められており、第2大入賞口センサ15cによる1回の検出(第2大入賞口15aへの入球1個)に対する賞球が「15個」と定められており、一般入賞口センサ11bによる1回の検出(一般入賞口11aへの入球1個)に対する賞球が「15個」と定められている。
【0067】
また、特定領域センサ55aは、第2大入賞装置15内部の特定領域を通過する遊技球を検出して検出信号を主制御基板60へ出力する。
【0068】
また、主制御基板60には、中継基板74を介して、普電ソレノイド12dと、第1特電ソレノイド14dと、第2特電ソレノイド15dとが電気的に接続されている。普電ソレノイド12dは、主制御基板60の制御に基づいて励磁され、普通作動部材12bを入球阻止姿勢から入球許容姿勢へと変更する。第1特電ソレノイド14dは、主制御基板60の制御に基づいて励磁され、第1特別作動部材14bを入球阻止姿勢から入球許容姿勢へと変更する。第2特電ソレノイド15dは、主制御基板60の制御に基づいて励磁され、第2特別作動部材15bを入球阻止姿勢から入球許容姿勢へと変更する。
【0069】
(枠制御基板150)
図5Aに示すように、枠制御基板150(枠側制御手段、球数制御手段)には、枠制御用ワンチップマイコン(以下、枠制御用マイコンという)151が実装されている。枠制御用マイコン151は、CPU152と、ROM160(記憶手段)と、RAM(RWM)170と、入出力回路153とを備えている。枠制御用マイコン151のCPU152は、遊技者による持ち球その他の遊技球数の管理、遊技状況に関する情報(例えば、始動入賞の回数、特図変動表示の実行回数、現在の遊技状態等)の管理、パチンコ遊技機1の性能に関する性能値の算出や表示、発射モータ91や球送りソレノイド36b、揚送モータ34cの駆動、貸出ユニット76(貸出基板77)との間での情報の送受信(信号の入出力)等を実行する。また入出力回路153を介して、扉開放センサ18c、実射センサ37、ファール球センサ38a、回収センサ33等からの検出信号を入力する。また、枠制御用マイコン151には、サブ制御基板100に実装されている後述するRTC(リアルタイムクロック)124からの時刻情報が入力されるようになっている。
【0070】
この枠制御基板150には、発射制御回路75を介して、発射機構90が電気的に接続されている。枠制御基板150は、発射機構90の駆動制御を制限または停止すべき事由(発射阻止事由)が生じていない場合(発射可能状態の時)、発射制御回路75に発射許可信号を出力する。また、発射阻止事由が生じている場合には、その発射阻止事由に応じて、発射許可信号を停止して空打ち信号を出力するか、または、発射許可信号及び空打ち信号の両方を停止する(後述する)。
この発射制御回路75と電気的に接続されている発射機構90は、球送り部36(内部通路R4)の遊技球を1個ずつ打球位置に送るための球送り部材36cを駆動する球送りソレノイド36bと、打球位置29aにある遊技球を打撃して発射する発射槌90aを駆動する発射モータ91と、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するタッチスイッチ92と、発射レバー4aの回転に伴う変位量に応じて発射槌90aが遊技球を打撃する強度を調節する発射ボリューム93とを備えている。発射制御回路75は、発射許可信号と、遊技者のハンドル4への接触を示すタッチスイッチ92からの信号とを入力する状態で、発射ボリューム93の変位量に応じた打撃強度で発射槌90aを駆動するように発射モータ91を制御すると共に、球送りソレノイド36bの駆動により打球位置に1個ずつ遊技球を供給して、定期的に(例えば600ms間隔で)遊技球を発射させる。一方で、発射制御回路75は、発射許可信号を入力していない状態(後述する遊技不能状態)では発射モータ91および球送りソレノイド36bの駆動を停止する。
【0071】
この他、枠制御基板150には、前面枠18の開放状態を検出する扉開放センサ18c、計数ボタン18dの操作を検出する計数センサ18e、前述した持ち球数や差玉数(特定差玉数)を表示する遊技球数表示器26、球循環機構30を構成する電気部品(揚送モータ34c、回収センサ33、実射センサ37、ファール球センサ38a)等が電気的に接続されていると共に、接続端子盤80を介して貸出ユニット76の貸出基板77が電気的に接続されている。
【0072】
枠制御用マイコン151のROM160には、CPU152が実行するコンピュータプログラムや、具体的な演出内容を決定するための各種の判定テーブル等が記憶されている。RAM170は、CPU152がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリ等として使用される。
【0073】
また、ROM160には、同じパチンコ遊技機1に対して設けられる枠制御用マイコン151と主制御基板60との組み合わせが適切か不適切かに関する各判定(後述する主枠判定)で、前述した「比較情報」と共に用いる「バージョン情報」が記憶されている。以下、ROM160におけるバージョン情報の記憶領域を「バージョン情報記憶部161」と称する(
図5A参照)。枠制御用マイコン151は、適宜のタイミングで遊技制御用マイコン61から受信するコマンドの情報(主比較情報)を、バージョン情報(基礎情報)との比較により判定する(後述する一次主枠判定)。
【0074】
また、RAM170には、遊技球数の分類毎の計数値(「抽出値」)や、その抽出値から算出された各種の「性能値」が記憶されている。以下、抽出値や性能値を記憶する記憶領域を「球数情報記憶部171」と称する。
この球数情報記憶部171は、
図6(a)に示すように、持ち球数記憶エリア172(持ち球数記憶手段)と、獲得球数記憶エリア174(獲得球数記憶手段)と、消費球数記憶エリア173(消費球数記憶手段)と、差玉数記憶エリア175(差玉数記憶手段)と、出玉率記憶エリア176(出玉率記憶手段)と、ベース値記憶エリア177(ベース値記憶手段)と、主制御ベース値記憶エリア178(主制御ベース値記憶手段)と、役物比率記憶エリア179(役物比率記憶手段)と、連続役物比率記憶エリア180(連続役物比率記憶手段)と、分間獲得球数記憶エリア181(分間獲得球数記憶手段)と、を有している。なお、獲得球数記憶エリア174や消費球数記憶エリア173のことを「抽出値記憶手段」と称し、抽出値から算出される性能値を記憶する各種の記憶エリアのことを「性能値記憶手段」と称することがある。
ここで、持ち球数記憶エリア172に記憶される持ち球数は、貸出ユニット76での貸球の発生毎にその球数を加算し、発射球の発生毎にその球数を減算し、賞球付与の発生毎にその球数を加算した値であり、計数ボタン18dの操作に応じて貸出ユニット76側(貸出基板77のRAM)に移動させることが可能である(この場合は移動分の球数が減算される)。
また、獲得球数記憶エリア174に記憶される獲得球数(抽出値)は、パチンコ遊技機1における稼働開始から稼働終了までの間に行われる遊技で獲得された球数(賞球)の総数(総獲得球数)や、遊技状態毎の獲得球数であり、賞球付与の発生に応じてその球数が記憶値に加算される。
また、消費球数記憶エリア173に記憶される消費球数(抽出値)は、パチンコ遊技機1における稼働開始から稼働終了までの間に行われる遊技で消費された球数(発射球=実射センサ37による検出数、但しファール球となった球数は除く)の総数(総消費球数)や、遊技状態毎の消費球数であり、遊技球の発射に応じてその球数が記憶値に加算される。
差玉数記憶エリア175に記憶される差玉数(性能値)は、パチンコ遊技機1における稼働開始から稼働終了までの間に行われる遊技による獲得球数(セーフ)の総数および消費球数(アウト)の総数の関係で、「獲得球数-消費球数」の計算式により算出される球数である。この差玉数記憶エリア175には、差玉数として、現在の差玉数である現在差玉数の他に、最高差玉数、最低差玉数、特定差玉数、最大差玉数が記憶される。
【0075】
図6(b)の曲線グラフは、遊技中の差玉数(現在差玉数)の変化(増減)の一例を表している。ここで、初期値(すなわち0個)を基準とした上昇方向(Y1方向)への最大変動値として算出される差玉数のことを「最高差玉数」と称し、初期値(すなわち0個)を基準とした下降方向(Y2方向)への最大変動値として算出される差玉数のことを「最低差玉数」と称する。また、現在差玉数及び最低差玉数の間の差分として算出される差玉数のことを「特定差玉数」と称し、最高差玉数及び最低差玉数の間の差分(差玉数の高低差の最大値)として算出される差玉数のことを「最大差玉数」と称する。これらの差玉数(現在差玉数、最高差玉数、最低差玉数、特定差玉数、最大差玉数)の記憶値は、前述した持ち球数と異なり、遊技者が遊技を終える際(計数ボタン18dが操作された際)にはクリアされず、遊技店員による差玉クリアボタン185の操作に基づいてリセットされる。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、獲得球数の増加により特定差玉数が(最大差玉数として)予め定めた「基準数」(95000個)に達した場合(獲得球数>消費球数が前提)に、遊技者が遊技を行うことが不可能な遊技不能状態(その日の遊技を終了した状態)に移行する(遊技停止処理を実行する)ように構成されている。このように、遊技店の営業日毎(稼働毎)にカウントされる特定差玉数(最大差玉数)に応じてパチンコ遊技機1で行われるその日の遊技が終了されることから、前述した差玉数に関する遊技球数の各記憶値を遊技店員がリセットする場合、その操作(状態復帰操作)は通常、営業時間(パチンコ遊技機1の稼働時間)の終了後に行うことと定められている。
【0076】
出玉率記憶エリア176に記憶される出玉率(性能値)は、前述した獲得球数及び消費球数の関係に基づき、「獲得球数÷消費球数×100」の計算式で算出される値である。
また、ベース値記憶エリア177に記憶されるベース値(性能値)は、非時短遊技状態(通常遊技状態)中における出玉率のことであり、「非時短遊技状態中の獲得球数÷非時短遊技状態中の消費球数×100」の計算式で算出される値である。
また、主制御ベース値記憶エリア178に記憶されるベース値(性能値)は、遊技制御用マイコン61が算出したベース値(遊技制御用マイコン61における前述したベース値記憶部64cに記憶された値であり、かつ遊技制御用マイコン61が送信したベース値コマンドが示す値)である。
また、役物比率記憶エリア179に記憶される役物比率(性能値)は、前述した獲得球数のうちで、可変入球口(第1大入賞口14a、第2大入賞口15a、第2始動口12a)の開放(すなわち、普通作動部材12b、第1特別作動部材14b、第2特別作動部材15bの作動)中(以下「役物作動中」と表現する)に獲得された球数(賞球)の割合のことであり、「役物作動中の獲得球数÷全ての状態での獲得球数×100」の計算式で算出される値である。
また、連続役物比率記憶エリア180に記憶される連続役物比率(性能値)は、前述した獲得球数のうちで、大当たり遊技状態における大入賞口(第1大入賞口14a)の開放(すなわち、第1特別作動部材14bの作動)中(以下「連続役物作動中」と表現する)に獲得された球数(賞球)の割合のことであり、「連続役物作動中の獲得球数÷全ての状態での獲得球数×100」の計算式で算出される値である。
また、分間獲得球数記憶エリア181に記憶される分間獲得球数(球数、性能値)は、役物非作動中(非時短遊技状態中)において遊技球を1分間(60個)継続的に発射する間に獲得可能な球数(賞球)の期待値のことであり、「ベース値÷100×60」の計算式で算出される値である。なお、分間獲得球数の算出に用いられるベース値としては、前述した主制御ベース値記憶エリア178に記憶されるベース値(性能値)が使用される。
【0077】
更に、本実施形態の枠制御基板150上には、RAMクリアスイッチ182、性能表示モニタ183、計数クリアボタン184、差玉クリアボタン185、発射モニタ187、球抜きボタン186等が配置されている。
【0078】
RAMクリアスイッチ182は、枠制御用マイコン151のRAM170に記憶されている情報や、遊技制御用マイコン61のRAM64に記憶されている情報の初期化(RAMクリア)を行うための操作手段である。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ182が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)すると、枠制御用マイコン151(CPU152)及び遊技制御用マイコン61(CPU62)に対してRAMクリア信号を出力し、RAM170及びRAM64を初期化させる。
【0079】
性能表示モニタ183(報知手段)は、横方向に並んだ6個の7セグメントにより構成されている。図示省略するが、6個の各7セグメントは、「0」~「9」までの数字と、「A」~「Z」までの各アルファベットとを表示することができる。枠制御用マイコン151はこの性能表示モニタ183を利用して、常にはベース値を表示するように制御を行う。また、枠制御用マイコン151は、パチンコ遊技機1において枠制御基板150に関する複数種類の異常状態(エラー)の何れかが生じた場合、その異常状態の種類を表示する。具体的には、
図7に示す異常状態(RAMクリア、扉開放、計数クリア、主枠不一致、揚送異常、貸出ユニット未接続)等の何れかが生じた場合に、その生じた異常状態の種類を示す表示が実行される。
「RAMクリア」は、枠制御用マイコン151のRAM170の記憶情報(性能値や持ち球数等は除く)をクリアする処理が実行されている状態である。「扉開放」は、前面枠18の開放を検出する扉開放センサ18cがON(開放検出状態)となって300msが経過した時点から再びOFFとなって100msが経過した時点までの状態である。「計数クリア」は、持ち球をパチンコ遊技機1から貸出ユニット76側(貸出基板77のRAM)に移動させるための計数ボタン18dの操作が行われた状態である。「主枠不一致」は、パチンコ遊技機1に設けられている主制御基板60と、枠制御基板150上の枠制御用マイコン151とを、同じパチンコ遊技機1において組み合わせて使用することが、不適切である、と判定された状態である。「揚送異常」は、球循環機構30の揚送軸34a(揚送モータ34c)の回転不良が検出された状態である。「貸出ユニット未接続」は、貸出ユニット76の貸出基板77から枠制御基板150(枠制御用マイコン151)に対して出力される接続信号(接続状態を示す信号)が100ms以上の時間にわたってOFFのままとなっている状態である。
【0080】
なお、右側4個の7セグメントを用いてベース値が表示されるのに対し、異常状態の種類は左側2個の7セグメントを用いて表示されるので、ベース値と異常状態の種類とを同時に表示可能である。但し、複数の異常状態が生じている状況では、予め定められた優先順位において上位の異常状態についての表示が行われる。
本実施形態では、性能表示モニタ183に表示されるベース値を、遊技制御用マイコン61の制御により算出される値(ベース値コマンドとして枠制御用マイコン151に通知される)としている。これに対し、枠制御用マイコン151が算出したベース値を表示するようにしてもよい。
【0081】
計数クリアボタン184は、枠制御基板150上に操作可能に設けられている。パチンコ遊技機1は、計数クリアボタン184が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)すると、枠制御用マイコン151(CPU152)に対して計数クリア信号を出力し、RAM170の持ち球数記憶エリア172に記憶される持ち球数をクリアして初期値「0」に戻すようにする。
なお、この計数クリアボタン184または別の操作手段の操作に応じて、球数情報記憶部171における持ち球数記憶エリア172以外の記憶エリアの何れかに記憶されている記憶値もクリアできるようにしてもよい。
【0082】
差玉クリアボタン185は、枠制御基板150上に操作可能に設けられている。パチンコ遊技機1は、差玉クリアボタン185が押下された状態で起動(電源スイッチ72をON)すると、枠制御用マイコン151(CPU152)に対して差玉クリア信号を出力し、RAM170の差玉数記憶エリア175に記憶される各種の差玉数をクリアして初期値「0」に戻すようにする。なお、前述した計数クリアボタン184と同じ操作手段としてもよい。
【0083】
球抜きボタン186は、枠制御基板150上に操作可能に設けられている。枠制御用マイコン151は、球抜きボタン186が対応の操作有効期間中に操作された場合に、球循環機構30の駆動制御モードを通常モードから球抜きモードに移行させる。この球抜きモードでは、球循環機構30の揚送モータ34cが逆回転を行うことで、揚送軸34aが循環球を排球口34dへと移動させて循環球受け皿39へと排出(球抜き)する。
【0084】
発射モニタ187は、枠制御基板150上に設けられ、複数(具体的には3個)のLED(第1報知部188、第2報知部189、第3報知部190)を備えている。この発射モニタ187は、前述した発射機構90の駆動制御が許容されている場合(発射可能状態)に全てのLEDが点灯状態となり、発射機構90の駆動制御を制限または停止すべき事由(発射阻止事由)が生じている場合にはその発射阻止事由に対応するLEDが消灯するように構成されている。
【0085】
なお、枠制御基板150は、サブ制御基板100への情報出力を、主制御基板60を経由して実行可能に構成されている。例えば、枠制御基板150は、遊技球数に関する情報(持ち球数や差玉数)や、球循環機構30の異常状態に関する情報等をサブ制御基板100に出力可能である。この他、枠制御基板150とサブ制御基板100とを直接的に配線接続し、枠制御基板150からサブ制御基板100に直接情報を出力してもよい。
【0086】
(電源基板70)
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60及び枠制御基板150等の各制御基板に電力を供給する。また、電源基板70は、枠制御基板150に電気的に接続された各装置に対して、枠制御基板150を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサ及びソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
【0087】
電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が設けられている。また、電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、外部から供給される電源電圧が規定電圧よりも低下すると、電源断検出信号を枠制御基板150(枠制御用マイコン151)及び主制御基板60(遊技制御用マイコン61)に出力する。そして、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)のRAM170、主制御基板60(遊技制御用マイコン61)のRAM64に対し、情報の保持に必要な電力を供給する。この他、バックアップ電源回路71は、サブ制御基板100上の後述するRTC124等にも電力を供給する。
【0088】
図5Bに示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM(RWM)120と、入出力回路103とを備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他、各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。
【0089】
サブ制御基板100は、主制御基板60によって(主制御基板60を介して)送信される各種コマンドを受信する。なお、主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。
【0090】
ROM110には、後述する主枠判定で用いる「比較情報(サブ比較情報)」が記憶されている。以下、ROM110におけるサブ比較情報の記憶領域を「サブ比較情報記憶部111」と称する(
図5B参照)。演出制御用マイコン101は、適宜のタイミングで遊技制御用マイコン61側(枠制御用マイコン151)から受信するコマンドの情報(バージョン情報としての付加情報)を、サブ比較情報との比較により判定する(後述する二次枠判定)。
【0091】
また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123とが設けられている。
第1特図保留演出記憶部121は、第1乃至第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力(送信)される第1始動入賞コマンドが示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口10aに入球したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した始動入賞情報(大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数等の値)を含むコマンドである。
一方、第2特図保留演出記憶部122は、第1乃至第2記憶領域から成る2つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力(送信)される第2始動入賞コマンドが示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口12aに入球したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した始動入賞情報(大当たり乱数、大当たり種別乱数、小当たり種別乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数等の値)を含むコマンドである。
当該変動用演出記憶部123は、変動演出パターンの当該変動に用いる第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンドが示す始動入賞情報(乱数値等)を記憶する。入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板等との間でデータの送信または受信を行う。
【0092】
また、サブ制御基板100には、リアルタイムクロック(RTC)124が実装されている。RTC124は、現在(現時点)の日時(日付及び時刻)を計測するものである。RTC124は、例えば、外部の電源装置からパチンコ遊技機1へ電力が供給されているときにはその電力によって動作し、外部の電源装置から電力が供給されていないときには、電源基板70が備えるバックアップ電源回路71から供給される電力によって動作する。このため、RTC124は、パチンコ遊技機1の電源が投入されていないときや、RAM120の記憶内容がクリアされたときでも、現在の日時を計測することが可能である。なお、RTC124へ電力を供給するバックアップ電源回路をサブ制御基板100に設けてもよい。パチンコ遊技機1では、RTC124による計時の結果に基づいて特別な演出を実行することが可能となっている。
【0093】
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、VDP201(Video DiSplay ProceSSor)と、画像制御用CPU202と、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random AcceSS Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像、及び予告画像等の演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読み出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。
【0094】
演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像等の動画像及び静止画像を表示する。遊技者は、パチンコ遊技機1の前方からそれらの画像を見ながら遊技を行う。演出表示装置7は、演出画像として、演出(装飾)図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示する。演出図柄は、算用数字(例えば、1~10)を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタ等、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。演出表示装置7(
図2)が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄7Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄7Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄7Rがそれぞれ変動表示される。以下、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域及び右演出図柄表示領域に共通の事項を説明する場合は、単に演出図柄表示領域という。
【0095】
各演出図柄の変動態様としては例えば、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する態様、つまり、縦方向にスクロールする態様がある。なお、他の変動態様として、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される切替方式等を用いることもできる。また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。例えば、背景画像は、テレビドラマや映画等の動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像等である。演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置等を用いることもできる。
【0096】
演出表示装置7は、前述した特別図柄表示器51,52での特別図柄の変動表示と同期させて各演出図柄を変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示し、特図当たり判定の結果を演出的に表示する。ここで、左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rは、同じ演出図柄が上下や左右に揺れながら停止位置に存在する表示状態(仮停止表示)となった後に、完全に停止した表示状態(確定表示)となってその変動表示が終了する。なお、全ての演出図柄7L,7C,7Rが同時に確定表示される。
【0097】
以下、特図当たり判定(大当たり判定)の結果が大当たりであったことを表す組み合わせの演出図柄を「大当たり演出図柄」といい、特図当たり判定(小当たり判定)の結果が小当たりであったことを表す組み合わせの演出図柄を「小当たり演出図柄」といい、特図当たり判定の結果がハズレ(小当たり以外)であったことを表す組み合わせの演出図柄を「ハズレ演出図柄」という。本実施形態において、大当たり演出図柄や小当たり演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。例えば、
図1に示すように、確定表示された左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。また、ハズレ演出図柄は、大当たり演出図柄・小当たり演出図柄以外の演出図柄の組み合わせである。以下、演出表示装置7が特別図柄表示器での特別図柄の変動表示(特図変動)と同期させて行う演出図柄の変動表示を「変動演出」という。また、変動演出中、左演出図柄7L及び右演出図柄7Rが互いに同じ数字を表す演出図柄で揃って仮停止表示しており、残りの中演出図柄7Cが仮停止表示前である状態(大当たり演出図柄または小当たり演出図柄となる期待度が高められる状態)を「リーチ(リーチ状態)」という。この他、変動演出での演出図柄の背後に表示される画像を「背景画像」という。なお、変動演出以外の演出や報知等についても、演出表示装置7に表示する主たる表示画像に対してその背後に表示する画像のことを「背景画像」ということがある。背景画像は、静止画像または動画像である。
【0098】
演出図柄の変動演出は、特図の変動表示と同期して行われ、特別図柄表示器の作動保留が発生した場合は、演出表示装置7の作動も保留される。つまり、特別図柄表示器の作動保留数と、演出表示装置7の作動保留数とは一致する。なお、特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数は、
図1に示すように、保留画像によって演出表示装置7の予め定められた表示領域(以下「演出保留表示領域7Ba,7Bb」という)に表示される。従って、遊技者は、演出表示装置7(演出保留表示領域7Ba,7Bb)に表示される保留画像の数を数えることにより、特別図柄の変動表示の作動保留数(第1特図保留数や第2特図保留数)を知ることができる。本実施形態では、遊技状態毎に、入球が生じ易い側の始動口(第1始動口10aまたは第2始動口12a)に対応する一方の特別図柄(第1特図または第2特図)の作動保留数を、左側のメイン演出保留表示領域7Baで表示し、他方の特別図柄の作動保留数を、右側のサブ演出保留表示領域7Bbで表示する。また、演出表示装置7の画面において、演出保留表示領域7Ba,7Bbの左側に、実行中の変動演出の存在を示すための当該変動用表示領域7Bcが設けられている。なお、演出保留表示領域7Ba,7Bbや当該変動用表示領域7Bcは、演出表示装置7の画面に設けられる必要はなく、別の表示装置の画面上に設けるようにしてもよいし、LED等を用いたランプ(発光手段)により構成するようにしてもよい。
【0099】
この他、パチンコ遊技機1では、変動演出の結果(演出図柄の停止表示)による特図当たり判定の結果の報知に加えて、その変動演出の結果を示唆したりその結果表示までの過程を盛り上げたりする演出等を行う。このような演出は、演出表示装置7に表示される画像、スピーカ8から出力される音、遊技盤2や前面枠18のランプ(盤ランプ2a、左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、トップランプ23c)の点灯等を複合的に用いて行われる。すなわち、パチンコ遊技機1に設けられる演出表示装置7、スピーカ8、ランプ2a,23a,23b,23cは、演出を実行する演出実行手段として機能する。
なお、演出表示装置7、スピーカ8、ランプ2a,23a,23b,23cは、パチンコ遊技機1に生じた異常状態を報知するための異常報知手段としても機能する。
【0100】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して盤ランプ2a、演出ボタンランプ5c、左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、トップランプ23cおよび可動体モータ23dが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。また、演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて、トップランプ23c内の回転リフレクタの動作態様を決める回転動作パターンデータを作成し、その回転動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した回転動作パターンデータに従って可動体モータ23dの駆動制御を行う。
【0101】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音等の音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読み出し、その読み出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0102】
また、サブ制御基板100には、演出ボタン検出スイッチ5aと、演出レバー押込検出スイッチ6aと、演出レバー回転検出スイッチ6bと、演出ボタン振動モータ5bと、演出レバー振動モータ6cとが電気的に接続されている。
【0103】
演出ボタン検出スイッチ5aは、演出ボタン5が押下操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。また、演出レバー押込検出スイッチ6aは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。更に、演出レバー回転検出スイッチ6bは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力する。これに対し、演出制御用マイコン101は、演出の一種であるボタン演出の期間中、演出ボタン検出スイッチ5aから入力した信号に基づいて、ボタン演出の演出内容に変化を付与する。また、演出制御用マイコン101は、演出の一種であるレバー演出(遊技者に押込操作や回転操作を促すレバー演出)の期間中、演出レバー押込検出スイッチ6aや演出レバー回転検出スイッチ6bから入力した信号に基づいて、レバー演出の演出内容に変化を付与する。
【0104】
演出ボタン振動モータ5bは、演出ボタン5を振動させる部材であり、演出ボタン5の内部に収容されている。演出レバー振動モータ6cは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位または演出レバー6の内部に設けられている。ROM110には、演出ボタン振動モータ5bの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出レバー振動モータ6cの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出ボタン5を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読み出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ5bを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読み出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6cを駆動制御する。
【0105】
[遊技状態の説明]
次に、パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。
【0106】
(大当たり遊技状態、小当たり状態)
本実施形態のパチンコ遊技機1は、いわゆる1種2種混合機と呼ばれる機種である。このパチンコ遊技機1では、始動口への入球を契機とする特図当たり判定において大当りに当選した場合に大当たり遊技状態(以下「1種大当たり状態」ということがある)を生じさせる。また、始動口への入球を契機とする特図当たり判定において、小当たり判定が当たりの結果となった場合(小当たりに当選した場合)には、大入賞口を開放する小当たり状態を生じさせ、この小当たり状態中に大入賞口に入球した遊技球が特定領域に入球した場合に限り、大当たり遊技状態(以下「2種大当たり状態」ということがある)へと発展させる。なお、2種大当たり状態は、前述の如く小当たり状態から発展するものであるので、小当たり状態を1ラウンドとみなし、特定領域への入球後に生じる開放(V当たり状態)については2ラウンド以降のラウンドとして計数する。すなわち、小当たり状態とその後のV当たり状態とによって2種大当たり状態が構成される。これに対し、V当たり状態のみを大当り遊技状態と捉えることも可能である。
【0107】
但し、本実施形態では、小当たり状態として、遊技球が特定領域を通過可能な小当たり状態(以下「有利小当たり状態」と称する)と、遊技球が特定領域を通過不可能な小当たり状態(以下「不利小当たり状態」と称する)とが設けられている。なお、本実施形態において、第2大入賞口15aに入球した遊技球は必ず特定領域を通過するようになっている。そして、有利小当たり状態は、第2大入賞口15aを開放する状態、不利小当たり状態は、特定領域を有しない第1大入賞口14aを開放する状態、となっている。これに対し、第2大入賞口15aに入球した遊技球を特定領域及び非特定領域に振り分ける振分手段を設けて、この振分手段の動作タイミングの違いによって有利小当たり状態及び不利小当たり状態を生じさせるようにしてもよい。この場合、小当たり状態では必ず第2大入賞口15aが開放する(第1大入賞口14aは開放しない)ことになる。
【0108】
大当たり遊技状態は、オープニング期間、複数回のラウンド(遊技球の入球を狙うことのできる期間)が生じる連続作動期間、エンディング期間の順に状態が変化する。ラウンド中は、第2特電ソレノイド15dを駆動することにより第2特別作動部材15bを作動させて、第2大入賞口15aを開放する。ここで、2種大当たり状態の1ラウンド(小当たり状態)を除いた大当たり遊技状態の各ラウンドは、第2大入賞口15aに入球した遊技球の個数が予め定めた上限個数(例えば10球)に達するか、所定の開放時間(例えば30000ms)が経過するかの何れか早い方のラウンド終了条件が成立することに応じて終了する。一方で2種大当たり状態の1ラウンド(有利小当たり状態)は、それ以外のラウンドよりも短い開放時間(例えば1800ms)だけ第2大入賞口15aが開放するか、第2大入賞口15aに入球した遊技球の個数が予め定めた上限個数(10球以下の所定個数)に達するかの何れか早い方のラウンド終了条件(基本的には開放時間の経過)が成立することに応じて終了する。なお、ラウンドとラウンドの間にインターバル時間(ラウンドインターバル)が設定されており、少なくともこのインターバル時間には第1大入賞口14a及び第2大入賞口15aが閉鎖状態を維持するように設定(第1特電ソレノイド14d及び第2特電ソレノイド15dが非作動に制御)される。
【0109】
(時短遊技状態、非時短遊技状態)
以下、一般的な時短遊技状態の各機能(特別図柄の変動時間短縮機能、普通図柄の変動短縮機能、第2始動口12aの開放時間延長機能、第2始動口12aの開放回数増加機能)について説明する。
なお、本実施形態のパチンコ遊技機1は、以下に説明する機能のうち、特別図柄の変動時間短縮機能と、普通図柄の変動時間短縮機能と、第2始動口12aの開放時間延長機能とを有し、これらの機能を作動させることによって時短遊技状態を生起させる。
【0110】
普通図柄表示器53での表示(普通図柄)の確率変動機能が作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能が作動しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。この普通図柄の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して普図当たり判定の当たり確率が向上する。その結果、普通図柄の確率変動機能が作動する状態では、普通作動部材12bが作動して第2始動口12aが開放する頻度を高めることが可能である。
但し、本実施形態のパチンコ遊技機1(遊技制御用マイコン61)は、普通図柄の確率変動機能を有しない。これに対し、当該機能を有することとしてもよい。
また、本実施形態のパチンコ遊技機1は、第1特別図柄表示器51及び第2特別図柄表示器52での各表示(特別図柄)についての確率変動機能(特図当たり判定の当たり確率を向上させる機能)も備わっておらず、通常(低確率状態)よりも大当たり確率が高い遊技状態(所謂「確変遊技状態」)は存在しない。これに対し、特別図柄の確率変動機能を作動させる確変遊技状態を生起可能としてもよい。なおこの場合、確変遊技状態は時短遊技状態と同時に生起させてもよい。
【0111】
特別図柄の変動時間短縮機能が作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能が作動しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。特別図柄の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して特別図柄の変動時間として短い変動時間が選択され易くなる。その結果、特別図柄の変動時間短縮機能が作動する状態では、例えば特図変動表示の結果が導出される頻度を高めることができ、大当たり遊技状態等が生起するまでの遊技時間を短縮することが可能である。また、特図保留の消化ペースが早いことで始動口への有効な入球(特図保留)が発生し易くなるため、スムーズな遊技進行を実現可能である。
また、普通図柄の変動時間短縮機能が作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能が作動しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。普通図柄の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄の変動時間が短くなる。本実施形態のパチンコ遊技機1は当該機能を有しており、普通図柄の変動時間は、変動時間短縮機能が作動していない状態では30000ms、変動時間短縮機能が作動している状態では100msとなるように設定されている。これに対し、普通図柄の変動時間短縮機能を有しないようにしてもよい。
更に、第2始動口12aについての開放時間延長機能及び開放回数増加機能の少なくとも何れかが作動する遊技状態を時短遊技状態とし、当該機能が作動しない遊技状態を非時短遊技状態とすることができる。普通図柄が予め定めた普通図柄で確定表示された場合に、現在の遊技状態に応じた作動パターンにて第2始動口12aを開閉させる補助遊技が行われる。この補助遊技における第2始動口12aの開放時間が、開放時間延長機能によって非時短遊技状態の場合よりも長くなる。また、この補助遊技における第2始動口12aの開放回数が、開放回数増加機能によって非時短遊技状態の場合よりも多くなる。従って、開放時間延長機能や開放回数増加機能が作動する状況下では、第2始動口12aへの遊技球の入球頻度が高められる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、遊技者は、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たり(又は小当たり)を狙うことができる。
【0112】
このように、特別図柄や普通図柄についての変動時間短縮機能と、第2始動口12aについての開放時間延長機能及び開放回数増加機能とは、第2始動口12aへの遊技球の入球頻度を高めるためのサポート機能である。これらのうち特に、普通作動部材12bの動作(普電ソレノイド12dの駆動)に関する開放時間延長機能及び開放回数増加機能について、その少なくとも1つの機能を作動させる制御のことを、「電サポ制御」ということがある。
【0113】
本実施形態のパチンコ遊技機1は、上記機能のうち、特別図柄の変動時間短縮機能と、普通図柄の変動時間短縮機能と、第2始動口12aの開放時間延長機能とを作動可能であり、遊技状態として、これら3つの機能が共に作動しない非時短遊技状態と、これら3つの機能が共に作動する時短遊技状態とを生起させ得るようになっている。但し、時短遊技状態は、少なくとも1つの機能を作動させる状態であればよく、例えば、上記3つの機能に加えてまたは少なくとも1つの機能に替えて、普通図柄の確率変動機能を作動する遊技状態としてもよい。
【0114】
なお、本実施形態における「時短遊技状態」は、(開放時間延長機能による)電サポ制御がなされる状態であり、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、「高ベース状態(有利遊技状態)」と言い換えることができる。一方で「非時短遊技状態」は、前述した高ベース状態に対して「低ベース状態(通常遊技状態)」と言い換えることができる。
【0115】
ここで、パチンコ遊技機1における時短遊技状態の付与条件としては例えば、予め定められた大当たり図柄(特別図柄)を決定したことに基づく大当たり遊技状態(1種大当たり状態)が終了すること、予め定められた小当たり図柄(特別図柄)を決定した場合の小当たり状態で遊技球が特定領域を通過したことに基づく大当たり遊技状態(2種大当たり状態)が終了すること、予め定められた時短図柄(特別図柄)を決定した際の特図当たり判定の結果に基づく特図変動表示が終了すること、等を設定することができる。
また、パチンコ遊技機1における時短遊技状態の終了条件としては例えば、予め定められた回数の特図変動表示が実行されること、予め定められた回数の普図変動表示が実行されること、予め定められた回数の特図変動表示(または予め定められた回数の普図変動表示)が実行されるまでの間に大当たりが決定されて対応する特図変動表示が終了(大当たり遊技状態が開始)すること、予め定められた回数の特図変動表示(または予め定められた回数の普図変動表示)が実行されるまでの間に予め定められた回数目の小当たりが決定されて対応する特図変動表示が終了(小当たり状態が開始)すること、予め定められた回数の特図変動表示(普図変動表示)が実行されるまでの間に予め定められた小当たり図柄(特別図柄)が決定されて対応する特図変動表示が終了(小当たり状態が開始)すること、等を設定することができる。
【0116】
ここで、本実施形態では、2種類の時短遊技状態が設けられており、互いに開始条件(付与条件)及び終了条件が異なっている。以下の説明では、2種類の時短遊技状態のうち遊技者にとって不利な方の時短遊技状態を「時短1」(第1時短遊技状態)と称すると共に、有利な方の時短遊技状態を「時短2」(第2時短遊技状態)と称することがある。
なお、本実施形態における時短遊技状態の付与条件及び終了条件については後述する(
図9及び
図10の判定テーブル参照)。
【0117】
[主な判定テーブル]
次に、パチンコ遊技機1の遊技制御用マイコン61が参照する主な判定テーブルについて説明する。
【0118】
(当否判定テーブルT1)
図8に示す当否判定テーブルT1は、遊技制御用マイコン61が特図当たり判定(大当たり判定、小当たり判定)を実行する際に参照するテーブルである。当否判定テーブルT1は、特図当たり判定の種類(第1特図・第2特図のどちらに対応するか)と、大当たり乱数値とを対応付けて構成されている。大当たり乱数値は、大当たり乱数カウンタが発生させる値である。大当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり乱数カウンタが動作して大当たり乱数値が発生する。大当たり乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。パチンコ遊技機1の大当たり乱数カウンタは、0~65535の計65536個の値をカウントする。つまり、0~65535の計65536個の大当たり乱数値を発生させ得る。
【0119】
当否判定テーブルT1には、第1特図の特図当たり判定用の大当たり乱数値として、0~327の計328個の値が設定されている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数値が0~327の範囲内の値であった場合は大当たりと判定し、0~65535のうち0~327以外(328~65535)であった場合は、大当たりではない、つまり、ハズレと判定する。
【0120】
また、当否判定テーブルT1には、第2特図の特図当たり判定用の大当たり乱数値として、0~327の計328個の値が設定されている。遊技制御用マイコン61は、取得した大当たり乱数値が0~327の範囲内の値であった場合は大当たりと判定し、0~65535のうち0~327以外(328~65535)であった場合は、大当たりではない、つまり、ハズレと判定する。但し、ハズレ(大当たりではない)と判定される大当たり乱数値のうち、328~6882の範囲内の値であった場合は、小当たりと判定される。すなわち、第1特図の当たり判定と第2特図の当たり判定とでは、大当たりと判定される確率は変わらないが、大当たりではないと判定された場合、第2特図の判定では小当たりと判定されることがあり、その当選確率は大当たりに比べて非常に高い。また、本実施形態では、第1特図の当たり判定で小当たりと判定されることがないため、第2特図の判定では、第1特図の当たり判定に比して小当たりと判定される確率が非常に高い。
【0121】
(大当たり種別判定テーブルT2,T3)
図9(a)および
図9(b)に示す大当たり種別判定テーブルT2,T3は、特図当たり判定において大当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61が大当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり種別判定テーブルは、大当たり種別(大当たり図柄種別)毎に所定個数の大当たり種別乱数値を対応付けて構成されている。大当たり種別乱数値は、大当たり種別乱数カウンタが発生させる値である。大当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり種別乱数カウンタが動作して大当たり種別乱数値が発生する。大当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において大当たり種別乱数カウンタは、0~99の計100個の大当たり種別乱数をカウントする。つまり、0~99の計100個の大当たり種別乱数値を発生させ得る。
【0122】
ここで、特別図柄のうち第1特図として、大当たりしたこと(大当たり遊技状態が生起すること)を示す1種類の大当たり図柄1-1と、大当たりや小当たりではないことを示す少なくとも1種類のハズレ図柄とが設定されている。なお、第1特図については、小当たりしたこと(小当たり状態が生起すること)を示す小当たり図柄は設定されていない。第1特図の特図当たり判定で大当たりと判定した場合は、
図9(a)に示す大当たり種別判定テーブルT2に基づいて、大当たり図柄(大当たり種別)が決定され、この大当たり図柄の決定により、大当たり遊技状態の種類やその後の遊技状態の種類が決定される。なお、各大当たり遊技状態では、各ラウンドでの第2大入賞口15aの開放時間の上限が30000msに設定されている。
【0123】
第1特図の大当たり種別を決定する際、大当たり種別乱数値が0~99の何れの値であっても(100パーセント)、大当たり図柄として「大当たり図柄1-1」が決定され、大当たり遊技状態の種類(ラウンド数)として、3ラウンド大当たりが決定され、大当たり遊技状態後の遊技状態として、時短遊技状態が決定される。この場合の時短遊技状態としては、「大当たり図柄1-1」に対応する大当たり遊技状態の終了を契機に開始され、特図変動表示が50回実行されるか、または、その途中で大当たり遊技状態の生起が決定されるか、または、1回目(第1上限回数目)の小当たり状態の生起が決定されることに応じて終了する時短1(不利な時短遊技状態)が決定される。
【0124】
一方で、特別図柄のうち第2特図としては、大当たりしたこと(大当たり遊技状態が生起すること)を示す2種類の大当たり図柄2-1,2-2と、小当たりしたこと(小当たり状態が生起すること)を示す2種類の小当たり図柄a,bと、大当たりや小当たりではないことを示す少なくとも1種類のハズレ図柄とが設定されている。第2特図の特図当たり判定で大当たりと判定した場合は、
図9(b)に示す大当たり種別判定テーブルT2に基づいて、大当たり図柄(大当たり種別)が決定され、この大当たり図柄の決定により大当たり遊技状態の種類やその後の遊技状態の種類が決定される。なお、大当たり遊技状態では、各ラウンドでの第2大入賞口15aの開放時間の上限が30000msに設定されている。
【0125】
本実施形態では、第2特図の特図当たり判定が大当たりの判定結果である場合、大当たり種別乱数値が0~19の範囲内であれば(20パーセント)、大当たり図柄として「大当たり図柄2-1」が決定され、大当たり遊技状態の種類(ラウンド数)として、3ラウンド大当たりが決定され、大当たり遊技状態後の遊技状態として、時短遊技状態が決定される。この場合の時短遊技状態としては、「大当たり図柄2-1」に対応する大当たり遊技状態の終了を契機に開始され、特図変動表示が50回実行されるか、または、その途中で大当たり遊技状態の生起が決定されるか、または、1回目の小当たり状態の生起が決定されることに応じて終了する時短1(不利な時短遊技状態)が決定される。
また、第2特図の特図当たり判定が大当たりの判定結果で、大当たり種別乱数値が20~99の範囲内であれば(80パーセント)、大当たり図柄として「大当たり図柄2-2」が決定され、大当たり遊技状態の種類(ラウンド数)として、10ラウンド大当たりが決定され、大当たり遊技状態後の遊技状態として、時短遊技状態が決定される。この場合の時短遊技状態としては、「大当たり図柄2-2」に対応する大当たり遊技状態の終了を契機に開始され、特図変動表示が1000回実行されるか、または、その途中で大当たり遊技状態の生起が決定されるか、または、100回目(第2上限回数目)の小当たり状態の生起が決定されることに応じて終了する時短2(有利な時短遊技状態)が決定される。
【0126】
(小当たり種別判定テーブル)
図10に示す小当たり種別判定テーブルT4は、小当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61が小当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。小当たり種別判定テーブルT4は、小当たり種別(小当たり図柄種別)毎に所定個数の小当たり種別乱数値を対応付けて構成されている。小当たり種別乱数値は、小当たり種別乱数カウンタが発生する値である。小当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、小当たり種別乱数カウンタが動作して小当たり種別乱数値を発生させる。小当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において小当たり種別乱数カウンタは、0~99の計100個の値をカウントする。つまり、0~99の計100個の小当たり種別乱数値を発生させ得る。本実施形態では前述のように、小当たり図柄として「小当たり図柄a」及び「小当たり図柄b」の2種類が設定されている。この小当たり図柄により、生起させる小当たり状態の種類(有利小当たり状態または不利小当たり状態)が決定する。
【0127】
小当たり図柄が決定された場合に、小当たり状態が生起する。有利小当たり状態では、第2大入賞口15aが前述した大当たり遊技状態の各ラウンドの開放時間(30000ms)よりも短い時間(1800ms)だけ開放するように設定されている。また、不利小当たり状態では、第1大入賞口14aが前述した大当たり遊技状態の各ラウンドの開放時間(30000ms)よりも短い時間(1800ms)だけ開放するように設定されている。有利小当たり状態で第2大入賞口15aに入球した遊技球が特定領域を通過した場合には、小当たり状態から2種大当たり状態(大当たり遊技状態)に発展(V当たり状態に移行)する。この2種大当たり状態の各ラウンド(2ラウンド以降のV当たり状態)での第2大入賞口15aの開放時間の上限は、1種大当たり状態と同様に30000msに設定されている。
【0128】
第2特図の特図当たり判定において小当たりの判定結果が導出された場合に、小当たり種別乱数値が0~44の範囲内であれば(45パーセント)、小当たり図柄として「小当たり図柄a」が決定される。遊技制御用マイコン61は、この「小当たり図柄a」の決定により、有利小当たり状態(第2大入賞口15aを開放することで遊技球が特定領域を通過可能な小当たり状態)を生起させることを決定する。一方で、第2特図の特図当たり判定において小当たりの判定結果が導出された場合の小当たり種別乱数値が45~99の範囲内であれば(80パーセント)、小当たり図柄として「小当たり図柄b」が決定される。遊技制御用マイコン61は、この「小当たり図柄b」の決定により、不利小当たり状態(第1大入賞口14aを開放することで遊技球が特定領域を通過不可能な小当たり状態)を生起させることを決定する。
【0129】
ここで、
図10に示すように、遊技制御用マイコン61は、小当たり状態(有利小当たり状態)中に遊技球が特定領域を通過したことを契機として大当たり遊技状態(2種大当たり状態)に発展させる場合に、その大当たり遊技状態の終了後の遊技状態を、遊技球が特定領域を通過した時点(すなわち大当たり遊技状態に発展させることを決定した時点)の遊技状態に応じて決定する。具体的には、遊技球が特定領域を通過した時点が時短1(不利な時短遊技状態)であった場合には、大当たり遊技状態の終了後の遊技状態として時短1を決定する。これに対し、遊技球が特定領域を通過した時点が非時短遊技状態または時短2(有利な時短遊技状態)であった場合には、大当たり遊技状態の終了後の遊技状態として時短2を決定する。すなわち、時短1中に有利小当たり状態が発生して遊技球が特定領域を通過した場合は、大当たり遊技状態の後に再び時短1となる。また、時短2中に有利小当たり状態が発生して遊技球が特定領域を通過した場合は、大当たり遊技状態の後に再び時短2となる。これに対し、非時短遊技状態中については、特図当たり判定が大当たりの判定結果となったことによる1種大当たり遊技状態の後には時短1に移行し、有利小当たり状態が発生して遊技球が特定領域を通過した場合の2種大当たり状態の後には時短2に移行する。
【0130】
(普通図柄当否判定テーブル)
図11(a)に示す普通図柄当否判定テーブルT9は、遊技制御用マイコン61が普図当たり判定を実行する際に参照するテーブルである。普通図柄当否判定テーブルT9は、普図当たり乱数値と普図当たり判定の判定結果とを対応付けて構成されている。普図当たり乱数値は、普図当たり乱数カウンタが発生させる値である。普図当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、普図当たり乱数カウンタが動作して普図当たり乱数値が発生する。普図当たり乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。パチンコ遊技機1の普図当たり乱数カウンタは、0~65535の計65536個の値をカウントする。つまり、0~65535の計65536個の普図当たり乱数値を発生させ得る。
【0131】
普通図柄当否判定テーブルT9には、普図当たり判定用の当たり乱数値として、0~65535の計65536個の値が設定されている。すなわち、本実施形態では、普図当たり判定が必ず当たり(普図当たり)となるように設定されている。これに対し、普図当たり判定の結果としてハズレ(普図ハズレ)は生じるように乱数値を割り振ってもよい。
【0132】
(普図当たり種別判定テーブル)
図11(b)に示す普図当たり種別判定テーブルT10は、遊技制御用マイコン61が普通作動部材12bの作動パターンを決定する際に参照するテーブルである。普図当たり種別判定テーブルT10には、普通図柄の当たり図柄毎に普図当たり種別乱数値が振り分けられ、各当たり図柄には普通作動部材12bの作動パターン対応付けられている。なお、普通作動部材12bの作動パターンは、第2始動口12aの開放時間(普通作動部材12bの作動時間)の情報を含んでいる。
【0133】
普図当たり種別乱数値は、普図当たり種別乱数カウンタが発生する値である。普図当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、普図当たり種別乱数カウンタが動作して普図当たり種別乱数値を発生させる。普図当たり種別乱数カウンタは、カウンタIC等の乱数生成回路を利用したものでもよい。本実施形態において普図当たり種別乱数カウンタは、0~232の計233個の値をカウントする。つまり、0~232の計233個の普図当たり種別乱数値を発生させ得る。
【0134】
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通作動部材12bの作動パターンとして、第1作動パターンFS1及び第2作動パターンFS2の2種類が設定されている。このうち第1作動パターンFS1は、普電ソレノイド12dを70msだけ励磁状態とする(普通作動部材12bを作動して第2始動口12aを開放する)作動パターンである。この場合に、入球許容姿勢となった普通作動部材12bの上に遊技球が乗ったとしても、直ちに入球阻止姿勢に復帰するため第2始動口12aには達しない。これに対し、第2作動パターンFS2は、普電ソレノイド12dを2700msにわたって励磁状態とする作動パターンである。従って、入球許容姿勢となった普通作動部材12bの上に乗った遊技球が第2始動口12aまで転動して入球する可能性がある。
【0135】
図11(b)に示すように、普図当たり判定が当たりの判定結果となった場合に、普図当たり種別乱数値が0~22の範囲内の値であれば、普通図柄の当たり図柄として図柄hz1が決定され、普図当たり種別乱数値が23~232の範囲内の値であれば、普通図柄の当たり図柄として図柄hz2が決定される。普図当たり判定が行われた時点の遊技状態が非時短遊技状態である場合には、普通図柄の当たり図柄が図柄hz1及び図柄hz2の何れであっても、普通作動部材12bの作動パターンとして、第1作動パターンFS1が決定される。これに対し、普図当たり判定が行われた時点の遊技状態が時短遊技状態(時短1、時短2)である場合には、普通図柄の当たり図柄が図柄hz1であれば普通作動部材12bの作動パターンとして第1作動パターンFS1が決定され、図柄hz2であれば普通作動部材12bの作動パターンとして第2作動パターンFS2が決定される。
【0136】
以上のように、遊技制御用マイコン61は、非時短遊技状態と時短遊技状態とで異なる決定確率により普通作動部材12bの複数種類の作動パターンを決定する。ここで、遊技制御用マイコン61が時短遊技状態(時短1及び時短2)において非時短遊技状態よりも高い確率で第2始動口12aの開放時間が長い作動パターン(第2作動パターンFS2)を決定するように制御することが、前述した(開放時間延長機能による)電サポ制御に相当する。
【0137】
[遊技制御用マイコン61の主な処理]
次に、遊技制御用マイコン61が実行する主な処理について説明する。
【0138】
(メイン側主制御処理)
最初に、
図12を参照し、メイン側主制御処理の内容について説明する。
パチンコ遊技機1の電源がオンされ、遊技制御用マイコン61に電力が供給されると、遊技制御用マイコン61は先ず、初期設定を実行する(ステップS1、以下、各ステップについて「S~」のように記載する)。この初期設定において、遊技制御用マイコン61は、RAM64へのアクセスを許可し、RAM64に対する情報の書き込みや読み出しを可能とする。また、遊技制御用マイコン61は、入出力ポート(IOポート、GPIO)の初期設定や、レジスタの初期設定、カウンタやタイマの初期設定等を実行する。
次に、遊技制御用マイコン61は、RAMクリアスイッチ182(枠制御基板150に設けられている)がONの状態で電源投入が行われたか否かを判定する(S2)。そして、RAMクリアスイッチ182がONであると判定した場合は、S3,S4に進み、RAM64に記憶されている情報(但し、ベース値の情報等の特定の情報は除く)をクリアすると共にRAM64の作業領域の初期設定を行って(S3)、RAM64の記憶内容のクリアを通知するためのRAMクリア通知コマンドを送信する(S4)。
前述したように、遊技制御用マイコン61にはRAMクリアスイッチ182の操作に応じてRAMクリア信号が入力される。このため、S2では、RAMクリア信号の入力の有無を判定する。なおこのRAMクリア信号は、後述する枠制御基板150(枠制御用マイコン151)にも入力される。枠制御基板150では、RAMクリア信号の入力に応じてRAMクリアスイッチ182が操作されたことを特定する他、前述したS4によるRAMクリア通知コマンドを受信することに応じて、遊技制御用マイコン61におけるRAMクリアの処理が終了したことを特定する。
【0139】
遊技制御用マイコン61は、S2においてRAMクリアスイッチ182がOFFであると判定した場合、S5に進む。このS5では、RAM64に記憶されている情報に異常がないか否かを判定し、ここで異常ありと判定した場合(S5:Yes)には、前述したS3へと移行する(RAM64の記憶情報のクリア)。一方で異常なしと判定した場合は(S5:No)、電源復旧の処理を行って、この電源復旧を通知するための電源復旧コマンドを送信する(S6)。
【0140】
前述したS4またはS6の終了後、遊技制御用マイコン61は、電源投入時に実行すべきその他の処理を実行する(S7)。
このS7において、遊技制御用マイコン61は、枠制御用マイコン151に対し、前述した「遊技機設置情報」を含む遊技機設置情報コマンドを送信する。
また、遊技制御用マイコン61は、S7において、移行先の遊技状態を示す移行フラグをONに設定する。
【0141】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込禁止を実行し(S8)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S9)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理では、前述した大当たり乱数値、大当たり種別乱数値、小当たり種別乱数値、リーチ乱数値、変動パターン乱数値、普図当たり乱数値及び普図当たり種別乱数値を発生する各乱数カウンタの初期値をそれぞれ「1」加算して更新する。各乱数カウンタのカウント値は上限値に達すると「0」に戻って再び「1」加算される。なお、各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また、各乱数カウンタのカウント値にそれぞれ「2」以上の数値を加算して更新してもよい。また、各乱数は、カウンタIC等から成る公知の乱数生成回路を利用して生成される、いわゆるハードウェア乱数であってもよい。このハードウェア乱数を用いる場合は、ソフトウェアによる乱数の更新処理(S9)は必要ない。
【0142】
続いて、遊技制御用マイコン61は、割込許可を実行する(S10)。割込許可中は、メイン側タイマ割込処理(S11)の実行が可能となる。メイン側タイマ割込処理(S11)は、例えば、4ms周期でCPU62に対して入力される割込パルスに基づいて実行される。つまり、4ms周期で実行される。そして、メイン側タイマ割込処理が終了してから次にメイン側タイマ割込処理が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S9)による各種カウンタの初期値更新処理が実行される。なお、割込禁止状態のときにCPU62に割込パルスが入力された場合は、メイン側タイマ割込処理(S11)は直ぐには開始されず、割込許可(S10)が実行されてから開始される。
【0143】
(メイン側タイマ割込処理)
次に、
図13を参照し、メイン側タイマ割込処理(S11)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、出力処理を実行する(S12)。この出力処理では、以下に説明する各処理において主制御基板60のRAM64に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)やサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力する。
続いて、遊技制御用マイコン61は、入力処理を実行する(S13)。この入力処理では、主にパチンコ遊技機1に取付けられている各種センサ(第1始動口センサ10b、第2始動口センサ12c、ゲートセンサ13a、第1大入賞口センサ14c、第2大入賞口センサ15c、特定領域センサ55a、一般入賞口センサ11b等)が検出した各検出信号を読み込む。続いて、遊技制御用マイコン61は、タイマ更新処理を実行する(S14)。このタイマ更新処理では、タイマとして作動している減算カウンタの更新(減算)を行う。
【0144】
続いて、遊技制御用マイコン61は、賞球制御処理を実行する(S15)。この賞球制御処理では、入力処理(S13)において読み込んだ各種センサの検出信号に基づいて、入賞口の種類に応じた賞球の付与(賞球数)を示す賞球コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。これにより、賞球コマンドは、賞球の付与を決定した時点(入球検出時点)で送信され、付与する賞球数が枠制御用マイコン151へと通知される。
【0145】
続いて、遊技制御用マイコン61は、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する(S16)。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理は、
図12のメイン側主制御処理で実行する普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)と同じである。つまり、各乱数カウンタの初期値の更新処理は、メイン側タイマ割込処理の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割込処理の終了後、次のメイン側タイマ割込処理が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0146】
続いて、遊技制御用マイコン61は、図柄用センサ検出処理(S17)、普通動作処理(S18)、特別図柄待機処理(S19)、特別図柄関連処理(S20)、異常判定処理(S21)、遊技条件判定処理(S22)、遊技状態移行判定処理(S23)を順に実行し、次にその他の処理(S24)を実行して、メイン側タイマ割込処理を終了する。
なお、上記のS17,S18,S19,S20,23については後述する。
異常判定処理(S21)は、パチンコ遊技機1に異常状態が生じているかを判定し、異常が生じている場合には、その異常状態の種類を特定可能なエラーコマンドをRAM64の出力バッファにセットし、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)やサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力する処理である。例えば、異常判定処理としては、不正な磁気を検出する磁気検出処理、不正な電波を検出する電波検出処理、衝撃(振動)を検出する衝撃検出処理等がある。なお、本実施形態では、上記以外の異常判定処理である異常入球検出処理を、後述する特別電動役物処理(
図23)内で実行しているが、S21で実行してもよい。
遊技条件判定処理(S22)は、遊技制御用マイコン61による遊技制御を停止するか否かを判定する処理である。この処理で遊技制御用マイコン61は、前述した複数種類の異常判定処理の何れかで異常状態(特定の異常状態)の発生を判定した場合に、制御状態を遊技可能状態から遊技不能状態に移行させて遊技制御を停止する(特定の異常状態に基づく遊技停止処理)。また、遊技制御用マイコン61は、枠制御用マイコン151から差玉到達コマンドを受信した場合に、制御状態を遊技可能状態から遊技不能状態に移行させて遊技制御を停止する(最大差玉数の基準数到達に基づく遊技停止処理)。
遊技不能状態では、遊技盤2の各入賞口への入賞を検出する全ての入賞検出センサの検出を無効にすると共に、メイン側タイマ割込処理における前述したS12~S20等の処理の実行を停止させる。これにより、コマンド等の送受信が不可能な状態となり、変動時間等の遊技時間の計測が停止され、各入賞口の入賞検出が不可能な状態となり、第1大入賞口14aや第2大入賞口15aや第2始動口12aが閉鎖を維持する状態となり、表示器類50のLED(特別図柄表示器51,52や普通図柄表示器53等)が消灯状態(特図や普図の変動表示が非表示)となり、実行中であった特図や普図の変動表示については変動時間の計測が中止(または中断)される。
このような遊技制御用マイコン61の遊技停止状態は、枠制御用マイコン151及び演出制御用マイコン101に通知される。具体的には、遊技条件判定処理(S22)において、前述した特定の異常状態に基づく遊技停止処理を行う場合に、特定エラーコマンド(特定不正検出信号)を、RAM64の出力バッファにセットする。また、遊技条件判定処理(S22)において、前述した最大差玉数の基準数到達(コンプリート)に基づく遊技停止処理を行う場合には、コンプリートコマンド(コンプリート信号)を、RAM64の出力バッファにセットする。このようにセットされた遊技停止コマンドは、出力処理(S12)で枠制御用マイコン151及び演出制御用マイコン101に出力される。
【0147】
その他の処理(S24)では、例えば、第1特図保留数に基づいて表示器類50の表示制御(点灯制御)を行ったりする処理等を実行する。
その後、再び実行されたメイン側タイマ割込処理の出力処理(S12)においては、前回のメイン側タイマ割込処理(S11)にてRAM64の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
【0148】
(図柄用センサ検出処理)
次に、
図14を参照し、図柄用センサ検出処理(S17)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、遊技球がゲート13を通過したか否かを判定する(S30)。遊技球がゲート13を通過したことはゲートセンサ13aによって検出される。遊技球がゲート13を通過したと判定した場合(S30:Yes)、遊技制御用マイコン61は、ゲート通過処理を実行する(S31)。このゲート通過処理では、ゲート入球フラグがONであるかOFFであるかを判定する。このゲート入球フラグは、遊技球がゲート13を通過してから対応する普図変動表示が終了するまで(普図当たりの場合は普通作動部材12bの作動が終了するまで)の期間にONとされるフラグである。前述したように本実施形態では普通図柄の作動保留を記憶する記憶部を備えていないことから、当該ゲート通過処理(S31)においてゲート入球フラグの状態を確認し、ONの場合には、前述したゲートセンサ13aによる検出を無効な検出(普図変動表示または補助遊技の実行中の検出)として当該処理を終了する。これに対し、ゲート入球フラグがOFFの場合には、ゲートセンサ13aによる検出を有効な検出(普図変動表示及び補助遊技の非実行中の検出)として、ゲート入球フラグをONに変更し、当該処理を終了する。
【0149】
S31の終了後、又は遊技球がゲート13を通過していないと判定した場合(S30:No)、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第2始動口12aに入球したか否かを判定する(S32)。遊技球が第2始動口12aに入球したことは第2始動口センサ12cによって検出される。遊技球が第2始動口12aに入球していない場合(S32:No)、S38に進むが、遊技球が第2始動口12aに入球したと判定した場合(S32:Yes)、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2が上限値である「4」に達しているか否か判定する(S33)。第2特図保留数U2が上限値である「4」に達している場合(S33:Yes)、S38に進むが、第2特図保留数U2が「4」に達していない場合(S33:No)、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2に1を加算する(S34)。これにより、第2特図の変動保留条件が成立する。
【0150】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図関係乱数取得処理を実行する(S35)。この第2特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数と、大当たり種別乱数と、小当たり種別乱数と、リーチ乱数と、変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第2特図保留記憶部64bのうち、現在の第2特図保留数に応じた記憶領域に格納する。例えば、現在の第2特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0151】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第2始動入賞コマンド作成処理を実行する(S36)。この第2始動入賞コマンド作成処理では、S35において取得した各乱数群に基づいて第2始動入賞コマンドを作成する。この第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口12aに入球したことを示すデータ、S35において取得した各乱数を示すデータ等により構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S36において作成した第2始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S37)。このセットされた第2始動入賞コマンドは、出力処理(S12)において枠制御基板150(枠制御用マイコン151)及びサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力され、演出制御用マイコン101が第2始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。
【0152】
続いて、遊技制御用マイコン61は、遊技球が第1始動口10aに入球したか否かを判定する(S38)。遊技球が第1始動口10aに入球したことは第1始動口センサ10bによって検出される。遊技球が第1始動口10aに入球していない場合(S38:No)、センサ検出処理を終了するが、第1始動口10aに入球したと判定した場合(S38:Yes)、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1が上限値の「4」に達しているか否か判定する(S39)。第1特図保留数U1が「4」に達している場合(S39:Yes)、センサ検出処理を終了するが、第1特図保留数U1が「4」に達していない場合(S39:No)、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U1に1を加算する(S40)。これにより、第1特図の変動保留条件が成立する。
【0153】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図関係乱数取得処理を実行する(S41)。この第1特図関係乱数取得処理では、大当たり乱数と、大当たり種別乱数と、リーチ乱数と、変動パターン乱数とを取得し、それら取得した各乱数を第1特図保留記憶部64aのうち、現在の第1特図保留数に応じた記憶領域に格納する。例えば、現在の第1特図保留数が「3」であった場合は、各乱数を第4記憶領域に記憶する。
【0154】
続いて、遊技制御用マイコン61は、第1始動入賞コマンド作成処理を実行する(S42)。この第1始動入賞コマンド作成処理では、S41で第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数群に基づいて第1始動入賞コマンドを作成する。この第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口10aに入球したことを示すデータ、S41で第1特図保留記憶部64aに格納した各乱数を示すデータ等により構成されている。続いて、遊技制御用マイコン61は、S42で作成した第1始動入賞コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S43)。このセットされた第1始動入賞コマンドは、出力処理(S12)において枠制御基板150(枠制御用マイコン151)及びサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力され、演出制御用マイコン101が第1始動入賞コマンドに含まれる各乱数に基づいて演出を実行する。
【0155】
(普通動作処理)
次に、
図15を参照し、普通動作処理(S18)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、補助遊技中(普通作動部材12bの作動中)であるか否かを判定し(S50)、補助遊技中ではないと判定した場合は(S50:No)普通図柄の停止表示中か否かを判定する(S51)。ここで、遊技制御用マイコン61は、普通図柄の停止表示中ではないと判定した場合は(S51:No)、普通図柄の変動表示中か否かを判定し(S52)、普通図柄の変動表示中ではないと判定した場合は(S52:No)、前述したゲート入球フラグがOFFであるか否か(すなわちゲートセンサ13aによる有効な検出が発生したか否か)を判定する(S53)。ここで、遊技制御用マイコン61は、ゲート入球フラグがOFFであると判定した場合は(S53:Yes)、普通動作処理を終える。
【0156】
また、遊技制御用マイコン61は、S53においてゲート入球フラグがONであると判定した場合、すなわち有効なタイミングで遊技球がゲート13を通過した場合には(S53:No)、普図当たり判定処理を行う(S54-1)。この普図当たり判定処理(S54-1)では、取得した普図当たり乱数値と普通図柄当否判定テーブルT9との関係に基づいて普図当たり判定を行い、普図当たりか否か判定する。そして、この普図当たり判定が当たりの判定結果の場合、普図当たり種別乱数値と普図当たり種別判定テーブルT10との関係に基づいて普図決定処理(普図当たり種別決定処理を含む)を行い、普図当たり判定の結果に応じた普図停止図柄データをRAM64の所定の記憶領域にセットする(S54-2)。つまり、普図決定処理(S54-2)では、「ハズレ」であれば「普通ハズレ図柄」に応じたデータをセットし、「当たり」であれば、当たりの普通当たり図柄(普通図柄hz1または普通図柄hz2)を決定し、その決定した普通図柄に応じたデータをセットする。
【0157】
続いて、遊技制御用マイコン61は、普図変動時間決定処理を行う(S54-3)。普図変動時間決定処理(S54-3)では、遊技状態が時短遊技状態であれば、普通図柄の変動時間が100msであって普通図柄の停止時間が500msである普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短遊技状態であれば、普通図柄の変動時間が30000msであって普通図柄の停止時間が500msである普通図柄変動パターンを選択する。
【0158】
続いて、遊技制御用マイコン61は、S54-1、S54-2及びS54-3において決定した内容(変動時間、停止図柄)に基づいて普通図柄の変動表示を開始する(S54-4)。なお、これに伴い、サブ制御基板100に普通図柄の変動開始と、その変動表示の結果(停止表示する普通図柄の種類)とを知らせるため、普図変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。このセットされた普図変動開始コマンドは、出力処理(S12)において枠制御基板150(枠制御用マイコン151)及びサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力される。普図変動開始コマンドには、S54-1、S54-2及びS54-3において決定した普図当たり判定の当否、停止図柄及び普図変動時間が含まれている。
【0159】
また、遊技制御用マイコン61は、S52において、普通図柄の変動表示中であると判定した場合は(S52:Yes)、普通図柄の変動時間が終了したか否か判定し(S55-1)、終了していないと判定した場合は(S55-1:No)、普通動作処理を終える。一方、終了したと判定した場合は(S55-1:Yes)、普通図柄の変動表示を、普図当たり判定や普図当たり種別判定の結果に応じた表示結果(普通当たり図柄または普通ハズレ図柄)で停止させる(S55-2)。そして、サブ制御基板100に普通図柄の変動停止を知らせるための普図変動停止コマンド(普図用の変動停止コマンド)をセットするとともに(S55-3)、普通図柄の停止時間を設定し(S55-4)、普通動作処理を終える。このセットされた普図変動停止コマンドは、出力処理(S12)において枠制御基板150(枠制御用マイコン151)及びサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力される。
【0160】
また、遊技制御用マイコン61は、S51において、普通図柄の停止表示中であると判定した場合は(S51:Yes)、S56-1において普通図柄の停止時間が終了したか否か判定し、終了していないと判定した場合は(S56-1:No)、普通動作処理を終える。一方、終了していると判定した場合は(S56-1:Yes)、普通当たり図柄の普図停止図柄データがセットされているか否か、つまり、当たりか否かを判定し(S56-2)、当たりではないと判定した場合は(S56-2:No)、ゲート入球フラグをOFFとして(S59)、普通動作処理を終える。一方、当たりと判定した場合は(S56-2:Yes)、時短遊技状態であるか否かを判定し(S56-3)、時短遊技状態であると判定した場合は(S56-3:Yes)、普通作動パターン決定処理(時短)を実行する(S57-1)。これに対し、当たりと判定し(S56-2:Yes)かつ非時短遊技状態であると判定した場合は(S56-3:No)、普通作動パターン決定処理(非時短)を実行する(S57-2)。
【0161】
ここで、S57-1の普通作動パターン決定処理(時短)では、普通作動部材12bの普通作動パターンを、前述した普図当たり種別判定テーブルT10(
図11(b))に基づいて決定する。すなわち、時短遊技状態中に補助遊技を行う場合の普通作動部材12bの作動パターンとして、第2作動パターンFS2が決定される。そして、遊技制御用マイコン61は、続くS57-3において作動パターンをセットし、補助遊技(普通作動部材12bの作動)を開始させる(S57-3)。これにより、時短遊技状態中には、第2始動口12aが2700ms開放される。そして、普通動作処理を終了する。
これに対し、S57-2の普通作動パターン決定処理(非時短)では、普通作動部材12bの普通作動パターンを、前述した普図当たり種別判定テーブルT10(
図11(b))に基づいて決定する。すなわち、非時短遊技状態中に補助遊技を行う場合の普通作動部材12bの作動パターンとして、第1作動パターンFS1が決定される。そして、遊技制御用マイコン61は、続くS57-3において作動パターンをセットし、補助遊技(普通作動部材12bの作動)を開始させる(S57-3)。これにより、非時短遊技状態中には、第2始動口12aが70ms開放される。そして、普通動作処理を終了する。
【0162】
また、遊技制御用マイコン61は、前述したS50において補助遊技中(普通作動部材12bの作動中)であると判定した場合は(S50:Yes)、補助遊技の終了条件(普通作動部材12bの作動終了条件)が満足されたか否かを判定する(S58-1)。ここで、作動終了条件とは、S57-1またはS57-2においてセットされた作動パターン毎の作動時間が終了したという作動時間終了条件、あるいは、第2始動口12aへの入球数が規定の入球数に達したという規定入球数条件である。また、規定入球数条件は、第2始動口12aへの入球数が10個と定められている。
遊技制御用マイコン61は、作動終了条件が満足されていないと判定した場合は(S58-1:No)、普通動作処理を終える。一方、満足されたと判定した場合は(S58-1:Yes)、補助遊技(普通作動部材12bの作動)を終了させ(S58-2)、かつゲート入球フラグをOFFとして(S59)、普通動作処理を終了する。
【0163】
(特別図柄待機処理)
次に、
図16を参照し、特別図柄待機処理(S19)について説明する。
遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動時間および停止時間の何れかを計測中であるか否かを判定し(S60)、計測中であれば(S60:Yes)、特別図柄待機処理を終了する。一方で、特別図柄の変動時間および停止時間の何れも計測していなければ(S60:No)、S61に進む。遊技制御用マイコン61は、S61において、第2特図保留数U2が「0」であるか否かを判定する。そして、「0」ではないと判定した場合(S61:No)、すなわち、第2特図の変動表示についての始動条件が成立した場合に、遊技制御用マイコン61は、後述する第2特図当たり判定処理(S62)及び第2特図変動パターン選択処理(S63)を実行する。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図保留数U2から「1」を減算し(S64)、第2特図保留記憶部64bの各記憶領域に記憶されている各データを、記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり読み出される側に1つずつシフトする(S65)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第2特図変動開始処理を実行する(S66)。この第2特図変動開始処理では、特図変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットし、第2特別図柄表示器52において第2特図の変動表示を開始する。このセットされた特図変動開始コマンドは、出力処理(S12)において枠制御基板150(枠制御用マイコン151)及びサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力される。特図変動開始コマンドには、後述する第2特図大当たり判定処理(
図17)においてセットされた特図停止図柄のデータや第2特図変動パターン選択処理(
図18及び
図19)においてセットされた第2特図変動パターンのデータが含まれている。S66の実行後、遊技制御用マイコン61は、特別図柄待機処理を終了する。
【0164】
また、遊技制御用マイコン61は、前述したS61において、第2特図保留数U2が「0」であると判定した場合(S61:Yes)、第1特図保留数U1が「0」であるか否かを判定する(S67)。「0」ではないと判定した場合(S67:No)、すなわち、第1特図の変動表示についての始動条件が成立した場合に、遊技制御用マイコン61は、後述する第1特図当たり判定処理(S68)及び第1特図変動パターン選択処理(S69)を実行する。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図保留数U2から「1」を減算し(S70)、第1特図保留記憶部64aの各記憶領域に格納されている各データを、記憶の順番が古い方の記憶領域、つまり、読み出される側に1つずつシフトする(S71)。続いて、遊技制御用マイコン61は、第1特図変動開始処理を実行する(S72)。この第1特図変動開始処理では、特図変動開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットし、第1特別図柄表示器51において第1特図の変動表示を開始する。このセットされた特図変動開始コマンドは、出力処理(S12)において枠制御基板150(枠制御用マイコン151)及びサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力される。特図変動開始コマンドには、後述する第1特図当たり判定処理(
図17)においてセットされた特図停止図柄のデータや第1特図変動パターン選択処理(
図18及び
図19)においてセットされた第1特図変動パターンのデータが含まれている。S72の実行後、遊技制御用マイコン61は、特別図柄待機処理を終了する。
【0165】
一方、第1特図保留数U1が「0」であると判定した場合(S67:Yes)、遊技制御用マイコン61は、待機状態(遊技待機状態)中か否かを判定する(S73)。待機状態(遊技待機状態)は、特別図柄の確定表示後、変動インターバル(停止時間)が経過しても次の特別図柄の変動表示が開始されない状態のことである。ここで、待機状態中と判定した場合(S73:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特別図柄待機処理を終了する。一方、待機状態中ではないと判定した場合(S73:No)、遊技制御用マイコン61は、待機画面設定処理を実行する(S74)。この待機画面設定処理では、所定の待機時間を計測し、この待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための待機コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。このセットされた待機コマンドは、出力処理(S12)においてサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力される。その後、遊技制御用マイコン61は特別図柄待機処理を終了する。
【0166】
このように、本実施形態では、第1特図の変動表示は第2特図保留数U2が「0」の場合(S61:Yes)に限って行われる。つまり、第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。
【0167】
(特図当たり判定処理)
次に、
図17を参照し、第2特図当たり判定処理(S61)及び第1特図当たり判定処理(S67)について説明する。なお、第2特図当たり判定処理と第1特図当たり判定処理とは、処理の流れが同じであるため、まとめて説明する。
【0168】
遊技制御用マイコン61は、RAM64の特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数を読み出し(S80)、当否判定テーブル(この例では当否判定テーブルT1)を参照する(S81)。続いて、遊技制御用マイコン61は、当否判定テーブルT1の大当たりに対応する乱数値(判定値)の範囲を参照し、S80で読み出した大当たり乱数値と同じ乱数値が存在するか否か、つまり、大当たりか否かの当否判定を行う(S82)。
【0169】
大当たりと判定した場合(S82:Yes)、遊技制御用マイコン61は、大当たりと判定したことを示す大当たりフラグをONにする(S83)。その後、遊技制御用マイコン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている大当たり種別乱数を読み出し、複数の大当たりの種別が設定された大当たり種別判定テーブル(この例では大当たり種別判定テーブルT2,T3)を参照し、大当たりの種別を判定する(S84)。大当たりの種別によって、特図の大当たり図柄、特図の停止図柄、振分率、最大ラウンド数及び大当たり演出図柄等が異なる。また、大当たりの種類によって時短遊技状態の上限回数についても決定される。その後、遊技制御用マイコン61は、S84で判定した大当たりの種別に応じた特図の大当たり図柄を確定表示するための特図停止図柄データをRAM64に設けた特図バッファにセットし(S88)、本処理を終了する。
【0170】
一方、大当たりと判定しなかった場合(S82:No)、遊技制御用マイコン61は、当否判定テーブルT1の小当たりに対応する乱数値の範囲を参照し、S80で読み出した大当たり乱数と同じ乱数があるか否か、すなわち小当たりか否かの判定を行う(S85)。前述したように、第1特図の抽選では小当たりに当選せず、第2特図の抽選で小当たりに当選する場合がある。小当たりと判定した場合(S85:Yes)、遊技制御用マイコン61は、小当たりと判定したことを示す小当たりフラグをONにする(S86)。その後、遊技制御用マイコン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されている小当たり種別乱数を読み出し、複数の小当たりの種別が設定された小当たり種別判定テーブルT4を参照し、小当たりの種別を判定する(S87)。小当たりの種別によって、特図の小当たり図柄、特図の停止図柄、振分率、小当たり演出図柄等が異なる。また、小当たりの種類によって、特定領域の通過による大当たり遊技状態の有無、時短遊技状態の継続、時短遊技状態の終了等についても決定される。その後、遊技制御用マイコン61は、S87で判定した小当たりの種別に応じた特図の小当たり図柄を確定表示するための特図停止図柄データをRAM64に設けた特図バッファにセットし(S88)、本処理を終了する。
【0171】
一方、小当たりと判定しなかった場合(S85:No)、すなわちハズレと判定した場合、遊技制御用マイコン61は、特図のハズレ図柄を確定表示するための特図停止図柄データを特図バッファにセットし(S88)、本処理を終了する。
【0172】
(特図変動パターン選択処理)
次に、
図18及び
図19を参照し、第2特図変動パターン選択処理(S62)及び第1特図変動パターン選択処理(S68)について説明する。なお、第2特図変動パターン選択処理と第1特図変動パターン選択処理とは、処理の流れが同じであるため、特図変動パターン選択処理としてまとめて説明する。
【0173】
遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態であることを示す時短フラグがOFFであるか否かを判定する(S90)。時短フラグがOFFであると判定した場合(S90:Yes)、遊技制御用マイコン61は、S91に移行する。時短フラグがOFFではないと判定した場合(S90:No)、遊技制御用マイコン61は、S99に移行する。
なお、本実施形態では、時短遊技状態が2種類(時短1と時短2)設けられている。このため、各時短遊技状態に対応して時短フラグが2種類設けられており、時短1の期間に対応して一方の時短フラグがONとなり、時短2の期間に対応して他方の時短フラグがONとなるように遊技制御用マイコン61が制御を行う(
図22のS117-6)。
【0174】
S91,S99に移行した遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグがONであるか否かを判定する。大当たりフラグがONであると判定した場合(S91,S99:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルT7,T8のうち特別図柄の種類に応じたテーブルを参照して大当たり用の特図変動パターンを選択する(S92,S100)。例えば、非時短遊技状態である場合、特図変動パターン選択テーブルT7を参照して大当たり用の特図変動パターンを選択する(S92)。また、時短遊技状態である場合は、特図変動パターン選択テーブルT8を参照して大当たり用の特図変動パターンを選択する(S100)。特図変動パターンを選択した遊技制御用マイコン61は、その後、S98に移行する。
【0175】
また、大当たりフラグがONではないと判定した場合(S91,S99:No)、遊技制御用マイコン61は、小当たりフラグがONであるか否かを判定する(S93,S101)。小当たりフラグがONであると判定した場合(S93,S101:Yes)、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルT7,T8のうち特別図柄の種類に応じたテーブルを参照して特図変動パターンを選択する(S94,S102)。前述したように本実施形態では、第1特図の抽選で小当たりに当選せず、第2特図の抽選で小当たりに当選する場合がある。第2特図の抽選で小当たりに当選した場合、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルT8を参照して、小当たり用の特図変動パターンを選択する(S94,S102)。その後、遊技制御用マイコン61は、S98に移行する。
【0176】
一方、小当たりフラグがOFFであると判定した場合(S93,S101:No)、遊技制御用マイコン61は、S95,S103に移行する。そして、遊技制御用マイコン61は、特図保留記憶部の第1記憶領域に記憶されているリーチ乱数値を取得し、その取得したリーチ乱数値がリーチ成立乱数であるか否かを判定する(S95,S103)。遊技制御用マイコン61は、取得したリーチ乱数が、リーチ判定テーブルT5のリーチ成立に対応する乱数値(判定値)の中に存在するならば、リーチ成立乱数であると判定する(S95,S103:Yes)。その後、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルT7,T8のうち特別図柄の種類に応じたテーブルを参照して、リーチ有りハズレ用の特図変動パターンを選択する(S96,S104)。特図変動パターンを選択した遊技制御用マイコン61は、その後、S98に移行する。
【0177】
一方、取得したリーチ乱数がリーチ成立乱数ではないと判定した場合(S95,S103:No)、遊技制御用マイコン61は、特図変動パターン選択テーブルT7,T8のうち特別図柄の種類に応じたテーブルを参照して、リーチ無しハズレ用の特図変動パターンを選択する(S97,S105)。特図変動パターンを選択した遊技制御用マイコン61は、その後、S98に移行する。
【0178】
S92,S94,S96,S97,S100,S102,S104,S105の終了後、S98に移行した遊技制御用マイコン61は、選択した変動パターンを示す変動パターンデータをRAM64に設けた特図変動パターンバッファにセットし、特図変動パターン選択処理を終了する。S98で特図変動パターンバッファにセットした変動パターンデータは、前述した特別図柄待機処理のS66,S72でセットされる特図変動開始コマンドに含められ、メイン側タイマ割込処理の出力処理(S12)により、サブ制御基板100へ出力される。
【0179】
(特別図柄関連処理)
次に、
図20を参照し、特別図柄関連処理(S20)について説明する。
遊技制御用マイコン61は先ず、特別図柄(第1特図、第2特図)の変動時間(S98でセットした特図変動パターンに応じた時間)の計測の終了タイミングであるか否かを判定する(S110)。そして、変動時間の終了タイミングであると判定した場合(S110:Yes)、遊技制御用マイコン61は、S88でセットした特図停止図柄データに応じた特別図柄の停止図柄を表示(特別図柄の変動表示を確定表示)する(S111-1)と共に、特図変動停止コマンド(特図用の変動停止コマンド)をRAM64に設けた出力バッファにセットする(S111-2)。また、特別図柄の停止時間の計測を開始する(S111-3)。そして、遊技制御用マイコン61は、S111-3の終了後、特別図柄関連処理を終了する。
【0180】
一方で、遊技制御用マイコン61は、前述したS110において特別図柄の変動時間の終了タイミングではないと判定した場合(S110:No)、前述したS111-3において開始した特別図柄の停止時間の計測の終了タイミングであるか否かを判定する(S112)。停止時間の終了タイミングであると判定した場合(S112:Yes)、遊技制御用マイコン61は、後述する遊技状態管理処理を実行する(S113)。その後、遊技制御用マイコン61は、大当たりフラグがONであるか否かを判定し(S114-1)、ONであると判定した場合(S114-1:Yes)、遊技状態リセット処理を実行する(S114-2)。この遊技状態リセット処理では、時短フラグがONであるか否かを判定し、ONになっていると判定した場合は、時短フラグをOFFにする。この遊技状態リセット処理(S114-2)の終了後、遊技制御用マイコン61は、複数種類の状態(遊技状態)に対応する複数種類の移行フラグのうち、大当たり遊技状態を開始させることを示す移行フラグをONにする(S114-3)。そして、特別関連処理を終了する。これに対し、前述したS114-1で大当たりフラグがOFFであると判定した場合には、そのまま特別関連処理を終了する。
【0181】
遊技制御用マイコン61は、前述したS112において特別図柄の停止時間の終了タイミングではないと判定した場合(S112:No)、遊技状態が大当たり遊技状態(1種大当たり状態またはV当たり状態)であるか否かを判定する(S115-1)。なお、遊技制御用マイコン61は例えば、大当たりフラグがONであり、かつ特別図柄の変動時間および停止時間の何れも計測していない場合に、大当たり遊技状態であると判定する。そしてこのS115-1において大当たり遊技状態であると判定した場合には(S115-1:Yes)、1種大当たり状態またはV当たり状態(2種大当たり状態の2ラウンド以降)に関する特別電動役物処理(後述)を実行する(S115-2)。そして、S115-2の終了後、特別図柄関連処理を終了する。
【0182】
一方で、遊技制御用マイコン61は、前述したS115-1において大当たり遊技状態ではないと判定した場合(S115-1:No)、前述したS115-2を経由することなくS116-1に進み、遊技状態が小当たり状態であるか否かを判定する。なお、遊技制御用マイコン61は例えば、小当たりフラグがONであり、かつ特別図柄の変動時間および停止時間の何れも計測していない場合に、小当たり状態であると判定する。そしてこのS116-1において小当たり状態であると判定した場合には(S116-1:Yes)、小当たり状態に関する特別電動役物処理(後述)を実行する(S116-2)。そして、S116-2の終了後、特別図柄関連処理を終了する。
【0183】
(遊技状態管理処理)
次に、
図21を参照し、遊技状態管理処理(S113)の内容について説明する。
遊技制御用マイコン61は先ず、時短フラグがONであるか否か(時短遊技状態であるか否か)を判定する(S113-1)。時短フラグがOFFであると判定した場合(S113-1:No)、遊技制御用マイコン61は、後述するS113-8に移行する。一方、時短フラグがONであると判定した場合(S113-1:Yes)、遊技制御用マイコン61は、時短カウンタの値を1減算する(S113-2)。時短カウンタの値は、特図変動が消化される度に1減算され、時短カウンタの値が「0」になると、今回の図柄変動の終了を以て時短遊技状態が終了し、非時短遊技状態(通常遊技状態)に移行する。
【0184】
その後、遊技制御用マイコン61は、1減算後の時短カウンタの値が「0」になったか否かを判定する(S113-3)。1減算後の時短カウンタの値が「0」になったと判定した場合(S113-3:Yes)に、時短フラグをOFFにし(S113-5)、残保留カウンタをセットして(S113-6)、S113-7に移行する。なお、残保留カウンタとは、時短遊技状態の終了条件が成立したタイミング(特図変動終了時)における第2特図の特図保留数に対応する数値がセットされ、第2特図の変動表示が終了する毎に値を1ずつ減算するカウンタである。なお、時短遊技状態の終了時点で第2特図の特図保留数が「0」であれば、残保留カウンタの値も「0」にセットされる。カウント値が「1」以上にセットされる場合、そのセットされた値は、時短遊技状態の終了直後における第2特図の変動表示の実行期間(残保留消化期間)が終了するのと同時に「0」となる。
S113-7において遊技制御用マイコン61は、複数種類の状態(遊技状態)に対応する複数種類の移行フラグのうち、非時短遊技状態(通常遊技状態)に復帰させること(時短遊技状態の終了)を示す移行フラグをONにする。そして、遊技状態管理処理を終了する。
【0185】
一方で、遊技制御用マイコン61は、前述したS113-3において1減算後の時短カウンタの値が「0」ではないと判定した場合(S113-3:No)、遊技制御用マイコン61は、時短遊技状態の終了条件のうち、当該時短遊技状態中の小当たり回数に応じた終了条件の成立時であるか否かを判定する(S113-4)。そして、時短遊技状態中の小当たり回数に応じた終了条件の成立時であると判定した場合(S113-4:Yes)、時短フラグをOFFにし(S113-5)、残保留カウンタをセットして(S113-6)、非時短遊技状態への復帰に対応する移行フラグをONにする(S113-7)。
【0186】
遊技制御用マイコン61は、前述したS113-1において時短フラグがOFFであると判定した場合(S113-1:No)、及び、前述したS113-4において時短遊技状態中の小当たり回数に応じた終了条件の成立時ではない判定した場合(S113-4:No)、S113-8に移行する。
このS113-8を実行する場合(すなわち、非時短遊技状態中の特図変動表示が終了した直後の変動インターバルの時間経過時)には、その終了した特図変動表示が第2特図の変動表示であったか否かを判定する。そして、第2特図の変動表示であったと判定した場合(S113-8:Yes)には、前述した残保留カウンタの値を1減算して(S113-9)、遊技状態管理処理を終了する。一方、S113-8において第1特図の変動表示であったと判定した場合(S113-8:No)には、S113-9の処理を経由することなく、遊技状態管理処理を終了する。
【0187】
(特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態))
次に、
図22を参照し、1種大当たり状態またはV当たり状態に関する特別電動役物処理(S115-2)の内容について説明する。遊技制御用マイコン61は、特別図柄の変動表示中および停止表示中の何れでもなく、かつ大当たりフラグがONとなっている期間に、
図22に示す特別電動役物処理を実行する。
【0188】
遊技制御用マイコン61は、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)において、大当たりオープニング設定(S117-1)、大当たりラウンド設定(S117-2)、大当たりエンディング設定(S117-3)等を実行する。遊技制御用マイコン61は、大当たりオープニング設定(S117-1)において、大当たり遊技状態(1種大当たり状態)のオープニング期間(大当たりオープニング)の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(オープニングコマンド(大当たり開始コマンド)、オープニング終了コマンド)を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。また、遊技制御用マイコン61は、大当たりラウンド設定(S117-2)において、大当たり遊技状態(1種大当たり状態、V当たり状態)のラウンド期間(ラウンド演出)の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(ラウンド開始コマンド(開放コマンド)、ラウンド終了コマンド(閉鎖コマンド))を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。更に、遊技制御用マイコン61は、大当たりエンディング設定(S117-3)において、大当たり遊技状態(1種大当たり状態、V当たり状態)のエンディング期間(大当たりエンディング)の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(エンディングコマンド、エンディング終了コマンド(大当たり終了コマンド))を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。これらの大当たり遊技状態に関するコマンドは、出力処理(S12)において枠制御基板150(枠制御用マイコン151)及びサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力される。
【0189】
なお、遊技制御用マイコン61は、前述した大当たりオープニング設定や大当たりエンディング設定において、大当たりオープニングや大当たりエンディングの実行時間を所定のタイマにセットし、計測する。また、前述の大当たりラウンド設定において遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技状態の種類に応じた作動パターンで第2大入賞口15aを開閉させる。そして、ラウンド遊技中、第2大入賞口15aに上限個数の遊技球が入球するか、あるいは所定時間が経過すると、遊技制御用マイコン61は第2大入賞口15aを閉状態としてラウンド遊技を終了する。遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技状態の種別毎に定められたラウンド回数分、第2大入賞口15aを開閉する。また、遊技制御用マイコン61は、ラウンド遊技を開始させる度に特別電役作動有効カウンタの値を1減算し、特別電役作動有効カウンタの値が「0」となった場合のラウンド遊技の終了後に、大当たりエンディング設定においてエンディングコマンドをRAM64の出力バッファにセットし、出力する。
【0190】
続いて、遊技制御用マイコン61は、大当たり遊技状態の終了タイミング(大当たりエンディングの終了タイミング)であるか否かを判定する(S117-4)。そして、大当たり遊技状態の終了タイミングではないと判定した場合(S117-4:No)、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)を終了する。一方で、遊技制御用マイコン61は、S117-4において大当たり遊技状態の終了タイミングであると判定した場合(S117-4:Yes)、S117-5~S117-8の処理を実行する。ここで、遊技制御用マイコン61は、S117-5において大当たりフラグをOFFにし、続くS117-6において、生起する時短遊技状態に対応する時短フラグをONにして、更にS117-7において時短カウンタをセットする。そしてS117-8において、遊技制御用マイコン61は、複数種類の状態(遊技状態)に対応する複数種類の移行フラグのうち、時短遊技状態を開始させることを示す移行フラグをONにする。そして、特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)を終了する。遊技制御用マイコン61は、この特別電動役物処理(1種大当たり状態、V当たり状態)の終了後、特別図柄関連処理を終了する。
【0191】
(特別電動役物処理(小当たり状態))
次に、
図23を参照し、小当たり状態に関する特別電動役物処理(S116-2)について説明する。遊技制御用マイコン61は、小当たり当選に基づいて第1大入賞口14aまたは第2大入賞口15aを開放させるために、
図23に示す特別電動役物処理(小当たり)を実行する。なお、本実施形態における特別電動役物処理(小当たり状態)は第2特図に関連して実行されるため、第2特図を前提として説明する。
【0192】
遊技制御用マイコン61は、特別電動役物処理(小当たり状態)において、小当たりオープニング設定(S119-1)、小当たり開放設定(S119-2)等を実行する。遊技制御用マイコン61は、小当たりオープニング設定(S119-1)において、小当たり状態のオープニング期間(小当たりオープニング)の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(オープニングコマンド(小当たり開始コマンド)、オープニング終了コマンド)を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。これらの小当たり状態に関するコマンドは、出力処理(S12)において枠制御基板150(枠制御用マイコン151)及びサブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力される。
小当たりオープニングとは、小当たりの発生を祝う演出画像を演出表示装置7に表示したり、小当たりの発生を祝う楽曲を各スピーカ8から再生したりする演出のことである。小当たりオープニング設定では、小当たりオープニングの実行時間を所定のタイマにセットし、計測する。
また遊技制御用マイコン61は、小当たり開放設定(S119-2)において、既に決定されている小当たり種別(小当たり図柄)に応じて、対応する小当たり状態の開始タイミングや終了タイミングを示すコマンド(開放コマンド、閉鎖コマンド)を、RAM64の出力バッファにセットする処理等を行う。すなわち、生起させることが決定されている小当たり状態が有利小当たり状態である場合は、第2大入賞口15aを1800ms間にわたって開放状態とするので、その開放開始時点を示す開放コマンドをセットして出力すると共に、その開放終了時点を示す閉鎖コマンドをセットして出力する。一方、生起させることが決定されている小当たり状態が不利小当たり状態である場合は、第1大入賞口14aを1800ms間にわたって開放状態とするので、その開放開始時点を示す開放コマンドをセットして出力すると共に、その開放終了時点を示す閉鎖コマンドをセットして出力する。
また、小当たり開放設定(S119-2)において、遊技制御用マイコン61は、特定領域を通過する遊技球を検出する特定領域センサ55aによる検出を有効な検出と判定する期間(特定領域センサ55aの検出有効期間)を、開放コマンドをセットする時点から閉鎖コマンドをセットする時点までとして設定する。
【0193】
その後、遊技制御用マイコン61は、遊技球が特定領域を通過したか否かを判定する(S119-3)。
ここで、特定領域センサ55aの検出有効期間中に遊技球が特定領域を通過したと判定した場合(S119-3:Yes)、遊技制御用マイコン61は、続くS119-4において、前述したS119-3で判定した特定領域センサ55aの検出が検出有効期間に生じたものか否かを判定する。一方、S119-3において遊技球が特定領域を通過しなかった(特定領域センサ55aの検出が生じなかった)と判定した場合には、S119-8に移行する。
また、S119-4において検出有効期間ではないタイミングで特定領域センサ55aの検出が生じたと判定した場合には、S119-5に移行する。このS119-5では、特定領域センサ55aの異常検出(小当たり状態ではない期間における検出)に関する処理を実行する。そして、S119-5の処理の終了後、S119-8に移行する。
【0194】
遊技制御用マイコン61は、S119-4において、特定領域センサ55aの検出がその検出有効期間中に生じたと判定した場合(S119-4:Yes)、大当たりフラグをONにする(S119-6)。そして次に、複数種類の状態(遊技状態)に対応する複数種類の移行フラグのうち、V当たり状態を開始させることを示す移行フラグをONにする(S119-7)。これにより、パチンコ遊技機1では、小当たり状態による第2大入賞口15aの開放中に遊技球が特定領域を通過した場合も、特図当たり判定で大当たりと判定された場合と同じように大当たり遊技状態を生起させる(小当たり状態を2種大当たり状態に発展させる)ための制御が実行可能となる。
【0195】
S119-3が否定判定の場合(S119-3:No)と、S119-5またはS119-7の終了後とに、遊技制御用マイコン61は、S119-8に移行する。このS119-8において遊技制御用マイコン61は、小当たり当選に基づく第1大入賞口14aまたは第2大入賞口15aの閉鎖条件が成立しているか否かを判定する。小当たり当選に基づく第1大入賞口14aまたは第2大入賞口15aの閉鎖条件は、第1大入賞口14aまたは第2大入賞口15aが開状態となってから上限個数の遊技球が入球するか、あるいは当選した小当たりの開放時間が経過することである。そして、第1大入賞口14aまたは第2大入賞口15aの閉鎖条件が成立したと判定した場合(S119-8:Yes)、遊技制御用マイコン61は、小当たりフラグをOFFにする(S119-9)。そして、特別電動役物処理(小当たり状態)を終了する。一方、第1大入賞口14aまたは第2大入賞口15aの閉鎖条件が成立していないと判定した場合は(S119-8:No)、S119-9を経由することなく、特別電動役物処理(小当たり状態)を終了する。
【0196】
(遊技状態移行処理)
次に、
図24を参照し、遊技状態移行処理(S23)について説明する。遊技制御用マイコン61は、遊技状態を移行させることを示す複数種類の移行フラグのうち何れかがONであるか否かを判定する(S130)。そして、何れかの移行フラグがONであると判定した場合には(S130:Yes)、そのONとなっている移行フラグに対応する遊技状態を新たな遊技状態として設定し、その設定した遊技状態を示す遊技状態指定コマンドをRAM64の出力バッファにセットする。すなわち、遊技状態指定コマンドは、遊技状態が変化するタイミングで、出力バッファにセットされ、送信される。そして、ONになっていた移行フラグをOFFにして(S132)、遊技状態移行処理を終了する。なお、前述したS130において全ての移行フラグがOFFであると判定した場合には、そのまま遊技状態移行処理を終了する。
本実施形態では、遊技状態指定コマンドが、RAM64の出力バッファにセットされた後に出力処理(S12)において枠制御基板150(枠制御用マイコン151)に出力される。また枠制御基板150(枠制御用マイコン151)が、この遊技状態指定コマンドを、サブ制御基板100(演出制御用マイコン101)に出力する。
また、この遊技状態指定コマンドを、遊技状態の移行以外の情報(枠制御用マイコン151の後述するバージョン情報)の伝達用にも兼用している。
【0197】
このように、遊技制御用マイコン61は、遊技に基づいて賞球の付与を決定し、その賞球数に応じた賞球コマンドを枠制御基板150に向けて送信する賞球付与手段として機能している(S15の処理)。
【0198】
[演出制御用マイコン101の主な処理]
次に、演出制御用マイコン101(
図5B)が実行する主な処理について説明する。
【0199】
(サブ側主制御処理)
先ず、
図25を参照し、サブ側主制御処理について説明する。
最初に、演出制御用マイコン101は、初期設定を実行する(S160)。この初期設定では、例えば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU102の設定、SIO(SyStem Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等のリセット等を行う。続いて、演出制御用マイコン101は、電源断信号がONしており、かつ、RAM120の内容が正常であるか否かを判定し(S161)、否定判定した場合(S161:No)、RAM120を初期化し(S162)、S163に進む。また、S161において肯定判定した場合(S161:Yes)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化しないでS163に進む。つまり、電源断信号がONになっていない場合、または、電源断信号がONになっていてもRAM120の内容が正常でない場合には(S161:No)、演出制御用マイコン101は、RAM120を初期化するが、停電等で電源断信号がONとなったがRAM120の内容が正常に保たれている場合には(S161:Yes)、RAM120を初期化しない。なお、RAM120を初期化すれば、各種のフラグ、カウンタ及びタイマ等の値はリセットされる。また、このS160~S162は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0200】
続いて、演出制御用マイコン101は、割込禁止を行い(S163)、乱数更新処理を実行する(S164)。この乱数更新処理では、種々の演出決定用乱数カウンタの初期値を更新する。なお、演出決定用乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御用マイコン61が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。続いて、演出制御用マイコン101は、コマンド送信処理を実行する(S165)。このコマンド送信処理では、演出制御用マイコン101のRAM120内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板200、音声制御基板78及びランプ制御基板79等に送信する。続いて、演出制御用マイコン101は割込許可を実行する(S166)。以降、S163~S166を繰り返し実行する。また、割込許可中においては、受信割込処理(S167)、1msタイマ割込処理(S168)及び10msタイマ割込処理(S169)の実行が可能となる。
【0201】
(受信割込処理)
次に、受信割込処理(S167)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から、演出制御用マイコン101の外部INT(割込)入力部に与えられるストローブ信号(STB信号)の信号レベルが変化したか否か、つまり、コマンドを受信するタイミングであるか否かを判定する。例えば、ストローブ信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定する。そして、受信するタイミングではないと判定した場合、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。一方、受信するタイミングであると判定した場合、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から送信されてきた各種のコマンドを受信し、それら受信した各種のコマンドをRAM120の受信バッファに格納する。この受信割込処理は、他の割込処理(S168,S169)に優先して実行される処理である。
【0202】
(1msタイマ割込処理)
次に、
図26(a)を参照し、1msタイマ割込処理(S168)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に1ms周期の割込パルスが入力される度に、この1msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、入力処理を実行する(S170)。この入力処理では、演出制御用マイコン101が、演出レバー押込検出スイッチ6a、演出レバー回転検出スイッチ6b、及び演出ボタン検出スイッチ5aからの検出信号に基づいて、スイッチがONしたことを示すスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
【0203】
続いて、演出制御用マイコン101は、出力処理を実行する(S171)。この出力処理では、後述する変動演出開始処理においてRAM120の出力バッファにセットされる変動演出開始コマンドを画像制御基板200に出力する。また、演出表示装置7の表示に合わせて盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを発光させるために、後述する10msタイマ割込処理におけるランプ処理(S183)等で作成したランプデータをランプ制御基板79に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23bを所定の発光態様で発光させる。また、演出表示装置7の表示に合わせて可動体モータ23dを駆動させるために、駆動データ(可動体モータ23dを駆動するためのデータ)を作成し、その作成した駆動データを出力する。つまり、駆動データにしたがって可動体モータ23dを所定の動作パターンで駆動させる。また、演出表示装置7の表示に合わせてスピーカ8から音声を出力させるために、後述する10msタイマ割込処理における音声制御処理(S184)等で作成した音声データを音声制御基板78に出力する。つまり、音声データに従ってスピーカ8から音声を出力させる。
【0204】
続いて、演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したか否かを判定する(S172)。変動演出開始コマンドは、後述する変動演出開始処理においてRAM120の出力バッファにセットされ、S171において画像制御基板200に出力される。ここで、演出制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドを出力したと判定した場合(S172:Yes)、変動演出パターンの変動時間の計測を開始する(S173)。続いて、演出制御用マイコン101は、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S174)。S174の終了後、又は変動演出開始コマンドを出力していないと判定した場合(S172:No)、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。
【0205】
(10msタイマ割込処理)
次に、
図26(b)を参照し、10msタイマ割込処理(S169)について説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に10ms周期の割込パルスが入力される度に、この10msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、後述する受信コマンド解析処理(
図27)を実行し(S180)、スイッチ状態取得処理を実行する(S181)。このスイッチ状態取得処理では、1msタイマ割込処理の入力処理(S170)において作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチデータとしてRAM120に格納する。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて、演出表示装置7が表示するボタン演出等の表示内容を設定するスイッチ処理を実行する(S182)。続いて、演出制御用マイコン101は、ランプ処理を実行する(S183)。このランプ処理では、演出表示装置7の表示に合わせて各ランプ(盤ランプ2a、左サイドランプ23a及び右サイドランプ23b等)の発光を制御するためのランプデータの作成や発光演出の時間管理等を行う。これにより、各ランプは、演出表示装置7の表示に合った発光演出を行う。
【0206】
続いて、演出制御用マイコン101は、音声制御処理を実行する(S184)。この音声制御処理では、音声データ(各スピーカ8からの音声の出力を制御するためのデータ)の作成、その作成した音声データの音声制御基板78への出力、音声演出の時間管理等を行う。これにより、演出表示装置7の表示に合わせて音声が各スピーカ8から出力される。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S185)、本処理を終了する。その他の処理(S185)では、変動演出パターン乱数、予告演出を決定するための予告演出乱数等を更新する等の処理を実行する。また、その他の処理(S185)では、遊技者に対して右打ちを促す右打ち演出を行うための右打ち演出処理や、遊技制御用マイコン61からの各種のコマンドの受信(S180)に応じて特定される遊技の状況に合わせて演出モード(後述)を設定するための演出モード設定処理等を実行する。
【0207】
(受信コマンド解析処理)
次に、
図27を参照し、受信コマンド解析処理(S330)について説明する。
演出制御用マイコン101は、遊技制御用マイコン61からの遊技状態指定コマンドを受信したか否かを判定する(S190-1)。
ここで、遊技状態指定コマンドは、遊技状態を示す情報が含まれている。すなわち、遊技状態指定コマンドは、非時短遊技状態(通常遊技状態)、時短遊技状態(時短1または時短2)、大当たり遊技状態(1種大当たり状態)、V当たり状態(2種大当たり状態)の何れかに対応している。そこで、演出制御用マイコン101は、S190-1で遊技状態指定コマンドを受信したと判定した場合、サブ側遊技状態設定処理(S190-2)を実行し、その遊技状態指定コマンドが示す遊技状態を記憶(現在の遊技状態として設定)する。具体的には、受信した遊技状態指定コマンドを解析して現時点の遊技状態を特定し、その遊技状態を示す遊技状態フラグを「1」にセットし、それ以外の遊技状態フラグを「0」にセットする。
また、本実施形態では、演出制御用マイコン101が前述のS190-1で遊技状態指定コマンドを受信したと判定した場合、二次主枠判定処理(S190-3)を実行するように設定されている。このS190-3の処理は、遊技状態指定コマンドに含まれる情報(加工情報)と、RAM120の前述した参照値記憶部111に記憶されている参照値との比較による二次主枠判定(一次主枠判定と合わせて後述する)。すなわち、本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技状態指定コマンドを、遊技状態を示す情報の伝達用と、他の情報(加工情報)の伝達用とに兼用している。
演出制御用マイコン101は、S190-3の処理の終了後、または、S190-1において遊技状態指定コマンドを受信していないと判定した場合に(S190-1:No)、S191-1へ進む。
【0208】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から始動入賞コマンド(第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンド)を受信したか否かを判定し(S191-1)、受信したと判定した場合は(S191-1:Yes)、先読み演出判定処理を実行する(S191-2)。先読み演出判定処理(S191-2)では、第1特図保留演出記憶部121(または第2特図保留演出記憶部122)に記憶した始動入賞コマンドに含まれている始動入賞情報(例えば、大当たり乱数値、大当たり種別乱数値、小当たり種別乱数値、リーチ乱数値等)を判定する。つまり、遊技制御用マイコン61が特別図柄の変動表示を開始する時点よりも前(始動入球時)に、特図当たり判定や大当たり種別判定や小当たり種別判定やリーチ判定を行う(事前判定)。そして、事前判定の結果に応じた抽選により、示唆演出を行うか否かを決定する。
演出制御用マイコン101は、S191-2の処理の終了後、または、S191-1において始動入賞コマンドを受信していないと判定した場合に(S191-1:No)、S192-1へ進む。
【0209】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S192-1)、受信したと判定した場合は(S192-1:Yes)、オープニング演出選択処理を実行する(S192-2)。このオープニング演出選択処理では、オープニングコマンドを解析し、その解析結果に基づいて、大当たり遊技状態のオープニングで実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。詳しくは、オープニングコマンド毎にオープニング演出パターンが対応付けて設定されたオープニング演出パターン選択テーブル(図示せず)を参照し、受信したオープニングコマンドと対応付けられているオープニング演出パターンを選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S192-2の処理の終了後、または、S192-1においてオープニングコマンドを受信していないと判定した場合に(S192-1:No)、S193-1へ進む。
【0210】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60からラウンド指定コマンドを受信したか否かを判定する(S193-1)。この処理においてラウンド指定コマンドを受信したと判定した場合は(S193-1:Yes)、ラウンド演出選択処理を実行する(S193-2)。ラウンド演出選択処理では、大当たり遊技状態の各ラウンドにおいて実行するラウンド演出の種類を選択すると共に、選択したラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S193-2の処理の終了後、または、S193-1においてラウンド指定コマンドを受信していないと判定した場合に(S193-1:No)、S194-1へ進む。
【0211】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S194-1)、受信したと判定した場合は(S194-1:Yes)、エンディング演出選択処理を実行する(S194-2)。このエンディング演出選択処理では、エンディングコマンドを解析し、その解析結果に基づいて、大当たり遊技状態のエンディングで実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。詳しくは、エンディングコマンド毎にエンディング演出パターンが対応付けて設定されたエンディング演出パターン選択テーブル(図示せず)を参照し、受信したエンディングコマンドと対応付けられているエンディング演出パターンを選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S194-2の処理の終了後、または、S194-1においてエンディングコマンドを受信していないと判定した場合に(S194-1:No)、S195-1へ進む。
【0212】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から特図変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S195-1)、受信したと判定した場合は(S195-1:Yes)、後述する変動演出開始処理(
図28A)を実行する(195-2)。この変動演出開始処理では、主制御基板60から受信した特図変動開始コマンドに応じて、変動演出のより具体的な演出内容(変動演出パターン)を決定し、その変動演出の実行を指示するコマンドをRAM120の出力バッファにセットする。また、演出制御用マイコン101は、変動演出開始処理(S195-2)において、受信した特図変動開始コマンドに含まれる特図変動パターンに応じて特図変動表示の変動時間を特定し、特定した変動時間を変動演出の実行時間(左中右の演出図柄7L,7C,7Rの変動時間)としてその計測を開始する。
【0213】
この変動演出開始処理(S195-2)の実行後、演出制御用マイコン101は、後述する示唆演出選択処理を実行する(S195-3)。示唆演出選択処理では、変動演出中に示唆演出を実行するか否かおよび実行する示唆演出の種類を決定する。そして、示唆演出を実行することを決定した場合には、その示唆演出の実行を指示するコマンドをRAM120の出力バッファにセットする。
演出制御用マイコン101は、S195-3の処理の終了後、または、S195-1において変動開始コマンドを受信していないと判定した場合に(S195-1:No)、S196-1へ進む。
【0214】
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から特図変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S196-1)、受信したと判定した場合は(S196-1:Yes)、変動演出終了処理を実行する(S196-2)。この変動演出終了処理では、演出制御用マイコン101は、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM120の出力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(
図25のS165)によって画像制御基板200に送信されると、画像制御基板200は、演出表示装置7において停止状態(滞留状態)となっている左演出図柄7L、中演出図柄7Cおよび右演出図柄7Rを確定表示する。また、演出制御用マイコン101は、変動演出終了処理(S196-2)において、前述した変動演出開始処理(S195-2)で計測開始した変動時間の計測を終了し、変動演出後の演出図柄7L,7C,7Rの停止時間(特図変動表示の停止時間と同じ時間)の計測を開始する。
【0215】
演出制御用マイコン101は、S196-2の処理の終了後、または、S196-1において変動停止コマンドを受信していないと判定した場合に(S196-1:No)、S197へ進む。そして、演出制御用マイコン101は、上記のコマンド以外のコマンドの受信に関する処理を行って(S197)、受信コマンド解析処理を終える。
【0216】
(変動演出開始処理)
次に、
図28を参照し、変動演出開始処理(S195-2)について説明する。
演出制御用マイコン101は、受信した特図変動開始コマンドを解析する(S210)。特図変動開始コマンドには、第2特図変動パターン選択処理(第1特図変動パターン選択処理)でセットされた第2特図変動パターン(第1特図変動パターン)の情報、特図停止図柄(大当たり種別判定結果)等が含まれている。続いて、演出制御用マイコン101は、S210において解析した特図変動開始コマンドが第1特図変動開始コマンドである場合は、第1特図保留数と同期するよう、第1特図保留演出カウンタの値を「1」減算し、第2特図変動開始コマンドである場合は、第2特図保留数と同期するよう、第2特図保留演出カウンタの値を「1」減算する(S211)。第1特図保留演出カウンタは、第1始動入賞コマンドの受信に基づいて第1特図保留数に対応する数をカウントするカウンタであり、第2特図保留演出カウンタは、第2始動入賞コマンドの受信に基づいて第2特図保留数に対応する数をカウントするカウンタである。続いて、演出制御用マイコン101は、特図保留演出記憶部に記憶されている始動入賞コマンド等の各データを古い記憶領域の方にシフトする(S212)。次に、演出制御用マイコン101は、演出表示装置7が変動演出パターンを表示する際に最終的に確定表示する左演出図柄7L、中演出図柄7C及び右演出図柄7Rの組み合わせを、演出図柄選択テーブル(図示せず)を参照して選択する(S213)。
【0217】
続いて、演出制御用マイコン101は、演出内容選択処理を実行する(S214)。演出制御用マイコン101は、演出内容選択処理として、指示された特図変動パターンに基づいて、変動演出パターン選択テーブル(図示せず)の中から、演出図柄の変動に伴って行われる演出内容(変動演出パターン)を選択する。続いて、演出制御用マイコン101は、S214において選択した演出内容(変動演出パターン)の表示を演出表示装置7に開始させるための変動演出開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする(S215)。変動演出開始コマンドには、演出内容(変動演出パターン)の他、演出図柄を演出表示装置7に表示させるための演出画像データが含まれている。そして、その演出画像データを含む変動演出開始コマンドが、RAM120の出力バッファにセットされることで、1msタイマ割込処理の出力処理(S171)において演出画像データが画像制御基板200に出力される。これにより、演出画像データに基づく演出図柄や演出画像が演出表示装置7に表示される。また、画像制御基板200は、演出制御用マイコン101からの変動演出開始コマンドを受信したことに基づき、演出表示装置7の表示上において当該変動用表示領域7Bcに表示される画像(当該変動画像)を消去すると共に、メイン演出保留表示領域7Baやサブ演出保留表示領域7Bbに表示される画像(保留画像)をシフトする。その後、演出制御用マイコン101は、本処理を終了する。
【0218】
[枠制御用マイコンのバージョン番号に関する判定]
ここで、
図29を参照し、枠制御用マイコン151(内枠16が備える所定の電気部品)と主制御基板60(遊技盤2側の制御手段)との組み合わせの適否に関する判定(主枠判定)について説明する。
【0219】
先ず、主枠判定を行う背景等について説明する。パチンコ遊技機1は前述のように、遊技盤2を着脱可能に保持する内枠16(枠体)を備えている。遊技盤2には、主制御基板60及びサブ制御基板100が配置され、主制御基板60には遊技制御用マイコン61が設けられていると共に、サブ制御基板100には演出制御用マイコン101が設けられている。また、内枠16には、枠制御基板10が配置され、枠制御基板150には枠制御用マイコン151が設けられている。パチンコ遊技機1は、主制御基板60が、サブ制御基板100及び枠制御基板150と電気的に接続されている。そして枠制御用マイコン151は、遊技球数計数用のプログラム等が記憶されたROM160を備えている。
ここで例えば、パチンコ遊技機1の開発段階において、枠制御用マイコン151のプログラムにバグが生じた場合、そのバグの発生を解消するようにプログラム等を改良して、その改版後の枠制御用マイコン151を用いる必要がある。この場合、改版後の新たな枠制御用マイコン151を備えた内枠16に対して設置する遊技盤2は、その新たな枠制御用マイコン151との関係で正常に動作する主制御基板60(及びサブ制御基板100)を備えたものとなる。しかしながら、枠制御用マイコン151が誤って改版前のものになっていると、主制御基板60との関係で不適切な組み合わせとなる。枠制御用マイコン151は、前述のように遊技球の計数等を制御するので、主制御基板60との不適切な組み合わせに起因して遊技球の計数等に関する不具合が生じたりすると、遊技者の損害にも繋がり得るため、対策を要する。なお、改版前の枠制御用マイコン151であっても、パチンコ遊技機1が一見違和感なく動作を開始してしまう可能性がある。この場合、実際に問題が生じるまで枠制御用マイコン151と主制御基板60との不適切な組み合わせに気付くことが遅れる虞もあり、問題である。
そこで、本実施形態では主枠判定を実行し、枠制御用マイコン151と主制御基板60とが不適切な組み合わせになっている状態を早期に発見できるようにしている。
【0220】
ここで、枠制御用マイコン151(所定の電気部品)には、開発段階(例えばリリース候補段階またはそれ以前のプロトタイプ段階)から現在までの製品(枠制御用マイコン151またはROM160)の改良段階を示すバージョン番号が付されている。本実施形態では、枠制御用マイコン151のバージョン番号に関する情報を遊技盤2側及び内枠16側で記憶し、各情報を比較判定することで主枠判定を行う。なお、バージョン番号は、ROM160またはそのプログラムに対して付される番号でもよい。
【0221】
例えば、
図29に示すように、枠制御用マイコン151(ROM160のプログラム)の開発後期において、リリース候補(「候補A1」とする)として完成した最初の枠制御用マイコン151に、最初のバージョン番号である「ver.1.0」が付されたとする。またこの「候補A1」の一部を修正した新たなリリース候補(「候補A2」とする)には、新たなバージョン番号として「ver.1.1」が付され、その後も修正する毎にバージョン番号が更新される。
図29の例では、バージョン番号として「ver.1.2」が付されたものが製品化され(「製品A」と称する)、それ以前の「候補A1」及び「候補A2」は、バグの発生等によって製品化されなかったものとする。
すなわち、バージョン番号が「ver.1.2」の枠制御用マイコン151(製品A)を有する枠制御基板150が内枠16に配置されている場合、この内枠16に設置された遊技盤2の主制御基板60が枠制御用マイコン151(製品A)に対応するものであれば、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせは適切なものと言える。これに対し、「ver.1.0」や「ver.1.1」の枠制御用マイコン151が誤って用いられていた場合、そのパチンコ遊技機1は、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせが不適切と言える。
【0222】
枠制御基板150には、枠制御用マイコン151のROM160に、当該枠制御用マイコン151のバージョン番号に関するバージョン情報(基礎情報、付加情報)を記憶するバージョン情報記憶部161が設けられている。また、主枠判定に関し、主制御基板60には、遊技制御用マイコン61のROM63に、バージョン番号に関する主比較情報を記憶する主比較情報記憶部63aが設けられており、サブ制御基板100には、演出制御用マイコン101のROM110に、バージョン番号に関するサブ比較情報を記憶するサブ比較情報記憶部111が設けられている。そして、これらの情報(基礎情報、付加情報、主比較情報、サブ比較情報)に基づいて、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせの適否を判定する。なお、本実施形態では主枠判定として、枠制御用マイコン151の制御に基づく一次主枠判定と、演出制御用マイコン101の制御に基づく二次主枠判定と、が実行される。これに対し、一次主枠判定及び二次主枠判定の何れか一方のみを行うようにしてもよい。
【0223】
枠制御基板150(枠制御用マイコン151)は、前述した基礎情報(内枠16の情報)と、前述した主比較情報(遊技盤2の情報)との比較により、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせの適否を判定する(一次主枠判定)。そして、一次主枠判定の結果が異常(組み合わせ不適切)であった場合には、性能表示モニタ183の表示により異常報知を行うようになっている。
これに対し、サブ制御基板100(演出制御用マイコン101)は、前述した付加情報(内枠16の情報)と、前述したサブ比較情報(遊技盤2の情報)との比較により、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせの適否を判定する(二次主枠判定)。そして、二次主枠判定の結果が異常(組み合わせ不適切)であった場合には、演出表示装置7の表示等により異常報知を行うようになっている。
なお、枠制御用マイコン151による主枠判定(一次主枠判定)の結果を演出制御用マイコン101に通知して、演出表示装置7の表示等で異常報知を行ってもよい。
【0224】
図29を参照し、具体的に説明する。パチンコ遊技機1を構成する内枠16において、バージョン番号「ver.1.2」の枠制御用マイコン151を有する枠制御基板150を備えている場合、その枠制御用マイコン151のROM160(バージョン情報記憶部161)には、「3H」という基礎情報(バージョン情報)が記憶されていると共に、「7H」という付加情報(バージョン情報)が記憶されている。基礎情報は、枠制御用マイコン151のバージョン番号に合わせて更新される数値を示す情報である。また、付加情報は、固定値「AH」から基礎情報の値を減算した値を示す情報である。
【0225】
同じパチンコ遊技機1の構成として、バージョン番号「ver.1.2」の枠制御用マイコン151を有する内枠16と、これに対応する遊技盤2とを備える場合、この遊技盤2に配置される主制御基板60には、遊技制御用マイコン61のROM63(主比較情報記憶部63a)に、基礎情報と同じ「3H」という主比較情報が記憶されている。またこの遊技盤2に配置されるサブ制御基板100には、演出制御用マイコン101のROM110(サブ比較情報記憶部111)に、主比較情報である「3H」に対して付加情報である「7H」を加算した「AH」というサブ比較情報が記憶されている。
これに対し、内枠16において誤ってバージョン番号「ver.1.0」の枠制御用マイコン151が設けられていた場合、当該枠制御用マイコン151のバージョン情報記憶部161には、基礎情報として「1H」が記憶されていると共に、付加情報として「9H」が記憶されている。また、内枠16において誤ってバージョン番号「ver.1.1」の枠制御用マイコン151が設けられていた場合、当該枠制御用マイコン151のバージョン情報記憶部161には、基礎情報として「2H」が記憶されていると共に、付加情報として「8H」が記憶されている。
【0226】
一次主枠判定は、遊技制御用マイコン61が主比較情報(比較情報)を含むコマンド(処置の制御信号)を送信し、このコマンドを受信した枠制御用マイコン151(適否判定手段)が、当該コマンドに含まれる主比較情報と、バージョン情報記憶部161から読み出した基礎情報(バージョン情報)とを比較することにより、実現される。
例えば、バージョン番号「ver.1.2」の枠制御用マイコン151を有する内枠16に対して、対応する遊技盤2を設置している場合、遊技制御用マイコン61からの(主枠判定用の)主比較情報「3H」を含むコマンドの上位4ビット値は「0011」であり、この上位4ビット値で示される主比較情報が、バージョン情報記憶部161から読み出すバージョン情報(「3H」)と同値となるので、枠制御用マイコン151は、当該一次主枠判定において、主枠一致(主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせが適切であること)の判定結果を導出する。
一方で、同じ遊技盤2が設置されている内枠16に、誤って異なるバージョン番号「ver.1.0」の枠制御用マイコン151を有する枠制御基板150を設けていた場合には、遊技制御用マイコン61からの(主枠判定用の)主比較情報「3H」を含むコマンドの上位4ビット値は「0011」(主比較情報は「3H」)であるのに対し、バージョン情報記憶部161から読み出すバージョン情報が異なる値(「1H」)となるので、枠制御用マイコン151は、当該一次主枠判定において、主枠不一致(主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせが不適切であること)の判定結果を導出する。
【0227】
また、枠制御用マイコン151(報知制御手段)は、一次主枠判定で主枠不一致の判定結果を導出した場合、性能表示モニタ183(報知手段)の表示内容を、6個の7セグメントのうち左側2個を用いて、主枠不一致の異常状態に対応する情報表示(エラー番号の表示等)を含むように表示制御する。なお、この異常報知の解除条件は、「主枠不一致を解消すること」であり、パチンコ遊技機1の電源をOFFにして再投入したとしても解除されないようになっている。
【0228】
遊技制御用マイコン61から送信する比較情報を含むコマンド(所定の制御信号)として、遊技状態の移行を伝達するための遊技状態指定コマンド(遊技情報信号)が用いられている。遊技制御用マイコン61は、電源投入時の処理(
図12のS7)において移行先の遊技状態を示す移行フラグを設定することによって、電源投入直後の遊技状態移行処理(
図13のS23)において遊技状態指定コマンドを必ず送信することになる。すなわち、遊技状態指定コマンドは、パチンコ遊技機1の電源投入に伴って少なくとも1回送信されるコマンドである。このため、パチンコ遊技機1において遊技者による遊技が行われるか否かに関わらず、電源投入直後から性能表示モニタ183において主枠不一致の異常報知が実行されることになる。
遊技制御用マイコン61は、遊技状態の変化毎に送信する遊技状態指定コマンドの上位4ビットを、比較情報に対応する値とする。すなわち、比較情報が「1H」であれば、遊技状態指定コマンドの上位4ビット値を「0001」とする。なお、遊技状態指定コマンドにおける遊技状態を示す下位ビットの態様については説明を省略する。
【0229】
二次主枠判定は、演出制御用マイコン101が、遊技制御用マイコン61からの(枠制御用マイコン151を介したコマンド(指示信号)を受信することに応じて実行する。具体的には、遊技制御用マイコン61からのバージョン情報(付加情報)を含む遊技状態指定コマンドを受信した枠制御用マイコン151が、当該コマンドの上位4ビットの情報(主比較情報)を、バージョン情報記憶部161から読み出した付加情報(バージョン情報)に基づいて加工した上で、その加工した遊技状態指定コマンド(「加工情報信号」と称する)を演出制御用マイコン101に向けて送信し、この加工情報信号を受信した演出制御用マイコン101(適否判定手段)が、加工情報信号の上位4ビット値と、参照値記憶部111から読み出したサブ比較情報(比較情報)である固定値とを比較することにより、実現される。
例えば、バージョン番号「ver.1.2」の枠制御用マイコン151を有する内枠16に対して、対応する遊技盤2を設置している場合、枠制御用マイコン151がバージョン情報記憶部161から読み出す付加情報(バージョン情報)は、固定値として定められている「AH」から基礎情報「3H」を減算した「7H」となる。そして、この付加情報(「7H」)に基づいて、遊技状態指定コマンドの上位4ビット値(比較情報「3H」に対応する「0011」)を加工する。すなわち、上位4ビットの「0011」に「0111」を加算することで、当該コマンドの上位4ビット値を「1010」に加工し、その加工後の遊技状態指定コマンドを、演出制御用マイコン101に送信する。そして、演出制御用マイコン101は、受信コマンド解析処理(
図27)のS190-1で遊技状態指定コマンド(加工情報信号)を受信したと判定した場合に、二次主枠判定(
図27のS190-3の二次主枠判定処理)を実行する。この場合、二次主枠判定では、加工された遊技状態指定コマンド(加工情報信号)の上位4ビット(「1010」)と、サブ比較情報記憶部111から読み出したサブ比較情報(「AH」)とを比較する。この場合は同値となるので、枠制御用マイコン151は、当該二次主枠判定において、主枠一致(主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせが適切であること)の判定結果を導出する。
【0230】
一方で、同じ遊技盤2が設置されている内枠16に、誤って異なるバージョン番号「ver.1.0」の枠制御用マイコン151を有する枠制御基板150を設けていた場合には、枠制御用マイコン151がバージョン情報記憶部161から読み出す付加情報(バージョン情報)は「9H」であり、枠制御用マイコン151がこの付加情報「9H」に対応する「1001」を、遊技状態指定コマンドの上位4ビット「0011」に加算することで、当該遊技状態指定コマンドの上位4ビットを「1110」に加工し、加工情報信号として演出制御用マイコン101に送信する。そして、演出制御用マイコン101は、受信コマンド解析処理(
図27)のS190-1で遊技状態指定コマンド(加工情報信号)を受信したと判定した場合に、二次主枠判定(
図27のS190-3の二次主枠判定処理)を実行する。この場合、二次主枠判定では、加工された遊技状態指定コマンド(加工情報信号)の上位4ビット(「1110」)と、サブ比較情報記憶部111から読み出したサブ比較情報(「AH」)とが異なる値となるので、演出制御用マイコン101は、当該二次主枠判定において、主枠不一致(主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせが不適切であること)の判定結果を導出する。
また、演出制御用マイコン101(報知制御手段)は、二次主枠判定で主枠不一致の判定結果を導出した場合、演出表示装置7の液晶画面(報知手段)において、主枠不一致の異常状態に対応する画像表示を行うように表示制御する。なお、この異常報知の解除条件は、「主枠不一致を解消すること」であり、パチンコ遊技機1の電源をOFFにして再投入したとしても解除されないようになっている。
【0231】
[発射可能状態及び発射阻止状態に関する制御]
次に、
図30、
図31及び
図32を参照し、枠制御用マイコン151(発射可否変更手段)による発射阻止状態に関する制御について説明する。
パチンコ遊技機1では、枠制御用マイコン151からの発射許可信号が、常には、発射制御回路75に入力されている。この間に、遊技者がハンドル4(遊技操作手段)の発射レバー4aを回動操作することで、タッチスイッチ92からの信号が発射制御回路75に入力され、発射レバー4aの操作量に応じた発射強度で遊技球が遊技領域3に向けて発射される。この場合、ハンドル4を操作している状態では、発射制御回路75による発射機構90の駆動制御により、発射槌90a(発射モータ91)及び球送り部材36c(球送りソレノイド36b)が等間隔で繰り返し動作することで、遊技球の連続的な発射動作が実現される。すなわち、球送り部材36cが打球位置29aに1個の遊技球を送り出し(球送り動作)、その打球位置29aの遊技球を発射槌90aが打ち出す(打球動作)ことによる発射動作が、等間隔なタイミングで(具体的には、600ms経過毎に)連続的に実行されることになる。しかしながら、何らかの発射阻止事由(発射動作を停止または制限すべき事由)が生じている場合は、枠制御用マイコン151から発射制御回路75への発射許可信号が停止される。発射許可信号が停止されると、ハンドル4を操作したとしても連続的な発射動作が実行されない状態になる。以下、このような状態を「発射阻止状態」と称し、通常における発射可能な状態を「発射可能状態」と称する。
【0232】
図30に示すように、発射阻止事由として、遊技停止、持ち球数ゼロ、扉開放、揚送異常、貸出ユニット未接続、がある。遊技停止は、差玉数が基準数(95000個)に達した場合や特定の異常状態を検出した場合に、遊技制御用マイコン61による遊技制御を停止した状態である。持ち球数ゼロは、遊技者が使用できる遊技球(持ち球)が「0」になった状態である。扉開放は、前面枠18が開放されて遊技盤2の盤面(遊技領域3)が露出した状態である。揚送異常は、球循環機構30の球揚送部34において揚送軸34a(揚送モータ34c)の回転動作に関する異常が検出された状態である。貸出ユニット未接続は、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)と貸出ユニット76(貸出基板77)との正常な接続状態が形成されていない状態(接続信号の入力が所定時間以上確認できていない状態)である。これらの発射阻止事由のうち少なくとも一つが生じている場合、枠制御用マイコン151から発射制御回路75への発射許可信号の入力が停止される。
【0233】
ここで、本実施形態では、枠制御基板150上に発射モニタ87が設けられている。この発射モニタ87は、発射可能状態であるか発射阻止状態であるかを報知する表示器(発射阻止報知手段)である。また、発射モニタ87は、発射阻止状態において、存在する発射阻止事由に応じた態様で発射阻止状態の報知を実行する表示器である。
図31に示すように、発射モニタ87には、3個のLED(第1報知部188、第2報知部189、第3報知部190)が設けられている。そして、発射阻止状態では、存在する発射阻止事由に応じたLED(報知部)が消灯するように構成されている。
発射モニタ87は、ドライバ回路DRが設けられている。このドライバ回路DRには、第1報知部188、第2報知部189、第3報知部190の各々に対応したトランジスタ(第1切換部191、第2切換部192、第3切換部193)が設けられている。
【0234】
第1切換部191のベースに対し、第1信号回路を通じて第1信号が、常には入力されている。この第1信号は、遊技制御用マイコン61が遊技停止状態以外の状態であることを示す信号であり、この第1信号の入力によって第1切換部191がONとなっているため、第1報知部188が常には点灯状態を維持している。しかし一方で、遊技制御用マイコン61が遊技停止状態になると、第1信号の入力が無くなって第1切換部191がOFFとなるため、第1報知部188が消灯状態に変化する。すなわち、第1報知部188の点灯状態により、遊技停止の発射阻止事由が発生していないことが報知され、消灯状態により、遊技停止の発射阻止事由が発生していることが報知される。言い換えると、第1報知部188は、主制御基板60(遊技制御用マイコン61)に関連する発射阻止事由が生じているか否かを報知する報知部として機能する。
【0235】
また、第2切換部192のベースに対し、第2信号回路を通じて第2信号が、常には入力されている。この第2信号は、持ち球記憶エリア172に記憶されている持ち球数が「1」以上であり、扉開放センサ18cがOFF(前面枠18の閉鎖状態)であり、かつ、揚送異常が発生していないことを示す信号であり、この第2信号の入力によって第2切換部192がONとなっているため、第2報知部189が常には点灯状態を維持している。しかし一方で、遊技制御用マイコン61が、持ち球ゼロ、扉開放、揚送異常、のうち何れかの状態になると、第2信号の入力が無くなって第2切換部192がOFFとなるため、第2報知部189が消灯状態に変化する。すなわち、第2報知部189の点灯状態により、持ち球数ゼロ、扉開放、揚送異常の発射阻止事由が発生していないことが報知され、消灯状態により、その何れかの発射阻止事由が発生していることが報知される。言い換えると、第2報知部189は、枠制御基板150(枠技制御用マイコン151)に関連する発射阻止事由が生じているか否かを報知する報知部として機能する。
【0236】
また、第3切換部193のベースに対し、第3信号回路を通じて第3信号が、常には入力されている。この第3信号は、貸出基板77からの接続信号が入力されていること(未入力が100ms以上継続していないこと)を示す信号であり、この第3信号の入力によって第3切換部193がONとなっているため、第3報知部190が常には点灯状態を維持している。しかし一方で、遊技制御用マイコン61が、貸出ユニット未接続の状態になると、第3信号の入力が無くなって第3切換部193がOFFとなるため、第3報知部190が消灯状態に変化する。すなわち、第3報知部190の点灯状態により、貸出ユニット未接続の発射阻止事由が発生していないことが報知され、消灯状態により、貸出ユニット未接続の発射阻止事由が発生していることが報知される。言い換えると、第3報知部190は、貸出基板77(及び枠制御基板150)に関連する発射阻止事由が生じているか否かを報知する報知部として機能する。
【0237】
このように、発射モニタ87は、主制御基板60に関連した発射阻止事由である遊技停止に起因して発射阻止状態となった(発射許可信号が停止された)場合に、その状態を、第1報知部188の消灯状態を含む態様で報知する。また、発射モニタ87は、枠制御基板150に関連した発射阻止事由である持ち球数ゼロ、扉開放、揚送異常の何れかに起因して発射阻止状態となった(発射許可信号が停止された)場合に、その状態を、第2報知部189の消灯状態を含む態様で報知する。更に、発射モニタ87は、貸出基板77(及び枠制御基板150)に関連した発射阻止事由である貸出ユニット未接続に起因して発射阻止状態となった(発射許可信号が停止された)場合に、その状態を、第3報知部190の消灯状態を含む態様で報知する。
【0238】
ここで、本実施形態では、発射阻止状態(ハンドル4を操作したとしても連続的な発射動作が実行されない状態)として、球送り動作及び打球動作の各動作が禁止される状態(以下「全停止状態」と称する)の他、球送り動作が禁止されるが打球動作は禁止されない状態(以下「空打ち状態」と称する)が設けられている。そして、枠制御用マイコン151は、
図30に示すように、前述した複数種類の発射阻止事由のうち、所定の発射阻止事由(遊技停止、持ち球ゼロ、揚送異常)が存在する場合の発射阻止状態を、空打ち状態とする一方、他の発射阻止事由(扉開放、貸出ユニット未接続)が存在する場合の発射阻止状態を、全停止状態とするように、発射制御回路75を制御する。
【0239】
発射阻止状態として空打ち状態を採用する理由は、遊技者が遊技を終了する際に、発射レール29上(打球位置29a)に遊技者の持ち球が残存するのを防止することにある。すなわち、実際にパチンコ遊技機1でハンドル4を操作して遊技球を発射する場合には、遊技領域3まで到達しなかった遊技球(発射球)が発射球誘導通路17aを戻り、返戻部38(ファール球通路R5)を飛び越して発射レール29上に戻ってしまうことがある。この場合、発射レール29上に戻る遊技球は、ファール球センサ38aに検出されない。従って、発射阻止状態を全停止状態(球送り動作・打球動作を停止させる状態)とする場合には、遊技領域3に到達せず発射レール29上に戻る遊技球は、再び発射されることがないまま発射レール29上に残存してしまい、ファール球として計数上の持ち球が1個戻されることもない。これにより、遊技者が損害を被ることになる。そこで、発射阻止状態として空打ち状態を採用し、球送り動作による打球位置29aへの新たな遊技球の送り出しは停止しつつ、発射槌90aによる打球動作は許容することで、発射レール29上への遊技者の持ち球の残存を防止できるようにしている。
なお、本実施形態では発射阻止状態として、空打ち状態及び全停止状態の2種類を発射阻止事由に応じて採用しているが、全ての発射阻止事由に応じた発射阻止状態を空打ち状態としてもよい。
【0240】
図32(a)は、遊技者がハンドル4を操作したままの状態で、前述した扉開放または貸出ユニット未接続の発射阻止事由が発生し、枠制御用マイコン151が全停止状態に移行させる場合のタイムチャートである。発射阻止事由が発生するまでの間は、等間隔(600ms)毎の連続的な発射動作(球送り動作及び打球動作)が行われているが、発射阻止事由が発生した時点で実行中の発射動作が終了した時点からは、球送り動作及び打球動作の両方が停止されている。
発射制御回路75により制御される各発射動作は、一定時間(600ms)の間において先ず球送り動作を生じさせ、その直後に打球動作を生じさせるパターンとなっている。そして、発射阻止事由が発生した時点で実行中の発射動作は中断しないようになっている。これにより、球送り動作と打球動作との間のタイミングで発射阻止事由が生じても、打球位置29aに遊技球が送り出されたまま残存することがない。
【0241】
また、
図32(b)は、遊技者がハンドル4を操作したままの状態で、前述した遊技停止、持ち球数ゼロ、揚送異常のうち何れかの発射阻止事由が発生し、枠制御用マイコン151が空打ち状態に移行させる場合のタイムチャートである。発射阻止事由が発生するまでの間は、等間隔(600ms)毎の連続的な発射動作(球送り動作及び打球動作)が行われている。この場合の発射動作は前述(
図32(a)の場合)と同じである。しかし、発射阻止事由が発生した時点で実行中の発射動作が終了した時点からは、球送り動作が停止されている。但し、打球動作はその後も、ハンドル4を操作していれば、定期的(600ms)な動作タイミングに合わせて実行される。
【0242】
[性能値の算出タイミング]
次に、
図6(a)等を参照して前述した性能値を枠制御用マイコン151が算出するタイミングの設定について説明する。
パチンコ遊技機1の枠制御用マイコン151は、前述したように、遊技に応じて発生した消費球数(第1球数)や獲得球数(第2球数)を計数し、これらの遊技球数(抽出値)に基づいて、パチンコ遊技機1の性能に関する複数種類の性能値を算出するように構成されている。性能値としては、消費球数に対する獲得球数の割合に関する値(出玉率、ベース値)や、消費球数及び獲得球数の差分に関する値(差玉数)や、全入賞口への入球により生じた第2球数に対する所定の入賞口(第2始動口12aや第1大入賞口14aや第2大入賞口15a)への入球により生じた獲得球数の割合に関する値(役物比率、連続役物比率)や、単位時間あたりに生じる獲得球数に関する値(分間獲得球数)がある。一般に枠制御用マイコン151は、消費球数や獲得球数に変化が生じる度にこれらの性能値を算出・更新しているが、枠制御用マイコン151においては、遊技球数の計数や性能値の算出に限らず多くの種類の制御処理を実行する必要があり、処理負担が大きくなっている。このため、可能な限り、枠制御用マイコン151の処理負担を軽減することが望ましい。
そこで、本実施形態では、枠制御用マイコン151が、消費球数及び獲得球数についてはその発生毎に計数して消費球数記憶エリア173及び獲得球数記憶エリア174に記憶するものの、その時点で性能値を算出・更新せず、所定の時間間隔毎に性能値を算出するようにすることで、枠制御用マイコン151の処理負担を軽減している。
【0243】
ここで、枠制御用マイコン151は、性能値を示す信号を貸出ユニット76の貸出基板77(機外部)に向けて定期的に出力するように設定されている。このため、性能値を示す信号の出力間隔以上の頻度で性能値を算出・更新したとしても、全ての算出・更新時点での性能値が貸出基板77に向けて出力されるわけではない。すなわち、性能値の算出・更新が機外部への情報出力に反映されていないタイミングがあり、そのタイミングでの性能値の算出・更新の処理が無駄となっている。そこで、本実施形態では、枠制御用マイコン151から貸出基板77に向けた性能値の出力間隔毎に、その出力する性能値の算出・更新を行うようにしている。これにより、枠制御用マイコン151による無駄な処理の実行を省略している。
【0244】
また、枠制御用マイコン151は、性能値の算出・更新を行った直後に、その算出した性能値を貸出基板77に出力するように設定されている。具体的には、所定の時間間隔毎(180000ms毎)に性能値の算出・更新を実行し、そのタイミングで、RAM170に記憶される所定のフラグをOFFからONに変化させる。そして、前述した所定の時間間隔よりも短い間隔(例えば300ms)毎に、所定のフラグがONであるかを判定し、当該フラグがONとなっている時に、貸出基板77に向けた性能値の出力を実行する。なお、所定のフラグは、性能値の出力実行後にOFFに戻すようにする。
【0245】
[枠制御用マイコン151の主な処理]
次に、枠制御用マイコン151(
図5A)が実行する主な処理について説明する。
【0246】
(枠制御処理)
先ず、
図33を参照し、枠制御処理について説明する。
パチンコ遊技機1の電源がオンされ、枠制御用マイコン151に電力が供給されると、枠制御用マイコン151は先ず、初期設定を実行する(S301)。この初期設定において、遊技制御用マイコン61は、RAM170へのアクセスを許可し、RAM170に対する情報の書き込みや読み出しを可能とする。また、遊技制御用マイコン61は、入出力ポート(IOポート、GPIO)の初期設定や、レジスタの初期設定、カウンタやタイマの初期設定等を実行する。そして、RAMクリアスイッチ182がONの状態で電源投入が行われたか否かを判定する(S302)。この場合に、RAMクリアスイッチ182がONであると判定した場合は、S303に進み、RAM170に記憶されている情報(但し、遊技球数や性能値等の特定の情報は除く)をクリアする。また、RAM170の作業領域の初期設定を行う(S303)。一方で、枠制御用マイコン151は、S302においてRAMクリアスイッチ182がOFFであると判定した場合、S304に進む。このS304では、RAM64に記憶されている情報に異常がないか否かを判定し、ここで異常ありと判定した場合(S304:Yes)には、前述したS3へと移行する(RAM64の記憶情報のクリア)。一方で異常なしと判定した場合は(S304:No)、S305に進む。
【0247】
枠制御用マイコン151は、S305において、球抜きボタン186が操作されたか否か(球抜き操作が行われたか否か)を判定する。そして、球抜きボタン186が操作されたと判定した場合は、電源復旧を実行し、制御状態を球抜きモードへと移行する(S306)。また、球抜きモードへの移行を示すコマンドを、遊技制御用マイコン61に向けて送信する。球抜きモードは、球循環機構30のメンテナンス等で利用される制御モードであり、通常モード時とは逆方向へと揚送モータ34cを回転駆動させる。これにより、揚送軸34aが逆回転を行い、遊技球を下方へと誘導し、排球口34dから循環球受け皿39へ向けて順に排出する。球抜きモードは所定時間の経過により通常モードへと復帰するが、球抜きモード中に球循環機構30内部で循環させている所定個数(例えば45個)の遊技球が全て排出される。
【0248】
続いて、枠制御用マイコン151は、計数クリアボタン184が操作されたか否か(計数クリア操作が行われたか否か)を判定する(S307)。そして、計数クリアボタン184が操作されたと判定した場合は、電源復旧を実行し、RAM170の持ち球数記憶エリア172(球数情報記憶部171)に記憶されている持ち球数をクリアする(S309)。
一方、S307で計数クリアボタン184が操作されていないと判定した場合(S307:No)には、枠制御用マイコン151は、球抜きモードへの移行や持ち球数のクリアを行わずに電源復旧する(S309)。なお、差玉クリアボタン185が操作されている場合は、このS309において差玉数記憶エリア175の差玉数をクリアする。
【0249】
前述したS303またはS309の終了後、遊技制御用マイコン61は、電源投入時に実行すべきその他の処理を実行する(S310)。
【0250】
続いて、枠制御用マイコン151は、遊技制御用マイコン61からの遊技機設置情報コマンドを受信したか否かを判定する(S311)。そして、受信したと判定した場合は(S311:Yes)、続くS312に進む一方、受信していないと判定した場合は(S311:No)、再びS311の判定を実行し、この遊技機設置情報コマンドを受信するまでS312に移行しない。
【0251】
枠制御用マイコン151は、S311で遊技機設置情報コマンドを受信した場合、続くS312において、当該コマンドに含まれる遊技機設置情報に関する判定を実行する。
ここで例えば、枠制御用マイコン151は、遊技機設置情報に含まれる識別番号(「盤識別番号」と称する)を特定し、かつ、ROM160の所定領域(図示省略)に記憶されている識別番号(「枠識別番号」)を読み出して、この盤識別番号と枠識別番号とが一致するか否かにより、遊技盤2の交換(盤替え)が行われたか否かを判定し、遊技盤2の交換が行われたと判定した場合には、球数情報記憶部171に記憶されている性能値(ベース値、役物比率等)をクリアすることで、盤替え前の性能値がそのまま残ることを防止することができる。なおこの場合、遊技機設置情報に基づく性能値のクリアを行ったことを履歴情報としてRAM170に記憶する(バックアップされ、かつRAMクリアの際もクリアされない記憶領域に記憶する)ようにし、電源投入毎にこの履歴情報の有無を確認して、履歴情報がある場合は性能値のクリアを行わないようにすることで、次回以降の電源投入時に、同じ遊技機設置情報に応じた性能値のクリアをキャンセルすることもできる。
【0252】
枠制御用マイコン151は、S312の処理の終了後、ループし、一定の間隔毎(例えば、10ms毎)に発生する割込み処理(枠制御側割込処理)を実行する(S313)状態へと移行する。
【0253】
(枠制御側割込処理)
次に、
図34を参照し、枠制御側割込処理について説明する。
枠制御用マイコン151は、枠制御側割込処理において先ず、遊技情報取得処理を実行する(S321)。この遊技情報取得処理において枠制御用マイコン151は、遊技制御用マイコン61からのコマンドに基づいて、各種の遊技情報を取得する。この場合に取得可能な遊技情報としては例えば、付与された賞球数に関する情報や、遊技制御が停止されたことに関する情報や、現在の遊技状態に関する情報や、特図変動表示または普図変動表示が行われたことに関する情報や、大当たり遊技状態または小当たり状態の発生回数に関する情報や、遊技制御用マイコン61が判定した異常状態に関する情報等がある。枠制御用マイコン151は、取得した遊技情報をRAM170に記憶して、この遊技情報取得処理(S321)を終了する。
【0254】
続いて、枠制御用マイコン151は、一次主枠判定処理(S322)、遊技球数管理処理(S323)、球循環駆動処理(S324)、外部出力処理(S325)、性能表示モニタ183の制御(S326)、遊技球数表示器26の制御(S327)、発射許可判定処理(S328)を定められた順に実行する。そして、枠制御側割込処理を終了する。
【0255】
(一次主枠判定処理)
次に、
図35を参照し、枠制御側割込処理(
図34)における一次主枠判定処理(S322)について説明する。
枠制御用マイコン151は、一次主枠判定処理において先ず、遊技制御用マイコン61から遊技状態指定コマンド(主枠判定用のコマンド)を受信したか否かを判定する(S331)。そして、遊技状態指定コマンドを受信したと判定した場合には(S331:Yes)、S332に進み、この遊技状態指定コマンドを受信していないと判定した場合には(S331:No)、一次主枠判定処理を終了する。
【0256】
前述したように、遊技状態指定コマンドの上位4ビットが「比較情報(主比較情報)」や「バージョン情報(付加情報)」の伝達用に用いられている。枠制御用マイコン151は、前述したS331が肯定判定の場合、続くS332において、ROM160のバージョン情報記憶部161に記憶されている基礎情報(バージョン情報)を読み出し、遊技状態指定コマンドに含まれる主比較情報(比較情報)と比較判定する。そして、基礎情報と主比較情報が不一致の場合(主制御と枠制御とが不適切)の場合には、続くS334において主枠不一致フラグをONとすることで、異常状態の一種としての「主枠不一致」を示す情報をRAM170に記憶して、S335に進む。なお、主枠不一致フラグは、S332における比較判定が主枠一致であるにも関わらずONである場合に、OFFへと変更される。これに対し、基礎情報と主比較情報とが一致している場合(主制御と枠制御とが適切な場合)には、そのままS335に移行する。
【0257】
枠制御用マイコン151は、S335において、ROM160のバージョン情報記憶部161に記憶されている付加情報(バージョン情報)を読み出し、この付加情報に基づいて、遊技状態指定コマンドの上位4ビットが示す値を加工する。そして、続くS336において、加工済みコマンドを、RAM170の出力バッファにセットする。これにより、一次主枠判定処理を終了する。
なお、加工済みコマンド(加工情報信号)は、主制御基板60(遊技制御用マイコン61)を介して演出制御用マイコン101に到達する。演出制御用マイコン101は、この加工情報信号の上記4ビットが示す値が、ROM110のサブ比較情報記憶部111に記憶されているサブ比較情報(「AH」)と一致するか否かの「二次主枠判定」を実行する。この二次主枠判定の判定結果は、枠制御用マイコン151による一次主枠判定の結果が「一致」であれば同様に「一致」となり、「不一致」であれば同様に「不一致」となる。
【0258】
(遊技球数管理処理)
次に、
図36を参照し、枠制御側割込処理(
図34)における遊技球数管理処理(S323)について説明する。
枠制御用マイコン151は、遊技球数管理処理において先ず、遊技者による球貸し操作(球貸しボタン251の操作)に応じた貸出基板77(貸出ユニット76)からの貸出信号を入力しているか否かを判定する(S341)。そして、貸出信号を入力していると判定した場合は(S341:Yes)、その貸出信号に応じた貸球数を、球数情報記憶部171のうち持ち球数記憶エリア172に記憶されている持ち球数に加算して(S342)、S343に進む。一方、S341において貸出信号を入力していないと判定した場合には(S341:No)、そのままS343に移行する。
【0259】
S343において、枠制御用マイコン151は、遊技者による計数操作(計数ボタン18dの操作)に応じた計数信号を入力しているか否かを判定する。そして、計数信号を入力していると判定した場合は(S343:Yes)、その計数信号に応じた球数を、球数情報記憶部171のうち持ち球数記憶エリア172に記憶されている持ち球数から減算して(S344)、S345に進む。遊技者による計数操作は、計数ボタン18dの短押し操作の場合は1個の持ち球を計数し、長押し操作では125個の持ち球をまとめて計数する。この場合に、計数分の持ち球数が持ち球数記憶エリア172の持ち球数から減算され、後述する外部出力処理でその減算分の持ち球数が貸出基板77に向けて出力されることになる。一方、S343において計数信号を入力していないと判定した場合には(S343:No)、そのままS345に移行する。
【0260】
S345において、枠制御用マイコン151は、賞球が発生したか否か(遊技制御用マイコン61からの賞球コマンドを受信したか否か)を判定する。そして、賞球が発生したと判定した場合は(S345:Yes)、その賞球数を、球数情報記憶部171のうち持ち球数記憶エリア172に記憶されている持ち球数と、獲得球数記憶エリア174に記憶されている獲得球数と、に加算して(S346)、S347に進む。一方、S345において賞球が発生していないと判定した場合には(S345:No)、そのままS347に移行する。
【0261】
S347において、枠制御用マイコン151は、遊技者による発射操作(ハンドル4の操作)に応じて発射した遊技球を実射センサ37が検出したか否かを判定する。そして、実射センサ37による検出があったと判定した場合は(S347:Yes)、その実射センサ37による検出分の球数(1個)を、球数情報記憶部171のうち持ち球数記憶エリア172に記憶されている持ち球数から減算すると共に、消費球数記憶エリア173に記憶されている消費球数に加算して(S348)、S349に進む。一方、S347において実射センサ37の検出がなかったと判定した場合には(S347:No)、そのままS349に移行する。
【0262】
S349において、枠制御用マイコン151は、遊技者による発射操作(ハンドル4の操作)に応じて発射した遊技球をファール球センサ38aが検出したか否かを判定する。そして、ファール球センサ38aによる検出があったと判定した場合は(S349:Yes)、そのファール球センサ38aによる検出分の球数(1個)を、球数情報記憶部171のうち持ち球数記憶エリア172に記憶されている持ち球数に加算すると共に、消費球数記憶エリア173に記憶されている消費球数から減算して(S350)、S351に進む。一方、S349においてファール球センサ38aの検出がなかったと判定した場合には(S349:No)、そのままS351に移行する。
【0263】
S351において、枠制御用マイコン151は、球数情報記憶部171の持ち球数記憶エリア172に記憶される持ち球数が変化したか否かを判定する。そして、持ち球数が変化したと判定した場合は(S351:Yes)、RAM170に設けられている持ち球フラグをON・OFFの一方から他方に切り替え(S352)、S353に進む。例えば、持ち球数が「1」以上から「0」になったと判定した場合は、持ち球フラグをONにする。一方、持ち球数が「0」から「1」以上になったと判定した場合は、持ち球フラグをOFFにする。一方、S351において持ち球数が変化していないと判定した場合には(S351:No)、そのままS353に移行する。
【0264】
S353において、枠制御用マイコン151は、獲得球数及び消費球数に基づいて、差玉数(現在差玉数、最高差玉数、最低差玉数、最大差玉数)を算出する。そして、算出した差玉数を、球数情報記憶部171の差玉数記憶エリア175に記憶する(差玉数を更新する)。なお、差玉数に基づいて遊技制御を停止させることから、算出タイミングが少ない他の性能値(出玉率、ベース値、役物比率、連続役物比率、分間獲得球数)とは別に差玉数を算出している。但し、この差玉数の算出・更新は、獲得球数または消費球数が変化した時のみ実行してもよいし、差玉数以外の性能値の算出・更新(後述のS355)と同じタイミングで実行してもよい。そして、枠制御用マイコン151は、S354に進む。
【0265】
ここで、枠制御用マイコン151は、S354において、所定間隔毎の性能値の算出タイミングであるか否かを判定する。そして、所定間隔毎の算出タイミングであると判定した場合には(S354:Yes)、新たに性能値(出玉率、ベース値、役物比率、連続役物比率、分間獲得球数)を算出し、球数情報記憶部171における対応の記憶エリアの記憶内容を更新する(S355)。
本実施形態では、(差玉数以外の)性能値の算出タイミングが、180000ms(3分)毎に定期的に発生するように設定されている。この算出タイミングの「180000ms」という時間間隔は、性能値(出玉率、ベース値、役物比率、連続役物比率、最大差玉数、分間獲得球数)についての後述する外部出力(貸出基板77への出力)タイミングと等しくなっている。すなわち、枠制御用マイコン151は、性能値を外部出力する毎に1回ずつ、最新の獲得球数や消費球数、遊技状態、計測時間等に基づいて性能値を算出し、記憶情報を更新するようになっている。
枠制御用マイコン151は、S355が終了すると、続くS356において、性能値を算出・更新したタイミングであることを示す算出フラグをONにし、遊技球数管理処理を終了する。
【0266】
(球循環駆動処理)
次に、
図37を参照し、枠制御側割込処理(
図34)における球循環駆動処理(S324)について説明する。
枠制御用マイコン151は、球循環駆動処理において、揚送モータ34cの駆動制御(正回転)を実行する(S361)。そして、S361の終了後、S362に進む。このS362では、揚送モータ34c(揚送軸34a)を所定角度回転させるための駆動制御を行う間にその回転が(図示しないセンサにより)検出されなかった(揚送異常)か否かを判定する。このS362において揚送モータ34c(揚送軸34a)の回転の非検出が判定された場合には(S362:Yes)、揚送異常の発生を示す揚送異常フラグをONにして(S363)、球循環駆動処理を終了する。一方で、S362において揚送モータ34c(揚送軸34a)の回転の検出(正常な回転)が判定された場合には(S362:No)、そのまま球循環駆動処理を終了する。
【0267】
(外部出力処理)
次に、
図38を参照し、枠制御側割込処理(
図34)における外部出力処理(S325)について説明する。
枠制御用マイコン151は、外部出力処理において先ず、計数ボタン18dの短押し(計数センサ18eの1000ms未満の検出)が生じたか否かを判定する(S371)。このS371において計数ボタン18dの短押しが生じたことが判定された場合には(S371:Yes)、続くS372において、1個の持ち球を貸出ユニット76側(貸出基板77)に移動させることを示す第1計数情報信号を貸出ユニット76の貸出基板77に向けて出力(外部出力)して、S373に進む。一方で、S371において計数ボタン18dの短押しが生じなかったことが判定された場合には、そのままS373に進む。
【0268】
S373において、枠制御用マイコン151は、計数ボタン18dの長押し(計数センサ18eの1000ms以上の検出)が生じたか否かを判定する。このS373において計数ボタン18dの長押しが生じたことが判定された場合には(S373:Yes)、続くS374において、125個の持ち球を貸出ユニット76側(貸出基板77)に移動させることを示す第2計数情報信号を貸出ユニット76の貸出基板77に向けて出力(外部出力)して、S375に進む。一方で、S373において計数ボタン18dの長押しが生じなかったことが判定された場合には、そのままS375に進む。
【0269】
S375において、枠制御用マイコン151は、RAMクリア信号の入力の有無に応じて、RAMクリア中であるか否かを判定する。このS375においてRAMクリア中であることが判定された場合には(S375:Yes)、続くS376において、RAMクリア中であることを示すRAMクリア情報信号を貸出ユニット76の貸出基板77に向けて出力(外部出力)して、S377に進む。なお、このS376でのRAMクリア情報信号の出力は、第1計数情報、第2計数情報、後述する扉開放情報、遊技停止情報、主枠不一致情報、球抜き中情報のうち少なくとも何れかが出力されている期間中においても出力可能となっている。
前述したS375においてRAMクリア中ではないことが判定された場合には、そのままS377に進む。
【0270】
S377において、枠制御用マイコン151は、扉開放センサ18cがONとなって300msが経過した時点からその後にOFFとなって100msが経過した時点までの期間であるか否かに応じて、前面枠18の開放中(扉開放中)であるか否かを判定する。このS377において扉開放中であることが判定された場合には(S377:Yes)、続くS378において、扉開放中であることを示す扉開放情報を貸出ユニット76の貸出基板77に向けて出力(外部出力)して、S379に進む。一方で、S377において扉開放中ではないことが判定された場合には、そのままS379に進む。
【0271】
S379において、枠制御用マイコン151は、遊技制御用マイコン61から特定エラーコマンド(特定不正検出信号)またはコンプリートコマンド(コンプリート信号)を受信したか否かに応じて、遊技制御用マイコン61による遊技制御の停止中(遊技停止中)であるか否かを判定する。このS379において遊技停止中であることが判定された場合には(S379:Yes)、続くS380において、遊技停止中であることを示す遊技停止情報を貸出ユニット76の貸出基板77に向けて出力(外部出力)して、S381に進む。一方で、S379において遊技停止中ではないことが判定された場合には、そのままS381に進む。
【0272】
S381において、枠制御用マイコン151は、主枠不一致フラグがONであるか否かに応じて、主枠不一致(枠制御用マイコン151のバージョンに関する情報として遊技盤2側・内枠16側に記憶されている各情報が整合していない状態)か否かを判定する。このS381において主枠不一致であることが判定された場合には(S381:Yes)、続くS382において、主枠不一致の状態であることを示す主枠不一致情報を貸出ユニット76の貸出基板77に向けて出力(外部出力)して、S383に進む。一方で、S381において主枠不一致ではないことが判定された場合には、そのままS383に進む。
【0273】
S383において、枠制御用マイコン151は、揚送モータ34cの駆動モードが球抜きモードであるか否かに応じて、球抜き動作が実行されているか否かを判定する。このS383において球抜き動作中であることが判定された場合には(S383:Yes)、続くS384において、球抜き動作中であることを示す球抜き中情報を貸出ユニット76の貸出基板77に向けて出力(外部出力)して、S385に進む。一方で、S383において球抜き中ではないことが判定された場合には、そのままS385に進む。
【0274】
ここで、枠制御用マイコン151は、S385において、所定間隔毎の性能値の外部出力タイミングであるか否かを判定する。この場合に、枠制御用マイコン151は、算出フラグがONであるか否かを確認し、ONであれば、所定間隔毎の外部出力タイミングであると判定する。ここで、性能値の外部出力タイミングと判定した場合には(S385:Yes)、球数情報記憶部171における対応の記憶エリアに記憶されている各種の性能値(出玉率、ベース値、役物比率、連続役物比率、分間獲得球数)を、貸出ユニット76の貸出基板77に向けて出力(外部出力)する(S386)。そして、算出フラグをOFFとし、外部出力処理を終了する。一方で、S385において所定間隔毎の外部出力タイミングではないことが判定された場合には、そのまま外部出力処理を終了する。
本実施形態では、性能値の外部出力タイミングが、180000ms(3分)毎に定期的に発生するように設定されている。この外部出力タイミングの「180000ms」という時間間隔は、前述した性能値(出玉率、ベース値、役物比率、連続役物比率、分間獲得球数)の算出タイミングと等しくなっている。すなわち、枠制御用マイコン151は、最新の獲得球数や消費球数、遊技状態、計測時間等に基づいて性能値を算出する毎に、その性能値を1回ずつ外部出力するようになっている。
【0275】
(発射許可判定処理)
次に、
図39を参照し、枠制御側割込処理(
図34)における発射許可判定処理(S328)について説明する。
枠制御用マイコン151は、発射許可判定処理において先ず、遊技制御用マイコン61から特定エラーコマンド(特定不正検出信号)またはコンプリートコマンド(コンプリート信号)を受信したか否かに応じて、発射阻止事由の一つとしての、遊技制御用マイコン61による遊技制御の停止(遊技停止)が生じたか否かを判定する(S391)。このS391において遊技停止が生じたことが判定された場合には(S391:Yes)、発射制御回路75に向けた発射許可信号をONからOFFに変化させ、かつ、発射制御回路75に向けて空打ち信号を出力開始(ONに変化)させて(S392)、続くS393へと進む。これにより、発射機構90(発射モータ91、球送りソレノイド36b)が「空打ち状態」となる。またこの場合に、発射モニタ187は、主制御基板60(遊技制御用マイコン61)からの第1信号の停止に応じて第1報知部188が消灯状態に変化する。一方で、枠制御用マイコン151は、S391において遊技停止が生じていないことが判定された場合には、そのままS393に進む。
【0276】
S393において、枠制御用マイコン151は、球数情報記憶部171の持ち球数記憶エリア172に記憶されている持ち球数に基づいて、発射阻止事由の一つとしての、遊技者による持ち球数が「0」になったか否かを判定する。このS393において持ち球数が「0」となったことが判定された場合には(S393:Yes)、発射制御回路75に向けた発射許可信号をONからOFFに変化させ、かつ、発射制御回路75に向けて空打ち信号を出力開始(ONに変化)させて(S394)、続くS395へと進む。これにより、発射機構90(発射モータ91、球送りソレノイド36b)が「空打ち状態」となる。またこの場合に、発射モニタ187は、枠制御基板150上(枠制御用マイコン151)からの第2信号の停止に応じて第2報知部189が消灯状態に変化する。一方で、枠制御用マイコン151は、S393において持ち球数が「0」になったことが判定された場合には、そのままS395に進む。
【0277】
S395において、枠制御用マイコン151は、扉開放センサ18cの検出に基づいて、発射阻止事由の一つとしての、前面枠18が開放された(扉開放が生じた)か否かを判定する。このS395において扉開放が判定された場合には(S395:Yes)、発射制御回路75に向けた発射許可信号をONからOFFに変化させ、かつ、発射制御回路75に向けて空打ち信号も出力しない(OFFを維持)ようにすることで、発射機構90(発射モータ91、球送りソレノイド36b)を「全停止状態」とする(S396)と共に、続くS397へと進む。この場合に、発射モニタ187は、枠制御基板150上(枠制御用マイコン151)からの第2信号の停止に応じて第2報知部189が消灯状態に変化する。一方で、枠制御用マイコン151は、S395において扉開放が生じていないことが判定された場合には、そのままS397に進む。
【0278】
S397において、枠制御用マイコン151は、揚送異常フラグがONであるか否かに応じて、発射阻止事由の一つとしての揚送異常(揚送モータ34cの回転の異常)が生じたか否かを判定する。このS397において揚送異常が生じたことが判定された場合には(S397:Yes)、発射制御回路75に向けた発射許可信号をONからOFFに変化させ、かつ、発射制御回路75に向けて空打ち信号を出力開始(ONに変化)させて(S398)、続くS399へと進む。これにより、発射機構90(発射モータ91、球送りソレノイド36b)が「空打ち状態」となる。またこの場合に、発射モニタ187は、枠制御基板150上(枠制御用マイコン151)からの第2信号の停止に応じて第2報知部189が消灯状態に変化する。一方で、枠制御用マイコン151は、S397において揚送異常が生じていないことが判定された場合には、そのままS399に進む。
【0279】
S399において、枠制御用マイコン151は、揚送モータ34cの制御モードが球抜きモードであるか否かに応じて、発射阻止事由の一つとしての球抜き状態が生じたか否かを判定する。このS399において球抜き状態が生じたことが判定された場合には(S399:Yes)、発射制御回路75に向けた発射許可信号をONからOFFに変化させ、かつ、発射制御回路75に向けて空打ち信号を出力開始(ONに変化)させて(S400)、続くS401へと進む。これにより、発射機構90(発射モータ91、球送りソレノイド36b)が「空打ち状態」となる。またこの場合に、発射モニタ187は、枠制御基板150上(枠制御用マイコン151)からの第2信号の停止に応じて第2報知部189が消灯状態に変化する。一方で、枠制御用マイコン151は、S399において球抜き状態が生じていないことが判定された場合には、そのままS401に進む。
【0280】
なお、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)は、貸出ユニット76の貸出基板77との接続関係が正常な状態では当該貸出基板77からの接続信号が継続的に入力されるようになっている。そこで、枠制御用マイコン151は、S401において、貸出基板77からの接続信号の入力が停止しているか否か(100ms以上継続してOFFが生じているか否か)に応じて、発射阻止事由の一つとしての貸出ユニット未接続が生じたか否かを判定する。このS401において球抜き状態が生じたことが判定された場合には(S401:Yes)、発射制御回路75に向けた発射許可信号をONからOFFに変化させ、かつ、発射制御回路75に向けて空打ち信号も出力しない(OFFを維持)ようにすることで、発射機構90(発射モータ91、球送りソレノイド36b)を「全停止状態」とする(S396)。この場合に、発射モニタ187は、貸出基板77からの第2信号(接続信号)の停止に応じて第3報知部190が消灯状態に変化する。
枠制御用マイコン151は、S402の処理を終了するか、S401において貸出ユニット未接続が生じていないことが判定された場合に、発射許可判定処理を終了する。
【0281】
このように、枠制御用マイコン151は、主制御基板60(遊技制御用マイコン61)と枠制御用マイコン151との組み合わせの適否に関する判定(一次主枠判定)を実行する「適否判定手段」として機能し、この組み合わせを不適切と判定したことに応じて性能表示モニタ183(報知手段)に異常報知を実行させる「報知制御手段」として機能し、性能値を示す信号を貸出ユニット76の貸出基板77(機外部)に定期的に出力する「外部出力手段」として機能し、パチンコ遊技機1の性能値を算出する「性能値算出手段」として機能し、性能値の算出に用いる抽出値としての消費球数(第1球数)や獲得球数(第2球数)を計数する「抽出値計数手段」として機能する。
また、遊技制御用マイコン61は、入賞口への遊技球の入球に応じて賞球の付与を決定する「賞球付与手段」として機能し、発射阻止事由が生じた場合には発射阻止状態とし、発射阻止事由が生じていない場合には発射可能状態とする「発射可否変更手段」として機能する。
更に、演出制御用マイコン101は、主制御基板60(遊技制御用マイコン61)と枠制御用マイコン151との組み合わせの適否に関する判定(二次主枠判定)を実行する「適否判定手段」として機能し、この組み合わせを不適切と判定したことに応じて演出表示装置7(報知手段)に異常報知を実行させる「報知制御手段」として機能する。
【0282】
[第1実施形態の効果]
上述した第1実施形態のパチンコ遊技機1は、以下の作用効果を奏する。
(1-1)第1実施形態のパチンコ遊技機1は、内枠16(枠体)に設けられた枠制御用マイコン151(所定の電気部品)が、この内枠16に保持される遊技盤2に設けられた主制御基板60(制御手段)との間で通信を行う。内枠16には、枠制御用マイコン151(所定の電気部品)が設けられ、この枠制御用マイコン151のバージョンに関するバージョン情報を記憶するバージョン情報記憶部161(バージョン情報記憶手段)が設けられている。遊技盤2には、比較情報を記憶する比較情報記憶部63a(比較情報記憶手段)が設けられている。そして、枠制御用マイコン151(適否判定手段)及び演出制御用マイコン101(適否判定手段)は、バージョン情報及び比較情報に基づいて、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせの適否に関する判定を実行する。ここで、パチンコ遊技機1(遊技機)の内枠16に、古いバージョンの枠制御用マイコン151を誤って設けてしまった場合、その枠制御用マイコン151が主制御基板60と対応しておらず、遊技盤2(主制御基板60)と内枠16(枠制御用マイコン151)との組み合わせが不適切である。これに対し、バージョン情報・比較情報による判定を行うことで、現在のパチンコ遊技機1に設けられている主制御基板60と枠制御用マイコン151とを組み合わせて用いることが適切か不適切かを特定することができるので、主制御基板60と枠制御用マイコン151とが不適切な組み合わせとなっている状態でパチンコ遊技機1を動作させてしまう事態を抑止することができる。
(1-2)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、枠制御用マイコン151(所定の電気部品)が、遊技球数計数用のプログラムが記憶されたROM160(記憶手段)を少なくとも含むように構成されている。従って、遊技球数の計数に関する不具合等を未然に防ぐことが可能となる。
(1-3)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、比較情報を含むコマンド(所定の制御信号)としての遊技状態指定コマンド(遊技情報信号)を、遊技盤2(主制御基板60)から内枠16(枠制御基板150)に送信すると共に、受信側(枠制御基板150)において枠制御用マイコン151(適否判定手段)が、バージョン情報(基礎情報)及び比較情報(主比較情報)に基づいて一次主枠判定を実行する。また、比較情報を含むコマンド(所定の制御信号)としての遊技状態指定コマンド(加工情報信号)を、内枠16(枠制御基板150)から遊技盤2(サブ制御基板100)に送信すると共に、受信側(サブ制御基板100)において演出制御用マイコン101(適否判定手段)が、バージョン情報(付加情報)及び比較情報(サブ比較情報)に基づいて二次主枠判定を実行する。すなわち、遊技盤2側及び内枠16側の各々で記憶される情報に基づいて比較判定を実行することができる。
(1-4)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技盤2に取り付けられた主制御基板60(制御手段、第1制御基板)と、遊技盤2に取り付けられて主制御基板60とは異なるサブ制御基板100(第2制御基板)と、内枠16に取り付けられた枠制御基板150(枠側制御基板)とを備え、主制御基板60がサブ制御基板100及び枠制御基板150と電気的に接続するように構成されている。そして、主制御基板60は、枠制御基板150に向けて遊技状態指定コマンド(所定の制御信号、遊技情報信号)を送信する。枠制御用マイコン151(適否判定手段)は、枠制御基板150に設けられ、遊技状態指定コマンドを受信した場合に主枠判定を実行する。枠制御基板150は、枠制御用マイコン151の主枠判定において、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせを不適切と判定したことに応じて、サブ制御基板100に向けて、バージョン情報を含む遊技状態指定コマンド(指示信号、加工情報信号)を送信する。これに対し、サブ制御基板100は、遊技状態指定コマンドを受信したことに応じて、演出表示装置7(報知手段)に異常報知を実行させる。
このように、内枠16側の構成である枠制御基板150(枠側制御基板)により、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせの適否を判定するので、例えば遊技店において遊技盤2を交換したとしても、その交換前後で、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせの適否を、同じ構成(枠制御用マイコン151)で判定することができる。また、前記組み合わせが不適切である場合は、サブ制御基板100の制御に応じて異常報知を行うことができる。
(1-5)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技盤2に取り付けられた主制御基板60(制御手段、第1制御基板)と、遊技盤2に取り付けられて主制御基板60とは異なるサブ制御基板100(第2制御基板)と、内枠16に取り付けられた枠制御基板150(枠側制御基板)とを備え、主制御基板60がサブ制御基板100及び枠制御基板150と電気的に接続するように構成されている。そして、枠制御基板150は、サブ制御基板100に向けて遊技状態指定コマンド(所定の制御信号、加工情報信号、指示信号)を送信する。演出制御用マイコン101(適否判定手段)は、サブ制御基板100に設けられ、遊技状態指定コマンドを受信した場合に主枠判定を実行する。サブ制御基板100は、演出制御用マイコン101の主枠判定において、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせを不適切と判定したことに応じて、演出表示装置7(報知手段)に異常報知を実行させる。
このように、異常報知を制御するサブ制御基板100により、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせの適否を判定するので、制御構成を簡素化できる。
(1-6)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、バージョン情報や比較情報とは別の情報(遊技状態)の伝達用として当該パチンコ遊技機1の電源投入に伴って少なくとも1回送信される制御信号としての遊技状態指定コマンドを、バージョン情報や比較情報第1制御基板から枠側制御基板に送信する所定の制御信号として用いる。このように、バージョン情報や比較情報の伝達用に用いるコマンド(所定の制御信号)として、電源投入に伴って少なくとも1回送信される制御信号であって遊技状態(別の情報)の伝達用の制御信号である遊技状態指定コマンドを兼用することにより、制御処理の複雑化(コマンドの種類の増加)を抑止しつつ、遊技者による遊技が行われない場合であっても判定及び異常報知を必ず実行することができる。
【0283】
また、上述した第1実施形態のパチンコ遊技機1は、以下の作用効果を奏する。
(2-1)第1実施形態のパチンコ遊技機1は、獲得球数や消費球数(遊技に応じて変化する抽出値)を記憶する獲得球数記憶エリア174及び消費球数記憶エリア173(抽出値記憶手段)と、獲得球数記憶エリア174及び消費球数記憶エリア173が記憶する獲得球数や消費球数に基づいて、当該パチンコ遊技機1の性能値を算出する枠制御用マイコン151(性能値算出手段)と、枠制御用マイコン151が算出した性能値を記憶する出玉率記憶エリア176、ベース値記憶エリア177、差玉数記憶エリア175、主制御ベース値記憶エリア178、役物比率記憶エリア179、連続役物比率記憶エリア180、分間獲得球数記憶エリア181等(性能値記憶手段)とを備えている。そして、枠制御用マイコン151は、所定間隔毎の算出タイミングで(所定の時間間隔毎に)、性能値を算出する。このように、遊技に応じて変化する獲得球数や消費球数に基づく性能値の算出を、各球数の変化のタイミングに関わらず、所定間隔毎(180000ms毎)の算出タイミングで実行することにより、枠制御用マイコン151の処理負担を軽減することができる。
(2-2)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、枠制御用マイコン151(外部出力手段)が、性能値を示す信号を貸出ユニット76の貸出基板77(機外部)に定期的に出力する。枠制御用マイコン151(性能値算出手段、外部出力手段)は、性能値を示す信号の出力間隔毎に、性能値を算出する。このように、枠制御用マイコン151が貸出基板77に向けて定期的に性能値を出力する場合に、その出力間隔毎に枠制御用マイコン151が性能値を算出するようにすることで、枠制御用マイコン151による無駄な処理の実行を省略することができる。
(2-3)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技球が流下可能な遊技領域3と、遊技領域3に設けられて遊技球が入球可能な複数の入賞口(第1始動口10a、一般入賞口11a、第2始動口12a、第1大入賞口14a、第2大入賞口15a等)とを備えており、遊技制御用マイコン61(賞球付与手段)が、入賞口への遊技球の入球に応じて賞球の付与を決定する。また、遊技球を遊技領域3に打ち出すための操作対象となるハンドル4(遊技操作手段)を備えている。枠制御用マイコン151(抽出値計数手段)は、性能値の算出に用いる遊技球数として、遊技領域3に打ち出された遊技球数である消費球数(第1球数)と、遊技制御用マイコン61により賞球として付与されることが決定された遊技球数である獲得球数(第2球数)とを計数する。枠制御用マイコン151(性能値算出手段)は、消費球数記憶エリア173(抽出値記憶手段)に記憶されている消費球数及び獲得球数記憶エリア174に記憶されている獲得球数に基づいて複数種類の性能値(出玉率、ベース値、役物比率、連続役物比率、最大差玉数、分間獲得球数等)を算出する。枠制御用マイコン151消費球数や獲得球数に基づいて性能値を複数種類算出する場合は、枠制御用マイコン151の処理負担が大きくなり得る。これに対し、性能値の算出を所定間隔毎の算出タイミングに(所定の時間間隔毎に)実行することで、枠制御用マイコン151の処理負担を有効に軽減することができる。
(2-4)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、性能値を機外部に出力する枠制御基板150(外部出力手段)を備えており、枠制御用マイコン151(性能値算出手段)は、性能値として、消費球数(第1球数)に対する獲得球数(第2球数)の割合に関する値である出玉率・ベース値や、消費球数及び獲得球数の差分に関する値である差玉数や、全入賞口への入球により生じた獲得球数に対する所定の入賞口への入球により生じた獲得球数の割合に関する値である役物比率・連続役物比率や、単位時間あたりに生じる獲得球数に関する値である分間獲得球数、を算出する。従って、枠制御用マイコン151によって機外部に出力される性能値により、機外部においてパチンコ遊技機1の持つ性能を正確に判別することができる。
【0284】
また、上述した第1実施形態のパチンコ遊技機1は、以下の作用効果を奏する。
(3-1)第1実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技球が流下可能な遊技領域3と、遊技領域3に向けて遊技球を発射可能な発射槌90aと、遊技球を打球位置29aに1個ずつ供給可能な球送り部材36cと、遊技者が操作可能なハンドル4(遊技操作手段)とを備え、ハンドル4が操作された状態では、発射槌90a及び球送り部材36cが等間隔で繰り返し動作することで遊技球の連続的な発射動作が実現される。ここで、枠制御用マイコン151(発射可否変更手段)は、発射阻止事由が生じた場合には記連続的な発射動作を実現不可能な発射阻止状態とし、発射阻止事由が生じていない場合には、連続的な発射動作を実現可能な発射可能状態とする。そして、報知部の消灯によって発射阻止状態であることを報知する発射モニタ187(発射阻止報知手段)を備えており、この発射モニタ187は、発射阻止状態において存在する発射阻止事由に応じた態様で当該発射阻止状態の報知を実行する。このように、発射モニタ187が発射阻止事由に応じた態様で報知を行うことにより、発射阻止状態となった原因の発射阻止事由を判別することができる。
(3-2)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、発射モニタ187が枠制御基板150(所定の制御基板)上に設けられており、発射阻止状態を、その発射阻止事由に関連する制御基板の違いに応じた態様で報知する。従って、発射阻止事由について対処する対象としての制御基板を容易に判別することができる。
(3-3)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、発射槌90aにより発射されて遊技領域3に向かう遊技球を検出する実射センサ37(減算検出手段)と、遊技領域3を流下する遊技球が入球可能な入賞口(第1始動口10a、一般入賞口11a、第2始動口12a、第1大入賞口14a、第2大入賞口15a等)と、入賞口に入球した遊技球を検出する入球検出センサ(第1始動口センサ10b、一般入賞口センサ11b、第2始動口センサ12c、第1大入賞口センサ14c、第2大入賞口センサ15c)とを備えている。また、入球検出センサによる検出に基づいて賞球の付与を決定する遊技制御用マイコン61(賞球付与手段)を有する主制御基板60(遊技制御手段)と、遊技者の持ち球数を計数し、計数した球数を持ち球数記憶エリア172(持ち球数記憶手段)に記憶する枠制御用マイコン151(持ち球計数手段)を有する枠制御基板150(球数制御基板)とを備え、枠制御基板150は、主制御基板60と電気的に接続されると共に、機外部の貸出基板77(貸球制御基板)と電気的に接続されている。枠制御基板150の枠制御用マイコン151は、遊技者に貸し出した遊技球数を示す情報として貸出基板77から入力する貸球情報と、賞球として付与されることが決定された遊技球数を示す情報として主制御基板60から入力する賞球情報とに基づいて、持ち球数記憶エリア172に記憶されている持ち球数を増加させると共に、実射センサ37による検出に基づいて、持ち球数記憶エリア172に記憶されている持ち球数を1個ずつ減少させる。そして、発射モニタ187(発射阻止報知手段)は、枠制御基板150上に設けられ、主制御基板60の制御に関連する第1の発射阻止事由が存在することを報知する第1報知部188と、枠制御基板150の制御に関連する第2の発射阻止事由が存在することを報知する第2報知部189と、貸出基板77の制御に関連する第3の発射阻止事由が存在することを報知する第3報知部190とを有している。すなわち、第1報知部188、第2報知部189、第3報知部190のうちどの報知部により報知が行われるかにより、主制御基板60、枠制御基板150、貸出基板77のうちどの制御基板の制御に関連した発射阻止事由によって発射阻止状態となっているかを判別可能となる。
(3-4)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1において、第1の発射阻止事由は、主制御基板60の制御状態が遊技停止状態に移行したことであり、第2の発射阻止事由は、枠制御基板150において持ち球数記憶エリア172に記憶されている持ち球数が0になったことであり、第3の発射阻止事由は、貸出基板77との正常な接続状態が形成されていないことである。すなわち、発射モニタ187(第1報知部188、第2報知部189、第3報知部190)の報知の態様に応じて、主制御基板60が遊技停止状態に移行したこと、枠制御基板150で管理する持ち球数が0になったこと、貸出基板77との正常な接続状態が形成されていないこと、の夫々を判別することができる。
(3-5)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1において、枠制御用マイコン151(発射可否変更手段)は少なくとも、所定の発射阻止事由が存在する場合の発射阻止状態を、空打ち状態(球送り部材36cの動作が禁止される一方で発射槌90aの動作が許容される状態)とする。これにより、発射可能状態から発射阻止状態への移行時において、球送り部材36cによる打球位置29aへの新たな遊技球の供給は禁止しつつ、遊技領域3に到達せず打球位置29aに戻った遊技球を再び発射槌90aの動作に応じて発射でき、打球位置29aへの遊技球の残存を防止できる。
【0285】
また、上述した第1実施形態のパチンコ遊技機1は、以下の作用効果を奏する。
(4-1)実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技球が流下可能な遊技領域3と、遊技領域3に向けて遊技球を発射可能な発射槌90aと、遊技球を打球位置(29a)に1個ずつ供給可能な球送り部材36cと、遊技者が操作可能なハンドル4(遊技操作手段)とを備え、ハンドル4が操作された状態では、発射槌90a及び球送り部材36cが等間隔で繰り返し動作することで遊技球の連続的な発射動作が実現される。そして、枠制御用マイコン151(発射可否変更手段)は、発射阻止事由が生じた場合には、連続的な発射動作を実現不可能な発射阻止状態とし、発射阻止事由が生じていない場合には、連続的な発射動作を実現可能な発射可能状態とする。そして、枠制御用マイコン151は、発射阻止状態を、球送り部材36cの動作が禁止される一方で発射槌90aの動作が許容される状態とする。すなわち、発射可能状態から発射阻止状態への移行時において、球送り部材36cによる打球位置29aへの新たな遊技球の供給は禁止しつつ、遊技領域3に到達せず打球位置29aに戻った遊技球を再び発射槌90aの動作に応じて発射でき、打球位置29aへの遊技球の残存を防止することができる。
(4-2)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1において、枠制御用マイコン151(発射可否変更手段)は、発射阻止事由として所定の発射阻止事由が存在する場合の発射阻止状態を、球送り部材36cの動作が禁止される一方で発射槌90aの動作が許容される状態とし、発射阻止事由として所定の発射阻止事由とは異なる他の発射阻止事由が存在する場合の発射阻止状態を、球送り部材36c及び発射槌90aの各動作が禁止される状態とする。このように、発射阻止状態として、球送り部材36cの動作が禁止される一方で発射槌90aの動作が許容される状態と、球送り部材36c及び発射槌90aの各動作が禁止される状態とを設けることにより、発射阻止事由の違いに応じて適した発射阻止状態に移行させることが可能になる。
(4-3)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、枠制御用マイコン151(持ち球計数手段)が遊技者の持ち球数を計数し、その持ち球数を持ち球数記憶エリア172(持ち球数記憶手段)に記憶する。そして、空打ち状態(球送り部材36cの動作が禁止される一方で発射槌90aの動作が許容される発射阻止状態)に対応する所定の発射阻止事由は、持ち球数記憶エリア172に記憶されている持ち球数が0になったことである。これにより、持ち球数が0になったことによる発射阻止状態への移行時において、遊技領域3に到達せず打球位置29aに戻った遊技球を再び発射槌90aの動作に応じて発射することができるので、遊技者の持ち球に相当する遊技球が打球位置29aに残存するのを防ぐことができる。
(4-4)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技者の持ち球数を計数して持ち球数記憶エリア172(持ち球数記憶手段)に記憶する枠制御用マイコン151(持ち球計数手段)を有する枠制御基板150が、機外部の貸出基板77(貸球制御基板)と電気的に接続されている。そして、全停止状態(球送り部材36c及び発射槌90aの各動作が禁止される発射阻止状態)に対応する他の発射阻止事由は、枠制御基板150と貸出基板77との正常な接続状態が形成されていないことである。すなわち、枠制御基板150と貸出基板77との正常な接続状態が形成されていない場合には、発射後の遊技球が打球位置29aに戻るといった事象が生じ難い。このような場合は、球送り部材36c及び発射槌90aの各動作が禁止される状態としてパチンコ遊技機1の動作をより明確に停止させることにより、発射阻止事由の存在を確実に知らせることができる。
(4-5)また、第1実施形態のパチンコ遊技機1において、発射機構90が実行する発射動作は、球送り部材36cが1個の遊技球を打球位置29aに送り出す球送り動作と、該球送り動作の直後に発射槌90aが打球位置29aを通過するように移動する打球動作とからなる一連の動作である。このように、連続的な発射動作を行う場合の各発射動作を、球送り動作の後に打球動作が行われる一連の動作とすることにより、発射動作の終了時点において打球位置29aに遊技球が残存しないようにすることができる。
【0286】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。なお、前述した第1実施形態のパチンコ遊技機1と同一又は対応する構成に関しては同じ符号を用い、詳細な説明を省略する。
【0287】
第2実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技盤2に取り付けられた主制御基板60(制御手段、第1制御基板)及びサブ制御基板100(第2制御基板)と、内枠16(枠体)に取り付けられた枠制御基板150(枠側制御基板)とを備えたものであり、主制御基板60がサブ制御基板100及び枠制御基板150と電気的に接続するように構成されており、かつ、枠制御用マイコン151のバージョン番号に関するバージョン情報を記憶するバージョン情報記憶部161(バージョン情報記憶手段)を枠制御基板150が有している点で、前述した第1実施形態と同じである。しかし、第2実施形態では、前述した第1実施形態で説明した一次主枠判定を行わず、二次主枠判定のみを行う。枠制御用マイコン151のバージョン情報記憶部161に記憶されている情報は1種類のみであり、例えば、前述した第1実施形態で説明した基礎情報と同じ値(バージョン情報とする)のみである。また、演出制御用マイコン101のROM110に設けられるサブ比較情報記憶部111に記憶される情報は、前述した第1実施形態で説明した主比較情報と同じ値(比較情報とする)であり、固定値ではない。
【0288】
主制御基板60は、遊技状態指定コマンド(所定の制御信号)を枠制御基板150に送信可能である。この遊技状態指定コマンドを受信した枠制御基板150(枠制御用マイコン151)は、その受信した遊技状態指定コマンドを、バージョン情報記憶部161に記憶されているバージョン情報に基づいて加工し、その加工した加工情報信号を、主制御基板60を介してまたは直接に、サブ制御基板100に送信する。
ここで、主制御基板60の遊技制御用マイコン61は、電源投入時や、遊技状態の変化毎に、枠制御基板150(枠制御用マイコン151)に向けて遊技状態指定コマンドを送信する。この遊技状態指定コマンドを受信した枠制御用マイコン151は、遊技状態指定コマンドの上位4ビット(受信時には未使用、例えば「0000」となっている)に対して、バージョン情報の値を加算するといった加工を行い、その加工済みの遊技状態指定コマンド(加工情報信号)をサブ制御基板100の演出制御用マイコン101に送信する。例えば、枠制御用マイコン151は、
図40に示すように、バージョン番号が「ver.1.2」の枠制御用マイコン151(製品A)である場合、そのバージョン情報記憶部161に記憶されているバージョン情報(基礎情報)が「3H」であるので、遊技制御用マイコン61から受信した遊技状態指定コマンドの上位4ビット値を「0000」から「0011」に加工する。この加工された遊技状態指定コマンド(加工情報信号)を受信した演出制御用マイコン101では、その遊技状態指定コマンドの上位4ビット値「0011」を特定し、その値を、ROM110が有するサブ比較情報記憶部111から読み出した比較情報(例えば「製品A」に対応する遊技盤2の主制御基板60であれば「3H」)と比較して、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせが適切であるか不適切であるか(主枠一致か主枠不一致か)を判定する(この場合は主枠一致となる)。
【0289】
[第2実施形態の効果]
上述した第2実施形態のパチンコ遊技機1は、以下の作用効果を奏する。
(5-1)第2実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技盤2に取り付けられた主制御基板60(制御手段、第1制御基板)と、遊技盤2に取り付けられて主制御基板60とは異なるサブ制御基板100(第2制御基板)と、内枠16に取り付けられた枠制御基板150(枠側制御基板)とを備え、主制御基板60がサブ制御基板100及び枠制御基板150と電気的に接続するように構成されている。そして、枠制御基板150は、主制御基板60からの遊技状態指定コマンド(所定の制御信号、遊技情報信号)を加工して、その加工した遊技状態指定コマンド(所定の制御信号、加工情報信号、指示信号)をサブ制御基板100に向けて送信する。演出制御用マイコン101(適否判定手段)は、サブ制御基板100に設けられ、遊技状態指定コマンドを受信した場合に主枠判定を実行する。サブ制御基板100は、演出制御用マイコン101の主枠判定において、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせを不適切と判定したことに応じて、演出表示装置7(報知手段)に異常報知を実行させる。
このように、異常報知を制御するサブ制御基板100により、主制御基板60と枠制御用マイコン151との組み合わせの適否を判定するので、制御構成を簡素化できる。
【0290】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。なお、前述した第1実施形態または第2実施形態のパチンコ遊技機1と同一又は対応する構成に関しては同じ符号を用い、詳細な説明を省略する。
第3実施形態のパチンコ遊技機1では、枠制御基板150の枠制御用マイコン151が、主制御基板60、枠制御基板150、貸出基板77の三つの制御基板の状況の組み合わせに基づいて、発射可能状態、空打ち状態、全停止状態の何れとするかを決定するように構成されており、この点が前述した第1及び第2実施形態と異なっている。また、扉開放センサ18cが主制御基板60の遊技制御用マイコン61に検出信号を入力する構成となっている点も、前述した第1及び第2実施形態と異なっている。
【0291】
枠制御用マイコン151は、貸出ユニット未接続が生じていない場合の主制御基板60の制御状況を、
図41(a)に示す5種類に区分して判断する。また、枠制御用マイコン151は、貸出ユニット未接続が生じていない場合の枠制御基板150の制御状況を、
図41(b)に示す4種類に区分して判断する。
図41(a)及び
図41(b)に示すように、主制御基板60及び枠制御基板150の各制御状況は、発射動作を許容するか否かの発射可否(「発射許容」または「発射阻止」)と一対一で関連付けられている。そして、枠制御用マイコン151は、主制御基板60の制御状況に応じた発射可否と、枠制御基板150の制御状況に応じた発射可否との組み合わせにより、発射可能状態、空打ち状態、全停止状態の何れとするか(発射機構90の駆動態様)を決定する。具体的には、主制御基板60及び枠制御基板150の各々に対応する発射可否が何れも「発射許容」である場合には、発射可能状態とし、主制御基板60及び枠制御基板150の少なくとも一方に対応する発射可否が「発射阻止」である場合には、空打ち状態とする。
なお、貸出基板77の制御状況として貸出ユニット未接続が発生している場合は、主制御基板60や枠制御基板150の状況とは無関係に全停止状態とすることが決定される(図示省略する)。
【0292】
また、主制御基板60の各制御状況(
図41(a)参照)及び枠制御基板150の各制御状況(
図41(b)参照)には、優先順位が設けられている。この優先順位は、複数の制御状況が同時に生じている場合に、どの制御状況に対応する発射可否を選択するかについての優先順位である。例えば主制御基板60において、扉開放及び球抜き時の両方の制御状況である場合は、優先順位の高い扉開放に対応する発射可否である「発射阻止」が決定される。また同様に、枠制御基板150において、遊技機設置情報受信前及び持ち球ゼロの両方の制御状況である場合は、優先順位の高い遊技機設置情報受信前に対応する発射可否である「発射許容」が決定される。
【0293】
ここで、例えば、枠制御基板150において球抜き操作が行われ、球抜きモードへと移行した場合、その情報が主制御基板60に通知される。この場合、枠制御用マイコン151は、枠制御基板150の制御状況を「球抜き時」と判断すると共に、主制御基板60の制御状況も「球抜き時」と判断する。この「球抜き時」以外の制御状況が同時に生じていない場合、枠制御用マイコン151は、主制御基板60の制御状況に応じた発射可否を「発射許容」と判断し、枠制御基板150の制御状況に応じた発射可否も「発射許容」と判断する。従って、この場合は、枠制御基板150の枠制御用マイコン151が発射制御回路75に発射許可信号を入力する状態が継続され、発射可能状態が維持される。
【0294】
また、例えば、主制御基板60において遊技制御用マイコン61が遊技停止になると、その情報が、特定エラーコマンド(特定不正検出信号)またはコンプリートコマンド(コンプリート信号)として、枠制御基板150に通知される。この場合、枠制御用マイコン151は、これらのコマンド(信号)の受信(入力)によって主制御基板60の制御状況を「遊技停止」と判断すると共に、枠制御基板150の制御状況を「その他」と判断する。他の制御状況が同時に生じていない場合、枠制御用マイコン151は、主制御基板60の制御状況に応じた発射可否を「発射阻止」と判断し、枠制御基板150の制御状況に応じた発射可否は「発射許容」と判断する。従ってこの場合は、枠制御基板150の枠制御用マイコン151が発射制御回路75への発射許可信号の入力を停止することとなり、空打ち状態に移行する。
【0295】
[第3実施形態の効果]
上述した第3実施形態のパチンコ遊技機1は、以下の作用効果を奏する。
(6-1)第3実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御基板60、枠制御基板150、貸出基板77の三つの制御基板(複数の制御基板)による制御状況の組み合わせに基づいて、発射機構90の駆動態様を決定する。従って、発射機構90の駆動態様(発射可能状態、空打ち状態、全停止状態の何れとするか)を適切に決定することができる。
(6-2)また、第3実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御基板60及び枠制御基板150(複数の制御基板)において予め定められた状況が複数種類同時に生じた場合に、その各状況のうち優先順位の高い状況に対応する発射可否を決定し、その発射可否の決定に応じた駆動態様で発射機構90を駆動制御する。従って、主制御基板60及び枠制御基板150(複数の制御基板)において予め定められた状況が複数種類同時に生じた場合にも、発射機構90の駆動態様(発射可能状態、空打ち状態、全停止状態の何れとするか)を適切に決定することができる。
【0296】
<他の実施形態>
・前述した第1~第3実施形態では、所定の電気部品としての枠制御用マイコンと、遊技盤との組み合わせの適否を判定(主枠判定)するようにした。これに対し、枠制御用マイコンとは別の電気部品、例えば、電源基板や発射制御回路上の電気部品等(所定の電気部品)と、遊技盤との組み合わせの適否を判定するようにしてもよい。
・また、前述した第1~第3実施形態では、枠側制御基板(枠制御基板)や第2制御基板(サブ制御基板)が、適否判定手段として、所定の電気部品と遊技盤との組み合わせの適否を判定(主枠判定)するようにした。これに対し、第1制御基板(主制御基板)が、適否判定手段として、所定の電気部品と遊技盤との組み合わせの適否を判定するようにしてもよい。この場合には、枠側制御基板から第1制御基板に対し、バージョン情報を含む所定の制御信号を送信し、当該信号を受信した枠側制御基板が、所定の制御信号に含まれるバージョン情報と、枠側制御基板の比較情報記憶手段(比較情報記憶部)に記憶される比較情報とを比較して、所定の電気部品と遊技盤との組み合わせの適否を判定するように構成できる。
・また、前述した第1~第3実施形態では、性能値算出手段(枠制御基板、枠制御用マイコン)が性能値を算出する所定の時間間隔を、外部出力手段(枠制御基板、枠制御用マイコン)が性能値を機外部(貸出基板)に出力する時間間隔と同じにした。これに対し、性能値を算出する所定の時間間隔と、性能値を機外部に出力する時間間隔とを異ならせてもよい。この場合には例えば、性能値を算出する所定の時間間隔を、性能値を機外部に出力する時間間隔よりも長く設定してもよい。また、性能値を算出する所定の時間間隔を、性能値を機外部に出力する時間間隔よりも短く、かつタイマ割込処理の時間間隔(10ms等)よりも長く、設定してもよい。
・また、前述した第1~第3実施形態では、発射阻止報知手段(発射モニタ)をLEDにより構成した。これに対し、発射阻止報知手段を、画像表示により報知を行う画像表示部や、出力する音により報知を行うスピーカ等としてもよい。
・また、前述した第1~第3実施形態では、発射阻止報知手段(発射モニタ)を枠制御基板上に設けた。これに対し、発射阻止報知手段を、他の制御基板(例えば電源基板や主制御基板や中継基板)上や、その他の部位に設けてもよい。
・また、前述した第1~第3実施形態では、発射阻止報知手段(発射モニタ)を構成する複数の報知部(第1~第3報知部)を同じ制御基板上に設けた。これに対し、所定の報知部と、別の報知部とを、異なる制御基板上に設けるようにしてもよい。この場合には例えば、第1報知部を主制御基板上に設け、第2報知部及び第3報知部を枠制御基板上に設けるようにすることが考えられる。
・前述した第1~第3実施形態に関する記載においては、枠制御基板上に配置される第1~第3報知部の相対位置関係について触れなかったが、例えば、第3報知部を、他の報知部(第1・第2報知部)よりも貸出基板との接続側に近い位置に配置することで、報知する対象を把握し易くすることができる。
・また、前述した第1~第3実施形態では、発射阻止報知手段(発射モニタ)が、発射阻止状態であることをLEDである報知部を消灯状態とすることによって報知するようにした。これに対し、報知部を点灯状態または点滅状態とすることによって報知するようにしてもよい。
・また、前述した第1~第3実施形態では、枠制御基板に対する貸出基板の正常な接続状態が形成されていない状態(貸出ユニット未接続)において、球送り動作及び打球動作の両方を停止させる(全停止状態とする)ようにした。これに対し、球送り動作を停止させる一方で打球動作を停止させない空打ち状態としてもよい。
・また、前述した第1~第3実施形態では、枠制御基板(枠制御用マイコン)が球抜きモード(球抜き状態)の場合においても発射動作を停止しない(発射可能状態を維持する)ようにした。これに対し、球送り動作及び打球動作の両方を停止させる全停止状態としてもよい。但し、球抜きモードにおいて打球動作を停止する場合、打球位置や球抜き部からの球抜き作業を容易に行うことができる構成(例えば、打球位置からの球抜きを行うための球抜き操作部を設ける等)としておくことが望ましい。
・また、前述した第1~第3実施形態では、入賞口への遊技球の入球に基づいて付与される賞球数を含む賞球コマンドを、主制御基板(遊技制御用マイコン)から枠制御基板(枠制御用マイコン)に向けて、その賞球の発生毎に送信するようにした。これに対し、賞球コマンドを定期的に送信するようにし、各賞球コマンドにおいて、その送信タイミング間に生じた賞球数の合計数を示すようにしてもよい。
・また、前述した第1~第3実施形態では、遊技状態が変化した場合にその変化後の遊技状態を示すための遊技状態指定コマンドを、その遊技状態が変化するタイミング毎に、主制御基板(遊技制御用マイコン)から枠制御基板(枠制御用マイコン)やサブ制御基板(演出制御用マイコン)に対して送信するようにした。これに対し、所定の時間間隔に設定される送信タイミングに合わせて遊技状態指定コマンドを送信するようにしてもよい。
・また、前述した第1~第3実施形態では、所謂「1種2種混合機」であるパチンコ遊技機に対して発明の構成を適用した実施形態について説明した。しかしながら遊技機はこれに限定されるものではなく、適用可能な範囲において、別の遊技性を有するパチンコ遊技機に対して発明を適用したものであってもよいし、スロットマシン(回胴式遊技機)に対して発明を適用したものであってもよい。なお、パチンコ遊技機における別の遊技性としては、例えば、所謂「V確変機」、すなわち、大当たりか否かを判定する内部判定(特図当たり判定)において大当たりの判定結果(特定結果)となったことに基づいて大当たり遊技状態を生起させて可変入球口(大入賞口)への入球を許容すると共に、その大当たり遊技状態中において可変入球口に入球した遊技球が特定領域を通過したことを契機として、その大当たり遊技状態の終了後の遊技状態を遊技者に有利な遊技状態(特図当たり判定が大当たりの判定結果となる確率が高確率となる確変遊技状態)とするパチンコ遊技機に対して適用可能である。また、スロットマシンは例えば、図柄の変動表示を行う図柄表示手段と、図柄表示手段による図柄の変動表示を開始させるための操作の対象となる変動開始操作手段と、図柄表示手段による図柄の変動表示を終了させるための操作の対象となる変動停止操作手段と、演出を表示可能な演出表示手段とを備えた遊技機である。
・また、前述した第1~第3実施形態では、可変入球口としての第2大入賞口を有する第2大入賞装置の内部に特定領域を設け、この「特定領域が常に開口」していて第2大入賞口に入球した全ての遊技球を受け入れるように構成することで、可変入球口(第2大入賞口)に入球した遊技球が必ず特定領域を通過して入球検出手段(特定領域センサ)により検出されるようにした。これに対し、第2大入賞装置の内部に、第2大入賞口に入球した遊技球を特定領域及び非特定領域に振り分ける振分部材を備えるようにしてもよい。この場合、「振分部材によって特定領域を常には閉塞」しておき、入球検出手段(特定領域センサ)の検出有効期間に限り、振分部材を作動して特定領域への入球を許容することができる。
・また、前述した第1~第3実施形態では、遊技機内で遊技媒体(遊技球)を循環させて使用する構成(球循環機構)を有する遊技機としたが、遊技店の島設備から供給される遊技球を使用し、その使用後の遊技媒体を島設備に向けて排出したり、賞媒体を遊技者側に払い出したりする構成としてもよい。
【符号の説明】
【0297】
1…パチンコ遊技機1、2…遊技盤2、3…遊技領域、4…ハンドル(遊技操作手段)、7…演出表示装置(報知手段)、10a…第1始動口(入賞口)、10b…第1始動口センサ(入球検出センサ)、11a…一般入賞口(入賞口)、11b…一般入賞口センサ(入球検出センサ)、12a…第2始動口(入賞口)、12c…第2始動口センサ(入球検出センサ)、14a…第1大入賞口(入賞口)、14c…第1大入賞口センサ(入球検出センサ)、15a…第2大入賞口(入賞口)、15c…第2大入賞口センサ(入球検出センサ)、16…内枠(枠体)、29a…打球位置、36c…球送り部材、37…実射センサ(減算検出手段)、60…主制御基板(第1制御基板、遊技制御手段)、61…遊技制御用マイコン(賞球付与手段)、63a…比較情報記憶部(比較情報記憶手段)、77…貸出基板(貸球制御基板)、90a…発射槌、100…サブ制御基板(第2制御基板)、101…演出制御用マイコン(適否判定手段)、150…枠制御基板(枠側制御基板、球数制御基板)、151…枠制御用マイコン(所定の電気部品、適否判定手段、報知制御手段、外部出力手段、性能値算出手段、抽出値計数手段、発射可否変更手段、持ち球計数手段)、160…ROM(記憶手段)、161…バージョン情報記憶部(バージョン情報記憶手段)、172…持ち球数記憶エリア(持ち球数記憶手段)、173…消費球数記憶エリア(抽出値記憶手段)、174…獲得球数記憶エリア(抽出値記憶手段)、175…差玉数記憶エリア(性能値記憶手段)、176…出玉率記憶エリア(性能値記憶手段)、177…ベース値記憶エリア(性能値記憶手段)、178…主制御ベース値記憶エリア(性能値記憶手段)、179…役物比率記憶エリア(性能値記憶手段)、180…連続役物比率記憶エリア(性能値記憶手段)、181…分間獲得球数記憶エリア(性能値記憶手段)、183…性能表示モニタ(報知手段)、187…発射モニタ(発射阻止報知手段)、188…第1報知部、189…第2報知部、190…第3報知部。