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特開2024-127234DCDCコンバータ、その制御方法、及び、制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127234
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】DCDCコンバータ、その制御方法、及び、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036241
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】尾形 冬馬
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS05
5H730BB13
5H730DD04
5H730EE13
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD26
5H730FF07
5H730FG07
(57)【要約】
【課題】電力効率を向上させるのに適したDCDCコンバータを提供すること。
【解決手段】DCDCコンバータは、外部入力端子と平滑化フィルタのインダクタとの間に設けられた第1スイッチ素子と、インダクタと基準電圧端子との間に設けられた第2スイッチ素子と、出力電圧が下限値以下に低下したことを検出する下限検出回路と、出力電圧の上限値に対応する電圧を検出する電圧検出回路と、出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、所定期間、第1スイッチ素子をオン、第2スイッチをオフに制御し、所定期間の経過後に、第1スイッチ素子をオフ、第2スイッチ素子をオンに制御し、且つ、出力電圧の上限値に対応する電圧が検出されたタイミングで、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を何れもオフに制御する、制御回路と、出力電圧の上限値に対応する電圧に基づいて所定期間を決定する期間決定回路と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタ及び第1容量素子を有し、外部出力端子の出力電圧を平滑化する平滑化フィルタと、
入力電圧が供給される外部入力端子と、前記インダクタと、の間に設けられた第1スイッチ素子と、
前記インダクタと、基準電圧が供給される基準電圧端子と、の間に設けられた第2スイッチ素子と、
前記出力電圧が下限値以下に低下したことを検出する下限検出回路と、
前記出力電圧の上限値に対応する電圧を検出する電圧検出回路と、
前記下限検出回路によって前記出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、所定期間、前記第1スイッチ素子をオン、前記第2スイッチ素子をオフに制御することにより、前記外部入力端子から前記第1スイッチ素子及び前記インダクタを介して前記外部出力端子に電流を供給し、前記所定期間の経過後に、前記第1スイッチ素子をオフ、前記第2スイッチ素子をオンに制御することにより、前記基準電圧端子から、前記第2スイッチ素子及び前記インダクタを介して、前記外部出力端子に電流を供給し、且つ、前記電圧検出回路によって前記出力電圧の上限値に対応する電圧が検出されたタイミングで、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を何れもオフに制御する、制御回路と、
前記電圧検出回路によって検出された前記出力電圧の上限値に対応する電圧に基づいて、前記所定期間を決定する、期間決定回路と、
を備えた、DCDCコンバータ。
【請求項2】
前記電圧検出回路は、
前記出力電圧が上限値に対応する電圧に達したことを検出する上限検出回路と、
前記上限検出回路によって前記出力電圧が上限値に対応する電圧に達したことが検出されたタイミングで、前記出力電圧の上限値に対応する電圧を検出する上限値検出回路と、
を有する、
請求項1に記載のDCDCコンバータ。
【請求項3】
前記上限検出回路は、
前記インダクタに流れる電流の逆流を検出する逆流検出回路である、
請求項2に記載のDCDCコンバータ。
【請求項4】
前記逆流検出回路は、
前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との間のノードの電圧と、前記基準電圧端子の前記基準電圧と、を比較して、前記インダクタに流れる電流が逆流しているか否かを示す比較結果を出力する第1コンパレータである、
請求項3に記載のDCDCコンバータ。
【請求項5】
前記上限値検出回路は、
前記上限検出回路によって前記出力電圧が上限値に対応する電圧に達したことが検出されたタイミングで、前記出力電圧のフィードバック電圧と、参照電圧と、を比較して、比較結果を出力する、ダイナミックコンパレータであって、
前記期間決定回路は、
前記上限値検出回路から出力された比較結果に基づいて、前記所定期間を決定する、
請求項2に記載のDCDCコンバータ。
【請求項6】
前記期間決定回路は、
前記上限値検出回路から前記フィードバック電圧が前記参照電圧以上であることを示す比較結果が出力された場合に、前記所定期間を一段階小さくし、前記上限値検出回路から前記フィードバック電圧が前記参照電圧未満であることを示す比較結果が出力された場合に、前記所定期間を一段階大きくする、
請求項5に記載のDCDCコンバータ。
【請求項7】
前記期間決定回路は、
前記上限値検出回路から出力された比較結果に応じて、カウント値をカウントアップ又はカウントダウンさせるアップダウンカウンタと、
第1信号に複数の異なる遅延量の遅延を付加して出力するインバータ群と、
前記アップダウンカウンタのカウント値に応じた遅延量の遅延が付加された前記第1信号を選択して第2信号として出力するセレクタと、
を有し、
前記第1信号と前記第2信号との遅延差を前記所定期間として決定する、
請求項5に記載のDCDCコンバータ。
【請求項8】
前記上限値検出回路は、
前記上限検出回路によって前記出力電圧が上限値に対応する電圧に達したことが検出されたタイミングで、前記出力電圧のフィードバック電圧と、参照電圧と、に応じた積分結果を出力する積分器を有し、
前記期間決定回路は、
定電流源と、
前記定電流源から供給される電流を電圧に変換する第2容量素子と、
前記第2容量素子によって変換された電圧と、前記上限値検出回路から出力された積分結果と、を比較して、前記所定期間を表す比較結果を出力する第2コンパレータと、
を有する、
請求項2に記載のDCDCコンバータ。
【請求項9】
インダクタ及び第1容量素子を有し、外部出力端子の出力電圧を平滑化する平滑化フィルタと、
入力電圧が供給される外部入力端子と、前記インダクタと、の間に設けられた第1スイッチ素子と、
前記インダクタと、基準電圧が供給される基準電圧端子と、の間に設けられた第2スイッチ素子と、
前記出力電圧が下限値以下に低下したことを検出する下限検出回路と、
前記出力電圧の上限値に対応する電圧を検出する電圧検出回路と、
を少なくとも備えた、DCDCコンバータの制御方法であって、
前記下限検出回路によって前記出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、所定期間、前記第1スイッチ素子をオン、前記第2スイッチ素子をオフに制御することにより、前記外部入力端子から前記第1スイッチ素子及び前記インダクタを介して前記外部出力端子に電流を供給し、
前記所定期間の経過後に、前記第1スイッチ素子をオフ、前記第2スイッチ素子をオンに制御することにより、前記基準電圧端子から、前記第2スイッチ素子及び前記インダクタを介して、前記外部出力端子に電流を供給し、
前記電圧検出回路によって前記出力電圧の上限値に対応する電圧が検出されたタイミングで、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を何れもオフに制御し、
前記電圧検出回路によって検出された前記出力電圧の上限値に対応する電圧に基づいて、前記所定期間を決定し、
前記下限検出回路によって次に前記出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、新たに決定した所定期間、前記第1スイッチ素子をオン、前記第2スイッチ素子をオフに制御することにより、前記外部入力端子から前記第1スイッチ素子及び前記インダクタを介して前記外部出力端子に電流を供給する、
DCDCコンバータの制御方法。
【請求項10】
インダクタ及び第1容量素子を有し、外部出力端子の出力電圧を平滑化する平滑化フィルタと、
入力電圧が供給される外部入力端子と、前記インダクタと、の間に設けられた第1スイッチ素子と、
前記インダクタと、基準電圧が供給される基準電圧端子と、の間に設けられた第2スイッチ素子と、
前記出力電圧が下限値以下に低下したことを検出する下限検出回路と、
前記出力電圧の上限値に対応する電圧を検出する電圧検出回路と、
を少なくとも備えた、DCDCコンバータの制御処理をコンピュータに実行させる制御プログラムであって、
前記下限検出回路によって前記出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、所定期間、前記第1スイッチ素子をオン、前記第2スイッチ素子をオフに制御することにより、前記外部入力端子から前記第1スイッチ素子及び前記インダクタを介して前記外部出力端子に電流を供給する処理と、
前記所定期間の経過後に、前記第1スイッチ素子をオフ、前記第2スイッチ素子をオンに制御することにより、前記基準電圧端子から、前記第2スイッチ素子及び前記インダクタを介して、前記外部出力端子に電流を供給する処理と、
前記電圧検出回路によって前記出力電圧の上限値に対応する電圧が検出されたタイミングで、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を何れもオフに制御する処理と、
前記電圧検出回路によって検出された前記出力電圧の上限値に対応する電圧に基づいて、前記所定期間を決定する処理と、
前記下限検出回路によって次に前記出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、新たに決定した所定期間、前記第1スイッチ素子をオン、前記第2スイッチ素子をオフに制御することにより、前記外部入力端子から前記第1スイッチ素子及び前記インダクタを介して前記外部出力端子に電流を供給する処理と、
をコンピュータに実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DCDCコンバータ、その制御方法、及び、制御プログラムに関し、例えば、安定した出力電圧を生成しつつ電力効率を向上させるのに適したDCDCコンバータ、その制御方法、及び、制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、ダイナミックコンパレータを用いてインダクタの充電開始を検知するDCDCコンバータが開示されている。ここで、非特許文献1に開示されたDCDCコンバータは、低負荷時において、ダイナミックコンパレータに供給されるクロックの周波数を低下させることにより、消費電流を低減させている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Jong-Seok Kim, Jin-O Yoon, and Byong-Deok Choi, "A High-Light-Load-Efficiency Low-Ripple-Voltage PFM Buck Converter for IoT Applications", IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS, VOL. 37, NO. 5, MAY 2022, pp. 5763-5772.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、低負荷時におけるDCDCコンバータのさらなる電力効率の改善が求められている。しかしながら、低負荷時にDCDCコンバータの消費電流を低減させようとすると、出力電圧にリップルが発生してしまい、安定した出力電圧の生成が困難になってしまう。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示にかかるDCDCコンバータは、インダクタ及び第1容量素子を有し、外部出力端子の出力電圧を平滑化する平滑化フィルタと、入力電圧が供給される外部入力端子と、前記インダクタと、の間に設けられた第1スイッチ素子と、前記インダクタと、基準電圧が供給される基準電圧端子と、の間に設けられた第2スイッチ素子と、前記出力電圧が下限値以下に低下したことを検出する下限検出回路と、前記出力電圧の上限値に対応する電圧を検出する電圧検出回路と、前記下限検出回路によって前記出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、所定期間、前記第1スイッチ素子をオン、前記第2スイッチ素子をオフに制御することにより、前記外部入力端子から前記第1スイッチ素子及び前記インダクタを介して前記外部出力端子に電流を供給し、前記所定期間の経過後に、前記第1スイッチ素子をオフ、前記第2スイッチ素子をオンに制御することにより、前記基準電圧端子から、前記第2スイッチ素子及び前記インダクタを介して、前記外部出力端子に電流を供給し、且つ、前記電圧検出回路によって前記出力電圧の上限値に対応する電圧が検出されたタイミングで、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を何れもオフに制御する、制御回路と、前記電圧検出回路によって検出された前記出力電圧の上限値に対応する電圧に基づいて、前記所定期間を決定する、期間決定回路と、を備える。
【0006】
本開示にかかるDCDCコンバータの制御方法は、インダクタ及び第1容量素子を有し、外部出力端子の出力電圧を平滑化する平滑化フィルタと、入力電圧が供給される外部入力端子と、前記インダクタと、の間に設けられた第1スイッチ素子と、前記インダクタと、基準電圧が供給される基準電圧端子と、の間に設けられた第2スイッチ素子と、前記出力電圧が下限値以下に低下したことを検出する下限検出回路と、前記出力電圧の上限値に対応する電圧を検出する電圧検出回路と、を少なくとも備えた、DCDCコンバータの制御方法であって、前記下限検出回路によって前記出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、所定期間、前記第1スイッチ素子をオン、前記第2スイッチ素子をオフに制御することにより、前記外部入力端子から前記第1スイッチ素子及び前記インダクタを介して前記外部出力端子に電流を供給し、前記所定期間の経過後に、前記第1スイッチ素子をオフ、前記第2スイッチ素子をオンに制御することにより、前記基準電圧端子から、前記第2スイッチ素子及び前記インダクタを介して、前記外部出力端子に電流を供給し、前記電圧検出回路によって前記出力電圧の上限値に対応する電圧が検出されたタイミングで、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を何れもオフに制御し、前記電圧検出回路によって検出された前記出力電圧の上限値に対応する電圧に基づいて、前記所定期間を決定し、前記下限検出回路によって次に前記出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、新たに決定した所定期間、前記第1スイッチ素子をオン、前記第2スイッチ素子をオフに制御することにより、前記外部入力端子から前記第1スイッチ素子及び前記インダクタを介して前記外部出力端子に電流を供給する。
【0007】
本開示にかかる制御プログラムは、インダクタ及び第1容量素子を有し、外部出力端子の出力電圧を平滑化する平滑化フィルタと、入力電圧が供給される外部入力端子と、前記インダクタと、の間に設けられた第1スイッチ素子と、前記インダクタと、基準電圧が供給される基準電圧端子と、の間に設けられた第2スイッチ素子と、前記出力電圧が下限値以下に低下したことを検出する下限検出回路と、前記出力電圧の上限値に対応する電圧を検出する電圧検出回路と、を少なくとも備えた、DCDCコンバータの制御処理をコンピュータに実行させる制御プログラムであって、前記下限検出回路によって前記出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、所定期間、前記第1スイッチ素子をオン、前記第2スイッチ素子をオフに制御することにより、前記外部入力端子から前記第1スイッチ素子及び前記インダクタを介して前記外部出力端子に電流を供給する処理と、前記所定期間の経過後に、前記第1スイッチ素子をオフ、前記第2スイッチ素子をオンに制御することにより、前記基準電圧端子から、前記第2スイッチ素子及び前記インダクタを介して、前記外部出力端子に電流を供給する処理と、前記電圧検出回路によって前記出力電圧の上限値に対応する電圧が検出されたタイミングで、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子を何れもオフに制御する処理と、前記電圧検出回路によって検出された前記出力電圧の上限値に対応する電圧に基づいて、前記所定期間を決定する処理と、前記下限検出回路によって次に前記出力電圧が下限値以下に低下したことが検出されたタイミングで、新たに決定した所定期間、前記第1スイッチ素子をオン、前記第2スイッチ素子をオフに制御することにより、前記外部入力端子から前記第1スイッチ素子及び前記インダクタを介して前記外部出力端子に電流を供給する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、安定した出力電圧を生成しつつ電力効率を向上させるのに適したDCDCコンバータ、その制御方法、及び、制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1にかかるDCDCコンバータの構成例を示す図である。
図2図2は、図1に示すDCDCコンバータの動作を示すタイミングチャートである。
図3図3は、負荷に供給される電流と、出力電圧のリップルと、の関係を示す図である。
図4図4は、図1に示すDCDCコンバータに設けられた電圧比較回路の第1の具体的な構成例を示す図である。
図5図5は、図1に示すDCDCコンバータに設けられたオン期間決定回路の第1の具体的な構成例を示す図である。
図6図6は、図1に示すDCDCコンバータに設けられた電圧比較回路の第2の具体的な構成例を示す図である。
図7図7は、図1に示すDCDCコンバータに設けられたオン期間決定回路の第2の具体的な構成例を示す図である。
図8図8は、課題を説明するための図である。
図9図9は、課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。ただし、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0012】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0013】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかるDCDCコンバータ1の構成例を示す図である。
図1に示すように、DCDCコンバータ1は、制御回路11と、駆動回路12と、下限検出回路13と、逆流検出回路14と、電圧比較回路15と、オン期間決定回路16と、トランジスタ(第1スイッチ素子)MP1と、トランジスタ(第2スイッチ素子)MN1と、インダクタL1と、容量素子C1と、抵抗素子R1と、を備える。逆流検出回路14及び電圧比較回路15によって電圧検出回路20が構成される。なお、図1には、負荷Ldも示されている。
【0014】
トランジスタMP1は、Pチャネル型MOSトランジスタであって、駆動回路12から出力されるパルス信号P1によってオンオフを切り替える。具体的には、トランジスタMP1では、ソースが入力電圧VIの供給される入力端子INに接続され、ドレインがインダクタL1の一方の端子(ノードN1)に接続され、ゲートにパルス信号P1が供給されている。トランジスタMP1は、パルス信号P1がLレベルの場合にオンし、パルス信号P1がHレベルの場合にオフする。
【0015】
トランジスタMN1は、Nチャネル型MOSトランジスタであって、駆動回路12から出力されるパルス信号P2によってオンオフを切り替える。具体的には、トランジスタMN1では、ソースが基準電圧VSSの供給される基準電圧端子(以下、基準電圧端子VSSと称す)に接続され、ドレインがインダクタL1の一方の端子(ノードN1)に接続され、ゲートにパルス信号P2が供給されている。トランジスタMN1は、パルス信号P2がHレベルの場合にオンし、パルス信号P2がLレベルの場合にオフする。
【0016】
インダクタL1は、トランジスタMP1,MN1間のノードN1と、出力端子OUTと、の間に設けられている。容量素子C1は、出力端子OUTと、基準電圧端子VSSと、の間に設けられている。インダクタL1及び容量素子C1は、出力電圧VOを平滑化する平滑化フィルタを構成している。以下、出力端子OUTの電圧を、出力電圧VOと称す。図1の例では、出力電圧VOは、負荷Ldに供給されている。
【0017】
制御回路11は、駆動回路12を用いて、PFM制御方式(Pulse Frequency Modulation)により、トランジスタMP1,MN1のオンオフの切り替えを制御する。具体的には、制御回路11は、パルス信号P1のHレベル及びLレベルのうち何れか一方(本例ではLレベル)の期間のみを変化させることによって、パルス信号P1のデューティ比を調整し、それによって、出力電圧VOを所望のレベルに安定させる。
【0018】
下限検出回路13は、所謂コンパレータであって、出力電圧VOが下限値以下に低下したことを検出する。具体的には、下限検出回路13は、出力電圧VOを抵抗素子R1の一部によって分圧した電圧(即ち、出力電圧VOに応じた電圧)と、参照電圧VREF1と、を比較して、出力電圧VOが下限値以下であるか否かを示す検出結果LLを出力する。一般的に出力電圧VOの低下速度は緩やかであるため、下限検出回路13の応答速度は高速である必要はない。したがって、下限検出回路13は、応答速度が遅くなる代わりに消費電力が低減されるように構成されることができる。
【0019】
例えば、下限検出回路13は、出力電圧VOが下限値以下に低下すると、検出結果LLをHレベルからLレベルに切り替える。また、下限検出回路13は、出力電圧VOが上昇して下限値より高くなると、検出結果LLをLレベルからHレベルに切り替える。
【0020】
ここで、制御回路11は、下限検出回路13によって出力電圧VOが下限値以下に低下したことが検出されると、駆動回路12を用いて、トランジスタMP1をオンに制御し、トランジスタMN1をオフに制御することにより、インダクタL1の充電を開始させる。このとき、入力端子INからトランジスタMP1及びインダクタL1を介して出力端子OUTに電流が流れるため、出力電圧VOは徐々に上昇する。その後、制御回路11は、設定期間TOが経過すると、駆動回路12を用いてトランジスタMP1をオンからオフに切り替えることにより、インダクタL1の充電を停止させる。このとき、インダクタL1の逆起電力により、基準電圧端子VSSからトランジスタMN1及びインダクタL1を介して出力端子OUTに電流が流れるため、出力電圧VOは引き続き上昇する。
【0021】
電圧検出回路20は、出力電圧VOの上限値に対応する電圧を検出する。電圧検出回路20において、逆流検出回路14は、出力電圧VOが上限値に対応する電圧に達したことを検出する上限検出回路である。また、電圧検出回路20において、電圧比較回路15は、出力電圧VOの上限値に対応する電圧を検出する上限値検出回路である。以下、逆流検出回路14及び電圧比較回路15について具体的に説明する。
【0022】
逆流検出回路14は、所謂コンパレータであって、トランジスタMN1からインダクタL1を介して負荷Ldに向けて順方向に流れていた電流ILが、負荷LdからインダクタL1を介してトランジスタMN1に向けて逆方向に流れ始めるのを検出する。具体的には、逆流検出回路14は、トランジスタMP1,MN1間のノードN1の電圧LX(トランジスタMN1のドレイン電圧)と、トランジスタMN1のソース電圧と、を比較して、トランジスタMN1のドレイン電圧がソース電圧以上になった場合に、検出結果BSをLレベルからHレベルに切り替える。
【0023】
ここで、制御回路11は、逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出された場合、駆動回路12を用いてトランジスタMP1,MN1を何れもオフに制御することにより、インダクタL1に流れる電流ILの逆流を防ぐ。このとき、インダクタL1から出力端子OUTへの電流の流れが停止するため、出力電圧VOは徐々に低下する。なお、トランジスタMP1,MN1がオフすることによって、インダクタL1に流れる電流ILの逆流が停止すると、逆流検出回路14は検出結果BSをHレベルからLレベルに切り替える。制御回路11によって上述のようなトランジスタMP1,MN1のオンオフの切り替えが繰り返されることにより、出力電圧VOは所望のレベルに安定する。
【0024】
電圧比較回路15は、逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出されたタイミング(即ち、逆流検出回路14の検出結果BSがLレベルからHレベルに切り替わったタイミング)で、出力電圧VOのフィードバック電圧FBINと、参照電圧VREF2と、の比較を行い、比較結果AJを出力する。なお、フィードバック電圧FBINは、出力電圧VOを抵抗素子R1の一部によって分圧した電圧である。
【0025】
オン期間決定回路16は、制御回路11において設定される設定期間TOを決定する。設定期間TOは、トランジスタMP1のオン期間である。換言すると、設定期間TOは、パルス信号P1のLレベルの期間(パルス幅)である。
【0026】
具体的には、オン期間決定回路16は、逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出されたタイミングで、制御回路11から出力された信号DIの立ち上がりを受信する。そして、オン期間決定回路16は、電圧比較回路15の比較結果AJに応じた遅延量の遅延を信号DIに付加して信号DOとして制御回路11に出力する。つまり、オン期間決定回路16は、信号DIの立ち上がりから信号DOの立ち上がりまでの期間を、設定期間TOとして決定する。
【0027】
例えば、フィードバック電圧FBIN(出力電圧VOに対応する電圧)が参照電圧VREF2以上の場合、出力電圧VOが期待値よりも高いということであるため、オン期間決定回路16は、信号DIに付加する遅延量を少なくする。つまり、オン期間決定回路16は、設定期間TOを一段階短くする。それに対し、フィードバック電圧FBIN(出力電圧VOに対応する電圧)が参照電圧VREF2未満である場合、出力電圧VOが期待値より低いということであるため、オン期間決定回路16は、信号DIに付加する遅延量を多くする。つまり、オン期間決定回路16は、設定期間TOを一段階長くする。そして、制御回路11は、次にトランジスタMP1をオンするときに、オン期間決定回路16によって決定された設定期間TOの長さだけオンする。
【0028】
このように、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、インダクタL1に流れる電流ILの逆流を検出したタイミングで出力電圧VO(出力電圧VOの上限値)のサンプリングを行い、サンプリングしたその出力電圧VOに基づいて次のサイクルのインダクタL1の充電期間(トランジスタMP1のオン期間)を決定する。ここで、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、高速なクロック信号を用いることなく、インダクタL1に流れる電流ILの逆流を検出したタイミングのみで、出力電圧VOの上限値を検出しているため、消費電力を低減させることができる。また、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、インダクタL1の充電期間を固定する場合と比較して、インダクタL1の充電期間が必要以上に長くならないように調整することができるため、出力電圧に発生するリップルを抑制することができる。さらに、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、サンプリングした出力電圧VOに基づいて次のサイクルのインダクタL1の充電期間を決定するフィードバック制御を行っているため、フィードバック制御に必要な十分な時間を確保することができる。つまり、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、安定した出力電圧を生成しつつ、低負荷時においても電力効率を向上させることができる。
【0029】
(DCDCコンバータ1の動作)
続いて、図1に加えて、図2を用いて、DCDCコンバータ1の動作を説明する。
【0030】
DCDCコンバータ1において、下限検出回路13は、出力電圧VOが下限値以下に低下すると、検出結果LLをHレベルからLレベルに切り替える(時刻t11)。制御回路11は、下限検出回路13によって出力電圧VOが下限値以下に低下したことが検出されると、駆動回路12を用いて、トランジスタMP1をオンに制御し、トランジスタMN1をオフに制御することにより、インダクタL1の充電を開始させる(時刻t11)。このとき、入力端子INからトランジスタMP1及びインダクタL1を介して出力端子OUTに電流が流れるため、出力電圧VOは徐々に上昇する(時刻t11~t12)。
【0031】
その後、制御回路11は、設定期間TOが経過すると、駆動回路12を用いて、トランジスタMP1をオンからオフに切り替えることにより、インダクタL1の充電を停止させる(時刻t12)。このとき、インダクタL1の逆起電力により、基準電圧端子VSSからトランジスタMN1及びインダクタL1を介して出力端子OUTに電流が流れる。それにより、出力電圧VOは引き続き上昇する(時刻t12~t13)。
【0032】
その後、逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出された場合、制御回路11は、駆動回路12を用いてトランジスタMP1,MN1を何れもオフに制御することにより、インダクタL1に流れる電流ILの逆流を防ぐ(時刻t13)。このとき、インダクタL1から出力端子OUTへの電流の流れが停止するため、出力電圧VOは徐々に低下する(時刻t13~t14)。
【0033】
DCDCコンバータ1は、時刻t11~t14のトランジスタMP1,MN1のオンオフ制御を繰り返すことにより、出力電圧VOを所望のレベルに安定させる(時刻t11~t14)。なお、出力電圧VOは、容量素子C1によって平滑化される。
【0034】
ここで、DCDCコンバータ1において、電圧比較回路15は、逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出されたタイミングで、出力電圧VOのフィードバック電圧FBINと、参照電圧VREF2と、の比較を行い、比較結果AJを出力する(時刻t13)。
【0035】
また、オン期間決定回路16は、逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出されたタイミングで、制御回路11から出力された信号DIの立ち上がりを受信する。そして、オン期間決定回路16は、電圧比較回路15の比較結果AJに応じた遅延量の遅延を信号DIに付加して信号DOとして制御回路11に出力する。つまり、オン期間決定回路16は、信号DIの立ち上がりから信号DOの立ち上がりまでの期間を、設定期間TOとして決定する。
【0036】
図5の例では、フィードバック電圧FBIN(出力電圧VOに対応する電圧)が参照電圧VREF2以上であり、出力電圧VOが期待値よりも高いため、オン期間決定回路16は、信号DIに付加する遅延量を少なくする。つまり、オン期間決定回路16は、設定期間TOを一段階短くする。そして、制御回路11は、次にトランジスタMP1をオンするときに、オン期間決定回路16によって決定された設定期間TOの長さだけオンする(時刻t14~t15)。
【0037】
このように、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、インダクタL1に流れる電流ILの逆流を検出したタイミングで出力電圧VO(出力電圧VOの上限値)のサンプリングを行い、サンプリングしたその出力電圧VOに基づいて次のサイクルのインダクタL1の充電期間(トランジスタMP1のオン期間)を決定する。ここで、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、高速なクロック信号を用いることなく、インダクタL1に流れる電流ILの逆流を検出したタイミングのみで、出力電圧VOの上限値を検出しているため、消費電力を低減させることができる。また、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、インダクタL1の充電期間を固定する場合と比較して、インダクタL1の充電期間が必要以上に長くならないように調整することができるため、出力電圧に発生するリップルを抑制することができる。さらに、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、サンプリングした出力電圧VOに基づいて次のサイクルのインダクタL1の充電期間を決定するフィードバック制御を行っているため、フィードバック制御に必要な十分な時間を確保することができる。つまり、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、安定した出力電圧を生成しつつ、低負荷時においても電力効率を向上させることができる。
【0038】
また、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、低負荷時における電力効率を向上させることができるため、スタンバイモードなどの低負荷時にLDO(Low Dropout)の代わりに用いられることができる。その結果、DCDCコンバータ1が搭載された装置は、回路規模を低減することができるとともに、モード遷移の時間を短縮することができる。
【0039】
(本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1と関連技術との比較)
例えば、出力電圧VOの上限値を検出したタイミングでトランジスタMP1をオンからオフに切り替える構成を有する第1の関連技術では、高速な応答が必要になるため、低消費電力化が困難である(図8参照)。また、トランジスタMP1のオン期間を固定する構成を有する第2の関連技術では、オン期間を長めに設定することにより、低消費電力化が可能であるが、出力電圧にリップルが発生してしまう(図9参照)。それに対し、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、上記したように、第1及び第2の関連技術とは異なり、安定した出力電圧を生成しつつ電力効率を向上させることができる。
【0040】
図3は、負荷Ldに供給される電流と、出力電圧VOのリップルと、の関係を示す図である。図3の例では、実線が、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1の実験結果を表し、破線が、第1の関連技術のDCDCコンバータの実験結果を表している。図3に示すように、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1では、応答性能に関わらず(即ち、応答性能が低い場合でも)、出力電圧VOに発生するリップルが抑制されている。
【0041】
<実施の形態2>
本実施の形態では、DCDCコンバータ1に設けられた電圧比較回路15及びオン期間決定回路16のそれぞれの第1の具体的な構成例について説明する。図4は、電圧比較回路15の第1の具体的な構成例を電圧比較回路15aとして示す図である。図5は、オン期間決定回路16の第1の具体的な構成例をオン期間決定回路16aとして示す図である。
【0042】
まず、図4を用いて、電圧比較回路15aについて説明する。図4に示すように、電圧比較回路15aは、所謂ダイナミックコンパレータであって、トランジスタTR11~TR15,TR21~TR25,TR31を有する。本実施の形態では、各トランジスタTR11,TR13,TR14,TR21,TR23,TR24が、PチャネルMOSトランジスタであって、各トランジスタTR12,TR15,TR22,TR25,TR31が、NチャネルMOSトランジスタである場合を例に説明する。
【0043】
トランジスタTR11では、ソースが電源電圧VDDの供給される電源電圧端子(以下、電源電圧端子VDDと称す)に接続され、ドレインがノードN11に接続され、ゲートがノードN21に接続されている。トランジスタTR12では、ソースがノードN12に接続され、ドレインがノードN11に接続され、ゲートがノードN21に接続されている。トランジスタTR21では、ソースが電源電圧端子VDDに接続され、ドレインがノードN21に接続され、ゲートがノードN11に接続されている。トランジスタTR22では、ソースがノードN22に接続され、ドレインがノードN21に接続され、ゲートがノードN11に接続されている。つまり、トランジスタTR11,TR12からなる第1のインバータINV1と、トランジスタTR21,TR22からなる第2のインバータと、がループ状に接続されることによって、記憶回路を構成している。
【0044】
トランジスタTR15では、ソースがノードN31に接続され、ドレインがノードN12に接続され、ゲートに参照電圧VREF2が供給されている。トランジスタTR25では、ソースがノードN31に接続され、ドレインがノードN22に接続され、ゲートにフィードバック電圧FBIN(出力電圧VOに対応する電圧)が供給されている。
【0045】
トランジスタTR13では、ソースが電源電圧端子VDDに接続され、ドレインがノードN11に接続され、ゲートに逆流検出回路14の検出結果BSが供給されている。トランジスタTR14では、ソースが電源電圧端子VDDに接続され、ドレインがノードN12に接続され、ゲートに逆流検出回路14の検出結果BSが供給されている。トランジスタTR23では、ソースが電源電圧端子VDDに接続され、ドレインがノードN21に接続され、ゲートに逆流検出回路14の検出結果BSが供給されている。トランジスタTR24では、ソースが電源電圧端子VDDに接続され、ドレインがノードN22に接続され、ゲートに逆流検出回路14の検出結果BSが供給されている。トランジスタTR31では、ソースが基準電圧端子VSSに接続され、ドレインがノードN31に接続され、ゲートに、逆流検出回路14の検出結果BSが供給されている。
【0046】
つまり、逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出されない期間では、トランジスタTR13,TR14,TR23,TR24がオンし、トランジスタTR31がオフする。そして、逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出されたタイミングで、トランジスタTR13,TR14,TR23,TR24がオフし、トランジスタTR31がオンすることにより、電圧比較回路15が一時的に比較動作を行う。
【0047】
例えば、フィードバック電圧FBINが参照電圧VREF2以上である場合、トランジスタTR25のオン抵抗がトランジスタTR15のオン抵抗よりも小さくなるため、トランジスタTR25のドレイン(ノードN22)に蓄積された電荷が、トランジスタTR15のドレイン(ノードN12)に蓄積された電荷よりも早く引き抜かれる。それにより、トランジスタTR22がトランジスタTR12よりも早くオンするため、ノードN21(第2のインバータINV2の出力)の電圧レベルがLレベルを示し、ノードN11(第1のインバータINV1の出力、且つ、比較結果AJ)の電圧レベルがHレベルを示す。つまり、フィードバック電圧FBINが参照電圧VREF2以上である場合、電圧比較回路15aは、Hレベルの比較結果AJを出力する。
【0048】
それに対し、フィードバック電圧FBINが参照電圧VREF2未満である場合、トランジスタTR15のオン抵抗がトランジスタTR25のオン抵抗よりも小さくなるため、トランジスタTR15のドレイン(ノードN12)に蓄積された電荷が、トランジスタTR25のドレイン(ノードN22)に蓄積された電荷よりも早く引き抜かれる。それにより、トランジスタTR12がトランジスタTR22よりも早くオンするため、ノードN11(第1のインバータINV1の出力、且つ、比較結果AJ)の電圧レベルがLレベルを示し、ノードN21(第2のインバータINV2の出力)の電圧レベルがHレベルを示す。つまり、フィードバック電圧FBINが参照電圧VREF2未満である場合、電圧比較回路15aは、Lレベルの比較結果AJを出力する。
【0049】
続いて、図5を用いて、オン期間決定回路16aについて説明する。図5に示すように、オン期間決定回路16aは、アップダウンカウンタ161と、インバータ群162と、セレクタ163と、を備える。
【0050】
アップダウンカウンタ161は、逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出されたタイミングで制御回路11から出力された信号DIの立ち上がりを受信すると、予め設定されているカウント値(具体的には、前回設定されたカウント値)を、電圧比較回路15aの比較結果AJに応じてカウントアップ又はカウントダウンさせる。
【0051】
例えば、比較結果AJがHレベルを示す場合(即ち、出力電圧VOが期待値より大きい場合)、アップダウンカウンタ161は、カウント値を1つカウントダウンさせて選択信号S1として出力する。それに対し、比較結果AJがLレベルを示す場合(即ち、出力電圧VOが期待値より小さい場合)、アップダウンカウンタ161は、カウント値を1つカウントアップさせて選択信号S1として出力する。
【0052】
インバータ群162は、直列接続された複数のインバータによって構成されており、信号DIを遅延させて出力する。セレクタ163は、選択信号S1に基づいて、インバータ群162を構成する複数のインバータの何れかの出力を選択し、信号DOとして出力する。つまり、セレクタ163は、選択信号S1に応じた遅延量の遅延を信号DIに付加して信号DOとして出力する。
【0053】
例えば、アップダウンカウンタ161のカウント値がカウントダウンされた場合、セレクタ163は、信号DIに付加された遅延の量が少ない信号を選択して信号DOとして出力する。それに対し、アップダウンカウンタ161のカウント値がカウントアップされた場合、セレクタ163は、信号DIに付加された遅延の量が多い信号を選択して信号DOとして出力する。換言すると、セレクタ163は、出力電圧VOが期待値より大きい場合、設定期間TOを一段階短くし、出力電圧VOが期待値より小さい場合、設定期間TOを一段階長くする。そして、制御回路11は、次にトランジスタMP1をオンするときに、オン期間決定回路16aによって決定された設定期間TOの長さだけオンする。
【0054】
なお、電圧比較回路15a及びオン期間決定回路16aは、何れも同等の機能を有する他の構成に適宜変更可能である。
【0055】
<実施の形態3>
本実施の形態では、DCDCコンバータ1に設けられた電圧比較回路15及びオン期間決定回路16のそれぞれの第2の具体的な構成例について説明する。図6は、電圧比較回路15の第2の具体的な構成例を電圧比較回路15bとして示す図である。図7は、オン期間決定回路16の第2の具体的な構成例をオン期間決定回路16bとして示す図である。
【0056】
まず、図6を用いて、電圧比較回路15bについて説明する。図6に示すように、電圧比較回路15bは、所謂積分器であって、オペアンプ151と、容量素子152と、容量素子153と、スイッチ素子154と、スイッチ素子155と、を有する。
【0057】
オペアンプ151では、反転入力端子に参照電圧VREF2が供給され、非反転入力端子にノードN41の電圧が供給される。容量素子152は、オペアンプ151の出力端子及び非反転入力端子の間に設けられている。オペアンプ151の出力は、電圧比較回路15bの比較結果AJとして用いられる。スイッチ素子154,155は、フィードバック電圧FBINが供給される電圧比較回路15bの入力端子と、オペアンプ151の非反転入力端子(ノードN41)と、の間に直列に設けられている。容量素子153は、スイッチ素子154,155の間のノードN42と、基準電圧端子VSSと、の間に設けられている。スイッチ素子154は、逆流検出回路14の検出結果BSの反転信号に基づいてオンオフを切り替える。スイッチ素子155は、逆流検出回路14の検出結果BSに基づいてオンオフを切り替える。
【0058】
逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出されない期間では、スイッチ素子154がオンし、スイッチ素子155がオフしているため、フィードバック電圧FBINの電荷が容量素子153に蓄積される。そして、逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出されたタイミングで、スイッチ素子154がオフし、スイッチ素子155がオフすると、容量素子153に蓄積された電荷に応じた電圧(ノードN42の電圧)は、オペアンプ151の非反転入力端子に供給される。そして、オペアンプ151及び容量素子152からなる積分器は、フィードバック電圧FBINと参照電圧VREF2とに応じた積分結果を、比較結果AJとして出力する。なお、比較結果AJはアナログ電圧である。例えば、フィードバック電圧FBINが大きくなるほど比較結果AJの電位は小さくなり、フィードバック電圧FBINが小さくなるほど比較結果AJの電位は大きくなる。
【0059】
続いて、図7を用いて、オン期間決定回路16bについて説明する。図7に示すように、オン期間決定回路16bは、定電流源164と、容量素子165と、スイッチ素子166と、コンパレータ167と、を有する。
【0060】
定電流源164は、電源電圧端子VDDとノードN51との間に設けられ、ノードN51に定電流を供給する。容量素子165は、ノードN51と基準電圧端子VSSとの間に設けられている。スイッチ素子166は、容量素子165に並列に設けられ、信号DIに基づいてオンオフを切り替える。コンパレータ167は、ノードN51の電位と、電圧比較回路15bの比較結果AJと、を比較して、比較結果を信号DOとして出力する。
【0061】
逆流検出回路14によってインダクタL1に流れる電流ILの逆流が検出されたタイミングで制御回路11から出力された信号DIの立ち上がりを受信すると、スイッチ素子166がオンからオフに切り替わる。それにより、ノードN51の電位は徐々に上昇する。そして、コンパレータ167は、ノードN51の電位が上昇して比較結果AJの電位に達すると、信号DOを立ち上げる。オン期間決定回路16は、信号DIの立ち上がりから信号DOの立ち上がりまでの期間を、設定期間TOとして決定する。
【0062】
例えば、比較結果AJの電位が小さいほど(即ち、出力電圧VOが期待値よりも大きいほど)、ノードN51の電位が上昇して比較結果AJの電位に達する時間が短くなるため、信号DOの立ち上がり時刻は遅くなる。それに対し、比較結果AJの電位が大きいほど(即ち、出力電圧VOが期待値よりも小さいほど)、ノードN51の電位が上昇して比較結果AJの電位に達する時間が長くなるため、信号DOの立ち上がり時刻は早くなる。換言すると、逆流検出回路14は、出力電圧VOが期待値よりも大きいほど、設定期間TOを短くし、出力電圧VOが期待値よりも小さいほど、設定期間TOを短くする。そして、制御回路11は、次にトランジスタMP1をオンするときに、オン期間決定回路16bによって決定された設定期間TOの長さだけオンする。
【0063】
なお、電圧比較回路15b及びオン期間決定回路16bは、何れも同等の機能を有する他の構成に適宜変更可能である。
【0064】
以上のように、上記実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、インダクタL1に流れる電流ILの逆流を検出したタイミングで出力電圧VO(出力電圧VOの上限値)のサンプリングを行い、サンプリングしたその出力電圧VOに基づいて次のサイクルのインダクタL1の充電期間(トランジスタMP1のオン期間)を決定する。ここで、上記実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、高速なクロック信号を用いることなく、インダクタL1に流れる電流ILの逆流を検出したタイミングのみで、出力電圧VOの上限値を検出しているため、消費電力を低減させることができる。また、本実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、インダクタL1の充電期間を固定する場合と比較して、インダクタL1の充電期間が必要以上に長くならないように調整することができるため、出力電圧に発生するリップルを抑制することができる。さらに、上記実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、サンプリングした出力電圧VOに基づいて次のサイクルのインダクタL1の充電期間を決定するフィードバック制御を行っているため、フィードバック制御に必要な十分な時間を確保することができる。つまり、上記実施の形態にかかるDCDCコンバータ1は、安定した出力電圧を生成しつつ、低負荷時においても電力効率を向上させることができる。
【0065】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0066】
さらに本開示は、DCDCコンバータの制御処理の一部又は全部を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。
【0067】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM(Random-Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid-State Drive)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0068】
1 DCDCコンバータ
11 制御回路
12 駆動回路
13 下限検出回路
14 逆流検出回路
15 電圧比較回路
15a 電圧比較回路
15b 電圧比較回路
16 オン期間決定回路
16a オン期間決定回路
16b オン期間決定回路
20 電圧検出回路
151 オペアンプ
152 容量素子
153 容量素子
154 スイッチ素子
155 スイッチ素子
161 アップダウンカウンタ
162 インバータ群
163 セレクタ
164 定電流源
165 容量素子
166 スイッチ素子
167 コンパレータ
C1 容量素子
L1 インダクタ
Ld 負荷
INV1 第1のインバータ
INV2 第2のインバータ
MN1 トランジスタ
MP1 トランジスタ
R1 抵抗素子
TR11~TR15 トランジスタ
TR21~TR25 トランジスタ
TR31 トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9