(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127245
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】操作検出装置、操作検出ユニットおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0362 20130101AFI20240912BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G06F3/0362
G06F3/041 534
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036263
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】天野 崇
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AB11
5B087BC13
5B087CC21
5B087DD01
5B087DD09
(57)【要約】
【課題】検出面に対して突出した状態で延在する起立部分を有するガイド部材に対する操作について、誤動作の発生を抑制しつつ、ユーザの意図に反して操作が中断されたと判定されることを抑制した「操作検出装置、操作検出ユニットおよび情報処理方法」を提供する。
【解決手段】操作検出装置14の制御部15は、センサパネル3の検出結果に基づいて輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたことを検出する機能を有し、輪状ガイド部材6に対する操作の開始を検出する前は、起立部分8に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する乗り上げ領域18をタッチを有効とする領域から除外する一方、輪状ガイド部材6に対する操作の開始を検出した後は、乗り上げ領域18をタッチを有効とする領域に含める。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量式のセンサパネルの検出面に固定されたガイド部材に対する操作を検出する操作検出装置であって、
前記ガイド部材は、前記検出面に対して前方に突出した状態で延在する起立部分を有し、前記起立部分の側壁にユーザの指が接触しつつ前記側壁に沿って移動する操作に利用されることが想定された部材であり、
前記センサパネルの検出結果に基づいて前記ガイド部材に対する操作が開始されたことを検出する機能を有し、前記ガイド部材に対する操作の開始を検出する前は、前記起立部分に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する乗り上げ領域をタッチを有効とする領域から除外する一方、前記ガイド部材に対する操作の開始を検出した後は、前記乗り上げ領域をタッチを有効とする領域に含める制御部を備える
ことを特徴とする操作検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ガイド部材に対する操作が開始されたことを検出していない状態のときに、タッチを有効とする領域においてタッチ位置が特定の態様で変移したか否かを判別し、特定の態様で変移したときに前記ガイド部材に対する操作が開始されたと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の操作検出装置。
【請求項3】
前記起立部分は、内側に円状領域が形成された正面視で輪状の部分であり、
前記ガイド部材は、前記起立部分の内側の前記側壁にユーザの指が接触しつつ前記側壁に沿って移動する操作に利用されることが想定された部材であり、
前記制御部は、前記ガイド部材に対する操作が開始されたことを検出していない状態のときに、前記円状領域に対応し、タッチを有効とする領域である操作対応領域においてタッチ位置が特定の態様で変移したか否かを判別し、特定の態様で変移したときに前記ガイド部材に対する操作が開始されたと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の操作検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記操作対応領域内で、前記円状領域の中心部を中心として、前記起立部分の内側の前記側壁に沿って前記タッチ位置が一定の角度以上変移したか否かを判別し、変移したときに前記ガイド部材に対する操作が開始されたと判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の操作検出装置。
【請求項5】
前記起立部分は、内側に細長い長方形状の長方形領域が形成された正面視で矩形枠状の部分であり、
前記ガイド部材は、前記長方形領域内で、前記起立部分の対向する一対の側壁に沿ってユーザの指が移動する操作に利用されることが想定された部材であり、
前記制御部は、前記ガイド部材に対する操作が開始されたことを検出していない状態のときに、前記長方形領域に対応し、タッチを有効とする領域である操作対応領域においてタッチ位置が特定の態様で変移したか否かを判別し、特定の態様で変移したときに前記ガイド部材に対する操作が開始されたと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の操作検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記操作対応領域内で、前記一対の側壁に沿って前記タッチ位置が一定の距離以上変移したか否かを判別し、変移したときに前記ガイド部材に対する操作が開始されたと判定する
ことを特徴とする請求項5に記載の操作検出装置。
【請求項7】
静電容量式のセンサパネル、および前記センサパネルの検出面に固定され、前記検出面に対して前方に突出した状態で延在する起立部分を有し、前記起立部分の側壁にユーザの指が接触しつつ前記側壁に沿って移動する操作に利用されることが想定されたガイド部材を有する入力装置と、
前記センサパネルの検出結果に基づいて前記ガイド部材に対する操作が開始されたことを検出する機能を有し、前記ガイド部材に対する操作の開始を検出する前は、前記起立部分に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する乗り上げ領域をタッチを有効とする領域から除外する一方、前記ガイド部材に対する操作の開始を検出した後は、前記乗り上げ領域をタッチを有効とする領域に含める制御部を有する操作検出装置とを備える
ことを特徴とする操作検出ユニット。
【請求項8】
静電容量式のセンサパネルの検出面に固定され、前記検出面に対して前方に突出した状態で延在する起立部分を有し、前記起立部分の側壁にユーザの指が接触しつつ前記側壁に沿って移動する操作に利用されることが想定されたガイド部材に対する操作を検出する操作検出装置による情報処理方法であって、
前記操作検出装置の制御部が、前記ガイド部材に対する操作の開始を検出する前は、前記起立部分に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する乗り上げ領域をタッチを有効とする領域から除外するステップと、
前記操作検出装置の前記制御部が、前記ガイド部材に対する操作の開始を検出した後は、前記乗り上げ領域をタッチを有効とする領域に含めるステップとを含む
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作検出装置、操作検出ユニットおよび操作検出方法に関し、特に、静電容量式のセンサパネルの検出面に固定されたガイド部材に対する操作を検出する操作検出装置、当該センサパネルと当該操作検出装置とを含んで構成された操作検出ユニット、および当該操作検出装置による情報処理方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量式のセンサパネルを備える入力装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、この種の入力装置として、表示部11とタッチパネル2(センサパネル)とを備え、タッチパネル2の一部が湾曲することによって凹部が形成された入力表示装置S1(入力装置)が記載されている。また従来、センサパネルと、センサパネルの検出面に固定されたガイド部材とを有する入力装置が知られている。以下、このようなガイド部材を備える入力装置を、説明の便宜のため「ガイド部材付き入力装置」という。
【0003】
図18はガイド部材付き入力装置X1の一例の正面図であり、
図19は
図18のA-A断面図である。
図18、19で示すガイド部材付き入力装置X1は、非常に単純化したものである。
図18、19で示すように、ガイド部材付き入力装置X1は、センサパネルX2と、センサパネルX2の前面に設けられたカバー部材X3と、カバー部材X3に固定されたガイド部材X4とを備えている。ガイド部材X4は、カバー部材X3に対して固定されている。
図18、19で示すようにガイド部材X4は、正面視で輪状の起立部分X5を有している。
【0004】
図18、19で示す従来のガイド部材付き入力装置X1では、以下の方法でガイド部材X4に対する操作が行われる。
図20は、ガイド部材X4に対する操作を説明するため、ガイド部材X4の周辺を拡大して示す図である。
図20では、指が接触或いは近接するポイントに丸印を記している。
図20の(A)で示すように、まずユーザの指が、ガイド部材X4の起立部分X5の内側の側壁X6に触れ、かつ、側壁X6の内側の底面に触れるように配置される。その後、
図20の(B)、(C)で示すようにユーザの指が起立部分X5の側壁X6に接触しつつ、側壁X6に沿って移動することによってガイド部材X4に対する操作が行われる。操作を検出する機能を有する操作検出装置(不図示)は、センサパネルX2の検出結果に基づいて上述した操作が行われたことを検出する。
【0005】
なお従来のガイド付き入力装置X1では、起立部分X5に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する領域では、タッチを有効としない。これは以下の理由による。すなわち起立部分X5は、起立部分X5が存在することを触覚によって伝える機能も有している。この機能によりユーザは、ガイド付き入力装置X1を全く或いはほとんど見ない状態でも、ガイド付き入力装置X1の表面で指を動かし、起立部分X5に指が触れたときに、その位置に起立部分X5が存在することを認識することができる。このように起立部分X5は、ユーザが何らかの入力を意図していない状態で触れる可能性のある部分であり、仮に起立部分X5に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する領域ついてもタッチを有効とすると、起立部分X5に触れたときにタッチが検出され、これに起因して誤動作が発生する可能性があるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のガイド部材付き入力装置のガイド部材に対する操作の検出に関しては、以下の問題があった。以下、ガイド部材付入力装置X1を用いて、従来のガイド部材付き入力装置の問題について説明する。上述した通りガイド部材付入力装置X1では、ユーザの指が起立部分X5の側壁X6に接触しつつ、側壁X6に沿って移動することによってガイド部材X4に対する操作が行われる。そしてこの操作中、側壁X6に沿って指が移動している途中で、指が起立部分X5に乗り上げることがあった。
図20の(D)は、
図20の(B)のタイミングにおいて指が起立部分X5に乗り上げた様子を示している。このとき上述した通り、起立部分X5に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する領域ではタッチが有効ではないため、従来の操作検出装置は、起立部分X5に指が乗り上げた時点でガイド部材X4に対する操作が中断されたと判定する。この場合、ユーザが所望する入力が有効と判定されないことになり、ユーザは改めて操作を最初から行う必要があり、ユーザの満足度および利便性の低下につながる可能性があった。なおユーザが何らかの入力を意図していない状態で起立部分X5に触れたときにタッチが検出され、これに起因して誤動作が発生することは当然に抑制する必要がある。
【0008】
以上の問題は、ガイド部材付入力装置X1のように、正面視で輪状の起立部分を有するガイド部材を備える入力装置に限られず、検出面に対して突出した状態で延在する起立部分を有するガイド部材を備える入力装置について広く発生し得るものである。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、検出面に対して突出した状態で延在する起立部分を有するガイド部材に対する操作について、誤動作の発生を抑制しつつ、ユーザの意図に反して操作が中断されたと判定されることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明に係る操作検出装置は、以下の構成を備える。すなわち本発明に係る操作検出装置は、静電容量式のセンサパネルの検出面に固定されたガイド部材に対する操作を検出するものである。またガイド部材は、検出面に対して前方に突出した状態で延在する起立部分を有し、起立部分の側壁にユーザの指が接触しつつ側壁に沿って移動する操作に利用されることが想定された部材である。そして操作検出装置は、センサパネルの検出結果に基づいてガイド部材に対する操作が開始されたことを検出する機能を有し、ガイド部材に対する操作の開始を検出する前は、起立部分に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する乗り上げ領域をタッチを有効とする領域から除外する一方、ガイド部材に対する操作の開始を検出した後は、乗り上げ領域をタッチを有効とする領域に含める。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、ガイド部材に対する操作が開始される前は、ガイド部材に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する領域においてタッチが有効とされないため、ユーザが何らかの入力を意図していない状態で起立部分に触れたときに発生し得る誤作動が抑制される。その上で、ガイド部材に対する操作が開始された後は、ガイド部材に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する領域においてタッチが有効とされるため、ユーザが操作中に指を移動させている過程で指が起立部分に乗り上げてしまっても、操作が中断されたと判定されることがなく、ユーザの意図に反して操作が中断されたと判定されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示入力装置の正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る操作検出装置の機能構成例を、操作検出ユニットの構成と共に示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る操作検出装置による情報処理方法を示すフローチャートである。
【
図6】検出面の各検出点に検出された静電容量対応値を記入した図である。
【
図7】操作対応領域および乗り上げ領域の説明に利用する図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る操作検出装置による情報処理方法を示すフローチャートである。
【
図9】輪状ガイド部材の周辺を正面から見た図である。
【
図10】輪状ガイド部材の周辺を正面から見た図である。
【
図11】本発明の変形例に係る表示入力装置の正面図である。
【
図12】
図11のD-D断面図、および、E-E断面図である。
【
図13】矩形枠状ガイド部材の使用態様を示す図である。
【
図14】操作対応領域および乗り上げ領域の説明に利用する図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る操作検出装置による情報処理方法を示すフローチャートである。
【
図16】矩形枠状ガイド部材の周辺を正面から見た図である。
【
図17】矩形枠状ガイド部材の周辺を正面から見た図である。
【
図18】従来のガイド部材付き入力装置を正面から見た図である。
【
図20】従来のガイド部材の周辺を正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る表示入力装置1(入力装置)の正面図である。
図2は、
図1のB-B断面図である。
図1、2で示す表示入力装置1は、装置の構造を単純化して示すものである。以下では、表示入力装置1を基準とした前後方向、左右方向、上下方向を、
図1、2の矢印で示したように定義する。
【0014】
表示入力装置1は、液晶ディスプレイや有機ELパネル等の表示パネル2と、この表示パネル2に重ねて配置されたセンサパネル3とを備えている。センサパネル3には、ユーザによる操作を検出する検出面4が形成されている。センサパネル3については後に詳述する。表示入力装置1は、表示パネル2に映像を表示する機能、および、ユーザによる検出面4への操作を受け付ける機能を備えている。表示入力装置1は、例えば車両のインストルメンタルパネル、車両のセンターコンソール、その他の車両の所定の場所に設けられる。ただし表示入力装置1が設けられる場所は例示した場所に限られない。
【0015】
図1、2で示すように、センサパネル3の前面には、ガラス、その他の透明部材で構成されたカバー部材5が配置されている。カバー部材5には輪状ガイド部材6(ガイド部材)が設けられている。輪状ガイド部材6は、カバー部材5に対して接着、その他の手段で固定されている。つまり輪状ガイド部材6は、カバー部材5を介してセンサパネル3の検出面4に固定されている。輪状ガイド部材6は、透明材料で構成された透明な部材である。ただし輪状ガイド部材6は、透明でなくてもよい。本実施形態では輪状ガイド部材6はカバー部材5と別体であるが、これらを一体的な部材としてもよい。
【0016】
図1、2で示すように、輪状ガイド部材6は、その裏面がカバー部材5に接着された円盤状の土台部分7と、土台部分7を囲んで設けられた起立部分8とを含んで構成されている。
図1、2で示すように、起立部分8は正面視で輪状の部分であり、その内側に円状の円状領域9が形成されている。起立部分8は、検出面4に対して前方に突出した状態で延在する部分であり、その内側に内側側壁10(側壁)が形成され、その外側に外側側壁11が形成されている。内側側壁10は、底面12(円状領域9に属する土台部分7の表面)から一定距離だけ立ち上がって形成されている。
【0017】
輪状ガイド部材6は、以下の2つの態様で操作される。第1の態様は、ユーザの指が、輪状ガイド部材6の起立部分8の内側側壁10に触れつつ、内側側壁10に沿って、起立部分8の中心部O(
図1)を中心として時計回りY1(
図1)に回転するように移動される態様である。ユーザにより以上の操作が行われると、後述する操作検出装置14の制御部15は、ユーザの指が中心部Oを中心として時計回りY1に「45°」回転する度に、入力を有効として対応するアクションを実行する。
【0018】
図3は、輪状ガイド部材6の使用態様を示す図である。詳述すると
図3の(A)の(A1)を参照し、第1の態様ではまずユーザの指が、輪状ガイド部材6の起立部分8の内側側壁10に触れ、かつ、内側側壁10の内側の底面12に触れるように配置される。
図3では、底面12において指が接触或いは近接するポイントに丸印を記している。なお輪状ガイド部材6の操作にあたって最初に指が配置される位置は、
図3の(A)の(A1)で示す位置に限られず、内側側壁10の内側の任意の位置でよい。このことは輪状ガイド部材6の操作に係る第2の態様についても同様である。その後、
図3の(A)の(A2)、(A3)で示すようにユーザの指が起立部分8の内側側壁10に接触しつつ、内側側壁10に沿って中心部Oを中心として回転するように移動することによって輪状ガイド部材6に対する操作が行われる。
【0019】
図3の(A)で示す操作が行われた場合、操作検出装置14の制御部15は、
図3の(A)の(A1)の状態から(A2)の状態となったときに指が45°回転したことを検出し、入力を有効とし、対応するアクションを実行する。本実施形態では単純化した一例として、制御部15は、不図示のオーディオ装置の音量を一単位だけ増大するアクションを実行する。更に操作検出装置14の制御部15は、
図3の(A)の(A2)の状態から(A3)の状態となったときに指が45°回転したことを検出し、入力を有効とし、対応するアクション(音量を一単位だけ増大させるアクション)を実行する。このようにユーザは、起立部分8の内側側壁10に指を接触させつつ、円状領域9の中心部Oを中心として時計回りY1に指を移動させることによって、オーディオ装置の音量を段階的に増大させることができる。
【0020】
輪状ガイド部材6の操作に係る第2の態様は、ユーザの指が、輪状ガイド部材6の起立部分8の内側側壁10に触れつつ、内側側壁10に沿って、起立部分8の中心部Oを中心として反時計回りY2に回転するように移動される操作である。ユーザにより以上の操作が行われると、後述する操作検出装置14の制御部15は、ユーザの指が中心部Oを中心として反時計回りY2に「45°」回転する度に、入力を有効として対応するアクションを実行する。対応するアクションは、オーディオ装置の音量を一単位だけ減少させるアクションである。
【0021】
図3の(B)は、第2の態様に係る操作について、
図3の(A)と同様の方法で示している。
図3の(B)の例では、
図3の(B)の(B1)の状態から(B2)の状態となったとき、および、
図3の(B)の(B2)の状態から(B3)の状態となったときに、操作検出装置14の制御部15により入力が有効とされ、対応するアクション(音量を一単位だけ減少するアクション)が実行される。このようにユーザは、起立部分8の内側側壁10に指を接触させつつ、円状領域9の中心部Oを中心として反時計回りY2に指を移動させることによって、オーディオ装置の音量を段階的に減少させることができる。
【0022】
なお輪状ガイド部材6に対する操作において指が移動している途中で、指が起立部分8に乗り上げることがある点は、
図20の(D)を用いて説明した通りである。ここで本実施形態に係る表示入力装置1は、車両に設けられる。従って、エンジンの振動、その他の要因により表示入力装置1の筐体が振動する場合があり、これに起因して指が起立部分8に乗り上げるケースが発生しやすい。
【0023】
図4は、本実施形態に係る操作検出装置14の機能構成例を、操作検出ユニット16の構成と共に示すブロック図である。
図4で示すように操作検出ユニット16は、表示入力装置1と、操作検出装置14とを含んで構成される。表示入力装置1は、表示パネル2と、センサパネル3とを含んで構成される。操作検出装置14は機能構成として、制御部15を備えている。制御部15は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、制御部15は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0024】
制御部15は、表示パネル2に映像を表示する機能を有する。以下の説明では、制御部15による表示パネル2への映像の表示は適切に行われるものとして、この機能についての詳細な説明は省略する
【0025】
制御部15は、静電容量対応値検出機能、および、タッチ検出機能を備えている。以下、まずこれら機能について順番に説明する。
【0026】
<静電容量対応値検出機能>
まず静電容量対応値検出機能について説明する。センサパネル3は静電容量式のタッチセンサであり、センサパネル3の検出面4の全域にはマトリックス状に検出点が形成されている。検出点のそれぞれは、静電容量の変化が検出されると共に、静電容量の変化に対応する静電容量対応値が検出される対象となる点である。また操作検出装置14のRAM等の記憶領域には静電容量対応値テーブルが記憶される。この静電容量対応値テーブルは、全ての検出点について、座標を示す座標情報(検出点を一意に識別する識別情報としても機能する)と、制御部15により検出された静電容量対応値とが対応付けて登録される。なお静電容量対応値テーブルは、センサパネル3の検出結果が反映されたデータである。従って制御部15により静電容量対応値テーブルが参照されて実行される処理は、センサパネル3の検出結果に基づいて実行される処理である。
【0027】
制御部15は所定周期で、センサパネル3の検出結果に基づいて、全ての検出点の静電容量の変化を検出し、全ての検出点について静電容量の変化の大きさを示す静電容量対応値を検出する。本実施形態では説明の便宜のため、静電容量対応値は0~100点(「点」は、便宜上つけた単位)の範囲で値をとるものとし、静電容量に変化がない場合には最低値の0点となり、想定される最大の変化が生じた場合には、最大値の100点となるものとする。制御部15は、全ての検出点の静電容量対応値を検出した後、検出した各検出点についての静電容量対応値に基づいて静電容量対応値テーブルを更新する。この結果、所定周期で、静電容量対応値テーブルに登録された各検出点の静電容量対応値の値が、直近で制御部15により検出された値に更新される。
【0028】
なおセンサパネル3の方式は自己容量方式または相互容量方式の何れでもよく(当然、他の方式でもよい)、制御部15は、センサパネル3の方式に対応する方法で各検出点における静電容量の変化の検出および静電容量対応値の検出を行う。一例としてセンサパネル3は相互容量方式であり、センサパネル3には左右方向の静電容量の変化を検出すべく透明電極がパターニングされたX側センサと、上下方向の静電容量の変化を検出すべく透明電極がパターニングされたY側センサとが重ねて設けられる。そして制御部15は、X側センサの各電極の静電容量の大きさと、Y側センサの各電極の静電容量の大きさとを所定周期で取得し、これらに基づいて各検出点における静電容量の変化の大きさを検出すると共に、静電容量の変化の大きさを静電容量対応値に変換する。
【0029】
<タッチ検出機能>
次にタッチ検出機能について説明する。
図5のフローチャートFAは、タッチ検出機能に関する、操作検出装置14による情報処理方法を示すフローチャートである。制御部15は、
図5のフローチャートFAの処理を所定周期で実行する。
【0030】
図5で示すように制御部15は、所定の記憶領域に記憶された静電容量対応値テーブルを参照する(ステップSA1)。上述したように静電容量対応値テーブルには、検出面4に形成された検出点のそれぞれについて、座標情報と、直近で検出された静電容量対応値とが登録されている。
【0031】
次いで制御部15は、反応ポイント検出処理を実行する(ステップSA2)。詳述すると反応ポイントAとは、静電容量対応値が最低検出閾値TH1以上である検出点の群(互いに隣接する1つ以上の検出点の集合)のことである。以下、静電容量対応値が最低検出閾値TH1以上である検出点を「反応検出点B」という。最低検出閾値TH1は、ユーザの指が検出面4に近接したときに、これを確実に検出するという観点で事前に定められている。最低検出閾値TH1の値は少なくとも、後述する乗り上げ領域閾値TH2の値以下とされる。なお反応ポイントAは、静電容量対応値が最低検出閾値TH1以上である検出点の群である。このため、検出面4の任意の場所において、何らかの被検出体(指でなくてもよい)が検出面4に近接した場合に、その被検出体に対応する位置に反応ポイントAが出現することになる。
【0032】
ステップSA2において制御部15は、静電容量対応値テーブルに基づいて、各検出点の位置と静電容量対応値との関係を認識し、当該関係に基づいて反応検出点Bの分布を認識し、当該分布に基づいて反応ポイントAを検出する。反応ポイントAは、1つも検出されないこともあれば、1つ以上検出されることもある。
【0033】
なお本実施形態では制御部15は、「反応検出点Bの群」を全て反応ポイントAとして検出する。しかしながら制御部15が、「反応検出点Bの群」を全て反応ポイントAとするのではなく、「反応検出点Bの群」のうち、指が検出面4に近接していることによって出現した可能性が十分に高いもののみを反応ポイントAとして検出する構成でもよい。この構成の場合、例えば制御部15は、許容範囲を超えて細長く反応検出点Bが分布している「反応検出点Bの群」を、反応ポイントAとして検出しない。このような反応検出点Bの分布は、ノイズに起因して発生するものだからである。また例えば制御部15は、許容範囲を超えて広い或いは狭い範囲に反応検出点Bが分布する「反応検出点Bの群」を反応ポイントAとして検出しない。このような反応検出点Bの分布は、指以外の被検出体が検出面4に接触し或いは近接することによって発生するものだからである。
【0034】
ステップSA2の処理後、制御部15は、反応ポイントAが存在するか否かを判別する(ステップSA3)。反応ポイントAが1つも存在しない場合(ステップSA3:NO)、制御部15は、フローチャートFAの処理を終了する。一方、反応ポイントAが1つ以上存在する場合(ステップSA3:YES)、制御部15は、処理手順をステップSA4へ移行する。
【0035】
ステップSA4において制御部15は、反応ポイントAのそれぞれについて反応ポイント位置Cおよび反応ポイント値を決定する。詳述すると制御部15は、反応ポイントAを構成する1つ以上の反応検出点B(静電容量対応値が最低検出閾値TH1以上の検出点)のうち、静電容量対応値が最も高い反応検出点Bを特定する。そして制御部15は、静電容量対応値が最も高い反応検出点Bの、その静電容量対応値を反応ポイント値と決定し、更にその位置を反応ポイント位置Cと決定する。
【0036】
図6は、検出面4を検出点ごとにマトリックス状に分割し、各マスに各検出点の静電容量対応値を記入した図である。今、仮に最低検出閾値TH1が「60点」であるとする。また検出面4のある領域において、
図6で示すように各検出点について静電容量対応値が検出されたとする。
図6の例では、薄く塗り潰した領域に反応ポイントA-1が検出される。
図6の例では反応ポイントA-1に属する反応検出点Bのうち、静電容量対応値が「87点」である反応検出点B-1が、静電容量対応値が最も高い反応検出点Bである。従って制御部15は、反応ポイントA-1について、反応ポイント位置Cを反応検出点B-1の位置と決定し、反応ポイント値を「87点」と決定する。
【0037】
なお反応ポイントAの反応ポイント位置Cおよび反応ポイント値を判定する方法は、本実施形態で例示する方法に限られない。例えば反応ポイント位置Cに関し、制御部15が、反応ポイントAの重心に最も近い位置を反応ポイント位置Cとする構成でもよい。また例えば反応ポイント値に関し、制御部15が、反応ポイントAを構成する反応検出点Bの静電容量対応値について、何らかの統計学的計算を施して反応ポイント値を導出する構成でもよい。
【0038】
ステップSA4の処理後、制御部15は、動作モードが操作開始前モードであるか、それとも操作開始後モードであるかを判別する(ステップSA5)。操作開始後モードとは、輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたことが制御部15により検出されてから、当該操作が解除されたことが制御部15により検出されるまでの期間における動作モードである。操作開始前モードとは、「操作開始後モードの期間」以外の期間における動作モードである。従ってユーザにより輪状ガイド部材6に対する操作が行われていない期間は、動作モードは、原則として操作開始前モードである。後に明らかとなる通り、本実施形態に係る操作検出装置14の制御部15は、センサパネル3の検出結果に基づいて輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたことを検出する機能を有しており、制御部15は、この機能を利用して操作開始前モードと操作開始後モードとの間での動作モードを切り替える。
【0039】
動作モードが操作開始前モードの場合(ステップSA5:「操作開始前モード」)、制御部15は、起立部分8に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する乗り上げ領域18を「タッチを有効とする領域」から除外し、操作対応領域19のみをタッチを有効とする領域とする(ステップSA6)。
【0040】
図7は、操作対応領域19および乗り上げ領域18の説明に利用する図であり、(A)は輪状ガイド部材6の周辺の正面図を示し、(B)は
図7(A)のC-C断面図を示している。操作対応領域19とは、「輪状ガイド部材6の円状領域9に位置する指に基づく反応ポイント位置C」が位置し得る領域である。つまり円状領域9内で指が検出面4に近接した場合、操作対応領域19内に反応ポイント位置Cが位置することになる。従って円状領域9内で内側側壁10に沿って指が移動している期間は、その指に基づく反応ポイント位置Cは操作対応領域19内に位置することになる。
図7の(A)、(B)では操作対応領域19を明示している。特に
図7の(A)において操作対応領域19は、点線で示す円D1の内側の領域である。操作対応領域19は円状領域9に対応する領域であるが、操作対応領域19の外縁と円状領域9の外縁とは必ずしも一致しない。
【0041】
一方、乗り上げ領域18とは、「起立部分8に乗り上げた指に基づく反応ポイント位置C」が位置し得る領域である。つまり乗り上げ領域18は、「起立部分8に乗り上げた指が位置し得る領域」に対応する領域である。従って指が起立部分8に乗り上げた状況では、乗り上げ領域18内にその指に基づく反応ポイント位置Cが位置することになる。
図7の(A)、(B)では乗り上げ領域18を明示している。特に
図7の(A)において乗り上げ領域18は、点線で示す円D1の外側であって、点線で示す円D2の内側の領域である。乗り上げ領域18は、「起立部分8に乗り上げた指が位置し得る領域」に対応する領域であるが、乗り上げ領域18の外縁と、起立部分8を正面視したときの外縁とは必ずしも一致しない。
【0042】
ある領域を「タッチを有効とする領域に含める」とは、その領域に被検出体が検出面4に近接したときに所定の条件を満たす場合には、制御部15によりタッチが検出されることを意味する。一方、ある領域を「タッチを有効とする領域」から除外するとは、その領域においては被検出体がどのような態様で検出面4に近接した場合であっても、制御部15によりタッチが検出されないことを意味する。上述したようにステップSA6において制御部15は、乗り上げ領域18を、タッチを有効とする領域から除外し、操作対応領域19のみをタッチを有効とする領域とする。この処理によって、操作開始前モードのときには、操作対応領域19のみがタッチが検出され得る領域となり、乗り上げ領域18ではタッチが検出されないことになる。ステップSA6の処理の意義は後に明らかとなる。
【0043】
ステップSA6の処理後、制御部15は、操作開始前タッチポイント検出処理を実行する(ステップSA7)。詳述すると制御部15は、通常操作時ポイントEをタッチポイントFとして検出する。通常操作時ポイントEとは、反応ポイントAうち、「反応ポイント位置Cが操作対応領域19(=ステップSA7の時点でタッチを有効とする領域)に属し、かつ、反応ポイント値が操作対応領域閾値TH3以上である反応ポイントA」である。
【0044】
操作対応領域閾値TH3とは、ユーザが輪状ガイド部材6を操作する目的をもって円状領域9内で指を検出面4に近接させたときに、対応する反応ポイントAの反応ポイント値がこの操作対応領域閾値TH3以上となるような値に設定された閾値である。特に操作対応領域閾値TH3は、ユーザが正常な態様で輪状ガイド部材6を操作するために内側側壁10に沿って指を移動させている期間、その指に基づく反応ポイントAの反応ポイント値が、この操作対応領域閾値TH3以上となるような値に設定されている。つまり操作対応領域閾値TH3は、円状領域9内で行われるタッチを検出するための閾値である。
図7の(B)を参照し、円状領域9内で底面12に指を接触させたとき、指と表示入力装置1の表面20との距離は、距離L1となる。操作対応領域閾値は、距離L1を考慮して、事前のテストやシミュレーションに基づいて定められる。
【0045】
ステップSA7において制御部15は、ステップSA4で決定した反応ポイントAのそれぞれについての反応ポイント位置Cおよび反応ポイント値に基づいて、通常操作時ポイントEをタッチポイントFとして検出する。操作対応領域19の座標上の範囲は、事前に定義されている。タッチポイントFは、1つも検出されないこともあれば、1つ以上検出されることもある。以下、タッチポイントF(ステップSA7の操作開始前タッチポイント検出処理で検出されたタッチポイントFだけでなく、後述するステップSA12の操作開始後タッチポイント検出処理で検出されたタッチポイントFも含む)の反応ポイント位置Cのことを「タッチ位置G」という。
【0046】
ステップSA7の処理後、制御部15は、タッチポイントF(=通常操作時ポイントE)が存在するか否かを判別する(ステップSA8)。タッチポイントFが1つも存在しない場合(ステップSA8:NO)、制御部15は、フローチャートFAの処理を終了する。一方、タッチポイントFが1つ以上存在する場合(ステップSA8:YES)、制御部15は、タッチポイントFのそれぞれについて、タッチを検出する(ステップSA9)。
【0047】
次いで制御部15は、タッチポイントFのそれぞれについて、タッチ位置Gの座標を示す情報を、現時点のタイミングを識別する情報(一例として、ミリ秒まで刻まれた日時)と対応付けてタッチ位置推移データに記録する(ステップSA10)。このようにタッチ位置推移データには、検出されたタッチのそれぞれについて、そのタッチ位置Gが時系列で記録される。タッチ位置推移データは、所定の記憶領域に記憶されている。なおタッチ位置推移データは、センサパネル3の検出結果が反映されたデータである。従って制御部15によりタッチ位置推移データが参照されて実行される処理は、センサパネル3の検出結果に基づいて実行される処理である。ステップSA10の処理後、制御部15は、フローチャートFAの処理を終了する。
【0048】
以上の通り本実施形態では、制御部15は、動作モードが操作開始前モードの場合(つまり輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたことが検出されていない状態の場合)、乗り上げ領域18を「タッチを有効とする領域」から除外する。この理由は、従来のガイド付き入力装置X1(
図18、19、20)を例にして説明した通りであるが、以下でより詳しく説明する。
【0049】
すなわち表示入力装置1が設置された車両の搭乗者であるユーザが、輪状ガイド部材6を操作することを欲したとする。このときユーザは、輪状ガイド部材6の位置を目視で認識し、輪状ガイド部材6にピンポイントで自身の手をアクセスさせることができる。一方でユーザは、上述した方法だけでなく、以下の方法で輪状ガイド部材6の位置を探り当てることができる。すなわちユーザは、表示入力装置1の表面20を全く或いはほとんど見ずに、輪状ガイド部材6がありそうな位置の周辺で手を表面20に沿って移動させ、或いは、輪状ガイド部材6がありそうな位置に向かって手を表面20に沿って移動させる。
【0050】
このような作業を行うと、その過程で手の何れかの部位が、輪状ガイド部材6の起立部分8に触れることになる。起立部分8は、検出面4に対して前方に突出した状態で延在しているからである。ユーザは、触覚を通じて起立部分8に指が触れたことを認識し、これにより起立部分8を含む輪状ガイド部材6の位置を認識する。なお車両の搭乗者たるユーザは、表示入力装置1の表面20を、時間をかけてしっかりと確認できない状況であることも多く、当該表面を全く或いはほとんど見ずに輪状ガイド部材6の位置を認識できることは、ユーザにとって非常に利便性が高い。以下、ユーザが手を移動させてガイド部材(本実施形態の輪状ガイド部材6に限られない)を探す作業のことを「手探り作業」という。手探り作業は、ガイド部材を操作して何らかの入力を行うことを目的として行われる作業ではなく、ガイド部材を探り当てるために行われる作業である。
【0051】
以上のように起立部分8は、手探り作業の過程で指が触れる可能性のある部分である。つまりユーザが何らかの入力を意図していない状態で触れる可能性のある部分である。今、仮に輪状ガイド部材6に対する操作が開始されていない状態において、乗り上げ領域18についてもタッチを有効としたとする。すると以下の問題が生じる。すなわち、この場合、手探り作業中に指が起立部分8に触れて乗り上げたときにタッチが検出されてしまい、これに起因して入力が有効となり、何らかのアクションが実行される可能性がある。上述したように手探り作業は、ユーザがガイド部材を操作して何らかの入力を行うことを目的として行われる作業ではなく、実行されたアクションはユーザが望むものではない誤動作ということになる。以上のように、輪状ガイド部材6に対する操作が開始されていない状態において、乗り上げ領域18についてもタッチを有効とした場合、手探り作業の過程で誤動作が発生する可能性があるという問題がある。
【0052】
この問題を解決するため、本実施形態に係る操作検出装置14の制御部15は、動作モードが操作開始前モードの場合、つまり輪状ガイド部材6に対する操作が開始されていない状態の場合、乗り上げ領域18を「タッチを有効とする領域」から除外している。
【0053】
さてステップSA5において動作モードが操作開始後モードであると判定した場合(ステップSA5:「操作開始後モード」)、制御部15は、乗り上げ領域18を「タッチを有効とする領域」に含め、操作対応領域19および乗り上げ領域18を「タッチを有効とする領域」とする(ステップSA11)。つまり動作モードが操作開始後モードのときは、操作対応領域19および乗り上げ領域18が「タッチを有効とする領域」に相当する。
【0054】
次いで制御部15は、操作開始後タッチポイント検出処理を実行する(ステップSA12)。詳述すると制御部15は、通常操作時ポイントEおよび乗り上げ時ポイントHを、タッチポイントFとして検出する。乗り上げ時ポイントHとは、反応ポイントAのうち、「反応ポイント位置Cが乗り上げ領域18(=ステップSA12の時点でタッチを有効とする領域)に属し、かつ、反応ポイント値が乗り上げ領域閾値TH2以上である反応ポイントA」である。
【0055】
乗り上げ領域閾値TH2は、ユーザの指が起立部分8に乗り上げているときに、対応する反応ポイントAの反応ポイント値がこの乗り上げ領域閾値TH2以上となるような値に設定されている。つまり乗り上げ領域閾値TH2は、起立部分8に指が乗り上げている状態であることを検出するための閾値である。
図7の(B)を参照し、ユーザの指が起立部分8に乗り上げ、起立部分8の頭頂面21(起立部分8の上面)に指が接触しているとき、指と表示入力装置1の表面20との距離は、距離L2となる。指が起立部分8に乗り上げている状況では、指と表示入力装置1の表面20とが距離L2よりも近づくことはない。そして距離L2は距離L1よりも大きい。以上を踏まえ、乗り上げ領域閾値TH2は、操作対応領域閾値TH3よりも小さな値となる。乗り上げ領域閾値TH2は、距離L2を考慮して、事前のテストやシミュレーションに基づいて定められる。以上のような観点で乗り上げ領域閾値TH2の値が設定されているため、乗り上げ時ポイントHは、ユーザの指が起立部分8に乗り上げている場合、その指に対応して出現する。
【0056】
ステップSA12において制御部15は、ステップSA4で決定した反応ポイントAのそれぞれについての反応ポイント位置Cおよび反応ポイント値に基づいて、タッチポイント(=通常操作時ポイントE+乗り上げ時ポイントH)を検出する。乗り上げ領域18の座標上の範囲は、事前に定義されている。タッチポイントFは、1つも検出されないこともあれば、1つ以上検出されることもある。
【0057】
ステップSA12の処理後、制御部15は、タッチポイントF(=通常操作時ポイントE+乗り上げ時ポイントH)が存在するか否かを判別する(ステップSA13)。タッチポイントが1つも存在しない場合(ステップSA13:NO)、制御部15は、フローチャートFAの処理を終了する。一方、タッチポイントが1つ以上存在する場合(ステップSA13:YES)、制御部15は、タッチポイントFのそれぞれについて、タッチを検出する(ステップSA14)。次いで制御部15は、タッチポイントFのそれぞれについて、タッチ位置Gの座標を示す情報を、現時点のタイミングを識別する情報と対応付けてタッチ位置推移データに記録する(ステップSA15)。ステップSA15の処理後、制御部15は、フローチャートFAの処理を終了する。
【0058】
以上の通り本実施形態では制御部15は、動作モードが操作開始後モードの場合、つまり輪状ガイド部材6に対する操作が開始された状態の場合、乗り上げ領域18を「タッチを有効とする領域」に含める。これにより以下の効果を奏する。すなわち本実施形態によれば、輪状ガイド部材6に対する操作が開始された後は、乗り上げ領域18においてもタッチが有効となる。このため、ユーザが輪状ガイド部材6に対する操作のために円状領域9内で指を移動させているときに指が起立部分8に乗り上げてしまっても、乗り上げ領域18においてタッチが検出される。このため、ユーザが輪状ガイド部材6に対する操作のために円状領域9内で指を移動させているときに指が起立部分8に乗り上げたときに、操作が中断されたと判定されることがなく、ユーザの意図に反して操作が中断されたと判定されることを抑制できる。
【0059】
次に輪状ガイド部材6に対する操作の検出に関する操作検出装置14の処理について説明する。
図8のフローチャートFBは、輪状ガイド部材6に対する操作の検出に関する、操作検出装置14による情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
図8のフローチャートFBの処理の開始時点では、ユーザによる輪状ガイド部材6に対する操作が開始されておらず、動作モードが操作開始前モードであるものとする。
【0060】
図8で示すように制御部15は、所定の記憶領域に記憶されたタッチ位置推移データを参照する(ステップSB1)。ステップSB2以下の処理は、特に説明しない場合であっても、制御部15は、必要に応じてタッチ位置推移データを参照し、処理を実行する。上述したようにタッチ位置推移データには、検出されたタッチのそれぞれについて、タッチ位置Gが、検出タイミングと共に時系列で記録されている。次いで制御部15は、タッチ位置推移データに基づいて、輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたか否かを判別する(ステップSB2)。以下、ステップSB2の処理について詳述する。
【0061】
ステップSB2において制御部15は、円状領域9の中心部Oを中心として、起立部分8の内側側壁10に沿って時計回りY1或いは反時計回りY2に、タッチ位置Gが開始角度閾値TH4(本実施形態では5°)以上変移したか否かをタッチ位置推移データに基づいて判別する。以下、「円状領域9の中心部Oを中心として、起立部分8の内側側壁10に沿って時計回りY1或いは反時計回りY2に、タッチ位置Gが開始角度閾値TH4(=5°)以上変移する態様」のことを「開始時特定態様TY1」という。そして制御部15は、タッチ位置Gが開始時特定態様TY1で変移したときに輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたと判定する。
【0062】
図9は、制御部15の処理を説明するため、輪状ガイド部材6の周辺を正面から見た図である。例えば
図9の(A)を参照し、タイミングT1で位置P1にタッチ位置G-1が出現し、タイミングT2で位置P2にタッチ位置G-2が出現し、タイミングT3で位置P3にタッチ位置G-3が出現したとする。タイミングT1、T2、T3は所定周期で連続して出現するタイミングである。そしてタッチ位置G-1とタッチ位置G-3とが円状領域9の中心部Oについて形成する中心角の角度が5°(ちょうど5°である必要はなく、5°以上であればよい)であったとする。この場合、制御部15は、タイミングT3が到来したときに、輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたと判定する。なお
図9では、図面の見やすさを考慮して、タッチ位置G-1とタッチ位置G-3とが中心部Oについて形成する角度を5°より大きくしている。他の図面についても、図面の見やすさのために、図中で角度を明示している場合に、説明上の角度と、図面で描画された角度を異ならせている場合がある。
【0063】
なお制御部15は、「一連のタッチ位置群」を対象として、開始時特定態様でタッチ位置Gが変移したかどうかを判別する。「一連のタッチ位置群」とは、連続して続くタッチ位置Gの群である。例えばタッチ位置G―Xとタッチ位置G-Yとタッチ位置G-Zとが出現している状況において、タッチ位置G-Xとタッチ位置G-Yとが連続しており、更にタッチ位置G-Yとタッチ位置G-Zとが連続している場合、{タッチ位置G-X、タッチ位置G-Y、タッチ位置G-Z}は、連続して続くタッチ位置Gの群であり、従って「一連のタッチ位置群」である。制御部15は、一のタッチ位置Gと他のタッチ位置Gとが連続しているかどうかを以下の方法で判別する。すなわち制御部15は、当該一のタッチ位置Gの検出タイミングと、当該他のタッチ位置Gの検出タイミングとが所定周期で連続して出現するタイミングであり、当該一のタッチ位置Gと当該他のタッチ位置Gとの離間距離が一定距離以下の場合に、当該一のタッチ位置Gと当該他のタッチ位置Gとが連続していると判定する。ただし、一のタッチ位置Gと他のタッチ位置Gとが連続しているかどうかを判別する方法は例示した方法に限られない。
【0064】
図9の(A)の処理では、制御部15は、タッチ位置G-1とタッチ位置G-2とが連続し、タッチ位置G-2とタッチ位置G-3とが連続していると判定し、これに基づいて{タッチ位置G-1、タッチ位置G-2、タッチ位置G-3}が「一連のタッチ位置群」であると判定する。そして制御部15は、「一連のタッチ位置群」である{タッチ位置G-1、タッチ位置G-2、タッチ位置G-3}を対象として、開始時特定態様TY1でタッチ位置Gが変移しているかどうかを判別する。
【0065】
なお特定の態様でタッチ位置Gが変移しているかどうかについて、「一連のタッチ位置群」を対象として判別する点は、開始時特定態様TY1のケースだけでなく、後述する時計回り入力時態様TY2および反時計回り入力時態様TY3のケースについても同様である。また第2実施形態の類似する処理についても同様である。
【0066】
なお制御部15は、あるタッチ位置Gが起立部分8の内側側壁10に沿った位置であるか否かを、そのタッチ位置Gが、起立部分8の内側側壁10に沿った領域として予め定められた領域に属しているか否かによって判別する。この点は、タッチ位置Gが起立部分8の内側側壁10に沿った位置であるか否かを判別する他の処理についても同様である。
【0067】
また
図9の(B)を参照し、連続するタイミングT4、T5、T6で位置P4、P5、P6にタッチ位置G-4、G-5、G-6が出現したとする。{タッチ位置G-4、タッチ位置G-5、タッチ位置G-6}は「一連のタッチ位置群」であり、またタッチ位置G-4とタッチ位置G-6とが円状領域9の中心部Oについて形成する中心角の角度は5°である。この場合、制御部15は、タイミングT6が到来したときに、輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたと判定する。
【0068】
以上の通り制御部15は、円状領域9の中心部Oを中心として、起立部分8の内側側壁10に沿って時計回りY1或いは反時計回りY2に、タッチ位置Gが開始角度閾値TH4(5°)以上変移したか否かを判別することによって、輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたか否かを判別する。以下、この処理の妥当性について説明する。すなわち
図3を用いて説明したように本実施形態では、ユーザの指が中心部Oを中心として時計回りY1或いは反時計回りY2に「45°」回転する度に、入力が有効となる。とすると、ユーザが何らかの入力を行うという目的をもって輪状ガイド部材6に対する操作を開始した場合には、入力が有効となる前に必ず、「円状領域9の中心部Oを中心として、起立部分8の内側側壁10に沿って時計回りY1或いは反時計回りY2に、タッチ位置Gが5°以上変移した状態」が出現することになる。以上より、上記処理は妥当である。
【0069】
輪状ガイド部材6に対する操作が開始されていない場合(ステップSB2:NO)、制御部15は、処理手順をステップSB1へ戻す。一方、輪状ガイド部材6に対する操作が開始された場合(ステップSB2:YES)、制御部15は、動作モードを操作開始前モードから操作開始後モードへ変更する(ステップSB3)。上述した通り操作開始後モードでは、乗り上げ領域18におけるタッチが有効になり、乗り上げ領域18においても所定の場合にはタッチが検出され、検出されたタッチに対応するタッチ位置Gがタッチ位置推移データに記録される。
【0070】
次いで制御部15は、タッチ位置Gが時計回り入力時態様TY2または反時計回り入力時態様TY3で変移したか否かをタッチ位置推移データに基づいて判別する(ステップSB4)。時計回り入力時態様TY2とは、
図3の(A)で示したように中心部Oを中心として時計回りY1に指を45°回転させる操作に対応する態様である。具体的には時計回り入力時態様TY2とは、円状領域9の中心部Oを中心として時計回りY1にタッチ位置Gが有効角度閾値TH5(本実施形態では45°)以上変移する態様である。同様に、反時計回り入力時態様TY3とは、
図3の(B)で示したように中心部Oを中心として反時計回りY2に指を45°回転させる操作に対応する態様である。具体的には反時計回り入力時態様TY3とは、円状領域9の中心部Oを中心として反時計回りY2にタッチ位置Gが有効角度閾値TH5(本実施形態では45°)以上変移する態様である。
【0071】
図10は、制御部15の処理を説明するため、輪状ガイド部材6の周辺を正面から見た図である。例えばユーザの指が、起立部分8の内側側壁10に接触しつつ、内側側壁10に沿って移動し、これに伴って
図10の(A)で示す態様でタッチ位置Gが出現したとする。すなわち
図10の(A)で示すように、連続するタイミングT7、T8、T9、T10、T11において、位置P7、P8、P9、P10、P11に、タッチ位置G-7、G-8、G-9、G-10、G-11が出現したとする。タッチ位置G-7、G-8、G-9、G-10、G-11は、「一連のタッチ位置群」である。そしてタッチ位置G-7とタッチ位置G-8とが中心部Oについて形成する中心角が5°であり、タッチ位置G-7とタッチ位置G-11とが中心部Oについて形成する中心角が45°(ちょうど45°である必要はなく、45°以上であればよい)であったとする。この場合、制御部15は、タイミングT8において輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたと判定し、これに伴って動作モードを操作開始前モードから操作開始後モードへと変更し、更にタイミングT11において、タッチ位置Gが時計回り入力時態様TY2で変移したと判定する。
【0072】
また例えばユーザの指が起立部分8の内側側壁10に接触しつつ、内側側壁10に沿って移動を開始した後、移動の途中で指が起立部分8に乗り上げてしまい、その後に指が内側側壁10の内側に戻ったとする。そして、このような指の移動に伴って
図10の(B)で示す態様でタッチ位置Gが出現したとする。すなわち
図10の(B)で示すように、連続するタイミングT12、T13、T14、T15、T16において、位置P12、P13、P14、P15、P16に、タッチ位置G-12、G-13、G-14、G-15、G-16が出現したとする。タッチ位置G-12、G-13、G-14、G-15、G-16は、「一連のタッチ位置群」である。位置P12、P13、P16は操作対応領域19に属する位置であり、位置P14、P15は乗り上げ領域18に属する位置である。そしてタッチ位置G-12とタッチ位置G-13とが中心部Oについて形成する中心角が5°であり、タッチ位置G-12とタッチ位置G-16とが中心部Oについて形成する中心角が45°であったとする。
【0073】
この場合、制御部15は、タイミングT13において輪状ガイド部材6に対する操作が開始されたと判定し動作モードが操作開始前モードから操作開始後モードへと変更し、更にタイミングT16が到来したときに、タッチ位置Gが時計回り入力時態様TY2で変移したと判定する。ここでタッチ位置G-14およびタッチ位置G-15は、乗り上げ領域18に属する。しかしながらタイミングT13において動作モードが操作開始前モードから操作開始後モードへと変更され、これに応じて乗り上げ領域18のタッチが有効となるため、タッチ位置G-14およびタッチ位置G-15についてタッチが制御部15により検出されると共に、タッチ位置Gがタッチ位置推移データに記録される。
【0074】
なお仮に、動作モードとして操作開始後モードが存在せず、操作が開始されたか否かにかかわらず、乗り上げ領域18においてタッチが有効とされないものとする。この場合に
図10の(C)で示すように反応ポイントAの反応ポイント位置Cが、連続するタイミングT12、T13、T14、T15、T16において、タイミングで位置P12、P13、P14、P15、P16の順番で出現したとする。上述した通り位置P12、P13、P16は操作対応領域19に属する位置であり、位置P14、P15は乗り上げ領域18に属する位置である。この場合、位置P12、位置P13、位置P16についてはタッチが検出され(何れの位置においても反応ポイント値が操作対応領域閾値TH3以上であるものとする)、そのタッチ位置G-12、G-13、G-16がタッチ位置推移データに記録される。しかしながら位置P14、P15についてはタッチが検出されず(何れの位置においても反応ポイント値が乗り上げ領域閾値TH2以上であるものとする)、タッチ位置Gがタッチ位置推移データに記録されることがない。この場合、制御部15は、タイミングT13とタイミングT14との間で、輪状ガイド部材6に対する操作が中断されたと判定する。従ってこの仮のケースの場合、タッチ位置Gが時計回り入力時態様TY2で変移したと制御部15により判定されることはない。
【0075】
ステップSB4において制御部15は、タッチ位置Gが時計回り入力時態様TY2或いは反時計回り入力時態様TY3で変移したと判別した場合(ステップSB4:YES)、処理手順をステップSB5へ移行する。一方、タッチ位置Gが特定の態様で変移していないと判定した場合(ステップSB4:NO)、制御部15は、処理手順をステップSB7へ移行する。
【0076】
ステップSB5において制御部15は、ユーザの操作に基づく入力を有効と判定する。次いで制御部15は、タッチ位置Gの変移の態様に応じたアクションを実行する(ステップSB6)。本実施形態の単純化した一例では制御部15は、タッチ位置Gの変移の態様が時計回り入力時態様TY2の場合、オーディオ装置の音量を1単位だけ増大させる。一方、制御部15は、タッチ位置Gの変移の態様が反時計回り入力時態様TY3の場合、オーディオ装置の音量を1単位だけ低減させる。ステップSB6の処理後、制御部15は、処理手順をステップSB4に戻す。
【0077】
以上の通り本実施形態では、タッチ位置Gが時計回り入力時態様TY2或いは反時計回り入力時態様TY3で変移した場合、ユーザが意図的に輪状ガイド部材6に対して操作を行ったものとみなされ、これをトリガとして、ユーザの操作に基づく入力が有効であると判定され、タッチ位置Gの変移の態様に応じたアクションが実行される。
【0078】
ステップSB7において制御部15は、輪状ガイド部材6に対する操作が解除されたか否かを判別する。詳述すると制御部15は、タッチ位置推移データを参照し、タッチ位置Gが1つも存在しない状態(=タッチが全く検出されていない状態)となったか否かを判別する。制御部15は、タッチ位置Gが1つも存在しない場合、輪状ガイド部材6に対する操作が解除されたと判定する。一方、制御部15は、タッチ位置Gが1つ以上存在する場合、輪状ガイド部材6に対する操作が解除されていないと判定する。なおタッチ位置Gが1つも存在しないということは、操作対応領域19および乗り上げ領域18においてタッチが検出されていないということであり、ユーザが輪状ガイド部材6から手を離し、輪状ガイド部材6に対する操作を解除したものと推定される。
【0079】
ステップSB7において輪状ガイド部材6に対する操作が解除されていないと判定した場合(ステップSB7:NO)、制御部15は、処理手順をステップSB4へ戻す。一方、輪状ガイド部材6に対する操作が解除されたと判定した場合(ステップSB7:YES)、制御部15は、動作モードを操作開始後モードから操作開始前変更モードへと変更する(ステップSB8)。ステップSB8の処理後、制御部15は、フローチャートFAの処理を終了する。なおフローチャートFAの処理を終了した後、制御部15は、再びステップSA1の処理を開始する。
【0080】
以上詳しく説明したように本実施形態では、操作検出装置14の制御部15は、センサパネル3の検出結果に基づいて輪状ガイド部材6(ガイド部材)に対する操作が開始されたことを検出する機能を有している。そして制御部15は、輪状ガイド部材6に対する操作の開始を検出する前は、起立部分8に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する乗り上げ領域18をタッチを有効とする領域から除外する一方、輪状ガイド部材6に対する操作の開始を検出した後は、乗り上げ領域18をタッチを有効とする領域に含める。
【0081】
この構成によれば、輪状ガイド部材6に対する操作が開始される前は、輪状ガイド部材6に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する乗り上げ領域18においてタッチが有効とされないため、誤作動が抑制される。その上で、輪状ガイド部材6に対する操作が開始された後は、乗り上げ領域18においてタッチが有効とされるため、ユーザが操作中に指を移動させている過程で指が起立部分8に乗り上げてしまっても、操作が中断されたと判定されることがなく、ユーザの意図に反して操作が中断されたと判定されることを抑制できる。
【0082】
<変形例>
次に変形例について説明する。以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の要素(同一の構造的特徴により同一の機能を発揮する部材を含む)については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図11は本変形例に係る表示入力装置1Aの正面図である。
図12の(A)は
図11のD-D断面図であり、(B)は
図11のE-E断面図である。
【0083】
図11、12で示すようにカバー部材5に、第1実施形態に係る輪状ガイド部材6に代えて矩形枠状ガイド部材30(ガイド部材)が設けられている。矩形枠状ガイド部材30は、カバー部材5に対して接着、その他の手段で固定されている。つまり矩形枠状ガイド部材30は、カバー部材5を介してセンサパネル3の検出面4に固定されている。矩形枠状ガイド部材30は、透明材料で構成された透明な部材である。ただし矩形枠状ガイド部材30は、透明でなくてもよい。本実施形態では矩形枠状ガイド部材30はカバー部材5と別体であるが、これらを一体的な部材としてもよい。
【0084】
図11、12で示すように、矩形枠状ガイド部材30は、その裏面がカバー部材5に接着された板状の土台部分31と、土台部分31を囲んで設けられた起立部分32とを含んで構成されている。
図11、12で示すように、起立部分32は正面視で矩形枠状の部分であり、その内側に細長い長方形状の長方形領域33が形成されている。本実施形態では、長方形領域33の長手方向の長さは「8cm」程度である。起立部分32は、検出面4に対して前方に突出した状態で延在する部分である。起立部分32には、長方形領域33の一対の長い辺に対応して、内側側壁34U(側壁)および内側側壁34D(側壁)が形成されている。内側側壁34Uと内側側壁34Dは対向する一対の側壁である。以下、内側側壁34Uおよび内側側壁34Dを「一対の内側側壁34U、34D」と表現する場合がある。一対の内側側壁34U、34Dは、底面35(長方形領域33に属する土台部分31の表面)から一定距離だけ立ち上がって形成されている。
【0085】
矩形枠状ガイド部材30は、以下の態様で操作される。第1の態様は、長方形領域33内で、一対の内側側壁34U、34Dに沿ってユーザの指が右方に向かって移動する操作である。ユーザにより以上の操作が行われると、操作検出装置14の制御部15は、ユーザの指が「3cm」移動する度に、入力を有効として対応するアクションを実行する。
【0086】
詳述すると
図13は、矩形枠状ガイド部材の使用態様を示す図である。
図13の(A)を参照し、まずユーザの指が、矩形枠状ガイド部材30の長方形領域33の底面35に触れるように配置される。
図13では、底面35において指が接触或いは近接するポイントに丸印を記している。
図13の(A’)では、(A)の状態を側方から見た様子を一部を断面図にして示している。なお矩形枠状ガイド部材30の操作にあたって最初に指が配置される位置は、
図3の(A)で示す位置に限られず、長方形領域33の任意の位置でよい。このことは矩形枠状ガイド部材30の操作に係る第2の態様についても同様である。その後、
図13の(B)、(C)で示すようにユーザの指が一対の内側側壁34U、34Dに沿って右方に向かって移動することによって矩形枠状ガイド部材30に対する操作が行われる。
【0087】
図13(A)、(B)、(C)で示す操作が行われた場合、操作検出装置14の制御部15は、
図13の(A)の状態から(B)の状態となったときに指が3cm移動したことを検出し、入力を有効とし、対応するアクションを実行する。本実施形態では上記実施形態と同様、制御部15は、不図示のオーディオ装置の音量を一単位だけ増大するアクションを実行する。更に操作検出装置14の制御部15は、
図13の(B)の状態から(C)の状態となったときに指が3cm移動したことを検出し、入力を有効とし、対応するアクション(音量を一単位だけ増大させるアクション)を実行する。このようにユーザは、起立部分32の一対の内側側壁34U、34Dに沿って指を右方に移動させることによって、オーディオ装置の音量を段階的に増大させることができる。
【0088】
矩形枠状ガイド部材30の操作に係る第2の態様は、長方形領域33内で、一対の内側側壁34U、34Dに沿ってユーザの指が左方に向かって移動する操作である。ユーザにより以上の操作が行われると、操作検出装置14の制御部15は、ユーザの指が「3cm」移動する度に、入力を有効として対応するアクション(オーディオ装置の音量を一旦だけ低減するアクション)を実行する。ユーザは、起立部分32の一対の内側側壁34U、34Dの少なくとも一方に指を接触させつつ、指を左方に移動させることによって、オーディオ装置の音量を段階的に減少させることができる。
【0089】
以上の通り本変形例に係る矩形枠状ガイド部材30では、長方形領域33においてユーザの指が起立部分32の一対の内側側壁34U、34Dに沿って移動することによって矩形枠状ガイド部材30に対する操作が行われる。そしてこの操作中、一対の内側側壁34U、34Dに沿って指が移動している途中で、指が起立部分32に乗り上げることがある。
図13の(D)は、
図13の(B)のタイミングにおいて指が起立部分32に乗り上げた様子を示している。特に本実施形態に係る表示入力装置1Aは、車両に設けられる。従って、エンジンの振動、その他の要因により表示入力装置1Aの筐体が振動する場合があり、これに起因して指が起立部分32に乗り上げるケースが発生しやすい。
【0090】
本変形例に係る操作検出装置14の制御部15は、タッチ検出機能に関して、
図5のフローチャートFAの処理を実行する。ただし本変形例では、操作対応領域37および乗り上げ領域38が以下の通り定義され、また操作対応領域閾値TH3’および乗り上げ領域閾値TH2’が以下の通り設定されている。
【0091】
図14は、操作対応領域37および乗り上げ領域38の説明に利用する図であり、(A)は矩形枠状ガイド部材30の周辺の正面図を示し、(B)は
図14(A)のF-F断面図を示している。操作対応領域37は、「矩形枠状ガイド部材30の長方形領域33に位置する指に基づく反応ポイント位置C」が位置し得る領域である。つまり長方形領域33内で指が検出面4に近接した場合、操作対応領域37内に反応ポイント位置Cが位置することになる。従って長方形領域33内で一対の内側側壁34U、34Dに沿って指が移動している期間は、その指に基づく反応ポイント位置Cは操作対応領域37内に位置することになる。
図14の(A)、(B)では操作対応領域37を明示している。特に
図14の(A)において操作対応領域37は、点線で示す矩形枠D3の内側の領域である。操作対応領域37は長方形領域33に対応する領域であるが、操作対応領域37の外縁と長方形領域33の外縁とは必ずしも一致しない。
【0092】
一方、乗り上げ領域38は、「起立部分32に乗り上げた指に基づく反応ポイント位置C」が位置し得る領域である。つまり乗り上げ領域38は、「起立部分32に乗り上げた指が位置し得る領域」に対応する領域である。従って指が起立部分32に乗り上げた状況では、乗り上げ領域38内にその指に基づく反応ポイント位置Cが位置することになる。
図14の(A)、(B)では乗り上げ領域38を明示している。特に
図14の(A)において乗り上げ領域38は、点線で示す矩形枠D3の外側であって、点線で示す矩形枠D4の内側の領域である。乗り上げ領域38は、「起立部分32に乗り上げた指が位置し得る領域」に対応する領域であるが、乗り上げ領域38の外縁と、起立部分32を正面視したときの外縁とは必ずしも一致しない。
【0093】
操作対応領域閾値TH3’は、ユーザが矩形枠状ガイド部材30を操作する目的をもって長方形領域33内で指を検出面4に近接させたときに、対応する反応ポイントAの反応ポイント値がこの操作対応領域閾値TH3’以上となるような値に設定されている。特に操作対応領域閾値TH3’は、ユーザが正常な態様で矩形枠状ガイド部材30を操作するために一対の内側側壁34U、34Dに沿って指を移動させている期間、その指に基づく反応ポイントAの反応ポイント値が、この操作対応領域閾値以上となるような値に設定されている。
図14の(A)を参照し、長方形領域33内で底面35に指を接触させたとき、指と表示入力装置1Aの表面39との距離は、距離L3となる。操作対応領域閾値は、距離L3を考慮して、事前のテストやシミュレーションに基づいて定められる。
【0094】
一方、乗り上げ領域閾値TH2’は、ユーザの指が起立部分32に乗り上げているときに、対応する反応ポイントAの反応ポイント値がこの乗り上げ領域閾値TH2’以上となるような値に設定されている。
図14の(B)を参照し、起立部分32の頭頂面40(起立部分32の上面)と表示入力装置1Aの表面39との距離は、距離L4である。指が起立部分32に乗り上げている状況では、指と表示入力装置1Aの表面39とが距離L4よりも近づくことはない。そして距離L4は距離L3よりも大きい。以上を踏まえ、乗り上げ領域閾値TH2’は、操作対応領域閾値TH3’よりも小さな値となる。乗り上げ領域閾値TH2’は、距離L4を考慮して、事前のテストやシミュレーションに基づいて定められる。
【0095】
タッチ位置検出機能に関し、本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果を奏する。すなわち本変形例に係る制御部15は、動作モードが操作開始前モードの場合、つまり矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始されていない状態の場合、乗り上げ領域38を「タッチを有効とする領域」から除外する。このため矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始されていない状態において、手探り作業の過程で誤動作が発生することが抑制される。更に制御部15は、動作モードが操作開始後モードの場合、つまり矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始された後は、乗り上げ領域38を「タッチを有効とする領域」に含める。このため、ユーザが矩形枠状ガイド部材30に対する操作のために長方形領域33内で指を移動させているときに指が起立部分32に乗り上げてしまっても、乗り上げ領域38においてタッチが検出される。これにより、ユーザが矩形枠状ガイド部材30に対する操作のために長方形領域33内で指を移動させているときに指が起立部分32に乗り上げたときに、操作が中断されたと判定されることがなく、ユーザの意図に反して操作が中断されたと判定されることを抑制できる。
【0096】
次に矩形枠状ガイド部材30に対する操作の検出に関する操作検出装置14の処理について説明する。
図15のフローチャートFCは、矩形枠状ガイド部材30に対する操作の検出に関する、操作検出装置14による情報処理方法の一例を示すフローチャートである。
図8と
図15との比較で明らかな通り本変形例に係る制御部15は、
図8のフローチャートFAのステップSB2の処理に代えてステップSC1を実行し、ステップSB4の処理に代えてステップSC2を実行する。
【0097】
ステップSC1において制御部15は、操作対応領域37内で一対の内側側壁34U、34Dに沿ってタッチ位置Gが開始距離閾値TH6(本変形例では1cm)以上、左方或いは右方に向かって変移したか否かをタッチ位置推移データに基づいて判別する。以下、「一対の内側側壁34U、34Dに沿ってタッチ位置Gが開始距離閾値TH6(本変形例では1cm)以上、左方或いは右方に向かって変移する態様」のことを「開始時特定態様TY4」という。そして制御部15は、タッチ位置Gが開始時特定態様TY4で変移したときに矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始されたと判定する。
【0098】
図16は、制御部15の処理を説明するため、矩形枠状ガイド部材30の周辺を正面から見た図である。例えば
図16の(A)を参照し、連続するタイミングT17、T18、T19で位置P17、P18、P19にタッチ位置G-17、G-18、G-19が出現したとする。タッチ位置G-17、G-18、G-19は、「一連のタッチ位置群」である。そしてタッチ位置G-17とタッチ位置G-19との離間距離が1cm(ちょうど1cmである必要はなく、1cm以上であればよい)であったとする。この場合、制御部15は、タイミングT19が到来したときに、矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始されたと判定する。
【0099】
また
図16の(B)を参照し、連続するタイミングT20、T21、T22で位置P20、P21、P22にタッチ位置G-20、G-21、G-22が出現したとする。タッチ位置G-20、G-21、G-22は、「一連のタッチ位置群」である。そしてタッチ位置G-20とタッチ位置G-22との離間距離が1cm(ちょうど1cmである必要はなく、1cm以上であればよい)であったとする。この場合、制御部15は、タイミングT22が到来したときに、矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始されたと判定する。
【0100】
このように本実施形態では制御部15は、起立部分32の一対の内側側壁34U、34Dに沿って右方或いは左方に、タッチ位置Gが1cm以上変移したか否かを判別することによって、矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始されたか否かを判別する。以下、この処理の妥当性について説明する。すなわち
図13を用いて説明したように本実施形態ではユーザの指が長方形領域33内で3cm右方或いは左方に移動する度に、入力が有効となる。とすると、ユーザが何らかの入力を行うという目的をもって矩形枠状ガイド部材30に対する操作を開始した場合には、入力が有効となる前に必ず、「起立部分32の一対の内側側壁34U、34Dに沿って右方或いは左方に、タッチ位置Gが1cm以上変移した状態」が出現することになる。以上より、上記処理は妥当である。
【0101】
矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始されていない場合(ステップSC1:NO)、制御部15は、処理手順をステップSB1へ戻す。一方、矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始された場合(ステップSC1:YES)、制御部15は、処理手順をステップSB3へ移行する。
【0102】
ステップSC2において制御部15は、タッチ位置Gが右入力時態様TY5または左入力時態様TY6で変移したか否かをタッチ位置推移データに基づいて判別する。右入力時態様TY5とは、
図13の(A)で示したように長方形領域33内で右方に指を移動させて入力を有効とする操作に対応する態様である。具体的には右入力時態様TY5とは、右方に向かってタッチ位置Gが有効距離閾値TH7(本実施形態では3cm)以上変移する態様である。同様に、左入力時態様TY6とは、
図13の(B)で示したように長方形領域33内で左方に指を移動させて入力を有効とする操作に対応する態様である。具体的には左入力時態様TY6とは、左方に向かってタッチ位置Gが有効距離閾値TH7(本実施形態では3cm)以上変移する態様である。
【0103】
図17は、制御部15の処理を説明するため、矩形枠状ガイド部材30の周辺を正面から見た図である。例えばユーザの指が、起立部分32の一対の内側側壁34U、34Dに沿って移動し、これに伴って
図17の(A)で示す態様でタッチ位置Gが出現したとする。すなわち
図17の(A)で示すように、連続するタイミングT23、T24、T25、T26、T27において、位置P23、P24、P25、P26、P27に、タッチ位置G-23、G-24、G-25、G-26、G-27が出現したとする。タッチ位置G-23、G-24、G-25、G-26、G-27は、「一連のタッチ位置群」である。そしてタッチ位置G-23とタッチ位置G-24との距離が1cmであり、タッチ位置G-23とタッチ位置G-27との距離が3cm(ちょうど3cmである必要はなく、3cm以上であればよい)であったとする。この場合、制御部15は、タイミングT24において矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始されたと判定し、これに伴って動作モードを操作開始前モードから操作開始後モードへと変更し、更にタイミングT27において、タッチ位置Gが右入力時態様TY5で変移したと判定する。
【0104】
また例えばユーザの指が起立部分32の一対の内側側壁34U、34Dに沿って移動を開始した後、移動の途中で指が起立部分32に乗り上げてしまい、その後に指が一対の内側側壁34U、34Dの内側に戻ったとする。そして、このような指の移動に伴って
図17の(B)で示す態様でタッチ位置Gが出現したとする。すなわち
図17の(B)で示すように、連続するタイミングT28、T29、T30、T31、T32において、位置P28、P29、P30、P31、P32に、タッチ位置G-28、G-29、G-30、G-31、G-32が出現したとする。タッチ位置G-28、G-29、G-30、G-31、G-32は、「一連のタッチ位置群」である。位置P28、P29、P32は操作対応領域37に属する位置であり、位置P30、P31は乗り上げ領域38に属する位置である。そしてタッチ位置G-28とタッチ位置G-29との距離が1cmであり、タッチ位置G-28とタッチ位置G-32との距離が3cmであったとする。
【0105】
この場合、制御部15は、タイミングT29において矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始されたと判定し動作モードが操作開始前モードから操作開始後モードへと変更し、更にタイミングT32が到来したときに、タッチ位置Gが右入力時態様TY5で変移したと判定する。ここでタッチ位置G-30およびタッチ位置G-31は、乗り上げ領域38に属する。しかしながらタイミングT29において動作モードが操作開始前モードから操作開始後モードへと変更され、これに応じて乗り上げ領域38のタッチが有効となるため、タッチ位置G-30およびタッチ位置G-31についてタッチが制御部15により検出されると共に、タッチ位置Gがタッチ位置推移データに記録される。
【0106】
なお仮に、動作モードとして操作開始後モードが存在せず、操作が開始されたか否かにかかわらず、乗り上げ領域38においてタッチが有効とされないものとする。この場合に
図17の(C)で示すように反応ポイントAの反応ポイント位置Cが、連続するタイミングT28、T29、T30、T31、T32において、位置P28、P29、P30、P31、P32に出現したとする。上述したように位置P28、P29、P32は操作対応領域37に属する位置であり、位置P31、P32は乗り上げ領域38に属する位置である。この場合、位置P28、位置P29、位置P32についてはタッチが検出され(何れの位置においても反応ポイント値が操作対応領域閾値TH3’以上であるものとする)、そのタッチ位置G-28、G-29、G-32がタッチ位置推移データに記録される。しかしながら位置P30、P31についてはタッチが検出されず(何れの位置においても反応ポイント値が乗り上げ領域閾値TH2’以上であるものとする)、タッチ位置Gがタッチ位置推移データに記録されることがない。この場合、制御部15は、タイミングT29とタイミングT30との間で、矩形枠状ガイド部材30に対する操作が中断されたと判定する。従ってこの仮のケースの場合、タッチ位置Gが右入力時態様TY5で変移したと制御部15により判定されることはない。
【0107】
ステップSC2において制御部15は、タッチ位置Gが右入力時態様TY5或いは左入力時態様TY6で変移したと判別した場合(ステップSC2:YES)、処理手順をステップSB5へ移行する。一方、タッチ位置Gが特定の態様で変移していないと判定した場合(ステップSC2:NO)、制御部15は、処理手順をステップSB7へ移行する。
【0108】
本実施形態においても上記実施形態と同様の効果を奏する。すなわち矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始される前は、矩形枠状ガイド部材30に乗り上げた指が位置し得る領域に対応する乗り上げ領域38においてタッチが有効とされないため、誤作動が抑制される。その上で、矩形枠状ガイド部材30に対する操作が開始された後は、乗り上げ領域38においてタッチが有効とされるため、ユーザが操作中に指を移動させている過程で指が起立部分32に乗り上げてしまっても、操作が中断されたと判定されることがなく、ユーザの意図に反して操作が中断されたと判定されることを抑制できる。
【0109】
以上、本発明の一実施形態(変形例を含む)を説明したが、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0110】
例えば上記実施形態では、入力が有効と判定されたときに実行されるアクションは、オーディオ装置の音量の調整であったが、アクションがこれに限られないことは勿論である。一例としてアクションは、カーソルを移動させるアクション、または空気調和装置の温度を調整するアクションであってもよい。
【0111】
また例えば操作検出装置14の機能ブロックが実行すると説明した処理の一部を操作検出装置14と外部装置とが協働して実行する構成としてもよい。この場合、操作検出装置14と外部装置とが協働して「操作検出装置」として機能する。一例として外部装置は、操作検出装置14とネットワークを介して通信可能なクラウドサーバである。
【0112】
また例えば実施形態に、操作検出装置14のコンピュータが実行するプログラムの提供、または、このプログラムをコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体の提供を含めることができる。上記記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray(登録商標)Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型の、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、上記記録媒体は、操作検出装置14や、操作検出装置14に接続された外部装置が備える記録媒体でもよい。
【0113】
また例えば、例示したフローチャートについて、目的を実現でき、処理に矛盾が起こらない限り、処理の順番を変更したり、処理をより細かく分割したり、処理を追加したり、処理を削除したりしてもよい。
【0114】
また上述した各実施形態では、操作検出装置14をセンサパネル3から独立した装置として説明したが、操作検出装置14は、単独で流通し得る独立した装置である必要はない。一例として、センサパネル3と同じ筐体に実装された回路或いはユニットであってもよい。
【符号の説明】
【0115】
1、1A 表示入力装置(入力装置)
3 センサパネル
4 検出面
6 輪状ガイド部材(ガイド部材)
8 起立部分
9 円状領域
10 内側側壁(側壁)
14操作検出装置
15 制御部
16 操作検出ユニット
18 乗り上げ領域
19 操作対応領域
30 矩形枠状ガイド部材(ガイド部材)
32 起立部分
33 長方形領域
34U 内側側壁(側壁)
34D 内側側壁(側壁)
37 操作対応領域
38 乗り上げ領域