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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127247
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】キャリア及び減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/28 20060101AFI20240912BHJP
   F16B 21/12 20060101ALI20240912BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F16H1/28
F16B21/12 C
F16B5/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036266
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】角 友紀
【テーマコード(参考)】
3J001
3J027
3J037
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA10
3J001JA03
3J001JD02
3J001JD03
3J001KB05
3J027FA36
3J027FA37
3J027GB03
3J027GC13
3J027GE01
3J027GE29
3J037AA06
3J037HA03
(57)【要約】
【課題】キャリアを構成する部材を、周方向においても固定する。
【解決手段】キャリアは、第1部材と、第2部材と、複数の歯車と、第1固定部材と、第2固定部材と、を備える。前記第1部材は、軸方向における一方側に位置する。前記第2部材は、軸方向における他方側に位置し、前記第1部材と軸方向において対向する。前記第1固定部材は、軸方向において、前記第1部材と前記第2部材とを固定する。前記第2固定部材は、周方向において、前記第1部材と前記第2部材とを固定する。前記第1固定部材は、軸方向において、前記第2固定部材に挿通される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向における一方側に位置する第1部材と、
軸方向における他方側に位置し、前記第1部材と軸方向において対向する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に収容される複数の歯車と、
軸方向において、前記第1部材と前記第2部材とを固定する第1固定部材と、
周方向において、前記第1部材と前記第2部材とを固定する第2固定部材と、
を備え、
前記第1固定部材は、軸方向において、前記第2固定部材に挿通される、
キャリア。
【請求項2】
前記第1部材には、軸方向に延在する第1貫通孔が形成され、
前記第2部材には、前記第1貫通孔と対向する位置に、軸方向に延在する凹部又は第2貫通孔が形成され、
前記第2固定部材は、前記第1貫通孔と、前記凹部又は前記第2貫通孔との両方と接する、
請求項1に記載のキャリア。
【請求項3】
前記第2固定部材は、金属又は樹脂により形成され、
前記第2固定部材の外周面は、軸方向の一方側において前記第1貫通孔の内周面に圧接するとともに、軸方向の他方側において前記凹部の内周面又は前記第2貫通孔の内周面に圧接する、
請求項2に記載のキャリア。
【請求項4】
前記第2固定部材は、側周面に切り欠きが形成された、軸方向に延在する略円筒形状の部材であり、
前記第1固定部材は、前記第2固定部材の内周面と離間して対向する、
請求項1に記載のキャリア。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載のキャリアと、
前記複数の歯車と噛合する第1内歯車及び第2内歯車と、
前記第1内歯車と連動して回動する出力軸と、
を備える減速機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア及び減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊星歯車機構等において、複数の歯車を収容するキャリアを、軸方向における2つの部材により構成する技術が知られている。例えば、軸方向に離間した一対の固定フランジを、複数のリンクシャフトで連結する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-14454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つの部材でキャリアを構成する場合、軸方向及び周方向において2つの部材を固定する必要がある。しかし、遊星歯車の数が多い場合、キャリアに形成される開口部の数が多くなり、2つの部材を結合する部分の面積が小さくなる。この場合、2つの部材を確実に固定することが困難である。
【0005】
一つの側面では、キャリアを構成する部材を確実に固定できるキャリア及び減速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様において、キャリアは、第1部材と、第2部材と、複数の歯車と、第1固定部材と、第2固定部材と、を備える。前記第1部材は、軸方向における一方側に位置する。前記第2部材は、軸方向における他方側に位置し、前記第1部材と軸方向において対向する。前記第1固定部材は、軸方向において、前記第1部材と前記第2部材とを固定する。前記第2固定部材は、周方向において、前記第1部材と前記第2部材とを固定する。前記第1固定部材は、軸方向において、前記第2固定部材に挿通される。
【0007】
一つの態様によれば、キャリアを構成する部材を、周方向においても固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態における減速機の一例を示す断面斜視図である。
図2図2は、実施形態におけるキャリアの一例を示す上面図である。
図3図3は、実施形態におけるキャリアの一例を示す側面図である。
図4図4は、実施形態におけるキャリアの一例を示す断面斜視図である。
図5図5は、実施形態におけるキャリアの組立工程の一例を示す分解斜視図である。
図6図6は、実施形態における中空ピンの一例を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態における中空ピンの取付工程の一例を示す断面斜視図である。
図8図8は、実施形態における中空ピンの取付工程の一例を示す拡大断面図である。
図9図9は、実施形態における中空ピン及びボルトが取り付けられたキャリアの一例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示するキャリア及び減速機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。各図面において、説明を分かりやすくするために、後に説明する入力軸20が延在する方向を軸方向における負方向側とし、後に説明する出力軸60が延在する方向を軸方向における正方向側とする座標系を図示する場合がある。また、以下の図面において、歯車の歯や、ボルトのネジ山、ボルト孔のネジ溝等の図示を省略する場合がある。
【0010】
[実施形態]
まず、本実施形態における減速機について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態における減速機の一例を示す断面斜視図である。図1に示すように、本実施形態における減速機1は、例えば不思議遊星歯車機構であり、入力ユニット10と、筒部30と、出力ユニット50と、固定内歯車70と、出力内歯車80と、破線で示すキャリア100とを備える。なお、出力内歯車80は、第1内歯車の一例であり、固定内歯車70は、第2内歯車の一例である。
【0011】
入力ユニット10は、入力側カバー11と、軸受18及び19と、入力軸20と、太陽歯車21とを備える。
【0012】
入力側カバー11は、軸受18及び19を介して、入力軸20を回動可能に軸支する。入力側カバー11は、ボルト13により、筒部30に固定される。また、入力側カバー11には、他の筐体等に固定されるためのネジ溝15が形成されていてもよい。
【0013】
入力軸20は、図示しないモータ等と連動して回動する、中実に形成された回転軸である。太陽歯車21は、入力軸20と連動して回動することにより、後に説明する遊星歯車130に駆動力を伝達する。なお、遊星歯車130は、複数の歯車の一例である。
【0014】
筒部30は、外周面と内周面とを備える略円筒状の部材である。筒部30は、固定内歯車70と、出力内歯車80と、キャリア100とを収容する。
【0015】
出力ユニット50は、出力側カバー51と、クロスローラベアリング56と、出力軸60とを備える。
【0016】
出力軸60は、図示しないインペラ等に駆動力を伝達する、中空に形成された回転軸である。出力側カバー51は、クロスローラベアリング56を介して、出力軸60を回動可能に軸支する。また、出力側カバー51は、筒部30に、ボルト53により固定される。
【0017】
固定内歯車70及び出力内歯車80は、内周面に歯が形成される、略環状の歯車である。固定内歯車70及び出力内歯車80は、外周面が筒部30の内周面に接するように筒部30に収容される。
【0018】
固定内歯車70は、ボルト37により、筒部30に固定される。一方、出力内歯車80は、筒部30や固定内歯車70に対しては固定されず、出力軸60と、ボルト68により固定される。また、出力内歯車80の歯数は、固定内歯車70の歯数と異なる。この場合において、出力軸60は、出力内歯車80と連動して回動する。
【0019】
なお、実施形態において、入力軸20は中実に形成され、出力軸60は中空に成形されているが、これに限られず、入力軸20が中空に形成されていてもよく、また出力軸60が中実に形成されていてもよい。
【0020】
キャリア100は、図2乃至図4に示すように、複数の遊星歯車130を収容する部材である。図2は、実施形態におけるキャリアの一例を示す上面図である。図3は、実施形態におけるキャリアの一例を示す側面図である。図4は、実施形態におけるキャリアの一例を示す断面斜視図である。図2は、図1に示すキャリア100を、軸方向における正方向側から見た図を示す。図4は、図2のA-A線で切断した断面を示す。
【0021】
図1に示すように、キャリア100は、筒部30に、軸受103を介して回動可能に収容される。また、キャリア100と出力軸60とは、径方向において、軸受106を介して相互に回動可能に対向する。
【0022】
図3及び図4に示すように、キャリア100は、第1部材110と、第2部材120と、複数の遊星歯車130とを備える。第1部材110と、第2部材120とは、複数の遊星歯車130を挟みこむ態様で、軸方向において相互に対向する。図2に示すように、実施形態におけるキャリア100は、7つの遊星歯車130を収容する。
【0023】
図5に示すように、第1部材110は、環状部111と、支柱112と、円板部117と、を備え、第2部材120は、環状部121と、支柱122と、円板部117とを備える。図5は、実施形態におけるキャリアの組立工程の一例を示す分解斜視図である。支柱112は、円板部117から、軸方向における負方向側に延在する。支柱122は、円板部127から、軸方向における正方向側に延在する。支柱112及び支柱122は、軸方向において相互に対向する。なお、軸方向における正方向側は、軸方向における一方側の一例であり、軸方向における負方向側は、軸方向における他方側の一例である。
【0024】
環状部111及び環状部121は、図2に示すキャリア100の内周面101を形成する。また、円板部117の外周面及び支柱112の外周面と、円板部127の外周面及び支柱122の外周面とは、図2に示すキャリア100の外周面102を形成する。
【0025】
円板部117には、2つの支柱112に周方向において挟まれた部分に、軸受支持部118が形成される。また、円板部127には、2つの支柱122に周方向において挟まれた部分に、軸受支持部128が形成される
【0026】
第1部材110の支柱112及び軸受支持部118と、第2部材120の支柱122及び軸受支持部128とは、開口141及び142を形成する。開口141は、径方向における外側に形成され、開口142は、径方向における内側に形成される。
【0027】
遊星歯車130は、遊星軸133により軸支される。遊星軸133は、軸受131及び132により回動可能に支持される。軸受131は、第1部材110の軸受支持部118に収容され、軸受132は、第2部材120の軸受支持部128に収容される。
【0028】
図2乃至図4に示すように、遊星歯車130の一部は、開口141を介して、キャリア100の外周面102よりも径方向における外側に突出する。また、図4に示すように、遊星歯車130の別の一部は、開口142を介して、キャリア100の内周面101よりも径方向における内側に突出する。なお、図2において、遊星歯車130の開口142から径方向内側に突出する部分は、キャリア100の内周面101に隠れて視認されない。
【0029】
また、遊星歯車130の軸方向における正方向側の部分は、周方向において隣接する2つの支柱112と対向し、遊星歯車130の軸方向における負方向側の部分は、周方向において隣接する2つの支柱122と対向する。また、遊星歯車130の軸方向における正方向側の一部は、環状部111の外周面と対向する。
【0030】
遊星歯車130は、径方向における外側に突出した部分において、固定内歯車70及び出力内歯車80と噛合する。また、遊星歯車130は、径方向における内側に突出した部分において、太陽歯車21と噛合する。
【0031】
この場合において、遊星歯車130は、回動する太陽歯車21と連動して自転することにより、固定内歯車70と太陽歯車21との間を公転する。その際、出力内歯車80は、公転する遊星歯車130と連動して自転することにより、駆動力を出力軸60に伝達する。また、遊星歯車130が公転することに伴い、遊星歯車130を回動可能に軸支するキャリア100は、遊星歯車130が公転する方向に自転する。
【0032】
第1部材110と第2部材120とは、7つの遊星歯車130を収容した状態で、図5に示すようにボルト180により軸方向において固定される。ボルト180は、頭部181と、外周面184とを備える。外周面184の一部には、ねじ部185が形成される。なお、ボルト180は、第1固定部材の一例である。
【0033】
図5に示すように、第1部材110の支柱112には、軸方向に延在する貫通孔113が形成される。また、第2部材120の支柱122には、軸方向における負方向側に延在する凹部123が形成される。凹部123には、ネジ溝125がさらに形成される。なお、貫通孔113は、第1貫通孔の一例である。凹部123は、軸方向において、貫通孔113と対向する位置に形成される。
【0034】
ボルト180は、第1部材110の貫通孔113と第2部材120の凹部123とに、軸方向における正方向側から挿通される。ボルト180は、ねじ部185が第2部材120のネジ溝125と螺合するとともに、頭部181がワッシャー190を介して第1部材110と対向する。
【0035】
図5に示すように、実施形態において、貫通孔113の内径B1は、ボルト180の外周面184よりも大きい。また、凹部123のうち、ネジ溝125以外の部分の断面形状は、貫通孔113の断面形状と略同一である。この場合、図5に示す凹部123の内径B2は、貫通孔113の内径B1と略同一である。この場合において、ボルト180の外周面184は、ねじ部185を除いて、第1部材110とも第2部材120とも直接接触しない。
【0036】
また、図4及び図5に示すように、第1部材110の貫通孔113と第2部材120の凹部123とには、中空ピン150がさらに挿通される。中空ピン150は、例えば弾性変形可能な金属などにより形成される、外径D1の略円筒状の部材である。なお、中空ピン150は、第2固定部材の一例である。
【0037】
中空ピン150の側周面には、幅W1のスリット152が形成される。この場合において、中空ピン150は、破線で示す矢印に示す方向に押圧することにより、径方向に変形可能である。図6は、実施形態における中空ピンの一例を示す斜視図である。図6に示すように、スリット152は、中空ピン150の軸方向における一方側の端部から、他方側の端部まで延在する。なお、スリット152は、側周面に形成された切り欠きの一例である。
【0038】
図7は、実施形態における中空ピンの取付工程の一例を示す断面斜視図である。図8は、実施形態における中空ピンの取付工程の一例を示す拡大断面図である。図7では、図4のC-C線で切断した断面において、ボルト180が取り付けられる前の状態を示す。図8は、ボルト180が取り付けられる前の状態を、図3のB-B線で切断した断面を示す。
【0039】
図7に示すように、第1部材110と第2部材120が組み合わされた状態にて、中空ピン150を貫通孔113と凹部123に圧入する。この場合において、装着後の中空ピン170の外径D2は、貫通孔113と、凹部123との両方と接する。具体的には、図7及び図8に示すように、装着後の中空ピン170の外周面のうち軸方向における正方向側の部分は、貫通孔113の内周面に圧接する。また、図7に示すように、軸方向における負方向側の部分は、凹部123の内周面に圧接する。これにより、中空ピン170が、第1部材110と第2部材120とを、周方向において固定するので、第1部材110と第2部材120とが、径方向又は周方向において相互にずれることが抑制される。
【0040】
実施形態において、ボルト180は、中空ピン170がキャリア100に挿通された後に、中空ピン170に挿通される。この場合において、図9に示すように、中空ピン150の内周面とボルト180の外周面184とは、径方向において、幅Gだけ離間して相互に対向する。図9は、実施形態における中空ピン及びボルトが取り付けられたキャリアの一例を示す拡大断面図である。図9は、図3のB-B線で切断した断面を示す。また、軸方向において、ボルト180と中空ピン150とは、図4及び図5に示すように、ワッシャー190を介して対向する。
【0041】
遊星歯車減速機において、大きなトルクを伝達する必要がある場合、遊星歯車の数を多く設ける必要がある。この時、実施形態のような形状のキャリア100とする場合は、部品加工や組み立ての容易性から、軸方向に2分割した第1部材110と第2部材120からなるキャリア100とする。そのため、分割されたキャリア同士の固定が必要となるが、ボルト180のみで固定する場合、軸方向の固定は十分に可能なものの、周方向の固定については、ボルト座面とキャリアの接触面との摩擦力のみとなってしまい、固定が不十分となるおそれがある。そこで、第1部材110と第2部材120を、軸方向においてだけでなく、周方向においても固定する必要がある。
【0042】
しかし、実施形態のように多くの遊星歯車130を収容するキャリア100においては、第1部材110と第2部材120とを連結する支柱112及び支柱122の面積が小さい。この場合、第1部材110と第2部材120とを軸方向及び周方向において固定する部材をそれぞれ別の場所に配置する面積を確保することが難しい。
【0043】
実施形態に示す構成によれば、第1部材110と第2部材120とを軸方向において固定するボルト180を挿通する貫通孔113及び凹部123に、第1部材110と第2部材120とを周方向において固定する部材を配置することができる。これにより、限られた面積においても、第1部材110と第2部材120とを軸方向及び周方向において固定させることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態におけるキャリア100は、第1部材110と、第2部材120と、複数の歯車130と、第1固定部材180と、第2固定部材170と、を備える。第1部材110は、軸方向における一方側に位置する。第2部材120は、軸方向における他方側に位置し、第1部材110と軸方向において対向する。第1固定部材180は、軸方向において、第1部材110と第2部材120とを固定する。第2固定部材170は、周方向において、第1部材110と第2部材120とを固定する。第1固定部材180は、軸方向において、第2固定部材170に挿通される。かかる構成によれば、キャリアを構成する部材を確実に固定できる。また、限られた面積で固定することができるため、キャリア及び減速機の大型化を抑制することも可能である。
【0045】
[変形例]
以上、本実施形態における構成について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、第2部材120の支柱122に形成される凹部123は、中空ピン170と圧接可能であり、かつボルト180と螺合可能であれば、貫通孔等のその他の形状であってもよい。
【0046】
また、中空ピン150の材質は、十分な強度を確保できれば樹脂等であってもよい。スリット152の形状は、上で説明したものに限られない。例えば、スリットに凹凸が形成されていてもよく、また軸方向に対して傾斜して形成されていてもよい。また、スリットが軸方向における一方側から他方側まで貫通していないような形状であってもよい。さらに、第1部材110の貫通孔113と、これと対向する第2部材120の凹部123の相互の位置ズレがない状態であれば、スリットが形成されないような構成であってもよい。
【0047】
また、実施形態及び各変形例に示すキャリア100は、減速機1のような不思議遊星歯車以外の装置、例えば多段式の遊星歯車装置や、遊星ローラ装置等にも適用できる。
【0048】
以上、本発明を実施形態及び各変形例に基づき説明したが、本発明は実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0049】
1 減速機、10 入力ユニット、11 入力側カバー、13 ボルト、15 ネジ溝、18,19 軸受、20 入力軸、21 太陽歯車、30 筒部、37 ボルト、50 出力ユニット、51 出力側カバー、53 ボルト、56 クロスローラベアリング、60 出力軸、68 ボルト、70 固定内歯車、80 出力内歯車、100 キャリア、103,106 軸受、110 第1部材、111 環状部、112 支柱、113 貫通孔、117 円板部、118 軸受支持部、120 第2部材、121 環状部、122 支柱、123 凹部、125 ネジ溝、127 円板部、128 軸受支持部、130 遊星歯車、131,132 軸受、133 遊星軸、141,142 開口、150 中空ピン、152 スリット、170 装着後の中空ピン、180 ボルト、181 頭部、184 外周面、185 ねじ部、190 ワッシャー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9