(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127345
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/00 20060101AFI20240912BHJP
C02F 11/10 20060101ALI20240912BHJP
C02F 11/13 20190101ALI20240912BHJP
C02F 11/148 20190101ALI20240912BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C02F11/00 C ZAB
C02F11/10 Z
C02F11/13
C02F11/148
C02F11/00 M
H01L21/304 622E
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036450
(22)【出願日】2023-03-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】523087191
【氏名又は名称】成信實業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】周 信輝
(72)【発明者】
【氏名】謝 興文
(72)【発明者】
【氏名】胡 紹華
(72)【発明者】
【氏名】鄭 文明
(72)【発明者】
【氏名】官 晉安
【テーマコード(参考)】
4D059
5F057
【Fターム(参考)】
4D059AA30
4D059BB02
4D059BD01
4D059BE01
4D059BE31
4D059BE38
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5F057AA31
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5F057BA11
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5F057DA03
5F057FA36
5F057FA43
(57)【要約】
【課題】半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法を提供する。
【解決手段】本発明の半導体化学研磨スラッジのリサイクル方法は、半導体CMPスラッジは含水率が30%~80%のスラッジであり、(1)乾燥ステップ、(2)焼成ステップ、(3)浸漬ステップ、(4)分離ステップ、(5)濃縮ステップ、(6)洗浄ステップ、(7)脱水ステップを含む。(8)産物として、(7)脱水ステップ後に得られた固体が二酸化ケイ素を含む産物であり、この乾量基準の二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの合計が94%より大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水率が30%~80%のスラッジである半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法であって、前記スラッジのリサイクル処理は、
(1)乾燥ステップとして、乾燥温度100℃~200℃、乾燥時間0.5~2時間で前記スラッジを乾燥させて水分を除去することにより固体スラッジを得るステップと、
(2)焼成ステップとして、前記(1)乾燥ステップで得られた固体スラッジを高温の炉に入れ、焼成温度800℃~1200℃、焼成時間0.5~3時間で焼成するステップと、
(3)浸漬ステップとして、前記(2)焼成ステップで得られた固体スラッジを反応槽に投入し、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸を含む無機酸成分と、カルボキシル基(-COOH)、スルホン酸基(R-SO3H)、スルフィン酸基(R-SOOH)、チオカルボン酸基(R-SH)を含む有機酸のうちいずれか一つの成分または複数の成分の混合物と脱イオン水を加えた溶液でありかつ前記溶液中の無機酸の規定度は5Nを超えずかつ前記溶液中の有機酸の規定度も5Nを超えない浸漬液を加え、当該浸漬液と当該固体スラッジの質量比1:1~10:1、かき混ぜ温度20℃~80℃、かき混ぜ時間0.5~2時間でかき混ぜるステップと、
(4)分離ステップとして、前記(3)浸漬ステップの反応後の産物に対し、固液分離を行い、固体と液体を得るステップと、
(5)濃縮ステップとして、前記(4)分離ステップの固液分離によって得られた液体を濃縮システムに送り、濃縮反応を行い、副産物である硫酸銅水溶液を得、前記濃縮システム中の残液を濃縮液リサイクルシステムに入れてリサイクルするステップと、
(6)洗浄ステップとして、前記(4)分離ステップの固液分離によって得られた固体を取り出した後、水を加え、水の濁度が150NTU未満の場合、水と固形の質量比1:1~10:1、洗浄時間0.5~2時間で洗浄するステップと、
(7)脱水ステップとして、前記(6)洗浄ステップ後の水と固形の混合物を脱水し、固体と液体を得、脱水後の当該液体を水リサイクルシステムに入れ、リサイクルするステップと、
を含み、
(8)産物として、前記(7)脱水ステップの脱水後に得られた固体が二酸化ケイ素を含む産物であり、当該産物の乾量基準の二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの合計が94%より大きい半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法。
【請求項2】
前記(4)分離ステップの分離方法としては、加熱乾燥、凍結乾燥、ろ過、遠心分離、沈降を含む方法のうちいずれか一つ、または複数の当該方法を組み合わせて使用可能であり、
前記(5)濃縮ステップの濃縮方法としては、抽出、熱蒸発、凍結濃縮、結晶化、電気分解、ろ過を含む方法のうちいずれか一つ、または複数の当該方法を組み合わせて使用可能であり、
前記(7)脱水ステップの脱水方法としては、加熱乾燥、凍結乾燥、ろ過、遠心分離を含む方法のうちいずれか一つ、または複数の当該方法を組み合わせて使用可能である請求項1に記載の半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェーハの製造プロセスにおいて、非常に重要なステップの一つは、化学機械研磨(CMP)プロセスであり、この半導体化学機械研磨で発生したスラッジ(CMPスラッジと略称)は、ウェーハ受託製造工場の主要な固体廃棄物であり、ウェーハ受託製造工程における化学機械研磨工程から得られたものである。CMPスラッジの主成分は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウムなどの高硬度のミネラルセラミック材料であり、シリコン粒子がメインである摩耗成分からなる。現在、CMPスラッジが一般産業廃棄物として認定されており、(台湾では)廃棄物コードD0902無機汚泥として工場から排出され、埋め立て、焼却等の処理を法的許可業者に委託されているが、これらの処理方法は、資源の再利用ができなく、資源の浪費となり、環境にもよくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法を提供することによって半導体化学機械研磨スラッジの処理方法の欠点を効果的に解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法における半導体CMPスラッジは、含水率が30%~80%のスラッジであり、このスラッジのリサイクル処理のステップは以下の通りである。
(1)乾燥ステップとして、CMPスラッジを乾燥させて水分を除去する。乾燥温度は100℃~200℃であり、乾燥時間は0.5~2時間である。これにより固体スラッジが得られる。
(2)焼成ステップとして、(1)乾燥ステップで得られた固体スラッジを一つの高温炉に入れて焼成を行う。焼成温度は800℃~1200℃であり、焼成時間は0.5~3時間である。
(3)浸漬ステップとして、(2)焼成ステップの焼成により得られた固体スラッジを反応槽に投入し、浸漬液を加え、かき混ぜる。かき混ぜる温度は20℃~80℃であり、かき混ぜる時間は0.5~2時間である。浸漬液は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸を含む無機酸成分と、カルボキシル基(-COOH)、スルホン酸基(R-SO3H)、スルフィン酸基(R-SOOH)、チオカルボン酸基(R-SH)を含む有機酸のうちいずれか一つの成分または複数の成分の混合物と脱イオン水を加えた溶液である。浸漬液の中の無機酸の規定度は5Nを超えない。有機酸の規定度も5Nを超えない。浸漬液と固体スラッジの液体と固体の質量比は1:1~10:1である。
(4)分離ステップとして、(3)浸漬ステップの反応による産物に対して固液分離を行うと、それぞれ固体と液体が得られる。分離方法としては、加熱乾燥、凍結乾燥、ろ過、遠心分離、沈降を含む方法のうちいずれか一つ、またはこれらを組み合わせて使用することができる。
(5)濃縮ステップとして、(4)分離ステップの分離処理により得られた液体を濃縮システムに送り、濃縮反応を行うと、副産物の硫酸銅水溶液が得られ、濃縮システム中の残液は濃縮液リサイクルシステムに入りリサイクルされる。
(6)洗浄ステップとして、(4)分離ステップの分離処理により得られた固体スラッジを取り出し、水を加えて洗浄する。水の濁度が150NTU未満の場合、水と固体スラッジの質量比は1:1~10:1、水洗時間は0.5~2時間とする。洗浄後の残水は水リサイクルシステムに入り、リサイクルされる。
(7)脱水ステップとして、(6)洗浄ステップ後の水と固形の混合物の脱水を行うと、固体と液体が得られる。脱水の方法としては、加熱乾燥、凍結乾燥、ろ過、遠心分離を含む方法のうちいずれか一つ、またはこれらを組み合わせて使用することができる。
(8)産物として、(7)脱水ステップの脱水後に得られた固体が二酸化ケイ素を含む産物である。この産物の乾量基準の二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの合計が94%より大きい。
【0005】
本発明の半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法の長所は、CMPスラッジがリサイクルされて得られた産物が、耐火材、工業用充填材、セラミックス材などとして使用可能であるため、資源を無駄なく十分に再利用でき、環境にも非常にやさしい、ということである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明のCMP研磨スラッジの成分を示す表である。
【
図2】本発明のリサイクル処理のフローチャートである。
【
図3】実施例のCMP研磨スラッジの成分を示す表である。
【
図5】実施例の産物の硫酸銅溶液の成分を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の前述の使用目的と効果を達成するために、採用される技術手段について、実施可能な好ましい実施例を挙げ、図とともに、以下に詳細に説明する。
【0008】
本発明の半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法において、半導体CMPスラッジは含水率が30%~80%のスラッジであり、その乾量基準(dry basis、無水ベース)の成分を
図1に示す。本発明のリサイクル処理方法のフローチャートを
図2に示す。その処理ステップは以下の通りである。
(1)乾燥ステップ:CMPスラッジを乾燥させて水分を除去することによって固体スラッジを得る。乾燥温度は100℃~200℃であり、乾燥時間は0.5~2時間である。
(2)焼成ステップ:(1)乾燥ステップにより得られた固体スラッジを高温炉に入れ、焼成を行う。焼成温度は800℃~1200℃であり、焼成時間は0.5~3時間である。
(3)浸漬ステップ:(2)焼成ステップで得られた固体スラッジを反応槽内に入れ、浸漬液を加えてかき混ぜる。かき混ぜる温度は20℃~80℃であり、かき混ぜる時間は0.5~2時間である。浸漬液は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸を含む無機酸成分と、カルボキシル基(-COOH)、スルホン酸基(R-SO
3H)、スルフィン酸基(R-SOOH)、チオカルボン酸基(R-SH)を含む有機酸成分の単一成分または混合物と脱イオン水を加えた溶液である。浸漬液の中の無機酸の規定度は5Nを超えない。有機酸の規定度も5Nを超えない。浸漬液と固体スラッジの液体と固体の質量比は1:1~10:1である。
(4)分離ステップ:(3)浸漬ステップの反応の後に得られた産物に対して固液分離を行うと、固体と液体がそれぞれ得られる。分離方法としては、加熱乾燥、凍結乾燥、ろ過、遠心分離、沈降を含む方法のうちいずれか一つ、またはこれらの方法を組み合わせて使用することができる。
(5)濃縮ステップ:(4)分離ステップの分離処理により得られた液体を濃縮システムに送り、濃縮反応を行う。濃縮方法としては、抽出、熱蒸発、凍結濃縮、結晶化、電気分解、ろ過を含む方法のうちいずれか一つ、またはこれらの方法を組み合わせて使用することができる。これにより、副産物の硫酸銅水溶液が得られ、この濃縮システムの中の残液は濃縮液リサイクルシステムに入り、リサイクルされる。
(6)洗浄ステップ:(4)分離ステップの分離処理に得られた固体スラッジを取り出し、水を加えて洗浄する。水の濁度が150NTU(比濁法濁度単位:Nephelometric Turbidity Unit)未満の場合、水と固体スラッジの質量比が1:1~10:1、洗浄時間が0.5~2時間となる。洗浄後の残水は水リサイクルシステムに入り、リサイクルされる。
(7)脱水ステップ:(6)洗浄ステップの洗浄後に得られた生成物に対して脱水を行うと、固体と液体が得られる。脱水の方法としては、加熱乾燥、凍結乾燥、ろ過、遠心分離を含む方法のうちいずれか一つ、またはこれらを組み合わせて使用することができる。脱水後の液体は水リサイクルシステムに入り、リサイクルする。
(8)産物:(7)脱水ステップの脱水後の固体は二酸化ケイ素産物である。この乾量基準の二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの合計が94%より大きい。
【0009】
本発明の実施例1(
図3、
図4、
図5参照)
(1)乾燥ステップ:2000kgのCMPスラッジを乾燥させて水分を除去する。乾燥温度は200℃、乾燥時間は0.5時間である。
(2)焼成ステップ:(1)乾燥ステップで得られた固体を1000kg取り出し、高温炉に入れ、焼成する。焼成温度は800℃、焼成時間は3時間である。
(3)浸漬ステップ:(2)焼成ステップで得られた固体を1000kg取り出し、反応槽に入れ、浸漬液を加えてかき混ぜる。かき混ぜる温度は60℃、かき混ぜる時間は0.5時間である。浸漬液は、3Nのシュウ酸3000kgと3Nの硫酸3000kgとを混合した混合液6000kgである。そのため、浸漬液と固体スラッジの液体と固体の質量比は6:1である。
(4)分離ステップ:(3)浸漬ステップの反応の産物1000kgを取り出し、板枠式圧ろ過処理を行うと、固体と液体が得られる。ろ過時間は2時間である。
(5)濃縮ステップ:(4)分離ステップのろ過処理により得られた液体を抽出システムに投入し、抽出した後、硫酸を用いて逆抽出すると、副産物である硫酸銅水溶液が得られる。
(6)洗浄ステップ:(4)分離ステップのろ過処理により得られた固体1000kgを取り出した後、1000kgの脱イオン水を加えて洗浄する。よって、脱イオン水と固体の質量比は1:1であり、洗浄時間は2時間である。
(7)脱水ステップ:(6)洗浄ステップで洗浄後の産物1000kgに対して遠心分離を行う。遠心力は4000(G)に設定する。遠心分離の時間は0.5時間である。
(8)産物:(7)脱水ステップの遠心分離後の固体は、含水率が35%~45%の二酸化ケイ素産物である。その乾量基準の二酸化ケイ素および酸化アルミニウムの合計が96.4%である。
【0010】
本発明の実施例2(
図3、
図4、
図5参照)
(1)乾燥ステップ:2000kgのCMPスラッジを乾燥させて水分を除去する。乾燥温度は150℃、乾燥時間は1.5時間である。
(2)焼成ステップ:(1)乾燥ステップで得られた固体を1000kg取り出し、高温炉に入れ、焼成を行う。焼成温度は900℃、焼成時間は2時間である。
(3)浸漬ステップ:(2)焼成ステップで得られた固体を1000kg取り出し、反応槽に投入し、並びに浸漬液を加えてかき混ぜる。かき混ぜる温度は40℃、かき混ぜる時間は1.5時間である。浸漬液は規定度が5Nの硝酸3000kgであるため、浸漬液とスラッジ固体の液体と固体の質量比は3:1である。
(4)分離ステップ:(3)浸漬ステップの反応の後に得られた産物を1000kg取り出し、遠心分離を行うと、固体と液体が得られる。遠心力は4000(G)に設定する。遠心分離の時間は0.5時間である。
(5)濃縮ステップ:(4)分離ステップの遠心分離処理により得られた液体を1000kg取り出し、熱蒸発により濃縮する。熱蒸発の温度は150℃に設定する。時間は0.2時間である。これにより、副産物である硫酸銅水溶液が得られる。
(6)洗浄ステップ:(4)分離ステップの遠心分離処理により得られた固体1000kgを取り出し、4000kgの脱イオン水を加えて洗浄する。よって、脱イオン水と固体の質量比は4:1であり、洗浄時間は0.5時間である。
(7)脱水ステップ:(6)洗浄ステップで洗浄後の産物1000kgを乾燥させる。乾燥の温度は120℃であり、乾燥時間は1.5時間である。
(8)産物:(7)脱水ステップの乾燥後の固体は、含水率が5%未満の二酸化ケイ素産物である。その乾量基準の二酸化ケイ素および酸化アルミニウムの合計が94.5%である。
【0011】
本発明の実施例3(
図3、
図4、
図5参照)
(1)乾燥ステップ:2000kgのCMPスラッジを乾燥させて水分を除去する。乾燥温度は150℃、乾燥時間は1.5時間である。
(2)焼成ステップ:(1)乾燥ステップで得られた固体を1000kg取り出し、高温炉に入れ、焼成する。焼成温度は900℃であり、焼成時間は2時間である。
(3)浸漬ステップ:(2)焼成ステップで得られた固体を1000kg取り出し、反応槽に投入し、浸漬液を加えてかき混ぜる。かき混ぜる温度は40℃、かき混ぜる時間は1.5時間である。浸漬液はクエン酸5000kgと酢酸3000kgの混合溶液であり、クエン酸の規定度は5N、酢酸の規定度は5Nである。よって、浸漬液と固体スラッジの液体と固体の質量比は8:1である。
(4)分離ステップ:(3)浸漬ステップの反応の産物1000kgに対して、凍結乾燥を行う。凍結乾燥の温度は-40℃に設定する。固体と液体が得られる。凍結乾燥の時間は1.5時間である。
(5)濃縮ステップ:(4)分離ステップの凍結乾燥処理により得られた液体を凍結濃縮システムに投入する。温度は-40℃に設定する。時間は0.7時間である。これにより副産物の硫酸銅水溶液が得られる。
(6)洗浄ステップ:(4)分離ステップの凍結乾燥処理により得られた固体を1000kg取り出し後、1000kgの脱イオン水を加えて洗浄する。脱イオン水と固体の質量比は1:1であり、洗浄時間は2時間である。
(7)脱水ステップ:(6)洗浄ステップのろ過後の固体1000kgに対して、凍結乾燥を行う。温度は-40℃に設定し、時間は1.5時間である。
(8)産物:(7)脱水ステップの乾燥後の固体は、含水率が5%未満の二酸化ケイ素産物である。その乾量基準の二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの合計が96.2%である。
【0012】
上述のように、本発明は意図した目的と効果を達成し、従来技術よりも理想的かつ実用的である。但し、前述の実施例は、本発明の望ましい実施例を説明するものであり、それによって、本発明の特許請求の範囲が制限されることはない。本発明の特許請求の範囲に基づく均等な変化及び修飾は、すべて本発明の特許請求の範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
前記(4)分離ステップの分離方法としては、加熱乾燥、凍結乾燥、ろ過、遠心分離、沈降を含む方法のうちいずれか一つ、または複数の当該方法を組み合わせて使用可能であり、
前記(5)濃縮ステップの濃縮方法としては、抽出、熱蒸発、凍結濃縮、結晶化、ろ過を含む方法のうちいずれか一つ、または複数の当該方法を組み合わせて使用可能であり、
前記(7)脱水ステップの脱水方法としては、加熱乾燥、凍結乾燥、ろ過、遠心分離を含む方法のうちいずれか一つ、または複数の当該方法を組み合わせて使用可能である請求項1に記載の半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の半導体化学機械研磨スラッジのリサイクル方法において、半導体CMPスラッジは含水率が30%~80%のスラッジであり、その乾量基準(dry basis、無水ベース)の成分を
図1に示す。本発明のリサイクル処理方法のフローチャートを
図2に示す。その処理ステップは以下の通りである。
(1)乾燥ステップ:CMPスラッジを乾燥させて水分を除去することによって固体スラッジを得る。乾燥温度は100℃~200℃であり、乾燥時間は0.5~2時間である。
(2)焼成ステップ:(1)乾燥ステップにより得られた固体スラッジを高温炉に入れ、焼成を行う。焼成温度は800℃~1200℃であり、焼成時間は0.5~3時間である。
(3)浸漬ステップ:(2)焼成ステップで得られた固体スラッジを反応槽内に入れ、浸漬液を加えてかき混ぜる。かき混ぜる温度は20℃~80℃であり、かき混ぜる時間は0.5~2時間である。浸漬液は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸を含む無機酸成分と、カルボキシル基(-COOH)、スルホン酸基(R-SO3H)、スルフィン酸基(R-SOOH)、チオカルボン酸基(R-SH)を含む有機酸成分の単一成分または混合物と脱イオン水を加えた溶液である。浸漬液の中の無機酸の規定度は5Nを超えない。有機酸の規定度も5Nを超えない。浸漬液と固体スラッジの液体と固体の質量比は1:1~10:1である。
(4)分離ステップ:(3)浸漬ステップの反応の後に得られた産物に対して固液分離を行うと、固体と液体がそれぞれ得られる。分離方法としては、加熱乾燥、凍結乾燥、ろ過、遠心分離、沈降を含む方法のうちいずれか一つ、またはこれらの方法を組み合わせて使用することができる。
(5)濃縮ステップ:(4)分離ステップの分離処理により得られた液体を濃縮システムに送り、濃縮反応を行う。濃縮方法としては、抽出、熱蒸発、凍結濃縮、結晶化
、ろ過を含む方法のうちいずれか一つ、またはこれらの方法を組み合わせて使用することができる。これにより、副産物の硫酸銅水溶液が得られ、この濃縮システムの中の残液は濃縮液リサイクルシステムに入り、リサイクルされる。
(6)洗浄ステップ:(4)分離ステップの分離処理に得られた固体スラッジを取り出し、水を加えて洗浄する。水の濁度が150NTU(比濁法濁度単位:Nephelometric Turbidity Unit)未満の場合、水と固体スラッジの質量比が1:1~10:1、洗浄時間が0.5~2時間となる。洗浄後の残水は水リサイクルシステムに入り、リサイクルされる。
(7)脱水ステップ:(6)洗浄ステップの洗浄後に得られた生成物に対して脱水を行うと、固体と液体が得られる。脱水の方法としては、加熱乾燥、凍結乾燥、ろ過、遠心分離を含む方法のうちいずれか一つ、またはこれらを組み合わせて使用することができる。脱水後の液体は水リサイクルシステムに入り、リサイクルする。
(8)産物:(7)脱水ステップの脱水後の固体は二酸化ケイ素産物である。この乾量基準の二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの合計が94%より大きい。