(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127262
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240912BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036292
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 知博
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC13
5L050CC13
(57)【要約】
【課題】ユーザにおける、特定のエリアからの退場によるストレスを低減する。
【解決手段】管理装置は、複数の乗り物が位置する特定のエリアからの乗り物の退場の困難性を判定する判定部と、前記退場の困難性が基準以上である場合に、前記特定のエリアに位置する第1の乗り物のユーザに、前記特定のエリアからの前記第1の乗り物の退場時刻を調整するように依頼をするとともに、前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場するとインセンティブを付与する旨を通知する依頼部と、前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場した場合には、前記ユーザに前記インセンティブを付与する付与部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の乗り物が位置する特定のエリアからの乗り物の退場の困難性を判定する判定部と、
前記退場の困難性が基準以上である場合に、前記特定のエリアに位置する第1の乗り物のユーザに、前記特定のエリアからの前記第1の乗り物の退場時刻を調整するように依頼をするとともに、前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場するとインセンティブを付与する旨を通知する依頼部と、
前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場した場合には、前記ユーザに前記インセンティブを付与する付与部と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記退場の困難性または、前記特定のエリアにおける前記第1の乗り物の位置に基づき、前記インセンティブを決定する決定部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記付与部は、前記依頼が行われたことを前記ユーザが確認した後に、前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場した場合には、前記インセンティブとともに第2のインセンティブを前記ユーザに付与する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記インセンティブは、前記特定のエリアに関連する施設で利用可能なクーポンまたはポイントである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項5】
前記特定のエリアを撮像した画像から前記特定のエリアに位置する1または複数の乗り物のナンバープレートを認識して、前記認識した1または複数の乗り物のナンバープレートの情報に基づき前記ユーザを識別する識別部をさらに有し、
前記依頼部は、前記退場の困難性が基準以上である場合に、前記識別部により識別された前記ユーザが所持する端末に情報を送信することによって、前記依頼をするとともに、前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場するとインセンティブを付与する旨を通知する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記特定のエリアを撮像した画像に基づき、前記退場の困難性を判定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項7】
前記退場の困難性は、現在の時間帯、前記特定のエリアの環境、前記特定のエリアの通路部分に位置する乗り物の台数、前記特定のエリアの出口からの退場を待っている乗り物の台数、および、前記出口に接する外部の道路の環境の少なくともいずれかに応じた度合いである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項8】
前記依頼部は、前記退場の困難性が基準以上である場合であっても、前記第1の乗り物の位置が特定の位置でない場合には、前記特定のエリアからの前記第1の乗り物の退場時刻を調整するように前記ユーザに依頼をしない、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項9】
コンピュータが行う管理方法であって、
複数の乗り物が位置する特定のエリアからの乗り物の退場の困難性を判定する判定ステップと、
前記退場の困難性が基準以上である場合に、前記特定のエリアに位置する第1の乗り物のユーザに、前記特定のエリアからの前記第1の乗り物の退場時刻を調整するように依頼をするとともに、前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場するとインセンティブを付与する旨を通知する依頼ステップと、
前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場した場合には、前記ユーザに前記インセンティブを付与する付与ステップと、
を有することを特徴とする管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の管理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のエリアからの退場を管理するための管理装置、管理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの駐車場の利便性を向上させるべく、駐車場におけるスムーズな車の出入りを実現させることが求められている。特許文献1では、複数の出入り口を備えた駐車場において、駐車場内の混雑度と駐車場外の混雑度とに基づき、スムーズに出入りが可能な出入り口をユーザに推奨するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-026681号公報
【特許文献2】特開2023-006330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、例えば、駐車場の近くの敷地においてイベントが実行されて、多くの車が同時に駐車場から退場を試みる場合がある。この場合には、特許文献1のように、複数の出入り口が駐車場に備えられていたとしても、全ての出入り口で混雑状態が生じてしまうため、駐車場からの退場が可能になるまで多くの人が車内で待っているという状態が生じてしまう。このため、多くのユーザが、駐車場からの退場をストレスに感じてしまい、結果として駐車場およびイベントに悪い印象を有してしまう可能性がある。または、顧客満足度の低下が生じる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザにおける、特定のエリアからの退場のストレスを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用する。
【0007】
すなわち、本発明の一側面に係る管理装置は、複数の乗り物が位置する特定のエリアからの乗り物の退場の困難性を判定する判定部と、前記退場の困難性が基準以上である場合に、前記特定のエリアに位置する第1の乗り物のユーザに、前記特定のエリアからの前記第1の乗り物の退場時刻を調整するように依頼をするとともに、前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場するとインセンティブを付与する旨を通知する依頼部と、前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場した場合には、前記ユーザに前記インセンティブを付与する付与部と、を有することを特徴とする管理装置である。特定のエリアとは、例えば、駐車場、駐輪場、駐車場における駐車エリア、乗り物の待機エリアなどである。基準は、例えば、特定のエリアの運営者などが予め決定した基準である。
【0008】
このような構成によれば、ユーザは、単に退場時刻を調整するように依頼される場合よりも、インセンティブの付与がある場合の方が、退場時刻を調整しようと心理的に考えやすくなる。このため、ユーザは、退場時刻を調整した場合であっても、退場にストレスを感じにくい。また、退場時刻を調整しなかった他のユーザは、退場時刻を調整したユーザが存在する影響で、退場が容易になるため、退場にストレスを感じにくい。このため、多
くのユーザに与える、退場のストレスを低減することができる。または、顧客満足度を向上させることが可能である。
【0009】
上記の管理装置は、前記退場の困難性または、前記特定のエリアにおける前記第1の乗り物の位置に基づき、前記インセンティブを決定する決定部をさらに有していてもよい。退場の困難性に基づきインセンティブが決定されることによれば、退場の困難性をどの程度解消させるかに応じた適切なインセンティブが決定できる。つまり、インセンティブによって適切に退場の困難性を制御することが可能になる。一方、第1の乗り物の位置に基づきインセンティブが決定されることによれば、第1の乗り物の位置がユーザに与える感情に応じて適切なインセンティブが決定できる。例えば、特定のエリアの出口から遠い乗り物のユーザは、退場までに時間がかかることを予め想定しているため、退場時刻をずらすことに抵抗を感じない可能性がある。一方で、特定のエリアの出口から近い乗り物のユーザは、特定のエリアからすぐ退場するために、その位置に乗り物を配置させている可能性が高いため、退場時刻をずらすことに抵抗を感じる可能性がある。よって、例えば、決定部は、特定のエリアの出口から近いほど、有益な(高価な)インセンティブを決定する。
【0010】
上記の管理装置において、前記付与部は、前記依頼が行われたことを前記ユーザが確認した後に、前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場した場合には、前記インセンティブとともに第2のインセンティブを前記ユーザに付与してもよい。これによれば、ユーザは、第2のインセンティブが付与される可能性があるという、依頼の存在を確認するメリットを把握できる。よって、依頼が行われていないかをユーザが確認する可能性が向上するため、さらに依頼に従った退場が行われる可能性が向上する。
【0011】
上記の管理装置において、前記インセンティブは、前記特定のエリアに関連する施設で利用可能なクーポンまたはポイントであってもよい。これによれば、特定のエリアに関連する施設でインセンティブを利用するために、ユーザは、その施設を利用する可能性が高い。このため、その施設を運営する者にメリットがある。また、その施設が特定のエリアの近隣の施設であれば、再び、特定のエリアをユーザが利用する可能性が向上する。
【0012】
上記の管理装置において、前記特定のエリアを撮像した画像から前記特定のエリアに位置する1または複数の乗り物のナンバープレートを認識して、前記認識した1または複数の乗り物のナンバープレートの情報に基づき前記ユーザを識別する識別部をさらに有し、前記依頼部は、前記退場の困難性が基準以上である場合に、前記識別部により識別された前記ユーザが所持する端末に情報を送信することによって、前記依頼をするとともに、前記依頼に従って前記第1の乗り物が前記特定のエリアから退場するとインセンティブを付与する旨を通知してもよい。これによれば、ユーザの識別からインセンティブの付与までを、人の操作を必要とすることなく実現できる。このため、深夜などの人が一般的に働かない時間であっても、ユーザの識別からインセンティブの付与までを実現できる。
【0013】
上記の管理装置において、前記判定部は、前記特定のエリアを撮像した画像に基づき、前記退場の困難性を判定してもよい。
【0014】
上記の管理装置において、前記退場の困難性は、現在の時間帯、前記特定のエリアの環境、前記特定のエリアの通路部分に位置する乗り物の台数、前記特定のエリアの出口からの退場を待っている乗り物の台数、および、前記出口に接する外部の道路の環境の少なくともいずれかに応じた度合いであってもよい。例えば、退場の困難性が、特定のエリアの出口からの退場を待っている乗り物の台数、および、出口に接する外部の道路の環境に応じた度合いであれば、管理装置は、特定のエリアからの退場の需要と供給との両方の観点から退場時刻の調整の依頼をすべきかを判定することができる。
【0015】
上記の管理装置において、前記依頼部は、前記退場の困難性が基準以上である場合であっても、前記第1の乗り物の位置が特定の位置でない場合には、前記特定のエリアからの前記第1の乗り物の退場時刻を調整するように前記ユーザに依頼をしなくてもよい。これによれば、退場の困難性が基準以上である場合であっても、依頼を行うユーザと依頼を行わないユーザを分けることができる。このため、特定のエリアに乗り物が位置する全てのユーザが依頼に従うことによって現在の退場の困難性が必要以上に低下してしまう可能性を低減できる。つまり、長い時間(例えば、1日単位)で見た場合に、依頼に起因して特定のエリアからの退場の効率が下がる可能性を低減できる。
【0016】
なお、本発明は、上述した機能および処理の少なくとも一部を含む電子機器、情報処理装置、管理システム、駐車場管理システム、処理システム、支援システム、管理方法、処理方法、支援方法と捉えることができる。また、本発明は、管理装置の各部(管理方法の各ステップ)をコンピュータに実行させるプログラム、または、当該プログラムを非一時的に記憶した記憶媒体(記録媒体)などとして捉えることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザにおける、特定のエリアからの退場のストレスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】
図3Aはユーザ情報を説明する図であり、
図3Bはユーザ端末における表示を説明する図であり、
図3Cは退場時刻およびインセンティブを説明する図である。
【
図4】
図4は、ユーザの識別処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、調整依頼を行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は説明する実施形態に限定されない。また、実施形態で説明される構成要素の全てが本発明に必須とは限らない。
【0020】
<実施形態1>
実施形態1では、
図1に示すように、駐車場における複数の駐車エリア10(駐車エリア10A~10C)において、駐車エリア10から出入り口11(出入り口11A~11C,11C’)を介して車が退場する場合について説明する。出入り口11は、出口と入口を兼ねる。
【0021】
管理システム1は、駐車エリア10からの車の退場の困難性が基準以上である場合に、駐車エリア10に位置する車のユーザに、駐車エリア10からの退場時刻を調整するように依頼をする。また、管理システム1は、「この依頼に従ってユーザが駐車エリア10から退場するとインセンティブを付与する」旨をユーザに通知する。そして、管理システム1は、この依頼に従ってユーザが駐車エリア10から退場した場合には、インセンティブをユーザに付与する。
【0022】
ここで、駐車エリア10からの車の退場の困難性は、各車ごとに個別の度合いが決定されていてもよいし、駐車エリア10につき1つの度合いが決定されていてもよい。駐車エリア10からの車の退場の困難性は、例えば、駐車エリア10の混雑度であってもよい。インセンティブとは、人の需要または欲望を満たす利益であれば、任意の利益であってよ
い。インセンティブとは、例えば、駐車場に関連する施設(駐車場に隣接する施設)で利用可能なポイントまたはクーポンである。駐車場に関連する施設で利用可能なポイントまたはクーポンが付与されれば、駐車場に関連する施設を利用するために、駐車場(駐車エリア10)をユーザに再度利用してもらえる可能性が向上する。また、インセンティブとは、駐車場に隣接する球場の特定の席の優先予約権(特定の席を優先的に予約可能な権利)であってもよい(
図3C参照)。インセンティブとは、今回または次回の駐車場の使用料金の割引であってもよい。
【0023】
これによれば、ユーザは、単に退場時刻を調整するように依頼される場合よりも、インセンティブの付与がある場合の方が、退場時刻を調整しようと心理的に考えやすくなる。このため、ユーザは、退場時刻を調整した場合であっても、駐車エリア10からの退場にストレスを感じにくい。また、退場時刻を調整しなかった他のユーザは、退場時刻を調整したユーザが存在する影響で、駐車エリア10からの車の退場が容易になるため、駐車エリア10からの退場にストレスを感じにくい。このため、多くのユーザに与える、駐車場からの退場のストレスを低減することができる。
【0024】
(管理システムの構成)
図2を参照して、管理システム1の構成について説明する。管理システム1は、管理装置20、複数の撮像装置30(撮像装置30A~30C)、複数のユーザ端末40(40A~40D)を有する。
【0025】
管理装置20は、例えば、サーバなどである。管理装置20は、複数の撮像装置30と通信可能に接続する。管理装置20は、ネットワーク50を介して、複数のユーザ端末40と通信可能に接続する。
【0026】
管理装置20は、駐車エリア10からの車の退場の困難性(駐車エリア10の混雑度)を判定する。管理装置20は、退場の困難性が基準以上である場合には、その駐車エリア10に位置する車のユーザに、駐車エリア10からの退場時刻を調整するような依頼(以下、「調整依頼」と呼ぶ)をする。また、管理装置20は、「調整依頼に従ってユーザが駐車エリア10から退場した場合には、インセンティブを付与する」旨をユーザに通知する。
【0027】
撮像装置30は、駐車エリア10を撮像する撮像装置(カメラ)である。撮像装置30は、駐車エリア10に設置されている。例えば、撮像装置30Aは、駐車エリア10Aを撮像し、撮像装置30Bは、駐車エリア10Bを撮像する。撮像装置30Cは、駐車エリア10Cを撮像する。撮像装置30は、駐車エリア10を撮像することによって取得した画像(以下、「撮像画像」と呼ぶ)を、管理装置20に送信する。なお、各駐車エリア10に1台の撮像装置30が設置されるのではなく、各駐車エリア10に複数台の撮像装置30が設置されていてもよい。
【0028】
ユーザ端末40は、車のユーザが所有する端末(スマートフォン、タブレット端末、またはパーソナルコンピュータ)である。ユーザ端末40には、調整依頼をユーザに通知可能なアプリケーション(以下、「通知アプリケーション」と呼ぶ)がインストールされている(
図3B参照)。なお、ユーザは、「ユーザ端末40を用いることにより調整依頼の内容を認識可能なWEBサイト」に登録していてもよい。
【0029】
また、ユーザは、車とユーザとを対応付ける(紐づける)ために、通知アプリケーションを介してユーザ情報(
図3Aに示すような、ユーザの氏名、ユーザのアカウント、および車のナンバープレートの画像など)を管理装置20に登録する。なお、車のナンバープレートの画像には、ユーザ端末40に備えられたカメラが車のナンバープレートを撮像し
た画像を用いる。また、車のナンバープレートの画像の代わりに、車のナンバープレートの文字列の情報を用いてもよい。また、実施形態1では、ユーザは、通知アプリケーションを用いて、駐車エリア10からの退場時の料金支払い(決済)を行うことが可能である。なお、通知アプリケーションを用いれば、駐車エリア10に関連する施設における買い物またはネットショッピングなどの決済も可能であってもよい。
【0030】
(管理装置の内部構成)
管理装置20は、画像取得部201、格納部202、認識部203、判定部204、位置取得部205、決定部206、依頼部207、付与部208を有する。
【0031】
画像取得部201は、駐車エリア10を撮像した画像(撮像画像)を撮像装置30から取得する。
【0032】
格納部202は、撮像画像を格納するとともに、ユーザがユーザ端末40を用いて登録したユーザ情報を格納する。格納部202は、管理装置20が各種の処理を実現するためのプログラムも格納する。
【0033】
認識部203は、撮像画像に写る車のナンバープレートを認識する。また、認識部203は、ユーザ情報を参照して、認識したナンバープレートに対応するユーザを識別する。
【0034】
判定部204は、撮像画像に基づき、駐車エリア10からの退場の困難性を判定する。駐車エリア10からの退場の困難性は、駐車エリア10からの車の退場しにくさを表す度合いである。駐車エリア10からの退場の困難性は、駐車エリア10から車が退場しにくいほど、高い値であれば任意の値であってよい。
【0035】
駐車エリア10からの退場の困難性は、例えば、駐車エリア10の通路部分12(通路部分12A~12C)の面積に対する、その通路部分12に位置する車の台数の割合である。また、駐車エリア10からの退場の困難性は、出入り口11(出口)からの退場を待っている車の台数(=出入り口11に並んでいる車の台数)であってもよい。さらには、駐車エリア10からの退場の困難性は、出入り口11(出口)に接する外部道路(駐車エリア10の外部の道路)の環境に応じた度合いであってもよい。具体的には、駐車エリア10からの退場の困難性は、外部道路が狭いほど、または、外部道路の混雑度が高いほど、高くてもよい。駐車エリア10からの退場の困難性は、例えば、駐車エリア10(駐車場)の近隣施設からの退場の困難性に応じた度合いであってもよい。この場合には、近隣施設からの退場の困難性が高いほど、駐車エリア10からの退場の困難性も高くてもよい。近隣施設からの退場の困難性が高いほど、近隣施設から多くの人が退場している状態であることが想定され、駐車エリア10の混雑が想定できるためである。駐車エリア10からの退場の困難性は、例えば、空が暗い時間帯ほど車の退場がしにくいといえるため、時間帯に応じた度合いであってもよい。駐車エリア10からの退場の困難性は、例えば、雨または雪が降っている場合には車の退場がしにくいといえるため、駐車エリア10の環境に応じた度合いであってもよい。なお、駐車エリア10からの退場の困難性は、1つの値であってもよいし、
図3Cに示すように2つ以上の値の組み合わせであってもよい。
【0036】
位置取得部205は、撮像画像に基づき、駐車エリア10における車の位置の情報を取得する。具体的には、撮像装置30は駐車エリア10の固定位置に固定の方向を向くように設定されている。このため、位置取得部205は、撮像画像における車の位置から駐車エリア10における車の位置を判定可能である。または、位置取得部205は、撮像装置30の位置または方向が固定されていない場合でも、駐車エリア10では出入り口11および標識などの位置が固定されているため、撮像画像における車と出入り口11などとの位置関係に基づき、車の位置を判定できる。
【0037】
なお、位置取得部205は、管理装置20と車とが通信可能である場合には、車がGPS(Global Positioning System)などを用いて取得した車の位置の情報を取得してもよい。
【0038】
決定部206は、判定部204が判定した駐車エリア10からの退場の困難性に基づき、駐車エリア10に位置する車のユーザに調整依頼を行うか否かを判定する。具体的には、決定部206は、退場の困難性が基準以上である場合には、調整依頼を行うと決定する。
【0039】
また、決定部206は、調整依頼を行う場合には、駐車エリア10に位置する車の位置と退場の困難性とに基づき、調整依頼に従って退場が行われた場合のインセンティブ(以下、「遵守インセンティブ」と呼ぶ)を決定する。決定部206は、例えば、「退場の困難性と車の位置との組み合わせ」と、「退場時刻とインセンティブとの組み合わせ」との対応関係を示すデータベース(
図3C参照)を用いて、退場の困難性と車の位置に基づき遵守インセンティブを決定する。このデータベースは、駐車場(駐車エリア10)の運営者または管理装置20の管理者により予め設定されており、かつ、格納部202に格納されている。
【0040】
さらに、決定部206は、調整依頼を行う場合には、駐車エリア10に位置する車の位置と退場の困難性とに基づき、調整依頼に用いる退場時刻(ユーザに依頼する退場時刻)を決定する。決定部206は、例えば、
図3Cに示すデータベースを用いて、車の位置と退場の困難性とから、退場時刻を決定する。例えば、決定部206は、現在、出入り口11で退場待ちしている車の台数が16台であり、かつ、その16台目の車が退場できるまで22分かかると想定できる場合には、出入り口11から10m以内の車のユーザに依頼する退場時刻として、現在から30分以降を決定する。
【0041】
依頼部207は、決定部206が駐車エリア10に位置する車のユーザに調整依頼を行うと判定した場合に、ユーザ端末40を介してユーザに調整依頼を行う。
【0042】
付与部208は、ユーザが調整依頼に従って退場を行った場合に、ユーザに遵守インセンティブを付与する。付与部208は、例えば、撮像画像に基づき、車が出入り口11を通ったタイミングに応じて、ユーザが調整依頼に従って退場を行ったか否かを判定する。または、付与部208は、ユーザが通知アプリケーションを用いて料金支払い(駐車エリア10からの退場時の料金支払い)を完了させたタイミングに応じて、ユーザが調整依頼に従って退場を行ったか否かを判定してもよい。
【0043】
なお、管理装置20は、CPU(プロセッサ;制御装置)またはメモリ、ストレージを備えるコンピュータにより構成することができる。この場合には、
図2に示す構成は、ストレージ(記録媒体;記憶媒体)に格納されたプログラムをメモリにロードし、CPUが当該プログラムを実行することによって実現されるものである。あるいは、管理装置20における構成の全部または一部を、ASICやFPGAなどで構成してもよい。あるいは、構成の全部または一部を、クラウドコンピューティングや分散コンピューティングにより実現してもよい。
【0044】
図4のフローチャートを参照して、撮像画像に基づきユーザを識別する処理(管理装置20が実行するユーザ識別処理)を説明する。
図4のフローチャートの処理は、一定期間(例えば、10秒または30秒など)ごとに開始する。
【0045】
ステップS1001では、画像取得部201は、撮像装置30(撮像装置30A~30
C)から撮像画像を取得する。
【0046】
ステップS1002では、認識部203は、撮像画像に写る全てのナンバープレート(1または複数のナンバープレート)を認識する。ここでは、例えば、特許文献2に示すような、ナンバープレートを判定するための画像認識の技術を用いることができる。
【0047】
以下のステップS1003~S1005の処理は、ステップS1002にて認識されたナンバープレートごとに実行される。以下では、ステップS1003~S1005の処理の実行の対象のナンバープレートを「対象ナンバープレート」と呼ぶ。
【0048】
ステップS1003では、認識部203は、対象ナンバープレートが予め登録されたナンバープレートであるか否かを判定する。つまり、認識部203は、登録されたユーザ情報に、対象ナンバープレートの情報(画像)が含まれているか否かを判定する。対象ナンバープレートが予め登録されたナンバープレートであると判定された場合には、ステップS1004に進む。対象ナンバープレートが予め登録されたナンバープレートでないと判定された場合には、対象ナンバープレートに関する本フローチャートの処理が終了する。
【0049】
ステップS1004では、認識部203は、登録されたユーザ情報(格納部202に格納されたユーザ情報)を参照して、対象ナンバープレートに紐づくユーザを識別する。
【0050】
ステップS1005では、認識部203は、対象ナンバープレートに紐づくユーザのアカウント(ユーザアカウント)を取得する。管理装置20は、ユーザアカウントが特定できれば、通知アプリケーションを介して、ユーザアカウントに紐づくユーザ端末40に通知(情報の送信)を行うことが可能になる。
【0051】
図5のフローチャートを参照して、管理装置20が調整依頼をユーザに行う処理について説明する。なお、以下では、「駐車エリア10A」に位置する車のユーザU1に対して調整依頼を行う場合について説明する。また、ユーザU1の所持するユーザ端末40を「ユーザ端末40A」であると仮定して説明する。
【0052】
ステップS2001では、判定部204は、駐車エリア10Aを撮像した画像に基づき、駐車エリア10Aからの車の退場の困難性を判定する。ここでは、ユーザU1の車の退場の困難性が判定されてもよいし、駐車エリア10Aの中心部付近に位置する車の退場の困難性が判定されてもよいし、駐車エリア10Aに位置する全ての車の退場の困難性の平均が判定されてもよい。
【0053】
ステップS2002では、決定部206は、駐車エリア10Aからの車の退場の困難性が基準以上であるか否かを判定する。ここで、「基準」は、駐車場(駐車エリア10)の運営者または管理装置20の管理者によって予め決定されていてもよい。また、管理装置20が、出入り口11Aから車が退場するための最大待ち時間が所定時間以内になるような退場の困難性を「基準」として決定してもよい。退場の困難性が基準以上であると判定された場合には、ステップS2003に進む。退場の困難性が基準未満であると判定された場合には、ユーザU1には調整依頼が行われずに、本フローチャートの処理が終了する。
【0054】
ステップS2003では、位置取得部205は、駐車エリア10Aを撮像した画像(撮像画像)に基づき、ユーザU1の車の位置を取得する。
【0055】
ステップS2004では、位置取得部205は、ユーザU1の車の位置が特定の位置であるか否かを判定する。特定の位置とは、例えば、出入り口11Aにたどり着くまでに時
間がかかるような、出入り口11Aから所定距離よりも遠い位置である。または、特定の位置とは、駐車スペースA10~A13であってもよい。ユーザU1の車の位置が特定の位置であると判定された場合には、ステップS2005に進む。ユーザU1の車の位置が特定の位置でないと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。
【0056】
例えば、出入り口11Aから所定距離よりも遠い位置の車のユーザのみに調整依頼が行われることによれば、出入り口11Aにたどり着くのに時間を要しにくい位置の車を優先的に退場させることができるため、効率的な車の退場を実現できる。また、ステップS2004によれば、車の位置に応じて、調整依頼が行われるユーザと調整依頼が行われないユーザとを分けることができる。これによれば、駐車エリア10Aに車が位置する全てのユーザが調整依頼に従って退場を行ってしまった結果、現在における駐車エリア10Aからの退場が必要以上に容易になってしまう可能性を低減できる。つまり、調整依頼に起因して駐車エリア10Aからの退場の効率が下がる可能性を低減できる。
【0057】
なお、駐車エリア10Aに位置する多くの車のユーザが、調整依頼に従うことが想定できない、または、ユーザ情報を管理装置20に登録していない場合には、調整依頼に従うユーザの数が限られるため、ステップS2004の処理が行われなくてもよい。この場合には、ステップS2003の処理が終了すると、ステップS2005の処理が行われてもよい。
【0058】
ステップS2005では、決定部206は、ステップS2001にて判定された退場の困難性、および、ユーザU1の車の位置に基づき、遵守インセンティブを決定する。また、決定部206は、退場の困難性およびユーザU1の車の位置に基づき、調整依頼に用いる退場時刻を決定する。なお、決定部206は、ステップS2001にて判定された退場の困難性、および、ユーザU1の車の位置のいずれか一方に基づき、遵守インセンティブおよび退場時刻を決定してもよい。
【0059】
ステップS2006では、依頼部207は、退場時刻の情報を含む調整依頼とともに、遵守インセンティブの内容をユーザU1のユーザ端末40Aに通知(送信)する。ユーザ端末40Aは、調整依頼および遵守インセンティブの内容が依頼部207から通知されると、
図3Bに示すように、調整依頼および遵守インセンティブの内容をユーザU1に通知する。
図3Bでは、ユーザ端末40Aの表示面の領域310に、「退場時刻以降に退場することを依頼し、かつ、その依頼に従った退場が行われた場合には遵守インセンティブが付与される旨」が表示されている。
【0060】
ステップS2007では、付与部208は、駐車エリア10Aを撮像した画像に基づき、ユーザU1の車が駐車エリア10Aから退場したか否かを判定する。ユーザU1の車が駐車エリア10Aから退場したと判定された場合には、ステップS2008に進む。ユーザU1の車が駐車エリア10Aから退場していないと判定された場合には、ステップS2007の処理が繰り返される。
【0061】
ステップS2008では、付与部208は、調整依頼に従ってユーザU1の車が退場を行ったか否かを判定する。具体的には、付与部208は、調整依頼に含まれる退場時刻(
図3Bの例では、16:00)以降にユーザU1の車が退場を行ったか否かを判定する。調整依頼に従ってユーザU1の車の退場が行われたと判定された場合には、ステップS2009に進む。調整依頼に従ってユーザU1の車の退場が行われていないと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。
【0062】
ステップS2009では、付与部208は、遵守インセンティブをユーザU1に付与する。例えば、付与部208は、ユーザU1の通知アプリケーションにおいてポイントを付
与する。ユーザU1は、通知アプリケーションと連携する他のアプリケーションなどで、付与されたポイントを利用することができる。
【0063】
ステップS2010では、付与部208は、ユーザU1の車が駐車エリア10Aから退場するよりも前に、ユーザU1が調整依頼を確認していたか否かを判定する。例えば、
図3Bに示すように、付与部208は、ユーザU1のユーザ端末40Aの表示面に領域310が表示されている状態で、車が駐車エリア10Aから退場するよりも前に、確認ボタン311が選択(押下)されていれば、ユーザU1が調整依頼を確認していたと判定する。ユーザU1の車が駐車エリア10Aから退場するよりも前に、ユーザU1が調整依頼を確認していたと判定された場合には、ステップS2011に進む。ユーザU1の車が駐車エリア10Aから退場するよりも前に、ユーザU1が調整依頼を確認していなかったと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。
【0064】
ステップS2011では、付与部208は、追加のインセンティブをユーザU1に付与する。このインセンティブは、例えば、50ポイントなどの固定のポイントであってよい。このように、追加のインセンティブが付与されることによって、ユーザU1は、駐車エリア10Aから車を退場させる前に調整依頼が行われていないか否かを確認することのメリットを把握することができる。つまり、調整依頼が行われていないかをユーザU1が確認する可能性が向上するため、さらに調整依頼に従った退場が行われる可能性が向上する。よって、退場に関するストレスをユーザU1およびその他のユーザが感じる可能性をさらに低減できる。
【0065】
実施形態1によれば、駐車エリアが混雑している場合には、退場時刻を調整するような調整依頼が行われ、かつ、調整依頼に従えばインセンティブが付与される旨が通知される。そして、その後、退場時刻を調整するような依頼が行われたユーザが調整依頼に従えば、インセンティブが付与される。このため、インセンティブを欲するユーザは、調整依頼に従って退場を行うことによって、インセンティブが付与されるので、退場に関するストレスを感じにくくなる。また、他のユーザも、調整依頼に従って退場したユーザの影響で、駐車エリアの混雑が緩和されるため、駐車エリアからの退場に関するストレスを感じにくくなる。
【0066】
<他の実施形態>
なお、上記では、車を例にとって説明を行ったが、車の代わりに、自転車またはバイクなどのユーザが乗るような任意の乗り物を用いてもよい。また、駐車エリアの代わりに、駐輪場、イベント会場、または、学校の校庭などの任意のエリア(特定のエリア)が用いられてもよい。
【0067】
また、特定の駐車エリア10に位置するユーザに調整依頼を行っている場合には、依頼部207は、その特定の駐車エリア10の出入り口11(入口)のシステムを制御して、出入り口11における車の入場を制限(禁止)してもよい。これによれば、駐車エリア10への車の入場の影響によって、駐車エリア10からの車の退場の困難度(駐車エリア10の混雑度)が増加することを防ぐことができる。
【0068】
また、調整依頼は、退場時刻の調整の依頼とともに、退場時刻までのユーザの行動に関する依頼を含んでいてもよい。例えば、調整依頼は、車が退場するまでに、駐車エリア10に関連する施設で買い物を行うことの依頼を含んでいてもよい。この場合には、ステップS2008において、付与部208は、依頼された退場時刻以降にユーザの車が退場し、かつ、駐車エリア10に関連する施設でユーザが買い物を行ったか否かを判定する。退場時刻までのユーザの行動に関する依頼は、例えば、駐車エリア10に関連する行動である。退場時刻までのユーザの行動に関する依頼は、例えば、駐車エリア10またはその関
連する施設についてのアンケートに回答すること、または、特定のイベントに参加することなどであってもよい。これによれば、ユーザの車の退場時刻だけでなく、退場時刻までのユーザの行動もコントロールすることが可能になる。また、ユーザは、現在から依頼された退場時刻までの間は、時間に余裕があるため、他のタイミングでユーザの行動を関する依頼を受ける場合よりも、そのユーザの行動を関する依頼に従う可能性が向上する。
【符号の説明】
【0069】
1:管理システム、10:駐車エリア、11:出入り口、12:通路部分、
20:管理装置、201:画像取得部、202:格納部、
203:認識部、204:判定部、205:位置取得部、
206:決定部、207:依頼部、208:付与部、
30:撮像装置、40:ユーザ端末