(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127340
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理システム、対価決定方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20240912BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20240912BHJP
G06Q 30/0282 20230101ALI20240912BHJP
G09F 23/10 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
G06Q30/0242
G06Q30/06
G06Q30/0282
G09F23/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036441
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】楠 貴大
(72)【発明者】
【氏名】宮木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】藤原 崇史
(72)【発明者】
【氏名】山口 真広
(72)【発明者】
【氏名】塚原 俊之
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L030BB21
5L049BB08
5L049BB21
(57)【要約】
【課題】印刷物を用いた商品の宣伝広告を活性化する。
【解決手段】情報処理システム10は、画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得する取得部と、前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第1の決定部と、前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第2の決定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得する取得部と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第1の決定部と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第2の決定部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得する取得部と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第1の決定部と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、決定された前記第1の対価情報に基づいて決定する第2の決定部と、
を備える情報処理システム。
【請求項3】
前記印刷物には、URLが印刷されており、または、前記URLを符号化した2次元コードが印刷されており、
前記広告効果に関する前記第1の情報は、前記URLにより特定されるwebページへのアクセス回数を測定することで算出される、請求項1、または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記広告効果の基準を設定する基準設定部を、さらに備え、
前記第1の決定部、および前記第2の決定部は、前記第1の情報が、前記基準以上であるか否かに応じて、前記第1の対価情報、および前記第2の対価情報を変更する、請求項1、または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
過去において印刷物に印刷した広告内容と同じ広告内容が印刷された前記印刷物を作成する場合には、広告効果の前記基準は、過去における前記印刷物の広告効果である、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
広告効果の前記基準は、対応する広告内容の過去の履歴に基づいて設定される、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記基準は、広告内容として、広告主である利用者の企業規模、広告する商品に基づいて設定される標準的な広告効果に基づいて設定される、請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
広告効果の前記基準は、印刷物の広告手段に基づいて設定される、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項9】
同じ広告内容の広告を印刷物以外の他の広告媒体により行った場合において、広告効果の前記基準は、他の広告媒体による広告効果に基づいて設定される、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を上回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を上げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を上げ、
前記広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を下回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を下げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を下げる、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を上回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を上げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を下げ、
前記広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を下回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を下げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を上げる、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項12】
広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を上回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を下げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を下げ、
広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を下回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を上げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を上げる、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項13】
同じ広告内容の印刷物を複数ロット作成する場合において、
前回のロットで決定された前記第1、第2の対価情報は、次のロットの前記印刷物を作成する際に反映される、請求項1、または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記第1、第2の対価情報は、前記印刷物を作成してから所定期間経過後における前記第1の情報に基づいて決定されている、請求項1、または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記利用者は、前記印刷物を作成する第1の提供者へ対価を支払う際に、ポイントを充当可能であり、
前記利用者は、広告効果の前記第1の情報に応じた前記ポイントが付与される、請求項1、または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項16】
広告効果の前記第1の情報に基づいて、第1の対価情報、および第2の対価情報を設定する設定テーブルを記憶する記憶部を、有し、
前記設定テーブルは、前記利用者、前記第1の提供者、および前記第2の提供者のいずれかにより設定できる、または、
前記記憶部に記憶されている設定テーブルは、値が異なる複数の設定テーブルが記憶され、前記利用者、前記第1の提供者、および前記第2の提供者のいずれかにより、いずれかの前記設定テーブルを選択できる、請求項1、または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記取得部は、広告用の印刷物を印刷する際に、広告に関する第2の情報を取得し、
さらに、取得した前記第2の情報に基づいて、画像形成装置で作成する前記印刷物を、広告の広告効果を測定可能な印刷物として作成するか否かを判定する判定部と、
前記判定の結果を出力する出力部と、
を、備え、
前記取得部は、前記判定の結果に基づいて、広告の広告効果を測定可能な印刷物として前記画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する前記第1の情報を取得する、請求項1、または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項18】
画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得するステップ(a)と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(b)と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(c)と、
を含む、対価決定方法。
【請求項19】
画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得するステップ(a)と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(b)と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記ステップ(b)で決定された前記第1の対価情報に基づいて決定するステップ(c)と、
を含む、対価決定方法。
【請求項20】
画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得するステップ(a)と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(b)と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(c)と、
を含む、処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【請求項21】
画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得するステップ(a)と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(b)と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記ステップ(b)で決定された前記第1の対価情報に基づいて決定するステップ(c)と、
を含む、処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、対価決定方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品等の宣伝を行いたいブランドオーナーは、商品の宣伝を目的として印刷物の作成を行わせ、これを消費者にDMで送付したり、展示会場で配布したりする。しかしながら、単に配布しただけでは印刷物の広告効果がどの程度のものかを把握することは困難である。
【0003】
特許文献1に開示された手法では、ユーザーに供給する印刷物に、ナンバーコード及び確認コードを付与し、該ナンバーコード及び確認コードを付与した印刷物を、ユーザーに供給し、インターネットに接続されたパーソナルコンピュータの入力手段を介して、ユーザーコードと共に入力されたナンバーコードを、サーバーが登録された当選情報と照会し、照会結果に応じて、ポイントを付与し、該ポイントを、ユーザー毎にプールする。このようにすることで、印刷物が見られることなく廃棄されるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法では、依然として、印刷物による広告効果は、印刷物の作成時点では不明である。想定通りの広告効果がない場合でも、ブランドオーナーは、印刷物の作成に一定の費用が必要となる。これが障壁となり、ブランドオーナーは、商品の宣伝広告のための広告媒体として印刷物の作成を行わせるかを迷う場合がある。また、印刷物の作成を請け負う印刷会社も、請け負った時点では印刷物の広告効果は不明であることから、仮に広告効果のある印刷物を作成したとしても、印刷物に対する対価には反映されないため(強気の価格設定ができないため)、広告効果のある印刷物を作成しようとするモチベーションには繋がらなかった。このように利用者であるブランドオーナー、および請負先の印刷会社がともに、積極的に商品の広告に印刷物を用いる動機付けが弱く、控えられる傾向が見られた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、このような障壁を取り除き、印刷物を用いた商品の宣伝広告の市場が活性化されることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得する取得部と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第1の決定部と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第2の決定部と、
を備える情報処理システム。
【0009】
(2)画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得する取得部と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第1の決定部と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、決定された前記第1の対価情報に基づいて決定する第2の決定部と、
を備える情報処理システム。
【0010】
(3)前記印刷物には、URLが印刷されており、または、前記URLを符号化した2次元コードが印刷されており、
前記広告効果に関する前記第1の情報は、前記URLにより特定されるwebページへのアクセス回数を測定することで算出される、上記(1)、または上記(2)に記載の情報処理システム。
【0011】
(4)前記広告効果の基準を設定する基準設定部を、さらに備え、
前記第1の決定部、および前記第2の決定部は、前記第1の情報が、前記基準以上であるか否かに応じて、前記第1の対価情報、および前記第2の対価情報を変更する、上記(1)、または上記(2)に記載の情報処理システム。
【0012】
(5)過去において印刷物に印刷した広告内容と同じ広告内容が印刷された前記印刷物を作成する場合には、広告効果の前記基準は、過去における前記印刷物の広告効果である、上記(4)に記載の情報処理システム。
【0013】
(6)広告効果の前記基準は、対応する広告内容の過去の履歴に基づいて設定される、上記(4)に記載の情報処理システム。
【0014】
(7)前記基準は、広告内容として、広告主である利用者の企業規模、広告する商品に基づいて設定される標準的な広告効果に基づいて設定される、上記(6)に記載の情報処理システム。
【0015】
(8)広告効果の前記基準は、印刷物の広告手段に基づいて設定される、上記(4)に記載の情報処理システム。
【0016】
(9)同じ広告内容の広告を印刷物以外の他の広告媒体により行った場合において、広告効果の前記基準は、他の広告媒体による広告効果に基づいて設定される、上記(4)に記載の情報処理システム。
【0017】
(10)前記広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を上回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を上げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を上げ、
前記広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を下回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を下げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を下げる、上記(3)に記載の情報処理システム。
【0018】
(11)前記広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を上回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を上げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を下げ、
前記広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を下回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を下げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を上げる、上記(3)に記載の情報処理システム。
【0019】
(12)広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を上回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を下げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を下げ、
広告効果に関する前記第1の情報が前記基準を下回った場合には、前記第1の決定部は前記第1の対価情報を上げ、および前記第2の決定部は前記第2の対価情報を上げる、上記(3)に記載の情報処理システム。
【0020】
(13)同じ広告内容の印刷物を複数ロット作成する場合において、
前回のロットで決定された前記第1、第2の対価情報は、次のロットの前記印刷物を作成する際に反映される、上記(1)、または上記(2)に記載の情報処理システム。
【0021】
(14)前記第1、第2の対価情報は、前記印刷物を作成してから所定期間経過後における前記第1の情報に基づいて決定されている、上記(1)、または上記(2)に記載の情報処理システム。
【0022】
(15)前記利用者は、前記印刷物を作成する第1の提供者へ対価を支払う際に、ポイントを充当可能であり、
前記利用者は、広告効果の前記第1の情報に応じた前記ポイントが付与される、上記(1)、または上記(2)に記載の情報処理システム。
【0023】
(16)広告効果の前記第1の情報に基づいて、第1の対価情報、および第2の対価情報を設定する設定テーブルを記憶する記憶部を、有し、
前記設定テーブルは、前記利用者、前記第1の提供者、および前記第2の提供者のいずれかにより設定できる、または、
前記記憶部に記憶されている設定テーブルは、値が異なる複数の設定テーブルが記憶され、前記利用者、前記第1の提供者、および前記第2の提供者のいずれかにより、いずれかの前記設定テーブルを選択できる、上記(1)、または上記(2)に記載の情報処理システム。
【0024】
(17)前記取得部は、広告用の印刷物を印刷する際に、広告に関する第2の情報を取得し、
さらに、取得した前記第2の情報に基づいて、画像形成装置で作成する前記印刷物を、広告の広告効果を測定可能な印刷物として作成するか否かを判定する判定部と、
前記判定の結果を出力する出力部と、
を、備え、
前記取得部は、前記判定の結果に基づいて、広告の広告効果を測定可能な印刷物として前記画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する前記第1の情報を取得する、上記(1)、または上記(2)に記載の情報処理システム。
【0025】
(18)画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得するステップ(a)と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(b)と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(c)と、
を含む、対価決定方法。
【0026】
(19)画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得するステップ(a)と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(b)と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記ステップ(b)で決定された前記第1の対価情報に基づいて決定するステップ(c)と、
を含む、対価決定方法。
【0027】
(20)画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得するステップ(a)と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(b)と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(c)と、
を含む、処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【0028】
(21)画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得するステップ(a)と、
前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定するステップ(b)と、
前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記ステップ(b)で決定された前記第1の対価情報に基づいて決定するステップ(c)と、
を含む、処理をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る情報処理システムは、画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得する取得部と、前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第1の決定部と、前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第2の決定部と、を備える。これにより、利用者、および印刷会社が積極的に印刷物を用いた商品の宣伝広告を利用するようになり、市場が活性化される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムが適用される市場における、印刷物、広告、対価の支払い等の取り扱いの状況を示す模式図である。
【
図2】広告効果測定用の情報として、webページのURLをコード化した2次元コードを付与した広告用印刷物の例である。
【
図3】各種の広告効果測定用の情報と、広告効果の判定に用いる指標値との関係を示す図である。
【
図4】情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図5】第2の手法における、基準x1との比較結果と第1、第2の対価情報の変更、維持を示す図である。
【
図7】広告効果に基づいて対価を決定する処理を示すフローチャートである。
【
図8】広告効果により、第1、第2の対価情報を変更する設定テーブル4の例である。
【
図9】第2の実施形態に係る情報処理システムが適用される市場における、印刷物、広告、対価の支払い等の取り扱いの状況を示す模式図である。
【
図10】広告効果、および印刷単価(第1の対価情報)に基づいて対価を決定する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の範囲は、開示される実施形態に限定されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0032】
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システム10が適用される市場における、印刷物、広告、対価の支払い等の取り扱いの状況を示す模式図である。
【0033】
図1に示すように、情報処理システム10は、端末装置30、50、webサーバー70等と、ネットワークを通じて相互に通信接続する。ネットワークは、公衆電話網またはデータ通信網等の通信回線である。一部のネットワークでは、有線LANや、無線LAN等(例えばIEEE802.11規格に従ったLAN)が用いられてもよい。
【0034】
端末装置30、50は、PC(パーソナルコンピュータ)、またはスマートフォン等の携帯型の通信端末である。例えば、端末装置30は情報処理システム10のユーザーが使用するPCであり、端末装置50はユーザーが用いるカメラ機能付きのスマートフォンである。このユーザーは、顧客または消費者とも称され、ブランドオーナーが提供する商品を購入したり、サービスを利用したりする。ブランドオーナーは、ユーザーに対して商品を販売したり、セミナー、研修、イベント等(以下、これらをセミナー等という)のサービスを提供したりする事業者である。
【0035】
ブランドオーナーは、広告主であり、ユーザーに、商品またはサービス(以下、商品等という)をユーザーに広告するために広告用の印刷物をユーザーに配布(手渡し、DM(ダイレクトメール))する。
【0036】
印刷会社は、ブランドオーナー等の顧客の要望に応じて、印刷物p1を作成し、顧客に印刷物を提供する。例えば、1つのロット(発注単位のこと、以下同じ)では、百枚~数十万枚の枚数の印刷物p1が作成される。印刷物p1は例えば、カット用紙に印刷した宣伝紙、または大サイズの用紙に印刷したポスターである。印刷会社が使用する画像形成装置には、オフセット印刷方式等の版を作成して大量印刷を行うアナログ印刷機と、電子写真方式、インクジェット方式等の方式を用いたデジタル印刷機が含まれる。
【0037】
印刷機メーカーは、デジタル印刷機を、印刷会社に提供するとともに、デジタル印刷機の消耗品を印刷会社に提供する。電子写真方式のデジタル印刷機であれば、消耗品には、トナーが含まれる。インクジェット方式のデジタル印刷機であれば、消耗品には、インクが含まれる。
【0038】
図1に示す印刷物p1の作成・提供フローにおいては、ブランドオーナーは利用者である。印刷会社は、ブランドオーナーの要求に応じてブランドオーナーに印刷物を提供する第1の提供者である。印刷機メーカーは、印刷会社の要求、または契約に応じて印刷機自体を提供したり、印刷物p1の消耗品を提供したりする第2の提供者である。
【0039】
利用者であるブランドオーナーは、印刷物p1の提供の見返りに印刷価格に応じた対価を第1の提供者である印刷会社に支払う。この印刷価格は、第1の対価情報に基づいて算出される。ここで各対価情報(第1、第2の対価情報)は、支払われる対価の算定に用いられる情報、対価を決定する際の指標となる情報等を含む。例えば対価情報は、印刷1枚当たりの単価(枚数単価)である。この場合、第1の対価情報に印刷枚数を乗じることで印刷価格が算出される。対価情報は、請け負った1つのロットの印刷枚数に応じた段階的な定額料金であってもよい。
【0040】
第1の提供者である印刷会社は、印刷物を印刷に用いた印刷機の消耗品の提供の見返りにクリック価格に応じた対価を第2の提供者である印刷機メーカーに支払う。ここで、クリック価格とは、消耗品の消費量(補充量)に対応する価格、または印刷枚数に対応する価格であり、第2の対価情報と、消費量または印刷枚数に基づいて算出される。
【0041】
本実施形態では、ブランドオーナー、印刷会社、印刷機メーカー、すなわち、利用者、第1、第2の提供者の3者が全体として協力することで、印刷物p1の作成・提供フローを実施する。そして、第1、第2の対価情報は、後述するように情報処理システム10(第1、第2の決定部)により、広告効果に関する同じ指標値(以下、第1の情報ともいう)に基づいて連動して決定される。この情報処理システム10の管理者は、3者であってもよい。この場合、情報処理システム10の管理は、3者によって共同で行なわれる。別の例として、3者のいずれかにより管理が行われてもよい。例えば、印刷機メーカーが主体となり、情報処理システム10を管理、運営する。また、管理者は、事前に他の2者との契約もしくは3者の調整、合意により、第1、第2の対価情報を決定するための設定テーブルの数値を設定したり、予め設定された異なる数値が記述された複数の設定テーブル(後述の設定テーブル1~n)の中から適用する設定テーブルを選択したりする。
【0042】
第1、第2の対価情報は、例えば、印刷1枚当たりの単価(枚数単価ともいう)であり、これを印刷枚数と乗じることにより対価(印刷価格、クリック価格)が算出される。あるいは、第1、第2の対価情報は、請け負った1つのロットの印刷枚数に応じた段階的な定額料金であってもよい。
【0043】
(広告効果に関する指標値(第1の情報))
図2は、広告効果測定用の情報(以下、単に印刷情報ともいう)として、webページのURL(Uniform Resource Locator)をコード化した2次元コードが付与された(が印刷された)広告用印刷物p1の例である。ブランドオーナーは、印刷会社からこのような印刷物p1の提供を受け、これをユーザーに配布する。ユーザーは、印刷物p1に付与された2次元コードを介して、URLで特定されるwebページにアクセスできる。例えば、端末装置50は、2次元コードをカメラ機能により読み取ってデコード化してURLを取得し、このURLによりwebサーバー70にアクセスし、webページを取得する。このwebページは、広告用印刷物が、商品購入に関するものであれば、商品購入用のwebページ、または商品の詳細な情報を示すwebページである。または、広告用印刷物が、セミナー、研修等のサービスに関するものであれば、このwebページは、セミナーや研修の申込み用のwebページ、または、サービスの詳細な情報を示すwebページである。
【0044】
1ロットの印刷物(例えば10万枚)では、同じURLの2次元コードが印刷されている。また、同じ内容の印刷物、または同じ商品等を広告対象とする実質的に同じ印刷物を異なる時期に提供するため複数ロットの印刷物p1が作成される場合もある。この場合は、ロット毎に異なるURLの2次元コードを、印刷物p1に付与するようにしてもよい。
【0045】
webサーバー70は、ブランドオーナー自身が管理したwebサーバーであってもよく、ブランドオーナーが外部委託した委託先が管理するwebサーバーであってもよい。webサーバー70は、ユーザーから、印刷物p1に付与された2次元コードを介してアクセスがあった場合には、アクセス回数をカウントする。このカウント数の情報は、広告効果に関する指標値(第1の情報)として、情報処理システム10に提供される。この広告効果に関する指標値を取得した、情報処理システム10は、これを用いて、第1、第2の対価情報を変更し、これにより、利用者が第1の提供者へ支払う対価(印刷価格)、および、第1の提供者から第2の提供者へ支払う対価(クリック価格)が決定される。
【0046】
(広告効果に関する他の指標値)
図2に示す例では、印刷物に付与された広告効果測定用の印刷情報は、URLの2次元コードで、指標値は、URLによるwebページへのアクセス数である例を示したが、これに限らず
図3に示す印刷情報、および指標値であってもよい。
【0047】
図3の項目a1の印刷情報は、
図2に示したURLの2次元コードであり、指標値としては、このURLへのアクセス数、URLで表示される商品の購入画面での商品の販売量(販売数、販売合計額)、URLで表示されるセミナー等の申し込み画面での申し込み人数、または、商品/セミナー等への購入、申し込みに関する同じユーザーのリピート回数である。
図3の項目a2の印刷情報は、URL自体を印刷したものであり、指標値としては、a1と同じである。印刷物p1を入手したユーザーは、URL自体を端末装置に入力することで、webページにアクセスできる。
図3の項目a3の印刷情報は、電話番号である。指標値としては、アクセス数ではなくコール数であるが、それ以外は、a1、a2と同じである。これらの指標値は、webサーバー70により自動で計測され、情報処理システム10に送られてもよく、あるいは、情報処理システム10の管理者(利用者、第1、第2の提供者のいずれでもよい)が、指標値を集計し、これを端末装置30から入力することで、情報処理システム10に送信するようにしてもよい。
【0048】
(情報処理システム10による第1、第2の対価情報の決定)
図4は、情報処理システム10の概略構成を示すブロック図である。情報処理システム10は、制御部11、記憶部12、および通信部13を備える。情報処理システム10は、例えば利用者、第1の提供者、および第2の提供者のいずれかの企業の敷地内にあるオンプレミスサーバーであってもよく、あるいは商用のクラウドサービスを利用したクラウドサーバーであってもよい。
【0049】
(制御部11)
制御部11は、CPUと、RAM、ROM等のメモリーを有する。CPUは、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマルチコアのプロセッサ等から構成される制御回路であり、情報処理システム10の各機能は、それに対応するプログラムをCPUが実行することにより発揮される。また、制御部11は、通信部13と協働することで取得部111として機能する。また、制御部11は、基準設定部112、第1の決定部113、第2の決定部114、および判定・出力部115として機能する。
【0050】
記憶部12は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する大容量の補助記憶装置である。ストレージには、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリー、ROM等が採用される。記憶部12には、第1、第2の対価情報、および複数の設定テーブル1~nが記憶される。これらの設定テーブルは、後述の
図3、5、6等の項目a1~a3、手法1または手法2(手法c21~c23)、および項目d1~d4それぞれの組み合わせ毎に設けられている。
【0051】
(通信部13)
通信部13は、PC等の外部の装置とネットワーク接続するインターフェースでもある。
【0052】
(取得部111)
取得部111は、webサーバー70広告効果の判定に用いる指標値を取得する。例えば、取得部111は、webサーバー70から、URLによるアクセス数、販売量、参加人数、および/またはリピート回数を取得したり、端末装置30を通じて、URLによるアクセス数、販売量、参加人数、および/またはリピート回数を取得したりする。
【0053】
(基準設定部112)
基準設定部112は、広告効果の基準x1を設定する。基準設定部112は、印刷物p1に印刷した広告内容、利用者(ブランドオーナー)の企業規模、商品の売り上げ量、商品の種類、季節関連商品であるか否か、広告手段等により広告効果の基準x1を設定する。基準x1の設定の具体的な例については後述する。
【0054】
(第1、第2の決定部113、114)
第1の決定部113は、印刷物の作成を依頼する利用者(ブランドオーナー)が、画像形成装置(デジタル印刷機)により印刷物を作成する第1の提供者(印刷会社)に支払う対価の情報に関する第1の対価情報を、印刷物の効果に関する第1の情報(指標値)に基づいて決定する。また、第2の決定部114は、第1の提供者が、画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者(印刷機メーカー)に支払う対価の情報に関する第2の対価情報を、同じ第1の情報(指標値)に基づいて決定する。ここで、第1の対価情報は、第1の提供者に支払う対価の算定に関する情報でもある。また、第2の対価情報は、第2の提供者に支払う対価の算定に関する情報でもある。
【0055】
(判定・出力部115)
判定・出力部115は、判定部および出力部として機能し、取得部111が取得した広告に関する第2の情報に基づいて、画像形成装置で作成する印刷物を、広告の広告効果を測定可能な印刷物として作成するか否かを判定する。すなわち、判定・出力部115は、広告効果測定用の印刷情報を、印刷物p1に付与するか否かを判定する。また、判定・出力部115は、判定結果を出力する。広告に関する第2の情報は、例えば、広告の配布対象者に関する情報である、または、広告の対象となる商品またはサービスに関する情報である。例えば、広告の対象が商品、またはサービスである場合において、判定・出力部115は、配布対象者の利用回数(購入回数、提供回数)に応じて判定したり、この商品の前回の購入、またはサービスの提供を最後に受けてからの経過日数に応じて判定したりする。 判定・出力部115は、利用回数が所定値以下の場合、または経過日数が所定期間よりも短い場合には、広告効果を測定可能な印刷物として作成すると判定する。または、判定・出力部115は、商品価格が所定金額よりも高い場合には、またはサービスがサブスクである場合には、広告効果を測定可能な印刷物として作成すると判定する。また、出力結果は、表示データであり、例えば、情報処理システム10から印刷会社にあるPC等に送信され、表示される。
【0056】
(手法1)
具体的には、手法1としては、第1の決定部113は、取得部111が取得した指標値および設定テーブル1を用いて、第1の対価情報を決定する。設定テーブル1には、指標値と第1の対価情報との関係が記述されている。同様に、第2の決定部114は、取得部111が取得した同じ指標値および設定テーブル2を用いて、第2の対価情報を決定する。設定テーブル2には、指標値と第2の対価情報との関係が記述されている。なお、設定テーブル1は、値が異なる複数のテーブルが記憶されていてもよく、管理者(例えば第1の提供者)は、その中から、他の者(例えば第1の提供者以外)との契約に応じて、所望の設定テーブル1を選択するようにしてもよい。設定テーブル2も同様に、値が異なる複数のテーブルが記憶されていてもよく、管理者は、その中から、他の者(例えば第1の提供者以外)との契約に応じて、所望の設定テーブル1を選択するようにしてもよい(後述する他の設定テーブル3、4……nでも同様)。
【0057】
(手法2)
あるいは、手法2として、第1、第2の決定部113、114はそれぞれ、取得部111が取得した指標値を基準x1と比較し、比較結果により、第1、第2の対価情報を変更または維持させるようにしてもよい。
図5は、手法2における、基準x1との比較結果と第1、第2の対価情報の変更、維持を示す、図である。手法2においては、手法c21、c22、c23のいずれかが適用されうる。
【0058】
(手法c21)
図5に示すように、例えば手法c21では、広告効果の指標値(第1の情報)が基準x1を上回った場合には、第1の決定部113は、デフォルトの対価情報よりも第1の対価情報を上げる、すなわち、利用者から第1の提供者へ支払う対価を上げる。例えば、指標値としてのURLによるwebページへのアクセス回数が2万回であり、基準x1の1万回を上回った場合には、第1の決定部113は、第1の対価情報を上げる。同様に広告効果の指標値が基準x1を上回った場合には、第2の決定部114は、デフォルトの対価情報よりも第2の対価情報を上げる、すなわち、第1の提供者から第2の提供者へ支払う対価を上げる。逆に広告効果の指標値が基準x1を下回った場合には、第1、第2の決定部113、114は、それぞれ、第1、第2の対価算定基準を下げる。また、広告効果の指標値が基準x1と同じであれば、第1、第2の対価情報は、デフォルトの対価情報が維持される。なお、第1、第2の決定部113、114が、基準x1と広告効果の指標値が同じ、またはこれを上回る/下回ると判定するのはある程度の幅を持つようにしてもよい(以下の手法c22、c23でも同様)。例えば基準x1が1万回であり、その前後数%の範囲(例えば±10%範囲で9千~1万1千回)であれば、有意な差がないとして、第1、第2の決定部113、114は、基準x1と広告効果の指標値が同じ(同等)であると判定し、その範囲外であれば、指標値が基準x1を上回る/下回ると判定する。
【0059】
(手法c22)
図5に示すように、手法c22では、広告効果の指標値が基準x1を上回った場合には、第1の決定部113は、第1の対価情報を上げる。同様に広告効果の指標値が基準x1を上回った場合には、第2の決定部114は、第2の対価情報を下げる、すなわち、第1の提供者から第2の提供者へ支払う対価を下げる。広告効果の指標値が基準x1を下回った場合には、
図5に示すように第1、第2の決定部113、114は、これと逆の処理を行う。
図5に示すように手法c22は、広告効果を上げる自信のある印刷会社(第1の提供者)がより有意になるものであり、例えば、第1の提供者が主体となり、情報処理システム10を運用する場合に、好んで適用されるものである。
【0060】
(手法c23)
図5に示すように、手法c23では、第1、第2の決定部113、114は、手法c21と反対向きの処理を行う。すなわち、指標値が基準x1を上回った場合には、第1、第2の対価情報は引き下げられ、指標値が基準x1を下回った場合には、第1、第2の対価情報は引き上げられる。
図5に示すように手法c23は、広告効果を上げる自信のあるブランドオーナー(利用者)がより有意になるものであり、例えば、利用者が主体となり、情報処理システム10を運用する場合に、好んで適用されるものである。
【0061】
(タイミング)
なお、第1、第2の手法において共通する事項として、指標値の取得および、対価情報を決定するタイミングについて説明する。
【0062】
第1の例としては、指標値の取得は、印刷物p1が作成されてから(あるいは印刷物p1が利用者からユーザーに配布開始されてから)直ぐに開始され、所定の終期までに終了される。終期は、印刷物p1を作成し終わってから数週間から数ヶ月であり、例えば1ヶ月である。例えば、URLのwebページのアクセス回数であれば、取得部111は、1ヶ月の時点までの合計のアクセス回数を指標値として、取得する。そして、第1、第2の決定部113、114は、この指標値に基づいて、第1、第2の対価情報を決定する。利用者と第1の提供者、および第1の提供者と第2の提供者の間の対価の支払いは、決定された第1、第2の対価情報に基づいて、算出された印刷価格、クリック価格により行われる。
【0063】
第2の例としては、複数のロットの印刷部の受け渡しを繰り返し行う契約の場合がある。この場合には、第1のロットは、所定の金額による対価の支払いが行われる。そして、第2ロット以降においては、1つ前のロットn-1での指標値に基づいて、次のロットnにおける第1、第2の対価情報が決定され、次のロットnにおいて、印刷物p1を作成する際に反映される。例えば、第2ロットでは、第1ロットでの指標値に基づいて、決定された第1、第2の対価情報に基づいて、対価が決定される。
【0064】
(基準x1の設定)
図6は、各種の広告効果の基準x1の例を示す図である。基準設定部112は、項目d1~d4のいずれかにより、基準x1を設定できる。例えば項目d1を採用する場合には、基準設定部112は、過去において印刷物p1に印刷した広告内容と同じ広告内容が印刷された印刷物p1を作成する場合には、広告効果の基準として、過去における印刷物の広告効果を設定する。例えば、実質的に同じ広告内容(商品等が同じ)の印刷を複数ロットに渡って継続して行う場合に、基準設定部112は、過去のロットでの広告効果の指標値を、基準x1に設定する。例えば、1つ前のロットでの指標値としてのアクセス回数が、10万回であれば、基準設定部112は、この10万回を基準x1に設定する。
【0065】
項目d2を採用する場合には、基準設定部112は、広告内容の過去の履歴による一般的な広告効果に基づいて、基準x1を設定する。例えば、利用者の企業規模、広告の対象の商品の売り上げ、または、商品がお中元、お歳暮、クリスマス等の季節商品であるか否かにより設定される。この広告内容と、基準x1との関係は、設定テーブル3に設定されている。
【0066】
項目d3を採用する場合には、基準設定部112は、印刷物p1の広告手段が、DMであるか、ポスターであるかに応じて基準x1を設定する。例えば、DMであれば、印刷物p1の枚数(配布枚数)に対して、平均的に5%の反応があることが経験的な知見として得られているので、印刷物p1のロットの印刷枚数に5%を乗じることで、基準x1を算出できる。広告手段と、基準x1との関係は、設定テーブル4に設定されている。
【0067】
項目d4を採用する場合には、基準設定部112は、同じ広告内容を、他の媒体でも行っていた場合に、この他の広告媒体での広告効果を参考にして設定する。例えば、利用者が、同じ広告内容を、他の広告媒体としてeメールで、ユーザーに送信していた場合、基準設定部112は、このeメールでの反応数を基準として、基準x1を設定する。この項目d4の場合、管理者が端末装置30を介して基準x1を入力し、基準設定部112は、これを取得するようにしてもよい。
【0068】
(広告効果に基づいて対価を決定する処理)
次に
図7、
図8を参照し、広告効果に基づいて対価を決定する処理について説明する。
図7は、情報処理システム10により実行される対価決定処理を示すフローチャートである。以下においては、上述の
図3、
図5、および
図6において項目a1(2次元コードでアクセス回数)、手法2の手法c21、項目d1(過去の広告効果)が採用された場合を例にして説明する。この処理を進める時点では、現ロットの印刷物p1の作成、およびユーザーへの配布は既にされている。
【0069】
(ステップS01)
基準設定部112は、広告効果の基準x1を設定する。例えば過去のロットでのwebサーバー70へのアクセス回数(より詳細には、印刷情報により特定されるURLで遷移するwebページへのアクセス回数のこと、以下同じ)が20万回であれば、基準設定部112は、基準x1を20万回に設定する。
【0070】
(ステップS02)
取得部111は、広告効果の測定結果として、第1の情報(指標値)を取得する。例えば、制御部11は、印刷物p1が作成されてから所定期間経過後の時点、例えば1ヶ月後の時点までにおけるwebサーバー70へのアクセス回数を取得する。
【0071】
(ステップS03)
制御部11は、第1の情報を、基準x1と比較し、第1の情報が基準x1を上回っている場合(上がった場合)には、処理をステップS04に進め、下回った場合(下がった場合)には、処理をステップS05に進める。
【0072】
(ステップS04)
ここでは、第1、第2の決定部113、114は、それぞれ、第1、第2の対価情報を上げる。これにより印刷単価、およびクリック単価が上がる。
図8は、設定テーブル4の例である。例えば今回ロットで、アクセス回数が40万回であり、前回の20万回(基準x1)を上回っていることから、印刷単価、およびクリック単価は2倍に引き上げられる。
【0073】
(ステップS05)
ここでは、第1、第2の決定部113、114は、それぞれ、第1、第2の対価情報を下げる。これにより印刷単価、およびクリック単価が下がる。
【0074】
このように、本実施形態に係る情報処理システムは、画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得する取得部と、前記印刷物の作成を依頼する利用者が、像形成装置により印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、第1の情報に基づいて決定する第1の決定部と、第1の提供者が、画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、第1の情報に基づいて決定する第2の決定部と、を備える。
【0075】
これにより、利用者、および印刷会社が積極的に印刷物を用いた商品の宣伝広告が活性化される。特に利用者であるブランドオーナーは、広告効果に応じた対価を印刷会社に支払うことになり、DM等の印刷物の作成を依頼しやすくなる。また、印刷会社も広告効果に応じた、対価を受け取ることが可能になるとともに、広告効果が低かった場合でも一定の対価を受け取ることが可能となる。消耗品等を供給する印刷機メーカーにおいても印刷会社が受け取る対価を消耗品の対価に反映させることが可能になるとともに、印刷物による商品等の宣伝広告が活性化されることにより、印刷枚数が増えることになり、結果として、消耗品の需要増加によるメリットを享受することが可能となる。すなわち、利用者、第1、第2の提供者間がともに、リスクを回避するとともに、メリットを享受することになる。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、
図9、
図10を参照し、第2の実施形態における情報処理システム10について説明する。第2の実施形態に係る情報処理システム10においては、
図2~
図4に示した第1の実施形態の構成例を共通に適用できる。
【0077】
図9は、第2の実施形態に係る情報処理システム10が適用される市場における、印刷物、広告、対価の支払い等の取り扱いの状況を示す模式図である。
図9において、ユーザー、ブランドオーナー、印刷会社等の各構成主体、および各処理は、
図1と同様であり、説明を省略する。
図9に示す第2の実施形態では、
図1に示した実施形態とは異なり、広告効果に基づいてクリック単価(第2の対価情報)を直接決定するのではなく、広告効果に基づいて決定された印刷単価に基づいて、クリック単価(第2の対価情報)を決定する。
【0078】
図10は、第2の実施形態に係る情報処理システム10により実行される対価決定処理を示すフローチャートである。
図10に示す処理は、
図7に示す処理とは一部共通するため、異なる箇所を中心に説明する。
【0079】
(ステップS11~S13)
ステップS11~S13は、
図7のステップS01~S03と同じ処理である。基準設定部112は、広告効果の基準x1を設定し、取得部111は、広告効果の測定結果として第1の情報を取得する。また、制御部11は、第1の情報を、基準x1と比較し、第1の情報が基準x1を上回っているか否かを判定する。
【0080】
(ステップS14、S15)
ここでは、第1の決定部113は、
図7のステップS04、S05と同様の処理を行う。具体的には、第1の決定部113は、ステップS13の判定結果に応じて、第1の対価情報を上げる、または下げる。
【0081】
(ステップS16)
第2の決定部114は、ステップS14、またはステップS15によって第1の決定部113によって決定された印刷単価(第1の対価情報)に基づいて、クリック価格(第2の対価情報)。この場合、第2の決定部114は、記憶部12に記憶されている設定テーブルを参照し、ステップS14、S15で決定された印刷単価の絶対値に基づいてクリック価格を決定してもよく、ステップS14、S15で決定された印刷単価の変化(上がった、下がった、変化なし)に基づいてクリック単価を決定してもよい。
【0082】
例えば、
図5の手法c22と同様の結果になるように処理されてもよい。例えば、
図5の手法c22に示すように、基準x1を上回り、宣伝広告が活性化され、第1の対価情報が上がった場合には、印刷枚数の増加が見込まれるので、第2の決定部114は、第1の対価情報が上昇したことに応じて、第2の対価情報を下げるようにする。
【0083】
このように第2の実施形態に係る情報処理システムは、画像形成装置により作成された印刷物の広告効果に関する第1の情報を取得する取得部と、前記印刷物の作成を依頼する利用者が、前記画像形成装置により前記印刷物を作成する第1の提供者に支払う対価に関する第1の対価情報を、前記第1の情報に基づいて決定する第1の決定部と、前記第1の提供者が、前記画像形成装置で用いられる消耗品を提供する第2の提供者に支払う対価に関する第2の対価情報を、決定された前記第1の対価情報に基づいて決定する第2の決定部と、を備える。これにより、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0084】
以上に説明した情報処理システム10の構成は、上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な情報処理装置が備える構成を排除するものではない。例えば、判定・出力部115は、省略されてもよい。
【0085】
また、各実施形態は、相互に組み合わせて適用されてもよい。例えば、
図7に示すフローでは、手法1が適用されてもよい。また、対価の支払いに加えて、基準x1よりも広告効果が上がった場合に、上がった分を、ポイントとして保有し、次回以降の対価の支払いに使用するようにしてもよい。例えば、広告効果としてのアクセス回数が40万回で、基準x1の20万回に対して、20万回多い場合には、その差分20万回分のポイントとして20万ポイント(20万円相当分)をブランドオーナーに付与し、以降の支払いに充当できるようにする。
【0086】
また、上述した実施形態に係る情報処理システム10における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリーやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 情報処理システム
11 制御部
111 取得部
112 基準設定部
113 第1の決定部
114 第2の決定部
12 記憶部
13 通信部
30、50 端末装置