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  • 特開-地中熱交換器の設置方法 図1A
  • 特開-地中熱交換器の設置方法 図1B
  • 特開-地中熱交換器の設置方法 図1C
  • 特開-地中熱交換器の設置方法 図2A
  • 特開-地中熱交換器の設置方法 図2B
  • 特開-地中熱交換器の設置方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127271
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】地中熱交換器の設置方法
(51)【国際特許分類】
   F24T 10/15 20180101AFI20240912BHJP
   F28D 21/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F24T10/15
F28D21/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036305
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英次
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悠都
(57)【要約】
【課題】往路管と復路管間の離隔距離及び隣り合う地中熱交換器間の配置間隔を大きく取ることができ、熱干渉の影響を低減させることができる地中熱交換器の設置方法を提供する。
【解決手段】地中の深層部S側へ熱媒Wを流すための往路管11と、往路管11を通って深層部S側に到達した熱媒Wを地表1a側へ流すための復路管12と、往路管11の管軸方向の端部11bと復路管12の管軸方向の端部12bとを所定間隔離間させて連結する連結管13と、を備え、地盤1との間で熱交換を行うU字状の地中熱交換器10の設置方法であって、大口径の掘削孔2を削孔し、この大口径の掘削孔2内に複数の地中熱交換器10を一定の配置間隔Hを有して平行になるように並列に配置すると共に、大口径の掘削孔2と複数の地中熱交換器10との間に充填材8を充填し、複数の地中熱交換器10の往復路において同一方向に熱媒Wを循環させる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中の深層部側へ熱媒を流すための往路管と、前記往路管を通って前記深層部側に到達した前記熱媒を地表側へ流すための復路管と、前記往路管の管軸方向の端部と前記復路管の管軸方向の端部とを所定間隔離間させて連結する連結管と、を備え、地盤との間で熱交換を行うU字状の地中熱交換器の設置方法であって、
大口径の掘削孔を削孔し、
前記大口径の掘削孔内に複数の前記地中熱交換器を一定の配置間隔を有して平行になるように並列に配置すると共に、前記大口径の掘削孔と前記複数の地中熱交換器との間に充填材を充填し、
前記複数の地中熱交換器の往復路において同一方向に前記熱媒を循環させることを特徴とする地中熱交換器の設置方法。
【請求項2】
請求項1記載の地中熱交換器の設置方法であって、
前記複数の地中熱交換器の各往路管と各復路管とが一定の離隔距離を有して平行になるものを用いることを特徴とする地中熱交換器の設置方法。
【請求項3】
請求項1記載の地中熱交換器の設置方法であって、
前記複数の地中熱交換器の各往路管と各復路管とが前記地盤の地表側に向かうにつれ離隔距離が大きくなるものを用いることを特徴とする地中熱交換器の設置方法。
【請求項4】
請求項1記載の地中熱交換器の設置方法であって、
前記複数の地中熱交換器の各往復管と各復路管間の離隔距離を前記複数の地中熱交換器の隣り合う各地中熱交換器間の配置間隔よりも大きく或いは等しくすることを特徴とする地中熱交換器の設置方法。
【請求項5】
請求項1記載の地中熱交換器の設置方法であって、
前記削孔時に削孔用のケーシング内に前記複数の地中熱交換器及び前記充填材を予め挿入した状態にすることを特徴とする地中熱交換器の設置方法。
【請求項6】
地中の深層部側へ熱媒を流すための往路管と、前記往路管を通って前記深層部側に到達した前記熱媒を地表側へ流すための復路管と、前記往路管の下方の先端部と前記復路管の下方の先端部とを所定間隔離間させて連結する連結管と、を備え、地盤との間で熱交換を行うU字状の地中熱交換器の設置方法であって、
大口径の掘削孔を複数削孔し、
前記複数の大口径の掘削孔内に複数の前記地中熱交換器を一定の配置間隔を有して平行になるようにそれぞれ並列に配置すると共に、前記複数の大口径の掘削孔と前記複数の地中熱交換器との間に充填材をそれぞれ充填し、
前記複数の大口径の掘削孔内に設置された前記複数の地中熱交換器を直列に連結する場合に、同一掘削孔内に設置された地中熱交換器の前記熱媒の循環方向が同じくなるように前記複数の大口径の掘削孔内の地中熱交換器を配列することを特徴とする地中熱交換器の設置方法。
【請求項7】
請求項6記載の地中熱交換器の設置方法であって、
前記削孔時に削孔用のケーシング内に前記複数の地中熱交換器及び前記充填材を予め挿入した状態にすることを特徴とする地中熱交換器の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤との間で熱交換を行う地中熱交換器の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の地中熱交換器の設置方法として所謂ボアホール方式が広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。このボアホール方式は、口径100~200mmのボアホール(掘削孔)内にシングルUチューブ(1組の往路管と復路管を有したU字状の地中熱交換器)或いはダブルUチューブ(2組の往路管と復路管を有したU字状の地中熱交換器)を建て込むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-227361号公報
【特許文献2】特開2013-253743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のシングルUチューブでは、図1Cのボアホール方式の比較例で示すように、往路管11と復路管12の各管内側間の離隔距離L1が短い(例えば、L1=10mm程度)ため、熱干渉の影響で採熱・放熱の効率が悪いという問題がある。また、前記従来のダブルUチューブでは、2組の往路管と復路管が隣り合うように配置されているため、熱干渉の影響を大きく受け、シングルUチューブに対し、1.2~1.3倍程度の効率しか望めないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、往路管と復路管との間の離隔距離及び隣り合う地中熱交換器間の配置間隔を大きく取ることができ、熱干渉の影響を低減させることができる地中熱交換器の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る地中熱交換器の設置方法は、地中の深層部側へ熱媒を流すための往路管と、前記往路管を通って前記深層部側に到達した前記熱媒を地表側へ流すための復路管と、前記往路管の下方の先端部と前記復路管の下方の先端部とを所定間隔離間させて連結する連結管と、を備え、地盤との間で熱交換を行うU字状の地中熱交換器の設置方法であって、大口径の掘削孔を削孔し、前記大口径の掘削孔内に複数の前記地中熱交換器を一定の配置間隔を有して平行になるように並列に配置すると共に、前記大口径の掘削孔と前記複数の地中熱交換器との間に充填材を充填し、前記複数の地中熱交換器の往復路において同一方向に前記熱媒を循環させることを特徴とする。
【0007】
本発明の他の態様に係る地中熱交換器の設置方法は、地中の深層部側へ熱媒を流すための往路管と、前記往路管を通って前記深層部側に到達した前記熱媒を地表側へ流すための復路管と、前記往路管の管軸方向の端部と前記復路管の管軸方向の端部とを所定間隔離間させて連結する連結管と、を備え、地盤との間で熱交換を行うU字状の地中熱交換器の設置方法であって、大口径の掘削孔を複数削孔し、前記複数の大口径の掘削孔内に複数の前記地中熱交換器を一定の配置間隔を有して平行になるようにそれぞれ並列に配置すると共に、前記複数の大口径の掘削孔と前記複数の地中熱交換器との間に充填材をそれぞれ充填し、前記複数の大口径の掘削孔内に設置された前記複数の地中熱交換器を直列に連結する場合に、同一掘削孔内に設置された地中熱交換器の前記熱媒の循環方向が同じくなるように前記複数の大口径の掘削孔内の地中熱交換器を配列することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、地盤の掘削に大口径のケーシングを用いることにより、往路管と復路管との間の離隔距離及び隣り合う地中熱交換器間の配置間隔を大きく取ることができ、熱干渉の影響を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の第1実施形態の地中熱交換器の設置状態を示す側面図である。
図1B】上記地中熱交換器の設置状態を示す正面図である。
図1C】比較例の地中熱交換器の設置状態を示す側面図である。
図2A】本発明の第2実施形態の地中熱交換器の設置状態を示す側面図である。
図2B】上記第2実施形態の地中熱交換器の設置状態を示す正面図である。
図3】本発明の第3実施形態の複数の掘削孔に設置された複数の地中熱交換器の接続状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1Aは本発明の第1実施形態の地中熱交換器の設置状態を示す側面図、図1Bは地中熱交換器の設置状態を示す正面図、図1Cは比較例の地中熱交換器の設置状態を示す側面図である。
【0012】
図1A図1Bに示すように、本第1実施形態の設置方法に用いられる地中熱交換器10は、往路管11と復路管12及び連結管13とでU字状に形成され、各管内に熱媒Wを循環させて地盤1との間で熱交換を行うものである。ここで、熱媒Wとして水または不凍液等の液体が利用される。つまり、地中熱交換器10は、地中に埋設したU字状の管内に水等の熱媒Wを循環させ、空調装置等から排出される熱を放熱したり、地中の熱を採熱して空調装置に供給したりすることにより、効率的に空調装置を運転する目的で利用される。
【0013】
図1Aに示すように、往路管11は、熱媒Wを地盤1の深層部S側へ流すためのものであり、高い長期静水圧強度を備えた高密度ポリエチレン製の円筒状に形成されている。また、復路管12は、往路管11を通って深層部S側に到達した熱媒Wを地表1a側へ流すためのものであり、高い長期静水圧強度を備えた高密度ポリエチレン製の円筒状に形成されている。尚、図1A中符号Sは、地中の温度が年中一定の約10m以深の深層部を示し、図1A中符号Pは、地中の温度が季節により変化し易い3m以浅の浅層部を示す。
【0014】
図1Aに示すように、連結管13は、高い長期静水圧強度を備えた高密度ポリエチレン製の円筒状でU字状に形成されており、往路管11の下端部(管軸方向の端部)11bと復路管12の下端部(管軸方向の端部)12bとを連結するものである。この連結管13で連結された往路管11と復路管12には、幅保持部材としてのスペーサ14が複数取り付けられている。このスペーサ14により、往路管11と復路管12は、所定の離隔距離Lを有して平行になるように並列に設けられている。
【0015】
尚、図1Aに示すように、往路管11の上端側(管軸方向の他方の端部側)は、L字形に折れ曲がった熱媒Wの入口部11aとなっており、また、復路管12の上端側(管軸方向の他方の端部側)は、L字形に折れ曲がった熱媒Wの出口部12aとなっている。これら入口部11aと出口部12aは、掘削孔2の上側に掘削された溝3に位置している。さらに、掘削孔2と2つの地中熱交換器10との間には、砂等の充填材8が充填されている。これにより、充填材8を介して2つの地中熱交換器10の熱媒Wと地盤1との間で熱交換が行われる。
【0016】
次に、前記構成の地中熱交換器10の設置手順を説明する。
【0017】
まず、地盤1に大口径のケーシング5を用いて大口径(例えば、直径400mm)の掘削孔2を削孔する。大口径の掘削孔2内に地中熱交換器10を建て込んで設置する際に、図1Aに示すように、往路管11と復路管12との間が一定の離隔距離Lを有して平行になっている2つ(2組)の地中熱交換器10を用いる。
【0018】
次に、図1Bに示すように、大口径の掘削孔2内に2つの地中熱交換器10を一定の配置間隔Hを有して平行になるように並列に配置する。大口径のケーシング5による削孔時に該ケーシング5内に2つの地中熱交換器10及び充填材8を予め挿入した状態にしておくことで、大口径の掘削孔2と2つの地中熱交換器10との間には、砂等の充填材8が充填される。
【0019】
また、大口径の掘削孔2内に2つの地中熱交換器10を建て込む際に、2つの地中熱交換器10の配置間隔H(例えば、H=250mm)が、各地中熱交換器10の平行に並列された往路管11と復路管12の各管外側間の離隔距離L(例えば、L=300mm)よりも小さくなる(H<L)ように2つの地中熱交換器10を配置する。そして、2つの地中熱交換器10に熱媒Wを流す場合には、2つの地中熱交換器10の往復路において同一方向に熱媒Wを循環させる。
【0020】
このように、大口径のケーシング5により掘削した大口径の掘削孔2内に、往路管11と復路管12間に所定の離隔距離Lを有した地中熱交換器10を建て込むことで、地中熱交換器10の往路管11と復路管12間の離隔距離Lを図1Cに示す比較例に比べて大きく取ることができる。さらに、大口径のケーシング5により掘削した大口径の掘削孔2内に、2つの地中熱交換器10を所定の配置間隔Hを有して建て込むことにより、隣り合う2つの地中熱交換器10間の配置間隔Hを図1Cに示す比較例に比べて大きく取ることができる。これらにより、図1Cに示す比較例よりも熱干渉の影響を低減させることができる。即ち、熱のロスを低減することができ、地中熱交換器10の熱変換効率を向上させることができる。
【0021】
図2Aは本発明の第2実施形態の地中熱交換器の設置状態を示す側面図、図2Bは地中熱交換器の設置状態を示す正面図である。
【0022】
この第2実施形態の地中熱交換器の設置方法は、2つの地中熱交換器10の各往路管11と各復路管12とが地盤1の地表1a側に向かうにつれ離隔距離Lが大きくなるものを用いる点が、前記第1実施形態のものとは異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0023】
この第2実施形態の地中熱交換器の設置方法では、2つの地中熱交換器10の各往路管11と各復路管12とが地盤1の地表1a側に向かうにつれ離隔距離Lが大きくなるものを用いることで、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0024】
図3は本発明の第3実施形態の複数の掘削孔に設置された複数の地中熱交換器の接続状態を示す平面図である。
【0025】
この第3実施形態の地中熱交換器の設置方法は、大口径のケーシング5により大口径の掘削孔2を複数削孔し、この各大口径の掘削孔2内に2つの地中熱交換器10をそれぞれ配置する点が、前記第1実施形態のものとは異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0026】
この第3実施形態では、複数の大口径の掘削孔2内にそれぞれ設置された各2つの地中熱交換器10を直列に連結する場合に、同一掘削孔2内に設置された地中熱交換器10の熱媒Wの循環方向が同じくなって空調装置のヒートパイプ15に接続されるように複数の大口径の掘削孔2内の地中熱交換器10を配列する。これにより、熱干渉の影響を低減させることができると共に、地中熱交換器10の熱変換効率をより一段と向上させることができる。
【0027】
尚、前記各実施形態によれば、1組の往路管11と復路管12の各管外側間の離隔距離Lを2つの地中熱交換器10の配置間隔Hよりも大きくなる(L>H)ようにしたが、離隔距離Lと配置間隔Hを等しくなる(L=H)ようにしても良い。この場合、例えば、L=H=250~300mm位が良い。
【0028】
また、前記各実施形態によれば、大口径のケーシングにより削孔された大口径の掘削孔内に2つの地中熱交換器を建て込んだが、大口径の掘削孔内に3つ以上の地中熱交換器を建て込んでも良い。
【0029】
さらに、前記各実施形態によれば、往路管と復路管と挿入管及び連結管は、高密度ポリエチレン製としたが、それらの素材はこれに限定されることはなく、例えば、通常密度のポリエチレン等の熱可塑性樹脂でも良く、また、樹脂以外の材料でも良い。
【実施例0030】
図1Cの比較例で示すボアホール方式(小口径の掘削孔内に往路管と復路管及び連結管を有したU字状の地中熱交換器を建て込む方式)に対し、より大口径の掘削孔にU字状の地中熱交換器を建て込んだ場合の放熱効率を実験により求めた。ここで、U字状の地中熱交換器をUチューブといい、1組の往路管と復路管を有したU字状の地中熱交換器をシングルUチューブといい、2組の往路管と復路管を有したU字状の地中熱交換器をダブルUチューブという。
【0031】
[その1]往路・復路の離隔有無
水深7m、内径300mmの井戸にUチューブを建て込み、管内に30℃の温水を8時間10リットル/分の流速で循環させ、管内の水温を井戸水に放熱する試験を行った。
【0032】
<実験1>
ボアホール方式と同様にUチューブの往路・復路の間隔がほとんどない状態としたシングルUチューブを用いて、8時間後の入口・出口の温度差を求める。その結果、温度差は0.8℃となった。
【0033】
<実験2>
Uチューブの往路・復路の間隔が250mmとなるようにして、実験1と同様の実験を行った。その結果、温度差は1.0℃となった。
【0034】
<考察>
以上より、離隔をとることにより、1.25倍の放熱効果が得られることとなった。
【0035】
[その2]シングルUチューブ、ダブルUチューブの効率
深さ7.5mの実験土槽に往路・復路の離隔300mmを確保したUチューブを2組ほぼ隙間なく併設して建て込み、周辺に砂を充填した状態で、管内に30℃の温水を8時間10リットル/分の流速で循環させ、管内の水温を実験地盤内に放熱する試験を行った。地下水位は地表面より1mとなるよう設定した。
【0036】
<実験3>
片側(1組)のUチューブのみに温水を循環させ、8時間後の入口・出口の温度差を求める。その結果、温度差は0.5℃となった。
【0037】
<実験4>
両側(2組)のUチューブに同時に温水を循環させ、8時間後の入口・出口の温度差を求める。この時、往路側・復路側が隣り合うように温水を循環させる。その結果、温度差は0.8℃となった。
【0038】
<考察>
シングルUチューブに対しダブルUチューブの効率は、1.6倍となる。ボアホール方式では1.2~1.3倍程度とされているので、約1.3倍高い効率が得られた。
【0039】
以上より、その1とその2を組み合わせることにより、大口径の掘削孔を用いることにより、ボアホール方式のシングルUチューブに比べ2倍(1.25×1.6)、ダブルUチューブに比べ約1.6倍の効率が得られることが分る。
【符号の説明】
【0040】
1 地盤
1a 地表
2 大口径の掘削孔
8 充填材
10 地中熱交換器
11 往路管
11b 下端部(管軸方向の端部)
12 復路管
12b 下端部(管軸方向の端部)
13 連結管
S 深層部
W 熱媒
L 離隔距離
H 配置間隔
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3