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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127264
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】券売システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240912BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036295
(22)【出願日】2023-03-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】592048741
【氏名又は名称】鉄道情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】久野 晃
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC43
5L050CC43
(57)【要約】
【課題】企画商品を券売機で容易に購入できると共に、利用客の利便性を向上させられる券売システムを提供する。
【解決手段】券売システムSでは、鉄道の停車駅の何れかを最寄り駅とするイベント類の参加権と、最寄り駅を含む複数の停車駅を有効範囲とする鉄道利用権と、を組み合わせた企画商品のパンフレット8を持つ利用客が、パンフレット8の2次元コード81を停車駅1の券売機2に読み込ませると、駅の有人窓口等へ行くことなく、その企画商品を券売機2で容易に購入できる。しかも、企画商品に含まれる鉄道の有効範囲と利用客が鉄道を利用する基準乗降駅との間で不足する乗車券類である不足券類を中央処理装置4の企画商品特定手段41が算定し、券売機2の企画商品受付手段21が不足券類を購入可能に提示するので、利用客の利便性を向上させられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道の停車駅に設置され、前記鉄道を利用する利用客の求めに応じて、前記鉄道を利用するための乗車券類を販売する券売機を含む券売システムにおいて、
前記鉄道の前記停車駅の何れかを最寄り駅として参加者が赴くイベント類の参加権と、前記最寄り駅を含む乗降可能な複数の前記停車駅を有効範囲とする鉄道利用権と、を組み合わせた企画商品を、任意のキー情報と紐付けて管理する商品データベースと、
前記券売機に設けられ、前記利用客の操作により、前記商品データベースにて管理されている前記キー情報を前記券売機が読み取れるように変換した可読情報が付されて頒布される商品情報頒布体の前記可読情報から前記キー情報を読み取ることで、前記キー情報に紐付けられた前記企画商品の購入希望と認識し、前記企画商品の販売に関する補助情報の入力を前記利用客に促し、前記キー情報と前記補助情報とを含む問い合わせ情報を生成する企画商品受付手段と、
前記企画商品受付手段により生成された前記問い合わせ情報に含まれる前記キー情報に基づいて前記商品データベースから該当する前記企画商品を抽出し、前記問い合わせ情報に基づいて前記企画商品を使うために前記鉄道の利用を開始する基準乗降駅を設定し、抽出した前記企画商品の前記鉄道利用権における前記有効範囲と前記基準乗降駅との間で不足する前記乗車券類である不足券類を算定し、対象となる前記企画商品と前記不足券類との組み合わせである販売情報を生成する企画商品特定手段と、
を備え、
前記券売機により、前記販売情報を前記利用客に提示することで、前記利用客が希望する前記企画商品と前記不足券類とを一括購入できるようにしたことを特徴とする券売システム。
【請求項2】
前記企画商品特定手段は、前記問い合わせ情報を生成した前記企画商品受付手段を備える前記券売機が設置されている設置駅を前記基準乗降駅に設定して、前記不足券類の算定を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の券売システム。
【請求項3】
前記企画商品受付手段は、前記利用客が希望する任意の駅を前記基準乗降駅として前記補助情報に含ませた前記問い合わせ情報を生成し、
前記企画商品特定手段は、前記企画商品受付手段が生成した前記問い合わせ情報における前記補助情報に基づき前記基準乗降駅を特定して、前記不足券類の算定を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の券売システム。
【請求項4】
前記企画商品受付手段は、前記利用客が乗車または下車を希望する2つの駅を第1基準乗降駅および第2基準乗降駅として前記補助情報に含ませた前記問い合わせ情報を生成し、
前記企画商品特定手段は、前記企画商品受付手段が生成した前記問い合わせ情報における前記補助情報に基づき前記第1基準乗降駅および前記第2基準乗降駅を特定して、前記企画商品の前記鉄道利用権における前記有効範囲と前記第1基準乗降駅との間で不足する第1乗車券類、および前記企画商品の前記鉄道利用権における前記有効範囲と前記第2基準乗降駅との間で不足する第2乗車券類からなる前記不足券類の算定を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の券売システム。
【請求項5】
前記企画商品特定手段は、前記停車駅にそれぞれ設置された前記券売機とネットワークを介して接続される中央処理装置に設けたことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の券売システム。
【請求項6】
前記企画商品特定手段は、前記商品データベースから前記キー情報に該当する前記企画商品を複数検出した場合、抽出された複数の前記企画商品ごとの前記不足券類を算定して得た複数組の前記販売情報を生成し、複数組の前記販売情報の全てを前記問い合わせ情報の送信元である前記券売機へ送信し、
前記券売機は、前記中央処理装置から受け取った複数組の前記販売情報を、前記利用客が選択可能に提示するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の券売システム。
【請求項7】
前記企画商品特定手段は、前記商品データベースから前記キー情報に該当する前記企画商品を複数検出した場合、抽出された複数の前記企画商品ごとの前記不足券類を算定して複数組の前記販売情報を生成し、予め定めた最適経路条件に基づいて一組の前記販売情報に絞り込み、絞り込んだ一組の前記販売情報のみを前記問い合わせ情報の送信元である前記券売機へ送信するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の券売システム。
【請求項8】
前記企画商品特定手段に予め設定しておく前記最適経路条件は、前記販売情報における前記不足券類の価格が安いものであることを特徴とする請求項7に記載の券売システム。
【請求項9】
前記企画商品特定手段に予め設定しておく前記最適経路条件は、前記販売情報における前記基準乗降駅から前記企画商品における前記有効範囲までの移動距離が短いものであることを特徴とする請求項7に記載の券売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、券売機を介して企画商品を利用客に販売できる券売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道会社では、少子高齢化に伴う労働人口減少への対応、運営コストの削減、および乗車券類購入の利便性向上に向けた取り組みとして、駅出札業務の自動化・効率化を推進している。このような時代背景の中、有人窓口では乗車券類の購入予約のみを受け付け、乗車券類購入のための支払いや乗車券類の発行は券売機で行えるようにすることで、有人窓口で顧客対応する係員等の負担を軽減する券売システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載の券売システムでは、係員が利用客の要望を聞きつつ係員操作型端末を操作して乗車券類の予約内容を入力すると、係員操作型端末と接続されたホストコンピュータが予約内容と紐付けた予約情報を保存すると共に予約情報を一意に特定できる2次元コード化し、係員操作型端末へ通知する。この2次元コードを受けた係員操作型端末により2次元コード付きの予約券が印字され、利用客に提供される。予約券を受け取った利用客が券売機に赴き、予約券の2次元コードを券売機に読み込ませると、券売機が2次元コードを復号して得た予約情報をホストコンピュータに問い合わせる。該当する予約情報がホストコンピュータに保存されていれば、予約情報に応じた予約内容がホストコンピュータからその券売機に提供されるので、有人窓口で行った予約内容の乗車券類を券売機にて購入可能な状態となり、利用客が予約内容に応じた代金の決済を行うと、券売機より乗車券類が発行される。このように、2次元コード化した予約情報を介して、予約内容の乗車券類を券売機で購入可能にすれば、利用客が券売機を操作する手間を省いて乗車券類を購入し易くできるし、有人窓口での作業負担を軽減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-323217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の券売システムは、予約券に印刷される2次元コードが、ホストコンピュータに保存されている予約情報に紐付けされているに過ぎず、ホストコンピュータが自動で予約情報を最適化して顧客に提案するような機能は無い。例えば、イベントの参加権とイベント開催地の最寄り駅までの鉄道利用権をセットにした企画商品を販売する場合、利用客が有人窓口で企画商品の購入を希望した場合、企画商品のみの予約内容で受け付けられてしまう。この利用客が企画商品の鉄道利用権に含まれていない駅から乗車する可能性に有人窓口の係員等が気付き、不足する区間の乗車券類について係員等が利用客に提案しなければ、不足分を利用客が当日に別途支払わなければならず、利用客にとって煩雑となる。
【0006】
また、鉄道会社で取り扱う企画商品のパンフレットやWebページ等に券売機が読み取り可能な可読情報(例えば、2次元コード)を付けておき、この2次元コードを券売機が読み取ることで企画商品を購入できるようにすれば、企画商品を利用客が購入し易くなるとともに、有人窓口での企画商品の取り扱いが減り、有人窓口の作業負担を軽減できる。しかしながら、企画商品のパンフレットやWebページ等に付された2次元コードを券売機に読み込ませて購入する場合、この利用客が企画商品の鉄道利用権に含まれていない駅から乗車するために不足する区間の乗車券類について、有人窓口の係員等のように気を利かせて不足券類を提案する機能は、既存の券売機やホストコンピュータに搭載されていない。よって、企画商品に含まれている鉄道利用権の区間外から鉄道を利用する利用客は、自らの操作によって不足乗車券類を購入しておかなければ、企画商品を利用する当日に不足分の乗車料金を別途支払わなければならないので、2次元コードを用いた企画商品の販売手法として、利用客の利便性を十分に高めているとはいえない。
【0007】
そこで、本発明は、企画商品を券売機で容易に購入できると共に、利用客の利便性を向上させられる券売システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、鉄道の停車駅に設置され、前記鉄道を利用する利用客の求めに応じて、前記鉄道を利用するための乗車券類を販売する券売機を含む券売システムにおいて、前記鉄道の前記停車駅の何れかを最寄り駅として参加者が赴くイベント類の参加権と、前記最寄り駅を含む乗降可能な複数の前記停車駅を有効範囲とする鉄道利用権と、を組み合わせた企画商品を、任意のキー情報と紐付けて管理する商品データベースと、前記券売機に設けられ、前記利用客の操作により、前記商品データベースにて管理されている前記キー情報を前記券売機が読み取れるように変換した可読情報が付されて頒布される商品情報頒布体の前記可読情報から前記キー情報を読み取ることで、前記キー情報に紐付けられた前記企画商品の購入希望と認識し、前記企画商品の販売に関する補助情報の入力を前記利用客に促し、前記キー情報と前記補助情報とを含む問い合わせ情報を生成する企画商品受付手段と、前記企画商品受付手段により生成された前記問い合わせ情報に含まれる前記キー情報に基づいて前記商品データベースから該当する前記企画商品を抽出し、前記問い合わせ情報に基づいて前記企画商品を使うために前記鉄道の利用を開始する基準乗降駅を設定し、抽出した前記企画商品の前記鉄道利用権における前記有効範囲と前記基準乗降駅との間で不足する前記乗車券類である不足券類を算定し、対象となる前記企画商品と前記不足券類との組み合わせである販売情報を生成する企画商品特定手段と、を備え、前記券売機により、前記販売情報を前記利用客に提示することで、前記利用客が希望する前記企画商品と前記不足券類とを一括購入できるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、上記構成において、前記企画商品特定手段は、前記問い合わせ情報を生成した前記企画商品受付手段を備える前記券売機が設置されている設置駅を前記基準乗降駅に設定して、前記不足券類の算定を行うようにしてもよい。
【0010】
また、上記構成において、前記企画商品受付手段は、前記利用客が希望する任意の駅を前記基準乗降駅として前記補助情報に含ませた前記問い合わせ情報を生成し、前記企画商品特定手段は、前記企画商品受付手段が生成した前記問い合わせ情報における前記補助情報に基づき前記基準乗降駅を特定して、前記不足券類の算定を行うようにしてもよい。
【0011】
また、上記構成において、前記企画商品受付手段は、前記利用客が乗車または下車を希望する2つの駅を第1基準乗降駅および第2基準乗降駅として前記補助情報に含ませた前記問い合わせ情報を生成し、前記企画商品特定手段は、前記企画商品受付手段が生成した前記問い合わせ情報における前記補助情報に基づき前記第1基準乗降駅および前記第2基準乗降駅を特定して、前記企画商品の前記鉄道利用権における前記有効範囲と前記第1基準乗降駅との間で不足する第1乗車券類、および前記企画商品の前記鉄道利用権における前記有効範囲と前記第2基準乗降駅との間で不足する第2乗車券類からなる前記不足券類の算定を行うようにしてもよい。
【0012】
また、上記構成において、前記企画商品特定手段は、前記停車駅にそれぞれ設置された前記券売機とネットワークを介して接続される中央処理装置に設けてもよい。
【0013】
また、上記構成において、前記企画商品特定手段は、前記商品データベースから前記キー情報に該当する前記企画商品を複数検出した場合、抽出された複数の前記企画商品ごとの前記不足券類を算定して得た複数組の前記販売情報を生成し、複数組の前記販売情報の全てを前記問い合わせ情報の送信元である前記券売機へ送信し、前記券売機は、前記中央処理装置から受け取った複数組の前記販売情報を、前記利用客が選択可能に提示してもよい。
【0014】
また、上記構成において、前記企画商品特定手段は、前記商品データベースから前記キー情報に該当する前記企画商品を複数検出した場合、抽出された複数の前記企画商品ごとの前記不足券類を算定して複数組の前記販売情報を生成し、予め定めた最適経路条件に基づいて一組の前記販売情報に絞り込み、絞り込んだ一組の前記販売情報のみを前記問い合わせ情報の送信元である前記券売機へ送信するようにしてもよい。
【0015】
また、上記構成において、前記企画商品特定手段に予め設定しておく前記最適経路条件は、前記販売情報における前記不足券類の価格が安いものであってもよい。
【0016】
また、上記構成において、前記企画商品特定手段に予め設定しておく前記最適経路条件は、前記販売情報における前記基準乗降駅から前記企画商品における前記有効範囲までの移動距離が短いものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る券売システムによれば、券売機の企画商品受付手段が、企画商品についての商品情報頒布体に付された可読情報からキー情報を読み取り、キー情報と補助情報を含む問い合わせ情報を生成し、この問い合わせ情報に基づいて企画商品特定手段が、企画商品と不足券類との組み合わせである販売情報を生成し、券売機が販売情報を利用客に提示するので、利用客は希望する企画商品と不足券類とを券売機から一括購入できる。よって、企画商品の購入を券売機で効率良く行えると共に、利用客の利便性を向上させられる券売システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る券売システムの一実施形態を示す概略構成図である。
図2】(A)は商品データベースにおけるデータテーブルの一例を示すイメージ図である。(B)は券売機データベースにおけるデータテーブルの一例を示すイメージ図である。(C)は駅データベースにおけるデータテーブルの一例を示すイメージ図である。
図3】中央処理装置の企画商品特定手段が行う不足券類の算定処理と販売情報の絞り込み処理の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すのは、券売システムSの実施形態を示す概略構成で、鉄道会社に属する各停車駅1に設置された券売機2と、ネットワーク3を介して接続される中央処理装置4と、を含む。また、中央処理装置4は、鉄道会社に属する停車駅1の諸情報を管理するための駅データベース5、全ての券売機2とその設置駅を紐付けて管理している券売機データベース6、商品データベース7(後に詳述)から各種情報を参照可能であると共に、新規データの書き込みや既存データの削除も行える。なお、駅データベース5、券売機データベース6、商品データベース7等は、中央処理装置4に含まれる構成であっても構わない。また、演算処理能力が高く記憶容量の大きな券売機2であれば、券売処理に必要な機能(中央処理装置4や商品データベース等に含まれる機能)を券売機2に持たせることにより、スタンドアローンの券売機2のみで券売システムSを実現することも可能である。
【0020】
券売機2には、タッチパネル式の表示・操作パネル、きっぷ等を排出する券売口、購入費用を入れる現金投入口、精算用のクレジットカード等を入れるカード挿排口などを備え、利用客が表示・操作パネルに表示されるガイド情報を見ながら操作することで、券売操作の各行程を順次行うことができる。この券売機2によって利用客に販売する乗車券類とは、乗車券、急行券、座席指定券などの総称である。また、券売機2は、利用客の操作により受け付けた乗車日時や乗車区間等を、停車駅1毎に設けられている駅サーバ(図示省略)からネットワーク3を介して中央処理装置4に問い合わせを行い、中央処理装置4から料金や座席指定券の予約可否などの回答を受けて利用客に提示し、乗車券類の購入を利用客に促したり、乗車日時や区間等の再考を促したりする。なお、図1には停車駅1として、X駅1x、Y駅1y、A駅1a、B駅1b、C駅1c、D駅1d、E駅1e、F駅1f、G駅1g、H駅1hを例示しており、これら全ての停車駅1がネットワーク3を介して中央処理装置4と接続されている。
【0021】
さらに、券売機2は、上述した一般的な券売機能に加えて、企画商品受付手段21、撮像手段22、デコード手段23等を備える。
【0022】
企画商品受付手段21は、券売機2で企画商品が簡便に購入できるようにする機能である。企画商品とは、鉄道の停車駅1の何れかを最寄り駅として参加者が赴くイベント類の参加権(例えば、○○まつり入場券、□□博物館入館券など)と、最寄り駅を含む乗降可能な複数の停車駅1を有効範囲とする鉄道利用権と、を組み合わせた商品である。企画商品においては、イベント入場料と交通費を別々に支払うよりも割安に設定するなどして、鉄道の利用促進を図ると共にイベント類への集客を高めるように工夫されている。
【0023】
この企画商品の認知度を上げるために不特定多数の者に頒布される商品情報頒布体であるパンフレット8は、関連イベントの来場者に配布されたり、駅やデパートなどのチラシコーナーに置かれたりする。商品情報頒布体としてのパンフレット8には、券売機2で読み取り可能な可読情報である2次元コード81が付されており、例えば、券売機2の読み取り台24上に置いたパンフレット8の2次元コード81を撮像手段22にて撮影し、撮影された2次元コード81からデコード手段23がキー情報を読み取る。このキー情報は、企画商品と紐付けられた情報であり、商品データベース7にて管理されている。
【0024】
なお、1つのイベント参加権に対して異なる種類の鉄道利用権を組み合わせると複数の企画商品となるが、これらの企画商品全てに共通のキー情報を紐付けておくことで、1つのキー情報から鉄道利用権の有効範囲が異なる企画商品全てをサーチできる。また、商品情報頒布体は、パンフレット8のような可搬性の紙類に限定されるものではなく、Webページを閲覧できるブラウザ機能を備えたスマートフォン等を商品情報頒布体として用いても良い。スマートフォン等でWebページを閲覧すると、企画商品の情報がスマートフォン等の画面に表示される(商品情報が頒布される)ので、スマートフォン等を券売機2の読み取り台24に置いて、2次元コード表示部分を撮像手段22にて撮影すれば、デコード手段23によりキー情報を読み取れる。
【0025】
上記のように、利用客の操作により商品情報頒布体としてのパンフレット8の可読情報である2次元コード81からキー情報を読み取ると、企画商品受付手段21は、キー情報に紐付けられた企画商品の購入希望と認識し、企画商品の販売に関する補助情報の入力を利用客に促し、キー情報と補助情報とを含む問い合わせ情報を生成し、中央処理装置4へ送信する。補助情報は、企画商品の購入に必要な情報であり、特に限定されるものではないが、少なくとも、商品の購入数や大人・小人等の料金適用種別などを含む情報である。この補助情報については、利用客による入力操作を必要とするので、券売機2の表示・操作パネルに入力欄等を表示して、利用客の操作を促す。なお、本実施形態の券売システムSにおける券売機2では、標準的に備わっているカメラをキー情報読み取り用の撮像手段22として用いたが、これに限らず、キー情報の読み取り専用の2次元コードリーダー等を備える構成としても構わない。また、券売機2に付加する企画商品受付手段21の機能は、既存の券売機2におけるハードウェア構造を変更することなく、動作プログラムの改編により実装可能である。
【0026】
停車駅1の券売機2からキー情報と補助情報とを含む問い合わせ情報を受け付けた中央処理装置4は、企画商品を券売機2で販売するための回答である販売情報を生成し、問い合わせ情報の送信元である券売機2へ送信する企画商品特定手段41を備える。中央処理装置4に付加する企画商品特定手段41の機能は、既存の中央処理装置4におけるハードウェア構造を変更することなく、動作プログラムの改編により実装可能である。この企画商品特定手段41は、まず、券売機2より受信した問い合わせ情報に含まれるキー情報に基づいて商品データベース7から該当する企画商品を抽出する。
【0027】
商品データベース7に保存されたデータテーブルの一例は、図2(A)に示すように、キー情報と企画商品の商品情報(例えば、商品ID、対象となるイベント、特別企画乗車券、商品の有効範囲、出入口駅など)とを紐付けするものである。図2(A)に示す例では、イベント類の参加権である「○○まつり」に鉄道利用権「○○まつりフリーきっぷ(α)」を組み合わせた企画商品(商品ID:2302-1)と、イベント類の参加権である「○○まつり」に鉄道利用権「○○まつりフリーきっぷ(β)」を組み合わせた企画商品(商品ID:2302-2)に、同じキー情報「ABCDE」が紐付けられている。従って、券売機2からキー情報「ABCDE」を含む問い合わせ情報を受けた場合には、企画商品特定手段41によって、商品データベース7から2つの企画商品(商品ID:2302-1,2302-2)が抽出される。
【0028】
なお、同じキー情報を紐付ける全ての企画商品は同一価格とし、標準的な企画商品と価格が異なる場合には、異なるキー情報を紐付けて管理することが望ましい。例えば、イベント類の参加権に有料サービスのオプションを付加したり、鉄道利用権の有効範囲を拡大させたりして組み合わせたプレミアム企画商品には、標準的な企画商品のキー情報とは異なるキー情報を紐付けておけば、利用客は目的の企画商品を選んで購入操作を進めることができ、効率的である。無論、価格が異なる企画商品であっても、イベント類の参加権が同じものは全て同じキー情報に紐付けて管理しても構わない。
【0029】
続いて、中央処理装置4の企画商品特定手段41は、券売機2より受信した問い合わせ情報に基づいて企画商品を使うために鉄道の利用を開始する基準乗降駅を設定し、抽出した企画商品の鉄道利用権における有効範囲と基準乗降駅との間で不足する乗車券類である不足券類を算定し、対象となる企画商品と不足券類との組み合わせである販売情報を生成し、問い合わせ情報の送信元である券売機2へ送信する。
【0030】
基準乗降駅の設定は、問い合わせ情報に基づいて行うことができれば、特に限定されない。例えば、企画商品の購入を希望する利用客が、わざわざ遠方の停車駅1に出向いて企画商品を購入する可能性よりも、利便性の良い生活圏内の停車駅1で企画商品を購入する可能性の方が高いので、券売機2が設置されている停車駅1を基準乗降駅に設定してもよい。そして、券売機2からの問い合わせ情報には、問い合わせ元を特定できるように、各券売機2に付されたユニークな識別情報(端末番号)が含まれているので、企画商品特定手段41は、券売機データベース6のデータテーブル(図2(B)に一例を示す)を参照すれば、端末番号からその券売機2が設置されている設置駅(所在駅)を特定できる。設置駅の所在地や路線名は駅データベース5のデータテーブル(図2(C)に一例を示す)を参照することで、抽出した企画商品の鉄道利用権における有効範囲と券売機2の設置駅との関係(接続路線や離隔距離など)を知ることができる。そこで、この券売機2の設置駅を基準乗降駅に設定して、不足券類の算定を行えば、企画商品と不足券類(往復分)との組み合わせである販売情報を生成できるので、問い合わせ情報の送信元である券売機2への回答として販売情報を送信できる。
【0031】
また、券売機2の企画商品受付手段21が、利用客が希望する任意の駅を基準乗降駅として補助情報に含ませた問い合わせ情報を中央処理装置4へ送信する場合には、中央処理装置4の企画商品特定手段41は、券売機2からの問い合わせ情報における補助情報に基づき基準乗降駅を特定できる。この基準乗降駅から不足券類の算定を行えば、企画商品と不足券類(往復分)との組み合わせである販売情報を生成できるので、問い合わせ情報の送信元である券売機2への回答として販売情報を送信できる。
【0032】
また、利用客が遠方からの旅行などで、イベント前日の宿泊場所とイベント当日の宿泊場所が異なるような場合、乗車駅と降車駅を別々に設定できれば、利用客にとっての利便性が高まる。そこで、券売機2の企画商品受付手段21は、利用客が乗車または下車を希望する2つの駅を第1基準乗降駅および第2基準乗降駅として補助情報に含ませた問い合わせ情報を中央処理装置4へ送信できるようにしても良い。そして、中央処理装置4の企画商品特定手段41は、券売機2からの問い合わせ情報における補助情報から第1基準乗降駅および第2基準乗降駅を特定して、企画商品の鉄道利用権における有効範囲と第1基準乗降駅との間で不足する第1乗車券類、および企画商品の鉄道利用権における有効範囲と第2基準乗降駅との間で不足する第2乗車券類からなる不足券類の算定を行えば、企画商品と不足券類(第1乗車券類および第2乗車券類)との組み合わせである販売情報を生成できるので、問い合わせ情報の送信元である券売機2への回答として販売情報を送信できる。
【0033】
上記のようにして中央処理装置4の企画商品特定手段41から販売情報を受け取った券売機2は、企画商品と不足券類との組み合わせである販売情報を表示・操作パネルに表示して利用客に入金を促し、入金が確認されたら、発券処理を実行する。このとき、利用客が不足券類の購入を望んでいない場合を考慮し、企画商品のみを選択して購入できるようにしても良い。また、利用客が不足券類における片道のみの購入を希望する場合を考慮し、不足券類における往路分あるいは復路分のみを選択して購入できるようにしても良い。
【0034】
また、キー情報に複数の企画商品が紐付けられていた場合、中央処理装置4の企画商品特定手段41が、抽出された複数の企画商品ごとの不足券類を算定して得た複数組の販売情報の全てを問い合わせ情報の送信元である券売機2へ送信し、券売機2は、中央処理装置4から受け取った複数組の販売情報を、利用客が選択可能に提示し、利用客の判断に委ねるようにしても良い。
【0035】
あるいは、キー情報に複数の企画商品が紐付けられていた場合、中央処理装置4の企画商品特定手段41が、抽出された複数の企画商品ごとの不足券類を算定して得た複数組の販売情報から、予め定めた最適経路条件に基づいて絞り込み、絞り込んだ一組の販売情報のみを問い合わせ情報の送信元である券売機2へ送信するようにしても良い。この場合、券売機2は、最適の企画商品と不足券類との組み合わせとなる販売情報のみを表示・操作パネルに表示するので、利用客を煩わせない提示ができる。なお、最適経路条件に基づく絞り込みから外れた販売情報についても、中央処理装置4から券売機2へ送信しておき、購入選択可能な販売情報として券売機2の表示・操作パネルに表示しておいてもよい。
【0036】
中央処理装置4の企画商品特定手段41に予め設定しておくこの最適経路条件は、利用客にとって最も有益な販売情報に絞り込める条件であれば、特に限定されるものではない。例えば、最適経路条件として「販売情報における不足券類の価格が安いもの」を設定すれば、最も安い不足券類と企画商品との組み合わせとなる販売情報を利用客に提示できる。また、最適経路条件として「販売情報における基準乗降駅から企画商品における有効範囲までの移動距離が短いもの」を設定すれば、最も移動距離が短い不足券類と企画商品との組み合わせとなる販売情報を利用客に提示できる。なお、鉄道運賃は乗車区間の距離を元に設定されているので、例外的な運賃設定がなされていなければ、最も移動距離が短い不足券類は最も安い不足券類となる。
【0037】
ここで、中央処理装置4の企画商品特定手段41が行う不足券類の算定処理と販売情報の絞り込み処理の動作例を図3に基づき説明する。図3において、X駅1xおよびY駅1yは、共に路線アと路線イに乗車できるターミナル駅である。路線アは、X駅1xからA駅1a、B駅1b、C駅1c、D駅1d、E駅1e、F駅1fを経てY駅1yに至る。一方、路線イは、X駅1xからG駅1g、H駅1hを経てY駅1yに至る。また、D駅1dは、企画商品αおよび企画商品βの対象となるイベント会場への最寄り駅である。X駅1xを乗降基準駅とすると、最寄り駅であるD駅1dまで路線アのみで行くルート1を使う方法と、路線イと路線アを乗り継いで行くルート2を使う方法があり、これらよりも遠回りとなる経路は不足券類算定の対象外とする。
【0038】
例えば、X駅1xの券売機2よりキー情報「ABCDE」を含む問い合わせ情報を受けた中央処理装置4の企画商品特定手段41は、X駅1xを乗降基準駅に設定すると共に、商品データベース7から商品ID:2302-1の企画商品(以下、企画商品αという)と商品ID:2302-2の企画商品(以下、企画商品βという)を抽出する。企画商品特定手段41は、続いて、抽出した企画商品α,βそれぞれに対して、基準乗降駅(X駅1x)からの不足券類を算定する。なお、利用客が希望する基準乗降駅としてX駅1xが補助情報に含まれている問い合わせ情報を中央処理装置4の企画商品特定手段41が受けた場合も、同様に、X駅1xからの不足券類を算定する。
【0039】
企画商品αの出入口駅はB駅1bとE駅1eの二駅である。X駅1xから出入口駅であるB駅1bまでルート1を使うと、路線アにおける「X駅1x→A駅1a→B駅1b」の2駅区間に対応する乗車券が不足券類T1となる。企画商品αと不足券類T1との組み合わせを販売情報α1とする。一方、X駅1xから出入口駅であるE駅1eまでルート2を使うと、路線イおよび路線アにおける「X駅1x→G駅1g→H駅1h→Y駅1y→F駅1f→E駅1e」の5駅区間に対応する乗車券が不足券類T2となる。企画商品αと不足券類T2との組み合わせを販売情報α2とする。
【0040】
企画商品βの出入口駅はC駅1cとY駅1yの二駅である。X駅1xから出入口駅であるC駅1cまでルート1を使うと、路線アにおける「X駅1x→A駅1a→B駅1b→C駅1c」の3駅区間に対応する乗車券が不足券類T3となる。企画商品βと不足券類T3との組み合わせを販売情報β1とする。一方、X駅1xから出入口駅であるY駅1yまでルート2を使うと、路線イにおける「X駅1x→G駅1g→H駅1h→Y駅1y」の3駅区間に対応する乗車券が不足券類T4となる。企画商品βと不足券類T4との組み合わせを販売情報β2とする。
【0041】
上記のようにして企画商品特定手段41が不足券類を算定することで、販売情報α1,α2,β1,β2が得られる。ここで、不足券類の価格が安いものを最適経路条件に設定した場合を考える。不足券類T1~T4の価格を比較して、「T1<T3<T4<T2」である場合、最も安価な不足券類T1と企画商品αとの組み合わせである販売情報α1を、問い合わせ情報の送信元である券売機2へ送信する販売情報として抽出できる。なお、基準乗降駅から企画商品における有効範囲(出入口駅)までの移動距離が短いものを最適経路条件に設定する場合も同様である。不足券類T1~T4の区間距離を比較して、「T1<T3<T4<T2」である場合、最も移動距離が短い不足券類T1と企画商品αとの組み合わせである販売情報α1を、問い合わせ情報の送信元である券売機2へ送信する販売情報として抽出できる。
【0042】
また、Y駅1yが乗降基準駅に設定された場合には、企画商品βの鉄道利用権の有効範囲内であるから、企画商品βを使えば不足券類は不要となる。よって、企画商品βと不足券類無し(Null)を販売情報として問い合わせ情報の送信元である券売機2へ送信すればよい。なお、企画商品αと企画商品β両方の鉄道利用権の有効範囲内にあるC駅1c、D駅1d、E駅1eが乗降基準駅に設定された場合には、企画商品αと企画商品βのどちらを販売情報に含ませても構わないので、適宜な選定基準(例えば、商品IDのソート順など)を設定しておけば、販売情報に含める1つの企画商品を選定できる。
【0043】
また、利用客がイベント会場へ行くときの乗車駅と、イベント終了後に移動して降りる降車駅を別々で希望する場合、券売機2の企画商品受付手段21は、利用客が乗車または下車を希望する2つの駅を第1基準乗降駅および第2基準乗降駅として補助情報に含ませた問い合わせ情報を生成し、中央処理装置4へ送信する。例えば、X駅1xが第1基準乗降駅として、Y駅1yが第2基準乗降駅として、それぞれ設定されている場合、中央処理装置4の企画商品特定手段41は、企画商品の鉄道利用権における有効範囲とX駅1xとの間で不足する第1乗車券類、および企画商品の鉄道利用権における有効範囲とY駅1yとの間で不足する第2乗車券類からなる不足券類の算定を行う。また、キー情報「ABCDE」で特定される企画商品は、企画商品αと企画商品βの2種類あるので、それぞれの企画商品について不足券類の算定を行う必要がある。
【0044】
企画商品αにおける出入口駅は、B駅1bとE駅1eの二駅である。まず、第1基準乗降駅から企画商品αの有効範囲に移動する方法として、第1基準乗降駅であるX駅1xから出入口駅であるB駅1bまでルート1を使う移動方法と、第1基準乗降駅であるX駅1xから出入口駅であるE駅1eまでルート2を使う移動方法の2種類がある。また、第2基準乗降駅から企画商品αの有効範囲に移動する方法として、第2基準乗降駅であるY駅1yから出入口駅であるB駅1bまで路線イでX駅1xを経由して路線アを使う移動方法と、第2基準乗降駅であるY駅1yから出入口駅であるE駅1eまで路線アを使う移動方法の2種類がある。よって、企画商品αに対して、第1基準乗降駅からの移動方法2種類と第2基準乗降駅からの移動方法2種類の組み合わせで、4種類の不足券類を算定できる。しかしながら、他方の基準乗降駅を通過して企画商品の有効範囲に移動する遠回りルートを含む移動方法を除外すると、1種類の不足券類のみが対象となる。すなわち、X駅1xからB駅1bまでの路線アにおける「X駅1x→A駅1a→B駅1b」の2駅区間に対応する第1乗車券類Tα1と、Y駅1yからE駅1eまでの路線アにおける「Y駅1y→F駅1f→E駅1e」の2駅区間に対応する第2乗車券類Tα2との組み合わせが不足券類Tαとなる。
【0045】
企画商品βにおける出入口駅は、C駅1cとY駅1yの二駅である。まず、第1基準乗降駅から企画商品βの有効範囲に移動する方法として、第1基準乗降駅であるX駅1xから出入口駅であるC駅1cまでルート1を使う移動方法と、第1基準乗降駅であるX駅1xから出入口駅であるY駅1yまでルート2を使う移動方法の2種類がある。また、第2基準乗降駅であるY駅1yは企画商品βの有効範囲に含まれているので、第2不足券類を不要とする方法と、第2基準乗降駅であるY駅1yから出入口駅であるC駅1cまで路線イでX駅1xを経由して路線アを使う移動方法の2種類がある。よって、企画商品βに対して、第1基準乗降駅からの移動方法2種類と第2基準乗降駅からの移動方法2種類の組み合わせで、4種類の不足券類を算定できる。しかしながら、他方の基準乗降駅を通過して企画商品の有効範囲に移動する遠回りルートを含む移動方法を除外すると、1種類の不足券類のみが対象となる。すなわち、X駅1xからC駅1cまでの路線アにおける「X駅1x→A駅1a→B駅1b→C駅1c」の3駅区間に対応する第1乗車券類Tβ1と、第2基準乗降駅であるY駅1yから企画商品βの有効範囲に含まれるY駅1yまでの0区間に対応する第2乗車券類Tβ2(=0)との組み合わせが不足券類Tβとなる。
【0046】
企画商品αにおける不足券類Tαは「第1乗車券類Tα1+第2乗車券類Tα2」と算定され、企画商品βにおける不足券類Tβは「第1乗車券類Tβ1」と算定される。例えば、不足券類Tαの価格が不足券類Tβの価格よりも安い、あるいは不足券類Tαにおける移動距離が不足券類Tβにおける移動距離よりも短く、最適経路条件を満たす場合には、企画商品αと不足券類Tαとの組み合わせを販売情報とする。一方、不足券類Tβの価格が不足券類Tαの価格よりも安い、あるいは不足券類Tβにおける移動距離が不足券類Tαにおける移動距離よりも短く、最適経路条件を満たす場合には、企画商品βと不足券類Tβとの組み合わせを販売情報とする。なお、不足券類Tαの価格と不足券類Tβの価格が同じ、あるいは不足券類Tαにおける移動距離と不足券類Tβにおける移動距離が同じである場合には、企画商品αと不足券類Tαとの組み合わせを販売情報としても良いし、企画商品βと不足券類Tβとの組み合わせを販売情報としても良い。
【0047】
上述したように、本実施形態の券売システムSによれば、券売機2の企画商品受付手段21が、商品情報頒布体としてのパンフレット8に付された可読情報としての2次元コード81からキー情報を読み取り、キー情報と補助情報を含む問い合わせ情報を生成し、中央処理装置4へ送信し、この問い合わせ情報を受けた中央処理装置4の企画商品特定手段41が、企画商品と不足券類との組み合わせである販売情報を券売機2へ送信し、券売機2が販売情報を利用客に提示するので、利用客は希望する企画商品と不足券類とを券売機2から一括購入できる。よって、企画商品の購入を券売機2で効率良く行えると共に、利用客の利便性を向上させられる券売システムSとなる。また、座席指定券のように中央処理装置4が統括的に管理する必要のない短区間の普通乗車券等が不足券類となる場合、企画商品特定手段41や商品データベース7等の機能を券売機2に持たせておけば、ネットワーク3を介して中央処理装置4と接続することなく、券売機2単独で券売システムSを実現できる。
【0048】
以上、本発明に係る券売システムの実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない範囲で、公知既存の等価な技術手段を転用することにより実施しても構わない。
【符号の説明】
【0049】
S 券売システム
1 停車駅
2 券売機
21 企画商品受付手段
22 撮像手段
23 デコード手段
3 ネットワーク
4 中央処理装置
41 企画商品特定手段
7 商品データベース
8 パンフレット
81 2次元コード
図1
図2
図3