(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127263
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】高周波回路とその測定方法
(51)【国際特許分類】
H04B 17/29 20150101AFI20240912BHJP
H01P 5/12 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H04B17/29
H01P5/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036294
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 卓
(57)【要約】
【課題】回路特性に影響を与えずに回路特性の測定を行なうことができる高周波回路を提供すること。
【解決手段】無線信号を受信して出力するアンテナ素子1と、アンテナ素子1から入力された信号を、第1のアンプ3と、第2のアンプ4と、に出力するハイブリッドカップラ2と、ハイブリッドカップラ2から入力された信号を増幅する第1のアンプ3と、ハイブリッドカップラ2から入力された信号を増幅する第2のアンプ4と、アンテナ素子1が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に接続された測定端子5と、第2のアンプ4の出力信号の位相を調整する移相器6と、第1のアンプ3の出力と移相器6の出力を入力とする第2のハイブリッドカップラ7と、第2のハイブリッドカップラ7により合成された信号が出力される出力端子8と、第2のハイブリッドカップラ7により合成された信号が出力される第2の測定端子9と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子(1)から入力された信号を、第1のトランジスタ(3)と、第2のトランジスタ(4)と、に出力するハイブリッド回路(2)を備え、
前記ハイブリッド回路の前記アンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に測定端子を接続する高周波回路。
【請求項2】
アンテナ素子(1)から入力された信号を、第1のトランジスタ(3)と、第2のトランジスタ(4)と、に出力するハイブリッド回路(2)と、
前記ハイブリッド回路の前記アンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に接続された測定端子(5)と、
前記第2のトランジスタの出力信号の位相を調整する移相器(6)と、
前記第1のトランジスタの出力信号と、前記移相器の出力信号を合成して出力する第2のハイブリッド回路(7)と、前記第2のハイブリッド回路の出力信号が出力される一方の端子に接続された出力端子(8)と、前記第2のハイブリッド回路の出力信号が出力される他方の端子に接続された第2の測定端子(9)と、を備える高周波回路。
【請求項3】
前記ハイブリッド回路と前記測定端子の間に、第1の終端抵抗(61)を対接地に配置し、前記第2のハイブリッド回路と前記第2の測定端子の間に、第2の終端抵抗(62)を対接地に配置する請求項2に記載の高周波回路。
【請求項4】
前記ハイブリッド回路と前記測定端子の間に、第1の移相器(71)と第1の終端抵抗(72)を対接地に配置し、前記第2のハイブリッド回路と前記第2の測定端子の間に、第2の移相器(73)と第2の終端抵抗(74)を対接地に配置する請求項2に記載の高周波回路。
【請求項5】
前記ハイブリッド回路と前記測定端子の間に、第1の移相器(81)を対接地に配置し、前記第2のハイブリッド回路と前記第2の測定端子の間に、第2の移相器(82)を対接地に配置する請求項2に記載の高周波回路。
【請求項6】
アンテナ素子(1)から入力された信号を、第1のトランジスタ(3)と、第2のトランジスタ(4)と、に出力するハイブリッド回路(2)を備える高周波回路の測定方法であって、
前記ハイブリッド回路の前記アンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に測定端子(5)を接続し、
前記測定端子に測定装置を接続して前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタの反射特性を測定する高周波回路の測定方法。
【請求項7】
アンテナ素子(1)から入力された信号を、第1のトランジスタ(3)と、第2のトランジスタ(4)と、に出力するハイブリッド回路(2)と、前記第2のトランジスタの出力信号の位相を調整する移相器(6)と、前記第1のトランジスタの出力信号と、前記移相器の出力信号を合成して出力する第2のハイブリッド回路(7)と、前記第2のハイブリッド回路の出力信号が出力される一方の端子に接続された出力端子(8)と、を備える高周波回路の測定方法であって、
前記ハイブリッド回路の前記アンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に測定端子(5)を接続し、
前記第2のハイブリッド回路の出力信号が出力される他方の端子に第2の測定端子(9)を接続し、
前記測定端子と前記第2の測定端子との間に測定装置を接続して前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタの通過特性を測定する高周波回路の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波帯からテラヘルツ波帯までの高周波回路に関し、特に、アンテナを内蔵したMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、評価対象である誘電体材料上に形成された導体パターンの表面に、ベクトルネットワークアナライザの両接続端子に接続されたグランド-シグナル-グランドプローブの可動高周波プローブと固定高周波プローブを接触させ、可動高周波プローブを順次移動させながらベクトルネットワークアナライザにより複素電力比の周波数特性を測定し、その振幅が極小値となるときの周波数に基づいて、誘電体材料の比誘電率を求めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、高周波回路の途中に複数のグランド-シグナル-グランドの配線構造を設けているため、高周波回路の面積が大きくなるとともに、プローブがMMIC内の配線やアンテナ上に配置されるため、その特性が変化し、測定が正確に行なえなくなるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、高周波回路の入出力にハイブリッド回路を配置することにより、回路特性に影響を与えずに回路特性の測定を行なうことができる高周波回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の高周波回路は、アンテナ素子から入力された信号を、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、に出力するハイブリッド回路を備え、前記ハイブリッド回路の前記アンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に測定端子を接続するものである。
【0007】
この構成により、ハイブリッド回路のアンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に測定端子が接続される。このため、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの特性に影響を与えず、正確な測定を行なうことができる。
【0008】
また、本発明の高周波回路は、アンテナ素子から入力された信号を、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、に出力するハイブリッド回路と、前記ハイブリッド回路の前記アンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に接続された測定端子と、前記第2のトランジスタの出力信号の位相を調整する移相器と、前記第1のトランジスタの出力信号と、前記移相器の出力信号を合成して出力する第2のハイブリッド回路と、前記第2のハイブリッド回路の出力信号が出力される一方の端子に接続された出力端子と、前記第2のハイブリッド回路の出力信号が出力される他方の端子に接続された第2の測定端子と、を備えるものである。
【0009】
この構成により、ハイブリッド回路のアンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に測定端子が接続され、第2のハイブリッド回路の出力信号が出力される他方の端子に第2の測定端子が接続される。このため、回路特性に影響を与えずに回路特性の測定を行なうことができる。
【0010】
また、本発明の高周波回路において、前記ハイブリッド回路と前記測定端子の間に、第1の終端抵抗を対接地に配置し、前記第2のハイブリッド回路と前記第2の測定端子の間に、第2の終端抵抗を対接地に配置するものである。
【0011】
この構成により、ハイブリッド回路と測定端子の間に、第1の終端抵抗が対接地に配置され、第2のハイブリッド回路と第2の測定端子の間に、第2の終端抵抗が対接地に配置される。このため、測定端子と第2の測定端子にコネクタやケーブルを介して測定装置が接続された際のインピーダンス変化を小さくすることができ、アンテナ素子で受信された信号が、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの特性への影響を更に小さくすることができる。
【0012】
また、本発明の高周波回路において、前記ハイブリッド回路と前記測定端子の間に、第1の移相器と第1の終端抵抗を対接地に配置し、前記第2のハイブリッド回路と前記第2の測定端子の間に、第2の移相器と第2の終端抵抗を対接地に配置するものである。
【0013】
この構成により、ハイブリッド回路と測定端子の間に、第1の移相器と第1の終端抵抗が対接地に配置され、第2のハイブリッド回路と第2の測定端子の間に、第2の移相器と第2の終端抵抗が対接地に配置される。このため、測定端子と第2の測定端子にコネクタやケーブルを介して測定装置が接続された際、第1の終端抵抗と第2の終端抵抗に伝搬する信号を減少させて、測定装置に伝搬される信号を大きくさせて、正確な測定を行なうことができる。
【0014】
また、本発明の高周波回路において、前記ハイブリッド回路と前記測定端子の間に、第1の移相器を対接地に配置し、前記第2のハイブリッド回路と前記第2の測定端子の間に、第2の移相器を対接地に配置するものである。
【0015】
この構成により、ハイブリッド回路と測定端子の間に、第1の移相器が対接地に配置され、第2のハイブリッド回路と第2の測定端子の間に、第2の移相器が対接地に配置される。このため、測定端子と第2の測定端子にコネクタやケーブルを介して測定装置が接続された際、測定装置に伝搬される信号を大きくさせて、正確な測定を行なうことができる。
【0016】
また、本発明の高周波回路の測定方法は、アンテナ素子から入力された信号を、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、に出力するハイブリッド回路を備える高周波回路の測定方法であって、前記ハイブリッド回路の前記アンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に測定端子を接続し、前記測定端子に測定装置を接続して前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタの反射特性を測定するものである。
【0017】
この構成により、ハイブリッド回路のアンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に測定端子が接続され、測定端子に測定装置が接続されて第1のトランジスタと第2のトランジスタの反射特性が測定される。このため、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの特性に影響を与えず、正確な測定を行なうことができる。
【0018】
また、本発明の高周波回路の測定方法は、アンテナ素子から入力された信号を、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、に出力するハイブリッド回路と、前記第2のトランジスタの出力信号の位相を調整する移相器と、前記第1のトランジスタの出力信号と、前記移相器の出力信号を合成して出力する第2のハイブリッド回路と、前記第2のハイブリッド回路の出力信号が出力される一方の端子に接続された出力端子と、を備える高周波回路の測定方法であって、前記ハイブリッド回路の前記アンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に測定端子を接続し、前記第2のハイブリッド回路の出力信号が出力される他方の端子に第2の測定端子を接続し、前記測定端子と前記第2の測定端子との間に測定装置を接続して前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタの通過特性を測定するものである。
【0019】
この構成により、ハイブリッド回路のアンテナ素子が接続された端子に対してアイソレーション端子となる端子に測定端子が接続され、第2のハイブリッド回路の出力信号が出力される他方の端子に第2の測定端子が接続され、測定端子と第2の測定端子との間に測定装置が接続されて、第1のトランジスタと第2のトランジスタの通過特性が測定される。このため、回路特性に影響を与えずに回路特性の測定を行なうことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、回路特性に影響を与えずに回路特性の測定を行なうことができる高周波回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る高周波回路のブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態の第1の他の態様に係る高周波回路のブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態の第2の他の態様に係る高周波回路のブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態の第3の他の態様に係る高周波回路のブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態に係る高周波回路のブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態に係る高周波回路の通過特性を示す図であり、
図6(a)は、測定端子に測定装置を未接続の場合のアンテナ端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図であり、
図6(b)は、測定端子に測定装置を接続した場合のアンテナ端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係る高周波回路の測定端子に測定装置を接続した場合の測定端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態の第1の他の態様に係る高周波回路のブロック図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施形態の第1の他の態様に係る高周波回路の通過特性を示す図であり、
図9(a)は、測定端子に測定装置を未接続の場合のアンテナ端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図であり、
図9(b)は、測定端子に測定装置を接続した場合のアンテナ端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施形態の第1の他の態様に係る高周波回路の測定端子に測定装置を接続した場合の測定端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態の第2の他の態様に係る高周波回路のブロック図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施形態の第2の他の態様に係る高周波回路の通過特性を示す図であり、
図12(a)は、測定端子に測定装置を未接続の場合のアンテナ端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図であり、
図12(b)は、測定端子に測定装置を接続した場合のアンテナ端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2実施形態の第2の他の態様に係る高周波回路の測定端子に測定装置を接続した場合の測定端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2実施形態の第3の他の態様に係る高周波回路のブロック図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2実施形態の第3の他の態様に係る高周波回路の通過特性を示す図であり、
図15(a)は、測定端子に測定装置を未接続の場合のアンテナ端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図であり、
図15(b)は、測定端子に測定装置を接続した場合のアンテナ端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2実施形態の第3の他の態様に係る高周波回路の測定端子に測定装置を接続した場合の測定端子から第1のアンプと第2のアンプへの通過特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る高周波回路について詳細に説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1において、本発明の第1実施形態に係る高周波回路10は、アンテナ素子1と、ハイブリッド回路としてのハイブリッドカップラ2と、第1のトランジスタとしての第1のアンプ3と、第2のトランジスタとしての第2のアンプ4と、測定端子5と、を含んで構成される。
アンテナ素子1は、無線信号を受信して出力する。
【0024】
ハイブリッドカップラ2は、アンテナ素子1から入力された信号を、第1のアンプ3と、第2のアンプ4と、に出力する。ハイブリッドカップラ2は、アンテナ素子1から入力された信号の位相が90°遅れた信号を第1のアンプ3に出力する。ハイブリッドカップラ2は、アンテナ素子1から入力された信号の位相が180°遅れた信号を第2のアンプ4に出力する。測定端子5には、第1のアンプ3及び第2のアンプ4からの反射電力が合成されて出力される。
【0025】
第1のアンプ3は、ハイブリッドカップラ2から入力された信号を増幅する。
第2のアンプ4は、ハイブリッドカップラ2から入力された信号を増幅する。
【0026】
測定端子5は、ハイブリッドカップラ2に接続されたシグナル端子5aと、高周波回路10のグランドに接続された第1のグランド端子5b及び第2のグランド端子5cと、を備えたグランド-シグナル-グランドの端子である。
【0027】
以上のように構成された第1実施形態に係る高周波回路10において、測定端子5にベクトルネットワークアナライザなどの測定装置を接続して、第1のアンプ3及び第2のアンプ4の反射特性を測定することができる。
【0028】
また、測定装置のプローブが配線やアンテナ素子1に配置されないため、第1のアンプ3及び第2のアンプ4の特性に影響を与えず、正確な測定を行なうことができる。
【0029】
第1実施形態の第1の他の態様としては、
図2に示すように、高周波回路20は、ハイブリッドカップラ2と測定端子5の間に、終端抵抗21を対接地に配置している。
【0030】
このようにすることで、測定端子5にコネクタやケーブルを介して測定装置が接続された際のインピーダンス変化を小さくすることができ、第1のアンプ3及び第2のアンプ4の特性への影響を更に小さくすることができる。
【0031】
第1実施形態の第2の他の態様としては、
図3に示すように、高周波回路30は、ハイブリッドカップラ2と測定端子5の間に、移相器31と終端抵抗32を対接地に配置している。移相器31は、ハイブリッドカップラ2と測定端子5の間の信号の位相を例えば90°遅らせて終端抵抗32に出力する。
【0032】
このようにすることで、測定端子5にコネクタやケーブルを介して測定装置が接続された際、終端抵抗32に伝搬する信号を減少させて、測定装置に伝搬される信号を大きくさせて、正確な測定を行なうことができる。
【0033】
第1実施形態の第3の他の態様としては、
図4に示すように、高周波回路40は、ハイブリッドカップラ2と測定端子5の間に、移相器41を対接地に配置している。移相器41は、ハイブリッドカップラ2と測定端子5の間の信号の位相を例えば90°遅らせる。
【0034】
このようにすることで、測定端子5にコネクタやケーブルを介して測定装置が接続された際、測定装置に伝搬される信号を大きくさせて、正確な測定を行なうことができる。
【0035】
なお、移相器41を、測定端子5のシグナル端子5aと、第1のグランド端子5bまたは第2のグランド端子5cとの間に接続するようにしてもよい。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。ここで、本実施形態は前述の第1実施形態の構成を部分的に使用しているので、同様な構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0037】
図5において、本発明の第2実施形態に係る高周波回路50は、第2のアンプ4の出力信号の位相を調整する移相器6と、第1のアンプ3の出力と移相器6の出力とが入力される第2のハイブリッド回路としての第2のハイブリッドカップラ7と、第2のハイブリッドカップラ7により合成された信号が出力される出力端子8と、第2のハイブリッドカップラ7により合成された信号が出力される第2の測定端子9と、を備えている。
【0038】
移相器6は、例えば、第2のアンプ4の出力信号の位相を90°遅らせる。
第2の測定端子9は、第2のハイブリッドカップラ7に接続されたシグナル端子9aと、高周波回路10のグランドに接続された第1のグランド端子9b及び第2のグランド端子9cと、を備えたグランド-シグナル-グランドの端子である。
【0039】
以上のように構成された第2実施形態に係る高周波回路50において、アンテナ素子1に入力された信号は、第1のアンプ3及び第2のアンプ4により増幅されて出力端子8に出力される。
【0040】
また、測定端子5及び第2の測定端子9にベクトルネットワークアナライザなどの測定装置を接続して、第1のアンプ3及び第2のアンプ4の通過特性を測定することができる。
【0041】
このような構成により、ハイブリッドカップラ2のアンテナ素子1が接続されたアンテナ端子に対して、測定端子5はアイソレーション端子となるため、測定端子5にコネクタやケーブルを介して測定装置が接続されることによってアンテナ素子1で受信された信号が、第1のトランジスタ3および第2のトランジスタ4で増幅される特性への影響は小さい。
【0042】
また、測定端子5と第2の測定端子9にコネクタやケーブルを介して測定装置を接続して測定を行う場合、アンテナ素子1に測定用部材が近接することによってアンテナ素子1のインピーダンスが変化するが、測定端子5とアンテナ素子1が接続されている端子はアイソレーションの関係にあるため、測定結果への影響は小さい。同様にして、測定の際に出力端子8に測定装置等が接続されているか否かも、測定結果への影響は小さい。
【0043】
第2実施形態に係る高周波回路50における各種通過特性について
図6、
図7を参照して説明する。
【0044】
図6(a)は、測定端子5に測定装置を未接続の場合のアンテナ端子から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0045】
アンテナ端子から第1のアンプ3への通過特性(アンテナ端子から出力端子8への通過特性)、アンテナ端子から第2のアンプ4への通過特性(アンテナ端子から第2の測定端子9への通過特性)が220GHz~330GHzで一様で同一の通過特性を示しており、測定端子5に測定装置を未接続の場合にハイブリッドカップラ2が所望の特性となっていることが分かる。
【0046】
図6(b)は、測定端子5に測定装置を接続した場合のアンテナ端子から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0047】
測定端子5に測定装置を接続した場合、アンテナ端子から測定端子5への通過特性が小さく、アンテナ端子からの信号が測定端子5に伝搬せず、アンテナ端子から第1のアンプ3への通過特性(アンテナ端子から出力端子8への通過特性)、アンテナ端子から第2のアンプ4への通過特性(アンテナ端子から第2の測定端子9への通過特性)が220GHz~330GHzで一様で同一の通過特性を示していることより、ハイブリッドカップラ2が所望の特性となっていることが分かる。
【0048】
図7は、測定端子5に測定装置を接続した場合の測定端子5から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0049】
測定端子5に測定装置を接続した場合、測定端子5から第1のアンプ3への通過特性(出力端子8から測定端子5への通過特性)と測定端子5から第2のアンプ4への通過特性(測定端子5から第2の測定端子9への通過特性)が概ね-5dB~-10dBとなり、測定端子5で第1のアンプ3及び第2のアンプ4の特性測定が可能であることが分かる。
【0050】
第2実施形態の第1の他の態様としては、
図8に示すように、高周波回路60は、ハイブリッドカップラ2と測定端子5の間に、第1の終端抵抗61を対接地に配置し、第2のハイブリッドカップラ7と第2の測定端子9の間に、第2の終端抵抗62を対接地に配置している。
【0051】
このようにすることで、測定端子5と第2の測定端子9にコネクタやケーブルを介して測定装置が接続された際のインピーダンス変化を小さくすることができ、アンテナ素子1で受信された信号が、第1のアンプ3及び第2のアンプ4で増幅される特性への影響を更に小さくすることができる。
【0052】
なお、第1の終端抵抗61、第2の終端抵抗62を接地させる例を示したが、グランドとの間にコンデンサを介挿し、高周波成分のみが接地されるようにしてもよい。
【0053】
第2実施形態の第1の他の態様に係る高周波回路60における各種通過特性について
図9、
図10を参照して説明する。
【0054】
図9(a)は、測定端子5に測定装置を未接続の場合のアンテナ端子から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0055】
アンテナ端子から第1のアンプ3への通過特性(アンテナ端子から出力端子8への通過特性)、アンテナ端子から第2のアンプ4への通過特性(アンテナ端子から第2の測定端子9への通過特性)が220GHz~330GHzで一様で同一の通過特性を示しており、測定端子5に測定装置を未接続の場合にハイブリッドカップラ2が所望の特性となっていることが分かる。
【0056】
図9(b)は、測定端子5に測定装置を接続した場合のアンテナ端子から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0057】
測定端子5に測定装置を接続した場合、アンテナ端子から測定端子5への通過特性が小さく、アンテナ端子からの信号が測定端子5に伝搬せず、アンテナ端子から第1のアンプ3への通過特性(アンテナ端子から出力端子8への通過特性)、アンテナ端子から第2のアンプ4への通過特性(アンテナ端子から第2の測定端子9への通過特性)が220GHz~330GHzで一様で同一の通過特性を示していることより、ハイブリッドカップラ2が所望の特性となっていることが分かる。
【0058】
図10は、測定端子5に測定装置を接続した場合の測定端子5から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0059】
測定端子5に測定装置を接続した場合、測定端子5から第1のアンプ3への通過特性(出力端子8から測定端子5への通過特性)と測定端子5から第2のアンプ4への通過特性(測定端子5から第2の測定端子9への通過特性)が概ね-5dB~-10dBとなり、測定端子5で第1のアンプ3及び第2のアンプ4の特性測定が可能であることが分かる。
【0060】
第2実施形態の第2の他の態様としては、
図11に示すように、高周波回路70は、ハイブリッドカップラ2と測定端子5の間に、第1の移相器71と第1の終端抵抗72を対接地に配置し、第2のハイブリッドカップラ7と第2の測定端子9の間に、第2の移相器73と第2の終端抵抗74を対接地に配置している。第1の移相器71は、ハイブリッドカップラ2と測定端子5の間の信号の位相を例えば90°遅らせて終端抵抗32に出力する。第2の移相器73は、第2のハイブリッドカップラ7と第2の測定端子9の間の信号の位相を例えば90°遅らせて第2の終端抵抗74に出力する。
【0061】
このようにすることで、測定端子5と第2の測定端子9にコネクタやケーブルを介して測定装置が接続された際、第1の終端抵抗72と第2の終端抵抗74に伝搬する信号を減少させて、測定装置に伝搬される信号を大きくさせて、正確な測定を行なうことができる。
【0062】
第2実施形態の第2の他の態様に係る高周波回路70における各種通過特性について
図12、
図13を参照して説明する。
【0063】
図12(a)は、測定端子5に測定装置を未接続の場合のアンテナ端子から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0064】
アンテナ端子から第1のアンプ3への通過特性(アンテナ端子から出力端子8への通過特性)、アンテナ端子から第2のアンプ4への通過特性(アンテナ端子から第2の測定端子9への通過特性)が220GHz~330GHzで一様で同一の通過特性を示しており、測定端子5に測定装置を未接続の場合にハイブリッドカップラ2が所望の特性となっていることが分かる。
【0065】
図12(b)は、測定端子5に測定装置を接続した場合のアンテナ端子から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0066】
測定端子5に測定装置を接続した場合、アンテナ端子から測定端子5への通過特性が小さく、アンテナ端子からの信号が測定端子5に伝搬せず、アンテナ端子から第1のアンプ3への通過特性(アンテナ端子から出力端子8への通過特性)、アンテナ端子から第2のアンプ4への通過特性(アンテナ端子から第2の測定端子9への通過特性)が220GHz~330GHzで一様で同一の通過特性を示していることより、ハイブリッドカップラ2が所望の特性となっていることが分かる。
【0067】
図13は、測定端子5に測定装置を接続した場合の測定端子5から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0068】
測定端子5に測定装置を接続した場合、測定端子5から第1のアンプ3への通過特性(出力端子8から測定端子5への通過特性)と測定端子5から第2のアンプ4への通過特性(測定端子5から第2の測定端子9への通過特性)が概ね-5dB~-10dBとなり、測定端子5で第1のアンプ3及び第2のアンプ4の特性測定が可能であることが分かる。
【0069】
第2実施形態の第3の他の態様としては、
図14に示すように、高周波回路80は、ハイブリッドカップラ2と測定端子5の間に、第1の移相器81を対接地に配置し、第2のハイブリッドカップラ7と第2の測定端子9の間に、第2の移相器82を対接地に配置している。第1の移相器81は、ハイブリッドカップラ2と測定端子5の間の信号の位相を例えば90°遅らせる。第2の移相器82は、第2のハイブリッドカップラ7と第2の測定端子9の間の信号の位相を例えば90°遅らせる。
【0070】
このようにすることで、測定端子5と第2の測定端子9にコネクタやケーブルを介して測定装置が接続された際、測定装置に伝搬される信号を大きくさせて、正確な測定を行なうことができる。
【0071】
なお、第1の移相器81を、測定端子5のシグナル端子5aと、第1のグランド端子5bまたは第2のグランド端子5cとの間に接続するようにしてもよい。また、第2の移相器82を、第2の測定端子9のシグナル端子9aと、第1のグランド端子9bまたは第2のグランド端子9cとの間に接続するようにしてもよい。
【0072】
第2実施形態の第3の他の態様に係る高周波回路80における各種通過特性について
図15、
図16を参照して説明する。
【0073】
図15(a)は、測定端子5に測定装置を未接続の場合のアンテナ端子から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0074】
アンテナ端子から第1のアンプ3への通過特性(アンテナ端子から出力端子8への通過特性)、アンテナ端子から第2のアンプ4への通過特性(アンテナ端子から第2の測定端子9への通過特性)が220GHz~330GHzで一様で同一の通過特性を示しており、測定端子5に測定装置を未接続の場合にハイブリッドカップラ2が所望の特性となっていることが分かる。
【0075】
図15(b)は、測定端子5に測定装置を接続した場合のアンテナ端子から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0076】
測定端子5に測定装置を接続した場合、アンテナ端子から測定端子5への通過特性が小さく、アンテナ端子からの信号が測定端子5に伝搬せず、アンテナ端子から第1のアンプ3への通過特性(アンテナ端子から出力端子8への通過特性)、アンテナ端子から第2のアンプ4への通過特性(アンテナ端子から第2の測定端子9への通過特性)が220GHz~330GHzで一様で同一の通過特性を示していることより、ハイブリッドカップラ2が所望の特性となっていることが分かる。
【0077】
図16は、測定端子5に測定装置を接続した場合の測定端子5から第1のアンプ3と第2のアンプ4への通過特性を示している。
【0078】
測定端子5に測定装置を接続した場合、測定端子5から第1のアンプ3への通過特性(出力端子8から測定端子5への通過特性)と測定端子5から第2のアンプ4への通過特性(測定端子5から第2の測定端子9への通過特性)が概ね-5dB~-10dBとなり、測定端子5で第1のアンプ3及び第2のアンプ4の特性測定が可能であることが分かる。
【0079】
なお、前述の第1実施形態及び第2実施形態においては、ハイブリッドカップラとしてブランチラインカップラを用いる例を示したが、ラットレースカップラやマーチャントバランなどを用いてもよい。
【0080】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0081】
1 アンテナ素子
2 ハイブリッドカップラ(ハイブリッド回路)
3 第1のアンプ(第1のトランジスタ)
4 第2のアンプ(第2のトランジスタ)
5 測定端子
5a シグナル端子
5b 第1のグランド端子
5c 第2のグランド端子
6 移相器
7 第2のハイブリッドカップラ(第2のハイブリッド回路)
8 出力端子
9 第2の測定端子
9a シグナル端子
9b 第1のグランド端子
9c 第2のグランド端子
10、20、30、40、50、60、70、80 高周波回路
61 第1の終端抵抗
62 第2の終端抵抗
71 第1の移相器
72 第1の終端抵抗
73 第2の移相器
74 第2の終端抵抗
81 第1の移相器
82 第2の移相器