(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127366
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】丁合装置、丁合中入システム及び中入装置
(51)【国際特許分類】
B65H 39/11 20060101AFI20240912BHJP
B65H 1/00 20060101ALI20240912BHJP
B65H 31/00 20060101ALI20240912BHJP
B65H 39/042 20060101ALI20240912BHJP
B65H 7/20 20060101ALI20240912BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B65H39/11 S
B65H1/00 501Z
B65H31/00 Z
B65H39/042
B65H7/20
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036486
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】神子 隆一
【テーマコード(参考)】
3F048
3F050
3F054
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA10
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB02
3F048BC08
3F048CA02
3F048DA06
3F048DA09
3F048DC05
3F048EB21
3F048EB40
3F050AA09
3F050BB02
3F050BE12
3F050CB07
3F050LA16
3F050LB01
3F054AA01
3F054AC00
3F054BJ01
3F054CA05
3F054CA21
3F054DA14
3F343FA02
3F343FC21
3F343KB20
3F343MA15
3F343MA27
3F343MB14
3F343MB15
3F343MC06
3F343MC25
(57)【要約】
【課題】丁合装置で作成された丁合物を利用する装置や作業工程において厚さ情報を利用する際に、使用者が丁合物の厚さを測定する手間を削減できる丁合装置を提供する。
【解決手段】
複数のシート材給送部1から送り出されるシート材を重ね合わせて丁合物を作成する丁合装置10において、丁合物の厚さに関する情報である厚さ情報を導出する厚さ情報導出手段160と、厚さ情報導出手段160が導出した厚さ情報を出力する厚さ情報出力手段を備える
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシート材給送部から送り出されるシート材を重ね合わせて丁合物を作成する丁合装置において、
前記丁合物の厚さに関する情報である厚さ情報を導出する厚さ情報導出手段と、
前記厚さ情報導出手段が導出した前記厚さ情報を出力する厚さ情報出力手段を備えることを特徴とする丁合装置。
【請求項2】
請求項1の丁合装置において、
前記厚さ情報導出手段は、前記丁合物を作成するために前記シート材を送り出した前記シート材給送部の数に基づいて前記厚さ情報を導出することを特徴とする丁合装置。
【請求項3】
請求項1の丁合装置において、
前記シート材給送部のそれぞれについて送り出す前記シート材の厚さであるシート材厚を紐付けて記憶するシート厚記憶部を備え、
前記厚さ情報導出手段は、前記丁合物を作成するために前記シート材を送り出した前記シート材給送部に紐付けられた前記シート材厚を合計した値に基づいて前記厚さ情報を導出することを特徴とする丁合装置。
【請求項4】
請求項1の丁合装置において、
作成した前記丁合物が通過する丁合物通過経路で前記丁合物の厚さを検出する丁合物厚検出手段を備え、
前記厚さ情報導出手段は、前記丁合物厚検出手段の検出結果に基づいて前記厚さ情報を導出することを特徴とする丁合装置。
【請求項5】
請求項1の丁合装置において、
前記厚さ情報出力手段は、前記厚さ情報を導出した前記丁合物を識別する丁合物識別情報と前記厚さ情報とを紐付けて出力することを特徴とする丁合装置。
【請求項6】
複数のシート材給送部から送り出されるシート材を重ね合わせて丁合物を作成する丁合手段と、
折り畳まれた折シート材に前記丁合物を挟んだ状態の丁合物中入折シート材を作成する中入動作を行う中入手段と、を備える丁合中入システムにおいて、
前記丁合手段として、請求項1乃至5の何れかに記載の丁合装置を備え、
前記中入手段は、前記丁合物の厚さによって設定を変更すべき厚さ基準設定変更部と、前記丁合装置の前記厚さ情報出力手段が出力した前記厚さ情報を取得する中入側厚さ情報取得部と、前記中入側厚さ情報取得部が取得した前記厚さ情報を出力する中入側厚さ情報出力部と、を有することを特徴とする丁合中入システム。
【請求項7】
複数のシート材給送部から送り出されるシート材を重ね合わせて丁合物を作成する丁合手段と、
折り畳まれた折シート材に前記丁合物を挟んだ状態の丁合物中入折シート材を作成する中入動作を行う中入手段と、を備える丁合中入システムにおいて、
前記丁合手段は、前記丁合物の厚さに関する情報である厚さ情報を導出する厚さ情報導出手段を有し、
前記中入手段は、前記丁合物の厚さによって設定を変更すべき厚さ基準設定変更部と、前記丁合手段の前記厚さ情報導出手段が導出した前記厚さ情報を取得する中入側厚さ情報取得部と、前記中入側厚さ情報取得部が取得した前記厚さ情報を出力する中入側厚さ情報出力部と、を有することを特徴とする丁合中入システム。
【請求項8】
請求項7の丁合中入システムにおいて、
前記中入手段は、前記丁合物を厚さ方向に複数組重ねた丁合物束を収容する丁合物収容部と、
前記丁合物束収容部に収容する前記丁合物束から前記丁合物を一組ずつ給送する丁合物給送部と、を有し、
前記厚さ基準設定変更部は、前記丁合物給送部が給送する一組の前記丁合物を前記丁合物収容部の前記丁合物束を形成する他の丁合物から分離を促す分離部材の位置を前記丁合物の厚さに応じて変更することを特徴とする丁合中入システム。
【請求項9】
請求項7または8に記載の丁合中入システムにおいて、
前記丁合手段は、前記厚さ情報導出手段が導出した前記厚さ情報を外部装置に送信する厚さ情報送信手段を有し、
前記中入手段の前記厚さ情報取得部は、前記厚さ情報送信手段が送信した前記厚さ情報を受信する厚さ情報受信手段を有することを特徴とする丁合中入システム。
【請求項10】
請求項7または8に記載の丁合中入システムにおいて、
前記丁合手段と前記中入手段とを一体的に備え、
前記中入手段は、前記丁合物を厚さ方向に複数組重ねた丁合物束を収容し、収容する前記丁合物束から前記丁合物を一組ずつ給送する丁合物収容給送部を有し、
前記丁合収容給送部として、前記丁合手段の前記シート材給送部の少なくとも一部を兼用し、
前記丁合手段の丁合動作で作成した前記丁合物束を、前記丁合収容給送部として兼用する前記シート材給送部に積載して前記中入動作を実行するものであり、
前記中入手段の前記厚さ情報取得部は、前記厚さ情報導出手段が導出した前記厚さ情報を記憶する厚さ情報記憶手段を有することを特徴とする丁合中入システム。
【請求項11】
折り畳まれた折シート材に丁合物を挟んだ状態の丁合物中入折シート材を作成する中入動作を行う中入装置において、
前記丁合物の厚さによって設定を変更すべき厚さ基準設定変更部と、
前記丁合物の厚さに関する情報である厚さ情報を取得する中入側厚さ情報取得部と、
前記中入側厚さ情報取得部が取得した前記厚さ情報を出力する中入側厚さ情報出力部と、を有することを特徴とする中入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丁合装置、丁合中入システム及び中入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の配布先に配布される新聞は、折込チラシ等と呼ばれる広告印刷物を複数枚束ねた広告セット等の丁合物が折り込まれた状態で配布されることが多くある。丁合物を作成する装置としては、広告印刷物等のシート材を複数枚重ねて丁合物を作成する丁合装置が知られている(特許文献1等)。また、四つ折りにされた新聞の内側に丁合物を挿入し、新聞に丁合物が折り込まれた状態とするインサーターと呼ばれる中入装置が知られている(例えば、特許文献2に記載された「丁合装置」の「用紙束作成部」等)。
【0003】
特許文献2のような中入装置では、広告給送台等の丁合物積載部に複数セットの丁合物(引用文献2では「広告束」)を立てた状態の丁合物の束を積載し、丁合物の束の一番奥の丁合物から順に1セットずつ給送を行い、新聞に丁合物を挿入する挿入部に向けて搬送する。給送を行う際は、給送対象である一番奥の丁合物の奥側の面を吸着パットで吸着し、吸着パットを移動させることによって、給送対象の丁合物を撓ませながら装置内に引き込んで、丁合物の下端を給送ローラ対のニップが挟み込む位置まで案内し、給送ローラ対の回転によって、挿入部に向けて給送する。
このような中入装置として、吸着パットで吸着された丁合物(広告セット)が装置内に引き込まれる際に通過する通過経路に下方から突き出し、給送される丁合物の下端が接触し、他の丁合物との分離を促す分離爪を備えているものがある(株式会社デュプロ製インサーター「DI-3200GS」等)。
この中入装置では、丁合物積載部に積載する丁合物の厚さによって分離爪の適切な突き出し量が異なるため、使用者が丁合物の厚さに応じて突き出し量を調整する調整機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-185034号公報
【特許文献2】特開2018-87087号公報
【特許文献3】特開2015-048218号公報
【特許文献4】特開2015-193474号公報
【特許文献5】特開2021-095296号公報
【特許文献6】特開2021-042082号公報
【特許文献7】特開2021-130556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した丁合装置で作成される丁合物は、丁合するシート材の枚数や各シート材のそれぞれの厚さ等の丁合物を構成するシート材の組み合わせによって成果物である丁合物の厚さが異なる。このため、上述した分離爪を備える従来の中入装置では、使用者は測定器で丁合物の厚さを測定し、その測定結果に基づいて中入装置に設けられた調整部材を操作して分離爪の突き出し量を調整していたため、手間がかかるという問題があった。
このような問題は、丁合装置で作成した丁合物を新聞等の折シート材に中入装置で中入する場合に限らない。丁合装置で作成された丁合物を利用する他の装置(例えば、包装装置等)や作業工程(例えば、輸送工程等)においては同様の問題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一つの態様は、複数のシート材給送部から送り出されるシート材を重ね合わせて丁合物を作成する丁合装置において、前記丁合物の厚さに関する情報である厚さ情報を導出する厚さ情報導出手段と、前記厚さ情報導出手段が導出した前記厚さ情報を出力する厚さ情報出力手段を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、丁合装置で丁合した丁合物の厚さ情報を丁合装置が導出して外部に出力できるため、丁合装置で作成された丁合物を利用する装置や作業工程において厚さ情報を利用する際に、使用者は丁合物の厚さの測定が不要となり、丁合物の厚さの情報を用いた処理の手間を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】丁合機の制御部を中心とする電気的構成を示すブロック図。
【
図6】丁合機から管理サーバに送信される「丁合済みジョブ情報」の概略図。
【
図11】広告給紙部の広告積載部における広告給紙機構近傍の斜視説明図。
【
図13】吸着パッドが広告セットに吸着する位置に到達した状態の広告給紙機構の断面説明図。
【
図14】吸着パッドが給紙対象広告セットを引き込んだ状態の広告給紙機構の断面説明図。
【
図15】吸着パッドが引き込んだ給紙対象広告セットが給紙駆動ローラと給紙従動ローラとに挟まれた状態の広告給紙機構の断面説明図。
【
図19】丁合機と中入システムとを別店舗に配置した丁合中入システムの説明図。
【
図20】丁合機とリフトアップスタッカーとからなる丁合システムの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
以下、本発明に係る丁合装置を備える丁合中入システムの一実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る丁合中入システム500の全体構成を示す説明図である。
図1に示す丁合中入システム500は、丁合装置である丁合機10と、中入装置であるインサーター20を有する中入システム200と、外部情報処理手段である管理サーバ520と、パーソナルコンピューター等の管理端末530とを備える。
図1に示す丁合中入システム500では、一つの新聞店NSに設置された一台の丁合機10と一台のインサーター20とがインターネット回線510を介して管理サーバ520と通信可能な構成を示しているが、管理サーバ520と通信可能な丁合機10やインサーター20の数としては一台ずつに限るものではない。また、管理サーバ520と通信可能な丁合機10やインサーター20が設置された新聞店NSの数も一つに限るものではない。
【0012】
丁合機10は、広告印刷物等のシート材を複数枚重ね合わせて丁合物を作成する丁合動作を行う丁合手段である。インサーター20は、折り畳まれた新聞等の折シート材に複数枚の広告から成る広告セットを挟んだ状態の丁合物中入シート材を作成する中入動作を行う中入手段である。このため、丁合機10で作成した丁合物を広告セットとしてインサーターで中入処理を行う場合、丁合機10で作成した丁合物の厚さと、インサーター20で新聞に挟み込む広告セットの厚さが同じとなる。
【0013】
本実施形態の丁合機10は、入力された丁合動作の設定に基づいた算出結果や丁合動作のときの検出結果に基づいて、丁合物の厚さに関する情報である丁合物厚さ情報を導出する厚さ情報導出手段を有する。丁合機10は導出した丁合物厚さ情報を、インターネット回線510を介して管理サーバ520に送信し、管理サーバ520は受信した丁合物厚さ情報を保存する。
【0014】
インサーター20は、丁合物を厚さ方向に複数組重ねた丁合物積層束を収容する収容部と、収容部内の丁合物積層束から丁合物を一組ずつ給送する丁合物給送部と、を備え、そして、丁合物の厚さによって設定を変更すべき厚さ基準設定変更部として、分離爪を備える。分離爪は、収容部から給送する丁合物を収容部に収容する他の丁合物との分離を促すための部材である。この分離爪の位置は、丁合物の厚さによって適切な位置が異なる。
【0015】
さらに、インサーター20は、丁合機10で導出されて管理サーバ520に保存された丁合物厚さ情報を、インターネット回線510を介して取得する中入側厚さ情報取得部を備える。そして、本実形態のインサーター20は、取得した丁合物厚さ情報に応じた情報を使用者が確認できる厚さ情報表示部である中入タブレット端末21の表示部に表示する。表示する情報は、丁合物の厚さでも良いし、厚さに基づいて算出される操作用の値でもよい。
【0016】
本実施形態のインサーター20では、丁合物の厚さを表示するとともに、分離爪の位置を調整するためのツマミの目盛りの数値を表示する。分離爪の位置を調節可能なモータ等の駆動源とその制御部を備える場合は、取得した丁合物厚さ情報に応じて分離爪の位置を自動で変更してもよい。
【0017】
次に、
図1に示す丁合中入システム500を構成する丁合機10及びインサーター20の一例について説明する。
【0018】
図2は、本実施形態に係る丁合機10の外観を表す斜視図であり、
図3は、丁合機10の内部構造を正面側からみた模式図である。丁合機10は、筐体9の左右に十段ずつの棚が設けられている。左側の棚には第一~第十の給紙トレイ14(14A~14J)と、第一~第十の給紙機構18(18A~18J)とを備える第一~第十の給紙装置1(1A~1J)が設置されている(便宜的に、「1A」~「1I」及び「18A」~「18I」の符号の図示は省略している)。右側の棚には第十一~第二十の給紙トレイ14(14K~14U)と、第十一~第二十の給紙機構18(18K~18U)とを備える第十一~第二十の給紙装置1(1K~1U)が設置されている(便宜的に、「1L」~「1U」及び「18L」~「18U」の符号の図示は省略している)。左側の最下段の第一給紙トレイ14Aの下方には、折用給紙トレイ14Xと折用給紙機構18Xとを備える折用給紙装置1Xが設置されている。給紙装置1(1A~1X)とこれを構成する給紙トレイ14(14A~14X)及び給紙機構18(18A~18X)は、筐体9への取り付け位置や取り付け方向、大きさ、形状が異なるが、同様の構造を有する。以下の説明においてこれらを特に区別しない場合には、それぞれ「給紙装置1」、「給紙トレイ14」及び「給紙機構18」と総称する。
【0019】
給紙トレイ14及び給紙機構18を備える給紙装置1は、筐体9に取り外し可能に装着されている。具体的には、給紙装置1は、ユーザーによって図示しないロック機構が解除されると、筐体9との係合が解除され、筐体9から取り外すことができるよう構成されている。このような係合方法は公知であるため説明は省略する。
筐体9の左側面の正面側には、丁合動作を開始させるスタートキー152や丁合動作を停止させるストップキー154が配置されたサブ操作パネル5が設けられている。
【0020】
筐体9の正面にはメイン操作パネル16を備えるタブレット端末4が、丁合機10の装置本体を構成する筐体9に対して着脱可能に設けられている。メイン操作パネル16はタッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、ユーザーが丁合処理のための所定の操作入力を行うことができる。タブレット端末4を筐体9に装着している状態では、USB等の有線接続端子によって有線で接続し、本体制御部50とタブレット制御部6とが有線回線で通信可能となる。一方、タブレット端末4を筐体9から取り外している状態では、Wifi(登録商標)等の無線通信回線によって本体制御部50とタブレット制御部6とが通信可能となる。メイン操作パネル16等の主操作部としては装置本体に着脱可能な構成に限らず、筐体9に固定されたものでも良いし、装置本体に対して装着できず、分離した状態で使用するものでもよい。
【0021】
給紙装置1は、それぞれが備える給紙機構18に対応するように給紙操作パネル120を備える(
図2では、「第十の給紙操作パネル120J」のみ符号図示)。給紙操作パネル120には、ユーザーが給紙処理のための所定の操作入力を行うための複数の操作ボタンが設けられている。
【0022】
図3に示すように、丁合機10は、サブ搬送機構22及びメイン搬送機構24を備える。サブ搬送機構22は各棚の給紙機構18に対応するように設けられる。給紙機構18は、給紙トレイ14に積載された用紙束の最上位の用紙を一枚ずつサブ搬送機構22の搬送路に送り出す。サブ搬送機構22は、給紙機構18から送り出された用紙をメイン搬送機構24に送り込む。メイン搬送機構24は、筐体9内に上下方向に延在するように設けられる。メイン搬送機構24は、各サブ搬送機構22から送り込まれた用紙を、単独で、または複数枚を重ね合わせて丁合物を作成しながら下方へ搬送する。
【0023】
丁合機10は、折用紙搬送プレート26、折用紙載置プレート28、折用紙ストッパ30、折ナイフ32、及び一対のローラからなる折ローラ対34をさらに有する。折用給紙トレイ14Xには、メイン搬送機構24により搬送される丁合物を内側に挟むように二つ折りされる用紙(以下、「折用紙」という)が積載される。折用給紙機構18Xは、折用給紙トレイ14Xに積載された折用紙束の最上位の折用紙を一枚ずつ折用紙搬送プレート26に送り出す。
【0024】
折用紙搬送プレート26は、折用紙搬送方向下流側(
図3中の右側)の端部がメイン搬送機構24の下端に対してわずかに折用紙搬送方向上流側(
図3中の左側)に位置するよう配置される。折用紙載置プレート28は、二枚のプレートが間隔を開けて上下で重なるように設けられている。折用紙載置プレート28は、折用紙搬送方向上流側(
図3中の左側)の端部が、メイン搬送機構24の下端に対してわずかに折用紙搬送方向下流側(
図3中の右側)に位置するよう配置される。折用紙ストッパ30は、折用紙載置プレート28内に導かれた折用紙の先端が当接するように配置される。折用紙ストッパ30は、モータなどのアクチュエータを作動させることにより、折用紙載置プレート28に沿って折用紙搬送方向の上流側(
図3中の左側)及び下流側(
図3中の右側)に移動可能に構成されている。
【0025】
丁合機10には、本体制御部50が設けられている。本体制御部50は、各種の演算を実行するCPU、各種の制御プログラムを格納するROM、及びデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有し、丁合機10の内部に設けられたアクチュエータの作動などを制御する。ユーザーは、メイン操作パネル16または給紙操作パネル120にて各種の設定入力を行うことが可能となっている。本体制御部50は、こうしてユーザーに入力された情報を取得し、取得した情報に応じて丁合機10の作動を制御する。
【0026】
丁合機10は、さらにベルト搬送機構36、排出ローラ対38及びスタッカトレイ40を有する。折用給紙トレイ14Xに積載された折用紙に丁合物を挟むようにして丁合する場合、まず折用給紙トレイ14Xから折用紙載置プレート28に向けて折用紙が搬送され、折用紙ストッパ30に突き当たって停止する。メイン搬送機構24によって下方に搬送されながら形成された丁合物は、折用紙載置プレート28上で停止した折用紙に先端が突き当たる。本体制御部50は、このタイミングで折ナイフ32を回動させて、その先端を折用紙載置プレート28上で停止した折用紙に突き当て、折ローラ対34に向けて押し付ける。こうして丁合物は、折用紙載置プレート28上で停止した折用紙とともに折ローラ対34によって挟持され、折用紙載置プレート28上で停止した折用紙が丁合物を挟むように折りたたまれ、折用紙付きの丁合物を形成し、ベルト搬送機構36に搬送される。
【0027】
ベルト搬送機構36は、さらに下流に丁合物を搬送する。排出ローラ対38は、搬送された丁合物をスタッカトレイ40に排出する。スタッカトレイ40は、筐体9に対して着脱可能に取り付けられており、作成された丁合物が積載され蓄積される。なお、上述のように折用紙に丁合物を挟まない場合には、折用給紙トレイ14Xから折用紙は供給されず、メイン搬送機構24によって下方に搬送されながら形成された丁合物は、そのまま折ローラ対34によって挟持されてベルト搬送機構36に搬送される。
【0028】
本体制御部50は、ユーザーがメイン操作パネル16を介して指定した部数(以下、「丁合設定部数」ともいう)にしたがって用紙の丁合処理を実行する。また、本体制御部50は、丁合処理に先立って給紙機構18によるサバキ圧を適正に調整するための初期調整処理を実行させる信号を給紙装置1に送信したり、丁合処理中においてはサバキ圧を適宜再調整する追加調整処理を実行させる信号を給紙装置1に送信したりできる。
【0029】
次に、サバキ圧調整機構を含む給紙機構18を備える給紙装置1の構成及び動作について説明する。
図4は、
図2及び
図3に示す左側の棚に設置される給紙装置1の正面図である。
給紙トレイ14は「載置部」として機能し、ユーザーによりセットされる用紙束が積載される。給紙トレイ14が斜めに傾斜するように設置されるため、給紙トレイ14上の用紙束は、上位の用紙ほど前方(給紙方向下流側)にずれて位置するよう斜めに捌いた状態で積載される。
図4は、用紙束がセットされる前の状態の給紙装置1を示している。
【0030】
給紙トレイ14の給送方向下流側には、ガイド板41及び給紙機構18が設けられている。ガイド板41は、サブ搬送機構22が設けられる横搬送路を構成し、給紙機構18によって送り出される用紙を下方から支持し、メイン搬送機構24に向けてガイドする。ガイド板41は、その両サイドに設けられ、給紙装置1の筐体を構成する一対のフレーム(図示せず)によって支持されている。ガイド板41は、給紙方向下流側(
図4中の右側)の端部であって、幅方向(
図4の手前奥方向、
図4の紙面に直交する方向)においてサブ搬送機構22のローラ部材(68、70)等が位置する部分に切り欠きが設けてある。この切り欠きによって、給紙装置1側のガイド板41と丁合機10の装置本体側のサブ搬送機構22とが互いに干渉することなく給紙装置1を筐体9に装着することができる。
【0031】
給紙機構18は、給紙ローラ42、補助給紙ローラ44、サバキ板46等を含む。給紙ローラ42及び補助給紙ローラ44は、各々の軸がブラケット48により支持されている。給紙ローラ42は、図示しないモータ(後述の給紙モータ77)により回転駆動される駆動ローラであり、用紙束の最上面に圧接して回転し、最上位の用紙を送り出す。補助給紙ローラ44は、給紙ローラ42とタイミングベルト52を介して接続される従動ローラであり、用紙束の最上面に当接して回転する。ブラケット48が給紙ローラ42と同軸状の支点軸(図示せず)に回動可能に支持されているため、補助給紙ローラ44の高さ位置が用紙束の枚数に応じた位置に適宜調整される。
【0032】
サバキ板46は、サバキ部材として機能し、用紙束の最上位から二枚目以降の用紙が一枚目と同時に送り出されたときは、一枚ずつに分離するサバキ機構を構成する。サバキ板46は、給紙ローラ42の下方に対向配置され、給紙ローラ42との間に用紙を挟む給紙ニップを形成する。サバキ板46は、例えばウレタンゴムにて形成された板状の部材である。サバキ板46の下方には、給紙ローラ42に対して接離する方向のサバキ板46の位置を調整することで、サバキ板46と給紙ローラ42との間に生じる圧力をサバキ圧として調整するサバキ圧調整機構54が設けられている。
【0033】
このような構成により、給紙トレイ14に積載された用紙束の最上位の用紙が補助給紙ローラ44によって給紙ローラ42とサバキ板46との間に送り込まれると、給紙ローラ42がその用紙をさらに下流側に送り出す。この用紙は、給紙ローラ42とサバキ板46との間に適度な圧力にて挟持されつつ送り出される。このとき、給紙ローラ42と用紙との間の摩擦力と、サバキ板46と用紙との間の摩擦力と、の差により、最上位から二枚目以降の用紙の送り出しが防止される。それにより、最上位の一枚の用紙のみが給紙ローラ42とサバキ板46との間を抜けて送り出されるようになる。
【0034】
図4に示すように、給紙機構18に対して給紙方向下流側に隣接するように重送検知機構60が設けられている。重送検知機構60は、基準ローラ62及び変位ローラ64を有する。変位ローラ64は、「測定ローラ」として機能し、基準ローラ62に対して上方から当接する。基準ローラ62の軸は、その両端が上述した一対のフレームに固定されている。一方、変位ローラ64の軸は、レバー部材65の一端側に固定されている。レバー部材65の他端側がフレームに設けられた図示しない支点軸に回動可能に支持されているため、変位ローラ64は、基準ローラ62に対して相対変位可能となっている。レバー部材65の一端部(上部)には検知面67(上面)が設けられており、フレームにはその検知面67の変位を検出する変位センサ69が設けられている。
【0035】
基準ローラ62の下方には転動ローラ66が設けられている。重送検知機構60の下流側には、サブ搬送機構22を構成する一対の搬送ローラとして、搬送上ローラ68と搬送下ローラ70とが用紙の搬送路を挟んで上下に設けられている。搬送上ローラ68と搬送下ローラ70とは互いに当接可能であり、転動ローラ66は搬送下ローラ70及び基準ローラ62のそれぞれに当接する。搬送上ローラ68及び搬送下ローラ70は、図示しないモータ(後述する搬送モータ)により駆動される。搬送下ローラ70の駆動力は、転動ローラ66を介して基準ローラ62に伝達される。
【0036】
このような構成により、用紙が基準ローラ62と変位ローラ64との間を通過すると、その用紙の厚さ分だけ変位ローラ64の軸位置が上昇する。変位センサ69は、このときの検知面67の上昇量を検出する。レバー部材65が図示しない引きばねにより付勢されているため、用紙が通過していない間はその引きばねの付勢力により、変位ローラ64が基準ローラ62に圧接している。変位センサ69が検出した検知面67の上昇量に基づいて用紙の重送が発生したか否かを判定することができる。さらに、この変位センサ69が検出した検知面67の上昇量に基づいて、通過した用紙の厚さに関する情報を取得でき、後述する丁合物厚さデータの算出に用いることができる。
【0037】
給紙操作パネル120には、対応する棚の番号等を表示させる表示部のほか、対応する棚の使用・不使用を切り替えるときに押下される「単/停ボタン」、サバキ圧の初期調整処理を実行する際に押下される「初期調整ボタン」、連段設定を行う際に押下される「連段設定ボタン」が設けられている。さらに、給紙操作パネル120には、対応する給紙機構18での給紙タイミングを早める「タイミング早めボタン」、給紙タイミングを遅らせる「タイミング遅めボタン」が設けられている。また、給紙操作パネル120には、紙詰まり等のときに給紙モータを正転させる「正転ボタン」、紙詰まり等のときに給紙モータを逆転させる「逆転ボタン」、テスト給紙を行うときに押下される「テスト給紙ボタン」等が設けられている。
【0038】
サバキ圧調整機構54の構成及び動作は、特許文献3に記載の構成等、公知のものと同様のものを用いることができるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
図4に示す給紙装置1は、連続丁合処理の前に、用紙の厚さに関するデータである厚さデータを予め取得し、この厚さデータに基づいてサバキ調整モータの回転量を制御し、連続丁合処理の前にサバキ圧を自動で調整するオートサバキ機能を備えたオートサバキ給紙ユニットである。オートサバ給紙キユニットでは、連続丁合処理の前の初期調整処理で準備給紙動作(テスト給紙)を実行する。この準備給紙動作のときの変位センサ69の検出値に基づいて連続丁合処理で給紙する予定の用紙の厚さデータを算出する。そして、その厚さデータに対応した戻し量を算出し、サバキ板46の高さを適正に調整する。給紙制御部3は、変位センサ69により検出される用紙の厚さデータと、サバキ調整モータ78の回転量との関係を対応づけたテーブルを保持し、サバキ調整工程においてそれらを参照する。このオートサバキユニットでは、準備給紙動作によって取得した用紙の厚さデータは、連続丁合処理における給紙動作での重送検知に用いる。
このように、オートサバキ機能を備えた給紙装置1は、準備給紙動作によってシート準備情報として用紙の厚さデータを取得する。
【0040】
給紙装置1としては、上述したオートサバキ機能を備えたものに限らない。例えば、サバキ調整モータ等のサバキ圧を自動で調整するための駆動源を備えず、サバキ圧調整機構を手動で作動させる給紙装置1でもよい。この給紙装置1では、準備給紙動作で取得した用紙の厚さデータに基づいて、推奨するサバキ圧となる調整量を算出し、算出した調整量を表示部に表示して、算出した調整量でサバキ圧調整機構を調整するようにユーザーの操作を促すことができる。
【0041】
また、推奨するサバキ圧となる調整量を算出せず、連続丁合処理の前に実行する準備給紙動作で用紙に関する情報を取得する給紙装置1もある。例えば、準備給紙動作で用紙の厚さデータ等の重送検知に用いることができる重送検知データを取得し、重送検知データを、連続丁合処理における給紙動作での重送検知にのみ用いる給紙装置1がある。
【0042】
重送検知データを取得する給紙装置1としては、上述した実施形態の重送検知機構60や特許文献4に記載された構成と同様に、用紙を複数の部材で挟んで用紙の厚さデータを取得し、取得した用紙の厚さデータに基づいて、重送か否かを判断する用紙の厚さデータの閾値を算出する「厚さ検出給紙装置」を用いることができる。重送検知の構成としては、給送する用紙に光を照射し、用紙の枚数によって光の透過量が異なることを利用して重送を検知する光学式の重送検知や、給送する用紙に超音波を照射し、用紙の枚数によって受信部で受信する超音波の減衰率が異なることを利用して重送を検知する超音波式の重送検知を用いるものでも重送検知を判断する閾値を算出する。
【0043】
図3に示すように、本実施形態の丁合機10は、排出ローラ対38の間を通過する丁合物の厚さを検出する丁合物厚さ検出機構160を備える。排出ローラ対38は、軸の位置が固定された排出下ローラ38aと、通過する丁合物の厚さに応じて上下方向に移動可能な排出上ローラ38bとを備える。丁合物厚さ検出機構160は、
図4を用いて説明した重送検知機構60と同様の構成を備え、排出上ローラ38bの上昇量を検出する排出部変位センサ169を有する。丁合物が排出下ローラ38aと排出上ローラ38bとの間を通過すると、その丁合物の厚さ分だけ排出上ローラ38bの軸位置が上昇し、排出部変位センサ169は、このときの排出上ローラ38bの上昇量を検出し、丁合物の厚さに関する情報である丁合物厚さデータを取得することができる。
【0044】
丁合物厚さ検出機構160としては、
図3に示す構成に限らず、例えばレーザーを用いた変位センサなど、丁合機10の成果物として排出される丁合物の厚さに関する情報を取得できるものであれば、どのようなものでもよい。
【0045】
図5は、丁合機10の本体制御部50を中心とする電気的構成を示すブロック図である。
図5では、便宜的に給紙装置1を二つのみ図示しているが、丁合機10に装着された給紙装置1のすべての給紙制御部3と本体制御部50とが通信可能となっている。
【0046】
本実施形態の給紙装置1は、基準ローラ62と変位ローラ64と用紙を挟んで取得した用紙の厚さデータに基づいて重送を検知する機械式重送検知手段を備えた重送検知を行うことができる。給紙制御部3は、変位センサ69等の各種センサからの検出信号が入力され、給紙操作パネル120での操作信号が入力される。給紙制御部3は、これらの検出信号や操作信号、及び、本体制御部50から入力される各種信号に基づいて、給紙制御のための所定の演算処理を実行し、給紙モータ77に制御指令信号を出力して、給紙操作パネル120の表示部に表示指令信号を出力する。
【0047】
給紙制御部3は、給紙記憶部31に記憶された給紙制御プログラムに基づいて、給紙装置1が備える各種センサ、駆動部、表示部を制御するとともに、本体制御部50との通信を行う。
【0048】
本体制御部50には、サブ操作パネル5からの入力信号や、タブレット制御部6を介したメイン操作パネル16からの入力信号、給紙制御部3を介した給紙操作パネル120からの入力信号が入力される。さらに、本体制御部50には、スタッカトレイ40への用紙の排出を検出する排紙センサ180やスタッカトレイ40に排出される丁合物の厚さを検出する排出部変位センサ169等からの検出信号が入力される。本体制御部50は、本体記憶部51に記憶された本体制御プログラムに基づいて、装置本体が備える各種センサ、駆動部、表示部を制御するとともに、給紙制御部3やタブレット制御部6との通信を行う。また、丁合機10の本体は、
図5に示すように、本体補助記憶部59を備え、本体制御部50と通信可能となっている。本体補助記憶部59は、本体記憶部51と比較して容量は大きいが本体制御部50との通信速度は遅い記憶部であり、本体記憶部51がメインメモリに該当する記憶部であるのに対して、本体補助記憶部59はストレージに該当する記憶部である。本体補助記憶部59には、ユーザーが入力した丁合動作の設定等を保存することができる。
【0049】
サブ操作パネル5には、丁合処理を開始させるためのスタートキー152と、丁合処理を停止させるためのストップキー154とが設けられている。タブレット端末4のメイン操作パネル16は、連続丁合処理の前に各種設定を行うことができるタッチパネルである。一方、給紙操作パネル120には、上述した各ボタンに対応する種々のスイッチが含まれる。給紙操作パネル120のボタンとしては、複数のボタンが同時に押下されることで、所定の機能を果たす構成としてもよい。
【0050】
本体制御部50及びそれぞれの給紙制御部3は、各種スイッチやボタン、センサからの入力に基づいて給紙制御、搬送制御、折り制御等のための所定の演算処理を実行し、給紙モータ77、メインモータ182等に制御指令信号を出力する。メインモータ182は、サブ搬送機構22やメイン搬送機構24を構成する各搬送ローラ等に共用のモータである。また、タブレット制御部6は、丁合処理の設定画面、エラー報知等をメイン操作パネル16の液晶ディスプレイに表示させる。
【0051】
図5に示すように、タブレット端末4は、タブレット通信部8を備え、タブレット制御部6がインターネット回線510を介して管理サーバ520とデータ通信が可能となっている。タブレット制御部6は、タブレット記憶部47に記憶されたタブレット制御プログラムに基づいて、タブレット本体が備えるメイン操作パネル16の表示を制御するとともに、本体制御部50との通信や、インターネット回線510を介した管理サーバ520との通信を行う。
【0052】
丁合機10側が有する装置情報は、タブレット制御部6からタブレット通信部8に発信され、タブレット通信部8からWi-Fi回線を用いてWi-Fiルーター301に送信され、モデム302に送信される。モデム302はインターネット回線510を介して、管理サーバ520に丁合機10側が有する装置情報を送信し、管理サーバ520は必要に応じて受信した装置情報を記憶する。記憶された装置情報は、保守管理者のサービスマン等が確認できる。
【0053】
タブレット制御部6は、丁合機10の電源投入時やエラー発生時、電源OFFの操作時に、丁合機10の稼働情報やエラー情報等の装置情報を外部情報処理手段である管理サーバ520に送信可能となっている。管理サーバ520に送信する稼働情報としては、丁合に使用した給紙装置1の種類、位置、積載したシート材の種類や丁合機10の丁合動作の回数を示す累積カウンタ等が挙げられるが、これに限るものではない。また、厚さ情報導出手段によって導出されたインターネット回線510等を介して管理サーバ520に送信することができる。
【0054】
タブレット制御部6、本体制御部50及び給紙制御部3は、インターネット回線510等を介して管理サーバ520が有する丁合機10に関する情報(エラーの解消方法、故障の修理方法、制御プログラムの更新情報等)を取得でき、さらに、管理端末530からの入力情報を、インターネット回線510等を介してタブレット制御部6や本体制御部50、給紙制御部3に送信できる。管理サーバ520としては、管理者が所有するサーバ装置に限らず、公知のクラウドサービスプラットフォームを用いてもよい。また、管理端末530も
図1に示すパーソナルコンピューターに限るものではなく、携帯端末等の他の通信機能付き電子機器でもよい。
【0055】
本実施形態の丁合機10は、本体制御プログラムと、タブレット制御プログラムと、給紙制御プログラムといった制御プログラムについての更新プログラムを、インターネット回線510を介して管理サーバ520からダウンロードできる構成となっている。
【0056】
本実施形態の丁合機10は、制御プログラムに関する情報に限らず、丁合機10の過去の稼働情報やエラー情報等の装置情報を、インターネット回線510を介して管理サーバ520に送信できる。送信する稼働情報としては、累計の丁合回数である累計カウンタ、給紙装置1毎の給紙回数等を挙げることができる。
【0057】
新聞店NSは配達エリアを複数の配達地区に分けて、配達地区毎に新聞に挟み込む丁合物(広告セット)は同じ用紙の組み合わせで作成することが一般的である。例えば、配達地区Aに配達する丁合物(A)を200部作成した後に、配達地区Bに配達する丁合物であって丁合物(A)とは用紙の組み合わせが異なる丁合物(B)を280部作成することがある。
【0058】
それぞれの配達地区に配達すべき丁合物の部数である「要丁合部数」は、予め設定されており、「配達地区A」のような「地区名」と、その地区について設定された「要丁合部数」は紐付けて「地区情報」として管理する。このように「地区名」と「要丁合部数」とを紐付けて管理する構成は、例えば、特許文献5に記載されている。ここでは、ある地区に配達する丁合物を「要丁合部数」の分だけ作成する処理を「丁合ジョブ」とよぶ。
【0059】
1つの丁合ジョブで作成される丁合物の厚さはほぼ同じであるため、丁合物厚さデータは丁合ジョブ毎に管理することが望ましい。また、1つの丁合ジョブでは通常「要丁合部数」の分だけ丁合物を作成するが、何等かの原因によってジョブが途中で中断されることがあるため、作成済みの丁合物に関する「丁合済みジョブ情報」を管理して外部に出力する場合には、「要丁合部数」ではなく実際に丁合が完了した部数である「丁合済部数」で管理することが望ましい。
【0060】
図6は、丁合機10から管理サーバ520に送信され、保存される「丁合済みジョブ情報」の一例の概略図である。
管理サーバ520で情報を管理する丁合機10を識別するためのシリアル番号が振り分けられており、
図6に示すように、丁合機10から送信される情報はシリアル番号で管理される。
【0061】
「シリアル番号」のフォルダの下位フォルダには「配達日」のフォルダがあり、配達日のフォルダの中に地区番号のデータシートが保存される。配達日は、丁合機10で丁合処理を行う前に丁合情報を作成する際に入力される。配達日を入力できる構成は必ずしも必要ではないが、同じ地区に配達する丁合物であって、配達日が異なる丁合物を前もって丁合処理しておきたいときなどに、配達日で分けて情報を管理することが可能となる。
【0062】
地区番号のデータシートには、「地区名」、「部数」及び「厚さ」の情報が保存される。「地区名」は、通常、丁合処理の度に入力するものではなく、丁合機10の導入時や、配達地区の地区分けを変更したとき等に、予め入力された名称である。「部数」は、「丁合済部数」であり、丁合ジョブを開始してからの丁合済みの部数をカウントし、そのカウント数である。「丁合済部数」は通常は予め設定された「要丁合部数」と一致するが、丁合ジョブが途中で中断することもあるため、「丁合済部数」を用いる。「厚さ」は、丁合機10の厚さ情報導出手段で導出された「丁合物厚さデータ」である。
【0063】
「丁合済みジョブ情報」としては、丁合を行った日時の情報である「丁合日時情報」を含めてもよい。これにより、使用者が丁合処理を行った日時に基づいて「丁合済みジョブ情報」を探すことができる。
【0064】
図6に示すように、「地区名」に「部数」と「厚さ」を紐付けた「丁合済みジョブ情報」を管理サーバ520に保存することで、インサーター20等の丁合機10で作成した丁合物を処理する工程で、複数の丁合物からなる丁合物束の識別情報である「地区名」を入力または選択することで、当該「地区名」に紐付けられた「部数」と「厚さ」の情報を取得することができる。
【0065】
丁合ジョブが終了後、使用者は、作成した丁合物束の最上面に「地区名」と「配達日」とが記載された識別用紙を重ねて保管場所で保管する。これにより、丁合物束に識別情報を付与することができ、丁合物束を次の工程で処理する際に使用者が丁合物束に付与された識別情報に基づいて、その丁合物束の「丁合済みジョブ情報」を取得することが可能となる。複数の「配達日」の丁合物を作成しない場合等、識別情報として「配達日」を記載せず、「地区名」のみでもよい。
【0066】
作成した丁合物束に識別情報を付与する構成としては、給紙部の一つを識別情報付き用紙を載置する識別用紙給紙部として、「地区名」等の識別情報が付された用紙を載置し、一つの丁合ジョブの最後に識別情報付用紙を給紙して、スタッカトレイ40内の丁合物束の最上面に重ねるように識別情報付用紙を排出してもよい。この構成では、丁合ジョブによって異なる識別情報が付された用紙が識別用紙給紙部から給紙されることになるため、識別用紙給紙部から給紙される識別情報付用紙を読み取る識別情報読取手段を備えることが望ましい。また、識別用紙給紙部には、一つの丁合ジョブでは一枚の識別情報付用紙を載置するように使用方法を規定してもよい。
【0067】
また、他の構成として、識別用紙給紙部に印刷手段を設ける構成としてもよい。この構成では、一つの丁合ジョブの最後に、識別用紙給紙部の印刷手段で識別情報を印刷した識別情報付用紙をスタッカトレイ40内の丁合物束に重ねるように排出する。
【0068】
上述した識別情報付用紙に付与する識別情報としては、「地区名」等の人が視覚的に認識できるものに限らず、バーコード等の読取手段で読取可能な識別情報でもよい。読取可能な識別情報であれば、インサーター20等の丁合機10で作成した丁合物を処理する工程で、バーコードリーダ等の読取手段で識別情報を読み取ることで、丁合物束の「丁合済みジョブ情報」を容易に取得することができる。
【0069】
さらに、読取手段で読取可能な識別情報を用いる構成としては、折用給紙トレイ14Xに印刷手段等の識別情報付与手段を配置し、折用紙の表面であって、丁合物の外側となる面に、人の視認性に影響を及ぼさない識別情報を付与してもよい。この識別情報を付与する折用紙としては、丁合ジョブの最後の折用紙等、一枚の折用紙でもよし、丁合ジョブで給紙する全ての折用紙でもよい。
【0070】
次に、「丁合物厚さデータ」を導出する実施例について説明する。ここでは、三つの実施例について説明するが、丁合機10で作成した丁合物の厚さに関する情報を導出することができるものであれば、下記の実施例に限るものではない。
【0071】
<実施例1>
実施例1は、丁合動作の設定に基づいて丁合物厚さ情報を導出するものであり、丁合物を作成するために用紙を送り出すシート材給送部である給紙装置1の数に基づいて丁合物の厚さ情報を算出する。丁合物は、丁合物を形成する用紙の枚数が多いほど厚くなる傾向があるため、丁合物を形成する用紙の枚数、すなわち、用紙を送り出した給紙装置1の数、に基づいて丁合物厚さ情報を算出する。
【0072】
丁合ジョブの実行前には、使用者は丁合物の配達先の地区の「地区名」を選択して、その地区に配布する用紙が積載された給紙装置1を選択する。本体制御部50は、選択された「地区名」の丁合ジョブが実行されるときに、選択された給紙装置1から給紙が実行されるようにジョブ情報を設定するとともに、選択された給紙装置1の数に給紙装置1に積載され得る用紙(新聞店であれば「チラシ」と呼ばれる広告印刷物)の平均的な厚さを乗じて、丁合物厚さ情報を算出する。算出された丁合物厚さ情報は、当該丁合ジョブで作成された複数の丁合物の厚さとして保存され、本実施形態では、「丁合済みジョブ情報」に含まれる「厚さ」として保存される。
【0073】
実施例1では、使用者が給紙を行う給紙装置1を選択する操作を行うメイン操作パネル16と、選択された給紙装置1の数に基づいて丁合物厚さ情報を算出する本体制御部50とによって厚さ情報導出手段を構成する。この実施例1では、給紙装置1から送り出される用紙の厚さについて、給紙装置1毎に差異が少ない、または、差異があってもインサーター20の分離爪の位置の調整に影響を及ぼさないことを前提としている。このため、後述するインサーター20の分離爪270の高さの調整に影響を及ぼす可能性がある薄い用紙や厚い用紙を丁合物に含める場合には、当該用紙を送り出す際の枚数を補正(薄い場合は「0.5枚」、厚い場合は「1.5枚」と補正する等)する等、丁合物厚さ情報を補正して算出してもよい。補正の要否は、ユーザーによる入力でも良いし、重送検知機構60等の検出手段等によって用紙の厚さに関する情報を取得したときに、補正の要否を判断する制御を行ってもよい。
【0074】
<実施例2>
実施例2は、給紙装置が給紙した用紙の厚さを検出した検出結果と丁合動作の設定とに基づいて厚さ情報を導出するものである。それぞれの給紙装置1は、シート厚さ検出手段である重送検知機構60を備え、給紙装置1に積載された用紙の厚さデータを準備給紙動作によって取得し、それぞれの給紙装置1に紐付けて厚さデータを記憶する。
【0075】
実施例1と同様に、丁合ジョブの実行前には、使用者は丁合物の配達先の地区の「地区名」を選択して、その地区に配布する用紙が積載された給紙装置1を選択する。本体制御部50は、選択された給紙装置1のそれぞれに紐付けて記憶された厚さデータの合計値を丁合物厚さ情報として算出する。丁合物では折用紙は、折った状態で他の用紙を挟むため、厚さデータの合計値を算出するときには、折用給紙装置1Xに積載された折用紙の厚さデータを二倍にして算出する。算出された丁合物厚さ情報は、当該丁合ジョブで作成された複数の丁合物の厚さとして保存され、本実施形態では、「丁合済みジョブ情報」に含まれる「厚さ」として保存される。
【0076】
実施例2では、各給紙装置1の重送検知機構60と本体制御部50とが厚さ情報導出手段を構成する。この実施例2では、丁合物を作成する各用紙の厚さの検出結果を用いて丁合物厚さ情報を算出するため、分離爪の位置の調整に影響を及ぼす可能性がある薄い用紙や厚い用紙を丁合物に含める場合でも、丁合物厚さ情報を補正する必要はない。また、各給紙装置1が有する厚さ検出手段の検出結果に基づいて、丁合物厚さ情報を導出しているため、丁合物そのものの厚さを検出する検出手段を別途設ける必要がない。
【0077】
<実施例3>
実施例3は、丁合動作のときの検出結果に基づいて厚さ情報を導出するものである。具体的には、丁合動作によって作成した丁合物が通過する丁合物通過経路を構成するローラ対(排出ローラ対38)で丁合物の厚さを検出する丁合物厚検出手段(排出部変位センサ169)に基づいて丁合物厚さ情報を導出する。この実施例3では、排出部変位センサ169を備える丁合物厚さ検出機構160が厚さ情報導出手段を構成する。
【0078】
この実施例3では、各給紙装置1が給紙する用紙の厚さを検出するシート厚さ検出手段とは別に、丁合物そのものの厚さを検出する検出手段が必要である。しかし、複数のシート厚さ検出手段の検出結果の合計では、各検出結果の誤差の積み上げによって実際の丁合物の厚さと算出した丁合物厚さ情報との差が大きくなる可能性がある。これに対して、実施例3では、丁合物そのものの厚さを検出するため、丁合物厚さ情報をより正確に導出することができる。実施例3では、丁合ジョブの連続的な丁合動作を実行する前に、一組だけ丁合するテスト丁合実行時に、丁合物の厚さを測定して丁合物厚さ情報を取得することができる。また、連続的な丁合動作を開始後、最初の何部かの丁合物の厚さを測定し、その平均値を丁合物厚さ情報として記憶してもよい。
【0079】
丁合物厚さ検出機構160で検出された丁合物厚さ情報、または、丁合物厚さ検出機構160の複数回の検出結果に基づいて算出された丁合物厚さ情報は、当該丁合ジョブで作成された複数の丁合物の厚さとして保存され、本実施形態では、「丁合済みジョブ情報」に含まれる「厚さ」として保存される。
【0080】
丁合物厚さ検出機構160で丁合物の厚さを検出する構成では、所定の範囲外となる厚さを検出すると、報知する報知手段を備えていてもよい。例えば、丁合ジョブの開始時に検出した丁合物の厚さが5[mm]の場合は、4.5[mm]~5.5[mm]の間であれば、丁合動作を続け、4.5[mm]を下回る場合や5.5[mm]を超える場合は、報知するようにする。
【0081】
次に、インサーター20の一例について説明する。
図7は本実施形態に係る中入装置であるインサーター20を備える中入システム200を示す外観斜視図であり、
図8は、
図7に示す中入システム200による中入動作を模式的に示す動作説明図である。
【0082】
中入システム200は、複数枚の広告印刷物を束ねた丁合物である広告セットを四つ折りの新聞に挿入して、広告セットが折り込まれた中入済新聞を作成する。新聞に中入する広告印刷物としては複数枚に限らず、一枚の広告印刷物でもよい。
以下では、A地区に配達する中入済新聞を所定部数(例えば200部=50部×4束)作成し、それに続けてB地区に配達する中入済新聞を所定部数(例えば280部=60部×4束+40部×1束)作成する場合を例に説明する。また、以下では、各地区に配達する所定部数の中入済新聞を作成する処理を「中入ジョブ」と呼ぶ。
【0083】
中入システム200は、中入処理部であるインサーター20と、方向転換部である排出ユニット202と、中入後積載部であるリフトアップスタッカー203と、を備える。インサーター20は、四つ折りの新聞の最終折り目を開き、この開いた隙間に広告セットを挿入し、挟み込む。インサーター20は、新聞給紙部210と、広告給紙部211と、操作部241、中入タブレット端末21、新聞搬送部217と、新聞開き部218と、広告挿入部219と、を備える。新聞給紙部210は、新聞積載部214と、新聞給紙機構242と、を備え、広告給紙部211は、広告積載部215と、広告給紙機構216と、を備える。
【0084】
操作部241は、入力部(例えば押しボタンスイッチ類あるいはタッチパネル)と一体形成された表示部(例えば液晶パネル)とを備える。操作部241の表示部には、例えばジョブに関する設定をするための画面が表示される。使用者は、この画面を介して、ジョブに関する設定、すなわち中入処理を行う新聞の「部数」と「区分け部数」とを入力する。「区分け部数」とは、中入済新聞を何部ごとに重ねて中入済新聞束を作成するかを意味する。例えばA地区用のジョブ設定では「部数=200部」、「区分け部数=50部」を入力する。この場合、50部の中入済新聞を含む中入済新聞束が4束作成される。また、例えばB地区用のジョブ設定では「部数=280部」、「区分け部数=60部」を入力する。この場合、60部の中入済新聞を含む中入済新聞束が4束と、40部の中入済新聞を含む中入済新聞束が1束作成される。
【0085】
新聞給紙部210の新聞積載部214には、四つ折りされた複数の新聞が積載される。新聞給紙機構242は、新聞積載部214の下方に設けられる。新聞給紙機構242は、新聞積載部214から新聞を一部ずつ取り出し、新聞搬送部217に送り出す。新聞搬送部217は、周回する搬送チェーン220とそれに連結された搬送コマ221を有する。新聞搬送部217は、この搬送コマ221により新聞を押して、新聞開き部218、そして広告挿入部219へ搬送する。
【0086】
新聞開き部218は、外周面に開き吸着パッド222が設けられた開きロータ223と、開きロータ223の下流側に設けられた不図示の開きガイドと、を有する。新聞搬送部217から送り込まれた新聞は、開き吸着パッド222によりその搬送方向先端側の上端部が開く。搬送コマ221がさらに進行することによって、新聞の開かれた部分に開きガイド224が入り込み、新聞は開かれた状態が維持されて、広告挿入部219に向けて搬送される。
【0087】
広告積載部215は、複数枚の広告印刷物を配達単位に二つ折り広告印刷物で挟んだ広告セットを複数セット積載する。広告積載部215は、前面板225と積載台226とを有し、複数セットの広告セットを重ねた広告セット束は前面板225にもたれかかるようにして積載台226に積載される。広告セット束は、各広告セットを構成する二つ折りの広告印刷物(折用紙)の折り目が下方となるように積載される。
【0088】
広告給紙機構216は、前面板225の下方に設けられる。広告給紙機構216は、広告積載部215から広告セットを1セットずつ取り出し、広告挿入部219に送り出す。広告挿入部219では、広告給紙機構216から送り出された広告セットが、開きガイドによって開かれた状態の新聞の間に挿入される。広告セットを挟んだ中入済新聞は、搬送コマ221に押されて排出ユニット202に送られる。
【0089】
排出ユニット202は、中入済新聞の搬送方向を90[°]変換する。本実施の形態では、排出ユニット202は、長手方向(最終折り目と平行な方向)に搬送された新聞を、短手方向(最終折り目と直交する方向)に搬送する。搬送方向が変換された新聞は、排出チェーン227に固定された排出プッシャー228により押し出され、リフトアップスタッカー203に向けて送り出される。
【0090】
中入システム200は、排出ユニット202とリフトアップスタッカー203との間にリフトアップコンベア229を備え、リフトアップスタッカー203の下流側にスタックコンベア231を備える。リフトアップコンベア229は、排出ユニット202から送り出された中入済新聞を持ち上げて、リフトアップスタッカー203の上部に搬送する。
【0091】
リフトアップスタッカー203は、仮受け部232と、中入済新聞束受け部233と、スタッカー排出ベルト234と、満杯センサ(不図示)と、上面センサ(不図示)と、を有する。上面センサは、中入済新聞束受け部233に積載された中入済新聞束の上面が所定の高さに到達していると、その旨を検知する。このよう上面センサとしては、例えば中入済新聞束受け部233上の中入済新聞束の上面が所定の高さ以上にあると、中入済新聞束がセンサの検知領域を塞ぐことで「ON」となる光センサで構成される。
【0092】
中入済新聞束受け部233は櫛歯状を有する。中入済新聞束受け部233は、上面センサが「ON」となる度に下降することで、中入済新聞が積載される度に積載された中入済新聞の厚さ分だけ下降するように制御される。例えば駆動機構(不図示)によって中入済新聞束受け部233が下降されるよう構成される。これにより、積載された中入済新聞の最上位面を略一定の位置に維持する。
【0093】
中入済新聞束受け部233は、使用者によって指定された「区分け部数」(A地区のジョブの場合は50部、B地区のジョブの場合は60部)の中入済新聞を積載して中入済新聞束を形成すると、この中入済新聞束をスタックコンベア231に送り出す。具体的には、積載された中入済新聞が所定部数に達すると、中入済新聞束の上に仮受け部232の四本の仮受けローラ236が進出し、中入済新聞束受け部233の代わりに中入済新聞を受ける(
図8参照)。この間に、中入済新聞束受け部233が下降してその櫛歯の歯部と歯部との間にスタッカー排出ベルト234が入り込み、スタッカー排出ベルト234に中入済新聞束が積載される。続いて、スタッカー排出ベルト234が駆動されて中入済新聞束はスタックコンベア231に送り出される。
【0094】
中入済新聞束受け部233は、スタックコンベア231に中入済新聞束を送り出すと上昇する。この上昇後、仮受けローラ236は、その上に積載されていた中入済新聞を中入済新聞束受け部233に渡すとともに、中入済新聞束受け部233の上方から退避する。仮受けローラ236の退避後は、リフトアップコンベア229から送られてくる新聞は、中入済新聞束受け部233の上に積載される。以降、仮受け部232と中入済新聞束受け部233によるこの一連の処理を「スタック排出処理」と呼ぶ。
【0095】
満杯センサは、中入済新聞束受け部233が満杯になる(例えば100部の中入済新聞が中入済新聞束受け部233に積載される等)と、その旨を検知する。このような満杯センサとしては、例えば中入済新聞束受け部233が所定位置まで下降すると「ON」となる光センサで構成される。満杯センサによって中入済新聞束受け部233が満杯になったことが検知された場合にも、スタック排出処理が実行される。
【0096】
また、ジョブの最終の中入済新聞束が中入済新聞束受け部233に積載された場合にも、スタック排出処理が実行される。この場合は、中入済新聞束受け部233が満杯になっていなくても、中入済新聞束受け部233に積載された新聞が「区分け部数」に達していなくても、スタック排出処理が実行される。
【0097】
スタックコンベア231には多数のコロ240が並べて設けられている。新たな中入済新聞束がリフトアップスタッカー203から送り出されると、既に送り出されて並んでいた複数束の中入済新聞束が押されてコロ240上を移動する。
【0098】
図7に示すように、リフトアップスタッカー203には、中入済新聞束を排出するスタック排出口203aの上方に中入報知ランプ209を備える。
【0099】
上述した最終の中入済新聞束が積載された場合、すなわち、一つのジョブの終了時(上記A地区であれば「50部×4束」完了時、上記B地区であれば「60部×4束+40部×1束」完了時)には、中入報知ランプ209を点滅または点灯させて、一つのジョブの中入処理が完了したことを報知する。これにより、各地区の配達担当者が、自分が担当する地区の中入処理が完了したことを視覚的に容易に確認することができる。このジョブ終了時の報知方法としては、他の視覚的報知手段でもよく、音を発する報知手段等の他の報知手段や、複数の報知手段を組み合わせてもよい。
【0100】
中入報知ランプ209のような報知手段は、リフトアップスタッカー203のように、中入システム200で中入処理がなされた中入済新聞が使用者に受け渡される位置(本実施形態ではスタックコンベア231)の上流側に配置されることが望ましい。例えば、
図7に示す中入システムに対して、リフトアップコンベア229、リフトアップスタッカー203及びスタックコンベア231を備えず、排出ユニット202から排出された中入済新聞を使用者が受け取る場合、排出ユニット202に報知手段を設ける。そして、ジョブの最終の中入済新聞が排出された場合(上記A地区であれば200部の中入処理完了時、上記B地区であれば280部の中入処理完了時)に報知手段によって一つのジョブが完了したことを報知する。
【0101】
図9は、中入システム200の機能構成を示すブロック図である。
中入システム200は、システム全体を制御する中入制御部252と、入力受付部250と、表示部制御251と、判定部253と、中入記憶部254と、中入通信部201と、を備える。
図9に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0102】
中入制御部252は、インサーター20、排出ユニット202、リフトアップコンベア229、リフトアップスタッカー203及びスタックコンベア231の各部の動作を制御して、新聞に広告セットが折り込まれた中入済新聞を重ねた中入済新聞束を作成させる。
【0103】
入力受付部250は、操作部241を介して使用者が入力した情報を受け付ける。入力受付部250は、ジョブ情報受付部255と、次回ジョブ情報受付部256と、を含む。ジョブ情報受付部255は、ジョブが未実施のときに、これから実施するジョブに関する情報を受け付ける。具体的には、ジョブ情報受付部255は、中入処理する新聞の部数を受け付け、これを「今回部数Na1」として今回部数記憶部257に登録する。ジョブ情報受付部255は、区分け部数が入力されている場合はこれも受け付け、「今回区分け部数Nb1」として今回区分け部数記憶部259に登録する。
【0104】
次回ジョブ情報受付部256は、ジョブの実行中に、次に実施するジョブに関する情報を受け付ける。具体的には、次回ジョブ情報受付部256は、丁合する新聞の部数を受け付け、これを「次回部数Na2」として次回部数記憶部258に登録する。次回ジョブ情報受付部256は、区分け部数が入力されている場合はこれも受け付け、「次回区分け部数Nb2」として次回区分け部数記憶部260に登録する。
【0105】
表示部制御251は、操作部241の表示部を介して使用者に各種表示画面を提供する。例えば、ジョブに関する情報を設定するための表示画面を提供する。
【0106】
判定部253は、中入処理された部数が、今回部数Na1に達しているか否かを判定する。中入処理された部数が今回部数Na1に達している場合は、判定部253は、次に実行するジョブに関する情報が入力されているかどうかを判定する。
【0107】
中入記憶部254は、今回部数記憶部257と、次回部数記憶部258と、今回区分け部数記憶部259と、次回区分け部数記憶部260と、部数カウンタ261と、区分け部数カウンタ262と、を含む。今回部数記憶部257は、今回部数Na1を記憶する。次回部数記憶部258は、次回部数Na2を記憶する。今回区分け部数記憶部259は、今回区分け部数Nb1を記憶する。次回区分け部数記憶部260は、次回区分け部数Nb2を記憶する。部数カウンタ261は、ジョブが開始されてからそれまでに中入処理された新聞の部数を部数カウント値Naとして記憶する。区分け部数カウンタ262は、区分け部数に達してから(ジョブの開始時にあってはジョブが開始されてから)、それまでに中入処理された新聞の部数を区分け部数カウント値Nbとして記憶する。
【0108】
図9に示すように、中入タブレット端末21は、中入タブレット通信部2108を備え、中入タブレット制御部2106がインターネット回線510を介して管理サーバ520とデータ通信が可能となっている。中入タブレット制御部2106は、中入タブレット記憶部2147に記憶された中入タブレット制御プログラムに基づいて、中入タブレット端末21本体が備えるタッチパネルからなる中入タブレット表示部2116の表示を制御する。また、中入タブレット制御部2106は、有線回線を介した中入制御部252との通信や、インターネット回線510を介した管理サーバ520との通信を行う。
【0109】
中入タブレット端末21は、中入システム200でエラーが生じたときのエラー情報を中入タブレット表示部2116に表示する。タッチパネルからなる中入タブレット表示部2116にエラー情報を表示することで、エラー情報の視認性が向上し、タッチパネルの操作によってエラーに関する詳細情報を表示できるようにすることで、エラー発生時の復旧作業が容易となる。また、エラー発生時以外は、実施中のジョブの進捗情報や次のジョブの情報を中入タブレット表示部2116に表示してもよい。
【0110】
中入タブレット端末21は、中入タブレット制御プログラムについての更新プログラムを、インターネット回線510を介して管理サーバ520からダウンロードできる構成となっている。
【0111】
また、
図9に示すように、中入システム200は、中入通信部201を備え、中入制御部252がインターネット回線510を介して管理サーバ520及び管理端末530とデータ通信が可能となっている。中入制御部252は、中入記憶部254に記憶された制御プログラムに基づいて、各部の動作を制御するとともに、インターネット回線510を介して管理サーバ520及び管理端末530との通信を行う。
【0112】
中入システム200側が有する装置情報は、中入制御部252から中入通信部201、Wi-Fiルーター301、モデム302及びインターネット回線510を介して、管理サーバ520に送信し、管理サーバ520は必要に応じて受信した装置情報を記憶する。記憶された装置情報は、保守管理者のサービスマン等が管理端末530で確認できる。また、中入制御部252は、上述したインターネット回線510等を介して管理サーバ520が有する中入システム200に関する情報(制御プログラムの更新情報等)を取得でき、さらに、管理端末530からの入力情報を、上述したインターネット回線510等を介して中入制御部252に送信できる。管理サーバ520としては、管理者が所有するサーバ装置に限らず、公知のクラウドサービスプラットフォームを用いてもよい。
【0113】
中入システム200が外部装置である管理サーバ520に送信する装置情報としては、中入システム200の過去の稼働情報を管理サーバ520に送信できる。送信する稼働情報としては、累計の中入回数である累計カウンタ、エラーの発生回数、エラーの種類ごとの発生回数等を挙げることができる。これにより、保守管理者側が、エラー発生時の迅速な対応、エラー発生前の予防対応、消耗品が消耗し切る前の交換対応が可能となる。
【0114】
上述した入力受付部250で受け付けて中入記憶部254に記憶する各種情報を、インターネット回線510を介して中入タブレット端末21が取得して、中入タブレット表示部2116に表示する構成としてもよい。
中入システム200は、丁合機10で広告印刷物を丁合した丁合物を広告セットPSとして、中入処理に用いる。そして、中入システム200で、ある配達地区Aに配達する中入済新聞を「今回部数Na1」の数だけ作成し、他の配達地区Bに配達する中入済新聞を「次回部数Na2」の数だけ作成する場合、丁合機10では、配達地区Aに配達する広告印刷物を束ねた丁合物と、配達地区Bに配達する広告印刷物を束ねた丁合物と、をそれぞれ作成する。そして、上述した「丁合済部数」は、各地区に配達する丁合物の部数であり、配達地区Aの「丁合済部数」は「今回部数Na1」と一致し、配達地区Bの「丁合済部数」は「次回部数Na2」と一致する。このように、丁合機10で丁合した丁合物の部数と、中入システム200で中入処理する部数とは数が一致することが多いため、丁合機10に入力された数値が中入システム200に自動的に入力されることが望ましい。
【0115】
そこで、同じ新聞店NSで使用されている丁合機10と中入システム200とを管理サーバ520上で紐付けて管理し、丁合機10が送信した「丁合済みジョブ情報」が管理サーバ520に保存されると、紐付けられた中入システム200で「丁合済みジョブ情報」を取得可能となっている。例えば、丁合機10の「丁合済みジョブ情報」が管理サーバ520に送信されると、送信した丁合機10と紐付けて管理された中入システム200の中入タブレット制御部2106に「丁合済みジョブ情報」を送信する。そして、中入タブレット制御部2106は、受信した情報を中入タブレット記憶部2147に記憶する。
【0116】
「丁合済ジョブ情報」に含まれる「地区名」は、丁合機10で入力され、中入システム200ではそのままの名称が中入タブレット表示部2116に表示される。「部数」は、「丁合済部数」として丁合機10で導出された値であり、中入システム200では、「今回部数Na1」や「次回部数Na2」といった「中入処理を行う部数」の情報として記憶され、中入タブレット表示部2116に表示される。「厚さ」は、丁合機10の厚さ情報導出手段で導出された「丁合物厚さデータ」であり、中入システム200では、「広告セットPSの厚さ」の情報として記憶され、中入タブレット表示部2116に表示される。
【0117】
中入タブレット端末21から管理サーバ520に接続すると、同じ新聞店NSの丁合機10から送信された「丁合済ジョブ情報」のリストが自動的に中入タブレット表示部2116に表示される。同じ新聞店NSに複数の丁合機10が配置されている場合、中入タブレット端末21で情報を取得したい丁合機10を選択する。
【0118】
図6に示す「丁合済ジョブ情報」が表示された状態で、配達日を選択肢、地区番号を選択すると、上述した「地区名」、「部数」及び「厚さ」が中入タブレット表示部2116に表示される。表示された情報を保存する操作を行うことで、「地区名」、「部数」及び「厚さ」が紐付けられた情報を中入タブレット記憶部2147に記憶することができる。
【0119】
使用者が操作部241を操作して中入ジョブに関する情報を設定するときには、中入タブレット端末21で、中入タブレット記憶部2147に記憶された「丁合済ジョブ情報」を表示し、中入タブレット表示部2116に表示する。表示される「丁合済ジョブ情報」のうち、今からジョブを行う地区名を使用者が選択することで、「今回部数Na1」に該当する数値が「部数」として表示される。この表示された数値を使用者が操作部241に入力することで、入力受付部250が入力した情報を受け付け、「今回部数Na1」を中入記憶部254に記憶する。同様に、次のジョブを行う地区名を選択することで、「次回部数Na2」に該当する数値が「部数」として表示され、使用者が入力することができる。
【0120】
中入タブレット端末21としては、管理サーバ520から「丁合済ジョブ情報」を取得したときに、中入タブレット表示部2116に表示するのみではなく、有線または無線の通信回線を介して、取得した情報を中入制御部252に送信する構成としてもよい。この構成では、中入制御部252は受信した情報を中入記憶部254に記憶する。
【0121】
中入システム200と丁合機10とがジョブに関する情報として「丁合済みジョブ情報」を共有する構成としては、インターネット回線510を介する構成に限るものではない。例えば、中入システム200と丁合機10とを有線で接続して、情報を共有する構成としてもよい。さらに、丁合機10の操作部である丁合機10から分離可能なタブレット端末4と中入タブレット端末21とが有線または無線で通信を行い、情報を共有する構成としてもよい。
このように中入システム200と丁合機10とが丁合済みジョブ情報を共有する構成であれば、共通する情報の入力の手間を省くことができる。
【0122】
本実施形態の中入システム200は、中入制御部252を制御する制御プログラムについての更新プログラムを、インターネット回線510を介して管理サーバ520からダウンロードできる構成となっている。このように、制御プログラムの更新プログラムを、インターネット回線510等の通信ネットワークを介して管理サーバ520等の外部情報処理手段から取得できる構成であれば、サービスマンのユーザー先への訪問の回数を削減でき、手間と費用の削減を図ることができる。
【0123】
図10は、
図7に示すインサーター20における広告給紙部211の拡大説明図であり、
図11は、広告給紙部211の広告積載部215における広告給紙機構216近傍を
図10中の右斜め上方から見た斜視説明図である。
図12は、広告給紙機構216を新聞の搬送方向下流側(排出ユニット202の側)から見た断面説明図である。
図10及び
図11では、広告積載部215に広告セットPSを積載していない状態を示しており、
図12は、複数セットの広告セットPSからなる広告セット束が積載された状態を示している。
【0124】
広告給紙部211は、搬送ベルト(561、562)の搬送方向に向って下り傾斜した積載台226上に、折り部分を下にした広告セットPSを複数セット重ねた広告セット束を積載し、積載台226における搬送方向下流端である給紙位置にある広告セットPSを1セットずつ取り出して、広告挿入部219に向けて給紙する給送装置である。
広告給紙部211は、積載台226と、広告先端センサ295と、前面板225と、広告給紙機構216とを備える。広告給紙機構216は、上下方向に移動可能な分離板404、分離突き出し部材403及び給紙従動ローラ406と、回動可能な吸着支持部材402aに支持された吸着パッド402と、装置本体に位置が固定された給紙駆動ローラ405と、を備える。
給紙動作では、積載台226に積載された複数セットの広告セットPSのうち、搬送方向の最下流側に位置して前面板225に達している広告セットPSに、吸着パッド402が吸着し、吸着パッド402の移動によって吸着した広告セットPSを装置内部に引き込み、引き込んだ広告セットPSを給紙駆動ローラ405と給紙従動ローラ406とで挟んで、
図12中の右下方へと給送する。
広告先端センサ295は、積載台226の搬送方向下流側端部に位置し、積載台226に積載された複数セットの広告セットPSのうち最前の位置(給紙位置)にある広告セットPS(給紙対象広告セットPS1)を検知するセンサである。
【0125】
図10~
図12に示すように、積載台226は、積載支持板263と、幅方向に複数本(本例では四本)平行に並べて配置された上流側搬送ベルト561と、幅方向に複数本(本例では四本)平行に並べて配置された下流側搬送ベルト562とを備える。下流側搬送ベルト562は、上流側搬送ベルト561に対して幅方向の位置をずらして配置されている。そして、上流側搬送ベルト561の搬送方向下流側端部と、下流側搬送ベルト562の搬送方向上流側端部とを張架するベルト駆動ローラ565に対してメインモータから回転駆動を伝達し、
図12中の矢印で示す方向(時計回り方向)に回転させることで、上流側搬送ベルト561と下流側搬送ベルト562とが、その上面が搬送方向下流側に移動するように無端移動する。
【0126】
中入制御部252は、メインモータからベルト駆動ローラ565への回転駆動の伝達のON/OFFを切り替える電磁クラッチ等の駆動伝達切り替え手段を制御する。駆動の伝達をONにして、ベルト駆動ローラ565が回転することにより、搬送ベルト(561、562)が、積載台226上の広告セットPSを給紙位置に向けて移動させる。
中入制御部252は、広告給紙機構216が給紙位置にある給紙対象広告セットPS1を引き込んだことにより、広告先端センサ295が給紙位置にある広告セットPSを検知しなくなった場合、広告先端センサ295が広告セットPSを再度検知するようにベルト駆動ローラ565の駆動を制御する。これにより、広告給紙機構216が広告セットPSを引き込むことによる積載台226上の広告セットPSの減少に応じて、積載台226に積載された複数セットの広告セットPSを給紙位置に向かう方向へ移動させることができる。
中入制御部252は、ベルト駆動ローラ565への駆動の伝達をONにして、搬送ベルト(561、562)により広告セットPSを移動させた後、広告先端センサ295が広告セットPSを検知したままであっても、所定部数の広告セットPSが給紙された場合は、ベルト駆動ローラ565への駆動の伝達をONにして、搬送ベルト(561、562)により広告セットPSを所定量または所定時間移動させる。
【0127】
前面板225は、積載台226に縦置きの状態で積載された広告セットPSが倒れないように、支えるための板部材である。
図11及び
図12に示すように、前面板225の下部には、積載台226から装置内部に給紙される広告セットPSが通過する給紙通過開口部551が形成されており、給紙通過開口部551の上端よりも上方の前面板225によって、縦置きの広告セットPSの上半分側を支える構成となっている。
【0128】
図11に示すように、積載台226の搬送方向下流側端部には分離爪270を備える。分離爪270は、下方から給紙通過開口部551に突き出し、吸着パッド402に吸着され、吸着パッド402の移動により、装置内部へと給紙通過開口部551を通過しようとする広告セットPSの下端部に接触し、給紙されようとしている給紙対象広告セットPS1と、次回の給紙動作で給紙される次回給紙広告セットPS2との分離を促す部材である。
【0129】
上述した
図11及び
図12は、広告セットPSの給紙動作を開始する前の待機状態の広告給紙機構216を示している。
図13~
図15は、広告給紙機構216が給紙対象広告セットPS1を給紙する様子を説明する断面説明図である。
図13は、吸着パッド402が広告セットPSに吸着する位置に到達した状態を示し、
図14は、吸着パッド402が給紙対象広告セットPS1を給紙通過開口部551から装置内部に引き込んだ状態を示し、
図15は、吸着パッド402が引き込んだ給紙対象広告セットPS1が給紙駆動ローラ405と給紙従動ローラ406とに挟まれた状態を示す。
【0130】
図11及び
図12に示す待機状態から給紙動作が開始されると、給紙駆動ローラ405の
図12中の反時計回り方向の回転が開始されるとともに、分離板404、分離突き出し部材403及び給紙従動ローラ406が下降し、これらの部材が給紙通過開口部551を塞がない状態となる。一方、不図示の吸引ポンプと吸着パッド402との接続をONにし、吸着支持部材402aを
図12中の時計回り方向に回転させることで、
図13に示すように、吸着パッド402が給紙対象広告セットPS1の裏面(前面板225に接触する側の面)に吸着した状態となる。
【0131】
給紙動作では、
図13に示す状態から吸着支持部材402aが
図13中の反時計回り方向に回転するとともに、分離突き出し部材403及び給紙従動ローラ406を上昇して
図14で示す状態となる。吸着支持部材402aが反時計回り方向に回転することで、吸着パッド402が装置内部に引っ込み、吸着パッド402が吸着した給紙対象広告セットPS1を給紙通過開口部551から装置内部に引き込む。この動作の際に、給紙通過開口部551を通過する給紙対象広告セットPS1の下端部に分離爪270が引っかかるが、給紙対象広告セットPS1における下端部近傍が撓んで分離爪270を乗り越えることで、給紙対象広告セットPS1の下端部側が給紙通過開口部551を通過する。また、給紙対象広告セットPS1に次回給紙広告セットPS2が密着して給紙対象広告セットPS1とともに給紙されそうになっても、分離爪270によって給紙対象広告セットPS1が撓むことで、次回給紙広告セットPS2はその剛性によって給紙対象広告セットPS1の撓みに追従せず、給紙対象広告セットPS1と次回給紙広告セットPS2との密着が解除され、積載台226に積載された他の広告セットPSから給紙対象広告セットPS1の分離を促すことができる。
【0132】
給紙動作では、
図14に示す状態からさらに吸着支持部材402aが反時計回り方向に回転するとともに、分離突き出し部材403及び給紙従動ローラ406がさらに上昇して、
図12に示す待機状態と同様の位置となるように各駆動部の動作が制御されて
図15で示す状態となる。吸着パッド402が
図15に示す位置に到達すると、吸着パッド402からの空気の吸引を切って、吸着パッド402による吸着を解除する。この動作によって、吸着パッド402が吸着した給紙対象広告セットPS1は、給紙駆動ローラ405に接触する位置まで引き込まれる。また、上昇する分離突き出し部材403が、分離爪270によって下端部近傍が分離された給紙対象広告セットPS1と次回給紙広告セットPS2との間に入り込むことで、より確実な分離給紙を行うことができる。さらに、給紙従動ローラ406が給紙駆動ローラ405と接触する位置まで上昇しようとすることで、給紙従動ローラ406と給紙駆動ローラ405との間に給紙対象広告セットPS1を挟持でき、挟持した給紙対象広告セットPS1を給紙駆動ローラ405の回転によって広告挿入部219に向けて給紙する。なお、
図12乃至
図15に示すように分離突き出し部材403は、分離突き出しローラ403aを備えており、
図15に示すように、給紙対象広告セットPS1と次回給紙広告セットPS2との間に入り込んだときには、分離突き出しローラ403aが給紙対象広告セットPS1や次回給紙広告セットPS2と接触して回転するため、上下に移動する分離突き出し部材403が摺擦することに起因して広告セットPSの表面に摺擦傷ができることを防止できる。
【0133】
次に、給紙通過開口部551に対する分離爪270の突き出し量の調整について説明する。
分離爪270の突き出し量は、広告セットPSの厚さに応じて調整する必要がある。詳しくは、広告セットPSが厚いほど分離爪270の突き出し量を小さくし、広告セットPSが薄いほど分離爪270の突き出し量を大きくする。
これは以下の理由による。
【0134】
すなわち、厚い広告セットPSは剛性が大きく曲がり難いため、次回給紙広告セットPS2は給紙対象広告セットPS1の撓みに追従して撓みにくく、分離爪270の突き出し量を小さくし、給紙対象広告セットPS1の撓み量が小さくても、次回給紙広告セットPS2の剛性によって給紙対象広告セットPS1と次回給紙広告セットPS2とを分離できる。また、厚い広告セットPSを給紙するときに、分離爪270の突き出し量が大き過ぎると、吸着パッド402に吸着された給紙対象広告セットPS1が分離爪270を乗り越えるほどに給紙対象広告セットPS1が撓む前に、給紙対象広告セットPS1の剛性による撓みに抗する力が、吸着パッド402の吸着力を上回り、吸着パッド402の吸着が解除され、給紙できなくなるおそれがある。
【0135】
一方、薄い広告セットPSは剛性が小さく曲がり易いため、次回給紙広告セットPS2は給紙対象広告セットPS1の撓みに追従して撓み易く、分離爪270の突き出し量を大きくし、給紙対象広告セットPS1の撓み量を大きくしても、給紙対象広告セットPS1の剛性による撓みに抗する力が、吸着パッド402の吸着力を上回ることが生じ難く、給紙不良が生じにくい。また、薄い広告セットPSを給紙するときに、分離爪270の突き出し量が小さ過ぎると、吸着パッド402に吸着された給紙対象広告セットPS1が分離爪270を乗り越えるほどに給紙対象広告セットPS1が撓んでも、次回給紙広告セットPS2が給紙対象広告セットPS1に追従して撓み、密着が解除できず、分離不良となって広告セットPSの重送が生じるおそれがある。
【0136】
このため、本実施形態の広告給紙部211では、広告セットPSが薄いときには突き出し量を大きくし、広告セットPSが厚いときには突き出し量を小さくできるように、分離爪270の上下方向の位置(高さ)を調整可能となっている。
図16は、分離爪270の突き出し量の調整の説明図である。
図16(a)は、分離爪270の突き出し量を最大にしたときの説明図であり、
図16(b)は、分離爪270の突き出し量を最小にしたときの説明図である。
図16(a)と
図16(b)とに示すように、広告セットPSの厚さ応じて分離爪270の突き出し量を異ならせることで広告セットPSの厚さが変化しても良好な給紙性と分離性とを実現できる。
【0137】
分離爪270の上下方向の位置を調整する分離爪高さ調整機構290(
図17、
図18参照)の操作部である分離爪調整ツマミ245が、広告給紙部211の筐体右側壁部410の右壁正面板410aに配置されている。
図17は、分離爪高さ調整機構290の説明図であり、
図17(a)は、筐体右側壁部410の分離爪調整ツマミ245近傍の拡大正面図であり、
図17(b)は、筐体右側壁部410の分離爪調整ツマミ245近傍の拡大斜視図である。
【0138】
図17に示すように、広告給紙部211は、筐体右側壁部410の右壁正面板410aに分離爪調整ツマミ245を備える。
【0139】
図18は、分離爪高さ調整機構290の動作説明図である。
図18(a)は、分離爪調整ツマミ245を厚い広告セットPSに対応した目盛りに合わせた状態の説明図である。
図18(b)は、分離爪調整ツマミ245を薄い広告セットPSに対応した目盛りに合わせた状態の説明図である。
【0140】
図18に示すように、分離爪調整ツマミ245は分離爪調整用伝達軸275に固定されており、使用者が分離爪調整ツマミ245を回転させると、分離爪調整用伝達軸275に固定された分離爪調整出力ギヤ274が回転する。
【0141】
分離爪調整出力ギヤ274には、分離爪押上スライド部材273の分離押上スライドラック部273bがかみ合っており、分離爪調整出力ギヤ274が回転すると、分離爪押上スライド部材273が左右方向に移動する。分離爪270が固定された分離爪支持部材271は、不図示の支持機構によって積載台226に対して上下方向に移動可能に支持されており、分離爪押上スライド部材273は三つの分離爪支持部材271の下端部がそれぞれ接触する斜面を備えた三つの傾斜部材272が分離爪押上スライド部材273の傾斜支持部273aに固定されている。分離爪押上スライド部材273が左右方向に移動すると、傾斜部材272の斜面における分離爪支持部材271の下端部が接触する位置の高さが変化し、この接触する位置の高さに応じて分離爪支持部材271に固定された分離爪270の高さが変化する。
【0142】
次に、
図17及び
図18を参照しながら、分離爪調整ツマミ245を操作した際の分離爪高さ調整機構290の動きについて説明する。分離爪調整ツマミ245を反時計回り方向(図中の矢印「A1」とは逆方向)に回し切ると、分離爪270が最も下がった状態となる。使用者が、分離爪調整ツマミ245を時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回転させると、分離爪調整用伝達軸275と、これに固定された分離爪調整出力ギヤ274とが時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回転する。
【0143】
図18(a)に示す状態から、分離爪調整出力ギヤ274が時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)に回転すると、分離押上スライドラック部273bを備える分離爪押上スライド部材273が左方向(図中の矢印「A2」方向)に移動する。分離爪押上スライド部材273が左方向(図中の矢印「A2」方向)に移動すると、傾斜支持部273aに固定された傾斜部材272が左方向に移動し、傾斜部材272の斜面における分離爪支持部材271の下端部と対向する部分の高さが高い部分となる。これにより、傾斜部材272の斜面に分離爪支持部材271が押し上げられて上方向(図中の矢印「A3」方向)に移動して、分離爪支持部材271に固定された分離爪270の位置が上方に移動し、
図18(b)に示す状態になる。
【0144】
分離爪調整ツマミ245の周囲には、数値が記載された目盛りが付されており、分離爪調整ツマミ245の回転位置を、広告セットPSの厚さに応じた数値に合わせることで、分離爪270の高さを広告セットPSの厚さに適した高さに設定することができる。
【0145】
分離爪調整ツマミ245を半時計回り方向に回し切った
図18(a)の状態から、分離爪調整ツマミ245の時計回り方向への回転量が小さいと、分離爪調整出力ギヤ274の時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)への回転量は小さくなり、分離爪押上スライド部材273が左方向(図中の矢印「A2」方向)への移動量が小さくなる。さらに、分離爪押上スライド部材273に固定された傾斜部材272の左方向(図中の矢印「A2」方向)への移動量が小さくなり、傾斜部材272の左方向への移動によって押し上げられる分離爪支持部材271に固定された分離爪270の上方向(図中の矢印「A3」方向)への移動量も小さくなる。この結果、給紙通過開口部551に対する分離爪270の突き出し量は小さくなる。
【0146】
一方、分離爪調整ツマミ245を半時計回り方向に回し切った
図18(a)の状態から、分離爪調整ツマミ245の時計回り方向への回転量が大きいと、分離爪調整出力ギヤ274の時計回り方向(図中の矢印「A1」方向)への回転量は大きくなり、分離爪押上スライド部材273が左方向(図中の矢印「A2」方向)への移動量も大きくなる。さらに、分離爪押上スライド部材273に固定された傾斜部材272の左方向(図中の矢印「A2」方向)への移動量が大きくなり、傾斜部材272の左方向への移動によって押し上げられる分離爪支持部材271に固定された分離爪270の上方向(図中の矢印「A3」方向)への移動量も大きくなる。この結果、給紙通過開口部551に対する分離爪270の突き出し量は大きくなる。
【0147】
以下、積載する広告セットPSの厚さに応じた分離爪270の高さ調整操作について説明する。
インサーター20で一つのジョブを開始する際には、使用者が中入タブレット端末21を操作して、中入タブレット記憶部2147に記憶されている「地区名」の中から、広告積載部215に広告セットPSの配達先に該当する「地区名」を選択する。これにより、選択された「地区名」と、「地区名」の紐付けられた「部数」(=今回部数Na1)と、「厚さ」(=1セットの広告セットPSの厚さ)とが呼び出される。そして、中入タブレット表示部2116に、「地区名」及び「今回部数Na1」と、広告セットPSの厚さに対応した「目盛り数値」とを表示される。
【0148】
使用者は、中入タブレット表示部2116に表示された「今回部数Na1」の数値と、操作部241の表示部の「今回部数Na1」を表示する位置に表示された数値とを確認し、数値が異なっていたら中入タブレット表示部2116に表示された数値に合わせるように操作部241を操作する。
【0149】
次に、使用者は、分離爪調整ツマミ245が示す数値が、中入タブレット表示部2116に表示された「目盛り数値」となるように分離爪調整ツマミ245の回転位置を調整する。これにより、丁合機10で導出された「丁合物厚さ情報」に基づいて、広告セットPSの厚さに適した分離爪270の突き出し量とすることができる。
【0150】
従来のインサーターでは、広告セットの厚さに関する情報を取得する構成を備えていないため、複数セットの広告セットを重ねた広告セット束を積載台に積載する前に、広告セット束から1セットの広告セットを取り出して、インサーターとは別体の厚さ測定器で厚さを測定していた。そして、この厚さ測定器での測定値を確認し、分離爪の突き出し量を調整する調整部材の調整位置(分離爪調整ツマミ245の回転位置)が、厚さ測定器での測定値に対応した位置となるように操作することで分離爪の突き出し量を調整する作業を行っていた。
【0151】
このような従来の調整作業では、「(1)厚さ測定器を準備する」、「(2)厚さ測定器に広告セットを挟む」、「(3)厚さ測定器の測定値を確認する」、「(4)確認した測定値に対応した位置となるように調整部材を操作する」というように多くの手順が必要であり、使用者にとって手間であった。
【0152】
これに対して、本実施形態にかかるインサーター20は、「(1)中入タブレット表示部2116に表示された「目盛り数値」を確認する」、「(2)確認した目盛り数値に対応した位置となるように調整部材を操作する」という少ない手順で、且つ、簡単な操作で分離爪270の突き出し量を調整することができる。
【0153】
本実施形態の分離爪高さ調整機構290は、使用者が分離爪調整ツマミ245を回転させることで、分離爪270を上下動させる構成である。丁合機10から取得した「丁合物厚さ情報」に基づいて、分離爪270を上下動させる構成としてはこれに限るものではない。分離爪270の突き出し量を変化させるモータやソレノイド等の駆動源を備える構成で、中入タブレット表示部2116に表示された「広告セットPSの厚さ」に関する数値を使用者が入力し、入力された数値に応じて駆動源の駆動量を制御する構成としてもよい。
【0154】
さらに、他の例として、中入タブレット表示部2116で表示する「丁合済ジョブ情報」を中入タブレット制御部2106から中入制御部252に送信し、「部数」の情報に基づいた「今回部数Na1」の設定と、「厚さ」に基づいた分離爪270の突き出し量の調整を自動で行う構成としてもよい。この構成例では、中入タブレット表示部2116に表示される「丁合済ジョブ情報」のうち、今からジョブを行う地区名を使用者が選択することで、選択された「丁合済ジョブ情報」に含まれる「部数」の情報が「今回部数Na1」として中入制御部252に送信され中入記憶部254に記憶される。また、選択された「丁合済ジョブ情報」に含まれる「厚さ」の情報に基づいて分離爪270の突き出し量を変化させる駆動源の駆動量を制御する。この構成例では、使用者による操作部241での「今回部数Na1」の入力操作や分離爪調整ツマミ245を回す操作が不要となる。
【0155】
実施形態の広告給紙部211は、分離爪調整ツマミ245を回すことで分離爪270の突き出し量が変化する構成である。この構成であれば、丁合機10から取得した「丁合物厚さ情報」に基づいた広告セットPSの厚さに応じた分離爪270の突き出し量に調整した後、分離爪調整ツマミ245を回すことで分離爪270の突き出し量の微調整を行うことができる。広告セットPSは同じ厚さであっても、広告セットPSを構成する広告印刷物の材料や印刷状態によって、分離性、給紙性が異なることがあるが、広告セットPSの厚さに応じた突き出し量を調整した後に、さらに分離爪270の突き出し量の微調整が可能であることで、より安定した広告セットPSの給紙を行うことができる。
【0156】
<変形例1>
本実施形態の中入システム200は、取得した「丁合物厚さ情報」に基づいて分離爪270の突き出し量を調整する構成である。
中入システム200での「丁合物厚さ情報」に基づいた調整対象としては、これに限るものではない。例えば、四つ折りの中入前の新聞の1セットの厚さの情報を取得する新聞厚さ情報取得手段を備え、丁合厚さ情報と中入前の新聞の1セットの厚さとに基づいて、中入済新聞の1セット分の厚さを算出することができる。そして、算出した中入済新聞の厚さに基づいて、櫛歯状の中入済新聞束受け部233の下降量の調整や「区分け部数」の設定の補助を行う構成としてもよい。
【0157】
これらの構成では、中入制御部252は、操作部241での使用者による入力、または、丁合機10から受信した「丁合済ジョブ情報」に含まれる「厚さ」、に基づいて、丁合物の厚さを取得する。そして、新聞厚さ情報取得手段が取得した四つ折りの新聞の1セット分の厚さと丁合物の厚さとの合計により、中入済新聞の1セットの厚さを算出する。
【0158】
「丁合物厚さ情報」に基づいて中入済新聞束受け部233の下降量を調整する構成ではリフトアップコンベア229から中入済新聞束受け部233に、中入済新聞が送られてくる度に算出した中入済新聞の厚さの分だけ中入済新聞束受け部233を下降させるように中入済新聞束受け部233の駆動機構(不図示)を制御する。これにより、上述した上面センサの検知結果に基づいて中入済新聞束受け部233を下降させるよりも、積載された中入済新聞の最上位面を略一定の位置に維持することが可能となる。
【0159】
算出値の誤差により、中入済新聞の厚さの算出値が実際の厚さよりも小さいと、連続積載での誤差の積み重ねによって、中入済新聞束受け部233上の中入済新聞がオーバーフローするおそれがある。これに対して、算出した中入済新聞の厚さの分だけ下降させる場合であっても、上面センサが「ON」になったときに所定量だけ下降させることで、中入済新聞の厚さの算出値と実際の厚さとの誤差に起因するオーバーフローの発生を防止できる。このとき、中入済新聞束受け部233の下降に用いる中入済新聞の厚さの算出値を大きめに設定し直す補正を行ってもよい。
【0160】
また、算出値の誤差により、中入済新聞の厚さの算出値が実際の厚さよりも大きいと、連続積載での誤差の積み重ねによって、中入済新聞束受け部233上の中入済新聞束の最上位面が下がり過ぎてしまう可能性がある。これに対して、中入済新聞束受け部233に積載された中入済新聞束の上面が、上面センサが検知する高さよりも所定量以上下方に位置することを検知する検知手段を設けてもよい。この検知手段で検知した場合には、中入済新聞が送られてくる度に中入済新聞束受け部233を下降させる制御を中断し、所定部数の中入済新聞を受け入れたら下降させる制御を再開することで、中入済新聞束受け部233に積載された中入済新聞束の最上面の位置を一定の範囲に保つことができる。このとき、中入済新聞束受け部233の下降に用いる中入済新聞の厚さの算出値を厚めに設定し直す補正を行ってもよい。
【0161】
算出した中入済新聞の厚さの分だけ中入済新聞束受け部233を下降させる構成では、中入済新聞束受け部233に中入済深新聞が送られる度に中入済新聞の厚さの分だけ下降させてもよいし、所定部数の中入済深新聞が送られる度に、中入済新聞の厚さに所定部数を乗じた値分だけ下降させてもよい。
【0162】
「丁合物厚さ情報」に基づいて「区分け部数」の設定の補助を行う構成では、中入済新聞の一部の厚さに基づいて、区分け部数の上限値を算出し、リフトアップスタッカー203の操作部(スタッカー操作部2031)の表示部に表示する。表示部は、中入システム200が備える他の表示部(操作部241の表示部、中入タブレット表示部2116等)でもよい。
【0163】
リフトアップスタッカー203は、スタック排出口203aの高さ等によって中入済新聞束受け部233での最大積載可能高さが決まっている。そして、中入済新聞の1セット分の厚さと最大積載可能高さとの関係性から区分け部数の上限値を算出することができる。例えば、最大積載可能高さが300[mm]で、中入済新聞の1セット分の厚さが15[mm]の場合、「区分け部数」の上限値として20部(20セット)が算出される。この上限値を表示部の何れかに表示する。使用者は、表示された上限値以下の部数を「区分け部数」に設定することが可能であり、使用者の設定がない場合は、算出された上限値を「区分け部数」としてスタック排出処理を実行する。
【0164】
新聞厚さ情報取得手段としては、使用者がスタッカー操作部2031または操作部241で中入前の新聞の1セットの厚さを入力する構成を挙げることができる。インサーター20の新聞給紙機構242は、広告給紙機構216の分離爪270と同様に、給紙する新聞の厚さに応じて突き出し量を調整する分離部材を備える。この分離部材の突き出し量を調整するために使用者は新聞の厚さを測定し、分離爪調整ツマミ245と同様の調整部材を操作して分離部材の突き出し量を調整する。このとき、取得した新聞の厚さを新聞厚さ情報取得手段としてのスタッカー操作部2031に入力する。また、新聞の厚さの情報を入力して新聞給紙機構242の分離部材の突き出し量の調整を自動で調整する構成の場合は、操作部241に入力された新聞の厚さの情報を中入済新聞の厚さの算出に用いてもよい。
【0165】
新聞厚さ情報取得手段の他の構成としては、スタッカー操作部2031または操作部241で新聞のページ数の入力を受け付け、中入制御部252が入力されたページ数に基づいて中入前の新聞の1セットの厚さを算出する構成が挙げられる。これによれば、使用者が新聞を実際に測定する手間を省くことができる。
【0166】
<変形例2>
図1に示す丁合中入システム500では、同じ新聞店NSで使用されている丁合機10と中入システム200とで丁合物に関する情報を、管理サーバ520を介して共有できる構成について説明した。丁合機10と中入システム200とで丁合物に関する情報を共有する構成としては、丁合機10と中入システム200とが別店舗に配置されたものでもよい。
【0167】
図19は、丁合中入システム500の丁合機10と中入システム200とを別店舗に配置した構成例の説明図である。
図19に示す丁合中入システム500では、丁合物の作成を行う丁合店CSで作成した丁合物束を第一新聞店NS1と第二新聞店に輸送トラックT(T1、T2)等の輸送手段でそれぞれの新聞店NS(NS1、NS2)に輸送し、それぞれの中入システム200で中入処理を行う。
【0168】
丁合店CSは、一つ以上の丁合機10を備え、丁合処理を実行し、複数種類の丁合物束を作成する。
図19では、丁合店CSは第一丁合機10aと第二丁合機10bとの二台の丁合機10を備える構成であるが、丁合店CSが備える丁合機10の数はこれに限るものではない。
【0169】
丁合店CSでは丁合機10を用いて丁合ジョブを実行し、作成した丁合物束を第一新聞店NS1または第二新聞店NS2に発送する。丁合機10は、実行した丁合ジョブに関する「丁合済みジョブ情報」を作成し、インターネット回線510を介して、管理サーバ520に送付する。これにより、丁合店CSで作成された複数の丁合物束のそれぞれについての「丁合済みジョブ情報」を管理サーバ520に保存することができる。
【0170】
新聞店NSは、丁合店CSから発送された丁合物束を受け取り、その丁合物束に付された識別情報を中入システム200(200a、200b)に入力することで、受け取った丁合物の「丁合済みジョブ情報」を取得することができ、取得した情報に基づいて中入処理を行うことができる。
【0171】
上述した実施形態では、丁合装置で取得した丁合物厚さ情報を出力先として中入装置に送信する構成であるが、丁合物厚さ情報の出力先は中入装置に限るものではない。例えば、丁合装置で作成した丁合物を包装する包装装置で被包装物の厚さに応じて何等かの設定を変更する(作成する包装材の大きさの変更や、予め用意された複数種の封筒等の包装材に包装する場合は包装材の種類を変更する等)ものであれば、丁合装置で取得した丁合物厚さ情報を包装装置に送信する構成としてもよい。
【0172】
また、丁合物で作成した丁合物を用いて製本する製本装置で、丁合物の厚さに応じて製本時の制御を変更するものであれば、丁合装置で取得した丁合物厚さ情報を製本装置に送信する構成としてもよい。
【0173】
また、丁合装置で作成した丁合物を
図19で示すように、輸送トラックT等の輸送手段で輸送する場合、丁合物の部数と丁合物厚さ情報と丁合物の部数とに基づいて、輸送する予定の丁合物の嵩を算出することができ、輸送手段の容量と算出した丁合物の嵩とに基づいて効率的な輸送計画を算出することができる。このため、丁合物を輸送する輸送計画を作成するシステム(物流管理システム等)の管理装置(パーソナルコンピューター等)に丁合物厚さ情報を送信する構成としてもよい。さらに、丁合装置自体の表示部に丁合中または丁合済みの丁合物の厚さを表示する構成としてもよい。
【0174】
上述した丁合中入システム500では、丁合装置と中入装置とが別装置であったが、丁合装置と中入装置とで丁合物の厚さに関する情報を共有する発明は、特許文献6等に記載された丁合・中入れ装置のように、丁合装置と中入装置とが一体となった装置にも適用可能である。例えば、予め用意した複数組の丁合物(丁合束)を一組ずつ取り出して新聞に中入する中入れモードの際に、先の丁合動作によって取得した厚さに基づいて、中入動作時のサバキ圧等の一組の丁合物の給送条件の設定を変更することができる。
【0175】
上述した丁合中入システム500では、丁合機10は、丁合ジョブとして、同一の丁合条件で作成した所定部数の丁合物を連続して作成し、スタッカトレイ40に重ねて排出する。そして、丁合ジョブ毎、言い換えると、同じ丁合条件で連続的に丁合した複数組の丁合物を重ねた丁合物束毎に丁合物の識別情報と、丁合物厚さ情報とを紐付けて出力していた。丁合機10が、丁合物厚さ情報を導出する頻度としては、複数組の丁合物毎に限らず、一組の丁合物毎にその丁合物厚さ情報を導出して出力してもよい。例えば、顧客情報に基づいて丁合物に含める用紙を選択して丁合する選択丁合では、成果物である丁合物はそれぞれ厚さが異なるが、一組の丁合物毎に丁合物厚さ情報を取得することで、それぞれの丁合物に対して厚さに関する情報を出力することができる。
【0176】
選択丁合を行う丁合装置では、折用給紙装置1Xに識別情報読取装手段を配置して、折用紙に付されたバーコード等の識別情報を読み取るものがある。このように折用紙から識別情報を読み取る構成では、読み取った識別情報と、導出した丁合物厚さ情報とを紐付けて情報を保存し、管理サーバ520に送信する。
【0177】
<変形例3>
図20は、丁合装置である丁合機10と、丁合物束を作成する丁合物束作成装置であるリフトアップスタッカー203と、を備える丁合システム600の外観側面図である。変形例3は、丁合装置で取得した丁合物厚さ情報を送信する出力先がリフトアップスタッカー203である。
【0178】
丁合システム600のリフトアップスタッカー203は、上述した中入システム200のリフトアップスタッカー203と同様の構成を備え、中入済新聞を束ねた中入新聞束を作成する代わりに、丁合機10で作成した丁合物を束ねた丁合物束を作成する。そして、変形例2で中入済新聞束の1セットの厚さを算出する代わりに、変形例3は丁合物厚さ情報を取得する。さらに、取得した丁合物厚さ情報に基づいて、中入済新聞束受け部233に相当するエレベーターの下降量の調整や、「区分け部数」に相当する束形成丁合物部数の設定の補助を行う。
【0179】
丁合物の厚さ情報に基づいて丁合束形成丁合部数の設定を行う構成としては、
図20のように丁合物を上昇させる構成に限らず、特許文献7に記載の丁合システムのように、丁合装置から排出された丁合物を移動コンベアで移動させるシステムにも適用できる。このシステムでは、移動コンベア上に丁合物を積載して丁合物束を形成し、移動コンベアを移動することで所定の高さの丁合物束が作成できる。ここで、使用者が入力する丁合物束の所望の高さと、丁合物の厚さ情報とに基づいて、丁合物束が所望の高さとなる丁合物のセット数を算出し、算出結果に基づいて使用者が丁合束形成丁合部数を設定する。丁合システムは設定された丁合束形成丁合部数の丁合物が排出される度に丁合動作を停止し、移動コンベアを移動し、丁合動作を再開することで、所望の高さの丁合物束を作成することが可能となる。
【0180】
本発明の実施の形態は、上述した実施形態や構成例に限るものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれ得る。
【0181】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0182】
〔態様1〕
態様1は、複数の給紙装置1等のシート材給送部から送り出される広告印刷物(用紙)等のシート材を重ね合わせて丁合物を作成する丁合機10等の丁合装置において、丁合物の厚さに関する情報である丁合物厚さ情報等の厚さ情報を導出する厚さ情報導出手段(本体制御部50、重送検知機構60、丁合物厚さ検出機構160等)と、厚さ情報導出手段が導出した厚さ情報を出力するタブレット通信部8等の厚さ情報出力手段を備えることを特徴とする丁合装置である。
【0183】
態様1によれば、丁合装置で丁合した丁合物の厚さ情報を丁合装置が導出して外部に出力できるため、丁合装置で作成された丁合物を利用する装置や作業工程において厚さ情報を利用する際に、使用者は丁合物の厚さの測定が不要となり、丁合物の厚さの情報を用いた処理の手間を低減できる。
【0184】
厚さ情報出力手段が出力する厚さ情報としては、導出手段が導出した厚さ情報そのものでなくてもよく、導出された厚さ情報に基づいて算出された厚さランク等の厚さに関する情報でもよい。
【0185】
厚さ情報出力手段としては、タブレット通信部8のように丁合装置の外部装置に厚さ情報を送信するものに限らず、丁合装置が備える表示部(メイン操作パネル16等)に厚さ情報を表示するものでもよい。
【0186】
[態様2]
態様2は、態様1の丁合装置において、厚さ情報導出手段は、丁合物を作成するためにシート材を送り出したシート材給送部の数に基づいて厚さ情報を導出することを特徴とする丁合装置である。
【0187】
態様1によれば、上記実施例1のように、シート材給送部の数という丁合条件に基づいて厚さ情報を導出することができ、シート材の厚さを検出する検出手段を用いることなく厚さ情報を導出することができる。
【0188】
[態様3]
態様3は、態様1の丁合装置において、シート材給送部のそれぞれについて送り出すシート材の厚さである用紙の厚さデータ等のシート材厚を紐付けて記憶する給紙記憶部等のシート厚記憶部を備え、厚さ情報導出手段は、丁合物を作成するためにシート材を送り出したシート材給送部に紐付けられたシート材厚を合計した値に基づいて厚さ情報を導出することを特徴とする丁合装置である。
【0189】
態様3によれば、上記実施例2のように、丁合物を作成する各用紙の厚さの検出結果を用いて厚さ情報を算出するため、導出した厚さ情報を補正することなく、より実際の丁合物の厚さに近い厚さ情報を導出することができる。また、丁合物そのものの厚さを検出する検出手段を別途設ける必要がなく、厚さ情報を導出する構成を追加することによるコストの増加を抑制することができる。
【0190】
[態様4]
態様4は、態様1の丁合装置において、作成した丁合物が通過する丁合物通過経路で丁合物の厚さを検出する排出部変位センサ169等の丁合物厚検出手段を備え、丁合物厚さ検出機構160等の厚さ情報導出手段は、丁合物厚検出手段の検出結果に基づいて厚さ情報を導出することを特徴とする丁合装置である。
【0191】
態様4によれば、上記実施例3のように、丁合物そのものの厚さを検出するため、丁合物厚さ情報をより正確に導出することができる。
【0192】
[態様5]
態様5は、態様1乃至4の何れかの丁合装置において、厚さ情報出力手段は、厚さ情報を導出した丁合物を識別する「地区名」等の丁合物識別情報と厚さ情報とを紐付けて出力することを特徴とする丁合装置である。
【0193】
態様5によれば、使用者は丁合物識別情報を管理サーバ520等の丁合物情報管理部に送信することで、厚さ情報を取得することができる。
【0194】
[態様6]
態様6は、複数の給紙装置1等のシート材給送部から送り出される広告印刷物(用紙)等のシート材を重ね合わせて丁合物を作成する丁合機10等の丁合手段と、折り畳まれた新聞等の折シート材に丁合物を挟んだ状態の中入済新聞等の丁合物中入折シート材を作成する中入動作を行うインサーター20等の中入手段と、を備える丁合中入システム500等の丁合中入システムにおいて、丁合手段として、態様1乃至5の何れかに記載の丁合装置を備え、中入手段は、記丁合物の厚さによって設定を変更すべき分離爪高さ調整機構290等の厚さ基準設定変更部と、丁合装置の厚さ情報出力手段が出力した厚さ情報を取得する中入タブレット通信部2108及び中入タブレット制御部2106等の中入側厚さ情報取得部と、中入側厚さ情報取得部が取得した厚さ情報を出力する中入タブレット表示部2116等の中入側厚さ情報出力部と、を有することを特徴とする丁合中入システムである。
【0195】
態様6であれば、丁合物の厚さによって厚さ基準設定変更部の設定を変更する中入手段で、丁合物の厚さの情報を取得する手間を省けることができる。中入側厚さ情報出力部としては、中入タブレット表示部2116のように表示するのみの構成でもよいし、取得した厚さ情報に基づいて厚さ基準設定変更部の設定を制御する構成でもよい。
【0196】
[態様7]
態様7は、複数の給紙装置1等のシート材給送部から送り出される広告印刷物(用紙)等のシート材を重ね合わせて丁合物を作成する丁合機10等の丁合手段と、折り畳まれた新聞等の折シート材に丁合物を挟んだ状態の中入済新聞等の丁合物中入折シート材を作成する中入動作を行うインサーター20等の中入手段と、を備える丁合中入システム500等の丁合中入システムにおいて、丁合手段は、丁合物の厚さに関する情報である丁合物厚さ情報等の厚さ情報を導出する厚さ情報導出手段(本体制御部50、重送検知機構60、丁合物厚さ検出機構160等)を有し、中入手段は、丁合物の厚さによって設定を変更すべき分離爪高さ調整機構290等の厚さ基準設定変更部と、丁合手段の厚さ情報導出手段が導出した厚さ情報を取得する中入側厚さ情報取得部と、前記中入側厚さ情報取得部が取得した前記厚さ情報を出力する中入タブレット表示部2116等の中入側厚さ情報出力部と、を有することを特徴とする丁合中入システムである。
【0197】
態様7であれば、丁合物の厚さによって厚さ基準設定変更部の設定を変更する中入手段で、丁合物の厚さの情報を取得する手間を省くことができる。中入側厚さ情報出力部としては、中入タブレット表示部2116のように表示するのみの構成でもよいし、取得した厚さ情報に基づいて厚さ基準設定変更部の設定を制御する構成でもよい。
【0198】
[態様8]
態様8は、態様6または7の丁合中入システムにおいて、中入手段は、丁合物を厚さ方向に複数組重ねた丁合物束を収容する広告積載部215等の丁合物収容部と、丁合物束収容部に収容する丁合物束から丁合物を一組ずつ給送する広告給紙機構216等の丁合物給送部と、を有し、厚さ基準設定変更部は、丁合物給送部が給送する一組の丁合物を丁合物収容部の丁合物束(給紙対象広告セットPS1等)を形成する他の丁合物(次回給紙広告セットPS2)から分離を促す分離爪270等の分離部材の高さ等の位置を丁合物の厚さに応じて変更することを特徴とする丁合中入システムである。
【0199】
態様8によれば、丁合手段で導出した厚さ情報を中入手段の分離部材の位置の調整に用いることができる。
【0200】
厚さ基準設定変更部である分離爪高さ調整機構290は、丁合物収容部から給送される丁合物が通過する給送通過経路に突き出して丁合物給送部によって給送される一組の丁合物と他の丁合物との分離を促す分離爪270等の分離部材を備え、給紙通過開口部551等の給送通過経路での分離部材の突き出し量を変更するものである。
【0201】
[態様9]
態様9は、態様6乃至8の何れかに記載の丁合中入システムにおいて、丁合手段は、厚さ情報導出手段が導出した厚さ情報を管理サーバ520等の外部装置に送信するタブレット通信部8等の厚さ情報送信手段を有し、中入手段の厚さ情報取得部は、厚さ情報送信手段が送信した厚さ情報を受信する中入タブレット通信部2108等の厚さ情報受信手段を有することを特徴とする丁合中入システムである。
【0202】
厚さ情報送信手段が厚さ情報を送信する外部装置としては、管理サーバ520に限らない。丁合装置と別筐体の中入装置等の丁合物に処理を施す他の装置でも良いし、中入装置等の丁合物に処理を施す他の装置と共に用いる持ち運び可能なタブレット端末等の情報通信端末でもよい。
【0203】
[態様10]
態様10は、態様6乃至8の何れかに記載の丁合中入システムにおいて、丁合手段と中入手段とを一体的に備え、中入手段は、丁合物を厚さ方向に複数組重ねた丁合物束を収容し、収容する丁合物束から丁合物を一組ずつ給送する丁合物収容給送部を有し、丁合収容給送部として、丁合手段のシート材給送部の少なくとも一部を兼用し、丁合手段の丁合動作で作成した丁合物束を、丁合収容給送部として兼用するシート材給送部に積載して中入動作を実行するものであり、中入手段の厚さ情報取得部は、厚さ情報導出手段が導出した厚さ情報を記憶する厚さ情報記憶手段を有することを特徴とする丁合中入システムである。
【0204】
態様10によれば、特許文献6等に記載された丁合・中入れ装置のように、丁合装置と中入装置とが一体となった装置でも、中入処理で丁合物の厚さを用いるときに、丁合処理で導出した丁合粒の厚さ情報を用いることができる。
【0205】
[態様11]
折り畳まれた新聞等の折シート材に丁合物を挟んだ状態の中入済新聞等の丁合物中入折シート材を作成する中入動作を行うインサーター20等の中入装置において、丁合物の厚さによって設定を変更すべき分離爪高さ調整機構290等の厚さ基準設定変更部と、丁合物の厚さに関する情報である丁合物厚さ情報等の厚さ情報を取得する中入タブレット通信部2108及び中入タブレット制御部2106等の中入側厚さ情報取得部と、中入側厚さ情報取得部が取得した前記厚さ情報を出力する中入タブレット表示部2116等の中入側厚さ情報出力部と、を有することを特徴とする中入装置である。
【0206】
態様11であれば、丁合物の厚さによって厚さ基準設定変更部の設定を変更する中入手段で、丁合物の厚さの情報を取得する手間を省くことができる。中入側厚さ情報出力部としては、中入タブレット表示部2116のように表示するのみの構成でもよいし、取得した厚さ情報に基づいて厚さ基準設定変更部の設定を制御する構成でもよい。
【0207】
[態様12]
態様12は、折り畳まれた新聞等の折シート材に丁合物等の中入シート材を挟んだ状態の中入済新聞等の中入済シート材を作成する中入動作を行うインサーター20等の中入装置と、中入装置が作成した中入済シート材を積載して中入済シート材束を作成するリフトアップスタッカー203等の中入済シート材束作成装置と、を備え、取得した折シート材の厚さと中入シート材の厚さとに基づいて、中入済シート材束を形成する中入済シート材の部数を算出することを特徴とする中入システム200等の中入済シート材束作成システムである。
【0208】
[態様13]
態様13は、折り畳まれた新聞等の折シート材に丁合物等の中入シート材を挟んだ状態の中入済新聞等の中入済シート材を作成する中入動作を行うインサーター20等の中入装置と、中入装置が作成した中入済シート材を載置部に積載して中入済シート材束を作成するリフトアップスタッカー203等の中入済シート材束作成装置と、を備え、中入済シート材束作成装置は、中入済シート材の積載に応じて積載部を下降させる構成を有し、取得した折シート材の厚さと中入シート材の厚さとに基づいて、積載部の下降量の設定を行う中入済シート材束作成システムである。
【符号の説明】
【0209】
1 :給紙装置
4 :タブレット端末
5 :サブ操作パネル
10 :丁合機
14 :給紙トレイ
16 :メイン操作パネル
18 :給紙機構
20 :インサーター
21 :中入タブレット端末
22 :サブ搬送機構
36 :ベルト搬送機構
38 :排出ローラ対
38a :排出下ローラ
38b :排出上ローラ
50 :本体制御部
51 :本体記憶部
60 :重送検知機構
160 :丁合物厚さ検出機構
169 :排出部変位センサ
200 :中入システム
209 :中入報知ランプ
229 :リフトアップコンベア
231 :スタックコンベア
245 :分離爪調整ツマミ
270 :分離爪
290 :分離爪高さ調整機構
500 :丁合中入システム
510 :インターネット回線
520 :管理サーバ
530 :管理端末
551 :給紙通過開口部
561 :上流側搬送ベルト
562 :下流側搬送ベルト
565 :ベルト駆動ローラ
2106 :中入タブレット制御部
2108 :中入タブレット通信部
2116 :中入タブレット表示部
2147 :中入タブレット記憶部
T :輸送トラック