(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127259
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
B60J 10/33 20160101AFI20240912BHJP
B60J 10/84 20160101ALI20240912BHJP
【FI】
B60J10/33
B60J10/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036289
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真継 桂吾
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA12
3D201AA13
3D201CA10
3D201DA11
3D201DA23
3D201FA04
(57)【要約】
【課題】製造に手間がかからず、かつ、開口縁部への取付作業性がよく、かつ、取り付けられた開口縁部から外れにくい、ウェザーストリップを提供する。
【解決手段】車両の開口部の縁部であって立設部20fを有する開口縁部23に沿って取り付けられて開口部を覆うドアが閉状態の場合に開口部とドアとの間をシールするウェザーストリップ10であって、開口縁部23は、環状の立設部20fと、立設部20fを立設部の径方向に挟むように対向する一対の対向部21、22とからなり、ウェザーストリップは、長尺状に形成されて両端が対向するように湾曲された本体部11と、所定長さとされて本体部11の両端に挟まれて両端に接続されることで本体部とともに環状をなす接続部12とを有し、立設部20fに取り付けられた際に一対の対向部21、22の少なくとも一方に係合する係合部(12g)が、本体部11には設けられておらず接続部12に設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開口部の縁部であって複数の鋼板から形成される立設部を有する開口縁部に沿って取り付けられて前記開口部を覆うドアが閉状態の場合に前記開口部と前記ドアとの間をシールするウェザーストリップであって、
前記開口縁部は、車両外側に向かって立設し環状をなす前記立設部と、前記立設部を前記立設部の径方向に挟むように対向する一対の対向部からなり、
長尺状に形成されて両端が対向するように湾曲された本体部と、
所定長さとされて前記本体部の前記両端に挟まれて前記両端に接続されることで前記本体部とともに環状をなす接続部と、
を有し、
前記ウェザーストリップが前記立設部に取り付けられた際に一対の前記対向部の少なくとも一方に係合する係合部が、前記本体部には設けられておらず前記接続部に設けられている、
ウェザーストリップ。
【請求項2】
請求項1に記載のウェザーストリップであって、
一対の前記対向部は、前記立設部に対して前記径方向における内側に位置する内側部と、前記立設部に対して前記径方向における外側に位置する外側部からなり、
前記係合部は、
前記ウェザーストリップが前記立設部に取り付けられた際に前記内側部における車両内側となる裏側に引っ掛かるように、前記接続部から前記立設部の前記径方向における内側へ延設された凸状の内側凸係合部と、
前記ウェザーストリップが前記立設部に取り付けられた際に前記外側部における車両内側となる裏側に引っ掛かるように、前記接続部から前記立設部の前記径方向における外側へ延設された凸状の外側凸係合部と、
の少なくとも一方を有する、
ウェザーストリップ。
【請求項3】
請求項1に記載のウェザーストリップであって、
一対の前記対向部は、前記立設部に対して前記径方向における内側に位置する内側部と、前記立設部に対して前記径方向における外側に位置する外側部からなり、
前記係合部は、
前記ウェザーストリップが前記立設部に取り付けられた際に前記内側部の縁部が差し込まれる凹状の内側凹係合部と、
前記ウェザーストリップが前記立設部に取り付けられた際に前記外側部の縁部が差し込まれる凹状の外側凹係合部と、
の少なくとも一方を有する、
ウェザーストリップ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のウェザーストリップであって、
前記本体部は、ゴム材で形成されて内部には金属の心金が長手方向に沿って通されており、
前記接続部は、ゴム材で形成されて内部には心金が通されていない、
ウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の開口部の縁部に沿って取り付けられて開口部を覆うドアが閉状態の場合に開口部とドアとの間をシールするウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばバックドアを有する車両の場合、車両後方に設けられた開口部をバックドアが覆っている。そして開口部の縁部に沿って環状のウェザーストリップが取り付けられており、バックドアが閉状態の場合には、ウェザーストリップによって、開口部とバックドアとの間がシールされる。車両の開口部には縁部に沿って突出したフランジ部が設けられており、ウェザーストリップにはフランジ部を差し込むための溝が長手方向に沿って設けられている。そして開口部のフランジ部がウェザーストリップの溝に差し込まれ、ウェザーストリップが開口縁部に取り付けられている。
【0003】
上記のように、ウェザーストリップには、開口部のフランジ部が差し込まれているが、一般的には接着等されておらず摩擦力で保持されている。このため、ユーザがバックドアを開けた際に、ウェザーストリップの一部がフランジ部から抜けて外れてしまう場合がある。ドアを開けた際に外れにくいウェザーストリップが望まれている。
【0004】
例えば特許文献1には、環状とされたウェザーストリップの長手方向に沿って連続して突出した内側リップと外側リップを有するウェザーストリップが開示されている。内側リップは車両のトリミングプレートの外側縁で車両内側へ圧接され、外側リップは車両のリヤバンパフェースの上側縁で車両内側へ圧接され、ウェザーストリップが外れにくくされている。
【0005】
また特許文献2には、開口縁部の上方に取り付けられる上部ウェザーストリップと、開口縁部の下方に取り付けられる下部ウェザーストリップの両端を接合部で接合して環状とされたウェザーストリップが開示されている。また上部ウェザーストリップの両端(接合部の近傍)には、上部ウェザーストリップから板状に延ばされた雨水誘導リップが設けられている。そして板状に延ばされた雨水誘導リップの先端は、車体パネルとリアコンビネーションランプのハウジングとの間のスキマに差し込まれ、ウェザーストリップが外れにくくされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61-42358号公報
【特許文献2】特開2006-51883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的なウェザーストリップは、押出成形品であるので、長手方向に直交する断面は、どこも同じ形状で一定とされており、一部の断面が異なるように成形することは非常に困難であり、手間がかかる。
【0008】
特許文献1に記載のウェザーストリップは、長手方向に沿って内側リップと外側リップが設けられており、長手方向に直交する断面は、どこも同じである。しかし、環状とされたウェザーリップの全周にわたって内側リップと外側リップが設けられているので、内側リップの全体をトリミングプレートの外側縁で圧接し、さらに、外側リップの全体をリヤバンパフェースの上側縁で圧接するようにウェザーストリップを取り付けることは非常に手間がかかり、ウェザーストリップを開口縁部に取り付ける際の作業性がよくない。
【0009】
特許文献2に記載のウェザーストリップは、上部ウェザーストリップと下部ウェザーストリップの連結部の近傍における上部ウェザーストリップの位置にのみ雨水誘導リップが設けられているので、ウェザーストリップを開口縁部に取り付ける際の作業性は、特許文献1に記載のウェザーストリップの作業性よりもよい。しかし、上部ウェザーストリップの長手方向に直交する断面は、どこも同じではなく、一方端及び他方端の近傍にのみ、雨水誘導リップが一体成形されているので、単純な押出成形だけでは製造できず、製造に手間がかかるので好ましくない。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、製造に手間がかからず、かつ、開口縁部への取付作業性がよく、かつ、取り付けられた開口縁部から外れにくい、ウェザーストリップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、第1の発明は、車両の開口部の縁部であって複数の鋼板から形成される立設部を有する開口縁部に沿って取り付けられて前記開口部を覆うドアが閉状態の場合に前記開口部と前記ドアとの間をシールするウェザーストリップである。前記開口縁部は、車両外側に向かって立設し環状をなす前記立設部と、前記立設部を前記立設部の径方向に挟むように対向する一対の対向部からなり、長尺状に形成されて両端が対向するように湾曲された本体部と、所定長さとされて前記本体部の前記両端に挟まれて前記両端に接続されることで前記本体部とともに環状をなす接続部と、を有する。そして、前記ウェザーストリップが前記立設部に取り付けられた際に一対の前記対向部の少なくとも一方に係合する係合部が、前記本体部には設けられておらず前記接続部に設けられている、ウェザーストリップである。
【0012】
次に、第2の発明は、上記第1の発明に係るウェザーストリップであって、一対の前記対向部は、前記立設部に対して前記径方向における内側に位置する内側部と、前記立設部に対して前記径方向における外側に位置する外側部からなり、前記係合部は、前記ウェザーストリップが前記立設部に取り付けられた際に前記内側部における車両内側となる裏側に引っ掛かるように、前記接続部から前記立設部の前記径方向における内側へ延設された凸状の内側凸係合部と、前記ウェザーストリップが前記立設部に取り付けられた際に前記外側部における車両内側となる裏側に引っ掛かるように、前記接続部から前記立設部の前記径方向における外側へ延設された凸状の外側凸係合部と、の少なくとも一方を有する、ウェザーストリップである。
【0013】
次に、第3の発明は、上記第1の発明に係るウェザーストリップであって、一対の前記対向部は、前記立設部に対して前記径方向における内側に位置する内側部と、前記立設部に対して前記径方向における外側に位置する外側部からなり、前記係合部は、前記ウェザーストリップが前記立設部に取り付けられた際に前記内側部の縁部が差し込まれる凹状の内側凹係合部と、前記ウェザーストリップが前記立設部に取り付けられた際に前記外側部の縁部が差し込まれる凹状の外側凹係合部と、の少なくとも一方を有する、ウェザーストリップである。
【0014】
次に、第4の発明は、上記第1の発明~第3の発明のいずれか1つに係るウェザーストリップであって、前記本体部は、ゴム材で形成されて内部には金属の心金が長手方向に沿って通されており、前記接続部は、ゴム材で形成されて内部には心金が通されていない、ウェザーストリップである。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、ウェザーストリップは、長尺状の本体部を湾曲させて、湾曲させた本体部の両端を接続部にて接続することで環状とされている。そして接続部にのみ、一対の対向部の少なくとも一方に係合する係合部が設けられている。本体部には係合部が設けられておらず、長手方向に直交する断面を一定とすることができるので、本体部は単純な押出成形で製造可能であり、接続部の接続も容易である。従って、製造の手間があまりかからない。また、一対の対向部の少なくとも一方に係合させる係合部は、接続部にのみ設けられているので、開口縁部の立設部への取付作業性がよい。そして、接続部にのみ設けた係合部を一対の対向部の少なくとも一方に係合させることで、開口縁部の立設部に取り付けられたウェザーストリップを外れにくくすることができる。
【0016】
第2の発明によれば、一対の対向部は、立設部に対して径方向における内側に位置する内側部と、立設部に対して径方向における外側に位置する外側部と、からなる。そして、一対の対向部の内側部における車両内側となる裏側に引っ掛かる内側凸係合部と、一対の対向部の外側部における車両内側となる裏側に引っ掛かる外側凸係合部と、の少なくとも一方の係合部を有することで、適切な係合部を容易に実現することができる。
【0017】
第3の発明によれば、一対の対向部は、立設部に対して径方向における内側に位置する内側部と、立設部に対して径方向における外側に位置する外側部と、からなる。そして、一対の対向部の内側部の縁部が差し込まれる内側凹係合部と、一対の対向部の外側部の縁部が差し込まれる外側凹係合部と、の少なくとも一方の係合部を有することで、適切な係合部を容易に実現することができる。
【0018】
第4の発明によれば、環状のウェザーストリップの長手方向のほとんどを占める本体部の内部に心金を通しているので、本体部の剛性を適切に確保できる。また、環状のウェザーストリップの長手方向の一部は接続部であって特に内部に心金を通さなくても接続部の剛性は充分確保できており、接続部に心金は特に必要ない。従って、接続部を心金のないシンプルな構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】車両の後方に設けられたバックドアを開状態にした外観の例を示す図である。
【
図2】
図1の開口縁部の立設部に取り付けられたウェザーストリップを抜き出した図である。
【
図3】ウェザーストリップの本体部の長手方向に直交する断面の例を説明する斜視図である。
【
図4】ウェザーストリップの接続部の斜視図である。
【
図5】押出成形されて長い状態の本体部の例を説明する図である。
【
図6】
図5の状態から切り出した本体部を湾曲させて本体部の両端を接続部に対向させた状態を説明する図である。
【
図7】
図6の状態から本体部の両端を接続部に接続(接合)して、環状のウェザーストリップとした例を説明する図である。
【
図8】環状に作成したウェザーストリップを車両の開口縁部の立設部に取り付けた状態の例であり、バックドアのストライカ近傍の斜視図(一部は断面図)である。
【
図9】
図8のIX-IX断面(接続部の断面)である。
【
図10】
図9に対して、ウェザーストリップの接続部の別例1を説明する断面図である。
【
図11】
図9に対して、ウェザーストリップの接続部の別例2を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のウェザーストリップ10について、図面を用いて説明する。なお、図中に上下、前後、左右の軸が記載されている場合、上下、前後、左右の各軸は互いに直交しており、上下の軸は車両1の上下方向を示しており、前後の軸は車両1の前後方向を示しており、左右の軸は車両1の左右方向を示している。
【0021】
<車両に取り付けられるウェザーストリップの例(
図1、
図2)>
図1に示すバックドア3を有する車両1を例として、本発明のウェザーストリップ10を説明する。車両1の後部には、開口部2が形成されており、当該開口部2を覆うバックドア3が設けられている。開口部2の縁部である開口縁部には、ウェザーストリップ10が取り付けられている。バックドア3が閉状態とされた場合、ウェザーストリップ10は、開口部2とバックドア3との間をシール(密封)する。なお
図9に示すように、開口縁部23は、複数の鋼板(ロアバックパネル20a、ロアパネル20b)から形成される立設部20fを有する。そして開口縁部23は、車両外側に向かって立設して環状をなす立設部20fと、立設部20fを立設部20fの径方向に挟むように対向する一対の対向部21、22からなる。なお環状の立設部20fは円環状であるとは限らないが、「径方向」とは、立設部20fの長手方向に直交する断面である
図9において、立設部20fの立設方向に対する交差方向であり、立設部20fを含む車両のボディ面に沿う前記交差方向である。なお、一対の対向部21、22における対向部21(フィニッシュプレートなど)は、立設部20fに対して径方向における内側に位置する内側部に相当しており、一対の対向部21、22における対向部22(バンパーガードなど)は、立設部20fに対して径方向において外側に位置する外側部に相当している。
【0022】
ウェザーストリップ10の外観は、
図2に示すように、長尺状の本体部11の両端が、接続部12に接続されて環状とされている。
【0023】
<ウェザーストリップの本体部11の外見(
図3)と、接続部12の外観(
図4)>
本体部11は、例えば押出成形にて製造され、長手方向に直交する断面は一定である。本体部11は、
図3に示すように、取付基部11a、シール部11b、内側リップ11c、外側リップ11d、差込溝11m、保持リップ11e、心金11f等を有している。本体部11は、弾性体のゴム材等にて形成されており、心金11fは金属等である。なお、
図2において、環状とされたウェザーストリップ10における接続部12の長手方向の長さLは、例えば100[mm]程度であり、長手方向のほとんどは本体部11である。
【0024】
取付基部11aは、断面がU字状であり、本体部11のベースとなる部材である。また取付基部11aにおけるU字状の開口部の側は、開口縁部23の立設部20f(
図8、
図9参照)が差し込まれる差込溝11mが長手方向に沿って形成されている。また取付基部11aの内部には、剛性を確保するための断面がU字状の心金11fが長手方向に沿って通されている。
【0025】
シール部11bは、取付基部11aにおけるU字状の開口部の側に対する反対側に設けられており、断面がO字状の中空部とされている。シール部11bは、バックドア3(
図1、
図9参照)が閉状態の場合にバックドア3が接触する個所であり、
図9に示す接続部12のシール部12bと同様に、バックドア3によって押圧されて変形する個所である。
【0026】
保持リップ11eは、差込溝11mに開口縁部23の立設部20f(
図8、
図9参照)が差し込まれた際に本体部11が立設部20fから抜けにくくするリップであり、差込溝11m内に複数設けられている。
【0027】
内側リップ11cは、
図9に示す接続部12の内側リップ12cと同様に、ウェザーストリップが開口縁部23の立設部20fに取り付けられた際に、立設部20fを立設部20fの径方向に挟むように対向する対向部21、22における対向部21(フィニッシュプレートなど)に接触するリップである。
【0028】
外側リップ11dは、
図9に示す接続部12の外側リップ12dと同様に、ウェザーストリップが開口縁部23の立設部20fに取り付けられた際に、車両1の立設部20fを形成しているロアバックパネル20aに接触するリップである。
【0029】
図4の例に示す接続部12は、例えば押出成形にて製造され、長手方向に直交する断面は一定であるが、接続部12は、長手方向の断面が一定でなくても構わないので、押出成形以外の工程で製造されていてもよい。接続部12は、長手方向の長さLが所定長さとされており、例えば100[mm]程度とされている。接続部12は、
図4に示すように、取付基部12a、シール部12b、内側リップ12c、外側リップ12d、差込溝12m、内側凸係合部12g(係合部に相当)等を有している。接続部12は、本体部11と同様の弾性体のゴム材等にて形成されている。内側凸係合部12gを除けば、接続部12の断面の外周部の輪郭と、本体部11の断面の外周部の輪郭は、ほぼ同じである。
【0030】
取付基部12aは、断面がU字状であり、接続部12のベースとなる部材である。また取付基部12aにおけるU字状の開口部の側は、開口縁部23の立設部20f(
図8、
図9参照)が差し込まれる差込溝12mが長手方向に沿って形成されている。また接続部12の差込溝12mの溝幅12wは、本体部11の差込溝11mの溝幅11wよりも狭く設定されて、本体部11の保持リップ11eに相当するリップが省略されている。接続部12の取付基部12aの外周部の輪郭(内側凸係合部12gを除く)は、本体部11の取付基部11aの外周部の輪郭とほぼ同じ、かつ、取付基部12aの溝幅12wは取付基部11aの溝幅11wよりも狭いので、取付基部12aは取付基部11aよりも剛性が高い。このため、
図4の例に示す接続部12では、取付基部12aの内部には心金が不要であるので心金が通されていないが、心金を通してもよい。
【0031】
シール部12bは、取付基部12aにおけるU字状の開口部の側に対する反対側に設けられており、断面が円状の中実部とされている。シール部12bは、バックドア3(
図1、
図9参照)が閉状態の場合にバックドア3が接触する個所であり、
図9に示すように、バックドア3(ドアアウタパネル3aとドアインナパネル3bを有するバックドア3)によって押圧されて変形する個所である。
【0032】
内側凸係合部12g(係合部に相当)は、
図9に示すように、ウェザーストリップ10が開口縁部23の立設部20fに取り付けられた際に、対向部21(内側部)における車両内側となる裏側に引っ掛かるように、接続部12から立設部20fの径方向における内側へ延設された凸状の係合部である。内側凸係合部12gは、接続部12の長手方向に沿って設けられている。
図9に示すように、内側凸係合部12gは、対向部21の裏側(車両内側の面であり、内側リップ12cが接触する表面(車両外側方向の面)に対して反対側の面)に引っ掛けられているので、接続部12(ウェザーストリップ10)が、立設部20fから抜けて外れることを防止する。
【0033】
なお、接続部12の内側リップ12c、外側リップ12dについては、本体部11の内側リップ11c、外側リップ11dと同様であるので説明を省略する。
【0034】
<ウェザーストリップの製造手順(
図5~
図7)>
次に
図5~
図7を用いて、ウェザーストリップ10を製造する手順について説明する。車種毎に開口部の縁部である立設部の周方向の長さが異なるので、ウェザーストリップ10の本体部11は、押出成形にて長く製造された状態とされている(
図5)。
【0035】
最初の工程は、
図5に示す長い状態の本体部11から、必要な長さを切り出す切り出し工程である。
【0036】
次の工程は、
図6に示すように、切り出した本体部11の両端が対向するように湾曲させて、治具等を用いて、本体部11の両端の間に接続部12を配置する位置決め工程である。
【0037】
次の工程は、治具等を用いて、接続部12の両端のそれぞれに、対向している本体部11の両端のそれぞれを溶着や接着等にて接合する接合工程である。接続部12は、本体部11の両端に挟まれて本体部11の両端に接合(接続)される。この接合工程によって、
図7に示すような環状とされたウェザーストリップ10が完成する。
【0038】
<車両の立設部にウェザーストリップを取り付けた状態(
図8、
図9)>
図8は、車両1の開口部2(
図1参照)の縁部である開口縁部23の立設部20fにウェザーストリップ10を取り付けた状態を示しており、図中の左端は断面を示している。ウェザーストリップ10は、特にバックドア3(
図1参照)のドアストライカ30の近傍が外れやすい。そこで、ドアストライカ30の近傍に接続部12が配置されるように、立設部20fにウェザーストリップ10を取り付けることが好ましい。
【0039】
図9は、
図8におけるIX-IX断面を示している。
図9に示すように、接続部12に設けられた内側凸係合部12g(係合部に相当)は、接続部12から立設部20fの径方向における内側へ延設された凸状の形状を有している。そして、接続部12に設けられた内側凸係合部12gは、ウェザーストリップ10が立設部20fに取り付けられた際に、対向部21(内側部)における車両内側となる裏側(車両外側方向の面に対して反対側の面)に引っ掛けられる。接続部12(ウェザーストリップ10)は、この内側凸係合部12gによって、立設部20fから外れにくくなる。
【0040】
なお接続部12は、長手方向の長さLが例えば100[mm]程度であり、新たに作成するものであるので、
図8に示す「ABC」のように文字(車両名称など)や図柄を設けることも可能である。文字や図柄を設けた場合は長手方向に直交する断面形状が一定でないので、押出成形以外の方法で型を用いて成形したり、押出成形後に文字や図柄を追加したりすればよい。
【0041】
<ウェザーストリップの接続部の別例1(
図10)、別例2(
図11)>
図10に示す接続部12は、
図9に示す接続部12に対して、外側凸係合部12hが追加されている点が異なる。
【0042】
図10に示すように、接続部12に設けられた外側凸係合部12h(係合部に相当)は、接続部12から立設部20fの径方向における外側へ延設された凸状の形状を有している。そして、接続部12に設けられた外側凸係合部12hは、ウェザーストリップ10が開口縁部23の立設部20fに取り付けられた際に、対向部22(外側部)における車両内側となる裏側(車両外側方向の面に対して反対側の面)に引っ掛けられる。接続部12(ウェザーストリップ10)は、この外側凸係合部12hによって、立設部20fから外れにくくなる。
【0043】
図11に示す接続部12は、
図9に示す接続部12に対して、内側凸係合部12gが省略され、内側凹係合部12jと外側凹係合部12kが追加され、押込空間12s、12tが追加されている点と、対向部21の先端が延長されて内側凹係合部12jに差し込まれている点と、対向部22の先端が延長されて外側凹係合部12kに差し込まれている点が異なる。
【0044】
図11に示すように、接続部12に設けられた内側凹係合部12j(係合部に相当)は、接続部12における立設部20fの径方向内側に設けられた凹状の溝であり、当該内側凹係合部12jの裏側には押込空間12sが設けられている。同様に、接続部12に設けられた外側凹係合部12k(係合部に相当)は、接続部12における立設部20fの径方向外側に設けられた凹状の溝であり、当該外側凹係合部12kの裏側には押込空間12tが設けられている。
【0045】
接続部12に設けられた内側凹係合部12jは、ウェザーストリップ10が開口縁部23の立設部20fに取り付けられた際に、立設部20fと隣り合っている対向部21(内側部)の縁部が差し込まれる。押込空間12sによって内側凹係合部12jの周囲が窪みやすいので、差し込みは容易である。接続部12(ウェザーストリップ10)は、この内側凹係合部12jに差し込まれた対向部21(内側部)によって、立設部20fから外れにくくなる。
【0046】
接続部12に設けられた外側凹係合部12kは、ウェザーストリップ10が開口縁部23の立設部20fに取り付けられた際に、立設部20fと隣り合っている対向部22(外側部)の縁部が差し込まれる。押込空間12tによって外側凹係合部12kの周囲が窪みやすいので、差し込みは容易である。接続部12(ウェザーストリップ10)は、この外側凹係合部12kに差し込まれた対向部22(外側部)によって、立設部20fから外れにくくなる。
【0047】
<効果>
以上に説明したウェザーストリップ10は、既存の本体部11(長手方向に直交する断面が一定の押出成形品)を利用し、新たに接続部12を用意するだけでよいので、製造に手間がかからない。
【0048】
また、内側凸係合部12g、外側凸係合部12h、内側凹係合部12j、外側凹係合部12kは、接続部12にのみ設けられているので、ウェザーストリップ10の全体を対向部21、22の裏に引っ掛けるとか、対向部21、22の縁部をウェザーストリップ10の全体に差し込むとかは不要であり、開口縁部の立設部への取付作業性がよい。そして、接続部12にのみ設けられた内側凸係合部12g、外側凸係合部12h、内側凹係合部12j、外側凹係合部12kによって、立設部に取り付けられたウェザーストリップ10は、立設部から外れにくくなる。
【0049】
本発明の、ウェザーストリップ10は、本実施の形態で説明した構成、構造、形状、外観等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0050】
本実施の形態の説明では、車両のバックドアの開口部の開口縁部の立設部に取り付けるウェザーストリップを例として説明したが、バックドアの開口部に限定されず、車両の種々の開口部の開口縁部の立設部に取り付けられるウェザーストリップに適用することが可能である。
【0051】
本実施の形態の説明では、ウェザーストリップ10の本体部11は心金が通してあり、接続部12には心金が通してない例を説明したが、本体部11に心金が通ってなくてもよいし、接続部12に心金を通してもよい。
【0052】
本実施の形態の説明において、
図10に示す例では、内側凸係合部12gと外側凸係合部12hの双方を有する例を説明したが、少なくとも一方を有するようにしてもよい。また、
図11に示す例では、内側凹係合部12jと外側凹係合部12kの双方を有する例を説明したが、少なくとも一方を有するようにしてもよい。また内側凹係合部12jと外側凹係合部12kは、溝でなく複数の貫通孔であってもよく、当該貫通孔に対応する対向部21、22の縁部の位置に、当該貫通孔に差し込まれる突出部が形成されていればよい。
【0053】
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
1 車両
2 開口部
3 バックドア
3a ドアアウタパネル
3b ドアインナパネル
10 ウェザーストリップ
11 本体部
11a 取付基部
11b シール部
11c 内側リップ
11d 外側リップ
11e 保持リップ
11f 心金
11m 差込溝
11w 溝幅
12 接続部
12a 取付基部
12b シール部
12c 内側リップ
12d 外側リップ
12g 内側凸係合部(係合部)
12h 外側凸係合部(係合部)
12j 内側凹係合部(係合部)
12k 外側凹係合部(係合部)
12m 差込溝
12s、12t 押込空間
12w 溝幅
20a ロアバックパネル
20b ロアパネル
20f 立設部
21 対向部(内側部)
22 対向部(外側部)
23 開口縁部
30 ドアストライカ