IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ベークライト株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-液体収容容器 図1
  • 特開-液体収容容器 図2
  • 特開-液体収容容器 図3
  • 特開-液体収容容器 図4
  • 特開-液体収容容器 図5
  • 特開-液体収容容器 図6
  • 特開-液体収容容器 図7
  • 特開-液体収容容器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127397
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】液体収容容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/06 20060101AFI20240912BHJP
   B01L 3/00 20060101ALI20240912BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B65D41/06
B01L3/00
G01N1/00 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036526
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 幸太
(72)【発明者】
【氏名】大久保 春男
【テーマコード(参考)】
2G052
3E084
4G057
【Fターム(参考)】
2G052AD26
2G052DA02
2G052DA12
2G052DA23
2G052JA06
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB01
3E084AB05
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB13
3E084DC04
3E084DC05
3E084FD07
3E084GA01
3E084GA08
3E084GB01
3E084GB12
3E084HB02
3E084HD01
3E084HD04
4G057AB08
(57)【要約】
【課題】ロボットアームでも容器本体に対して蓋体を確実に装着することができる液体収容容器を提供する。
【解決手段】液体収容容器1は、液体を収容する容器本体2と、容器本体2に着脱可能に装着される蓋体3と、を備え、容器本体2は、液体を内部に収容する収容部2bと、収容部2bの内部と連通し、蓋体3が装着される円筒状の装着部2aを有し、装着部2aは、一端に円形の第1開口部2a4を有し、装着部2aの外周面には、径方向外側に突出し周方向に延びる複数の鍔部2a1を有し、蓋体3は、第1開口部2a4を覆うカバー部3aと、カバー部3aから連続的に形成され、蓋体3の装着時に装着部2aの外周面に対向する円筒状の円筒壁部3bを備え、円筒壁部3bの内周面には、径方向内側に突出する複数の爪部3cが形成され、複数の爪部3cは、蓋体3の装着時に、少なくとも一部が鍔部2a1の直下に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器本体と、
前記容器本体に着脱可能に装着される蓋体と、を備え、
前記容器本体は、液体を内部に収容する収容部と、
前記収容部の内部と連通し、前記蓋体が装着される円筒状の装着部とを有し、
前記装着部は、一端に円形の第1開口部を有し、
前記装着部の外周面には、径方向外側に突出し周方向に延びる複数の鍔部を有し、
前記鍔部は、下側へ向かうにつれて前記装着部の径方向外側に広がるテーパ面を有し、
前記蓋体は、前記第1開口部を覆うカバー部と、
前記カバー部から連続的に形成され、前記蓋体の装着時に前記装着部の外周面に対向する円筒状の円筒壁部と、を備え、
前記カバー部の下面には、下方に突出する輪状の輪状部が形成されており、前記輪状部は、前記蓋体の装着時に前記装着部の内周面に当接し、
前記円筒壁部の内周面には、径方向内側に突出する複数の爪部が形成され、
前記複数の爪部は、前記鍔部と同数だけ前記内周面の周方向に配列し、
各前記爪部は、上側へ向かうにつれて径方向内側に広がる傾斜面を有し、
前記蓋体の装着時に、各前記爪部の少なくとも一部が前記鍔部の直下に位置する、液体収容容器。
【請求項2】
前記蓋体の前記円筒壁部は可撓性を有しており、
前記鍔部は、前記蓋体を前記装着部に被せたときに、前記円筒壁部に形成された複数の前記爪部がそれぞれ前記鍔部のテーパ面に接触する高さにまで径方向外側へ突出している、請求項1に記載の液体収容容器。
【請求項3】
前記カバー部の下面の前記第1開口部に対向する部分と前記爪部の上端部との間の上下方向の距離である第1距離が、前記第1開口部を画定する前記装着部の上縁と前記鍔部の下面との間の上下方向の距離である第2距離と等しい、請求項2に記載の液体収容容器。
【請求項4】
前記装着部は、前記鍔部が形成された高さ範囲において、前記鍔部が形成されていない前記外周面の部分により構成される移動許容部を前記爪部と同数有しており、
複数の前記移動許容部は、前記装着部の周方向において互いに等間隔に配置され、
複数の前記爪部は、前記蓋体の周方向において互いに等間隔に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体収容容器。
【請求項5】
前記装着部の前記外周面には、径方向外側に突出し、前記蓋体の回転時に前記爪部と接触することで前記蓋体の回転角度を制限する回転制限部が形成されており、
前記回転制限部は、前記移動許容部と周方向に隣り合う、請求項4に記載の液体収容容器。
【請求項6】
前記回転制限部は、前記鍔部の直下において前記鍔部と連続して設けられ、
前記装着部の径方向において、前記回転制限部の最も高い部分と、前記最も高い部分の直ぐ上に位置する前記鍔部との高さが一致している、請求項5に記載の液体収容容器。
【請求項7】
複数の前記爪部のすぐ上の位置に、前記円筒壁部を径方向に貫通する第2開口部が形成されている、請求項4に記載の液体収容容器。
【請求項8】
前記蓋体は3つの前記爪部を有し、前記装着部は3つの前記移動許容部を有する、請求項4に記載の液体収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームに対応した液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットアームによる操作を前提とした容器が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、内周面にネジ山が形成されたスクリューキャップにより構成された蓋体を容器本体に装着して、液密に封をすることができる容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-000020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロボットアームの場合、特許文献1に記載のように、蓋体を回転させて螺合により封をする容器を扱う場面では、蓋体を、容器本体に対して斜めに傾いた状態で回転させてしまい、蓋体を容器本体に確実に装着することができないことがあった。
【0006】
その結果、ロボットの動作制御にエラーが発生したり、容器の搬送中に、内部に収容された液体が漏れ出してしまうなどの不都合が生じ得る。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ロボットアームでも容器本体に対して蓋体を確実に装着することができる液体収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、以下の態様を包含する。
【0009】
[1] 液体を収容する容器本体と、前記容器本体に着脱可能に装着される蓋体と、を備え、前記容器本体は、液体を内部に収容する収容部と、前記収容部の内部と連通し、前記蓋体が装着される円筒状の装着部とを有し、前記装着部は、一端に円形の第1開口部を有し、前記装着部の外周面には、径方向外側に突出し周方向に延びる複数の鍔部を有し、前記鍔部は、下側へ向かうにつれて前記装着部の径方向外側に広がるテーパ面を有し、前記蓋体は、前記第1開口部を覆うカバー部と、前記カバー部から連続的に形成され、前記蓋体の装着時に前記装着部の外周面に対向する円筒状の円筒壁部と、を備え、前記カバー部の下面には、下方に突出する輪状の輪状部が形成されており、前記輪状部は、前記蓋体の装着時に前記装着部の内周面に当接し、前記円筒壁部の内周面には、径方向内側に突出する複数の爪部が形成され、前記複数の爪部は、前記鍔部と同数だけ前記内周面の周方向に配列し、各前記爪部は、上側へ向かうにつれて径方向内側に広がる傾斜面を有し、前記蓋体の装着時に、各前記爪部の少なくとも一部が前記鍔部の直下に位置する、液体収容容器。
【0010】
[2] 前記蓋体の前記円筒壁部は可撓性を有しており、前記鍔部は、前記蓋体を前記装着部に被せたときに、前記円筒壁部に形成された複数の前記爪部がそれぞれ前記鍔部のテーパ面に接触する高さにまで径方向外側へ突出している、[1]に記載の液体収容容器。
【0011】
[3] 前記カバー部の下面の前記第1開口部に対向する部分と前記爪部の上端部との間の上下方向の距離である第1距離が、前記第1開口部を画定する前記装着部の上縁と前記鍔部の下面との間の上下方向の距離である第2距離と等しい、[2]に記載の液体収容容器。
【0012】
[4] 前記装着部は、前記鍔部が形成された高さ範囲において、前記鍔部が形成されていない前記外周面の部分により構成される移動許容部を前記爪部と同数有しており、複数の前記移動許容部は、前記装着部の周方向において互いに等間隔に配置され、複数の前記爪部は、前記蓋体の周方向において互いに等間隔に配置されている、[1]から[3]のいずれか1つに記載の液体収容容器。
【0013】
[5] 前記装着部の前記外周面には、径方向外側に突出し、前記蓋体の回転時に前記爪部と接触することで前記蓋体の回転角度を制限する回転制限部が形成されており、前記回転制限部は、前記移動許容部と周方向に隣り合う、[4]に記載の液体収容容器。
【0014】
[6] 前記回転制限部は、前記鍔部の直下において前記鍔部と連続して設けられ、前記装着部の径方向において、前記回転制限部の最も高い部分と、前記最も高い部分の直ぐ上に位置する前記鍔部との高さが一致している、[5]に記載の液体収容容器。
【0015】
[7] 複数の前記爪部のすぐ上の位置に、前記円筒壁部を径方向に貫通する第2開口部が形成されている、[4]に記載の液体収容容器。
【0016】
[8] 前記蓋体は3つの前記爪部を有し、前記装着部は3つの前記移動許容部を有する、[4]から[7]のいずれか1つに記載の液体収容容器。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、周方向に延びる鍔部と爪部とを嵌合させることにより、蓋体を容器本体に装着できるから、容器本体に対して蓋体が傾きにくい。したがって、ロボットアームでも容器本体に対して蓋体を確実に装着することができる液体収容容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の好ましい実施形態にかかる液体収容容器1の略斜視図。
図2図1に示された容器本体から蓋体を上方に取り外した状態を示す略斜視図。
図3図1に示される蓋体の略底面図。
図4図1に示される蓋体を斜め下から見た略斜視図。
図5図1に示される容器本体の装着部の近傍を斜め下から見た略斜視図。
図6図1に示される容器本体の装着部の略平面図。
図7】蓋体3を装着部に単に被せた状態を示す縦切断部端面図。
図8】蓋体3を装着部に装着した状態を示す縦切断部端面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の好ましい実施形態にかかる液体収容容器1の略斜視図であり、図2は、図1に示された容器本体から蓋体を上方に取り外した状態を示す略斜視図である。
【0021】
液体収容容器1は、液体を収容する容器本体2と、容器本体2に着脱可能に装着される蓋体3を備えている。
【0022】
容器本体2は、図2に示されるように、液体を内部に収容する収容部2bと、蓋体3が装着される円筒状の装着部2aを備えている。装着部2aは、一端に円形の第1開口部2a4を有している。装着部2aの上縁は第1開口部2a4を確定している。装着部2aの内側の空間は、収容部2bの内部と連通している。
【0023】
装着部2aは収容部2bと一体的に形成されているが、装着部2aと収容部2bとを別体に形成し、装着部2aと収容部2bとを連結してもよい。
【0024】
収容部2bは、耐薬品性を有する素材で形成することが好ましいが、液体を収容可能であれば、収容部2bの素材はとくに限定されるものではない。
【0025】
収容部2bの形状は、内部に液体を収容可能であれば、とくに限定されるものではない。したがって、液体収容容器1を、たとえば細胞培養液、薬品等を収容するボトルや、クライオバイアル、試薬瓶として構成することもできる。
【0026】
また、蓋体3は、第1開口部2a4を液密に封止する。そのため、液体収容容器1は、使用時に容器本体の第1開口部が側方を向く細胞培養用のフラスコとして構成することも可能である。以下において、容器本体2の使用時の姿勢に拘わらず、第1開口部が向く方向を「上」(図において「U」)といい、その反対側を「下」(図において「D」)という。
【0027】
本実施形態にかかる液体収容容器1は遠沈管として構成されており、図1に示されるように、収容部2bは、細長い筒形状をなし、内部が見えるよう透明に形成されている。液体を収容する際には、蓋体3を取り外すことで(図2参照)露出する第1開口部2a4を通じて容器本体2の内部に液体を注ぎ、収容することができる。なお、図2および図5図8において、収容部2bは上部のみが図示されており、収容部2bの下部は便宜上省略されている。
【0028】
図3は、図1に示される蓋体3の略底面図であり、図4は、図1に示される蓋体3を斜め下から見た略斜視図である。
【0029】
蓋体3は、容器本体2の第1開口部2a4を覆うカバー部3aと、カバー部3aの縁部から下方に延びる円筒状の円筒壁部3bを備えている。
【0030】
蓋体3は、上下方向に延びる仮想の回転軸線L(図2図4参照)周りに回転対称、詳細には3回対称の形状に形成されているが、蓋体3を回転対称に形成することは必ずしも必要でない。回転軸線Lは、蓋体3の径方向における中心を通過している。
【0031】
カバー部3aは略円盤状をなし、第1開口部2a4に対向している。カバー部3aの下面には、下方に突出する輪状の輪状部3a1が形成されている。
【0032】
円筒壁部3bは、カバー部3aから連続的に形成され、蓋体3の装着時に装着部2aの外周面に対向する。
【0033】
蓋体3の円筒壁部3bは、容器本体2への着脱を容易にするため、可撓性を有することが好ましい。このため、円筒壁部3bは、径方向外側に撓ませることが可能な程度の厚みとし、たとえばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等で形成することが好ましいが、円筒壁部の素材はこれらに限定されるものではない。
【0034】
円筒壁部3bの内周面には、径方向内側に突出する3つの爪部3cが形成されている。
【0035】
3つの爪部3cは、円筒壁部3bの内周面の周方向に等間隔に配列されており、互いに上下位置を同一にしている。各爪部3cは、上側へ向かうにつれて径方向内側に広がる傾斜面3c1を有している(図4参照)。
【0036】
円筒壁部3bにおける3つの爪部3cのすぐ上の位置にはそれぞれ、円筒壁部3bを径方向に貫通する第2開口部3b1が形成されている。なお、各第2開口部3b1は、カバー部3aの縁部まで延びている。
【0037】
一方、図5は、図1に示される容器本体2の装着部2aの近傍を斜め下から見た略斜視図であり、図6は、図1に示される容器本体2の装着部2aの略平面図である。
【0038】
また、図7は、蓋体3を装着部2aに単に被せた状態を示す模式的切断部端面図である。なお、図7には、図3に示されたVII-VII線に対応する端面が示されており、第2開口部3b1の輪郭が線で示されている。
【0039】
装着部2aは、上下方向に延びる仮想の回転軸線L周りに回転対称、詳細には3回対称の形状に形成されているが、装着部2aを回転対称に形成することは必ずしも必要でない。なお、蓋体3を回転対称に形成する場合には、装着部2aも回転対称に形成することで、蓋体3の装着が容易となる。回転軸線Lは、装着部2aの径方向における中心を通過している。
【0040】
装着部2aは、外周面に、径方向外側に突出する3つの鍔部2a1と、3つの爪部3cについて第1高さ範囲A1と第2高さ範囲A2との間の上下方向の移動を許容する3つの移動許容部2a3と、蓋体3の装着時に回転軸線L周りの蓋体3の回転角度を制限する3つの回転制限部2a2を有している。
【0041】
3つの鍔部2a1は、装着部2aの外周面において周方向に延びており、それぞれ、同一の第1高さ範囲A1に形成されている(図5および図7参照)。3つの鍔部2a1は装着部2aの周方向において互いに等間隔に配置されている。
【0042】
各鍔部2a1は、下側へ向かうにつれて装着部2aの径方向外側に広がるテーパ面2a1aを有している。各鍔部2a1は、図7に示されるように、蓋体3を単に装着部2aに被せたときに、爪部3cが鍔部2a1に接触する高さにまで径方向外側へ突出した部分を指す。したがって、液体収容容器1の径方向において、回転軸線Lから鍔部2a1の外側の面までの第3距離D3は、回転軸線Lから爪部3cの内側の面までの第4距離D4よりも長い。
【0043】
3つの移動許容部2a3は、鍔部2a1と隣り合っており、装着部2aの周方向において互いに等間隔に配置されている。
【0044】
ここで、移動許容部2a3は、鍔部2a1が形成された第1高さ範囲A1内において、装着部2aの外周面のうち、鍔部2a1が形成されていない部分を指す(図5参照)。
【0045】
換言すれば、移動許容部2a3は、第1高さ範囲A1内における装着部2aの外周面のうち、蓋体3を装着部2aに単に被せた状態(図7参照)で、蓋体3を回転軸線L周りに回転させても各爪部3cが接触しない部分である。したがって、装着部2aの第1高さ範囲A1に含まれる外周面において、爪部3cと接触しない程度に径方向外側に突出する部分は鍔部2a1でなく、移動許容部2a3に含まれる。
【0046】
装着部2aの周方向における移動許容部2a3の幅は、蓋体3の周方向における爪部3cの幅よりも広い。
【0047】
3つの回転制限部2a2は、鍔部2a1が形成された第1高さ範囲A1の直下の第2高さ範囲A2に位置し、側面視において各鍔部2a1の左部の直下に位置する。また、各回転制限部2a2は、各移動許容部2a3とは高さ位置を異にするが、装着部2aの周方向において各移動許容部2a3と隣り合っている。
【0048】
3つの回転制限部2a2はそれぞれ、装着部2aの外周面から径方向外側に突出しており、装着部2aの周方向において互いに等間隔に配置されている。各回転制限部2a2は、直ぐ上に位置する鍔部2a1と上下方向に連続的に形成されている。各回転制限部2a2は平面視で円弧状をなしている。
【0049】
装着部2aの径方向において、各回転制限部2a2の最も高い部分(言い換えると、最も径方向外側に突出した部分)は、当該部分の直ぐ上に位置する鍔部2a1の部分と高さ(言い換えると、径方向外側への突出量)が一致している。
【0050】
各回転制限部2a2は、蓋体3が装着部2aに装着された状態で蓋体3を図2に示された回転軸線L周りに回転させた際に、蓋体3の爪部3cと接触することで、蓋体3を取り外す際の蓋体3の回転軸線L周りの向きを決めたり、円筒壁部3bを径方向外側に広げる役割を果たす。
【0051】
以下において、特に図7図8を参照しつつ、以上のように構成された装着部2aに蓋体3を装着する方法について説明を加える。
【0052】
図8は、蓋体3を装着部2aに装着した状態を示す模式的切断部端面図である。なお、図8には、図3に示されたVII-VII線に対応する端面が示されており、第2開口部3b1の輪郭が線で示されている。
【0053】
蓋体3を装着部2aに装着する際には、まず、図7に示されるように、蓋体3を、装着部2aに被せる。
【0054】
このとき、装着部2aの3つの鍔部2a1のテーパ面2a1aは、蓋体3のそれぞれ別の爪部3cの傾斜面3c1に接触し、蓋体3を下方から支持する。
【0055】
次いで、蓋体3を下方に押圧することで、各爪部3cを、鍔部2a1を乗り越えさせて、図8に示されるように鍔部2a1の直下、すなわち、第2高さ範囲A2まで移動させる。
【0056】
最後に、蓋体3を平面視で時計回りに回すことで、蓋体3の装着が完了する。
【0057】
このように、蓋体3を、下方に押圧した後に回転軸線L周りに回転させることで、蓋体3を装着部2aに被せたときに3つの爪部3cが偶然にも3つの移動許容部2a3と平面視における位置が一致し、各爪部3cが移動許容部2a3の径方向外側の位置まで下降した場合でも、移動許容部2a3の直下の位置から鍔部2a1の直下の位置へ移動させることができ、したがって、確実に封をすることができる。
【0058】
加えて、このように、蓋体3を、容器本体2に対して上方から押圧した後に回転させるだけで装着可能となっているから、ロボットアームでも蓋体3を確実且つ容易に装着し、封することができる。
【0059】
蓋体3を装着したとき、装着部2aの内周面に、カバー部3aの下面に形成された輪状部3a1の外周面が当接する。
【0060】
また、このとき、装着部2aの上縁は、カバー部3aの下面に当接する。
【0061】
加えて、図7に示されるように、カバー部3aの下面のうちの第1開口部2a4に対向する部分と各爪部3cの上端部との間の上下方向の距離を第1距離D1とし、装着部2aの上縁部と鍔部2a1の下面との間の上下方向の距離を第2距離D2としたとき、第1距離D1は第2距離D2と等しい。
【0062】
したがって、蓋体3を装着したとき、爪部3cの上面が鍔部2a1の下面に引っ掛かるため、蓋体3のカバー部3aの下面が装着部2aの上縁から浮いてしまうことを防止でき、容器本体2を液密に封止することができる。
【0063】
なお、蓋体3を装着部2aに被せたときに、3つの爪部3cをそれぞれ鍔部2a1に接触させるため、蓋体3と容器本体2の少なくとも一方に、回転軸線Lを中心とした回転方向における向きを示すマークを形成してもよい。
【0064】
容器本体2にマーク形成位置としては、たとえば第1高さ範囲A1が挙げられる。鍔部2a1と移動許容部2a3とを色分けすることで、蓋体3の第2開口部3b1から、爪部3cが鍔部2a1と移動許容部2a3のうちのいずれの直下に位置しているのかを把握することができる。蓋体3を装着したときには、各爪部3cの直ぐ上に形成された第2開口部3b1を通じて、鍔部2a1が露出する(図1参照)。このため、イメージセンサを搭載したロボットアームの制御装置が、画像認識により容器本体2に対する蓋体3の向きを把握することができる。
【0065】
一方、蓋体3は、以下のようにして、装着部2aから取り外すことができる。
【0066】
まず、容器本体2に装着された蓋体3を、回転軸線Lを中心として平面視で反時計回りに回転させて、蓋体3の3つの爪部3cをそれぞれ、回転制限部2a2の側面視における左部に接触させる。
【0067】
3つの各回転制限部2a2は、装着部2aの周方向において側面視で各移動許容部2a3の右隣りに位置するため、回転制限部2a2に接触したとき、3つの爪部3cはそれぞれ、移動許容部2a3の直下に位置する。
【0068】
なお、このとき、各爪部3cの直ぐ上に形成された第2開口部3b1を通じて、移動許容部2a3が露出している。
【0069】
次いで、蓋体3を挟持して上方に持ち上げることで、蓋体3を装着部2aから取り外すことができる。
【0070】
また、装着部2aから蓋体3を取り外す他の方法として、各爪部3cが回転制限部2a2に乗り上げるまで蓋体3を回転軸線L周りに回転させ、その後に蓋体3を持ち上げる方法も存在する。
【0071】
回転制限部2a2は平面視で円弧状をなすため、蓋体3を平面視で時計回りと反時計回りのいずれの方向に回しても、各爪部3cを徐々に回転制限部2a2の径方向外側に乗り上げさせることができる。蓋体3を可撓性のある樹脂で形成することで、各爪部3cが回転制限部2a2に乗り上げる間に、蓋体3の円筒壁部3bが径方向外側に広がる。
【0072】
装着部2aの径方向において回転制限部2a2の最も高い部分まで爪部3cを乗り上げさせたとき、蓋体3の回転時の抵抗が最も大きくなる。
【0073】
モータ駆動のロボットアームで蓋体3の取り外し操作を行う場合、回転制限部2a2の最も高い部分まで爪部3cを乗り上げさせたときのモータの負荷の大きさを予め記録しておき、記録された大きさの負荷がモータに掛かったときに、モータの駆動を停止させるよう構成することが好ましい。
【0074】
上述のように、装着部2aの径方向において回転制限部2a2の最も高い部分とその直ぐ上に位置する鍔部2a1の部分は連続的に形成され、且つ同一の突出量となっている。
【0075】
このため、各爪部3cを、回転制限部2a2の最も高い部分まで乗り上げた後に、蓋体3を上方に引っ張ることで、装着部2aから蓋体3をスムーズに取り外すことができる。
【0076】
本発明は、以上の各実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【0077】
たとえば、図1ないし図8に示された前記実施形態においては、鍔部2a1、爪部3c、移動許容部2a3および回転制限部2a2が3つずつ設けられているが、鍔部、爪部、移動許容部および回転制限部の数が複数且つ同数であればよく、2つでも4つ以上でもよい。
【0078】
さらに、前記実施形態においては、回転制限部2a2が円弧状に形成されているが、回転制限部の形状はとくに限定されるものではない。
【0079】
また、前記実施形態においては、図8に示されるように、爪部3cの一部が鍔部2a1の直下に位置しているが、爪部3c全体が鍔部2a1の直下に位置するよう、蓋体の径を小さくしたり、円筒壁部の厚みを増やしたり、鍔部の径方向外側への突出量を増やしたり、装着部の径を大きくしたりしてもよい。
加えて、前記実施形態においては、側面視で回転制限部2a2が鍔部2a1の左部の直下に位置しているが、回転制限部2a2を側面視で鍔部2a1の右部の直下に配置してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 液体収容容器
2 容器本体
2a 装着部
2a1 鍔部
2a1a テーパ面
2a2 回転制限部
2a3 移動許容部
2a4 第1開口部
2b 収容部
3 蓋体
3a カバー部
3a1 輪状部
3b 円筒壁部
3b1 第2開口部
3c 爪部
3c1 傾斜面
D1 第1距離
D2 第2距離
D3 第3距離
D4 第4距離
L 仮想の回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8