(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012741
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】選別装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20240124BHJP
B07C 5/342 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
B07C5/36
B07C5/342
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114448
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 顕
(72)【発明者】
【氏名】橋本 文也
(72)【発明者】
【氏名】横林 孝康
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AC13
3F079CA32
3F079CB29
3F079CC01
3F079CC05
3F079DA12
3F079EA01
3F079EA08
(57)【要約】
【課題】複数の粉粒体の中から適合粉粒体を選別できなくなることを防止する選別装置を提供する。
【解決手段】選別装置100は、複数の粉粒体Gを撮像して得られた画像Pから基準に適合しない粉粒体Gである不適合粉粒体NGを識別する識別装置3と、筐体4とを備える。前記筐体4は、複数の排出エリアRと、吸引路41と、導入路42とを有する。排出エリアRは、前記複数の粉粒体Gを複数のグループに分けるように配置される。吸引路41は、前記排出エリアRと連通し、前記不適合粉粒体NGを含むグループが割り当てられた排出エリアRの空気、および、前記不適合粉粒体NGを含むグループの割り当てられた排出エリアの前記粉粒体Gが吸い込まれる。導入路42は、前記各排出エリアRと連通し、前記排出エリアR外の空気を前記各排出エリアRに導入するための導入路42とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粉粒体を撮像して得られた画像から基準に適合しない粉粒体である不適合粉粒体を識別する識別装置と、
筐体とを備え、
前記筐体は、
前記複数の粉粒体を複数のグループに分けるように配置される複数の排出エリアと、
前記排出エリアと連通し、前記不適合粉粒体を含むグループが割り当てられた排出エリアの空気、および、前記不適合粉粒体を含むグループの割り当てられた排出エリアの前記粉粒体が吸い込まれる吸引路と、
前記各排出エリアと連通し、前記排出エリア外の空気を前記各排出エリアに導入するための導入路と
をさらに有する、選別装置。
【請求項2】
前記導入路は、前記筐体の外側から前記排出エリアに向かって前記筐体を貫通する、請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
前記吸引路は、前記各排出エリアに少なくとも1つ設けられ、
前記導入路は、前記各排出エリアに複数設けられ、前記吸引路の周囲に配置される、請求項1に記載の選別装置。
【請求項4】
前記複数の粉粒体を一定の領域に拡げて載せた状態で搬送するベルトコンベヤと、
前記ベルトコンベヤに載せた前記粉粒体を上から覆う位置に配置された前記筐体の前記吸引路に、前記不適合粉粒体を含むグループの割り当てられた排出エリアの前記粉粒体が吸い込まれる際の前記ベルトコンベヤの浮き上がりを規制する規制体とをさらに備える、請求項1に記載の選別装置。
【請求項5】
前記規制体は、前記筐体の周囲の複数箇所を規制する、請求項4に記載の選別装置。
【請求項6】
前記規制体は、
前記ベルトコンベヤが浮き上がる際に前記ベルトコンベヤを押圧する押圧体を有する、請求項5に記載の選別装置。
【請求項7】
前記ベルトコンベヤの浮き上がりを上から押圧する位置に前記押圧体を移動させて、前記ベルトコンベヤの浮き上がりを規制した後に、前記ベルトコンベヤの上側に前記押圧体を離間させる移動装置をさらに備える、請求項6に記載の選別装置。
【請求項8】
前記複数の粉粒体が通過する通路であって、振動することで前記複数の粉粒体を通過させて前記ベルトコンベヤ上に供給する供給路と、
前記供給路の幅方向の中央部分に向かって前記粉粒体を案内するガイドと
をさらに備える、請求項4に記載の選別装置。
【請求項9】
前記吸引路から吸い込まれた空気と、前記吸引路から吸い込まれた前記不適合粉粒体を含む前記粉粒体とを分離する分離装置をさらに備える、請求項1から請求項8の何れか一項に記載の選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風で飛ばされることができる複数の粉粒体のうち、基準に適合しない粉粒体を取り除くことによって、基準に適合する粉粒体のみを複数の粉粒体から選別する選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小麦の粒のような粉粒体には、出荷するための一定の基準が定められている。定められた基準に適合しない粉粒体(不適合粉粒体)は、出荷する複数の粉粒体の中から出荷前に取り除かれる。
【0003】
小麦のような粉粒体は、風で飛ばされる程度に軽いという特性がある。このような特性を利用して、特許文献1から特許文献3に開示されている選別装置は、空気を吸い込むためのノズルを使って、複数の粉粒体の中から不適合粉粒体を吸い込んで取り除くことにより、基準に適合する粉粒体(適合粉粒体)を複数の粉粒体の中から選別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4353871号公報
【特許文献2】特許第5864488号公報
【特許文献3】特許第3666253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1から特許文献3に開示されている選別装置では、以下の2つの状況が発生することで、複数の粉粒体から適合粉粒体を選別できなくなる場合がある。
【0006】
第1に、特許文献1から特許文献3に開示されている選別装置は、粉粒体をノズルで吸い込んでいるが、過剰な数の粉粒体がノズルに吸い込まれ、ノズルが粉粒体により詰まることがある。ノズルが粉粒体により詰まることで、ノズルの吸い込み口よりも下流側における、粉粒体および空気が通る通路を空気が通り抜けることができなくなると、ノズルは粉粒体を吸い込めなくなる。ノズルが粉粒体を吸い込めなくなると、複数の粉粒体から不適合粉粒体を取り除くことができなくなり、複数の粉粒体からの中から適合粉粒体を選別できなくなる。
【0007】
第2に、特許文献1から特許文献3に開示されている選別装置は、複数の粉粒体をベルトコンベヤで搬送しているが、ベルトコンベヤに載った粉粒体をノズルが吸い込むため、ベルトコンベヤのベルトの一部もノズルに吸い込まれて浮かびあがることがある。ベルトの一部が浮かびあがると、ベルトコンベヤに載った粉粒体が、ベルトコンベヤの周囲に飛び散るので、選別するための粉粒体がベルトコンベヤの上に存在しなくなり、複数の粉粒体の中から適合粉粒体を選別できなくなる。
【0008】
そこで、本発明は、複数の粉粒体の中から適合粉粒体を選別できなくなることを防止する選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の選別装置は、複数の粉粒体を撮像して得られた画像から基準に適合しない粉粒体である不適合粉粒体を識別する識別装置と、筐体とを備える。前記筐体は、前記複数の粉粒体を複数のグループに分ける複数の排出エリアと、前記排出エリアと連通し、前記不適合粉粒体を含むグループが割り当てられた排出エリアの空気、および、前記不適合粉粒体を含むグループの割り当てられた排出エリアの前記粉粒体が吸い込まれる吸引路と、前記各排出エリアと連通し、前記排出エリア外の空気を前記各排出エリアに導入するための導入路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の選別装置によれば、不適合粉粒体を含むグループが割り当てられた排出エリアの不適合粉粒体は、導入路から吸引路に向かう空気流に乗って吸引路に向かうため、不適合粉粒体を含むグループが割り当てられた排出エリアの粉粒体以外が吸引路に向かうことによって、吸引路に過剰な数の粉粒体が吸い込まれることを防止できる。結果、過剰な数の粉粒体が吸引路を詰まらせて、複数の粉粒体の中から適合粉粒体を選別できなくなることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る選別装置の概略を示す平面図である。
【
図3】実施形態に係る選別装置の一部を示す立体図であり、筐体の周囲を示す図である。
【
図5】実施形態に係る筐体の断面、および、選別装置の一部を模式的に示す図であり、吸引路に不適合粉粒体が吸い込まれるのを示す図である。
【
図6】実施形態に係る選別装置の一部を示す側面図であり、規制体がベルトコンベヤの浮き上がりを防止する際の筐体の周囲を示す図である。
【
図7】実施形態に係る筐体の変形例1を示す平面図である。
【
図8】実施形態に係る筐体の変形例2を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態に係る選別装置100の概略について、
図1および
図5を参照して説明する。
【0013】
図1に示す選別装置100は、複数の粉粒体Gをベルトコンベヤ2の上に拡げて搬送しながら、不適合粉粒体NGの識別と、複数の粉粒体Gの中から不適合粉粒体NGを、後述するように
図5に示す筐体4の吸引路41から吸い込んで取り除くこととを行い、複数の粉粒体Gから適合粉粒体GGを選別している。不適合粉粒体NGを吸い込んで取り除く際には、不適合粉粒体NGの周囲の多少の数の適合粉粒体GGも一緒に吸い込まれて取り除かれる。筐体4の吸引路41は、前述したような従来のノズルの粉粒体Gを吸い込む吸い口部分に相当し、吸引路41を含む吸引路41から下流側には筐体4を通して吸い込んだ粉粒体Gおよび空気が通過する通路(除去通路10)が設けられている。
【0014】
図1に示す選別装置100は、従来のノズルと同様に、除去通路10が粉粒体Gにより詰まった場合、または、ベルトコンベヤ2が除去通路10に吸い込まれてベルトコンベヤ2が浮き上がった場合には、不適合粉粒体NGを取り除くことができないために、複数の粉粒体Gの中から適合粉粒体GGを選別できなくなることがある。詳細には、
図5に示す除去通路10が粉粒体Gによって詰まった場合に除去通路10を空気が通り抜けできなくなると、選別装置100は、複数の粉粒体Gをベルトコンベヤ2の上から吸い込めず、不適合粉粒体NGを取り除けなくなるので、複数の粉粒体Gの中から適合粉粒体GGを選別できなくなる。また、ベルトコンベヤ2が浮き上がった場合、ベルトコンベヤ2の上の複数の粉粒体Gがベルトコンベヤ2の周囲に飛び散ってしまい、ベルトコンベヤ2の上から粉粒体Gがなくなると、選別装置100は、選別するための粉粒体Gがベルトコンベヤ2の上にないので、複数の粉粒体Gの中から適合粉粒体GGを選別できなくなる。
【0015】
第1に、除去通路10に詰まりが生じることを防止するために、
図1に示すように、複数の粉粒体Gは、ベルトコンベヤ2の上の一定の領域DAに均一に載せられる。ベルトコンベヤ2の上の一定の領域DAに均一に複数の粉粒体Gを載せた場合、ベルトコンベヤ2の上の特定の領域に偏って多くの数の粉粒体Gが載せられた場合のように、ある瞬間に過剰な数の粉粒体Gを吸い込むことがない。したがって、過剰な数の粉粒体Gが短時間に除去通路10に吸い込まれることによって除去通路10が粉粒体Gで詰まることを防止することができる。
【0016】
第2に、除去通路10に詰まりが生じることを防止するために、
図5に示すように、筐体4は、ベルトコンベヤ2の上の複数の粉粒体Gを複数のグループに分ける。筐体4には、複数の吸引路41が設けられており、各吸引路41には、複数の粉粒体Gがグループごとに吸い込まれる。したがって、1つのグループに割り当てられた数以上の粉粒体Gが特定の吸引路41に吸い込まれることが無く、過剰な数の粉粒体Gが特定の吸引路41に吸い込まれることを防止することができる。
【0017】
第3に、除去通路10に詰まりが生じることを防止するために、除去通路10を通過した粉粒体Gおよび空気は分離されたうえで、除去通路10から排出される。排出された粉粒体Gは、後述する回収箱417に回収される。粉粒体Gおよび空気が分離されて回収箱417に排出されることで、除去通路10に複数の粉粒体Gが溜まって、粉粒体Gが除去通路10を詰まらせることを防止している。
【0018】
粉粒体Gが吸引路41に吸い込まれる際の
図6に示すようなベルトコンベヤ2の浮き上がりLを防止するために、ベルトコンベヤ2の浮き上がりLが規制される。ベルトコンベヤ2の浮き上がりLは、
図5に示すように粉粒体Gが吸引路41に吸い込まれる際、および、粉粒体Gが吸引路41に吸い込まれた後の吸引路41内の空気の圧力が筐体4の周囲の圧力よりも低い状態となっている間に生じる。したがって、ベルトコンベヤ2の浮き上がりLは、吸引路41に粉粒体Gが吸い込まれるときから、吸引路41内の空気の圧力が、筐体4の周囲の空気の圧力と同等程度となるまでの間規制される。これにより、ベルトコンベヤ2の浮き上がりLが防止される。
【0019】
実施形態の選別装置100を構成する装置および部品の構造について、
図1から
図7を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、選別装置100は、不適合粉粒体NGを含む複数の粉粒体Gをベルトコンベヤ2に供給するフィーダー1と、フィーダー1から供給された複数の粉粒体Gを搬送するベルトコンベヤ2と、ベルトコンベヤ2の搬送する複数の粉粒体Gの中から不適合粉粒体NGを識別する識別装置3と、ベルトコンベヤ2の搬送する複数の粉粒体Gから不適合粉粒体NGを吸い込むための筐体4と、不適合粉粒体NGを吸い込むための空気流を発生させる吸引装置416(
図5参照)、および、筐体4に吸引装置416をつなげるための各種機械要素(
図5参照)と、
図6に示すようなベルトコンベヤ2の浮き上がりLを防止するための規制体5とを備える。
【0021】
フィーダー1は、樋状の構造体で、その樋状の溝部分が複数の粉粒体Gの移動する通路(供給路11)となっている。粉粒体Gは、供給路11の長手方向に沿って移動することができる。供給路11の幅は、粉粒体Gの移動する方向の上流側から下流側に向かう程小さくなり、粉粒体Gの移動方向の中間位置から下流側では一定の大きさである。供給路11の上の複数の粉粒体Gは、フィーダー1が、供給路11の長手方向に沿って振動することによって、供給路11の下流側にある供給路出口12に向かって移動する。
【0022】
フィーダー1はガイド13を有する。ガイド13は、供給路11を移動する複数の粉粒体Gが供給路出口12に達した際に、複数の粉粒体Gが供給路11の幅方向に均一に拡がった状態となる方向に向かって粉粒体Gを案内する。具体的なガイド13の設置位置、および、ガイド13の粉粒体Gを案内する方向は、複数の粉粒体Gが供給路11を移動する際における、複数の粉粒体Gの移動する方向の傾向に応じて決められる。例えば、
図1に示すフィーダー1は、複数の粉粒体Gが、供給路11の幅方向の両端に向かって移動する傾向にある。このような傾向で複数の粉粒体Gが供給路11を移動する場合、ガイド13は、粉粒体Gの移動方向に沿った中間位置で、複数の粉粒体Gを供給路11の幅方向の中央部分に移動させて、供給路11の幅方向の両端に粉粒体Gが偏って集まらないようにする必要がある。したがって、ガイド13は、供給路11の移動方向の中間位置に設けられ、上流側よりも下流側の方が複数の粉粒体Gが移動できる幅寸法が小さくなるように供給路11を挟む2枚の板状構造体となる。
【0023】
ベルトコンベヤ2は、フィーダー1から供給される複数の粉粒体Gを上面に載せて搬送するベルト21を有する。ベルト21は、供給路出口12から落ちる複数の粉粒体Gを上面で受けて、フィーダー1が粉粒体Gを移動させる方向と同じ方向に向かって粉粒体Gを搬送するように、供給路出口12の下に配置される。供給路出口12では、複数の粉粒体Gが供給路11の幅方向に均一に拡がった状態となっているため、供給路出口12からベルト21の上面に落ちた複数の粉粒体Gは、ベルト21の上面においても、ベルト21の幅方向に均一に拡がった状態となる。後述するように、ベルト21は、搬送方向に移動しながらフィーダー1から落下する粉粒体Gを受ける。すると、粉粒体Gは、ベルト21の搬送方向に均一に拡がった状態となる。したがって、ベルト21の上面の一定の領域DAに複数の粉粒体Gを均一に拡げて載せることができる。なお、フィーダー1が粉粒体Gを移動させるのに振動する際の振動数、ガイド13の設置位置、およびベルト21の移動速度は、粉粒体Gの移動する傾向に合わせて適宜調整することができ、これらを調整することで、ベルト21の上面の一定の領域DAに複数の粉粒体Gを均一に拡がった状態で載せることができる。
【0024】
識別装置3は、ベルト21の上面に載せられた複数の粉粒体Gを撮像する撮像機を有する。識別装置3は、
図2に示すように、撮像機が撮像した画像Pに写っている複数の粉粒体Gの中から不適合粉粒体NGを識別するとともに、画像Pを複数の領域(画像エリア)に分割し、不適合粉粒体NGが含まれる画像エリアを特定する。具体的には、例えば、粉粒体Gが小麦の粒である場合、小麦の粒の色が不適合粉粒体NGであるか否かを判断するための基準となる。
図2に示す例では、黒色の小麦の粒が不適合粉粒体NGである。識別装置3は、撮像機が撮像した画像Pに写っている複数の小麦の粒の中から黒色の小麦の粒を不適合粉粒体NGとして識別するとともに、画像Pを画像エリアD1から画像エリアD30までに分割し、画像エリアD2、画像エリアD6、画像エリアD13および画像エリアD19に不適合粉粒体NGが含まれると特定する。
【0025】
筐体4は、
図3に示すように、ベルト21の上面の複数の粉粒体Gが載せられた領域DA以上の面積の底面を有する箱である。筐体4は、
図4および
図5に示すように、ベルト21(
図5参照)の上面に載せられた複数の粉粒体Gを上から覆って複数のグループに分割する複数の排出エリアである複数の部屋Rと、除去通路10の一部であり、部屋Rにつながる吸引路41と、部屋Rを部屋R外の空間につなげるための通路である導入路42と有する。
【0026】
図5に示すように、ベルト21の上面に載せられた複数の粉粒体Gは、筐体4が上から覆う位置(吸い込み位置)にあるときに、筐体4の後述する吸引路41から除去通路10に吸い込まれる。詳細には、吸い込み位置は、筐体4が粉粒体Gを吸い込む際の位置であり、より具体的には、ベルト21の上面に載せられた複数の粉粒体Gを完全に上から覆い、かつ、ベルト21の上面と筐体4の底面との隙間が、粉粒体Gを筐体4で潰さない程度に可能な限り小さくなるような位置である。
【0027】
筐体4は、
図1に示すように、筐体4を吸い込み位置に配置させるための配置装置411に、筐体4の上部に接続された後述のアダプタ410を介して筐体4を保持されている。配置装置411は、
図3に示すように、ベルトコンベヤ2による粉粒体Gの搬送を妨げない位置に筐体4を通常待機させ、
図5に示すように、ベルト21の上面から不適合粉粒体NGを取り除く際に吸い込み位置に筐体4を配置する。具体的には、配置装置411は、ベルト21から筐体4が離れた位置(
図3参照)と、ベルト21に筐体4が接近した位置(
図5参照)との間を行き来するように、上下方向に筐体4を移動させる。
【0028】
図5に示すように、排出エリアは、筐体4が吸い込み位置に配置された際、上から見て、識別装置3の定めた画像エリアと対応するように複数の粉粒体Gを複数のグループに分けるように配置される空間であり、筐体4の底面の特定の領域を窪ませて形成される部屋Rである。
図5の部屋Rは、筐体4を下から見て筐体4の底面の一部が正方形状に窪んでいる。なお、筐体4において、筐体4が吸い込み位置に配置されることで、ベルト21の上面と対向する正方形状の面を内側上面43と称し、内側上面43と交差し、部屋Rを前後左右方向から囲む面を内側側面44と称する。部屋Rは、画像エリアと同じ数であり、各画像エリアに写っている領域の実際の面積と同じ面積を有し、画像エリアと同じ並びで筐体4の底面に配置される。
【0029】
図3に示すように、ベルト21の上面の一定の領域DAに載せられた複数の粉粒体Gは、
図5に示すように、筐体4が吸い込み位置に配置されることで、各部屋Rに粉粒体Gのグループが割り当てられた状態となる。各グループに含まれる粉粒体Gは、各グループに対応する各画像エリアに写し出されているグループの粉粒体Gに対応する。具体的には、筐体4が吸い込み位置に配置された際、部屋R2の下のグループに含まれる粉粒体Gは、
図2に示す画像エリアD2内に写し出されているグループの粉粒体Gに対応する。したがって、
図5に示すように、不適合粉粒体NGを含む画像エリアに対応する部屋Rに割り当てられたグループの粉粒体Gを吸い込むことによって、ベルト21の上面の一定の領域DAに載せられたすべての粉粒体Gの中から不適合粉粒体NGを取り除くことができる。
【0030】
吸引路41は、
図5に示すように、部屋Rと連通し、不適合粉粒体NGを含むグループが割り当てられた部屋Rの空気および粉粒体Gが吸い込まれる通路である。吸引路41は、部屋Rから筐体4の内側上面43から上部に向かって貫通する穴である。
図5の吸引路41は、内側上面43の中心近傍に設けられる。内側上面43の中心とは、正方形状の内側上面43の2つの対角線の交点と重なる位置である。
【0031】
吸引路41は、不適合粉粒体NGを吸い込むための空気流を発生させる吸引装置416、および、筐体4に吸引装置416をつなげるための各種機械要素につながっている。吸引装置416、および、筐体4を吸引装置416につなげるための各種機械要素の詳細については後述する。吸引装置416は、部屋Rから吸引路41に向かう空気流を発生させる。吸引装置416の発生させる空気流により、不適合粉粒体NGを含むグループの割り当てられた部屋Rにおける空気および粉粒体Gは、吸引路41に吸い込まれる。
【0032】
吸引路41は、各部屋Rに少なくとも1つ設けられることが好ましい。各部屋Rに吸引路41を設けると、各部屋Rに割り当てられた複数の粉粒体Gのグループは、各部屋Rに設けられた吸引路41が吸い込む。つまり、各吸引路41は、それぞれに割り当てられたグループの粉粒体Gを吸い込むので、特定の吸引路41が複数のグループの粉粒体Gを吸い込むことによって、その吸引路41を含む除去通路10が粉粒体Gによって詰まることを防止することができる。また、各部屋Rに複数の吸引路41を設けた場合、各部屋Rに割り当てられた複数の粉粒体Gは、複数の吸引路41に分かれて吸い込まれる。したがって、各吸引路41に吸い込まれる粉粒体Gの数は、各部屋Rに吸引路41が1つ設けられた場合よりも少なくなる。つまり、各部屋Rに複数の吸引路41を設けた方が、各部屋Rに吸引路41を1つ設けた場合と比較して、除去通路10が粉粒体Gによって詰まりにくくなる利点がある。
【0033】
導入路42は、各部屋Rと連通し、部屋R外の空気を各部屋Rに導入するための通路であり、
図5に示す部屋Rと、
図3および
図5に示すように部屋R外の空間とをつなぐ。部屋Rと、部屋R外との空間をつなぐと、部屋Rの空気が吸引路41に吸い込まれて部屋Rの空気の圧力が下がった際に、部屋Rよりも圧力の高い部屋R外の空間の空気が、その部屋Rと連通する導入路42を通ってその部屋Rに流れ込む。導入路42を通って部屋Rに流れ込んだ空気は、部屋Rの粉粒体Gを乗せて吸引路41に向かう。つまり、吸引路41から部屋Rの空気が吸い込まれることで、その部屋Rに連通する導入路42から、その部屋Rに連通する吸引路41に向かう空気流が生じる。一方で、部屋Rと、部屋R外の空間とが、導入路42によってつながっていないと、吸引路41に空気が吸い込まれる際に、部屋R外から部屋Rに向かう空気の流れが導入路42以外で生じる。例えば、筐体4と、ベルト21の上面との間で、部屋R外から部屋Rに向かう空気の流れが生じると、その空気の流れは、複数の部屋Rを通る場合があり、複数の部屋Rの粉粒体Gを乗せて、特定の吸引路41に向かい、特定の吸引路41が詰まってしまうおそれがある。つまり、導入路42を設けることによって、複数の部屋Rを通る空気流が生じることを防止することができるので、特定の吸引路41を含む除去通路10が粉粒体Gによって詰まることを防止することができる。
【0034】
図4に示すように、導入路42は、各部屋Rに複数設けられ、吸引路41の周囲に配置されることが好ましい。
図4の筐体4には、吸引路41の周囲4か所に互いの間隔が等しく、かつ、各導入路42と吸引路41との間隔が等しくなるように4つの導入路42が配置されている。導入路42が吸引路41の周囲に複数設けられることで、部屋Rの空気が吸引路41に吸い込まれる際に、吸引路41の周囲の各導入路42から吸引路41に向かう空気流が生じる。つまり、複数方向から吸引路41に向かう空気流が生じる。部屋Rの粉粒体Gは、吸引路41に向かう空気流に乗って、吸引路41に吸い込まれるため、複数方向から吸引路41に向かう空気流があれば、吸引路41に向かう空気流が一方向からのみの場合と比較して、多くの粉粒体Gが吸引路41に吸い込まれる。言い換えると、導入路42が複数あることで、導入路42が1つの場合と比較して、部屋R内で、空気の流れが無い空間、すなわち、空気が流れずに滞留する空間が小さくなり、より多くの粉粒体Gが空気流に乗って吸引路41に吸い込まれる。
【0035】
導入路42は、筐体4の外側から部屋Rに向かって筐体4を貫通することが好ましい。このようにすると、部屋Rは、導入路42によって、
図3に示すように、筐体4の外側の空間とつながる。筐体4の外側の空間の空気の圧力は、大気圧である。したがって、
図5に示すように、部屋Rの空気が吸引路41に吸い込まれて部屋Rの空気の圧力が大気圧よりも小さくなると、部屋R外の空気が導入路42を通って部屋Rに流れ込む。一方で、導入路42が、部屋Rと、筐体4の外部以外の空間とをつないだ場合、吸引路41に部屋Rの空気が吸い込まれた際においても、部屋Rとつながってる空間の空気の圧力が部屋Rの圧力よりも小さくなることもある。この場合、部屋Rに空気を能動的に送り込む必要があり、そのためのポンプが必要になる。しかし、部屋Rが筐体4の外部とつながっていれば、部屋Rの空気が吸引路41に吸い込まれた際、部屋Rの圧力は、常に大気圧よりも小さくなるので、部屋Rに空気を能動的に送り込む必要がなく、別途、部屋Rに空気を送るためのポンプ等を必要としない利点がある。
図5に示す筐体4の導入路42は、筐体4の上部から内側上面43までを貫通する穴である。したがって、不適合粉粒体NGとともに部屋Rの空気が吸引路41に吸い込まれると、筐体4の外部であって、筐体4よりも上の空間にある空気が、導入路42を通って、吸引路41に導かれる。
【0036】
筐体4は、不適合粉粒体NGを含むグループを吸引路41から複数の粉粒体Gを吸い込んで回収するために、筐体4に接続されるアダプタ410と、筐体4の各吸引路41とアダプタ410を介して個々に連通する複数のチューブ412と、各チューブ412と個々に連通する複数の分離装置413と、各分離装置413と個々に連通する複数の弁414と、複数の弁414と連通するマニホールド415といった各種機械要素を挟んで吸引装置416につながる。そして、前述の除去通路10は、具体的には、各吸引路41からマニホールド415までの複数の通路である。
【0037】
アダプタ410は、筐体4の吸引路41と個々に接続される複数の管41Aと、複数の管41Aを保持する保持部41Bとを有する。管41Aは、中空部分が除去通路10の一部となる。管41Aの数は、筐体4の吸引路41の数と同じであり、複数の管41Aは、中空部分が各吸引路41と個々に連通するように、筐体4の上部に接続される。
【0038】
チューブ412は、中空部分が除去通路10の一部となっており、中空部分が吸引路41と連通するように、アダプタ410の管41Aを介して筐体4に接続される。チューブ412の数も吸引路41の数と同数であり、各チューブ412の一方端は、アダプタ410の各管41Aと個々に接続され、各チューブ412の他方端は、分離装置413に接続される。
【0039】
分離装置413は、吸引路41から吸い込まれた空気および不適合粉粒体NGを含む粉粒体Gを分離する。吸引路41から吸い込まれた空気および粉粒体Gを分離することで、空気を吸引装置416に向かわせ、粉粒体Gを回収するための回収箱417に粉粒体Gを向かわせることができる。このようにすることで、分離装置413よりも下流側の吸引装置416に至る部分において粉粒体Gによる詰まりが生じることを防止している。分離装置413は、例えば、エアフィルタ、または、サイクロン式の遠心分離機である。なお、分離装置413は、粉粒体Gによる詰まり可能性がある機械要素よりも上流側に設けられればよく、例えば、弁414、またはマニホールド415が粉粒体Gで詰まるおそれが無ければ、弁414、またはマニホールド415の後流側に設けられてもよい。
【0040】
弁414は、各除去通路10を開閉するように各分離装置413に接続される。弁414は、その弁414の接続された除去通路10が不適合粉粒体NGを含むグループの割り当てられた部屋Rにつながる場合に、その除去通路10に空気および粉粒体Gを通過させるために開く。逆に、弁414は、その弁414の接続された除去通路10が不適合粉粒体NGを含むグループの割り当てられた部屋Rにつながらない場合に、その除去通路10に空気および粉粒体Gが通過しないように閉じる。したがって、弁414が除去通路10を開閉することによって、筐体4の吸引路41には、不適合粉粒体NGを含むグループの粉粒体Gのみが吸い込まれる。弁414は、例えば、ソレノイドバルブなどであり、識別装置3での判断結果に基づいて、識別装置3またはその他の制御装置(図示せず)によって制御される。複数の弁414は、各弁414を通過した空気が通るマニホールド415を介して吸引装置416に接続されている。
【0041】
吸引装置416は、空気を吸い込む装置である。吸引装置416は、各除去通路10とつながっているため、吸引装置416が空気を吸い込むと、部屋Rの空気が吸引路41に吸い込まれる。吸引装置416には、例えば、真空ポンプなどがある。
【0042】
規制体5は、
図6に示すように、複数の粉粒体Gが吸引路41に吸引される際に発生するベルトコンベヤ2のベルト21の浮き上がりLを筐体4の周囲の複数箇所で規制する。ベルト21の浮き上がりLの規制は、ベルト21の筐体4の周囲の複数箇所を上から押さえつけることで行う。
図1に示すように、実施形態では、6つの規制体5を使用して、筐体4の周囲6箇所をベルト21の上から規制している。規制体5がベルト21の浮き上がりLを規制することで、ベルト21の浮き上がりLが生じず、ベルト21の浮き上がりLによって、ベルト21に載せられた複数の粉粒体Gが飛び散ることが防止される。
【0043】
規制体5は、
図6に示すように、アダプタ410の保持部41Bに保持部材51を介して保持される押圧体52を有する。アダプタ410の保持部41Bには、厚み方向に貫通する穴が規制体5を保持する位置に設けられている。円筒形状の保持部材51は、中空部分が保持部41Bの貫通穴と連通するとともに、保持部材51の平面部分が保持部41Bの上面と接するように、保持部41Bに取り付けられる。
【0044】
押圧体52は、保持部材51に保持される本体521と、本体521に取り付けられる反発部522と、本体521とで反発部522を挟む受け部523とを有する。本体521は、棒の両端部に円板が取り付けられたような形状である。反発部522は、上下方向から力を加えられることによって、その力を加えられた方向に反発する反発力を生じさせながら縮む部材であり、
図6には、コイルばねである反発部522を例示している。反発部522の内径は、本体521の棒部分の外径よりも大きく、本体521の円板部分の外径よりも小さくなっている。受け部523は、円筒であり、中空部分の内径が反発部522の外径より小さくなっている。受け部523は、中空部分が保持部41Bの貫通穴と連通するとともに、受け部523の平面部分が保持部41Bの下面と接するように、保持部41Bに取り付けられる。本体521は、棒部分がコイルばねである反発部522の中空部分を通り、反発部522の一方端部が本体521の一方の円板部分に接するとともに、反発部522の他方端部が受け部523の下側の平面部分に接するように保持部41Bに保持される。本体521は、棒部分が、受け部523、保持部41Bおよび保持部材51の中空部分を通り、本体521の上側の端部の円板部分の下側平面部分が保持部材51の上側平面部分に引っ掛かるように配置することで、保持部41Bに保持される。このように保持部41Bが押圧体52を保持することで、保持部材51が本体521の下方向への移動を規制し、反発部522が本体521の上方向への移動を規制する。言い換えると、本体521は、保持部材51および反発部522が規制する範囲内で上下方向に移動することができる。また、規制体5がベルト21を上から押さえつける位置に配置されたときに、本体521は、反発部522による反発力でベルト21の上面を押さえつけて、ベルト21の浮き上がりLを規制する。なお、押圧体52は、上下方向から力を加えられたときに、その力が加えられた方向に反発力を生じさればどのような構造でもよい。
【0045】
反発部522の縮み方向の長さは、筐体4が吸い込み位置から離間してから吸引路41内の空気の圧力が筐体4の周囲の空気の圧力と同等程度となるまでの間、本体521がベルト21を押さえつけることができる長さであることが好ましい。このような縮み方向の長さの反発部522であれば、本体521は、吸引路41内の空気の圧力が筐体4の周囲の空気の圧力よりも低い状態、言い換えると、ベルト21の浮き上がりLが生じるおそれのある状態の際にベルト21を上から押さえつけて、ベルト21の浮き上がりLを規制することができる。
【0046】
また、ベルト21を上から押さえつけるためには、規制体5をアダプタ410に取り付けるのではなく、規制体5を保持して移動させることができる移動装置(図示せず)を使用してもよい。移動装置は、規制体5がベルト21を上から押さえつける位置と、規制体5がベルト21から離間した位置との間を行き来するように、規制体5を移動させる。移動装置が、ベルト21を上から押さえつける位置に規制体5を配置することでベルト21の浮き上がりLは規制される。移動装置であれば、規制体5がベルト21を上から押さえる位置に規制体5を任意の期間留めておくことができる。このため、移動装置を使用すると、任意の期間、ベルト21の浮き上がりLを規制できるという利点がある。
【0047】
ベルト21の浮き上がりLの規制は、ベルト21を上から押さえつけるのではなく、ベルト21を下から引っ張ることによっても行うことができる。ベルト21を下から引っ張るには、例えば、ベルト21において、筐体4が上から覆う位置と反対の位置、すなわち、ベルト21の下からベルト21を吸引して引っ張る引張装置(図示せず)により、ベルト21を下方向に引っ張り、ベルト21の浮き上がりLを規制する。引張装置を使用すると、ベルト21の上から規制する必要が無いので、ベルト21上に規制体5が接するための領域を確保する必要が無く、複数の粉粒体Gを拡げて載せることができる領域DAを大きくすることができ、領域DAが大きくなった分、より多くの数の粉粒体Gを選別できるという利点がある。
【0048】
【0049】
図1に示すように、選別装置100は、フィーダー1がベルトコンベヤ2のベルト21の上に複数の粉粒体Gを供給することから始まり、ベルトコンベヤ2が粉粒体Gを搬送しながら、不適合粉粒体NGを含むエリアの特定と、不適合粉粒体NGを含むグループとを取り除くことを順次行う。不適合粉粒体NGを含むグループをベルト21の上面から取り除くことで、ベルト21の上面には、適合粉粒体GGのみが残る。選別装置100のユーザーはベルト21の上面に残った適合粉粒体GGを何らかの方法で回収することにより、複数の粉粒体Gの中から適合粉粒体GGのみを選別することができる。
【0050】
供給路11の上の不適合粉粒体NGを含む複数の粉粒体Gは、フィーダー1が振動することによって、供給路出口12に向かって移動する。供給路11の上流側の粉粒体Gは供給路出口12に向かって移動するに伴い、徐々に供給路11の幅方向の両端に寄る。供給路出口12方向に向かう複数の粉粒体Gは、供給路11の移動方向の中間位置にあるガイド13により、供給路11の幅方向の中央部分に向かうように案内される。ガイド13により案内された複数の粉粒体Gは、供給路出口12方向に向かうに従い、供給路11の幅方向の中央部分から、供給路11の幅方向の両端に徐々に寄り、供給路出口12に到達する段階では、粉粒体Gが幅方向に均等に並ぶようになっている。供給路出口12に到達した粉粒体Gは、ベルトコンベヤ2のベルト21の上面に向かって、供給路出口12から落下する。
【0051】
ベルトコンベヤ2は、ベルト21の上の一定の領域DAに均一に複数の粉粒体Gが載せられるように、ベルト21を搬送方向に移動させながら、フィーダー1の供給路出口12から落下する複数の粉粒体Gをベルト21の上面で受ける。ベルト21は、搬送方向に均一に拡がった状態で複数の粉粒体Gが上面に載せられるように、フィーダー1から供給される複数の粉粒体Gを搬送方向に動きながら受ける。したがって、ベルト21の上面には、ベルト21の幅方向だけでなく、搬送方向にも、複数の粉粒体Gが均一に拡がった状態で載せられる。言い換えると、フィーダー1からベルト21上面に供給される複数の粉粒体Gは、ベルト21上面の一定の領域DAに均一に拡がって載せられる。
【0052】
ベルト21の上面の一定の領域DAに載った複数の粉粒体Gは、識別装置3が複数の粉粒体Gを撮像する位置(撮像位置)に搬送され、撮像位置で、不適合粉粒体NGが含まれる画像エリアを識別装置3により特定される。識別装置3は、撮像位置に搬送された複数の粉粒体Gを撮像し、
図2に示すように、撮像した画像Pから不適合粉粒体NGを識別するとともに、画像Pを複数の画像エリアに分割し、不適合粉粒体NGが含まれる画像エリアを特定する。不適合粉粒体NGが含まれる画像エリアが特定された複数の粉粒体Gは、除去通路10に不適合粉粒体NGが吸い込まれる位置(取り除き位置)に向けて搬送される。
【0053】
図3および
図5に示すように、取り除き位置まで複数の粉粒体Gを搬送したベルト21は、搬送方向への移動を一旦停止させ、配置装置411は、複数の粉粒体Gが取り除き位置で停止している間に、吸い込み位置に筐体4が配置されるように筐体4を移動させる。ベルト21の移動が停止した状態で筐体4が吸い込み位置に配置されることで、規制体5がベルト21の移動を妨げない。このため、規制体5が移動するベルト21を規制してしまった場合に、規制体5の規制している部分を起点にベルト21がよれることで生じるベルト21の浮き上がりLを防止することができる。
【0054】
吸い込み位置に筐体4が配置されている間、不適合粉粒体NGを含む画像エリアに対応する部屋R(不適合排出エリアNGD)に割り当てられたグループの粉粒体Gは、不適合排出エリアNGD内の空気とともに不適合排出エリアNGDに設けられた吸引路41に吸い込まれる。吸い込み位置に筐体4が配置されると、不適合排出エリアNGDの除去通路10を閉じている弁414が開く。吸い込み位置に筐体4が配置されている間、吸引装置416は、不適合粉粒体NGを吸い込むための空気流を発生させている。このため、不適合排出エリアNGDにつながる除去通路10の弁414が開くことで、不適合排出エリアNGDからその不適合排出エリアNGDの吸引路41を通って吸引装置416に向かう空気流が発生する。
【0055】
不適合排出エリアNGDからその不適合排出エリアNGDの吸引路41に向かう空気流が発生すると、その不適合排出エリアNGD内の空気の圧力が筐体4の外部の空気の圧力よりも小さくなるため、筐体4の外部の空気が不適合排出エリアNGDに設けられた導入路42を通じて不適合排出エリアNGD内に導入される。つまり、不適合排出エリアNGD内の空気の圧力が下がった場合、不適合排出エリアNGD内の空気の圧力を筐体4の外部の空気の圧力と同じにするための空気は、他の部屋Rを通らずに、不適合排出エリアNGDの導入路42を通る。したがって、不適合排出エリアNGD外の部屋Rから不適合排出エリアNGDに向かう空気流が発生しないため、不適合排出エリアNGD以外に割り当てられた粉粒体Gのグループが、不適合排出エリアNGDの吸引路41に吸い込まれることを防止することができる。よって、不適合排出エリアNGD以外の部屋Rに割り当てられたグループに含まれる適合粉粒体GGが不適合排出エリアNGDの吸引路41に吸い込まれることを防止することができる。また、不適合排出エリアNGDの吸引路41に、その吸引路41の吸引能力を超える数の粉粒体Gが吸い込まれて、その吸引路41が粉粒体Gによって詰まることを防止することができる。
【0056】
導入路42を通じて不適合排出エリアNGD内に導入された空気は、吸引路41に向かう。不適合排出エリアNGDに割り当てられた粉粒体Gのグループは、吸引路41に向かう空気流に乗って、吸引路41に吸い込まれる。
図4に示すように、吸引路41は、部屋Rにあり、吸引路41の周囲4か所には、吸引路41からの間隔および各導入路42の間隔が等しくなるように4つの導入路42が配置されているため、部屋R内の空間の大部分を通る空気流が発生している。したがって、不適合排出エリアNGDに割り当てられた粉粒体Gのグループにおいて、空気流が停滞している空間に存在することで吸引路41に吸い込まれない粉粒体Gの数がより少なくなる。また、ベルト21の上面には、複数の粉粒体Gが均一に拡がった状態で載っているため、吸引路41には、ベルト21の上面の特定の領域に偏って多くの数の粉粒体Gが載せられた場合のように、ある瞬間に過剰な数の粉粒体Gを吸い込まれることがない。したがって、過剰な数の粉粒体Gが短時間に除去通路10に吸い込まれることによって、除去通路10が粉粒体Gで詰まることを防止することができる。
【0057】
図5に示すように、不適合排出エリアNGDからその不適合排出エリアNGDの吸引路41に向かう空気流が発生すると、不適合排出エリアNGD内の空気の圧力が筐体4の外部の空気の圧力よりも小さくなるため、ベルト21が不適合排出エリアNGDの方向に引っ張られて、
図6に示すように、ベルト21の浮き上がりLが生じる。しかし、筐体4が吸い込み位置に配置されている間、規制体5がベルト21を上から押さえつけているので、ベルト21の浮き上がりLは、規制体5により規制される。
【0058】
図5に示すように、不適合排出エリアNGDの吸引路41に吸い込まれた不適合粉粒体NGを含む粉粒体Gは、その吸引路41を含む除去通路10を通って、分離装置413に吸い込まれる。分離装置413では、空気と、粉粒体Gとが分離される。分離された空気は、吸引装置416に向かい、分離された粉粒体Gは、回収箱417に向かう。したがって、分離装置413よりも後流側の除去通路10、弁414、マニホールド415、および吸引装置416が粉粒体Gによって詰まることを防止することができる。
【0059】
図6に示すように、筐体4の吸引路41に複数の粉粒体Gが吸い込まれた後、
図1に示す配置装置411は、吸い込み位置より筐体4を離間させる。筐体4が吸い込み位置から離間する際、規制体5も筐体4とともにベルト21を上から押さえつける位置から離間する。しかし、規制体5の押圧体52は、反発部522の発生させる反発力によって、ベルト21を上から押さえつけている。このため、規制体5が、反発部522の反発力が生じなくなるまでの位置、すなわち、反発部522の縮みが無くなるまでの位置に移動するまでの間、押圧体52は、ベルト21を上から押さえつけ続ける。反発部522の縮み方向の長さは、筐体4が吸い込み位置から離間してから吸引路41内の空気の圧力が筐体4の周囲の空気の圧力と同等程度となるまでの間、本体521がベルト21を押さえつけることができる長さである。したがって、吸引路41内の空気の圧力が筐体4の周囲の空気の圧力よりも低い状態、言い換えると、ベルト21の浮き上がりLが生じるおそれのある状態の際にベルト21を上から押さえつけて、ベルト21の浮き上がりLを規制する。
【0060】
規制体5がベルト21を上から押さえる位置から離間した後、ベルト21は、搬送方向への移動を再開させる。したがって、規制体5がベルト21の移動を妨げない。このため、規制体5が移動するベルト21を規制してしまった場合に、規制体5の規制している部分を起点にベルト21がよれることで生じるベルト21の浮き上がりLを防止することができる。
【0061】
不適合粉粒体NGを含むグループの粉粒体Gが吸い込まれた後に、ベルト21の上面に残っている粉粒体Gは、適合粉粒体GGのみとなる。ベルト21の上面に残った適合粉粒体GGが何らかの方法で回収されることで、適合粉粒体GGは、不適合粉粒体NGを含む複数の粉粒体Gから選別される。
【0062】
以下に、実施形態に係る選別装置100の変形例1および変形例2の構造について
図7から
図9を参照して説明する。
【0063】
[変形例1]
以下に実施形態に係る選別装置100の変形例1について、
図7を参照して説明する。変形例1の選別装置100は、筐体6の構造のみが
図4の筐体4と異なる。
【0064】
図7に示す変形例1の筐体6は、
図4の筐体4よりも、導入路42の数が多く、かつ、少なくとも1つの導入路42は、異なる2つの部屋Rの境界にまたがって設けられている。言い換えると、少なくとも1つの導入路42は、異なる2つの部屋Rを連通するように設けられる。異なる2つの部屋Rの境界にまたがって導入路42を設けると、導入路42の通路断面積を大きくすることができる。導入路42を通じて部屋Rに筐体4の外部の空気を導入する場合、導入路42の数、および、導入路42の通路断面積を大きくするほど、多くの量の空気が導入路42を通って部屋Rに流れ込む。導入路42を通って部屋Rに流れ込む空気の量が多い程、吸引路41に空気が吸い込まれた部屋R内の空気の圧力が筐体6の周囲の圧力よりも低くなった場合に、その部屋R内の空気の圧力が筐体6の周囲の圧力と同等程度になるまでの時間が短縮される。よって、
図6に示すベルト21の浮き上がりLが生じるおそれのある期間を短縮することができる。
【0065】
[変形例2]
以下に実施形態に係る選別装置100の変形例2について、
図8を参照して説明する。変形例2の選別装置100は、筐体7の構造のみが
図4の筐体4と異なる。
図8にて示すように、筐体7の排出エリアは、
図4の筐体4の部屋Rのように筐体4の底面に設けられた窪みではなく、筐体7の底面の一定のスペースSである点で
図4の筐体4と異なる。
図8の排出エリアは、筐体7が吸い込み位置に配置された際、上から見て、識別装置3の定めた各画像エリアに対応する筐体7の底面のスペースSである。スペースSは、
図4の筐体4に設けられた部屋Rと同様に、画像エリアと同じ数であり、各画像エリアに写っている領域の実際の面積と同じ面積を有し、画像エリアと同じ並びで筐体4の底面に配置される。変形例2の筐体7に設けられたスペースSは、
図4の筐体4に設けられた部屋Rと異なり、筐体7の底面を窪ませる必要がないので、
図4の筐体4よりも製造が容易であるという利点がある。また、変形例2の筐体4の導入路42の数は、
図4の筐体4の導入路42の数よりも多いため、吸引路41が空気を吸い込んだときのスペースSよりも下の空間において、
図4の筐体4の場合と比較して、空気の滞留する部分が少ないという利点がある。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、上述の実施形態に限られるものではなく、フィーダー1上を移動する粉粒体Gの移動方向をガイド13が案内するとともに、供給路出口12を落下する複数の粉粒体Gをベルト21が一定の速度で移動しながら受けることで、ベルト21の上面の一定の領域DAに複数の粉粒体Gが均一に載り、不適合排出エリアNGDに設けられた導入路42から不適合排出エリアNGD外の空気を不適合排出エリアNGD内に導入し、規制体5またはその他の装置が一定期間ベルトの浮き上がりLを規制するという本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 :フィーダー
2 :ベルトコンベヤ
3 :識別装置
4 :筐体
5 :規制体
13 :ガイド
41 :吸引路
42 :導入路
52 :押圧体
100 :選別装置
R :部屋(排出エリア)
S :スペース(排出エリア)
G :粉粒体
NG :不適合粉粒体