(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127173
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】釣り用被捕獲体取付具および釣り用仕掛け
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A01K85/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036147
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】391055771
【氏名又は名称】株式会社コーモランプロダクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】廣常 治樹
(72)【発明者】
【氏名】秦 正昭
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA35
2B307BA36
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】 フックの動きを規制することで釣果を向上させることができる、釣り用被捕獲体取付具および釣り用仕掛けを提供する。
【解決手段】 釣り対象の生物が捕獲する釣り用被捕獲体2を取付け可能に構成され、前後方向の前側に配置される前端部7と、前端部7の後方側に配置され、釣り用被捕獲体7を取付け可能な取付部と、前端部7から後方へ延設され、生物を釣るための第二釣針29を取付ける第二釣針取付部21を含む支持部9とを備え、支持部9における第二釣針取付部21の周囲部分のうち、少なくとも第二釣針取付部21と取付部に取付けられた釣り用被捕獲体2との間の領域に、第二釣針29の釣り用被捕獲体2の方への動きを規制する規制部11が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り対象の生物が捕獲する釣り用被捕獲体を取付け可能に構成され、
前後方向の前側に配置される前端部と、
該前端部の後方側に配置され、前記釣り用被捕獲体を取付け可能な取付部と、
前記前端部から後方へ延設され、前記生物を釣るための釣針を取付ける針取付部を含む支持部と、を備え、
前記支持部における前記針取付部の周囲部分のうち、少なくとも前記針取付部と前記取付部に取付けられた前記釣り用被捕獲体との間の領域に、前記釣針の前記釣り用被捕獲体の方への動きを規制する規制部が設けられたことを特徴とする釣り用被捕獲体取付具。
【請求項2】
前記規制部の前後方向に直交する幅方向における幅寸法は、前記支持部の前記幅方向における幅寸法より大きい請求項1に記載の釣り用被捕獲体取付具。
【請求項3】
前記規制部は、前記針取付部と前記釣り用被捕獲体との間に配置され、前記針取付部よりも後方へ延設される間部と、該間部よりも前記針取付部側に配置され、且つ該針取付部の前側または後側に配置される前後部と、を備える請求項1または請求項2に記載の釣り用被捕獲体取付具。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の釣り用被捕獲体取付具と、該釣り用被捕獲体取付具に取付けられる前記釣り用被捕獲体とを備える釣り用仕掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用被捕獲体取付具および釣り用仕掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にバイブレーションジグヘッドが開示されている。このバイブレーションジグヘッドは、先端側が先細り状をなすシンカー(錘)と、シンカーの後端側の端面から突出するフロントキーパーと、シンカーから後方に伸びた線状部材から上方に起立したリアキーパーと、シンカーの下部に設けられ、フロントフックを装着する前環と、リアキーパーの下部に設けられ、リアフックを装着する後環と、を備える。
【0003】
このバイブレーションジグヘッドには、フロントキーパー、リアキーパーに疑似餌を装着し、水中を移動させることにより、疑似餌を捕食してきた魚をフロントフック、或いはリアフックに引っ掛けて釣ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このバイブレーションジグヘッドにおいては、フロントフック、或いはリアフックが、前環、後環に吊下げられているだけなので、フロントフック、或いはリアフックが前環、後環の環形状に沿って疑似餌の方へ移動し、疑似餌に刺さってしまうことがある。疑似餌にフックが刺さったままであると、水中での疑似餌の動きや、魚に対してフックの掛りが悪くなり、釣果に悪影響がある。
【0006】
なお、このような問題は、バイブレーションジグヘッドに疑似餌を取付ける場合に限らず、生の餌を取付ける場合など、釣り対象生物が食べることができると思って捕獲する被捕獲体全般に起こりうる。
【0007】
そこで本発明は、フックの動きを規制することで釣果を向上させることができる、釣り用被捕獲体取付具および釣り用仕掛けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、釣り対象の生物が捕獲する釣り用被捕獲体を取付け可能に構成され、
前後方向の前側に配置される前端部と、該前端部の後方側に配置され、前記釣り用被捕獲体を取付け可能な取付部と、前記前端部から後方へ延設され、前記生物を釣るための釣針を取付ける針取付部を含む支持部と、を備え、前記支持部における前記針取付部の周囲部分のうち、少なくとも前記針取付部と前記取付部に取付けられた前記釣り用被捕獲体との間の領域に、前記釣針の前記釣り用被捕獲体の方への動きを規制する規制部が設けられた釣り用被捕獲体取付具である。
【0009】
上記構成によれば、規制部が設けられているので、針取付部に取付けられた釣針が支持部を越えて大きく釣り用被捕獲体の方へ動くのを規制することができ、釣針が釣り用被捕獲体に刺さることを抑制することができる。これにより、釣果を伸ばすことができる。
【0010】
本発明は、前記規制部の前後方向に直交する幅方向における幅寸法は、前記支持部の前記幅方向における幅寸法より大きい構成であってもよい。
【0011】
上記構成によれば、釣針の幅方向での動きを規制できるとともに、規制部の幅の大きさを利用して釣り用被捕獲体を安定して支持することができる。
【0012】
本発明では、前記規制部は、前記針取付部と前記釣り用被捕獲体との間に配置され、前記針取付部よりも後方へ延設される間部と、該間部よりも前記針取付部側に配置され、且つ該針取付部の前側または後側に配置される前後部と、を備えていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、間部および前後部によって、釣針の釣り用被捕獲体側への動きを抑制できる。
【0014】
本発明は、上記構成の釣り用被捕獲体取付具と、該釣り用被捕獲体取付具に取付けられる前記釣り用被捕獲体とを備える釣り用仕掛けである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、釣り用被捕獲体取付具および釣り用仕掛けには、規制部が設けられているので、釣針が釣り用被捕獲体に刺さることを抑制することができ、これにより、釣果を伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態を示すルアーの中心線断面図である。
【
図5】同
図1における第二釣針取付部の拡大図(
図1におけるV拡大図)である。
【
図8】同
図5におけるVIII―VIII断面図である。
【
図9】同第二挿込部の回動状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係るルアーを、
図1~
図9に基づいて説明する。本実施形態では、
図1に示すように、ルアー1は、ワーム2とワーム取付具3とから構成されており、ルアー1は釣人(図示せず)によって操作されるラインに引かれて水中を移動するものであって、魚等を釣果として釣り上げるための釣り用仕掛け(釣具)とされる。
【0018】
ワーム2は釣針の付属しない疑似餌であり、魚等の釣り用被捕獲体(釣り対象の生物)を構成する部材である。したがって、ワーム取付具3は釣り用被捕獲体取付具とも称し、本実施形態では、釣り用被捕獲体としてワーム2とされる。しかしながら、ワーム2に代えて生き餌とすることもできる。
【0019】
ワーム2は、ワーム取付具3の形態に応じて選択される部材であり、したがってワーム2の形状は特定のものではないが、本実施形態では、ワーム2は、胴体部2Aと尾部2Bとを有している。ワーム2は、胴体部2Aと尾部2Bとが魚を模すように形成され、全体としてポリ塩化ビニル、エラストマー等の合成樹脂製とされる。
【0020】
胴体部2Aは、同図に示すように、前後方向に向けて一定の長さ寸法に形成され、胴部外側面2aと胴部底面2bとを有する。胴部外側面2aは、前後方向に沿い、上方を突とする略半円形状に形成されている。胴部底面2bは前後方向に沿う略平面形状に形成され、したがって、胴体部2Aの上下方向の断面は、略半円断面形状に形成されている。また、胴体部2Aの前端面である前面2Cは、上下方向に沿った略平面形状に形成されている。
【0021】
尾部2Bは、胴体部2Aの後方に延長するよう一体化され、尾部本体4と尾鰭5とを有する。尾部本体4は、尾部外側面4aと尾部底面4bとを有する。尾部本体4は、胴体部2Aの後方に向けて一定の長さ寸法に形成されており、尾部本体4の上下方向の断面は、胴体部2Aと同様、略半円断面形状に形成されている一方、胴部底面2bと尾部底面4bとを共通の平面として、後方へ向かうほど先細りした断面形状とされる。尾鰭5は、尾部本体4の後端側に形成されている。尾鰭5は、尾部本体4の該先細りの断面に比べて上下左右方向に拡大された断面とされる。
【0022】
ワーム2には、胴体部2Aと尾部2Bとの間を仕切る仕切線領域6を有し、仕切線領域6は、ワーム2の外周から内側に入り込む線状帯とされている。このような尾鰭5、仕切線領域6が形成されることによって、尾部本体4ないし胴体部2Aは、水中では、尾鰭5の動きから蛇行性を生じるよう構成されている。
【0023】
次に、ワーム取付具3について説明する。
図2~
図4に示すように、ワーム取付具3はワーム2を取付け可能な構成とされ、前端部7と、第一挿込部8と、支持部9と、第二挿込部10と、規制部11とを備える。
【0024】
〔前端部について〕
前端部7は、ワーム取付具3の前後方向の前側に形成されている。前端部7は、魚の頭部を模して形成されたシンカー(錘)である前端部本体7Aと、糸取付部12とを備える。前端部本体7Aは、金属、例えば鉛によって形成されている。前端部本体7Aは先端側に向けて先細りして形成され、前端部本体7Aの後面7aは、前記胴体部2Aの前面2Cに対応するよう上下方向の略平面状に形成されている。
【0025】
また、前端部本体7Aの上部には、例えば、リールから導出されるライン(図示せず)を締結するための糸取付部12が形成されている。糸取付部12は、前端部本体7Aの頂面に設けられた半環状の部材であって、両側端部が頂面の前後方向に連結されている。
【0026】
第一挿込部8は、前端部本体7Aの後面7aから後方へ向けて突出され、ワーム2に挿込み可能な構成とされている。具体的に、第一挿込部8は、第一挿込部本体13と回止め部材14とから構成されている。このうち第一挿込部本体13は、ワーム2の胴体部2Aの前面2Cに前方から挿込されてワーム2を位置決めするための部材である。回止め部材14は、胴体部2Aの前面2Cに前方から挿込されるとともに、ワーム2(胴体部2A)の回り止めをする部材である。
【0027】
第一挿込部本体13と回止め部材14とは、前端部本体7Aの後面7aの幅方向中央部に配置されるとともに、上下方向に離間して構成されており、第一挿込部本体13が回止め部材14よりも下方に配置されている。第一挿込部本体13における、前端部本体7Aの後面7aから後方への距離寸法は、一定の距離寸法、すなわち、胴体部2Aの前面2Cの下方側(胴部底面2b側)に挿込される位置に設定される。この一定の距離寸法は、後述するように、支持本体15の上面15Aからの距離でもある。また、回止め部材14は、胴体部2Aの前面2Cの上方側に挿込される位置に設定される。
【0028】
図1に示すように、第一挿込部本体13と回止め部材14とは、前端部本体7Aの内部でUの字状とされて、前端部本体7Aの後面7aから後方へ向けて互いに平行に突出されたコア部材16を基に形成されている。すなわち、第一挿込部本体13は、下側のコア部材16に外筒材17が外嵌され、回止め部材14は、コア部材16が露出した形態となっている。
【0029】
図2に示すように、第一挿込部本体13の外筒材17は、下側のコア部材16に外嵌する筒本体18と、筒本体18上にあって、互いに前後方向に離間した複数の挿込片18aと、筒本体18の後端側に配置される一個の尖端片18bとを有する。
【0030】
複数の挿込片18aおよび尖端片18bは、胴体部2Aの前面2C側を挿込し易く、且つ抜け難いよう形成されている。すなわち、挿込片18aおよび尖端片18bは、前端面が筒本体18に直交する直交面に形成され、前端面より後側が筒本体18に向けて傾斜するよう円錐形状面18c,18dに形成されている。回止め部材14の後端と、第一挿込部本体13の尖端片18bの後端では、第一挿込部本体13の尖端片18bの方が後側に配置されている。なお、下側のコア部材16は、第一挿込部本体13の尖端片18bから、さらに後方側へ突出されいる。これら、コア部材16、第一挿込部本体13および回止め部材14は、金属製とされている。
【0031】
〔支持部について〕
支持部9は前端部本体7Aに設けられている。支持部9は前端部本体7Aから後方へ延設されるよう構成され、支持部9はワーム2を載せる部材である。具体的には
図1に示すように、支持部9はワーム2の胴体部2Aを載せる部材である。支持部9は、前端部本体7Aの下端7bより前方に設けられた前領域部分9Aと、前端部本体7Aの下端7bより後方へ延設された後領域部分9Bとから構成されている。支持部9は前端部本体7Aと一体的に形成されており、金属製とされている。
【0032】
支持部9は、支持本体15と、支持本体15の前領域部分9Aに設けられた第一釣針取付部20と、支持本体15の後領域部分9Bに設けられた第二釣針取付部21とを有する。
【0033】
支持本体15は、
図6に示すように、所定の左右方向の幅寸法tに形成されて、上下方向に沿う板状に形成されている。支持本体15は、
図2に示すように、上面15Aと、上面15Aに下方で対向する下面15Bと、上面15Aおよび下面15Bの側部を連続する両側の側面15C,15Cと、前面15Dと、前面15Dの後方で対向する後面15Eとを有している。
【0034】
前領域部分9Aにおける上面15A、前面15D、および下面15Bは、連続した円弧状面に形成されている。この上面15A、および前面15Dの一部が、前端部本体7Aの下端7bより前方にあって、前端部本体7Aに一体的に形成されている。前領域部分9Aにおいて、上面15A、前面15D、下面15Bおよび側面15C,15Cにより第一釣針取付部20が形成されている。第一釣針取付部20(前領域部分9A)には、幅方向に沿う第一孔22が形成されている。
【0035】
第一釣針取付部20は、
図1に示すように、前方の釣針(以下第一釣針23と称し、これには例えば、トリプルフックが用いられる)を保持するものであり、例えば、第一釣針23におけるスプリットリング30が巻かれる。このように、第一釣針取付部20は、釣り用被捕獲体(魚等)を釣るための釣針を取付けるための部分である。
【0036】
後領域部分9Bにおいて、支持本体15は、前端部本体7Aの下端7b側から後方へ向けて、ワーム2の胴体部2Aの前後方向に応じた範囲まで延設されている。
【0037】
後領域部分9Bにおいて、支持本体15の上面15Aは、前端部本体7Aの下端7bに連結されて、該下端7bから後方に沿う平滑面24と、平滑面24の後端から下傾斜される上傾斜面25とされる。後領域部分9Bにおいて、支持本体15の下面15Bは前領域部分9Aの下面15Bから後方に沿い、且つ下方に向けて湾曲する湾曲面26と、湾曲面26の後端から下傾斜される下傾斜面27とを有する。また、後領域部分9Bの後面15Eは、上傾斜面25と下傾斜面27とを連続する円弧面とされる。支持本体15の下面15Bは前領域部分9Aの下面15Bから後方に沿い、且つ下方に向けて湾曲する湾曲面26を形成したが、湾曲面26に代わって直線状の面とすることもできる。さらに、上傾斜面25と下傾斜面27とは下側に傾斜する面としたが、直線状の面とすることもできる。
【0038】
後領域部分9Bにおいて、上傾斜面25、下傾斜面27、後面15Eおよび側面15C,15Cにより、第二釣針取付部21が形成されている。第二釣針取付部21には、上傾斜面25、下傾斜面27および後面15Eによって囲繞されて、幅方向に沿う第二孔28が形成されている。
【0039】
第二釣針取付部21は、後方の釣針(以下第二釣針29と称し、これには例えば、トリプルフックが用いられる)を保持するものであり、例えば、第二釣針29におけるスプリットリング30が巻かれる。第二釣針取付部21は、釣り用被捕獲体(魚など)を釣るための釣針を取付けるための部分であり、支持部9は、第一釣針取付部20と第二釣針取付部21とを備えている。
【0040】
〔第二挿込部について〕
図1、
図2に示すように、第二挿込部10は、第一挿込部8よりも後方側に配置され、ワーム2に挿込み可能な構成とされる。第二挿込部10は、挿込線状体31と、位置決め部32とを備える。挿込線状体31は曲げられた線状部材であり、例えば、円形断面のワイヤーが用いられている。
【0041】
挿込線状体31は、後領域部分9Bにおいて、支持本体15の上面15Aの、幅方向中央に載置される基端部33と、基端部33の先端から曲げられる先端曲部34と、基端部33の後端から曲げられる後端曲部35とを備える。これら基端部33、先端曲部34および後端曲部35は一体的に形成される。
【0042】
基端部33は前後方向に延びて、支持本体15の上面15Aより短く設定され、上面15Aの上方に隣合っている。
【0043】
先端曲部34は、前端部本体7Aの後面7aに沿うよう折曲げられている。また、先端曲部34の端部の位置は、第一挿込部本体13よりも低い位置に設定される。本実施形態では、先端曲部34の折曲げ角度は基端部33に対して略90°とされている。先端曲部34は、基端部33をその軸心33a(軸線)回りに回動させることで、前端部本体7Aの後面7aに沿うよう回動することができる。
【0044】
後端曲部35は、ワーム2の胴体部2Aに挿し込まれる部材である。後端曲部35は、基端部33から曲げられる立上部36と、立上部36から曲げられる挿込片37とを有している。立上部36と挿込片37とは、一体的に形成される。よって、後端曲部35は、基端部33をその軸心33a回りに回動させることで、上面15A回りに回動することができる。
【0045】
すなわち、第二挿込部10は、基端部33が軸心33a回りに回動自在であり、基端部33に一体形成された先端曲部34および後端曲部35も回動自在となって、前後方向に交差する方向に変位可能に、支持本体15の上面15Aに支持されている。なお、後端曲部35は、第一挿込部本体13よりも後方に配置されている。
【0046】
本実施形態では、立上部36は、基端部33(上面15A)に対し、基端部33から鈍角的な角度をもって配置されている。挿込片37は、立上部36に対して鈍角的な角度をもって配置されて立上部36の端部に形成されており、立上部36と挿込片37の連続する部位Pは、基端部33と立上部36とを連続する部位P1よりも後側に配置されている。挿込片37の前後方向の先端は、第一挿込部8の下側のコア部材16の後端には至っていない、挿込片37の長さ寸法とされる。
【0047】
立上部36の基端(基端部33から立上げられる部分に相当する)から、挿込片37の先端までの高さ方の距離は、ワーム2の胴体部2Aを上面15Aに載せた状態において、上面15Aから胴体部2Aの中に収まる寸法とされる(
図1参照)。
【0048】
位置決め部32は、挿込線状体31を、前後方向、上下方向、および幅方向へ位置決めする部材である。位置決め部32は、支持部9の後領域部分9Bにおいて、支持本体15の下面15Bの一部、側面15C,15Cの一部、および上面15Aに載せられた挿込線状体31の基端部33を包んで熱収縮される。これにより、挿込線状体31を、前後方向、上下方向、および幅方向へ位置決めすることができる。この場合では、挿込線状体31の先端曲部34を、前端部本体7Aの後面7aに当接させるようにして、位置決め部32を熱収縮させている。このように、位置決め部32は、熱収縮性のスリーブ状体(チューブ)から構成されている。
【0049】
上記のように、位置決め部32が、支持本体15および基端部33を包んで熱収縮されると、先端曲部34および後端曲部35によって、基端部33において前後方向の動きが規制されるとともに、上下方向の動きが規制される。また、位置決め部32の熱収縮によって、基端部33では、幅方向の動きが規制される。
【0050】
しかしながら、基端部33は円形断面であり、基端部33が載る上面15Aは平滑面24であるから、基端部33は、その軸心33a回りに回動することができる。したがって、基端部33が軸心33a回りに回動することで、該軸心33a回りに先端曲部34および後端曲部35が回動することができる。
【0051】
〔規制部について〕
規制部11は、支持部9における第二釣針取付部21の周囲部分のうち、少なくとも第二釣針取付部21と、後領域部分9Bに取付けられたワーム2の胴体部2Aとの間の領域にあり、第二釣針29における、ワーム2(尾部2B)の方への動きを規制する部材である。
【0052】
規制部11は、第二釣針取付部21を外嵌するように設けられており、
図1、
図2に示すように、規制部11は、第二釣針取付部21と、ワーム2の胴体部2A後端部との間に配置されている。
図6に示すように、規制部11の幅寸法t1は、支持部9(支持部9の後端)の幅寸法tより大きく形成されている。
【0053】
図2に示すように、規制部11は、第二釣針取付部21の第二孔28よりも後方へ延設される間部40を有する。さらに、規制部11は、間部40よりも第二釣針取付部21の第二孔28側に配置され、且つ第二釣針取付部21の第二孔28の前側および後側に配置される前後部41,42を備える。
【0054】
規制部11の外観形状を、さらに具体的に説明する。規制部11は、規制上面43と、規制上面43に対し下方で配置される規制下面44と、前端部本体7A側の規制前面45と、規制前面45に対し後方に配置される規制後面46と、規制側面47,47とを有して、第二釣針取付部21が前方から埋められた状態を有している。
【0055】
規制上面43は、支持本体15(支持部9)の上面15A(平滑面24)と面一な同一面43aと、同一面43aの後方にあって、同一面43aから後側に向かう支持面43bとを有する。支持面43bの後端は、第二釣針取付部21の後端よりも後方に突出している。支持面43bは、ワーム2の胴部底面2b後側を支持する面とされる。あるいは支持面43bは、後方に向けて傾斜させて形成してもよい。
【0056】
規制下面44は、四つの構成要素を備える。すなわち、前側に配置された規制下前面44aと、後側に配置された規制下後面44bと、規制下前面44aと規制下後面44bとの間にある収容面44cと、前規制面44dとを備えている。
【0057】
規制下前面44aは、同一面43aと平行な面であり、
図5に示すように、第二釣針取付部21の下傾斜面27よりも下側に配置されている。
【0058】
規制下後面44bは、第二釣針取付部21の上下方向途中にあって、規制下前面44aよりも上方に配置されて、規制下前面44aと平行な面とされており、第二釣針取付部21の後面15Eよりも後方へ突出する面である。
図1に示すように、収容面44cは、規制下前面44aと規制下後面44bとの間に配置されて、第二孔28を回避するよう形成されて、半円形状に形成されている。なお、規制下後面44bは前方に向けて傾斜する面とすることもできる。また、収容面44cは、半円形状でなくてもよく、第二孔28を回避できる形状であればよい。
【0059】
規制下面44は前規制面44dをさらに備え、前規制面44dは、収容面44cの前部から下向きに形成されて、収容面44cと規制下前面44aとを連続するよう形成されている。
【0060】
図5で示すように、同一面43aと支持面43bとの途中に配置されて、支持面43bの前側から下方に垂下面40aが形成され、垂下面40aと規制下後面44bとは、上傾斜面25に対し斜め上方で、隙間を介して対向する傾斜上対向面40bとされている。この傾斜上対向面40bの後側は、後面15Eに沿うように配置されて、傾斜が急こう配とされた後沿い面42aとされる。規制前面45と前規制面44dとを連続する面は、下傾斜面27に斜め下方で、隙間を介して対向する傾斜下対向面44eとされている。この傾斜下対向面44eの後端は、後面15Eには至っていない。そして、第二釣針取付部21は、傾斜上対向面40bと傾斜下対向面44eとの間に挿入されている。また、垂下面40aと前規制面44dとでは、垂下面40aの方が前方に配置されている。
【0061】
このような規制下面44において、収容面44cは第二孔28を回避し、前規制面44dと規制下後面44bとの間には第二釣針取付部21の後部が露出した形態となっており、前規制面44dと規制下後面44bとの間は開放されている。また、規制下後面44bは水平方向に沿う面であり、前規制面44dは上下方向に沿う面である。つまり、前規制面44dと規制下後面44bとで形成される角度は略90°である。なお、収容面44cは第二孔28を回避できる形状であれば、前規制面44dと規制下後面44bとで形成される角度は略90°である必要はない。
【0062】
規制前面45は同一面43a、規制下前面44a、および規制側面47,47を連結する平面であり、
図8に示すように、第二釣針取付部21(支持本体15)を回避して形成されている。そして規制下前面44aが第二釣針取付部21の下傾斜面27よりも下側に配置されている分だけ、規制前面45もまた、第二釣針取付部21の下傾斜面27から突出して形成されている。なお、規制前面45は、
図8に示すように、上側開放のコの字状に形成されている。なお、規制側面47,47は、曲面ないし湾曲面とすることもできる。
【0063】
図7に示すように、規制後面46は、支持面43b、規制下後面44b、および規制側面47,47を連結する平面であり、支持面43bの後端は、第二釣針取付部21の後端よりも後方に突出し、規制下面44(後述する前後面42)が、第二釣針取付部21の後面15Eよりも後方へ突出した分だけ、規制後面46は、第二釣針取付部21から後方へ突出している。なお、規制後面46は、支持面43b、規制下後面44b、および規制側面47,47を連結する平面としたが、曲面ないし湾曲面とすることもできる。
【0064】
これら規制部11を構成する面のうち、支持面43b、規制後面46、規制下後面44b、規制下前面44a、規制前面45の下方は、第二釣針取付部21の側面15C,15Cの両側に亘って幅方向に延長されている。
【0065】
前述のように、規制部11は第二釣針取付部21の第二孔28よりも後方へ延設される間部40を備えており、間部40は、
図5に示すように、支持面43b、規制後面46、規制側面47,47によって形成される。
【0066】
また、前述のように、規制部11は、間部40よりも第二釣針取付部21の第二孔28側に配置され、且つ第二釣針取付部21の第二孔28の前側および後側に配置される前後部41,42を備えており、このうち、前側の前後部41は、規制前面45、前規制面44d、規制下前面44a、および規制側面47,47によって形成される。また、後側の前後部42は、規制後面46、規制下後面44b、および規制側面47,47によって形成される。また、後側の前後部42は、間部40の下側に形成されている。なお、規制部11は製造の観点から樹脂製とされる。
【0067】
上記構成のルアー1は、ワーム取付具3と、これとは別体のワーム2とから構成されており、ワーム2をワーム取付具3に取付けるよう、釣り人が操作する。例えば、ワーム取付具3では、その支持本体15の上面15Aを上にし、ワーム2では、胴体部2Aの胴部底面2bを下にして、釣り人が、支持本体15の上面15Aと胴体部2Aの胴部底面2bとの幅方向の位置合わせをして、支持本体15の上面15Aに胴体部2Aの胴部底面2bを取付けるようにする。
【0068】
その際、まず、胴体部2Aの前面2C側を、前端部本体7Aの後面7aに前後方向から合わせるように、第一挿込部8の後方から挿込むようにする。しかしながら、ワーム取付具3には、第二挿込部10の挿込線状体31が設けられており、支持本体15の上面15Aに胴体部2Aの胴部底面2bを取付ける際に、挿込線状体31が邪魔になることがある。しかしながら、支持部9に対して位置決め部32によって支持されている挿込線状体31は、基端部33が軸心33a回りに回動自在である。つまり、挿込線状体31は、前後方向に交差する方向に変位可能であり、後端曲部35が、
図9に示すように、釣り人が基端部33をその軸心33a回りに回動して上面15A回りに回動させることで、挿込線状体31をワーム2装着の邪魔にならないようにすることができる。
【0069】
但し、基端部33は位置決め部32によって周囲が包まれている。このため、基端部33が軸心33a回りに回動するといっても、釣り人においては、実際には後端曲部35を上面15Aに沿うようにして、挿込線状体31をワーム2装着の邪魔にならないようにする。また、後端曲部35を上面15Aに沿わす角度は、本実施形態では、上面15Aに後端曲部35を沿わせるようにするが、後端曲部35は、ワーム2を支持本体15に装着しやすければよく、該角度を特定するものではない。
【0070】
このように、挿込線状体31を上面15Aに沿わすようにして、胴体部2Aの前面2C側を、前端部本体7Aの後面7aに合わせるようにすると、第一挿込部8である第一挿込部本体13と回止め部材14が、胴体部2Aの前面2Cから入り込む。これは、第一挿込部本体13と回止め部材14とが金属製であり、胴体部2Aが合成樹脂製とされるから、第一挿込部8が胴体部2Aに入り込むのである。
【0071】
ところで、第一挿込部本体13の外筒材17では、筒本体18上に前後方向に離間した複数の挿込片18aと、尖端片18bとを有しており、挿込片18aおよび尖端片18bは、胴体部2Aの前面2C側を挿込し易く、且つ抜け難いよう形成されている構成なので、一旦胴体部2Aが第一挿込部本体13に入ると、抜けにくい。
【0072】
また、回止め部材14は線状体であるが、第一挿込部本体13とは上下方向に距離を置いて配しているので、胴体部2Aが第一挿込部本体13回りに回動するのを防止する機能を有する。
【0073】
次に、胴体部2Aを第二挿込部10で保持する。このためには、第二挿込部10の挿込線状体31を復帰、すなわち支持本体15の上面15Aに戻す必要があり、そのために、合成樹脂製とされた胴体部2Aの後部を上方に曲げた状態で、挿込線状体31を復帰するようにすれば、挿込線状体31を復帰させることができる。このとき、胴体部2Aの前面2C側は、第一挿込部本体13に確実に支持されているので、胴体部2Aの後部を上方に曲げやすい。
【0074】
そして胴体部2Aの後部を、今度は下方に戻すようにして、挿込片37から立上部36に挿入させる。挿込片37は立上部36の端部に形成されて、立上部36に対して鈍角的な角度をもって配置され、立上部36は上面15Aに対し鈍角的な角度をもって配置されているが、後端曲部35(立上部36、挿込片37)は金属製であり、胴体部2Aは樹脂製であるから、胴体部2Aの後部を支持部9側に押すことで、後端曲部35が胴体部2Aに容易に入る。仮に、挿込線状体31に支持された胴体部2Aの胴部外側面2aを支点として、装着しようとする胴体部2Aの後部を押えた際にも、後端曲部35が胴体部2Aに容易に入る。
【0075】
立上部36と挿込片37の連続する部位Pは、基端部33と立上部36とを連続する部位P1よりも後側に配置されて、挿込片37は、立上部36に対して鈍角的な角度をもって配置されているから、胴体部2Aの後部を支持部9側に押すことで、挿込片37が胴体部2Aに入りやすい。
【0076】
なお、立上部36の基端から、挿込片37の先端までの距離は、ワーム2の胴体部2Aを上面15Aに載せた状態において、上面15Aから胴体部2Aの中に収まる寸法とされるので、挿込片37および立上部36は、胴体部2Aに収まる。
【0077】
このようにすることで、ワーム2がワーム取付具3の支持部9(後領域部分9B)に取付けられる。また、支持部9の後領域部分9Bにおける支持本体15は、前端部本体7Aの下端7b側から後方へ向けて、ワーム2の胴体部2Aの前後方向に応じた範囲まで延設されており、上記のようにしてワーム2がワーム取付具3の支持部9に装着された際に、胴体部2Aの胴部底面2bが支持本体15の上面15Aに当たり、合成樹脂製の胴体部2Aの幅中央部が、上面15Aに当たって、胴体部2Aの幅中央部以外の部分が撓むことによって、基端部33を隠すことが可能である。なお、ワーム2の尾部2Bは支持部9の制限を受けにくいから、胴体部2Aに対してフリーな状態となる。
【0078】
規制部11は、第二釣針取付部21と、ワーム2の胴体部2A後端部との間に配置されている。このため、ワーム2がワーム取付具3に取付けられた際には、規制部11の規制上面43と、胴体部2Aの胴部底面2bとが当接可能となる。
【0079】
そして、第一釣針取付部20および第二釣針取付部21のスプリットリング30に第一釣針23、第二釣針29を掛けて、ルアー1とする。そして釣人は、糸取付部12にラインを結んで、ルアー1を水中で移動させる。この際、第一釣針23、第二釣針29に合わせてブレードを装着する場合もある。
【0080】
ところで、ルアー1を水中で移動させる際のキャストやリトリーブには、ルアー1にはラインを介して反力が働く。これに対し、ワーム取付具3は金属製であるため該反力は無視可能であるものの、ワーム2は上記した合成樹脂製であるため該反力は無視できず、要するに、ワーム取付具3から外れる方向に、ワーム2に対して力が働く。ワーム2を支持部9から外そうとする力は、ラインの直接的な反力(後方への力)や、支持部9に対する左右方向の力、支持部9に対する上下方向の力、支持部9に対するねじり方向の力等が存在する。
【0081】
例えば、キャストの際には、ルアー1にラインの直接的な反力が主に働く。しかしながら、本実施形態のルアー1では、第一挿込部8により、ルアー1の胴体部2Aの前面2Cが固定されており、第一挿込部本体13の外筒材17では、筒本体18上に複数の挿込片18aと、尖端片18bとを有して、挿込片18aおよび尖端片18bは、前端面が筒本体18に直交する直交面に形成されているので、胴体部2Aが抜けにくい。しかも、ワーム2には第二挿込部10の挿込線状体31が収納されている。具体的に、ワーム2の胴体部2Aには、位置決め部32に位置決めされた立上部36と挿込片37とが埋設されており、立上部36によっても挿込片37によっても、後方に抜けにくい。このため、ワーム取付具3に対してワーム2の胴体部2Aがしっかり固定される。
【0082】
ルアー1を水中で移動させるリトリーブ時を考える。ワーム2の胴体部2Aはワーム取付具3から後方に抜けにくいことは、上記した通りであるが、リトリーブ時は、ルアー1が水中で浮いたり沈んだり、あるいは左右方向に移動する。よって、ワーム2には、ルアー1の浮き沈みや、左右方向の力が働くことが頻繁に生じる。
【0083】
しかしながら、ワーム2の胴体部2Aには第一挿込部8が埋められており、胴体部2Aには第二挿込部10の、立上部36および挿込片37が埋設されて、挿込片37は支持部9の上面15A(立上部36)に対して所定の角度を有している。このため、ルアー1の沈みに伴うワーム2の浮き方向の力に対しては、第一挿込部8と挿込片37とで抵抗するため、ワーム取付具3(支持部9)に対するワーム2の胴体部2Aの位置が確保される。また、ルアー1が浮き、これに伴うワーム2の沈み方向の力に対しては、ワーム2(胴体部2A)の胴部底面2bと支持部9の上面15Aが当たることで、ワーム2の胴体部2Aの位置が確保される。
【0084】
また、ワーム2の胴体部2Aには第一挿込部8が埋められており、胴体部2Aには第二挿込部10の、立上部36および挿込片37が埋設されている。このため、ワーム2が左右方向に振られた場合でも、ワーム2の胴体部2Aの位置が確保される。
【0085】
ワーム2の尾部2Bについては、支持部9の後領域部分9Bにおける支持本体15は、前端部本体7Aの下端7b側から後方へ向けて、ワーム2の胴体部2Aの前後方向に応じた範囲まで延設されているだけであるので、ワーム2の尾部2Bは、支持部9の制限を受けにくいから、胴体部2Aに対してフリーな状態となり、リトリーブ時でも自由に動き回ることができる。
【0086】
本実施形態のルアー1では、第二挿込部10の挿込線状体31が前後方向に交差する方向に変位可能であり、したがって、第一挿込部8と挿込線状体31とをワーム2に挿込んだ状態において、挿込線状体31は変位する。よって挿込線状体31が挿込まれているワーム2の胴体部2Aの部位も変位する。このため、ワーム2の位置を支持本体15で確保しつつ、前後方向に交差する方向に動作させることができる。このように、第一挿込部8および第二挿込部10でしっかりワーム2を固定しつつも、第二挿込部10の挿込線状体31の変位によって、ワーム2の動きが良くなる。よって釣果が良好になる。
【0087】
ワーム2の胴体部2Aは、第一挿込部8および第二挿込部10でしっかりワーム2を支持本体15に固定しつつも、水中では尾鰭5の動きによって、尾部本体4および胴体部2Aは、蛇行性を生じるよう構成されている。このため、あたかもワーム2が生き餌のように、魚等の釣り用被捕獲体(釣り対象の生物)に感知されるため、釣果が良好になる。さらに、支持本体15は、ワーム2から独立された金属製であり、支持本体15のほとんどがワーム2に隣合っていることから、水中においては、支持本体15が太陽光を反射し易い。このことから、魚集効果を有して、釣果が良好になる。なお、ルアー1は、尾鰭5の無いタイプのワーム2としても使用できる。
【0088】
本実施形態のルアー1は、支持部9(前領域部分9A)の前端部本体7A側には第一釣針取付部20が設けられている。この場合、ルアー1を水中で移動させるリトリーブ時においては、ルアー1が上下左右方向に移動しても、前端部本体7Aが金属製であるため、第一釣針23は前端部本体7Aには引っ掛かりにくい。ところで、支持部9(後領域部分9B)の支持本体15の後側には、上傾斜面25および下傾斜面27の間に第二釣針取付部21の第二孔28が形成され、第二釣針29は、前端部本体7A側に配置される第一釣針23よりも下がった位置に配置されている。このため、ルアー1を水中で移動させるリトリーブ時において、ルアー1が上下左右方向に移動しても、ワーム2側に配置される第二釣針29も、ワーム2に引っ掛かりにくい。
【0089】
支持本体15の下面15Bは前領域部分9Aの下面15Bから後方に沿い、且つ下方に向けて湾曲する湾曲面26を形成したが、湾曲面26に代わって直線状の面とすることもできる。さらに、上傾斜面25と下傾斜面27とは下側に傾斜する面としたが、直線状の面とすることもできる。この場合では、第一孔22と第二孔28とは同一位置にあるが、規制部11を設けているため、第二釣針29は、ワーム2に引っ掛かりにくい。
【0090】
しかも、支持部9(後領域部分9B)の支持本体15には、規制部11が設けられている。規制部11は、支持本体15における第二釣針取付部21の周囲部分のうち、第二釣針取付部21と支持本体15に取付けられたワーム2との間の領域に、第二釣針29の、ワーム2の方への動きを規制する部材とされる。
【0091】
このような規制部11が支持本体15に設けられていることによれば、第二釣針取付部21に取付けられた第二釣針29が支持本体15を越えて大きくワーム2の方へ動くのを規制することができ、第二釣針29がワーム2に引っ掛かる(刺さる)ことを抑制することができる。
【0092】
具体的に説明すると、
図1、
図2、
図7に示すように、規制部11は、第二釣針取付部21とワーム2との間に配置されて、第二釣針取付部21よりも後方へ延設される間部40と、間部40よりも第二釣針取付部21に配置され、且つ第二釣針取付部21の前側および後側に配置される前後部41,42とを備えている。この構成によれば、間部40および前後部42によって、第二釣針29のワーム2への動きを抑制でき、前後部41によって、第二釣針29のワーム2への動きを抑制できる。
【0093】
すなわち、規制部11が備える間部40、前後部41,42において、規制部11の前後方向に直交する幅方向における幅寸法t1は、支持本体15の幅方向における幅寸法tより大きく形成されている(
図6参照)。この構成によれば、第二釣針29の幅方向での動きを規制できる。また、規制部11の幅の大きさ、すなわち規制部11の規制上面43を利用して、ワーム2を安定して支持することができる。
【0094】
ところで、
図2に示すように、規制部11の規制下面44では、収容面44cは第二孔28を回避しており、前規制面44dと規制下後面44bとの間は開放されて、第二釣針取付部21が幅方向に露出した形態となって、前規制面44dと規制下後面44bとで形成される角度は略90°とされる。この構成によれば、第二釣針29のスプリットリング30は前規制面44dと規制下後面44bとの間で自在に動き回ることができる。
【0095】
そして、第二釣針29のスプリットリング30の後方への動きは、
図2の二点鎖線で示すように、規制下後面44b(すなわち前後部42)によって制限される。また、スプリットリング30の前方への動きは、
図2の三点鎖線で示すように、規制下後面44bで制限される。
【0096】
この構成によれば、魚等が第二釣針29に掛った際に、第二釣針29は前規制面44dと規制下後面44bとで自由に動くことができるから、いわゆるバラシ(魚等の口から釣針が外れること)を防止できるとともに、第二釣針29のスプリットリング30の後方への動きは、規制下後面44bによって制限され、スプリットリング30の前方への動きは、規制下後面44bで制限されて第二釣針29がワーム2に引っ掛かることを防止できるから、釣果を伸ばすことができる。
【0097】
規制部11は、第二釣針取付部21(針取付部)を外嵌するように配置されている。この場合、規制部11が第二釣針取付部21に当たること、つまり、傾斜が急こう配とされた後沿い面42aが後面15Eに当たることで、規制部11では前方への移動が制限され、収容面44cが第二孔28を略完全に露出している(この状態を正規の状態と称す)。しかしながら、規制部11と第二釣針取付部21との間には所定の隙間を介して配置されている。つまり、傾斜上対向面40bと上傾斜面25とが隙間を介して対向し、傾斜下対向面44eと下傾斜面27とが隙間を介して対向している分だけ、規制部11は上傾斜面25と下傾斜面27に沿いつつ後方に移動させることができるよう構成されている。すなわち、規制部11は、第二釣針取付部21に対して、前後方向に移動可能に構成されている。なお、規制部11が、第二釣針取付部21に対して後方側に抜け出ない手段として、規制部11の一部、つまり傾斜上対向面40bの先端部側が上傾斜面25に引っ掛ることで、規制部11は第二釣針取付部21の後方側へは抜け出ない。
【0098】
この構成によれば、例えば、キャスト時には、規制部11を後方に移動させることで第二孔28の露出面積を小さくし、第二孔28に巻かれたスプリットリング30の動きを抑制しておき、リトリーブ時にルアー1を水中で移動させ、魚等が第二釣針29に掛った際には魚等が暴れる力で、規制部11(第二孔28)が、前記正規の状態、もしくはそれに近い状態に戻るようにする。換言すれば、キャスト時にはスプリットリング30の動きを抑制することで、第二釣針29がワーム2に引っ掛からない状態を確保する一方、魚等が第二釣針29に掛った状態では規制部11が前方向に移動するので、第二孔28の露出面積を大きくさせることができて、第二釣針29の自由度が回復するので、魚等のバラシを防止することができ、釣果が向上することにつながる。
【0099】
本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、位置決め部32は、挿込線状体31の基端部33と支持本体15を包む熱収縮性のスリーブ状体(チューブ)であったが、基端部33と支持本体15とを挟み込む、前後方向に離間した環状体であってもよい。
【0100】
上記実施形態では、支持部9の前領域部分9Aと後領域部分9Bとは一体に形成されていた。しかしながら、例えば、後領域部分9Bを前後方向で分割して、分割する部分にゴム部材(合成ゴム部材)を形成して、その後側に第二挿込部10を設けて、第二挿込部10を前後方向に交差する方向に変位可能に、支持部9に支持することもできる。この場合では、第二挿込部10は、ゴム部材を介して左右方向に動きやすい。
【0101】
上記実施形態では、第二挿込部10は、基端部33、先端曲部34、後端曲部35で構成され、後端曲部35は立上部36、挿込片37から構成され、挿込片37は立上部36に対して一定の角度をもって形成された。しかしながら、挿込片37は立上部36に連続するよう、一定の角度をもって形成することもできる。
【0102】
上記実施形態では、第二挿込部10は、基端部33、先端曲部34、後端曲部35で構成されており、例えば、基端部33の一部をゴム部材(合成ゴム)で形成して、この構成により、第二挿込部10を前後方向に交差する方向に変位可能に、支持部9に支持することもできる。この場合、該ゴム部材は位置決め部32に対して後方に配置される。
【0103】
上記実施形態では、第一挿込部8は、第一挿込部本体13と、回止め部材14とから構成された。しかしながら、回止め部材14は省略できる。この場合でも、第二挿込部10の挿込線状体31(後端曲部35)が、前後方向に交差する方向に変位可能であって、回止め部材14がない分だけ挿込線状体31は変位しやすく、したがってワーム2の胴体部2Aも変位する。このため、ワーム2を前後方向に交差する方向に動作させ易い。
【0104】
上記実施形態では、第一挿込部8は、前端部本体7Aの後面7aから突出するように設けた第一挿込部本体13と、回止め部材14とから構成された。しかしながら、この構成に限定されことはなく、第二挿込部10を支持部9の後方に配置して、第一挿込部8を、支持本体15の上面15Aから上方に突出する突出部として形成することもできる。
【0105】
上記実施形態では、挿込片37の前後方向の先端は、第一挿込部8の下側のコア部材16の後端には至っていない挿込片37の長さ寸法とされた。しかしながら、挿込片37の前後方向の先端が、第一挿込部8の下側のコア部材16の後端と重なる寸法であってもよい。
【0106】
上記実施形態では、ルアー1はワーム2を上側として、ワーム2を支持部9で支持する構成とした。しかしながら、ワーム2とこれを支持する支持部9とが、上下逆転する構成とすることもできる。
【0107】
上記実施形態では、前端部7として、前端部本体7Aと糸取付部12とから構成された例を挙げた。しかしながら、前端部本体7Aを省略して、前端部7を糸取付部12から構成して、糸取付部12の後側に支持部9を並列するよう構成することもできる。また、上記実施形態では、前端部7は、魚の頭部を模して形成されたシンカー(錘)である前端部本体7Aを有した。しかしながら、前端部本体7Aは魚の頭部を模さず単なるシンカーでもよく、この場合では、上記ワーム2としては、魚の頭を模した頭部と、胴体部2Aと尾部2Bとを有する形状のワーム2とすることもできる。この場合、例えば、該頭部に第一挿込部8が挿込まれ、胴体部2Aに第二挿込部10が挿込まれる。また、ワーム2は魚を模した形状でなくともよく、例えば、海老などを模した形状でもよい。海老を模したワーム2なら、海老の尾を前側とすることもできる。
【0108】
上記実施形態では、支持部9における第二釣針取付部21の周囲部分のうち、少なくとも第二釣針取付部21と支持部9(取付部)に取付けられたワーム2との間の領域に、第二釣針29のワーム2の方への動きを規制する規制部11が設けられている。この規制部11には、間部40よりも第二釣針取付部21の第二孔28側に配置され、且つ第二釣針取付部21の第二孔28の前側および後側に配置される前後部41,42を形成している。しかしながら、第二孔28の前後のうちの前後に、前後部41または前後部42を設けることもできる。例えば、前後部42を設けない場合では、第二釣針29は間部40によって動きが制限されることになる。
【0109】
上記実施形態では、規制部11は、第二釣針取付部21を外嵌するように配置されていた。しかしながら、収容面44cが第二孔28を露出するようにして、上記正規の位置に設けられるように、規制部11は支持本体15に固定することもできる。
【0110】
上記実施形態では、規制側面47は平坦な面とされている。しかしながら、間部40の、下側の前後部42に対し、左右方向に膨出する膨出部を形成することもできる。この場合、膨出部を形成しているから、スプリットリング30の後方への動きを抑制できる。
【符号の説明】
【0111】
1…ルアー、2…ワーム、2A…胴体部、2B…尾部、2C…前面、2b…胴部底面、3…ワーム取付具、4…尾部本体、5…尾鰭、6…仕切線領域、7…前端部、7A…前端部本体、7a…後面、7b…下端、8…第一挿込部、9…支持部、9A…前領域部分、9B…後領域部分、10…第二挿込部、11…規制部、12…糸取付部、13…第一挿込部本体、15…支持本体、15A…上面、15B…下面、15D…前面、15E…後面、18a…挿込片、20…第一釣針取付部、21…第二釣針取付部、22…第一孔、23…第一釣針、25…上傾斜面、26…湾曲面、27…下傾斜面、28…第二孔、29…第二釣針、30…スプリットリング、31…挿込線状体、32…位置決め部、33…基端部、33a…軸心、34…先端曲部、35…後端曲部、36…立上部、37…挿込片、40…間部、40b…傾斜上対向面、41,42…前後部、42a…後沿い面、43…規制上面、43a…同一面、43b…支持面、44…規制下面、44a…規制下前面、44b…規制下後面、44c…収容面、44d…前規制面、44e…傾斜下対向面、45…規制前面、46…規制後面、47,47…規制側面、t…幅寸法、t1…幅寸法