(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127213
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】浄水器及びフィルターユニット
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20230101AFI20240912BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240912BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C02F1/28 G
C02F1/28 D
C02F1/44 B
B01D29/04 510F
B01D29/04 520B
B01D29/04 530A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036206
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】502090688
【氏名又は名称】宮坂 義政
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 義政
【テーマコード(参考)】
4D006
4D116
4D624
【Fターム(参考)】
4D006GA07
4D006HA19
4D006HA91
4D006JA13C
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4D624DB05
(57)【要約】
【課題】原水の濾過処理と、逆洗との切替えを簡単な操作で行うことが可能な浄水器及びこの浄水器に使用されるフィルターユニットを提供すること。
【解決手段】浄水器1は、原水を貯留する容器10と、容器10に排出用コック14を介して着脱可能なフィルターユニット30とを有している。フィルターユニット30は、プレフィルターユニット31と、プレフィルターユニット31の下流側に配置されるポストフィルターユニット32とを有している。ポストフィルターユニット32は、排出用コック14に着脱自在に取り付けることが可能な排出用コック取付け部81と、プレフィルターユニット31を着脱自在に取り付けることが可能なプレフィルターユニット取付け部80とを有している。ポストフィルターユニット32は、プレフィルターユニット取付け部80に排出用コック14を取り付けることが可能に構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を貯留する容器と、
前記容器の内部を加圧する蓄圧式ポンプと、
前記容器の内部に配置され、前記容器に排出用コックを介して着脱可能なフィルターユニットと、を有し、
前記フィルターユニットは、前記原水の上流側に配置されるプレフィルターユニットと、前記プレフィルターユニットの下流側に配置されるポストフィルターユニットと、を有し、
前記ポストフィルターユニットは、前記排出用コックに着脱自在に取り付けることが可能な排出用コック取付け部と、前記プレフィルターユニットを着脱自在に取り付けることが可能なプレフィルターユニット取付け部と、を有し、
前記排出用コック取付け部と前記プレフィルターユニット取付け部とは、同じ構成であり、
前記ポストフィルターユニットは、前記プレフィルターユニット取付け部に前記排出用コックを取り付けることが可能に構成されている、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項2】
請求項1に記載の浄水器において、
前記排出用コック取付け部及び前記プレフィルターユニット取付け部の各々は、弾性を有するパッキンを介して前記ポストフィルターユニット又は前記プレフィルターユニットに嵌着することが可能に構成されている、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項3】
請求項1に記載の浄水器において、
前記プレフィルターユニットが取り外された前記プレフィルターユニット取付け部には、前記排出用コックを取り付けることが可能であり、
前記排出用コックを介して前記容器の内部に前記ポストフィルターユニットを取り付けた状態で、前記容器に貯留されている浄水を前記ポストフィルターユニットに流通させ、前記排出用コックから排出する逆洗が可能に構成されている、
ことを特徴とする浄水器。
【請求項4】
原水を吸入する側から順に接続されるプレフィルターユニット、ポストフィルターユニットを有し、
前記ポストフィルターユニットは、排出用コックに着脱自在に取り付けることが可能な排出用コック取付け部と、前記プレフィルターユニットを着脱自在に取り付けることが可能なプレフィルターユニット取付け部と、を有し、
前記排出用コック取付け部と前記プレフィルターユニット取付け部とは、同じ構成であり、
前記排出用コックは、前記プレフィルターユニット取付け部に取り付けることが可能に構成されている、
ことを特徴とするフィルターユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルターユニットにおいて、
前記プレフィルターユニット取付け部及び前記排出用コック取付け部は、外周方向に突出する凸条部、及び前記凸条部に設けられるパッキン溝に嵌着されるパッキンを有し、
前記ポストフィルターユニットは、前記パッキンを介して前記排出用コック、又は前記プレフィルターユニットに着脱可能に取り付けることが可能に構成されている、
ことを特徴とするフィルターユニット。
【請求項6】
請求項4に記載のフィルターユニットにおいて、
前記プレフィルターユニットは、一方が前記原水を吸入する吸入開口部、他方が前記ポストフィルターユニットに嵌着する嵌着開口部が形成されたプレフィルターケースを有し、
前記プレフィルターケースの内部に、前記吸入開口部側から金網、スポンジシート、及び不織布シートの順に配置されている、
ことを特徴とするフィルターユニット。
【請求項7】
請求項4に記載のフィルターユニットにおいて、
前記ポストフィルターユニットは、前記プレフィルターユニット側から順に直列接続される活性炭フィルターユニットと、MF中空糸フィルターユニットとを有し、
前記活性炭フィルターユニットには、前記プレフィルターユニット側に前記プレフィルターユニット取付け部が形成され、
前記MF中空糸フィルターユニットには、前記排出用コック側に前記排出用コック取付け部が形成されている、
ことを特徴とするフィルターユニット。
【請求項8】
請求項7に記載のフィルターユニットにおいて、
前記活性炭フィルターユニットと、前記MF中空糸フィルターユニットとの間に、中間フィルターが配置されている、
ことを特徴とするフィルターユニット。
【請求項9】
請求項7に記載のフィルターユニットにおいて、
活性炭フィルターケースの前記プレフィルターユニットに挿着される側の端部には、前記原水を導入する導入開口部が設けられ、前記端部の内側端面と活性炭フィルターとの間に不織布シートが介在されている、
ことを特徴とするフィルターユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水器及びフィルターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
台風や地震などの非常時においては、水道、電力、ガスなどのライフラインの遮断によって被害者の日常生活に大きな影響を受けることがある。特に、生活に必要な飲用水や生活用水などの確保は重要である。災害時の対応手段として、例えば、水道水以外の河川、貯水池又は貯水槽に溜めた雨水などの原水から生活に必要な飲用水や生活用水を生成するための浄水器を日頃から準備しておくことが重要となる。浄水器としては、フィルターを使用して原水を濾過するものがある。しかし、浄水器を長時間使用していると、フィルターに不純物が付着することによって、濾過機能が劣化するため、フィルターを交換したり、洗浄したりすることが必要になる。
【0003】
簡単にフィルターを交換できる浄水器として、原水を吸入する開口部側から順にプレフィルター、活性炭フィルターなどの濾過材、中空糸フィルターの順に配置している浄水器がある。プレフィルターは、複数のフィルター単体で構成されている。この浄水器は、原水に含まれる異物でプレフィルター単体が目詰まりした場合に、目詰まりしたフィルター単体を原水の上流側から1枚ずつ取り外し、残りのフィルター単体を新たなプレフィルターとして使用するというものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、原水を吸引するポンプ、ポンプの後段側に接続される濾過ユニット、及び濾過ユニットの後段側に接続される活性炭フィルターユニットを有し、ポンプと濾過ユニットとが第1通水管で接続され、濾過ユニットと活性炭フィルターユニットとが第2通水管で接続される可搬型浄水器がある。この浄水器では、第1通水管及び第2通水管が着脱可能な構成となっている。原水を濾過する際には、ポンプ、第1通水管、濾過ユニット、第2通水管、活性炭フィルターユニット、送水管、浄水貯留用のポリタンクの順に接続する。そして、逆洗(逆洗浄ともいう)の際には、浄水貯留用のポリタンク、取水管、ポンプ、第2通水管、濾過ユニットの順に接続し、濾過のときとは逆方向に浄水を流通させ、濾過ユニット下方の逆洗排水口から逆洗水を排出するというものである(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-36758号公報
【特許文献2】特開2019-195746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の浄水器は、複数のフィルター単体を1枚ずつ取り外していくことで、容易にプレフィルターの機能を再生することが可能になるとしている。しかし、プレフィルターの再生は可能であるが、プレフィルターの後段側にある濾過材及び中空糸フィルターの洗浄はできないことから、浄水器の逆洗としては不十分である。また、プレフィルターにおいても、例えば、2枚目以降のフィルター単体が1枚目のフィルター単体よりも少ないとはいえ目詰まりがあることは否定できない。
【0007】
上記特許文献2の浄水器は、原水を濾過するときのルートとは逆ルートで浄水(処理水)を流すことで逆洗している。しかし、第1通水管、第2通水管、送水管及び取水管の接続を切換えなければならず、その接続切換えは面倒で煩わしく、また、間違える可能性もあるという課題がある。さらに、この逆洗方法においては、活性炭フィルターユニットの逆洗はできない構成である。
【0008】
そこで、本発明は、このような課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、浄水器及びフィルターユニットの原水の濾過処理と、逆洗との切替えを簡単な操作で行うことが可能であり、逆洗によるフィルターユニットの再生を効果的に行うことが可能な浄水器及びこの浄水器に使用されるフィルターユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明の浄水器は、前記原水を貯留する容器と、前記容器の内部を加圧する蓄圧式ポンプと、前記容器の内部に配置され、前記容器に排出用コックを介して着脱可能なフィルターユニットと、を有し、前記フィルターユニットは、前記原水の上流側に配置されるプレフィルターユニットと、前記プレフィルターユニットの下流側に配置されるポストフィルターユニットと、を有し、前記ポストフィルターユニットは、前記排出用コックに着脱自在に取り付けることが可能な排出用コック取付け部と、前記プレフィルターユニットを着脱自在に取り付けることが可能なプレフィルターユニット取付け部と、を有し、前記排出用コック取付け部と前記プレフィルターユニット取付け部とは、同じ構成であり、前記ポストフィルターユニットは、前記プレフィルターユニット取付け部に前記排出用コックを取り付けることが可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
[2]本発明の浄水器においては、前記排出用コック取付け部及び前記プレフィルターユニット取付け部の各々は、弾性を有するパッキンを介して前記ポストフィルターユニット又は前記プレフィルターユニットに嵌着することが可能に構成されていることが好ましい。
【0011】
[3]本発明の浄水器においては、前記プレフィルターユニットが取り外された前記プレフィルターユニット取付け部には、前記排出用コックを取り付けることが可能であり、前記排出用コックを介して前記容器の内部に前記ポストフィルターユニットを取り付けた状態で、前記容器に貯留されている浄水を前記ポストフィルターユニットに流通させ、前記排出用コックから排出する逆洗が可能に構成されていることが好ましい。
【0012】
[4]本発明のフィルターユニットは、原水を吸入する側から順に接続されるプレフィルターユニット、ポストフィルターユニットを有し、前記ポストフィルターユニットは、前記排出用コックに着脱自在に取り付けることが可能な排出用コック取付け部と、前記プレフィルターユニットを着脱自在に取り付けることが可能なプレフィルターユニット取付け部と、を有し、前記排出用コック取付け部と前記プレフィルターユニット取付け部とは、同じ構成であり、前記排出用コックは、前記プレフィルターユニット取付け部に取り付けることが可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
[5]本発明のフィルターユニットにおいては、前記プレフィルターユニット取付け部及び前記排出用コック取付け部は、外周方向に突出する凸条部、及び前記凸条部に設けられるパッキン溝に嵌着されるパッキンを有し、前記ポストフィルターユニットは、前記パッキンを介して前記排出用コック、又は前記プレフィルターユニットに着脱可能に取り付けることが可能に構成されていることが好ましい。
【0014】
[6]本発明のフィルターユニットにおいては、前記プレフィルターユニットは、一方が前記原水を吸入する吸入開口部、他方が前記ポストフィルターユニットに嵌着する嵌着開口部を有するプレフィルターケースと、前記プレフィルターケースの内部に、前記吸入開口部側から金網、スポンジシート、及び不織布シートの順に配置されていることが好ましい。
【0015】
[7]本発明のフィルターユニットにおいては、前記ポストフィルターユニットは、前記プレフィルターユニット側から順に直列接続される活性炭フィルターユニットと、MF中空糸フィルターユニットとを有し、前記活性炭フィルターユニットには、前記プレフィルターユニット側に前記プレフィルターユニット取付け部が形成され、前記MF中空糸フィルターユニットには、前記排出用コック側に前記排出用コック取付け部が形成されていることが好ましい。
【0016】
[8]本発明のフィルターユニットにおいては、前記活性炭フィルターユニットと、前記MF中空糸フィルターユニットとの間に、中間フィルターが配置されていることが好ましい。
【0017】
[9]本発明のフィルターユニットにおいては、前記活性炭フィルターケースの前記プレフィルターユニットに挿着される側の端部には、原水を導入する導入開口部が設けられ、前記端部の内側端面と活性炭フィルターとの間に不織布シートが介在されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
浄水器は、原水を貯留する容器、比較的大きなごみなどを吸着除去するプレフィルターユニット、原水を飲用水や生活用水などに濾過するポストフィルターユニット、及び濾過された浄水(処理水ともいう)を容器の外部に排出する排出用コックで構成される。浄水器は、プレフィルターユニット、ポストフィルターユニット順に原水を流通させることによって、原水を濾過処理した浄水を得ることができる。一方、濾過処理に対して逆方向にポストフィルターユニットに浄水を流通させることによって、ポストフィルターユニットを洗浄することができる。濾過時と逆方向に浄水を流通させてポストフィルターユニットを洗浄することを逆洗又は逆洗浄という。
【0019】
浄水器は、ポストフィルターユニットに排出用コックを着脱自在に取り付けることが可能な排出用コック取付け部と、プレフィルターユニットを着脱自在に取り付けることが可能なプレフィルターユニット取付け部とを有している。プレフィルターユニット取付け部には、プレフィルターユニットに替えて排出用コックを取り付けることが可能に構成されている。そのため、ポストフィルターユニットに、プレフィルターユニットに替えて排出用コックを取り付け、容器に取り付ける。そして、濾過処理とは逆方向から浄水(処理水)をポストフィルターユニットに浄水(処理水)を流通させることによって、ポストフィルターユニットを逆洗することが可能となる。浄水器は、フィルターユニットを新しいものと交換せずに長時間、繰り返し使用することが可能となる。
【0020】
フィルターユニットは、プレフィルターユニット及びポストフィルターユニットで構成され、原水を飲用水や生活用水に濾過することができる。そして、ポストフィルターユニットは、プレフィルターユニット取付け部と排水用コック取付け部を有しており、プレフィルターユニット取付け部には排出用コックを取り付けることが可能となっている。そのため、ポストフィルターユニットに、プレフィルターユニットに替えて排水用コックを取り付けることによって、濾過処理時とは逆方向に浄水(処理水)をポストフィルターユニットに流通させることによって、ポストフィルターユニットの逆洗が可能となる。
【0021】
以上のことから、浄水器及びフィルターユニットは、原水の濾過処理と逆洗との切替えを簡単な操作で行うことが可能であり、逆洗によるフィルターユニットの再生を効果的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】濾過器ユニット11の概略構成を示す斜視図である。
【
図3】フィルターユニット30の構成を示す断面図である。
【
図4】プレフィルターユニット取付け部80及び排出用コック取付け部81を拡大して示す部分断面図である。
【
図5】原水を濾過するときの濾過器ユニット11の構成を示す組み立て分解図である。
【
図6】原水を濾過するときの濾過器ユニット11の容器10への取り付け構造を拡大して示す部分断面図である。
【
図7】逆洗のときの濾過器ユニット11の構成を示す組み立て分解図である。
【
図8】逆洗ときの濾過器ユニット11の容器10への取り付け構造を拡大して示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る浄水器1及びフィルターユニット30について、
図1~
図8を参照しながら説明する。
【0024】
(浄水器1の構成)
図1は、浄水器1の概略を示す概観斜視図である。浄水器1は、原水を貯留する容器10、容器10の底部に近い位置に接続される濾過器ユニット11、容器10の上部に配設される蓄圧式ポンプ12、及び容器10内の圧力上昇を制御する安全弁13を有している。なお、原水とは、そのままでは飲用できない水や生活用水として使用できないような除去対象物を含んだ水である。また、生活用水は、飲用水としては適さないが、手や顔を洗ったり、洗濯をしたりすることが可能な水をさす。なお、以降の説明において、原水を濾過して得られる飲用水及び生活用水を総称して浄水又は処理水と記載する。
【0025】
容器10は、一人でも原水を運搬可能な軽量の、例えば、通称ポリタンクである。浄水器1は、ポリタンクに限らずもっと大型のタンクや固定式の貯留槽に濾過器ユニット11を取り付けることも可能である。しかし、容器10は、災害などの非常時において、一人でも運搬可能な可搬型であることがより好ましい。
図1に例示する浄水器1は、容器10の底部に近い位置に濾過器ユニット11が接続されているために、床や地面に置いた状態で飲用水や生活用水を排出することが可能となっている。濾過器ユニット11は、容器10の外部に排出用コック14が取り付けられており、原水を濾過するフィルターユニット30(
図2参照)は、容器10内に挿入される。蓄圧式ポンプ12は、一般に使用されている構造のものを使用できるので説明を省略する。なお、蓄圧式ポンプ12は、ポンプ固定キャップ15によって着脱することが可能である。
【0026】
(濾過器ユニット11の構成)
図2は、濾過器ユニット11の概略構成を示す斜視図である。濾過器ユニット11は、浄水の排出部である排出用コック14及びフィルターユニット30で構成されている。排出用コック14は、フィルターユニット30を排出用コック14に接続する接続パイプ部16を備える濾過器接続キャップ17、接続パイプ部16に接続されるキャップ接続パイプ18、キャップ接続パイプ18に直交接続される排出パイプ19、及び、ハンドル部20で構成されている。濾過器接続キャップ17は、キャップ接続パイプ18に対して回転自在であり、容器10に設けられている取付け用突起部27(
図6参照)に濾過器ユニット11を取り付けることが可能な構成となっている。濾過器ユニット11の容器10への取り付け構造については、
図6を参照して詳しく説明する。
【0027】
フィルターユニット30は、プレフィルターユニット31とポストフィルターユニット32とから構成されている。ポストフィルターユニット32は、活性炭フィルターユニット33とMF中空糸フィルターユニット34とから構成されている。
図2に示す例は、原水を濾過処理(浄化処理ともいう)する際の構成を示している。濾過処理の場合、プレフィルターユニット31の吸入開口部35から原水を吸入してポストフィルターユニット32で濾過処理をした後、排出用コック14(排出パイプ19)から濾過された浄水を排出する形態を表している。フィルターユニット30は、濾過器接続キャップ17に嵌着する部分以外の大部分が容器10内に配置される。続いて、フィルターユニット30の構成について
図3を参照して説明する。
【0028】
(フィルターユニット30の構成)
図3は、フィルターユニット30の構成を示す断面図である。フィルターユニット30は、プレフィルターユニット31、プレフィルターユニット31の下流側に接続されるポストフィルターユニット32で構成されている。また、ポストフィルターユニット32は、活性炭フィルターユニット33と、活性炭フィルターユニット33に直列に接続されるMF中空糸フィルターユニット34とで構成されている。なお、
図3は、原水をフィルターユニット30で濾過処理をして排出する形態例を示している。
【0029】
まず、プレフィルターユニット31の構成について説明する。プレフィルターユニット31は、一方の端部36に原水を吸入する吸入開口部35を有し、吸入開口部40の反対側にポストフィルターユニット32、つまり、活性炭フィルターユニット33を嵌着する嵌着開口部41を有する筒状のプレフィルターケース42、及びプレフィルターケース42の内側に配置されるプレフィルター43で構成されている。プレフィルター43は、吸入開口部40側から順に、金網44、スポンジシート45、及び不織布シート46が層状に配置されている。スポンジシート45及び不織布シート46は、原水に含まれる比較的大きな砂や有機物のゴミなどを吸着し、後段の活性炭フィルターユニット33の目詰まりを抑える。金網44は、スポンジシート45の変形を抑えるために配置される。金網44は、例えば、メッシュを20とすることで原水供給速度に影響させずに、スポンジシート45の変形を抑えることを可能にしている。なお、メッシュが20とは、長さ1インチの範囲に目数が20あることをいう。
【0030】
続いて、活性炭フィルターユニット33の構成について説明する。活性炭フィルターユニット33は、プレフィルターユニット31に接続される側の端部50にプレフィルターユニット31を通った原水を導入する導入開口部51、及び、導入開口部51の反対側にMF中空糸フィルターユニット34を嵌着する嵌着開口部52を有する筒状の活性炭フィルターケース53を有している。活性炭フィルターケース53の内部には、活性炭フィルター54が収容されている。活性炭フィルター54は、顆粒(粒状)の活性炭の集合体であって、導入開口部51側から順に粒径が異なる第1活性炭フィルター55及び第2活性炭フィルター56の2層構造を有している。プレフィルターユニット31側に配置される第1活性炭フィルター55の平均粒径は、第2活性炭フィルター56の平均粒径より大きい。
【0031】
本例においては、例えば、第1活性炭フィルター55の粒径を0.5mm~1.7mmとし、第2活性炭フィルター56の粒径を0.35mm~0.85mmとしている。つまり、第1活性炭フィルター55の平均粒径を第2活性炭フィルター56の平均粒径の約2倍としている。第1活性炭フィルター55及び第2活性炭フィルター56を用いることは、従来から用いられている沈殿式濾過装置の考え方と同じである。活性炭フィルター54は、原水の臭気吸着が主たる役割であるが、粒径が大きい第1活性炭フィルター55によって、プレフィルター43を通過した比較的大きい除去対象物を吸着し、粒径が小さい第2活性炭フィルター56によって、第1活性炭フィルター55を通過した除去対象物を吸着除去する。なお、第1活性炭フィルター55と第2活性炭フィルター56の容量(重量)割合は、原水の質に対応して適宜設定することができる。
【0032】
第1活性炭フィルター55と第2活性炭フィルター56との間には、仕切りフィルター57が配置されている。仕切りフィルター57は、例えば、不織布シート46又は活性炭シート61などを使用することが可能である。仕切りフィルター57は、第1活性炭フィルター55と第2活性炭フィルター56とが互いに混ざり合うことを防いでいる。ただし、第1活性炭フィルター55と第2活性炭フィルター56が同じ粒径、類似粒径又は混ざり合ってもよい場合、或いは、混ざりにくい構成であることが確認できれば省略することが可能である。
【0033】
活性炭フィルターケース53のプレフィルターユニット31側の端部50は、プレフィルター43の押さえ面となり、活性炭フィルターユニット33をプレフィルターユニット31に嵌着する際に、プレフィルターケース42の端部36との間でプレフィルター43を挟持する。活性炭フィルターケース53の内側において、内側端面50aと第1活性炭フィルター55との間には、不織布シート47を介在させている。不織布シート47は、活性炭フィルターユニット33が単体のとき、又はポストフィルターユニット32からプレフィルターユニット31を取り外したときに、顆粒の第1活性炭フィルター55が、外部にこぼれ出ないようにするために設けられている。したがって、原水の流通を妨げず、第1活性炭フィルター55を保持できれば、不織布シート47以外のものも使用可能である。
【0034】
なお、図示は省略するが、不織布シート47に加えて金網44を設けることも可能である。或いは、導入開口部51の形状を単純な円形とせずに、原水の流通を妨げない範囲、かつ、第1活性炭フィルター55を保持できるような形状にすれば、不織布シート47を省略することも可能である。
【0035】
一方、活性炭フィルターユニット33のMF中空糸フィルターユニット34側には、中間フィルター60が配置されている。中間フィルター60は、活性炭フィルターケース53の内部に、第2活性炭フィルター56側から活性炭シート61、不織布シート62、スポンジシート63の順に層状に配置されている。中間フィルター60は、活性炭フィルターケース53にMF中空糸フィルターケース70を嵌着させることによって、第2活性炭フィルター56とMF中空糸フィルターケース70との間で挟持される。中間フィルター60は、活性炭フィルター54を通過した微小な砂や有機物のごみなどの除去対象物を吸着し、MF中空糸フィルター71の目詰まりを抑制すること、第1活性炭フィルター55及び第2活性炭フィルター56から発生する細かい粉状となった活性炭がMF中空糸フィルター71に詰まること、を抑制するために設けられる。
【0036】
MF中空糸フィルターユニット34は、MF中空糸フィルターケース70と、MF中空糸フィルターケース70の内部に収容されるMF中空糸フィルター71とで構成されている。MF中空糸フィルター71は、微小な孔を多数有する膜を中空糸状に形成し、膜の連続した組織の間にある超微細な孔に原水を通過させることによって原水の濾過処理を行うものであり、原水から懸濁質、コロイド粒子及び細菌などを分離し、飲用水に浄化する。
【0037】
MF中空糸フィルター71の膜に設けられる孔の大きさは、20nm~100nmのものが飲用水の生成に適応する。なお、浄水器1で飲用水に生成できる原水は、例えば、風呂水、期限切れのペットボトルの水、プールの水、貯水タンクの水や谷川の湧水などである。
図3に示すMF中空糸フィルター71は、多数の中空糸を束にしたものを使用しており、活性炭フィルターユニット33側、つまり、原水が導入される側が緩やかな折り返し部72となっている。MF中空糸フィルターケース70の開口部37側において、多数のMF中空糸フィルター71は、束ねられて固定される。MF中空糸フィルター71は、その1本1本の流通孔(図示は省略)が開口部37に露出し、膜の微小な孔を透過した透過水が開口部37から浄水(処理水)として排出用コック14(
図2参照)に排出され、排出パイプ19(
図2参照)から排出することが可能となっている。
【0038】
なお、MF中空糸フィルター71は、MF中空糸フィルターケース70の内周面70aに対してフリーの状態であり、開口部37においてMF中空糸フィルター71の束の外周が樹脂などを充填することによって固められている。この充填範囲は、
図3に示す、樹脂充填領域Aで表される。MF中空糸フィルターケース70は、活性炭フィルターケース53の嵌着開口部52に通過する原水の漏洩がなく、かつ着脱自在に嵌着される。活性炭フィルターユニット33側の端面73は、中間フィルター60を支持するのに必要な面積と、原水が流通しやすい程度の面積の流通開口部74を有している。よって、流通開口部74の形状、大きさ及び配置は、適宜設定することが可能である。
【0039】
フィルターユニット30に原水を流通させるためには、蓄圧式ポンプ12で容器10内を300kPa以上に加圧することが好ましい。したがって、容器10は、耐圧に余裕があり、さらに安全弁13を設けることによって、いわゆるポリタンクとすることが可能であり、軽量化を図ることができる。
【0040】
MF中空糸フィルターユニット34は、活性炭フィルターユニット33に対して着脱自在に連結されている。具体的は、MF中空糸フィルターユニット34は、活性炭フィルターケース53の嵌着開口部52に、MF中空糸フィルターケース70を挿し込むことによって連結される。この際、MF中空糸フィルターケース70の外径寸法を基準に、活性炭フィルターケース53の嵌着開口部52の内経寸法を現物合せによって成形することによって、着脱し易く、さらに連結部における原水の漏れを抑えている。
【0041】
また、ポストフィルターユニット32は、パッキン75を介して着脱自在にプレフィルターユニット31を取り付けるためのプレフィルターユニット取付け部80を有し、パッキン75を介して着脱自在に排出用コック14を取り付けるための排出用コック取付け部81を有している。具体的には、プレフィルターユニット取付け部80は活性炭フィルターケース53に設けられており、排出用コック取付け部81は、MF中空糸フィルターケース70に設けられている。次いで、プレフィルターユニット取付け部80及び排出用コック取付け部81の構成について、
図4を参照して説明する。
【0042】
図4は、プレフィルターユニット取付け部80及び排出用コック取付け部81を拡大して示す部分断面図である。まず、プレフィルターユニット取付け部80について説明する。図示左側に示すように、活性炭フィルターケース53には、外周方向に突出する凸条部58が形成されており、凸条部58には、2本の凹条のパッキン溝59が形成されている。2本のパッキン溝59には、弾性を有するパッキン75が嵌着されている。パッキン75の最外形は凸条部58よりも突出し、プレフィルターケース42の嵌着開口部41の内径よりも大きい。2本のパッキン75がプレフィルターケース42と係合する位置までプレフィルターケース42に押し込まれる。このとき、プレフィルター43は、プレフィルターケース42の内側端面36aと、活性炭フィルターケース53の端部50とで挟持されることになる。
【0043】
続いて、排出用コック取付け部81について説明する。図示右側に示すように、MF中空糸フィルターケース70には、径方向に突出する凸条部76が形成されており、凸条部76には、2本の凹条のパッキン溝77が形成されている。2本のパッキン溝77には、パッキン75が嵌着されている。パッキン75の最外形は凸条部76よりも突出し、濾過器接続キャップ17(
図2参照)フィルターユニット挿着部82の内径よりも大きい。2本のパッキン75がフィルターユニット挿着部82と係合する位置までフィルターユニット30(MF中空糸フィルターケース70)を濾過器接続キャップ17に押し込む。MF中空糸フィルターケース70は、先端面78が濾過器接続キャップ17の突き当て面21に当たるまで押し込むことが可能となっている。濾過器接続キャップ17は、接続パイプ部16で排出用コック14に接続される(
図2参照)。
【0044】
ところで、以上説明したように、プレフィルターユニット取付け部80と、排出用コック取付け部81とは、同じ構成である。つまり、フィルターユニット30のプレフィルターユニット31側の凸条部58、及び濾過器接続キャップ17側の凸条部76の外径D1と、それぞれの端部50又は先端面78からの長さLは同じである。したがって、排出用コック取付け部81には、プレフィルターユニット31を取り付けることが可能であり、プレフィルターユニット取付け部80には、排出用コック14を取り付けることが可能に構成されている。
【0045】
以上説明した浄水器1を使用して原水の濾過を長時間又は繰り返して使用すると、プレフィルター43、活性炭フィルター54の表面や内部に除去対象物が吸着、堆積してくる。また、MF中空糸フィルター71の微小な孔に除去対象物による目詰まりが発生する。このような状況になると、フィルターユニット30の原水流通量が減少する。つまり、浄水の排出量が減少してくる。したがって、浄水の排出量が減少してきた場合には、原水を濾過する場合に対して逆方向に逆洗水(浄水や水道水など)をフィルターユニット30に流通させて堆積した汚れを除去する。これを逆洗又は逆洗浄といい、浄水器1を使用する原水の濾過、及び逆洗について
図5~
図8を参照して説明する。
【0046】
図5は、原水を濾過するときの濾過器ユニット11の構成を示す組み立て分解図である。既述したように、濾過器ユニット11は、排出用コック14とフィルターユニット30とで構成されている。排出用コック14は、濾過器接続キャップ17、ハンドル部20、及び排出パイプ19で構成される。排出パイプ19には、排出パイプ19の軸方向に対して直交するキャップ接続パイプ18が突出されており、キャップ接続パイプ18は、濾過器接続キャップ17の接続パイプ部16にOリング22を介して圧入されている。
【0047】
排出用コック14は、ハンドル部20の回転操作に連動して回転し、排出パイプ19とキャップ接続パイプ18との連通作用及び閉鎖作用を担う開閉部材23を有している。なお、濾過器接続キャップ17は、キャップ接続パイプ18に対して回転させることが可能であり、濾過器接続キャップ17に対して排出パイプ19の向きを自在に変えることが可能となっている。
【0048】
次に、フィルターユニット30の排出用コック14への装着について説明する。フィルターユニット30は、プレフィルターユニット31と、活性炭フィルターユニット33及びMF中空糸フィルターユニット34からなるポストフィルターユニット32で構成されている。原水を濾過処理する際のフィルターユニット30は、MF中空糸フィルターユニット34の排出用コック取付け部81を排出用コック14に向け、フィルターユニット30を、濾過器接続キャップ17に向かって押し込むことによって排出用コック14に接続される。
【0049】
具体的には、濾過器接続キャップ17のフィルターユニット装着部24内の突き当て面21にMF中空糸フィルターケース70の先端面78(
図4参照)が突き当たるまで押し込む。こうすることでフィルターユニット30を排出用コック14に装着することができる。逆にフィルターユニット30を排出用コック14から引き抜いて取外すことができる。この動作を太い矢印で表している。この際、パッキン75は、濾過器接続キャップ17のフィルターユニット装着部24との間で水漏れが発生しないような締め代を有し、かつ、浄水器1の使用中において簡単に外れないような締め代を有している。
【0050】
ここで、排出用コック14の操作について説明する。ハンドル部20を左回転すると、開閉部材23が回転しながら上方に引上げられ、排出パイプ19と開閉部材23との間の止水部26に隙間ができ、排出パイプ19からフィルターユニット30で濾過された浄水が排出される。ハンドル部20を右回転すると、開閉部材23が回転しながら押し下げられ、止水部26を閉鎖し、浄水の排出が停止される。
【0051】
図6は、原水を濾過するときの濾過器ユニット11の容器10への取り付け構造を拡大して示す部分断面図である。フィルターユニット30は、MF中空糸フィルターユニット34の先端側で排出用コック14に装着される。容器10は、濾過器ユニット11を取り付けるための容器外側方向に突出する取付け用突起部27を有し、取付け用突起部27は、フィルターユニット挿通孔28を有している。予め、フィルターユニット30には、濾過器接続キャップ17のフィルターユニット装着部24に排出用コック取付け部81を挿入させ、パッキン75の弾性力を利用して排出用コック14に取り付けて濾過器ユニット11を構成する。そして、フィルターユニット30を容器10の外側からフィルターユニット挿通孔28に挿通し、取付け用突起部27に形成された雄ネジ29Aに濾過器接続キャップ17に形成された雌ネジ29Bを螺合させる。フィルターユニット30は、MF中空糸フィルターケース70の先端面78が濾過器接続キャップ17の突き当て面21に当たる位置まで移動して停止する。このようにすることによって、フィルターユニット30が装着された濾過器ユニット11を容器10に取り付けることができる。
【0052】
濾過器接続キャップ17の内側には、ガスケット38が配置されている。取付け用突起部27の先端面27aがガスケット38を押圧することによって、容器10と濾過器接続キャップ17との接続部からの漏水を防ぐことができる。また、フィルターユニット30と濾過器接続キャップ17との間は、パッキン75によって液密性が保たれる。
【0053】
続いて、逆洗の場合の濾過器ユニット11の構成について
図7及び
図8を参照して説明する。なお、容器10及び排出用コック14の構成は、濾過のときと変わりがないので説明は省略し、
図5及び
図6と同じ符号を付している。
【0054】
図7は、逆洗のときの濾過器ユニット11の構成を示す組み立て分解図である。既述したように、濾過器ユニット11は、排出用コック14とポストフィルターユニット32とから構成されている。逆洗のときには、まず、ポストフィルターユニット32からプレフィルターユニット31(
図5参照)を取り外す。そして、活性炭フィルターユニット33を排出用コック14に向け、ポストフィルターユニット32を排出用コック14に装着する。つまり、プレフィルターユニット取付け部80を排出用コック14に向け、排出用コック14に差し込む。プレフィルターユニット取付け部80は、排出用コック取付け部81と同じ寸法、同じ構成となっているため、排出用コック14に差し込むことができる。
【0055】
具体的には、濾過器接続キャップ17のフィルターユニット装着部24内の突き当て面21に活性炭フィルターケース53の端部50が突き当たるまで押し込む。こうすることでポストフィルターユニット32を排出用コック14に装着することができる。逆にポストフィルターユニット32を排出用コック14から引き抜いて取り外すことができる。この動作を太い矢印で表している。この際、パッキン75は、活性炭フィルターケース53と濾過器接続キャップ17のフィルターユニット装着部24との間で水漏れが発生しないような締め代を有し、かつ、浄水器1の使用中において簡単に外れないような締め代を有している。
【0056】
図8は、逆洗するときの濾過器ユニット11の容器10への取り付け構造を拡大して示す部分断面図である。
図7も参照しながら説明する。プレフィルターユニット31が取り外されたポストフィルターユニット32は、活性炭フィルターユニット33のプレフィルターユニット取付け部80で排出用コック14に装着される。予め、ポストフィルターユニット32には、濾過器接続キャップ17のフィルターユニット装着部24にプレフィルターユニット取付け部80を挿入させ、パッキン75の弾性力を利用して排出用コック14に取り付けて濾過器ユニット11を構成する。
【0057】
そして、ポストフィルターユニット32を容器10の外側からフィルターユニット挿通孔28に挿通し、取付け用突起部27に形成された雄ネジ29Aに濾過器接続キャップ17に形成された雌ネジ29Bを螺合させる。ポストフィルターユニット32は、活性炭フィルターケース53の端部50が濾過器接続キャップ17の突き当て面21に当たる位置まで移動して停止する。このようにすることによって、ポストフィルターユニット32が装着された濾過器ユニット11を容器10に取り付けることができる。
【0058】
逆洗の場合、容器10には、濾過後の浄水(処理水又は水道水)を貯留してある。そして、蓄圧式ポンプ12(
図1参照)を操作し、容器10の内部を加圧することによって、濾過と逆方向にMF中空糸フィルターユニット34、活性炭フィルターユニット33の順に、容器10内の浄水を流通させ、逆洗水を排出用コック14から排出する。このようにすることによって、MF中空糸フィルターユニット34及び活性炭フィルターユニット33に付着した除去対象物を除去し、ポストフィルターユニット32を再生することによって、ポストフィルターユニット32を長時間にわたって、或いは、繰り返し使用することが可能となる。
【0059】
なお、逆洗するとき、プレフィルターユニット31は、ポストフィルターユニット32から取り外すことになる。プレフィルターユニット31は、プレフィルターケース42に対して、内部にプレフィルター43を容易に装着したり、取外したりすることが可能であるから、汚れが目立つようになった時点で分解して洗浄することが可能である。その意味から、スポンジシート45を汚れが目立つ色にしておくことが好ましい。また、プレフィルターユニット31は、付着したゴミなどが比較的大きく、プレフィルターケース42の嵌着開口部41の開口面積が大きいことから、嵌着開口部41から浄水(処理水)を流通させて逆洗することも可能である。
【0060】
浄水器1は、原水を貯留する容器10、比較的大きなごみなどを吸着除去するプレフィルターユニット31、原水を飲用水や生活用水などに濾過するポストフィルターユニット32、及び濾過された浄水(処理水ともいう)を容器10の外部に排出する排出用コック14で構成される。浄水器1は、プレフィルターユニット31、ポストフィルターユニット32の順に原水を流通させることによって、原水を濾過処理した浄水を得ることができる。一方、濾過処理に対して逆方向に浄水を流通させることによって、ポストフィルターユニット32を洗浄することができる。
【0061】
浄水器1は、ポストフィルターユニット32に排出用コック14を着脱自在に取り付けることが可能な排出用コック取付け部81と、プレフィルターユニット31を着脱自在に取り付けることが可能なプレフィルターユニット取付け部80とを有している。プレフィルターユニット取付け部80には、プレフィルターユニット31に替えて排出用コック14を取り付けることが可能に構成されている。そのため、ポストフィルターユニット32に、プレフィルターユニット31に替えて排出用コック14を取り付け、容器10に取り付ける。そして、濾過処理とは逆方向、つまり、プレフィルターユニット取付け部80側から浄水(処理水)をポストフィルターユニット32に浄水(処理水)を流通させることによって、ポストフィルターユニット32を逆洗することが可能となる。浄水器1は、フィルターユニット30を新しいものと交換せずに長時間、繰り返し使用することが可能となる。
【0062】
また、排出用コック取付け部81及びプレフィルターユニット取付け部80の各々は、弾性を有するパッキン75を介してポストフィルターユニット32又はプレフィルターユニット31に嵌着することが可能に構成されている。そのため、排出用コック14やプレフィルターユニット31のポストフィルターユニット32への着脱を容易に行うことができる。なお、各取付け部において、パッキン75は1本構成としてもよいが、2本構成にすることで、漏水防止や、ポストフィルターユニット32の安定した保持を維持することが可能となる。
【0063】
また、プレフィルターユニット31が取り外されたプレフィルターユニット取付け部80には、排出用コック14を取り付けることが可能であり、排出用コック14を介して容器10の内部にポストフィルターユニット32を取り付けた状態で、容器10に貯留されている浄水をポストフィルターユニット32に流通させ、排出用コック14から逆洗水を排出することが可能に構成されている。このような構成にすることによって、ポストフィルターユニット32に濾過処理とは逆方向に浄水(処理水)を流通させることができ、ポストフィルターユニット32の逆洗を容易に行うことが可能となる。
【0064】
また、フィルターユニット30は、原水を吸入する側から順に接続されるプレフィルターユニット31、ポストフィルターユニット32を有している。ポストフィルターユニット32は、排出用コック14に着脱自在に取り付けることが可能な排出用コック取付け部81と、プレフィルターユニット31を着脱自在に取り付けることが可能なプレフィルターユニット取付け部80と、を有している。排出用コック取付け部81とプレフィルターユニット取付け部80とは、同じ構成であり、排出用コック14は、プレフィルターユニット取付け部80に取り付けることが可能に構成されている。
【0065】
このような構成によれば、ポストフィルターユニット32に、プレフィルターユニット31に替えて排出用コック14を取り付ける。そして、排出用コック14を介して浄水が貯留された容器10の内部にポストフィルターユニット32を取り付け、濾過処理時とは逆方向に浄水(処理水)をポストフィルターユニット32に流通させることによって、ポストフィルターユニット32の逆洗が可能となる。また、ポストフィルターユニット32は、同じ構成の排出用コック取付け部81及びプレフィルターユニット取付け部80で、排出用コック14やプレフィルターユニット31の着脱を容易に行うことができる。
【0066】
ポストフィルターユニット32において、プレフィルターユニット取付け部80及び排出用コック取付け部81は、外周方向に突出する凸条部58,76、及び凸条部58,76に設けられるパッキン溝59,77に嵌着されるパッキン75を有し、ポストフィルターユニット32は、パッキン75を介して排出用コック14、又はプレフィルターユニット31に着脱可能に取り付けることが可能に構成されている。パッキン75は、パッキン溝59,77に嵌着されることによって、プレフィルターユニット31や排出用コック14をポストフィルターユニット32に取り付ける際に、パッキン75の位置ずれや変形がおきない。そのため、各取付け部において、漏水の防止やポストフィルターユニット32の安定した保持を維持することが可能となる。
【0067】
また、プレフィルターユニット31は、一方が原水を吸入する吸入開口部40、他方がポストフィルターユニット32に嵌着する嵌着開口部41が形成されたプレフィルターケース42を有している。プレフィルターケース42の内部には、吸入開口部40側から金網44、スポンジシート45、及び不織布シート46の順に配置されている。
【0068】
プレフィルターユニット31は、下流側のポストフィルターユニット32の目詰まりを防ぐために設けられている。スポンジシート45及び不織布シート46は、原水に含まれる比較的大きな砂や有機物のゴミなどを吸着する。上流側には金網44を配置している。金網44は、スポンジシート45の変形や傷つくことを防止し、そのことによって、プレフィルターユニット31の吸着機能の劣化を抑えることができる。
【0069】
また、ポストフィルターユニット32は、プレフィルターユニット31側から順に直列接続される活性炭フィルターユニット33とMF中空糸フィルターユニット34とを有している。活性炭フィルターユニット33には、プレフィルターユニット31側にプレフィルターユニット取付け部80が形成されている。MF中空糸フィルターユニット34には、排出用コック14側に排出用コック取付け部81が形成されている。
【0070】
活性炭フィルターユニット33は、プレフィルターユニット31を通過した比較的大きな除去対象物の吸着除去、原水の臭気吸着を担う。MF中空糸フィルターユニット34は、膜の連続した組織の間にある超微細な孔に活性炭フィルターユニット33を通過した原水の濾過処理を行い、原水から懸濁質、コロイド粒子及び細菌などを分離し、飲用水又は生活用水に浄化する。活性炭フィルターユニット33とMF中空糸フィルターユニット34を直列に接続することによって、原水の濾過を効率的に行うことが可能となる。また、活性炭フィルターユニット33は、プレフィルターユニット取付け部80を有しているが、プレフィルターユニット取付け部80に排出用コック14を取り付ければ、逆洗が可能となる。逆洗の際、浄水(処理水)である逆洗水をMF中空糸フィルターユニット34、活性炭フィルターユニット33の順に流通させる。超微細な孔を有するMF中空糸フィルターユニット34(MF中空糸フィルター71)から逆洗水を流すことで、MF中空糸フィルター71の逆洗を効果的に行うことが可能となる。
【0071】
また、フィルターユニット30において、活性炭フィルターユニット33と、MF中空糸フィルターユニット34との間には、中間フィルター60が配置されている。中間フィルター60は、活性炭フィルター54を通過した微小な砂や有機物のごみなどの除去対象物を吸着し、MF中空糸フィルター71の超微細な孔の目詰まりを抑制する。さらに、中間フィルター60を設けることによって、活性炭フィルター54から発生する細かい粉状となった活性炭でMF中空糸フィルター71が詰まってしまうことを防ぐことが可能となる。
【0072】
また、活性炭フィルターケース53のプレフィルターユニット31に装着される側の端部50には、原水を導入する導入開口部51が設けられ、端部50の内側端面50aと活性炭フィルター54(第1活性炭フィルター55)の間に不織布シート47が介在されている、不織布シート47を設けることによって、活性炭フィルターユニット33が単体のとき(プレフィルターユニット31が装着されていないとき)、又はポストフィルターユニット32からプレフィルターユニット31を取り外したときに、顆粒の第1活性炭フィルター55が、外部にこぼれ出ないようにしている。
【符号の説明】
【0073】
1…浄水器、10…容器、12…蓄圧式ポンプ、14…排出用コック、30…フィルターユニット、31…プレフィルターユニット、32…ポストフィルターユニット、33…活性炭フィルターユニット、34…MF中空糸フィルターユニット、35,40…吸入開口部、36…端部、37…開口部、41,52…嵌着開口部、42…プレフィルターケース、43…プレフィルター、44…金網、45,63…スポンジシート、46,62…不織布シート、47…不織布シート、50…端部、50a…内側端面、51…導入開口部、53…活性炭フィルターケース、54…活性炭フィルター、55…第1活性炭フィルター、56…第2活性炭フィルター、57…仕切りフィルター、58,76…凸状部、59,77…パッキン溝、60…中間フィルター、61…活性炭シート、71…MF中空糸フィルター、75…パッキン、80…プレフィルターユニット取付け部、81…排出用コック取付け部