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特開2024-127386高周波加熱装置および高周波加熱方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127386
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】高周波加熱装置および高周波加熱方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/74 20060101AFI20240912BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H05B6/74 B
F24C7/02 551H
F24C7/02 Z
F24C7/02 561
H05B6/74 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036512
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】久保 昌之
(72)【発明者】
【氏名】大森 義治
【テーマコード(参考)】
3K090
3L086
【Fターム(参考)】
3K090AB02
3K090BA04
3K090CA01
3K090FA03
3L086AA01
3L086CA01
3L086CC02
3L086DA24
(57)【要約】
【課題】食材を柔軟な方法で加熱することができる高周波加熱装置およびそれを用いた高周波加熱方法を提供すること。
【解決手段】高周波加熱装置は、食材を載置するための載置台を有する加熱室と、高周波電力を発生させる第1高周波電力発生部と、前記第1高周波電力発生部が発生させた高周波電力を、表面波として前記加熱室に供給する第1アンテナと、前記第1高周波電力発生部を制御する制御部と、を備え、前記第1アンテナは、前記載置台の上で所定の食材収容部に収容された食材に対して表面波としての高周波電力を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を載置するための載置台を有する加熱室と、
高周波電力を発生させる第1高周波電力発生部と、
前記第1高周波電力発生部が発生させた高周波電力を、表面波として前記加熱室に供給する第1アンテナと、
前記第1高周波電力発生部を制御する制御部と、を備え、
前記第1アンテナは、前記載置台の上で所定の食材収容部に収容された食材に対して表面波としての高周波電力を供給する、
高周波加熱装置。
【請求項2】
前記食材収容部は、高周波電力を透過又は吸収する材料で構成される、
請求項1に記載の高周波加熱装置。
【請求項3】
前記食材収容部は、一部が高周波電力を透過させる材料で構成され、他の一部が高周波電力を透過させない材料で構成される、
請求項1に記載の高周波加熱装置。
【請求項4】
前記第1アンテナは、前記載置台の下方に配置される、
請求項1に記載の高周波加熱装置。
【請求項5】
前記第1高周波電力発生部は、高周波電力としてのマイクロ波を発生させる、
請求項1に記載の高周波加熱装置。
【請求項6】
前記第1アンテナは、表面波を伝送するための周期構造体を有する、
請求項1に記載の高周波加熱装置。
【請求項7】
高周波電力を発生させる第2高周波電力発生部と、
前記第2高周波電力発生部が発生させた高周波電力を、前記加熱室に供給する第2アンテナと、をさらに備える、
請求項1に記載の高周波加熱装置。
【請求項8】
前記第2アンテナは、前記加熱室に向けて高周波電力を放射する、
請求項7に記載の高周波加熱装置。
【請求項9】
前記第1アンテナは、前記載置台の下方に配置され、
前記第2アンテナは、前記載置台の上方に配置される、
請求項7に記載の高周波加熱装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記食材収容部に収容された食材に対して、前記第1高周波電力発生部の駆動による高周波電力を前記第1アンテナから供給する第1加熱工程と、前記第2高周波電力発生部の駆動による高周波電力を前記第2アンテナから供給する第2加熱工程と、を実行する、
請求項7に記載の高周波加熱装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第2加熱工程の後に前記第1加熱工程を実行する、
請求項10に記載の高周波加熱装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1加熱工程の後に前記第2加熱工程を実行する、
請求項10に記載の高周波加熱装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第2加熱工程において、前記第2高周波電力発生部に加えて、前記第1高周波電力発生部を駆動する、
請求項10に記載の高周波加熱装置。
【請求項14】
前記制御部は、予めプログラムされた、前記第1加熱工程と前記第2加熱工程を含む加熱コースを実行する、
請求項10に記載の高周波加熱装置。
【請求項15】
第1高周波電力発生部により、高周波電力を発生させるステップと、
第1アンテナにより、前記第1高周波電力発生部が発生させた高周波電力を表面波として加熱室に供給し、これにより、前記加熱室の載置台の上で所定の食材収容部に収容された食材に対して表面波としての高周波電力を供給するステップと、を含む、
高周波加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高周波加熱装置および高周波加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高周波電界による誘電加熱現象を利用して調理する調理器具としての高周波加熱装置およびそれを用いた高周波加熱方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開第2018-138861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今では、食材をより柔軟な方法で加熱できるようにすることが求められる。
【0005】
従って、本開示の目的は、前記問題を解決することにあって、食材を柔軟な方法で加熱することができる高周波加熱装置およびそれを用いた高周波加熱方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本開示の高周波加熱装置は、食材を載置するための載置台を有する加熱室と、高周波電力を発生させる第1高周波電力発生部と、前記第1高周波電力発生部が発生させた高周波電力を、表面波として前記加熱室に供給する第1アンテナと、前記第1高周波電力発生部を制御する制御部と、を備え、前記第1アンテナは、前記載置台の上で所定の食材収容部に収容された食材に対して表面波としての高周波電力を供給する。
【0007】
また、本開示の高周波加熱方法は、第1高周波電力発生部により、高周波電力を発生させるステップと、第1アンテナにより、前記第1高周波電力発生部が発生させた高周波電力を表面波として加熱室に供給し、これにより、前記加熱室の載置台の上で所定の食材収容部に収容された食材に対して表面波としての高周波電力を供給するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、食材を柔軟な方法で加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る高周波加熱装置の概略断面図
図2】実施形態に係る第1高周波電力供給部による食材の加熱方法を説明するための概略断面図
図3】実施形態に係る第2高周波電力供給部による食材の加熱方法を説明するための概略断面図
図4】実施形態に係る第1加熱コース、第2加熱コースを実行するための各処理を示すフローチャート
図5】実施形態に係る第3加熱コースを実行するための各処理を示すフローチャート
図6】実施形態に係る第4加熱コースを実行するための各処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1態様によれば、食材を載置するための載置台を有する加熱室と、高周波電力を発生させる第1高周波電力発生部と、前記第1高周波電力発生部が発生させた高周波電力を、表面波として前記加熱室に供給する第1アンテナと、前記第1高周波電力発生部を制御する制御部と、を備え、前記第1アンテナは、前記載置台の上で所定の食材収容部に収容された食材に対して表面波としての高周波電力を供給する、高周波加熱装置を提供する。
【0011】
本開示の第2態様によれば、前記食材収容部は、高周波電力を透過/又は吸収する材料で構成される、第1態様に記載の高周波加熱装置を提供する。
【0012】
本開示の第3態様によれば、前記食材収容部は、一部が高周波電力を透過させる材料で構成され、他の一部が高周波電力を透過させない材料で構成される、第1態様又は第2態様に記載の高周波加熱装置を提供する。
【0013】
本開示の第4態様によれば、前記第1アンテナは、前記載置台の下方に配置される、第1態様から第3態様のいずれか1つに記載の高周波加熱装置を提供する。
【0014】
本開示の第5態様によれば、前記第1高周波電力発生部は、高周波電力としてのマイクロ波を発生させる、第1態様から第4態様のいずれか1つに記載の高周波加熱装置を提供する。
【0015】
本開示の第6態様によれば、前記第1アンテナは、表面波を伝送するための周期構造体を有する、第1態様から第5態様のいずれか1つに記載の高周波加熱装置を提供する。
【0016】
本開示の第7態様によれば、高周波電力を発生させる第2高周波電力発生部と、前記第2高周波電力発生部が発生させた高周波電力を、前記加熱室に供給する第2アンテナと、をさらに備える、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載の高周波加熱装置を提供する。
【0017】
本開示の第8態様によれば、前記第2アンテナは、前記加熱室に向けて高周波電力を放射する、第7態様に記載の高周波加熱装置を提供する。
【0018】
本開示の第9態様によれば、前記第1アンテナは、前記載置台の下方に配置され、前記第2アンテナは、前記載置台の上方に配置される、第7態様又は第8態様に記載の高周波加熱装置を提供する。
【0019】
本開示の第10態様によれば、前記制御部は、前記食材収容部に収容された食材に対して、前記第1高周波電力発生部の駆動による高周波電力を前記第1アンテナから供給する第1加熱工程と、前記第2高周波電力発生部の駆動による高周波電力を前記第2アンテナから供給する第2加熱工程と、を実行する、第7態様から第9態様のいずれか1つに記載の高周波加熱装置を提供する。
【0020】
本開示の第11態様によれば、前記制御部は、前記第2加熱工程の後に前記第1加熱工程を実行する、第10態様に記載の高周波加熱装置を提供する。
【0021】
本開示の第12態様によれば、前記制御部は、前記第1加熱工程の後に前記第2加熱工程を実行する、第10態様に記載の高周波加熱装置を提供する。
【0022】
本開示の第13態様によれば、前記制御部は、前記第2加熱工程において、前記第2高周波電力発生部に加えて、前記第1高周波電力発生部を駆動する、第10態様から第12態様のいずれか1つに記載の高周波加熱装置を提供する。
【0023】
本開示の第14態様によれば、前記制御部は、予めプログラムされた、前記第1加熱工程と前記第2加熱工程を含む加熱コースを実行する、第10態様から第13態様のいずれか1つに記載の高周波加熱装置を提供する。
【0024】
本開示の第15態様によれば、第1高周波電力発生部により、高周波電力を発生させるステップと、第1アンテナにより、前記第1高周波電力発生部が発生させた高周波電力を表面波として加熱室に供給し、これにより、前記加熱室の載置台の上で所定の食材収容部に収容された食材に対して表面波としての高周波電力を供給するステップと、を含む、高周波加熱方法を提供する。
【0025】
以下、本開示に係る高周波加熱装置および高周波加熱方法の例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本開示に含まれる。
【0026】
(実施形態)
まず図1を参照して、本開示の一実施形態に係る高周波加熱装置について説明する。
【0027】
図1は、実施形態に係る高周波加熱装置2の概略断面図である。
【0028】
図1に示す高周波加熱装置2は、高周波電界による誘電加熱現象を利用して食材4を加熱調理するための調理器具である。本実施形態の高周波加熱装置2は特に、被加熱物としての食材4をマイクロ波加熱する「電子レンジ」である。
【0029】
図1に示すように、食材4は、所定の包装材6によって包まれている。食材4を包装する包装材6は、マイクロ波等の高周波電力を透過する材質で構成されており、食材4は包装材6に包まれた状態で誘電加熱される。食材4は例えば、餃子、揚げ物、お好み焼き、ホットケーキである。本実施形態の包装材6はマイクロ波を透過可能な材料で構成される。マイクロ波を透過可能であることは、例えば、複素誘電率の値に基づいて判断してもよい。
【0030】
包装材6は、食材4を収容する「食材収容部」の一例である。食材収容部としては、食材4の全体を包む包装材6に限らず、食材4を受ける皿や食材4を収容する容器等、食材4を収容可能であれば、任意の構成を用いてもよい。以下では、食材収容部の一例として包装材6について説明する。
【0031】
包装材6の材料としては、食材4の加熱目的により、低損失材料、高損失発熱材料、紙などの溶けない材料、昇温により硬化/軟化して形状変化する材料などを選択してもよく、および/または、複数の材料を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
本実施形態の高周波加熱装置2は、包装材6で包まれた状態の食材4に対して、高周波電力を用いた「表面波加熱」および「放射加熱」を行うことで、食材4を焼く・蒸す等の複数の態様で加熱することができる。
【0033】
本実施形態の高周波加熱装置2に適した食材4の組成としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
・内側と外側で組成が異なり、外側は表面波の影響を受けやすく、内側は表面波の受けにくい組成
・表面波によって多孔質構造を形成もしくは維持する組成
・表面波によってクラスト層を形成する組成
・塩分濃度が内外・上下でアンバランスな組成
・水分比率が内外・上下でアンバランスな組成
・加熱により油分が溶出し、更なる加熱により食品内水分との入れ替え作用などにより揚げ物食感を再生する組成
・表面波によって発泡・または部分的に硬化、膨化する組成
・水分が上に逃げるが、下には降りてこないような組成
・底面がフラットな形状
【0034】
本実施形態の高周波加熱装置2に適した包装材6の構成としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
・蒸気抜き構造を有する構成(例えば、下側から蒸気を抜く構造:底部が波型形状や上げ底形状、穴あき構造など)
・水分を吸収する吸湿構成
・油分や水分を供給可能な給油・給水構成
・内部の湿度をコントロールできる構成(例えば、所定湿度/温度以上になると蒸気を逃がす構成)
【0035】
図1に示すように、本実施形態の高周波加熱装置2は、載置台8を内蔵した加熱室10と、第1高周波電力供給部12と、第2高周波電力供給部14と、温度検出部15と、操作部17と、撮像部19と、制御部21とを備える。
【0036】
第1高周波電力供給部12および第2高周波電力供給部14はそれぞれ、加熱室10に対して高周波電力を供給するための部材である。
【0037】
第1高周波電力供給部12は、第1高周波電力発生部16と、第1導波管18と、第1電波検出部20と、第1アンテナ駆動部22と、第1アンテナ24とを備える。
【0038】
第2高周波電力供給部14は、第2高周波電力発生部26と、第1導波管28と、第2電波検出部30と、第2アンテナ駆動部32と、第2アンテナ34とを備える。
【0039】
高周波電力発生部16、26はそれぞれ、高周波電力を発生させるための部材である。本実施形態の高周波電力発生部16、26はそれぞれ、高周波電力としてのマイクロ波を発生させる機能を有し、例えばマグネトロンや半導体式発振器で構成される。
【0040】
導波管18、28はそれぞれ、高周波電力発生部16、26が発生させた高周波電力を加熱室10に向けて伝送する部材である。導波管18、28は、高周波電力伝送部の一例である。
【0041】
電波検出部20、30はそれぞれ、導波管18、28を流れる高周波電力を検出する部材である。本実施形態の電波検出部20、30は、高周波電力を含む電波の強度を検出可能な電波センサで構成される。
【0042】
アンテナ駆動部22、32はそれぞれ、アンテナ24、34を駆動するための部材である。本実施形態のアンテナ駆動部22、32はそれぞれ、モータと、モータによって回転される回転軸とを備え、回転軸に支持したアンテナ24、34を回転させる機能を有する。アンテナ駆動部22、32の回転軸はそれぞれ、導波管18、28の開口に挿通されており、アンテナ24、34および加熱室10に向けて高周波電力を導くための同軸構造を形成する。
【0043】
アンテナ駆動部22、32はそれぞれ、アンテナ24、34を回転させる機能に限らず、アンテナ24、34を上下動させる機能等、他の駆動機能を有してもよい。
【0044】
アンテナ24、34はそれぞれ、導波管18、28から伝送されてくる高周波電力を加熱室10に供給するための部材である。本実施形態ではアンテナ24、34のそれぞれの仕様が異なる。
【0045】
本実施形態の第1アンテナ24は、高周波電力を表面波として加熱室10に供給する機能を有する。第1アンテナ24は「表面波アンテナ」と称してもよい。
【0046】
本実施形態の第1アンテナ24は、表面波を伝送可能な周期構造体25を有する。周期構造体25は、表面波を伝送可能な周期構造を有し、加熱室10に対向する位置に配置される。本実施形態の周期構造体25は、板状のスタブを周期的に配置したものである。スタブ型に限らず、ラダー型、メアンダ型、インターデジタル型等、表面波を伝送できるものであれば、任意の周期構造体を用いてもよい。
【0047】
周期構造体25を含む第1アンテナ24は、載置台8の直下に配置される。周期構造体25と載置台8を近接して配置することで、周期構造体25が伝送する表面波を、載置台8に載置された食材4に対して照射・供給することができる。例えば、周期構造体25の上面と載置台8の上面の距離を所定距離以下に設定すればよい。
【0048】
包装材6はマイクロ波を透過可能であるため、周期構造体25が伝送する表面波は食材4に供給され、食材4が加熱される。
【0049】
本実施形態の第2アンテナ34は、高周波電力を加熱室10に放射する機能を有する。第2アンテナ34は「放射アンテナ」と称してもよい。第2アンテナ34は、高周波電力を加熱室10に放射可能であれば、任意のアンテナ構成を用いてもよい。
【0050】
本実施形態の第2アンテナ34は周期構造体を有しておらず、高周波電力を表面波として供給する機能を有しない。
【0051】
温度検出部15は、加熱室10の温度を検出するための部材である。本実施形態の温度検出部15は、加熱室10の壁面に設けられており、載置台8の中央位置に向かって検出方向が設けられた温度センサである。これにより、温度検出部15は包装材6の表面温度を検出可能であり、包装材6で包まれた食材4の表面温度を間接的に取得する。温度検出部15は、包装材6の表面温度を検出可能であれば、任意の位置に設けてもよい。
【0052】
操作部17は、ユーザが高周波加熱装置2を操作するための部材である。操作部17は、ユーザが加熱コースを選択したり、加熱の強度や時間を設定すること等を可能にする。図1に示す操作部17は、高周波加熱装置2の筐体(例えば前面)に設けられ、物理ボタンやタッチパネル等で構成される。操作部17は、高周波加熱装置2に関する情報を表示する表示部を兼ねてもよく、「操作表示部」と称してもよい。
【0053】
撮像部19は、加熱室10の内部を撮像するための部材である。本実施形態の撮像部19は、加熱室10の壁面に設けられており、載置台8に向かって撮像方向が設けられたカメラである。撮像部19は、載置台8に載置された包装材6を含む画像を取得・出力することができる。撮像部19は、包装材6を含む画像を取得可能であれば、任意の位置に設けてもよい。
【0054】
制御部21は、高周波加熱装置2の制御を司るコントローラである。制御部21は、高周波加熱装置2の各構成要素に電気的に接続されており、各構成要素の動作を制御する。制御部21は、高周波電力発生部16、26、アンテナ駆動部22、32等を制御し、温度検出部15、撮像部19、電波検出部20、30の検出結果を取得する。制御部21は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPU、MPU、FPGA、DSP、ASICのような汎用プロセッサを含む。制御部21は、メモリに格納された制御プログラムを呼び出して実行することにより、高周波加熱装置2における各種の制御を実現することができる。制御部21は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0055】
上記構成によれば、(1)第1高周波電力供給部12は、周期構造体25を有する第1アンテナ24を用いて、食材4に対して高周波電力を「表面波」として照射・供給する。これにより、食材4の底部を集中的に加熱する。(2)第2高周波電力供給部14は、第2アンテナ34を用いて、加熱室10に向けて高周波電力を「放射」する。これにより、食材4を全方位的に加熱する。
【0056】
図2は、第1高周波電力供給部12による食材4の加熱方法を説明するための概略断面図である。
【0057】
図2に示すように、第1高周波電力供給部12の第1アンテナ24が、載置台8の直下において表面波としての高周波電力P1を伝送することで、高周波電力P1が載置台8および包装材6を透過して食材4の底部に照射される。食材4の底部が集中的に加熱されることで、「焼き効果」が生じる。また食材4の底部から上方に向かって伝熱昇温が生じるとともに、蒸気が発散する。主に食材4の上部では、蒸気発散による「蒸し効果」が生じる。食材4から流出する油分が、主に食材4の底から側方に流出する。
【0058】
図3は、第2高周波電力供給部14による食材4の加熱方法を説明するための概略断面図である。
【0059】
図3に示すように、第2高周波電力供給部14の第2アンテナ34(図1)が、加熱室10に向けて高周波電力P2を放射することで、高周波電力P2が加熱室10の内部を伝搬し、包装材6を透過して食材4に照射される。食材4が全方位的に加熱されることで、食材4の内部から蒸気が発生して周囲に拡散し、「蒸し効果」が生じる。水分は包装材6の内側に結露する場合がある。余剰な水分は包装材6の内底面に溜まる。
【0060】
第1高周波電力供給部12および第2高周波電力供給部14を有する高周波加熱装置2は、食材4の種類等に応じて、ユーザが操作部17で選択した所定の加熱コースを実行する。
【0061】
以下、制御部21が記憶する複数の加熱コースのうち、包装材6で包まれた食材4を対象とする加熱コースの例について、順に説明する。
【0062】
(第1加熱コース:昇温工程(蒸し工程)→焼き工程)
図4は、第1加熱コースを実行するための各処理を示すフローチャートである。
【0063】
第1加熱コースは、第1加熱工程と、第2加熱工程とを含む。第1加熱工程は、主に第1高周波電力供給部12を用いた焼き工程(表面波加熱工程)であり、第2加熱工程は、主に第2高周波電力供給部14を用いた蒸し又は全体昇温工程(放射波加熱工程)である。第1加熱コースでは、第2加熱工程を実行した後に、第1加熱工程を実行する。
【0064】
図4に示すように、制御部21は、加熱コースの開始を受け付ける(S1)。具体的には、図1に示した操作部17においてユーザが第1加熱コースを選択して決定ボタンを押下することに応じて、第1加熱コースの開始を受け付ける。
【0065】
制御部21は、第2加熱工程を実行する(S2)。具体的には、ステップS1で選択された第1加熱コースが有する第2加熱工程を実行するように、制御部21が第2高周波電力供給部14を駆動する。第2高周波電力供給部14の第2高周波電力発生部26を駆動してマイクロ波を発生させることで、第2導波管28を介して第2アンテナ34へマイクロ波を伝送し、第2アンテナ34が加熱室10にマイクロ波を放射する。
【0066】
加熱室10に放射されたマイクロ波は、マイクロ波を透過可能な材質の包装材6を透過して、食材4を全方位的に加熱する(図3参照)。包装材6で包まれた食材4には蒸し効果が生じる。
【0067】
本実施形態の第1加熱コースは、餃子等の蒸し調理を要する食材4を対象としている。第2加熱工程では、第2高周波電力供給部14だけでなく、第1高周波電力供給部12を用いて食材4を表面波加熱する。これにより、図2に示したように、食材4の底部を中心に加熱しながら更なる蒸し効果を生じさせることができる。
【0068】
第1高周波電力供給部12による食材4の底部加熱に応じて、食材4および/または包装材6に、蒸し用の水分を配置・含ませてもよい。さらに、蒸し効果を向上させるため、食材4の上部や乾燥しやすい部分をスフレ構造にするなど、蒸気を保持しやすい組成としても良い。
【0069】
第2加熱工程において、第1高周波電力供給部12と第2高周波電力供給部14の両方を動作させる際には、それぞれが動作するタイミングを異ならせることで、それぞれが供給するマイクロ波の干渉を防止してもよい。あるいは、第1高周波電力供給部12と第2高周波電力供給部14を同時に動作させてもよい。
【0070】
制御部21は、第2加熱工程を終了するか否かを判断する(S3)。本実施形態の制御部21は、温度検出部15、撮像部19、電波検出部20、30の検出結果に応じて、第2加熱工程を終了するか否かを判断する。温度検出部15の検出結果に基づいて、食材4の表面温度を間接的に取得できるため、加熱の進行度を特定することができ、温度検出部15が検出する値が所定の閾値に到達したときに、第2加熱工程を終了してもよい。また、撮像部19の撮像画像に基づいて、食材4の色変化や大きさ変化、包装材6の色変化や大きさ変化(蒸気による膨らみ等)、蒸気の発生状態等を検知することができるため、それらの情報に基づいて加熱の進行度を特定することができる。これより、撮像部19の撮像画像に基づいて算出される値が所定の閾値に到達したときに、第2加熱工程を終了してもよい。また、電波検出部20、30の検出結果に基づいて、導波管18、28および加熱室10における高周波電力の強度・分布、高周波電力の庫内への入射量や庫内からの反射量等に関する情報を取得できるため、加熱や焼き・焦げの進行度を特定することができ、電波検出部20、30が検出する値が所定の閾値に到達したときに、第2加熱工程を終了してもよい。
【0071】
温度検出部15や電波検出部20、30の検出結果を用いる場合に限らず、例えば、第2加熱工程の開始から予め定めた所定時間を経過したときに第2加熱工程を終了する等、任意の基準に基づいて、第2加熱工程を終了するか否かを判断してもよい。
【0072】
制御部21は、第2加熱工程を終了しないと判断した場合(S3でNO)、ステップS3を再度実行する。
【0073】
制御部21は、第2加熱工程を終了すると判断した場合(S3でYES)、第1加熱工程を実行する(S4)。具体的には、ステップS1で選択された第1加熱コースが有する第1加熱工程を実行するように、制御部21が第1高周波電力供給部12を制御する。第1高周波電力供給部12の第1高周波電力発生部16を駆動してマイクロ波を発生させることで、第1導波管18を介して第1アンテナ24へマイクロ波を伝送し、第1アンテナ24が周期構造体25に表面波を伝送させる。
【0074】
周期構造体25が伝送するマイクロ波の表面波は包装材6を透過して、食材4の底部を強く加熱して「焼き効果」を生じさせる(図2参照)。第1加熱工程の前の第2加熱工程で食材4の底部を含めて全体をある程度加熱しているため、食材4の全体を加熱しつつ、食材4の底部をより強く焼くことができる。
【0075】
本実施形態の第1加熱工程では、上部の乾燥を防止するため、第2高周波電力供給部14は動作させずに第1高周波電力供給部12のみを動作させる。これにより、食材4が餃子等の場合に、食材4の底部のみを強く加熱する「焼き効果」を効果的に生じさせることができる。
【0076】
包装材6は、上部の乾燥を防止するため、上部に袋状の蒸気滞留部を設けても良い。また底側の「焼き効果」を強化するため、包装材6の側面から下側にかけて、蒸気や水分を排出し、乾燥させる構成としても良い。さらに、食材4の底側に塩分や油を多く含有させて、マイクロ波電力吸収強化と昇温加速しやすい組成としても良い。
【0077】
また包装材6は、下部は高周波電力を透過させる材質で構成し、上部は高周波電力を透過させない材質で構成してもよい。これにより、包装材6の下部を通じてマイクロ波を透過させて蒸し・焼き調理を行うとともに、マイクロ波が包装材6の上部から逃げないようにすることができる。食材収容部としての包装材6は、一部(例えば下部)が高周波電力を透過させる材料で構成され、他の一部(例えば上部)が高周波電力を透過させない材料で構成されてもよい。
【0078】
制御部21は、第1加熱工程を終了するか否かを判断する(S5)。具体的には、ステップS3と同様に、温度検出部15、撮像部19、電波検出部20、30の検出結果や、第1加熱工程の開始から所定時間経過したか否か等に応じて、第1加熱工程を終了するか否かを判断する。
【0079】
制御部21は、第1加熱工程を終了しないと判断した場合(S5でNO)、ステップS5を再度実行する。
【0080】
制御部21は、第1加熱工程を終了すると判断した場合(S5でYES)、調理終了を報知する(S6)。具体的には、第1高周波電力供給部12の動作を停止するとともに、音声や表示等の手段で調理終了を報知する。
【0081】
上述した第1加熱コースによれば、餃子等の蒸し調理を要する食材4に対して、第2加熱工程において放射波による全体加熱と表面波による底部加熱で蒸し調理を行い、第2加熱工程の後の第1加熱工程において表面波による底部加熱で焼き調理を行う。これにより、餃子等の蒸し調理を要する食材4を所望の加熱方法で加熱調理することができる。
【0082】
なお、第2加熱工程では、第1高周波電力供給部12を動作させずに第2高周波電力供給部14のみを動作させて、放射波加熱のみを行うようにしてもよい。
【0083】
表面波加熱を行う第1加熱工程では、アンテナ駆動部22によって第1アンテナ24を上下動させることで、食材の焦げを調整できるようにしてもよい。また、第1高周波電力発生部16に供給する電力を調整することで、食材の焦げを調整できるようにしてもよい。
【0084】
(第2加熱コース:昇温工程(蒸気逃がし工程)→焼き工程)
次に、第2加熱コースについて説明する。第2加熱コースは、第1加熱コースと加熱シーケンスが共通しており、図4に示すステップS1~S6を順に実行するが、第1加熱コースとは異なり、揚げ物等の食材4を対象としている。
【0085】
第2加熱工程(S2)では、第1高周波電力供給部12と第2高周波電力供給部14の両方を駆動して、包装材6で包まれた食材4を放射波と表面波の両方で加熱する。包装材6として蒸気を逃がしやすい構成を用いることで、食材4の加熱によって発散する蒸気を外部に逃がして、揚げ物の部分的な水分滞留を防止することができる。
【0086】
第1加熱工程(S4)では、第1高周波電力供給部12を駆動して、包装材6で包まれた食材4を表面波のみで加熱する。食材4の底部を中心に強く加熱することで、乾燥食感を生じさせたり、食材4の保存中に具材側から染み出た水分を放出させて、作り立ての食感を復活することができる。
【0087】
上述した第2加熱コースによれば、揚げ物等の食材4に対して、第2加熱工程において放射波による全体加熱と表面波による底部加熱で蒸気逃がし調理を行い、第2加熱工程の後の第1加熱工程において表面波による底部加熱で焼き調理を行う。これにより、揚げ物等の水分過多による食味劣化を生じやすい食材4を所望の加熱方法で加熱調理することができる。水分は、食材4から流出して底側に溜まりやすいが、包装材6の底形状をビート構造や、吸湿材を含む構成などとして、溜まった水分や余分な蒸気を排出させても良い。また、食材4には内部に適度な水分を閉じ込めて外部に水分を染み出させない断水コートなどの加工を施しても良い。
【0088】
第2加熱コースにおいては、蒸気を逃がしやすい構成とするために、食材4を収容する食材収容部として、上方が開口した包装材6や、食材4を載置可能なお皿を用いてもよい。この場合、食材4の上面を焼き調理して焦がすために、加熱室10の上方に配置した第2アンテナ34を表面波アンテナとして機能させてもよい。すなわち、表面波を発生させるための周期構造体を有した第1アンテナを加熱室10の上方に設けてもよい。
【0089】
(第3加熱コース:蒸し工程→第1焼き工程→第2焼き工程)
図5は、第3加熱コースを実行するための各処理を示すフローチャートである。
【0090】
第3加熱コースは、第1加熱コースおよび第2加熱コースと同様に、第1加熱工程(S14、S16)と、第2加熱工程(S12)とを含み、ステップS1、S12、S3、S14、S15、S16、S17、S6の順に実行する。第1加熱コースや第2加熱コースと重複する処理(ステップS1、S3、S6)については説明を省略する。第1加熱工程は、主に第1高周波電力供給部12を用いた加熱工程(表面波加熱工程)であり、第2加熱工程は、主に第2高周波電力供給部14を用いた加熱工程(放射波加熱工程)である。図5に示すように、第2加熱工程を実行した後に、第1加熱工程を実行する。
【0091】
第1加熱コースおよび第2加熱コースとは異なり、第2加熱工程(S12)では、第2高周波電力供給部14のみを動作させて放射波加熱のみを行う。また、第1加熱工程では、第1高周波電力供給部12のみを動作させて表面波加熱のみを行うとともに、第1加熱工程(前半):S14と、第2加熱工程(後半):S16に分けて実行する。
【0092】
第3加熱コースは、お好み焼き等の両面焼き調理を要する食材4を対象としている。第2加熱工程(S12)では、包装材6で包まれた食材4を全体的に加熱することで、蒸し調理を行う。第2高周波電力供給部14により蒸気を発生させるため、食材4は、全体に水分を多く分散させてもよい。包装材6は、発生した蒸気を有効に使用するため、不要な空間を空けず、食材4にフィットさせても良い。
【0093】
第1加熱工程(前半):S14では、食材4の第1面を表面波加熱し、第1加熱工程(後半):S16では、食材4の第1面の裏側の第2面を表面波加熱する。これにより、食材4の両面を焼き調理する。包装材6は、食材4の上下両面を表面波加熱で高温にするため、オーブンシートなどの溶けない高耐温度素材を使用しても良い。
【0094】
第1加熱工程(前半)を終了するか否かの判断(S15)、および第1加熱工程(後半)を終了するか否かの判断(S17)は、第1加熱コースや第2加熱コースと同様に、温度検出部15、撮像部19、電波検出部20、30の検出結果や、加熱工程の開始から所定時間経過したか否か等に応じて判断すればよい。
【0095】
第1加熱工程(前半)を終了すると判断した場合(S15でYES)、第1高周波電力供給部12の動作を停止させるとともに、食材4の第1面と第2面を入れ替える裏返し処理を促すようにユーザに報知してもよい。
【0096】
上述した第3加熱コースによれば、お好み焼き等の両面焼き調理を要する食材4を所望の加熱方法で加熱調理することができる。
【0097】
(第4加熱コース:膨化工程→焼き工程)
図6は、第4加熱コースを実行するための各処理を示すフローチャートである。
【0098】
第4加熱コースは、第1加熱コース~第3加熱コースと同様に、第1加熱工程(S22)と、第2加熱工程(S24)とを含み、ステップS1、S22、S23、S24、S25、S6の順に実行する。第1加熱コース~第3加熱コースと重複する処理(ステップS1、S6)については説明を省略する。第1加熱工程(S22)は、主に第1高周波電力供給部12を用いた集中加熱工程(表面波加熱工程)であり、第2加熱工程(S24)は、主に第2高周波電力供給部14を用いた全体加熱工程(放射波加熱工程)である。
【0099】
第1加熱コース~第3加熱コースと異なり、第1加熱工程(S22)を実行した後に、第2加熱工程(S24)を実行する。
【0100】
第1加熱工程(S22)では、第1高周波電力供給部12のみを動作させて表面波加熱を行い、第2加熱工程(S24)では、第1高周波電力供給部12と第2高周波電力供給部14の両方を動作させて表面波加熱と放射波加熱を行う。
【0101】
第4加熱コースは、ホットケーキ等の膨化調理を要する食材4を対象としている。表面波加熱を行う第1加熱工程を先に実行することで、食材4の底部を強く加熱して、食材4の底部から膨化させることができる。食材4の底側の沸騰により膨化が始まり、発生した蒸気の気泡が上に送られて、上に膨らんでゆく。
【0102】
その後に、放射波加熱と表面波加熱を行う第2加熱工程を実行することで、食材4の底部を中心として、食材4の全体から水分を発散させて乾燥処理を行うことができる。食材4はある程度乾燥すると固まって膨化構造を維持する。
【0103】
包装材6は、膨化過程の形状を成型し、側面からの蒸気漏れを少なくして、上への膨らみを助ける構成としても良い。食材4は底側を水分多めにして蒸気量を確保し、上側を水分少なめにして、乾燥しやすい組成としても良い。
【0104】
第1加熱工程を終了するか否かの判断(S23)、および第2加熱工程を終了するか否かの判断(S25)は、第1加熱コースや第2加熱コースと同様に、温度検出部15、撮像部19、電波検出部20、30の検出結果や、加熱工程の開始から所定時間経過したか否か等に応じて判断すればよい。
【0105】
上述した第4加熱コースによれば、ホットケーキ等の膨化調理を要する食材4を所望の加熱方法で加熱調理することができる。
【0106】
上述したように、本実施形態の高周波加熱装置2は、食材4を載置するための載置台8を有する加熱室10と、高周波電力を発生させる第1高周波電力発生部16と、第1高周波電力発生部16が発生させた高周波電力を、表面波として加熱室10に供給する第1アンテナ24と、第1高周波電力発生部16を制御する制御部21と、を備え、第1アンテナ24は、載置台8の上で所定の包装材6(食材収容部)に収容された食材4に対して表面波としての高周波電力を供給する。
【0107】
このような構成によれば、包装材6等の食材収容部に収容された食材4を高周波電力の表面波で加熱することで、食材4を蒸す・焼く等の態様で加熱することができ、食材4を柔軟な方法で加熱することができる。
【0108】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、包装材6(食材収容部)は、高周波電力を透過する材料で構成される。このような構成によれば、包装材6の内部の食材4に高周波電力を供給して加熱することができる。なお、食材収容部は、高周波電力を透過する材料に限らず、高周波電力を吸収する材料で構成されてもよい。すなわち、食材収容部は、高周波電力を透過又は吸収する材料で構成されてもよい。
【0109】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、包装材6(食材収容部)は、一部が高周波電力を透過させる材料で構成され、他の一部が高周波電力を透過させない材料で構成されてもよい。このような構成によれば、例えば、包装材6の下部は高周波電力を透過させる材料で構成し、包装材6の上部は高周波電力を透過させない材料で構成させること等が可能となる。これにより、包装材6の下部を通じて高周波電力を透過させつつ、包装材6の上部からは高周波電力が逃げないようにすることができる。
【0110】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、第1アンテナ24は、載置台8の下方に配置される。このような構成によれば、載置台8に載置された食材4に対して表面波としての高周波電力を照射しやすくなり、加熱効率を向上させることができる。
【0111】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、第1高周波電力発生部16は、高周波電力としてのマイクロ波を発生させる。このような構成によれば、第1高周波電力発生部16をマグネトロン等の汎用的な部材で構成することが可能となる。
【0112】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、第1アンテナ24は、表面波を伝送するための周期構造体25を有する。このような構成によれば、簡単な構造で表面波を伝送することができる。
【0113】
また、本実施形態の高周波加熱装置2は、高周波電力を発生させる第2高周波電力発生部26と、第2高周波電力発生部26が発生させた高周波電力を、加熱室10に供給する第2アンテナ34とをさらに備える。このような構成によれば、2種類のアンテナを用いて食材4に高周波電力を供給することができる。
【0114】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、第2アンテナ34は、加熱室10に向けて高周波電力を放射する。このような構成によれば、第2アンテナ34が放射した高周波電力によって食材4を加熱することで、第1アンテナ24による表面波とは異なる態様で食材4を加熱することができる。
【0115】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、第1アンテナ24は、載置台8の下方に配置され、第2アンテナ34は、載置台8の上方に配置される。このような構成によれば、第1アンテナ24は載置台8の近傍に配置しながら、第2アンテナ34は載置台8から離れた上方位置に配置することが可能となる。
【0116】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、制御部21は、包装材6(食材収容部)に収容された食材4に対して、第1高周波電力発生部16の駆動による高周波電力を第1アンテナ24から供給する第1加熱工程と、第2高周波電力発生部26の駆動による高周波電力を第2アンテナ34から供給する第2加熱工程と、を実行する。このような構成によれば、第1加熱工程と第2加熱工程で食材4を異なる態様で加熱することができ、食材4の種類等に応じて様々な加熱方法を適用することができる。
【0117】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、制御部21は、第2加熱工程の後に第1加熱工程を実行する。このような構成によれば、第2加熱工程の後の第1加熱工程で表面波を用いて食材4を加熱することで、仕上げ調理を行うことが可能となる。
【0118】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、制御部21は、第1加熱工程の後に第2加熱工程を実行する。このような構成によれば、例えばホットケーキ等の膨化調理を要する食材4を所望の方法で調理することができる。
【0119】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、制御部21は、第2加熱工程において、第2高周波電力発生部26に加えて、第1高周波電力発生部16を駆動する。このような構成によれば、第2加熱工程において表面波による加熱を加えることで、食材4の蒸し調理や乾燥調理を促進することができる。
【0120】
また、本実施形態の高周波加熱装置2では、制御部21は、予めプログラムされた、第1加熱工程と第2加熱工程を含む加熱コースを実行する。このような構成によれば、ユーザが所定の加熱コースを選択すればよく、簡単に加熱コースを実行することができる。「予めプログラムされた」については、ユーザが操作部17で加熱コースの開始を選択したときに限らず、加熱コースの実行中に検知手段の検知結果等に基づいて第1加熱工程と第2加熱工程を含む加熱コースに移行する場合であってもよい。
【0121】
また、本実施形態の高周波加熱方法は、第1高周波電力発生部16により、高周波電力を発生させるステップと、第1アンテナ24により、第1高周波電力発生部16が発生させた高周波電力を表面波として加熱室10に供給し、これにより、加熱室10の載置台8の上で所定の包装材6に包まれた食材4に対して表面波としての高周波電力を供給するステップと、を含む。このような方法によれば、包装材6に包まれた食材4を高周波電力の表面波で加熱することで、食材4を蒸す・焼く等の態様で加熱することができ、食材4を柔軟な方法で加熱することができる。
【0122】
以上、上述の実施形態を挙げて本開示の発明を説明したが、本開示の発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、包装材6自体に表面波構造(周期構造体)を設けてもよい。このような包装材6によって食材4を包むことで、食材4の任意面(片面・側面・全面)の焼き効果を得ることが可能である。
【0123】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0124】
前記実施形態および様々な変形例のうち、任意の実施形態および変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本開示は、食材を高周波電力で誘電調理する高周波加熱装置および高周波加熱方法であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0126】
2 高周波加熱装置
4 食材
6 包装材(食材収容部)
8 載置台
10 加熱室
16 第1高周波電力発生部
19 制御部
24 第1アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6