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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127248
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20240912BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240912BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240912BHJP
   H01L 23/29 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
H01L21/56 R
H01L21/78 M
H01L23/12 501P
H01L23/30 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036269
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】アールエム東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】三浦 徹
【テーマコード(参考)】
4M109
5F061
5F063
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA05
4M109CA12
4M109CA26
4M109EA02
5F061AA01
5F061BA05
5F061CA12
5F061CA26
5F061FA06
5F063AA18
5F063BA18
5F063EE23
5F063EE43
(57)【要約】
【課題】封止工程における電子部品の位置ずれを抑制することが可能な電子装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基材層10と、基材層10の第1面10A側に設けられ、かつ、電子部品70を仮固定するための粘着性樹脂層(A)と、基材層10の第2面10B側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、を備える粘着性フィルム50と、粘着性フィルム50の粘着性樹脂層(A)に貼り付けられた複数の電子部品70と、粘着性フィルム50の粘着性樹脂層(B)に貼り付けられた支持基板80と、を備える構造体100を準備する工程(a)と、封止材60により電子部品70を封止する工程(b)と、を含み、工程(b)は、複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する工程を含む、電子装置の製造方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層の第1面側に設けられ、かつ、電子部品を仮固定するための粘着性樹脂層(A)と、前記基材層の第2面側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、を備える粘着性フィルムと、
前記粘着性フィルムの前記粘着性樹脂層(A)に貼り付けられた複数の電子部品と、
前記粘着性フィルムの前記粘着性樹脂層(B)に貼り付けられた支持基板と、を備える構造体を準備する工程(a)と、
封止材により前記電子部品を封止する工程(b)と、
を含み、
前記工程(b)は、前記複数の電子部品をそれぞれ個別に封止材で被覆する工程を含む、電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(b)が、3Dプリンター法、スプレー法、スクリーン印刷法およびインクジェット法からなる群より選択される1種または2種以上の方法を用いて、前記複数の電子部品をそれぞれ個別に前記封止材で被覆する工程を含む、請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記封止材がエポキシ樹脂系封止材を含む、請求項1または2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(b)における封止温度が10℃以上45℃以下である、請求項1~3のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(b)の後に、光照射および加熱処理からなる群から選択される1種または2種の方法で処理することにより前記封止材を硬化する工程(c)をさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項6】
前記工程(c)の後に、前記粘着性樹脂層(B)に外部刺激を与えることで前記粘着性樹脂層(B)の粘着力を低下させて、前記構造体から前記支持基板を剥離する工程(d)をさらに含む、請求項5に記載の電子装置の製造方法。
【請求項7】
前記工程(d)の後に、前記複数の電子部品から前記粘着性フィルムを剥離する工程(e)をさらに含む、請求項6に記載の電子装置の製造方法。
【請求項8】
前記粘着性樹脂層(A)が粘着性樹脂(A1)を含む、請求項1~7のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項9】
前記粘着性樹脂(A1)が、(メタ)アクリル系粘着性樹脂、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂およびスチレン系粘着性樹脂から選択される一種または二種以上を含む、請求項8に記載の電子装置の製造方法。
【請求項10】
前記粘着性樹脂層(A)が架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(A2)をさらに含む、請求項8または9に記載の電子装置の製造方法。
【請求項11】
前記架橋剤(A2)の含有量が、前記粘着性樹脂(A1)100質量部に対し、0.1質量部以上15質量部以下である、請求項10に記載の電子装置の製造方法。
【請求項12】
前記粘着性樹脂層(B)が加熱膨張型粘着剤を含む、請求項1~11のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項13】
前記加熱膨張型粘着剤が、150℃を超える温度で加熱することで粘着力が低下または喪失する粘着剤である、請求項12に記載の電子装置の製造方法。
【請求項14】
前記支持基板がステンレス鋼基板およびガラス基板からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1~13のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項15】
前記工程(a)が、前記粘着性樹脂層(B)が前記支持基板側となるように、前記支持基板上に前記粘着性フィルムを貼着する工程(a-1)を含む、請求項1~14のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項16】
前記工程(a)が、前記支持基板上に貼着された前記粘着性フィルムの前記粘着性樹脂層(A)上に前記複数の電子部品を配置することにより前記構造体を得る工程(a-2)をさらに含む、請求項15に記載の電子装置の製造方法。
【請求項17】
前記工程(a)において、前記複数の電子部品間の離間距離が10μm以上10mm以下である、請求項1~16のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項18】
前記電子装置がファンアウト型パッケージを含む、請求項1~17のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置(例えば、半導体装置)の小型化・軽量化を図ることができる技術として、ファンアウト型パッケージが開発されている。
ファンアウト型パッケージの製造方法のひとつであるeWLB(Embedded Wafer Level Ball Grid Array)では、支持基板に貼り付けた粘着性フィルム上に、半導体チップ等の複数の電子部品を離間させた状態で仮固定し、封止材により複数の電子部品を一括封止する手法が取られる。ここで、粘着性フィルムは、封止工程等においては電子部品および支持基板に固着させる必要があり、封止後は支持基板とともに封止された電子部品から除去する必要がある。
【0003】
このようなファンアウト型パッケージの製造方法に関する技術としては、例えば、特許文献1(特開2011-134811号)に記載のものが挙げられる。
【0004】
特許文献1には、樹脂封止の際の圧力によりチップが保持されず指定の位置からずれるという課題、あるいは半導体装置製造用耐熱性粘着シートを剥離する際に封止材の硬化や熱によるチップ面に対する強粘着化により、パッケージが破損するという課題を解決するための方法として、基板レス半導体チップを樹脂封止する際に、貼着して使用される半導体装置製造用耐熱性粘着シートであって、上記耐熱性粘着シートは基材層と粘着剤層とを有し、該粘着剤層は貼り合わせ後の対SUS304粘着力が0.5N/20mm以上であり、樹脂封止工程完了時点に至るまでに受ける刺激により硬化して、対パッケージ剥離力が2.0N/20mm以下になる層であることを特徴とする半導体装置製造用耐熱性粘着シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-134811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粘着性フィルム上に電子部品を配置して封止材により電子部品を封止する際に、電子部品の位置がずれてしまう(以下、電子部品の位置ずれとも呼ぶ。)場合がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、封止工程における電子部品の位置ずれを抑制することが可能な電子装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、粘着性フィルム上の複数の電子部品をそれぞれ個別に封止することによって、封止工程における電子部品の位置ずれを抑制することが可能であることを見出して、本発明を完成させた。
【0008】
[1]
基材層と、上記基材層の第1面側に設けられ、かつ、電子部品を仮固定するための粘着性樹脂層(A)と、上記基材層の第2面側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、を備える粘着性フィルムと、
上記粘着性フィルムの上記粘着性樹脂層(A)に貼り付けられた複数の電子部品と、
上記粘着性フィルムの上記粘着性樹脂層(B)に貼り付けられた支持基板と、を備える構造体を準備する工程(a)と、
封止材により上記電子部品を封止する工程(b)と、
を含み、
上記工程(b)は、上記複数の電子部品をそれぞれ個別に封止材で被覆する工程を含む、電子装置の製造方法。
[2]
上記工程(b)が、3Dプリンター法、スプレー法、スクリーン印刷法およびインクジェット法からなる群より選択される1種または2種以上の方法を用いて、上記複数の電子部品をそれぞれ個別に上記封止材で被覆する工程を含む、上記[1]に記載の電子装置の製造方法。
[3]
上記封止材がエポキシ樹脂系封止材を含む、上記[1]または[2]に記載の電子装置の製造方法。
[4]
上記工程(b)における封止温度が10℃以上45℃以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[5]
上記工程(b)の後に、光照射および加熱処理からなる群から選択される1種または2種の方法で処理することにより上記封止材を硬化する工程(c)をさらに含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[6]
上記工程(c)の後に、上記粘着性樹脂層(B)に外部刺激を与えることで上記粘着性樹脂層(B)の粘着力を低下させて、上記構造体から上記支持基板を剥離する工程(d)をさらに含む、上記[5]に記載の電子装置の製造方法。
[7]
上記工程(d)の後に、上記複数の電子部品から上記粘着性フィルムを剥離する工程(e)をさらに含む、上記[6]に記載の電子装置の製造方法。
[8]
上記粘着性樹脂層(A)が粘着性樹脂(A1)を含む、上記[1]~[7]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[9]
上記粘着性樹脂(A1)が、(メタ)アクリル系粘着性樹脂、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂およびスチレン系粘着性樹脂から選択される一種または二種以上を含む、上記[8]に記載の電子装置の製造方法。
[10]
上記粘着性樹脂層(A)が架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(A2)をさらに含む、上記[8]または[9]に記載の電子装置の製造方法。
[11]
上記架橋剤(A2)の含有量が、上記粘着性樹脂(A1)100質量部に対し、0.1質量部以上15質量部以下である、上記[10]に記載の電子装置の製造方法。
[12]
上記粘着性樹脂層(B)が加熱膨張型粘着剤を含む、上記[1]~[11]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[13]
上記加熱膨張型粘着剤が、150℃を超える温度で加熱することで粘着力が低下または喪失する粘着剤である、上記[12]に記載の電子装置の製造方法。
[14]
上記支持基板がステンレス鋼基板およびガラス基板からなる群より選択される少なくとも一種を含む、上記[1]~[13]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[15]
上記工程(a)が、上記粘着性樹脂層(B)が上記支持基板側となるように、上記支持基板上に上記粘着性フィルムを貼着する工程(a-1)を含む、上記[1]~[14]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[16]
上記工程(a)が、上記支持基板上に貼着された上記粘着性フィルムの上記粘着性樹脂層(A)上に上記複数の電子部品を配置することにより上記構造体を得る工程(a-2)をさらに含む、上記[15]に記載の電子装置の製造方法。
[17]
上記工程(a)において、上記複数の電子部品間の離間距離が10μm以上10mm以下である、上記[1]~[16]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[18]
上記電子装置がファンアウト型パッケージを含む、上記[1]~[17]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、封止工程における電子部品の位置ずれを抑制することが可能な電子装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施形態の粘着性フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。
図2】本発明に係る実施形態の電子装置の製造方法の一例を模式的に示した断面図である。
図3】本発明に係る実施形態の電子装置の製造方法の一例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。
明細書中、数値範囲に関する上限値および下限値の記載は、特に断りがなければ、記載されている上限値および下限値を任意で組み合わせることができる。
明細書中、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリルまたはアクリルおよびメタクリルの両方を意味する。
【0012】
<電子装置の製造方法>
以下、本実施形態の電子装置の製造方法について説明する。図2および3は、本発明の実施形態の電子装置の製造方法の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態の電子装置の製造方法は、基材層10と、基材層10の第1面10A側に設けられ、かつ、電子部品を仮固定するための粘着性樹脂層(A)と、基材層10の第2面10B側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、を備える粘着性フィルム50と、粘着性フィルム50の粘着性樹脂層(A)に貼り付けられた複数の電子部品70と、粘着性フィルム50の粘着性樹脂層(B)に貼り付けられた支持基板80と、を備える構造体100を準備する工程(a)と、封止材60により電子部品70を封止する工程(b)と、を含み、工程(b)は、複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する工程を含む。
【0013】
本実施形態の電子装置の製造方法によれば、複数の電子部品をそれぞれ個別に封止材で被覆することにより、封止工程における電子部品の位置ずれを抑制することが可能である。さらに、本実施形態の電子装置の製造方法によれば、初期の電子部品の配置と異なる場所に電子部品が移動することに伴う、電子部品および再配線処理を実施する際の配線の位置ずれを抑制し、断線等の信頼性低下を防ぐことができる。さらに、本実施形態の電子装置の製造方法によれば、複数の電子部品をそれぞれ個別に封止材で被覆することにより、封止後にパッケージごとに再度個片化するプロセスが不要となり、プロセスの簡易化および成形時の封止材の使用量を削減することによる環境負荷の低減も期待できる。
【0014】
従来のファンアウト型パッケージの製造方法においては、基板上に貼り付けた両面テープ上もしくは基板上に形成した仮固定材料(接着剤、ワックス等)上に、チップなどの電子部品を離間させた状態にて配置し、コンプレッション方式やトランスファー方式などの、真空装置内でエポキシ樹脂等の封止材を流動させて一括封止する工程、もしくはシート状の封止材を貼り合わせることで封止する工程がある。この工程においては、両面テープもしくは接着剤のような仮固定材料の上に電子部品をマウントした後に、封止材を加熱溶融させながら高圧で流動させて封止するため、両面テープや仮固定材料の熱収縮および膨張や、電子部品が封止材により横方向に押されて微小距離移動することにより、電子部品の位置ずれが発生する。この電子部品の位置ずれが発生することにより、初期の電子部品の配置と異なる場所に電子部品が移動してしまう。結果として、再配線処理を実施する際に配線の位置ずれが生じ、断線などの信頼性低下を招くことがある。
また、従来のファンアウト型パッケージの製造方法においては、電子部品全体を一括で封止するため、封止後にパッケージごとに再度個片化するプロセスが必要となる。その結果、電子装置の製造プロセスが煩雑となるだけでなく、不要部分に封止材を成形する為、高環境負荷となる。
一方、本実施形態の電子装置の製造方法は、電子部品をそれぞれ個別に封止材で被覆するため、従来のファンアウト型パッケージの製造方法のように、電子部品に与えられる封止材による横方向への力も発生しない。以上より、本実施形態の電子装置の製造方法によれば、封止工程における電子部品の位置ずれを抑制することが可能である。また、本実施形態の電子装置の製造方法によれば、初期の電子部品の配置と異なる場所に電子部品が移動することに伴う、電子部品および再配線処理を実施する際の配線の位置ずれを抑制し、断線等の信頼性低下を防ぐことができる。
また、本実施形態の電子装置の製造方法は、電子部品外周部分の必要なエリアにのみ封止材を成形する。そのため、封止後にパッケージごとに再度個片化するプロセスを省略することができる。以上より、本実施形態の電子装置の製造方法によれば、プロセスの簡易化および成形時の封止材の使用量を削減することによる環境負荷の低減も期待できる。
【0015】
以下、本実施形態の電子装置の製造方法の各工程について説明する。
【0016】
[工程(a)]
工程(a)では、基材層10と、基材層10の第1面10A側に設けられ、かつ、電子部品を仮固定するための粘着性樹脂層(A)と、基材層10の第2面10B側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、を備える粘着性フィルム50と、粘着性フィルム50の粘着性樹脂層(A)に貼り付けられた複数の電子部品70と、粘着性フィルム50の粘着性樹脂層(B)に貼り付けられた支持基板80と、を備える構造体100を準備する。
【0017】
支持基板80は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制する観点から、好ましくはステンレス鋼基板およびガラス基板からなる群より選択される少なくとも一種を含む。
【0018】
工程(a)は、粘着性樹脂層(B)が支持基板80側となるように、支持基板80上に粘着性フィルム50を貼着する工程(a-1)を含むことが好ましい。粘着性樹脂層(B)上にはセパレータと称する保護フィルムが貼付けられていてもよく、当該保護フィルムを剥がし、粘着性樹脂層(B)の露出面を支持基板80表面に貼着することができる。
【0019】
また、工程(a)は、支持基板80上に貼着された粘着性フィルム50の粘着性樹脂層(A)上に複数の電子部品70を配置することにより構造体100を得る工程(a-2)をさらに含むことが好ましい。
電子部品70としては、例えば、IC、LSI、ディスクリート、発光ダイオード、受光素子等の半導体チップや半導体パネル、半導体パッケージ等を挙げることができる。
電子部品70の表面は、例えば、電極を有することにより、凹凸構造となっている。
また、電極は、例えば、電子装置を実装面に実装する際に、実装面に形成された電極に対して接合されて、電子装置と実装面(プリント基板等の実装面)との間の電気的接続を形成するものである。
電極としては、例えば、ボールバンプ、印刷バンプ、スタッドバンプ、めっきバンプ、ピラーバンプ等のバンプ電極が挙げられる。すなわち、電極は、通常凸電極である。これらのバンプ電極は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、バンプ電極を構成する金属種は特に限定されず、例えば、銀、金、銅、錫、鉛、ビスマス及びこれらの合金等が挙げられる。これらの金属種は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0020】
複数の電子部品70間の離間距離の下限値は、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上、さらに好ましくは25μm以上である。離間距離が上記下限値以上であることにより、封止工程における複数の電子部品の個別封止をより効果的に行うことができる。
また、複数の電子部品70間の離間距離の上限値は電子装置に求められる性能により適宜決定することができるが、例えば10mm以下であり、1mm以下であり、100μm以下であり、50μm以下である。
【0021】
[工程(b)]
工程(b)では、封止材60により電子部品70を封止する。工程(b)は、複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する工程を含む。
【0022】
複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する方法としては、3Dプリンター法、スプレー法、スクリーン印刷法およびインクジェット法からなる群より選択される1種または2種以上の方法を用いることが好ましく、3Dプリンター法を用いることがより好ましい。すなわち、本実施形態の電子装置の製造方法の工程(b)は、3Dプリンター法、スプレー法、スクリーン印刷法およびインクジェット法からなる群より選択される1種または2種以上の方法を用いて、複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する工程を含むことが好ましく、3Dプリンター法を用いて、複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する工程を含むことがより好ましい。
【0023】
3Dプリンター法とは、3Dプリンター装置を用いて、複数の電子部品70上に、封止材60をそれぞれ個別に印刷することにより、複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する方法である。
スプレー法とは、複数の電子部品70上に、封止材を細かい霧状にしてそれぞれ個別に吹き付けることにより、複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する方法である。
スクリーン印刷法とは、スクリーンマスクに封止材を塗工し、スキージを用いて、複数の電子部品70上に、封止材60をそれぞれ個別に印刷することにより、複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する方法である。
インクジェット法とは、封止材をインクジェットヘッドから噴射して、複数の電子部品70上に、封止材60をそれぞれ個別に印刷することにより、複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する方法である。
【0024】
工程(b)が上記方法を用いて複数の電子部品70をそれぞれ個別に封止材60で被覆する工程を含むことにより、封止工程における電子部品の位置ずれを抑制することが可能である。
これは、上記方法によれば封止材を室温常圧下で電子部品上に任意の形状で形成することができるためである。上記方法によれば加熱プロセスを伴わずに封止材を成形可能であるため、両面テープや仮固定材料の熱収縮や膨張を抑制できる。また、封止材を高温高圧で流動させるプレス工程やトランスファー工程もないことから、封止材によって電子部品にかかる横方向への力も発生しない。これにより、封止工程における電子部品の位置ずれを抑制することが可能である。さらに、初期の電子部品の配置と異なる場所に電子部品が移動することに伴う、電子部品および再配線処理を実施する際の配線の位置ずれを抑制し、断線等の信頼性低下を防ぐことができる。
また、上記方法によれば、電子部品外周部分の必要なエリアにのみ封止材を成形することができる。そのため、封止後にパッケージごとに再度個片化するプロセスを省略することができる。以上より、本実施形態の電子装置の製造方法によれば、プロセスの簡易化および成形時の封止材の使用量を削減することによる環境負荷の低減も期待できる。
【0025】
封止材60としては、絶縁性が高い封止材であれば公知の封止材を使用することができるが、粘着性フィルム50への封止材60の親和性がより良好になり、電子部品70をより一層ムラなく封止することが可能となる点から、封止材60は好ましくはエポキシ樹脂系封止材を含む。
このようなエポキシ樹脂系封止材としては、例えば、ナガセケムテックス社製のT693/R4000シリーズやT693/R1000シリーズ、T693/R5000シリーズ等を用いることができる。
封止材60の状態としては、固体状であっても液状であってもよいが、封止工程を低温低圧で実施でき、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、液状であることが好ましい。
【0026】
BF型粘度計を用いて、温度:25℃、せん断速度:5rpmで撹拌しながら測定した封止材60の粘度の下限値は、特に限定されないが、例えば、1mPa・s以上であり、10mPa・s以上であり、20mPa・s以上であり、30mPa・s以上である。
また、BF型粘度計を用いて、温度:25℃、せん断速度:5rpmで撹拌しながら測定した封止材60の粘度の上限値は、電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下、さらに好ましくは200Pa・s以下、さらに好ましくは100Pa・s以下である。
【0027】
電子部品70を被覆した後の封止材60の厚みの下限値は、電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.5μm以上、さらに好ましくは5.0μm以上、さらに好ましくは10.0μm以上、さらに好ましくは30.0μm以上、さらに好ましくは50.0μm以上である。
また、電子部品70を被覆した後の封止材60の厚みの上限値は、電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.0mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。
【0028】
工程(b)における封止温度の下限値は、工程(b)の作業効率の観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上である。また、工程(b)における封止温度の上限値は、電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下、さらに好ましくは35℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。
なお、本実施形態における封止温度とは、電子部品70を封止する際に用いる装置における設定温度を指す。
【0029】
工程(b)における封止圧力の下限値は、電子装置の信頼性を向上させる観点から、好ましくは30kPa以上、より好ましくは50kPa以上、さらに好ましくは70kPa以上、さらに好ましくは90kPa以上である。また、工程(b)における封止圧力の上限値は、電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、好ましくは150kPa以下、より好ましくは130kPa以下、さらに好ましくは110kPa以下である。また、工程(b)における封止圧力は常圧であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態における封止圧力とは、電子部品70を封止する際に用いる装置における設定圧力を指す。
【0030】
[工程(c)]
本実施形態の電子装置の製造方法は、光照射および加熱処理からなる群から選択される1種または2種の方法で処理することにより封止材60を硬化する工程(c)をさらに含むことが好ましい。工程(c)において、構造体100中の封止材60に対して光照射および加熱処理からなる群から選択される1種または2種の方法で処理することにより、封止材60を硬化できる。これにより、電子部品を固定させ、電子部品の位置ずれをより抑制することができる。
また、本実施形態の電子装置の製造方法は、1層ごとに硬化を進めながら構造体を形成することができ、電子部品の位置ずれをより抑制ができる観点から、光照射で処理することにより封止材60を硬化する工程(c)をさらに含むことがより好ましい。
【0031】
上記光照射としては、好ましくは封止材60に紫外線等の光を照射することによって、封止材60を架橋させて硬化させる。このとき用いる光源としては特に限定されないが、光開始剤を励起可能な波長成分を含む紫外線を照射可能な光源を用いることが好ましく、波長300nm未満の成分を含む紫外線を照射可能な光源を用いることがより好ましい。かかる光源の例としては、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、スーパーUVランプ等が挙げられる。上記光源により照射される光は、波長300nm以上の成分を含んでいてもよい。
紫外線架橋の場合、例えば、0~60℃の環境下で、高圧水銀ランプを用いて主波長365nmの紫外線を、照射強度10~350mW/cmで紫外線量100~20000mJ/cmの条件で封止材60に照射することによって、封止材60を架橋させて硬化させることができる。
【0032】
上記加熱処理としては、好ましくはオーブンによる熱架橋、ホットプレートによる熱架橋、赤外線照射による熱架橋等が挙げられる。上記熱架橋の場合、加熱温度は、例えば、100℃~180℃であり、加熱処理時間は、例えば、10~180分である。加熱温度は、後述する粘着性フィルム50に含まれる気体が発生する温度や熱膨張性の微小球が熱膨張する温度を超えないことが好ましい。
【0033】
[工程(d)]
本実施形態の電子装置の製造方法において、工程(c)の後に、粘着性樹脂層(B)に外部刺激を与えることで粘着性樹脂層(B)の粘着力を低下させて、構造体100から支持基板80を剥離する工程(d)をさらに含むことが好ましい。
支持基板80は、例えば、電子部品70を封止した後、150℃を超える温度または170℃を超える温度に加熱して、粘着性樹脂層(B)の接着力を低下させることにより、粘着性フィルム50から容易に除去することができる。
【0034】
[工程(e)]
本実施形態の電子装置の製造方法において、工程(d)の後に、複数の電子部品70から粘着性フィルム50を剥離する工程(e)をさらに含むことが好ましい。この工程により、電子装置200が得られる。
電子部品70から粘着性フィルム50を剥離する方法としては、例えば、機械的に剥離する方法や、粘着性フィルム50表面の粘着力を低下させてから剥離する方法等が挙げられる。
【0035】
(その他の工程)
本実施形態の電子装置の製造方法において、得られた電子装置200の露出面に、配線層310およびバンプ320を形成し、電子装置300を得る工程(f)をさらに備えてもよい。
【0036】
配線層310は、最外面に形成された外部接続端子であるパッド(不図示)と、露出した電子部品70と上記パッドとを電気的に接続する配線(不図示)と、を備える。配線層310は、従来公知の方法によって形成することができ、多層構造であってもよい。
【0037】
そして、配線層310のパッド上にバンプ320を形成し、電子装置300を得ることができる。バンプ320としては、はんだバンプや金バンプ等を挙げることができる。はんだバンプは、例えば、配線層310の外部接続端子であるパッド上にはんだボールを配置し、加熱してはんだを溶融させる(リフローする)ことにより形成することができる。金バンプは、ボールボンディング法、めっき法、Auボール転写法等の方法により形成することができる。
【0038】
<粘着性フィルム>
次に、本実施形態の粘着性フィルム50について説明する。
図1は、本発明の実施形態の粘着性フィルム50の構造の一例を模式的に示した断面図である。
【0039】
本実施形態の粘着性フィルム50は、基材層10と、基材層10の第1面10A側に設けられ、かつ、電子部品を仮固定するための粘着性樹脂層(A)と、基材層10の第2面10B側に設けられた粘着性樹脂層(B)と、を備える。
【0040】
本実施形態の粘着性フィルム50全体の厚さの下限値は、機械的特性と取扱い性のバランスの観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。
また、本実施形態の粘着性フィルム50全体の厚さの上限値は、機械的特性と取扱い性のバランスの観点から、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。
【0041】
次に、本実施形態の粘着性フィルム50を構成する各層について説明する。
【0042】
[基材層]
基材層10は、粘着性フィルム50の取り扱い性や機械的特性、耐熱性等の特性をより良好にすることを目的として設けられる層である。
基材層10は特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を挙げることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン-6、ナイロン-66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタアクリレート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンエーテル等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
これらの中でも、透明性や機械的強度、価格等のバランスに優れる観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドおよびポリイミドから選択される一種または二種以上が好ましく、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種がより好ましい。
【0043】
基材層10は、単層であっても、二種以上の層であってもよい。
また、基材層10を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、基材層10の機械的強度を向上させる観点から、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
【0044】
基材層10の厚さの下限値は、良好なフィルム特性を得る観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。
また、基材層10の厚さの上限値は、良好なフィルム特性を得る観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは250μm以下である。
基材層10は、他の層との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理等を行ってもよい。
【0045】
[粘着性樹脂層(A)]
粘着性樹脂層(A)は、基材層10の一方の面側に設けられる層である。粘着性樹脂層(A)は、例えば、電子装置の製造工程において封止材により電子部品を封止する際に、電子部品の表面に接触して電子部品を仮固定するための層である。
【0046】
粘着性樹脂層(A)は、粘着性樹脂(A1)を含むことが好ましい。
粘着性樹脂(A1)としては、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂およびスチレン系粘着性樹脂から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
これらの中でも、粘着力の調整を容易にする観点等から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)が好ましい。
【0047】
粘着性樹脂層(A)は、放射線により粘着力を低下させることができる放射線架橋型粘着性樹脂層であることもできる。放射線架橋型粘着性樹脂層に放射線を照射すると、架橋して粘着力が著しく減少するため、電子部品から粘着性フィルム50を剥離しやすくなる。放射線としては、紫外線、電子線、赤外線等が挙げられる。
放射線架橋型粘着性樹脂層としては、紫外線架橋型粘着性樹脂層が好ましい。
【0048】
粘着性樹脂層(A)に使用される(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(p1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(p2)を含む共重合体が挙げられる。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、またはこれらの混合物を意味する。
【0049】
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(p1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(p2)を含むモノマー混合物を共重合することにより得ることができる。
【0050】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(p1)を形成するモノマー(p1)としては、炭素数1~12程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくは炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(p1)の含有量の下限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。
また、本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(p1)の含有量の上限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、好ましくは98.9質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
【0051】
架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(p2)を形成するモノマー(p2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル-ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル-ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド等である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)において、モノマー単位(p2)の含有量の上限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
下限値は特に限定されないが、例えば、1質量%以上である。
【0052】
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)は、モノマー単位(p1)、モノマー単位(p2)以外に、2官能性モノマー単位(p3)や界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤と称する)単位をさらに含んでもよい。
重合性界面活性剤は、モノマー(p1)、モノマー(p2)およびモノマー(p3)と共重合する性質を有すると共に、乳化重合する場合には乳化剤としての作用を有する。
【0053】
2官能性モノマー単位(p3)を形成するモノマー(p3)としては、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、例えば、両末端がジアクリレートまたはジメタクリレートで主鎖の構造がプロピレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製、商品名;PDP-200、同PDP-400、同ADP-200、同ADP-400)、テトラメチレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製、商品名;ADT-250、同ADT-850)およびこれらの混合型(例えば、日本油脂(株)製、商品名:ADET-1800、同ADPT-4000)であるもの等が挙げられる。
【0054】
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)において、モノマー単位(p3)の含有量の上限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
下限値は特に限定されないが、例えば、0.1質量%以上である。
【0055】
重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンRN-10、同RN-20、同RN-30、同RN-50等)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンHS-10、同HS-20、同HS-1025等)、および分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系(花王(株)製;商品名:ラテムルS-120A、同S-180A等)等が挙げられる。
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)において、重合性界面活性剤の含有量の上限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
下限値は特に限定されないが、例えば、0.1質量%以上である。
【0056】
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)は、さらに必要に応じて、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性二重結合を有するモノマーにより形成されたモノマー単位をさらに含有してもよい。
【0057】
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)の重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられる。(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)の製造コスト、モノマーの官能基の影響および電子部品表面へのイオンの影響等を考慮すればラジカル重合によって重合することが好ましい。
ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-2-ヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物;2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物が挙げられる。
【0058】
乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が好ましい。電子部品表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物がさらに好ましく、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物が特に好ましい。
【0059】
本実施形態の粘着性樹脂層(A)は、粘着性樹脂(A1)に加えて、架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(A2)をさらに含むことが好ましい。
架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(A2)は、粘着性樹脂(A1)が有する官能基と反応させ、粘着力および凝集力を調整するために用いることができる。
このような架橋剤(A2)としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物;N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N'-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ系化合物;ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物およびアジリジン系化合物から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
【0060】
架橋剤(A2)の含有量は、通常、架橋剤(A2)中の官能基数が粘着性樹脂(A1)中の官能基数よりも多くならない程度の範囲が好ましい。しかし、架橋反応で新たに官能基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合等、必要に応じて過剰に含有してもよい。
粘着性樹脂層(A)中の架橋剤(A2)の含有量の下限値は、粘着性樹脂層(A)の耐熱性や密着力とのバランスを向上させる観点から、粘着性樹脂(A1)100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。
また、粘着性樹脂層(A)中の架橋剤(A2)の含有量の上限値は、粘着性樹脂層(A)の耐熱性や密着力とのバランスを向上させる観点から、粘着性樹脂(A1)100質量部に対し、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
【0061】
粘着性樹脂層(A)は、その他の成分として、可塑剤、粘着付与樹脂等の添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層(A)が放射線架橋型粘着性樹脂層の場合は放射線架橋のための各種添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層(A)中の粘着性樹脂(A1)および架橋剤(A2)の含有量の合計は、粘着性樹脂層(A)の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。これにより、電子部品から粘着性フィルムを剥離する際の電子部品側の糊残りをより一層抑制することができる。
上限値は特に限定されないが、例えば、100質量%以下である。
【0062】
粘着性樹脂層(A)は、単層であっても多層であってもよい。
粘着性樹脂層(A)の厚さの下限値は、粘着性および熱剥離性を向上させる観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上である。
また、粘着性樹脂層(A)の厚さの上限値は、粘着性フィルム50の取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
【0063】
粘着性樹脂層(A)は、例えば、基材層10上に粘着剤を塗布することにより形成することができる。粘着剤は溶剤に溶解して塗布液として塗布してもよいし、水系エマルジョンとして塗布してもよいし、液状の粘着剤を直に塗布してもよい。
中でも水系エマルジョン塗布液が好ましい。水系エマルジョン塗布液としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(p)、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂、スチレン系粘着性樹脂等を水に分散させた塗布液が挙げられる。
有機溶剤に溶解した粘着剤塗布液を用いてもよい。有機溶剤は特に限定されず、溶解性や乾燥時間を鑑みて公知の中から適宜選択すればよい。有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系;アセトン、MEK等のケトン系;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族系;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の直鎖ないし環状脂肪族系;イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系を例示することができる。有機溶剤として酢酸エチル、トルエンが好ましい。これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0064】
粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80~200℃の温度範囲において、10秒~10分間乾燥することが好ましい。また、80~170℃において、15秒~5分間乾燥することがさらに好ましい。架橋剤と粘着剤との架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後、40~80℃において5~300時間程度加熱してもよい。
【0065】
また、基材層10と粘着性樹脂層(A)とは共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層10とフィルム状の粘着性樹脂層(A)とをラミネート(積層)して形成してもよい。後述の実施例においては、まず、セパレータ(剥離フィルム)の表面に粘着性樹脂層(A)を形成し、その後、その粘着性樹脂層(A)を、他の層と貼り合わせることで、粘着性フィルムを製造している。
【0066】
[粘着性樹脂層(B)]
本実施形態の粘着性フィルム50は、基材層10の第1面10Aとは反対側の第2面10B側に粘着性樹脂層(B)を備える。
粘着性樹脂層(B)は、外部刺激により粘着力が低下する層であることが好ましい。これにより、外部刺激を与えることで支持基板から粘着性フィルム50を容易に剥離することができる。
ここで、外部刺激により粘着力が低下する粘着性樹脂層(B)としては、例えば、加熱により粘着力が低下する加熱剥離型の粘着性樹脂層や、放射線等の光により粘着力が低下する光剥離型の粘着性樹脂層等が挙げられる。ここで、外部刺激を与える方法としては、光照射および加熱処理等が挙げられる。
加熱剥離型の粘着性樹脂層としては、例えば、粘着性樹脂(B1)を含み、さらに気体発生成分を含む加熱膨張型粘着剤、膨張して粘着力を低減できる熱膨張性の微小球を含む加熱膨張型粘着剤、熱により接着剤成分が架橋反応することで粘着力が低下する加熱膨張型粘着剤等により構成された粘着性樹脂層などが挙げられる。これらの中でも、電子部品の位置ずれをより抑制する観点および製造方法をより簡易化する観点から、本実施形態の粘着性フィルム50は加熱膨張型粘着剤を含むことが好ましい。
【0067】
本実施形態の粘着性フィルム50において、粘着性樹脂層(B)に使用される加熱膨張型粘着剤は、好ましくは150℃を超える温度、より好ましくは170℃を超える温度で加熱することで粘着力が低下または喪失する粘着剤である。例えば、150℃以下または170℃以下では剥離せず、150℃を超える温度または170℃を超える温度で剥離する材料を選択することができ、電子装置の製造工程中に粘着性フィルム50が支持基板から剥離しない程度の粘着力を有していることが好ましい。
ここで、150℃を超える温度または170℃を超える温度で加熱することで粘着力が低下または喪失することは、例えば、粘着性樹脂層(B)側をステンレス板に貼り付け、140℃で1時間の加熱処理をおこない、次いで、150℃を超える温度または170℃を超える温度を超える温度で2分間加熱した後に測定される、ステンレス板からの剥離強度により評価することができる。150℃を超える温度または170℃を超える温度で加熱する際の具体的な加熱温度は、気体が発生する温度や熱膨張性の微小球が熱膨張する温度よりも高い温度に設定され、発生する気体や熱膨張性の微小球の種類によって適宜設定される。本実施形態において、粘着力が喪失するとは、例えば、23℃、引張速度300mm/分の条件で測定される180°剥離強度が0.5N/25mm未満になる場合をいう。
【0068】
加熱膨張型粘着剤に使用される気体発生成分としては、例えば、アゾ化合物、アジド化合物、メルドラム酸誘導体等を用いることができる。また、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水酸化ホウ素ナトリウム、各種アジド類等の無機系発泡剤や、水;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等の塩フッ化アルカン系化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ系化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等のヒドラジン系化合物;p-トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等のセミカルバジド系化合物;5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等のトリアゾール系化合物;N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N´-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド等のN-ニトロソ系化合物等の有機系発泡剤等も用いることができる。気体発生成分は粘着性樹脂(B1)に添加されていてもよく、粘着性樹脂(B1)に直接結合されていてもよい。
【0069】
加熱膨張型粘着剤に使用される熱膨張性の微小球としては、例えば、マイクロカプセル化されている発泡剤を用いることができる。このような熱膨張性の微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタン等の加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球等が挙げられる。上記殻を構成する材料として、例えば、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。熱膨張性の微小球は、例えば、コアセルベーション法や、界面重合法等により製造することができる。
熱膨張性の微小球は粘着性樹脂に添加することができる。
【0070】
気体発生成分および熱膨張性の微小球から選択される少なくとも一種の含有量の下限値は、加熱剥離型の粘着性樹脂層(B)の膨張倍率や粘着力の低下性等に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、加熱剥離型の粘着性樹脂層(B)中の粘着性樹脂(B1)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは12質量部以上である。
また、気体発生成分および熱膨張性の微小球から選択される少なくとも一種の含有量の上限値は、加熱剥離型の粘着性樹脂層(B)中の粘着性樹脂(B1)100質量部に対して、好ましくは150質量部以下、より好ましくは130質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。
気体が発生する温度や熱膨張性の微小球が熱膨張する温度が、150℃を超える温度または170℃を超える温度になるように設計することが好ましい。
【0071】
加熱膨張型粘着剤を構成する粘着性樹脂(B1)としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂(q)、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン-ジエンブロック共重合体系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも(メタ)アクリル系樹脂(q)が好ましい。
【0072】
粘着性樹脂層(B)に使用される(メタ)アクリル系樹脂(q)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(q1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(q2)を含む共重合体が挙げられる。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、またはこれらの混合物を意味する。
【0073】
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(q1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(q2)を含むモノマー混合物を共重合することにより得ることができる。
【0074】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(q1)を形成するモノマー(q1)としては、炭素数1~12程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくは炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(q1)の含有量の下限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。
また、本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(q1)の含有量の上限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、好ましくは98.9質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
【0075】
架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(q2)を形成するモノマー(q2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル-ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル-ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド等である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)において、モノマー単位(q2)の含有量の上限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
下限値は特に限定されないが、例えば、1質量%以上である。
【0076】
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)は、モノマー単位(q1)、モノマー単位(q2)以外に、2官能性モノマー単位(q3)や界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤と称する)単位をさらに含んでもよい。
重合性界面活性剤は、モノマー(q1)、モノマー(q2)およびモノマー(q3)と共重合する性質を有すると共に、乳化重合する場合には乳化剤としての作用を有する。
【0077】
2官能性モノマー単位(q3)を形成するモノマー(q3)としては、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、例えば、両末端がジアクリレートまたはジメタクリレートで主鎖の構造がプロピレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製;商品名:PDP-200、同PDP-400、同ADP-200、同ADP-400)、テトラメチレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製;商品名:ADT-250、同ADT-850)およびこれらの混合型(例えば、日本油脂(株)製;商品名:ADET-1800、同ADPT-4000)であるもの等が挙げられる。
【0078】
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)において、モノマー単位(q3)の含有量の上限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
下限値は特に限定されないが、例えば、0.1質量%以上である。
【0079】
重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンRN-10、同RN-20、同RN-30、同RN-50等)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンHS-10、同HS-20、同HS-1025等)、および分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系(花王(株)製;商品名:ラテムルS-120A、同S-180A等)等が挙げられる。
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)において、重合性界面活性剤の含有量の上限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
下限値は特に限定されないが、例えば、0.1質量%以上である。
【0080】
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)は、さらに必要に応じて、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性2重結合を有するモノマーにより形成されたモノマー単位をさらに含有してもよい。
【0081】
本実施形態の(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)の重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられる。(メタ)アクリル系粘着性樹脂(q)の製造コスト、モノマーの官能基の影響および電子部品表面へのイオンの影響等を考慮すればラジカル重合によって重合することが好ましい。
ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-2-ヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物;2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物が挙げられる。
【0082】
乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が好ましい。電子部品表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物がさらに好ましく、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物が特に好ましい。
【0083】
本実施形態の粘着性樹脂層(B)は、粘着性樹脂(B1)に加えて、架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(B2)をさらに含むことが好ましい。
架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(B2)は、粘着性樹脂(B1)が有する官能基と反応させ、粘着力および凝集力を調整するために用いる。
このような架橋剤(B2)としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物;N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N'-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ系化合物;ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物およびアジリジン系化合物から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
【0084】
架橋剤(B2)の含有量は、通常、架橋剤(B2)中の官能基数が粘着性樹脂(B1)中の官能基数よりも多くならない程度の範囲が好ましい。しかし、架橋反応で新たに官能基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合等、必要に応じて過剰に含有してもよい。
粘着性樹脂層(B)中の架橋剤(B2)の含有量の下限値は、封止工程における電子部品の位置ずれをより抑制できる観点から、粘着性樹脂(B1)100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。
また、粘着性樹脂層(B)中の架橋剤(B2)の含有量の上限値は、保存安定性の観点から、粘着性樹脂(B1)100質量部に対し、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
【0085】
本実施形態の粘着性樹脂層(B)は、支持基板への密着性を向上させる観点から、粘着性樹脂(B1)に加えて、粘着付与樹脂を含むことが好ましい。粘着性樹脂層(B)に粘着付与樹脂を含有させることが、常温付近における支持基板との密着性の調整が容易となるために好ましい。粘着付与樹脂としては、その軟化点が100℃以上であるものが好ましい。粘着付与樹脂の具体例としては、エステル化等の処理をしたロジン系誘導体等のロジン系樹脂;α-ピネン系、β-ピネン系、ジペンテン系、テルペンフェノール系等のテルペン系樹脂;ガム系、ウッド系、トール油系等の天然系ロジン;これらの天然系ロジンを水素化、不均化、重合、マレイン化した石油樹脂;クマロン-インデン樹脂等を挙げることができる。
【0086】
これらのなかでも、軟化点が100~160℃の範囲内であるものがより好ましく、120~150℃の範囲であるものが特に好ましい。軟化点が上記範囲内である粘着付与樹脂を用いると、支持基板への汚染、糊残りが少ないばかりでなく、作業環境下における支持基板との密着性をさらに向上させることが可能となる。さらに、粘着付与樹脂として重合ロジンエステル系の粘着付与樹脂を用いると、支持基板への汚染、糊残りが少ないばかりか、80~130℃の環境下での支持基板との粘着性が向上するとともに、熱膨張性の微小球を含む加熱膨張型粘着剤の場合には、熱膨張性微小球の膨張後は、支持基板からさらに容易に剥離可能となる。
【0087】
粘着付与樹脂の配合割合は、粘着性樹脂層(B)の弾性率を所望とする所定の数値範囲内に調整することができるように適宜選択すればよく、特に制限はない。ただし、粘着性樹脂層(B)の弾性率と初期剥離力の面から、粘着性樹脂(B1)100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下とすることが好ましい。粘着付与樹脂の配合割合が、粘着性樹脂(B1)100質量部に対して、上記下限値以上であると、作業時の支持基板との密着性が良好になる傾向にある。一方、上記上限値以下であると、常温における支持基板との貼り付け性が良好になる傾向にある。支持基板との密着性、及び常温における貼り付け性の面から、粘着付与樹脂の配合割合を、粘着性樹脂(B1)100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下とすることがさらに好ましい。
また、粘着付与樹脂の酸価は、30以下であることが好ましい。粘着付与樹脂の酸価が上記上限値以下であると剥離時に支持基板に糊残りが生じ難くなる傾向にある。
【0088】
粘着性樹脂層(B)は、その他の成分として、可塑剤等の添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層(B)中の粘着性樹脂(B1)、架橋剤(B2)および粘着付与樹脂の含有量の合計の下限値は、粘着性樹脂層(B)の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。さらに粘着性樹脂層(B)が加熱膨張型粘着剤により構成されている場合は、粘着性樹脂層(B)中の粘着性樹脂(B1)、架橋剤(B2)、粘着付与樹脂、気体発生成分および熱膨張性の微小球の含有量の合計の下限値は、粘着性樹脂層(B)の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
上限値は特に限定されないが、例えば、100質量%以下である。
【0089】
粘着性樹脂層(B)は単層であっても多層であってもよい。例えば、加熱による膨張の程度が異なる2層以上を積層して粘着性樹脂層(B)とすることで、粘着性樹脂層(B)の一方の面と他方の面とで、粘着性および熱剥離性を変えることもできる。
粘着性樹脂層(B)の厚さの下限値は、粘着性および熱剥離性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは20μm以上である。
また、粘着性樹脂層(B)の厚さの上限値は、粘着性フィルム50の取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは300μm以下、より好ましく150μm以下である。
【0090】
粘着性樹脂層(B)は、例えば、基材層10上に粘着剤塗布液を塗布する方法や、セパレータ上に形成した粘着性樹脂層(B)を基材10上に移着する方法等により形成することができる。
粘着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件には特に制限はないが、一般的には、80~200℃の温度範囲において、10秒~10分間乾燥することが好ましい。さらに好ましくは、80~170℃において、15秒~5分間乾燥する。架橋剤と粘着剤との架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤塗布液の乾燥が終了した後、40~80℃において5~300時間程度加熱してもよい。
また、基材層10と粘着性樹脂層(B)とは共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層10とフィルム状の粘着性樹脂層(B)とをラミネート(積層)して形成してもよい。
【0091】
[その他の層]
本実施形態の粘着性フィルム50は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、基材層10と粘着性樹脂層(A)との間あるいは基材層10と粘着性樹脂層(B)との間に、例えば凹凸吸収性樹脂層、衝撃吸収層、易接着層等がさらに設けられていてもよい。
【0092】
本実施形態の電子装置の製造方法は、好ましくはファンアウト型パッケージを含む電子装置300を製造するために用いることができる。すなわち、本実施形態の電子装置の製造方法により得られる電子装置300は、ファンアウト型パッケージを含む。ファンアウト型パッケージではチップの外側まで端子を広げること(fan out)ができるため、チップ面積と比べて端子数が多い用途でも採用できる。また、パッケージ基板が不要になるため薄型化も可能になる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0094】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0095】
A 粘着性樹脂層
B 粘着性樹脂層
10 基材層
10A 第1面
10B 第2面
50 粘着性フィルム
60 封止材
70 電子部品
80 支持基板
100 構造体
200 電子装置
300 電子装置
310 配線層
320 バンプ
図1
図2
図3