(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127246
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】部品実装機および実装作業部の確認方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20240912BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036264
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】伴野 裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE02
5E353EE71
5E353JJ45
5E353JJ52
5E353JJ54
5E353KK01
5E353KK11
5E353KK21
5E353KK30
5E353NN12
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】実装作業部の状態確認に必要となる確認部材を当該状態確認の実行場所に的確に用意して当該状態確認を実行可能とする。
【解決手段】ヘッドユニット3および部品認識ユニット6といった実装作業部の互いに異なる状態(照明指令値Ce、回転指令値Crおよび位置関係パラメータPl)を確認する複数の確認制御(照明診断、回転量診断および位置関係診断)に対応して設けられた複数の確認部材(カメラユニット調整部材91、ヘッド調整部材93および位置関係調整部材92)をヘッドユニット3によって取り出し可能に収容する調整キットホルダ8(確認部材収容部)が設けられている。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給位置に部品を供給する部品供給部と、
前記部品供給部によって供給された部品を前記部品供給位置から取り出して基板に移載するヘッドユニットを有する実装作業部と、
前記実装作業部の互いに異なる状態を確認する複数の確認制御に対応して設けられた複数の確認部材を、前記ヘッドユニットによって取り出し可能に収容する確認部材収容部と、
前記複数の確認制御のうち対象確認制御を実行する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記複数の確認部材のうち前記対象確認制御に対応する対象確認部材を前記ヘッドユニットによって前記確認部材収容部から取り出して所定場所に位置させて、前記所定場所に位置する前記対象確認部材を用いて前記対象確認制御を実行する部品実装機。
【請求項2】
前記実装作業部は、前記ヘッドユニットによって取り出された部品を撮像するカメラユニットを有し、
前記制御部は、前記ヘッドユニットによって取り出した前記対象確認部材を、前記カメラユニットに対向する場所である前記所定場所に位置させて、前記所定場所に位置する前記対象確認部材を前記カメラユニットによって撮像した結果に基づき、前記対象確認制御に対応する前記実装作業部の状態を確認する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記制御部は、前記対象確認制御によって前記実装作業部の状態を確認した結果に基づき、前記実装作業部の状態を調整する請求項1または2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記カメラユニットは、前記ヘッドユニットによって取り出された部品に照明を照射する照明部と、前記照明部によって照明が照射された部品を撮像する部品認識カメラとを有し、
前記複数の確認制御は、前記照明部の照明の明るさを確認する照明確認制御を含み、
前記複数の確認部材は、前記照明確認制御に対応する照明確認部材を含み、
前記制御部は、前記照明確認制御では、前記所定場所に位置する前記照明確認部材に前記照明部から照明を照射しつつ前記部品認識カメラによって前記照明確認部材を撮像した結果に基づき前記照明部の照明の明るさを確認する請求項2に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記制御部は、前記照明確認制御の結果に基づき前記照明部の照明の明るさを調整する請求項4に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記制御部は、前記ヘッドユニットによって保持される部品を前記カメラユニットにより撮像した結果と、前記ヘッドユニットと前記カメラユニットとの位置関係を示す位置関係パラメータとに基づき、前記ヘッドユニットによって保持される部品の位置を認識し、
前記複数の確認制御は、前記ヘッドユニットと前記カメラユニットとの位置関係を確認する位置関係確認制御を含み、
前記複数の確認部材は、前記位置関係確認制御に対応する位置関係確認部材を含み、
前記制御部は、前記位置関係確認制御では、前記所定場所に位置する前記位置関係確認部材を前記カメラユニットによって撮像した結果に基づき前記ヘッドユニットと前記カメラユニットとの位置関係を確認する請求項2に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記制御部は、前記位置関係確認制御の結果に基づき前記位置関係パラメータを調整する請求項6に記載の部品実装機。
【請求項8】
前記ヘッドユニットは、前記部品供給位置から部品を取り出して保持する実装ヘッドと、前記制御部からの回転指令に基づき前記実装ヘッドを回転させる回転駆動部とを有し、
前記複数の確認制御は、前記回転指令と前記実装ヘッドの回転量との関係を確認する回転量確認制御を含み、
前記複数の確認部材は、前記回転量確認制御に対応する回転量確認部材を含み、
前記制御部は、前記回転量確認制御では、前記実装ヘッドによって保持されて前記所定場所に位置する前記回転量確認部材を前記カメラユニットによって撮像した結果に基づき前記回転指令と前記実装ヘッドの回転量との関係を確認する請求項2に記載の部品実装機。
【請求項9】
前記制御部は、前記回転量確認制御の結果に基づき前記回転指令を調整する請求項8に記載の部品実装機。
【請求項10】
コード認識カメラをさらに備え、
前記確認部材収容部は、前記複数の確認部材をそれぞれ保持する複数の保持位置と、前記複数の保持位置を示す位置認識コードとを有し、
前記制御部は、前記コード認識カメラによって前記位置認識コードを撮像した結果に基づき前記対象確認部材の前記保持位置を対象認識位置として認識して、前記対象認識位置に前記ヘッドユニットを移動させて、前記対象認識位置の前記対象確認部材を前記ヘッドユニットに保持させる請求項1に記載の部品実装機。
【請求項11】
前記ヘッドユニットには、ノズルが着脱可能に装着され、
前記確認部材収容部は、前記ヘッドユニットによって取り出し可能に前記ノズルを収容し、
前記複数の確認制御は、前記ノズルによって前記確認部材を保持するノズル使用確認制御を含み、
前記制御部は、前記ノズル使用確認制御で保持すべき前記確認部材に対応する前記ノズルを前記確認部材収容部に収容される前記ノズルのうちから選択して前記ヘッドユニットに装着して、前記ノズル使用確認制御を実行し、
前記ノズル使用確認制御では、前記ヘッドユニットに装着された前記ノズルによって前記対象確認部材を前記確認部材収容部から取り出して前記所定場所に位置させる請求項1に記載の部品実装機。
【請求項12】
前記制御部は、オペレータによる実行指示を受け付けると、前記対象確認制御を実行する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項13】
前記制御部は、前記実装作業部が前記基板に部品を実装する実装作業を所定時間以上実行しない場合に、前記対象確認制御を実行する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項14】
前記制御部は、前記基板に部品を実装する実装作業を実行する前記実装作業部を監視し、前記実装作業部を監視した結果に基づき決定したタイミングで前記対象確認制御を実行する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項15】
前記実装作業部は、複数の構成要素を有し、
前記制御部は、前記複数の構成要素のうちの一の構成要素が交換されると、前記複数の確認制御のうち、前記一の構成要素が相関を有する前記実装作業部の状態を確認する前記確認制御を前記対象確認制御として実行する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項16】
前記制御部は、前記複数の確認制御の全部を、前記対象確認制御として実行する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項17】
前記ヘッドユニットに対して着脱可能に複数のノズルを保持するノズル保持部をさらに有し、
前記ノズル保持部では、前記複数のノズルのうちから選択されたノズルが前記ヘッドユニットに装着され、
前記ヘッドユニットは、前記部品供給部によって供給された部品を、装着されたノズルによって前記部品供給位置から取り出して基板に移載し、
前記確認部材収容部は、前記ノズル保持部に着脱可能に取り付けられる請求項1に記載の部品実装機。
【請求項18】
部品供給部によって部品供給位置に供給された部品を取り出して基板に移載するヘッドユニットを有する実装作業部の互いに異なる状態を確認する複数の確認制御に対応して設けられた複数の確認部材を前記ヘッドユニットによって取り出し可能に収容する確認部材収容部から、前記複数の確認部材のうち対象確認制御に対応する対象確認部材を前記ヘッドユニットによって前記確認部材収容部から取り出して所定場所に位置させる工程と、
前記所定場所に位置する前記対象確認部材を用いて前記対象確認制御を実行する工程と
を備える実装作業部の確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品を基板に移載するヘッドユニットを有する実装作業部の状態を確認する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の部品実装機は、フィーダベースに取り付けられたパーツフィーダと、吸着ノズルを有する装着ヘッドとを備え、パーツフィーダによって供給された部品を吸着ノズルにより取り出して基板に実装する。この部品実装機は、ロードセルを含むメンテナンス装置を備え、ロードセルに装着ヘッドを押し付けた際にロードセルが検出する荷重に基づき、装着ヘッドの状態を確認する。特にメンテナンス装置はフィーダベースに取り付けられており、装着ヘッドの状態確認はフィーダベースが設けられた場所で実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品実装機では、部品を基板に移載するヘッドユニットを含む実装作業部の状態を確認する必要が発生する。具体的には、ヘッドユニットが取り出した部品の位置や角度を認識するために当該部品を撮像するカメラユニットが例えば実装作業部に含まれ、このカメラユニットの状態が適宜確認される。あるいは、カメラユニットによってヘッドユニットを撮像した結果に基づき、ヘッドユニットの状態を確認することもできる。ただし、状態確認の内容によっては、確認部材を用いて当該状態確認を実行する必要がある。そのため、例えばカメラユニット等の状態確認の実行場所に確認部材を用意してから、当該状態確認を実行する場合がある。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、このような場合に対応できるものではなかった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、実装作業部の状態確認に必要となる確認部材を当該状態確認の実行場所に的確に用意して当該状態確認を実行可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装機は、部品供給位置に部品を供給する部品供給部と、部品供給部によって供給された部品を部品供給位置から取り出して基板に移載するヘッドユニットを有する実装作業部と、実装作業部の互いに異なる状態を確認する複数の確認制御に対応して設けられた複数の確認部材を、ヘッドユニットによって取り出し可能に収容する確認部材収容部と、複数の確認制御のうち対象確認制御を実行する制御部とを備え、制御部は、複数の確認部材のうち対象確認制御に対応する対象確認部材をヘッドユニットによって確認部材収容部から取り出して所定場所に位置させて、所定場所に位置する対象確認部材を用いて対象確認制御を実行する。
【0007】
本発明に係る実装作業部の確認方法は、部品供給部によって部品供給位置に供給された部品を取り出して基板に移載するヘッドユニットを有する実装作業部の互いに異なる状態を確認する複数の確認制御に対応して設けられた複数の確認部材をヘッドユニットによって取り出し可能に収容する確認部材収容部から、複数の確認部材のうち対象確認制御に対応する対象確認部材をヘッドユニットによって確認部材収容部から取り出して所定場所に位置させる工程と、所定場所に位置する対象確認部材を用いて対象確認制御を実行する工程とを備える。
【0008】
このように構成された本発明(部品実装機、実装作業部の確認方法)では、実装作業部の互いに異なる状態を確認する複数の確認制御に対応して設けられた複数の確認部材をヘッドユニットによって取り出し可能に収容する確認部材収容部が設けられている。そして、ヘッドユニットは、複数の確認部材のうち対象確認制御に対応する対象確認部材を確認部材収容部から取り出して所定場所に位置させる。そして、所定場所に位置する対象確認部材を用いて対象確認制御が実行される。こうして、実装作業部の状態確認に必要となる確認部材を当該状態確認の実行場所に的確に用意して当該状態確認を実行することが可能となっている。
【0009】
また、実装作業部は、ヘッドユニットによって取り出された部品を撮像するカメラユニットを有し、制御部は、ヘッドユニットによって取り出した対象確認部材を、カメラユニットに対向する場所である所定場所に位置させて、所定場所に位置する対象確認部材をカメラユニットによって撮像した結果に基づき、対象確認制御に対応する実装作業部の状態を確認するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、実装作業部の状態確認に必要となる確認部材をカメラユニットに対向する場所に的確に用意して、当該状態確認を実行することが可能となっている。
【0010】
また、制御部は、対象確認制御によって実装作業部の状態を確認した結果に基づき、実装作業部の状態を調整するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、実装状態部の状態を適切化することができる。
【0011】
また、カメラユニットは、ヘッドユニットによって取り出された部品に照明を照射する照明部と、照明部によって照明が照射された部品を撮像する部品認識カメラとを有し、複数の確認制御は、照明部の照明の明るさを確認する照明確認制御を含み、複数の確認部材は、照明確認制御に対応する照明確認部材を含み、制御部は、照明確認制御では、所定場所に位置する照明確認部材に照明部から照明を照射しつつ部品認識カメラによって照明確認部材を撮像した結果に基づき照明部の照明の明るさを確認するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、照明部の照明の明るさの確認に必要となる照明確認部材を、カメラユニットに対向する場所に的確に用意して、照明部の照明の明るさを確認することができる。
【0012】
また、制御部は、照明確認制御の結果に基づき照明部の照明の明るさを調整するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、照明部の照明の明るさを適切化することができる。
【0013】
また、制御部は、ヘッドユニットによって保持される部品をカメラユニットにより撮像した結果と、ヘッドユニットとカメラユニットとの位置関係を示す位置関係パラメータとに基づき、ヘッドユニットによって保持される部品の位置を認識し、複数の確認制御は、ヘッドユニットとカメラユニットとの位置関係を確認する位置関係確認制御を含み、複数の確認部材は、位置関係確認制御に対応する位置関係確認部材を含み、制御部は、位置関係確認制御では、所定場所に位置する位置関係確認部材をカメラユニットによって撮像した結果に基づきヘッドユニットとカメラユニットとの位置関係を確認するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、ヘッドユニットとカメラユニットとの位置関係の確認に必要となる位置関係確認部材を、カメラユニットに対向する場所に的確に用意して、ヘッドユニットとカメラユニットとの位置関係を確認することができる。
【0014】
また、制御部は、位置関係確認制御の結果に基づき位置関係パラメータを調整するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、ヘッドユニットとカメラユニットとの位置関係を示す位置関係パラメータを適切化することができる。
【0015】
また、ヘッドユニットは、部品供給位置から部品を取り出して保持する実装ヘッドと、制御部からの回転指令に基づき実装ヘッドを回転させる回転駆動部とを有し、複数の確認制御は、回転指令と実装ヘッドの回転量との関係を確認する回転量確認制御を含み、複数の確認部材は、回転量確認制御に対応する回転量確認部材を含み、制御部は、回転量確認制御では、実装ヘッドによって保持されて所定場所に位置する回転量確認部材をカメラユニットによって撮像した結果に基づき回転指令と実装ヘッドの回転量との関係を確認するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、回転指令と実装ヘッドの回転量との関係の確認に必要となる回転量確認部材を、カメラユニットに対向する場所に的確に用意して、回転指令と実装ヘッドの回転量との関係を確認することができる。
【0016】
また、制御部は、回転量確認制御の結果に基づき回転指令を調整するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、回転指令と実装ヘッドの回転量との関係を適切化することができる。
【0017】
また、コード認識カメラをさらに備え、確認部材収容部は、複数の確認部材をそれぞれ保持する複数の保持位置と、複数の保持位置を示す位置認識コードとを有し、制御部は、コード認識カメラによって位置認識コードを撮像した結果に基づき対象確認部材の保持位置を対象認識位置として認識して、対象認識位置にヘッドユニットを移動させて、対象認識位置の対象確認部材をヘッドユニットに保持させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、対象確認制御で使用する対象確認部材を、ヘッドユニットによって確認部材収容部から的確に取り出して保持することができる。
【0018】
また、ヘッドユニットには、ノズルが着脱可能に装着され、確認部材収容部は、ヘッドユニットによって取り出し可能にノズルを収容し、複数の確認制御は、ノズルによって確認部材を保持するノズル使用確認制御を含み、制御部は、ノズル使用確認制御で保持すべき確認部材に対応するノズルを確認部材収容部に収容されるノズルのうちから選択してヘッドユニットに装着して、ノズル使用確認制御を実行し、ノズル使用確認制御では、ヘッドユニットに装着されたノズルによって対象確認部材を確認部材収容部から取り出して所定場所に位置させるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、対象確認部材に応じた適切なノズルを用いて当該対象確認部材を所定場所に位置させることができる。
【0019】
また、制御部は、オペレータによる実行指示を受け付けると、対象確認制御を実行するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、オペレータのニーズに応じたタイミングで、実装作業部の状態を確認することができる。
【0020】
また、制御部は、実装作業部が基板に部品を実装する実装作業を所定時間以上実行しない場合に、対象確認制御を実行するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、実装作業部が実装作業を実行しない期間を利用して、実装作業部の状態を確認することができる。
【0021】
また、制御部は、基板に部品を実装する実装作業を実行する実装作業部を監視し、実装作業部を監視した結果に基づき決定したタイミングで対象確認制御を実行するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、実装作業部の動作状況に応じたタイミングで、実装作業部の状態を確認することができる。
【0022】
また、実装作業部は、複数の構成要素を有し、制御部は、複数の構成要素のうちの一の構成要素が交換されると、複数の確認制御のうち、一の構成要素が相関を有する実装作業部の状態を確認する確認制御を対象確認制御として実行するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、実装作業部の構成要素の交換が実装作業部の状態に与える影響を確認することができる。
【0023】
また、制御部は、複数の確認制御の全部を、対象確認制御として実行するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、複数の確認制御それぞれに対応する状態を確認することができる。
【0024】
また、ヘッドユニットに対して着脱可能に複数のノズルを保持するノズル保持部をさらに有し、ノズル保持部では、複数のノズルのうちから選択されたノズルがヘッドユニットに装着され、ヘッドユニットは、部品供給部によって供給された部品を、装着されたノズルによって部品供給位置から取り出して基板に移載し、確認部材収容部は、ノズル保持部に着脱可能に取り付けられるように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、確認部材収容部の配置にノズル保持部を利用することができ、確認部材収容部の配置スペースの確保による部品実装機の大型化を抑止可能となる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、実装作業部の状態確認に必要となる確認部材を当該状態確認の実行場所に的確に用意して当該状態確認を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る部品実装機の一例を模式的に示す平面図。
【
図2】
図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図。
【
図3A】
図1の部品実装機で使用される実装ヘッドを模式的に示す側面図。
【
図3B】
図1の部品実装機で使用される部品認識ユニットの一例を模式的に示す側面図。
【
図3C】
図1の部品実装機で使用されるノズルホルダの一例を模式的に示す平面図。
【
図4A】調整キットの第1例を模式的に示す平面図。
【
図5A】カメラユニット調整部材を模式的に示す図。
【
図5B】カメラユニット調整部材を模式的に示す図。
【
図5C】カメラユニット調整部材を模式的に示す図。
【
図5D】カメラユニット調整部材を模式的に示す図。
【
図8】演算部によって実行される部品実装機の状態管理の一例を示すフローチャート。
【
図9A】照明保守で実行される動作を示すフローチャート。
【
図9B】回転量保守で実行される動作を示すフローチャート。
【
図9C】位置関係保守で実行される動作を示すフローチャート。
【
図10】構成要素の交換を基準に状態管理のステップS102~S107を実行するための交換保守を示すフローチャート。
【
図11】部品実装機の変形例を模式的に示す平面図。
【
図12】
図11の部品実装機で使用される調整キットを模式的に示す平面図。
【
図13A】ノズル交換機に対する調整キットの取付態様の変形例を模式的に示す平面図。
【
図13B】ノズル交換機に対する調整キットの取付態様の変形例を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は本発明に係る部品実装機の一例を模式的に示す平面図であり、
図2は
図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図であり、
図3Aは
図1の部品実装機で使用される実装ヘッドを模式的に示す側面図であり、
図3Bは
図1の部品実装機で使用される部品認識ユニットの一例を模式的に示す側面図であり、
図3Cは
図1の部品実装機で使用されるノズルホルダの一例を模式的に示す平面図である。
図1および
図3A~
図3Cでは、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。
図1に示す部品実装機1は、部品E(
図3A)を基板Bに実装する部品実装を実行する。
【0028】
図2に示すように、部品実装機1は、当該部品実装機1の動作を統括的に制御する制御部100を備える。制御部100は、演算部110、記憶部120、駆動制御部130、撮像制御部140およびUI制御部150を有する。演算部110は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、部品実装機1の制御に必要となる演算処理を実行する。なお、演算部110の具体的な構成はCPUに限られず、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)でもよい。記憶部120は、SSD(Solid State Drive)あるいはHHD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶装置である。この記憶部120には、回転指令値Cr、照明指令値Ceおよび位置関係パラメータPlといった各種データが記憶される。これらのデータの詳細については後述する。駆動制御部130は、部品実装機1の駆動系を制御し、撮像制御部140は、部品実装機1の撮像系を制御する。また、UI制御部150は、部品実装機1が具備するUI(User Interface)10を制御する。UI10は、キーボードやマウスといった入力機器と、ディスプレイといった出力機器とを有する。なお、UI10の入力機器と出力機器とを別体で構成する必要はなく、例えばタッチパネルディスプレイによってこれらを一体的に構成してもよい。UI制御部150は、演算部110からの指令に従ってUI10のディスプレイに画像を表示したり、UI10に入力された指令を演算部110に送信したりする。
【0029】
図1に示すように、部品実装機1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。そして、部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から作業位置13(
図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品Eを実装し、部品実装を完了した基板B(部品実装基板B)をコンベア12により作業位置13からX方向の下流側へ搬出する。
【0030】
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モータMyとが設けられ、X方向に延びるX軸レール24が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。X軸レール24には、X方向に延びるX軸ボールネジ25と、X軸ボールネジ25を回転駆動するX軸モータMxとが取り付けられている。また、部品実装機1は、X軸レール24によってX方向に移動可能に支持されたヘッドユニット3を備え、ヘッドユニット3はX軸ボールネジ25のナットに固定されている。したがって、駆動制御部130は、Y軸モータMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット3をY方向に移動させ、X軸モータMxによりX軸ボールネジ25を回転させてヘッドユニット3をX方向に移動させることができる。
【0031】
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部4がX方向に並んでおり、各部品供給部4では、X方向に配列された複数のテープフィーダ41が着脱可能に支持されている。テープフィーダ41は、作業位置13側の先端部に設けられた部品供給位置42を有し、部品供給位置42に部品Eを供給する。具体的には、テープフィーダ41には、部品収納テープが装填されており、この部品収納テープは、一列に配列された複数のポケットのそれぞれに部品Eを収納する。そして、テープフィーダ41は、部品収納テープを部品供給位置42に向けて間欠的に搬送することで、部品供給位置42に部品Eを供給する。
【0032】
ヘッドユニット3は、円周方向に等ピッチで配列された複数(
図1の例では8本)の実装ヘッド31と、実装ヘッド31をZ方向に昇降させるZ軸モータMz(
図2)とを有する。
図3Aに示すように、実装ヘッド31はZ方向に延設された長尺形状を有し、当該実装ヘッド31の下端に対しては、吸着ノズルNが着脱可能に装着される。また、ヘッドユニット3は、Z方向に平行な回転軸を中心とする回転方向Rに実装ヘッド31を回転させるR軸モータMr(
図2)を有する。実装ヘッド31は、下端に装着された吸着ノズルNによって部品Eを吸着・保持することができ、この吸着ノズルNによって部品供給位置42から取り出した部品Eを基板Bに実装する。
【0033】
具体的には、駆動制御部130は、X軸モータMxおよびY軸モータMyによってヘッドユニット3を駆動することで、吸着ノズルNを部品供給位置42に上方から対向させる。続いて、駆動制御部130は、Z軸モータMzによって吸着ノズルNを下降させて、当該吸着ノズルNを部品供給位置42内の部品Eに当接させる。実装ヘッド31は、部品Eに接触した吸着ノズルNに負圧を発生させて、部品Eを吸着ノズルNに吸着する。駆動制御部130がZ軸モータMzによって吸着ノズルNを上昇させると、吸着ノズルNに吸着された部品Eが部品供給位置42から取り出される。さらに、駆動制御部130は、X軸モータMxおよびY軸モータMyによってヘッドユニット3を駆動することで、吸着ノズルNに吸着された部品Eを、作業位置13の基板Bの実装位置(ランド等)に上方から対向させる。また、駆動制御部130は、R軸モータMrにより吸着ノズルNを回転方向Rに回転させることで、当該吸着ノズルNに吸着された部品Eの角度を基板Bの実装位置に対して合わせる。続いて、駆動制御部130は、Z軸モータMzによって吸着ノズルNを下降させて、当該吸着ノズルNに吸着された部品Eを基板Bの実装位置に当接させる。そして、実装ヘッド31は、基板Bの実装位置に当接した部品Eを吸着する吸着ノズルNの負圧を解除する。こうして、部品Eが基板Bの実装位置に実装される。
【0034】
部品実装機1はノズル交換機7を備え、部品Eを吸着するための吸着ノズルNは、部品Eの種類に応じてノズル交換機7によって交換される。このノズル交換機7は、交換機本体71を有し、交換機本体71の上面には、複数のホルダ取付部72、73が設けられている。ホルダ取付部73には、後に詳述する調整キットホルダ8が着脱可能に取り付けられる。一方、ホルダ取付部72には、
図3Cに示すノズルホルダ79がネジ等の締結部材によって着脱可能に取り付けられる。このノズルホルダ79では、それぞれ吸着ノズルNを収納可能な複数のノズル収納部75(ノズル収納孔)が配列されたプレートである。ノズルホルダ79において、ノズル収納部75は2列で配列され、各列において複数のノズル収納部75がX方向に等ピッチで配列されている。
【0035】
このノズル交換機7を用いて実装ヘッド31に装着される吸着ノズルNを交換することができる。つまり、実装ヘッド31に装着された吸着ノズルNを一のノズル収納部75に収納してから、別のノズル収納部75に収納される吸着ノズルNを実装ヘッド31に装着することで、実装ヘッド31に装着される吸着ノズルNを交換することができる。かかるノズル交換機7は、例えばWO2018/163425に記載のノズル交換治具と同様に構成することができる。
【0036】
また、部品実装機1は、基板Bを上方から認識する基板認識カメラ5を備える。基板認識カメラ5は、下方を向いてヘッドユニット3に取り付けられている。したがって、駆動制御部130は、X軸モータMxおよびY軸モータMyによって基板認識カメラ5をX方向およびY方向に移動させることができる。この基板認識カメラ5は、例えば基板Bに付されたフィデューシャルマークを撮像することで、フィデューシャルマークの位置を示す基板認識画像を取得する。基板認識カメラ5により取得された基板認識画像は、撮像制御部140を介して演算部110に送信され、演算部110は、基板認識画像に基づき基板Bの位置を確認する。
【0037】
さらに、部品実装機1は、実装ヘッド31の下端に装着された吸着ノズルNに吸着された部品Eを下方から認識する部品認識ユニット6を備える。部品認識ユニット6は、
図3Bに示すように、部品認識カメラ61および照明部63を有する。部品認識カメラ61は、固体撮像素子611と、固体撮像素子611を収納するカメラハウジング612と、カメラハウジング612の上端に取り付けられた対物レンズ613とを有する。対物レンズ613は、吸着ノズルNに吸着された部品Eに下方から対向して、部品Eからの光を固体撮像素子611に集光する。固体撮像素子611は、対物レンズ613によって集光された光を検知することで部品Eを撮像して、部品Eの位置を示す部品認識画像を取得する。
【0038】
照明部63は、同軸照明部631、メイン照明部632およびサイド照明部633を有する。同軸照明部631は、部品認識カメラ61と同軸の縦方向から部品Eに照明Lc(光)を照射する。つまり、カメラハウジング612内では、対物レンズ613と固体撮像素子611との間にハーフミラー65が配置され、同軸照明部631は、ハーフミラー65に横方向から対向するようにカメラハウジング612に取り付けられている。そして、同軸照明部631からハーフミラー65に照射された光は、ハーフミラー65によって対物レンズ613に向けて反射されて、対物レンズ613から部品Eに照明Lcとして照射される。なお、部品Eで反射されて対物レンズ613で集光された光は、ハーフミラー65を透過して固体撮像素子611に到達する。メイン照明部632は、斜め下方から部品Eに照明Lm(光)を照射する。サイド照明部633は、横方向から部品Eに照明Ls(光)を照射する。
【0039】
撮像制御部140は、部品認識ユニット6の部品認識カメラ61および照明部63を制御する。つまり、撮像制御部140は、同軸照明部631、メイン照明部632およびサイド照明部633のうち、部品Eの種類に応じた照明部を点灯させることで、照明Lc、照明Lmあるいは照明Lsを部品Eに照射しつつ、部品認識カメラ61に部品Eを撮像させて、部品認識画像を取得する。部品認識カメラ61により取得された部品認識画像は、撮像制御部140を介して演算部110に送信され、演算部110は、部品認識画像に基づき部品Eの位置および角度を確認する。そして、演算部110は、部品認識画像による確認結果に基づきX軸モータMx、Z軸モータMzあるいはR軸モータMrを制御して、部品Eの位置および角度を基板Bの実装位置に応じて調整してから、部品Eを基板Bの実装位置に実装する。
【0040】
ところで、上述の通り、記憶部120には、回転指令値Cr、位置関係パラメータPlおよび照明指令値Ceといった各種データが保存される。続いては、これらのデータについて説明する。
【0041】
回転指令値Crは、演算部110が駆動制御部130によってR軸モータMrを制御して吸着ノズルNを回転方向Rに回転させるために使用される。例えば、回転指令値Crは、R軸モータMrを回転させるためにR軸モータMrに与えるパルスの数である。つまり、演算部110は、駆動制御部130を介して回転指令値CrをR軸モータMrに送信し、R軸モータMrは回転指令値Crに応じて吸着ノズルNを回転方向Rに回転させる。これによって、吸着ノズルNが回転指令値Crに応じた回転角度に回転する。
【0042】
照明指令値Ceは、演算部110が撮像制御部140によって照明部63を制御して照明部63から部品Eに照明を照射するために使用される。つまり、演算部110は、撮像制御部140を介して照明部63に照明指令値Ceを送信する。これによって、照明部63は、照明指令値Ceに応じた明るさの照明を部品Eに照射する。なお、照明指令値Ceは、同軸照明部631、メイン照明部632およびサイド照明部633のそれぞれに対して設定されて、記憶部120に保存される。したがって、同軸照明部631に対応する照明指令値Ceが当該同軸照明部631に送信されると、同軸照明部631は、照明指令値Ceに応じた明るさの照明Lcを部品Eに照射する。メイン照明部632に対応する照明指令値Ceが当該メイン照明部632に送信されると、メイン照明部632は、照明指令値Ceに応じた明るさの照明Lmを部品Eに照射する。あるいは、サイド照明部633に対応する照明指令値Ceが当該サイド照明部633に送信されると、サイド照明部633は、照明指令値Ceに応じた明るさの照明Lsを部品Eに照射する。
【0043】
位置関係パラメータPlは、部品認識ユニット6の部品認識カメラ61とヘッドユニット3との位置関係を示す。具体的には、位置関係パラメータPlは、ヘッドユニット3を駆動するX軸モータMxおよびY軸モータMyそれぞれのエンコーダ出力が示すヘッドユニット3の位置(X、Y)と、部品認識カメラ61との位置関係を示す。したがって、演算部110は、位置関係パラメータPlが示す当該位置関係を参照することで、部品認識カメラ61が撮像した部品認識画像に基づき、ヘッドユニット3に保持される部品Eの位置を認識することができる。
【0044】
これに対して、部品実装機1は、調整キットホルダ8を用いて、回転指令値Cr、照明指令値Ceあるいは位置関係パラメータPlの調整を行う。
図4Aは調整キットの第1例を模式的に示す平面図であり、
図4Bは
図4Aの調整キットの第1例を模式的に示す正面図である。調整キットホルダ8は、X方向およびY方向に平行な平板上のキットプレート81と、キットプレート81の下面に取り付けられた取付機構82とを有する。取付機構82は、例えばノズル交換機7のホルダ取付部73に着脱可能なラッチ機構であり、取付機構82をホルダ取付部73に取り付けることで、調整キットホルダ8をホルダ取付部73に装着できる。ただし、ラッチ機構ではなく、ボルトおよびナット等を用いた締結機構によって、取付機構82を構成してもよい。なお、調整キットホルダ8のホルダ取付部73への取り付け作業はオペレータによって行われる。ただし、ロボットによって取り付け作業を行っても構わない。
【0045】
キットプレート81には、ノズル保管部83、位置認識コード84、補正マーク85、調整部材保管部86、87および88が設けられている。ノズル保管部83では、複数のノズル収納部831(ノズル収納孔)がX方向に配列されており、各ノズル収納部831は、吸着ノズルNを保持可能である。
【0046】
調整部材保管部86には、複数(3個)の調整部材ホルダ861がX方向に配列されており、複数の調整部材ホルダ861のそれぞれは互いに異なる種類のカメラユニット調整部材91を保持する。
図5A~
図5Dは各種のカメラユニット調整部材を模式的に示す図である。カメラユニット調整部材91は、照明指令値Ceを調整するために使用される。具体的には、照明部63が演算部110から受信した照明指令値Ceに応じた明るさの照明をカメラユニット調整部材91に照射しつつ、部品認識カメラ61がカメラユニット調整部材91を撮像すること、カメラユニット調整部材91の画像である照明診断画像Ieが取得される。この照明診断画像Ieは、部品認識カメラ61から撮像制御部140を介して演算部110に送信され、演算部110は照明診断画像Ieに基づき、照明指令値Ceを調整する。
【0047】
図5Aに示すカメラユニット調整部材91は、灰色を有する平板であり、メイン照明部632に対する照明指令値Ceを調整する際に使用される。つまり、メイン照明部632から照明Lmをカメラユニット調整部材91に照射しつつカメラユニット調整部材91を撮像して照明診断画像Ieを取得する場合には、照明診断画像Ieが明るくなる傾向にある。そこで、灰色のカメラユニット調整部材91(
図5A)を用いることで、照明診断画像Ieの白飛びが抑止される。
【0048】
図5Bに示すカメラユニット調整部材91は、白色を有する平板であり、同軸照明部631に対する照明指令値Ceを調整する際に使用される。つまり、同軸照明部631から照明Lcをカメラユニット調整部材91に照射しつつカメラユニット調整部材91を撮像して照明診断画像Ieを取得する場合には、照明診断画像Ieが暗くなる傾向にある。そこで、白色のカメラユニット調整部材91(
図5B)を用いることで、照明診断画像Ieの黒つぶれが抑止される。
【0049】
あるいは、
図5Cに示すように、灰色の表面と白色の裏面を有するカメラユニット調整部材91を、
図5Aおよび
図5Bそれぞれのカメラユニット調整部材91に代えて用いることができる。つまり、メイン照明部632に対する照明指令値Ceを調整する場合には、カメラユニット調整部材91の灰色の表面を使用し、同軸照明部631に対する照明指令値Ceを調整する場合には、カメラユニット調整部材91の白色の裏面を使用すればよい。
【0050】
また、
図5Dのカメラユニット調整部材91は、灰色の底面を有する平板であり、サイド照明部633に対する照明指令値Ceを調整する際に使用される。カメラユニット調整部材91のうち、底面以外の部分(本体)は、サイド照明部633が照射する光を透過する光透過性を有する(すなわち、透明である)。
【0051】
調整部材保管部87には、複数(2個)の調整部材ホルダ871がX方向に配列されており、複数の調整部材ホルダ871のそれぞれは位置関係調整部材92を保持する。
図6は位置関係調整部材を模式的に示す図である。位置関係調整部材92は、透明なガラスプレート921と、ガラスプレート921の上面に取り付けられたパターン922とを有する。パターン922は、略矩形の中央部923と、中央部923から四方に延設された延設部924とを有し、照明部63からの照明を透過させずに反射あるいは吸収する。この位置関係調整部材92は、後述するように、位置関係パラメータPlを調整するために使用される。
【0052】
調整部材保管部88には、複数の調整部材ホルダ881がX方向に配列されており、複数の調整部材ホルダ881のそれぞれはヘッド調整部材93を保持する。
図7はヘッド調整部材を模式的に示す図である。ヘッド調整部材93は、実装ヘッド31に着脱可能に装着される装着部931と、装着部931から下方に延設された延設部932とを有し、延設部932の底面には所定の多角形(
図7の例では正方形)を有する認識対象部933が設けられている。認識対象部933には光沢処理が施されており、認識対象部933は照明部63からの照明を反射する。このヘッド調整部材93は、後述するように、回転指令値Crを調整するために使用される。
【0053】
位置認識コード84は、例えばQRコード(登録商標)であり、
・各補正マーク85と各ノズル収納部831との位置関係
・各ノズル収納部831で保持される吸着ノズルNの種類
・各補正マーク85と各調整部材ホルダ861との位置関係
・各調整部材ホルダ861で保持されるカメラユニット調整部材91の種類
・各補正マーク85と各調整部材ホルダ871との位置関係
・各調整部材ホルダ871で保持される位置関係調整部材92の種類
・各補正マーク85と各調整部材ホルダ881との位置関係
・各調整部材ホルダ881で保持されるヘッド調整部材93の種類
等といった情報を示す。また、キットプレート81に設けられた2個の補正マーク85は、キットプレート81の位置を示す。
【0054】
演算部110は、上記の調整キットホルダ8を用いて部品実装機1の状態を管理する(
図8)。
図8は演算部によって実行される部品実装機の状態管理の一例を示すフローチャートである。ステップS101では、演算部110は、部品実装機1の状態保守を実行するか否かを判定する。例えば、オペレータによる状態保守の実行指示がUI10に入力されると、UI制御部150が当該実行指示を演算部110に送信し、演算部110は、当該実行指示に応じて状態保守を実行すると判定する(ステップS101で「YES」)。なお、後述するように、状態保守を実行するための基準は、オペレータの実行指示の入力に限られない。
【0055】
状態保守を実行すると判定すると(ステップS101で「YES」)、演算部110は、補正マークを認識する(ステップS102)。具体的には、演算部110はX軸モータMxおよびY軸モータMyを制御することで、基板認識カメラ5を補正マーク85に上方から対向させて、補正マーク85の画像を基板認識カメラ5に撮像させる。演算部110は、かかる制御を各補正マーク85について実行して、各補正マーク85の画像を取得すると、これらの画像から調整キットホルダ8の位置(X、Y)を認識する。次に、演算部110は、位置認識コード84を認識する(ステップS103)。具体的には、演算部110はX軸モータMxおよびY軸モータMyを制御することで、基板認識カメラ5を位置認識コード84に上方から対向させて、位置認識コード84の画像を基板認識カメラ5に撮像させる。そして、演算部110は、この位置認識コード84の画像に基づき、当該位置認識コード84が示す上記の情報を認識する。なお、ステップS102、S103の実行順序はここの例の逆でもよい。
【0056】
ステップS102で認識した調整キットホルダ8の位置と、ステップS103で認識した情報に基づき、演算部110は、
・各ノズル収納部831の位置(XY座標)
・各ノズル収納部831で保持される吸着ノズルNの種類
・各調整部材ホルダ861の位置(XY座標)
・各調整部材ホルダ861で保持されるカメラユニット調整部材91の種類
・各調整部材ホルダ871の位置(XY座標)
・各調整部材ホルダ871で保持される位置関係調整部材92の種類
・各調整部材ホルダ881の位置(XY座標)
・各調整部材ホルダ881で保持されるヘッド調整部材93の種類
といった部材位置情報を認識する。
【0057】
ステップS104では、演算部110は状態保守を実行すべき保守対象項目を、オペレータによりUI10に入力された実行指示を参照して確認する(ステップS104)。そして、演算部110は、当該保守対象項目の保守を実行する(ステップS105)。保守対象項目としては、
・照明指令値Ceの調整を行う照明保守
・回転指令値Crの調整を行う回転量保守
・位置関係パラメータPlの調整を行う位置関係保守
が具体的に挙げられる。
【0058】
図9Aは照明保守で実行される動作を示すフローチャートである。オペレータの実行指示において保守対象項目として照明保守が指示されている場合には、
図9Aの照明保守が演算部110によって実行される。この照明保守は、調整キットホルダ8に保持される複数のカメラユニット調整部材91(照明調整治具)のうちの一のカメラユニット調整部材91を用いて実行される。つまり、上述の通り、同軸照明部631、メイン照明部632およびサイド照明部633のうち、照明指令値Ceを調整する対象となる対象照明部に応じて、使用されるカメラユニット調整部材91の種類が異なる。したがって、対象照明部に対応する種類の一のカメラユニット調整部材91が用いられる。
【0059】
なお、オペレータの実行指示において対象照明部が指定される場合には、演算部110は、当該実行指示に基づき対象照明部を特定する。あるいは、同軸照明部631、メイン照明部632およびサイド照明部633の全てに対して照明保守を実行する場合には、演算部110は、これらの間で対象照明部を切り換えつつ
図9Aの照明保守を繰り返し実行する。
【0060】
ステップS201では、演算部110は、対象照明部の調整に使用される一のカメラユニット調整部材91の吸着に適した吸着ノズルN(すなわち、当該一のカメラユニット調整部材91に対応する吸着ノズルN)を保持するノズル収納部831を、部材位置情報に基づき特定する。そして、演算部110は、当該ノズル収納部831に保持される吸着ノズルNを実装ヘッド31の下端に装着する。
【0061】
ステップ202では、演算部110は、一のカメラユニット調整部材91を保持する調整部材ホルダ861を、部材位置情報に基づき特定する。また、演算部110は、当該調整部材ホルダ861に保持される一のカメラユニット調整部材91を、実装ヘッド31に装着された吸着ノズルNに吸着させる。そして、ステップS203で、演算部110は、吸着ノズルNによって吸着されたカメラユニット調整部材91を、部品認識カメラ61に上方から対向させる。
【0062】
ステップS204では、演算部110は、照明指令値Ceを照明部63に送信して、照明部63からカメラユニット調整部材91に照明を照射する。ステップS205では、演算部110は、部品認識カメラ61にカメラユニット調整部材91を撮像させて、照明診断画像Ieを取得する。ステップS206では、演算部110は、照明診断画像Ieに基づき、カメラユニット調整部材91の画像の明度を確認する。
【0063】
ステップS207では、演算部110は、照明診断画像Ieにおけるカメラユニット調整部材91の画像の明度が目標範囲内であるか否かを判定する。カメラユニット調整部材91の画像の明度が目標範囲内でないと判定された場合(ステップS207で「NO」の場合)には、演算部110は、照明指令値Ceを増大させて(ステップS208)、増大された照明指令値Ceが上限値以上であるかを判定する(ステップS209)。そして、照明指令値Ceが上限値以上でない場合(ステップS209で「NO」の場合)には、演算部110は、ステップS204~S207を再度実行する。一方、照明指令値Ceが上限値以上である場合(ステップS209で「YES」の場合)には、演算部110は、ユーザへの警告を表示するようにUI制御部150に指令を出して、UI制御部150は、当該指令に従ってUI10にユーザへの警告を実行させる。ユーザへの警告は、例えばディスプレイへの表示やブザー音等によって実行できる。
【0064】
ステップS207で、照明診断画像Ieにおけるカメラユニット調整部材91の画像の明度が目標範囲内であると判定された場合(「YES」の場合)には、演算部110は、その時点での照明指令値Ceを記憶部120に保存する(ステップS211)。そして、演算部110は、吸着ノズルNに吸着されているカメラユニット調整部材91を、当該カメラユニット調整部材91が保持されていたノズル収納部831に戻す(ステップS212)。
【0065】
このように照明保守では、演算部110は、照明指令値Ceの適否を診断する照明診断(ステップS201~S207)を実行する。そして、演算部110は、照明診断の結果に応じて、照明指令値Ceを調整する(ステップS208、S211)。
【0066】
図9Bは回転量保守で実行される動作を示すフローチャートである。オペレータの実行指示において保守対象項目として回転量保守が指示されている場合には、
図9Bの回転量保守が演算部110によって実行される。
【0067】
ステップS301では、演算部110は、回転量保守に使用されるヘッド調整部材93(回転検出ノズル)を保持する調整部材ホルダ881を、部材位置情報に基づき特定する。そして、演算部110は、当該調整部材ホルダ881に保持されるヘッド調整部材93を実装ヘッド31の下端に装着する。ステップ302では、演算部110は、実装ヘッド31に装着されたヘッド調整部材93の認識対象部933を、部品認識カメラ61に上方から対向させる。
【0068】
ステップS303では、演算部110は、回転指令値CrをR軸モータMrに送信してする。これによって、ヘッド調整部材93の認識対象部933が回転指令値Crに応じた回転角度に回転する。ステップS304では、演算部110は、照明部63からヘッド調整部材93の認識対象部933に照明を照射させつつ部品認識カメラ61にヘッド調整部材93の認識対象部933を撮像させて、回転診断画像Irを取得する。ステップS305では、演算部110は、回転診断画像Irが示す認識対象部933の回転角度を確認する。
【0069】
ステップS306では、演算部110は、回転診断画像Irにおける認識対象部933の回転角度が目標範囲内であるか否かを判定する。認識対象部933の回転角度が目標範囲内でないと判定された場合(ステップS306で「NO」の場合)には、演算部110は、目標範囲に対する認識対象部933の回転角度の誤差に応じて回転指令値Crを補正して(ステップS307)、回転指令値Crの補正結果を記憶部120に保存する(ステップS308)。この際、例えば、回転角度の誤差を補正するために回転指令値Crに加算する補正加算値を回転指令値Crの補正結果として記憶部120に記憶してもよいし、回転指令値Crそのものを補正した値を補正結果として記憶部120に記憶してもよい。そして、演算部110は、実装ヘッド31に装着されているヘッド調整部材93を、当該ヘッド調整部材93が保持されていた調整部材ホルダ881に戻す(ステップS309)。ステップS306で、認識対象部933の回転角度が目標範囲内であると判定された場合(「YES」の場合)には、演算部110は、ステップS309に進んでヘッド調整部材93を調整部材ホルダ881に戻す。
【0070】
このように回転量保守では、演算部110は、回転指令値Crの適否を診断する回転量診断(ステップS301~S306)を実行する。そして、演算部110は、回転量診断の結果に応じて、回転指令値Crを調整する(ステップS307~S308)。
【0071】
図9Cは位置関係保守で実行される動作を示すフローチャートである。オペレータの実行指示において保守対象項目として位置関係保守が指示されている場合には、
図9Cの位置関係保守が演算部110によって実行される。
【0072】
ステップS401では、演算部110は、位置関係調整部材92の吸着に適した吸着ノズルN(すなわち、位置関係調整部材92に対応する吸着ノズルN)を保持するノズル収納部831を、部材位置情報に基づき特定する。そして、演算部110は、当該ノズル収納部831に保持される吸着ノズルNを実装ヘッド31の下端に装着する。
【0073】
ステップ402では、演算部110は、位置関係調整部材92を保持する調整部材ホルダ871を、部材位置情報に基づき特定する。また、演算部110は、当該調整部材ホルダ871に保持される位置関係調整部材92を、実装ヘッド31に装着された吸着ノズルNに吸着させる。そして、ステップS403で、演算部110は、吸着ノズルNによって吸着された位置関係調整部材92を、部品認識カメラ61に上方から対向させる。
【0074】
ステップS404では、演算部110は、照明部63から位置関係調整部材92に照明を照射させつつ部品認識カメラ61に位置関係調整部材92を撮像させて、位置関係診断画像Ilを取得する。ステップS405では、演算部110は、位置関係診断画像Ilが示す位置関係調整部材92の位置を確認する。
【0075】
ステップS406では、演算部110は、位置関係診断画像Ilにおける位置関係調整部材92の位置が目標範囲内であるか否かを判定する。位置関係調整部材92の位置が目標範囲内でないと判定された場合(ステップS406で「NO」の場合)には、演算部110は、目標範囲に対する位置関係調整部材92の位置の誤差に応じて位置関係パラメータPlを補正して(ステップS407)、位置関係パラメータPlの補正結果を記憶部120に保存する(ステップS408)。この際、例えば、位置の誤差を補正するために位置関係パラメータPlに加算する補正加算値を位置関係パラメータPlの補正結果として記憶部120に記憶してもよいし、位置関係パラメータPlそのものを補正した値を補正結果として記憶部120に記憶してもよい。そして、演算部110は、実装ヘッド31に装着されている位置関係調整部材92を、当該位置関係調整部材92が保持されていた調整部材ホルダ871に戻す(ステップS409)。ステップS406で、位置関係診断画像Ilにおける位置関係調整部材92の位置が目標範囲内であると判定された場合(「YES」の場合)には、演算部110は、ステップS409に進んで位置関係調整部材92を調整部材ホルダ871に戻す。
【0076】
このように位置関係保守では、演算部110は、位置関係パラメータPlの適否を診断する位置関係診断(ステップS401~S406)を実行する。そして、演算部110は、位置関係診断の結果に応じて、位置関係パラメータPlを調整する(ステップS407~S408)。
【0077】
図8に戻って説明を続ける。ステップS105の対象項目の保守が完了すると、演算部110は、オペレータの実行指示において指定された全ての保守対象項目について保守が完了したか否かを判定する(ステップS106)。保守が未完了の保守対象項目が残っている場合(ステップS106で「NO」の場合)には、当該保守対象項目についてステップS104~S105が実行される。全ての保守対象項目について保守が完了している場合(ステップS206で「YES」の場合)には、演算部110は、実行指示で示された全ての保守対象項目の保守が完了したことを示す保守完了報告を行うようにUI制御部150に指令を出して、UI制御部150は、当該指令に従って保守完了報告をUI10に実行させる。ユーザへの報告は、例えばディスプレイへの表示やブザー音等によって実行できる。
【0078】
以上に説明する実施形態では、ヘッドユニット3および部品認識ユニット6といった実装作業部の互いに異なる状態(照明指令値Ce、回転指令値Crおよび位置関係パラメータPl)を確認する複数の確認制御(照明診断、回転量診断および位置関係診断)に対応して設けられた複数の確認部材(カメラユニット調整部材91、ヘッド調整部材93および位置関係調整部材92)をヘッドユニット3によって取り出し可能に収容する調整キットホルダ8(確認部材収容部)が設けられている。
【0079】
照明診断(対象確認制御)を実行する際には、ヘッドユニット3は、カメラユニット調整部材91を調整キットホルダ8から取り出して、部品認識カメラ61に対向する撮像場所(所定場所)に位置させる。そして、撮像場所に位置するカメラユニット調整部材91を用いて照明診断が実行される。こうして、部品認識ユニット6の照明部63の状態を確認する照明診断に必要となるカメラユニット調整部材91を照明診断の実行場所(撮像場所)に的確に用意して、照明診断を実行することが可能となっている。
【0080】
回転量診断(対象確認制御)を実行する際には、ヘッドユニット3は、ヘッド調整部材93を調整キットホルダ8から取り出して、部品認識カメラ61に対向する撮像場所(所定場所)に位置させる。そして、撮像場所に位置するヘッド調整部材93を用いて回転量診断が実行される。こうして、ヘッドユニット3の実装ヘッド31の回転に関する状態を確認する回転量診断に必要となるヘッド調整部材93を回転量診断の実行場所(撮像場所)に的確に用意して、回転量診断を実行することが可能となっている。
【0081】
位置関係診断(対象確認制御)を実行する際には、ヘッドユニット3は、位置関係調整部材92を調整キットホルダ8から取り出して、部品認識カメラ61に対向する撮像場所(所定場所)に位置させる。そして、撮像場所に位置する位置関係調整部材92を用いて位置関係診断が実行される。こうして、ヘッドユニット3と部品認識ユニット6との位置関係に関する状態を確認する位置関係診断に必要となる位置関係調整部材92を位置関係診断の実行場所(撮像場所)に的確に用意して、位置関係診断を実行することが可能となっている。
【0082】
また、ヘッドユニット3によって取り出された部品Eを撮像する部品認識ユニット6(カメラユニット)が具備されている。また、制御部100は、ヘッドユニット3によって取り出したカメラユニット調整部材91、位置関係調整部材92あるいはヘッド調整部材93(対象確認部材)を、部品認識ユニット6に対向する撮像場所に位置させる。そして、制御部100は、撮像場所に位置するカメラユニット調整部材91、位置関係調整部材92あるいはヘッド調整部材93(対象確認部材)を部品認識ユニット6によって撮像した結果に基づき、対象となる状態を確認する(照明診断、位置関係診断あるいは回転量診断)。かかる構成では、照明診断、位置関係診断あるいは回転量診断といった各診断(状態確認)に必要となるカメラユニット調整部材91、位置関係調整部材92あるいはヘッド調整部材93を部品認識ユニット6に対向する撮像場所に的確に用意して、各診断を実行することが可能となっている。
【0083】
また、制御部100は、照明診断、位置関係診断あるいは回転量診断といった各診断(対象確認制御)によって状態を確認した結果に基づき、当該状態を調整する(ステップS208、S211、S307、S308、S407、S408)。かかる構成では、ヘッドユニット3および部品認識ユニット6といった実装状態部の状態を適切化することができる。
【0084】
また、部品認識ユニット6は、ヘッドユニット3によって取り出された部品Eに照明を照射する照明部63と、部品認識カメラ61によって照明が照射された部品Eを撮像する部品認識カメラ61とを有する。これに対して、制御部100は、照明部63の照明の明るさを確認する照明診断(照明確認制御)を実行し、調整キットホルダ8には、照明診断で使用されるカメラユニット調整部材91が保持されている。そして、制御部100は、照明診断においては、撮像場所に位置するカメラユニット調整部材91に照明部63から照明を照射しつつ部品認識カメラ61によってカメラユニット調整部材91を撮像した結果に基づき照明部63の明るさを確認する。かかる構成では、照明部63の照明の明るさの確認に必要となるカメラユニット調整部材91を、部品認識ユニット6に対向する撮像場所に的確に用意して、照明部63の照明の明るさを確認することができる。
【0085】
また、制御部100は、照明診断の結果に基づき照明部63の照明の明るさを調整する(ステップS208、S211)。かかる構成では、照明部63の照明の明るさを適切化することができる。
【0086】
また、制御部100は、ヘッドユニット3によって保持される部品Eを部品認識ユニット6により撮像した結果と、ヘッドユニット3と部品認識ユニット6との位置関係を示す位置関係パラメータPlとに基づき、ヘッドユニット3によって保持される部品Eの位置を認識する。これに対して、制御部100は、ヘッドユニット3と部品認識ユニット6との位置関係を確認する位置関係診断(位置関係確認制御)を実行し、調整キットホルダ8には、位置関係診断で使用される位置関係調整部材92が保持されている。そして、制御部100は、位置関係診断においては、撮像場所に位置する位置関係調整部材92を部品認識ユニット6によって撮像した結果に基づきヘッドユニット3と部品認識ユニット6との位置関係を確認する。かかる構成では、ヘッドユニット3と部品認識ユニット6との位置関係の確認に必要となる位置関係調整部材92を、部品認識ユニット6に対向する撮像場所に的確に用意して、ヘッドユニット3と部品認識ユニット6との位置関係を確認することができる。
【0087】
また、制御部100は、位置関係診断の結果に基づき位置関係パラメータPlを調整する(ステップS407、S408)。かかる構成では、ヘッドユニット3と部品認識ユニット6との位置関係を示す位置関係パラメータPlを適切化することができる。
【0088】
また、ヘッドユニット3は、部品供給位置42から部品Eを取り出して保持する実装ヘッド31と、制御部100からの回転指令値Crに基づき実装ヘッド31を回転させるR軸モータMr(回転駆動部)とを有する。これに対して、制御部100は、回転指令値Crと実装ヘッド31の回転量との関係を確認する回転量診断(回転量確認制御)を実行し、調整キットホルダ8には、回転量診断で使用されるヘッド調整部材93が保持されている。そして、制御部100は、回転量診断においては、実装ヘッド31によって保持されて撮像場所に位置するヘッド調整部材93を部品認識ユニット6によって撮像した結果に基づき回転指令値Crと実装ヘッド31の回転量との関係を確認する。かかる構成では、回転指令値Crと実装ヘッド31の回転量との関係の確認に必要となるヘッド調整部材93を、部品認識ユニット6に対向する撮像場所に的確に用意して、回転指令値Crと実装ヘッド31の回転量との関係を確認することができる。
【0089】
また、制御部100は、回転量診断の結果に基づき回転指令値Crを調整する。かかる構成では、回転指令値Crと実装ヘッド31の回転量との関係を適切化することができる。
【0090】
また、基板認識カメラ5(コード認識カメラ)が具備されている。また、調整キットホルダ8は、カメラユニット調整部材91、位置関係調整部材92およびヘッド調整部材93をそれぞれ保持する調整部材ホルダ861、調整部材ホルダ871および調整部材ホルダ881と、これら調整部材ホルダ861、調整部材ホルダ871および調整部材ホルダ881それぞれの位置(保持位置)を示す位置認識コード84(位置認識コード)とを有する。そして、制御部100は、基板認識カメラ5によって位置認識コード84を撮像した結果に基づき、カメラユニット調整部材91、位置関係調整部材92あるいはヘッド調整部材93の保持位置(対象認識位置)を認識する。そのうえで、制御部100は、当該保持位置に実装ヘッド31を移動させて、当該保持位置の部材(カメラユニット調整部材91、位置関係調整部材92あるいはヘッド調整部材93)をヘッドユニット3に保持させる。かかる構成では、照明診断、回転量診断あるいは位置関係診断といった各診断で使用するカメラユニット調整部材91、位置関係調整部材92あるいはヘッド調整部材93(対象確認部材)を、ヘッドユニット3によって調整キットホルダ8から的確に取り出して保持することができる。
【0091】
また、ヘッドユニット3には吸着ノズルN(ノズル)が着脱可能に装着されるのに対して、調整キットホルダ8のノズル収納部831は、ヘッドユニット3によって取り出し可能に吸着ノズルNを収容する。また、照明診断あるいは位置関係診断(ノズル使用確認制御)は、吸着ノズルNによってカメラユニット調整部材91あるいは位置関係調整部材92を保持する。そして、制御部100は、照明診断あるいは位置関係診断で保持すべきカメラユニット調整部材91あるいは位置関係調整部材92に対応する吸着ノズルNを調整キットホルダ8に収容される吸着ノズルNのうちから選択してヘッドユニット3に装着して、照明診断あるいは位置関係診断を実行する。つまり、照明診断あるいは位置関係診断では、ヘッドユニット3に装着された吸着ノズルNによってカメラユニット調整部材91あるいは位置関係調整部材92を調整キットホルダ8から取り出して撮像場所に位置させる。かかる構成では、カメラユニット調整部材91あるいは位置関係調整部材92に応じた適切な吸着ノズルNを用いてカメラユニット調整部材91あるいは位置関係調整部材92を撮像場所に位置させることができる。
【0092】
また、制御部100は、オペレータによる実行指示を受け付けると、保守対象項目の保守(対象確認制御)を実行する。かかる構成では、オペレータのニーズに応じたタイミングで、ヘッドユニット3および部品認識ユニット6といった実装作業部の状態を確認することができる。
【0093】
また、ヘッドユニット3に対して着脱可能に複数の吸着ノズルNを保持するノズル交換機7(ノズル保持部)が具備されており、ノズル交換機7では、複数の吸着ノズルNのうちから選択された吸着ノズルNがヘッドユニット3に装着される。また、ヘッドユニット3は、部品供給部4によって供給された部品Eを、装着された吸着ノズルNによって部品供給位置42から取り出して基板Bに移載する。これに対して、調整キットホルダ8は、ノズル交換機7のホルダ取付部73に着脱可能に取り付けられる。かかる構成では、調整キットホルダ8の配置にノズル交換機7を利用することができ、調整キットホルダ8の配置スペースの確保による部品実装機1の大型化を抑止可能となる。
【0094】
以上に説明したように本実施形態では、部品供給位置42が本発明の「部品供給位置」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、部品供給部4が本発明の「部品供給部」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、ヘッドユニット3が本発明の「ヘッドユニット」の一例に相当し、ヘッドユニット3および部品認識ユニット6が本発明の「実装作業部」の一例に相当し、カメラユニット調整部材91、位置関係調整部材92およびヘッド調整部材93のそれぞれが本発明の「確認部材」の一例に相当し、調整キットホルダ8が本発明の「確認部材収容部」の一例に相当し、制御部100が本発明の「制御部」の一例に相当し、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、部品認識ユニット6が本発明の「カメラユニット」の一例に相当し、照明部63が本発明の「照明部」の一例に相当し、部品認識カメラ61が本発明の「部品認識カメラ」の一例に相当し、基板認識カメラ5が本発明の「コード認識カメラ」の一例に相当し、位置認識コード84が本発明の「位置認識コード」の一例に相当し、吸着ノズルNが本発明の「ノズル」の一例に相当する。
【0095】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、
図8の状態管理のステップS101において、ステップS102~S107を実行すると判断する基準を次のように変更できる。
【0096】
判断基準に係る第1変形例では、演算部110は、ヘッドユニット3が部品供給位置42から部品Eを取り出して基板Bに実装する実装作業を所定時間実行していないと判定すると、ステップS102~S107を実行すると判定する(すなわち、ステップS101で「YES」と判定する)。かかる構成では、ヘッドユニット3が実装作業を実行しない期間を利用して、ヘッドユニット3および部品認識ユニット6といった実装作業部の状態を確認することができる。
【0097】
判断基準に係る第2変形例では、演算部110は、基板Bに部品Eを実装する実装作業を実行するヘッドユニット3を監視する。そして、監視結果に基づき決定したタイミングでステップS102~S107を実行すると判定する(すなわち、ステップS101で「YES」と判定する)。具体的には、演算部110は、ヘッドユニット3が吸着ノズルNによる部品Eの吸着に成功する吸着成功率が所定率より低下したことを確認すると、ステップS101で「YES」と判定する。かかる構成では、ヘッドユニット3の動作状況に応じたタイミングで、当該実装作業部の状態を確認することができる。
【0098】
ちなみに、監視対象は、吸着ノズルNによる部品Eの吸着成功率に限られない。したがって、演算部110は、照明部63の劣化(すなわち、明るさの低下)、実装ヘッド31の偏心あるいは実装ヘッド31の高さといった監視対象を監視して、監視対象に異常が認められた場合にステップS102~S107を実行すると判定(すなわち、ステップS101で「YES」と判定)してもよい。
【0099】
判断基準に係る第3変形例では、実装作業部を構成する構成要素(ヘッドユニット3および部品認識ユニット6等)のうちの一の構成要素の交換を保守実行の基準とする(
図10)。
図10は構成要素の交換を基準に状態管理のステップS102~S107を実行するための交換保守を示すフローチャートである。
【0100】
ステップS501では、演算部110は、実装作業部を構成する構成要素(ヘッドユニット3および部品認識ユニット6等)のうちの一の構成要素が交換されたか否かを判定する。交換の有無は、例えばオペレータによってUI10に入力される。一の構成要素が交換されると(ステップS501で「YES」)、演算部110は、照明診断、回転量診断および位置関係診断(複数の確認制御)のうち、一の構成要素が相関を有する実装作業部の状態に対応する保守対象項目を設定する(ステップS502)。そして、
図8の状態管理のステップS102に進む(ステップS503)。
【0101】
かかる構成では、例えば、照明部63が作業者によって交換されると、演算部110は、当該照明部63に相関を有する状態(照明の明るさ)に対応する照明保守を保守対象項目に設定する(ステップS502)。その結果、照明診断(ステップS201~S207)が実行されるとともに、照明診断の結果に応じて照明指令値Ceの調整が実行される(ステップS208、S211)。これによって、照明部63といった実装作業部の構成要素の交換が実装作業部の状態に与える影響を確認することができる。
【0102】
あるいは、実装ヘッド31が交換されると、演算部110は、当該実装ヘッド31に相関を有する状態(回転量)に対応する回転量保守を保守対象項目に設定する(ステップS502)。その結果、回転量診断(ステップS301~S306)が実行されるとともに、回転量診断の結果に応じて回転指令値Crの調整が実行される(ステップS307、S308)。これによって、実装ヘッド31といった実装作業部の構成要素の交換が実装作業部の状態に与える影響を確認することができる。
【0103】
ところで、照明診断、回転量診断および位置関係診断(複数の確認制御)のうちの一部を、上記のようにオペレータの実行指示に応じて選択的に実行して、実行した診断の結果に応じて、照明指令値Ce、回転指令値Crおよび位置関係パラメータPlを調整できる(簡易調整)。かかる簡易調整では、オペレータが注目する状態を診断によって確認して、さらには診断結果に応じた調整を実行することができる。
【0104】
あるいは、照明診断、回転量診断および位置関係診断(複数の確認制御)の全部を実行して、実行した診断の結果に応じて、照明指令値Ce、回転指令値Crおよび位置関係パラメータPlを調整してもよい(全調整)。かかる構成では、照明診断、回転量診断および位置関係診断それぞれに対応する状態を確認して、さらには各診断結果に応じた調整を実行することができる。
【0105】
上記のように、簡易調整、全調整、交換保守および診断といった各制御を実行できる。ここで、診断は、照明診断、回転量診断あるいは位置関係診断といった診断のみを行って、調整を行わないことを示す。そこで、これら4つの制御のうちのいずれの制御を実行するかをオペレータがUI10に対して指定し、演算部110は、指定された態様を実行してもよい。
【0106】
また、部品実装機1が具備するヘッドユニット3の構成を変更してもよい。
図11は部品実装機の変形例を模式的に示す平面図であり、
図12は
図11の部品実装機で使用される調整キットを模式的に示す平面図である。ここでは、上記の実施例との差異点を中心に説明を行い、共通点については相当符号を付して説明を適宜省略する。
【0107】
図11に示す部品実装機1のヘッドユニット3は、
図1のロータリ型ではなく、いわゆるインライン型である。つまり、ヘッドユニット3では、所定のヘッドピッチで複数の実装ヘッド31がX方向に配列されている。
【0108】
また、
図12の調整キットホルダ8では、ヘッド調整部材93を保持するための調整部材保管部88が設けられておらず、ノズル保管部83において、ノズル収納部831が2列で配列されている。また、調整部材保管部87では、調整部材ホルダ871より広い調整部材ホルダ872が設けられており、調整部材ホルダ871に保持される位置関係調整部材92よりも、調整部材ホルダ872に保持される位置関係調整部材92が広い面積を有する。
【0109】
さらに、調整部材保管部87では、調整部材ホルダ871が2列で配置されている。調整部材ホルダ871の各列では、複数の調整部材ホルダ871が、実装ヘッド31のヘッドピッチと等しいホルダピッチでX方向に配列されており、各調整部材ホルダ871に位置関係調整部材92が保持されている。したがって、例えばヘッドユニット3に装着されたN個(Nは2以上の整数)の吸着ノズルNによってN個の位置関係調整部材92をN個の調整部材ホルダ871から同時に吸着・保持することができる。
【0110】
また、ノズル交換機7に対する調整キットホルダ8の取付態様についても適宜変更できる(
図13A、
図13B)。
図13Aおよび
図13Bはノズル交換機に対する調整キットの取付態様の変形例を模式的に示す平面図である。この変形例に係るノズル交換機7は、ホルダ取付部72およびホルダ取付部73のそれぞれにノズルホルダ79が取り付けられており、すなわち、ノズル交換機7では2個のノズルホルダ79が設けられる。
【0111】
さらに、この変形例では、ノズルホルダ79に対して着脱可能な調整キットホルダ8(
図13B)が用いられる。この調整キットホルダ8は、2個のノズルホルダ79のうちの一方のノズルホルダ79に取り付けられる。この調整キットホルダ8のキットプレート81には、位置認識コード84、調整部材保管部86および調整部材保管部87が設けられる一方、ノズル保管部83および調整部材保管部87は設けられていない。また、調整キットホルダ8は取付機構82を有さず、調整キットホルダ8のキットプレート81がネジ等の締結部材によってノズルホルダ79に直接取り付けられる。
【0112】
図13Bに示すように、ノズルホルダ79に取り付けられた調整キットホルダ8は、ノズルホルダ79に部分的に重複するようにノズルホルダ79の上側に配置される。したがって、ノズルホルダ79の複数のノズル収納部75のうち、調整キットホルダ8が重複する部分に位置するノズル収納部75からの吸着ノズルNの取り出しはできない一方、調整キットホルダ8から外れて露出する部分に位置するノズル収納部75からは吸着ノズルNを取り出すことができる。なお、調整キットホルダ8の具体的な取付構造は種々の変更が可能であり、例えば調整キットホルダ8の上にノズルホルダ79が取り付けられる構造や、調整キットホルダ8の上に別の調整キットホルダ8が取り付けられる構造等を採用できる。
【0113】
なお、上述の通り、吸着ノズルNの用途としては、部品Eを吸着するための部品吸着用途と、カメラユニット調整部材91、位置関係調整部材92あるいはヘッド調整部材93を吸着するための調整部材吸着用途とがある。基本的には、ノズルホルダ79のノズル収納部75には、部品吸着用途の吸着ノズルNが保持され、調整キットホルダ8のノズル収納部831では調整部材吸着用途の吸着ノズルNが保持される。ただし、
図13Bに示すように、ノズルホルダ79に重複する調整キットホルダ8から外れた部分のノズル収納部75では、部品吸着用途ではなく調整部材吸着用途の吸着ノズルNを保持してもよい。
【0114】
なお、部品吸着用途と調整部材吸着用途とで、吸着ノズルNを使い分けることは必須ではない。つまり、同一の吸着ノズルNを、部品吸着用途と調整部材吸着用途の両方に使用しても構わない。
【0115】
また、部品実装機1で実行される保守に要する全ての調整部材を、調整キットホルダ8に保持する必要はない。つまり、作業位置13に搬入されるガラス製の基板や、テープフィーダ41に代えてセットされるセラミックチップといった調整部材を用いて保守を実行する場合がある。このような調整部材については、調整キットホルダ8に保持しなくてもよい。
【符号の説明】
【0116】
42…部品供給位置
E…部品
4…部品供給部
B…基板
3…ヘッドユニット(実装作業部)
6…部品認識ユニット(実装作業部、カメラユニット)
91…カメラユニット調整部材(確認部材)
92…位置関係調整部材(確認部材)
93…ヘッド調整部材(確認部材)
8…調整キット(確認部材収容部)
100…制御部
1…部品実装機
63…照明部
61…部品認識カメラ
5…基板認識カメラ(コード認識カメラ)
84…位置認識コード
N…吸着ノズル(ノズル)