(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127268
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20240912BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240912BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H10B12/00 671A
H10B12/00 621B
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H10B12/00 681B
H01L27/092 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036299
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】前田 健
(72)【発明者】
【氏名】野田 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 章輔
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AA07
5F048AB01
5F048AC01
5F048AC03
5F048AC10
5F048BA01
5F048BA14
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB09
5F048BB11
5F048BB14
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5F048BD07
5F048BF07
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5F048BF16
5F048CB01
5F048CB04
5F083AD06
5F083AD24
5F083GA06
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5F083GA10
5F083GA27
5F083JA02
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA43
5F083JA44
5F083JA56
5F083JA60
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA19
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA20
5F083PR21
5F083PR33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性の低下を抑制した半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置のメモリセルアレイ100Aは、半導体基板と、半導体基板上に設けられたメモリキャパシと、メモリキャパシタ上に設けられたメモリトランジスタMTRと、メモリキャパシタの上部に設けられ、第1方向に延在する第1の導電体と、メモリトランジスタの上部に設けられ、第1方向に延在する第2の導電体50と、第1の導電体と第2の導電体との間に設けられ、第1方向に延在する酸化物半導体層41と、メモリトランジスタの上部に設けられ、酸化物半導体層と接続された導電性酸化物層51Eと、導電性酸化物層と接続され、ビット線となる導電層71と、ビット線間に設けられた絶縁層68とを備える。ビット線間の絶縁層の底部が導電性酸化物層と接している。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上に設けられたメモリキャパシタと、
前記メモリキャパシタの上に設けられたメモリトランジスタと、
前記メモリキャパシタの上部に設けられ、第1方向に延在する第1の導電体と、
前記メモリトランジスタの上部に設けられ、第1方向に延在する第2の導電体と、
前記第1の導電体と前記第2の導電体との間に設けられ、第1方向に延在する酸化物半導体層と、
前記メモリトランジスタの上部に設けられ、前記酸化物半導体層と接続された導電性酸化物層と、
前記導電性酸化物層と接続された第1導電層と、
前記第1導電層の間に設けられた第1絶縁層と
を備え、前記第1絶縁層の底部が前記導電性酸化物層と接している、半導体装置。
【請求項2】
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記酸化物半導体層を囲む第2導電層と、
前記酸化物半導体層と前記第2導電層との間に設けられ、前記第2導電層に接する絶縁膜と
を備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板は、相補型電界効果トランジスタを有する回路を備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記導電性酸化物層は、インジウム-錫-酸化物(ITO)の金属酸化物を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記メモリトランジスタは、閾値制御可能である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1導電層の間の側壁に設けられた第2絶縁層を備え、前記側壁に接する前記第2絶縁層は隣接の前記第1導電層の側壁には接していない、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導電性酸化物層の上に設けられた第2導電層を備え、前記第2の導電体は、少なくとも前記導電性酸化物層および前記第2導電層を備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記絶縁膜は、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ニオブ(Nb)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、およびマグネシウム(Mg)からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素と、酸素と、を含む、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記酸化物半導体層は、酸化インジウムと酸化ガリウム、酸化インジウムと酸化亜鉛、又は、酸化インジウムと酸化スズを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1導電層は、タングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、およびルテニウム(Ru)からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1絶縁層は、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiOx)からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の導電体は、前記導電性酸化物層と、前記導電性酸化物層の上に配置された第2導電層と、前記第2導電層の上に配置された第3導電層とを備え、逆台形形状を備える、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2の導電体は、円筒形状を備え、前記第2の導電体の上部の径をt1、下部の径をt3とすると、t1>t3が成立する、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1導電層に接しない前記第2の導電体の径をt2とすると、前記第2の導電体の上部の径t1は前記第1導電層に接する径t1となり、t1>t2が成立する、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記導電性酸化物層のうち、前記第2導電層と接していない領域の一部は前記第1方向と前記第2方向に直交する第3方向に折れ曲がっており、前記導電性酸化物層はU字のカップ形状を有する、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第2の導電体は、前記導電性酸化物層を備え、逆台形形状を備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第2の導電体は、円筒形状を備え、前記第2の導電体の上部の径をt1、下部の径をt3とすると、t1>t3が成立する、請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1導電層に接しない前記第2の導電体の径をt2とすると、前記第2の導電体の上部の径t1は前記第1導電層に接する径t1となり、t1>t2が成立する、請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
メモリトランジスタの上に、導電性酸化物層を含む導電体を形成後、表面を平坦化し、
ビット線となる第1導電層および第1絶縁層を順次形成し、
前記第1絶縁層および前記第1導電層を除去し、前記導電性酸化物層の表面を露出させ、前記第1導電層を分離すると共に、形成された第1溝に第2絶縁層を形成し、
前記第1溝の底部の前記第2絶縁層を除去し、前記導電性酸化物層の表面を露出させ、
酸素雰囲気により酸素(O2)を前記導電性酸化物層を介して前記メモリトランジスタのチャネルとなる酸化物半導体層に供給する、
半導体装置の製造方法。
【請求項20】
メモリトランジスタの上に形成された第3絶縁層をパターニングし、前記第3絶縁層で挟まれたU字構造の第2溝を形成し、前記第2溝の底部に前記メモリトランジスタのチャネルとなる酸化物半導体層の表面を露出し、
前記第2溝の段差を跨いで、導電性酸化物層を含む導電体を形成後、表面を平坦化し、
ビット線となる第1導電層および第4絶縁層を順次形成し、
前記第4絶縁層および前記第1導電層を除去し、前記導電性酸化物層の一部の表面を露出させ、前記第1導電層を分離すると共に、形成された第3溝に第5絶縁層を形成し、
前記第3溝の底部および底部近傍の側壁部の前記第5絶縁層を除去し、前記導電性酸化物層の一部の表面を露出させ、
酸素雰囲気により酸素(O2)を前記導電性酸化物層を介して前記メモリトランジスタのチャネルとなる酸化物半導体層に供給する、
半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記導電性酸化物層は、U字カップ形状を備える、請求項20に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記導電性酸化物層を含む前記導電体は、前記導電性酸化物層のバルク単体である、請求項20に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビット線、ワード線、およびこれらに接続されるメモリセル(トランジスタおよびキャパシタ)を有する半導体記憶装置が用いられている。ビット線とワード線を選択して、電圧を印加することで、メモリセルにデータを書き込み、読み出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/076766号
【特許文献2】国際公開第2020/076850号
【特許文献3】米国特許出願公開第2021/0384354号明細書
【特許文献4】特開2021-044526号公報
【特許文献5】特開2021-108331号公報
【特許文献6】国際公開第2021/106234号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の発明が解決しようとする課題は、信頼性の低下を抑制した半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に設けられたメモリキャパシタと、メモリキャパシタ上に設けられたメモリトランジスタと、メモリキャパシタの上部に設けられ、第1方向に延在する第1の導電体と、メモリトランジスタの上部に設けられ、第1方向に延在する第2の導電体と、第1の導電体と第2の導電体との間に設けられ、第1方向に延在する酸化物半導体層と、メモリトランジスタの上部に設けられ、酸化物半導体層と接続された導電性酸化物層と、導電性酸化物層と接続され、ビット線となる導電層と、ビット線間に設けられた絶縁層とを備え、ビット線間の絶縁層の底部が導電性酸化物層と接している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイの回路図。
【
図2】実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイの平面図。
【
図3】実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイの断面図。
【
図4A】比較例に係る半導体装置のメモリセルアレイの断面図。
【
図4B】比較例に係る半導体装置のメモリセルアレイの平面図。
【
図5A】第1の実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイの断面図。
【
図5B】第1の実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイの平面図。
【
図6A】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図6B】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図6C】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図6D】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図6E】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図7】第2の実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイの断面図。
【
図8】第2の実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイの平面図。
【
図9A】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図9B】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図9C】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図9D】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図9E】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図9F】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図9G】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図9H】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図10】第3実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイの断面図。
【
図11】第3実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイの平面図。
【
図12A】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図12B】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図12C】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図12D】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図12E】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図12F】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図12G】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【
図12H】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。上下方向は、重力加速度に従った上下方向と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0008】
本明細書において「接続」とは物理的な接続だけでなく電気的な接続も含み、特に指定する場合を除き、直接接続だけでなく間接接続も含む。
【0009】
以下の説明においては、XY平面に広がる半導体基板に垂直な方向をZ方向、Z方向に直交し、ワード線WLの延伸する方向をX方向、Z方向およびX方向に垂直なビット線BLの延伸する方向をY方向とする。
【0010】
また、以下の説明においては、半導体装置のメモリセルアレイを単に半導体装置と表記する場合もある。
【0011】
実施形態の半導体装置は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:Dynamic Random Access Memory)であって、メモリセルアレイを有する。
【0012】
図1は、実施形態の半導体装置のメモリセルアレイ100の回路構成を説明するための回路図である。
図1は、複数のメモリセルMCと、複数のワード線WL(ワード線WLn、ワード線WLn+1、ワード線WLn+2、nは整数)と、複数のビット線BL(ビット線BLm、ビット線BLm+1、ビット線BLm+2、mは整数)と、電源線VPLと、を示す。
【0013】
複数のメモリセルMCは、行列方向に配列され、メモリセルアレイを形成する。それぞれのメモリセルMCは、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)であるメモリトランジスタMTRと、メモリキャパシタMCPと、を備える。
【0014】
電界効果トランジスタは、ゲートと、ソースと、ドレインと、を有する。電界効果トランジスタは、バックゲートをさらに有する場合がある。ソースとドレインは、トランジスタの構造や動作条件によって互いに入れ替わるため、いずれがソース又はドレインであるかを限定することが困難である。そこで、特に指定する場合を除き、ソースおよびドレインのいずれかから任意に選択した一方の端子をソースまたはドレインの一方と表記し、他方の端子をソースまたはドレインの他方と表記する。
【0015】
メモリトランジスタMTRのゲートは対応するワード線WLに接続され、ソースまたはドレインの一方は対応するビット線BLに接続される。ワード線WLは、例えばロウデコーダに接続される。ビット線BLは、例えばセンスアンプに接続される。メモリキャパシタMCPの第1の電極はメモリトランジスタMTRのソースまたはドレインの他方に接続され、第2の電極は特定の電位を供給する電源線VPLに接続される。電源線VPLは、例えば電源回路に接続される。メモリセルMCは、ワード線WLによるメモリトランジスタMTRのスイッチングによりビット線BLからメモリキャパシタMCPに電荷を蓄積してデータを保持できる。複数のメモリセルMCの数は、
図1に示す数に限定されない。
【0016】
図2は、実施形態の半導体装置のメモリセルアレイ100の構造を説明するための平面図である。
図3は、実施形態の半導体装置のメモリセルアレイ100の構造を説明するための断面図である。
【0017】
メモリセルアレイ100は、
図3に示すように、導電体21と、導電層22と、電気伝導体23と、絶縁体24と、導電層31と、導電性酸化物層32と、酸化物半導体層41と、導電層42と、絶縁膜43と、導電性酸化物層51と、導電層52と、導電層71と、を具備する。なお、
図2は、便宜のため、酸化物半導体層41と、導電層42と、絶縁膜43と、導電層71と、を示し、その他の構成要素については便宜のため図示を省略している。
【0018】
メモリトランジスタMTRおよびメモリキャパシタMCPは、
図3に示すように、半導体基板10の上の絶縁層11の上方に設けられる。半導体基板10には、ロウデコーダやセンスアンプ、電源回路等の周辺回路が形成される。周辺回路は、例えばPチャネル型電界効果トランジスタ(Pch-FET)、Nチャネル型電界効果トランジスタ(Nch-FET)の電界効果トランジスタ、相補型電界効果トランジスタ(CMOSFET)を有する。電界効果トランジスタは、例えば単結晶シリコン基板等の半導体基板10を用いて形成可能であり、Pch-FETおよびNch-FETは、半導体基板10にチャネル領域とソース領域とドレイン領域とを有する。なお、半導体基板10はP型の導電型を有していてもよい。絶縁層11は、半導体基板10の上に設けられ、例えばシリコン(Si)と、酸素(O)または窒素(N)と、を含む。絶縁層11は、積層膜であってもよい。
【0019】
導電体21、導電層22、電気伝導体23、および絶縁体24は、メモリキャパシタMCPを形成する。ここで、導電体21は、電源線VPLに接続される。導電体21は、メモリセルアレイに共通の電極として配置可能である。導電層22は、導電体21と電気的に共通となっており、メモリキャパシタの一方の電極を形成する。電気伝導体23は、メモリキャパシタの他方の電極を形成し、各メモリトランジスタMTRの導電体30に接続される。メモリキャパシタMCPは、いわゆるピラー型キャパシタ、シリンダー型キャパシタ等の3次元キャパシタである。
【0020】
導電体21は、絶縁層11を挟んで半導体基板10の上方に設けられる。導電層22は、導電体21の一部の上に設けられる。導電体21および導電層22は、メモリキャパシタMCPの第2の電極を形成する。導電体21は、Z方向から見て複数の電気伝導体23と重なるように延在する。導電体21は、プレート電極ともいう。電気伝導体23は、絶縁体24を挟んで導電体21の上方に設けられ、Z方向に延在し、メモリキャパシタMCPの第1の電極を形成する。絶縁体24は、導電体21および導電層22と、電気伝導体23と、の間に設けられ、メモリキャパシタMCPの誘電体を形成する。
【0021】
導電体21および導電層22は、例えばタングステン(W)、窒化チタン(TiN)等の材料を含む。電気伝導体23は、例えばタングステン(W)、窒化チタン(TiN)、アモルファスシリコン等の材料を含む。絶縁体24は、例えば酸化ハフニウム(HfOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化アルミニウム(AlOx)等の材料を含む。
【0022】
導電層31は、電気伝導体23の上に設けられ、電気伝導体23に電気的に接続される。導電層31は、例えば銅(Cu)を含む。なお、導電層31は、必ずしも形成されなくてもよい。
【0023】
導電性酸化物層32は、導電層31の上に設けられる。導電性酸化物層32は、例えばインジウム(In)-錫(Sn)-酸化物(ITO)等の金属酸化物を含む。
【0024】
導電層31および導電性酸化物層32は、導電体30を形成する。導電体30は、複数の電気伝導体23に対して複数設けられる。複数の導電体30の間には、絶縁層33が形成される。絶縁層33は、例えばシリコン(Si)と、酸素(O)または窒素(N)と、を含む。
【0025】
酸化物半導体層41、導電層42、および絶縁膜43は、メモリトランジスタMTRを形成する。メモリトランジスタMTRは、例えばNチャネル型電界効果トランジスタである。メモリトランジスタMTRは、メモリキャパシタMCPの上方に設けられる。メモリトランジスタMTRは、複数のメモリキャパシタMCPに対応して複数設けられる。複数のメモリトランジスタMTRの間には、絶縁層44および絶縁層45が形成される。絶縁層44および絶縁層45は、例えばシリコン(Si)と、酸素(O)または窒素(N)と、を含む。
【0026】
酸化物半導体層41は、例えばZ方向に延在する柱状体である。酸化物半導体層41は、導電層42をZ方向に貫通する。酸化物半導体層41は、メモリトランジスタMTRのチャネルを形成する。酸化物半導体層41は、例えばインジウム(In)を含む。酸化物半導体層41は、例えば、酸化インジウムと酸化ガリウム、酸化インジウムと酸化亜鉛、又は、酸化インジウムと酸化スズを含む。一例として、インジウム、ガリウム、および、亜鉛を含む酸化物(インジウム-ガリウム-亜鉛-酸化物)、いわゆるIGZO(InGaZnO)を含む。酸化物半導体層41は、アモルファス構造を有していてもよく、熱処理により結晶構造を有していてもよい。
【0027】
酸化物半導体層41のZ方向の一端は、導電性酸化物層32を介して導電層31に接続され、メモリトランジスタMTRのソースまたはドレインの他方として機能する。導電性酸化物層32は、メモリキャパシタMCPの電気伝導体23とメモリトランジスタMTRの酸化物半導体層41との間に設けられ、メモリトランジスタMTRのソース電極またはドレイン電極の他方として機能する。導電性酸化物層32は、メモリトランジスタMTRの酸化物半導体層41と同様に金属酸化物を含むため、メモリトランジスタMTRとメモリキャパシタMCPとの間の接続抵抗を低減できる。
【0028】
導電層42は、XY平面において絶縁膜43を挟んで酸化物半導体層41に対向する部分を含む。導電層42は、XY平面において酸化物半導体層41および絶縁膜43を囲む。導電層42は、メモリトランジスタMTRのゲート電極を形成するとともに、配線としてワード線WLを形成する。導電層42は、例えば金属、金属化合物、または、半導体を含む。導電層42は、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、およびルテニウム(Ru)からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含む。
【0029】
なお、
図2において、導電層42は、Y方向から見てメモリトランジスタMTRと重なる領域よりもメモリトランジスタMTRと重ならない領域の方がY方向の幅が狭いが、これに限定されず、導電層42のY方向の幅は、一定の値であってもよい。
【0030】
複数の導電層42は、
図2に示すように、X方向に延在するとともに、互いに平行に配置される。各導電層42は、X方向において、複数のメモリセルMCに重なり接続される。
【0031】
絶縁膜43は、XY平面において、酸化物半導体層41と導電層42との間に設けられる。絶縁膜43は、メモリトランジスタMTRのゲート絶縁膜を形成する。絶縁膜43は、例えば、シリコン(Si)と、酸素(O)または窒素(N)と、を含む。絶縁膜43は、複数の絶縁膜の積層膜であってもよい。
【0032】
メモリトランジスタMTRは、ゲート電極がチャネルを囲んで配置される、いわゆるサラウンディング・ゲート・トランジスタ(SGT:Surrounding Gate Transistor)構造を備える。SGTにより半導体装置の面積を小さくすることができる。
【0033】
酸化物半導体を含むチャネル層を有する電界効果トランジスタは、半導体基板10に設けられた電界効果トランジスタよりもオフリーク電流が低い。よって、例えばメモリセルMCに保持されたデータを長く保持できるため、リフレッシュ動作の回数を減らすことができる。また、酸化物半導体を含むチャネル層を有する電界効果トランジスタは、低温プロセスで形成可能であるため、メモリキャパシタMCPに熱ストレスを与えることを抑制することができる。
【0034】
導電性酸化物層51は、酸化物半導体層41の上に設けられる。導電性酸化物層51は、例えばインジウム-錫-酸化物(ITO)等の金属酸化物を含む。
【0035】
導電層52は、導電性酸化物層51の上に設けられ、導電性酸化物層51に電気的に接続される。導電層52は、例えば銅(Cu)を含む。
【0036】
導電性酸化物層51および導電層52は、導電体50を形成する。導電層52はメモリトランジスタMTRとビット線BLを電気的に接続するための導電層であり、ビット線BLの主となる部分である。導電性酸化物層51は酸化物半導体層41と導電層52との良好な電気的接続を確保するための層であり、酸化物を含んだ電極材料で形成される。導電層52は、導電性酸化物層51と電気的に接続されて一体化されて導電体50を形成する。通常、導電性酸化物層51と導電層52の間には密着層が設けられているが、
図3では図示を省略している。導電体50は、ビット線BLを介してセンスアンプに電気的に接続される。導電体50は、例えばメモリトランジスタMTRとビット線BLと接続するための導電性パッドとしての機能を有する。導電体50は、ランディングパッド(LP:Landing Pad)とも呼ばれる。導電体50は、複数のメモリトランジスタMTRに対応して複数設けられる。複数の導電体50の間には、絶縁層53が形成される。絶縁層53は、例えば、シリコン(Si)と、酸素(O)または窒素(N)と、を含む。
【0037】
酸化物半導体層41のZ方向の他端は、導電性酸化物層51を介して導電層52に接続され、メモリトランジスタMTRのソースまたはドレインの一方として機能する。導電性酸化物層51は、メモリトランジスタMTRのソース電極またはドレイン電極の一方として機能する。導電性酸化物層51は、メモリトランジスタMTRの酸化物半導体層41と同様に金属酸化物を含むため、メモリトランジスタMTRとビット線BLとの間の接続抵抗を低減することができる。
【0038】
導電層71は、導電層52の上に設けられ、導電体50に接続される。導電層71は、配線としてビット線BLを形成する。複数の導電層71の間には絶縁層72が形成される。絶縁層72は、例えば、シリコンと、酸素または窒素と、を含む。
【0039】
複数の導電層71(ビット線BL)は、
図2に示すように、Y軸方向に延在するとともに、互いに平行に配置される。各導電層71は、Z方向から見て、複数のメモリセルMCに重なり接続される。
【0040】
複数のメモリセルMCは、
図2に示すように、XY平面において千鳥配置を形成してもよい。複数のワード線WLの一つに接続されたメモリセルMCは、隣接するワード線WLに接続されたメモリセルMCに対してX方向にずれて配置される。これにより、メモリセルMCの集積度を高めることができる。
【0041】
メモリトランジスタMTRのゲート絶縁膜となる絶縁膜43は、シリコン酸化膜等の酸化膜を用いて形成されるが、ワード線(ゲート電極)からシリコン酸化膜にタングステン等の金属元素が拡散することを抑制するためにシリコン酸化膜とワード線(ゲート電極)との間にシリコン窒化膜等の窒化膜を形成することが好ましい。
【0042】
(比較例)
図4Aは、比較例に係る半導体装置のメモリセルアレイ100Aの断面図である。
図4Bは、比較例に係る半導体装置のメモリセルアレイ100Aの平面図である。
図4Aは、
図4BのI-I線に沿う断面構造を表している。
【0043】
比較例に係る半導体装置においては、導電性酸化物層51は、酸化物半導体層41の上に設けられる。さらに、導電性酸化物層51の上に導電層51Tが設けられている。導電性酸化物層51は、上部電極(TE:Top Electrode)とも呼ばれる。導電層51Tは、例えば、窒化チタン(TiN)、酸化チタン(TiO)、窒化酸化チタン(TiON)で形成される。
【0044】
導電性酸化物層51、導電層51Tおよび導電層52は、導電体50を形成する。導電層51Tは、導電性酸化物層51と導電層52との間の接続抵抗を低減することができる。
【0045】
比較例に係る半導体装置においては、導電性酸化物層51を形成した後にIGZOで形成された酸化物半導体層41への酸素供給のための酸素(O2)アニール処理を行っている。例えば、ITO等の金属酸化物を含む導電性酸化物層51は、酸素を透過可能な金属材料であるため、導電性酸化物層51を透過して酸化物半導体層41のIGZOチャネルに酸素の供給が可能となる。IGZOチャネルに酸素供給することでメモリトランジスタMTRのしきい値を上昇させることが可能である。このため、酸素(O2)アニール処理はメモリトランジスタMTRのしきい値上昇を目的としている。
【0046】
IGZOチャネル形成以降の工程の熱負荷(特にCVD工程(250~450℃程度))によりIGZOチャネルから酸素が抜けることが想定される。このため、IGZOチャネルへの酸素供給はなるべく後の工程の方が望ましい。
【0047】
比較例に係る半導体装置においては、導電層52を加工して凹部を形成するランディングパッド(LP)加工工程において、TiNからなる導電層51TおよびITOからなる導電性酸化物層51をエッチングで除去した後に露出した導電性酸化物層51の側壁部分(
図4AのAの部分)からの酸素の供給を行う。導電性酸化物層51の側壁の露出面積は、導電性酸化物層51の径と高さに依存する。通常、導電性酸化物層51の径は、約10~30nm程度と小さく、厚さは、約5~10nm程度と薄いため、導電性酸化物層51の側壁の露出面積も小さい。そのため、導電性酸化物層51の側壁を介して酸化物半導体層41へ酸素供給を行う場合、長時間の酸素(O
2)アニール処理が必要になる。また、酸素の供給が不十分であれば、メモリトランジスタMTRのしきい値制御が困難となり、メモリ動作の信頼性の低下を招く。
【0048】
凹部形状に加工された導電層52、導電層51Tおよび導電性酸化物層51の側壁部分には、絶縁層53(絶縁層531、絶縁層532、および絶縁層533)が形成される。絶縁層531および絶縁層532は、酸化膜や窒化膜等で形成され、ライナー絶縁膜とも呼ばれる。絶縁層533は、シリコン酸化膜などで形成され、ギャップフィル膜とも呼ばれる。
【0049】
比較例に係る半導体装置においては、導電層52の上に導電層54、導電層71、導電層55、絶縁層63を形成する。その後、導電層54、導電層71、導電層55、絶縁層63を除去して、導電層54間、導電層71間、および導電層55間を分離し、分離された溝に絶縁層62を形成している。
【0050】
(第1の実施の形態)
図5Aは、第1の実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイ101の断面図である。
図5Bは、第1の実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイ101の平面図である。
図5Aは、
図5BのII-II線に沿う断面構造を表している。
【0051】
第1の実施の形態に係る半導体装置は、
図3に示す構造と同様に、第1の導電体30と、第2の導電体50と、第1の導電体と第2の導電体との間に設けられ、Y方向に延在する酸化物半導体層41と、Y方向と交差するX方向に延在し、酸化物半導体層41を囲む導電層42と、酸化物半導体層41と導電層42との間に設けられるとともに導電層42に接する酸化膜である絶縁膜43とを備える。
【0052】
第1の実施の形態に係る半導体装置は、
図5Aおよび
図5Bに示すように、半導体基板10と、半導体基板10上に設けられたメモリキャパシタMCPと、メモリキャパシタMCP上に設けられたメモリトランジスタMTRと、メモリキャパシタMCPの上部に設けられ、Y方向に延在する第1の導電体30と、メモリトランジスタMTRの上部に設けられ、Y方向に延在する第2の導電体50と、第1の導電体30と第2の導電体50との間に設けられ、Y方向に延在する酸化物半導体層41と、メモリトランジスタMTRの上部に設けられ、酸化物半導体層41と接続された導電性酸化物層51Eと、導電性酸化物層51Eと接続され、ビット線BLとなる導電層71と、ビット線BL間に設けられた絶縁層68とを備える。ビット線BLは主たる導電層71とバリアメタルの導電層54および導電層55の3層からなる。また、ランディングパッド(LP)は主たる導電層52とバリアメタルの51T、導電性酸化物層51Eの3層からなる。ここで、ビット線BL間の絶縁層68の底部が導電性酸化物層51Eと接している。尚、
図5Aでは、
図6Eの構造において、絶縁層68、絶縁層64、および絶縁層60の一部、絶縁層61の一部が省略されている。
【0053】
また、Y方向と交差するX方向に延在し、酸化物半導体層41を囲む導電層42と、酸化物半導体層41と導電層42との間に設けられるとともに導電層42に接する酸化膜である絶縁膜43とを備える。
【0054】
第1の実施の形態に係る半導体装置においては、
図5Aに示すように、導電性酸化物層51Eが酸化物半導体層41の上に設けられる。さらに、導電性酸化物層51Eの上に導電層51Tが設けられている。導電性酸化物層51E、導電層51Tおよび導電層52は、導電体50を形成する。
【0055】
第1の実施の形態に係る半導体装置においては、導電層52の上に導電層54、導電層71、導電層55、絶縁層63を形成する。その後、導電層55、導電層71、導電層54、導電層52および導電層51T、および絶縁層53の一部を除去して、導電性酸化物層51Eの表面を露出させている。
【0056】
第1の実施の形態に係る半導体装置の構造では、導電層54間、導電層71間、および導電層55間を分離し、分離された溝81(
図6B参照)の底部において導電性酸化物層51Eの表面を露出させている。このため、
図5Aに示すように、導電性酸化物層51Eの表面のB部分の間口を広げることが可能となる。
【0057】
第1の実施の形態に係る半導体装置の構造では、導電層54間、導電層71間、および導電層55間から酸素の供給を行うことで、導電性酸化物層51E表面の広い間口を介してIGZOチャネルの酸化物半導体層41に酸素の供給が可能となる。
【0058】
第1の実施の形態に係る半導体装置においては、導電性酸化物層51Eの表面を露出させた後に酸化物半導体層41への酸素供給を目的とした酸素(O2)アニール処理を行っている。金属酸化物を含む導電性酸化物層51Eは、酸素を透過可能な金属材料であるため、導電性酸化物層51Eを介して酸化物半導体層41のIGZOチャネルに酸素供給が可能となる。IGZOチャネルに酸素供給することでメモリトランジスタMTRのしきい値を上昇させることが可能である。
【0059】
第1の実施の形態に係る半導体装置の構造では導電層54間、導電層71間、および導電層55間を分離形成後に酸素供給可能である。このため、IGZOチャネル形成後において、導電層54間、導電層71間、および導電層55間の分離形成後までのIGZOへの熱負荷による酸素の欠損は抑制可能である。
【0060】
第1の実施の形態に係る半導体装置の構造では導電層54間、ビット線BLとなる導電層71間、および導電層55間を分離し、分離された溝81の側壁部にライナー絶縁膜と呼ばれる窒化膜等の絶縁層60を形成し、溝81の底部および絶縁層60上に絶縁層68を形成している。
【0061】
第1の実施の形態に係る半導体装置では、導電性酸化物層51Eの間口が広い領域(
図5AのBの部分)となるので、IGZOに効率的に酸素を供給可能な構造となっている。その場合、導電性酸化物層51Eの間口率は、導電性酸化物層51Eの径と高さにもよるが、比較例に比べて1.5~2倍程度改善される。
【0062】
絶縁膜43は、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ニオブ(Nb)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、およびマグネシウム(Mg)からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素と、酸素と、を含む。
【0063】
絶縁層60および絶縁層68は、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiOx)からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含み、酸素、水素、水のバリア性があることが望ましい。
【0064】
ランディングパッド(LP)を構成する導電層52は、タングステン(W)、銅(Cu)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、およびルテニウム(Ru)からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含む。
【0065】
ビット線BLとなる導電層71は、例えばタングステン(W)のCVDで形成され、形成温度範囲は、例えば、約250℃~450℃程度である。
【0066】
また、第1の実施の形態に係る半導体装置では、
図5Aおよび
図5Bに示すように、ランディングパッド(LP)を構成する導電層52は、導電性酸化物層51Eと比較して厚く形成されている。この理由は、隣接するビット線BLと接続する導電性酸化物層51Eと自身のビット線BLとのクリアランスを確保する必要があるためである。
【0067】
ランディングパッド(LP)を構成する導電層51TのTiNやTiOやTiONは、ITOの導電性酸化物層51EとWの導電層52との密着性が悪いためにその間を接続する接着層としての機能がある。また、導電層54のTiNはバリアメタルで、ビット線BLの導電層71からの元素拡散防止やビット線BLの導電層71と上下の酸化膜の反応防止・密着性担保の機能がある。
【0068】
第1の実施の形態に係る半導体装置では、隣接するビット線BL間の絶縁層68の一部が上部電極(TE)の導電性酸化物層51Eと接している。
【0069】
第1の実施の形態に係る半導体装置では、ビット線BL形成後に酸素供給できるため、BL形成プロセスの温度等による酸素抜けの影響を受けない。
【0070】
第1の実施の形態に係る半導体装置は、酸素ガス雰囲気にてBL間より導電性酸化物層51Eを介してメモリトランジスタMTRの酸化物半導体層41に酸素供給を行う。
【0071】
また、第1の実施の形態に係る半導体装置においては、BLの側壁は絶縁層60で保護されており、あるBL側壁に接する絶縁層60は隣接のBL側壁には接していない。即ち、BL間の絶縁層60は、BL間の底部において、除去されている。
【0072】
また、第1の実施の形態に係る半導体装置においては、BLの反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)時にTE ITOとなる導電性酸化物層51E上まで除去し、BL側壁に絶縁層60を形成し、絶縁層60の下部をエッチバック(EB:Etch Back)して導電性酸化物層51Eを露出させて、BL―BL間の隙間から酸素供給する。BL形成後に酸素供給できるため、BL形成プロセスの温度等による酸化物半導体層41からの酸素欠損の影響を抑制することができる。
【0073】
(第1の実施の形態の製造方法)
次に、
図6A~
図6Eを参照して、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0074】
(A)まず、
図6Aに示すように、メモリトランジスタMTR上に、導電性酸化物層51E、導電層51T、導電層52を成膜後、リソグラフィ工程によりランディングパッド(LP)のパターニングを行い、RIEで導電層52、導電層51Tを加工し、ライナー膜531で導電層52、導電層51Tの側壁を保護しつつRIEで導電性酸化物層51Eを加工し、酸素供給を行った後、ライナー膜532を形成し、ギャップフィル膜533を埋め込む。その後、導電層52の上端まで化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)技術を用いて研磨することで表面を平坦化する。次に、導電層54、導電層71、導電層55、絶縁層61、および絶縁層64を順次形成する。ここで、導電層55は、例えばTiN等で形成され、絶縁層64は、窒化膜等で形成される。絶縁層61は、プラズマCVD法で材料ガスにモノシラン(SiH
4)を用いて形成したシリコン酸化膜等である。尚、絶縁層64の形成工程は省略してもよい。
【0075】
(B)次に、
図6Bに示すように、リソグラフィ工程によりビット線BLのパターニングを行い、絶縁層64、絶縁層61、導電層55、導電層71、導電層54、導電層52、および導電層51Tおよびライナー膜531、532、ギャップフィル膜533をRIE等により除去し、導電性酸化物層51Eの一部の表面を露出させる。ここで、ビット線BLとなる導電層71、導電層55、および導電層54が分離される。更に、RIE等により形成された溝81にライナー膜となる絶縁層66を形成する。
【0076】
(C)次に、
図6Cに示すように、溝81の底部の絶縁層66を除去するまで絶縁層66の下部をエッチングし導電性酸化物層51Eを露出させる。この結果、導電性酸化物層51Eの一部の表面を露出させる。この工程により、絶縁層66の下部をエッチングするときに、絶縁層66の側壁も薄くなる場合があり、この場合は、例えば、絶縁層60となる。
【0077】
(D)次に、
図6Dに示すように、酸素雰囲気により酸素(O
2)を導電性酸化物層51Eを介してメモリトランジスタMTRの上部に設けられた酸化物半導体層41に供給する。この時、溝81の側壁部は窒化膜等の絶縁層60により保護されているため、導電層55や導電層71や導電層54や導電層52や導電層51Tは酸素供給アニールによる酸化などの影響を受けない。
【0078】
(E)次に、
図6Eに示すように、CVD等により絶縁層68を形成する。絶縁層68の成膜時に、エアギャップ(Air Gap)90を形成することでビット線BLの配線間容量を低減することができる。酸素(O
2)供給後に溝81に絶縁層68を埋め込むことで酸化物半導体層41へ酸素(O
2)を閉じ込めることができる。
【0079】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態によれば、酸素の供給のための開口率を高めることができ、安定的に酸素の供給が可能であり、信頼性の低下を抑制した半導体装置およびその製造方法を提供することができる。
【0080】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイ102の断面図である。
図8は、第2の実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイ102の平面図である。
図7は、
図8のIII-III線に沿う断面構造を表している。
【0081】
第2の実施の形態に係る半導体装置は、
図3に示す構造と同様に、第1の導電体30と、第2の導電体50と、第1の導電体30と第2の導電体50との間に設けられ、Y方向に延在する酸化物半導体層41と、Y方向と交差するX方向に延在し、酸化物半導体層41を囲む導電層42と、酸化物半導体層41と導電層42との間に設けられるとともに導電層42に接する酸化膜である絶縁膜43とを備える。
【0082】
第2の実施の形態に係る半導体装置においては、
図7に示すように、U字カップ形状の導電性酸化物層51Cが酸化物半導体層41の上に設けられる。さらに、導電性酸化物層51Cの上に導電層51CTが設けられている。導電性酸化物層51C、導電層51CTおよび導電層52は、第2の導電体50を形成する。ビット線BLは主たる導電層71とバリアメタルの導電層54および導電層55の3層からなる。また、ランディングパッド(LP)は主たる導電層52とバリアメタルの51CT、導電性酸化物層51Cの3層からなる。尚、
図7では、
図9Hの構造において、絶縁層68、絶縁層64、および絶縁層60の一部、絶縁層61の一部が省略されている。
【0083】
第2の実施の形態に係る半導体装置においては、
図7に示すように、導電性酸化物層51CがU字カップ形状を有するため、第1の実施の形態に係る半導体装置に比べて、ランディングパッド(LP)を形成する導電層52部分の体積が大きい。このため、ランディングパッド(LP)を形成する導電層52と導電層54との接触面積を大きくすることができる。また、導電性酸化物層51Cと導電層51CTとの接触面積を大きくすることができるため、導電性酸化物層51Cと導電層51CTとの密着性を高めることができる。導電性酸化物層51Cと導電層51CTの密着性が高い要因は、接触面積が大きいことだけによるものでなく、単なる並行接触ではないU字カップ状に引っかかる形状で接していることによっても密着性が高まっている。
【0084】
また、酸化膜(
図9A参照)越しに下層のマーク見ることができるため、ランディングパッド(LP)を形成する導電性酸化物層51C、導電層51CT、導電層52からなるランディングパッド(LP)を形成する前の段差形成プロセスが不要となる。
【0085】
また、ビット線BLとなる導電層54、導電層55、導電層71の分離形成後に導電性酸化物層51Cを介してメモリトランジスタMTRの上部に設けられた酸化物半導体層41に酸素を供給することができるため、ビット線BL形成プロセスの温度等による酸素抜けの影響を受けない。
【0086】
第2の実施の形態に係る半導体装置においては、
図7に示すように、第2の導電体50は、導電性酸化物層51Cと、導電性酸化物層51C上に配置された導電層51CTと、導電層51CT上に配置された導電層52とを備え、逆台形形状を備える。
【0087】
すなわち、
図7および
図8に示すように、第2の導電体50は、円筒形状を備え、第2の導電体50の上部の径をt1、下部の径をt3とすると、t1>t3が成立する。
【0088】
第2の実施の形態に係る半導体装置の第2の導電体50は、ITO等の導電性酸化物層51C、TiN等の導電層51CTおよびW等の導電層52からなり、
図9A~
図9Fに示すように、トレンチ内に埋込後にCMPやドライエッチングやウェットエッチングを用いて加工することでt1>t3となる逆台形形状を有する。
【0089】
また、第2の実施の形態に係る半導体装置においては、
図7および
図8に示すように、上部電極となる導電体50が、導電層54に接続される導電層54に接する領域と接しない領域で、上部電極となる導電体50の径がt1>t2となる抉れ形状を有する。
【0090】
すなわち、導電層71に接しない第2の導電体50の径をt2とすると、第2の導電体50の上部の径t1は導電層71に接する径t1となり、t1>t2が成立する。
【0091】
導電性酸化物層51Cのうち、導電層51CTと接していない領域の一部はY方向とY方向に直交するZ方向に折れ曲がっており、導電性酸化物層51CはU字のカップ形状を有する。
【0092】
(第2の実施の形態の製造方法)
次に、
図9A~
図9Hを参照して、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0093】
(A)まず、
図9Aに示すように、メモリトランジスタMTR上に、絶縁層45を形成後、リソグラフィ工程及びRIEまたはウェット(WET)エッチングプロセスにより絶縁層45をパターニングし、酸化物半導体層41の表面を露出する。ここで、絶縁層45で挟まれたU字構造の溝82の底部に酸化物半導体層41の表面は露出される。ここで、絶縁層45は透過膜のため、絶縁層45越しに下地のアライメントマーク(リソグラフィのアライメントを行うためのマーク)を視認可能となるため、絶縁層45のパターニングを行うためのリソグラフィ工程において、事前に下地に段差形成プロセスを施す必要が無い。
【0094】
(B)次に、
図9Bに示すように、U字構造の溝82の段差を跨いで、導電性酸化物層51C、導電層51CT、および導電層52からなる導電体50を形成する。第2の実施の形態に係る半導体装置では、導電性酸化物層51C、導電層51CT、および導電層52からなる導電体50をU字構造の溝82に埋め込むため、単なる平坦構造に積層するよりも各層の剥がれる可能性を低く抑えることができる。
【0095】
(C)次に、
図9Cに示すように、CMP技術を用いて表面を平坦化する。この結果、導電層52はメタルダマシン構造となり表面が平坦化される。
【0096】
(D)次に、
図9Dに示すように、導電層54、ビット線BLとなる導電層71、導電層55、絶縁層61、および絶縁層64を順次形成する。ここで、導電層55は、例えばTiN等で形成され、絶縁層64は、窒化膜等で形成される。絶縁層61は、プラズマCVD法で材料ガスにモノシラン(SiH
4)を用いて形成したシリコン酸化膜等である。尚、絶縁層64の形成工程は省略してもよい。
【0097】
(E)次に、
図9Eに示すように、リソグラフィ工程により、絶縁層64、絶縁層61、導電層55、導電層71、導電層54、導電層52、および導電層51CTをRIE等により除去し、U字カップ形状の導電性酸化物層51Cの一部の表面を露出させる。ここで、導電層54間、導電層71間、導電層55間が分離される。更に、RIE等により形成された溝83にライナー膜となる絶縁層66を形成する。この結果、
図9Eに示すように、導電層52は逆台形形状となり、導電体50の配線抵抗が低減化される。また、導電体50の導電層52と導電層54とのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0098】
(F)次に、
図9Fに示すように、溝83の底部および底部近傍の側壁部の絶縁層66を除去するまで絶縁層66の下部をエッチングし導電性酸化物層51Cを露出させる。この結果、導電性酸化物層51Cの一部の表面を露出させる。この工程により、絶縁層66の下部をエッチングするときに、絶縁層66の側壁も薄くなる場合があり、この場合は、例えば、絶縁層60となる。
【0099】
(G)次に、
図9Gに示すように、酸素雰囲気により酸素(O
2)を導電性酸化物層51Cを介してメモリトランジスタMTRの上部に設けられた酸化物半導体層41に供給する。この時、溝83の側壁部は窒化膜等の絶縁層60により保護されているため、導電層55や導電層71や導電層54や導電層52や導電層51Cは酸素供給アニールによる酸化などの影響を受けない。
【0100】
(H)次に、
図9Hに示すように、溝83にCVD等により絶縁層68を形成する。絶縁層68の成膜時に、エアギャップ(Air Gap)90を形成することでビット線BLの配線間容量を低減することができる。酸素(O
2)供給後に溝83に絶縁層68を埋め込むことで酸化物半導体層41へ酸素(O
2)を閉じ込めることができる。
【0101】
ランディングパッドLPの形成方法として、RIE加工によりランディングパッドLPを形成する場合、W(71)を成膜してからLPのリソグラフィを行う。このとき、W(71)は不透過な膜なので、W(71)成膜後に下地のアライメントマークが視認できなくなり、マスクアライメントができない。通常はW(71)等の不透過な膜を成膜する前にマーク段差形成プロセスを行い、下地に段差を形成しこの段差をアライメントマークとする。これにより、不透過な膜を成膜しても段差は視認できるため、マスクアライメントができるようになる。第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法では、ダマシン加工でランディングパッドLPを形成する。不透過なW(71)を成膜する前にLPのリソグラフィを行ってLPの穴を形成することになる。そのため、マーク段差を形成しなくてもマークが視認でき、リソグラフィのマスクアライメントが可能になる。
【0102】
(第2の実施形態の効果)
第2の実施形態によれば、U字カップ形状の導電性酸化物層により、酸素の供給のための開口率を高めることができ、安定的に酸素の供給が可能であり、信頼性の低下を抑制した半導体装置およびその製造方法を提供することができる。
【0103】
(第3の実施の形態)
図10は、第3の実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイ103の断面図である。
図11は、第3の実施の形態に係る半導体装置のメモリセルアレイ103の平面図である。
図10は、
図11のIV-IV線に沿う断面構造を表している。
【0104】
第3の実施の形態に係る半導体装置は、
図3に示す構造と同様に、第1の導電体30と、第2の導電体50と、第1の導電体30と第2の導電体50との間に設けられ、Y方向に延在する酸化物半導体層41と、Y方向と交差するX方向に延在し、酸化物半導体層41を囲む導電層42と、酸化物半導体層41と導電層42との間に設けられるとともに導電層42に接する酸化膜である絶縁膜43とを備える。ビット線BLは主たる導電層71とバリアメタルの導電層54および導電層55の3層からなる。また、ランディングパッド(LP)は導電性酸化物層51Bの単層からなる。尚、
図10では、
図12Hの構造において、絶縁層68、絶縁層64、および絶縁層60の一部、絶縁層61の一部が省略されている。
【0105】
第3の実施の形態に係る半導体装置においては、
図10に示すように、バルク形状の導電性酸化物層51Bが酸化物半導体層41の上に設けられる。さらに、導電性酸化物層51Bそれ自身が、導電体50を形成する。即ち、ランディングパッド(LP)すべてを導電性酸化物層51Bにすることにより、酸素の供給のための開口率を高めることができ、また、導電性酸化物層51Bのバルク中心へ酸素の供給が可能である。
【0106】
第3の実施の形態に係る半導体装置においては、
図10に示すように、厚い導電性酸化物層51Bの側壁からも酸素供給できるので、導電性酸化物層51Bバルクの深い中心部まで酸素分子(原子)が浸透できる。酸素供給間口から酸化物半導体層41のIGZOチャネルまでの導電性酸化物層51B内の酸素の通り道の幅が広く、より効率よく酸化物半導体層41に酸素供給できる。
【0107】
また、酸化膜(66:
図12E参照)越しに下層のマーク見ることができるため、ランディングパッド(LP)を形成前の段差形成プロセスが不要となる。
【0108】
また、導電層54間、導電層71間、導電層55間の分離形成後に導電性酸化物層51Bを介してメモリトランジスタMTRの上部に設けられた酸化物半導体層41に酸素を供給することができるため、ビット線BL形成プロセスの温度等による酸素抜けの影響を受けない。
【0109】
第3の実施の形態に係る半導体装置においては、
図10に示すように、第2の導電体50は、導電性酸化物層51B単体を備え、逆台形形状を備える。
【0110】
すなわち、
図10および
図11に示すように、第2の導電体50は、円筒形状を備え、第2の導電体50の上部の径をt1、下部の径をt3とすると、t1>t3が成立する。
【0111】
第3の実施の形態に係る半導体装置の第2の導電体50は、ITO等の導電性酸化物層51Bからなり、
図12A~
図12Fに示すように、トレンチ内に埋込後にCMPやドライエッチングやウェットエッチングを用いて加工することでt1>t3となる逆台形形状を有する。
【0112】
また、第3の実施の形態に係る半導体装置においては、
図10および
図11に示すように、導電性酸化物層51Bが、導電層54に接する領域と接しない領域で、上部電極となる導電体50の径がt1>t2となる抉れ形状を有する。
【0113】
すなわち、導電層71に接しない第2の導電体50の径をt2とすると、第2の導電体50の上部の径t1は導電層71に接する径t1となり、t1>t2が成立する。
【0114】
(第3の実施の形態の製造方法)
次に、
図12A~
図12Hを参照して、第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0115】
(A)まず、
図12Aに示すように、メモリトランジスタMTR上に、絶縁層45を形成後、リソグラフィ工程及びRIEまたはウェット(WET)エッチングプロセスによりにより、絶縁層45をパターニングし、酸化物半導体層41の表面を露出する。ここで、絶縁層45で挟まれたU字構造の溝84の底部に酸化物半導体層41の表面は露出される。ここで、絶縁層45は透過膜のため、絶縁層45越しに下地のアライメントマーク(リソグラフィのアライメントを行うためのマーク)を視認可能となるため、絶縁層45のパターニングを行うためのリソグラフィ工程において、事前に下地に段差形成プロセスを施す必要が無い。
【0116】
(B)次に、
図12Bに示すように、U字構造の溝84の段差を跨いで、導電性酸化物層51C、導電層51CT、および導電層52からなる導電体50を形成する。第2の実施の形態に係る半導体装置では、導電性酸化物層51C、導電層51CT、および導電層52からなる導電体50をU字構造の溝84に埋め込むため、単なる平坦構造に積層するよりも各層の剥がれる可能性を低く抑えることができる。
【0117】
(C)次に、
図12Cに示すように、CMP技術を用いて表面を平坦化する。CMP技術を用いて表面を平坦化する。この結果、導電層52はメタルダマシン構造となり表面が平坦化される。
【0118】
(D)次に、
図12Dに示すように、導電層54、導電層71、導電層55、絶縁層61、および絶縁層64を順次形成する。ここで、導電層55は、例えばTiN等で形成され、絶縁層64は、窒化膜等で形成される。絶縁層61は、プラズマCVD法で材料ガスにモノシラン(SiH
4)を用いて形成したシリコン酸化膜等である。尚、絶縁層64の形成工程は省略してもよい。
【0119】
(E)次に、
図12Eに示すように、リソグラフィ工程により、絶縁層64、絶縁層61、導電層55、導電層71、および導電層54をRIE等により除去し、導電性酸化物層51Bの一部の表面を露出させる。ここで、導電層54間、導電層71間、導電層55間が分離される。更に、RIE等により形成された溝85にライナー膜となる絶縁層66を形成する。この結果、
図12Eに示すように、導電性酸化物層51Bは逆台形形状となり、導電体50の配線抵抗が低減化される。また、導電体50の導電性酸化物層51Bと導電層54とのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0120】
(F)次に、
図12Fに示すように、溝85の底部および底部近傍の側壁部の絶縁層66を除去するまで絶縁層66の下部をエッチングし導電性酸化物層51Bを露出させる。この結果、導電性酸化物層51Bの一部の表面を露出させる。この工程により、絶縁層66の下部をエッチングするときに、絶縁層66の側壁も薄くなる場合があり、この場合は、例えば、絶縁層60となる。
【0121】
(G)次に、
図12Gに示すように、酸素雰囲気により酸素(O
2)を導電性酸化物層51B経由でメモリトランジスタMTRの上部に設けられた酸化物半導体層41に供給する。この時、溝85の側壁部は窒化膜等の絶縁層60により保護されているため、導電層55や導電層71や導電層54や導電層52や導電性酸化物層51Bは酸素供給アニールによる酸化などの影響を受けない。
【0122】
(H)次に、
図12Hに示すように、溝85にCVD等により絶縁層68を形成する。絶縁層68の成膜時に、エアギャップ(Air Gap)90を形成することでビット線BLの配線間容量を低減することができる。酸素(O
2)供給後に溝85に絶縁層68を埋め込むことで酸化物半導体層41へ酸素(O
2)を閉じ込めることができる。
【0123】
(第3の実施形態の効果)
第3の実施形態によれば、ランディングパッド(LP)すべてを導電性酸化物層にすることにより、酸素の供給のための開口率を高めることができ、また、導電性酸化物層のバルク中心へ酸素の供給が可能であり、導電性酸化物層内の酸素の通り道の幅が広く、より効率よく酸化物半導体層に酸素供給でき、信頼性の低下を抑制した半導体装置およびその製造方法を提供することができる。
【0124】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
10…半導体基板
11、33、44、45、53、60、61、62、63、64、66、68、72…絶縁層
21、30、50…導電体
22、31、42、51T、51CT、52、54、55、71…導電層
23…電気伝導体
24…絶縁体
32、51、51B、51C、51E…導電性酸化物層
41…酸化物半導体層
43…絶縁膜
81、82、83、84、85…溝
90…エアギャップ(Air Gap)
100、100A、101、102、103…メモリセルアレイ
531、532…ライナー膜
533…ギャップフィル膜
MC…メモリセル
MTR…メモリトランジスタ
MCP…メモリキャパシタ
WL、WLn、WLn+1、WLn+2…ワード線
BL、BLm、BLm+1、BLm+2…ビット線
VPL…電源線