(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127261
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】充電提案システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240912BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240912BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G08G1/13
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036291
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】奥嶋 碧生
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 洋子
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB02
2F129BB26
2F129BB33
2F129CC15
2F129DD46
2F129DD49
2F129DD62
2F129EE90
2F129FF17
2F129FF18
2F129FF20
2F129FF60
2F129FF62
5H181AA01
5H181BB08
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF33
5H181MB03
(57)【要約】
【課題】天候が雨天時以外(晴れまたは曇り)の日にバッテリの充電を提案できる可能性を高めるシステムを提供する。
【解決手段】天候情報と、ユーザの車両のバッテリの充電実績である充電実績情報と、を取得する取得部と、前記バッテリの充電の提案を行う充電提案部と、を備え、前記充電実績情報には、前記バッテリの充電時の天候と、前記充電時のバッテリ残量と、が含まれ、前記充電提案部は、前記天候情報が示す本日の天候が晴れまたは曇り、かつ明日以降の天候が雨であり、前記充電実績情報に基づく前記ユーザの雨天時での充電実績が所定の基準より少ない場合、現在のバッテリ残量が前記充電時のバッテリ残量と前記雨天時における推定電力使用量との和以下である場合に、前記充電の提案を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天候情報と、ユーザの車両のバッテリの充電実績である充電実績情報と、を取得する取得部と、
前記バッテリの充電の提案を行う充電提案部と、を備え、
前記充電実績情報には、前記バッテリの充電時の天候と、前記充電時のバッテリ残量と、が含まれ、
前記充電提案部は、
前記天候情報が示す本日の天候が晴れまたは曇り、かつ明日以降の天候が雨であり、前記充電実績情報に基づく前記ユーザの雨天時での充電実績が所定の基準より少ない場合に、現在のバッテリ残量が前記充電時のバッテリ残量と前記雨天時における推定電力使用量との和以下である場合、前記充電の提案を行う、
充電提案システム。
【請求項2】
前記充電提案部は、
前記充電時のバッテリ残量が予め定められた閾値未満である前記ユーザに対して前記充電の提案を行う、
請求項1に記載の充電提案システム。
【請求項3】
前記充電提案部は、
前記充電時のバッテリ残量が前記閾値以上である前記ユーザに対して、雨天時に前記現在のバッテリ残量が下限値以下である場合に、前記充電の提案を行う、
請求項2に記載の充電提案システム。
【請求項4】
前記充電提案部は、
晴天時または曇りの時の前記現在のバッテリ残量が前記充電時のバッテリ残量未満の場合に、前記充電の提案を行う、
請求項3に記載の充電提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車におけるバッテリの充電施設を案内するシステムが知られている。例えば特許文献1には、天候情報に基づいて雨が予想される場合には、雨に濡れるおそれがない屋根がある充電施設を案内するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリの充電施設は、ショッピングモール、車両販売店等に存在するが、その数は、例えば給油施設に対して少なく、さらに屋根がある充電施設は(屋根のない充電施設に比べて)より限られる。このような状況下において、例えば雨に濡れるおそれがあることから雨天時のバッテリの充電を避ける(または嫌う)ユーザに対して、雨天時に屋根のある充電施設を案内すると、ユーザ車両の現在位置によっては、雨天時毎に遠くの充電施設を案内することになるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、雨天時以外(晴れまたは曇り)の日にバッテリの充電を提案できる可能性を高めるシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、充電提案システムは、天候情報と、ユーザの車両のバッテリの充電実績である充電実績情報と、を取得する取得部と、前記バッテリの充電の提案を行う充電提案部と、を備え、前記充電実績情報には、前記バッテリの充電時の天候と、前記充電時のバッテリ残量と、が含まれ、前記充電提案部は、前記天候情報が示す本日の天候が晴れまたは曇り、かつ明日以降の天候が雨であり、前記充電実績情報に基づく前記ユーザの雨天時での充電実績が所定の基準より少ない場合に、現在のバッテリ残量が前記充電時のバッテリ残量と前記雨天時における推定電力使用量との和以下である場合、前記充電の提案を行う。
【0007】
すなわち、充電提案システムでは、本日の天候が晴れまたは曇り、かつ明日以降の天候が雨の場合に、雨天時での充電実績が所定の基準より少ないユーザ(例えば雨を避けたいユーザ)に対して、現在のバッテリ残量が充電実績に基づく充電時のバッテリ残量と雨天時における推定電力使用量との和以下である場合に、充電の提案を行う。すなわち、雨を避けたいユーザは、雨の日に充電を行う可能性が低いことから、雨が続いた場合には、バッテリ残量が充電実績に基づくバッテリ残量を下回る可能性が高い。そこで、雨が予想される場合、雨天時以外の日に充電を行うことができるように、充電時のバッテリ残量に雨天時の推定電力使用量を加味したタイミングで充電提案を行う。これにより、雨を避けたいユーザに対して、雨天時以外の日に充電の提案を行う可能性を高めることができ、その場合には、屋根の有無に拘わらずユーザ車両の現在位置に最も近い充電施設等を提案することができる。すなわち、雨を避けるために、ユーザに対して屋根のある充電施設のみを提案することを回避でき、ユーザ車両の現在位置に応じた当該現在位置から近い充電施設の案内が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】充電提案システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】充電提案処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図3のサブルーチンであって、雨天時提案処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)充電提案システムの構成:
(2)充電提案処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)充電提案システムの構成:
図1は、本実施形態にかかる充電提案システム10の構成を示すブロック図である。この充電提案システム10は、車両に搭載されたバッテリを充電する際の充電タイミングを提案するシステムである。
【0011】
充電提案システム10は、例えば据置型の汎用コンピュータやクラウド型のサーバ等であり、通信を介してユーザ車両100および天候情報管理システム200と協働する。天候情報管理システム200は、区画毎の天候を示す天候情報を生成するシステムである。なお、
図1に示す例では、説明の便宜上、1台のユーザ車両100を示しているが、充電提案システム10は、複数のユーザ車両と通信することが可能である。また、本実施形態において、ユーザ車両100は、充電可能な蓄電池であるバッテリを搭載しており、バッテリが蓄積している電力をモータに供給して駆動する電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)である。
【0012】
ユーザ車両100は、制御部110と、測位部120と、記録媒体130と、通信部140と、バッテリ150と、ユーザI/F部160と、を備えている。制御部110は、CPU、RAM、ROM等を備えるコンピュータである。ユーザ車両100は、記録媒体130やROMに記憶されたプログラムを制御部110で実行することができる。記録媒体130には、予め地図情報130aが記録されている。
【0013】
地図情報130aは、ユーザ車両の現在位置の特定や、経路案内等に利用される情報であり、ノードデータとリンクデータと形状補間点データと施設データとを含む。ノードデータは、交差点の位置を示すデータである。リンクデータは、道路区間を示し、道路区間の端点に相当するノードに対応付けられている。すなわち、リンクデータはノード同士を接続するリンクを示している。本実施形態において、リンクデータには、リンクデータが示す道路区間の道路属性を示す情報が含まれている。道路の属性には、道路種別、例えば、高速道路、一般道路、細街路等を示す情報が含まれる。また、リンクデータには、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置を示す形状補間点データが対応付けられている。
【0014】
施設データは、道路の周辺等に存在する施設の名称や位置や属性を示す。本実施形態における施設には、各種の施設が含まれる。例えば、サービスエリア等の休憩所や店舗、商業施設、公共施設等の名称、位置、属性等が施設データとして定義されている。さらに、本実施形態における施設データには、施設内に充電施設が存在するか否かを示す情報が含まれている。充電施設は、車両が備えるバッテリに対して充電を行うための施設である。また、充電施設には設置場所が屋外または屋内であることの情報が対応付いており、屋外の場合には更に屋根ありまたは屋根なしの情報が対応付いている。
【0015】
測位部120は、GNSS受信部、車速センサ、および、ジャイロセンサ(いずれも図示せず)等の測位センサを備える。GNSS受信部は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置であり、航法衛星からの電波を受信、図示しないインタフェースを介してユーザ車両の現在位置を算出するための信号を出力する。制御部110は、この信号を取得して地図の座標系におけるユーザ車両の現在位置(緯度、経度等)を取得する。車速センサは、ユーザ車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部110は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサは、ユーザ車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、ユーザ車両の向きに対応した信号を出力する。制御部110は、この信号を取得してユーザ車両の進行方向を取得する。車速センサおよびジャイロセンサ等は、ユーザ車両の走行軌跡を特定するために利用される。本実施形態においては、ユーザ車両の出発地と走行軌跡とに基づいて現在位置が特定され、当該出発地と走行軌跡とに基づいて特定されたユーザ車両の現在位置がGNSS受信部の出力信号に基づいて補正される。
【0016】
通信部140は、他の装置と無線通信を行うための回路を含んでいる。本実施形態において、制御部110は、通信部140を介して、無線通信によって充電提案システム10と様々な情報を授受することができる。ユーザ車両100から充電提案システム10には、ユーザの識別情報であるユーザIDに対応付けて充電実績情報が送信される。当該送信された充電実績情報は、充電提案システム10における記録媒体30に充電実績情報30aとして記録される。なお、本実施形態においては、ユーザ車両100のユーザIDを「ユーザ001」とする。
【0017】
図2は、各ユーザ車両から充電提案システム10に送信されることで生成された充電実績情報30aの一例を示している。ここに示す充電実績情報30aには、各ユーザ車両からの充電実績情報のうち、「ユーザID:ユーザ001」(すなわちユーザ車両100)の充電実績情報を代表的に示している。充電実績情報は、充電日付、充電施設、天候、充電時のバッテリ残量を含む。充電日付は、ユーザ車両100がバッテリ150の充電を行った日を示している。この充電日付に充電施設、天候、充電時のバッテリ残量のそれぞれが対応付いている。充電施設は、充電施設の位置を示し、例えば
図2に示すように、S
A(X
A,Y
A)などの充電施設の識別情報(S
A)と座標(X
A,Y
A)とが対応付いて定義される。天候は、充電を行った際の天候情報を示し、
図2に示すように、「晴れ、曇り、雨」等により定義される。充電時のバッテリ残量は、ユーザ車両100が充電を開始した際のバッテリ残量を示し、例えば満充電を「100%」とした場合のバッテリ残量(例えば40%)が記録される。
【0018】
バッテリ150は、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池、または、キャパシタなどにより構成された高電圧の蓄電装置である。バッテリ150は、駆動力源である図示しないモータに電気的に接続され、当該バッテリ150からモータに電力を供給することによりユーザ車両100を駆動させる。なお、バッテリ150には、図示しないSOCセンサが取り付けられており、当該SOCセンサはバッテリ150のバッテリ残量を示す情報を出力する。当該SOCセンサにより出力されたバッテリ残量を示す情報は、任意のタイミングでユーザ車両100から充電提案システム10に送信される。
【0019】
ユーザI/F部160は、ユーザの指示を入力し、またユーザに各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネル方式のディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカー等の出力部を備えている。本実施形態においては、充電提案システム10から送信される充電提案に関する情報がユーザI/F部160の表示部に表示される。
【0020】
制御部110は、例えばユーザによりバッテリ150の充電が充電施設で実行されると、上述の充電実績情報を生成する。すなわち、制御部110は、充電日付と、充電施設と、天候と、充電時のバッテリ残量と、ユーザ車両のユーザIDとを対応付けた情報を、記録媒体130に記録する。そして、制御部110は、記録媒体130に記録された未送信の状態である充電実績情報を既定のタイミング(例えば充電完了毎に)で充電提案システム10に送信する。送信された充電実績情報は、上述のように充電提案システム10における記録媒体30に記録される。
【0021】
また、制御部110は、例えば任意のタイミングにおいて、測位部120におけるGNSS受信部、車速センサ、ジャイロセンサの出力信号に基づいてユーザ車両の現在位置(車両位置)を特定し、当該特定したユーザ車両100の現在位置を充電提案システム10に送信する。また、上述のように、バッテリ150の現在のバッテリ残量を図示しないSOCセンサから取得し、当該取得した現在のバッテリ残量を充電提案システム10に送信する。また、制御部110は、ユーザ車両100のバッテリ150の1日の電力使用量(電力消費量)を任意のタイミングで充電提案システム10に送信する。さらに、制御部110は、記録媒体130やROM等に記憶された図示しないナビゲーションプログラム等を実行することができる。当該ナビゲーションプログラムは、ユーザI/F部160の表示部にユーザ車両の現在位置が含まれる地図を表示して運転者を充電施設や目的地まで案内する機能を制御部110に実現させるプログラムである。
【0022】
つぎに、天候情報管理システム200の構成を説明する。天候情報管理システム200は、図示しない制御部、記録媒体、通信部を備え、各種のセンサやデータベース等の情報に基づいて天候情報を生成するシステムである。本実施形態において天候情報管理システム200は、予め区分けされた区画毎または地域毎に、その区画や地域の本日の天気である天気概況(晴れ、曇り、雨、雪等)、風力、降雨量、降雪量、気温を示す天候情報、および、同様の明日以降の天候情報を生成する。生成された天候情報は、記録媒体に記録される。
【0023】
天候情報管理システム200は、充電提案システム10から任意のタイミングで任意の区画についての天候情報の送信要求を受け付ける。送信要求が受け付けられると、天候情報管理システム200は、指定された区画の現在の天候情報と、明日以降の既定日数分(例えば7日分)の天候情報を送信する。充電提案システム10は、当該送信された天候情報を取得する。
【0024】
つぎに、充電提案システム10について説明する。充電提案システム10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20と、記録媒体30と、通信部40と、を備えている。記録媒体30は、各種プログラム、および、各種データを記録する。通信部40は、ユーザ車両100および天候情報管理システム200と無線通信を行うための回路である。制御部20は、記録媒体30やROM等に記憶された充電提案プログラム21を実行することができる。
【0025】
記録媒体30には、充電実績情報30a、および、地図情報30bが含まれる。充電実績情報30aは、上述のユーザ車両100を含む各ユーザ車両から送信された情報であり、制御部20により通信部40を介して取得される。当該充電実績情報には、
図2で説明したように、ユーザID毎に、充電日付と、充電施設と、天候と、充電時のバッテリ残量と、がそれぞれ対応付いて記録されている。
【0026】
地図情報30bは、上述の地図情報130aと同様であり、すなわちノードデータ、形状補間点データ、リンクデータ、および、施設データ等が含まれる。施設データには、車両が備えるバッテリに対して充電を行うための施設である充電施設の情報が含まれている。
【0027】
制御部20は、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして、充電提案プログラム21を実行可能である。従来知られているシステムでは、雨の日には、屋根のある充電施設が提案される。一方、屋根のある充電施設は例えば給油施設に比べて普及率が少なく、例えば雨に濡れるおそれがあることから雨天時のバッテリの充電を避けるユーザに対して、雨天時に屋根のある充電施設を提案すると、ユーザの現在位置によっては、雨天時毎に遠くの充電施設を提案することになる可能性がある。そのような場合、ユーザは当該提案を煩わしく感じるおそれがある。そこで、本実施形態においては、制御部20は、雨天時以外の日(すなわち晴れまたは曇りの日)にバッテリの充電を提案できる可能性を高めるように、適切なタイミングで充電提案を行う。充電提案プログラム21は、当該提案を行うためのプログラムである。
【0028】
上述の充電提案プログラム21が実行されると、制御部20は、取得部21a、および、充電提案部21bとして機能する。なお、以下において、取得部21a、および、充電提案部21bが行うものとして記載する処理は、制御部20により実現される処理である。
【0029】
取得部21aは、天候情報と、ユーザ車両100のバッテリ150の充電実績である充電実績情報と、を取得する機能である。具体的には、制御部20は、取得部21aの機能により、ユーザ車両100において上述の測位部120によって特定された現在位置を、通信部40を介して取得する。さらに、制御部20は、ユーザ車両100の当該現在位置に対応した区画の天候情報を天候情報管理システム200から取得する。また、制御部20は、充電実績情報30aを参照して、ユーザ車両100の充電実績情報を特定し、当該ユーザ車両100のバッテリ150の充電実績を取得する。
【0030】
充電提案部21bは、天候情報が示す本日の天候が晴れまたは曇り、かつ明日以降の天候が雨の場合に、ユーザの充電実績に基づいて通常の充電タイミングより早いタイミングで充電提案を行う機能である。具体的には、制御部20は、充電提案部21bの機能により、天候情報が示す本日の天候が晴れまたは曇り、かつ明日以降の天候が雨であり、充電実績情報30aに基づくユーザの雨天時での充電実績が所定の基準より少ない場合に、現在のバッテリ残量が充電実績に基づく充電時のバッテリ残量と雨天時における推定電力使用量との和以下である場合、充電の提案を行う。すなわち、雨を避けたいユーザは、雨の日に充電を行う可能性が低いことから、雨が続いた場合には、バッテリ残量が充電実績に基づくバッテリ残量を下回る可能性が高い。そこで、雨が予想される場合に雨天時以外の日に充電を行うことができるように、充電時のバッテリ残量に雨天時の推定電力使用量を加味して充電提案を行う。つまり、本実施形態において、制御部20は、現在のバッテリ残量が充電実績に基づく通常の充電時のバッテリ残量に達する前に、当該充電の提案を行う。
【0031】
なお、「所定の基準」とは、雨天時にバッテリ150の充電を避けるユーザであるかを特定する基準であって、例えばユーザ車両100の充電を行う区画の天候において、年間で雨が降る確率を意味する。すなわち、本実施形態においては、年間で雨が降る確率より雨天時の充電実績が少ない場合には、雨天時の充電を避ける傾向にあるユーザであると推定できる。
【0032】
また、制御部20は、充電提案部21bの機能により、上述の通常の充電時のバッテリ残量に達する前の充電の提案を、当該充電時のバッテリ残量が予め定められた閾値未満であるユーザに対して行う。ここでいう閾値とは、バッテリの充電を充電残量が比較的多い状態(または少ない状態)で行うユーザであるかを特定する閾値である。当該閾値は、任意の値であってよいが、例えば充電実績に基づいて特定される充電時のバッテリ残量における各ユーザの平均値である。例えばこの平均値を満充電に対して50%とした場合には、制御部20は、充電実績に基づく充電時のバッテリ残量が50%未満であるユーザに対して、雨天時の推定電力使用量を加味したタイミングで充電提案を行う。充電実績に基づく充電時のバッテリ残量が閾値以上のユーザは、各ユーザの平均値以上で充電することが通常であると判断できることから、比較的バッテリ残量に余裕のある状態で充電するユーザであると見なすことができる。それとは反対に、充電実績に基づく充電時のバッテリ残量が閾値未満のユーザは、当該充電時のバッテリ残量が閾値以上のユーザに対して、比較的バッテリ残量に余裕がない状態で充電するユーザであると見なすことができる。本実施形態において、制御部20は、このような比較的バッテリ残量に余裕がない状態で充電するユーザに対して、雨天時の推定電力使用量を加味したタイミングで充電提案を行う。
【0033】
また、制御部20は、充電提案部21bの機能により、充電時のバッテリ残量が上述の閾値以上であるユーザに対して、雨天時の現在のバッテリ残量が下限値以下である場合に、充電の提案を行う。上述のように、充電実績に基づく充電時のバッテリ残量が閾値以上であるユーザは、比較的余裕のある状態でバッテリ150の充電を行うユーザであるから、電欠(電池切れ)を起こす可能性は低い。したがって、雨天が続いた場合に電欠になり得ることを見越して、晴れまたは曇りである本日に前もって充電した方がよいという提案を行うことはしない。但し、この場合であっても、雨天が続いている間にユーザが運転をすればバッテリ残量が低下する。このため、制御部20は、バッテリ残量が下限値以下になった場合に、電欠が発生しないようにすることを優先するために、充電提案を行う。なお、ここでいう「下限値」とは、電欠(電池切れ)を防ぐこと、および、バッテリ150の保護の観点から定められる値であり、例えば満充電に対して「20%」程度が想定される。
【0034】
また、制御部20は、充電提案部21bの機能により、晴天時または曇りの時の現在のバッテリ残量が充電実績に基づく充電時のバッテリ残量未満の場合に、充電の提案を行う。すなわち、制御部20は、雨が降っていないタイミングにおいて、現在のバッテリ残量が充電実績に基づく充電時のバッテリ残量未満である場合に、充電の提案を行う。
【0035】
この構成によれば、制御部20は、本日の天候が晴れまたは曇り、かつ明日以降の天候が雨の場合に、雨天時での充電実績が所定の基準より少ないユーザ(例えば雨を避けたいユーザ)に対して、現在のバッテリ残量が充電実績に基づく充電時のバッテリ残量と雨天時における推定電力使用量との和以下である場合に、充電の提案を行う。これにより、雨を避けたいユーザに対して、雨天時以外の日に充電を行うことの提案ができ、その結果、屋根の有無に拘わらずユーザ車両100の現在位置に最も近い充電施設等を提案することができる。
【0036】
(2)充電提案処理:
つぎに、制御部20が実行する充電提案処理について説明する。
図3は、充電提案処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えばユーザ車両100において、イグニッションスイッチがオンされた場合に実行される。なお、当該処理は、イグニッションスイッチがオンされる毎に実行されてもよいし、1日1回の既定のタイミング(例えば朝などその日の初めてのタイミング)でイグニッションスイッチがオンされた際に実行されてもよい。イグニッションスイッチがオンされると、制御部20は、通信部40を介してユーザ車両100からユーザ車両100の現在位置の情報、および、現在のバッテリ残量、ならびに、バッテリ150における1日の電力使用量の情報をユーザIDに対応付けて取得し、充電提案処理を実行する。なお、当該取得した情報は記録媒体30に記録される。
【0037】
また、前提として、充電提案処理は、本日の天候が晴れまたは曇りの場合に実行され、言い換えれば本日の天候が雨(その他雪などの荒天の場合も含む)の場合には、制御部20は実行しない。ただし、その場合であっても、充電実績に基づいて通常の充電タイミングで充電提案を行う。通常の充電タイミングでの充電提案については後述のステップS3にて説明する。制御部20は、天候情報管理システム200と通信して、ユーザ車両100の現在位置に対応した区画の天候を取得し、本日の天候が晴れまたは曇りであると判定した場合に、当該充電提案処理を実行する。
【0038】
充電提案処理が開始されると、先ず、制御部20は、取得部21aの機能によりバッテリ150における現在のバッテリ残量γを取得する(ステップS1)。すなわち、制御部20は、記録媒体30を参照して、ユーザ車両100におけるバッテリ150の現在のバッテリ残量γを特定し、当該特定した現在のバッテリ残量γを取得する。制御部20は、ステップS1でバッテリ150における現在のバッテリ残量γを取得したら、処理をステップS2へ進める。
【0039】
ステップS2において、制御部20は、明日以降のn日間の天候が雨か否かを判定する。具体的には、制御部20は、取得部21aの機能により、天候情報管理システム200から取得した天候情報を参照して、ユーザ車両100の現在位置に対応した区画の明日以降の天候を特定する。例えば制御部20は、明日が雨なら明後日、明後日が雨ならその次の日、というように明日以降の天候が雨か否かを特定し、明日以降、雨が連続する日数を「n」とする。制御部20は、当該特定した明日以降のn日間の天候が雨でないと判定した場合、処理をステップS3に進める。なお、「明日以降のn日間」とは少なくとも明日(その場合にはn=1)が雨であればよい。
【0040】
ステップS3において、制御部20は、充電提案部21bの機能により、通常の充電タイミングで充電提案を行う。すなわち、制御部20は、明日以降の天候が雨でない(言い換えれば、晴れまたは曇りである)と判定しているので、充電実績に基づく充電タイミングで充電の提案を行う。具体的には、制御部20は、充電実績情報30aを参照して、ユーザ車両100の充電実績を特定する(本実施形態においては、ユーザID:ユーザ001)。そして、制御部20は、例えば当該特定した充電実績のうちの所定回数分(例えば100回分)をさらに特定し、当該所定回数分の充電時の平均のバッテリ残量を求める。本実施形態においては、この充電時の平均のバッテリの残量を、充電時のバッテリ残量αとする。なお、特定する所定回数分の充電実績は、晴れ、曇り、雨等を含む全ての天候に対応した充電実績を特定してもよいし、晴れおよび曇りの天候に対応した充電実績を特定してもよい。そして、制御部20は、現在のバッテリ残量γが当該充電時のバッテリ残量αに達したタイミングでユーザ車両100の表示部に充電の提案を行う旨の表示をさせることにより、充電提案を行う。
図5は、表示部への充電提案の一例を示す図である。この
図5に示す例では、充電時のバッテリ残量αが「40%」であり、現在のバッテリ残量γが当該「40%」に低下したタイミングで、充電を推奨することで充電提案を行っている例を示している。
【0041】
一方、上述のステップS2において、明日以降のn日間の天候が雨であると判定した場合、制御部20は、処理をステップS4に進める。ステップS4において、制御部20は、ユーザ車両100の雨天時の充電実績が基準値未満か否かを判定する。具体的には、制御部20は、取得部21aの機能により、充電実績情報30aを参照し、ユーザ車両100の充電実績における雨天時の充電実績を特定する。また、制御部20は、当該特定した雨天時における充電実績の年間の充電実績に対する割合を算出する。そして、制御部20は、当該算出した割合が、基準値未満か否かを判定する。なお、この基準値は、上述の「所定の基準」であって、例えばユーザ車両100の充電を行う区画の天候において、年間で雨が降る確率を意味する。本実施形態において、例えばユーザ車両100の年間の充電実績が100回であり、雨天時の充電実績が10回であり、年間で雨が降る確率を「30%」とする。その場合には、雨天時における充電実績の年間の充電実績に対する割合は10%(10/100)となり、ユーザ車両100の雨天時の充電実績は基準値未満であると判定され(ステップS4でY)、制御部20は処理をステップS5に進める。それとは反対に、本実施形態において、例えば雨天時の充電実績が30回以上である場合には、ユーザ車両100の雨天時の充電実績は基準値以上と判定され(ステップS4でN)、制御部20は処理をステップS3へ進める。すなわちユーザ車両100のユーザは、雨での充電を避けるユーザではないと見なし、上述の通常のタイミングで充電提案を行う。
【0042】
ステップS5において制御部20は、充電提案部21bの機能により、充電時のバッテリ残量αが閾値未満であるか否かを判定する。ここで、充電時のバッテリ残量αは、上述のステップS3で説明した通常の充電タイミングにおけるバッテリ残量であり、ステップS3と同様の手段で求めることができる。すなわち充電時のバッテリ残量αは、充電実績情報30aに基づくユーザ車両100の充電時のバッテリ残量の平均値である。また「閾値」は、上述のように、例えば充電実績情報30aに基づいて特定される充電時のバッテリ残量における各ユーザの平均値である。本実施形態においては、閾値(すなわち平均値)を満充電に対して50%とし、充電時のバッテリ残量αを40%とする。この場合、充電時のバッテリ残量αは閾値未満となるため、このステップS5において肯定的に判定され、制御部20は処理をステップS6に進める。
【0043】
ステップS6において、制御部20は、充電提案部21bの機能により、現在のバッテリ残量γが充電実績に基づく充電時のバッテリ残量αと雨天時における推定電力使用量(β×n)との和以下である場合に、充電提案を行う。これを計算式で示すと以下のように示すことができる。
γ≦α+β×n
すなわち、制御部20は、γ≦α+β×nが成立する場合に、充電提案を行う。ここで「β」は、1日当たりの平均電力使用量である。上述のように、1日の電力使用量はユーザ車両100から充電提案システム10に送信され記録媒体30に記録されている。したがって、制御部20は、記録媒体30を参照し、ユーザ車両100から送信された1日の電力使用量を平均して1日当たりの平均電力使用量βを求める。そして、制御部20は、n日分(例えば3日)を積算することで雨天時の推定電力使用量を算出する。本実施形態においては、例えばγ=65%、α=40%、β=10%、n=3、とする。この場合には、上述の計算式における右辺は70%となり、上述の計算式が成り立つ状態であるため、制御部20は、ユーザに対して即時充電提案を行う。すなわち、ユーザ車両100の表示部に上述の
図5で説明したような表示をさせ、充電提案を行う。この際に、制御部20は、地図情報30bを参照して、表示部に表示された地図上に充電施設までの経路を重畳させて表示させてもよい。案内する充電施設は、例えばユーザ車両100の現在位置から最も近い充電施設を案内する、または、充電実績情報30aを参照して、ユーザが最も使用している頻度が高い充電施設を案内する。
【0044】
なお、上述の1日当たりの平均電力使用量βは、平日毎、休日毎でそれぞれ求めてもよい。その場合には、雨天時の推定電力使用量は、平日の1日当たりの平均電力使用量にn日のうちの平日分を積算した値と、休日の1日当たりの平均電力使用量にn日のうちの休日分を積算した値となる。
【0045】
また、例えば上述の「β」が例えば5%であるような場合には、上述の計算式における右辺は55%となるため、現時点では、現在のバッテリ残量γの方が大きい状態である。そのような場合には、制御部20は、現在のバッテリ残量γが55%に達した時点で充電提案を行う。
【0046】
一方、上述のステップS5において否定的に判定された場合、すなわち充電時のバッテリ残量αが閾値以上である場合には、制御部20は、雨天時提案処理を実行する。
図4は、雨天時提案処理の一例を示すフローチャートである。この雨天時提案処理は、雨天時に所定の短期間毎に実行される。なお、この雨天時提案処理が実行される場合としては、過去に
図3の充電提案処理が実行され、ステップS5で否定的に判定された場合である。言い換えれば、過去に
図3の充電提案処理が実行されていない場合やステップS5で否定的に判定されていない場合には、当該雨天時提案処理は実行されず、その場合には、通常の充電タイミングでの充電提案(すなわちステップS3の処理)が行われる。
【0047】
また、上述のステップS5において、充電時のバッテリ残量αが閾値以上であると判定されたユーザは、充電時のバッテリ残量αが閾値未満のユーザと比較して、バッテリの充電残量に余裕がある状態で充電するユーザであると言い得る。上述のように閾値が各ユーザの充電時のバッテリ残量の平均値とすれば、当該ユーザは、現在のバッテリ残量が当該平均値以上で充電する。このようなユーザに対して、ステップS6で説明したような、明日以降の雨の推定電力使用量を見越して充電提案を行うニーズは低いことが想定できる。また、ステップS6の充電提案を行うと、充分に充電残量がある状態(例えば70%)で充電提案したりする可能性があり、そのような提案をしてもユーザに受け入れられる可能性は低い。一方、このようなユーザは、常にバッテリ残量に余裕があるから電欠の可能性が低いものの、雨天がn日続き、雨天時の充電を避けることで、現在のバッテリ残量γが下限値近くまでの低下する場合もある。そのような場合には、当該ユーザに対しても充電提案を行うことが好ましい。そこで、本実施形態においては、制御部20は、雨天時中に電欠になることを防止するべく、雨天時提案処理を実行する。
【0048】
具体的には、ステップS10において、制御部20は、現在のバッテリ残量γが下限値以下であるか否かを判定する。すなわち、制御部20は、取得部21aの機能により、記録媒体30を参照し、現在のバッテリ残量γを取得する。そして、制御部20は、当該取得した現在のバッテリ残量γが下限値以下あるか否かを判定する。ここで、下限値とは、上述のように、例えば電欠を防ぐこと、および、バッテリ150の保護の観点から定められる値であり、例えば満充電に対して「20%」程度が想定される。このステップS20において、現在のバッテリ残量γが下限値以下であると判定した場合には、制御部20は処理をステップS20に進める。
【0049】
ステップS20において、制御部20は、充電提案部21bの機能により、即時充電提案を行う。すなわち、制御部20は、雨天時中ではあるものの、現在のバッテリ残量γが下限値に達している状態であるため、即時に充電提案を行う。バッテリ150の電欠を防ぐためである。
【0050】
一方、上述のステップS10において、否定的に判定された場合、すなわち現在のバッテリ残量γが下限値より大きいと判定された場合には、この
図4のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0051】
なお、ステップS10で否定的に判断された場合には、雨天時中は、現在のバッテリ残量γが下限値に達するまでは
図4の処理を繰り返し実行することになるが、雨が止んだ場合には、通常の充電タイミングで充電提案(ステップS3と同じ処理)が実行されることになる。すなわち、天候が晴れまたは曇りの際に、現在のバッテリ残量γが通常の充電タイミングである充電時のバッテリ残量αに達したら、制御部20は充電提案を行う。例えばステップS2で特定した天候情報の通りn日(例えば3日)経過した翌日が晴れまたは曇りの場合には、制御部20は、バッテリ残量γが充電時のバッテリ残量αに達しているか判定し、当該充電時のバッテリ残量αに達している場合には、充電提案を行う。また、ステップS2で特定した天候情報が外れ、n日の間に晴れまたは曇りとなった場合(例えば3日間雨予想で2日目に晴れまたは曇りの場合)には、制御部20は、n日の間に晴れまたは曇りとなったその日の現在のバッテリ残量γが充電時のバッテリ残量αに達しているか判定し、当該充電時のバッテリ残量αに達している場合には、充電提案を行う。
【0052】
以上のように、本実施形態において、制御部20は、本日の天候が晴れまたは曇り、かつ明日以降の天候が雨の場合に、雨を避けたいユーザに対して、現在のバッテリ残量γが充電実績に基づく充電時のバッテリ残量αと雨天時における推定電力使用量(β×n)との和以下である場合に、充電の提案を行う。すなわち、雨を避けたいユーザは、雨の日に充電を行う可能性が低いことから、雨が続いた場合には、バッテリ残量が充電実績に基づくバッテリ残量αを下回る可能性が高い。そこで、雨が予想される場合に雨天時以外の日に充電を行うことができるように、充電時のバッテリ残量に雨天時の推定電力使用量を加味したタイミングで充電提案を行う。つまり、本実施形態において、制御部20は、明日以降雨が予想される場合には、通常の充電タイミングより早いタイミングで充電提案を行う。これにより、雨を避けたいユーザに対して、雨天時以外の日に充電を提案できる可能性を高めることができ、その結果、屋根の有無に拘わらずユーザ車両100の現在位置に最も近い充電施設等を提案することができる。すなわち、雨を避けるためにユーザに対して屋根のある充電施設のみを提案することを回避でき、ユーザ車両100の現在位置に応じた当該現在位置から近い充電施設の案内が可能となる。言い換えれば、本実施形態においては、雨天時以外の日に充電提案を行うことで、雨天時に屋根がある充電施設のみを案内する場合に比べて、案内し得る充電施設の選択肢が増えることになり、その結果、ユーザ車両100の現在位置に最も近い充電施設等の案内が可能になる。そして、このように、ユーザ車両100の現在位置に近い充電施設の案内が可能になることで、現在位置から遠くの充電施設を案内することを回避もしくは抑制できるため、当該案内によりユーザに対して不快感等を与えることを回避もしくは抑制できる。
【0053】
また、本実施形態においては、上述のように、通常の充電タイミングより早いタイミングで充電提案を行うことにより、例えば雨での充電を避けるためにユーザが充電を行わない可能性を低減できるため、バッテリが電欠になることを回避または抑制できる。
【0054】
また、本実施形態においては、制御部20は、充電実績に基づく充電時のバッテリ残量αが閾値未満であるユーザに対して充電提案を行う。この閾値は、上述のように、充電実績情報30aに基づいて特定される充電時のバッテリ残量における各ユーザの平均値であるから、当該閾値より充電時のバッテリ残量αが低いユーザは、閾値を基準としてバッテリ残量に比較的余裕がない状態で充電を行うユーザであると言い得る。このようなユーザは、バッテリ残量に比較的余裕がある状態で充電を行うユーザと比較して、雨が連続する場合に電欠になる可能性が高い。制御部20は、このようなユーザを対象にして充電提案を行うことで、雨が連続する場合にバッテリが電欠になる可能性が相対的に高くても、雨での充電を避けられる可能性を高めることができるとともに、当該バッテリが電欠になることを回避または抑制できる。
【0055】
また、本実施形態においては、制御部20は、充電実績に基づく充電時のバッテリ残量αが閾値以上であるユーザに対して、雨天時に現在のバッテリ残量γが下限値以下である場合に、充電提案を行う。上述のように、閾値は、充電実績情報30aに基づいて特定される充電時のバッテリ残量における各ユーザの平均値であるから、充電時のバッテリ残量αが当該閾値以上のユーザは、閾値を基準としてバッテリ残量に比較的余裕がある状態で充電を行うユーザであると言い得る。このようなユーザにおけるユーザ車両は、電欠になる可能性は低いが、雨での充電を避けるユーザであることから、雨天が続いた場合には電欠になる可能性もあり得る。制御部20は、このようなユーザに対して、雨天時に現在のバッテリ残量γが下限値以下である場合に、充電提案を行うことで、当該ユーザにおけるユーザ車両のバッテリが電欠になることを回避または抑制できる。
【0056】
また、本実施形態において、制御部20は、晴天時または曇りの時の現在のバッテリ残量γが充電実績に基づく充電時のバッテリ残量α未満の場合に、充電提案を行う。すなわち、制御部20は、雨が降っていないタイミングにおいて、現在のバッテリ残量が充電実績に基づく充電時のバッテリ残量未満である場合に、充電の提案を行う。例えばn日雨が続く予想に反して、n日の間に晴れた際に、現在のバッテリ残量γが充電実績に基づく充電時のバッテリ残量α未満の場合に、制御部20は、充電提案を行う。これにより、ユーザは、現在のバッテリ残量γが充電実績に基づく充電時のバッテリ残量α未満であることを認識でき、ユーザ自身にとっては即時に充電を行う必要があることを把握できる。
【0057】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。上述の実施形態においては、ステップS4において、ユーザ車両の雨天時の充電実績が基準値未満か否かを判定する際の「基準値」を、ユーザ車両の充電を行う区画の天候において年間で雨が降る確率として説明したものの、この基準値は、ユーザが雨を避けるユーザであること判定できればよく、少なくとも当該区画における年間で雨が降る確率未満であればよい。したがって、例えばこの年間で雨が降る確率に対して1未満の所定の係数(例えば0.7)を乗算するなどしてもよい。
【0058】
また、上述の実施形態においては、ステップS6において、制御部20は、γ≦α+β×nが成立する場合に充電提案を行う説明をしたものの、例えば1日当たりの平均電力使用量βにバラツキがあるユーザ(例えば週毎や月毎で当該バラツキが所定値以上のユーザ)、「β」は、1日当たりの平均電力使用量としての精度が低くなる。このようなユーザに対して、制御部20は、ステップS6を実行せずに、ステップS3の通常の充電タイミングで充電提案を行ってもよい。また、この場合には、ステップS5の充電時のバッテリ残量αが閾値未満であるかの判定処理を実行しなくてもよい。
【0059】
また、上述の実施形態において、ステップS2で明日以降の天候が、雨、風が警報レベル(例えば天候情報管理システム200から取得した天候情報に基づいて、雨量や風速が所定雨量以上、所定風速以上)、台風、雪などの荒天が予想される場合には。制御部20は、充電時のバッテリ残量αに拘わらず、制御部20は、「γ≦α+β」のタイミングで充電提案を行ってもよい。なお、荒天がn日続くことが予想される場合には、制御部20は、「γ≦α+β×n」のタイミングで充電提案を行ってもよい。
【0060】
また、上述の実施形態において、制御部20は、ステップS5の処理を実行しなくてもよい。すなわち充電時のバッテリ残量αに拘わらず、雨天時の充電実績が基準値未満であるユーザに対して、「γ≦α+β×n」で充電提案を行ってもよい。
【0061】
なお、上述の実施形態において、対象となる車両は、充電施設でバッテリの充電を行うことが想定される車両であればよい。したがって、対象となる車両は、上述の電気自動車(BEV)に限られず、エンジンを駆動力源として備えたプラグインハイブリッド車、エンジンを発電専用として備えたいわゆるレンジエクステンダーEVなどであってもよい。
【0062】
また、上述の実施形態は、充電の提案に替えてガソリンを給油する際の給油の提案に応用されてもよい。その場合には、駆動力源としてエンジンを備えた車両が対象車両とされてよい。
【0063】
また、上述の実施形態において、ユーザがユーザI/F部160を操作することにより目的地を設定している場合には、目的地までの経路を走行することで本日のバッテリの電力使用量δが想定できる。そのような場合、上述の
図3の処理を応用してもよい。例えば制御部20は、地図情報30bを参照して、目的地までの経路上で、現在のバッテリ残量γが充電時のバッテリ残量αとなる地点を現在のバッテリ残量γと電力使用量δとに基づいて特定し、当該特定した地点の周辺(例えば半径500m以内)に充電施設が存在しない場合に、「γ≦α+δ」のタイミングで充電提案を行ってもよい。
【0064】
また、上述の実施形態を構成する各システムや構成は、機能を共有したより少ない装置で構成されてもよい。このような例としては、
図1に示す少なくとも1台のシステムや構成が、他の1台以上のシステムや構成と同一の装置で構成される例が挙げられる。例えば、充電提案システム10とユーザ車両100とが一体の装置で構成されていてもよいし、充電提案システム10と天候情報管理システム200とが一体の装置で構成されてもよいし、ユーザ車両100と天候情報管理システム200とが一体の装置で構成されてもよい。また、充電提案システム10の一部(取得部21a、充電提案部21bの少なくとも一部)の機能が充電提案システム10で実現されてもよい。さらに、
図1に示すシステムがより多数のシステムで構成されてもよい。例えば、充電提案システム10がクラウドサーバで構成されてもよい。
【0065】
また、充電提案システム10を構成する各部(取得部21a、充電提案部21b)の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していてもよい。さらに、上述の実施形態の一部の構成が省略される構成や、処理が変動または省略される構成も想定し得る。
【0066】
さらに、本発明の手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0067】
10…充電提案システム、20…制御部、21…充電提案プログラム、21a…取得部、21b…充電提案部、30…記録媒体、30a…充電実績情報、30b…地図情報、40…通信部、100…ユーザ車両、110…制御部、120…測位部、130…記録媒体、130a…地図情報、140…通信部、150…バッテリ、160…ユーザI/F部、200…天候情報管理システム。