(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127369
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】被検体動き測定装置、被検体動き測定方法、プログラム、撮像装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036490
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】七海 隆一
(72)【発明者】
【氏名】福谷 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和也
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA18
4C096AB44
4C096AD25
4C096FC09
(57)【要約】
【課題】装置の振動の影響を低減し、被検体の動きを高精度に測定するための技術を提供する。
【解決手段】被検体動き測定装置は、被検体を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像した画像から、前記被検体の動きに関する情報を取得する体動取得部と、前記撮像部とは異なる、前記被検体を撮像する撮像装置における振動を反映した指標を、前記撮像部で撮像した前記画像から取得する指標取得部と、前記指標を前記撮像装置に出力する出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像した画像から、前記被検体の動きに関する情報を取得する体動取得部と、
前記撮像部とは異なる、前記被検体を撮像する撮像装置における振動を反映した指標を、前記撮像部で撮像した前記画像から取得する指標取得部と、
前記指標を前記撮像装置に出力する出力部と
を備えることを特徴とする被検体動き測定装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記指標に基づいて撮像処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の被検体動き測定装置。
【請求項3】
前記撮像部は、光学式撮像部であり、前記撮像装置は、医用画像撮像装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の被検体動き測定装置。
【請求項4】
前記指標取得部は、前記振動の振幅に基づいて前記指標を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の被検体動き測定装置。
【請求項5】
前記指標は、前記振動によりモーションブラーが生じた前記画像の点像分布関数(Point Spread Function、PSF)である
ことを特徴とする請求項4に記載の被検体動き測定装置。
【請求項6】
前記指標取得部は、前記撮像部により撮像した第1画像と、前記第1画像よりも前記振動が小さい状態で前記撮像部により撮像した第2画像とを用いて前記点像分布関数を取得する
ことを特徴とする請求項5に記載の被検体動き測定装置。
【請求項7】
前記体動取得部は、前記指標に基づいて前記画像に対する画像処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の被検体動き測定装置。
【請求項8】
前記画像処理は、前記振動により前記画像に生じたモーションブラーを前記指標に基づいて低減する処理である
ことを特徴とする請求項7に記載の被検体動き測定装置。
【請求項9】
前記画像処理は、前記指標に基づくデコンボリューションにより前記モーションブラーを低減する処理である
ことを特徴とする請求項8に記載の被検体動き測定装置。
【請求項10】
前記体動取得部は、前記指標に基づいて前記画像に対する前記画像処理を変更する
ことを特徴とする請求項7に記載の被検体動き測定装置。
【請求項11】
前記画像処理の変更は、前記画像の二値化の処理の閾値の変更である
ことを特徴とする請求項10に記載の被検体動き測定装置。
【請求項12】
前記体動取得部は、前記画像処理を変更して生成した画像を用いて、前記被検体の動きに関する情報を取得する
ことを特徴とする請求項7に記載の被検体動き測定装置。
【請求項13】
前記体動取得部は、前記指標に基づいて前記被検体の動きに関する情報を取得する方法
を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の被検体動き測定装置。
【請求項14】
前記撮像装置は、前記指標に基づいて撮像条件を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の被検体動き測定装置。
【請求項15】
前記撮像装置は、前記撮像装置が撮像して取得する前記被検体の情報の一部を、前記指標に基づいて推定する
ことを特徴とする請求項14に記載の被検体動き測定装置。
【請求項16】
前記体動取得部は、前記被検体の動きに関する情報として人の頭部の動きの情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の被検体動き測定装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の被検体動き測定装置と、
前記被検体動き測定装置から出力される前記被検体の動きに関する情報を用いた処理を実行する処理部と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項18】
前記処理部は、前記被検体の動きに関する情報を用いて、前記被検体の画像を再構成する
ことを特徴とする請求項17に記載の撮像装置。
【請求項19】
被検体を撮像部で撮像するステップと、
前記撮像部で撮像した画像から、前記被検体の動きに関する情報を取得する体動取得ステップと、
前記撮像部とは異なる、前記被検体を撮像する撮像装置における振動を反映した指標を、前記撮像部で撮像した前記画像から取得する指標取得ステップと、
前記指標を前記撮像装置に出力する出力ステップと
を有することを特徴とする被検体動き測定方法。
【請求項20】
請求項19に記載の被検体動き測定方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の動きを測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像撮像装置には、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)装置がある。また、医用画像撮像装置には、PET(Positron Emission Tomography)装置およびSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、トモシンセシス装置がある。医用画像撮像装置の一種である磁気共鳴イメージング装置は、静磁場中に置かれた被検体に高周波電磁波(Radio Frequency:RF)を印加し、被検体内の画像を生成する装置である。磁気共鳴イメージング装置は、印加したRFの影響によって被検体から発生した磁気共鳴(Magnetic Resonance:MR)信号に基づいて、被検体内の画像を生成する。
【0003】
近年、磁気共鳴イメージング装置から出力される画像の高解像度化が進んでいる。画像の高解像度化により従来は比較的目立たなかったアーティファクトが強く現れるようになり、新たな課題として改善が望まれている。そのようなアーティファクト発生原因の一つとして、ヘッドコイル内での頭部の動きが知られており、カメラにより測定した頭部の動きに応じて、磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場を補正する試みが行われている(非特許文献1)。
【0004】
非特許文献1には、動く被検体にマーカを取り付けて、外部からカメラで撮影し、動画フレーム間でのマーカ位置の差から被検体の動きを検出する方法が開示されている。また、特許文献1には、動き測定用のマーカが被検体の皮膚上で滑ること等によるfalse
motionを弁別して出力を補正する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M. Zaitsev, C. Dold, G. Sakas, J. Hennig, and O. Speck, “Magnetic resonance imaging of freely moving objects: Prospective real-time motion correction using an external optical motion tracking system”, NeuroImage 31 (2006) 1038-1050
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医用画像撮像装置では、アクチュエータ等による振動が発生する。例えば、磁気共鳴イメージング装置の場合、傾斜磁場コイルに電流を流した際に、強い静磁場との相互作用によりローレンツ力が働き傾斜磁場コイルが変位する。これら変位が装置筐体に伝わることで装置筐体は振動する。また、X線コンピュータ断層撮影では、管球や検出器とその周辺機器の回転により装置筐体の振動が生じる。これら医用画像撮像装置筐体の振動が被検体を通してマーカに伝わったり、医用画像撮像装置に設置されたトラッキングシステムに伝わったりすると、カメラで撮像したマーカ像にモーションブラーが発生する。マーカ像にモーションブラーが発生すると、検出精度が低下してしまう。特許文献1に開示されるf
alse motion弁別方法は、被検体におけるfalse motionを弁別するが、医用画像撮像装置の振動を弁別することは困難である。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、装置の振動の影響を低減し、被検体の動きを高精度に測定するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、被検体を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像した画像から、前記被検体の動きに関する情報を取得する体動取得部と、前記撮像部とは異なる、前記被検体を撮像する撮像装置における振動を反映した指標を、前記撮像部で撮像した前記画像から取得する指標取得部と、前記指標を前記撮像装置に出力する出力部とを備えることを特徴とする被検体動き測定装置を含む。
【0010】
本開示は、前記被検体動き測定装置と、前記被検体動き測定装置から出力される前記被検体の動きに関する情報を用いた処理を実行する処理部と、を有することを特徴とする撮像装置を含む。
【0011】
本開示は、被検体を撮像部で撮像するステップと、前記撮像部で撮像した画像から、前記被検体の動きに関する情報を取得する体動取得ステップと、前記撮像部とは異なる、前記被検体を撮像する撮像装置における振動を反映した指標を、前記撮像部で撮像した前記画像から取得する指標取得ステップと、前記指標を前記撮像装置に出力する出力ステップとを有することを特徴とする被検体動き測定方法を含む。
【0012】
本開示は、前記被検体動き測定方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置の振動の影響を低減し、被検体の動きを高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第一実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成例を示す図である。
【
図2】磁気共鳴イメージング装置の構成間の接続例を示す図である。
【
図3】画像処理部および体動取得部の処理の一例を説明するための図である。
【
図4】振動により発生するモーションブラーについて説明する図である。
【
図5】第一実施形態に係るトラッキングシステムの構成例を示す図である。
【
図6】第一実施形態に係る測定処理の例を示すフローチャートである。
【
図7】振動を反映した指標値の時間変化を示すグラフを例示する図である。
【
図8】振動を反映した指標に基づく特徴点の検出について説明する図である。
【
図9】第二実施形態に係るトラッキングシステムの構成例を示す図である。
【
図10】第二実施形態に係る測定処理の例を示すフローチャートである。
【
図11】振動を反映した指標に基づく振動有無判定について説明する図である。
【
図12】第三実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成例を示す図である。
【
図13】第三実施形態に係るトラッキングシステムの構成例を示す図である。
【
図14】第三実施形態に係る測定処理の例を示すフローチャートである。
【
図15】振動量に基づく画像再構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る撮像装置としての医用画像撮像装置の実施形態について詳細に説明する。なお、医用画像撮像装置は、被検体を撮像可能な任意のモダ
リティであり得る。具体的には、本実施形態に係る医用画像撮像装置は、磁気共鳴イメージング装置およびX線コンピュータ断層撮影装置、PET装置およびSPECT装置等の単一モダリティに適用可能である。さらに、医用画像撮像装置は、MR/PET装置、CT/PET装置、MR/SPECT装置、CT/SPECT装置等の複合モダリティに適用されてもよい。他にも、医用画像撮像装置は、トモシンセシス装置に適用されてもよい。
【0016】
<第一実施形態>
第一実施形態について説明する。第一実施形態では、磁気共鳴イメージング装置により被検者の頭部の撮像を行う際に、トラッキングシステムにより頭部の動きを測定し、頭部の動きに応じて磁気共鳴イメージングの撮像条件を補正する例を説明する。トラッキングシステムは、被検体動き測定装置に相当する。トラッキングシステムは、磁気共鳴イメージング装置の振動を反映した指標を取得し、指標に基づいてトラッキングシステムのカメラ画像への処理を行う。この例では、被検者の頭部が「被検体」に相当する。なお、被検体は頭部に限られず、身体の他の部位でもよいし身体全体でもよい。また、被検体は人の身体に限られず、動物など他の生体としてもよい。
【0017】
<医用画像撮像装置の全体構成>
図1は、第一実施形態に係る医用画像撮像装置である撮像装置100の構成例を示す図である。以下、撮像装置100は磁気共鳴イメージング装置であることを想定して説明するが、撮像装置100は、磁気共鳴イメージング装置に限られず、各種の医用画像撮像装置であってもよい。撮像装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、RFコイルユニット6a,6b,6c、送信部7、切換回路8、受信部9、高周波パルス・傾斜磁場制御部10を具備する。撮像装置100は、さらに、処理部11(計算機システム)、撮像部21、画像処理部22、体動取得部23および出力部25を具備する。なお、撮像部21、画像処理部22、体動取得部23および出力部25を含むトラッキングシステム300は、撮像装置100とは別体として構成されてもよい。
【0018】
静磁場磁石1は、中空の円筒形をなし、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば超伝導磁石等が使用される。
【0019】
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形をなし、静磁場磁石1の内側に配置される。傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3種のコイルが組み合わされている。傾斜磁場コイル2は、上記の3種のコイルが傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、磁場強度がX,Y,Zの各軸に沿って傾斜する傾斜磁場を発生する。なお、Z軸方向は、例えば静磁場方向と平行な方向とする。Z,Y,X各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応する。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮影断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0020】
被検者1000は、寝台4の天板41に仰向けに横たわった状態で傾斜磁場コイル2の内部の空間(撮像空間)内に挿入される。なお、この撮像空間のことをボア内と呼ぶ。寝台4は、寝台制御部5の制御の下に、天板41をその長手方向(
図1中における左右方向)および上下方向に移動させる。通常、この長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように寝台4が設置される。
【0021】
RFコイルユニット6aは、送信用である。RFコイルユニット6aは、1つまたは複
数のコイルを円筒状のケースに収容して構成される。RFコイルユニット6aは、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。RFコイルユニット6aは、送信部7から高周波信号(RF信号)の供給を受けて、高周波磁場(RF磁場)を発生する。RFコイルユニット6aは、被検者1000の多くの部分を含むような広い領域にRF磁場を発生できる。すなわちRFコイルユニット6aは、いわゆるホールボディ(WB)コイルを備えたものである。
【0022】
RFコイルユニット6bは、受信用である。RFコイルユニット6bは、天板41上に載置されたり、天板41に内蔵されたり、あるいは被検者1000の被検体1000aに装着される。そして撮影時には、RFコイルユニット6bは、被検体1000aとともに撮像空間内に挿入される。RFコイルユニット6bとしては、様々なタイプのものが任意に装着可能である。RFコイルユニット6bは、被検体1000aで生じる磁気共鳴信号を検出する。特に頭部用のものを頭部RFコイルと呼ぶ。
【0023】
RFコイルユニット6cは、送受信用である。RFコイルユニット6cは、天板41上に載置されたり、天板41に内蔵されたり、あるいは被検者1000に装着される。RFコイルユニット6cは、撮影時には被検者1000とともに撮像空間内に挿入される。RFコイルユニット6cとしては、様々なタイプのものが任意に装着可能である。RFコイルユニット6cは、送信部7からRF信号の供給を受けて、RF磁場を発生する。またRFコイルユニット6cは、被検者1000で生じる磁気共鳴信号を検出する。RFコイルユニット6cとしては、複数のコイルエレメントを配列して形成されたアレイコイルが利用可能である。RFコイルユニット6cは、RFコイルユニット6aに比べて小さく、被検者1000の局所のみを含むようなRF磁場を発生する。すなわちRFコイルユニット6cは、局所コイルを備えるものである。頭部用コイルとしては局所送受信用コイルを用いてもよい。
【0024】
送信部7は、ラーモア周波数に対応するRFパルスをRFコイルユニット6aまたはRFコイルユニット6cに選択的に供給する。なお送信部7は、RFコイルユニット6aに供給するRFパルスとRFコイルユニット6cに供給するRFパルスとでは、形成するRF磁場の大きさの違いなどに適応して振幅および位相を異ならせる。
【0025】
切換回路8は、RFコイルユニット6cを、RF磁場を発生するべき送信期間には送信部7に接続し、磁気共鳴信号を検出するべき受信期間には受信部9に接続する。なお、送信期間および受信期間は、処理部11から指示される。受信部9は、RFコイルユニット6b,6cで検出される磁気共鳴信号に対し、増幅、位相検波、さらにはアナログディジタル変換などの処理を施し、磁気共鳴データを得る。
【0026】
処理部11は、インタフェース部11a、データ収集部11b、再構成部11c、記憶部11d、表示部11e、入力部11fおよび主制御部11gを有している。インタフェース部11aには、高周波パルス・傾斜磁場制御部10、寝台制御部5、送信部7、切換回路8および受信部9等が接続される。インタフェース部11aは、これらの接続された各部と処理部11との間で授受される信号の入出力を行う。データ収集部11bは、受信部9から出力される磁気共鳴データを収集する。データ収集部11bは、収集した磁気共鳴データを、記憶部11dに格納する。再構成部11cは、記憶部11dに記憶された磁気共鳴データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成を実行し、被検者1000内の所望核スピンのスペクトラムデータあるいはMR画像データを求める。記憶部11dは、磁気共鳴データと、スペクトラムデータあるいは画像データとを、被検者毎に記憶する。表示部11eは、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を主制御部11gの制御の下に表示する。表示部11eとしては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。入力部11fは、オペレータからの各種指令や情報入力を受け付け
る。入力部11fとしては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。主制御部11gは、図示していないCPU(プロセッサ)やメモリ等を有しており、撮像装置100を総括的に制御する。
【0027】
高周波パルス・傾斜磁場制御部10は、主制御部11gの制御の下に、所要のパルスシーケンスに従って各傾斜磁場を変化させるとともにRFパルスを送信するように傾斜磁場電源3および送信部7を制御する。また、高周波パルス・傾斜磁場制御部10は、体動取得部23から送られた被検体1000aの動きに関する情報(以下、動き情報とも記載される)に基づき、各傾斜磁場を変化させることもできる。なお、高周波パルス・傾斜磁場制御部10の機能は、主制御部11gと統合してもよい。
【0028】
撮像部21、画像処理部22、体動取得部23、マーカ24は、被検体1000aの動きを検出し、その動きを高周波パルス・傾斜磁場制御部10に伝える。高周波パルス・傾斜磁場制御部10は、伝えられた動きに基づいて、傾斜磁場を制御し、撮像面を略一定にすることもできる。これにより、高周波パルス・傾斜磁場制御部10は、被検体が動いてもモーションアーティファクトが発生しない画像データを求めることができ、動きを補正した画像を得ることができる。一般に、計測された被検体の動きに合わせてリアルタイムに傾斜磁場を変化させ、撮像面を常に保つ動き補正方法はProspective Motion Correctionと呼ばれる。一方、MR撮影中に被検体の動きを測定、記録はするが、MR撮影後に動き計測データを使ってMR画像に対し動き補正する手法もあり、これはRetrospective Motion Correctionと呼ばれる。従来のMR画像に比べてモーションアーティファクトが低減できればどちらの動き補正方法を用いてもよい。
【0029】
なお、「動き」は、3次元空間の剛体であれば、一般的に6自由度の動きを示し、回転3自由度、並進3自由度で表現される。本明細書では、6自由度の動きを求める例が示されるが、自由度は被検体の動きを表現できればどのような自由度でもよい。
【0030】
撮像部21は光学式撮像部であり、一般的にはカメラであるが、被検体を光学的に撮像あるいは捕捉できればどのようなセンシングデバイスでもよい。本実施形態では、被検体の動きや位置の正確な捕捉を補助するために、所定のパターンが印字されたマーカを被検体に貼付し、撮像部21は、被検体に貼付されたマーカを撮像する。ただし、撮像部21は、マーカを使わずに、被検体自体の特徴点、例えば、皮膚のテクスチャとして皺や眉毛のパターン、特徴的な顔器官である鼻、目の周り、額の形状などをトラッキングすることで、被検体の動きを捕捉してもよい。
【0031】
撮像部21としてカメラを用いる構成の場合、カメラの数は1台でもよいし、2台以上でもよい。例えば、マーカを使い、且つ、マーカ内のパターン上の複数の特徴点の位置関係が既知であれば、マーカの動きは1台のカメラで得られた画像から算出できる。マーカを用いない場合、またはマーカを用いる場合であっても特徴点の位置関係が既知でない場合、被検体の3次元情報は、いわゆるステレオ撮影により測定するとよい。ステレオ撮影の方式としては、2台以上のカメラを用いるパッシブステレオ、プロジェクタとカメラとを組み合わせるアクティブステレオなど、様々な方式があり、いずれの方式を用いてもよい。カメラの台数を多くすることで、様々な軸の動きの計測精度を高めることができる。また、LiDARなどの3次元情報取得装置により3次元情報を取得してもよい。
【0032】
また、撮像部21はMR対応であることが望ましい。MR対応とは、MR撮影時に画像データに影響を与えるノイズを可能な限り低減した構成により、強い磁場環境でも正常に動作することである。例えば、磁性体材料を用いていない磁気シールドされたカメラなど
が、MR対応のカメラの一例である。また、撮像部21は、
図1のように静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2に囲われた空間であるボア内に配置することもできるし、ボア内にスペースがない場合は、ボア外に配置することもできる。所定の撮像範囲(Field of
View:FOV)でマーカあるいは被検体を撮像できれば、撮像部21の配置はどのようなものでも構わない。
【0033】
撮像部21としてカメラを用いる場合、照明(図示せず)を用いてもよい。照明を用いることで、撮像部21は、マーカあるいは被検体をコントラスト高く撮像できる。なお、照明はMR対応であることが望ましく、MR対応のLED照明などを用いることができる。照明は、白色光、単色光、近赤外光、赤外光など、マーカあるいは被検体をコントラスト高く撮像できればどのような波長及び波長帯の照明であっても構わない。ただし、被験者への負担を考慮すると、目に見えない波長である近赤外光、赤外光が好ましい。
【0034】
画像処理部22は、撮像部21で撮像された画像から特徴点の画素位置を取得する。画像処理部22は、画像の二値化、交点算出、輪郭抽出、重心算出、パターンマッチングなど、特徴点の画素位置を取得できればどのような方法を用いてもよい。
【0035】
体動取得部23は、画像処理部22で取得した特徴点の画素位置を基に、実空間における特徴点の位置、向き、動きを算出する。体動取得部23は、特徴点の位置および動きを、被検体の動き(体動)として時系列で取得する。
【0036】
出力部25は、例えば、画像処理部22が撮像部21で撮像された画像から取得した指標などの情報を、撮像装置100に出力する。
【0037】
画像処理部22、体動取得部23および出力部25は、CPU、GPU、MPU等のプロセッサとROMおよびRAM等のメモリとをハードウェア資源として有するコンピュータと、そのプロセッサで実行されるプログラムとから構成されてもよい。あるいは、特定用途向け集積回路(ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD)により実現されてもよい。また、画像処理部22、体動取得部23および出力部25は、撮像装置100の処理部11の一機能として実現されてもよい。さらに、画像処理部22および体動取得部23の機能の一部は、ネットワークを介したクラウド上で実現されてもよい。
【0038】
撮像部21、画像処理部22、体動取得部23および出力部25をまとめて、トラッキングシステム300と呼ぶ。トラッキングシステム300は、被検体の動きを測定し、被検体の動き情報を出力する被検体動き測定装置の一例である。出力部25は、トラッキングシステム300で取得または生成された情報を外部装置に出力することができる。
【0039】
図2は、撮像装置100の構成間の接続例を示す図である。高周波パルス・傾斜磁場制御部10、処理部11、トラッキングシステム300は、バス100aを介して接続され、相互に情報のやり取りが可能である。同様に、
図1に示す他の構成は、バス100aに接続され、撮像装置100の各構成間で相互に情報のやり取りができるようにしてもよい。
【0040】
図3(A),3(B)を参照して、画像処理部22および体動取得部23の処理の一例を説明する。
図3(A)は、被検体1000aとしての頭部に動き計測用のマーカ24を固定した例を示す。画像処理部22および体動取得部23は、マーカ24を撮像した動画を撮像部21から取得し、その動画の各フレーム画像から、マーカ24の動き情報を取得する。カメラの内部パラメータ行列A(3×3行列)はキャリブレーションにより事前に
取得済みとする。
【0041】
頭部の動き情報を取得する方法の具体例について説明する。
図3(A),3(B)は、カメラ1台とチェッカーボードパターンのマーカ24を用いた例を示す。
図3(B)に示すように、画像処理部22は、各時刻のカメラ画像内にあるマーカ24上のパターンから、特徴点の画素位置(u
i,v
i)を取得する。なお、iは特徴点が複数あることを示す添え字である。以後の説明では、添え字iは省略される場合がある。
【0042】
チェッカーボードパターンであれば、特徴点は、例えば、各コーナーとすることができる。また、マーカ24上のパターンの各特徴点の相対位置関係は既知であり、その場合の座標系をマーカ座標系とすると、各特徴点の3次元座標は(mxi,myi,mzi)となる。
【0043】
カメラ座標系での画素位置(u
i,v
i)とマーカ座標系での対応する特徴点の座標(m
xi,m
yi,m
zi)は以下の関係式で表現することができる。
【数1】
Aはカメラの内部行列(3×3行列)、Pは射影行列(3×4行列)で回転行列と並進行列からなる。Pは以下で表現される。
【数2】
図3(A)で示したように、α、β、γは回転3自由度を表現するx、y、z軸周りの回転角度であり、t
x、t
y、t
zは並進3自由度を表現するx、y、z軸方向の移動量である。剛体の場合、これら6個の自由度で動きを表現できる。
【0044】
射影行列Pは、対応する特徴点に関して、マーカ座標(あるいはワールド座標)系からカメラ座標系への変換行列を示している。射影行列Pの変数は12個(自由度は6)ある。射影行列Pは、例えば、6点以上のカメラ座標系での画素位置(ui,vi)とマーカ座標系での対応する特徴点の座標(mxi,myi,mzi)の関係を使う6点アルゴリ
ズムを用いて求めることができる。なお、射影行列Pは、6点アルゴリズムに限られず、非線形解法等どのような方法で求めてもよい。
【0045】
仮にある時刻t
0で取得したカメラ画像から求めた射影行列をP
t0とし、次のフレームの時刻t
1で取得したカメラ画像から求めた射影行列をP
t1とする。時刻t
0からt
1間でのマーカの動き(P
camera,t0→t1)は、以下のように求めることがで
きる。
P
camera,t0→t1=P
t1P
-1
t0
これにより、
図3(A)で示した6自由度(α,β,γ,t
x,t
y,t
z)の動きを取得することができる。
【0046】
なお、ここでは被検体1000aの動き情報を取得する体動取得方法の一例を示すが、画像処理部22および体動取得部23は、各時刻における動きが取得できればどのような方法を用いても構わない。例えば、ここでは1台のカメラ画像から被検体1000aの動きを求める例を示すが、画像処理部22および体動取得部23は、2台以上のカメラの画像を使って動きを求めてもよい。画像処理部22および体動取得部23は、複数のカメラの画像を相補的に利用することで6自由度の動きを精度よくとらえることができる。
【0047】
さらには、マーカ24上の特徴点間の相対位置が不明な場合は、画像処理部22は、ステレオ撮影等の3次元計測手段を用いて、各特徴点の3次元座標を求めてもよい。このような場合、各特徴点の3次元座標(mxi,myi,mzi)がステレオ撮影等の3次元計測手段で求めた3次元座標に対応する。ステレオ撮影等の3次元計測手段を用いれば、特徴点間の相対位置情報が未知であってもよい。このため、画像処理部22および体動取得部23は、例えば、皺などの皮膚テクスチャを特徴点として用いて、被検体1000aの6自由度の動きをとらえることができる。この場合、マーカ24を被検体1000aに貼付しなくてもよいため、被検者の負担を軽減することができる。
【0048】
一般的に、上記の方法で被検体1000aの動きを求めることができる。しかし、磁気共鳴イメージングの傾斜磁場印加等に伴う振動により、カメラ画像にモーションブラーが発生する場合がある。カメラ画像にモーションブラーが発生すると、特徴点の検出および被検体の動きの取得に失敗したり、特徴点の検出精度および取得する被検体の動きの精度が低下したりする場合が生じる。
【0049】
図4(A),4(B)は、振動により発生するモーションブラーについて説明する図である。
図4(A)は、チェッカーボードパターンのマーカ24を例示する。
図4(B)は、
図4(A)のマーカ24のチェッカーボードパターンが横方向の振動によりモーションブラーを受けた状態を例示する。交点周辺の白と黒とのコントラストが低下するため、コントラスト差を基に交点を検出するアルゴリズムが失敗したり、検出した交点の画素位置の精度が低下したりする。
【0050】
そこで、第一実施形態では、トラッキングシステム300は、振動を検出した際に、振動を反映した指標であるモーションブラーの点像分布関数(Point Spread Function:PSF)を用いてカメラ画像を補正する。画像処理部22および体動取得部23は、補正後のカメラ画像から特徴点を検出して被検体の動きを取得する。
【0051】
図5および
図6を参照して、トラッキングシステム300の処理について説明する。
図5は、第一実施形態に係るトラッキングシステム300の構成例を示す図である。トラッキングシステム300は、撮像部21、画像処理部22、体動取得部23および出力部25を含む。トラッキングシステム300は、被検体の動きを測定し、被検体の動き情報を、高周波パルス・傾斜磁場制御部10に出力する。
【0052】
第一実施形態では、画像処理部22は、指標取得部221、画像補正部222および特徴点検出部223を有する。指標取得部221、画像補正部222および特徴点検出部223の処理の詳細は、
図6に示すフローチャートの処理とともに説明する。
図6は、第一実施形態に係る測定処理の例を示すフローチャートである。
【0053】
ステップS101では、撮像部21は、被検体の画像を取得し、画像処理部22に送信する。また、撮像装置100は、被検体情報の取得(被検体の撮像処理)を開始する。
【0054】
ステップS102では、指標取得部221は、ステップS101で取得された画像から振動を検出し、振動を反映した指標を取得する。指標取得部221は、例えば画素値の絶対値の2乗総和を利用して、振動を検出することができる。指標取得部221は、被検体の画像から検出した被検体の振動を、撮像装置100の振動として取得することができる。振動により生じた画像のモーションブラーはローパスフィルタ特性を持つため、振動がある場合の画像の周波数成分の絶対値の2乗総和は、振動がない場合の画像と比べて小さくなる。
【0055】
Parsevalの等式により、周波数成分の絶対値の2乗総和は画素値の絶対値の2乗総和と等しいため、指標取得部221は、画素値の絶対値の2乗総和が設定した閾値より小さくなった場合に、振動が発生したと判定できる。指標取得部221は、2乗総和でなく1乗総和など、振動を検出できる画素値に基づく総和であれば、どのような情報を用いて振動が発生したことを判定してもよい。例えば、指標取得部221は、上述のように周波数成分に基づく総和を用いてもよい。指標取得部221は、モーションブラーにより画像の情報量が低下することを利用して、画像のエントロピーなどの情報量を、振動が発生したことの判定に用いてもよい。
【0056】
また、指標取得部221は、モーションブラーにより特徴点の検出に失敗することを利用して、特徴点検出の成否により振動が発生したか否か(以下、振動有無とも記載する)を判定してもよい。さらに、指標取得部221は、振動量または振動有無を出力するように学習した機械学習回路を利用して振動の有無を判定してもよい。
【0057】
以上挙げたように、指標取得部221は、振動有無を判定できる方法であればどのような方法を用いてもよい。なお、上述の画素値に基づく総和、周波数成分に基づく総和、画像のエントロピー、特徴点検出の成否、機械学習回路の出力は、振動を反映した指標の一例である。出力部25は、指標取得部221が取得した指標を、撮像装置100に出力する。撮像装置100は、出力部25からの指標に基づいて撮像処理を実行してもよい。
【0058】
図7を参照して、振動を反映した指標値に基づく振動有無の判定について説明する。
図7は、振動を反映した指標値の時間変化を示すグラフを例示する図である。
図7のグラフでは、指標値が小さいほど振動は大きい。指標取得部221は、例えば、指標値が一点鎖線で示された閾値以下の場合は振動ありと判定し(白丸)、指標値が閾値を超える場合は振動なし(黒丸)と判定することができる。振動がある場合、処理はステップS103に進み、振動がない場合、処理はステップS104に進む。
【0059】
ステップS103では、画像補正部222は、振動によるモーションブラーを受けた画像を補正する。具体的には、画像補正部222は、例えばPSFを指標として取得し、取得したPSFに基づいて、モーションブラーを受けた画像に対する画像処理を実行することにより、モーションブラーを低減する。
【0060】
画像補正部222の指標取得部221は、まず、モーションブラーのない画像(第2画
像)とモーションブラーのある画像(第1画像)とを用いて振動のPSFを取得する。例えば、モーションブラーのない直近の画像とモーションブラーのある現在の画像それぞれを周波数領域に変換したものをXとY、逆フーリエ変換をIFT(・)とすると、画像補正部222は、PSF=IFT(Y/X)として取得することができる。Y/Xにはウィーナーフィルタ等を用いてもよい。
【0061】
モーションブラーのない画像は、モーションブラーのある画像と時間的に直近の振動を検出していない画像を用いることが望ましい。直近の画像を用いることで、画像補正部222は、被検体の動きによる画像の変化(例えば、回転による遠近感の変化)を小さくでき、取得したPSFに含まれる被検体の動きによる成分を低減して振動のPSFの精度を高めることができるためである。さらに、画像補正部222は、振動以外による両者の画像間の差を近づけるような処理を行ってからPSFを求めてもよい。
【0062】
次に、画像補正部222は、振動のPSFでモーションブラーのある画像をデコンボリューションすることでモーションブラーの影響を低減する。画像補正部222は、デコンボリューションにウィーナーフィルタ等を用いることができる。モーションブラーを低減した画像の周波数成分X’は、フーリエ変換をFFT(・)、上付きバーを複素共役とすると、例えば以下のように表現することができる。
【数3】
σは周波数成分のノイズ-シグナル比であるが、ハイパーパラメータとしてもよい。
【0063】
また、振幅のみのデコンボリューションを行うことで、PSFの位相に含まれている被検体の動きが保存されるようにすることが望ましい。振動によるモーションブラーのPSFは対称性が高いため、振幅のみのデコンボリューションによってもモーションブラー低減の効果は得られる。
【0064】
ただし、被検体の動きによる位相を含まず振動のみの位相を反映したPSFを取得できる場合、画像補正部222は、位相を含んだデコンボリューションを行ってもよい。画像補正部222は、例えば、機械学習回路またはブラインドデコンボリューションによって、振動のみのPSFを取得することができる。振動に再現性がある場合等は、画像補正部222は、事前に取得したPSFを用いてもよい。画像補正部222は、モーションブラーのない画像を利用せずに、ブラインドデコンボリューションを行ってもよい。ただし、ブラインドデコンボリューションの初期値として、モーションブラーのない画像を利用して得たPSFが用いられてもよい。
【0065】
画像補正部222は、ステップS102において、ステップS103でのPSF取得方法を実施し、PSFから得られる振動量を振動有無の判定に用いてもよい。また、画像補正部222は、振動の有無を二値判定せずに、振動の有無にかかわらずPSFを取得してモーションブラーの低減処理を行ってもよい。この場合、画像補正部222は、振動量を反映したPSFにより、振動の大小に応じて適切に画像を補正することができる。振動量を反映したPSFは、振動を反映した指標の一例である。画像補正部222は、以上のような処理によって、
図4(B)のモーションブラーが発生した画像を
図4(A)のモーションブラーのない画像に近づけることで、特徴点の検出を可能にしたり、検出精度を向上させたりする。
【0066】
指標取得部221が振動を検出した場合、特徴点検出部223の処理が変更されてもよ
い。特徴点検出部223は、例えば、画像を二値化して特徴点を検出する場合に、二値化の閾値を変更する。
図8(A)に示す4つの円のそれぞれの中心を特徴点とするマーカ24は、モーションブラーによって、例えば
図8(B)に示すようなブレが生じた状態になる。ブレが生じた状態で二値化を行うと、
図8(C)に示すように、一部の円はつながってしまい、個別の円として検出することは困難な場合がある。ステップS102で振動があると判定した場合、特徴点検出部223は、円の輪郭が小さくなるように二値化の閾値を変更することで、
図8(D)に示すように個別の円が分離された二値化画像を取得し、特徴点を検出しやすくすることができる。
【0067】
ステップS104では、特徴点検出部223は、撮像部21が取得した画像から特徴点の画素位置を取得する。特徴点検出部223は、画像の二値化、交点算出、輪郭抽出、重心算出、パターンマッチングなど、特徴点の画素位置を取得できる方法であればどのような方法を用いてもよい。振動により画像がモーションブラーを受けていても、ステップS103でモーションブラーの影響は低減されるため、特徴点検出部223は、特徴点の画素位置を高精度に取得することができる。
【0068】
ステップS105では、体動取得部23は、ステップS104で取得した特徴点の画素位置に基づいて、被検体の動き情報を取得する。
【0069】
ステップS106では、体動取得部23は、ステップS105で取得した被検体の動き情報を高周波パルス・傾斜磁場制御部10に送信する。高周波パルス・傾斜磁場制御部10は、被検体の動き情報に基づいて傾斜磁場を制御し、被検体の動きを補正しながら被検体情報取得のための測定を行う。また、体動取得部23は、被検体の動き情報を取得しておき、Retrospective Motion Correctionにより被検体情報を補正してもよい。
【0070】
ステップS107では、トラッキングシステム300は、撮像装置100による被検体情報の取得が完了したか否かを判定する。トラッキングシステム300は、例えば、ユーザからの指示により撮像部21が画像の取得を停止した場合に、被検体情報の取得が完了したと判定することができる。被検体情報の取得が完了していない場合、トラッキングシステム300は、ステップS101からステップS107までの処理を繰り返し実行する。被検体情報の取得が完了した場合、トラッキングシステム300は、
図6に示す測定処理を終了する。
【0071】
上記の第一実施形態によれば、撮像装置100は、撮像装置100の振動があっても被検体の動きを高精度に測定することができる。撮像装置100は、高精度な被検体の動き情報に基づいて、例えば傾斜磁場の補正などの制御をしたり、画像再構成をしたりすることで、よりアーティファクトの少ない高画質な画像を得ることができる。第一実施形態は、上記の例に限られず、被検体の動き情報を取得するために用いる画像に対する処理を、振動を反映した指標に基づいて実行するいかなる形態にも適用可能である。
【0072】
<第二実施形態>
第二実施形態について説明する。第二実施形態は、被検体の動き情報の一部を推定する実施形態である。トラッキングシステム300は、撮像装置100の振動が検出された際の被検体の動き情報を、過去または未来の被検体の動き情報を用いて推定する。
【0073】
第二実施形態では、撮像装置100は、被検者の頭部の撮像を行う際に、トラッキングシステム300により頭部の動きを測定し、頭部の動きに応じて磁気共鳴イメージングの撮像条件を補正する。撮像装置100は、撮像装置100の振動を反映した指標を取得し、取得した指標に基づいてトラッキングシステム300により頭部の動き情報を取得する
。被検者の頭部は、「被検体」に相当する。なお、被検体は頭部に限られず、被検者の身体の他の部位でもよいし、被検者の身体全体でもよい。また、被検体は、人の身体に限られず、動物など他の生体としてもよい。
【0074】
第二実施形態に係る撮像装置100は、画像処理部22および体動取得部23以外の構成については第一実施形態の撮像装置100と同じである。第一実施形態の撮像装置100と同じ構成については説明を省略する。
【0075】
図9および
図10を参照して、トラッキングシステム300の処理について説明する。
図9は、第二実施形態に係るトラッキングシステム300の構成例を示す図である。トラッキングシステム300は、撮像部21、画像処理部22、体動取得部23および出力部25を含む。第一実施形態のトラッキングシステム300と同じ構成については説明を省略する。トラッキングシステム300は、被検体の動きを測定し、被検体の動き情報を、高周波パルス・傾斜磁場制御部10に出力する。
【0076】
第二実施形態では、画像処理部22は、指標取得部221および特徴点検出部223を有する。体動取得部23は、動き測定部231および動き推定部232を有する。指標取得部221、特徴点検出部223、動き測定部231および動き推定部232の処理の詳細は、
図10に示すフローチャートの処理とともに説明する。
図10は、第二実施形態に係る測定処理の例を示すフローチャートである。
【0077】
ステップS201では、撮像部21は、被検体の画像を取得し、画像処理部22に送信する。また、撮像装置100は、被検体情報の取得(被検体の撮像処理)を開始する。
【0078】
ステップS202では、指標取得部221は、ステップS201で取得された画像から振動を検出し、振動を反映した指標を取得する。指標取得部221は、第一実施形態のステップS102と同様の方法により振動を検出することができる。振動がある場合、処理はステップS205に進み、振動がない場合、処理はステップS203に進む。
【0079】
ステップS203では、特徴点検出部223は、撮像部21で取得した画像から特徴点の画素位置を取得する。特徴点検出部223は、画像の二値化、交点算出、輪郭抽出、重心算出、パターンマッチングなど、特徴点の画素位置を取得できればどのような方法を用いてもよい。
【0080】
ステップS204では、動き測定部231は、ステップS203で取得した特徴点の画素位置に基づいて、第一実施形態の体動取得部23と同様に被検体の動き情報を取得する。
【0081】
ステップS205では、動き推定部232は、撮像部21で取得した画像から被検体の動き情報を取得せず、過去に取得した被検体の動き情報から現在の被検体の動き情報を推定する。動き推定部232は、例えば、過去の被検体の動き情報の値を補間して、現在の被検体の動き情報の値を推定する。補間方法としては、例えば、線形補間、曲線補間、スプライン補間、Lanczos補間、sinc補間などの方法が挙げられる。また、動き推定部232は、カルマンフィルタの事前推定値を用いてもよい。さらに、動き推定部232は、複数自由度の関連性に基づいたモデルをカルマンフィルタに適用することで、自由度ごとに補間する場合よりも推定精度を改善してもよい。また、動き推定部232は、カルマンフィルタの事後推定値を用いてもよい。この場合、動き推定部232は、ステップS202で振動が有ると判定された場合であっても被検体の動き情報を取得してカルマンフィルタに入力する。カルマンフィルタの真値推定能力により、被検体の動き情報の誤差を低減することができる。動き推定部232は、通常のカルマンフィルタ以外にも、拡
張カルマンフィルタ、外れ値除去カルマンフィルタ、パーティクルフィルタなどを用いてもよい。
【0082】
図11は、振動を反映した指標に基づく振動有無の判定について説明する図である。
図11のグラフ1101は、振動を反映した指標値の変化を模式的に示すグラフであり、指標値が小さいほど振動は大きい。体動取得部23は、指標値が一点鎖線で示された閾値以下の場合には振動ありと判定し(白丸)、指標値が閾値を超える場合は振動なし(黒丸)と判定する。
【0083】
図11のグラフ1102は、被検体の動き量の変化を模式的に示すグラフである。黒丸はステップS201からステップS204で測定した被検体の動き量、白丸はステップS205で推定した被検体の動き量を示す。グラフ1102における破線矢印は、動き推定部232が、振動ありと判定された時刻の被検体の動き量を、過去2回の異なる時刻での被検体の動き量から推定していることを示す。
【0084】
動き推定部232は、過去2回の異なる時刻に限られず、3回以上の異なる時刻で取得した被検体の動き量を用いて、振動ありと判定された時刻の被検体の動き量を推定してもよい。推定に用いる過去の被検体の動き量の数を増やすことで、動き推定部232は、推定精度を改善することができる。また、Retrospective Motion Correctionを行う場合、動き推定部232は、過去の時刻の他に、推定対象の時刻よりも未来の時刻における被検体の動き量を用いてもよい。
【0085】
ステップS206では、体動取得部23は、ステップS204またはステップS205で取得した被検体の動き情報を高周波パルス・傾斜磁場制御部10に送信する。高周波パルス・傾斜磁場制御部10は、被検体の動き情報に基づいて傾斜磁場を制御し、被検体の動きを補正しながら被検体情報取得のための測定を行う。また、体動取得部23は、被検体の動き情報を取得しておき、Retrospective Motion Correctionにより被検体情報を補正してもよい。
【0086】
ステップS207では、トラッキングシステム300は、撮像装置100による被検体情報の取得が完了したか否かを判定する。トラッキングシステム300は、例えば、ユーザからの指示により撮像部21が画像の取得を停止した場合に、被検体情報の取得が完了したと判定することができる。被検体情報の取得が完了していない場合、トラッキングシステム300は、ステップS201からステップS207までの処理を繰り返し実行する。被検体情報の取得が完了した場合、トラッキングシステム300は、
図10に示す測定処理を終了する。
【0087】
上記の第二実施形態によれば、撮像装置100は、撮像装置100の振動があっても被検体の動きを高精度に取得することができる。第二実施形態に係る撮像装置100は、例えば、撮像装置100の振動により画像のモーションブラーが十分に補正されず特徴点を検出することが困難な場合に有用である。なお、撮像装置100は、第一実施形態と第二実施形態とを組み合わせて、モーションブラーを補正できる場合は画像を補正して被検体の動き情報を測定し、補正が困難な場合は被検体の動き情報を推定してもよい。撮像装置100は、取得した被検体の動き情報に基づいて、例えば傾斜磁場の補正などの制御をしたり、画像再構成をしたりすることで、よりアーティファクトの少ない高画質な画像を得ることができる。第二実施形態は、上記の例に限られず、被検体の動き情報を取得する処理を、振動を反映した指標に基づいて実行するいかなる形態にも適用可能である。
【0088】
<第三実施形態>
第三実施形態について説明する。第三実施形態は、撮像装置100の振動量に基づいて
、撮像装置100が撮像して取得する被検体の情報の一部を推定する実施形態である。撮像装置100は、振動量が閾値よりも大きくなった時刻と略同時刻に取得された波数成分を除外し、除外した波数成分を推定することにより画像再構成を行う。
【0089】
第三実施形態では、撮像装置100は、被検者の頭部の撮像を行う際に、トラッキングシステム300により頭部の動きを測定し、頭部の動きに応じて磁気共鳴イメージングの撮像条件を補正する。撮像装置100は、撮像装置100の振動を反映した指標を取得し、取得した指標に基づいて画像を再構成する。被検者の頭部は、「被検体」に相当する。なお、被検体は頭部に限られず、被検者の身体の他の部位でもよいし、被検者の身体全体でもよい。また、被検体は、人の身体に限られず、動物など他の生体としてもよい。
【0090】
第三実施形態に係る撮像装置100は、画像処理部22および再構成部11h以外の構成については第一実施形態の撮像装置100と同じである。第一実施形態の撮像装置100と同じ構成については説明を省略する。
【0091】
図12は、第三実施形態に係る撮像装置100の構成例を示す図である。第三実施形態に係る画像処理部22の指標取得部221は、撮像装置100の振動を反映した指標である振動量を、再構成部11hに送信する。
【0092】
図13および
図14を参照して、トラッキングシステム300および再構成部11hの処理について説明する。
図13は、第三実施形態に係るトラッキングシステム300の構成例を示す図である。トラッキングシステム300は、撮像部21、画像処理部22、体動取得部23および出力部25を含む。第一実施形態のトラッキングシステム300と同じ構成については説明を省略する。トラッキングシステム300は、被検体の動きを測定し、被検体の動き情報を、高周波パルス・傾斜磁場制御部10に出力する。また、トラッキングシステム300は、撮像装置100の振動を反映した指標を取得し、取得した指標を再構成部11hに出力する。
【0093】
第三実施形態では、画像処理部22は、指標取得部221および特徴点検出部223を有する。指標取得部221および特徴点検出部223の処理の詳細は、
図14に示すフローチャートの処理とともに説明する。
図14は、第三実施形態に係る測定処理の例を示すフローチャートである。
【0094】
ステップS301では、撮像部21は、被検体の画像を取得し、画像処理部22に送信する。また、撮像装置100は、被検体情報の取得(被検体の撮像処理)を開始する。
【0095】
ステップS302では、特徴点検出部223は、撮像部21が取得した画像から特徴点の画素位置を取得する。特徴点検出部223は、画像の二値化、交点算出、輪郭抽出、重心算出、パターンマッチングなど、特徴点の画素位置を取得できればどのような方法を用いてもよい。
【0096】
ステップS303では、体動取得部23は、ステップS302で取得した特徴点の画素位置に基づいて、被検体の動き情報を取得する。ステップS304では、体動取得部23は、ステップS303で取得した被検体の動き情報を高周波パルス・傾斜磁場制御部10に送信する。高周波パルス・傾斜磁場制御部10は、被検体の動き情報に基づいて傾斜磁場を制御する。撮像装置100は、高周波パルス・傾斜磁場制御部10により被検体の動きを補正しながら被検体情報取得のための測定を行う。また、撮像装置100は、被検体の動き情報を取得しておき、Retrospective Motion Correctionにより被検体情報を補正してもよい。
【0097】
ステップS305では、指標取得部221は、ステップS301で取得した画像から振動量を取得する。振動量の取得には、第一実施形態のステップS102で説明した方法を用いることができる。指標取得部221は、取得した振動量をメモリ等の記憶部に保存する。振動量は、振動を反映した指標の一例である。振動を反映した指標は、振動振幅または振動有無を示す2値など振動を反映していればいかなる指標でもよい。
【0098】
ステップS306では、トラッキングシステム300は、撮像装置100による被検体情報の取得が完了したか否かを判定する。トラッキングシステム300は、例えば、ユーザからの指示により撮像部21が画像の取得を停止した場合に、被検体情報の取得が完了したと判定することができる。被検体情報の取得が完了していない場合、トラッキングシステム300は、ステップS301からステップS306を繰り返し実行する。ステップS305の処理が繰り返し実行されることで、トラッキングシステム300は、振動量の時系列情報を取得することができる。被検体情報の取得が完了した場合、トラッキングシステム300は、
図14に示す測定処理を終了する。
【0099】
ステップS307では、再構成部11hは、ステップS306で取得した振動量を用いて画像再構成を行う。
図15(A),15(B)を参照して、振動量に基づく画像再構成について説明する。
図15(A)のグラフ1501は、振動量の時系列情報を示す。黒丸および白丸は各時刻での振動量を表す。一点鎖線で示す閾値より大きい振動量は白丸で、閾値以下の振動量は黒丸で示される。
【0100】
図15(A)の分布
図1502は、撮像装置100で取得した被検体情報である被検体画像の波数成分分布、または、空間周波数成分分布を表す。横軸k
xおよび縦軸k
yは、それぞれ
図3(A)のx軸方向の波数とy軸方向の波数に対応する。黒丸は取得した各波数成分を表す。破線矢印で結ばれたグラフ1501の振動量と分布
図1502の破線枠内の波数成分とは、略同時刻に取得されたことを示す。なお、振動量と波数成分とは必ずしも一対一で対応するのではなく、ある時刻の振動量は、略同時刻に取得された複数の破線枠の波数成分に対応してもよい。
【0101】
再構成部11hは、閾値以上の振動量であった時刻と略同時刻に取得された波数成分を除外した
図15(C)の分布
図1503の波数成分分布を用いて画像再構成を行う。再構成部11hは、分布
図1503で除外されている部分の波数成分を推定する。例えば、再構成部11hは、圧縮センシング、機械学習回路による推定、波数空間での補間等を用いて波数成分を補間することができる。再構成部11hは、補間後の波数成分分布を用いて画像再構成を行う。再構成部11hは、画像再構成が完了すると、
図14に示す測定処理を終了する。
【0102】
上記の第三実施形態では、撮像装置100は、振動量が閾値よりも大きくなった時刻と略同時刻に取得された波数成分を除外、推定することで、傾斜磁場の補正誤差の影響を低減することができる。したがって、撮像装置100は、装置の振動によって被検体の動き情報の誤差が大きくなり、傾斜磁場の補正誤差が大きくなっても、補正誤差の影響を低減し、よりアーティファクトの少ない高画質な画像を得ることができる。第三実施形態は、上記の例に限られず、画像再構成を、振動を反映した指標に基づいて実行するいかなる形態にも適用可能である。
【0103】
本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明は、これら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も含む。また、上記の各実施形態は本発明の一実施形態を示すものに過ぎず、各種形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0104】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1つ以上の機能を実現する回路(例えば、ASICやFPGA)によっても実現可能である。
【0105】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法およびプログラムを含む。
(構成1)
被検体を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像した画像から、前記被検体の動きに関する情報を取得する体動取得部と、
前記撮像部とは異なる、前記被検体を撮像する撮像装置における振動を反映した指標を、前記撮像部で撮像した前記画像から取得する指標取得部と、
前記指標を前記撮像装置に出力する出力部と
を備えることを特徴とする被検体動き測定装置。
(構成2)
前記撮像装置は、前記指標に基づいて撮像処理を実行する
ことを特徴とする構成1に記載の被検体動き測定装置。
(構成3)
前記撮像部は、光学式撮像部であり、前記撮像装置は、医用画像撮像装置である
ことを特徴とする構成1または2に記載の被検体動き測定装置。
(構成4)
前記指標取得部は、前記振動の振幅に基づいて前記指標を取得する
ことを特徴とする構成1~3のいずれかに記載の被検体動き測定装置。
(構成5)
前記指標は、前記振動によりモーションブラーが生じた前記画像の点像分布関数(Point Spread Function、PSF)である
ことを特徴とする構成4に記載の被検体動き測定装置。
(構成6)
前記指標取得部は、前記撮像部により撮像した第1画像と、前記第1画像よりも前記振動が小さい状態で前記撮像部により撮像した第2画像とを用いて前記点像分布関数を取得する
ことを特徴とする構成5に記載の被検体動き測定装置。
(構成7)
前記体動取得部は、前記指標に基づいて前記画像に対する画像処理を実行する
ことを特徴とする構成1~6のいずれかに記載の被検体動き測定装置。
(構成8)
前記画像処理は、前記振動により前記画像に生じたモーションブラーを前記指標に基づいて低減する処理である
ことを特徴とする構成7に記載の被検体動き測定装置。
(構成9)
前記画像処理は、前記指標に基づくデコンボリューションにより前記モーションブラーを低減する処理である
ことを特徴とする構成8に記載の被検体動き測定装置。
(構成10)
前記体動取得部は、前記指標に基づいて前記画像に対する前記画像処理を変更する
ことを特徴とする構成7~9のいずれかに記載の被検体動き測定装置。
(構成11)
前記画像処理の変更は、前記画像の二値化の処理の閾値の変更である
ことを特徴とする構成10に記載の被検体動き測定装置。
(構成12)
前記体動取得部は、前記画像処理を変更して生成した画像を用いて、前記被検体の動きに関する情報を取得する
ことを特徴とする構成7~11のいずれかに記載の被検体動き測定装置。
(構成13)
前記体動取得部は、前記指標に基づいて前記被検体の動きに関する情報を取得する方法を変更する
ことを特徴とする構成1~12のいずれかに記載の被検体動き測定装置。
(構成14)
前記撮像装置は、前記指標に基づいて撮像条件を変更する
ことを特徴とする構成1~13のいずれかに記載の被検体動き測定装置。
(構成15)
前記撮像装置は、前記撮像装置が撮像して取得する前記被検体の情報の一部を、前記指標に基づいて推定する
ことを特徴とする構成14に記載の被検体動き測定装置。
(構成16)
前記体動取得部は、前記被検体の動きに関する情報として人の頭部の動きの情報を取得する
ことを特徴とする構成1~15のいずれかに記載の被検体動き測定装置。
(構成17)
構成1~16のいずれかに記載の被検体動き測定装置と、
前記被検体動き測定装置から出力される前記被検体の動きに関する情報を用いた処理を実行する処理部と
を有することを特徴とする撮像装置。
(構成18)
前記処理部は、前記被検体の動きに関する情報を用いて、前記被検体の画像を再構成する
ことを特徴とする構成17に記載の撮像装置。
(方法)
被検体を撮像部で撮像するステップと、
前記撮像部で撮像した画像から、前記被検体の動きに関する情報を取得する体動取得ステップと、
前記撮像部とは異なる、前記被検体を撮像する撮像装置における振動を反映した指標を、前記撮像部で撮像した前記画像から取得する指標取得ステップと、
前記指標を前記撮像装置に出力する出力ステップと
を有することを特徴とする被検体動き測定方法。
(プログラム)
構成19に記載の被検体動き測定方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0106】
21:撮像部、22:画像処理部、221:指標取得部、23:体動取得部、25:出力部、100:撮像装置、300:トラッキングシステム(被検体動き測定装置)