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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127282
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】保管庫制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036325
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】上野 敬介
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA04
3F522AA08
3F522BB01
3F522BB22
3F522FF02
3F522FF03
3F522FF23
3F522FF30
3F522FF35
3F522FF36
3F522FF37
3F522FF38
3F522GG25
3F522GG32
3F522GG33
3F522KK02
3F522LL62
(57)【要約】
【課題】保管庫で利用者の荷物を預かるサービスの運用を支援する。
【解決手段】保管庫制御装置は、利用者が物を保管可能な保管部を複数備えた保管庫を制御する。保管庫制御装置は、画像取得部と、推定結果取得部と、動作制御部とを備える。画像取得部は、保管部内を撮像した画像を取得する。推定結果取得部は、画像に基づいて推定された、保管部内の物体存在有無、及び、物体が存在する場合におけるその物体の属性を、推定結果として取得する。動作制御部は、推定結果に応じて保管庫動作を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が物を保管可能な保管部を複数備えた保管庫を制御する保管庫制御装置であって、
前記保管部内の物理的な状態を計測する計測部と、
前記計測部による計測結果に基づいて推定された前記保管部内の物体の属性を、推定結果として取得する推定結果取得部と、
前記推定結果に応じて保管庫動作を制御する動作制御部と、
を備える保管庫制御装置。
【請求項2】
前記動作制御部は、前記推定結果と前記保管部の状態ステータスとに応じて前記保管庫動作を制御する、
請求項1に記載の保管庫制御装置。
【請求項3】
前記推定結果取得部は、推定された前記属性の確からしさをさらに取得し、
前記動作制御部は、推定された前記属性と、前記確からしさの大きさとに応じて前記保管庫動作を制御する、
請求項1に記載の保管庫制御装置。
【請求項4】
前記動作制御部は、前記推定結果と、前記推定結果が得られた時刻とに応じて前記保管庫動作を制御する、
請求項1に記載の保管庫制御装置。
【請求項5】
前記計測部は、前記保管部内の画像の撮影と、前記保管部の振動の計測と、前記保管部内の音の計測と、前記保管部内の温度の計測と、前記保管部内の空気の計測とのうち1以上を行う、
請求項1に記載の保管庫制御装置。
【請求項6】
前記計測部は、前記保管部内の画像の撮影を行い、
前記保管庫制御装置は、前記計測部が撮像した前記画像から前記物体の属性を推定するために用いる推定モデルを、前記画像と入力された正解の前記属性とを用いて学習する学習部をさらに備える、
請求項5に記載の保管庫制御装置。
【請求項7】
前記計測部は、前記保管部内の画像の撮影を行い、
物体の前記属性は、前記計測部が前記保管部内を異なるタイミングで撮像した複数の前記画像の比較情報に基づいて推定される、
請求項5に記載の保管庫制御装置。
【請求項8】
前記推定結果に応じて前記保管部が使用不可であることを示す無効登録情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記動作制御部は、利用者による使用要求が入力された場合に、前記無効登録情報が登録されておらず、かつ、状態ステータスが空きの前記保管部を前記利用者に対し利用可能に制御する、
請求項1に記載の保管庫制御装置。
【請求項9】
前記動作制御部は、前記推定結果に応じて前記保管部に搬入された前記物体を保管できないと判断した場合に、前記保管部の扉を開状態とするよう制御する、
請求項1に記載の保管庫制御装置。
【請求項10】
コンピュータを、
請求項1に記載の保管庫制御装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管庫制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロッカーなどの保管庫は、利用者が一時的に荷物を保管するボックスを有している。ボックス内に荷物の重みを利用した荷物検出手段を備えることによって、荷物の取り忘れを検出し、警報を出力するロッカーがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-120310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者がボックスの利用を終えると、そのボックスは次の利用者に利用される。しかし、利用を終えている場合でも、ボックスに荷物が残っていたり、ボックス内が汚れていたりすると、そのボックスを使用できないことがある。また、利用者が、保管に向かないものをボックスに保管してしまうことがある。特許文献1の技術では、このようなボックス内の状況を判断することは難しい。そこで、管理者などが定期的にボックス内を確認することが考えられる。しかしながら、これは人的リソースが必要である。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、保管庫で利用者の荷物を預かるサービスの運用を支援することができる保管庫制御装置及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、利用者が物を保管可能な保管部を複数備えた保管庫を制御する保管庫制御装置であって、前記保管部内の物理的な状態を計測する計測部と、前記計測部による計測結果に基づいて推定された前記保管部内の物体の属性を、推定結果として取得する推定結果取得部と、前記推定結果に応じて保管庫動作を制御する動作制御部と、を備える保管庫制御装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上述の保管庫制御装置であって、前記動作制御部は、前記推定結果と前記保管部の状態ステータスとに応じて前記保管庫動作を制御する。
【0008】
本発明の一態様は、上述の保管庫制御装置であって、前記推定結果取得部は、推定された前記属性の確からしさをさらに取得し、前記動作制御部は、推定された前記属性と、前記確からしさの大きさとに応じて前記保管庫動作を制御する。
【0009】
本発明の一態様は、上述の保管庫制御装置であって、前記動作制御部は、前記推定結果と、前記推定結果が得られた時刻とに応じて前記保管庫動作を制御する。
【0010】
本発明の一態様は、上述の保管庫制御装置であって、前記計測部は、前記保管部内の画像の撮影と、前記保管部の振動の計測と、前記保管部内の音の計測と、前記保管部内の温度の計測と、前記保管部内の空気の計測とのうち1以上を行う。
【0011】
本発明の一態様は、上述の保管庫制御装置であって、前記計測部は、前記保管部内の画像の撮影を行い、前記保管庫制御装置は、前記計測部が撮像した前記画像から前記物体の属性を推定するために用いる推定モデルを、前記画像と入力された正解の前記属性とを用いて学習する学習部をさらに備える。
【0012】
本発明の一態様は、上述の保管庫制御装置であって、前記計測部は、前記保管部内の画像の撮影を行い、物体の前記属性は、前記計測部が前記保管部内を異なるタイミングで撮像した複数の前記画像の比較情報に基づいて推定される。
【0013】
本発明の一態様は、上述の保管庫制御装置であって、前記推定結果に応じて前記保管部が使用不可であることを示す無効登録情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記動作制御部は、利用者による使用要求が入力された場合に、前記無効登録情報が登録されておらず、かつ、状態ステータスが空きの前記保管部を前記利用者に対し利用可能に制御する。
【0014】
本発明の一態様は、上述の保管庫制御装置であって、前記動作制御部は、前記推定結果に応じて前記保管部に搬入された前記物体を保管できないと判断した場合に、前記保管部の扉を開状態とするよう制御する。
【0015】
本発明の一態様は、コンピュータを、上述の保管庫制御装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、保管庫で利用者の荷物を預かるサービスの運用を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態による保管システムの構成例を示す図である。
図2】同実施形態による保管庫の構成例を示す図である。
図3】同実施形態による保管庫のハードウェア構成例を示す図である。
図4】同実施形態による保管庫の開口部の例を示す図である。
図5】同実施形態によるボックスの例を示す図である。
図6】同実施形態によるボックスの例を示す図である。
図7】同実施形態による移動装置の例を示す図である。
図8】同実施形態による移動装置の例を示す図である。
図9】同実施形態による保管庫制御装置の構成例を示すブロック図である。
図10】同実施形態による撮像位置の例を示す図である。
図11】同実施形態による画像データの例を示す図である。
図12】同実施形態による画像データの例を示す図である。
図13】同実施形態による保管部の状態ステータスの例を示す図である。
図14】同実施形態によるボックス管理情報の例を示す図である。
図15】同実施形態による制御テーブルの例を示す図である。
図16】同実施形態による保管システムの動作の例を示すシーケンス図である。
図17】同実施形態による保管システムの動作の例を示すシーケンス図である。
図18】同実施形態による保管システムの動作の例を示すシーケンス図である。
図19】同実施形態による保管庫制御装置の制御処理の例を示すフロー図である。
図20】同実施形態による保管システムの動作の例を示すシーケンス図である。
図21】同実施形態による保管システムの動作の例を示すシーケンス図である。
図22】同実施形態による保管システムの動作の例を示すシーケンス図である。
図23】同実施形態による制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による保管システム1の構成例を示すブロック図である。実施形態の保管システム1は、保管庫100と、保管庫制御装置200とを備える。保管庫100は、例えば、駅や空港等の公共施設、商業施設、展示施設等、多くの人が利用する施設に設置される。保管庫100は、利用者の荷物を一時的に保管するロッカーとして機能する。保管庫100は、保管部を複数有する。保管部は、利用者が荷物を保管できるボックスなどである。保管庫制御装置200は、利用者が保管庫100に対して行った操作や、保管部内を撮像した画像に基づいて、保管庫100を制御する。
【0020】
保管庫制御装置200は、端末装置300とネットワーク400を介して接続される。保管システム1の管理者が有する端末装置300を管理者端末300Aと記載し、保管システム1の清掃や、保管部内の忘れ物の回収などを行う関係者の端末装置300を関係者端末300Bと記載し、保管システム1に荷物を預ける利用者の端末装置300を利用者端末300Cと記載する。端末装置300は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどである。
【0021】
保管システム1は、以下のように動作し、荷物保管サービスを提供する。まず、利用者が保管庫100に荷物を預け入れる操作を行うと、保管庫制御装置200は、保管庫100に収納されている複数の保管部のうち、いずれかの空きの保管部を利用者に割り当てる。保管庫100は、割り当てられた保管部を、荷物の搬出入を行う位置に搬送して保管部の扉を開ける。利用者は、保管部に荷物を搬入すると、保管庫100に閉扉の操作を行う。保管庫100は、保管部の扉を閉めて、収納位置へ搬送する。そして、利用者が保管庫100に荷物の取り出しの操作を行うと、保管庫制御装置200は、利用者が使用中の保管部の搬送を保管庫100に指示する。保管庫100は、指示された保管部を収納位置から、荷物の搬出入を行う位置へ搬送して扉を開ける。利用者は、保管部から荷物を取り出すと、保管庫100に閉扉の操作を行う。保管庫100は、保管部の扉を閉めて、収納位置へ搬送する。
【0022】
保管庫制御装置200は、上記のような荷物保管サービスの運用において、保管部内が汚れている場合は新規に利用できないようにする、保管部からの荷物の取り忘れを防止する、生物などの保管に向かない対象の保管を防止する、保管されている荷物の姿を把握可能とするなどの支援を行う。保管庫制御装置200は、この支援の実行のために、計測部により保管部内の状態を物理的に計測した結果を用いる。ここでは、計測結果が、保管部内を撮像して得られた画像である場合を例に説明する。
【0023】
図2は、保管庫100の構成例を示すブロック図である。保管庫100は、通信部111と、保管部112と、収納部113と、搬送部114と、入力部115と、出力部116と、撮像部117と、開閉制御部118と、センサー119と、処理部120とを備える。
【0024】
通信部111は、通信モジュールによって実現される。通信部111は、他の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信部111は、有線又は無線により保管庫制御装置200と接続される。通信部111は、ネットワーク400を介して保管庫制御装置200と通信してもよい。また、通信部111は、近距離無線通信などにより、あるいは、ネットワーク400を介して端末装置300と通信してもよい。
【0025】
保管部112は、利用者が荷物を一時的に保管する空間を有するボックスである。保管部112は、扉と、その扉の開閉機構を有する。収納部113は、複数の保管部112を収納するラックである。搬送部114は、搬出入位置と収納部113との間で保管部112を搬送する。例えば、搬送部114は、後述する図7及び図8に示す移動装置5を制御することにより保管部112を搬送する。搬出入位置は、利用者が保管部112に荷物を搬出入する際の保管部112の位置である。
【0026】
入力部115は、操作者の操作による情報を入力する。入力部115は、搬出入位置の近傍に設けられる。例えば、入力部115は、タッチパネル等のポインティングデバイス、ボタン等の入力デバイス、文字情報を入力するキーボード等のデバイスである。また、入力部115は、ICカードリーダや、バーコードリーダなどを含んでもよい。
【0027】
出力部116は、各種情報を出力する。出力部116は、搬出入位置の近傍に設けられる。出力部116は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等の表示デバイスである。あるいは、出力部116は、スピーカー等の音声出力装置や、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置でもよい。出力部116は、利用者への通知を出力する通知出力部としても機能する。出力部116は、メッセージを表示デバイスに表示することにより通知を出力してもよく、音声、音楽、警告音等を音声出力装置から送出することにより通知を出力してもよく、発光装置を発光させることにより通知を出力してもよい。出力部116は、文字を音声に変換して出力する場合、音声合成装置及び音声出力装置を用いて構成できる。入力部115と出力部116とが一体であってもよい。
【0028】
撮像部117は、保管部112内部の物理的な状態を計測する計測部の一例である。撮像部117は、静止画又は動画を撮像するカメラである。カメラは、光学的なセンサーの一種である。撮像部117は、保管部112の内部を撮像する。撮像部117は、搬出入位置の近傍に設けられる。これにより、撮像部117を保管部112毎に設けなくてもよい。開閉制御部118は、保管部112の扉の開閉を制御する。センサー119は、搬出入位置の周辺に人がいるか否かを検出する。センサー119は、搬入出位置の近傍に設けられる。センサー119は、保管庫100の外に備えられてもよい。この場合、センサー119は、ネットワーク400を介して検出結果を保管庫制御装置200に通知してもよい。
【0029】
処理部120は、利用者が入力部115により入力した情報や保管部112に対する制御を保管庫制御装置200に通知する。さらに、処理部120は、撮像部117が撮像した保管部112内部の画像データや、センサー119の検出結果を保管庫制御装置200に送信する。また、処理部120は、保管庫制御装置200からの指示や利用者が入力部115により入力した指示に基づいて、搬送部114や開閉制御部118を動作させたり、出力部116により通知を出力したりする。
【0030】
処理部120は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部(図示なし)に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、処理部120の一部または全部の機能は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。コンピュータプログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0031】
図3は、保管庫100のハードウェア構成の例を示す図である。保管庫100は、外殻体11と、複数のボックス2と、保管ラック3と、搬入出口4と、移動装置5と、を備えている。ボックス2は、外殻体11内で移動可能に設けられる。ボックス2は、荷物Nを収納する。ボックス2は、保管部112の一例である。保管ラック3は、複数のボックス2それぞれを所定位置に保管する。保管ラック3は、収納部113の一例である。搬入出口4は、荷物Nを搬入出する際の受け渡し口である。移動装置5は、保管ラック3と搬入出口4との間でボックス2を移動させる。移動装置5は、搬送部114を構成する装置の一例である。
【0032】
扉装置10は、その詳細は後述するが、ボックス2の内扉21と、搬入出口4に設けられた外扉であるシャッター40とを備えて構成される。内扉21及びシャッター40は、ボックス2への物の搬入出を許容又は阻止する扉である。扉装置10は、荷物Nの搬入出時においてシャッター40と内扉21とを連動してスライドさせ、ボックス2の大きさに合わせて開閉する。
【0033】
保管庫100は、荷物Nを収納・保管するために搬入出する際に、搬入出口4から荷物Nをボックス2内に搬入したり搬出したりするために使用される。外殻体11は、前後左右と天井とが壁で囲まれて箱型に形成され、その側壁のうち一面(取出面11A)に搬入出口4が配置されている。荷物Nを保管する利用者は、搬入出口4の近傍に設けられる操作パネル12を操作することにより、保管ラック3内の所定位置のボックス2に荷物Nを保管する。利用者は、必要なときにそのボックス2を搬入出口4に搬出させて、ボックス2から荷物Nを取り出す。
【0034】
本実施形態では、保管庫100において、搬入出口4に向かって横方向を左右方向X1といい、上方から見た平面視で左右方向X1に直交する方向を前後方向X2という。そして、前後方向X2において、搬入出口4を向く利用者の手前側を前方、前側といい、その反対側を後方、後側という。上下方向X3は、左右方向X1及び前後方向X2に垂直な方向である。
【0035】
外殻体11の内部空間には、前後方向X2の両側に外殻体11の内面に沿って保管ラック3(3A、3B)が配置され、前後両側の保管ラック3A、3B同士の間に移動装置5が配置される移動通路Tが設けられている。そして、移動通路Tを挟んで前側に位置する保管ラック3Aには、左右方向X1の中央に開口部が形成されている。この開口部には、内側に搬入出口4を備え、ボックス2を搬入出口4に進退可能とする取出部4Aが設けられている。
【0036】
図4は、保管庫100の開口部の一例を示す図である。図4に示すように開口部は、内側に搬入出口4を備える。また、開口部には、図3に示すように、ボックス2を搬入出口4に進退可能とする取出部4Aが設けられている。図4には、さらに前述した操作パネル12が示されている。また、取出面11Aの搬入出口4及び操作パネル12の近傍にディスプレイ14が設けられている。操作パネル12又はディスプレイ14の近傍には、出力部116としてのスピーカー(図示せず)が備えられる。操作パネル12又はディスプレイ14がスピーカーを備えてもよい。操作パネル12は、入力部115の一例であり、ディスプレイ14及びスピーカーは出力部116の一例である。
【0037】
図5及び図6は、保管庫100のボックス2の一例を示す図である。ボックス2は、図5(a)、(b)及び図6(a)、(b)に示すように、スライド方向Eの長さ寸法(すなわち、高さ寸法)の異なる複数(本実施形態では大小2種)の箱形状をなす。ボックス2は、移動装置5によって外殻体11内で移動可能に設けられ、かつ移動装置5によって保管ラック3に対して収納可能に設けられている。以下、高さ寸法が大きい方のボックス2を大型ボックス2Aとし、高さ寸法の小さい方のボックス2を小型ボックス2Bとして区別して用いる。
【0038】
ボックス2の開口2aには、所定のスライド方向E(上下方向X3)にスライド可能に設けられ、スライド方向Eの長さ寸法が異なるボックス2に合わせて、スライド方向Eの長さ寸法が異なるように形成された内扉21(大型内扉21A、小型内扉21B)を備えている。
【0039】
内扉21の外面21aには、内扉21の外面21aにおけるスライド方向(上下方向X3)の先端21bに、外面21aから前方に向けて突出する係合凸部22(第一係合凸部22A、第二係合凸部22B)が設けられている。係合凸部22は、左右方向X1に沿って延びる帯状片である。係合凸部22は、スライド方向Eの長さ寸法が異なる内扉21ごとにスライド方向Eに取り付け位置が異なるようにして内扉21にそれぞれ設けられている。すなわち、内扉21の上部に設けられる係合凸部22の位置は、図4(b)及び図5(a)、(b)に示す大型ボックス2Aと、図4(c)及び図6(a)、(b)に示す小型ボックス2Bとではボックス2の下面からの高さが異なっている。このように、大型ボックス2Aの大型内扉21Aの上部に設けられる第一係合凸部22Aの下面からの高さと、小型ボックス2Bの小型内扉21Bの上部に設けられる第二係合凸部22Bの下面からの高さとは異なる。搬入出位置P1にあるボックス2の内扉21は、駆動力を有さずに、後述する搬入出口4に設けられる後述するシャッター40のスライドに連動してスライドし、ボックス2の開口2aを開閉する。
【0040】
図3に示すように、保管ラック3には、ボックス2を個別に出し入れ可能に保管する保管スペース31が縦横に複数の配列されている。これら保管スペース31は、上下三段に設けられ、上二段は大型ボックス2Aが保管可能とされ、最下段は小型ボックス2Bが保管可能となっている。ボックス2は、保管ラック3A、保管ラック3Bの移動通路T側から移動装置5を使用して出し入れされる。保管ラック3A、保管ラック3Bに保管されるボックス2は、すべて内扉21が前方を向いた姿勢で保管されている。これにより保管ラック3と搬入出位置P1との間で移動するボックス2の向きを移動装置5によって変える動作が不要となる。
【0041】
図7及び図8は、保管庫100の移動装置5の一例を示す図である。図7及び図8に示すように、移動装置5は、移動通路Tに配置される。移動装置5は、搬送部114によって制御される。移動装置5は、ボックス2を保持して保管ラック3の所定の保管スペース31と搬入出口4との間で搬送する搬送リフト51と、搬送リフト51を左右方向X1に移動させる横移動ガイド52と、横移動ガイド52を上下方向X3に昇降させる昇降ガイド53と、を備えている。さらに移動装置5には、移動通路Tから保管ラック3内の各保管スペース31、及び搬入出口4に対して搬送リフト51を進退移動させるための押出し装置(図示省略)が設けられている。
【0042】
横移動ガイド52及び昇降ガイド53は、外殻体11の内側で底盤13上に立設された門型形状の支持枠54に支持されている。昇降ガイド53は、支持枠54の内面において、上下方向X3に沿って延在する左右一対の上下レール55を備えている。
【0043】
横移動ガイド52は、左右両端部に上下レール55に摺動可能に支持された摺動部56と、左右の摺動部56を架け渡すように左右方向X1に沿って延在する二本の左右レール57と、を備えている。摺動部56は、不図示の駆動モータ等の駆動手段によって上下レール55に沿って上下方向に移動可能に設けられている。これにより横移動ガイド52が水平を維持して上下に昇降される。
【0044】
搬送リフト51は、不図示の駆動モータ等の駆動手段を有し、ボックス2を下方から保持した状態で横移動ガイド52と昇降ガイド53に沿って適宜な位置へ移動させることで、保管ラック3との間及び搬入出位置P1との間でボックス2を受け渡しするためのものである。
【0045】
前述した押出し装置は、搬送リフト51を前後方向X2に進退移動させる際に、横移動ガイド52からボックス2を前後方向X2に押し出し、引き戻す進退移動をさせる。図中の符号Fは、押出し装置における進退方向を示している。押出し装置としては、例えば不図示の駆動モータの駆動力によって例えばタイミングベルト等の伝達部材を介して摺動軸に沿ってボックス2を載せた搬送リフト51を移動させる構成とすることができる。
【0046】
図5及び図6示すように、搬入出口4を備えた取出部4Aは、所定位置(搬入出位置P1)に停止したボックス2の内扉21の外側に配置されている。取出部4Aは、ボックス2が停止する搬入出位置P1に形成された搬入出口4の開口に設けられ、スライド方向Eにスライド可能に設けられたシャッター40を備えている。搬入出位置P1は、搬入出口4におけるシャッター40の内側(後側)において、ボックス2内に荷物Nを出し入れする位置である。
【0047】
シャッター40は、搬入出口4において外殻体11の取出面11Aの内外を連通する開口を塞ぐ大きさであり、大型ボックス2Aの大型内扉21Aと同等(少なくとも上下方向X3の長さ寸法が同等)の大きさとなっている。搬入出口4の開口サイズは、大型ボックス2Aの開口2aの大きさとほぼ同等になっている。
【0048】
シャッター40の内扉21側を向く後面40aには、ボックス2が搬入出位置P1に停止した状態で、内扉21がボックス2の開口2aを閉塞する閉位置Q1に位置する状態から、ボックス2の開口2aが全開となる開位置Q2に向かってスライド方向E(本実施形態では上下方向X3)に内扉21が移動する際に、係合凸部22に対して係合可能な係合凹部41が設けられている。
【0049】
係合凹部41(第一係合凹部41A、第二係合凹部41B)は、大きさの異なる内扉21におけるそれぞれの係合凸部22に係合する複数箇所に設けられている。それぞれの係合凹部41は、左右方向X1に沿って延びる一対の帯状の上片41aと下片41b(第二凸部)とが互いに上下に間隔をあけて配置され、双方の上片41a、下片41b同士の間に係合凸部22が係合する隙間を形成した凹溝状となっている。
【0050】
シャッター40の上端に設けられる第一係合凹部41Aには、図5(a)、(b)に示すように、大型ボックス2Aの大型内扉21Aの上部に設けられる第一係合凸部22Aが係合する。シャッター40の上下方向X3の中央に設けられる第二係合凹部41Bには、図6(a)、(b)に示すように、小型ボックス2Bの小型内扉21Bの上部に設けられる第二係合凸部22Bが係合する。
【0051】
シャッター40は、不図示の駆動手段を有しており、駆動力を有しない内扉21を連動させるように設けられ、内扉21が全開したときにスライドが停止するように構成されている。シャッター40の大きさは、上述したように大型ボックス2Aの大型内扉21Aとほぼ同等の形状となるように形成されている。
【0052】
また、搬入出口4には、係合凹部41と係合凸部22とが係合したことを検知する係合検出センサー(図示省略)が設けられている。係合検出センサーは、閉扉時における係合凹部41と係合凸部22の係合位置近傍に配置されている。そして、係合検出センサーで検出した結果に基づいてボックス2の大きさが識別され、識別したボックス2の大きさに基づくスライド量でシャッター40がスライドするように制御されている。係合検出センサーとしては、例えば光電センサーを採用することができる。シャッター40の下端に埋め込むように、カメラ45が設けられる。カメラ45は、撮像部117の一例である。カメラ45は、シャッター40の下端がボックス2内の底面を撮像可能な高さにあるタイミングで撮像を行う。
【0053】
図9は、保管庫制御装置200の構成例を示すブロック図である。保管庫制御装置200は、通信部211と、記憶部212と、画像取得部213と、推定部214と、推定結果取得部215と、動作制御部216と、情報提供部217と、学習部218と、入力部219と、出力部220とを備える。
【0054】
通信部211は、通信モジュールによって実現される。通信部211は、他の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信部211は、有線又は無線により保管庫100と接続される。また、通信部211は、ネットワーク400を介して、端末装置300と通信する。通信部211は、ネットワーク400を介して保管庫100と通信してもよく、近距離無線通信などにより端末装置300と通信してもよい。
【0055】
記憶部212は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。記憶部212は、保管部管理情報及び制御テーブルを含む各種情報を記憶する。保管部管理情報は、各保管部112の状態ステータス及び無効登録情報を示す。状態ステータスは、保管部112の利用に関するステータスを示す。状態ステータスには、空き、使用中などがある。無効登録情報は、保管部112を使用可能であるか否かを示す。さらに、保管部管理情報は、利用者番号と、利用開始日時とを含む。利用者番号は、保管部112が割り当てられた利用者を識別する情報である。利用開始日時は、利用者が保管部112の利用を開始した日時である。制御テーブルは、保管部112内部の画像データから推定され得る情報と、状態ステータスと、時間帯と、保管システム1が行う制御とを対応付けた情報である。
【0056】
画像取得部213は、保管庫100が撮像した保管部112内部の画像データを取得する。本実施形態では、荷物Nの預入時に保管部112の扉が開いてから荷物Nが保管部112内に搬入されるまでの期間T1内の1以上の撮像タイミングT1と、保管部112内に荷物Nが搬入されてから閉扉が完了するまでの期間T2内の1以上の撮像タイミングT2と、荷物Nの引取り時に保管部112内の荷物Nが搬出されてから閉扉が完了するまでの期間T3内の1以上の撮像タイミングT3に、保管部112内部が撮像される。画像取得部213は、取得した各保管庫100内部の画像データを記憶部212に格納する。
【0057】
推定部214は、画像取得部213が取得した画像データを解析し、保管部112内の物体の存在有無と、物体が存在する場合にはその物体の属性を推定する。さらに推定部214は、推定結果の確からしさを示す推定確率を算出する。なお、画像データから物体の存在有無、物体の属性、及び、推定確率を推定するための推定モデルには、既存の任意の技術を用いることができる。
【0058】
推定結果取得部215は、推定部214による推定結果を取得する。動作制御部216は、制御テーブルを参照して、推定結果取得部215が取得した推定結果と、保管部112の状態ステータスと、現在時刻とに対応した制御を決定し、決定した制御を行う。動作制御部216は、センサー119による検出結果をさらに用いて制御を決定してもよい。情報提供部217は、保管部112に関する情報を記憶部212から読み出して提供する。学習部218は、保管部112内部の画像データと、正解の属性とを用いて、推定部214が画像データの解析に用いる推定モデルを学習する。
【0059】
入力部219は、操作者の操作による情報を入力する。例えば、入力部219は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部219は、操作者の指示を保管庫制御装置200に入力する際に、操作者によって操作される。入力部219は、入力装置を保管庫制御装置200に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、入力部219は、入力装置において操作者の入力に応じ生成された入力信号を保管庫制御装置200に入力する。あるいは、入力部219は、端末装置300からネットワーク400を介して送信された指示を入力してもよい。
【0060】
出力部220は、保管庫制御装置200に接続された不図示の出力装置を介してデータの出力を行う。出力装置は、例えば画像や文字を画面に出力する装置を用いて構成されてもよい。例えば、出力装置は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を用いて構成できる。また、出力装置は、画像や文字をシートに印刷(印字)する装置を用いて構成されてもよい。例えば、出力装置は、インクジェットプリンタやレーザープリンタ等を用いて構成できる。また、出力装置は、文字を音声に変換して出力する装置を用いて構成されてもよい。この場合、出力装置は、音声合成装置及び音声出力装置(スピーカー)を用いて構成できる。出力装置は、LED等の発光装置を用いて構成されてもよい。出力部220は、ネットワーク400を介して端末装置300へデータを送信し、表示させてもよい。
【0061】
画像取得部213、推定部214、推定結果取得部215、動作制御部216、情報提供部217及び学習部218は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部212に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0062】
図10は、カメラ45によるボックス2内部の撮像位置の例を示す図である。図10(a)、図10(b)は、大型ボックス2A内部の撮像位置を示し、図10(c)は、小型ボックス2B内部の撮像位置を示す。カメラ45は、シャッター40の下端の位置がボックス2内の底面を撮像可能な高さであるときに撮像を行う。カメラ45は、ボックス2の底面と、その底面に続く搬入出口4の一部とを含む画像を撮影範囲に含むように、上下方向X3よりもボックス2内部の方向に傾いた角度で取り付けられる。
【0063】
上述したように、シャッター40は、ボックス2の大きさに基づくスライド量でスライドする。大型ボックス2Aの開口2aが全開となる開位置Q2までシャッター40がスライドしたときのカメラの高さをh1とし、小型ボックス2Bの開口2aが全開となる開位置Q2までシャッター40がスライドしたときのカメラの高さをh2とする。図10(a)では、カメラ45は、高さh1で撮像を行う。図10(b)及び図10(c)では、カメラ45は、高さh2で撮像を行う。カメラ45をシャッター40に取り付けることによって、ボックス2が縦長であっても、ボックス2内の底面を撮影範囲に高さにおいてボックス2の内部を撮像することが可能である。また、シャッター40は、ボックス2の内扉21と連動して開閉するため、撮像タイミングを容易に決定可能である。
【0064】
図10(a)に示すように高さh1で大型ボックス2A内部を撮像した場合、撮影範囲は、大型ボックス2Aの上方向に広範囲となる。また、図10(c)と同様に開口2aが全開の状態における撮像のため、図10(c)と制御を共通化可能である。しかし、図10(c)とは撮像を行う高さが異なるため、大型ボックス2Aと小型ボックス2Bとで推定モデルを別に用意しなければならない。
【0065】
図10(b)に示すように高さh2で大型ボックス2A内部を撮像した場合、図10(c)に示すように小型ボックス2B内部を撮像した場合と画角が揃う。よって、大型ボックス2Aと小型ボックス2Bとで推定モデルを共通化することができる。よって、効率的に推定モデルを学習可能である。ただし、大型ボックス2A内部の撮影範囲は狭いため、大型ボックス2A内部の上方の画像を推定に用いることはできない。なお、カメラ45は、高さh1、h2以外の高さから撮像を行ってもよい。
【0066】
図11及び図12は、カメラ45により撮像された画像データの例を示す図である。以下では、ボックス2内部を撮像した画像データをボックス内画像と記載する。図11及び図12に示すように、ボックス内画像G1、G2には、ボックス2内部の底面の画像G11と、ボックス2内部の底面に続く搬入出口4の一部の画像G12が含まれる。ボックス2から利用者が荷物を取り忘れた場合、その荷物はボックス2内の底面に存在するため、荷物の画像は底面の画像G11に含まれる。例えば、図11に示すボックス内画像G1における底面の画像G11には、財布の画像G13が含まれる。また、ボックス2からはみだしておかれた荷物がある場合、ボックス2の底面と搬入出口4との境界の一部をその荷物が遮る。例えば、図12に示すボックス内画像G2では、ボックス2からはみ出した紙片の画像G14が、底面の画像G11と搬入出口4の画像G12との境界の一部を遮っている。推定部214は、これを利用してボックス2からの荷物のはみだしを検出可能である。
【0067】
図13は、ボックス2の状態ステータスの例を示す図である。ここでは、状態ステータスが、大分類及び小分類で階層化されて表されるものとする。大分類は、空き、使用中などである。小分類は、例えば、ボックス2の位置や、ボックス2が搬入出位置P1にある場合には扉装置10の状態によって表される。
【0068】
状態番号ST1は、ボックス2が空き、かつ、保管ラック3に収納されている状態ステータスである。状態番号ST2は、ボックス2が空き、かつ、保管ラック3から搬入出位置P1へ搬送中の状態ステータスである。状態番号ST3は、ボックス2が空き、かつ、閉扉状態で搬入出位置P1に位置する状態ステータスである。状態番号ST4は、ボックス2が空き、かつ、開扉状態で搬入出位置P1に位置する状態ステータスである。状態番号ST5は、ボックス2が使用中、かつ、閉扉状態で搬入出位置P1に位置する状態ステータスである。状態番号ST6は、ボックス2が使用中、かつ、搬入出位置P1から保管ラック3へ搬送中の状態ステータスである。状態番号ST7は、ボックス2が使用中、かつ、保管ラック3に収納されている状態ステータスである。状態番号ST8は、ボックス2が使用中、かつ、保管ラック3から搬入出位置P1へ搬送中の状態ステータスである。状態番号ST9は、ボックス2が使用中、かつ、開扉状態で搬入出位置P1に位置する状態ステータスである。状態番号ST10は、ボックス2が空き、かつ、閉扉状態で搬入出位置P1に位置する状態ステータスである。状態番号ST11は、ボックス2が空き、かつ、搬入出位置P1から保管ラック3へ搬送中の状態ステータスである。ボックス内画像の撮像タイミングが含まれる期間T1、T2、T3はそれぞれ、状態番号ST4、ST5、ST10の状態ステータスに対応する。
【0069】
なお、状態ステータスの分類はこれらに限らず、任意とすることができる。例えば、大分類が、空き、使用中以外の状態ステータスをとってもよい。状態番号ST2~ST4については、大分類を「仮割当」などとしてもよい。また、状態ステータスは階層化されていなくてもよく、3つ以上の階層で表されてもよい。
【0070】
図14は、ボックス管理情報の例を示す図である。ボックス管理情報は、保管部管理情報の一例である。ボックス管理情報は、各ボックス2のボックスIDと、サイズと、状態ステータスと、利用者番号と、預入日時と、保管ラック3における収納位置と、新規保管要求受付可否と、払出要求受付可否とを対応付けた情報である。ボックスIDは、ボックス2を一意に特定する識別情報である。サイズは、大型ボックス2Aであるか(大)、小型ボックス2Bであるか(小)を示す。利用者情報は、ボックス2が割り当てられた利用者を特定する識別情報である。新規保管要求受付可否及び払出要求受付可否は、無効登録情報の一例である。新規保管要求受付可否は、保管サービスの新規利用が要求された場合に、ボックス2を割り当て可能であるか否かを示す。払出要求受付可否は、利用者の指示に応じて、ボックス2の払出しを受け付けるか否かを示す。払出しは、使用中のボックス2を保管ラック3から搬入出位置P1に搬送し、荷物を取り出し可能なように扉装置10を開けることである。
【0071】
図15は、制御テーブルの例を示す図である。制御テーブルは、ボックス内画像の推定結果の分類と、ボックス2の状態ステータスと、付加状態と、時間帯と、制御情報とを対応付けた情報である。付加状態は、状態ステータスをさらに詳細に分ける条件を示す。例えば、付加状態は、所定のタイミングからの経過時間や、センサー119の検出結果などで表される。付加状態として、空きのボックス2の数や割合、新規保管要求受付が不可のボックス2の数や割合などを用いてもよい。
【0072】
制御情報は、保管庫制御装置200が行う制御を示す。ここでは、異常制御を行わず、正常処理を継続する場合には制御テーブルに制御情報が設定されないものとするが、正常処理の実行を示す制御情報を含んでもよい。制御情報に設定される異常制御には、通知出力制御、保管部移動制御、保管庫開閉制御、新規保管要求受付可否制御、払出要求受付可否制御などがある。
【0073】
通知出力制御は、通知を出力する制御である。通知出力制御の制御情報には、通知の出力先が設定される。出力先は、管理者、関係者、利用者、保管庫100などである。通知出力制御の制御情報は、出力先の情報に加えて、通知の出力タイミングの情報や、通知内容を含んでもよい。保管部移動制御は、ボックス2の位置を移動させる、又は、ボックス2の位置を移動させない制御である。保管庫開閉制御は、扉装置10を開状態とするか閉状態とするかの制御である。開状態にするとは、扉装置10が全開である場合は全開のままとし、扉装置10が開扉動作又は閉扉動作を行っている場合や扉装置10が閉じた状態の場合は全開になるまで開扉動作を行うことである。閉扉状態にするとは、扉装置10が閉じた状態のときには閉じた状態のままとし、扉装置10が全開の場合や、開扉動作又は開扉動作を行っている場合は閉じた状態になるまで閉扉動作を行うことである。新規保管要求受付可否制御は、ボックス2に対する新規保管要求受付可否の制御である。払出受付可否制御は、ボックス2に対する払出受付可否の制御である。払出受付可否制御により、例えば、ボックス2に違法物が保管されていると推定された場合、法執行機関による確認が得られるまで払出要求を受け付けない対応が可能である。
【0074】
保管システム1の動作を説明する。上述したように、保管システム1は、(1)内部が汚れているボックス2の新規出庫の防止、(2)財布やパスポート等の貴重品の取り忘れの防止、(3)生物の保管防止、(4)保管されている荷物の姿の把握を可能とする。(1)及び(2)のために、保管庫制御装置200は、荷物を取り出して返却する際のボックス2内部の状態を、ボックス内画像から得られる情報を用いて推定する。(3)のために、保管庫制御装置200は、荷物を預け入れた際のボックス2内部の状態を、ボックス内画像から得られる情報を用いて推定する。また、(4)のために、保管庫制御装置200は、荷物が預け入れられた際のボックス内画像を管理者が確認可能とする。実際にボックス2から荷物の取り忘れをする人は少ないことから、多くの利用者では(1)~(3)は問題とはならない。そこで、正常な利用において、荷物の預け入れにかかる時間が増えるなどの影響を最小限とするために、扉装置10の動作中の時間を活用してボックス内画像の推定及び推定に基づく制御の決定を行う。
【0075】
図16図18は、保管システム1の動作の例を示すフロー図である。保管庫100の処理部120は通信部111を介して保管庫制御装置200と通信し、保管庫制御装置200の各部は通信部211を介して保管庫100と通信するが、以下ではそれらの処理の記載を省略する。また、右端には利用者が使用するボックス2の状態ステータスを記載している。また、以下では、撮像タイミングTx(x=1,2,3)のボックス内画像を、ボックス内画像(Tx)と記載する。ここでは、保管庫100のカメラ45は、扉装置10が全開のタイミングで撮像を行う。すなわち、カメラ45は、大型ボックス2Aの場合、シャッター40が図10(a)の位置のときに撮像を行い、小型ボックス2Bの場合、シャッター40が図10(c)の位置のときに撮像を行う。
【0076】
図16は、利用者が保管システム1に荷物を預けるときの動作を示す。利用者は、保管庫100の操作パネル12により利用開始と、利用するボックス2のサイズを入力する(ステップS101)。保管庫100の処理部120は、保管庫制御装置200に、入力されたサイズの情報を設定した新規割当要求を送信する(ステップS102)。
【0077】
保管庫制御装置200の動作制御部216は、新規割当要求を受信する。動作制御部216は、記憶部212に記憶されているボックス管理情報のうち、新規割当要求に設定されているサイズのボックス2のボックス管理情報を参照して、状態ステータスが「ST1:空き-保管ラック」かつ新規保管要求受付可否が「可」のいずれかのボックス2を割り当てる(ステップS103)。割り当てられたボックス2を、割当ボックス2と記載し、割当ボックス2のボックスIDを割当ボックスIDと記載し、割当ボックス2のボックス管理情報を割当ボックス管理情報と記載する。動作制御部216は、割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST2:空き-搬入出位置へ搬送中」に更新する。
【0078】
動作制御部216は、割当ボックスIDを設定した新規割当応答を保管庫100に通知する(ステップS104)。保管庫100の処理部120は、受信した新規割当応答から割当ボックスIDを読み出す。処理部120は、割当ボックスIDの割当ボックス2を保管ラック3から搬入出位置P1へ搬送するよう指示する搬送命令を搬送部114へ出力する。搬送部114は、搬送命令に基づいて移動装置5を制御し、割当ボックス2を保管ラック3から搬入出位置P1へ移動させる(ステップS105)。処理部120は、割当ボックス2の移動が完了すると、割当ボックスIDを設定した搬送完了通知を保管庫制御装置200に送信する(ステップS106)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、受信した搬送完了通知から割当ボックスIDを読み出す。動作制御部216は、割当ボックスIDにより特定される割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST3:空き-搬入出位置(閉扉状態)」に更新する(ステップS107)。
【0079】
利用者は、ICカードを利用するか否かを操作パネル12に入力する。ICカードの利用が入力された場合、操作パネル12は、ICカードから利用者IDを読み出す(ステップS108)。処理部120は、割当ボックスIDと、読み出した利用者IDとを設定した利用者番号通知を保管庫制御装置200へ送信する(ステップS109)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、利用者番号通知から読み出した割当ボックスIDにより割当ボックス管理情報を特定する。動作制御部216は、割当ボックス管理情報に、利用者番号通知から読み出した利用者IDを利用者番号として書き込む(ステップS110)。さらに、動作制御部216は、割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST4:空き-搬入出位置(開扉状態)」に更新する。動作制御部216は、利用者番号通知応答を保管庫100に返送する(ステップS111)。保管システム1は、ステップS105~ステップS107の処理と、ステップS108~ステップS111の処理とを並行して行ってもよい。
【0080】
なお、利用者が、ICカードの利用なしを操作パネル12に入力した場合、保管システム1は、ステップS108~ステップS111の処理に代えて、以下の処理を行う。すなわち、処理部120は、利用者番号割当要求を保管庫制御装置200に送信する。保管庫制御装置200の動作制御部216は、利用者番号を割り当て、割当ボックス管理情報に設定する。さらに、動作制御部216は、割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST4:空き-搬入出位置(開扉状態)」に更新する。動作制御部216は、利用者番号を設定した利用者番号通知を保管庫100に送信する。保管庫100は、利用者番号通知から読み出した利用者番号をディスプレイ14に表示する。例えば、2次元バーコードなどにより利用者番号を表示してもよい。あるいは、保管庫100の出力部116は、利用者番号を印刷した紙を排出してもよい。
【0081】
保管庫100の処理部120は、利用者番号通知応答の受信後、又は、利用者番号の出力後、割当ボックス2の開扉を開閉制御部118に指示する。開閉制御部118は、処理部120からの指示を受けると、扉装置10の開扉動作を行う(ステップS112)。すなわち、開閉制御部118は、搬入出口4に設けられたシャッター40を上部にスライドさせる。シャッター40に連動して、割当ボックス2の内扉21が上部にスライドする。カメラ45は、扉装置10の開扉動作が完了すると、割当ボックス2の内部を撮像する(ステップS113)。カメラ45は、撮像されたボックス内画像(T1)に、割当ボックス2のボックスID及び撮像タイミングT1を付加して保管庫制御装置200に通知する(ステップS114)。保管庫制御装置200の画像取得部213は、保管庫100から受信したボックス内画像(T1)を記憶部212に書き込む(ステップS115)。
【0082】
利用者は、割当ボックス2内へ荷物Nを搬入した後、操作パネル12に支払い操作を行い、さらに、預入を入力する(ステップS116)。処理部120は、割当ボックスIDを設定した預入開始通知を保管庫制御装置200に送信する(ステップS117)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、受信した預入開始通知から割当ボックスIDを読み出す。動作制御部216は、割当ボックスIDにより特定される割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST5:使用中-搬入出位置(閉扉状態)」に更新する(ステップS118)。
【0083】
カメラ45は、割当ボックス2の内部を撮像する(ステップS119)。処理部120は、カメラ45により撮像されたボックス内画像(T2)に、割当ボックスID及び撮像タイミングT2を付加して保管庫制御装置200に通知する(ステップS120)。保管庫制御装置200の画像取得部213は、受信したボックス内画像(T2)を記憶部212に書き込む(ステップS121)。
【0084】
保管庫100の処理部120は、割当ボックス2の閉扉を開閉制御部118に指示する。開閉制御部118は、処理部120からの指示を受けると、扉装置10の閉扉動作を開始する(ステップS122)。具体的には、開閉制御部118は、搬入出口4に設けられるシャッター40を下方にスライドさせる。シャッター40に連動して、割当ボックス2の内扉21が下方にスライドする。
【0085】
一方、保管庫制御装置200の推定部214は、ボックス内画像(T2)を用いて、割当ボックス2内の推定を行う。推定結果取得部215は、推定部214による推定結果を動作制御部216へ通知する。動作制御部216は、割当ボックス2の割当ボックス管理情報から状態ステータスを読み出す。動作制御部216は、推定結果と、状態ステータスと、付加状態と、現在時刻とに対応した制御情報を制御テーブルから読み出し、保管庫100の制御を決定する(ステップS123)。動作制御部216は、異常制御を決定した場合、決定した異常制御を行う(ステップS124)。ステップS123において、動作制御部216が正常制御を行うと決定した場合、保管システム1は、図17に示す処理を行う。
【0086】
図17において、保管庫100の開閉制御部118は、図16のステップS122において開始した閉扉動作を完了する(ステップS201)。処理部120は、割当ボックスIDを設定した閉扉完了を保管庫制御装置200に通知する(ステップS202)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、閉扉完了を受信すると、割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST6:使用中-保管ラック移動」に更新する(ステップS203)。
【0087】
保管庫100の処理部120は、割当ボックス2を保管ラック3に搬送するよう指示する搬送命令を搬送部114へ出力する。搬送部114は、割当ボックス2を保管ラック3に搬送する(ステップS204)。搬送部114が割当ボックス2を保管ラック3に入庫し終えると(ステップS205)、処理部120は、割当ボックスIDを設定した保管開始を保管庫制御装置200に通知する(ステップS206)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、保管開始を受信すると、割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST7:使用中-保管ラック」に更新し、さらに、割当ボックス管理情報に預入日時を設定する(ステップS207)。
【0088】
荷物を引き取りに来た利用者は、保管庫100の操作パネル12に利用者番号を入力する(ステップS208)。操作パネル12は、利用者番号としてICカードから利用者IDを読み出してもよく、二次元バーコードの利用者番号を読み込んでもよい。保管庫100の処理部120は、保管庫制御装置200に、利用者番号を設定した払出要求を送信する(ステップS209)。
【0089】
保管庫制御装置200の動作制御部216は、記憶部212に記憶されているボックス管理情報のうち、払出要求から読み出した利用者番号を含む割当ボックス管理情報を特定する。動作制御部216は、割当ボックス管理情報の払出要求受付可否に「不可」が設定されている場合、保管庫100に払出し不可を通知する。保管庫100の処理部120は、払出不可を出力部116により出力する。たとえば、処理部120は、ディスプレイ14に払出不可である旨のメッセージを表示する。一方、割当ボックス管理情報の払出要求受付可否に「可」が設定されている場合、動作制御部216は、割当ボックス管理情報から割当ボックスIDを読み出す(ステップS210)。動作制御部216は、割当ボックスIDを設定した払出要求応答を保管庫100に通知する(ステップS211)。
【0090】
保管庫100の処理部120は、受信した払出要求応答から割当ボックスIDを読み出す。処理部120は、割当ボックスIDにより特定される割当ボックス2を保管ラック3から搬入出位置P1へ搬送するよう指示する搬送命令を搬送部114へ出力する。搬送部114は、搬送命令に基づいて移動装置5を制御し、割当ボックス2を保管ラック3から搬入出位置P1へ搬送する(ステップS212)。処理部120は、割当ボックス2の搬送が完了すると、割当ボックス2の開扉を開閉制御部118に指示する。開閉制御部118は、処理部120からの指示を受けると、扉装置10の開扉動作を行う(ステップS213)。すなわち、開閉制御部118は、搬入出口4に設けられたシャッター40を上部にスライドさせる。シャッター40に連動して、割当ボックス2の内扉21が上部にスライドする。処理部120は、割当ボックスIDを設定した開扉通知を保管庫制御装置200に送信する(ステップS214)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST9:使用中-搬入出位置(開扉状態)」に更新する(ステップS215)。
【0091】
利用者は、割当ボックス2内から荷物Nを取り出した後、操作パネル12により閉扉を入力する(ステップS216)。カメラ45は、割当ボックス2の内部を撮像する(ステップS217)。処理部120は、カメラ45により撮像されたボックス内画像(T3)に、割当ボックスID及び撮像タイミングT3を付加して保管庫制御装置200に通知する(ステップS218)。保管庫制御装置200の画像取得部213は、保管庫100から受信したボックス内画像(T3)を記憶部212に書き込む(ステップS219)。
【0092】
さらに保管庫100の処理部120は、割当ボックスIDを設定した閉扉指示通知を保管庫制御装置200に送信する(ステップS220)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、受信した閉扉指示通知から割当ボックスIDを読み出す。動作制御部216は、割当ボックスIDにより特定される割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST10:空き-搬入出位置(閉扉状態)」に更新する(ステップS221)。なお、保管システム1は、ステップS220~ステップS221の処理を、ステップS217~ステップS219の処理の前に又は並行して行ってもよい。
【0093】
一方、保管庫100の処理部120は、割当ボックス2の閉扉を開閉制御部118に指示する。開閉制御部118は、処理部120からの指示を受けると、扉装置10の閉扉動作を開始する(ステップS222)。具体的には、開閉制御部118は、搬入出口4に設けられるシャッター40を下方にスライドさせる。シャッター40に連動して、割当ボックス2の内扉21が下方にスライドする。
【0094】
保管庫制御装置200の推定部214は、ボックス内画像(T3)を用いて、割当ボックス2内の推定を行う。推定結果取得部215は、推定部214による推定結果を動作制御部216へ通知する。動作制御部216は、割当ボックス2の割当ボックス管理情報から状態ステータスを読み出す。動作制御部216は、推定結果と、状態ステータスと、付加状態と、現在時刻とに対応した制御情報を制御テーブルから読み出し、保管庫100の制御を決定する(ステップS223)。動作制御部216は、異常制御を決定した場合、決定した異常制御を行う(ステップS224)。ステップS223において、動作制御部216が正常制御を行うと決定した場合、保管システム1は、図18に示す処理を行う。
【0095】
図18において、保管庫100の開閉制御部118は、図17のステップS222において開始した閉扉動作を完了する(ステップS301)。処理部120は、割当ボックスIDを設定した閉扉完了を保管庫制御装置200に通知する(ステップS302)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、閉扉完了を受信すると、割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST10:空き-保管ラック搬送中」に更新する(ステップS303)。
【0096】
保管庫100の処理部120は、割当ボックス2を保管ラック3に搬送するよう指示する搬送命令を搬送部114に出力する。搬送部114は、割当ボックス2を保管ラック3に搬送する(ステップS304)。搬送部114が割当ボックス2を保管ラック3に入庫し終えると(ステップS305)、処理部120は、割当ボックスIDを設定した搬送完了を保管庫制御装置200に通知する(ステップS306)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、搬送完了を受信すると、割当ボックス管理情報の状態ステータスを「ST1:空き-保管ラック」に更新する(ステップS307)。
【0097】
なお、ステップS213の後に利用者が荷物Nをボックス2から取り出し、ステップS216の閉扉指示を入力せずに立ち去ることがある。そこで、保管庫100の処理部120は、ステップS112の処理により扉装置10が全開してから所定時間taが経過した場合、ステップS217からの処理を行う。これにより、利用者が閉扉指示を入力せずに立ち去った場合も、利用が終了したボックス2を保管ラック3へ収納し、次の利用者が利用できるようにする。
【0098】
なお、大型ボックス2Aの場合の撮像を、シャッター40が図10(b)の位置のときに行う場合、保管庫100は、図16のステップS119~ステップS121の処理をステップS122の後に行い、図17のステップS217~ステップS219の処理をステップS222の後に行う。
【0099】
管理者端末300Aは、ステップS121において保存されたボックス内画像を保管庫制御装置200にアクセスして確認することが可能である。例えば、管理者は、管理者端末300Aにより使用中ボックス確認メニューを選択する。管理者端末300Aは、使用中ボックス確認要求を保管庫制御装置200に送信する。保管庫制御装置200の情報提供部217は、使用中ボックス確認要求を受信すると、記憶部212から状態ステータスに「ST7:使用中-保管ラック」が設定されているボックス管理情報を読み出し、読み出したボックス管理情報の一覧を管理者端末300Aに表示させる。なお、ボックス管理情報の一部の項目を表示させてもよい。管理者端末300Aは、管理者が一覧の中から選択したボックス管理情報のボックスIDを保管庫制御装置200に送信する。保管庫制御装置200の情報提供部217は、受信したボックスIDのボックス内画像(T2)のうち最も新しいものを記憶部212から読み出して管理者端末300Aに送信する。管理者端末300Aは、受信したボックス内画像(T2)を表示する。
【0100】
あるいは、管理者端末300Aは、ボックスID及びボックス確認要求を保管庫制御装置200に送信してもよい。保管庫制御装置200の情報提供部217は、受信したボックスIDのボックス管理情報に状態ステータス「ST7:使用中-保管ラック」が設定されている場合に、受信したボックスIDの最新のボックス内画像(T2)と、そのボックス管理情報の全て又は一部とを管理者端末300Aに送信する。管理者端末300Aは、受信したボックス内画像(T2)及びボックス管理情報を表示する。また、保管庫制御装置200の情報提供部217は、入力部219から入力された指示に従って、出力部220にボックス内画像(T2)やボックス管理情報を表示してもよい。
【0101】
図19は、保管庫制御装置200のボックス内画像に基づく制御処理の例を示すフロー図である。保管庫制御装置200は、図16のステップS121、S123~S124及び図17のステップS219、S223~S224において、図19に示す処理を実行する。
【0102】
保管庫制御装置200の画像取得部213は、保管庫100からボックス内画像(Tx)を受信する(ステップS401)。画像取得部213は、受信したボックス内画像(Tx)に付加されている撮像タイミングTx(xは1以上3以下のいずれかの整数)を取得する。さらに、画像取得部213は、ボックス内画像(Tx)に付加されている割当ボックスIDにより割当ボックス管理情報を特定し、割当ボックス管理情報からサイズの情報を読み出す(ステップS402)。なお、カメラ45が図10(b)に示す高さで大型ボックス2Aを撮像する場合、サイズの情報の読み出しは不要である。また、画像取得部213は、割当ボックス管理情報の状態ステータスに基づいて、撮像タイミングTxを判断してもよい。
【0103】
推定部214は、ステップS402において読み出したサイズに基づいて、ボックス内画像(Tx)が撮像された高さの情報を判断する。推定部214は、高さに応じた推定モデルを用いて、ステップS401において画像取得部213が取得したボックス内画像を解析し、ボックス2内の物体の存在有無と、物体が存在する場合にはその物体の属性を推定し、さらに、推定確率を得る(ステップS403)。物体の属性は、例えば、財布、パスポート、カバン、衣服、電子機器、飲食物、幼児、生物、汚れなどであるが、これらに限定されない。
【0104】
なお、カメラ45は、期間Txにおいて異なる又は同じ高さから複数のボックス内画像(Tx)を撮像してもよい。この場合、保管庫100の処理部120は、ボックス内画像(Tx)に撮像を行った高さの情報、又は、高さを判断可能な情報を付加して保管庫制御装置200に送信する。K枚(Kは2以上の整数)のボックス内画像(Tx)を、ボックス内画像(Tx-1)~ボックス内画像(Tx-K)と記載する。画像取得部213が保管庫100からボックス内画像(Tx-1)~ボックス内画像(Tx-K)を受信した場合、推定部214は、各ボックス内画像(Tx-k)を、そのボックス内画像(Tx-k)が撮像された高さに応じた推定モデルを用いて解析し、推定結果を取得する(kは1以上K以下の整数)。推定部214は、ボックス内画像(Tx-1)~ボックス内画像(Tx-K)それぞれの推定結果を統合して、期間Txにおけるボックス内画像の推定結果とする。例えば、推定部214は、ボックス内画像(Tx-1)~ボックス内画像(Tx-K)それぞれの推定結果のうち、最も推定確率が高い推定結果を、期間Txにおける割当ボックス内画像の推定結果としてもよい。これにより、推定精度を向上させることができる。
【0105】
推定部214は、ステップS401において受信したボックス内画像(Tx)がボックス内画像(T3)の場合、同じ高さから撮像されたボックス内画像(T3)とボックス内画像(T1)との差分の画像を生成する。この差分画像は、荷物Nを搬入する前の割当ボックス2内のボックス内画像(T1)と、荷物Nを搬出した後の割当ボックス2内のボックス内画像(T3)とを比較した画像である。推定部214は、差分画像の画像解析を行い、ボックス2内の汚れの有無と、その推定確率を得る(ステップS404)。1枚のボックス内画像では、傷を汚れと認識しまう可能性がある。ボックス内画像の差分を用いることで、傷を汚れと認識しにくくすることができる。
【0106】
ステップS401において画像取得部213が保管庫100からボックス内画像(Tx-1)~ボックス内画像(Tx-K)を受信し、かつ、同じ高さで撮像されたボックス内画像(Tx-k1)及びボックス内画像(Tx-k2)が含まれているとする(k1、k2は1以上K以下の整数、かつ、k1≠k2)。この場合、推定部214は、ボックス内画像(Tx-k1)とボックス内画像(Tx-k2)との差分の画像を生成する。推定部214は、差分画像の画像解析を行い、割当ボックス2内の物体が生物である確率を推定する(ステップS405)。生物は静止せずに動いていることが多い。そこで、異なるタイミングで撮像された画像を比較して動きがあるかを判定するため、差分画像を推定に用いる。さらに、推定部214は、ステップS401において受信したボックス内画像(Tx)の画像解析を行い、割当ボックス2内から荷物がはみ出しているか否かを判定する(ステップS406)。
【0107】
推定結果取得部215は、推定部214による推定結果を動作制御部216に出力する。動作制御部216は、推定結果がボックス2内の物体の存在なし、かつ、はみだしなしを示す場合、正常処理を継続すると決定する。なお、物体なしは、汚れなしを含む。動作制御部216は、推定結果がボックス2内の物体の存在あり、又は、はみだしありを示す場合、推定結果と、状態ステータスと、付加状態と、現在時刻とに基づいて制御テーブルから制御情報を読み出す(ステップS407)。なお、物体ありは、汚れありを含む。動作制御部216は、対応する制御情報が制御テーブルに設定されていない場合、又は、読み出した制御情報に正常処理の実行が設定されている場合、正常処理を継続すると決定する。一方、動作制御部216は、異常処理が設定された制御情報を読み出した場合、その異常処理を実行する(ステップS408)。
【0108】
制御情報に通知出力制御を行うことが設定されている場合、動作制御部216は、通知出力制御の制御情報に設定されている出力先に通知を出力する。動作制御部216は、出力先が保管庫100の場合、保管庫100に通知を送信する。保管庫100は、通知を出力部116から出力する。動作制御部216は、出力先が管理者の場合は管理者端末300Aに、関係者の場合は関係者端末300Bに、利用者の場合は利用者端末300Cに通知を送信する。なお、管理者端末300A、関係者端末300B、利用者端末300Cのアドレスは記憶部212又は保管庫制御装置200と接続される外部装置に予め記憶される。ただし、利用者端末300Cのアドレスの記憶は必須ではなく、記憶されていない場合には利用者端末300Cへの通知は行われない。また、動作制御部216は、通知出力制御の制御情報に通知先への通知の出力タイミングが設定されている場合、その出力タイミングに通知を送信する。また、動作制御部216は、各通知先への通知内容を通知出力制御の制御情報から読み出してもよい。
【0109】
制御情報に保管部移動制御を行うことが設定されている場合、動作制御部216は、保管部移動制御の制御情報に従って、割当ボックスIDと、搬入出位置P1への移動、保管ラック3への移動、又は、現在位置からの移動禁止とを設定した移動制御指示を保管庫100に送信する。保管庫100の処理部120は、受信した移動制御指示に従って、割当ボックスIDにより特定される割当ボックス2を、搬入出位置P1へ移動する、保管ラック3への移動する、又は、現在位置からの移動させないように搬送部114を制御する。
【0110】
制御情報に保管庫開閉制御を行うことが設定されている場合、動作制御部216は、保管庫開閉制御の制御情報に従って、割当ボックスIDを設定した開扉指示、または、割当ボックスIDを設定した閉扉指示を保管庫100に送信する。保管庫100の処理部120は、開扉指示を受信した場合には割当ボックス2の扉装置10を開状態とし、閉扉指示を受信した場合には割当ボックス2の扉装置10を閉状態とするように開閉制御部118を制御する。
【0111】
制御情報に新規保管要求受付可否制御を行うことが設定されている場合、動作制御部216は、割当ボックス管理情報の新規保管要求受付可否に、制御情報に従って可又は不可を設定する。また、制御情報に払出受付可否制御を行うことが設定されている場合、動作制御部216は、割当ボックス管理情報の払出要求受付可否に、制御情報に従って可又は不可を設定する。
【0112】
図15に示す制御テーブルに基づき制御を決定することで、属性と、推定確率、状態ステータス、所定のタイミングからの経過時間、空きのボックス2の数又は割合、払出不可のボックス2の数又は割合、センサー119による検出結果、及び、時間帯のうち一以上との任意の組み合わせに応じて保管システム1における異常制御を変えることが可能である。一部の制御の例を以下に示す。
【0113】
通知出力制御においては、重要性が高い属性の場合には、管理者、関係者、利用者、保管庫100を出力先とし、重要性が低い属性の場合には、管理者、関係者、利用者、保管庫100のうち一部を出力先とする。また、例えば、通知出力制御においては、推定確率が低い場合には、利用者を通知先としないようにしたり、認識された属性を利用者へ通知しないようにしたり、管理者や関係者には、推定された属性である確率が低いことを通知することができる。
【0114】
具体的には、動作制御部216は、属性が「生物」や「幼児」の場合、推定確率が所定以上のときには、管理者、関係者、利用者及び保管庫100に通知を出力し、推定確率が所定未満の場合は、管理者及び関係者に通知を出力する。また、動作制御部216は、属性が「衣服」かつ状態ステータスがST10「空き-搬入出位置(閉扉状態)」の場合、推定確率が所定以上のときには管理者及び保管庫100に通知を出力し、推定確率が所定未満のときには、管理者に通知を出力する。
【0115】
また、動作制御部216は、属性が「財布」、状態ステータスがST10「空き-搬入出位置(閉扉状態)」、かつ、推定確率が所定以上の場合には、管理者端末300A及び関係者端末300Bに「ボックスID、財布残留及び推定確率」の通知を出力し、保管庫100の出力部116及び利用者端末300Cには、「財布残留」又は「残留物あり」の通知を出力する。動作制御部216は、属性が「財布」、状態ステータスがST10「空き-搬入出位置(閉扉状態)」、かつ、推定確率が所定未満の場合には、管理者端末300A及び関係者端末300Bに「ボックスID、種別不明の残留物あり」、または、「ボックスID、財布残留及び推定確率」の通知を出力し、保管庫100及び利用者端末300Cには通知の出力を行わない。なお、推定確率を3段階以上に分けてもよい。
【0116】
また、例えば、動作制御部216は、関係者への通知を、8時~18時の昼の時間帯には行い、0~8時及び18時~24時の夜の時間帯には行わないようにしてもよい。また、夜の時間帯の通知出力制御の制御情報に、朝の時間帯になってから関係者端末300Bへ通知を出力するよう設定してもよい。これにより、関係者が対応可能な時刻となってから通知を出力することが可能である。また、空きのボックスの数又は割合が少ない場合や、払出不可のボックスの数又は割合が多い場合には、早めにボックス2内の残置物の回収又は清掃にいってもらうように、夜の時間帯であっても、関係者端末300Bへ通知を出力してもよい。
【0117】
また、図17のステップS212により割当ボックス2が搬入出位置P1に到着してからの経過時間や、ステップS213の処理により扉装置10が全開になってからの経過時間等によって、利用者が保管庫100の周辺にいる確率が高いか低いかを推定可能である。例えば、経過時間が長い場合、利用者は搬入出位置P1付近から立ち去っている確率が高い。そこで、動作制御部216は、利用者が保管庫100の周辺にいる確率が高い経過時間の場合には、保管庫100の出力部116に通知を出力し、利用者が保管庫100の周辺にいる確率が低い経過時間の場合には、管理者端末300Aや関係者端末300Bへ通知を出力し、保管庫100の出力部116からの通知を行わないように制御してもよい。
【0118】
また、動作制御部216は、通知出力制御の制御情報に保管庫100が出力先として設定されていたとしても、センサー119が搬入出位置P1の周辺の利用者を検出していない場合には、保管庫100から通知を出力しないようにしてもよい。これにより利用者が搬入出位置P1の近傍にいる場合には利用者が気付くように保管庫100の出力部116から通知を出力し、いなときには保管庫100の出力部116からは通知を出力せず、第三者がボックス2内に残されている荷物に興味を持つ可能性を低減する。
【0119】
また、保管部移動制御、保管庫開閉制御、新規保管要求受付可否制御、払出要求受付可否制御については、例えば、以下のように行うことができる。
【0120】
動作制御部216は、状態ステータスがST10「空き-搬入出位置(閉動作中)」において所定の推定確率以上の汚れが推定された場合、管理者及び関係者へ通知を行う通知出力制御に加え、割当ボックス2を使用不可とする新規保管要求受付可否制御を行う。すなわち、動作制御部216は、割当ボックス管理情報の新規保管要求受付可否に不可を設定する。一方、動作制御部216は、状態ステータスがST10「空き-搬入出位置(閉動作中)」において所定の推定確率以下の汚れが推定された場合、管理者及び関係者へ通知を行う通知出力制御を行い、新規保管要求受付可否制御を行わない。
【0121】
また、動作制御部216は、状態ステータスがST10「空き-搬入出位置(閉扉状態)」において所定確率以上の残留物が推定され、かつ、割当ボックス2が搬入出位置P1に到着してから所定時間以内の場合、通知出力制御に加え、ボックス2を搬入出位置P1から移動させない保管部移動制御と、扉装置10を開状態とする保管庫開閉制御とを行う。動作制御部216は、割当ボックスIDと、現在位置から移動禁止とを設定した移動制御指示を保管庫100に送信する。保管庫100の処理部120は、移動制御指示を受信すると、割当ボックス2を移動させないよう搬送部114への指示を停止する。さらに、動作制御部216は、割当ボックスIDを設定した開扉指示を保管庫100に送信する。保管庫100の処理部120は、開扉指示を受信すると、割当ボックス2の扉装置10を開状態とするよう開閉制御部118に指示する。なお、開扉指示が移動禁止の移動制御指示を兼ねてもよい。保管庫100は、図17のステップS216からの処理を繰り返す。
【0122】
一方、動作制御部216は、状態ステータスがST10「空き-搬入出位置(閉扉状態)」において所定確率以上の残留物が推定され、かつ、割当ボックス2が搬入出位置P1に到着してから所定時間以上経過している場合、上記と同様に通知出力制御と、ボックス2を搬入出位置P1から移動させない保管部移動制御と、扉装置10を開状態とする保管庫開閉制御とを行う。しかしながら、割当ボックス2が搬入出位置P1に到着してから所定時間経過している場合、利用者は閉扉指示を入力しないまま立ち去っている可能性が高い。そこで、動作制御部216は、利用者が一旦立ち去ってから戻ってきて荷物Nを取り出せるように、利用者からの操作があるまで扉装置10を開けたままにするよう保管庫100を制御してもよく、扉装置10が全開してから所定時間taよりも所定だけ長い時間ステップS216の処理が行われない場合に、図17のステップS217、又は、ステップS220からの処理を行うよう保管庫100を制御してもよい。さらに、動作制御部216は、割当ボックス2を使用できないように割当ボックス管理情報の新規保管要求受付可否に不可を設定する新規保管要求受付可否制御を行う。
【0123】
また、動作制御部216は、状態ステータスがST5「使用中-搬入出位置(閉動作中)」において割当ボックス2内からの荷物のはみだしが所定以上の推定確率で推定された場合、保管庫100の出力部116からはみ出しの通知を出力させる通知出力制御と、割当ボックス2を搬入出位置P1から移動させない保管部移動制御と、扉装置10を開状態とする保管庫開閉制御とを行う。
【0124】
また、動作制御部216は、所定の推定確率以上の生物が推定された場合、通知出力制御に加え、割当ボックス2を搬入出位置P1から移動させないか、搬入出位置P1へ移動させる保管部移動制御と、扉装置10を開状態とする保管庫開閉制御とを行う(強制出庫)。すなわち、動作制御部216は、割当ボックスIDと、搬入出位置P1への移動を設定した移動制御指示を保管庫100に送信する。保管庫100の処理部120は、移動制御指示を受信すると、割当ボックスIDにより特定される割当ボックス2が搬入出位置P1にある場合は移動を行わず、割当ボックス2が搬入出位置P1にない場合には、搬入出位置P1へ搬送させるように搬送部114を制御する。さらに、動作制御部216は、割当ボックスIDを設定した開扉指示を保管庫100に送信する。保管庫100の処理部120は、搬入出位置P1の割当ボックス2の扉装置10を開状態とするよう開閉制御部118に指示する。
【0125】
また、動作制御部216は、所定の推定確率以上で幼児が推定された場合、通知出力制御に加え、割当ボックス2を搬入出位置P1から移動させないか、搬入出位置P1へ移動させる保管部移動制御と、扉装置10を開状態とする保管庫開閉制御とを行う(強制出庫)。さらに、動作制御部216は、全てのボックス2の新規保管要求受付を不可とする新規保管要求受付可否制御と、全てのボックス2の払出要求受付を不可とする払出受付可否制御を行う。このように、動作制御部216は、ボックス内画像により生物や幼児など保管できない属性が推定された場合には、そのボックス内画像が撮像されたボックス2を使用できないように扉装置10を開状態とする。
【0126】
管理者端末300Aにより通知を受け取った管理者、関係者端末300Bにより通知を受けた関係者は、ボックス2の内部を確認し、正解の属性を保管庫制御装置200に入力してもよい。この場合、ボックスID及び正解の属性を、管理者端末300A又は関係者端末300Bから保管庫制御装置200に送信するか、保管庫制御装置200の入力部219により入力する。保管庫制御装置200の学習部218は、ボックスIDにより特定されるボックス内画像と、正解の属性とを用いて、推定モデルを学習する。なお、推定された属性が誤り又は推定された属性が正しくても推定確率が所定よりも低い場合に推定モデルの学習を行ってもよく、推定された属性が誤りか否かや推定確率にかかわらず推定モデルの学習を行ってよい。
【0127】
また、通知を受けてボックス2内の確認、残置物の回収、清掃などを行った管理者や関係者は、保管庫制御装置200の入力部219から指示を入力することにより、記憶部212に記憶されているボックス管理情報の新規保管要求受付可否や払出要求受付可否の書き替えを行ってもよい。あるいは、保管庫制御装置200は、この書き換えの指示を、管理者端末300A又は関係者端末300Bから受信してもよい。
【0128】
続いて、異常検知時の保管システム1の動作例を説明する。図20図22は、異常検知時の保管システム1の動作の例を示すシーケンス図である。これらの図において、図16図18と同じ動作については同じ符号を付している。
【0129】
図20は、利用者が荷物を預け入れる際に異常が検知された場合の例を示す。利用者は、保管庫100の割当ボックス2内へ荷物Nを搬入した後、操作パネル12の閉めるボタンを押下する(ステップS116)。カメラ45は、ボックス2内部を撮像する(ステップS119)。処理部120は、ボックスID及び撮像タイミングT2を付加したボックス内画像(T2)を保管庫制御装置200に通知する(ステップS120)。保管庫制御装置200の画像取得部213は、ボックス内画像(T2)を記憶部212に書き込む(ステップS121)。
【0130】
保管庫100は、シャッター40の閉扉動作を開始する(ステップS122)。並行して、保管庫制御装置200の推定部214は、ボックス内画像(T2)を解析し、属性を推定する(ステップS213)。推定結果が属性「猫」、推定確率が80%であったとする。動作制御部216は、推定結果と、状態ステータスと、付加状態と、現在時刻とに対応した制御情報を制御テーブルから読み出し、異常処理を行うと決定する。動作制御部216は、ステップS122における閉扉動作開始からシャッター40の閉扉が完了するまでの間に、この異常処理を決定する。閉扉動作開始から閉扉完了までは、大型ボックス2Aの場合は7秒、小型ボックス2Bの場合は5秒程度である。ここでは、動作制御部216は、シャッター40の再オープンと、異常な保管物がある旨のディスプレイ14へのメッセージ表示とを含む異常処理を行うと決定する。
【0131】
動作制御部216は、保管庫100に閉扉動作の中止と、再オープンのための開扉指示を送信する(ステップS501)。保管庫100の処理部120は、扉装置10の閉扉動作の中止及び開扉を開閉制御部118に指示する。開閉制御部118は、扉装置10の閉扉を中止した後、開扉動作を行う(ステップS502)。処理部120は、扉装置10の開扉動作が完了すると(ステップS503)、扉装置10の再オープン完了を保管庫制御装置200に通知する(ステップS504)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、再オープン完了の通知を受信すると、保管庫100のディスプレイ14に、異常な保管物がある旨のメッセージ表示画面G3を表示させる(ステップS505)。利用者は、荷物Nを確認した後、メッセージ表示画面G3内の確認ボタンを押下する(ステップS506)。保管システム1は、ステップS119からの処理を繰り返す。そして、保管庫制御装置200の動作制御部216が、ボックス内画像の推定結果に基づき正常処理を行うと判断した場合は、保管システム1は、図17のステップS201からの処理を行う。
【0132】
図21は、利用者が保管した荷物を取り出す際に異常が検知された場合の例を示す。利用者は、割当ボックス2内から荷物Nを取り出した後、ディスプレイ14に表示されている利用終了画面G4の終了ボタンを押下することにより、閉扉を入力する(ステップS216)。カメラ45は、ボックス2内部を撮像する(ステップS217)。処理部120は、ボックスID及び撮像タイミングT3を付加したボックス内画像(T3)を保管庫制御装置200に通知する(ステップS218)。保管庫制御装置200の画像取得部213は、ボックス内画像(T3)を記憶部212に書き込む(ステップS219)。
【0133】
保管庫100は、扉装置10の閉扉動作を開始する(ステップS222)。並行して、保管庫制御装置200の推定部214は、ボックス内画像(T3)、又は、ボックス内画像(T3)とボックス内画像(T1)との差分画像を画像解析する(ステップS223)。推定結果が属性「汚れ」、推定確率が70%であったとする。動作制御部216は、推定結果と、状態ステータスと、付加状態と、現在時刻とに対応した制御情報を制御テーブルから読み出し、異常処理を行うと決定する。図19の場合と同様に、動作制御部216は、この異常処理の決定を、ステップS222における閉扉動作開始から扉装置10の閉扉が完了するまでに行う。ここでは、動作制御部216は、ボックス2を新規出庫対象外とし、管理者及び関係者へ通知を行う異常処理を決定する。
【0134】
保管庫100は、扉装置10の閉扉動作を完了すると(ステップS301)、ボックス2を保管ラック3へ搬送する(ステップS304)。処理部120は、保管庫制御装置200に搬送完了を通知する(ステップS305)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、搬送完了を受信すると、ボックス管理情報の状態ステータスを「ST1:空き-保管ラック」に更新する(ステップS307)。さらに、動作制御部216は、ボックス管理情報の新規保管要求受付可否に不可を設定する(ステップS601)。これにより、汚れがあるボックス2が新たに使用されないようにする。さらに、動作制御部216は、管理者端末300A及び関係者端末300Bに、推定結果と、汚れが発生したボックス2のボックスID及び収納位置などのボックス管理情報の一部を通知する(ステップS602)。動作制御部216は、この通知を、昼の時間帯の場合は、管理者端末300A及び関係者端末300Bに送信し、夜の時間帯の場合は、管理者端末300Aに送信し、夜の時間帯の終了後に関係者端末300Bに送信する。
【0135】
図22は、利用者が保管した荷物の取り忘れが検知された場合の例を示す。図22のステップS216~ステップS222の処理は、図21の処理と同様である。保管庫制御装置200の推定部214は、ボックス内画像(T3)を画像解析する(ステップS223)。推定結果が属性「財布」、推定確率が90%であったとする。動作制御部216は、推定結果と、状態ステータスと、付加状態と、現在時刻とに対応した制御情報を制御テーブルから読み出し、異常処理を行うと決定する。図20の場合と同様に、動作制御部216は、この異常処理の決定を、ステップS222における閉扉動作開始から扉装置10の閉扉が完了するまでに行う。ここでは、動作制御部216は、扉装置10の再オープンと、ディスプレイ14へのメッセージ表示とを含む異常処理を行うと決定する。
【0136】
動作制御部216は、保管庫100に閉扉動作の中止と、再オープンのための開扉指示を送信する(ステップS701)。保管庫100の処理部120は、扉装置10の閉扉動作の中止及び開扉を開閉制御部118に指示する。開閉制御部118は、扉装置10の閉扉を中止した後、開扉動作を行う(ステップS702)。処理部120は、扉装置10の開扉動作が完了すると(ステップS703)、扉装置10の再オープン完了を保管庫制御装置200に通知する(ステップS704)。保管庫制御装置200の動作制御部216は、再オープン完了の通知を受信すると、保管庫100のディスプレイ14に、とり忘れがある旨を通知するための画面を表示させる(ステップS705)。ここでは、とり忘れがある旨を通知するための画面として、利用終了画面G4を再び表示させる。利用者は、ボックス2内からとり忘れの荷物を取り出すと、利用終了画面G4確認ボタンを押下する。これにより保管庫100は、再びステップS216からの処理を繰り返す。
【0137】
前述した実施形態では、保管システム1が保管庫100と保管庫制御装置200とを含む場合について説明したがこの例に限られない。例えば、保管システム1を保管庫100と保管庫制御装置200とを一体化させて構成してもよいし、保管システム1を3以上の装置で構成してもよい。例えば、一台の保管庫制御装置200が複数の保管庫100を制御してもよい。また、複数の保管庫制御装置200で一台の保管庫100を制御してもよいし、複数の保管庫制御装置200で複数の保管庫100を制御してもよい。複数の保管庫制御装置200を含んで構成する場合に、保管庫制御装置200同士をマスタースレーブ方式で構成してもよい。また、保管庫100の処理部120の機能の全て又は一部を保管庫制御装置200が有してもよい。また、保管庫制御装置200の一部の機能部を保管庫100が有してもよい。
【0138】
前述した実施形態では、保管庫制御装置200が推定部214を有しているが、保管庫制御装置200と接続される画像認識装置が推定部214を備えてもよい。この場合、画像取得部213は、ボックス内画像を画像認識装置に出力し、推定結果取得部215は、画像認識装置の推定部214によるボックス内画像の認識結果を取得する。また、画像認識装置、又は、保管庫制御装置200と接続される学習装置が、学習部218を備えてもよい。画像認識装置又は学習装置は、複数の保管庫制御装置200と接続されてもよい。画像認識装置又は学習装置の学習部218が、複数の保管庫制御装置200から受信したとボックス内画像と正解の属性とを用いて推定モデルを学習することにより、推定の精度を向上させることができる。
【0139】
前述した実施形態では、保管庫100のシャッター40の下端にカメラ45が搭載されている場合について説明したが、この例に限られない。例えば、ボックス2の内部又はボックス2の内扉21の下端にカメラ45が設置されてもよく、保管庫100の外部の開口部の周辺にカメラ45が設置されていてもよい。ボックス2の内部にカメラ45を備える場合、ボックス2に照明をさらに備えてもよい。カメラ45が撮像する際に、撮像系に合わせて、可視光、赤外光、紫外光を照射する。この場合、カメラ45は、ボックス2が保管ラック3に収納されているときや、移動装置5による搬送中など、任意のタイミングで撮像が可能である。保管庫制御装置200は、撮像されたボックス内画像を保管庫100から受信して、図19の処理を行う。また、搬入出位置P1の上部にカメラ45を設けてもよい。この場合、各ボックス2の上部に開口を設ける。カメラ45は、搬入出位置P1に搬送されたボックス2の内部を、そのボックス2の上部の開口から撮像する。
【0140】
また、前述した実施形態では、ボックス2の大きさを2種類としたが、1種類でもよく、3種類以上でもよい。また、上述した実施形態において、保管部112が、内扉21により閉塞可能なボックス2である場合を例に説明したが、保管部112は、必ずしも閉塞可能なボックスでなくてもよい。例えば、保管部112は、搬入出位置P1と収納部113との間を搬送可能であれば、上面又は側面などが開いたボックスでもよく、保管物(荷物N)を上面に載置可能なトレーでもよく、保管物を吊り下げ支持可能なフックなどでもよい。保管部112が扉を有しない場合、扉装置10は、内扉21を含まず、開閉制御部118は、搬入出口4に設けられた外扉であるシャッター40を開閉する。また、前述した実施形態では、搬送可能な保管部112を備える保管庫100を用いているが、固定的に設置され、搬送できない保管部112を備える保管庫100にも適用可能である。この場合、保管システム1は、保管部112の搬送に関する機能を有さない。また、各保管部112は、開閉制御部118からの制御によって扉を開閉する機構を有する。カメラ45は、各保管部112の内部又は各保管部112の扉の近傍に設置される。
【0141】
上述した実施形態では、保管庫100は、保管部112内の物理的な状態を計測する計測部として、保管部112内部を撮像する撮像部117(カメラ45)を備えているが、他の物理的な状態を計測するセンサーや測定器などの計測部を、撮像部117に加えて、又は、撮像部117に代えて備えてもよい。このような計測部として、振動検知センサー、収音装置、温度センサー、ガスセンサーなどを用いることができる。保管庫100の処理部120は、これらの計測部による計測結果を保管庫制御装置200に通知する。
【0142】
振動検知センサーは、各ボックス2に取り付けられる。処理部120は、振動検知センサーによるボックス2の時系列の振動の計測結果を、保管庫制御装置200に送信する。保管庫制御装置200の推定部214は、時系列の振動の計測結果に基づいて、保管部112内における幼児や生物の存在を推定する。例えば、推定部214は、ボックス2が保管ラック3に位置する状態ステータスや、扉装置10の閉扉の開始から終了までの間の状態ステータスにおいて、所定以上の大きさの振動が所定回以上検出された場合や、各状態ステータス別に予め機械学習された正常時の振動パターンからの乖離が検出された場合に、保管部112内における幼児や生物の存在を推定する。
【0143】
収音装置は、例えば、マイクであり、搬入出位置P1の近傍、又は、ボックス2内に取り付けられる。また、ボックス2が大きな開口を有している場合、保管庫100内部に収音装置が取り付けられてもよい。収音装置は、保管部112内部に発生した音のデータを収集する。処理部120は、収音装置が収集した時系列の音のデータを、保管庫制御装置200に送信する。保管庫制御装置200の推定部214は、扉装置10が閉状態の状態ステータスにおいて所定の大きさ以上の音が発生している場合、保管部112内における幼児や生物の存在を推定可能である。あるいは、推定部214は、機械学習された推定モデルに基づいて、音声データから乳児の泣き声や幼児の声、動物の鳴き声などの属性及び推定確率を推定結果として得てもよい。
【0144】
温度センサーは、例えば、サーモグラフィーなどの非接触式温度センサーであり、シャッター40の下端などの搬入出位置P1の近傍、又は、各ボックス2内に取り付けられる。処理部120は、温度センサーが検出したボックス2内部の温度のデータを、保管庫制御装置200に送信する。保管庫制御装置200の推定部214は、受信した温度のデータに基づいて、高温な危険物、乳児や幼児、生物などの属性及び推定確率を推定結果として得る。
【0145】
ガスセンサーは、所定の種類のガス又は空気組成を計測する。例えば、ボックス2に検出孔を設け、移動装置5にガスセンサーと、検出孔からボックス2内の空気を吸引する機構とをさらに設ける。処理部120は、ガスセンサーによる計測結果を保管庫制御装置200に送信する。保管庫制御装置200の推定部214は、臭気物質の含有率などの計測結果に基づいて、画像などからは判断できない汚れを検出する。
【0146】
そして、上記では、保管庫制御装置200の動作制御部216は、図15に示す制御テーブルを参照して、ボックス内画像に基づく推定結果と、ボックス2の状態ステータスと、付加状態と、時間帯とに基づいて、通知出力制御、保管部移動制御、保管庫開閉制御、新規保管要求受付可否制御、払出要求受付可否制御などの異常制御を決定しているが、ボックス内画像に基づく推定結果に代えて、又は、加えて、振動の計測結果に基づく推定結果と、音の計測結果に基づく推定結果と、温度の計測結果に基づく推定結果と、空気の計測結果に基づく推定結果のうち一以上を用いて、異常制御を決定する。例えば、ボックス内画像を用いて猫が50%である推定確率が得られた場合に、温度の計測結果に基づく生物の推定確率、振動の計測結果に基づく生物の推定確率、音の計測結果に基づく猫の鳴き声の推定確率等によって、本物の猫であるかぬいぐるみの猫であるかの推定確率が変わる。よって、動作制御部216は、本物の猫である推定確率が高い推定結果の組み合わせであるか、ぬいぐるみの猫である推定確率が高い推定結果の組み合わせであるかによって、異常制御を変更するか、異常制御を行うか否かを変更する。このように、複数の計測結果を組み合わせることで、推定の精度を向上させ、適切な制御を可能とする。
【0147】
保管庫制御装置200をネットワークに接続される複数のコンピュータ装置により実現してもよい。この場合、保管庫制御装置200の各機能部を、これら複数のコンピュータ装置のいずれにより実現するかは任意とすることができる。また、同一の機能部を複数のコンピュータ装置により実現してもよい。
【0148】
保管庫制御装置200のハードウェア構成例を説明する。図23は、保管庫制御装置200のハードウェア構成例を示す図である。保管庫制御装置200は、プロセッサ71と、記憶部72と、通信インタフェース73と、ユーザインタフェース74とを備える。
【0149】
プロセッサ71は、演算や制御を行う中央演算装置である。プロセッサ71は、例えば、CPU(central processing unit)である。プロセッサ71は、記憶部72からプログラムを読み出して実行する。記憶部72は、さらに、プロセッサ71が各種プログラムを実行する際のワークエリアなどを有する。通信インタフェース73は、他装置と通信可能に接続するものである。ユーザインタフェース74は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の入力装置や、ディスプレイなどの表示装置である。ユーザインタフェース74により、人為的な操作が入力される。
【0150】
画像取得部213、推定部214、推定結果取得部215、動作制御部216、学習部218及び情報提供部217の機能は、プロセッサ71が記憶部72からプログラムを読み出して実行することより実現される。なお、これらの機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、記憶部212は、記憶部72により実現される。通信部211は、通信インタフェース73により実現される。上記プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配信されてもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0151】
以上説明した実施形態によれば、保管庫制御装置は、利用者が物を保管可能な保管部を複数備えた保管庫を制御する。保管庫制御装置は、計測部と、推定結果取得部と、動作制御部とを有する。計測部は、保管部内の物理的な状態を計測する。計測部は、例えば、実施形態の画像取得部213に対応する。推定結果取得部は、計測部による計測結果に基づいて推定された、保管部内の物体の属性を、推定結果として取得する。動作制御部は、推定結果に応じて保管庫動作を制御する。保管庫動作は、通知出力、保管部の移動制御、保管部の扉の開閉制御、新規保管要求受付可否制御、払出要求受付可否制御などである。
【0152】
動作制御部は、推定結果と保管部の状態ステータスとに応じて保管庫動作を制御してもよい。また、推定結果取得部は、推定された属性の確からしさをさらに取得してもよい。この場合、動作制御部は、推定された属性と、確からしさの大きさとに応じて保管庫動作を制御する。また、動作制御部は、推定結果と、推定結果が得られた時刻とに応じて保管庫動作を制御してもよい。また、動作制御部は、推定結果と、保管庫が備える複数の保管部のうち空きの保管部の割合又は空きの保管部の数に基づいて保管庫動作を制御してもよい。
【0153】
計測部は、保管部内の画像の撮影と、保管部の振動の計測と、保管部内の音の計測と、保管部内の温度の計測と、保管部内の空気の計測とのうち1以上を行ってもよい。計測部は、保管部内を異なる高さから撮像した複数の画像を取得してもよい。保管庫制御装置又は保管庫制御装置の外部に備えられた推定部は、複数の画像それぞれに基づいて保管部内に存在する物体の属性を推定し、推定された結果を統合する。動作制御部は、統合された推定結果に基づいて保管庫動作を制御する。
【0154】
保管庫制御装置又は保管庫制御装置と接続される装置は、学習部をさらに備えてもよい。学習部は、画像から物体の属性を推定するために用いる推定モデルを、保管部内を確認して得られた正解の属性を用いて学習する。
【0155】
また、物体の属性は、保管部内を異なるタイミングで撮像した複数の画像の比較情報に基づいて推定されてもよい。
【0156】
保管庫制御装置は、推定結果に応じて保管部が使用不可であることを示す無効登録情報を記憶する記憶部をさらに備えてもよい。動作制御部は、利用者による使用要求が入力された場合に、無効登録情報が登録されておらず、かつ、状態ステータスが空きの保管部を、利用者に対し利用可能に制御する。例えば、動作制御部は、保管部の扉を開けるよう制御することによって、利用者が保管部を利用可能とする。
【0157】
動作制御部は、推定結果に応じて保管部に搬入された物体を保管できないと判断した場合に、保管部の扉を開状態とするよう制御してよい。
【0158】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0159】
1 保管システム
2 ボックス
2A 大型ボックス
2B 小型ボックス
3 保管ラック
4 搬入出口
5 移動装置
10 扉装置
11 外殻体
12 操作パネル
13 底盤
14 ディスプレイ
21 内扉
21A 大型内扉
21B 小型内扉
22 係合凸部
22A 第一係合凸部
22B 第二係合凸部
31 保管スペース
40 シャッター
45 カメラ
100 保管庫
111 通信部
112 保管部
113 収納部
114 搬送部
115 入力部
116 出力部
117 撮像部
118 開閉制御部
119 センサー
120 処理部
200 保管庫制御装置
211 通信部
212 記憶部
213 画像取得部
214 推定部
215 推定結果取得部
216 動作制御部
217 情報提供部
218 学習部
219 入力部
220 出力部
300 端末装置
300A 管理者端末
300B 関係者端末
300C 利用者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23