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  • 特開-天井及び屋根の施工法 図1
  • 特開-天井及び屋根の施工法 図2
  • 特開-天井及び屋根の施工法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127181
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】天井及び屋根の施工法
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/00 20060101AFI20240912BHJP
   E04D 1/28 20060101ALI20240912BHJP
   E04D 3/35 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E04D3/00 A
E04D1/28 F
E04D3/35 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036159
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠悟
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108BN02
2E108CC01
2E108CV02
2E108DF04
2E108DF11
2E108ER08
2E108ER13
2E108ER14
2E108FF04
2E108GG15
(57)【要約】
【課題】建築物の天井側からの施工を必要としないために、容易に且つ短期間に施工でき、十分な屋根特性及び十分な天井特性を備える天井及び屋根の施工法を提供する。
【解決手段】本発明の天井及び屋根の施工法は、左右方向に延在する躯体1の上面側に、所定間隔にて上方へ突出状の天井受けフレーム2が固定される第1の工程と、左右に起立状の接続部33,33'を備える複数の天井材3が、天井受けフレーム2上にて接続される第2の工程と、天井材3上に断熱材5が敷設されると共に該断熱材5の表面から吊子4の上端に形成される受部41が露出される第3の工程と、受部41の左右から屋根材6,6が取り付けられる第4の工程と、からなり、これらの前記第1~前記第4の全ての工程が上方から行われることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に延在する躯体の上面側に、所定間隔にて上方へ突出状の天井受けフレームが固定される第1の工程と、
左右に起立状の接続部を備える複数の天井材が、前記天井受けフレーム上にて接続される第2の工程と、
前記天井材上に断熱材が敷設されると共に該断熱材の表面から吊子の上端に形成される受部が露出される第3の工程と、
前記受部の左右から屋根材が取り付けられる第4の工程と、からなり、
これらの前記第1~前記第4の全ての工程が上方から行われることを特徴とする天井及び屋根の施工法。
【請求項2】
前記天井材は、多孔性板であり、前記断熱材は、グラスウール製であることを特徴とする請求項1に記載の天井及び屋根の施工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の天井(室内)側からの施工を必要としないために、作業者の足場等の問題を生ずることがなく、容易に且つ短期間に施工でき、十分な屋根特性及び十分な天井特性を備える天井及び屋根の施工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二重金属屋根工法は、予め一体化された三層構造の成形体を、現場まで搬送して施工する方法である。
例えば工場等にて、表面側に金属製の屋根板が、裏面側に金属製の天井板が、それらの中間(断熱)層に断熱材が積層された三層構造の成形体を用いるため、現場にて比較的容易に施工できるという利点を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記工法に用いられる二重葺き用の成形体は、屋根板と天井材と断熱材とが併せられた重量となるため、施工しようとする建築物の大きさによっては極めて高重量である。そのため、クレーン等の吊設備を備える重機を用いた作業が必要となるという問題があった。しかも、安全面を考慮すると、建築物の室内側に足場を組み付けて天井側からの作業が必要となるため、到底容易に作業を進めることができなかった。
また、この三層構造の成形体は、その端面を突き合わせ状に接続するので、各層ごとに十分に接続されておらず、一般的な建築物には適用できず、倉庫等の簡易建築物に限定されるという問題もあった。
さらに、この成形体を軽量化するため、流れ方向にもそれと直交する方向にも細かく分断された小面積の成形体とし、現場で連結(接続)することで、前述のような重機を用いずとも人力(作業者)にて施工面まで運び込むことが可能となるが、隣り合う成形体同士の接続箇所も増えてしまうため、施工作業が極めて面倒となり、施工時間も長大とならざるを得なかった。
【0004】
そこで、本発明は、建築物の天井(室内)側からの施工を必要としないために、作業者の足場等の問題を生ずることがなく、容易に且つ短期間に施工でき、十分な屋根特性及び十分な天井特性を備える天井及び屋根の施工法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、左右方向に延在する躯体の上面側に、所定間隔にて上方へ突出状の天井受けフレームが固定される第1の工程と、左右に起立状の接続部を備える複数の天井材が、前記天井受けフレーム上にて接続される第2の工程と、前記天井材上に断熱材が敷設されると共に該断熱材の表面から吊子の上端に形成される受部が露出される第3の工程と、前記受部の左右から屋根材が取り付けられる第4の工程と、からなり、これらの前記第1~前記第4の全ての工程が上方から行われることを特徴とする天井及び屋根の施工法を提案するものである。
【0006】
また、本発明は、前記施工法において、前記天井材は、パンチングメタル板等の多孔性板であり、前記断熱材は、グラスウール製であることを特徴とする天井及び屋根の施工法をも提案する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の天井及び屋根の施工法は、建築物の天井(室内)側からの施工を必要としないために、作業者の足場等の問題を生ずることがなく、容易に且つ短期間に施工できる。しかも、本発明の施工法により施工された天井及び屋根は、十分な屋根特性及び十分な天井特性を備えている。
【0008】
また、天井材は、パンチングメタル板等の多孔性板であり、前記断熱材は、グラスウール製である場合には、少なくとも天井材も断熱材も軽量であるため、施工を容易に果たすことができる上、特に吸音性が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1の天井及び屋根の施工法を示す正面図である。
図2】(a)実施例1に用いたキャップ材を拡大して示す正面図であり、(b)実施例1に用いた外装材を拡大して示す正面図、(c)実施例1に用いた断熱材を拡大して示す正面図、(d)実施例1に用いた受部材を拡大して示す正面図、(e)実施例1に用いた天井材を拡大して示す正面図、(f)実施例1に用いた躯体に固定した天井受けフレームを拡大して示す正面図である。
図3】(a)実施例1の施工法にて形成された天井及び屋根を示す正面図、(b)その側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の天井及び屋根の施工法は、左右方向に延在する躯体の上面側に、所定間隔にて上方へ突出状の天井受けフレームが固定される第1の工程と、左右に起立状の接続部を備える複数の天井材が、前記天井受けフレーム上にて接続される第2の工程と、前記天井材上に断熱材が敷設されると共に該断熱材の表面から吊子の上端に形成される受部が露出される第3の工程と、前記受部の左右から屋根材が取り付けられる第4の工程と、からなり、これらの前記第1~前記第4の全ての工程が上方から行われることを特徴とする。
【0011】
以下に、本発明の施工法を構成する各工程毎に説明する。
まず、第1の工程は、左右方向に延在する躯体の上面側に、所定間隔にて上方へ突出状の天井受けフレームが固定される。
この工程にて用いられる天井受けフレームは、上方へ突出状であれば(突出部が備えられれば)その具体的な構成を問うものではないが、次の工程(第2の工程)にてその上にて左右の天井材が接続されるので、この突出部には、上方から固定具を打ち込む際に容易に固定されるように平坦状の上面部を備えることが望ましい。
【0012】
次に、第2の工程は、左右に起立状の接続部を備える複数の天井材が、前記天井受けフレーム上にて接続される。
この工程にて用いられる天井材は、左右に起立状の接続部が備えられていれば、前記天井受けフレームの突出部にて固定でき、且つ左右を接続できるので、それ以外の構成を限定しない。特にこの天井材として、パンチングメタル板等の多孔性板からなることが望ましいが、それは軽量であり、且つ吸音性を備えているので、上方からの施工に好適であり、室内側の騒音を軽減できるからである。
なお、この天井材の接続部については、前述のように前記天井受けフレームの突出部の上面部上にて接続されるので、一方が他方に重合し、その重合部分に上方から固定具を打ち込んで固定する方法(構造)が最も簡易である。
【0013】
さらに、第3の工程は、前記天井材上に断熱材が敷設されると共に該断熱材の表面から吊子の上端に形成される受部が露出される。
この工程にて用いられる断熱材は、次の工程(第4の工程)で配設される屋根材の裏面に位置するバックアップ材であり、グラスウール製である場合には、軽量な吸音性を備える断熱層を施工できる。また、最表面側が非透水性材である場合には、非透水性の断熱層を施工できる。なお、吸音性は室内側に、非透水性は屋根側にそれぞれ必要であるから、二つの特性を備える二層の断熱材を用いることが望ましい。
また、この工程にて用いられる吊子は、上端に次の工程(第4の工程)にて屋根材が取り付けられる受部がその上端に備えられていれば、この受部の構成についても、それ以外の構成についても限定しない。特にこの吊子は、前記天井材の接続部と同様に前記天井受けフレームの突出部に取り付けられることで、前記天井材と屋根材とは吊子を介して連結される構造となる。
【0014】
また、第4の工程は、前記受部の左右から屋根材が取り付けられる。
この工程にて用いられる屋根材は、前記吊子の受部に左右から取り付けられれば、その取付構造についても、それ以外の構成についても特に限定しない。例えば左右の屋根材の一方が他方に重合して接続される構造でも、後述する図示実施例のように左右の屋根材にキャップ材が跨って取り付けられる構造でもよい。また、ここで用いられるキャップ材は、前記屋根材に跨って取り付けられれば、その取付構造についても、それ以外の構成についても特に限定しない。
【0015】
これらの前記第1~前記第4の全ての工程は、上方(屋根側)から行われる。
まず、第1の工程では、作業者は、左右方向に延在する躯体を足場として、躯体上に所定間隔にて上方へ突出状の天井受けフレームを固定する作業を行う。
次に、第2の工程では、作業者は、同様に躯体を足場として、左右に起立状の接続部を備える天井材を、天井受けフレーム上にて接続する作業を行う。
さらに、第3の工程では、作業者は、天井材の接続部を足場として、天井材上に断熱材を敷設する作業と、断熱材の表面から吊子の上端(受部)を露出させる作業とを行う。これらの作業は、何れを先に行っても同時に行うようにしてもよい。
そして、第4の工程では、作業者は、吊子の上端(受部)に掴まりつつこの受部の左右から屋根材を取り付ける作業を行う。
【0016】
本発明の施工法に用いられる天井受けフレーム、天井材、吊子、及び屋根材について、以下にそれぞれ補足する。
【0017】
天井受けフレームは、前述のように第1の工程にて用いられ、躯体上へ固定される固定部と、上方へ突出状の突出部と、が備えられる部材であり、金属板材の成形(加工)材でもよいし、押出型材等でもよい。後述する図示実施例では、略山状の突出部の左右の脚片の下端に、固定部が形成された構成であり、該天井受けフレームを、左右方向に所定間隔にて取り付けている構造であるが、特にそれに限定されるものではない。
【0018】
天井材は、前述のように第2の工程にて用いられ、天井面を形成する面板部の左右に、起立状の接続部が形成されている部材であり、金属加工板材でも樹脂加工板材でもよく、前述のようにパンチングメタル板でもよい。後述する図示実施例では、パンチングメタル板の成形板であって、面板部を略平坦状に、その端縁を立ち上げた接続部を、前記天井受けフレームの突出部の上面及び側面に沿う形状に形成している。各接続部は、下方が開放する浅溝状に形成されることで、天井受けフレームの突状部に対して上方から容易に嵌合状に配設することができる。
この天井材として、パンチングメタル板等の多孔性板が望ましいは前述のとおりであるが、室内側で発生した音(騒音)が多孔を通過して天井材の内側へ侵入することで、吸音性が向上する。
【0019】
断熱材は、前述のように第3の工程にて用いられ、前記天井材上に敷設されて断熱層を形成する部材であり、前述のように室内側にはグラスウール製を適用して吸音性を備える定形材或いは不定形材が用いられ、その結果、軽量な吸音層を施工できる。
また、この断熱層の屋根側には非透水性を備えることが望ましいので、上面側に非透水性材が、下面側にグラスウール製が配置される二層構造の断熱材を用いるようにしてもよい。
【0020】
吊子は、前述のように断熱材と同様に第3の工程にて用いられ、その上端に受部が形成される部材であり、金属板材の成形材でも、押出型材等でもよく、複数部材の組み合わせ材でもよい。この吊子は、前記断熱材の表面から上端(受部)が露出される構成であるため、後述する図示実施例のように前記天井材の接続部と同様に前記天井受けフレームの突出部に取り付けられる固定部及び上方へ延在する延在部を備える下方材と、その上端に固定される上方材(前記受部)とからなり、下方材の上端に上方材が固定されている構成でもよい。なお、延在部は断熱層の厚みと同様の高さを備える部位である。
【0021】
屋根材は、前述のように第4の工程にて用いられ、前記吊子の前記受部の左右から取り付けられる形状構成を有し、公知の金属素材等より成形され、ロール成形やプレス成型、或いは両者の組合せにより成形(成型)されるものであり、その素材厚は特に限定するものではないが、概ね0.4乃至1.6mm程度である。後述する図示実施例では、吊子の受部の左右から、弾性嵌合できる形状構成を採用している。
なお、後述する図示実施例では、左右の屋根材に跨るようにキャップ材を配する構成であって、このキャップ材は前記屋根材と同様の素材より成形され、左右の屋根材の上方から押圧することで、弾性嵌合状に取り付けられる形状構成を採用している。
【0022】
そして、本発明の天井及び屋根の施工法は、第1~第4の全ての工程が上方から行われるので、建築物の天井(室内)側からの施工を必要としないために、作業者の足場等の問題を生ずることがなく、容易に且つ短期間に施工できる。しかも、本発明の施工法により施工された天井及び屋根は、十分な屋根特性及び十分な天井特性を備えている。
【0023】
また、天井材がパンチングメタル板等の多孔性板であり、断熱材がグラスウール製である場合には、少なくとも天井材も断熱材も軽量であるため、施工を容易に果たすことができる上、特に吸音性が高いものとなる。
【実施例0024】
図1は、本発明の実施例1の天井及び屋根の施工法を模式的に表し、この図1の中央に示す上方から下方へ向く大矢印は、全ての作業が上方側、即ち屋根側から施工されるということを模式的に示している。
そのため、この施工法を、施工順で説明すると、まず同図の最下段に示す第1の工程を行った後、その上段に示す第2の工程を行い、さらにその後、その上段に示す第3の工程を行った後、最上段に示す第4の工程を行う。
この実施例1に用いられた各部材については図2(a)~(f)に示し、施工された天井及び屋根は図3(a),(b)に示した。
【0025】
まず、第1の工程では、図2(f)に示すように左右方向に延在する躯体1の上面11側に、所定間隔にて上方へ突出状の天井受けフレーム2が固定される。
この実施例1における躯体1は、上フランジが上面11であるC形鋼であり、天井受けフレーム2は、帯状鋼材を上方へ突出に成形した加工体であり、21は突状部、22は脚片部、23はその下端に設けた固定部であり、突状部21の平坦状の上面部211には、下方から固定ボルト2bが溶接等にて立設(固定)され、前記固定部23は、溶接等にて躯体1の上面11上に固定(接着)されている。
そのため、この第1の工程では、作業者は、左右方向に延在する躯体1を足場として、躯体1上に所定間隔にて天井受けフレーム2を固定する作業を行う。
【0026】
次に、第2の工程では、図2(e)に示すように左右に起立状の接続部を備える複数の天井材3が、前記天井受けフレーム2上にて接続される。
この実施例1における天井材3は、パンチングメタル板等の多孔性板からなり、平坦状の面板部31の左右側縁が上方へ立ち上げられた起立片部32,32'、その上端から更に外方へ延在する接続部33,33'が備えられ、接続部33,33'の外端は下方へ折り曲げられている。なお、この接続部33,33'には、予め固定ボルト2bの先端が挿通する孔を設けておくことが望ましい。
そのため、この第2の工程では、作業者は、前記第1の工程と同様に躯体1を足場として、天井材3の接続部33,33'を、天井受けフレーム2の突状部21上にて接続する作業を行う。なお、天井受けフレーム2の突状部21には、固定ボルト2bが立設(固定)されているので、この固定ボルト2bが接続部33,33'を下方から貫通するように取り付ける作業を行う。
【0027】
さらに、第3の工程では、天井材3上に断熱材5が敷設されると共に該断熱材5の表面から吊子4の上端に形成される受部41が露出される。
この実施例1における断熱材5は、図2(c)に示すように次の工程(第4の工程)で配設される屋根材6の裏面に位置するバックアップ材で、グラスウール製の不定形材であるため、天井材3の表面に沿うように敷設でき、軽量な吸音性を備える断熱層を施工できる。
また、この実施例1における吊子4は、図2(d)及び図3(b)に示すように金属板材を略コ字状に成形した部材であって、天井受けフレーム2に固定する底面43から矩形状の前後面42,42がそれぞれ鉛直状に立ち上げられ、その上端に扇状の受部41,41が形成されている。この受部41は、拡幅状の左右端と凹状の上端とを備え、図中の符号411は隅部状の被係合部、412は傾斜支承部、414は溝状部、413は水平支承部、4bは吊子4を天井受けフレーム2の固定ボルト2bに取り付ける締着具である。
そのため、この吊子4は、上方から締着具4bを固定ボルト2bに取り付けることで、天井受けフレーム2に一体的に固定される。
【0028】
また、第4の工程では、受部41の左右から屋根材6を取り付ける。。
この実施例1における屋根材6は、図2(b)に示すように吊子4の受部41に左右から取り付けられる側面部62,62の取付構造を備え、略水平状の面板部61の左右端を傾斜状に立ち上げて側面部62,62とした構成である。図中の符号621は外側へく字状に折曲した係合部、622はへ字状に折曲した支持部、623はU字状に成形したU字先端である。この屋根材6は、公知の金属素材より成形され、ロール成形にて成形され、概ね0.4乃至1.6mm程度に成形されている。
また、この実施例1では、左右の屋根材6,6に跨るようにキャップ材7を配する構造を採用した。このキャップ材7は、図2(a)に示すように屋根材6に跨るように取り付けられる傘状の覆い部71の左右端に内側へ折り返した係合部72,72であり、前記屋根材6と同様の素材より成形されている。
そのため、屋根材6は、作業者が吊子4の上端(受部41)に掴まりつつこの受部41の左右から取り付ける作業を行うことができ、断熱材5で形成される断熱層上に面板部61を載置させつつ、側面部62を受部41の側面から臨ませ、係合部621が被係合部411に弾性的に係合されると共に、支持部622が傾斜支承部412及び水平支承部413に支持され、U字先端623が溝状部414に係合される。また、キャップ材7は、上方から押圧することで、覆い部71が拡開状に広がり、係合部72,72が係合部621,621の外側へ弾性的に嵌合される。
【0029】
これらの各工程から施工される天井及び屋根は、図3(a),(b)に示すように十分な屋根特性及び十分な天井特性を備えている。
即ち屋根材6及びキャップ材7にて連続状の屋根面が形成され、その裏面側には断熱材5にて連続状の断熱層が形成され、更にその裏面側には天井材3にて連続状の天井面が形成されている。
なお、最屋根側のキャップ材7は屋根材6に、屋根材6は吊子4にそれぞれ弾性的に係合され、吊子4は前述のように躯体1に固定された天井受けフレーム2に一体的に固定され、該天井受けフレーム2に天井材3が一体的に固定されるので、これらの天井及び屋根は全ての部材が一体的に固定され、極めて強度が高いものである。
【0030】
このように図1に示す実施例1の天井及び屋根の施工法は、第1~第4の全ての工程が上方から行われるので、建築物の天井(室内)側からの施工を必要としないために、作業者の足場等の問題を生ずることがなく、容易に且つ短期間に施工できる。しかも、施工された天井及び屋根は、十分な屋根特性及び十分な天井特性を備えている。
【0031】
また、この実施例1に用いられた天井材3は、パンチングメタル板等の多孔性板であり、断熱材5がグラスウール製であるので、天井材3も断熱材5も軽量であるため、施工を容易に果たすことができる上、特に吸音性が高いものとなる。
【符号の説明】
【0032】
1 躯体
2 天井受けフレーム
3 天井材
33,33' 接続部
4 吊子
41 受部
5 断熱材
6 屋根材
7 キャップ材
図1
図2
図3