(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127281
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】治療装置及び治療システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/40 20180101AFI20240912BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G16H20/40
A61N5/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036324
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】中尾 早人
【テーマコード(参考)】
4C082
5L099
【Fターム(参考)】
4C082PA06
4C082PG13
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】不快な出来事を要因として発症する可能性がある疾病の治療を行うことができる治療装置を提供する。
【解決手段】治療装置は、不快な出来事を提示する第1提示部と、前記第1提示部が前記不快な出来事を提示したことにより活性化される脳内の海馬の神経細胞群を標識する標識部と、快適な出来事を提示する第2提示部と、前記第2提示部が前記快適な出来事を提示している間に、前記標識部によって標識された前記神経細胞群に対して光を照射する光照射部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不快な出来事を提示する第1提示部と、
前記第1提示部が前記不快な出来事を提示したことにより活性化される脳内の海馬の神経細胞群を標識する標識部と、
快適な出来事を提示する第2提示部と、
前記第2提示部が前記快適な出来事を提示している間に、前記標識部によって標識された前記神経細胞群に対して光を照射する光照射部と、
を備える治療装置。
【請求項2】
前記第1提示部が提示する出来事に対して不快と感じる程度を、不快度として取得する不快度取得部
をさらに備え、
前記標識部は、前記不快度取得部が取得する前記不快度が、所定の程度よりも不快であることを示す場合に、前記神経細胞群を標識する
請求項1に記載の治療装置。
【請求項3】
出来事に対して、快適または不快のいずれを感じているかを示す心理状態を取得する心理状態取得部
をさらに備え、
前記第1提示部は、複数の種類の出来事の中から、前記心理状態取得部が取得する前記心理状態が不快である出来事を、前記不快な出来事として提示し、
前記第2提示部は、複数の種類の出来事の中から、前記心理状態取得部が取得する前記心理状態が快適である出来事を、前記快適な出来事として提示する
請求項1に記載の治療装置。
【請求項4】
不快な出来事を示す第1情報と、快適な出来事を示す第2情報とを記憶する記憶部に、前記第1情報及び前記第2情報を記憶させる記憶制御部
をさらに備え、
前記第1提示部は、前記記憶制御部が記憶させた第1情報を、前記不快な出来事として提示し、
前記第2提示部は、前記記憶制御部が記憶させた第2情報を、前記快適な出来事として提示する
請求項2に記載の治療装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の治療装置と、
不快な出来事および快適な出来事を提示する提示装置と、
海馬に照射される光を出射する光源装置と、
を備える治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療装置及び治療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、嫌な出来事を経験したときに活性化する海馬の神経細胞群を光感受性タンパク質で標識しておき、楽しい出来事を経験したときに、標識された細胞群に特定の波長の光を照射すると、「嫌な出来事の記憶」を「楽しい出来事の記憶」に書き換えることができることが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Roger L Redondo, Joshua Kim, Autumn L Arons, Steve Ramirez, Xu Liu, Susumu Tonegawa. "Bidirectional reversal of the valence associated with the hippocampal memory engram." Nature, 2014, doi:10.1038/nature13725.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような技術を適用することにより、例えばうつ病などの、不快な出来事を要因として発症する可能性がある疾病の治療を行うことができる。しかしながら、上記のような従来技術においては、具体的な装置構成や手順についてまでは開示されておらず、治療装置を構築することができなかった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、不快な出来事を要因として発症する可能性がある疾病の治療を行うことができる治療装置および治療システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、不快な出来事を提示する第1提示部と、前記第1提示部が前記不快な出来事を提示したことにより活性化される脳内の海馬の神経細胞群を標識する標識部と、快適な出来事を提示する第2提示部と、前記第2提示部が前記快適な出来事を提示している間に、前記標識部によって標識された前記神経細胞群に対して光を照射する光照射部と、を備える治療装置である。
【0007】
また、本発明の一実施形態は、上述の治療装置において、前記第1提示部が提示する出来事に対して不快と感じる程度を、不快度として取得する不快度取得部をさらに備え、前記標識部は、前記不快度取得部が取得する前記不快度が、所定の程度よりも不快であることを示す場合に、前記神経細胞群を標識する。
【0008】
また、本発明の一実施形態は、上述の治療装置において、出来事に対して、快適または不快のいずれを感じているかを示す心理状態を取得する心理状態取得部をさらに備え、前記第1提示部は、複数の種類の出来事の中から、前記心理状態取得部が取得する前記心理状態が不快である出来事を、前記不快な出来事として提示し、前記第2提示部は、複数の種類の出来事の中から、前記心理状態取得部が取得する前記心理状態が快適である出来事を、前記快適な出来事として提示する。
【0009】
また、本発明の一実施形態は、上述の治療装置において、不快な出来事を示す第1情報と、快適な出来事を示す第2情報とを記憶する記憶部に、前記第1情報及び前記第2情報を記憶させる記憶制御部をさらに備え、前記第1提示部は、前記記憶制御部が記憶させた第1情報を、前記不快な出来事として提示し、前記第2提示部は、前記記憶制御部が記憶させた第2情報を、前記快適な出来事として提示する。
【0010】
本発明の一実施形態は、上述の治療装置と、不快な出来事および快適な出来事を提示する提示装置と、海馬に照射される光を出射する光源装置と、を備える治療システムである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、不快な出来事を要因として発症する可能性がある疾病の治療を行うことができる治療装置および治療システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の治療システムの一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の光ファイバーの装着状態の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の制御部の動作の流れの一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の記憶装置に記憶されている不快事象情報の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の不快な出来事による記憶痕跡の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の標識された神経細胞群の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態の記憶装置に記憶されている快適事象情報の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態の光照射部による光の照射の状況の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の治療システムの動作の流れの変形例を示す図である。
【
図10】本実施形態の記憶装置への登録動作の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の治療システム1の一例を示す図である。治療システム1は、例えば病院で臨床的に用いられるシステムである。治療システム1は、一例として、うつ症状を示す被験者2に対して、光ファイバーを用いて被験者2の脳内に光を照射することにより、うつ症状を緩和する治療に用いられる。
【0014】
図2は、本実施形態の光ファイバーの装着状態の一例を示す図である。被験者2の頭蓋内には、大脳21と、海馬22と、小脳23とがある。被験者2には、海馬22に光を照射する光ファイバー121が、医師の執刀により安全に装着される。
【0015】
図1に戻り、治療システム1は、治療装置100と、記憶装置200と、ヘッドマウントディスプレイ300と、センサー400とを備える。
【0016】
ヘッドマウントディスプレイ300は、被験者2の頭部に装着され、例えば、液晶ディスプレイを備えており、被験者2に画像を提示する。
なお、ヘッドマウントディスプレイ300は、画像に加えて、あるいは画像に代えて、音声を被験者2に提示するものであってもよい。また、ヘッドマウントディスプレイ300は、被験者2に対する情報提示機器の一例であって、情報提示ができればその機能や形状は問わない。ヘッドマウントディスプレイ300に代えて、例えば、頭部に装着できない据え置き型の情報提示装置や携帯型の情報提示装置であってもかまわない。
【0017】
センサー400は、被験者2の心理状態を示す生体情報を取得する。被験者2の心理状態を示す生体情報とは、例えば、脳波、心拍変動、血圧変化、発汗状態、表情の変化、声質の変化などである。また、被験者2の心理状態とは、快適であるか不快であるかや、快適の程度(快適度ともいう。)、不快の程度(不快度ともいう。)である。
被験者2が快適や不快と感じる場合、その心理状態が脳波、心拍変動、血圧変化、発汗状態、表情の変化、声質の変化などの生体情報として現れることが知られている。センサー400は、これらの生体情報を、被験者2の心理状態を示す情報として取得する。
一例として、センサー400は、脳波計、心拍センサー、血圧計、発汗センサー、動画カメラ、マイクのいずれか、またはこれらの組み合わせである。
【0018】
記憶装置200は、例えば、ハードディスクドライブや半導体メモリなどの記憶機能を備えており、治療装置100が利用する各種の情報を記憶する。なお、記憶装置200は、クラウドサーバなどの仮想記憶装置として構成されていてもよい。
【0019】
治療装置100は、制御部110と、光源120と、シリンジポンプ130とを備える。
光源120は、光(例えば、波長470nm程度の青色光)を出射する。光源120には、上述した光ファイバー121が接続されている。光源120から出射された光は、光ファイバー121を介して被験者2の海馬22に照射される。光源120は、制御部110の制御によって、光の出射を開始あるいは停止する。
【0020】
シリンジポンプ130は、海馬22の神経細胞のうち活性化された神経細胞を標識することができる所定の種類の輸液を、輸液チューブ131を介して被験者2に注入する。所定の種類の輸液とは、一例として、Tet-on(テット・オン)システムに用いられる輸液である。
【0021】
Tet-onシステムとは、哺乳類において、神経細胞が活動するとその発現が誘導される性質の遺伝子について、その調節領域と、標識する期間とを限定させることができる誘導システムである。本実施形態の一例において、所定の種類の輸液とは、テトラサイクリンやその誘導体(例えば、ドキシサイクリン)である。
本実施形態の一例では、シリンジポンプ130によって輸液を被験者2に注入することにより、被験者2の海馬22の神経細胞のうち、標識したい期間に活動した神経細胞においてのみ、特定の遺伝子(例えば、光感受性タンパク質遺伝子ChR2;Channelrhodopsin-2、チャネルロドプシン2)を発現させる。
光感受性タンパク質とは、特定の波長の光(例えば、青色光)が照射された場合に開くイオンチャネルの一種であるタンパク質である。特定の波長の光を照射する(あるいは照射しない)ことにより、このイオンチャネルを開ける(あるいは閉じる)ことで、神経細胞の活動を、被験者2の外部から制御することができる。
【0022】
制御部110は、例えば、コンピュータ装置であって、予め記憶されているプログラムによって動作する。制御部110は、第1提示部111と、第2提示部112と、光照射部113と、標識部114と、不快度取得部115と、記憶制御部116と、心理状態取得部117とを、その機能部として備える。なお、同図に示す一例では、不快度取得部115は、心理状態取得部117として実装されており、不快度取得部115の符号は図示していない。
【0023】
第1提示部111は、被験者2にとって不快な出来事を被験者2に提示する。
第2提示部112は、被験者2にとって快適な出来事を被験者2に提示する。
光照射部113は、第2提示部112が快適な出来事を提示している間に、標識部114によって標識された神経細胞群に対して光を照射する。
標識部114は、第1提示部111が不快な出来事を提示したことにより活性化される被験者2の脳内の海馬22の神経細胞群を標識する。
ここで、
図3を参照して、制御部110の動作の流れの一例について説明する。
【0024】
図3は、本実施形態の制御部の動作の流れの一例を示す図である。
(ステップS10)第1提示部111は、記憶制御部116を介して、記憶装置200から不快事象情報201を取得する。
【0025】
図4は、本実施形態の記憶装置200に記憶されている不快事象情報201の一例を示す図である。不快事象情報201とは、被験者2にとって不快な出来事を示す情報であり、例えば、悲しい状況や苦しい状況を示す静止画や動画である。この一例では、記憶装置200には、不快事象情報201として、悲しい状況を示す画像11と、苦しい状況を示す画像12とが記憶されている。不快事象情報201の一例として、交通事故の状況や、人が負傷するような画像であってもよい。
【0026】
なお、同図に示すように、不快事象情報201は、不快事象IDと不快画像とが対応付けられて記憶されていてもよい。不快事象IDとは、複数の不快画像がある場合に、それぞれの不快画像を識別する識別子である。一例として、不快事象ID(ID101)には、悲しい状況を示す画像11が対応付けられている。不快事象ID(ID102)には、苦しい状況を示す画像12が対応付けられている。
このように構成することにより、不快事象情報201に複数の種類の不快画像を記憶させておき、不快事象IDを検索キーにして検索することができる。
【0027】
第1提示部111は、不快事象情報201として、例えば、不快事象ID(ID101)に対応付けられている画像11を取得する。第1提示部111は、不快事象IDとしてID101を選択してもよい。第1提示部111は、不快事象情報201に記憶されている最も小さい不快事象IDを選択してもよいし、不快事象情報201に記憶されている不快事象IDをランダムに選択してもよい。
第1提示部111は、不快事象情報201として取得した画像(この一例の場合、悲しい状況を示す画像11)を、ヘッドマウントディスプレイ300に表示させる。つまり、第1提示部111は、被験者2にとって不快な出来事を被験者2に提示する。この結果、被験者2には、悲しい状況を示す画像11が提示される。画像11が提示されると、被験者2の海馬22の神経細胞が活性化され、悲しい状況(つまり、不快な出来事)による記憶痕跡221が生じる。記憶痕跡とは、記憶に対して脳(一例として、海馬22)の中で形成される生物学的な構造のことであり、エングラムともいう。
【0028】
図5は、本実施形態の不快な出来事による記憶痕跡の一例を示す図である。同図には、被験者2の海馬22の神経細胞の広がりを二次元のマスで模式的に示している。同図において、被験者2に不快な出来事が提示されたことによって活性化された神経細胞群を神経細胞群221Aと、活性化されていない神経細胞群を神経細胞群221Bとして示す。
【0029】
(ステップS20)
図3に戻り、標識部114は、第1提示部111が不快な出来事を提示したことにより活性化される被験者2の脳内の海馬22の神経細胞群を標識する。
【0030】
具体的には、標識部114は、シリンジポンプ130に対して、輸液を被験者2に注入する制御指示を出力する。シリンジポンプ130は、標識部114から輸液を注入する制御指示を受けると、モーター(不図示)を駆動して、シリンジ(不図示)に予め貯留されている輸液(例えば、テトラサイクリンやその誘導体)を輸液チューブ131に押し出す。輸液チューブ131に押し出された輸液は、被験者2に注入される。
この結果、被験者2の海馬22の神経細胞のうち、活性化されている神経細胞群が標識される。
【0031】
図6は、本実施形態の標識された神経細胞群の一例を示す図である。
図5に示した、神経細胞群221A(つまり、不快な出来事が提示されたことによって活性化された神経細胞群)が標識される。標識された神経細胞群のことを標識済み記憶痕跡222ともいう。
上述したように、標識された神経細胞群に光(例えば、青色光)が照射されると、当該神経細胞群に特定の遺伝子(例えば、光感受性タンパク質遺伝子ChR2)が発現する。
つまり、標識済み記憶痕跡222とは、海馬22の記憶痕跡のうち、光(例えば、青色光)が照射されると特定の遺伝子が発現する能力を備える神経細胞を含んだ記憶痕跡であるともいえる。また、「神経細胞を標識する」とは、海馬22の神経細胞に対して、光(例えば、青色光)が照射されると特定の遺伝子が発現する能力を与えること、ともいえる。
【0032】
(ステップS30)
図3に戻り、第2提示部112は、記憶制御部116を介して、記憶装置200から快適事象情報202を取得する。
【0033】
図7は、本実施形態の記憶装置200に記憶されている快適事象情報202の一例を示す図である。快適事象情報202とは、被験者2にとって快適な出来事を示す情報であり、例えば、楽しい状況や嬉しい状況を示す静止画や動画である。この一例では、記憶装置200には、快適事象情報202として、楽しい状況を示す画像21と、嬉しい状況を示す画像22とが記憶されている。快適事象情報202の一例として、楽しい映画や、豪華な食事のような画像であってもよい。
【0034】
なお、同図に示すように、快適事象情報202は、快適事象IDと快適画像とが対応付けられて記憶されていてもよい。快適事象IDとは、複数の快適画像がある場合に、それぞれの快適画像を識別する識別子である。一例として、快適事象ID(ID201)には、楽しい状況を示す画像21が対応付けられている。快適事象ID(ID202)には、嬉しい状況を示す画像22が対応付けられている。
一例として、第2提示部112は、快適事象ID(ID201)に対応付けられている画像21を快適事象情報202として取得する。第2提示部112は、快適事象IDとしてID201を選択してもよい。第2提示部112は、快適事象情報202に記憶されている最も小さい快適事象IDを選択してもよいし、快適事象情報202に記憶されている快適事象IDをランダムに選択してもよい。
【0035】
第2提示部112は、快適事象情報202として取得した画像(この一例の場合、楽しい状況を示す画像21)を、ヘッドマウントディスプレイ300に表示させる。つまり、第2提示部112は、被験者2にとって快適な出来事を被験者2に提示する。この結果、被験者2には、楽しい状況を示す画像21が提示される。
【0036】
(ステップS40)
図3に戻り、光照射部113は、第2提示部112が快適な出来事を提示している間に、標識部114によって標識された神経細胞群に対して光を照射する。
【0037】
図8は、本実施形態の光照射部による光の照射の状況の一例を示す図である。なお、
図8は、
図6に示した標識済み記憶痕跡222に対して、光が照射されている状況を示す。
光照射部113は、光源120に対して、光(例えば、青色光)を被験者2の海馬22に照射する制御指示を出力する。光源120は、光照射部113から光の照射の制御指示を受けると、光を出射して、光ファイバー121を介して被験者2の海馬22に光を照射する。
ステップS20において標識された神経細胞群に光(例えば、青色光)が照射されると、光感受性タンパク質遺伝子ChR2によるイオンチャネルが開くことで、当該神経細胞群に刺激(つまり、光刺激)が与えられる。以下の説明において、光が照射された神経細胞群のことを、光が照射された記憶痕跡223ともいう。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の治療システム1は、不快な出来事であるとして海馬22に記憶された記憶痕跡に対して標識し、標識した記憶痕跡に対して快適な出来事を提示している間に光刺激を与える。これにより、治療システム1は、被験者2の海馬22における不快な出来事の記憶痕跡を、快適な出来事の記憶痕跡に書き換えることができる。したがって、本実施形態の治療システム1によれば、「不快な出来事の記憶」を「快適な出来事の記憶」に書き換えることで、うつ病などの、不快な出来事を要因として発症する可能性がある疾病の治療を行うことができる。
【0039】
(変形例1)
図9は、本実施形態の治療システム1の動作の流れの変形例を示す図である。この変形例では、治療装置100が被験者2に提示した不快事象に対して、被験者2がどの程度不快に感じるかを検出し、不快度が所定の程度を超えた場合にのみ海馬22の神経細胞を標識する点で、上述した実施形態と異なる。
【0040】
(ステップS110)第1提示部111は、記憶装置200から不快事象情報201を取得して、取得した不快事象情報201に基づく被験者2にとって不快な出来事を被験者2に提示する。
具体的には、第1提示部111は、記憶制御部116を介して、記憶装置200から不快事象情報201を取得する。第1提示部111は、不快事象情報201として、被験者2に未提示の画像を取得する。例えば、不快事象ID(ID101)に対応付けられている画像11が未提示であれば、第1提示部111は、画像11を提示する。また、例えば、不快事象ID(ID101)に対応付けられている画像11が提示済みであり、不快事象ID(ID102)に対応付けられている画像12が未提示であれば、第1提示部111は、画像12を提示する。
ここで、未提示の画像とは、過去のステップS110において提示されていない画像のことをいう。具体的には、未提示の画像とは、後述するステップS130において不快度が所定の程度を超えていないと判定され(ステップS130;NO)、再度、ステップS110を実行する場合において、過去のステップS110において提示されていない画像のことをいう。
このように、第1提示部111は、未提示の画像を順次提示することにより、被験者2にとって不快度が所定の程度を超えていると判定されるまで画像の提示を繰り返し実行する。
その他の具体的な動作は、上述したステップS10における動作と同一であるため、その説明を省略する。
【0041】
(ステップS120)心理状態取得部117は、第1提示部111が提示する出来事に対して被験者2が不快と感じる程度を、不快度として取得する。この場合、心理状態取得部117は、不快度取得部115(不図示)として機能する。
【0042】
具体的には、心理状態取得部117は、センサー400から被験者2の生体情報を取得する。上述したように、センサー400が取得する生体情報には、被験者2の心理状態を示す情報が含まれている。例えば、センサー400が心拍センサーである場合、心理状態取得部117は、被験者2の不快度に応じて変化する心拍の波形を、被験者2の心理状態を示す生体情報として取得する。
【0043】
心理状態取得部117は、取得した被験者2の心理状態を示す生体情報と、記憶装置200に記憶されている所定の判定しきい値(不図示)とを比較することにより、不快度を判定する。一例として、不快度は、レベル0(不快でない)、レベル1(あまり不快でない)、からレベル5(非常に不快)などの、複数段階で示される。
心理状態取得部117は、ステップS110において不快な出来事を被験者2に提示するより前の不快度を初期不快度として算出してもよい。心理状態取得部117は、センサー400が計測した心拍の波形が示す所定の形状を認識し、被験者2の不快度を算出してもよい。心理状態取得部117は、算出した不快度について被験者2を区別する情報と提示した不快な出来事とに関連付けて不快事象情報201として記憶させてもよい。
心理状態取得部117は、判定した不快度を、標識部114に出力する。
【0044】
(ステップS130)標識部114は、ステップS120で取得された不快度が所定の程度を超えているか否かに基づいて、神経細胞群を標識するか否かを判定する。
標識部114は、ステップS110において不快な出来事を被験者2に提示するより前の初期不快度とステップS120で取得された不快度との差が所定値を超えている場合に、不快度が所定の程度を超えていると判定してもよい。
標識部114は、不快度が所定の程度を超えていないと判定した場合(ステップS130;NO)には、処理をステップS110に戻す。標識部114は、不快度が所定の程度を超えていると判定した場合(ステップS130;YES)には、処理をステップS140に進める。
【0045】
(ステップS140)標識部114は、海馬22の神経細胞群を標識する。すなわち、標識部114は、不快度取得部115(心理状態取得部117)が取得する不快度が、所定の程度よりも不快であることを示す場合に、神経細胞群を標識する。
なお、海馬22の神経細胞群を標識する処理の流れについては、上述したステップS20と同様であるため、その説明を省略する。
また、ステップS150およびステップS160における、海馬22の神経細胞群を標識した後の処理は、上述したステップS30およびステップS40と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS150において、心理状態取得部117は、センサー400が計測した心拍の波形が示す所定の形状を認識し、被験者2の快適度を算出してもよい。快適度とは、レベル0(快適でない)、レベル1(あまり快適でない)、からレベル5(非常に快適)などの、複数段階で示される。快適度の1つのレベルの差が示す快適の程度の差は、不快度の1つのレベルの差が示す不快の程度の差と同じとしてもよい。
心理状態取得部117は、算出した快適度について被験者2を区別する情報と提示した快適な出来事とに関連付けて快適事象情報202として記憶させてもよい。
【0046】
この変形例のように構成された治療システム1によれば、被験者2が感じる不快度が所定の程度を超えた場合にのみ、海馬22の神経細胞を標識する。
ここで、不快な出来事を要因とする疾病は、被験者2が感じる不快の程度(つまり不快度)が大きい方が、より発症しやすい場合がある。このような場合、本変形例の治療システム1によれば、被験者2が感じる不快の程度がより大きい場合に、海馬22の神経細胞を標識する(つまり、治療ステップに進む)ため、不快度によらずに標識する場合に比べて、治療効果をより高めることができる。
また、海馬22の神経細胞を標識するために、被験者2に対する輸液の注入が行われる。人体に悪影響が生じない輸液が使用されているとしても、被験者2に対する輸液の注入は最小限であることが好ましい。本変形例の治療システム1によれば、被験者2が感じる不快度が所定の程度を超えた場合にのみ海馬22の神経細胞を標識するため、不快度によらずに標識する場合に比べて、輸液の注入の頻度を低減することができる。
【0047】
また、他の変形例として、上述したステップS130において、標識部114は、不快度の判定しきい値を被験者2ごとに変化させてもよい。また、標識部114は、同一の被験者2が複数回の治療を受ける場合において、治療の回数を重ねるごとに、不快度の判定しきい値を変化させてもよい。例えば、標識部114は、同一の被験者2が複数回の治療を受ける場合において、2回目以降の治療に用いる不快度の判定しきい値を、初回の治療に用いた不快度の判定しきい値よりも高い(または、低い)値にしてもよい。
このように構成された治療システム1によれば、被験者2により適合した判定しきい値を用いることができるため、判定しきい値を固定している場合に比べて、治療効果をより高めることができる。
【0048】
(変形例2)
なお、快適と感じる事象および不快と感じる事象が、被験者2によって異なる場合がありうる。例えば、快適事象情報202として、あるストーリーの映画を被験者2に提示した場合に、ある被験者2は快適と感じ、他の被験者2は不快と感じる場合がある。このような状況に対応するため、治療システム1は、被験者2が感じている心理状態によって、提示する情報を選択してもよい。
【0049】
例えば、上述したステップS120において、心理状態取得部117は、出来事に対して、被験者2が快適または不快のいずれを感じているかを示す心理状態を取得する。
さらに、上述したステップS110において、第1提示部111が不快事象情報201を被験者2に提示する際にも、被験者2が感じている心理状態によって、提示する情報を選択してもよい。
第1提示部111は、記憶装置200に記憶されている不快事象情報201の複数の種類の出来事の中から、心理状態取得部117が取得する心理状態が不快である出来事(つまり、被験者2が不快であると感じている出来事)を、不快な出来事として選択して被験者2に提示する。
例えば、第1提示部111は、不快事象情報201の複数の種類の出来事を、被験者2に順次提示して、不快度が相対的に高い出来事を、不快な出来事として選択する。
このとき、第1提示部111は、不快事象情報201の複数の種類の出来事を第1の時間にわたって被験者2に提示してもよい。ステップS120において、第1提示部111は、選択した不快な出来事を被験者2に提示する。このとき、第1提示部111は、選択した不快な出来事を第2の時間にわたって被験者2に提示してもよい。ここで、第1の時間は、第2の時間より短いものとする。
記憶装置200は、複数の種類の画像ごとに対応付けられた不快度を不快事象情報201としてあらかじめ記憶してもよい。第1提示部111は、不快度の小さい画像から不快度の大きい画像に向かって順番に選択し提示してもよい。第1提示部111は、複数の種類の不快事象ごとにあらかじめ対応付けられた不快度に基づいて不快事象を選択してもよい。第1提示部111は、すでに算出された被験者2の不快度が不快事象情報201として記憶されているか否か判定し、記憶されていればその不快度に基づいて不快事象を選択してもよい。
【0050】
さらに、上述したステップS150において快適事象情報202を被験者2に提示する際にも、被験者2が感じている心理状態によって、提示する情報を選択してもよい。
具体的には、ステップS150において、第2提示部112は、複数の種類の出来事の中から、心理状態取得部117が取得する心理状態が快適である出来事(つまり、被験者2が快適であると感じている出来事)を、快適な出来事として選択して被験者2に提示する。
例えば、第2提示部112は、快適事象情報202の複数の種類の出来事を、被験者2に順次提示して、被験者2が感じる快適の程度(つまり、快適度)が相対的に高い出来事を、快適な出来事として選択して被験者2に提示する。
このとき、第2提示部112は、快適事象情報202の複数の種類の出来事を第3の時間にわたって被験者2に提示してもよい。ステップS150において第2提示部112は、選択した快適な出来事を被験者2に提示する。このとき、第2提示部112は、選択した快適な出来事を第4の時間にわたって被験者2に提示してもよい。ここで、第3の時間は、第4の時間より短いものとする。
なお、上述したステップS120における第1の時間と、ステップS150における第3の時間とは、同一の時間であってもよいし、互いに異なる時間であってもよい。また、ステップS120における第2の時間と、ステップS150における第4の時間とは、同一の時間であってもよいし、互いに異なる時間であってもよい。
例えば、快適な出来事を提示する第3の時間は、不快な出来事を提示する第1の時間およりも長い時間であってもよい。また、快適な出来事を提示する第4の時間は、不快な出来事を提示する第2の時間よりも長い時間であってもよい。
記憶装置200は、複数の種類の画像ごとに対応付けられた不快度を不快事象情報201としてあらかじめ記憶してもよい。第2提示部112は、不快度の大きい(つまり、快適度の小さい)画像から不快度の小さい(つまり、快適度の大きい)画像に向かって順番に選択し提示してもよい。第2提示部112は、複数の種類の画像ごとにあらかじめ対応付けられた快適度に基づいて快適事象を選択してもよい。第2提示部112は、すでに算出された被験者2の快適度が快適事象情報202として記憶されているか否か判定し、記憶されていればその快適度に基づいて快適事象を選択してもよい。第2提示部112は、第1提示部111が提示した不快事象の不快度のレベルに対応するレベル以上の快適事象を選択してもよい。つまり、第2提示部112は、第1提示部111が提示した不快事象の不快度のレベルが3の場合には、快適度のレベルが3以上の快適事象を選択してもよい。
【0051】
このように構成された治療システム1によれば、不快/快適の感じ方が被験者2ごとに異なる場合であっても、被験者2に適合した不快事象情報201および快適事象情報202を提示することができる。つまり、このように構成された治療システム1によれば、治療効果を高めることができる。
【0052】
(変形例3)
図10は、本実施形態の記憶装置への登録動作の流れを示す図である。上述した実施形態では、記憶装置200に予め記憶されている不快事象情報201および快適事象情報202を提示するものとして説明した。本変形例では、被験者2が不快と感じる事象および快適と感じる事象を、記憶装置200に登録する機能を備える点で、上述した実施形態と異なる。
【0053】
(ステップS210)第1提示部111は、記憶装置200から不快事象情報201を取得する。この不快事象情報201には、複数の不快な出来事を示す情報が含まれている。第1提示部111は、取得した不快事象情報201の中から選択した出来事を、不快な出来事の候補として被験者2に提示する。
例えば、第1提示部111は、複数の種類の画像ごとにあらかじめ対応付けられて記憶されている不快度の大きさに基づいて、不快度の小さい画像から不快度の大きい画像に向かって順番に選択し提示してもよい。
心理状態取得部117は、ステップS210において不快な出来事を被験者2に提示するより前の不快度を初期不快度として算出してもよい。
第1提示部111は、初期不快度に基づいて不快事象情報201を選択してもよい。つまり、第1提示部111は、初期不快度がレベル3の場合、不快事象情報201のうちレベル3以上の事象を選択してもよい。
(ステップS220)心理状態取得部117は、第1提示部111が提示する出来事に対する被験者2の心理状態を取得する。
【0054】
(ステップS230)心理状態取得部117は、ステップS220で取得した心理状態から、被験者2の不快度を判定する。心理状態取得部117は、判定した不快度が所定の程度を超えているか否かに基づいて、記憶装置200に記憶させるか否かを判定する。心理状態取得部117は、不快度が所定の程度を超えていないと判定した場合(ステップS230;NO)には、処理をステップS210に戻す。心理状態取得部117は、不快度が所定の程度を超えていると判定した場合(ステップS230;YES)には、処理をステップS240に進める。
【0055】
(ステップS240)心理状態取得部117は、ステップS210で被験者2に提示した不快な出来事の候補を、不快事象情報201(つまり、被験者2にとっての不快な出来事である)として、記憶制御部116を介して記憶装置200に記憶させる。心理状態取得部117は、ステップS210で被験者2に提示した不快な出来事に対応付けて、被験者2の不快度を不快事象情報201として記憶装置200に記憶させてもよい。
【0056】
(ステップS250)第2提示部112は、記憶装置200から快適事象情報202を取得する。この快適事象情報202には、複数の快適な出来事を示す情報が含まれている。第2提示部112は、取得した快適事象情報202の中から選択した出来事を、快適な出来事の候補として被験者2に提示する。
例えば、第2提示部112は、複数の種類の画像ごとにあらかじめ対応付けられて記憶されている不快度の大きさに基づいて、不快度の大きい(つまり、快適度の小さい)画像から不快度の小さい(つまり、快適度の大きい)画像に向かって順番に選択し提示してもよい。
(ステップS260)心理状態取得部117は、第2提示部112が提示する出来事に対する被験者2の心理状態を取得する。
【0057】
(ステップS270)心理状態取得部117は、ステップS260で取得した心理状態から、被験者2の快適度を判定する。心理状態取得部117は、判定した快適度が所定の程度を超えているか否かに基づいて、記憶装置200に記憶させるか否かを判定する。心理状態取得部117は、快適度が所定の程度を超えていないと判定した場合(ステップS270;NO)には、処理をステップS250に戻す。心理状態取得部117は、快適度が所定の程度を超えていると判定した場合(ステップS270;YES)には、処理をステップS280に進める。
【0058】
(ステップS280)心理状態取得部117は、ステップS250で被験者2に提示した快適な出来事の候補を、快適事象情報202(つまり、被験者2にとっての快適な出来事である)として、記憶制御部116を介して記憶装置200に記憶させる。心理状態取得部117は、ステップS250で被験者2に提示した快適な出来事に対応付けて、被験者2の快適度を快適事象情報202として記憶装置200に記憶させてもよい。
【0059】
すなわち、この変形例においては、記憶制御部116は、記憶装置200から情報を読み出すことに加えて、記憶装置200に情報を書き込むことができるように構成されている。具体的には、記憶制御部116は、被験者2にとって不快な出来事を示す不快事象情報201(第1情報)と、快適な出来事を示す快適事象情報202(第2情報)とを記憶する記憶装置200に、不快事象情報201(第1情報)及び快適事象情報202(第2情報)を記憶させる。
【0060】
本変形例に示したように、治療システム1は、被験者2ごとに不快事象情報201および快適事象情報202を作成し、記憶装置200に記憶させてもよい。
この場合、上述したステップS10あるいはステップS110において、第1提示部111は、記憶制御部116が記憶させた不快事象情報201(第1情報)を、不快な出来事として被験者2に提示する。
また、上述したステップS30あるいはステップS150において、第2提示部112は、記憶制御部116が記憶させた快適事象情報202(第2情報)を、快適な出来事として被験者2に提示する。
【0061】
本変形例のように構成された治療システム1によれば、被験者2ごとに不快事象情報201および快適事象情報202を作成できるため、被験者2の心理状態に応じた不快/快適な情報を被験者2に提示することができる。したがって、本変形例のように構成された治療システム1によれば、治療の効果をより高めることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0063】
なお、上記の実施形態における各装置が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0064】
なお、各装置が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、各装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0065】
また、各装置が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部が備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(operating system)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0066】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…治療システム、100…治療装置、110…制御部、111…第1提示部、112…第2提示部、113…光照射部、114…標識部、116…記憶制御部、117…心理状態取得部、200…記憶装置、300…ヘッドマウントディスプレイ、400…センサー