(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127260
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A47J27/00 103N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036290
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】番匠 雄介
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 礼
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA01
4B055CB02
4B055CC12
(57)【要約】
【課題】表示部3に水が触れるのを回避できる炊飯器を提供する。
【解決手段】本体1と、本体1の上部を覆う外蓋2と、本体1の内容器8に着脱自在に収納される内釜7と、内容器8の外側底面部に配置され、内釜7を誘導加熱する加熱コイル9と、内釜7の上部を覆い、外蓋2に設けられる内蓋13と、外蓋2に設けられる表示部3と、本体1内に設けられ、スイッチ4の操作に基づいて加熱コイル9を制御する制御装置10と、表示部3と制御装置10とを電気的に接続するケーブル20と、を備え、外蓋2には、ケーブル20を表示部3から制御装置10に通す貫通孔22が設けられ、貫通孔22は、内釜7の鉛直方向と重ならない外蓋2の外周部2sに配置した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の上部を覆う外蓋と、
前記本体の内容器に着脱自在に収納される内釜と、
前記内容器の外側底面部に配置され、前記内釜を誘導加熱する加熱コイルと、
前記内釜の上部を覆い、前記外蓋に設けられる内蓋と、
前記外蓋に設けられる表示部と、
前記本体内に設けられ、操作部の操作に基づいて前記加熱コイルを制御する制御部と、
前記表示部と前記制御部とを電気的に接続するケーブルと、を備え、
前記外蓋には、前記ケーブルを前記表示部から前記制御部に通す接続口が設けられ、
前記接続口は、前記内釜の鉛直方向と重ならない前記外蓋の外周部に配置した炊飯器。
【請求項2】
請求項1に記載の炊飯器において、
前記外蓋の上面には、前記表示部の後方に、前記ケーブルを案内するケーブル案内部が形成され、
前記ケーブル案内部には、前記接続口の開口から上方に向けて傾斜面が形成されている炊飯器。
【請求項3】
請求項2に記載の炊飯器において、
前記ケーブル案内部には、前記傾斜面の上端から前記表示部に向けて延びる略水平な載置面が形成され、
前記載置面には、幅方向に延びるリブが形成されている炊飯器。
【請求項4】
請求項3に記載の炊飯器において、
前記リブは、前後方向に間隔を置いて複数形成されている炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯器は、被調理物を収容した内釜を加熱部で加熱するものである。また、炊飯器には、操作者が操作した操作情報あるいは炊飯に係る情報等を表示するための表示部が設けられており、一般に、その表示部は炊飯中に生じる水蒸気等が触れないような位置に設けられている。また、表示部と、表示部の周辺に設けられる操作部の操作によって本体を制御する制御部とをケーブルで接続しており、ケーブルを通す接続口には表示部側に水蒸気や水等が流入しないような位置において密閉処理が施されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の炊飯器は、
図6及び
図7に示すように、表示部30と制御部60とを接続しているケーブル40の接続口50が、お米や水を入れる内釜70の直上に位置している。このため、接続口50は部品嵌め合わせや粘着剤等で密閉処理を行っているものの、接続口50から水蒸気や水が流入し、それが表示部30に触れる課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、本体と、前記本体の上部を覆う外蓋と、前記本体の内容器に着脱自在に収納される内釜と、前記内容器の外側底面部に配置され、前記内釜を誘導加熱する加熱コイルと、前記内釜の上部を覆い、前記外蓋に設けられる内蓋と、前記外蓋に設けられる表示部と、前記本体内に設けられ、操作部の操作に基づいて前記加熱コイルを制御する制御部と、前記表示部と前記制御部とを電気的に接続するケーブルと、を備え、前記外蓋には、前記ケーブルを前記表示部から前記制御部に通す接続口が設けられ、前記接続口は、前記内釜の鉛直方向と重ならない前記外蓋の外周部に配置した。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係る炊飯器の外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る炊飯器の上面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る炊飯器から上面カバーおよびケーブルを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4の炊飯器にケーブルを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図6】従来の炊飯器の表示部および接続口を示す斜視図である。
【
図7】従来の炊飯器におけるケーブルの配置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、
図1に示す方向を基準として説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る炊飯器の外観斜視図、
図2は、本発明の実施形態に係る炊飯器の上面図である。
図1および
図2に示すように、炊飯器100は、本体1、この本体1の上部を覆う外蓋2などを備えて構成されている。外蓋2には、設定コースや運転状態などを表示する表示部3が設けられている。また、外蓋2には、表示部3の周囲に、各種の設定を行う複数のスイッチ4が設けられている。また、外蓋2には、表示部3の手前側に、外蓋2を開く際に操作する押圧式の蓋開スイッチ5が設けられている。また、外蓋2には、表示部3の後方(奥側)に、内釜7(
図3参照)において発生した水蒸気を炊飯器100の外部に排出する蒸気排出口6が設けられている。
【0008】
図3は、
図2のIII-III線断面図である。
図3に示すように、本体1は、ポリプロピレン(PP)などの合成樹脂製であり、上面に開口部1aを有し、内釜7が着脱自在に収納される内容器8を備えている。内釜7は、有底円筒形状の容器であり、例えば、鉄などの強磁性金属を含む磁性金属と非磁性金属の複合材で形成されている。また、内容器8の外側底面部には、内釜7を誘導加熱する加熱コイル9(加熱手段)が設けられている。
【0009】
また、本体1には、内容器8の後方に、スイッチ4の操作に基づいて加熱コイル9を制御する制御装置10(制御部)が設けられている。また、本体1には、内容器8の後方の底側に、冷却ファン11が設けられている。この冷却ファン11は、加熱コイル9と制御装置10とを含む本体1の内部を冷却する。
【0010】
外蓋2は、本体1にヒンジ12を介して回動自在に設けられている。また、外蓋2の内側には、内釜7の上部を覆う円盤状の内蓋13が設けられている。この内蓋13は、外蓋2に対して着脱自在に設けられている。また、内蓋13は、外周にパッキン(不図示)を備え、外蓋2を閉じることで、内釜7の上面開口を塞ぐようになっている。また、外蓋2には、調圧手段14が設けられている。この調圧手段14は、公知の手段であり、鋼球(不図示)を備え、内蓋13を貫通し、内釜7内で発生した蒸気を通し圧力を調整する機能を有する。
【0011】
表示部3は、液晶や有機ELなどからなる薄型の表示パネル部3aと、この表示パネル部3aを実装するプリント基板3bと、を備えて構成されている。また、プリント基板3bには、各種設定を行うスイッチ4が設けられている。なお、表示パネル部3aの上面を覆い、意匠面となる樹脂製の上面カバー15が設けられている。上面カバー15は、表示パネル部3aに対応する位置が透明に形成され、表示パネル部3aに表示された文字などを外側から視認できるようになっている。
【0012】
また、本体1の下部には、内釜7の外側底面部の中央部に当接し、内釜7の温度を検出する温度センサ16が設けられている。温度センサ16で検出された温度情報が制御装置10に入力され、加熱コイル9の出力が制御される。
【0013】
また、外蓋2に設けれた表示部3と本体1に設けられた制御装置10とは、ケーブル20(破線参照)によって電気的に接続されている。このケーブル20は、薄い帯状(フィルム状)に形成され、一端がプリント基板3bに設けられたコネクタ(不図示)と接続されている。また、ケーブル20の他端は、制御装置10に設けられたコネクタ(不図示)と接続されている。
【0014】
図4は、本発明の実施形態に係る炊飯器から上面カバーおよびケーブルを取り外した状態を示す斜視図である。
図4に示すように、外蓋2の上面には、表示部3が収容される凹部2aが形成されている。また、外蓋2の上面には、凹部2aから後方に向けて延びる溝21(ケーブル案内部)が形成されている。この溝21は、ケーブル20を載置可能な幅で形成され、外蓋2の外周部2sまで延びている。また、溝21の外周部2sには、外蓋2を上下方向に貫通する貫通孔22(接続口)が形成されている。この貫通孔22は、溝21の幅と同様に、左右方向に細長く形成されている。
【0015】
また、溝21の底面21aは、前後方向に略水平に延びる水平面21a1(載置面)と、貫通孔22の開口から上方に向けて傾斜して延びる傾斜面21a2と、を有している。また、水平面21a1から前方に向けて下る傾斜面部21a3と、を有している。水平面21a1は、凹部2aの底面2a1よりも高さが高い位置に形成されている。貫通孔22は、底面21aのうちで最も低い位置に形成されている。また、傾斜面21a2は、傾斜面部21a3よりも長く形成されている。
【0016】
また、底面21aの水平面21a1には、複数本のリブ23a,23bが前後方向に間隔を置いて形成されている。リブ23a,23bは、溝21の左右方向の一方の側面から他方の側面まで延びて(幅方向に延びて)形成されている。なお、リブ23a,23bの本数は、2本に限定されるものではなく、1本であってもよく、3本以上であってもよい。
【0017】
また、溝21は、蒸気排出口6と重ならないように、蒸気排出口6の右側にずれて配置されている。なお、溝21は右側にずれる構成に限定されるものではなく、外蓋2の構成に応じて適宜変更することができる。
【0018】
図5は、
図4の炊飯器にケーブルを取り付けた状態を示す斜視図である。
図5に示すように、ケーブル20は、溝21の幅と略同等の幅によって形成され、一端が表示部3のプリント基板3bに接続されている。また、ケーブル20は、溝21内に載置され、貫通孔22に挿通されている。貫通孔22に挿通されたケーブル20の他端は、
図3に示すように、外蓋2内を下方に向けて且つヒンジ12の手前側を通り、本体1内に導入される。そして、本体1内に導入されたケーブル20は、制御装置10に接続される。
【0019】
このように構成された炊飯器100では、まず、使用者が内釜7に適量の米を入れて洗米する。次に水量を測定し適量の水を入れ、内釜7を装着して外蓋2を閉めると、内釜7の上部を内蓋13が塞ぎ、内釜7が密閉された空間となる。その後、使用者が炊飯操作を実行すると、炊飯が開始される。炊飯プログラムに従って、温度センサ16(
図3参照)の温度情報を基に炊飯量に応じて加熱コイル9を制御して内釜7が加熱される。やがて、内釜7内が沸騰すると、調圧手段14によって調圧機能が働き、調圧手段14を通った蒸気は炊飯器100の外部に噴出し蒸気量を調整することで、内釜7の内部を一定の圧力に保つ。そして、蒸らし、保温へと進行し、炊飯は終了する。
【0020】
ところで、
図6および
図7に示す従来の炊飯器においては、接続口50が内釜70の真上に設けられているため、炊飯中の内釜70から生じる水蒸気や、安全機構が動作した際に生じる水跳ねがケーブル40に触れ、接続口50から表示部30が設けられる空間に流入したときに、表示部30に水が触れる問題があった。そこで、本実施形態では、ケーブル20を通すための貫通孔22(接続口)を、内釜7の鉛直方向(上下方向)と重ならない外蓋2の外周部2sに配置したものである。これにより、貫通孔22が内釜7より離れた位置になるので、炊飯中の内釜7から生じる水蒸気や安全機構による圧力逃げの際の水がケーブル20に触れたとしても、または貫通孔22に流入したとしても、表示部3に水が触れる問題を回避できる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態の炊飯器100は、本体1と、本体1の上部を覆う外蓋2と、本体1の内容器8に着脱自在に収納される内釜7と、内容器8の外側底面部に配置され、内釜7を誘導加熱する加熱コイル9と、内釜7の上部を覆い、外蓋2に設けられる内蓋13と、外蓋2に設けられる表示部3と、本体1内に設けられ、スイッチ4の操作に基づいて加熱コイル9を制御する制御装置10と、表示部3と制御装置10とを電気的に接続するケーブル20と、を備える。外蓋2には、ケーブル20を表示部30から制御装置10に通す貫通孔22(接続口)が設けられている。この貫通孔22は、内釜7の鉛直方向と重ならない外蓋2の外周部2sに配置した。これによれば、表示部3と貫通孔22との距離を十分に長く確保できるので、内釜7から生じる水蒸気が、ケーブル20に触れ、貫通孔22から流入したとしても表示部3に水蒸気(水)が触れるのを防ぐことができる。
【0022】
また、本実施形態は、外蓋2の上面には、表示部3の後方に、ケーブル20を案内する溝21(ケーブル案内部)が形成され、溝21には、貫通孔22の開口から上方に向けて傾斜面21a2が形成されている。これによれば、貫通孔22から水蒸気(水)が流入したとしても、表示部3側に水蒸気が流れ込むのを防ぐことが可能になる。
【0023】
また、本実施形態は、溝21(ケーブル案内部)には、傾斜面21a2の上端から表示部3に向けて延びる水平面21a1(載置面)が形成されている。この水平面21a1には、幅方向に延びるリブ23a,23bが形成されている。仮に貫通孔22から水平面21a1に水が流れ込んだとしても、リブ23a,23bによって水の流れを抑えることができ、表示部3に水が流れ込むを防ぐことが可能になる。
【0024】
また、本実施形態は、リブ23a,23bは、前後方向に間隔を置いて複数形成されている。このように複数のリブ23a,23bを設けることで、表示部3に水が流れ込むのをさらに確実に防ぐことが可能になる。
【符号の説明】
【0025】
1 本体
2 外蓋
2s 外周部
3 表示部
3a 表示パネル部
3b プリント基板
4 スイッチ(操作部)
7 内釜
9 加熱コイル(加熱手段)
10 制御装置(制御部)
13 内蓋
14 調圧手段
20 ケーブル
21 溝(ケーブル案内部)
21a1 水平面(載置面)
21a2 傾斜面
22 貫通孔(接続口)
23a,23b リブ