IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置 図1
  • 特開-半導体装置 図2
  • 特開-半導体装置 図3
  • 特開-半導体装置 図4
  • 特開-半導体装置 図5
  • 特開-半導体装置 図6
  • 特開-半導体装置 図7
  • 特開-半導体装置 図8
  • 特開-半導体装置 図9
  • 特開-半導体装置 図10
  • 特開-半導体装置 図11
  • 特開-半導体装置 図12
  • 特開-半導体装置 図13
  • 特開-半導体装置 図14
  • 特開-半導体装置 図15
  • 特開-半導体装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127309
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240912BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20240912BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L29/78 301W
H01L29/78 301V
H01L29/78 301S
H01L29/58 G
H01L29/50 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036379
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】能津 直哉
【テーマコード(参考)】
4M104
5F140
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB01
4M104BB14
4M104BB18
4M104BB40
4M104CC01
4M104CC05
4M104FF03
4M104FF04
4M104GG09
4M104GG18
5F140AA10
5F140AB01
5F140AB06
5F140AB08
5F140AB09
5F140AB10
5F140AC01
5F140AC23
5F140BA01
5F140BA16
5F140BB04
5F140BC15
5F140BD05
5F140BF04
5F140BF43
5F140BH15
5F140BH21
5F140BH25
5F140BH30
5F140BJ04
5F140BJ05
5F140BJ06
5F140BJ07
5F140BK13
5F140CB04
5F140CC03
5F140CC15
5F140CE07
(57)【要約】
【課題】平面視における半導体装置の小型化を図る。
【解決手段】半導体装置10は、半導体層12と、トレンチ21と、ドリフト領域22とドレイン領域25と、ゲート領域26と、ソース領域29と、チャネル領域23とを含む。トレンチ21は、底面21C、第1側面21A、および第2側面21Bを有する。ドリフト領域22は、トレンチ21の底面21C、第1側面21A、および第2側面21Bに形成されている。ドレイン領域25は、トレンチ21内に設けられ、ドリフト領域22に到達するようにトレンチ21の深さ方向に延びている。ゲート領域26は、トレンチ21内に設けられ、ドレイン領域25の隣に離隔して配置されている。ソース領域29は、ゲート領域26の隣に配置されている。チャネル領域23は、ゲート領域26の隣に配置され、ソース領域29およびドリフト領域22に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の上面から凹むように形成され、第1方向に幅を有するとともに底面および側面を有するトレンチと、
前記トレンチの底面および側面に形成された第2導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域に囲まれた状態で前記トレンチ内に設けられている第1絶縁層と、
前記トレンチ内に設けられ、前記第1絶縁層を貫通して前記底面に形成された前記ドリフト領域に到達するように前記トレンチの深さ方向に延びたドレイン領域と、
前記トレンチ内に設けられ、前記第1方向において前記ドレイン領域の隣に離隔して配置されているゲート領域と、
前記ドレイン領域と前記ゲート領域との間に設けられた第2絶縁層と、
前記半導体層の上面における前記トレンチの周縁部に設けられ、前記第1方向において前記ゲート領域の隣に配置されている第2導電型のソース領域と、
前記第1方向において前記ゲート領域の隣に配置され、前記ソース領域、および、前記側面に形成された前記ドリフト領域の双方に接続されている第1導電型のチャネル領域と、
前記ゲート領域と前記ソース領域との間かつ前記ゲート領域と前記チャネル領域との間に設けられている第3絶縁層と、
を備えている、半導体装置。
【請求項2】
前記トレンチの側面は、前記第1方向に対向する第1側面および第2側面を有し、
前記ドリフト領域は、前記第1側面に形成された第1ドリフト領域と、前記第2側面に形成された第2ドリフト領域と、前記トレンチの底面に形成され、前記第1ドリフト領域および前記第2ドリフト領域に接続されるとともに前記ドレイン領域に接続される第3ドリフト領域とを有し、
前記第1絶縁層は、前記ドレイン領域と前記トレンチの前記第1側面との間、および前記ドレイン領域と前記トレンチの前記第2側面との間に設けられ、
前記ゲート領域は、前記ドレイン領域の前記第1側面側の隣に配置されている第1ゲート領域と、前記ドレイン領域の前記第2側面側の隣に配置されている第2ゲート領域とを有し、
前記第2絶縁層は、前記ドレイン領域と前記第1ゲート領域との間、および前記ドレイン領域と前記第2ゲート領域との間に設けられ、
前記ソース領域は、前記第1ゲート領域の隣に配置されている第1ソース領域と、前記第2ゲート領域の隣に配置されている第2ソース領域とを有し、
前記チャネル領域は、前記第1ゲート領域の隣に配置され、前記第1ソース領域と前記第1ドリフト領域とを接続する第1チャネル領域と、前記第2ゲート領域の隣に配置され、前記第2ソース領域と前記第2ドリフト領域とを接続する第2チャネル領域とを有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ドレイン領域において、前記第1絶縁層に挟まれている部分の第1方向長さは、前記第2絶縁層に挟まれている部分の第1方向長さよりも長い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2絶縁層の第1方向長さは、前記第3絶縁層の第1方向長さよりも長い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3絶縁層の第1方向長さは、前記第1絶縁層の第1方向長さよりも短い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1絶縁層は、酸化膜により形成される第1層と、層間絶縁膜により形成される第2層とを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1方向における前記ドレイン領域と前記ソース領域との間の距離は、前記トレンチの深さ方向における前記ドレイン領域の長さよりも短い、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、素子形成領域に形成されたDMOSトランジスタを含む半導体装置を開示している。半導体装置は、p型のシリコン基板と、シリコン基板の表面に選択的に形成され、フィールド酸化膜により互いに素子分離されたn型のソース領域とドレイン領域と、ゲート酸化膜を介してシリコン基板上に形成されたゲート電極とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-156205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態に係る半導体装置の目的は、平面視における装置の小型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様である半導体装置は、第1導電型の半導体層と、前記半導体層の上面から凹むように形成され、第1方向に幅を有するとともに底面および側面を有するトレンチと、前記トレンチの底面および側面に形成された第2導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域に囲まれた状態で前記トレンチ内に設けられている第1絶縁層と、前記トレンチ内に設けられ、前記第1絶縁層を貫通して前記底面に形成された前記ドリフト領域に到達するように前記トレンチの深さ方向に延びたドレイン領域と、前記トレンチ内に設けられ、前記第1方向において前記ドレイン領域の隣に離隔して配置されているゲート領域と、前記ドレイン領域と前記ゲート領域との間に設けられた第2絶縁層と、前記半導体層の上面における前記トレンチの周縁部に設けられ、前記第1方向において前記ゲート領域の隣に配置されている第2導電型のソース領域と、前記第1方向において前記ゲート領域の隣に配置され、前記ソース領域、および、前記側面に形成された前記ドリフト領域の双方に接続されている第1導電型のチャネル領域と、前記ゲート領域と前記ソース領域との間かつ前記ゲート領域と前記チャネル領域との間に設けられている第3絶縁層と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様である半導体装置によれば、平面視における装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、半導体装置の例示的な概略平面図である。
図2図2は、図1の2-2線断面図である。
図3図3は、図1の半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図4図4は、図3に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図5図5は、図4に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図6図6は、図5に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図7図7は、図6に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図8図8は、図7に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図9図9は、図8に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図10図10は、図9に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図11図11は、図10に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図12図12は、図11に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図13図13は、図12に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図14図14は、図13に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図15図15は、図14に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図16図16は、図15に続く例示的な製造工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本開示における半導体装置の実施形態を説明する。
なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0009】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図していない。
【0010】
[半導体装置]
図1は、実施形態に係る半導体装置10の模式的な平面図である。図2は、図1の2-2線断面図である。なお、本開示において使用される「平面視」という用語は、図1および図2に示される互いに直交するXYZ軸のZ軸に沿って上方から半導体装置10を視ることをいう。
【0011】
半導体装置10は、直方体形状の半導体チップ11を含む。半導体チップ11の一例は、Si(シリコン)チップである。半導体チップ11は、第1主面11Aと、第1主面11Aの反対側に位置する第2主面(図示略)と、第1主面11Aおよび第2主面を接続する第1~第4側面11C1~11C4とを有している。第1主面11Aおよび第2主面は、平面視、すなわち、半導体チップ11の厚さ方向から視た平面視において四角形状に形成されている。第1側面11C1および第2側面11C2は、第1主面11Aに沿うX方向に延び、X方向に直交するY方向に対向している。第3側面11C3および第4側面11C4は、Y方向に延び、X方向に対向している。
【0012】
図2に示すように、半導体装置10は、半導体チップ11内に形成された第1導電型の半導体層12を含む。半導体層12は、図示しないその他の層、例えば、ベース層の上に形成された層であってもよい。半導体層12およびその他の層は、半導体チップ11の構成要素とみなされてもよい。
【0013】
半導体層12は、半導体チップ11内において、第1主面11A側に領域に形成され、第1主面11Aおよび第1~第4側面11C1~11C4の一部を形成している。半導体層12の導電型である第1導電型は任意であり、半導体装置10の仕様に応じてn型またはp型を選択できる。以下では、一例として、第1導電型がn型である場合について説明する。
【0014】
半導体層12は、厚さ方向に関して一様なn型不純物濃度を有していてもよいし、第1主面11Aに向かって上昇するn型不純物濃度勾配を有していてもよい。半導体層12のn型不純物濃度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。半導体層12は、0.5μm以上20μm以下の厚さを有していてもよい。半導体層12の一例は、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)からなる。
【0015】
図1に示すように、半導体装置10は、第1主面11Aに設けられた複数の素子領域13を含む。素子領域13は、半導体層12に設けられているということもできる。複数の素子領域13は、種々の機能素子がそれぞれ形成された領域である。複数の素子領域13は、平面視において第1~第4側面11C1~11C4から間隔を空けて第1主面11Aの内方部にそれぞれ区画されている。素子領域13の個数、配置および形状は任意であり、特定の個数、配置および形状に限定されない。
【0016】
複数の素子領域13の各々は、半導体スイッチング素子、半導体整流素子および受動素子のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。半導体スイッチング素子は、JFET(Junction Field Effect Transistor:接合型トランジスタ)、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型の電界効果トランジスタ)、BJT(Bipolar Junction Transistor:バイポーラトランジスタ)、および、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0017】
半導体整流素子は、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。受動素子は、抵抗、コンデンサ、インダクタおよびヒューズのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。複数の素子領域13は、少なくとも1つのトランジスタ領域13Aを含む。
【0018】
[トランジスタ領域]
図1に示すように、半導体装置10は、第1主面11Aにおいてトランジスタ領域13Aを区画する素子分離構造14を含む。素子分離構造14は、平面視において所定形状のトランジスタ領域13Aを区画している。
【0019】
素子分離構造14は、平面視においてトランジスタ領域13Aに沿って延びる帯状に形成されている。素子分離構造14は、この実施形態では、平面視において環状(図1に示す一例では四角環状)に形成され、所定形状(図1に示す一例では四角形状)のトランジスタ領域13Aを区画している。トランジスタ領域13Aの平面形状および素子分離構造14の平面形状は、任意である。素子分離構造14は、平面視において多角環状、円形環状または楕円環状に形成され、平面視において多角形状、円形形状または楕円形状のトランジスタ領域13Aを区画していてもよい。トランジスタ領域13Aにおける素子分離構造14に囲まれる領域には、トランジスタが形成されている。
【0020】
次に、図2を参照して、トランジスタ領域13Aに形成されたトランジスタの一例を説明する。トランジスタは、トランジスタ領域13Aに形成された少なくとも1つのVDMOSFET(Vertical Double implanted MOSFET)セル20(以下、セル20と記載する。)によって構成されている。セル20は、トレンチ21と、トレンチ21の周囲に形成されたドリフト領域22およびチャネル領域23を含む。また、セル20は、トレンチ21内に形成された第1絶縁層24、ドレイン領域25、ゲート領域26、第2絶縁層27、および第3絶縁層28を含む。また、セル20は、トレンチ21の周囲に形成されたソース領域29、およびシャロートレンチ構造30を含む。
【0021】
トレンチ21は、半導体層12の上面12A(第1主面11A)から凹むように形成されている。トレンチ21は、第1方向(X方向)に幅を有するとともに、第1方向に対向する第1側面21Aおよび第2側面21Bと、第1側面21Aおよび第2側面21Bを接続する底面21Cとを含む。以下では、トレンチ21の深さ方向(Z方向)において、半導体層12の上面12A側を上側、底面21C側を下側として説明する場合がある。また、第1方向は、ドレイン領域25、ゲート領域26、およびソース領域29が並ぶ方向ということもできる。
【0022】
トレンチ21の第1側面21Aおよび第2側面21Bの一例は、底面21C側に向かってトレンチ幅(第1方向長さ)が徐々に減少するテーパ状に形成されている。図2に示す一例では、トレンチ21の第1側面21Aおよび第2側面21Bと底面21C側とを接続するコーナー部分は、角面状であってもよいし、丸面状であってもよい。上記コーナー部分を丸面状とすることにより、当該部分における電界集中を緩和する効果が得られる。
【0023】
ドリフト領域22は、半導体層12におけるトレンチ21の第1側面21Aおよび第2側面21B、および底面21Cを形成している部分にp型不純物をインプランテーションすることにより形成されたp型の領域(第2導電型の領域)である。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。ドリフト領域22は、トレンチ21の第1側面21A、第2側面21B、および底面21Cに沿って形成された断面U字状の領域である。ドリフト領域22は、第1ドリフト領域22A、第2ドリフト領域22B、および第3ドリフト領域22Cを含む。第1ドリフト領域22Aは、トレンチ21の第1側面21Aに形成されている部分である。第2ドリフト領域22Bは、トレンチ21の第2側面21Bに形成されている部分である。第3ドリフト領域22Cは、トレンチ21の底面21Cに形成され、第1ドリフト領域22Aおよび第2ドリフト領域22Bに接続されるとともにドレイン領域25に接続されている部分である。
【0024】
チャネル領域23は、第1方向(X方向)においてゲート領域26の隣に配置されたn型の領域(第1導電型の領域)である。チャネル領域23は、ソース領域29およびドリフト領域22の双方に接続されている。チャネル領域23は、第1チャネル領域23Aおよび第2チャネル領域23Bを含む。第1チャネル領域23Aは、第1ドリフト領域22Aに接続されている。第2チャネル領域23Bは、第2ドリフト領域22Bに接続されている。
【0025】
チャネル領域23は、半導体層12にn型不純物をインプランテーションすることにより形成されたn型の領域である。n型不純物は、例えば、リン(P)である。チャネル領域23の一例は、ドリフト領域22の一部にn型不純物をインプランテーションすることによりp型からn型に上書きされた領域である。この場合、チャネル領域23は、p型不純物と、p型不純物よりも高濃度のn型不純物とを含む。
【0026】
ソース領域29は、半導体層12の上面12Aにおけるトレンチ21の周縁部に設けられたp型の領域(第2導電型の領域)である。ソース領域29は、チャネル領域23に接続されている。ソース領域29は、第1ソース領域29Aおよび第2ソース領域29Bを含む。第1ソース領域29Aは、第1チャネル領域23Aの上に配置され、第1チャネル領域23Aに接続されている。第2ソース領域29Bは、第2チャネル領域23Bの上に配置され、第2チャネル領域23Bに接続されている。ソース領域29は、半導体層12にp型不純物をインプランテーションすることにより形成されたp型の領域である。p型不純物は、例えば、アルミニウム(Al)である。
【0027】
ここで、トレンチ21の第1側面21Aの一例は、第1ドリフト領域22A、第1チャネル領域23A、および第1ソース領域29Aの内側面(トレンチ21内を指向する側面)として定義できる。トレンチ21の第2側面21Bの一例は、第2ドリフト領域22B、第2チャネル領域23B、および第2ソース領域29Bの内側面(トレンチ21内を指向する側面)として定義できる。トレンチ21の底面21Cの一例は、第3ドリフト領域22Cの底面(トレンチ21内を指向する底面)として定義できる。
【0028】
第1絶縁層24は、トレンチ21内において、ドリフト領域22の一部を露出させるようにドリフト領域22を被覆している。換言すると、第1絶縁層24は、ドリフト領域22に囲まれた状態でトレンチ21内に設けられている。第1絶縁層24は、第1ドリフト領域22Aを被覆している第1部分24A、第2ドリフト領域22Bを被覆している第2部分24B、および第3ドリフト領域22Cを被覆している第3部分24Cを含む。第1絶縁層24の第3部分24Cには、ドレイン領域25が貫通するコンタクト孔24C1が設けられている。
【0029】
第1絶縁層24は、単層構造であってもよいし、複数の層を有する多層構造であってもよい。図2に示す一例では、第1絶縁層24は、ドリフト領域22側に設けられている第1層24D、およびドレイン領域25側に設けられている第2層24Eを含む。第1層24Dは、例えば、半導体層12(ドレイン領域25)の酸化物からなる酸化膜である。第1層24Dは、例えば、酸化シリコン膜である。第2層24Eは、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)膜などの層間絶縁膜である。第2層24Eは、第1絶縁層24を厚さを調整するために、第1層24Dの表面に重ねて形成されている。なお、第1絶縁層24は、第1層24Dおよび第2層24Eのいずれか一方のみからなる単層構造であってもよいし、その他の絶縁層を更に有する3層以上の多層構造であってもよい。
【0030】
第1絶縁層24の第1方向長さT1は、例えば、0.10μm以上2.00μm以下である。また、第1絶縁層24における第1層24Dの厚さは、例えば、0.01μm以上1.00μm以下である。第1絶縁層24における第2層24Eの厚さは、例えば、0.05μm以上2.00μm以下である。
【0031】
ドレイン領域25は、トレンチ21の深さ方向に延びる縦長形状であり、第1絶縁層24を介してトレンチ21内に埋め込まれている。ドレイン領域25の下端25Aは、第1絶縁層24のコンタクト孔24C1を貫通してドリフト領域22に到達するとともに、ドリフト領域22との間にオーミック接合を形成している。ドレイン領域25の下端25Aは、底面21Cにおけるドレイン領域25と第1絶縁層24の界面よりも下側(ドレイン領域25内)に突出している。ドレイン領域25の上端は、半導体層12の上面12Aに露出している。ドレイン領域25は、第1絶縁層24から突出する上部を有する。
【0032】
ドレイン領域25の材料としては、例えば、不純物がドーピングされたドープドポリシリコン、タングステン(W)、チタン(Ti)、またはそれらの合金等の導電材料を用いることができる。ドープドポリシリコンにドーピングされた不純物としては、例えば、窒素(N)、燐(P)、砒素(As)等のn型不純物、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)等のp型不純物が挙げられる。ドレイン領域25の一例は、p型不純物がドーピングされたp型(第2導電型)のドープドポリシリコンである。
【0033】
第2絶縁層27は、ドレイン領域25における、第1絶縁層24から突出する上部の第1方向における両側面を被覆している。第2絶縁層27は、例えば、酸化膜である。第2絶縁層27の第1方向長さT2は、例えば、0.01μm以上0.20μm以下である。第2絶縁層27の第1方向長さT2は、例えば、第1絶縁層24の第1方向長さT1よりも薄い。
【0034】
ゲート領域26は、トレンチ21内に設けられ、第1方向において、ドレイン領域25の隣に離隔して配置されている。ゲート領域26は、第1ゲート領域26Aおよび第2ゲート領域26Bを含む。第1ゲート領域26Aは、トレンチ21内におけるドレイン領域25と第1チャネル領域23Aとの間に配置されている。第1ゲート領域26Aは、トレンチ21内におけるドレイン領域25と第2チャネル領域23Bとの間に配置されている。第2絶縁層27は、ゲート領域26とドレイン領域25との間を絶縁している。ゲート領域26の上端は、半導体層12の上面12Aに露出している。ゲート領域26の下端26Cは、チャネル領域23の下端23Cよりもトレンチ21の深さ方向における下側に位置している。
【0035】
ゲート領域26の材料としては、例えば、不純物がドーピングされたドープドポリシリコン、タングステン(W)、チタン(Ti)、またはそれらの合金等の導電材料を用いることができる。ドープドポリシリコンにドーピングされた不純物としては、例えば、窒素(N)、燐(P)、砒素(As)等のn型不純物、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)等のp型不純物が挙げられる。ゲート領域26の一例は、p型不純物がドーピングされたp型(第2導電型)のドープドポリシリコンである。ゲート領域26は、ドレイン領域25と同じ材料により形成されていてもよいし、ドレイン領域25と異なる材料により形成されていてもよい。
【0036】
第3絶縁層28は、ゲート領域26とソース領域29との間かつゲート領域26とチャネル領域23との間に設けられている。第3絶縁層28は、ゲート領域26とソース領域29との間、およびゲート領域26とチャネル領域23との間を絶縁している。また、第3絶縁層28は、ドリフト領域22とゲート領域26との間に位置して、ドリフト領域22とゲート領域26との間を絶縁する部分を含んでもよい。第3絶縁層28は、第1ゲート領域26Aと第1ソース領域29Aおよび第1チャネル領域23Aとの間に配置されている第1部分28Aと、第2ゲート領域26Bと第2ソース領域29Bおよび第2チャネル領域23Bとの間に配置されている第2部分28Bとを含む。第3絶縁層28は、例えば、酸化膜である。第3絶縁層28の第1方向長さT3は、例えば、0.01μm以上0.10μm以下である。第3絶縁層28の第1方向長さT3は、例えば、第2絶縁層27の第1方向長さT2よりも薄い。
【0037】
シャロートレンチ構造30は、半導体層12の上面12Aを含む表層部分に形成されている。シャロートレンチ構造30は、平面視において、ソース領域29の外縁に沿って形成され、1つのセル20を他の領域から区画している。シャロートレンチ構造30は、シャロートレンチ30Aおよび埋め込み絶縁体30Bを含む。シャロートレンチ30Aは、半導体層12の上面12Aに形成されている。埋め込み絶縁体30Bは、シャロートレンチ30Aに埋め込まれている。
【0038】
セル20は、ドレイン電極31、ゲート電極32、およびソース電極33を含む。ドレイン電極31は、第1主面11Aに形成されるとともにドレイン領域25に電気的に接続されている。ゲート電極32は、第1主面11Aに形成されるとともにゲート領域26に電気的に接続されている。ソース電極33は、第1主面11Aに形成されるとともにソース領域29に電気的に接続されている。
【0039】
次に、セル20における各部位の寸法について説明する。
トレンチ21の長さL1(Z方向長さ)は、例えば、1μm以上30μm以下である。トレンチ21の長さL1は、例えば、半導体層12の上面12Aからトレンチ21の底面21Cまでの長さである。トレンチ21の幅W1(X方向長さ)は、例えば、1μm以上5μm以下である。トレンチ21の幅W1は、例えば、半導体層12の上面12Aにおける第1ソース領域29Aと第2ソース領域29Bとの間の長さである。
【0040】
ドリフト領域22の長さL2(Z方向長さ)は、例えば、1μm以上30μm以下である。ドリフト領域22の幅T4(例えば、第1ドリフト領域22Aの第1方向長さ)は、例えば、0.5μm以上20μm以下である。
【0041】
ドレイン領域25の長さL3(Z方向長さ)は、例えば、1μm以上30μm以下である。ドレイン領域25における第1絶縁層24に挟まれている上部25Bの第1方向長さW2Aは、例えば、1μm以上3μm以下である。ドレイン領域25における第2絶縁層27に挟まれている下部25Cの第1方向長さW2Bは、例えば、0.3μm以上3μm以下である。一例では、第1方向長さW2Aは、第1方向長さW2Bよりも長い。
【0042】
ゲート領域26の長さL4(Z方向長さ)は、例えば、0.3μm以上1.0μm以下である。ゲート領域26の第1方向長さW3(X方向長さ)は、例えば、0.1μm以上2μm以下である。第1方向におけるドレイン領域25とソース領域29との間の距離W4は、例えば、0.11μm以上2.2μm以下である。一例では、ドレイン領域25とソース領域29との間の距離W4は、半導体層12の上面12Aからドリフト領域22の下端までの距離L5よりも短い。距離L5は、例えば、1.5μm以上32μm以下である。ゲート領域26の第1方向長さW3(X方向長さ)は、例えば、0.1μm以上2.0μm以下である。また、一例では、ドレイン領域25とソース領域29との間の距離W4は、ドリフト領域22の長さL2よりも短い。また、1つのセル20におけるシャロートレンチ構造30間の距離W5は、例えば、2μm以上8μm以下である。
【0043】
[半導体装置の製造方法]
図3図16を参照して、半導体装置10の例示的な製造方法について説明する。なお、図3図16において、図2の構成要素と同様な構成要素には同一符号が付されている。
【0044】
図3に示すように、p型の半導体層12が形成された半導体ウエハ40が準備される。半導体ウエハ40は、Siウエハである。半導体ウエハ40における半導体層12の上面12Aには、窒化膜41(SiN膜)が形成されている。
【0045】
次いで、図4に示すように、半導体層12の上面12Aにマスク42が形成される。マスク42は、平面視においてトレンチ21に対応する開口部42Aを有している。トレンチ21は、マスク42を介して半導体層12をエッチングすることにより形成される。
【0046】
次いで、図5に示すように、半導体層12におけるトレンチ21の第1側面21Aおよび第2側面21B、および底面21Cから半導体層12にp型不純物をインプランテーションすることによりドリフト層43が形成される。その後、ドリフト層43の表面に第4絶縁層44が形成される。第4絶縁層44は、半導体層12(ドリフト層43)の酸化物からなる酸化膜である。第4絶縁層44は、例えば、熱酸化膜(ライナー酸化膜)である。熱酸化によって、半導体層12(ドリフト層43)がトレンチ21に面する側から酸化されることによって絶縁体に変質して第4絶縁層44が形成される。
【0047】
次いで、図6に示すように、半導体層12上およびトレンチ21内に第5絶縁層45が形成される。第5絶縁層45は、TEOS膜である。次いで、図7に示すように、ドリフト層43の底部の中央部分を露出させるように、当該部分の上に位置する第4絶縁層44および第5絶縁層45がエッチングにより除去される。これにより、第4絶縁層44および第5絶縁層45に対して、ドリフト層43を部分的に露出させるコンタクト孔24C1が形成される。
【0048】
次いで、図8に示すように、半導体層12上に導電材料が堆積される。これにより、トレンチ21内の空間を埋める第1導電層46が形成される。導電材料は、例えば、p型のドープドポリシリコンである。第1導電層46は、コンタクト孔24C1を介してドリフト層43に接続される。
【0049】
次いで、図9に示すように、半導体層12の窒化膜41が露出されるまで、例えば、CMPにより第1導電層46、第5絶縁層45、およびマスク42が除去される。次いで、図10に示すように、第4絶縁層44、第5絶縁層45および第1導電層46の表層側の一部を選択的に除去することにより、2つの開口部47が形成される。開口部47は、例えば、マスクを使用してリソグラフィおよびエッチングを行うことにより形成される。これにより、第4絶縁層44の残存部分により第1絶縁層24の第1層24Dが形成されるとともに、第5絶縁層45の残存部分により第1絶縁層24の第2層24Eが形成される。
【0050】
次いで、図11に示すように、開口部47に露出するドリフト層43にn型不純物をインプランテーションすることにより2つのチャネル層48が形成される。このとき、開口部47に露出するドリフト層43は、n型不純物がインプランテーションされることによりp型からn型に上書きされる。
【0051】
次いで、図12に示すように、開口部47に露出するチャネル層48の側面の各々に第6絶縁層49が形成されるとともに、開口部47に露出する第1導電層46の側面の各々および上面に第7絶縁層50が形成される。第6絶縁層49は、半導体層12(チャネル層48)の酸化物からなる酸化膜である。第7絶縁層50は、第1導電層46の酸化物からなる酸化膜である。このとき、半導体層12(チャネル層48)と第1導電層46の酸化レートの違いに基づいて、第7絶縁層50は、第6絶縁層49よりも厚く形成される。
【0052】
次いで、図13に示すように、開口部47内および半導体層12上に導電材料が堆積される。これにより、開口部47内の空間を埋める第2導電層51が形成される。導電材料は、例えば、p型のドープドポリシリコンである。
【0053】
次いで、図14に示すように、第1導電層46およびチャネル層48が露出されるまで、例えば、CMPにより第2導電層51、窒化膜41、および第7絶縁層50が除去される。これにより、第1導電層46の残存部分によりドレイン領域25が形成されるとともに、第2導電層51の残存部分によりゲート領域26が形成される。さらに、第6絶縁層49の残存部分により第3絶縁層28が形成されるとともに、第7絶縁層50の残存部分により第2絶縁層27が形成される。
【0054】
次いで、図15に示すように、マスク(図示略)を介して半導体層12をエッチングすることによりシャロートレンチ30Aが形成される。その後、シャロートレンチ30A内に絶縁材料が堆積されることにより、埋め込み絶縁体30Bが形成される。これにより、シャロートレンチ構造30が形成される。
【0055】
次いで、図16に示すように、第3絶縁層28とシャロートレンチ構造30との間に位置する、チャネル領域23を含む半導体層12の表層の各々に、p型不純物をインプランテーションすることによりソース領域29が形成される。これにより、チャネル層48の残存部分によりチャネル領域23が形成される。その後、図2に示すように、ドレイン領域25の上にドレイン電極31が形成され、ゲート領域26の上にゲート電極32が形成され、ソース領域29の上に、ゲート電極32が形成される。そして、半導体ウエハ40が半導体チップ11のサイズに分割される。その後、必要に応じて、半導体チップ11をリードフレームにボンディングし、封止樹脂で封止することによって、半導体装置10が得られる。
【0056】
[作用]
次に、実施形態の半導体装置10の作用を説明する。
図2に示すように、半導体装置10のセル20は、半導体層12の上面12Aから凹むように形成されたトレンチ21と、トレンチ21の底面21Cおよび第1側面21A、第2側面21Bに形成されているドリフト領域22とを含む。ドレイン領域25は、トレンチ21内において、ドリフト領域22に到達するようにトレンチ21の深さ方向に延びるとともに、第1絶縁層24によってドリフト領域22と絶縁されている。ゲート領域26は、トレンチ21内において、第1方向におけるドレイン領域25の隣に離隔して配置されるとともに、第2絶縁層27によってドレイン領域25と絶縁されている。ソース領域29は、半導体層12の上面12Aにおけるトレンチ21の周縁部であって、第1方向におけるゲート領域26の隣に配置されるとともに、第3絶縁層28によってゲート領域26と絶縁されている。チャネル領域23は、ドリフト領域22の上に配置され、ドリフト領域22およびソース領域29の双方に接続されている。また、チャネル領域23は、第3絶縁層28によってゲート領域26と絶縁されている。
【0057】
上記構成においては、ドリフト領域22とドレイン領域25との接合部分と、ドリフト領域22とチャネル領域23との接合部分とが、トレンチ21の深さ方向における異なる位置に配置される。詳述すると、ドリフト領域22におけるドレイン領域25との接合部分は、ドレイン領域25の下端25Aであり、当該接合部分は、トレンチ21の深さ方向における深部である、トレンチ21の底面21Cに配置される。一方、ドリフト領域22におけるチャネル領域23との接合部分は、チャネル領域23の下端23Cであり、当該接合部分は、半導体層12の上面12Aに近い位置、すなわち、トレンチ21の深さ方向における浅部に配置される。そのため、ドリフト領域22は、トレンチ21の深さ方向に延びる部分である、第1ドリフト領域22Aおよび第2ドリフト領域22Bを有する形状に形成されている。
【0058】
第1ドリフト領域22Aおよび第2ドリフト領域22Bの長さ(L2)は、トレンチ21をより深く形成して、トレンチ21の底面21Cをより深い位置に配置することによって延ばすことができる。そのため、上記構成によれば、第1方向におけるドレイン領域25とソース領域29との間の距離W4を短くした場合にも、第1ドリフト領域22Aおよび第2ドリフト領域22Bを長く形成することにより、ドリフト領域22を通じたドレイン領域25とチャネル領域23との間の電流経路について、所望の長さを確保することができる。そして、第1方向におけるドレイン領域25とソース領域29との間の距離W4が短くなることは、1つのセル20におけるシャロートレンチ構造30間の第1方向の距離W5、すなわち、平面視における1つのセル20の第1方向長さが短くなることを意味する。したがって、上記構成によれば、第1ドリフト領域22Aおよび第2ドリフト領域22Bを調整することによって、平面視におけるセル20の小型化を図ることができる。
【0059】
[効果]
実施形態の半導体装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1)半導体装置10は、第1導電型の半導体層12と、トレンチ21と、ドリフト領域22と、第1絶縁層24と、ドレイン領域25と、ゲート領域26と、第2絶縁層27と、第2導電型のソース領域29と、チャネル領域23と、第3絶縁層28と、を含む。トレンチ21は、半導体層12の上面12Aから凹むように形成され、第1方向に幅を有するとともに底面21Cおよび第1側面21A、第2側面21Bを有する。ドリフト領域22は、トレンチ21の底面21Cおよび第1側面21A、第2側面21Bに形成されている。第1絶縁層24は、ドリフト領域22に囲まれた状態でトレンチ21内に設けられているドレイン領域25は、トレンチ21内に設けられ、第1絶縁層24を貫通して底面21Cに形成されたドリフト領域22に到達するようにトレンチ21の深さ方向に延びている。ドレイン領域25は、トレンチ21内に設けられ、第1絶縁層24を貫通して底面21Cに形成されたドリフト領域22に到達するようにトレンチ21の深さ方向に延びている。ゲート領域26は、トレンチ21内に設けられ、第1方向においてドレイン領域25の隣に離隔して配置されている。第2絶縁層27は、ドレイン領域25とゲート領域26との間に設けられている。ソース領域29は、半導体層12の上面12Aにおけるトレンチ21の周縁部に設けられ、第1方向においてゲート領域26の隣に配置されている。チャネル領域23は、第1方向においてゲート領域26の隣に配置され、ソース領域29、および、第1側面21A,第2側面21Bに形成されたドリフト領域22の双方に接続されている。第3絶縁層28は、ゲート領域26とソース領域29との間かつゲート領域26とチャネル領域23との間に設けられている。
【0060】
この場合、第1ドリフト領域22Aおよび第2ドリフト領域22Bを調整することによって、平面視におけるセル20の小型化を図ることができる。平面視におけるセル20のサイズが小さくなることにより、例えば、トランジスタ領域13A等の平面視における所定の領域内に、より多数のセル20を配置することができる。
【0061】
(2)ドレイン領域25において、第1絶縁層24に挟まれている下部25Cの第1方向長さW2Aは、第2絶縁層27に挟まれている上部25Bの第1方向長さW2Bよりも長い。ドレイン領域25の下部25Cの幅を広く形成した構造は、ドレイン領域25における抵抗低減に寄与する。
【0062】
(3)第2絶縁層27の第1方向長さT2は、第3絶縁層28の第1方向長さT3よりも長い。この場合、ドレイン領域25とゲート領域26との間の絶縁性を高めることができる。
【0063】
(4)第3絶縁層28の第1方向長さT3は、第1絶縁層24の第1方向長さT1よりも短い。この場合、第1方向におけるドレイン領域25とチャネル領域23との間にゲート領域26を配置するスペースを容易に確保できる。また、ドレイン領域25とドリフト領域22(第1ドリフト領域22Aおよび第2ドリフト領域22B)との間の絶縁性を高めることができる。
【0064】
(5)第1絶縁層24は、酸化膜により形成される第1層24Dと、層間絶縁膜により形成される第2層24Eとを含む。この場合、第2層24Eの厚さ(第1方向長さ)を調整することにより、ドレイン領域25の第1方向長さW2A、およびドレイン領域25とドリフト領域22(第1ドリフト領域22Aおよび第2ドリフト領域22B)との間の距離を容易に制御できる。
【0065】
(6)第1方向におけるドレイン領域25とソース領域29との間の距離W4は、トレンチ21の深さ方向におけるドレイン領域25の長さL3よりも短い。この場合、上記(1)に記載したセル20の小型化できる効果が更に顕著に得られる。
【0066】
<変更例>
上記実施形態は例えば以下のように変更できる。上記実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記実施形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0067】
・上記実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型である例について説明したが、第1導電型がp型、第2導電型がn型であってもよい。この場合の具体的な構成は、上記の説明および添付図面においてn型領域をp型領域に置き換え、p型領域をn型領域に置き換えることによって得られる。
【0068】
<付記>
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0069】
[付記1]
第1導電型の半導体層(12)と、
前記半導体層(12)の上面(12A)から凹むように形成され、第1方向に幅を有するとともに底面(21C)および側面(21A,21B)を有するトレンチ(21)と、
前記トレンチ(21)の底面(21C)および側面(21A,21B)に形成された第2導電型のドリフト領域(22)と、
前記ドリフト領域(22)に囲まれた状態で前記トレンチ(21)内に設けられている第1絶縁層(24)と、
前記トレンチ(21)内に設けられ、前記第1絶縁層(24)を貫通して前記底面(21C)に形成された前記ドリフト領域(22)に到達するように前記トレンチ(21)の深さ方向に延びたドレイン領域(25)と、
前記トレンチ(21)内に設けられ、前記第1方向において前記ドレイン領域(25)の隣に離隔して配置されているゲート領域(26)と、
前記ドレイン領域(25)と前記ゲート領域(26)との間に設けられた第2絶縁層(27)と、
前記半導体層(12)の上面(12A)における前記トレンチ(21)の周縁部に設けられ、前記第1方向において前記ゲート領域(26)の隣に配置されている第2導電型のソース領域(29)と、
前記第1方向において前記ゲート領域(26)の隣に配置され、前記ソース領域(29)、および、前記側面(21A,21B)に形成された前記ドリフト領域(25)の双方に接続されている第1導電型のチャネル領域(23)と、
前記ゲート領域(26)と前記ソース領域(29)との間かつ前記ゲート領域(26)と前記チャネル領域(23)との間に設けられている第3絶縁層(28)と、
を備えている、半導体装置(10)。
【0070】
[付記2]
前記トレンチ(21)の側面(21A,21B)は、前記第1方向に対向する第1側面(21A)および第2側面(21B)を有し、
前記ドリフト領域(25)は、前記第1側面(21A)に形成された第1ドリフト領域(22A)と、前記第2側面(21B)に形成された第2ドリフト領域(22B)と、前記トレンチ(21)の底面(21C)に形成され、前記第1ドリフト領域(22A)および前記第2ドリフト領域(22B)に接続されるとともに前記ドレイン領域(25)に接続される第3ドリフト領域(22C)とを有し、
前記第1絶縁層(24)は、前記ドレイン領域(25)と前記トレンチ(21)の前記第1側面(21A)との間、および前記ドレイン領域(25)と前記トレンチ(21)の前記第2側面(21B)との間に設けられ、
前記ゲート領域(26)は、前記ドレイン領域(25)の前記第1側面(21A)側の隣に配置されている第1ゲート領域(26A)と、前記ドレイン領域(25)の前記第2側面(21B)側の隣に配置されている第2ゲート領域(26B)とを有し、
前記第2絶縁層(27)は、前記ドレイン領域(25)と前記第1ゲート領域(26A)との間、および前記ドレイン領域(25)と前記第2ゲート領域(26B)との間に設けられ、
前記ソース領域(29)は、前記第1ゲート領域(26A)の隣に配置されている第1ソース領域(29A)と、前記第2ゲート領域(26B)の隣に配置されている第2ソース領域(29B)とを有し、
前記チャネル領域(23)は、前記第1ゲート領域(26A)の隣に配置され、前記第1ソース領域(29A)と前記第1ドリフト領域(22A)とを接続する第1チャネル領域(23A)と、前記第2ゲート領域(26B)の隣に配置され、前記第2ソース領域(29B)と前記第2ドリフト領域(22B)とを接続する第2チャネル領域(23A)とを有する、付記1に記載の半導体装置(10)。
【0071】
[付記3]
前記ドレイン領域(25)において、前記第1絶縁層(24)に挟まれている部分(25C)の第1方向長さ(W2A)は、前記第2絶縁層(27)に挟まれている部分(25B)の第1方向長さ(W2B)よりも長い、付記1または付記2に記載の半導体装置(10)。
【0072】
[付記4]
前記第2絶縁層(27)の第1方向長さ(T2)は、前記第3絶縁層(28)の第1方向長さ(T3)よりも長い、付記1~3のいずれか1つに記載の半導体装置(10)。
【0073】
[付記5]
前記第3絶縁層(28)の第1方向長さ(T3)は、前記第1絶縁層(24)の第1方向長さ(T1)よりも短い、付記1~4のいずれか1つに記載の半導体装置(10)。
【0074】
[付記6]
前記トレンチ(21)の深さ方向において、前記ゲート領域(26)の下端(26C)は、前記チャネル領域(23)の下端(23C)よりも下側に位置している、付記1~5のいずれか1つに記載の半導体装置(10)。
【0075】
[付記7]
前記第1絶縁層(24)は、酸化膜により形成される第1層(24D)と、層間絶縁膜により形成される第2層(24E)とを含む、付記1~6のいずれか1つに記載の半導体装置(10)。
【0076】
[付記8]
前記第1方向における前記ドレイン領域(25)と前記ソース領域(29)との間の距離(W4)は、前記トレンチ(21)の深さ方向における前記ドレイン領域(25)の長さ(L3)よりも短い、付記1~7のいずれか1つに記載の半導体装置(10)。
【符号の説明】
【0077】
L1…トレンチの長さ
L2…ドリフト領域の長さ
L3…ドレイン領域の長さ
L4…ゲート領域の長さ
L5…半導体層の上面からドリフト領域の下端までの距離
T1…第1絶縁層の第1方向長さ
T2…第2絶縁層の第1方向長さ
T3…第3絶縁層の第1方向長さ
T4…リフト領域の第1方向長さ
W1…トレンチの幅
W2A,W2B…ドレイン領域の第1方向長さ
W3…ゲート領域の第1方向長さ
W4…ドレイン領域とソース領域との間の距離
W5…シャロートレンチ構造間の距離
10…半導体装置
11…半導体チップ
11A…第1主面
11B…第2主面
11C1~11C4…第1側面~第4側面
12…半導体層
12A…上面
13…素子領域
13A…トランジスタ領域
14…素子分離構造
20…セル
21…トレンチ
21A…第1側面
21B…第2側面
21C…底面
22…ドリフト領域
22A…第1ドリフト領域
22B…第2ドリフト領域
22C…第3ドリフト領域
23…チャネル領域
23A…第1チャネル領域
23B…第2チャネル領域
23C…下端
24…第1絶縁層
24A…第1部分
24B…第2部分
24C…第3部分
24C1…コンタクト孔
24D…第1層
24E…第2層
25…ドレイン領域
25A…下端
25B…上部
25C…下部
26…ゲート領域
26A…第1ゲート領域
26B…第2ゲート領域
26C…下端
27…第2絶縁層
28…第3絶縁層
28A…第1部分
28B…第2部分
29…ソース領域
29A…第1ソース領域
29B…第2ソース領域
30…シャロートレンチ構造
30A…シャロートレンチ
30B…埋め込み絶縁体
31…ドレイン電極
32…ゲート電極
33…ソース電極
40…半導体ウエハ
41…窒化膜
42…マスク
42A…開口部
43…ドリフト層
44…第4絶縁層
45…第5絶縁層
46…第1導電層
47…開口部
48…チャネル層
49…第6絶縁層
50…第7絶縁層
51…第2導電層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16