(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127255
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】液体吐出装置および洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240912BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036284
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】593020913
【氏名又は名称】株式会社ナカリキッドコントロール
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】脇本 咲
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AB01
4F041BA02
4F041BA34
4F041BA43
4F041BA60
4F042AB00
4F042CA01
4F042CB03
4F042CB19
4F042CB27
4F042CC04
4F042CC08
(57)【要約】
【課題】洗浄の必要な箇所に洗浄液を供給することが可能な液体吐出装置および洗浄方法を提供する。
【解決手段】
液体を加圧することにより液体を吐出する液体吐出装置1であり、異なる種類の液体を供給する液体供給部2と、液体供給部2から供給された複数の液体を混合して吐出する吐出部3とを備える。液体供給部2は、少なくとも2種の液体が収容される複数のポンプ室12A、12Bと、各ポンプ室12A、12Bに対して進退動作する複数のプランジャ13A、13Bとを備える。吐出部3は、各ポンプ室12A、12Bから供給される液体が流れる複数の液体流路71A、71Bと、液体流路71A、71Bを流れる液体が混じり合って混合液として流れる混合流路72と、混合液が吐出される吐出口73、22dとを備える。吐出部3の混合流路72の容積A<複数の液体流路71A、71Bの容積の合計Bである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を加圧することにより液体を吐出する液体吐出装置であって、
異なる種類の液体を供給する液体供給部と、前記液体供給部から供給された複数の液体を混合して吐出する吐出部とを備え、
前記液体供給部は、複数のポンプ室と、前記各ポンプ室に対して進退動作する複数のプランジャとを備え、複数の前記ポンプ室には少なくとも2種の液体が収容され、
前記吐出部は、前記液体供給部の前記各ポンプ室と連通し、前記各ポンプ室から液体が導入される複数の液体流路と、前記複数の液体流路と連通し、前記各液体流路を流れる液体が導入される混合流路と、前記混合流路で混合された液体が混合液として吐出される吐出口とを備え、
前記吐出部の混合流路の容積をA、前記複数の液体流路の容積の合計をBとすると、A<Bである、液体吐出装置。
【請求項2】
複数の前記ポンプ室の最大容積の合計をCとすると、C>Aである、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記吐出部と前記液体供給部は分離自由である、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記混合流路内に液体を混合する混合エレメントを備える、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記液体供給部は、複数の前記ポンプ室の一端側にそれぞれ設けられ、前記ポンプ室の液体を導出するための導出路と、
前記導出路より他端側に前記ポンプ室と連通する開口を有し、前記ポンプ室へ液体を導入するための導入路と、をさらに備え、
前記導入路の開口は、前記導入路より他端側であって前記各ポンプ室の内面に形成され、
前記プランジャの前記ポンプ室内に位置する下端面は、少なくとも前記プランジャが進退動作する方向に直交する面に対して斜めに傾いた平坦面を有し、
前記斜めに傾いた平坦面は、前記導入路の開口を向く、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記吐出部の混合流路に導入された混合液を加圧して前記吐出口から混合液を吐出させる加圧部をさらに備え、
前記吐出部は、前記加圧部の下端に設けられるノズルプレートであり、
前記ノズルプレートは、前記混合流路と連通し、前記混合流路から液体が導入される貯留室と、貯留室に収容された液体を吐出するための吐出流路とを備え、前記吐出流路に前記吐出口が設けられる、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記混合流路に液体を混合するための混合エレメントが着脱自由に設けられ、
前記ノズルプレートは、第1部材と、前記第1部材と分離自由に接合される第2部材とを有し、前記第1部材および前記第2部材は、前記液体流路の少なくとも混合エレメントが設けられた領域に沿って分離自由である、請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の前記液体吐出装置の吐出部の混合流路を洗浄する方法であって、
前記プランジャの退く動作により、前記吐出部の吐出口から洗浄液を吸引する工程を含み、吸引する洗浄液の容積をDとすると、A<D<Bである、洗浄方法。
【請求項9】
前記プランジャの進む動作により、前記吐出部の吐出口から洗浄液の吸引量と同じ量の洗浄液を吐出する工程を含む、請求項8に記載の洗浄方法。
【請求項10】
前記プランジャの進退動作により、前記洗浄液を吸引する工程と前記洗浄液を吐出する行程とを複数回繰り返す、請求項9に記載の洗浄方法。
【請求項11】
前記プランジャの進む動作により、前記吐出部の吐出口から洗浄液の吸引量よりも少ない量の洗浄液を吐出する工程と、
前記吐出する行程の後に、前記プランジャの退く動作により、前記吐出部の吐出口から空気を吸引する工程とを含み、
吸引した前記洗浄液をすべて吐出するまで、前記洗浄液を吐出する工程と前記空気を吸引する工程とを繰り返す、請求項8に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の液体を混合して吐出する液体吐出装置およびこの液体吐出装置の洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種類の異なる複数の液体を混合して吐出する液体吐出装置として、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。特許文献1に記載の装置は、種類の異なる薬液が薬液容器に収容され、各薬液容器にはそれぞれスクリューポンプが接続されている。各スクリューポンプはヘッド部に接続され、ヘッド部の下にはミキシングノズルが装着されている。スクリューポンプから供給された各液体はヘッド部内の流路を通り、ミキシングノズルで混合されて、混合液としてミキシングノズルの先端から吐出される。吐出される混合液としては、粘度の高い液体、例えば、2種類の液体を混合することで硬化させる2液硬化型材料を用いた接着剤や塗料(総称して「接着剤等」という)である場合が多い。
【0003】
特許文献1の装置においては、ミキシングノズルにより種類の異なる液体が混合されて吐出される。しかし、混合液が完全に吐出されずにヘッド部の流路やミキシングノズル内に残留し、この残留した混合液が増粘することがある。増粘して硬化した混合液が多くなると、ミキシングノズルがいわゆる目詰まりの状態となり、所望の吐出量の混合液を吐出できなくなる。このため、ノズル部を定期的に洗浄する必要がある。
【0004】
ノズル部を洗浄する方法として、例えば特許文献2の方法が提案されている。特許文献2においては、液体吐出ヘッドのノズルに洗浄ヘッドを接触させてノズルの開口を洗浄ヘッドで覆う。洗浄ヘッドから液体吐出ヘッドに洗浄液を供給し、供給された洗浄液を液体吐出ヘッドから吸引することで、液体吐出ヘッドを洗浄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3183377号
【特許文献2】特開2012-135746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2液硬化型材料を用いた接着剤等は、それぞれの液体単体では増粘しないが液体が混ざることで増粘するため、特許文献1の装置においては、洗浄すべき箇所は種類の異なる液体が混ざり合うミキシングノズル内である。しかし、特許文献2のようにミキシングノズルの先端から洗浄液をヘッド部内に供給した場合、洗浄液の供給量の制御して所望の量の洗浄液を正確に供給することが難しい。このため、洗浄液がミキシングノズルを超えて、洗浄する必要がないヘッド部に到達してしまうことがあり、洗浄液を無駄に用いることになる。また、ヘッド部には混合される前の液体が存在するが、洗浄液と各液体が接触するとヘッド部の液体は次の吐出に用いることができずに廃棄することになり、液体が無駄になる。このように、ミキシングノズル内に確実に洗浄液を充填させることと、洗浄液をヘッド部に到達させないこととの両立は困難である。
【0007】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、洗浄の必要な箇所に洗浄液を供給することが可能な液体吐出装置および洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0009】
項1:液体を加圧することにより液体を吐出する液体吐出装置であって、
異なる種類の液体を供給する液体供給部と、前記液体供給部から供給された複数の液体を混合して吐出する吐出部とを備え、
前記液体供給部は、複数のポンプ室と、前記各ポンプ室に対して進退動作する複数のプランジャとを備え、複数の前記ポンプ室には少なくとも2種の液体が収容され、
前記吐出部は、前記液体供給部の前記各ポンプ室と連通し、前記各ポンプ室から液体が導入される複数の液体流路と、前記複数の液体流路と連通し、前記各液体流路から液体が導入される混合流路と、前記混合流路で混合された液体が混合液として吐出される吐出口とを備え、
前記吐出部の混合流路の容積をA、前記複数の液体流路の容積の合計をBとすると、A<Bである、液体吐出装置。
【0010】
項2:複数の前記ポンプ室の最大容積の合計をCとすると、C>Aである、項1に記載の液体吐出装置。
【0011】
項3:前記吐出部と前記液体供給部は分離自由である、項1または2に記載の液体吐出装置。
【0012】
項4:前記混合流路内に液体を混合する混合エレメントを備える、項1から項3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【0013】
項5:前記液体供給部は、複数の前記ポンプ室の一端側にそれぞれ設けられ、前記ポンプ室の液体を導出するための導出路と、
前記導出路より他端側に前記ポンプ室と連通する開口を有し、前記ポンプ室へ液体を導入するための導入路と、をさらに備え、
前記導入路の開口は、前記導入路より他端側であって前記各ポンプ室の内面に形成され、
前記プランジャの前記ポンプ室内に位置する下端面は、少なくとも前記プランジャが進退動作する方向に直交する面に対して斜めに傾いた平坦面を有し、
前記斜めに傾いた平坦面は、前記導入路の開口を向く、項1から項4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【0014】
項6:前記吐出部の混合流路に導入された混合液を加圧して前記吐出口から混合液を吐出させる加圧部をさらに備え、
前記吐出部は、前記加圧部の下端に設けられるノズルプレートであり、
前記ノズルプレートは、前記混合流路と連通し、前記混合流路から液体が導入される貯留室と、貯留室に収容された液体を吐出するための吐出流路とを備え、前記吐出流路に前記吐出口が設けられる、項1から項5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【0015】
項7:前記混合流路に液体を混合するための混合エレメントが着脱自由に設けられ、
前記ノズルプレートは、第1部材と、前記第1部材と分離自由に接合される第2部材とを有し、前記第1部材および前記第2部材は、前記液体流路の少なくとも混合エレメントが設けられた領域に沿って分離自由である、請6に記載の液体吐出装置。
【0016】
項8:項1から7のいずれか1項に記載の前記液体吐出装置の吐出部の混合流路を洗浄する方法であって、
前記プランジャの退く動作により、前記吐出部の吐出口から洗浄液を吸引する工程を含み、吸引する洗浄液の容積をDとすると、A<D<Bである、洗浄方法。
【0017】
項9:前記プランジャの進む動作により、前記吐出部の吐出口から洗浄液の吸引量と同じ量の洗浄液を吐出する工程を含む、項8に記載の洗浄方法。
【0018】
項10:前記プランジャの進退動作により、前記洗浄液を吸引する工程と前記洗浄液を吐出する行程とを複数回繰り返す、項9に記載の洗浄方法。
【0019】
項11:前記プランジャの進む動作により、前記吐出部の吐出口から洗浄液の吸引量よりも少ない量の洗浄液を吐出する工程と、
前記吐出する行程の後に、前記プランジャの退く動作により、前記吐出部の吐出口から空気を吸引する工程とを含み、
吸引した前記洗浄液をすべて吐出するまで、前記洗浄液を吐出する工程と前記空気を吸引する工程とを繰り返す、項8に記載の洗浄方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、洗浄の必要な箇所に洗浄液を供給することが可能な液体吐出装置および洗浄方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液体吐出装置の全体の概略構成を示す断面図である。
【
図2】洗浄液を吸引する動作を説明するための図である。
【
図3】洗浄液を吸引する動作の他の実施形態を説明するための図であり、(A)は洗浄液を吸引する動作の説明図、(B)は洗浄液を吐出する動作の説明図である。
【
図4】(A)、(B)はプランジャの下端面の他の実施形態を示す断面図である。
【
図5】液体吐出装置の他の実施形態を示す断面図である。
【
図6】
図5に示す液体吐出装置の部分拡大図である。
【
図9】
図5に示す液体吐出装置の吐出部および加圧部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態の液体吐出装置1を示す。液体吐出装置1は液体を加圧することにより液体を吐出するものであり、異なる種類の液体を供給する液体供給部2と、液体供給部2から供給された複数の液体を混合して混合液として吐出する吐出部3とを備える。液体供給部2は、複数のポンプ室12A、12Bと、複数のポンプ室12A、12Bに対して進退動作する複数のプランジャ13A、13Bとを備え、複数のポンプ室12A、12Bのそれぞれには、少なくとも2種の異なる液体が収容される。
【0023】
図1に示す実施形態の説明において、ポンプ室12A、12Bの軸方向を本実施形態の液体吐出装置1の上下方向として説明する。プランジャ13A、13Bの進退動作とはプランジャ13A、13Bがポンプ室12A、12B内を
図1の上下方向に移動することをいう。プランジャ13A、13Bの進む動作とは、液体または洗浄液が吐出される方向に移動することをいい、
図1の下方向に移動することをいう。下方向を下側または下流側、一端側ともいう。プランジャ13A、13Bの退く動作とは、洗浄液が吸引されるまたは液体が導入路16A、16Bを介してポンプ室12A、12Bに導入される方向に移動することをいい、
図1の上方向に移動することをいう。上方向を上側または上流側、他端側ともいう。液体吐出装置1の上下方向はかならずしも現実の上下方向(鉛直方向)に沿う必要はなく、鉛直方向に対して斜めの方向に沿っていてもよい。また、
図1、
図5、
図7において、制御部4、プランジャ駆動手段14は説明のために示しており、実際の構成を示すものではない。
【0024】
本実施形態においては、液体吐出装置1から吐出される液体は、例えば、主剤と硬化剤とからなる2液性接着剤であり、エポキシ系、アクリル系、シリコーンゴム系等の接着剤を用いることができる。液体供給部2のポンプ室12Aに主剤、ポンプ室12Bに硬化剤がそれぞれ収容され、吐出部3で混合されて吐出される。吐出される接着剤は、好ましくは、粘度が30Pa・s(パスカル秒)以下、可使時間(主剤と硬化剤とを混合した後の作業が可能な時間)が5分以上の接着剤である。好ましい粘度と可使時間は、単位時間あたりの吐出量に応じて定められる。単位時間あたりの吐出量が多くなるほど、より高い粘度、より長い可使時間の接着剤が使用されることが多い。
【0025】
なお、吐出される液体は2液性接着剤に限定されず、複数の異なる種類の液体を混合することで所望の性能を得ることのできる液体であればよい。複数のポンプ室12A、12Bに収容された液体の吐出部3への導入量を調整することで、吐出部3内で混合して所望の性能の液体を液体吐出装置1から吐出してもよい。例えば、複数のポンプ室12A、12Bに異なる色の液体が収容され、各液体の吐出部3への導入量を調整して吐出部3内で混合し、所望の色の液体として液体吐出装置1から吐出してもよい。また、液体供給部2が3本以上のポンプ室を有しており、それぞれのポンプ室に収容された液体が吐出部3内で混合されて吐出されてもよい。
【0026】
(吐出部3)
吐出部3は、
図1に示すように、液体供給部2の下側に連続して設けられている。吐出部3は、液体供給部2の各ポンプ室12A、12Bと連通し、各ポンプ室12A、12Bから液体が導入される複数の液体流路71A、71Bを備える。吐出部3は、さらに、複数の液体流路71A、71Bと連通し、各液体流路71A、71Bから液体が導入され、内部で液体が混じり合って混合液となる混合流路72と、混合流路72で混合された混合液が吐出される吐出口73とを備える。液体流路71A、71Bの数はポンプ室12A、12Bの数と同数である。
【0027】
図1の実施形態においては、吐出部3は、内部の流路が断面においてY形状であり、二股に分かれた2つの液体流路71A、71Bと、液体流路71A、71Bの下流側に形成されて2つの液体流路71A、71Bと連通する混合流路72とを備える。各液体流路71A、71Bは断面形状が円形である。混合流路72の下端が吐出口73であり、平面からみた形状が円形である。
【0028】
本実施形態においては、吐出部3の二股に分かれた各流路の上端部の内部に、ポンプ室12A、12Bに連続して設けられた導出路15A、15Bの下端部が隙間無く挿入されている。本明細書においては、吐出部3の液体流路71A、71Bとは、各導出路15A、15Bの下端の直下から混合流路72の手前までの流路をいう。すなわち、二股に分かれた各流路のうち、吐出部3に導出路15A、15Bが嵌め合わされて重なっている部分は液体流路71A、71Bに含まれない。また、二股に分かれた各流路の下端を含む流路の軸方向に直交する面71bまでが液体流路71A、71Bである。
図1に示す実施形態においては、液体流路71A、71Bの容積とは、導出路15A、15Bの下端の直下の各流路の軸方向に直交する面71aと、隣り合う流路が連結された点(流路の下端)を含む各流路の軸方向に直交する面71bとの間の容積をいう。
【0029】
混合流路72の容積Aは、二股に分かれた各流路の下端を含む流路の軸方向に直交する面71bと吐出口73との間の容積である。吐出部3の混合流路72の容積をA、複数の液体流路71A、71Bの容積の合計をBとすると、A<Bである。本実施形態では、Aの容積を18立方ミリメートル、Bの容積を36立方ミリメートルに設定し、液体流路71A、71Bの直径を1.5mmとし、吐出口73の直径を0.2mmとしているが、これに限定されるものではない。
【0030】
吐出部3と液体供給部2は分離自由である。吐出部3の二股に分かれた各流路と導出路15A、15Bとは着脱可能に連結手段により連結されている。連結手段は特に限定されないが、例えば、導出路15A、15Bの少なくとも下端部を構成するゴム等の弾性材であってもよい。弾性材を変形させることで吐出部3の各流路の上端部に導出路15A、15Bを挿入することができる。また、導出路15A、15Bの下端部の外径は、吐出部3の二股に分かれた各流路の上端部の内径よりもわずかに大きく形成されていてもよい。弾性材と各流路の上端部の内面との間に生じる摩擦力が大きくなり、導出路15A、15Bが吐出部3の各流路から抜けにくくなる。
【0031】
混合流路72は各液体流路71A、71Bから流れる液体が導入される。混合流路72内の上下方向の中央部には、液体を混合する混合エレメント26が配置されている。本実施形態では、混合流路72の混合エレメント26が配置される箇所の径は混合エレメント26に応じて他の箇所よりも大きく設定され、混合エレメント26よりも下流側の径は、下方向に向かうにつれて小さく設定されている。なお、混合流路72の径は一定でもよい。混合エレメント26は着脱自由、回転自由に配置されていてもよい。
【0032】
(混合エレメント26)
混合エレメント26は、混合流路72内を流通する流体に転換、反転作用を与えることにより、流体を均質に混合するものである。混合エレメント26は既知のものが用いられ、混合エレメント26の形状は特に限定されない。例えば、混合エレメント26は長方形の板の一端側を180度右回転方向へねじった形状の右ねじれ羽根と、長方形の板の一端側を180度左回転方向へねじった形状の左ねじれ羽根とを交互に配置し、長さ方向の端部同士を互いに直交するように接合したものであってもよく、複数枚の板を角度を変えて互いに噛み合い交差させたものであってもよい。混合エレメント26を軸方向の一端側から見たとき(側面視)において各羽根は円形形状であって、その直径は、混合エレメント26の各羽根が混合流路72の内壁に当接し混合流路72の内壁と混合エレメント26の羽根との間に隙間が生じない大きさに設定される。本実施形態では、混合エレメント26の長さは8mm、混合エレメント26の最大直径は2.3mm、混合流路72の長さは10mm、直径は2.3mmに設定されているが、これに限定されるものではない。
【0033】
(液体供給部2)
液体供給部2は、内部に複数(
図1の実施形態では2つ)のポンプ室12A、12Bが形成されたポンプ本体11と、各ポンプ室12A、12Bに対して進退動作するプランジャ13A、13Bと、プランジャ13A、13Bを進退動作させるプランジャ駆動手段14と、各ポンプ室12A、12Bの一端側に設けられ、各ポンプ室12A、12Bの液体を導出するための導出路15A、15Bと、各導出路15A、15Bより他端側に各ポンプ室12A、12Bと連通する開口16aを有し各ポンプ室12A、12Bへ液体を導入するための導入路16A、16Bと、各導入路16A、16Bを開閉するための弁17A、17Bと、各弁17A、17Bを駆動させる弁駆動手段(図示せず)と、導入路16A、16Bに接続されてポンプ室12A、12Bに液体を供給する図示しないシリンジ部と、シリンジ部、弁駆動手段、プランジャ駆動手段14等の各部の動作を制御する制御部4とを備えている。
【0034】
ポンプ本体11は、長方形状の躯体からなり、内部に上下方向に延在する空間であるポンプ室12A、12Bを複数有する。ポンプ室12A、12Bは軸方向(上下方向)に直交する面の断面形状が円形に形成されている。なお、断面形状は円形に限定されず、例えば四角形状でもよい。ポンプ室12A、12Bの上端の内面にはOリング等のシール部材11aが環状に設けられており、ポンプ室12A、12Bが気密および液密となるようにプランジャ13A、13Bを進退自由に保持している。ポンプ室12A、12Bの上端は閉鎖部材11bで覆われており、閉鎖部材11bの中央に設けられた貫通孔にプランジャ13A、13Bが貫通している。
【0035】
ポンプ室12A、12Bの下端には、導出路15A、15Bが設けられている。導出路15A、15Bは、ポンプ室12A、12Bに収容された液体が通過する流路であり、軸方向(上下方向)に直交する断面の形状が円形に形成されている。導出路15A、15Bの直径は、ポンプ室12A、12Bの断面形状の直径よりも小さく形成されている。本実施形態では、ポンプ室12A、12Bとは、上下方向に沿って断面積が一定であって、導出路15A、15Bを含まない部分をいい、導出路15A、15Bとは、ポンプ室12A、12Bの下端に位置し、流路の断面形状の面積がポンプ室12A、12Bの断面形状の面積よりも小さい部分をいう。しかし、ポンプ室12A、12Bおよび導出路15A、15Bの断面積は本実施形態には限定されない。ポンプ室12A、12Bおよび導出路15A、15Bの断面積は任意に設定され、導出路15A、15Bの断面積がポンプ室12A、12Bの断面積と同じ、または導出路15A、15Bの断面積がポンプ室12A、12Bの断面積よりも大きくてもよい。
【0036】
ポンプ室12A、12Bの内周面には導入路16A、16Bの開口16aが形成されており、導入路16A、16Bの開口16aは、導出路15A、15Bより上側に位置している。プランジャ13A、13Bが最も下端側にあるときの第2の位置P2と導入路16A、16Bの開口16aとの間の上下方向の距離(本実施形態では後述する第3の位置P3と第2の位置P2との間の距離)をL2とし、プランジャ13A、13Bが最も下端側にある第2の位置P2とプランジャ13A、13Bの下端13aがポンプ室12A、12Bの最も上端側にある第1の位置P1との間の上下方向の距離をL1とする。このとき、距離L2は距離L1の3分の1以下に設定されている。好ましくは、距離L2は距離L1の4分の1以下に設定され、より好ましくは、6分の1以下に設定される。さらに好ましくは、導入路16A、16Bの開口16aは、導出路15A、15Bの近傍に設けられる、すなわち、導入路16A、16Bの開口16aは導出路15A、15Bの上端15aにできるだけ近い位置、直上に設けられる。第1の位置P1、第2の位置P2については後述する。
【0037】
一例では、ポンプ室12A、12Bの上下方向の長さは60mm、断面円形状の直径は2mm、導出路15A、15Bの直径は1mm、導入路16A、16Bの断面形状の直径は1mmに設定され、距離L1は50mm、距離L2は7mmに設定されているが、これに限定されるものではない。
【0038】
プランジャ13A、13Bは断面形状が円形の棒状であって、上端部はポンプ本体11の外側に位置し、プランジャ13A、13Bをポンプ室12A、12Bに対して進退動作させるためのプランジャ駆動手段14が設けられている。プランジャ駆動手段14は例えばボールネジとモータとを用いた往復動作機構から構成される。本実施形態ではプランジャ駆動手段14を1つ備えて2つのプランジャ13A、13Bを動作させているが、プランジャ駆動手段14をそれぞれのプランジャ13A、13B毎に設けてもよい。プランジャ13A、13Bの下端13aはポンプ室12A、12B内に位置し、少なくとも下端13aは断面円形の直径がポンプ室12A、12Bの直径と略同じに設定され、ポンプ室12A、12Bの内面に気密及び液密に嵌合されてポンプ室12A、12Bに対して進退自由である。プランジャ13A、13Bのプランジャ13A、13Bの下端面13bは、プランジャ13A、13Bが進退動作する方向に直交する面に平行な平坦面である。なお、プランジャ13A、13Bの下端13aは、必ずしも断面円形の直径がポンプ室12A、12Bの直径と略同じに設定されている必要はなく、液体を導出路15A、15Bから吐出できる圧力を加えることができれば、ポンプ室12A、12Bの直径よりも小さくてもよい。
【0039】
プランジャ13A、13Bは、上下方向に沿って第1の位置P1と第2の位置P2との間を物理的に移動自由である。第1の位置P1と第2の位置P2との間に、第3の位置P3、第4の位置P4が設定される。プランジャ13A、13Bが最も上端側にある第1の位置とは、プランジャ13A、13Bを上方向に移動させることの可能な最も上側(他端側)の位置をいい、プランジャ13A、13Bの下端13aが最も上側となる位置である。第1の位置P1は、ポンプ室12A、12Bの長さやプランジャ13A、13Bの長さによって定まる。
【0040】
第2の位置P2とは、プランジャ13A、13Bを下方向に移動させることの可能な最も下側(一端側)の位置をいい、プランジャ13A、13Bの下端13aが最も下端側にある位置である。
図1に示す本実施形態においては、プランジャ13A、13Bが最も下端側にあるときの第2の位置P2は、導出路15A、15Bの上端15aと同じ位置となる。なお、導出路15A、15Bの径がプランジャ13A、13Bの径と同じか大きい場合には、プランジャ13A、13Bの下端13aは導出路15A、15B内に位置することができ、この場合は第2の位置P2は導出路15A、15B内に位置する。
【0041】
第3の位置P3は、
図1に示すように、プランジャ13A、13Bの下端13aが導入路16A、16Bの開口16aよりも上側に位置し、開口16aを塞がない位置である。本実施形態では、第3の位置P3は、プランジャ13A、13Bの下端13aが導入路16A、16Bの開口16aの上端16bとほぼ同じとなる位置としている。第4の位置P4は、
図1に示すように、導出路15A、15Bの上端15aと導入路16A、16Bの開口16aの下端16cとの間の位置であって、プランジャ13A、13Bが導入路16A、16Bの開口16aを塞ぐ位置である。本実施形態では、第4の位置P4はプランジャ13A、13Bの下端13aが導入路16A、16Bの開口16aの下端16cと同じ位置である。
【0042】
プランジャ13A、13Bは、物理的には第1の位置P1と第2の位置P2との間を移動することが可能である。後述する初期時液体導入動作時においては、プランジャ13A、13Bは第1の位置P1と第4の位置P4との間を移動し、後述する液体吐出動作時、液体導入動作時、洗浄動作時においては、プランジャ13A、13Bは第1の位置P1と第3の位置P3との間を移動する。
【0043】
ポンプ室12A、12Bの容積とは、ポンプ室12A、12Bの導出路15A、15Bの上端15aから、プランジャ13A、13Bの下端13aまでの間の空間の容積をいう。プランジャ13A、13Bは進退動作するため、ポンプ室12A、12Bの容積はプランジャ13A、13Bの位置に応じて変化する。各ポンプ室12A、12Bの最大容積はプランジャ13A、13Bが第1の位置P1にあるときのポンプ室12A、12Bの容積である。複数のポンプ室12A、12Bの最大容積の合計Cは、吐出部3の混合流路72の容積Aよりも大きく設定されており、C>Aである。これにより、プランジャ13A、13Bは、1回の進退動作により、吐出口73から吐出可能な液体の容積または吐出口73から吸引可能な洗浄液(後述)の容積が、吐出部3の混合流路72の容積Aよりも大きくできる。本実施形態では、ポンプ室12A、12Bの最大容積Cは270立方ミリメートルである。
【0044】
ポンプ本体11の外面には導入路本体11A、11Bが取付けられ、導入路本体11A、11B内に導入路16A、16Bが形成されている。導入路16A、16Bは液体が通過する流路であり開口16aを介してポンプ室12A、12Bと連通している。導入路16A、16Bは図示しないシリンジ部にそれぞれ接続されている。各シリンジ部は、液体が収容されるシリンジと、圧力源と、シリンジ内の圧力を調整する圧力調整手段と、電磁弁等を備えている。シリンジには少なくとも2種の種類の異なる液体が収容されており、電磁弁が開かれてシリンジ内に圧力源から正圧が供給されることで、液体が加圧されて各導入路16A、16Bに供給され、導入路16A、16Bからポンプ室12A、12Bに導入される。導入路本体11A、11Bには導入路16A、16Bを開閉するための弁17A、17Bが設けられている。本実施形態では、弁17A、17Bは導入路16A、16Bの開口16aを開閉しているが、これに限定されず、導入路16A、16Bの任意の箇所を開閉してもよく、既知の開閉弁が用いられる。弁17A、17Bは、図示しない弁駆動手段により駆動される。
【0045】
プランジャ駆動手段14の動作、シリンジ部の電磁弁19aの動作、弁駆動手段の動作等は、制御部4により制御される。制御部4は、例えば汎用のコンピュータが用いられる。汎用コンピュータのハードウェア構成として、CPUやGPUなどのプロセッサ、DRAMやSRAMなどの主記憶装置、および、HDDやSSDなどの記憶部を備えている。記憶部には、電磁弁、プランジャ駆動手段14、弁駆動手段等の各部を動作させるための各種プログラム、パラメータ等が格納され、プロセッサによりこれらのプログラムが実行される。
【0046】
(初期時液体導入動作)
液体供給部2の使用の初期時やポンプ室12A、12Bの洗浄後など、ポンプ室12A、12Bに液体が収容されていない状態においては、各ポンプ室12A、12Bに液体を導入する動作(初期時液体導入動作)が行われる。初期状態では、導入路16A、16Bの弁17A、17Bは閉である。制御部4は、プランジャ駆動手段14を動作させて各プランジャ13A、13Bを第4の位置P4に移動させる。次に、制御部4はシリンジ部の電磁弁を開としてシリンジ内を正圧とし、弁駆動手段を動作させて導入路16A、16Bの弁17A、17Bを開とする。特に、液体が低粘度(例えば粘度が0.0008~0.2Pa・s程度の液体)の場合には、液体の導入のタイミングに合わせて電磁弁を開閉してシリンジ内の正圧をオンオフすることで、弁17A、17Bに液体の漏れが生じてもポンプ室12A、12Bへの液体の流入を防ぐことができる。なお、液体の粘度に応じて、電磁弁19aを常に開としてシリンジ18内を常に正圧に保ってもよい。次に、制御部4はプランジャ駆動手段14を動作させて各プランジャ13A、13Bを第4の位置P4から第1の位置P1に向けて移動させる。各プランジャ13A、13Bが第4の位置P4にあるときには導入路16A、16Bの開口16aはプランジャ13A、13Bの外周面により塞がれている。各プランジャ13A、13Bが上方向に移動することで開口16aとポンプ室12A、12Bが連通し、液体が導入路16A、16Bからポンプ室12A、12Bに導入される。液体は、プランジャ13A、13Bの引き上げによりポンプ室12A、12B内が負圧になることにより生じる吸引力と、シリンジ部の圧力調整手段によるシリンジ内および導入路16A、16B内の液体への加圧により生じる力により、ポンプ室12A、12Bに導入される。なお、液体が低粘度(例えば粘度が0.0008~0.05Pa・s程度の液体)の場合には、圧力調整手段による加圧は不要であり、吸引力のみでポンプ室12A、12Bに液体が導入することも可能である。プランジャ13A、13Bが第1の位置P1に到達すると、液体が、少なくとも第2の位置P2と第1の位置P1との間の空間、すなわち本実施形態ではポンプ室12A、12Bの導出路15A、15Bの上端15aと第1の位置P1との間の空間に充填された状態となる。また、液体は導出路15A、15Bにも導入され、プランジャ13A、13Bが上方向の移動している間に導出路15A、15Bから液体が導出されてもよい。
【0047】
(液体吐出動作)
次に、初期時液体導入動作後であってポンプ室12A、12Bに液体が十分に充填された状態において、ワークや吐出対象物に向けて所望量の液体(混合液)を導出する動作(液体吐出動作)について説明する。各プランジャ13A、13Bは第1の位置P1にある。制御部4は、各導入路16A、16Bの弁17A、17Bを閉にする。この状態で制御部4はプランジャ13A、13Bを所定の距離だけ下に向けて移動させる。プランジャ13A、13Bにより液体に加わる圧力により、液体は各導出路15A、15Bを通って各導出路15A、15Bと連結した吐出部3の液体流路71A、71Bに導入される。各液体流路71A、71Bから混合流路72に入った液体は、混合エレメント26により混合され、混合液として吐出口73から吐出される。各プランジャ13A、13Bが下方向に移動する速度および上下方向の移動距離は液体の種類や混合液が吐出される対象となる物に応じて調整される。上記の1回あたりの液体吐出動作は所定の回数行われる。液体の吐出は、プランジャ13A、13Bが第3の位置P3に到達するまで行うことができる。プランジャ13A、13Bは、1回の液体吐出動作で第1の位置P1から第3の位置P3に移動してもよく、液体吐出動作を繰り返して第3の位置P3に移動してもよい。所定の回数の液体吐出動作が完了したときに、プランジャ13A、13Bは第3の位置P3まで到達していなくてもよい。また、複数のプランジャ13A、13Bは同じ速度および移動距離で動作する必要はなく、各液体の所望の混合割合によってプランジャ13A、13Bの動作は異なっていてもよい。
【0048】
導入路16A、16Bの弁17A、17Bは閉となっているので、プランジャ13A、13Bが液体を加圧するときに導入路16A、16Bに液体が浸入することがなく、液体は確実に導出路15A、15Bから吐出部3に向けて吐出される。
【0049】
(洗浄動作)
混合流路72の洗浄動作(洗浄方法)について説明する。洗浄動作は、液体吐出動作が終了した後に行われる。洗浄動作は所定回数の液体吐出動作が終了した後に毎回行ってもよいが、必ずしも毎回行う必要はなく、液体の種類によって洗浄動作が行われる頻度は適宜設定される。洗浄動作の開始前には、各プランジャ13A、13Bは第3の位置P3にあり、ポンプ室12A、12Bの第3の位置P3と第2の位置P2との間の空間、導出路15A、15B、吐出部3の液体流路71A、71Bには液体が充填され、混合流路72には各液体が混合された混合液が充填された状態である。なお、洗浄動作の開始時に、各プランジャ13A、13Bは第1の位置P1と第3の位置P3の間に位置していてもよい。
【0050】
まず、
図2に示すように、洗浄液が収容された容器80を用意し、吐出部3の吐出口73を容器80の洗浄液内に位置させる。容器80には、洗浄液タンク81が管81aを介して連結されており、管81aには開閉用バルブ81bが設けられている。容器80には開閉用バルブ80bが設けられた管80aが連結されており、管80aの下端は使用済みの洗浄液を廃棄する廃棄タンク82内に位置している。
【0051】
この状態で、洗浄液を吸引する工程を行う。各プランジャ13A、13Bを所定の距離だけ上方向に移動させ、このプランジャ13A、13Bの退く動作により、吐出部3の吐出口73から洗浄液を吸引する。プランジャ13A、13Bの移動距離は吸引する洗浄液の容積Dに応じて定まり、吸引する洗浄液の容積Dは、吐出部3の混合流路72の容積Aより大きく、複数の液体流路71A、71Bの容積の合計Bより小さい、すなわちA<D<Bとなるように設定される。吸引する洗浄液の容積Dは吐出部3の混合流路72の容積Aより大きいため、吸引した洗浄液は混合流路72を完全に満たし、混合流路72を確実に洗浄する。また、混合流路72にあった混合液は上流側に移動して液体流路71A、71Bに侵入する。吸引する洗浄液の容積Dは複数の液体流路71A、71Bの容積の合計Bより小さいため、混合液が吐出部3の複数の液体流路71A、71Bを超えて液体供給部2の導出路15A、15Bやポンプ室12A、12Bに流入することはない。
【0052】
次に、洗浄液を吐出する工程を行う。各プランジャ13A、13Bを下方向に移動させると、プランジャ13A、13Bの進む動作により、吐出部3の吐出口73から洗浄液を吐出する。プランジャ13A、13Bの移動距離は洗浄液を吸引する工程を行う際の移動距離と同じとしており、プランジャ13A、13Bの進む動作により、吐出部3の吐出口73から洗浄液の吸引量と同じ量の洗浄液が吐出される。なお、洗浄液を吐出する工程、吸引する工程において、A<D<Bとなるように洗浄液を吸引できれば、複数のプランジャ13A、13Bの全てを動作させる必要はなく、一部のプランジャ13A、13Bのみが動作してもよい。
【0053】
プランジャ13A、13Bの進退動作により、上記の洗浄液を吸引する工程と上記の洗浄液を吐出する行程とを複数回繰り返してもよい。洗浄液の吸引が複数回繰り返される際に、吐出され容器80に戻った洗浄液はその都度廃棄タンク82に廃棄されてもよく、この場合は新たな洗浄液が洗浄液タンク81から容器80に供給される。また、吐出されて容器80に戻った洗浄液は再度吸引されてもよい。
【0054】
上記の洗浄液を吸引する工程と上記の洗浄液を吐出する行程と繰り返し行うことで、さらに混合流路72内が洗浄される。また、一旦吐出した洗浄液を再度吸引し、同じ洗浄液を繰り返し使用することで、洗浄液の使用量を抑制することができる。
【0055】
(洗浄動作の他の形態)
混合流路72の洗浄動作は上記の例に限定されず、例えば以下の方法であってもよい。まず、
図3(A)、
図3(B)に示すように、洗浄液が収容された第1の容器80Aと、空の第2の容器80Bを準備する。第1の容器80Aには、洗浄液タンク81が管81aを介して連結されており、管81aには開閉用バルブ81bが設けられている。第2の容器80Bには開閉用バルブ80bが設けられた管80aが連結されており、管80aの下端は使用済みの洗浄液を廃棄する廃棄タンク82内に位置している。洗浄液を吸引する工程において、
図3(A)に示すように、吐出部3の吐出口73が第1の容器80A内の洗浄液内に位置するように第1の容器80Aを配置する。上記の例と同様に、プランジャ13A、13Bの退く動作により、吸引する洗浄液の容積Dが吐出部3の混合流路72の容積Aより大きく複数の液体流路71A、71Bの容積の合計Bより小さくなるように、吐出部3の吐出口73から洗浄液を吸引する。
【0056】
次に
図3(B)に示すように、第1の容器80Aを吐出部3から外し、第2の容器80Bを吐出口73の下側に配置する。そして、プランジャ13A、13Bの進む動作により、吐出部3の吐出口73から洗浄液の吸引量よりも少ない量の洗浄液を吐出する工程を行う。すなわち、プランジャ13A、13Bの下方向への移動距離を、洗浄液を吸引する工程における上方向の移動距離よりも短くする。吐出された洗浄液は、第2の容器80Bに吐出されて廃棄タンク82に廃棄される。なお、容器80Bは必ずしも必要ではなく、廃棄タンク82を吐出口73の下側に配置して、吐出口73から廃棄タンク82に直接洗浄液を吐出してもよい。
【0057】
この洗浄液を吐出する行程の後に、プランジャ13A、13Bの退く動作により、吐出部3の吐出口73から空気を吸引する工程を行う。プランジャ13A、13Bは上向きに移動するが、プランジャ13A、13Bの移動距離は、洗浄液を吐出する行程のプランジャ13A、13Bの移動距離と同じとし、吸引する空気の容積は、洗浄液を吐出する工程において吐出される洗浄液の容積と同じとなるように設定される。なお、吸引する空気の容積は、洗浄液を吐出する工程において吐出される洗浄液の容積よりも小さくてもよく、または大きくてもよい。
【0058】
洗浄液を吸引する工程において吸引した洗浄液をすべて吐出するまで、洗浄液を吐出する工程と空気を吸引する工程とを繰り返す。
【0059】
このように、一旦洗浄液を多く吸引し、その後少しずつ吐出をしていくことで、洗浄液の使用量を抑制することができる。
【0060】
(液体導入動作)
次に、液体吐出動作後にポンプ室12A、12B内に充填された液体が少なくなった状態においてポンプ室12A、12Bに液体を導入する動作(液体導入動作)について説明する。プランジャ13A、13Bは第3の位置P3にあり、第3の位置P3と第2の位置P2との間の空間、すなわち本実施形態では第3の位置P3と導出路15A、15Bの上端15aとの間の空間には液体が充填された状態である。制御部4は導入路16A、16Bの弁17A、17Bを開にし、プランジャ13A、13Bを第3の位置P3から第1の位置P1まで上方向に移動させる。第3の位置P3は導入路16A、16Bの開口16aより上にあるので開口16aは塞がれておらず、プランジャ13A、13Bの引き上げにより液体は導入路16A、16Bの開口16aからポンプ室12A、12Bに導入される。液体は、プランジャ13A、13Bが引き上げられることによってポンプ室12A、12B内が負圧になることによる吸引力と、圧力調整手段によるフランジ内および導入路16A、16B内の液体への加圧により生じる力により、ポンプ室12A、12Bに導入される。
【0061】
プランジャ13A、13Bが第1の位置P1に到達すると、液体がポンプ室12A、12Bの導出路15A、15Bの上端15aと第1の位置P1との間の空間に充填された状態となる。なお、制御部4がシリンジ部の圧力調整手段の動作を制御し、シリンジ内および導入路16A、16B内の液体に加わる圧力を、プランジャ13A、13Bの上方向への移動による吸引力により導出路15A、15Bから空気が液体に混入することが防がれるような圧力に調整してもよい。なお、液体導入動作においても、低粘度の液体がポンプ室12A、12Bに導入される場合には、圧力調整手段による加圧は必ずしも必要ではない。
【0062】
上記の構成によれば、洗浄動作の開始の直前には、吐出部3の液体流路71A、71Bに各ポンプ室12A、12Bから供給された液体が充填され、混合流路72には混合液が充填されている。この状態において、液体吐出装置1の混合流路72を洗浄するときには、まず、プランジャ13A、13Bを退かせて吐出口73から洗浄液を吸引する。このとき、洗浄液の容量を、吐出部3の混合流路72の容積Aよりも大きく、複数の液体流路71A、71Bの合計の容積Bよりも小さくなるように吸引する。すると、洗浄液は混合流路72を完全に満たし、液体流路71A、71Bまで到達する。このように、混合液が増粘しやすい混合流路72に確実に洗浄液を満たすことができるため、しっかりと洗浄することができ、洗浄後も長時間吐出不良になることを防止できる。
【0063】
洗浄後、次に液体吐出動作を再開する直前には、装置内部に残った混合液と混合液と接触した液体を破棄する。従来技術においては、洗浄液を吸引したときに混合液が液体供給部2まで達することがあり、液体供給部2内の液体及び吐出部3内の液体や混合液を破棄している。一方、本発明においては、プランジャ13A、13Bを退かせて吐出口73から洗浄液を吸引したときに液体流路71A、71Bにあった液体は液体供給部2に向けて逆流する。しかし、吐出部3の混合流路72の容積A<複数の液体流路71A、71Bの容積の合計Bであるため、混合流路72にあった混合液は逆流するものの吐出部3内に留まり液体流路71A、71Bを超えて液体供給部2まで到達することはない。このため、吐出部3内の混合液及び液体のみを破棄すればよく、液体の破棄量が少なくなる。さらにプランジャ13A、13Bの退く動作により吐出口73から洗浄液を吸引しているため、プランジャ13A、13Bを制御することで洗浄液の吸引量を正確に制御することができる。
【0064】
(プランジャ13A、13Bの下端面13bの他の実施形態)
図4(A)、
図4(B)にプランジャ13A、13Bの下端面13bの他の実施形態を示す。
図1の実施形態では、プランジャ13A、13Bの下端面13bは、プランジャ13A、13Bが進退動作する方向に直交する面に平行な平坦面であったが、プランジャ13A、13Bの軸方向に直交する面に対して斜めに傾いた平坦面から形成されていてもよい。
図4(A)に示すように、導入路16A、16Bの軸線とプランジャ13A、13Bの軸線とを含む平面に沿う断面において、斜めに傾いた下端面13bは導入路16A、16Bの開口16aを向いている。下端面13bとプランジャ13A、13Bの軸方向と直交する方向(
図4(A)における左右方向)との間の角度αは10度以上、70度以下に設定される。その他の構成については、
図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0065】
上記の構成によれば、初期時液体導入動作において、プランジャ13A、13Bが引き上げられて液体が導入路16A、16Bの開口16aからポンプ室12A、12B内に導入される。このとき、プランジャ13A、13Bの下端13aにある空気が液体によりプランジャ13A、13Bの下端面13bに沿って斜め下向きに押され、下方向に向かい、導出路15A、15B、吐出部3を通って吐出口73から出て行く。このため、プランジャ13A、13Bの下端13a付近にある空気を確実に液体吐出装置1内から押し出すことができる。プランジャ13A、13Bの移動によってポンプ室12A、12B、導出路15A、15B、吐出部3内の混合液や洗浄液に圧力が加わり、混合液や洗浄液が吐出、吸引される。しかし、液体吐出装置1の内に空気が含まれると、本来混合液や洗浄液に加わるはずの圧力が空気に加わり、空気の容積に変化が生じ、所望の量の混合液や洗浄液の吐出、吸引ができなくなったり、プランジャ13A、13Bの動作に追従して吐出、吸引が行われない、いわゆる応答性が悪くなることがある。本実施形態ではプランジャ13A、13Bの下端面13bをプランジャ13A、13Bの軸方向に直交する面に対して斜めに傾いた平坦面とすることで、空気が確実に液体吐出装置1内から押し出されるので、所望量の吐出、吸引が可能であり、プランジャ13A、13Bの動作に対する吐出、吸引の応答性が向上し、高い洗浄能力を発揮できる。
【0066】
また、
図4(B)に示すように、プランジャ13A、13Bの下端面13bは、プランジャ13A、13Bの軸を中心として開口16a側(
図4(B)における右側)を平坦面13cとし、開口16a側と反対側をプランジャ13A、13Bの軸方向に直交する面に対して斜めに傾いた面13dとしてもよい。斜めに傾いた面13dは導入路16A、16Bの開口16aを向いており、面13dとプランジャ13A、13Bの軸方向と直交する方向との間の角度αは10度以上、80度以下に設定される。その他の構成については、
図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0067】
上記の構成によっても、プランジャ13A、13Bの下端13a付近にある空気は斜めに傾いた面13dに沿って斜め下向きに押され、導出路15A、15Bから出て行くため、空気を確実にポンプ室12A、12Bから押し出すことができる。
【0068】
なお、本実施形態では斜めに傾いた面13は平坦面であるが、面13は曲面でもよく、曲面と平坦面とを含んでいてもよい。
【0069】
(液体吐出装置1の他の実施形態)
図5に本発明の液体吐出装置1の他の実施形態を示す。液体吐出装置1は、液体供給部2と、吐出部3と、加圧部5とを備える。
【0070】
図5に示す実施形態の説明では、ノズルプレート20の吐出流路22cの軸方向であって液体が吐出される方向を上下方向とし、上下方向に直交する方向を左右方向としているが、液体吐出装置1は必ずしも現実の上下方向(鉛直方向)に沿って液体が吐出されてなくてもよい。
【0071】
図7に示すように、液体供給部2は、
図1に示す実施形態と同様の構成を有しており、同一の構成に同一の符号を付すことで詳細な説明は省略する。各導出路15A、15Bは、吐出部3に設けられたジョイント部34A、34Bと連通している。
【0072】
(吐出部3)
本実施形態においては、吐出部3は、いわゆるノズルプレート20であり、加圧部5の下端に設けられている。ノズルプレート20は、液体供給部2と連結するためのジョイント部34A、34Bと、複数の液体流路71A、71Bと、混合流路72と、混合流路72と連通し混合流路72から液体が導入される貯留室21を有する凹部22と、貯留室に収容された液体を吐出するための吐出流路22cと、を備えている。吐出流路22cの下端に吐出口22dが設けられている。混合流路72に、液体を混合するための混合エレメント26が着脱自由に設けられる。
【0073】
ノズルプレート20は、ノズルプレート本体25とノズルプレート本体25に嵌め込まれるジョイント部34A、34Bとから構成されている。ノズルプレート本体25は、第1部材31と、第1部材31と分離自由に接合される第2部材41と含む。第1部材31および第2部材41は、第1部材31に形成される混合流路72の少なくとも混合エレメント26が設けられた領域に沿って分離自由である。
【0074】
(ノズルプレート本体25の第1部材31)
第1部材31は、平面視において矩形状である。第1部材31の上面32aの
図6における右側は、後述する加圧部5の加圧部本体92の底部92aの外面92cに取付けられる。第1部材31の厚みは、加圧部材93の小径部93aの上下方向の長さを短くするためにできるだけ薄く形成されることが好ましいが、後述するネジ孔38bを形成するための厚みが必要である。本実施形態では第1部材31の厚みは約3mmに設定されているが、これに限定されない。
【0075】
第1部材31の上面33aの
図6における左側に、液体供給部2と接続するためのジョイント部34A、34Bが側面視において二つ並んで設けられている。各ジョイント部34A、34Bは、ノズルプレート本体25と図示しないネジ等の接続手段によって接続される円筒状の基部34bと、基部34bに連続して設けられた基部34bよりも径の小さい円筒状であって液体供給管105が接続される接続部34cとを有する。ジョイント部34A、34Bは、内部に上下方向に沿って接続流路34aが形成されている。各接続流路34aは第1部材31内に上下方向に沿って設けられた導入流路35A、35Bと連通している。第1部材31には、加圧部本体92の貫通孔92bに対応する位置に、凹部22を形成する凹部用貫通孔36が上下方向に沿って形成されている。凹部用貫通孔36は平面から見た形状が円形であり、凹部用貫通孔36の径は加圧部本体92の貫通孔92bの径と略同じに設定されている。
図7に示すように、第1部材31には、ジョイント部34A、34Bの接続流路34aにそれぞれ連通する導入流路35A、35Bが形成されている。ジョイント部34A、34Bの接続部34cには、それぞれ液体供給部2の導出路が液体供給管105を介して接続されている。
【0076】
第1部材31の下面31aには、導入流路35A、35Bと連通する溝37Aが
図7における左右方向に形成される。溝37Aと連通する溝37Bが、
図6における左右方向であって、溝37Aと同一平面上で直交する方向に形成されている。溝37A、37Bの下側は開放されている。溝37Aは断面形状が半円形状である。溝37Bは凹部用貫通孔36と連通しており、溝37Bの長さ方向(
図6における左右方向)の中央部に、混合エレメント26が収容される部分37bと、その他の部分37aとから構成される。その他の部分37aは断面形状が半円形状である。混合エレメント26が収容される部分37bは、
図8に示すように、断面形状が半楕円形状、より詳細には、上に凸となる半円部分と半円の下に位置する長方形部分とを組み合わせた形状であり、混合エレメント26が収容できる大きさである。半円部分の内部は混合エレメント26により占められ、半円部分の内壁には混合エレメント26が当接するが、長方形部分の
図8における下側では混合エレメント26と内壁とが当接せず、長方形部分の内部の両角部に空間が存在する。この空間内に混合液が残留しやすく、混合液が増粘して硬化し詰まりの原因となる。混合エレメント26が収容される部分37bの断面積は、その他の部分37aの断面積よりも大きく設定されている。本実施形態では、溝37Bと凹部用貫通孔36とは平面視において直線上に位置している。なお、
図8ではノズルプレート20の構成を図示し、他の構成の図示は省略している。
【0077】
溝37A、溝37Bは第1部材31と第2部材41とが接合された状態で開放部分が第2部材41により塞がれ、溝37Bは混合流路72を構成する。また、ジョイント部34Aの接続流路34a、導入流路35A、溝37Aの溝37Bよりも導入流路35A側の第1部分37cは液体流路71Aを構成し、ジョイント部34Bの接続流路34a、導入流路35B、溝37Aの溝37Bよりも導入流路35B側の第2部分37dは液体流路71Bを構成する。混合流路72の容積Aは、液体流路71A、71Bの容積の合計Bよりも小さく、A<Bである。また、液体供給部2の複数のポンプ室12A、12Bの最大容積の合計Cは、混合流路72の容積Aよりも大きく設定され、C>Aである。なお、混合流路72の容積Aは、後述する貯留室21の容積と吐出流路22cの容積との合計の9倍以上であり、貯留室21の容積および吐出流路22cの容積は混合流路72の容積Aに比べて充分に小さい。このため、後述する洗浄動作時において、貯留室21のおよび吐出流路22cに充填されている混合液の容積は無視できる。
【0078】
第1部材31の下面31aは、第2部材41と接合される面であり接合面31aともいう。なお、本実施形態では混合エレメント26が収容される部分37bと他の部分37aとは断面の形状および断面積が異なっているが、他の部分37aの断面形状を混合エレメント26が収容される部分37bと同じ形状、同じ断面積とし、一つの溝37として形成してもよい。
【0079】
本実施形態では、導入流路35A、35Bの直径は約1mm、上下方向の長さは約3mmに設定されている。溝37Aの長さ(
図7における左右方向の長さ)は約6mmに設定されている。溝37Aの第1部分37cおよび第2部分37dの長さは同一であり、溝37Aの第1部分37cおよび第2部分37dの長さ=(溝37の長さ-溝37Bの幅)/2、に設定されている。また、本実施形態では、溝37Bの長さ(
図6における左右方向の長さ)、すなわち、混合エレメント26が収容される部分37bとその他の部分37aとの合計の長さは約10mm、その他の部分37aの上下方向の最長の長さ(厚み)は約0.7mm、混合エレメント26が収容される部分37bの長さは約6mm、部分37bの厚みは約2.3mm、下面31aにおける溝37Bの幅(
図6における左右方向の長さ及び上下方向の長さに直交する方向の長さ)は2.3mmに設定される。なお、溝37の混合エレメント26が収容される部分37bとその他の部分37aとの大きさは上記に限定されるものではない。また、本実施形態では、混合エレメント26の各羽根の側面視における最大長さは約2.3mmに設定されている。
【0080】
図9に示すように、第1部材31にはノズルプレート20を加圧部5の底部92aに装着するためのネジ用貫通孔38aが形成されている。また、第1部材31には、第2部材41、シート部材50を第1部材31に装着するためのネジ孔38bが形成されている。本実施形態では、ネジ用貫通孔38aは4つ、ネジ孔38bは2つ形成されているが、ネジ用貫通孔38a、ネジ孔38bの個数や位置は本実施形態には限定されない。なお、
図9においては液体供給部2の記載を省略している。
【0081】
第1部材31は、少なくとも500度の熱に耐える耐熱性の素材からなる。第1部材31は金属から構成されることが好ましく、本実施形態ではステンレスから構成されているが、これに限定されず、アルミナ、ジルコニア等のセラミックから構成されていてもよい。
【0082】
(ノズルプレート本体25の第2部材41)
図5、
図6、
図9に示すように、第2部材41は長方形状であって、上面41aは第1部材31の下面31aと接合する接合面41aである。第2部材41の接合面41aには、第1部材31の凹部用貫通孔36に対応する位置に、凹部22を形成する凹部用穴42が形成されている。凹部用穴42は、平面から見た形状が円形であり、凹部用穴42の径は第1部材31の凹部用貫通孔36の径と略同じに設定されている。第1部材31の凹部用貫通孔36および第2部材41の凹部用穴42から構成される凹部22には、加圧部本体92の貫通孔92bを貫通した加圧部材93の小径部93aの下端部が収容される。加圧部材93の底面13dと凹部用穴42の底部22aとの間に、液体が収容される貯留室21が形成される。
【0083】
凹部用穴42の底部22aには、凹部22の貯留室21に収容された液体を吐出するための吐出流路22cが形成されている。吐出流路22cは平面視において円形であり、下に向かうほど内径が小さい先細り形状を呈している。第2部材41の下面41bにはわずかに下方に突出する突条部41cが形成されており、吐出流路22cは、底部22aおよび突条部41cを貫通している。突条部41cの下端には吐出流路22cの吐出口22dが開口している。
【0084】
第2部材41の厚み、すなわち、上下方向の長さであって突条部41cの厚みを除いた長さは、液体吐出動作時に加圧部材93により貯留室21に収容された液体が加圧された際に、この加圧により第2部材41に撓みが生じない程度の厚みに設定される。一方、加圧部材93の小径部93aをできるだけ短くする観点から、第2部材41の厚みはできるだけ薄く設定される。
【0085】
図9に示すように、第2部材41にはノズルプレート20を加圧部5の底部92aに装着するためのネジ用貫通孔43が形成されている。本実施形態では、第1部材31のネジ用貫通孔38a、ネジ孔38bに対応する個数のネジ用貫通孔43が第1部材31のネジ用貫通孔38a、ネジ孔38bに対応する位置に形成されているが、ネジ用貫通孔43の個数や位置は本実施形態には限定されない。
【0086】
第2部材41は、少なくとも500度の熱に耐える耐熱性の素材からなる。第2部材41は金属から構成されることが好ましく、本実施形態ではステンレスから構成されているが、これに限定されず、アルミナ、ジルコニア等のセラミックかから構成されていてもよい。
【0087】
(シート部材50)
図6に示すように、第1部材31および第2部材41は、その間にシート部材50を介して接合される。第1部材31と第2部材41とが分離自由に接合されるとは、シート部材50を介して接合されることを含む。シート部材50は、平面視において第1部材31および第2部材41に対応する形状および大きさであり素材としてPET(ポリエチレンテレフタレート)が用いられ、厚み50μmに設定されており、可撓性を有する。
図9に示すように、シート部材50には、第1部材31の凹部用貫通孔36および第2部材41の凹部用穴42に対応する位置に凹部用貫通孔51が形成され、第1部材31および第2部材41のネジ用貫通孔38a、43、ネジ孔38bに対応する位置にネジ用貫通孔52が形成されている。シート部材50は、少なくとも第1部材31の接合面31aに対向する上面50aが離型処理されている。離型処理とは、シート部材50が少なくとも第1部材31からはがれやすくなる処理を行うことであり、例えば、面に離型剤を塗布する処理である。
【0088】
シート部材50の素材として、本実施形態では剛性のある樹脂シートとして、PET(ポリエチレンテレフタレート)を用いているが、低付着性の良好なものとしてPP(ポリプロピレン)も好ましく用いられる。また、例えばステンレス、アルミニウムなどの金属も使用でき、その場合、可撓性の観点より、厚み10μm~30μmが好ましく用いられる。第1部材31と第2部材41との間にシート部材50を備えることにより、第1部材31と第2部材41との間に液体が進入して固化し、第1部材31と第2部材41とが固着して分離できなくなるのを防いでいる。なお、本実施形態において、シート部材50を備えていない構成であってもよい。
【0089】
なお、加圧部5の加圧部本体92の外面92cであって貫通孔92bの周囲にはOリング12eが収容される段部12dが形成されており、Oリング12eによりノズルプレート20内の液体が加圧部本体92に流れることを防いでいる。また、外面92cには、ノズルプレート20を装着するためのネジ孔12fが設けられている。
【0090】
(第1部材31および第2部材41の接合)
図9に示すように、ノズルプレート20は、ノズルプレート20の第2部材41の下面41bからネジ60がネジ用貫通孔43、52、38aを通ってネジ孔38b、92fに挿入されることにより加圧部5に装着される。ネジはネジ頭の下端が第2部材41のネジ用貫通孔43内に位置し、ネジ60が第2部材41の下面41bから飛び出さない長さに設定される。
図6に示す第1部材31と第2部材41とがシート部材50を介して接合された状態において、第1部材31の溝37A、37Bの下側の開放部分はシート部材50および第2部材41によって覆われ、溝37Bは混合流路72となり、溝37Aは液体流路71A、71Bの一部となる。すなわち、第1部材31および第2部材41は、混合流路72の少なくとも混合エレメント26が設けられた領域である溝37Bに沿って分離自由となっている。
【0091】
貯留室21への液体充填動作の際には、液体供給部2の各ポンプ室12A、12Bから液体がノズルプレート20に供給される。ポンプ室12Aから導出される液体は、導出路15A、液体供給管105を通り、液体吐出装置1のノズルプレート20の液体流路71A、すなわちジョイント部34Aの接続流路34a、導入流路35A、溝37Aの第1部分37cを通る。ポンプ室12Bから導出される液体は、導出路15B、液体供給管105を通り、液体吐出装置1のノズルプレート20の液体流路71B、すなわちジョイント部34Bの接続流路34a、導入流路35B、溝37Aの第2部分37dを通る。これらの液体は、溝37Bの入り口付近で合流する。そして、合流した液体は、混合液として溝37Bを通って凹部22の貯留室21に流れる。溝37Bには混合エレメント26が配置されているので、異なる種類の液体は混合エレメント26で十分に混合される。
【0092】
(加圧部5)
図5に示すように、加圧部5は、加圧部本体92と、加圧部材93と、駆動部94と、回転規制機構95とを備えている。加圧部本体92は、有底で上端が開口した円筒形状を呈しており、開口はベース部材96で閉鎖されている。加圧部本体92の底部92aの平面視における中央部には、加圧部材93が挿通される貫通孔92bが形成されている。底部92aの外面92cはノズルプレート20が装着される装着面である。圧部本体92の外面92cであって貫通孔92bの周囲にはOリング92eが収容される段部92dが形成されている。Oリング92eによりノズルプレート20内の液体が加圧部本体92に流れることを防いでいる。また、外面92cには、ノズルプレート20を装着するためのネジ孔92fが設けられている。
【0093】
図6に示すように、加圧部材93は、ノズルプレート20の混合流路72から凹部22に導入された液体(混合液)を加圧して吐出流路22cから吐出させるものである。加圧部材93は、円柱形状の小径部93aと、小径部93aの上端に取り付けられた立方体または直方体の大径部93bとを有しており、断面T字形状を呈している。なお、大径部93bは円柱形状であってもよい。小径部93aの径は加圧部本体92の貫通孔92bに挿通可能に設定されている。本実施形態では貫通孔92bの径を約3.1mm、小径部93aの径を約3.0mmに設定しているが、これに限定されるものではない。小径部93aは、貫通孔92bに挿通されて、下端部が加圧部本体92の底部92aより外側に突出し、後述するノズルプレート20の凹部22に収容される。小径部93aの上下方向の長さは、凹部22の貯留室21に収容された液体を加圧できる十分な長さに設定される。一方、小径部93aは加圧時に貯留室21の液体からの反力を受けて僅かに上下方向に収縮し、この収縮によりエネルギー損失が発生するが、小径部93aが短いほど収縮が小さく損失も小さくなる。この観点から、小径部93aはできるだけ短く設定される。
【0094】
大径部93bは加圧部本体92の内部に位置しており、平面視における大径部93bの大きさは加圧部本体92の貫通孔92bから大径部93bが抜け出ない大きさに設定されている。大径部93bの下面と加圧部本体92の底部92aの上面92gとの間には環状の皿バネ97が設けられており、後述するアクチュエータ98による加圧部材93への加圧が解除された状態で、皿バネ97は加圧部材93を上方向に付勢して初期位置に位置させる。皿バネ97及び加圧部本体92の貫通孔92bにより、加圧部材93は加圧部本体92に着脱可能に上下方向に移動自由に支持されている。
【0095】
加圧部5の小径部93aの下端部には、ノズルプレート20の混合流路72から導入された液体を凹部22の底部22aに効率的に導入するための第1流路99が形成されている。
【0096】
回転規制機構95は、加圧部材93の中心軸回りの相対回転を規制するものである。
図6に示すように、回転規制機構95は、加圧部材93の小径部93aの外周面93cから突出した突出部であるピン95aと、加圧部本体92の底部92aの上面92gに設けられ上側が開放された溝95bとを備える。ピン95aが溝95bに収容されることで、加圧部材93が貫通孔92bに対して、すなわち加圧部材93の小径部93aの下端部が収容されるノズルプレート20の凹部22に対して、回転することが規制される。
【0097】
加圧部材93とベース部材96との間には圧電素子を含むアクチュエータ98が取り付けられている。アクチュエータ98は、図示しないアクチュエータ制御部によって制御されて上下方向へ伸縮動作を行う。アクチュエータ98の上面は皿バネ97の付勢力によりベース部材96に当接しており、ベース部材96によりアクチュエータ98の伸長時の上向きの反力が支持されている。
【0098】
アクチュエータ98は加圧部材93の大径部93bの上面に当接するが固定はされていない。アクチュエータ98の伸長時には、アクチュエータ98の下面が加圧部材93の大径部93bの上面に当接して、加圧部材93に下方向の圧力を加える。これにより加圧部材93は、皿バネ97により上方向に付勢された初期位置から、皿バネ97の付勢力に反して下向きに加圧位置に移動する。初期位置と加圧位置との間の移動距離は約20μmに設定されているが、これに限定されない。アクチュエータ98と皿バネ97により駆動部94が構成される。
【0099】
なお、加圧部5の構成は
図5の構成に限定されず、ノズルプレート20の貯留室21に収容された液体に圧力を加えることができればいずれの構成であってもよい。
【0100】
その他の構成については、
図1の実施形態と同様であるため、対応する部分に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0101】
(液体充填動作)
本実施形態の液体吐出装置1の動作について説明する。液体吐出装置1の使用の初期時やノズルプレート20の洗浄後など、液体供給部2の各ポンプ室12A、12Bやノズルプレート20の貯留室21に吐出する混合液が充填されていない場合には、まず、液体供給部2の各ポンプ室12A、12Bや貯留室21に液体や混合液を充填する。
【0102】
液体供給部2の各ポンプ室12A、12Bに液体を充填する動作は、
図1に示す実施形態の初期時液体導入動作と同じである。制御部4によりシリンジ部が動作して各ポンプ室12A、12Bに液体が供給される。
【0103】
ノズルプレート20の貯留室21に混合液を充填する動作は以下のとおりである。液体供給部2の各ポンプ室12A、12Bには液体が充填されている。この状態で各プランジャ13A、13Bを下方向に移動させると、ポンプ室12Aから導出される液体は、導出路15A、液体供給管105を通り、液体吐出装置1のノズルプレート20の液体流路71A(ジョイント部34Aの接続流路34a、導入流路35A、溝37Aの第1部分37c)を通る。ポンプ室12Bから導出される液体は、導出路15B、液体供給管105を通り、液体吐出装置1のノズルプレート20の液体流路71B(ジョイント部34Bの接続流路34a、導入流路35B、溝37Aの第2部分37d)を通る。これらの液体は、溝37Bの入り口付近で合流して溝37Bからなる混合流路72に導入される。混合流路72には、混合エレメント26が配置されているので、各ポンプ室12A、12Bから導入された液体は混合エレメント26で十分に混合される。混合流路72から凹部22の貯留室21に混合液が流れ、貯留室21に混合液が充填される。
【0104】
(液体吐出動作)
液体吐出動作時には、加圧部5アクチュエータ98により加圧部材93を初期位置から下方向に加圧位置まで移動させる。加圧部材93により貯留室21に収容された混合液が押圧され、吐出流路22cを通って吐出口22dから混合液が吐出される。所定の時間経過後にアクチュエータ98が縮小すると混合液の吐出が停止され、加圧部材93は皿バネ97の付勢力により押し上げられて初期位置に戻る。液体吐出装置1は1回の液体吐出動作が完了した後で、混合液を貯留室21に充填する液体充填動作を行う。液体供給動作と液体吐出動作とは交互に繰り返される。
【0105】
(洗浄動作)
混合流路72の洗浄動作(洗浄方法)について説明する。洗浄動作は、液体吐出動作が終了した後に行われる。洗浄動作の開始前には、ポンプ室12A、12B、導出路15A、15B、吐出部3の液体流路71A、71Bには液体が充填され、混合流路72、貯留室21、吐出流路22cには各液体が混合された混合液が充填された状態である。
【0106】
ノズルプレート本体25の第2部材41の吐出口22dを容器80に収容された洗浄液内に位置させる。次に、洗浄液を吸引する工程を行う。液体供給部2の各プランジャ13A、13Bを所定の距離だけ上方向に移動させると、このプランジャ13A、13Bの退く動作により、吐出口22dから洗浄液を吸引する。洗浄液は、吐出流路22c、貯留室21を通って混合流路72に導入される。プランジャ13A、13Bの移動距離は吸引する洗浄液の容積Dに応じて定まり、吸引する洗浄液の容積Dは、吐出部3の混合流路72の容積Aより大きく、複数の液体流路71A、71Bの容積の合計Bより小さい、すなわちA<D<Bとなるように設定される。吸引する洗浄液の容積Dは吐出部3の混合流路72の容積Aより大きいため、吸引した洗浄液は混合流路72を完全に満たし、混合流路72を確実に洗浄することができる。なお、貯留室21の容積および吐出流路22cの容積は混合流路72の容積Aに比べて充分に小さいため、貯留室21および吐出流路22cに充填された洗浄液または混合液の量は考慮に入れない。また、混合流路72にあった混合液は逆流して液体流路71A、71Bに侵入する。しかし、吸引する洗浄液の容積Dは複数の液体流路71A、71Bの容積の合計Bより小さいため、混合液が吐出部3の液体流路71A、71Bを超えて液体供給部2の導出路15A、15Bやポンプ室12A、12Bに流入することはない。
【0107】
次に、洗浄液を吐出する工程を行う。各プランジャ13A、13Bを下方向に移動させると、プランジャ13A、13Bの進む動作により、吐出部3の吐出口22dから洗浄液を吐出する。プランジャ13A、13Bの移動距離は洗浄液を吸引する工程を行う際の移動距離と同じとしており、プランジャ13A、13Bの進む動作により、吐出部3の吐出口22dから洗浄液の吸引量と同じ量の洗浄液が吐出される。なお、洗浄液を吐出する工程、吸引する工程において、A<D<Bとなるように洗浄液を吸引できれば、複数のプランジャ13A、13Bの全てを動作させる必要はなく、一部のプランジャ13A、13Bのみが動作してもよい。
【0108】
プランジャ13A、13Bの進退動作により、上記の洗浄液を吸引する工程と上記の洗浄液を吐出する行程とを複数回繰り返してもよい。洗浄液の吸引が複数回繰り返されることで、吐出され容器80に戻った洗浄液はその都度廃棄タンク82に廃棄されてもよく、容器80に残されて再度吸引されてもよい。
【0109】
その他の動作については、
図1に示す実施形態と同様であるため説明を省略する。また、
図1に示す液体吐出装置1の
図4に示す洗浄動作と同じ洗浄動作を行ってもよい。
【0110】
本実施形態においては、混合流路72の混合エレメント26が収容される部分37bにおいて混合エレメント26と内壁との間に空間が存在し、この空間に混合液が残留しやすい。洗浄液の容量を、吐出部3の混合流路72の容積Aよりも大きく、複数の液体流路71A、71Bの合計の容積Bよりも小さくなるように吸引することで、洗浄液は混合流路72を完全に満たし、液体流路71A、71Bまで到達する。吐出部3の混合流路72の容積A<複数の液体流路71A、71Bの容積の合計Bであるため、混合流路72にあった混合液は液体流路71A、71Bを超えて液体供給部2まで到達することはない。このように、混合液が増粘しやすい混合流路72に確実に洗浄液を満たすことができ、しっかりと洗浄することができ、洗浄後も長時間吐出不良になることを防止できる。
【0111】
また、洗浄後、次に液体吐出動作を再開する直前には、装置内部に残った混合液と混合液と接触した液体を破棄する。本実施形態においては、プランジャ13A、13Bを退かせて吐出口22dから洗浄液を吸引したときに液体流路71A、71Bにあった液体は液体供給部2に向けて逆流する。しかし、混合流路72にあった混合液は逆流するものの吐出部3内に留まり液体供給部2に到達しないため、吐出部3内の混合液及び液体のみを破棄すればよく、液体の破棄量が少なくなる。さらにプランジャ13A、13Bの退く動作により吐出口22dから洗浄液を吸引しているため、プランジャ13A、13Bを制御することで洗浄液の吸引量を正確に制御することができる。
【0112】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0113】
1 液体吐出装置
2 液体供給部
3 吐出部
4 制御部
5 加圧部
12A、12B ポンプ室
13A、13B プランジャ
15A、15B 導出路
16A、16B 導入路
16a 開口
20 ノズルプレート
21 貯留室
22c 吐出流路
22d 吐出口
25 ノズルプレート本体
26 混合エレメント
31 第1部材
41 第2部材
71A、71B 液体流路
72 混合流路
73 吐出口
A 混合流路72の容積
B 複数の液体流路71A、71Bの容積の合計
C 複数のポンプ室12A、12Bの最大容積の合計