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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127293
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】光源ユニット及び反射フィルム
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240912BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240912BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20240912BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240912BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F21S2/00 481
G02B5/20
G02B5/26
G02F1/13357
G02F1/1335 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036346
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】白石 海由
(72)【発明者】
【氏名】宇都 孝行
【テーマコード(参考)】
2H148
2H291
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA05
2H148AA12
2H148AA25
2H148FA04
2H148FA15
2H148FA22
2H148FA24
2H291FA01Z
2H291FA33Z
2H291FA42Z
2H291FA52Z
2H291FA82Z
2H291FA83Z
2H291FA84Z
2H291FA85Z
2H291FA87Z
2H291LA24
2H391AA03
2H391AB02
2H391AB03
2H391AB04
2H391AB07
2H391AB09
2H391AB34
2H391AC13
2H391AC23
2H391AC32
3K244AA01
3K244BA08
3K244CA02
3K244DA01
3K244GA04
3K244GA05
(57)【要約】
【課題】 ディスプレイに実装した際に、輝度ムラが発生することなく視認性に優れた画像表示が可であり、かつ、高輝度な光源ユニットを提供する。
【解決手段】 光源、色変換部材、及び第1の反射フィルムを含み、前記第1の反射フィルムが、前記光源から出光された光を30%以上110%以下反射し、色変換部材から出光した光を50%以上100%以下透過し、かつ光学機能層を有する、光源ユニット。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源、色変換部材、及び第1の反射フィルムを含み、前記第1の反射フィルムが、前記光源から出光された光を30%以上110%以下反射し、色変換部材から出光した光を50%以上100%以下透過し、かつ光学機能層を有する、光源ユニット。
【請求項2】
前記光源、前記色変換部材、前記第1の反射フィルムがこの順に配置されてなる、請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記光学機能層が表面に凹凸形状を有する、請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記光学機能層が、前記第1の反射フィルムの一方の面に入射された光を変角させて出射させる集光機能を備える、請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記光学機能層が光拡散微粒子を含む、請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記光拡散微粒子が多孔質あるいは中空の微粒子である、請求項5に記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記光拡散微粒子の平均粒径が1μm以上10μm以下である、請求項5に記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記光源から前記第1の反射フィルムに入射角度0°および60°で光を入射させたとき、入射角度0°と60°における光源ピーク波長の反射率の差が5%以上である、請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項9】
光源と前記色変換部材との間に第2の反射フィルムを含み、
前記第2の反射フィルムが前記色変換部材から出光された光を30%以上反射し、かつ光源から出光された光を80%以上透過する、請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記反射フィルム1が、異なる複数の熱可塑性樹脂が交互に11層以上積層されてなる積層フィルムである、請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項11】
前記光源と前記色変換部材との距離が3mm以下である、請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項12】
請求項1または2に記載の光源ユニットを備える、ディスプレイ。
【請求項13】
フィルム面と垂直に入射させた波長440~460nmの光の平均透過率が30%以下であり、フィルム面と垂直に波長500~700nmの光を入射させたときに透過率が連続して50%以上となる帯域幅60nm以上の透過帯域を有し、かつ光学機能層を有する、反射フィルム。
【請求項14】
前記光学機能層が凹凸形状を有する、請求項13に記載の反射フィルム。
【請求項15】
前記光学機能層が、一方の面に入射された光を変角させて出射させる集光機能を備える、請求項13または14に記載の反射フィルム。
【請求項16】
前記光学機能層が光拡散微粒子を含む、請求項13または14に記載の反射フィルム。
【請求項17】
前記光拡散微粒子が多孔質あるいは中空の粒子である、請求項16に記載の反射フィルム。
【請求項18】
前記光拡散微粒子の平均粒径が1μm以上10μm以下である、請求項16に記載の反射フィルム。
【請求項19】
入射角度10°および60°で波長440~460nmの光を入射させたときに、入射角度10°と60°における光源ピーク波長の反射率の差が5%以上である、請求項13または14に記載の反射フィルム。
【請求項20】
異なる複数の熱可塑性樹脂が交互に11層以上積層されてなる、請求項13または14に記載の反射フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶ディスプレイ等に好適に用いられる光源ユニット、及び反射フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明などへの応用することが盛んに検討されている。色変換とは、発光体からの光をより長波長な光へと変換することであり、例えば、青色光を緑色光や赤色光へと変換することを表す。
【0003】
この色変換機能を有する組成物をシート化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。このような青色光源と色変換機能を有するシートを組み合わせた白色光源ユニットをバックライトユニットとし、液晶駆動部分とカラーフィルターとを組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また液晶駆動部分が無ければ、当該光源ユニットをそのまま白色光源として用いることができ、例えばLED照明などの白色光源としても応用できる。
【0004】
色変換方式を利用する液晶ディスプレイの課題として、色再現性の向上が挙げられる。色再現性の向上には、バックライトユニットの青、緑、赤の各発光スペクトルの半値幅を狭くし、青、緑、赤各色の色純度を高めることが有効である。上記課題を解決する手段として無機半導体微粒子である量子ドットを色変換部材の成分として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。量子ドットを用いる技術は、確かに緑色や赤色の発光スペクトルの半値幅が狭いため色再現性が向上するものの、熱、空気中の水分や酸素に弱く耐久性が十分でなかった。
【0005】
また、量子ドットの代わりに有機・無機物の発光材料を色変換部材の成分として用いる技術も提案されている。有機発光材料を色変換部材の成分として用いる技術の例としては、ピロメテン誘導体を用いたものが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-87975号公報
【特許文献2】国際公開2018-083953号公報
【特許文献3】国際公開2019-065188号公報
【特許文献4】国際公開2017-164155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~4に開示される色変換方式を利用する液晶ディスプレイにおいては、コントラスト向上などの狙いから、光源を複数個のLED素子から成るものとすることが多い。このとき、LED素子間での光の明暗差からLED素子の影が視認される輝度ムラの課題が生じる。また、輝度ムラと輝度は、輝度ムラ抑制効果が高いと輝度が低下するトレードオフの関係にあり、その両立が課題であった。そこで本発明は、上記の課題を解決し、ディスプレイに実装した際に、輝度を担保しつつ輝度ムラを抑制する光源ユニットおよび反射フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光源ユニットは、上記の課題を解決するために以下の構成よりなる。すなわち、光源、色変換部材、及び第1の反射フィルムを含み、前記第1の反射フィルムが、前記光源から出光された光を30%以上110%以下反射し、色変換部材から出光した光を50%以上100%以下透過し、かつ光学機能層を有することを特徴とする、光源ユニットである。
【0009】
本発明の反射フィルムは、上記の課題を解決するために以下の構成よりなる。すなわち、フィルム面と垂直に入射させた波長440~460nmの光の平均透過率が30%以下であり、フィルム面と垂直に波長500~700nmの光を入射させたときに透過率が連続して50%となる帯域幅60nm以上の透過帯域を有す、反射フィルムである。
【0010】
本発明の光源ユニットおよび反射フィルムは、以下の態様とすることもできる。また、本発明の光源ユニットは以下の通りディスプレイに搭載することもできる。
(1) 光源、色変換部材、及び第1の反射フィルムを含み、前記第1の反射フィルムが、前記光源から出光された光を30%以上110%以下反射し、色変換部材から出光した光を50%以上100%以下透過し、かつ光学機能層を有する、光源ユニット。
(2) 前記光源、前記色変換部材、前記第1の反射フィルムがこの順に配置されてなる、(1)に記載の光源ユニット。
(3) 前記光学機能層が表面に凹凸形状を有する、(1)または(2)に記載の光源ユニット。
(4) 前記光学機能層が、前記第1の反射フィルムの一方の面に入射された光を変角させて出射させる集光機能を備える、(1)~(3)のいずれかに記載の光源ユニット。
(5) 前記光学機能層が光拡散微粒子を含む、(1)~(4)のいずれかに記載の光源ユニット。
(6) 前記光拡散微粒子が多孔質あるいは中空の微粒子である、(5)に記載の光源ユニット。
(7) 前記光拡散微粒子の平均粒径が1μm以上10μm以下である、(5)に記載の光源ユニット。
(8) 前記光源から前記第1の反射フィルムに入射角度0°および60°で光を入射させたとき、入射角度0°と60°における光源ピーク波長の反射率の差が5%以上である、(1)~(7)のいずれかに記載の光源ユニット。
(9) 光源と前記色変換部材との間に第2の反射フィルムを含み、前記第2の反射フィルムが前記色変換部材から出光された光を30%以上反射し、かつ光源から出光された光を80%以上透過する、(1)~(8)のいずれかに記載の光源ユニット。
(10) 前記反射フィルム1が、異なる複数の熱可塑性樹脂が交互に11層以上積層されてなる積層フィルムである、(1)~(9)のいずれかに記載の光源ユニット。
(11) 前記光源と前記色変換部材との距離が3mm以下である、(1)~(10)のいずれかに記載の光源ユニット。
(12) (1)~(11)のいずれかに記載の光源ユニットを備える、ディスプレイ。
(13) フィルム面と垂直に入射させた波長440~460nmの光の平均透過率が30%以下であり、フィルム面と垂直に波長500~700nmの光を入射させたときに透過率が連続して50%以上となる帯域幅60nm以上の透過帯域を有し、かつ光学機能層を有する、反射フィルム。
(14) 前記光学機能層が凹凸形状を有する、(13)に記載の反射フィルム。
(15) 前記光学機能層が、一方の面に入射された光を変角させて出射させる集光機能を備える、(13)または(14)に記載の反射フィルム。
(16) 前記光学機能層が光拡散微粒子を含む、(13)~(15)のいずれかに記載の反射フィルム。
(17) 前記光拡散微粒子が多孔質あるいは中空の粒子である、(16)に記載の反射フィルム。
(18) 前記光拡散微粒子の平均粒径が1μm以上10μm以下である、(16)または(17)に記載の反射フィルム。
(19) 入射角度10°および60°で波長440~460nmの光を入射させたときに、入射角度10°と60°における光源ピーク波長の反射率の差が5%以上である、(13)~(18)のいずれかに記載の反射フィルム。
(20) 異なる複数の熱可塑性樹脂が交互に11層以上積層されてなる、(13)~(19)のいずれかに記載の反射フィルム。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、輝度が高くかつ輝度ムラの少ない光源ユニット、及び反射フィルムを得ることができる。本発明の光源ユニット及び反射フィルムをディスプレイに用いれば、輝度ムラの少ない表示性能に優れたディスプレイを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】1枚の反射フィルムを備える本発明の光源ユニットの一例を示す模式断面図
図2】1枚の反射フィルムを備える本発明の光源ユニットの一例を示す模式断面図
図3】2枚の反射フィルムを備える本発明の光源ユニットの一例を示す模式断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の光源ユニットは、光源、色変換部材、及び第1の反射フィルムを含み、前記第1の反射フィルムが、前記光源から出光された光を30%以上110%以下反射し、色変換部材から出光した光を50%以上100%以下透過し、かつ光学機能層を有する。
【0014】
本発明の反射フィルムは、フィルム面と垂直に入射させた波長440~460nmの光の平均透過率が30%以下であり、フィルム面と垂直に波長500~700nmの光を入射させたときに透過率が連続して50%以上となる帯域幅60nm以上の透過帯域を有し、かつ光学機能層を有する。
【0015】
以下に本発明の光源ユニット及び反射フィルムについて詳細に述べるが、本発明の光源ユニットや反射フィルムは以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。また、以下本発明の光源ユニットを説明するにあたり、その構成部材として反射フィルムの説明をするが、これらの説明は特に断りがない限り本発明の反射フィルムにも共通するものとする。
【0016】
<光源ユニットの構成>
本発明の光源ユニットは、光源、色変換部材、及び第1の反射フィルムを含む。ここで、「光源、色変換部材、及び第1の反射フィルムを含む」とは、これらの部材をすべて含むことを意味し、このとき他の部材があるか否かは問わないものとする。図1に本発明の一実施態様に係る光源ユニットの模式断面図を示す。図1の態様の光源ユニット1においては、光源2、反射フィルム3、及び色変換部材4が、間に他の部材を有することなく配置されている。以下、これらの構成について説明する。
【0017】
本発明の光源ユニットは、光源、色変換部材、第1の反射フィルムがこの順に配置されてなることが好ましい。ここでいう「光源、色変換部材、第1の反射フィルムがこの順に配置されてなる」とは、光源、色変換部材、第1の反射フィルムがこの順序で存在する態様全般を指し、光源と色変換部材の間、色変換部材と第1の反射フィルムの間、あるいは第1の反射フィルム上に他の部材を含むか否かは問わない。光源、色変換部材、第1の反射フィルムがこの順で配置されてなることで、光源から出光された光が色変換部材を透過して第1の反射フィルムに達した後、光源側に光が反射され再度色変換部材を透過する。これにより、視認性を高めるために必要な長波長光の光量が増えるので、より輝度の高い光源ユニットを得ることができる。また、光源ユニットが複数の光源を有する場合、これらの光源と第1の反射フィルム間距離が広がることで、各光源が発する青色光が拡充して光源間の明暗差を抑制可能なため、輝度ムラが解消される。
【0018】
<光源>
本発明の光源ユニットを構成する光源の種類は、後述の色変換部材に含まれる発光物質が吸収可能な波長領域に発光を示すもの、言い換えれば青色光を発光するものであればいずれの光源でも用いることができる。
【0019】
本発明の光源ユニットに使用できる光源としては、例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機ELなどの蛍光性光源、有機エレクトロルミネッセンス素子光源、LED、白熱光源、あるいは太陽光などが挙げられる。前述のいずれの光源でも原理的には利用可能であるが、価格や他部材の耐久性の観点から、特にはLEDが好適な光源である。例えば、ディスプレイや照明用途では、青色光を受けて緑色を発光させたり、紫外光をうけて青色光を発光させたりするが、LEDの場合は青色光の色純度を高められる点で、400~500nmの範囲の発光波長帯域を持つ青色LEDがより好適である。青色LEDは安価且つその他光学部材の耐久性に優れるため、本発明における光源は青色LEDであることが好ましい。
【0020】
本発明の光源ユニットにおける光源は1種類の発光ピークを持つものでもよく、2種類以上の発光ピークを持つものでもよいが、色純度を高めるためには1種類の発光ピークを持つものが好ましい。また、発光ピークの種類の異なる複数の光源を任意に組み合わせて使用することも可能である。
【0021】
<色変換部材>
本発明の光源ユニットにおいて色変換部材とは、光源からの光をより長波長の光に変換する部材をいう。ここで部材が光源からの光をより長波長の光に変換するものに該当するか否かは、以下の手順で評価することができる。まず、光源の発光スペクトルを計測し、光源の発光ピーク波長と発光帯域を特定する(光源の発光ピーク波長とは、発光スペクトルにおいて最大強度を示す波長であり、光源の発光帯域とは、発光スペクトルにおいて発光強度が光源の発光ピーク波長の発光強度の50%以上である波長帯域である。)。続いて、対象部材を通して光源からの光を受光した際の発光スペクトルを計測し、対象部材の出光ピーク波長と出光帯域を特定する(対象部材の出光ピーク波長とは、対象部材を通して光源からの光を受光した際の発光スペクトルにおいて、光源の発光帯域以外の領域で最大強度を示す波長をいう。対象部材の出光帯域とは、対象部材を通して光源からの光を受光した際の発光スペクトルにおいて、色変換部材の出光ピーク波長の50%以上の出光強度を示す波長帯域をいう。)。その後、対象部材の出光帯域と光源の発光帯域を比較し、前者が後者よりも長波長にある場合、より具体的には対象部材の出光帯域の長波長端が光源の発光帯域の長波長端よりも長波長側にある場合に、対象部材が「光源からの光をより長波長の光に変換する」、すなわち、色変換部材であるものとみなす。なお、対象部材の出光ピーク波長や出光帯域が複数存在する場合は、最も長波長側の出光帯域で上記要件を満たす場合に色変換部材であるものとみなす。
【0022】
このような色変換部材を用いることで、光源ユニットの色再現性を高めることができ、これを液晶ディスプレイに用いることで色再現性の高い液晶ディスプレイを得られる。また、本発明の光源ユニットで用いる光源と色変換部材の組合せとしては、光源の発光波長の長波長端よりも色変換部材の出光帯域の低波長端(波長基準でみた帯域において最も小さい波長をいう。また、同帯域において最も大きい波長を長波長端という。)が長波長側にあることがより好ましい。この場合、色変換部材が、光源とは異なる色の光を発光するため、より色再現性に優れたディスプレイが得られるようになる。
【0023】
本発明の光源ユニットを構成する色変換部材は、前述のとおり特定の波長の光を他の波長の光に変換する部材である。その一例として光波長を変換する機能を有する量子ドットや蛍光体などの色変換材料を含有したフィルムまたはシート体が例示される。具体例としては、色変換材料を樹脂フィルムに含有したものや、図1に示す光源ユニット1のように、色変換材料を含有する膜(色変換部材)4の下側に基材となる第1の反射フィルム3を積層したもの、図2に示す光源ユニット1のように、色変換材料を含有する膜(色変換部材)4の上側に基材となる第1の反射フィルム3を積層したもの、図3に示す光源ユニット1のように色変換部材4の両側に第1の反射フィルム3および第2の反射フィルム5を積層したもの等が挙げられる。なお、各図における符号2は光源を表す。なお、後述する第1の反射フィルムを満たす反射フィルムが光源ユニット中に1枚存在する場合、当該反射フィルムはその位置を問わず第1の反射フィルムとして扱うものとする。
【0024】
また、別の例として、通常の赤・緑・青色の3色からなるカラーフィルターの代替として、色変換部材を用いることが例示される。青色光源を用いる場合には、赤・緑・青のそれぞれのカラーフィルターの代替として、赤色への色変換部材、緑色への色変換部材、青色を透過する透明部材を組み合わせて用いることができる。なお、色変換部材における量子ドットや蛍光体などの色変換材料は、1種類であっても、2種類以上であってもよい。
【0025】
量子ドットとしては、ZnSシェルを有するCdSeが例として挙げられる。また、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、又はCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶を用いてもよい。
【0026】
無機蛍光体は、最終的に所定の色を再現できるものであれば特に限定はなく、公知のものを用いることができる。例としては、YAG蛍光体、TAG蛍光体、シリケート蛍光体、ナイトライド蛍光体、オキシナイトライド蛍光体、窒化物、酸窒化物蛍光体、β型サイアロン蛍光体等が挙げられる。中でも、YAG蛍光体およびβ型サイアロン蛍光体がそれぞれ好ましく用いられる。
【0027】
YAG蛍光体は、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦括されたイットリウム・ガドリニウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット酸化物蛍光体、及び、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・ガリウム・アルミニウム酸化物蛍光体などがあり、具体的には、Ln12:R(Lnは、Y、Gd、Laから選ばれる少なくとも1以上である。Mは、Al、Caの少なくともいずれか一方を含む。Rは、ランタノイド系である。)、(Y1-xGa(Al1-yGa12:R(Rは、Ce、Tb、Pr、Sm、Eu、Dy、Hoから選ばれる少なくとも1以上である。0<x<0.5、0<y<0.5である。)などがあげられる。
【0028】
β型サイアロンは、β型窒化ケイ素の固溶体であり、β型窒化ケイ素結晶のSi位置にAlが、N位置にOが置換固溶したものである。単位胞(単位格子)に2式量の原子があるので、一般式として、Si6-zAl8-zが用いられる。ここで、組成zは、0~4.2であり、固溶範囲は非常に広く、また(Si、Al)/(N、O)のモル比は、3/4を維持する必要がある。β型サイアロンの一般的な製法は、窒化ケイ素の他に、酸化ケイ素と窒化アルミニウムとを、あるいは酸化アルミニウムと窒化アルミニウムとを加えて加熱する方法である。
【0029】
β型サイアロンは、結晶構造内に希土類などの発光元素(Eu、Sr、Mn、Ceなど)を取り込むことで、紫外から青色の光で励起して520~550nmの緑色発光を示すβ型サイアロン蛍光体となる。これは白色LED等の発光装置の緑色発光成分として好ましく用いられる。特にユーロピウム(Eu2+)を含有させたEu2+付活β型サイアロン蛍光体は、発光スペクトルが非常にシャープであるため、青、緑、赤の狭帯域発光が要求される画像処理表示装置又は液晶ディスプレイパネルのバックライト光源に適した素材である。
【0030】
有機蛍光体としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体;フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9-シラフルオレン、9,9’-スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン等のヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体;ボラン誘導体;1,4-ジスチリルベンゼン、4,4’-ビス(2-(4-ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’-ビス(N-(スチルベン-4-イル)-N-フェニルアミノ)スチルベン等のスチルベン誘導体;芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4-c]ピロール誘導体;クマリン6、クマリン7、クマリン153などのクマリン誘導体;イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体;インドシアニングリーン等のシアニン系化合物;フルオレセイン・エオシン・ローダミン等のキサンテン系化合物やチオキサンテン系化合物;ポリフェニレン系化合物、ナフタルイミド誘導体、フタロシアニン誘導体およびその金属錯体、ポルフィリン誘導体およびその金属錯体;ナイルレッドやナイルブルー等のオキサジン系化合物;ヘリセン系化合物;N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミン等の芳香族アミン誘導体;およびイリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)等の有機金属錯体化合物などがある。
【0031】
なお色変換部材は、単独で用いてもよいが、他の材料との積層体とすることもできる。このような積層体の例としては、例えば、他の材料に積層してフィルム形状としたものや、ガラス等の硬質部材上に印刷・塗布により固定化したものが挙げられる。なお、フィルムは二次元上の拡がりを有するが、その拡がりの大きさはフィルムの意味を左右しない。例えば、厚み(z軸方向)が10nmでxy面の面積が1μmであってもフィルム形状ということができる。
【0032】
<第1の反射フィルム、反射フィルム>
本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムは、光源から出光された光を30%以上110%以下反射し、色変換部材から出光した光を50%以上100%以下透過し、かつ光学機能層を有する。また、本発明の反射フィルムは、フィルム面と垂直に入射させた波長440~460nmの光の平均透過率が30%以下であり、フィルム面と垂直に波長500~700nmの光を入射させたときに透過率が連続して50%以上となる帯域幅60nm以上の透過帯域を有し、かつ光学機能層を有する。
【0033】
なお、本発明の反射フィルムは、本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムとして好適に用いることができる。また、以下特に断りのない限り、本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムについて説明する箇所のうち、光源ユニットにおける位置関係等光源ユニットの構成が関係する部分を除き、本発明の反射フィルムにも共通するものとする。
【0034】
本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムは、前記光源から出光された光を30%以上110%以下反射することが必要である。ここで「光源から出光された光を30%以上110%以下反射する」とは、反射フィルムの入射角度10°での反射スペクトルにおいて上述の光源の発光帯域での平均反射率が30%以上110%以下であることとする(平均反射率の詳細な測定方法は後述する。)。上述の光源の発光帯域での平均反射率は、後述の偏光フィルターを用いて測定され、反射軸方向と反射軸に直交する方向で計測した反射率の平均値により求められる。
【0035】
光源ユニットの構成が光源と色変換部材からなる従来の構成の場合、光源からの光は一部が色変換部材でより長波長の光に変換されるものの、多くは変換されることなく色変換部材を透過し、光源ユニットから出光される。このため、このような構成の光源ユニットにおいては、色変換部材から色変換されることなく出光された光量と、色変換部材で長波長側の光へと変換された光量のバランスをとり所望の色調の光を得るためには、色変換部材中に含有させる色変換材料の量を増や必要がある。
【0036】
一方、本発明の光源ユニットのように、光源から出光された光を30%以上反射する第1の反射フィルムを設けること、好ましくは光源、色変換部材、第1の反射フィルムの順番で第1の反射フィルムを設けることにより、色変換部材で色変換されずに透過してきた光を反射フィルムで色変換部材側へ反射することにより、色変換部材内での色変換を再度行うことができ、色変換部材で色変換された光の光量を増大させることが容易となる。その結果、色変換部材から色変換されることなく出光された光量と、色変換部材で長波長側の光へと変換された光量のバランスをとるために必要となる色変換材料の含有量を減らすことが可能である。
【0037】
また、本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムが光源から入射された光を反射することで、光源の明暗差を緩和して輝度ムラを抑制することも可能となる。本発明の光源ユニットにおける光源は安価且つその他光学部材の耐久性に優れるため、青色LEDであることが好適である。光源が青色LEDである場合、第1の反射フィルムは、フィルム面に波長440~460nmの光を入射させたときの平均反射率が30%以上110%以下であることが好ましい。上記観点から、当該平均反射率が60%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは90%以上である。当該平均反射率を高くすることで、より明暗差が緩和されて輝度ムラを抑制することが容易となる。
【0038】
フィルム面と垂直に波長440~460nmの光を入射させたときの平均反射率を30%以上とする方法としては、例えば、フィルムの反射帯域の長波長端を制御する方法が挙げられ、より具体的にはフィルムの反射帯域の長波長端を480nm以上とすることである。また、好ましくはフィルムの反射帯域の長波長端を500nm以上とすること、より好ましくは525nm以上、さらに好ましくは530nm以上とすることである。当該特性は、後述の積層する熱可塑性樹脂A、熱可塑性樹脂Bの面内の屈折率を制御することで達成できる。
【0039】
本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムは、色変換部材から出光した光を50%以上100%以下透過する必要がある。「色変換部材から出光した光を50%以上100%以下透過する」とは、より具体的には、500~700nmの光の中で連続して60nm以上の帯域幅における、光の平均透過率が50%以上100%以下であることを表す。通常、光源から出射されてフィルムを透過した光は、色変換部材で長波長の光に変換されるため、光源の光より長波長側の波長帯域である500~700nmの帯域の光の平均透過率により、色変換部材から出光した光を透過するか否かを判断することができる。
【0040】
色変換部材を用いた光源ユニットにおいて輝度が低下する原因の一つは、色変換部材からの光が等方的に発光することによって発生する迷光による光量のロスである。特に、色変換部材から光源側に出光された光が光源ユニット内で迷光することが光量のロスの主因となる。本発明のように光源及び色変換部材と、光源から色変換部材に入射されて長波長の光に変換された光を透過する第1の反射フィルムを含む構成とすることで、色変換部材からの光を反射フィルムで透過することができ、輝度低下の抑止ができる。言い換えれば、500~700nmにおける平均透過率が大きくなるに従い、色変換部材より出光された光を視認側へと変換する効果が高くなり、より輝度の高い光源ユニットを得られる。
【0041】
本発明の反射フィルムは、色変換部材からの光を透過するために、フィルム面と垂直に波長500~700nmの光を入射させたときに透過率が連続して50%以上となる帯域幅60nm以上の透過帯域を有する。透過帯域を60nm以上とすることで、色変換部材の出光帯域を少なくとも一部含むこととなり、色変換部材から反射フィルム側へ出光された光をより多く視認側へ透過することができるようになるため、ディスプレイに搭載したときに輝度を高めることが容易となる。500~700nmの中で帯域幅が60nm以上である透過帯域をもたせる方法としては、反射フィルムの長波長端を制御し620nm以下とすることである。また、当該長波長端は好ましくは590nm以下、より好ましくは540nm以下であり、さらに好ましくは530nm以下である。当該長波長端の調整は、例えば、後述の積層する熱可塑性樹脂A、熱可塑性樹脂Bの面内の屈折率を制御することや、層厚み等を調整すること等により、干渉反射を制御することにより行うことができる。
【0042】
本発明の反射フィルムは、フィルム面と垂直に入射させた波長440~460nmの光の平均透過率が30%以下である。当該平均透過率が低いことは実質当該大気における平均反射率が高いことと同義であり、当該平均透過率を低くすることで、反射フィルムをディスプレイに搭載したときに、より明暗差が緩和されて輝度ムラを抑制することが容易となる。フィルム面と垂直に入射させた波長440~460nmの光の平均透過率を30%以下とする方法としては、例えばフィルム面と垂直に波長440~460nmの光を入射させたときの平均反射率を30%以上とする方法と同様の方法を用いることができる。
【0043】
本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムは、光源として青色LEDを用いる場合、輝度向上と輝度ムラ軽減を両立する観点から、フィルム面と垂直に入射させた波長440~460nmの光の平均透過率が30%以下であることが好ましく、また、フィルム面と垂直に波長500~700nmの光を入射させたときに透過率が連続して50%以上となる帯域幅60nm以上の透過帯域を有することも好ましい。すなわち、本発明の反射フィルムは、本発明の光源ユニットであって、光源が青色LEDである場合に光源ユニットを構成する第1の反射フィルムとして好適に用いることができる。
【0044】
本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムは、光学機能層を有する。ここでいう光学機能層とは、光の反射、拡散、散乱、変角などの指向性の少なくとも一つを制御する機能層をいう。本発明者らは、色変換材料を含む色変換部材においては、光が色変換部材内にて反射することで光ファイバーのごとくシート内に閉じ込められる現象が発生し、結果として色変換材料そのものの発光効率は高いものの輝度が低下するという現象を見出した。その対策として、第1の反射フィルムまたは色変換部材の表面に凹凸形状を形成することで、その凹凸界面から光が取り出されることとなるため、色変換部材内に取り込まれる光を減少させ、輝度向上の効果を得られる。なお、本発明の光源ユニットにおいて第1の反射フィルムと色変換部材が直接積層された積層体を形成している場合は、色変換部材側に光学機能層が形成されている場合であっても、「第1の反射フィルムが光学機能層を有する」ものと解する。また、光学機能層は必ずしも第1の反射フィルムの表面に位置しなくてもよい。このような態様の例としては、反射フィルムの内層に光拡散粒子を含める態様が挙げられる。
【0045】
本発明の光源ユニットにおいて、この効果をより効率的に得るためには、第1の反射フィルム上に色変換材料からなる層を直接設けることで第1の反射フィルムと色変換部材の積層体とし、かつ色変換材料からなる層側の表面に凹凸形状を有する光学機能層を形成することが好ましい。この場合、効率的に光を取り出すことができることに加えて、効率的に表示側へ光を反射できるため輝度向上の効果が顕著となる。また、光源(特にLED)から発せられる光は表示側へと比較的高い指向性を持って進むのに対して、色変換部材からの光は等方的に進むため、光源正面での輝度が低下する。そのため、第1の反射フィルムまたは色変換部材の表面に凹凸形状を有する光学機能層を設けることで、凹凸界面にて光の方向を調整し、特に正面方向に集光することで輝度向上を達成することが容易になる。さらに、このような態様とした場合、光源ユニットやディスプレイを形成する際に他の光学部材を省くことも可能となるため、低コスト化にも寄与する。
【0046】
上記効果をさらに高めるために、光学機能層の凹凸形状がレンズ形状、プリズム形状または略半円形状であることが好ましい。マイクロレンズ形状とは略半球状の凹凸を、プリズム形状とは略三角形状の凹凸を指す。光学機能層がこのような形状を備える場合、光は表示側へ光路を集光されるため、光源ユニットならびにディスプレイとした場合の正面輝度がより顕著に向上するようになる。ここでいう凹凸形状とは、例えば、プリズム、マイクロレンズ、光拡散粒子練り込み、光拡散粒子コーティング、蒸着、スパッタ処理、アンチグレア加工、アンチリフレクション加工、ローリフレクション加工、モスアイ加工、コロナ処理、ブラスト処理、エンボス加工、などが挙げられる。中でも拡散性能や、コスト、量産性の観点から、光拡散粒子(光拡散微粒子)を用いることが好ましい。
【0047】
本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムにおいては、光学機能層が表面に凹凸形状を有することが好ましい。ここでいう凹凸形状とはフィルム表面または界面の形状を測定した際の最大高さが1μm以上となるものを指す。これにより、易滑性が発現するため、反射フィルムならびに色変換部材を光源ユニットに組み込む際の傷の発生を抑制することが可能となる。 本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムにおいては、光学機能層が、第1の反射フィルムの一方の面に入射された光を変角させて出射させる集光機能を備えることが好ましい。ここでいう「第1の反射フィルムの一方の面に入射された光を変角させて出射させる集光機能」とは、第1の反射フィルムの一方の面に入射させた光を他方の面からフィルム面に対して垂直となる方向へ変角させて出射させることができる機能のことを指す。第1の反射フィルムの一方の面に入射された光を変角させて出射させる集光機能を備える層を含むことにより、色変換部材にて拡散された光源の光を再度正面方向に集光することができ、より輝度の高い光源ユニットとなる。例えば、このような集光機能を実現する形状としては、マイクロレンズ形状やプリズム形状が好ましい。光学機能層がこのような形状を備える場合、光は表示側へ光路を集光されるため光源ユニットやディスプレイとした場合の正面輝度がより顕著に向上する。
【0048】
本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムにおいては、光学機能層が、光拡散微粒子を含むことが好ましい。ここでいう光拡散微粒子とは、一般的な反射フィルムを構成する樹脂の融点以上の温度でも固体を維持した無機粒子や有機粒子の他に、反射フィルムを構成する各層の主成分である樹脂とは異なる樹脂が分散された状態のものも含む。ここで主成分とは、層全体を100質量%としたときに、50質量%を超えて100質量%以下含まれるっ成分をいい、以下、主成分については同様の解釈が可能である。また、形状としては凝集粒子、真球状粒子、数珠状粒子、コンペイトウ状粒子、鱗片状粒子などの粒子を用いることができ、特に凝集粒子の場合、分散径はその凝集径にて判断されるものである。
【0049】
また、その材質に関しては、無機系粒子であれば、例えば、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、塩化バリウム、水酸化バリウム、酸化バリウム、アルミナ、セリナイト、酸化珪素(シリカ)、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、珪酸アルミニウム、マイカ、パールマイカ、ろう石クレー、焼成クレー、ベントナイト、タルク、カオリン、その他の複合酸化物等を用いることができる。一方、有機系粒子としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂など特に制限されないが、粒子が含有される層を構成する樹脂(熱可塑性樹脂A若しくは熱可塑性樹脂B)がポリエステルの場合、架橋ポリエチレン樹脂、架橋または無架橋のポリスチレン樹脂、架橋ないし無架橋アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂等の樹脂、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、フマール酸アミドなどの各種アミド化合物でできた粒子やアクリルビーズ等を挙げることができる。特に、ポリスチレン樹脂系共重合体では、スチレン-エチレンブチレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、メタクリル酸-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)などを好ましく挙げることができる。なお、これらの粒子は、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いても複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、架橋粒子と、その同成分の無架橋の共重合体を併用することが好ましい。例えば、本発明の有機系粒子が、MBS共重合体マトリックス中に存在する架橋MBS粒子の凝集体である場合、製膜工程の延伸挙動に対応して粒子形状が変形するため、空隙が形成され難く、光散乱因子を抑制できる。
【0050】
本発明における光学機能層においては、光拡散微粒子が多孔質あるいは中空の微粒子であることが好ましい。ここでいう多孔質とは粒子の表面に多くの細かい穴が空いていることを指し、中空とは粒子内部に空隙を有することをいう。なお、その穴や空隙はガスを含んでいてもよく、また「多孔質あるいは中空」には「多孔質かつ中空」である態様も含まれる。光拡散微粒子は、ビーズ、シェル(shell)、球体、又はクラスターのいずれの形状であってもよいが、光をより広域に拡散するためには球状であることが好ましい。また、光拡散微粒子は透明であってもよい。
【0051】
多孔質あるいは中空の微粒子としては、例えば、ポリスチレンビーズ、ポリメチルメタクリレートビーズ、ポリシロキサンビーズ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。その他の例としては、二酸化チタン(TiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、バリウムスルフェート(BaSO)、マグネシウムスルフェート(MgSO)、ガラスビーズ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。粒子が多孔質あるいは中空であることにより、光拡散性能がより優れるため、高輝度かつ輝度ムラ抑制効果に優れた光源ユニットとなる。
【0052】
本発明においては、光拡散微粒子の数平均粒子径が1μm以上10μm以下であることが好ましい。数平均粒子径の測定方法の詳細は後述する。光拡散微粒子の数平均粒子径を1μm~10μmとすることで、粒子がバインダーに埋もれることなく、拡散性能を発揮することができる。また、粒子径が小さいほど溶液中の分散性能に優れることから、好ましくは1μm以上5μm以下、より好ましくは1μm以上3μm以下である。また、粒径が10μm以下であることにより、粒径が大きいことによる白濁、透明性や平面性の悪化も軽減できる他、粒子の分散性の低下に伴う輝度ムラの悪化や、コーティングした際の粒子の脱離も軽減できる。
【0053】
本発明の光源ユニットは、光源から第1の反射フィルムに入射角度10°および60°で光を入射させたとき、入射角度10°と60°における光源ピーク波長の反射率の差が5%以上であることが好ましい。ここでいう入射角度10°とは、測定装置の設計上入射角度0°での反射率測定が不可能なことから、光源から出光した光をフィルム面に垂直入射させたことを意味する(言い換えれば、測定装置の仕様上、第1の反射フィルムに光を入射させて反射率を測定する際に、採用できる最も小さな入射角度が10°ということである。)。ここでいう光源ピーク波長とは、光源から発光スペクトルを取得した際に最も強度が高くなる波長を指す。光源ピーク波長は、浜松フォトニクス製ミニ分光光度器(C10083MMD)にNA0.22の光ファイバーを取り付けて光源の光を計測し、得られた発光スペクトルより最大強度を示す波長を特定することにより定めることができる。なお、測定装置は同様の測定が可能であれば、他の装置を使用してもよい。
【0054】
入射角度10°と60°における光源ピーク波長の反射率の差が5%以上であることにより、60°で入射した際の光源ピーク波長の光の透過率が高くなる、すなわち、光源から反射フィルムに斜め60°の角度で入射する光量が増大する。そのため、視認側へ達する光量が増大し、例えば光源のピーク波長が青色光の領域(例えば、波長440~460nmの領域)にあれば、より高輝度な光源ユニットが得られる。すなわち、本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムは、入射角度10°および60°で波長440~460nmの光を入射させたときに、入射角度10°と60°における光源ピーク波長の反射率の差が5%以上であることが好ましい。また、上記観点より、入射角度10°と60°における光源ピーク波長の反射率の差は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。なお、入射角度10°と60°における光源ピーク波長の反射率の差は大きいほど好ましいため上限は特に規定されないが、実現可能性の観点から70%となる。
【0055】
本発明の光源ユニットにおいては、第1の反射フィルムが、異なる複数の熱可塑性樹脂からなる層が交互に11層以上積層されてなる積層フィルムであることが好ましい。ここでいう熱可塑性樹脂が異なるとは、フィルムの面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向のいずれかにおいて各層の屈折率が0.01以上異なること、またはDSC測定において測定される各層の融点やガラス転移温度の差の少なくとも一方が5℃以上であることを指す。また、ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる熱可塑性樹脂からなる層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、各層が熱可塑性樹脂A、Bからなる場合、各々の層をA層、B層と表現すれば、A(BA)n(nはBAの繰り返し単位を表す自然数)のように積層されたものである。このように光学的性質の異なる熱可塑性樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係より設計した波長の光を反射させることが出来る干渉反射を発現させることが可能となる。
【0056】
積層する層数が11層以上であることにより、所望する帯域において高い反射率を得られる。また、前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになる。上記観点から、層数は好ましくは51層以上、より好ましくは201層以上、さらに好ましくは401層以上である。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることによるハンドリング性の悪化が生じるために、現実的には10001層程度が実用範囲となる。このような積層フィルムを得るには、例えば特開2007-307893号公報の〔0053〕~〔0063〕段に記載の内容と同様の方法を用いることができ、詳細は後述する。
【0057】
本発明の光源ユニットにおいては、光源と色変換部材との距離が3mm以下であることが好ましい。ここでいう光源と色変換部材との距離とは、光源と色変換部材の最短距離を指す。ここの距離が短いことで、ディスプレイ全体の薄型化に貢献できる。上記観点から好ましくは1mm以下であり、光源と色変換部材の距離が無く接地するような態様(すなわち、当該距離が0mmである態様)が限界となる。
【0058】
一方で、光源と色変換部材との距離が短くなると、光源の光が十分に広がることが出来ず輝度ロスや、LED素子の明暗の差が目立つことでの輝度ムラ悪化という課題があるため、この点からは光源と色変換部材との距離は1mmより大きく3mm以下が好ましい。但し、当該課題については、本発明の光源ユニットのように第1の反射フィルムを備えることで、従来技術よりも輝度ムラの悪化を軽減しながら光源と色変換部材との距離を狭められる。
【0059】
本発明の光源ユニットを構成する反射フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチルペンテン-1)、ポリアセタールなどの鎖状ポリオレフィン、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性および汎用性の観点から、特にポリエステルを用いることがより好ましい。これらは、共重合体であっても、2種以上の樹脂の混合物であってもよい。
【0060】
このポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、「ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする」とは、ジカルボン酸とジオールが全成分の50モル%を超えて100質量%以下含まれ、かつジカルボン酸とジオールのモル比が40:60~60:40であることを意味する。
【0061】
芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い屈折率を発現するテレフタル酸と2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
【0062】
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0063】
本発明の光源ユニットを構成する反射フィルムにおいては、熱可塑性樹脂が、例えば、上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることが好ましい。
【0064】
本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムにおいて、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂の溶解パラメータ(SP値)の差の絶対値が、1.0以下であることが第一に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなる。より好ましくは、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bが同一の基本骨格を供えた組み合わせからなることが好ましい。ここでいう基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことであり、たとえば、熱可塑性樹脂Aとしてポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、熱可塑性樹脂Bは高精度な積層構造が実現しやすい観点から、ポリエチレンテレフタレートと同一の基本骨格であるエチレンテレフタレート骨格を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bが同一の基本骨格を含む樹脂であると、積層精度が高く、さらに積層界面での層間剥離が生じにくくなるものである。
【0065】
ここで、溶解パラメータ(SP値)は、一般的に用いられている、Poly.Eng.Sci.,vol.14,No.2,pp147-154(1974)などに記載のFedorsの推算法を用い、樹脂を構成するモノマーの種類と比率から算出される値である。複数種類の樹脂の混合物に関しても、同様の方法により算出できる。例えば、ポリメタクリル酸メチルのSP値は9.5(cal/cm0.5、ポリエチレンテレフタレート(PET)のSP値は10.7(cal/cm0.5、ビスフェノールA系エポキシ樹脂のSP値は10.9(cal/cm0.5と算出できる。
【0066】
本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムにおいては、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のガラス転移温度差が20℃以下である熱可塑性樹脂の組合せである。ガラス転移温度の差が20℃より大きい場合には反射フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、輝度や色目のムラとなったり、色変換部材と貼り合せる際に気泡やしわが生じたりする原因となる。また、熱可塑性樹脂Aが結晶性、熱可塑性樹脂Bが非晶性であり、熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度が熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度よりも低いこともまた好ましい。この場合、反射フィルムにおいて結晶性樹脂を配向・結晶化させるのに適当な延伸温度で延伸したときに、結晶性樹脂と比べて非晶性樹脂の配向を抑制することができ、容易に屈折率差を設けることが可能となる。
【0067】
なお、ここでいう結晶性樹脂とは、具体的には、JIS K7122(1999)に準じて示差走査熱量測定(以下、DSCと称することがある。)を行い、昇温速度20℃/分で樹脂を25℃から300℃の温度まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)し、その状態で5分間保持後、次いで25℃以下の温度となるように急冷し、再度25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる融解エンタルピー(ΔHm)が、15J/g以上である樹脂のことを指す。また、非晶性樹脂とは、上記と同じ条件で求められる融解エンタルピー(ΔHm)が、5J/g以下の樹脂のことを指す。
【0068】
上記の条件を満たすための熱可塑性樹脂の組合せの一例として、本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムにおいては、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、熱可塑性樹脂Bがスピログリコール由来のポリエステルを含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコール由来のポリエステルとは、スピログリコールをジオール成分として用いたポリエステルであって、他のエステル構造単位との共重合体、スピログリコールを単一のジオール成分として用いたポリエステル、またはそれらを他のポリエステル樹脂とブレンドし、好ましくスピログリコール残基がポリエステル樹脂中の全ジオール残基の半数以上を占めるポリエステルのことをいう。スピログリコール由来のポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、フィルム製膜時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、熱可塑性樹脂Bがスピログリコールとシクロヘキサンジカルボン酸とが用いられたポリエステルであることが好ましい。熱可塑性樹脂Bがスピログリコールとシクロヘキサンジカルボン酸とを用いて得たポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さく、接着性にも優れるため、製膜時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
【0069】
また、本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムにおいては、熱可塑性樹脂Aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、熱可塑性樹脂Bがシクロヘキサンジメタノール由来のポリエステルであることも好ましい。シクロヘキサンジメタノール由来のポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールをジオール成分として用いたポリエステルであって、他のエステル構造単位との共重合体、シクロヘキサンジメタノールを単一のジオール成分として用いたポリエステル、またはそれらを他のポリエステル樹脂とブレンドし、好ましくはシクロヘキサンジメタノール残基がポリエステル樹脂中の全ジオール残基の半数以上を占めるポリエステルのことをいう。
【0070】
シクロヘキサンジメタノール由来のポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になることがなりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である態様である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものである。
【0071】
<第2の反射フィルム>
本発明の光源ユニットは、光源と色変換部材との間に第2の反射フィルムを含み、第2の反射フィルムが色変換部材から出光された光を30%以上反射し、かつ光源から出光された光を80%以上透過することが好ましい。色変換材料を含む色変換部材を用いた光源ユニットにおいて輝度が低下する原因の一つは、色変換部材からの光が等方的に発光することによって発生する迷光による光量のロスである。特に、色変換部材から光源側に出光された光が光源ユニット内で迷光することが光量のロスの主因となるが、本発明の通り光源と色変換部材と間に、光源から色変換部材に入射されて長波長の光に変換された光を反射する構成をおくことで、色変換部材からの光を色変換部材直下にて反射することができ、光源側でのキャビティー内での迷光による輝度低下を抑制することが容易になる。上記観点より、当該平均反射率は好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。色変換部材の出光帯域における平均反射率が大きくなるに従い、色変換部材より光源側に出光された光を視認側へと変換する効果が高くなり、より輝度の高い光源ユニットを得られるものである。また、光源から出光された光を80%以上透過することで、視認側に達する光の光量が増大するため、高輝度な光源ユニットとなる。
【0072】
第2の反射フィルムとしては、第1の反射フィルム同様に異なる複数の熱可塑性樹脂からなる層が交互に11層以上積層されてなる積層フィルムであることが好ましい。なお、第2の反射フィルムの各種特性についても、第1の反射フィルムと同じように調整することができ、また、第1の反射フィルムと第2の反射フィルムは同じものであっても異なっていてもよい。なお、光源ユニットが反射フィルムを一つ備え、かつ当該反射フィルムが第1の反射フィルムと第2の反射フィルムの要件を共に満たす場合、当該反射フィルムは第1の反射フィルムであるとみなすものとする。
【0073】
<反射フィルムの製造方法>
次に、本発明の光源ユニットを構成する反射フィルム(第1、第2の反射フィルムのいずれとしても使用可能)の好ましい製造方法を熱可塑性樹脂A,Bからなる反射フィルムを例にとり以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるものではない。また、本発明に用いる反射フィルムの積層構造は、特開2007-307893号公報の〔0053〕~〔0063〕段に記載の内容と同様の方法により簡便に実現できるものである。
【0074】
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。また、反射フィルム中に紫外線吸収剤を含む場合には、あらかじめ熱可塑性樹脂中に紫外線吸収剤を混練したペレットを準備しても、熱可塑性樹脂と紫外線吸収剤とを押出機中にて混練してもよい。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましく、冷却体の温度は20℃以上50℃以下が好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させたりする方法も好ましい。
【0075】
また、A層とB層が交互に積層された態様とする場合、A層に用いられる熱可塑性樹脂Aとそれと異なる熱可塑性樹脂Bの複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、多層積層装置に送り込む。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、11個以上の微細スリットを有するフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。なお、積層数は微細スリットの数で調整することができる。
【0076】
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述と同様にキャスティングフィルムが得られる。このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸してもよいし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。ここで長手方向とはフィルムの走行方向をいい、幅方向とはフィルム面内で長手方向と直交する方向をいう。
【0077】
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸をいい、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行ってもよい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2~15倍が好ましく、反射フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2~7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては反射フィルムの主成分である樹脂のうち、ガラス転移温度が高い樹脂のガラス転移温度~ガラス転移温度+100℃が好ましい。
【0078】
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。特に、反射フィルムと色変換シートを含む積層部材を形成する際には、反射フィルムの最表層となる熱可塑性樹脂Aよりも低く、色変換部材の最表層となるフィルムの屈折率よりも高い屈折率となる樹脂をインラインコーティングすることが好ましい。
【0079】
続いて幅方向の延伸を行う。幅方向の延伸とは、一軸延伸されたフィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの幅方向両端部をクリップで把持しながら搬送して、対向するクリップの距離を広げることにより幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2~15倍が好ましく、反射フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2~7倍が特に好ましく用いられる。特に本発明における反射フィルムでは、横延伸倍率は4倍以上とすることが好ましく、横延伸倍率を高めることで反射帯域の均一性、平均反射率の均一性、相関係数を高めるのに有効である。また、延伸温度としては反射フィルムを構成する熱可塑性樹脂A樹脂のガラス転移温度~ガラス転移温度+120℃が好ましい。
【0080】
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で熱可塑性樹脂Aの延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、成形用フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
【0081】
次に、同時二軸延伸の場合について説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
【0082】
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6~50倍が好ましく、反射フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8~30倍が特に好ましく用いられる。特に同時二軸延伸の場合には、面内の配向差を抑制するために、長手方向と幅方向の延伸倍率を同一とするとともに、延伸速度もほぼ等しくなるようにすることが好ましい。また、延伸温度としては反射フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度~ガラス転移温度+120℃が好ましい。
【0083】
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上かつ熱可塑性樹脂Aの融点以下の温度で熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/または直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
【0084】
<光学機能層の作製法>
光学機能層は、例えば光拡散微粒子を含有する樹脂組成物を、前述の方法で得られた二軸延伸フィルムの表面に塗布する方法を用いることができる。光拡散微粒子を含有する樹脂組成物のフィルムへの塗布方法は、オフラインコート法であるのが特に好ましい。オフラインコート法とは、フィルム製造後の後加工の過程で塗布を行う方法である。製膜後の二軸延伸フィルムの片面、または両面に硬化性樹脂からなる層を形成するには、例えば、硬化性樹脂組成物と必要に応じて有機溶媒を含む塗液を二軸延伸フィルムの片面、または両面に塗布する手法を挙げることができる。また、塗布方法としては、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ダイコート法、リバースコート法、ナイフコート法、バーコート法など公知の塗布方法を適用することができる。
【0085】
二軸延伸フィルムへ硬化性樹脂からなる層を形成するための樹脂組成物が塗布された後、加熱によって溶媒を揮発させる。加熱方法は、加熱効率の点から熱風で行うのが好ましく、公知の熱風乾燥機、または、ロール搬送やフローティングなどの連続搬送が可能な熱風炉などを適用できる。ここでの乾燥温度は、120℃以下であることが好ましく、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
【0086】
また、場合によっては、加熱後に光硬化・電子硬化させることも可能である。光硬化性樹脂または電子硬化性樹脂を併用することで、より短時間で硬化性樹脂からなる層を固定することが可能となるため、生産性や膜の安定性などの性能が向上する。光硬化・電子硬化させる場合は、汎用性の点から電子線(EB線)または紫外線(UV線)が好ましい。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。中でも放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させることが好ましい。
【0087】
このようにして二軸延伸フィルムに光学機能層を形成することにより、本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムを得ることができる。
【0088】
<第1の反射フィルムと色変換部材の貼り合せ>
本発明の光源ユニットを構成する第1の反射フィルムと色変換部材を貼りあわせた積層部材においては、個別に作製した色変換部材と反射フィルムを、接着層を介して貼り合せることも好ましい。本発明の光源ユニットは、このほかにも、反射フィルム、導光板、拡散板、拡散フィルム、集光フィルム、偏光反射性フィルムなどの光学フィルムが挿入されてなることが好ましい。
【0089】
<光源ユニット>
本発明における光源ユニットは、光源および色変換部材の間に第1の反射フィルムを含む構成である。色純度を高める目的で、さらにカラーフィルターを含む構成を取ってもよい。本発明における光源ユニットは、ディスプレイ、照明、インテリア、標識、看板、などの用途に使用できるが、特にディスプレイや照明用途に特に好適に用いられる。
【実施例0090】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0091】
<光源の発光帯域>
浜松フォトニクス製ミニ分光光度器(C10083MMD)にNA0.22の光ファイバーを取り付け、光源の光を計測した。得られた発光スペクトルについて、最大強度を示す波長を光源の発光ピーク波長とし、光源の発光ピーク波長の発光強度の50%以上の強度を示す発光帯域をもって光源の発光帯域とした。
【0092】
<色変換部材の出光帯域>
浜松フォトニクス製ミニ分光光度器(C10083MMD)にNA0.22の光ファイバーを取り付け、光源の光を照射した色変換部材から出光する光を計測した。得られた発光スペクトルについて、光源の発光ピーク波長を除く最大強度を示す波長を色変換部材の出光ピーク波長とし、色変換部材の出光ピーク波長での出光強度の50%以上の強度を示す帯域を色変換部材の出光帯域とした。また、本願で用いた色変換部材は上記で定義される出光ピーク以外にも極大点を示すものであったため、当該ピークを第2の発光ピークとした。
【0093】
<反射フィルムの反射、透過特性>
日立製作所製 分光光度計(U-4100 Spectrophotomater)を用いて、入射角度φ=10°における波長300nm~1200nmにおける反射スペクトル、透過スペクトルを取得した(測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)、ゲインは2、走査速度は600nm/分、測定間隔は1nm)。サンプルはフィルムの幅方向の中央部から切り出して測定した。得られたスペクトルを用い440~460nmの平均反射率、ならびに入射角度φ=0度での波長440~460nm及び500~700nmの平均透過率を算出した。
【0094】
<反射フィルムの反射帯域の長波長端>
上記で得られた反射スペクトルについて、波長ごとに平均反射スペクトルを算出し、波長440~700nmにおける最大反射率をRmax(%)とした際に、Rmax/2(%)となる波長の中で、最も長波長でかつ700nm以下である波長を反射フィルムの反射帯域の長波長端とした。
【0095】
<反射フィルムの入射角度0°および60°における青色反射率の差>
上記で得られた入射角度0°および60°での透過スペクトルと、上記光源の発光帯域値から、角度別の青色反射率(440~460nmの平均反射率)を算出し、0°および60°での差を計算し求めた。
【0096】
<反射フィルムに光源から入射した光の平均透過率>
上記で得られた透過スペクトルについて、入射角度0°で波長ごとに平均透過スペクトルを算出し、この平均透過スペクトルに対して440~460nmにおける平均透過率を算出した。
【0097】
<反射フィルムに色変換部材から入射した光の平均透過率>
上記で得られた反射スペクトルについて、入射角度0°で波長ごとに平均反射スペクトルを算出し、この平均反射スペクトルに対して500~700nmにおいて連続して60nmの区間における平均透過率を算出した。ここでいう連続して60nmの区間における平均透過率とは、例えば、500~559m、501~561nmといった順に、1nmずつ算出帯域をずらしていった場合における平均透過率の最大値とした。
【0098】
<数平均粒子径>
光拡散微粒子の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により積層フィルムの断面構造を観察することにより求めた。倍率を50万倍とし、その画面内に存在する10個の粒子の外径を、10視野について合計100個の粒子を測定し、その平均粒子径を求めた。画面内に10個の粒子が存在しない場合は、同じ条件で別の箇所を観察し、その画面内に存在する粒子の外径を測定して、合計で100個の粒子の外径を測定して平均値とした。ここで外径とは、粒子の最大の径(つまり粒子の長径であり、粒子中の最も長い径を示す。)を表し、内部に空洞を有する粒子の場合も同様に、粒子の最大の径を表す。
【0099】
<輝度・輝度ムラ測定>
評価用の光源を含む光源ユニットとして、ミニLEDバックライトを光源ユニットに用いた。本バックライトは、縦200μm、横380μm、高さ60μmのLED素子が、ピッチ2.5mm間隔で並んでおり、縦48個、横24個のLED素子を有する。また、本バックライトの発光帯域は440~460nmである。色変換部材はSony製TVであるKD-65X9500Bに搭載された色変換部材を用いた。この光源ユニットを用い、第1の反射フィルム、色変換部材(反射フィルムと色変換部材を含む積層部材の場合や、さらに第2の反射フィルムを含む場合もある。)を含む光源ユニットとした場合の輝度をCA-2000((株)コニカミノルタ製)を用い、付属のCCDカメラをバックライト表面から19cmの地点に光源ユニット面に対して正面となるように設置しで測定した。反射フィルムレスにおける輝度を100としブランクとしたときの相対的な輝度(相対輝度)を輝度値として使用した。また、輝度ムラについて、反射フィルムレスにおける輝度ムラを100としブランクとしたときのLED素子3×3マス分の輝度値の標準偏差σを輝度ムラ値として使用した。
輝度
A : 輝度値100以上
B : 輝度値55以上100未満
C : 輝度値35以上55未満
D : 輝度値35未満
輝度ムラ
A : 輝度ムラ値25未満
B : 輝度ムラ値25以上80未満
C : 輝度ムラ値80以上。
【0100】
<部材の貼りつきの有無>
APPLE製iPad(登録商標)Pro12.9インチ(ModelA2378)の上に反射フィルムを置き、無荷重の状態で手前側に引っ張った際の反射フィルム貼りつき有無を確認した。
【0101】
<熱可塑性樹脂>
本発明の実施例で用いる熱可塑性樹脂について下記する。なお、以下に示す熱可塑性樹脂の内、1~2は結晶性の熱可塑性樹脂であり、3~4は非晶性の熱可塑性樹脂である。
樹脂1:極限粘度0.65dl/g、ガラス転移温度78℃、融点255℃を示す、ポリエチレンテレフタレート(PET)
樹脂2:極限粘度0.65dl/g、ガラス転移温度119℃、融点264℃を示す、ポリエチレン2,6ナフタレート(PEN)
樹脂3:融点を持たない非晶性樹脂であるシクロヘキサンジメタノールを33モル%共重合した、ガラス転移温度78℃のポリエチレンテレフタレート(PETG)
樹脂4:融点を持たない非晶性樹脂であるスピログリコール25mol%、シクロヘキサンジカルボン酸30mol%共重合した、ガラス転移温度78℃のポリエチレンテレフタレート(PE/SPG・T/CHDC)。
【0102】
<反射フィルムの製造>
(反射フィルムA)
熱可塑性樹脂Aとして樹脂1、熱可塑性樹脂Bとして樹脂4を用いた。準備した熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとをそれぞれ、2台の単軸押出機に投入し、280℃で溶融させて、混練した。次いで、それぞれFSSタイプのリーフディスクフィルタを5枚介した後、ギアポンプにて計量しながら、スリット数401個で最表層厚みがフィルム厚みの5%となるように設計された積層装置にて合流させて、厚み方向に交互に401層積層された積層体とした。積層体とする方法は、特開2007-307893号公報〔0053〕~〔0056〕段の記載に従って行った。ここでは、スリット長さ、間隔は全て一定とした。得られた積層体は、熱可塑性樹脂Aが201層、熱可塑性樹脂Bが200層であり、厚み方向に交互に積層された積層構造を有していた。口金内部での拡幅比である口金リップのフィルム幅方向長さを口金の流入口部でのフィルム幅方向の長さで割った値を2.5となるようにした。得られたキャストフィルムを、72~78℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、温度90℃でフィルム長手方向に3.3倍延伸し、その後一旦冷却した。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。該易接着層の屈折率は1.57であった。この一軸延伸フィルムをテンターに導き、110℃の熱風で予熱後、130℃の温度でフィルム幅方向に4.5倍延伸した。ここでの延伸速度と温度は一定とした。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度条件で幅方向に2%の弛緩処理を、さらに100℃まで急冷した後に幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、巻き取り反射フィルムを得た。この反射フィルムを前述の分光光度計にて測定したところ、その反射帯域は400~530nmであった。
【0103】
(反射フィルムB)
反射フィルムAの片面に、PETフィルムの上にMNTech Co., Ltd.製のマイクロレンズ(UTE II)を貼りつけた光学機能層を、株式会社巴川製紙所製の光学粘着シート(TD06A)を用いてエム・シー・ケー株式会社製ラミネート装置(MRK-600)で貼り合わせた。こうして得られた反射フィルムを反射フィルムBとした。
【0104】
(反射フィルムC)
各層の樹脂、積層数、全体厚み、製膜条件を表1のとおりとした以外は反射フィルムAと同様にして製造した。この反射フィルムCを前述の分光光度計にて測定したところ、その反射帯域は520~800nmであった。
【0105】
(反射フィルムD)
反射フィルムAの片面に、藤倉化成株式会社製の中空光拡散異形微粒子(FLD)粒径1μmを、粒子濃度22vоl%となるよう酢酸エチルに溶解させ、熱硬化後の厚みが12μmとなるようメタバー径#12にて塗布後、100℃の熱風オーブンにて熱硬化させて光学機能層を形成した。こうして得られた反射フィルムを反射フィルムDとした。
【0106】
(反射フィルムE)
反射フィルムAの熱可塑性樹脂Bを樹脂3に変更した以外は、反射フィルムAと同様にして製造した。この反射フィルムEを前述の分光光度計にて測定したところ、その反射帯域は400~520nmであった。
【0107】
(反射フィルムF)
反射フィルムEの片面に、反射フィルムBに記載の方法で光学機能層を形成し、反射フィルムFとした。
【0108】
(反射フィルムG)
反射フィルムEの片面に、反射フィルムDと同様の方法で光学機能層を形成し、反射フィルムGとした。
【0109】
(反射フィルムH)
CD速度を増速させることでフィルム厚みを減少させた以外は、反射フィルムCと同様にして製造した。この反射フィルムHを前述の分光光度計にて測定したところ、その反射帯域は240~529nmであった。
【0110】
(反射フィルムI)
反射フィルムHの片面に、反射フィルムBに記載の方法で光学機能層を形成し、反射フィルムIとした。
【0111】
(反射フィルムJ)
反射フィルムHの片面に、反射フィルムDと同様の方法で光学機能層を形成し、反射フィルムJとした。
【0112】
(反射フィルムK)
藤倉化成株式会社製の光拡散異形微粒子(FLD)粒径を10μmとした以外は、反射フィルムDと同様にして製造した。
【0113】
(反射フィルムL)
藤倉化成株式会社製の光拡散異形微粒子(FLD)粒径を5μmとした以外は、反射フィルムDと同様にして製造した。
【0114】
(反射フィルムM)
CD速度を減速させることでフィルム厚みを大きくした以外は、反射フィルムAと同様にして製造した。この反射フィルムを前述の分光光度計にて測定したところ、その反射帯域は570~790nmであった。
【0115】
(反射フィルムN)
熱可塑性樹脂Aとして樹脂1、熱可塑性樹脂Bとして樹脂4に分散径4μmのシリカ粒子を熱可塑性樹脂B全体に対して0.1質量%添加して用いた以外は、反射フィルムAと同様にして製造した。この反射フィルムNを前述の分光光度計にて測定したところ、その反射帯域は400~530nmであった。
【0116】
(反射フィルムO)
反射フィルムCの熱可塑性樹脂Aを樹脂2、熱可塑性樹脂Bを樹脂3に変更し、CD速度を減速させた以外は、反射フィルムDと同様にして製造した。この反射フィルムOを前述の分光光度計にて測定したところ、その反射帯域は410~615nmであった。
【0117】
(反射フィルムP)
積層装置のスリット数の調整により厚み方向に交互に11層積層された溶融積層体とした以外は、反射フィルムDと同様にして製造した。
【0118】
(反射フィルムQ)
積層装置のスリット数の調整により厚み方向に交互に201層積層された溶融積層体とした以外は、反射フィルムDと同様にして製造した。
【0119】
(反射フィルムR)
反射フィルムAの熱可塑性樹脂Bを樹脂1と樹脂3を41:59(質量比)で混合したものとし、CD速度を増速させることでフィルム厚みを小さくした以外は、反射フィルムAと同様にして製造した。この反射フィルムを前述の分光光度計にて測定したところ、その反射帯域は450~470nmであった。
【0120】
(反射フィルムS)
反射フィルムAの積層装置のスリット数の調整により厚み方向に交互に801層積層された溶融積層体とし、更にCD速度を減速させることでフィルム厚みを大きくした以外は、反射フィルムAと同様にして製造した。この反射フィルムSを前述の分光光度計にて測定したところ、その反射帯域は400~800nmであった。
【0121】
【表1】
【0122】
(実施例1~19、比較例1~4)
構成、OD距離を表1に示す通りとした光源ユニットを作製し、各項目を評価した。評価結果を表2に示す。
【0123】
【表2】
【0124】
光源は発光帯域440nm~460nmの青色LEDを、色変換部材はSony製TVであるKD-65X9500Bに搭載された色変換部材を使用した。また、OD距離とは光源と色変換部材との距離を意味する。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明により、ディスプレイに実装した際に、輝度を担保しつつ輝度ムラを抑制する光源ユニットおよび反射フィルムを提供することができる。すなわち、本発明の光源ユニットおよび反射フィルムは、ディスプレイに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0126】
1 光源ユニット
2 光源
3 第1の反射フィルム
4 色変換部材
5 第2の反射フィルム
図1
図2
図3