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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127178
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A47J27/00 103N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036156
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下峰 実
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 祥紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 善光
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA38
4B055CA21
(57)【要約】
【課題】蒸気排出手段を着脱する際に、パッキンと接触し難い構造を備える炊飯器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の炊飯器は、内釜と、内釜を収納する本体と、本体の上方を覆う蓋体16と、を備え、蓋体16は、内釜内で発生した蒸気が流動する蒸気排出手段51を着脱自在に備え、蓋体16内部には、蒸気排出手段51を取り付ける収容部55が形成され、収容部55は、蒸気排出手段51に形成された規制部101をガイドする係合受部63を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内釜と、
前記内釜を収納する本体と、
前記本体の上方を覆う蓋体と、を備え、
前記蓋体は、前記内釜内で発生した蒸気が流動する蒸気排出手段を着脱自在に備え、
前記蓋体内部には、前記蒸気排出手段を取り付ける収容部が形成され、
前記収容部は、前記蒸気排出手段に形成された規制部をガイドする係合受部を有することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記規制部は凸形状を有し、
前記係合受部は凹形状を有し、
前記規制部が前記係合受部にスライド嵌合し、
スライド方向において、前記規制部の長さが前記係合受部の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記規制部の先端部は、角丸形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記蒸気排出手段は、前記蒸気を前記蒸気排出手段の外へ排出する排出孔を有し、
前記排出孔から排出された前記蒸気の少なくとも一部が、前記規制部に衝突することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記蒸気排出手段は、前記蒸気排出手段の外壁部により形成される外側流路を有し、
前記外側流路は、中央壁部と、一側側壁部と、他側側壁部と、を有し、
前記規制部は、前記外側流路に位置し、
前記排出孔が前記一側側壁部と前記他側側壁部の前記規制部に対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記排出孔が前記一側側壁部と前記他側側壁部の前記規制部の基端部に対向する位置に形成され、
前記排出孔から排出された前記蒸気は、前記外側流路を流動することを特徴とする請求項5に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を機外に排出する蒸気排出手段を備える炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器内の蒸気を炊飯器外へ排出する蒸気排出手段を備えた炊飯器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の炊飯器は、蓋体(21)内に蒸気排出手段(65)が着脱可能に設けられており、この蒸気排出手段(65)の内部を蒸気が流動し、蒸気用開口から外部へ排出される構造となっている。
【0003】
蒸気排出手段(65)の内部には、おねばや水滴(露)が付着するため、蒸気排出手段(65)を蓋体(21)から取り外し、洗浄することができるようになっている。一方、蓋体(21)内に形成された、蒸気排出手段(65)を収容する収容部(64)の取付け用孔(66)の全周囲には、パッキン(67)が取り付け固定されている。そして、蒸気排出手段(65)を蓋体(21)に装着した時に、蒸気排出手段(65)の外面にパッキン(67)が隙間なく密着する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-186075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、蒸気排出手段(65)を着脱する際も、蒸気排出手段(65)がパッキン(67)に接触し、蒸気排出手段(65)とパッキン(67)との間に抵抗が生じ、蒸気排出手段(65)の着脱がし難い場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、蒸気排出手段を着脱する際に、パッキンと接触し難い構造を備える炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の炊飯器は、内釜と、前記内釜を収納する本体と、前記本体の上方を覆う蓋体と、を備え、前記蓋体は、前記内釜内で発生した蒸気が流動する蒸気排出手段を着脱自在に備え、前記蓋体内部には、前記蒸気排出手段を取り付ける収容部が形成され、前記収容部は、前記蒸気排出手段に形成された規制部をガイドする係合受部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器によれば、蒸気排出手段の着脱が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態を示す炊飯器の外観斜視図である。
図2】同、炊飯器の縦断面図である。
図3】同、内蓋組立ユニットを上面側から見た斜視図である。
図4】同、内蓋組立ユニットを下面側から見た斜視図である。
図5】同、蓋体を開けた状態の炊飯器の斜視図である。
図6】同、蒸気排出手段の取り外し操作を示す図である。
図7】同、蒸気排出手段の前側斜視図である。
図8】同、蒸気排出手段の後側斜視図である。
図9】同、調圧弁カバーを取り外した状態の蒸気排出手段の右前側から見た斜視図である。
図10】同、調圧弁カバーを取り外した状態の蒸気排出手段の左前側から見た斜視図である。
図11】同、規制部の係合受部に対するスライド嵌合操作を示す図である。
図12】同、炊飯器の主な電気的構成を示すブロック図である。
図13】同、蒸気排出手段内の蒸気の流れを示す横断面図である。
図14】同、外側流路内の蒸気の流れを示す横断面図である。
図15】同、機外排出口から排出される蒸気の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明における好ましい加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0011】
先ず、図1及び図2に基づいて、本実施形態における加熱調理器としての炊飯器の全体構成を説明すると、1は米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の内釜であり、この内釜1は熱伝導性のよいアルミニウムを主材とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体2が、主材外面の側面下部から底部にかけて接合してある。内釜1の側面中央から上部に発熱体2を設けないのは、内釜1の軽量化を図るためである。
【0012】
内釜1を収納する本体3は、その上部と側面部を構成する上枠4と、上部の一部を構成する外枠5で炊飯器の外郭が形成され、上枠4の下方を覆う底板6がさらに設けられている。その際、上枠4や底板6は、ポリプロピレン(PP)などの合成樹脂で形成され、外枠5はステンレスなどの金属部材で形成される。
【0013】
本体3の中央部には、凹状の内釜収容部7が形成されており、内釜収容部7は上枠4と一体化したPPなどの合成樹脂で形成されている。内釜収容部7の底部は、PETなどの合成樹脂で形成した内枠8で形成してある。
【0014】
内釜収容部7の上端にはコードヒータ9(図12参照)を備えてあり、コードヒータ9は熱伝導がよいアルミ板などの金属板部10で覆われている。この金属板部10は放熱部として、後述する蓋体16と本体3との隙間11に対向する位置に備えてあり、これらのコードヒータ9と金属板部10により、発熱手段としてのフランジヒータを構成している。金属板部10の上面には、内釜1の上端から外周方向全周に延出させたフランジ部12の下面が載置し、内釜1が吊られた状態で内釜収容部7に収容されている。従って、この状態では内釜1と内釜収容部7の上端における隙間がほとんど無い構成になる。但し、内釜1のフランジ部12に形成した持ち手部が金属板部10と非接触となるように、金属板部10に平面視で部分的な隙間13を形成することで、内釜1の外面に水が付着した状態で炊飯が行われた場合に、その隙間13から蒸気が排出されるようにしてある。さらに、内釜1のフランジ部12は、発熱部となるコードヒータ9を覆うように、外形がコードヒータ9と同等以上の大きさに形成されている。
【0015】
内枠8の外面であって、発熱体2に対向する内枠8の側面下部と底部には、内釜1を電磁誘導加熱する主加熱手段として加熱コイル14が配置されている。また、内釜1の底部外面にはサーミスタ式の内釜温度センサ15が当接し、これが内釜1の底部温度を検知して、加熱コイル14による内釜1の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
【0016】
そして炊飯時と保温時には、内釜1を加熱手段で加熱するが、保温時は、内釜1の外底面に接触させた内釜温度センサ15の検出温度に応じて、加熱手段となる加熱コイル14を加熱調節し、内釜1を一定温度に保持する。また炊飯後、内釜1内のご飯の温度が保温温度に低下するまで(約100℃→約73℃)、及び保温安定時(約73℃)に、発熱手段となるコードヒータ9を発熱させ、蓋体16と本体3との隙間13に金属板部10から熱放射して、隙間13からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、内釜1を加熱する。さらに保温時に、内釜1内のご飯を再加熱するあつあつ再加熱を実行している期間にも内釜1を加熱し、加熱により発生する水分が、内釜1の上部内面へ結露するのを防止する構成になっている。
【0017】
蓋体16は、本体3の上部に回動可能に設けられ、本体3と共に炊飯器の外郭をなしている。内釜1の上方開口部を開閉する蓋体16には、後述する内蓋33の温度を検知するサーミスタ式の蓋温度センサ17(図12参照)と、コードヒータなどの蓋加熱手段18が備えてあり、主に蓋加熱手段18による内蓋33の温度管理を行なうようになっている。
【0018】
19は、炊飯時と保温時に内釜温度センサ15と蓋温度センサ17の温度検知にて、内釜1の底面及び側面への加熱と、蓋体16の特に内蓋33への加熱を、それぞれ温度制御して行なうための加熱制御手段である。加熱制御手段19は、内釜温度センサ15や蓋温度センサ17からの検知信号を受信し、加熱手段たるコードヒータ9、加熱コイル14、蓋加熱手段18を加熱調節するものである。
【0019】
加熱制御手段19には、加熱コイル14を駆動させる素子20が備え付けられている。加熱コイル14を駆動する素子20は、加熱コイル14の発振と共に加熱される。加熱コイル14を駆動する素子20は使用条件温度を持つので、一定温度以下で駆動させる必要がある。その為、素子20はアルミニウムのような熱伝導性のよい材料で構成された放熱器21に取付けられ、冷却手段たる冷却ファン22から発する風により冷却して、使用条件温度内で駆動するようになっている。冷却ファン22は、加熱制御手段19に取付けられた放熱器21の下方、又は側部に配置されている。
【0020】
製品となる炊飯器の底部又は側部には、冷却ファン22から発して放熱器21により温かくなった風を外部へ排出する孔23が設けられている。加熱制御手段19は、製品内となる本体3の内部に収納されるが、内釜1に対してどの位置に配置してもよく、また孔23もどの位置に配置してもよい。しかし、近年製品の小型化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段19や冷却ファン22と、風を排出する孔23とは、内釜1を挟んで略反対位置に配置するのが好ましい。
【0021】
図1に示すように、蓋体16の上面部前方には、表示操作ユニット24が設けられている。表示操作ユニット24は、時間や選択した炊飯コ-スを表示するLCD25や、現在の工程を表示するLED表示部26の他に、炊飯を開始させたり、炊飯コ-スを選択させたりする操作手段27(図12参照)を、蓋体16の内部に装備した基板28の上部に配置して構成されている。
【0022】
表示操作ユニット24の上方には、操作手段27をタッチ操作するための静電容量方式のタッチ式操作パネルである操作パネル29が配置されている。この操作パネル29は、外蓋30の外側面(上側面)を覆っており、電子部品である上述のLCD25や、LED表示部26や、操作手段27や、基板28に、ほこりや水が付着することも防止している。本実施形態の操作パネル29は透明なアクリル樹脂により形成されているが、静電容量方式のタッチ式操作パネルとして使用可能であれば、ガラス材等、他の素材により形成してもよい。操作パネル29の前側部分には、後述する蓋開ボタン36を配設するボタン用開口部31が開口形成され、操作パネル29の後側部分には、後述する開口筒部57を挿通する挿通孔であるパネル蒸気口32が開口形成されている。
【0023】
本実施例では、操作手段27への操作により炊飯開始を指示すると、内釜1内の米に対する吸水を促進させるために、内釜温度センサ15による内釜1の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル14とコードヒータ9で内釜1の底部と側面部をそれぞれ加熱し、約45~60℃に水温を15~20分間保持しひたし炊きを行なう。その後、加熱コイル14からの加熱量を増やして内釜1を強加熱し、内釜1内の被炊飯物を沸騰まで加熱する。この沸騰加熱時に、内釜温度センサ15や蓋温度センサ17からの検知温度に基づいて、内釜1の底部温度が90℃以上になり、蓋体16の特に内蓋33の温度が90℃以上で安定(温度上昇率検知)したら沸騰を検知し、加熱量を低減した沸騰継続加熱にする。この沸騰検知において、内釜温度センサ15と蓋温度センサ17とにより、内釜1の底部及び内蓋33がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に内釜1の内部が沸騰したことを精度よく検知可能になる。
【0024】
また、内釜1の底部と内蓋33のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない温度になったら異常と判断し、炊飯加熱における加熱量を低減して、全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。また、内釜1の底部と内蓋33のいずれかが90℃以上になって、所定時間が経過(例えば5分)しているのに、それ以外の内釜1の底部と蓋体16のいずれかが90℃未満の低い温度の場合、内釜温度センサ15と蓋温度センサ17のいずれかが何らかの理由で温度検知精度が悪化している(汚れ、傾き、接触不良など)と判断し、炊飯加熱における加熱量を低減して、全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。
【0025】
沸騰継続になると、蓋加熱手段18で蓋体16に装着した内蓋33への加熱を開始する。内蓋33への加熱は、内蓋33の温度が100~110℃になるように、蓋温度センサ17の検知温度により管理される。また、内釜1の底部が所定の温度上昇になったら炊き上げを検知し、むらしに以降する。むらし中は内蓋33の温度管理にて、内釜1の上部内面への露付きを防止し、内釜1の底部の温度は、ご飯が焦げない程度に高温を保持(98~100℃)するように温度管理する。そして、15~20分のむらしが終了したら、保温に移行する。
【0026】
保温では、加熱コイル14にて内釜1の底部と側面下部を加熱しながら、蓋加熱手段18にて蓋体16の下面となる内蓋33をご飯の温度よりわずかに高く加熱し、さらに内釜1の側面を前記フランジヒータでご飯が乾燥せず、かつ、露が多量に付着しないように温度管理する。内釜1内のご飯は、70~76℃に温度保持するが、保温時も2つのセンサが相互に異常に高かったり、低かったりした場合は異常を検知し、異常加熱を防止する。以上の動作を、加熱制御手段19が行うように構成する。
【0027】
図2及び図5に示すように、上枠4の後方には、蓋体16と連結するヒンジ部34が設けられている。このヒンジ部34には、ねじりコイルバネ等で形成したヒンジバネ35が収納されている。蓋体16の前方上面には、蓋開ボタン36が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン36を押すと、蓋体16と本体3との係合が解除され、ヒンジバネ35の弾性力によりヒンジ部34を回動中心として蓋体16が自動的に開く構成となっている。
【0028】
蓋体16は外観部品となる外蓋30と、外蓋30の下方を形成する外蓋カバー37から構成されている。外蓋カバー37にはステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の放熱板38が設けられ、放熱板38には蓋加熱手段18が設けられている。蓋加熱手段18はコードヒータなどの電熱式ヒータでも、電磁誘導加熱式でもよい。
【0029】
図2に示すように、放熱板38の下方には、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の内蓋33が設けられている。蓋体16の下面を形成する内蓋33の外周側には、内釜1と内蓋33の隙間を塞ぐシリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなりシール部材となる蓋パッキン39が備えてあり、蓋パッキン39は内釜1のフランジ部12の上面に当接している。
【0030】
内蓋33と蓋パッキン39はパッキンベース40で一体化され、これらの内蓋組立ユニット41が外蓋カバー37の内面に着脱可能に備えられている。
【0031】
外蓋カバー37の後方には、ヒンジ部34に設けた孔(図示せず)と対向するように、外蓋カバー37にも孔(図示せず)が設けられている。ヒンジ部34に設けられたヒンジシャフト42は、これらの孔を連通することで、本体3と蓋体16とを開閉自在に軸支している。前述のヒンジバネ35は外蓋カバー37に引っ掛けられ、蓋体16を常時開方向へ付勢している。
【0032】
蓋体16の回動中心となるヒンジシャフト42の略反対側には、蓋開ボタン36に連動するクランプ43が配設されている。クランプ43はクランプシャフト44で外蓋カバー37に軸支され、クランプシャフト44を中心として回転自在に設けられている。上枠4のヒンジ部34と略反対側には、クランプ43と係合するクランプ受け45(図2参照)が設けられている。蓋体16に設けたクランプ43は、クランプシャフト44を中心軸として回転し、本体3に設けたクランプ受け45と係合する。このクランプ43とクランプ受け45との係合により、本体3と蓋体16は閉状態を保持している。反対に、蓋体16を開く場合には、蓋開ボタン36を押動操作してクランプ43を逆方向に回転させ、クランプ43とクランプ受け45との係合を解除する。
【0033】
次に、本実施形態の実質的な内蓋に相当する内蓋組立ユニット41の構成について、さらに図3図4を参照して説明する。内蓋組立ユニット41には、蒸気排出用の孔46と減圧用の孔47が、内蓋33にそれぞれ開口して設けられている。また、略円環状に形成された樹脂製のパッキンベース40には、外周方向に部分的に突出した凸状の差込み部48が形成されており、蓋体16を開いた状態で、蓋体16の内面のヒンジ部13に近い基端側に形成した凹部49(図5参照)に差込み部48を差込んで、パッキンベース40を外蓋カバー37に嵌合させることで、内蓋組立ユニット41を蓋体16の内面側の決められた位置に装着できる構成となっている。
【0034】
減圧用の孔47の上方には、放熱板38から下方に突出する筒状の減圧パッキン50(図11参照)が配置されている。内蓋組立ユニット41は、蓋体16の内面すなわち下面側に着脱自在に設けられ、内蓋組立ユニット41を装着した状態で本体3に対して蓋体16を閉じると、蓋パッキン39が内釜1のフランジ部12の上面に当接して、内蓋組立ユニット41が内釜1の上方開口部を隙間なく覆う構成となっている。
【0035】
続いて、蓋体16の内部構成について、さらに図2及び図11を参照して説明する。蓋体16には、内釜1の内部と連通して、内釜1内から発生する蒸気を炊飯器の外部に排出させるために、ユニット化された蒸気排出手段51が着脱自在に設けられている。蒸気排出手段51は、蓋体16を閉じた時に蓋体16の上面側となる天面側から着脱自在に設けてもよいが、本実施形態のように、蓋体16を開けた時に内釜1の上方開口部から離れて略直立する蓋体16の内面側に内釜側開口としての取付け用孔52を開口形成し、この取付け用孔52から単体の蒸気排出手段51を着脱自在に設けるのがより好ましい。こうした構成では、蓋体16の天面側に蒸気排出手段51の取付け用孔を設ける必要がなく、蓋体16の天面は凹凸のないフラットな形状を確保できるようになる。取付け用孔52の全周囲には、蓋パッキン39や減圧パッキン50と同等に弾性に富むパッキン53が取り付け固定され、蓋体16の内面側からに蒸気排出手段51を装着した時に、蒸気排出手段51の外面にパッキン53が隙間なく密着する構成となっている。図2に示すように、53Aは蒸気排出手段51に密着するパッキン53のシール部であり、53Bは内蓋33に密着するパッキン53のシール部である。
【0036】
図2及び図11に示すように、蓋体16の内部には、蒸気排出手段51を収容配置するための収容空間54が、蓋体16の内面側から外蓋カバー37を部分的に凹状に形成した収容部55により形成されている。収容部55の下端開口は取付け用孔52に相当し、収容部55の上端部に設けた別の機外排出口56を形成する開口筒部57は、蓋体16の天面側で外蓋30に開口形成される挿通孔としての蓋蒸気口58と、操作パネル29に開口形成されるパネル蒸気口32に挿通され、先端が器外に僅かに突出している。その他に、収容部55には同様の貫通孔として、調圧パッキン59が嵌合装着される孔60と、開閉パッキン(図示ぜす)が嵌合装着される孔(図示ぜす)が設けられるが、何れも弾性に富む調圧パッキン59と前記開閉パッキンにより常時塞がれており、取付け用孔52や機外排出口56以外の部位で、収容空間54から蓋体16の別な内部に蒸気や異物が侵入しない気密構造になっている。また、取付け用孔52は、蓋体16から内蓋組立ユニット41を取り外した状態で、蓋体16の内面側から収容空間54に手を差し入れることができる程度の大きさに形成されており、蓋体16をお手入れする際に収容空間54の内面を支障なく清掃することができる。
【0037】
図11に示すように、収容部55の内面部62には、係合受部63が蓋体16の上下方向に延設されている。係合受部63は、基部64と、基部64から立設された一対の案内壁部65,66を有している。一対の案内壁部65,66は平行に延設されており、直線的なガイドレール構造をなしている。係合受部63の内側部分は、後述する規制部101が係合する形状となっている。また、係合受部63は、蓋体16を閉じた状態の時に収容部55の後側に位置しており、蓋体16が回動して開いた状態となった時に収容部55の下側に位置する。さらに、係合受部63は、取付け用孔52の開口部67から僅かに収容部55の奥側に配設されている。すなわち、係合受部63は、取付け用孔52の開口部67には形成されていない。
【0038】
図6図11に示すように、蒸気排出手段51は、蒸気排出手段51の底部を構成する蒸気口ベース71を有する。蒸気口ベース71は、第1調圧手段72を構成する弁ホルダ73と、第2調圧手段74と、第3調圧手段75と、を有して蒸気口組立76を構成している。また、蒸気口組立76の上部には、調圧弁ホルダ組立77が配設されている。
【0039】
第1調圧手段72は、内釜1内の圧力を大気圧以上に調整する圧力調整手段(調圧弁組立)として機能するもので、球体である弁78と、弁78を保持する弁ホルダ73と、弁78や弁ホルダ73を覆うように形成される弁ケース79と、弁ケース79の上部開口を閉塞する調圧弁カバー80と、により主に構成される。弁78は、耐食性に優れた材料で、ある程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレス球で構成される。また、弁ケース79は、前壁79Aと、後壁79Bと、左壁79Cと、右壁79Dと、を有しており、蒸気口ベース71と、前壁79Aと、後壁79Bと、左壁79Cと、右壁79Dと、調圧弁カバー80と、に囲まれた空間に弁78が配設されている。蒸気口ベース71には、内釜1の内部と連通する取込口としての通気孔81を設けてある。
【0040】
調圧弁カバー80の前側部分には、後述する挿通孔83と連続する略半円状の開口82が形成されている。弁ケース79に弁78を収容した後は、弁78が弁ケース79から転がり出ないように、調圧弁カバー80を取り外せないように固定する。
【0041】
前壁79Aには挿通孔83が開口形成され、後壁79Bには矩形状の通気開口部84が開口形成され、左壁79Cには矩形状の通気開口部85が開口形成され、右壁79Dには矩形状の通気開口部86が開口形成されている。これら挿通孔83、通気開口部84、通気開口部85、通気開口部86は、内部に配設された弁78が外部に転がり出ない程度の大きさに形成されている。挿通孔83は、弁ケース79の外側から弁78を動かすことができるように、調圧パッキン59で覆われた調圧フレーム87(図2参照)が挿通可能となっている。
【0042】
図2に示すように、弁ケース79の内部において、弁78を所定のタイミングで動作させるために、蓋体16の内部には調圧駆動手段となる弁開放手段(図示せず)が組み込まれている。弁開放手段は、ソレノイド88(図12参照)を駆動源として可動する調圧フレーム87と、調圧フレーム87の一端側に装着される前述の調圧パッキン59と、を主に備えて構成される。弁78は、調圧パッキン59で覆われた調圧フレーム87の一端部に常時押されて、内蓋33に設けた蒸気排出用の孔46に連通する通気孔81を開放する構成となっている。一方、ソレノイド88が通電して、弁開放手段が動作すると、調圧フレーム87の一端部が弁78から離れて、弁78は通気孔81を閉止する。このときの通気孔81の開口面積と弁78の重量との関係で、内釜1内の圧力を第1設定圧力値に調整する構成となっている。
【0043】
図13に示すように、第2調圧手段74は、内釜1内の圧力が何らかの原因で設定値以上に昇圧すると開弁して、内釜1内の圧力を下げる安全弁として機能するもので、筒状の弁ホルダ89に、弁体90と弾性部材91とを収容保持して構成される。第2調圧手段74の弾性部材91は、内蓋33に設けた蒸気排出用の孔46に連通して、弁ホルダ89の入口側に開口形成した通気孔92(図6を参照)を、常時閉止する方向に弁体90を付勢しており、第1調圧手段72の弁78が異物などで通気孔81を塞いだままの状態になった時に、第2調圧手段74の通気孔92の開口面積と弾性部材91の弾性付勢力との関係で、内釜1内の圧力を第2設定圧力値に調整する構成となっている。
【0044】
本実施形態では、第1調圧手段72及び第2調圧手段74以外の圧力調整手段として、第3調圧手段75と減圧手段93(図2参照)がそれぞれ組み込まれている。第3調圧手段75は、内釜1内の圧力を大気圧以外から大気圧に戻すための逆止弁組立として機能するもので、筒状の弁ホルダ94に、弾性部材95と弁体96とを収容保持して構成される。また、第3調圧手段75の弁体96を所定のタイミングで動作させるために、蓋体16の内部には弁開放手段とは別な開閉駆動手段(図示せず)が組み込まれる。この開閉駆動手段は、ソレノイド97(図12参照)を駆動源として可動する開閉フレーム(図示せず)と、開閉フレームの一端側に装着される前記開閉パッキンと、を主に備えて構成される。
【0045】
第3調圧手段75の弾性部材95は、蒸気排出用の孔46に連通して弁ホルダ94の入口側に開口形成した通気孔98(図6参照)を、常時開放する方向に弁体96を付勢する構成となっており、開閉駆動手段のソレノイド97が非通電である場合には、第3調圧手段75の通気孔98を開放して、蒸気排出手段51により内蓋1内と外気とを連通させ、内釜1内を大気圧と同じ圧力に保つ。一方、内釜1内を大気圧以外の圧力にする場合は、開閉駆動手段のソレノイド97を通電して、開閉駆動手段を動作させると、弾性部材95の弾性付勢力に抗して、前記開閉パッキンで覆われた開閉フレームの一端部が、弁ホルダ94の出口側に露出する弁体96の端部を押圧し、弁体96が通気孔98を閉止する。これにより、必要に応じて内釜1内の圧力を大気圧に戻したり、内釜1内に大気圧以外の所望の圧力を投入したりすることが可能になる。
【0046】
蒸気排出手段51の蒸気口ベース71の下面部71Bには、蓋体16の収容空間54に蒸気排出手段51を着脱する際に、指Fで摘むことができる半円形状の取手99が設けられている。図2に示すように、取手99は、蒸気口ベース71の下面部71Bに半円環状に形成されている。図5に示すように、取手99は、蓋体16に蒸気排出手段51と内蓋組立ユニット41をそれぞれ装着した時に、内蓋33の孔46に挿通されて内釜1内に向けて突出する構成となっているが、取手99は孔46を完全には塞いでおらず、取手99の外周と孔46との隙間から、内釜1内外の吸排気を行なうことができるようになっている。しかしながら、例えば内釜1内で炊込みご飯を炊き上げる場合に、内釜1内に投入した具材などの異物が内蓋33の内面側から孔46に張り付くのを、本来は蒸気排出手段51を指Fで保持するための取手99で防ぐことができ、余計な部品を追加することなく、内釜1内から発生する蒸気を円滑に蒸気排出手段51へ導くことが可能になる。
【0047】
蒸気口ベース71の周縁部分には、全周に亘って取付パッキン100が設けられている。取付パッキン100は、パッキン53と同等の弾性を有し、蒸気排出手段51を収容部55に収容して蓋体16に取り付けた時に、収容部55の内面部62に隙間なく密着する構成となっている。
【0048】
蒸気口ベース71の上面部71Aの後側部分には、略角丸直方体形状の規制部101が立設されている。規制部101は、略平面状の前面部102及び後面部103と、円弧状に湾曲した左面部104及び右面部105と、前面部102と後面部103と左面部104と右面部105に接続した上面部106と、を有している。規制部101は、縦方向の長さVよりも横方向の長さWが長く、横方向の長さWよりも高さ方向の長さHが長く形成されている。
【0049】
蒸気口ベース71の上面部71Aの外周部分には、調圧弁ホルダ組立77を圧入する取付溝(図示せず)が全周に亘って形成されている。
【0050】
調圧弁ホルダ組立77は、前述の弁ケース79と内部に空間を有する流路形成部107とが一体となって形成されている。流路形成部107の天面部108は、調圧弁カバー80と面一となっているが、第3調圧手段75に近接する低段部108Aは、第3調圧手段75と同程度の高さに形成されている。さらに、流路形成部107の後側部分には、前側方向に凹状の外側流路109が形成されている。外側流路109は、中央壁部110と、左壁部111と、右壁部112により形成されている。中央壁部110、左壁部111、右壁部112は、天面部108よりも上方に突出している。
【0051】
一側側壁部である左壁部111の下側部分には、流路形成部107の内外を連通する排出孔113が開口形成されている。また、他側側壁部である右壁部112の下側部分にも流路形成部107の内外を連通する排出孔114が開口形成されている。本実施形態では、排出孔113と排出孔114が同一の高さに同一の形状で形成されているが、高さや形状が異なっていてもよい。
【0052】
図13に示すように、流路形成部107の内部は、主に弁ケース79の左側に位置する第1の空間115と、主に弁ケース79の後側と左側に位置する第2の空間116に区分けされている。第1の空間115は、通気開口部85から排出孔113まで蒸気が流動する流路であり、第2の空間116は、通気開口部84,86から排出孔114まで蒸気が流動する流路である。
【0053】
ここで、図6及び図11を参照しながら蒸気排出手段51の着脱方法について説明する。まず、本体3に対して蓋体16を開け、蓋体16から内蓋組立ユニット41を取り外した状態とする。蒸気排出手段51を装着する場合は、取手99を指Fで摘んで蒸気排出手段51を保持し、収容空間54に向けて蒸気排出手段51を押し込むことで、蓋体16の内面側から蒸気排出手段51を取り付けることができる。逆に、蒸気排出手段51を取り外す場合は、取手99を指Fで摘んで蒸気排出手段51を保持し、そこから手前側に引くと、蓋体16の内面側から蒸気排出手段51を取り外すことができる。
【0054】
図11に示すように、蒸気排出手段51を装着する時には、規制部101を係合受部63に摺動させながら押し込んで係合させる。係合受部63の案内壁部65,66は、互いに接近する方向に湾曲しており、摺動方向と直交する方向に規制部101が係合受部63から抜けるのを防止する抜止機能を発揮する。そのため、蒸気排出手段51を直線的に押し込めるようになっている。また、蒸気排出手段51を取り外す時にも規制部101が係合受部63を摺動することで、直線的に引き抜くようになっている。また、規制部101の先端部101Aは、角丸形状であるため、係合受部63に挿入し易くなっている。
【0055】
収容部55から蒸気排出手段51を取り外した蒸気排出手段51は、蒸気口組立76と調圧弁ホルダ組立77に分解することで、蒸気排出手段51の内部まで洗浄することができる。
【0056】
次に、図13図15を参照しながら、内釜1の内部で発生した蒸気が炊飯器外に排出されるまでに流動する蒸気排出経路について説明する。内釜1内で発生した蒸気は、孔46から収容空間54内に移動する。その後、蒸気は、弁78が閉塞していない場合に通気孔73から蒸気排出手段51内(弁ケース79内)に移動する(矢印Y1,2,3)。蒸気排出手段51内に移動した蒸気は、通気開口部84,85,86から弁ケース79外へ移動する(矢印Y4,5,6)。通気開口部85から第1の空間115に移動した蒸気は、第1の空間115内を流動し(矢印Y7)、排出孔113から流路形成部107外へ移動する(矢印Y8)。通気開口部84から第2の空間116に移動した蒸気は、第2の空間116内を流動し(矢印Y9)、排出孔114から流路形成部107外へ移動する(矢印Y10)。通気開口部86から第2の空間116に移動した蒸気は、第2の空間116内を流動し(矢印Y11)、排出孔114から流路形成部107外へ移動する(矢印Y10)。排出孔113,114から外側流路109に流れ出た蒸気は、係合受部63や規制部101の下側部分である基端部101Bに衝突し、外側流路109内を上方向に流動する(矢印Y12,13)。排出孔113から外側流路109に移動した蒸気は、主に案内壁65や左面部104に衝突し、排出孔114から外側流路109に移動した蒸気は、主に案内壁66や右面部105に衝突する。外側流路109よりも上側に移動した蒸気は、収容空間54の上部空間54A(図2参照)内で減速され、開口筒部57内を流動して機外排出口56から器外へ排出される(矢印Y14)。
【0057】
図2に示すように、本実施形態では、内釜1内の圧力を自在に調整可能にする圧力調整手段として、蓋体16を本体3に閉じた状態で、内釜1内の圧力を大気圧以下にする減圧手段93をさらに備えている。減圧手段93は、蓋体16の後部に設けた減圧駆動源としての減圧ポンプ121と、この減圧ポンプ121から内蓋33に設けた減圧用の孔47(図3及び図4を参照)に至る管状の経路122(図6を参照)とにより構成される。また、蓋体16の内部には、経路122の基端部を開閉する電磁弁123(図12を参照)が設けられる。
【0058】
内蓋33を含む内蓋組立ユニット41を蓋体16の内面側に装着すると、放熱板38に取付けた減圧パッキン50が弾性変形しながら内蓋33の上面に密着当接し、これにより内蓋33に設けた減圧用の孔47と減圧ポンプ121との間を連通する経路122が形成される。また、本体3の内釜収容部7に内釜1をセットして、内蓋組立ユニット41を装着した状態の蓋体16を閉じると、蓋パッキン39が内釜1のフランジ部12の上面に当接して、第1調圧手段72の弁78が通気孔81を塞ぎ、且つ第3調圧手段75の弁体96が通気孔98を塞いでいれば、密閉した内釜1内と減圧ポンプ121との間が経路122により連通する。この状態から減圧ポンプ121を起動させると、電磁弁123が経路122を開放して、内釜1内の空気が経路122及び減圧ポンプ121を通って炊飯器の外部に排出され、密閉した内釜1内の圧力が低下する。また、内釜1内の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合に、減圧ポンプ121の動作を停止させると共に、電磁弁123が経路122を閉塞して、内釜1内を減圧状態に保っている。さらに、スローリークにより内釜1内の圧力が上昇した場合にも、同様に電磁弁123が経路122を開放し、減圧ポンプ121を再起動させて、内釜1内を大気圧よりも低い状態に維持している。
【0059】
内釜1内が大気圧よりも低い状態で、開閉駆動手段のソレノイド97(図12を参照)が通電から非通電に切替わると、第3調圧手段75の弁体96が通気孔98から離れて通気孔98を開放し、内釜1内と炊飯器の外部が連通する。これにより、内釜1内の負圧を直ちに解除することが可能となる。
【0060】
本実施形態の炊飯器は、上述のとおり、収容空間54が取付け用孔52や機外排出口56以外の部位で、収容空間54から蓋体16の別な内部に蒸気や異物が侵入しない気密構造になっているため、蒸気排出手段51を取り付けない場合であっても、炊飯が可能である。この場合、内釜1内の蒸気は、取付け用孔52から収容空間54内に移動し、開口筒部57内を流動して機外排出口56から器外へ排出される。また、蒸気排出手段51を取り付けていない場合には、弁78が機能しないため、内釜1の内部の気圧が大気圧と同一であり、おねばを機外排出口56側へ移動させる力が蒸気の上昇力だけであり弱いことから、おねばが器外へ排出し難くい。なお、蒸気排出手段51を取付けていない場合には、炊飯器の備える内釜1の内部の気圧を調節する機能による炊き分けを行うことができないが、ユーザが蒸気排出手段51を取付けることを忘れた場合であっても、炊飯を行うことができるという利点がある。
【0061】
次に本実施形態における炊飯器の制御系統について、図12を参照しながら説明する。同図において、124は制御手段で、これは内釜温度センサ15及び蓋温度センサ17からの各温度情報や、操作部となる操作手段27からの操作信号を受けて、炊飯時及び保温時に加熱コイル14と、コードヒータ9と、蓋ヒータとなる蓋加熱手段18とを各々制御すると共に、前述したソレノイド88,97や、減圧ポンプ121や、電磁弁123を各々制御するものである。
【0062】
本実施形態の制御手段124は、内釜温度センサ15の検出温度に基づいて主に加熱コイル14が制御されて内釜1の底部を温度管理し、蓋温度センサ17の検出温度に基づいて主に蓋加熱手段18が制御されて放熱板38ひいては内蓋33を温度管理するようになっている。制御手段124は、記憶媒体となる自身の記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムを読み取ることにより、操作手段27の例えば炊飯キーを操作すると、炊飯開始から内釜1に投入した米の給水を促進させるひたし炊きと、内釜1内の被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる沸騰と、被炊飯物の沸騰状態を継続させドライアップ状態のご飯に炊き上げる沸騰継続と、炊き上がったご飯を焦がさない程度の高温に維持して、最終的に仕上げるむらしの順に炊飯工程を実行して、内釜1内のご飯を所望の圧力で炊飯加熱する炊飯制御手段125と、炊飯工程に引き続いて、内釜1内のご飯を所望の圧力で所望の保温温度に保つように保温する保温制御手段126と、して機能する構成となっている。
【0063】
127は、制御手段124からの制御信号を受けて、加熱コイル14に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。これとは別に、制御手段124の出力側には、制御手段124からの制御信号を受けて、放熱板38や内蓋33を加熱するように蓋加熱手段18を駆動させる蓋ヒータ駆動手段128と、コードヒータ9をオンまたはオフにするコードヒータ駆動手段129と、ソレノイド88,97を個々にオンまたはオフにするソレノイド駆動手段130と、減圧ポンプ121を駆動させるポンプ駆動手段131と、電磁弁123をオン又はオフにする電磁弁駆動手段132と、前述したLCD25やLEDなどを含む表示手段133を駆動させる表示駆動手段134が各々設けられる。前記炊飯制御手段125による炊飯時、及び保温制御手段126による保温時には、内釜温度センサ15と蓋温度センサ17からの各温度検出により、加熱コイル14による内釜1の底部から側面下部にかけての加熱と、コードヒータ9による内釜1のフランジ部12周辺への加熱と、蓋加熱手段18による蓋体16への加熱が行なわれるように構成されている。また、炊飯制御手段125による炊飯が終了し、内釜1内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段126による保温に自動的に移行し、内釜温度センサ15の検知温度に基づき、加熱コイル14やコードヒータ9による内釜1への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度(約70℃~76℃)に保温するように構成されている。
【0064】
また本実施形態では、被炊飯物の種類と炊き方に応じた複数の加熱パターンが、予め記憶手段に記憶されており、炊飯制御手段125は、操作手段27の例えば選択キーへの操作により、これらの複数の加熱パターンの中から特定の加熱パターンが選択され、次に炊飯キーへの操作により、炊飯の開始が指示されると、選択された特定の加熱パターンでコードヒータ9や、加熱コイル14や、蓋加熱手段18や、ソレノイド88,97や、減圧ポンプ121や、電磁弁123を制御することにより、内釜1に入れられた被炊飯物を選択されたパターンに基づき炊き上げて、最終的にご飯に仕上げる機能を有する。ユーザの手動選択が可能な操作手段27の選択キーは、被炊飯物の種類と炊き方により区分けされた炊飯コースの選択手段となるもので、この選択キーへの選択に伴い、複数の炊飯コースの中から一つの炊飯コースが選択されると、それに対応した特定の加熱パターンが選択される構成となっている。なお、こうした選択手段は、選択キーに限らず、デフォルトで炊飯制御手段125が自動的に特定の加熱パターンを選択する機能を含んでもよい。
【0065】
以上のように本実施形態の炊飯器は、内釜1と、内釜1を収納する本体3と、本体3の上方を覆う蓋体16と、を備え、蓋体16は、内釜1内で発生した蒸気が流動する蒸気排出手段51を着脱自在に備え、蓋体16内部には、蒸気排出手段51を取り付ける収容部55が形成され、収容部55は、蒸気排出手段51に形成された規制部101をガイドする係合受部63を有する。そのため、蒸気排出手段51を着脱する際に、係合受部63が規制部101をガイドし、蒸気排出手段51を直線的に移動させることができ、蒸気排出手段51がパッキン53に接触し難くなる。したがって、蒸気排出手段51とパッキン53との摩擦が生じ難く、スムーズに蒸気排出手段51を着脱することができる。
【0066】
また、本実施形態の炊飯器は、規制部101は凸形状を有し、係合受部63は凹形状を有し、規制部101が係合受部63にスライド嵌合し、スライド方向において、規制部101の長さが係合受部63の長さよりも短く形成されている。そのため、蒸気排出手段51を収容部55(収容空間54)に押し込み、蒸気口ベース71の上面部71Aが係合受部63に当接し、蒸気排出手段51が装着された状態の時に、規制部101の先端部101Aは、収容部55の内面部62に接触しないようになっている。これにより、先端部101Aの上方の空間(上部空間54A)が形成され、蒸気が外側流路109よりも広い空間である上部空間54Aに流入することで、蒸気の流速を抑制することができる。その結果、蒸気やおねばが機外排出口56から勢いよく排出されることを抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態の炊飯器は、規制部101の先端部101Aが、角丸形状を有しているため、蒸気排出手段51を取り付ける際に、先端部101Aを係合受部63に挿入させ易くすることができる。
【0068】
また、本実施形態の炊飯器は、蒸気排出手段51が、蒸気を蒸気排出手段51の外へ排出する排出孔113,114を有し、排出孔113,114から排出された蒸気の少なくとも一部が、規制部101に衝突する。そのため、蒸気の流動方向を強制的に変え、蒸気の流速を下げることができる。
【0069】
また、本実施形態の炊飯器は、蒸気排出手段51が、蒸気排出手段51の流路形成部107により形成される外側流路109を有し、外側流路109は、中央壁部110と、左壁部111と、右壁部112と、を有し、規制部101は、外側流路109に位置し、排出孔113,114が左壁部111と右壁部112の規制部101に対向する位置に形成されている。そのため、蒸気を流路形成部107の2箇所から排出し、規制部101に衝突させることができ、蒸気の流速を下げることができる。
【0070】
また、本実施形態の炊飯器は、排出孔113,114が左壁部111と右壁部112の規制部101の基端部101Bに対向する位置に形成され、排出孔113,114から排出された蒸気は、外側流路109を流動する。排出孔113,114から排出された蒸気を、より広い空間である外側流路109内を流動させて減速させることができる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、規制部101の縦方向の長さV、横方向の長さW、高さ方向の長さを変更し、蒸気の流量や流速を調整することができる。このとき、規制部101の大きさに対応させて係合受部63の大きさも変更する。
【符号の説明】
【0072】
1 内釜
3 本体
16 蓋体
51 蒸気排出手段
55 収容部
63 係合受部
101 規制部
101A 先端部
101B 基端部
109 外側流路
110 中央壁部
111 左壁部(一側側壁部)
112 右壁部(他側側壁部)
113 排出孔
114 排出孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15