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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127370
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】回転式圧縮機及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 23/02 20060101AFI20240912BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20240912BHJP
   F04C 18/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F04C23/02 J
F04C29/00 D
F04C18/02 311P
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036491
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏治
【テーマコード(参考)】
3H039
3H129
【Fターム(参考)】
3H039AA03
3H039AA06
3H039AA12
3H039BB03
3H039CC02
3H039CC03
3H039CC12
3H039CC16
3H039CC20
3H039CC32
3H129AA02
3H129AA14
3H129AA21
3H129AB03
3H129BB44
3H129CC02
3H129CC07
3H129CC09
3H129CC16
3H129CC17
(57)【要約】
【課題】バランスウェイトの遠心力によって駆動軸に撓みが生じるのを抑える。
【解決手段】駆動軸(11)は、バランスウェイト(18)を有する。バランスウェイト(18)は、圧縮機構(50)とモータ(25)との間に配置される。ハウジング(30)は、圧縮機構(50)とモータ(25)との間に配置される。ハウジング(30)は、第1支持部(35)と、第2支持部(45)と、を有する。第1支持部(35)は、バランスウェイト(18)よりも圧縮機構(50)側で駆動軸(11)を支持する。第2支持部(45)は、バランスウェイト(18)よりもモータ(25)側で駆動軸(11)を支持する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機構(50)と、前記圧縮機構(50)を駆動させる駆動軸(11)と、前記駆動軸(11)を回転させるモータ(25)と、を備えた回転式圧縮機であって、
前記圧縮機構(50)と前記モータ(25)との間に配置され、前記駆動軸(11)を回転可能に支持する支持部材(30)と、
前記駆動軸(11)に設けられ、前記圧縮機構(50)と前記モータ(25)との間に配置されたバランスウェイト(18)と、を備え、
前記支持部材(30)は、前記バランスウェイト(18)よりも前記圧縮機構(50)側で前記駆動軸(11)を支持する第1支持部(35)と、前記バランスウェイト(18)よりも前記モータ(25)側で前記駆動軸(11)を支持する第2支持部(45)と、を有する
回転式圧縮機。
【請求項2】
請求項1の回転式圧縮機において、
前記駆動軸(11)における前記第1支持部(35)で支持される部分の軸方向長さL1、前記駆動軸(11)における前記第2支持部(45)で支持される部分の軸方向長さL2が、L1≧L2という条件を満たす
回転式圧縮機。
【請求項3】
請求項1又は2の回転式圧縮機において、
前記第1支持部(35)に設けられ、前記駆動軸(11)を支持する第1軸受(37)と、
前記第2支持部(45)に設けられ、前記駆動軸(11)を支持する第2軸受(47)と、を備える
回転式圧縮機。
【請求項4】
請求項1又は2の回転式圧縮機において、
前記圧縮機構(50)を収納するケーシング(20)を備え、
前記支持部材(30)は、前記第1支持部(35)を有する第1ハウジング本体(31)と、前記第2支持部(45)を有する第2ハウジング本体(41)と、を有し、
前記第1ハウジング本体(31)は、前記ケーシング(20)に固定され、
前記第2ハウジング本体(41)は、前記第1ハウジング本体(31)に固定される
回転式圧縮機。
【請求項5】
請求項1又は2の回転式圧縮機(10)と、
前記回転式圧縮機(10)で圧縮された冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える
冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転式圧縮機及び冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷媒を圧縮する圧縮機構と、圧縮機構を駆動させる駆動軸(クランク軸)と、駆動軸を回転させる電動機と、を備えたスクロール圧縮機が開示されている。
【0003】
駆動軸には、上部バランスウェイトが一体に形成される。上部バランスウェイトは、圧縮機構のハウジングと、電動機のロータとの間に配置される。駆動軸は、ハウジングに設けられた上部軸受と、下部軸受と、によって回転自在に軸支される。駆動軸は、上部軸受と下部軸受との間で、電動機のロータと連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-050549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のスクロール圧縮機では、電動機を挟んで上部軸受と下部軸受とが離れて配置されており、上部バランスウェイトの遠心力が大きくなると、上部軸受から下部軸受の間で駆動軸に撓みが生じるおそれがある。
【0006】
本開示の目的は、バランスウェイトの遠心力によって駆動軸に撓みが生じるのを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、冷媒を圧縮する圧縮機構(50)と、前記圧縮機構(50)を駆動させる駆動軸(11)と、前記駆動軸(11)を回転させるモータ(25)と、を備えた回転式圧縮機であって、前記圧縮機構(50)と前記モータ(25)との間に配置され、前記駆動軸(11)を回転可能に支持する支持部材(30)と、前記駆動軸(11)に設けられ、前記圧縮機構(50)と前記モータ(25)との間に配置されたバランスウェイト(18)と、を備え、前記支持部材(30)は、前記バランスウェイト(18)よりも前記圧縮機構(50)側で前記駆動軸(11)を支持する第1支持部(35)と、前記バランスウェイト(18)よりも前記モータ(25)側で前記駆動軸(11)を支持する第2支持部(45)と、を有する。
【0008】
第1の態様では、バランスウェイト(18)よりも圧縮機構(50)側及びモータ(25)側の両方において、駆動軸(11)をそれぞれ支持することで、バランスウェイト(18)の遠心力によって駆動軸(11)が撓むのを抑えることができる。
【0009】
本開示の第2の態様は、第1の態様の回転式圧縮機において、前記駆動軸(11)における前記第1支持部(35)で支持される部分の軸方向長さL1、前記駆動軸(11)における前記第2支持部(45)で支持される部分の軸方向長さL2が、L1≧L2という条件を満たす。
【0010】
第2の態様では、駆動軸(11)における第1支持部(35)で支持される部分の軸方向長さを、第2支持部(45)で支持される部分の軸方向長さと同じか、又は長くすることで、圧縮機構(50)に近い側に配置された第1支持部(35)と駆動軸(11)との接触面積を大きくして、バランスウェイト(18)の遠心力による駆動軸(11)の撓みを効果的に抑えることができる。
【0011】
本開示の第3の態様は、第1又は2の態様の回転式圧縮機において、前記第1支持部(35)に設けられ、前記駆動軸(11)を支持する第1軸受(37)と、前記第2支持部(45)に設けられ、前記駆動軸(11)を支持する第2軸受(47)と、を備える。
【0012】
第3の態様では、第1軸受(37)及び第2軸受(47)によって駆動軸(11)を支持することで、駆動軸(11)をスムーズに回転させることができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、第1又は2の態様の回転式圧縮機において、前記圧縮機構(50)を収納するケーシング(20)を備え、前記支持部材(30)は、前記第1支持部(35)を有する第1ハウジング本体(31)と、前記第2支持部(45)を有する第2ハウジング本体(41)と、を有し、前記第1ハウジング本体(31)は、前記ケーシング(20)に固定され、前記第2ハウジング本体(41)は、前記第1ハウジング本体(31)に固定される。
【0014】
第4の態様では、第1支持部(35)を有する第1ハウジング本体(31)と、第2支持部(45)を有する第2ハウジング本体(41)と、を別々の部材で構成することで、組み立て作業性が向上する。また、第1ハウジング本体(31)と第2ハウジング本体(41)とを組み合わせることで、バランスウェイト(18)の周囲が第1ハウジング本体(31)と第2ハウジング本体(41)とによって囲まれるため、ケーシング(20)内の冷媒の流れが、バランスウェイト(18)の回転によって乱れるのを抑えることができる。
【0015】
本開示の第5の態様は、第1又は2の態様の回転式圧縮機(10)と、前記回転式圧縮機(10)で圧縮された冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える冷凍装置である。
【0016】
第5の態様では、回転式圧縮機(10)を備えた冷凍装置(1)を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態の冷凍装置の構成を示す冷媒回路図である。
図2図2は、スクロール圧縮機の構成を示す縦断面図である。
図3図3は、第1ハウジング本体及び第2ハウジング本体の構成を示す側面断面図である。
図4図4は、本変形例に係るスクロール圧縮機の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、回転式圧縮機としてのスクロール圧縮機(10)は、冷凍装置(1)に設けられる。冷凍装置(1)は、冷媒が充填された冷媒回路(1a)を有する。冷媒回路(1a)は、スクロール圧縮機(10)、放熱器(3)、減圧機構(4)、及び蒸発器(5)を有する。減圧機構(4)は、例えば、膨張弁である。冷媒回路(1a)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
【0019】
冷凍装置(1)は、空気調和装置である。空気調和装置は、冷房専用機、暖房専用機、あるいは冷房と暖房とを切り換える空気調和装置であってもよい。この場合、空気調和装置は、冷媒の循環方向を切り換える切換機構(例えば四方切換弁)を有する。冷凍装置(1)は、給湯器、チラーユニット、庫内の空気を冷却する冷却装置などであってもよい。冷却装置は、冷蔵庫、冷凍庫、コンテナなどの内部の空気を冷却する。
【0020】
図2に示すように、スクロール圧縮機(10)は、ケーシング(20)と、モータ(25)と、圧縮機構(50)と、を備える。ケーシング(20)は、縦長の円筒状に形成され、密閉ドーム式に構成される。ケーシング(20)には、モータ(25)と、圧縮機構(50)とが収納される。
【0021】
モータ(25)は、ステータ(26)と、ロータ(27)と、を有する。ステータ(26)は、ケーシング(20)の内周面に固定される。ロータ(27)は、ステータ(26)の内側に配置される。ロータ(27)には、駆動軸(11)が貫通する。ロータ(27)は、駆動軸(11)に固定される。ロータ(27)の下部には、下部ウェイト(28)が設けられる。下部ウェイト(28)は、下部カバー(29)によって覆われる。
【0022】
ケーシング(20)の底部には、油溜まり部(21)が設けられる。油溜まり部(21)には、潤滑油が貯留される。ケーシング(20)の上部には、吸入管(12)が接続される。ケーシング(20)の胴部には、吐出管(13)が接続される。吐出管(13)の流入端は、モータ(25)よりも上方の吐出空間(23)に連通する。
【0023】
駆動軸(11)は、ケーシング(20)の中心軸に沿って上下方向に延びる。駆動軸(11)は、主軸部(14)と、偏心部(15)と、バランスウェイト(18)と、を有する。
【0024】
偏心部(15)は、主軸部(14)の上端に設けられる。バランスウェイト(18)は、圧縮機構(50)とモータ(25)との間に配置される。
【0025】
主軸部(14)の下部は、下部軸受(22)に回転可能に支持される。下部軸受(22)は、ケーシング(20)の内周面に固定される。下部軸受(22)には、例えば、容積式のポンプ(24)が設けられる。主軸部(14)は、支持部材としてのハウジング(30)を貫通し、後述するハウジング(30)の第1支持部(35)及び第2支持部(45)に回転可能に支持される。
【0026】
ケーシング(20)には、ハウジング(30)が固定される。ハウジング(30)は、モータ(25)の上方に配置される。ハウジング(30)の上方には、圧縮機構(50)が配置される。
【0027】
ハウジング(30)は、第1ハウジング本体(31)と、第2ハウジング本体(41)と、を有する。第1ハウジング本体(31)は、第2ハウジング本体(41)よりも圧縮機構(50)側に配置される。
【0028】
第1ハウジング本体(31)は、例えば、焼き嵌めによってケーシング(20)の内周面に固定される。なお、第1ハウジング本体(31)を、ボルト締結や溶接などによってケーシング(20)の内周面に固定するようにしてもよい。
【0029】
第1ハウジング本体(31)には、凹部(32)と、第1嵌合部(34)と、第1支持部(35)と、が設けられる。凹部(32)は、第1ハウジング本体(31)の上面の一部が窪むことで設けられる。凹部(32)内には、後述する可動スクロール(70)のボス部(73)が配置される。
【0030】
第1嵌合部(34)は、第1ハウジング本体(31)の下面の一部が突出することで設けられる。第1嵌合部(34)には、第2ハウジング本体(41)の後述する第2嵌合部(44)が嵌合される。
【0031】
第1支持部(35)は、バランスウェイト(18)よりも圧縮機構(50)側で駆動軸(11)を支持する。第1支持部(35)は、第1ハウジング本体(31)における凹部(32)の底面よりも下側の部分で構成される。第1支持部(35)には、軸方向に貫通する第1貫通孔(36)が設けられる。第1貫通孔(36)には、円筒状の第1軸受(37)が設けられる。第1軸受(37)は、例えば、メタル軸受である。なお、第1軸受(37)を転がり軸受で構成してもよい。
【0032】
第1支持部(35)は、第1軸受(37)を介して駆動軸(11)を回転可能に支持する。なお、第1軸受(37)を設けることなく、第1支持部(35)の第1貫通孔(36)の内周面によって、駆動軸(11)を回転可能に支持してもよい。
【0033】
第1ハウジング本体(31)の下面には、ネジ孔(38)が設けられる。ネジ孔(38)は、第1ハウジング本体(31)の周方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0034】
第2ハウジング本体(41)には、収容凹部(42)と、フランジ部(43)と、第2嵌合部(44)と、第2支持部(45)と、が設けられる。
【0035】
収容凹部(42)は、第2ハウジング本体(41)の上面の一部が窪むことで設けられる。収容凹部(42)には、バランスウェイト(18)が収容される。バランスウェイト(18)は、収容凹部(42)内で回転可能となっている。
【0036】
フランジ部(43)は、第2ハウジング本体(41)の上端部から径方向外方に張り出す。フランジ部(43)には、第1ハウジング本体(31)の複数のネジ孔(38)に対応した複数の挿通孔(48)が形成される。
【0037】
第2嵌合部(44)は、フランジ部(43)の外周縁に沿って延び且つ上方に突出する。第2嵌合部(44)は、第1嵌合部(34)に嵌合することで、第1ハウジング本体(31)に対する第2ハウジング本体(41)の径方向の移動を規制する。
【0038】
第2支持部(45)は、バランスウェイト(18)よりもモータ(25)側で駆動軸(11)を支持する。第2支持部(45)は、第2ハウジング本体(41)における収容凹部(42)の底面よりも下側の部分で構成される。第2支持部(45)には、軸方向に貫通する第2貫通孔(46)が設けられる。第2貫通孔(46)には、円筒状の第2軸受(47)が設けられる。第2軸受(47)は、例えば、メタル軸受である。なお、第2軸受(47)を転がり軸受で構成してもよい。
【0039】
第2支持部(45)は、第2軸受(47)を介して駆動軸(11)を回転可能に支持する。なお、第2軸受(47)を設けることなく、第2支持部(45)の第2貫通孔(46)の内周面によって、駆動軸(11)を回転可能に支持してもよい。
【0040】
第1支持部(35)を有する第1ハウジング本体(31)と、第2支持部(45)を有する第2ハウジング本体(41)と、を組み合わせることで、バランスウェイト(18)の周囲が第1ハウジング本体(31)と第2ハウジング本体(41)とによって囲まれる。
【0041】
具体的に、図3にも示すように、第2ハウジング本体(41)の第2嵌合部(44)を、第1ハウジング本体(31)の第1嵌合部(34)に嵌合させる。その後、締結ボルト(49)を、フランジ部(43)側から挿通孔(48)に挿通させてネジ孔(38)にネジ止めすることで、第2ハウジング本体(41)が第1ハウジング本体(31)に締結固定される。
【0042】
これにより、第1支持部(35)に対する第2支持部(45)の径方向の位置決めを行うとともに、第2支持部(45)が径方向に移動するのを抑えることができる。なお、第1嵌合部(34)及び第2嵌合部(44)を設けることなく、例えば、図示しない位置決めピンを設けることで、第1支持部(35)に対する第2支持部(45)の位置決めを行うようにしてもよい。
【0043】
ここで、駆動軸(11)における第1支持部(35)で支持される部分の軸方向長さL1、駆動軸(11)における第2支持部(45)で支持される部分の軸方向長さL2が、L1≧L2という条件を満たすように設定するのが好ましい。
【0044】
このように、圧縮機構(50)に近い側に配置された第1支持部(35)の第1軸受(37)と、駆動軸(11)との接触面積を大きくすることで、バランスウェイト(18)の遠心力による駆動軸(11)の撓みを効果的に抑えることができる。
【0045】
圧縮機構(50)は、固定スクロール(60)と、可動スクロール(70)と、を備える。固定スクロール(60)は、ハウジング(30)の上面に固定される。可動スクロール(70)は、固定スクロール(60)とハウジング(30)との間に配置される。
【0046】
固定スクロール(60)は、固定側鏡板(61)と、固定側ラップ(62)と、外周壁(63)と、を有する。外周壁(63)は、略筒状に形成される。外周壁(63)は、固定側鏡板(61)の正面(図2における下面)の外縁に立設する。
【0047】
固定側ラップ(62)は、渦巻き状に形成される。固定側ラップ(62)は、固定側鏡板(61)における外周壁(63)の内部に立設する。
【0048】
固定側鏡板(61)は、外周側に位置して固定側ラップ(62)と連続的に形成される。固定側ラップ(62)の先端面と外周壁(63)の先端面とは略面一に形成される。固定スクロール(60)は、ハウジング(30)に固定される。
【0049】
可動スクロール(70)は、可動側鏡板(71)と、可動側ラップ(72)と、ボス部(73)と、を有する。可動側ラップ(72)は、渦巻き状に形成される。可動側ラップ(72)は、可動側鏡板(71)の上面に形成される。可動側ラップ(72)は、固定側ラップ(62)に噛み合う。
【0050】
ボス部(73)は、可動側鏡板(71)の下面中心部に形成される。ボス部(73)には、駆動軸(11)の偏心部(15)が挿入され、駆動軸(11)が連結される。
【0051】
ハウジング(30)の上部には、オルダム継手(55)が設けられる。オルダム継手(55)は、可動スクロール(70)が自転するのを阻止している。オルダム継手(55)には、キー(56)が設けられる。キー(56)は、可動スクロール(70)の可動側鏡板(71)の下面側に突出する。可動スクロール(70)の可動側鏡板(71)の下面には、キー溝(57)が形成される。キー溝(57)には、オルダム継手(55)のキー(56)が摺動可能に嵌合される。
【0052】
なお、図示は省略するが、オルダム継手(55)のハウジング(30)側にもキーが設けられており、ハウジング(30)側のキーが、ハウジング(30)のキー溝(図示省略)に摺動可能に嵌合される。
【0053】
圧縮機構(50)は、冷媒が流入する流体室(S)を有する。流体室(S)は、固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との間に形成される。可動スクロール(70)は、可動側ラップ(72)が固定スクロール(60)の固定側ラップ(62)に噛み合うように配設される。ここで、固定スクロール(60)の外周壁(63)の下面が、可動スクロール(70)に対する対向面となる。また、可動スクロール(70)の可動側鏡板(71)の上面が、固定スクロール(60)に対する対向面となる。
【0054】
固定スクロール(60)の外周壁(63)には、吸入ポート(64)が形成される。吸入ポート(64)は、固定側ラップ(62)の巻き終わり付近に開口する。吸入ポート(64)には、吸入管(12)の下流端が接続される。
【0055】
固定スクロール(60)の固定側鏡板(61)の中央には、吐出口(65)が形成される。固定スクロール(60)の固定側鏡板(61)の上面には、吐出口(65)が開口する。吐出口(65)から吐出された高圧のガス冷媒は、ハウジング(30)に形成された通路(図示省略)を介して吐出空間(23)に流出する。
【0056】
駆動軸(11)の内部には、給油路(16)が形成される。給油路(16)は、駆動軸(11)の下端から上端に亘って上下方向に延びる。駆動軸(11)の下端部は、ポンプ(24)に接続される。ポンプ(24)の下端部は、油溜まり部(21)に浸漬される。ポンプ(24)は、駆動軸(11)の回転に伴って油溜まり部(21)から潤滑油を吸い上げ、給油路(16)に搬送する。給油路(16)は、油溜まり部(21)の潤滑油を、下部軸受(22)と駆動軸(11)との摺動面、第1軸受(37)と駆動軸(11)との摺動面、及び第2軸受(47)と駆動軸(11)との摺動面に供給するとともに、ボス部(73)と駆動軸(11)との摺動面に供給する。給油路(16)は、駆動軸(11)の上端面に開口し、潤滑油を駆動軸(11)の上方に供給する。
【0057】
ハウジング(30)の凹部(32)は、可動スクロール(70)のボス部(73)の内部を介して駆動軸(11)の給油路(16)に連通している。凹部(32)には、高圧の潤滑油が供給されることで、圧縮機構(50)の吐出圧力に相当する高圧が作用する。可動スクロール(70)は、凹部(32)の高圧によって、固定スクロール(60)に押し付けられる。
【0058】
ハウジング(30)及び固定スクロール(60)の内部には、図示しない油通路が形成される。油通路は、凹部(32)内の高圧の潤滑油を、可動スクロール(70)の可動側鏡板(71)と固定スクロール(60)の外周壁(63)との対向面に供給する。
【0059】
-運転動作-
スクロール圧縮機(10)の基本的な動作について説明する。図2において、モータ(25)を作動させると、ロータ(27)が固定された駆動軸(11)が回転駆動する。また、可動スクロール(70)は、オルダム継手(55)によって自転が阻止されているので、駆動軸(11)の軸心を中心に旋回運動する。
【0060】
可動スクロール(70)が旋回運動すると、流体室(S)で冷媒が圧縮される。流体室(S)で圧縮された高圧のガス冷媒は、吐出口(65)から吐出され、ハウジング(30)に形成された通路(図示省略)を経由して吐出空間(23)に流出する。吐出空間(23)の高圧のガス冷媒は、吐出管(13)を介して、ケーシング(20)の外部へ吐出される。
【0061】
駆動軸(11)の回転に伴い、油溜まり部(21)の高圧の潤滑油は、ポンプ(24)によって吸い上げられて駆動軸(11)の給油路(16)を上方へ流れ、駆動軸(11)の偏心部(15)の上端の開口から可動スクロール(70)のボス部(73)の内部へ流出する。
【0062】
ボス部(73)に供給された潤滑油は、駆動軸(11)の偏心部(15)とボス部(73)との隙間を介してハウジング(30)の凹部(32)へ流出する。これにより、ハウジング(30)の凹部(32)は、圧縮機構(50)の吐出圧力に相当する高圧となる。凹部(32)の高圧によって可動スクロール(70)が固定スクロール(60)に押し付けられる。
【0063】
-実施形態の効果-
本実施形態の特徴によれば、バランスウェイト(18)よりも圧縮機構(50)側及びモータ(25)側の両方において、駆動軸(11)をそれぞれ支持することで、バランスウェイト(18)の遠心力によって駆動軸(11)が撓むのを抑えることができる。これにより、駆動軸(11)において局所的に面圧が高くなるのを抑えて信頼性を向上でき、スクロール圧縮機(10)を高速運転することができる。
【0064】
本実施形態の特徴によれば、駆動軸(11)における第1支持部(35)で支持される部分の軸方向長さを、第2支持部(45)で支持される部分の軸方向長さと同じか、又は長くすることで、圧縮機構(50)に近い側に配置された第1支持部(35)と駆動軸(11)との接触面積を大きくして、バランスウェイト(18)の遠心力による駆動軸(11)の撓みを効果的に抑えることができる。
【0065】
本実施形態の特徴によれば、第1軸受(37)及び第2軸受(47)によって駆動軸(11)を支持することで、駆動軸(11)をスムーズに回転させることができる。
【0066】
本実施形態の特徴によれば、第1支持部(35)を有する第1ハウジング本体(31)と、第2支持部(45)を有する第2ハウジング本体(41)と、を別々の部材で構成することで、組み立て作業性が向上する。また、第1ハウジング本体(31)と第2ハウジング本体(41)とを組み合わせることで、バランスウェイト(18)の周囲が第1ハウジング本体(31)と第2ハウジング本体(41)とによって囲まれるため、ケーシング(20)内の冷媒の流れが、バランスウェイト(18)の回転によって乱れるのを抑えることができる。
【0067】
本実施形態の特徴によれば、回転式圧縮機(10)と、回転式圧縮機(10)で圧縮された冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備えた冷凍装置(1)を提供できる。
【0068】
《変形例》
以下、前記実施形態と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0069】
図4に示すように、駆動軸(11)は、バランスウェイト(18)を有する。バランスウェイト(18)は、圧縮機構(50)とモータ(25)との間に配置される。
【0070】
バランスウェイト(18)は、ウェイト突出部(19)を有する。ウェイト突出部(19)は、バランスウェイト(18)の上面の一部が突出することで設けられる。ウェイト突出部(19)は、バランスウェイト(18)の外周縁に沿って延び且つ上方に突出する。
【0071】
ハウジング(30)は、第1ハウジング本体(31)と、第2ハウジング本体(41)と、を有する。バランスウェイト(18)は、第2ハウジング本体(41)の収容凹部(42)に収容される。
【0072】
第1ハウジング本体(31)の下面には、リング溝(39)が設けられる。ウェイト突出部(19)は、リング溝(39)に入り込むように配置される。リング溝(39)は、バランスウェイト(18)が回転する際に、ウェイト突出部(19)が第1ハウジング本体(31)に干渉しない溝幅及び溝深さに設定される。
【0073】
このように、バランスウェイト(18)の外周縁に沿ってウェイト突出部(19)を設けることで、バランスウェイト(18)全体の重量を大きくすることができる。
【0074】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書及び特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明したように、本開示は、回転式圧縮機及び冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0076】
1 冷凍装置
1a 冷媒回路
10 スクロール圧縮機(回転式圧縮機)
11 駆動軸
18 バランスウェイト
20 ケーシング
25 モータ
30 ハウジング(支持部材)
31 第1ハウジング本体
35 第1支持部
37 第1軸受
41 第2ハウジング本体
45 第2支持部
47 第2軸受
50 圧縮機構
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機構(50)と、前記圧縮機構(50)を駆動させる駆動軸(11)と、前記駆動軸(11)を回転させるモータ(25)と、を備えた回転式圧縮機であって、
前記圧縮機構(50)と前記モータ(25)との間に配置され、前記駆動軸(11)を回転可能に支持する支持部材(30)と、
前記モータ(25)よりも下方で前記駆動軸(11)を回転可能に支持する下部軸受(22)と、
前記駆動軸(11)に設けられ、前記圧縮機構(50)と前記モータ(25)との間に配置されたバランスウェイト(18)と、を備え、
前記支持部材(30)は、前記バランスウェイト(18)よりも前記圧縮機構(50)側で前記駆動軸(11)を支持する第1支持部(35)と、前記バランスウェイト(18)よりも前記モータ(25)側で前記駆動軸(11)を支持する第2支持部(45)と、を有する
回転式圧縮機。
【請求項2】
請求項1の回転式圧縮機において、
前記支持部材(30)は、前記第1支持部(35)を有する第1ハウジング本体(31)と、前記第2支持部(45)を有する第2ハウジング本体(41)と、を有し、
前記第2ハウジング本体(41)には、前記第2ハウジング本体(41)の一部が窪むことで収容凹部(42)が設けられ、
前記第2ハウジング本体(41)は、前記第1ハウジング本体(31)に固定され、
前記収容凹部(42)には、前記バランスウェイト(18)が収容される
回転式圧縮機。
【請求項3】
請求項1又は2の回転式圧縮機において、
前記駆動軸(11)における前記第1支持部(35)で支持される部分の軸方向長さL1、前記駆動軸(11)における前記第2支持部(45)で支持される部分の軸方向長さL2が、L1≧L2という条件を満たす
回転式圧縮機。
【請求項4】
請求項1又は2の回転式圧縮機において、
前記第1支持部(35)に設けられ、前記駆動軸(11)を支持する第1軸受(37)と、
前記第2支持部(45)に設けられ、前記駆動軸(11)を支持する第2軸受(47)と、を備える
回転式圧縮機。
【請求項5】
請求項1又は2の回転式圧縮機において、
前記圧縮機構(50)を収納するケーシング(20)を備え、
前記支持部材(30)は、前記第1支持部(35)を有する第1ハウジング本体(31)と、前記第2支持部(45)を有する第2ハウジング本体(41)と、を有し、
前記第1ハウジング本体(31)は、前記ケーシング(20)に固定され、
前記第2ハウジング本体(41)は、前記第1ハウジング本体(31)に固定される
回転式圧縮機。
【請求項6】
請求項1又は2の回転式圧縮機(10)と、
前記回転式圧縮機(10)で圧縮された冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える
冷凍装置。