(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127313
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】光パス設定装置、光パス設定方法および光パス設定プログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/00 20130101AFI20240912BHJP
H04L 41/16 20220101ALI20240912BHJP
【FI】
H04B10/00
H04L41/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036388
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 玲子
(72)【発明者】
【氏名】片岡 正弘
(72)【発明者】
【氏名】尾上 聡
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AL10
5K102KA01
5K102KA31
5K102NA01
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】効率的に光信号パスを設定すること。
【解決手段】パス設定装置は、光ネットワークに含まれる光信号の始点端末から光信号の終点端末に至るまでに経由する複数の第1端末の特徴と、複数の第1端末の第1ログ情報とを含む第1光信号パスの情報を入力とし、第1光信号パスの通信品質を出力として機械学習モデルの機械学習を実行する。パス設定装置は、ある端末から他の端末に至るまでに経由する複数の第2端末の特徴と、複数の第2端末の第2ログ情報とを含む複数の第2光信号パスの情報を、機械学習モデルに入力し、複数の第2光信号パスの通信品質を評価する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ネットワークに含まれる光信号の始点端末から前記光信号の終点端末に至るまでに経由する複数の第1端末の特徴と、前記複数の第1端末の第1ログ情報とを含む第1光信号パスの情報を入力とし、前記第1光信号パスの通信品質を出力として機械学習モデルの機械学習を実行し、
ある端末から他の端末に至るまでに経由する複数の第2端末の特徴と、前記複数の第2端末の第2ログ情報とを含む複数の第2光信号パスの情報を、前記機械学習モデルに入力し、前記複数の第2光信号パスの通信品質を評価する、
処理を実行する制御部を有する光パス設定装置。
【請求項2】
前記第1光信号パスの情報は、前記第1ログ情報を取得した時間帯の第1気象情報を更に含み、前記複数の第2光信号パスの情報は、前記第2ログ情報を取得した時間帯の第2気象情報を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の光パス設定装置。
【請求項3】
前記評価する処理は、前記ある端末から他の端末に至るまでの経路の異なる複数の第2光信号パスの情報を生成し、前記複数の第2光信号パスをそれぞれ前記機械学習モデルに入力することで、前記複数の第2光信号パスの通信品質をそれぞれ評価することを特徴とする請求項1又は2に記載の光パス設定装置。
【請求項4】
前記評価する処理の評価結果を基にして、前記複数の第2光信号パスから、一つの第2光信号パスを選択し、選択した第2光信号パスを前記光ネットワークに設定する処理を更に実行することを特徴とする請求項3に記載の光パス設定装置。
【請求項5】
前記第1ログ情報および前記第2ログ情報のベクトルを算出する処理を更に実行し、前記機械学習を実行する処理は、前記第1ログ情報のベクトルを前記第1光信号パスの情報に設定し、前記評価する処理は、前記第2ログ情報のベクトルを前記第2光信号パスの情報に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の光パス設定装置。
【請求項6】
前記機械学習を実行する処理は、前記第1気象情報として、雷が発生しているか否か、あるいは、地震が発生しているか否かの情報を設定し、前記評価する処理は、前記第2気象情報として、雷が発生しているか否か、あるいは、地震が発生しているか否かの情報を設定することを特徴とする請求項2に記載の光パス設定装置。
【請求項7】
前記機械学習を実行する処理は、前記第1光信号パスの情報に、信号負荷率の情報を更に設定し、前記評価する処理は、前記第2光信号パスの情報に、信号負荷率の情報を更に設定することを特徴とする請求項1に記載の光パス設定装置。
【請求項8】
光ネットワークに含まれる光信号の始点端末から前記光信号の終点端末に至るまでに経由する複数の第1端末の特徴と、前記複数の第1端末の第1ログ情報とを含む第1光信号パスの情報を入力とし、前記第1光信号パスの通信品質を出力として機械学習モデルの機械学習を実行し、
ある端末から他の端末に至るまでに経由する複数の第2端末の特徴と、前記複数の第2端末の第2ログ情報とを含む複数の第2光信号パスの情報を、前記機械学習モデルに入力し、前記複数の第2光信号パスの通信品質を評価する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする光パス設定方法。
【請求項9】
前記第1光信号パスの情報は、前記第1ログ情報を取得した時間帯の第1気象情報を更に含み、前記複数の第2光信号パスの情報は、前記第2ログ情報を取得した時間帯の第2気象情報を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の光パス設定方法。
【請求項10】
光ネットワークに含まれる光信号の始点端末から前記光信号の終点端末に至るまでに経由する複数の第1端末の特徴と、前記複数の第1端末の第1ログ情報とを含む第1光信号パスの情報を入力とし、前記第1光信号パスの通信品質を出力として機械学習モデルの機械学習を実行し、
ある端末から他の端末に至るまでに経由する複数の第2端末の特徴と、前記複数の第2端末の第2ログ情報とを含む複数の第2光信号パスの情報を、前記機械学習モデルに入力し、前記複数の第2光信号パスの通信品質を評価する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする光パス設定プログラム。
【請求項11】
前記第1光信号パスの情報は、前記第1ログ情報を取得した時間帯の第1気象情報を更に含み、前記複数の第2光信号パスの情報は、前記第2ログ情報を取得した時間帯の第2気象情報を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の光パス設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パス設定装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ネットワークでは、複数のネットワークエレメント(NE)が相互に接続され、設定された光信号パスによって、光信号を伝送する。
【0003】
たとえば、従来技術では、運用中の光デジタルコヒーレント信号パスの通信品質をモニタし、雷等の影響によって、運用中の光信号パスに障害が発生して通信品質が低下した場合に、予め設定しておいた、他の光信号パスに切り替える。また、従来技術では、切り替える前の光信号パスの通信品質が元の状態に戻ったことを検出すると、運用する光信号パスを、切り替え先の光信号パスから、元の光信号パスに切り替える。たとえば、従来技術の切り替え方式には、強度変調・直接検波(IMDD)による信号伝送方式(光の強弱により信号を伝送)と、デジタルコヒーレントによる信号伝送方式(光の位相や偏波をつかって信号を伝送)とがある。
【0004】
図11は、従来技術を説明するための図である。
図11に示す光ネットワークには、NE10、11,12,13,14,15,16,17,18,19が含まれ、運用中の光信号パスによって、光信号を伝送する。
【0005】
たとえば、NE10は、NE11,13,15と相互に接続される。NE11は、NE10,12と相互に接続される。NE12は、NE11,19と相互に接続される。NE13は、NE10、14,15と相互に接続される。NE14は、NE13、17,19と相互に接続される。NE15は、NE10,13,16と相互に接続される。NE16は、NE15,17と相互に接続される。NE17は、NE14,16,18と相互に接続される。NE18は、NE17,19と相互に接続される。NE19は、NE12,14,18と相互に接続される。
【0006】
NE10から、NE19に至る光信号パスを、光信号パスA,B,Cとする。光信号パスAは、NE10,11,12,19を通る光信号パスである。光信号パスBは、NE10,15,13,14,19を通る光信号パスである。光信号パスCは、NE10、15,16,17,18,19を通る光信号パスである。
【0007】
たとえば、パスAで運用している際に、NE12とNE19との間で雷1が発生すると、パスAの通信品質が劣化し、運用する光信号パスが、パスAからパスBに切り替えられる。その後、雷1がおさまり、パスAの通信品質が基に戻ると、運用する光信号パスが、パスBから元のパスAに切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-96796号公報
【特許文献2】特開平5-114899号公報
【特許文献3】特開2011-145846号公報
【特許文献4】特開2019-153893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来技術では、効率的に光信号パスを設定することができないという問題がある。
【0010】
図12および
図13は、従来技術の課題を説明するための図である。
図12に示す光ネットワークには、NE10~19が含まれる。また、NE10から、NE19に至る光信号パスを、光信号パスA,B,Cとする。光信号パスA~Cに関する説明は、
図11で説明した光信号パスA~Cに関する説明と同様である。
【0011】
ここでは、線状降水帯が移動することで、以下のように、天候が遷移するものとする。時刻T1において、NE12とNE19との間で雷1が発生する。時刻T2において、雷1がおさまり、NE11とNE12との間で雷2aが発生し、NE13とNE14との間で雷2bが発生する。時刻T3において、雷2a,2bがおさまり、NE13とNE15との間で雷3が発生する。
【0012】
図13において、光信号パスA~Cの通信品質と時間との関係を示す。縦軸が通信品質に対応する軸であり、横軸が時間に対応する軸である。線分20aが、光信号パスAの通信品質と時間との関係を示す。線分20bが、光信号パスBの通信品質と時間との関係を示す。線分20cが、光信号パスCの通信品質と時間との関係を示す。なお、信号品質は、光電気(O/E)変換を行い、信号を再生する時にわかるため、
図13は模式的なものである。
【0013】
たとえば、上記のように線状降水帯が移動し、各時刻において雷が発生すると、連鎖的に、複数の光信号パスA、Bの通信品質が低下し、係る光信号パスA、Bを切り替え先と切り替え元に設定していると、効率的に光信号パスを設定できない。
【0014】
図13に示す例では、雷1が発生する時刻T1まで、運用する光信号パスとして、光信号パスAが選択されている。雷1の影響によって、光信号パスAの通信品質が低下するため、運用する光信号パスとして、予め設定していた光信号パスBが選択される。
【0015】
光信号パスBが選択された後、時刻T2において、雷2bが発生すると、雷2bの影響によって、光信号パスBの通信品質が低下し、また、時刻T2の直前において、光信号パスAの通信品質が復旧しているため、光信号パスAの切り戻しが発生する。しかし、時刻T2おいて、雷2aが発生し、光信号パスAの通信品質が低下するため、切り戻しに失敗する。
【0016】
光信号パスAへの切り戻しに失敗している間に、光信号パスBの通信品質が復旧し、光信号パスBによって、光信号の伝送が再開される。なお、時刻T3において、雷3が発生し、光信号パスBの通信品質が低下し、切り替え先として、光信号パスAが選択されるが、時刻T3において、光信号パスAの通信品質が復旧しておらず、最終的に、光信号パスCが選択されて、光信号の伝送が開始される。
【0017】
なお、強度変調・直接検波(IMDD)による信号伝送方式、デジタルコヒーレントによる信号伝送方式の2種類の切り替え方式のうち、後者のデジタルコヒーレントについては、光パワーの監視だけで信号品質を監視することが難しく、偏波状態State of polarizationや位相ずれ状態を監視する必要があり、伝送路中で波長多重された個別の波長について、SOPを光のまま(光電変換せずに)監視する方法はない。IMDDの場合は、従来の光パワー監視で信号品質監視を行うことができるものの、光パワー計測だけでは検知できない理由(偏波状態の変動)で信号劣化が発生する場合には、信号品質劣化が発生している箇所を特定することができないため、適切に切り替えを行うことができない。
【0018】
上記のように、従来技術では、信号品質劣化が発生している箇所が特定できないために、光信号パスAと光信号パスBとの間で無駄な切り替えが発生しており、断続的に通信障害は発生する恐れがあるため、効率的に最適な光信号パスを設定することが求められている。たとえば、時刻T1の時点で、通信品質が安定している光信号パスCを選択できていれば、無駄な切り替えを抑止することができる。
【0019】
1つの側面では、本発明は、効率的に光信号パスを設定できる光パス設定装置、光パス設定方法および光パス設定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
第1の案では、光パス設定装置は、次の処理を実行する制御部を有する。制御部は、光ネットワークに含まれる光信号の始点端末から光信号の終点端末に至るまでに経由する複数の第1端末の特徴と、複数の第1端末の第1ログ情報とを含む第1光信号パスの情報を入力とし、第1光信号パスの通信品質を出力として機械学習モデルの機械学習を実行する。制御部は、ある端末から他の端末に至るまでに経由する複数の第2端末の特徴と、複数の第2端末の第2ログ情報とを含む複数の第2光信号パスの情報を、機械学習モデルに入力し、複数の第2光信号パスの通信品質を評価する。
【発明の効果】
【0021】
効率的に光信号パスを設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、学習フェーズの処理を説明するための図である。
【
図3】
図3は、スパン情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、推論フェーズの処理を説明するための図(1)である。
【
図5】
図5は、推論フェーズの処理を説明するための図(2)である。
【
図6】
図6は、本実施例に係るパス設定装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、学習フェーズにおけるパス設定装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、推論フェーズにおけるパス設定装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、信号負荷率が設定された教師データテーブルの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施例のパス設定装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、従来技術の課題を説明するための図(1)である。
【
図13】
図13は、従来技術の課題を説明するための図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本願の開示する光パス設定装置、光パス設定方法および光パス設定プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例0024】
本実施例に係るシステムの一例について説明する。
図1は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
図1に示すように、このシステムは、NE10、11,12,13,14,15,16,17,18,19と、パス設定装置100とを有する。パス設定装置100は、光パス設定装置の一例である。
【0025】
NE10~19と、パス設定装置100とは、運用監視ネットワーク50を介して相互に接続される。
図1では、NE10~19を示すが、他のNEが更に含まれてもよい。
【0026】
NE10~19は、パス設定装置100によって設定された光信号パスによって、光信号を伝送する装置である。たとえば、パス設定装置100によって、
図11で説明した光信号パスAが設定された場合には、光信号パスAによって、NE10から、NE11,12を介して、NE19に光信号が伝送される。
【0027】
たとえば、NE10は、NE11,13,15と相互に接続される。NE11は、NE10,12と相互に接続される。NE12は、NE11,19と相互に接続される。NE13は、NE10、14,15と相互に接続される。NE14は、NE13、17,19と相互に接続される。NE15は、NE10,13,16と相互に接続される。NE16は、NE15,17と相互に接続される。NE17は、NE14,16,18と相互に接続される。NE18は、NE17,19と相互に接続される。NE19は、NE12,14,18と相互に接続される。
【0028】
NE10~19は、各種の処理を実行する度に、ログ情報を保存しておき、パス設定装置100からの要求に応じて、ログ情報をパス設定装置100に送信する。
【0029】
パス設定装置100は、訓練済みの機械学習モデルを利用して、光信号の送信元となるNEから、光信号の送信先となるNEまでの複数の光信号パスのうち、安定した通信品質を維持できる光信号パスを選択する。パス設定装置100は、選択した光信号パスを、NE10~19に対して設定する。
【0030】
たとえば、パス設定装置100は、機械学習モデルを訓練する学習フェーズの処理と、訓練済みの機械学習モデルを用いて、安定した通信品質を維持可能な光信号パスを推定する推定フェーズの処理を実行する。以下において、パス設定装置100の学習フェーズの処理、推論フェーズの処理について順に説明する。
【0031】
まず、パス設定装置100が実行する学習フェーズの処理の一例について説明する。
図2は、学習フェーズの処理を説明するための図である。たとえば、パス設定装置100は、教師データテーブル141を用いて、機械学習モデルM1の機械学習を実行する。機械学習モデルM1は、NN(Neural Network)等である。
【0032】
たとえば、教師データテーブル141は、パス識別情報と、入力データと、ラベルとを対応付ける。パス識別情報は、光信号パスを識別する情報である。入力データには、複数のスパン情報が設定される。あるスパン情報は、ある光信号パスに含まれる複数のNEのうち、隣接するあるNEの組に関する情報を示す。
【0033】
たとえば、光信号パスAと、第1スパンとに対応するスパン情報A-1は、光信号パスAに含まれるNE10,11,12,19のうち、NE10,11に関する情報である。光信号パスAと、第2スパンとに対応するスパン情報A-2は、NE11,12に関する情報である。光信号パスAと、第3スパンとに対応するスパン情報A-3は、NE12,19に関する情報である。
【0034】
ここで、スパン情報について説明する。
図3は、スパン情報のデータ構造の一例を示す図である。
図3に示すように、各スパン情報にはそれぞれ、伝送路情報が設定される。たとえば、伝送路情報には、送信元NE、送信元NEタイプ、送信先NE、送信先NEタイプ、ファイバータイプ、NE間距離、スパンロス、ログ、落雷フラグが含まれる。伝送路情報は、その他の情報を含んでいてもよい。
【0035】
送信元NEは、スパン情報のNEの組のうち、送信元のNEを示す。送信元NEタイプは、送信元NEのタイプとして、ROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)またはILA(In Line Amp)が設定される。送信先NEは、スパン情報のNEの組のうち、送信先のNEを示す。送信先NEタイプは、送信先NEのタイプとして、ROADMまたはILAが設定される。
【0036】
ファイバータイプは、スパン情報のNE間で利用する光ファイバーのタイプが設定される。NE間距離は、スパン情報のNE間の距離が設定される。スパンロスは、スパン情報のNE間で光信号を伝送した際の光信号の減衰量を示す。ログ情報は、スパン情報の送信元NEのログ情報と、送信先NEのログ情報をベクトルに変換した値が設定される。
【0037】
落雷フラグは、ログ情報を収集した時間帯において、スパン情報のNE間において、落雷が発生していたか否かを示す情報である。落雷が発生していた場合には、落雷フラグが「オン」となる。一方、落雷が発生していなかった場合には、落雷フラグが「オフ」となる。
【0038】
図2の教師データテーブル141の説明に戻る。入力データに含まれる信号種別は、該当する光信号パスで利用される信号の種別である。ラベルは、該当する光信号パスの通信品質を示す値(正解ラベル)である。通信品質の値が大きいほど、通信品質が良いことを示す。
【0039】
なお、
図3で説明したように、同じ光信号パス(パス識別情報)であっても、各NEから収集されるログ情報や、ログ情報が収集された時間帯における落雷フラグが変化し得る。このため、教師データテーブル141には、同じ光信号パス(パス識別情報)に対して、複数の入力データ、ラベルが設定される場合もある。
【0040】
パス設定装置100は、誤差逆伝播法に基づき、入力データを機械学習モデルM1に入力した際の、機械学習モデルM1の出力結果とラベルとの差分が小さくなるように、機械学習モデルM1に対して機械学習を実行する(機械学習モデルM1を訓練する)。
【0041】
たとえば、パス設定装置100は、入力データin1(スパン情報A-1、A-2,A-3、・・・、信号種別)を機械学習モデルM1に入力し、機械学習モデルM1の出力と、ラベルl1との差分が小さくなるように、機械学習モデルM1のパラメータを更新する。
【0042】
パス設定装置100は、入力データin2(スパン情報B-1、B-2,B-3、・・・、信号種別)を機械学習モデルM1に入力し、機械学習モデルM1の出力と、ラベルl2との差分が小さくなるように、機械学習モデルM1のパラメータを更新する。
【0043】
パス設定装置100は、入力データin3(スパン情報C-1、C-2,C-3、・・・、信号種別)を機械学習モデルM1に入力し、機械学習モデルM1の出力と、ラベルl3との差分が小さくなるように、機械学習モデルM1のパラメータを更新する。
【0044】
パス設定装置100は、入力データin4(スパン情報D-1、D-2,D-3、・・・、信号種別)を機械学習モデルM1に入力し、機械学習モデルM1の出力と、ラベルl4との差分が小さくなるように、機械学習モデルM1のパラメータを更新する。
【0045】
パス設定装置100は、教師データテーブル141に格納された他の入力データ、および、ラベルの組についても、上記処理を繰り返し実行することで、機械学習モデルM1のパラメータを更新する。
【0046】
続いて、パス設定装置100が実行する推論フェーズの処理の一例について説明する。
図4および
図5は、推論フェーズの処理を説明するための図である。まず、
図4について説明する。パス設定装置100は、推論フェーズの処理を実行する場合に、ネットワーク情報142を参照する。ネットワーク情報142には、光信号の送信の始点となるNEから終点となるNEまでの光信号パスと、かかる光信号パスに含まれるNEの情報が設定される。
【0047】
たとえば、ネットワーク情報142において、始点となるNE10から、終点となるNE19までの光信号パスとして、光信号パスA,B,Cの情報が設定される。係る光信号パスA,B,Cの情報には、各光信号パスに含まれるNEの識別情報、NEタイプ、ファイバータイプ、NE間距離、スパンロス等が含まれる。また、NEの情報には、NEが設置された地域を識別する情報が含まれていてもよい。
【0048】
図4では、パス設定装置100が、NE10~NE19に至る光信号パスA,B,Cのうち、安定した通信品質を維持できる光信号パスを選択する場合について説明する。
【0049】
パス設定装置100は、下記の処理を実行することで、光信号パスAに対応する入力データ30Aを生成する。入力データ30Aには、スパン情報A’-1と、スパン情報A’-2と、スパン情報A’-3と、光信号種別とが含まれる。
【0050】
スパン情報A’-1は、NE10,11に関する情報である。スパン情報A’-2は、NE11,12に関する情報である。スパン情報A’-3は、NE12,19に関する情報である。
【0051】
パス設定装置100が、スパン情報A’-1に伝送路情報を設定する場合の処理について設定する。パス設定装置100は、ネットワーク情報142を基にして、NE10,11に関する送信NE、送信元NEタイプ、送信先NE、送信先NEタイプ、ファイバータイプ、NE間距離、スパンロスを取得して、設定する。たとえば、送信NEは「NE10」、送信元NEタイプは「ROADM」、送信先NEは「NE11」、送信先NEタイプは「ILA」、ファイバータイプは「SMF」、NE間距離は「5.8km」、スパンロスは「2.9dB」となる。
【0052】
パス設定装置100は、スパン情報A’-1に関連するNE10,11と通信を行い、NE10,11からログ情報、信号種別を取得する。パス設定装置100は、ログベクトル辞書143を基にして、ログ情報のベクトルを算出し、ログ情報のベクトルを、スパン情報A’-1に設定する。パス設定装置100は、信号種別を、入力データ30Aに設定する。
【0053】
ここで、ログベクトル辞書143は、NEから取得するログ情報に含まれ得る複数の形態素と、係る形態素のベクトルとをそれぞれ対応付ける辞書である。たとえば、パス設定装置100は、NE10,11からログ情報を取得した場合に、取得したログ情報に対して形態素解析を実行することで、複数の形態素に分解する。パス設定装置100は、分解した各形態素と、ログベクトル辞書143とを比較して各形態素のベクトルを特定し、特定した各形態素のベクトルを積算することで、ログ情報のベクトルを算出する。
【0054】
パス設定装置100は、伝送路環境情報144を基にして、ログ情報を取得した時間帯において、スパン情報A’-1のNE10,11を基準とする所定の領域内において、雷が発生しているか否かを特定する。伝送路環境情報144は、地域毎、時間毎の天候に関する情報を含み、たとえば、ある地域、ある時間で、落雷が発生しているか否かの情報が含まれる。パス設定装置100は、NE10,11を基準とする所定の領域内において、雷が発生している場合には、スパン情報A’-1の落雷フラグを「オン」に設定する。一方、パス設定装置100は、NE10,11を基準とする所定の領域内において、雷が発生していない場合には、落雷フラグを「オフ」に設定する。
【0055】
パス設定装置100が上記の処理を実行することで、スパン情報A’-1に伝送路情報が設定される。パス設定装置100は、スパン情報A’-2、スパン情報A’-3についても、スパン情報A’-1と同様の処理を実行することで、伝送路情報を設定する。これによって、入力データ30Aが生成される。
【0056】
パス設定装置100は、光信号パスBに対応する入力データ30Bを生成する。入力データ30Bには、スパン情報B’-1と、スパン情報B’-2と、スパン情報B’-3と、光信号種別とが含まれる。パス設定装置100が、スパン情報B’-1~B’-3に対応する伝送路情報を設定する処理は、スパン情報A’-1に伝送路情報が設定する処理と同様である。
【0057】
パス設定装置100は、光信号パスCに対応する入力データ30Cを生成する。入力データ30Cには、スパン情報C’-1と、スパン情報C’-2と、スパン情報C’-3と、光信号種別とが含まれる。パス設定装置100が、スパン情報C’-1~C’-3に対応する伝送路情報を設定する処理は、スパン情報C’-1に伝送路情報が設定する処理と同様である。
【0058】
図5の説明に移行する。パス設定装置100は、入力データ30Aを、機械学習モデルM1に入力することで、通信品質スコア40Aを算出する。パス設定装置100は、入力データ30Bを、機械学習モデルM1に入力することで、通信品質スコア40Bを算出する。パス設定装置100は、入力データ30Cを、機械学習モデルM1に入力することで、通信品質スコア40Cを算出する。
【0059】
パス設定装置100は、通信品質スコア40A~40Cのうち、最大のスコアに対応する光信号パスを選択する。たとえば、パス設定装置100は、通信品質スコア40A~40Cのうち、通信品質スコア40Cが最大のスコアとなる場合には、通信品質スコア40Cに対応する光信号パスCを選択する。
【0060】
パス設定装置100は、選択した光信号パスCによって、光信号が伝送されるように、ネットワークのNE10~19を制御する。
【0061】
上記のように、本実施例に係るパス設定装置100は、教師データテーブル141に格納された光信号パスの入力データと、通信品質のラベルとの関係を基にして、機械学習モデルM1の機械学習を実行する。パス設定装置100は、訓練済みの機械学習モデルM1に、評価対象となる複数の光信号パスの入力データを入力することで、各光信号パスの通信品質スコアを算出し、通信品質スコアが最大となる光信号パスを選択して、光ネットワークに設定する。光信号パスの入力データは、NEのログ情報のベクトルや、気象情報が含まれるため、天候によって、通信品質が断続的に不安定になる光信号パスを選択することを抑止しして、効率的に光信号パスを設定することができる。
【0062】
次に、
図5に示した処理を実行するパス設定装置100の構成例について説明する。
図6は、本実施例に係るパス設定装置の構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、このパス設定装置100は、通信部110と、入力部120と、表示部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。
【0063】
通信部110は、運用監視ネットワーク50上の各NEと、データ通信(パケット通信)を実行する。通信部110は、NIC(Network Interface Card)等である。
【0064】
入力部120は、パス設定装置100の制御部150に各種の情報を入力する入力装置である。たとえば、入力部120は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。
【0065】
表示部130は、制御部150から出力される情報を表示する表示装置である。
【0066】
記憶部140は、教師データテーブル141、ネットワーク情報142、ログベクトル辞書143、伝送路環境情報144、機械学習モデルM1を有する。記憶部140は、メモリなどの記憶装置である。
【0067】
教師データテーブル141は、機械学習モデルM1に対する機械学習を実行する場合に利用する情報を保持する。
図2で説明したように、教師データテーブル141は、パス識別情報と、入力データと、ラベル(通信品質)とを対応付ける。教師データテーブル141に関する他の説明は、
図2で説明した内容と同様である。
【0068】
ネットワーク情報142は、光信号の送信の始点となるNEから終点となるNEまでの光信号パスと、かかる光信号パスに含まれるNEの情報が設定される。ネットワーク情報142に関する説明は、
図4で説明したネットワーク情報142に関する説明と同様である。
【0069】
ログベクトル辞書143は、NEから取得するログ情報に含まれ得る複数の形態素と、係る形態素のベクトルとをそれぞれ対応付ける辞書である。ログベクトル辞書143に関する説明は、
図4で説明したログベクトル辞書143に関する説明と同様である。
【0070】
伝送路環境情報144は、地域毎、時間毎の天候に関する情報を含み、たとえば、落雷が発生しているか否かの情報が含まれる。伝送路環境情報144に関する説明は、
図4で説明した伝送路環境情報144に関する説明と同様である。
【0071】
機械学習モデルM1は、入力データ(光信号パスに含まれる各スパン情報)を入力した際に、光信号パスの通信品質スコアを出力するモデルである。機械学習モデルは、NN等である。
【0072】
図6の制御部150の説明に移行する。制御部150は、取得部151と、学習処理部152と、推定処理部153と、設定部154とを有する。制御部150は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等である。
【0073】
取得部151は、通信部110を介して外部装置等と通信を行い、教師データテーブル141、ネットワーク情報142、ログベクトル辞書143、伝送路環境情報144を取得し、記憶部140に登録する。
【0074】
取得部151は、教師データテーブル141、ネットワーク情報142、ログベクトル辞書143、伝送路環境情報144の更新情報を取得してもよい。取得部151は、更新情報を取得した場合には、教師データテーブル141、ネットワーク情報142、ログベクトル辞書143、伝送路環境情報144を更新する。
【0075】
学習処理部152は、教師データテーブル141を基にして、機械学習モデルM1の機械学習を実行する。たとえば、学習処理部152は、誤差逆伝播法に基づき、教師データテーブル141に格納された入力データを、機械学習モデルM1に入力し、機械学習モデルM1の出力結果と、ラベルとの差分が小さくなるように、機械学習モデルM1のパラメータを更新する。
【0076】
学習処理部152が実行する処理は、
図2、
図3で説明した学習フェーズの処理と同様である。
【0077】
推定処理部153は、訓練済みの機械学習モデルM1を利用して、光信号の送信の始点となるNEから終点となるNEまでの複数の光信号パスの通信品質を評価する。たとえば、推定処理部153は、始点となるNEから終点となるNEまでの複数の光信号パスに対応する入力データをそれぞれ生成し、各入力データを機械学習モデルM1に入力することで、通信品質スコアをそれぞれ算出する。推定処理部153は、複数の光信号パスのうち、通信品質スコアが最大となる光信号パスを選択する。
【0078】
たとえば、推定処理部153は、下記の処理を実行して、入力データを生成する。推定処理部153は、入力部120から、始点となるNEと、終点となるNEとの指定を受け付ける。推定処理部153は、始点となるNEおよび終点となるNEの組と、ネットワーク情報142とを比較して、始点となるNEから終点となるNEまでの複数の光信号パスと、かかる光信号パスに含まれるNEの情報を取得する。
【0079】
推定処理部153は、通信部110を介して、光信号パスに含まれる各NEとデータ通信を実行し、光信号パスに含まれる各NEからログ情報を取得する。推定処理部153は、ログ情報に対して形態素解析を実行することで、複数の形態素に分解する。推定処理部153は、分解した各形態素と、ログベクトル辞書143とを比較して各形態素のベクトルを特定し、特定した各形態素のベクトルを積算することで、ログ情報のベクトルを算出する。
【0080】
推定処理部153は、現在の時間と、各NEが設置された地域と、伝送路環境情報とを基にして、該当するNE間において、現在、雷が発生しているか否かを判定する。推定処理部153は、ネットワーク上の時間を管理するサーバから、時間の情報を取得してもよい。推定処理部153は、雷が発生している場合には、伝送路情報の落雷フラグを「オン」に設定し、雷が発生していない場合には、伝送路情報の落雷フラグを「オフ」に設定する。
【0081】
推定処理部153は、上記の処理を実行することで、各光信号パスに対応する伝送路情報を生成し、入力データに設定する。推定処理部153が、伝送路情報を設定して、入力データに設定する処理は、
図4で説明した処理に対応する。また、推定処理部153が、入力データを機械学習モデルM1に入力して、通信品質スコアを算出する処理は、
図5で説明した処理に対応する。
【0082】
推定処理部153は、始点となるNEおよび終点となるNEの組と、選択した光信号パスの情報を、設定部154に出力する。
【0083】
設定部154は、始点となるNEおよび終点となるNEの組と、選択した光信号パスの情報を受け付けた場合に、該当する光信号パスによって光信号が伝送されるように、運用監視ネットワーク50上の各NEと通信データ通信を実行し、伝送経路を設定する。
【0084】
次に、本実施例に係るパス設定装置の処理手順の一例について説明する。
図7は、学習フェーズにおけるパス設定装置の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、パス設定装置100の学習処理部152は、教師データテーブル141から入力データと、ラベルとの組を取得する(ステップS101)。
【0085】
学習処理部152は、入力データを機械学習モデルM1に入力する(ステップS102)。学習処理部152は、機械学習モデルM1の出力とラベルとの差分を算出する(ステップS103)。
【0086】
学習処理部152は、差分が小さくなるように、機械学習モデルM1のパラメータを更新する(ステップS104)。学習処理部152は、機械学習を継続する場合には(ステップS105,Yes)、ステップS101に移行する。一方、学習処理部152は、機械学習を継続しない場合には(ステップS105,No)、処理を終了する。
【0087】
図8は、推論フェーズにおけるパス設定装置の処理手順を示すフローチャートである。
図8に示すように、パス設定装置100の推定処理部153は、光信号の始点となるNEと終点となるNEとの指定を受け付ける(ステップS201)。
【0088】
推定処理部153は、始点となるNEおよび終点となるNEと、ネットワーク情報142とを基にして、複数の光信号パスと光信号パスに含まれるNEの情報を特定する(ステップS202)。
【0089】
推定処理部153は、光信号パスを選択する(ステップS203)。推定処理部153は、光パスに含まれる各NEからログ情報を取得する(ステップS204)。推定処理部153は、ログ情報とログベクトル辞書143とを基にして、ログ情報のベクトルを算出する(ステップS205)。
【0090】
推定処理部153は、現在の時間と、NEが設置された地域と、伝送路環境情報144とを基にして、落雷フラグが「オン」であるか否かを特定する(ステップS206)。推定処理部153は、光信号パスの入力データに対応する伝送路情報を設定する(ステップS207)。
【0091】
推定処理部153は、全ての光信号パスを選択していない場合には(ステップS208,No)、ステップS203に移行する。一方、推定処理部153は、全ての光信号パスを選択した場合には(ステップS208、Yes)、ステップS209に移行する。
【0092】
推定処理部153は、各光信号パスに対応する入力データを、機械学習モデルM1に入力することで、各光信号パスの通信品質スコアを算出する(ステップS209)。
【0093】
推定処理部153は、複数の光信号パスのうち、通信品質スコアが最大となる光信号パスを選択する(ステップS210)。パス設定装置100の設定部154は、推定処理部153によって選択された光信号パスを、光ネットワーク上に設定する(ステップS211)。
【0094】
次に、本実施例に係るパス設定装置100の効果について説明する。パス設定装置100は、教師データテーブル141に格納された光信号パスの入力データと、通信品質のラベルとの関係を基にして、機械学習モデルM1の機械学習を実行する。パス設定装置100は、訓練済みの機械学習モデルM1に、評価対象となる複数の光信号パスの入力データを入力することで、各光信号パスの通信品質スコアを算出し、各光信号パスを評価する。かかる評価結果を利用することで、効率的に光信号パスを設定できる。
【0095】
パス設定装置100は、複数の光信号パスから、通信品質スコアが最大となる光信号パスを選択して、光ネットワークに設定する。光信号パスの入力データは、NEのログ情報のベクトルや、気象情報が含まれるため、雷や地震等の天候によって、通信品質が断続的に不安定になる光信号パスを選択することを抑止しして、効率的に光信号パスを設定することができる。
【0096】
たとえば、
図12で説明したように、従来技術では、光信号パスAと光信号パスBとの間で無駄な切り替えが発生してしまう。これに対して、パス設定装置100は、光信号パスA,B,Cの入力データを、機械学習モデルM1に入力することで、通信評価スコアの高い光信号パスCを優先して選択することができ、無駄な切り替えの発生を抑止することができる。
【0097】
ところで、上記の実施例に係るパス設定装置100は、光信号パスに対応する入力データとして、複数のスパン情報と信号種別とを設定していたが、これに限定されるものではない。たとえば、パス設定装置100は、複数のスパン情報と信号種別に加えて、「信号負荷率」を設定してもよい。たとえば、信号パスのNEの付近で大規模なイベントが発生する場合には、信号負荷率が増加する傾向があり、信号パスの通信品質が低下する場合がある。
【0098】
図9は、信号負荷率が設定された教師データテーブルの一例を示す図である。
図9に示すように、かかる教師データテーブル241の入力データには、
図2で説明した教師データテーブル141に加えて、信号負荷率が設定されている。パス設定装置100は、教師データテーブル241を基にして、機械学習モデルM1の機械学習を実行することで、大規模なイベントによる影響を考慮して、通信品質のよい光信号パスを選択することができる。
【0099】
なお、パス設定装置100は、推定フェーズにおいて、地域毎のイベント規模と、イベント規模に応じた信号負荷率を基にして、入力データの信号負荷率を設定し、係る入力データを、機械学習モデルM1に入力することで、通信品質スコアを算出してもよい。
【0100】
また、光信号パスの通信品質は、地震などによる影響を受ける場合もある。このため、スパン情報に設定される落雷フラグに加えて、振動フラグを更に設定してもよい。該当するNEが設置された地域で地震が発生した場合には、振動フラグを「オン」に設定し、地震が発生していない場合には、振動フラグを「オフ」に設定する。
【0101】
次に、上述したパス設定装置100と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。
図10は、本実施例のパス設定装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0102】
図10に示すように、コンピュータ300は、各種演算処理を実行するCPU301と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置302と、ディスプレイ303とを有する。また、コンピュータ300は、有線または無線ネットワークを介して、外部装置等との間でデータの授受を行う通信装置304と、インタフェース装置305とを有する。また、コンピュータ300は、各種情報を一時記憶するRAM306と、ハードディスク装置307とを有する。そして、各装置301~307は、バス308に接続される。
【0103】
ハードディスク装置307は、取得プログラム307a、学習処理プログラム307b、推定処理プログラム307c、設定プログラム307dを有する。CPU301は、各プログラム307a~307dを読み出してRAM306に展開する。
【0104】
取得プログラム307aは、取得プロセス306aとして機能する。学習処理プログラム307bは、学習処理プロセス306bとして機能する。推論処理プログラム307cは、推論処理プロセス306cとして機能する。設定プログラム307dは、設定プロセス306dとして機能する。
【0105】
取得プロセス306aの処理は、取得部151の処理に対応する。学習処理プロセス306bの処理は、学習処理部152の処理に対応する。推定処理プロセス306cの処理は、推定処理部153の処理に対応する。設定プロセス306dの処理は、設定部154の処理に対応する。
【0106】
なお、各プログラム307a~307dについては、必ずしも最初からハードディスク装置307に記憶させておかなくても良い。例えば、コンピュータ300に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300が各プログラム307a~307dを読み出して実行するようにしてもよい。
【0107】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0108】
(付記1)光ネットワークに含まれる光信号の始点端末から前記光信号の終点端末に至るまでに経由する複数の第1端末の特徴と、前記複数の第1端末の第1ログ情報とを含む第1光信号パスの情報を入力とし、前記第1光信号パスの通信品質を出力として機械学習モデルの機械学習を実行し、
ある端末から他の端末に至るまでに経由する複数の第2端末の特徴と、前記複数の第2端末の第2ログ情報とを含む複数の第2光信号パスの情報を、前記機械学習モデルに入力し、前記複数の第2光信号パスの通信品質を評価する、
処理を実行する制御部を有する光パス設定装置。
【0109】
(付記2)前記第1光信号パスの情報は、前記第1ログ情報を取得した時間帯の第1気象情報を更に含み、前記複数の第2光信号パスの情報は、前記第2ログ情報を取得した時間帯の第2気象情報を更に含むことを特徴とする付記1に記載の光パス設定装置。
【0110】
(付記3)前記評価する処理は、前記ある端末から他の端末に至るまでの経路の異なる複数の第2光信号パスの情報を生成し、前記複数の第2光信号パスをそれぞれ前記機械学習モデルに入力することで、前記複数の第2光信号パスの通信品質をそれぞれ評価することを特徴とする付記1又は2に記載の光パス設定装置。
【0111】
(付記4)前記評価する処理の評価結果を基にして、前記複数の第2光信号パスから、一つの第2光信号パスを選択し、選択した第2光信号パスを前記光ネットワークに設定する処理を更に実行することを特徴とする付記3に記載の光パス設定装置。
【0112】
(付記5)前記第1ログ情報および前記第2ログ情報のベクトルを算出する処理を更に実行し、前記機械学習を実行する処理は、前記第1ログ情報のベクトルを前記第1光信号パスの情報に設定し、前記評価する処理は、前記第2ログ情報のベクトルを前記第2光信号パスの情報に設定することを特徴とする付記1又は2に記載の光パス設定装置。
【0113】
(付記6)前記機械学習を実行する処理は、前記第1気象情報として、雷が発生しているか否か、あるいは、地震が発生しているか否かの情報を設定し、前記評価する処理は、前記第2気象情報として、雷が発生しているか否か、あるいは、地震が発生しているか否かの情報を設定することを特徴とする付記2に記載の光パス設定装置。
【0114】
(付記7)前記機械学習を実行する処理は、前記第1光信号パスの情報に、信号負荷率の情報を更に設定し、前記評価する処理は、前記第2光信号パスの情報に、信号負荷率の情報を更に設定することを特徴とする付記1又は2に記載の光パス設定装置。
【0115】
(付記8)光ネットワークに含まれる光信号の始点端末から前記光信号の終点端末に至るまでに経由する複数の第1端末の特徴と、前記複数の第1端末の第1ログ情報とを含む第1光信号パスの情報を入力とし、前記第1光信号パスの通信品質を出力として機械学習モデルの機械学習を実行し、
ある端末から他の端末に至るまでに経由する複数の第2端末の特徴と、前記複数の第2端末の第2ログ情報とを含む複数の第2光信号パスの情報を、前記機械学習モデルに入力し、前記複数の第2光信号パスの通信品質を評価する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする光パス設定方法。
【0116】
(付記9)前記第1光信号パスの情報は、前記第1ログ情報を取得した時間帯の第1気象情報を更に含み、前記複数の第2光信号パスの情報は、前記第2ログ情報を取得した時間帯の第2気象情報を更に含むことを特徴とする付記8に記載の光パス設定方法。
【0117】
(付記10)前記評価する処理は、前記ある端末から他の端末に至るまでの経路の異なる複数の第2光信号パスの情報を生成し、前記複数の第2光信号パスをそれぞれ前記機械学習モデルに入力することで、前記複数の第2光信号パスの通信品質をそれぞれ評価することを特徴とする付記8又は9に記載の光パス設定方法。
【0118】
(付記11)前記評価する処理の評価結果を基にして、前記複数の第2光信号パスから、一つの第2光信号パスを選択し、選択した第2光信号パスを前記光ネットワークに設定する処理を更に実行することを特徴とする付記10に記載の光パス設定方法。
【0119】
(付記12)前記第1ログ情報および前記第2ログ情報のベクトルを算出する処理を更に実行し、前記機械学習を実行する処理は、前記第1ログ情報のベクトルを前記第1光信号パスの情報に設定し、前記評価する処理は、前記第2ログ情報のベクトルを前記第2光信号パスの情報に設定することを特徴とする付記8又は9に記載の光パス設定方法。
【0120】
(付記13)前記機械学習を実行する処理は、前記第1気象情報として、雷が発生しているか否か、あるいは、地震が発生しているか否かの情報を設定し、前記評価する処理は、前記第2気象情報として、雷が発生しているか否か、あるいは、地震が発生しているか否かの情報を設定することを特徴とする付記9に記載の光パス設定方法。
【0121】
(付記14)前記機械学習を実行する処理は、前記第1光信号パスの情報に、信号負荷率の情報を更に設定し、前記評価する処理は、前記第2光信号パスの情報に、信号負荷率の情報を更に設定することを特徴とする付記8又は9に記載の光パス設定方法。
【0122】
(付記15)光ネットワークに含まれる光信号の始点端末から前記光信号の終点端末に至るまでに経由する複数の第1端末の特徴と、前記複数の第1端末の第1ログ情報とを含む第1光信号パスの情報を入力とし、前記第1光信号パスの通信品質を出力として機械学習モデルの機械学習を実行し、
ある端末から他の端末に至るまでに経由する複数の第2端末の特徴と、前記複数の第2端末の第2ログ情報と含む複数の第2光信号パスの情報を、前記機械学習モデルに入力し、前記複数の第2光信号パスの通信品質を評価する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする光パス設定プログラム。
【0123】
(付記16)前記第1光信号パスの情報は、前記第1ログ情報を取得した時間帯の第1気象情報を更に含み、前記複数の第2光信号パスの情報は、前記第2ログ情報を取得した時間帯の第2気象情報を更に含むことを特徴とする付記15に記載の光パス設定プログラム。
【0124】
(付記17)前記評価する処理は、前記ある端末から他の端末に至るまでの経路の異なる複数の第2光信号パスの情報を生成し、前記複数の第2光信号パスをそれぞれ前記機械学習モデルに入力することで、前記複数の第2光信号パスの通信品質をそれぞれ評価することを特徴とする付記15又は16に記載の光パス設定プログラム。
【0125】
(付記18)前記評価する処理の評価結果を基にして、前記複数の第2光信号パスから、一つの第2光信号パスを選択し、選択した第2光信号パスを前記光ネットワークに設定する処理を更に実行することを特徴とする付記17に記載の光パス設定プログラム。
【0126】
(付記19)前記第1ログ情報および前記第2ログ情報のベクトルを算出する処理を更に実行し、前記機械学習を実行する処理は、前記第1ログ情報のベクトルを前記第1光信号パスの情報に設定し、前記評価する処理は、前記第2ログ情報のベクトルを前記第2光信号パスの情報に設定することを特徴とする付記15又は16に記載の光パス設定プログラム。
【0127】
(付記20)前記機械学習を実行する処理は、前記第1気象情報として、雷が発生しているか否か、あるいは、地震が発生しているか否かの情報を設定し、前記評価する処理は、前記第2気象情報として、雷が発生しているか否か、あるいは、地震が発生しているか否かの情報を設定することを特徴とする付記16に記載の光パス設定プログラム。
【0128】
(付記21)前記機械学習を実行する処理は、前記第1光信号パスの情報に、信号負荷率の情報を更に設定し、前記評価する処理は、前記第2光信号パスの情報に、信号負荷率の情報を更に設定することを特徴とする付記15又は16に記載の光パス設定プログラム。